平成二十九年東京都議会会議録第二十号

○副議長(長橋桂一君) 五十番舟坂ちかお君。
〔五十番舟坂ちかお君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○五十番(舟坂ちかお君) 初めに、産業振興についてお伺いをいたします。
 二〇二〇大会までいよいよ残り千日を切り、中長期にわたるさまざまなビジネスチャンスの到来が見込まれております。大会の経済効果は約三十二兆円とも試算されておりますが、三年後のオリンピック・パラリンピック東京大会、さらには、開催まで二年を切った二〇一九年のラグビーワールドカップ大会の開催は、東京だけでなく、日本各地の多様な魅力を世界に伝える絶好の機会であります。
 豊かな自然や食文化、すぐれた技術や伝統文化など、日本各地の魅力を余すところなく世界に伝え、外国人旅行客の拡大を初めとする観光の振興や経済の活性化につなげていくことで、我が国全体のさらなる発展を図っていかなければなりません。
 こうした観点から、これまで我が党は、東京と日本各地が双方の強みを生かし、高い効果が見込まれる産業施策を都が先導役となって取り組んでいくべきと提案してきました。
 オール日本で二〇二〇大会を成功に導くためには、さきの熊本地震や東日本大震災からの復興支援という観点も忘れてはなりません。
 東京のみならず、オール日本の視点に立ち、東京と各地がしっかりとスクラムを組んで産業の振興を一層強化し、取り組んでいくことが重要と考えますが、都の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、都市基盤整備についてお伺いをいたします。
 まず、建築物の耐震化についてお伺いいたします。
 震災時において、都民の生命と財産を保護し、首都機能を維持するためには、特定緊急輸送道路沿道や住宅などの建築物について耐震化を強力に進める必要があります。
 とりわけ、分譲マンションを含め、住宅については都民生活の基盤であり、世界で一番の都市東京を目指すためにも、所有者や管理組合の取り組みをしっかりと後押しし、来るべき首都直下地震に備え、迅速に耐震化を進めていく必要があります。
 そこで、都は、住宅の耐震化を促進するため、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
 次に、河川整備についてお伺いをいたします。
 都はこれまで、区部東部の低地帯では防潮堤や水門、また、区部西部や多摩部では中小河川の護岸や調節池などの治水施設を長期間にわたり着実に整備してきました。
 東京を直撃した十月の台風二十一号では、中小河川の多くの調節池で洪水を貯留して河川からの溢水を未然に防止し、東部低地帯では三十八年ぶりに高潮警報が発令されましたが、隅田川の防潮堤などが浸水被害を防ぐなど、これまでの治水施設のストックが効果を発揮いたしました。
 首都直下地震の発生が危惧される中、この地域に住む三百万都民の命と暮らしを守るためには、こうした高潮対策に加え、堤防や水門などの耐震、耐水対策が近々の課題であります。
 今後とも、整備効果を明らかにし、都民の理解と協力を得ながら着実に整備を進めていく必要があります。
 そこで、東部低地帯における河川施設のストック効果と耐震、耐水対策の取り組み状況についてお伺いをいたします。
 次に、道路整備についてお伺いをいたします。
 東京の国際競争力を高めるためには、東京が日本の経済を牽引していく力を持たなければなりません。これまでも道路整備の必要性を繰り返し訴えてきましたが、東京の道路ネットワークの整備は道半ばであり、早期の整備が望まれております。
 都は、都市計画道路の第四次事業化計画を策定し、葛飾区でも幾つかの路線が位置づけられました。このうち、補助第一三八号線は、中川により隔てられた葛飾区、足立区の避難場所をつなぐことで、防災性の向上に寄与する重要な路線であり、早期に取り組む必要があることをこれまでも強く要望してきました。
 また、補助第一四三号線の柴又区間は、都内有数の観光地である柴又地域を通り、帝釈天の参道とも交差している区間であり、にぎわい創出の観点からも早期の拡幅整備を訴えてきました。
 さらには、埼玉県境まで南北に通る補助二七七号線道路など、これらの路線の事業化には橋の架橋や区道との接続、交通処理など、さまざまな検討が必要で時間がかかることは理解しておりますが、これらの路線の検討を直ちに行ってほしいと要望してまいりました。
 そこで、補助一三八号線及び補助一四三号線、補助二七七号線の三路線の事業化に向けた取り組み状況についてお伺いをいたします。
 次に、連続立体交差事業について伺います。
