平成二十九年東京都議会会議録第十九号

○副議長(長橋桂一君) 百二十一番鈴木章浩君。
〔百二十一番鈴木章浩君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○百二十一番(鈴木章浩君) 平成二十九年第四回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 初めに、十月六日、名誉都民岸本忠雄様、また十月二十四日、小宮康孝様がご逝去なされました。ここに生前のご功績に対し、謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 さて、今定例会は、所信表明の冒頭、知事は、都政投げ出しとの批判のある十月の国政進出について、みずからの行動により、多くの皆様にご困惑、ご心配をおかけした、みずからを厳しく省み、今後とも都政に専念したい旨の謝罪の言葉を述べられました。
 論語の中に、過ちてはすなわち改むるにはばかることなかれとの故事がありますが、その本質は、真心と誠実さを持っていかに事と向き合うかであり、つまり、今後知事がどう都政に向き合うかが問われております。
 私たち都議会自由民主党は、これからも二元代表制の議会において、小池都政に協力すべきは協力をし、責任ある都政を前に進めるための努力を惜しむものではありません。
 今後は、知事みずからの言葉で語られましたように、みずからを厳しく省み、都政に専念していただけるよう、心からご期待申し上げます。
 ところで、都政は、所信表明でも触れられましたように、喫緊の課題が山積しており、大きな困難に直面しております。その困難は、この一年の知事の思いつきによるものであり、東京の未来に大きな影を落とすのではと心配の声が寄せられております。
 豊洲移転、築地再開発の問題、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の準備、子育て対策、高齢化対策等、どの問題に対しても解決の道筋が示されておりません。そのような状況にもかかわらず、知事は、多くの不安の声をよそに、希望の党なる一つの政党を立ち上げ、代表として国政進出を決められました。
 当時、知事は、都政を進めるために国政への関与が必要と決断の理由を述べられておりました。そして、東京都の知事でありながら、選挙戦の中で徹底した政権批判を繰り返し、国政への対決姿勢を鮮明にされたのです。
 その結果、知事は、排除しますに