 連続立体交差事業は、踏切による交通渋滞を解消するなど、地域の交通環境を根本的に改善します。
 京成高砂駅から江戸川区の江戸川駅間の鉄道立体化については、平成二十年から検討を進めていますが、いまだ事業化されていません。京成高砂駅付近は一時間に五十分以上閉まっている、あかずの踏切があり、まちの健全な発展が阻害されております。
 また、大地震や大規模な風水害などの災害時には、列車の緊急停止などに伴い、長時間にわたって踏切が閉鎖され、緊急車両の通行や住民の避難に支障を来すおそれがあることから、防災性の向上にも資する連続立体交差事業に取り組むべきであります。
 そこで、京成高砂駅から江戸川駅間の鉄道立体化について検討状況をお伺いいたします。
 次に、高等学校教育についてお伺いいたします。
 都教育委員会においては、平成九年以降、都立高校改革推進計画に基づいて、チャレンジスクールやエンカレッジスクール、中高一貫教育校、進学指導重点校など、新しいタイプの学校づくりを推進し、時代の変化に対応した都民の期待に応えられる都立学校の実現に向けて取り組んでいるものと承知しております。
 その中でも、進学面では、日比谷高校や西高校など進学指導重点校七校は、昨今、難関国立大学を初めとする大学への合格実績を伸ばしております。
 一方で、大学進学を希望する生徒が増加している状況を鑑みれば、より多くの生徒がみずからの進路希望を実現することができるよう、その裾野を広げ、進学指導重点校以外の学校でも進学指導を充実させていくことが必要と考えます。
 都教育委員会では、進学指導重点校のほか、進学指導特別推進校、進学指導推進校を指定していると聞いておりますが、これらの学校に対する教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。
 最後に、緑化施策についてお伺いいたします。
 二〇二〇東京大会の開催まで千日を切りました。東京都では、区市町村と地域が連携し、国内外から訪れる観光客を花と緑でおもてなしをする花の都プロジェクトを今年度から開始をいたしました。
 私の地元葛飾区では、この第一弾として、都立農産高校や地元企業などが考案した立体花壇、フラワーメリーゴーランドを亀有駅前などに設置し、大変好評を得た一方で、大会が開催される真夏に咲く、暑さに強い花の選定など課題もあったと聞いております。
 そこで都は、今年度の花の都プロジェクトで得られた成果や課題をどのように活用し、二〇二〇に向けて、花と緑でまちを彩る取り組みを広げていくのかをお伺いし、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 舟坂ちかお議員の一般質問にお答えいたします。
 進学指導特別推進校等に対する取り組みについてでございますが、次代を担う自立した人間の育成や生徒の将来を見据えた進路実現を図るためには、一人一人の可能性を最大限に伸ばす学校づくりの推進が重要でございます。
 都教育委員会では、進学指導特別推進校と進学指導推進校を指定し、外部機関を活用したコンサルティングや退職校長による訪問指導、やる気と熱意のある教員の公募による配置などの支援により、生徒が希望する進路実現の実績を着実に上げてきております。
 来年度からの新たな五年間の指定期間においては、推進校の中で顕著な実績を上げた小松川高校を特別推進校に指定するとともに、多摩科学技術高校の進学実績等を踏まえ、推進校に新たに指定することといたしました。
 今後とも、生徒の進学指導の充実強化を推進してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 住宅の耐震化に向けた今後の取り組みについてでございます。
 耐震化を促進するためには、費用負担の軽減に加え、所有者の主体的な取り組みを促す働きかけの強化が重要でございます。
 戸建て住宅については、整備地域内で区を後押しするため助成を行い、整備地域外では国費を活用して耐震化を促進してまいりました。
 今後、所有者への積極的な働きかけを行う区市などを対象に、改修等の助成を検討してまいります。
 また、分譲マンションについては、多数の区分所有者の合意形成が必要なため、耐震診断の助成単価の引き上げなど、支援を拡充してまいりました。
 今後、診断は実施したものの耐震化に踏み出せないでいる管理組合に対して、補強設計など次の段階に進めるよう専門家を繰り返し派遣することを検討してまいります。
 こうした取り組みにより、住宅の耐震化を加速させてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 日本各地と連携した産業振興についてでございますが、都は、日本各地と連携し、双方に高い効果が見込まれるさまざまな産業振興施策を展開しております。
 具体的には、産業交流展での全国の中小企業出展ゾーンの設置や各地に赴いての技術交流、商談会の開催により販路拡大を図っておりますほか、産業技術研究センターと他県事業者によるロボット技術の共同研究や事業化にも取り組んでおります。
 また、外国人旅行者の誘致に向け、東北や九州地域など被災地を初め、日本各地と東京を結ぶ観光ルートを設置しており、今後、新たなルートの設定を検討いたします。
 さらに、二〇一九年のラグビーワールドカップの開催各都市と連携した観光プロモーションの実施をあわせて検討してまいります。
 こうした取り組みにより、東京と日本全体の産業の活性化につなげてまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、東部低地帯における河川の整備についてでございますが、この地域に住む三百万都民の命と暮らしを水害から守るためには、長期間かけて整備し、おおむね完成いたしました堤防や水門等のストックを永続的に生かしていくことが重要でございます。
 本年十月の台風二十一号では、昭和二十四年に甚大な浸水被害をもたらしましたキティ台風と同程度の高潮が発生しましたが、既存ストックが効果を発揮し浸水被害を防ぎました。
 現在、想定される最大級の地震に対応するため、耐震、耐水対策を推進しておりまして、平成二十九年度までに対策が必要な堤防の約六割となる四十八キロメートルと水門等施設の約九割となる二十一施設を事業化することとなります。
 引き続き、着実に整備を進めまして、防潮堤や水門などを三十一年度、水門より内側の護岸を三十三年度までに完了させます。
 今後とも、耐震、耐水対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、葛飾区内の都市計画道路、三路線の取り組み状況についてでございますが、補助第一三八号線は、中川に新たな橋梁を整備することで地域間の連携強化と防災性の向上を図る重要な路線でございます。現在、地形測量と交通量調査を行っておりまして、今後、橋梁本体等の構造や区道との接続等の検討を進めてまいります。
 補助第一四三号線は、柴又地域の交通を円滑化し、無電柱化等による景観形成など、観光振興に資する路線でございます。現在、道路概略設計により帝釈天付近の交通処理を検討しておりまして、年度内に説明会を開催し測量に着手いたします。
 補助第二七七号線は、安全で快適な歩行者空間の確保に加えまして、防災拠点である都立水元公園への避難路となる路線であり、今年度、道路概略設計に着手いたしました。
 引き続き、地元区や関係機関と調整を図りまして、三路線の早期事業化を目指し積極的に取り組んでまいります。
 最後に、京成本線の京成高砂駅から江戸川駅間の鉄道立体化についてでございますが、本区間には、あかずの踏切二カ所を含む十カ所の踏切があるほか、補助第一四三号線など都市計画道路が三カ所で交差することとなり、鉄道立体化による踏切解消が必要でございます。
 このため、都は、連続立体交差事業の事業候補区間に位置づけまして、事業範囲や構造形式などの検討を進めてまいりました。
 本区間の鉄道立体化には、京成高砂駅付近にある約四・三ヘクタールの車両基地の取り扱いが課題となっておりまして、現在、高砂団地の建てかえで創出されました用地を活用し、車両基地を移転する案について検討しております。
 引き続き、地元区や鉄道事業者と連携いたしまして、鉄道立体化に向け、積極的に取り組んでまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 二〇二〇年東京大会に向けた花の都プロジェクトの展開についてでございますが、本年度は、葛飾区、台東区と連携して、それぞれプロジェクトを実施し、区民や地元事業者等の協力を得ながら、夏に駅前等を花で飾る取り組みを行い、多くの方が花の観賞に訪れるなど、地域のにぎわい創出や来訪者へのおもてなし機運の醸成につなげることができました。
 そこで、来年一月に区市町村を対象としたシンポジウムを開催し、こうした取り組み成果について情報提供をしてまいります。
 また、暑さに強い花の種類や維持管理のポイントなどについて専門家の協力を得て助言を行うなど、夏に花を飾る際の課題を解決するための技術的な支援を行い、二〇二〇年に向けて都内各地に花と緑でおもてなしをする取り組みを広げてまいります。

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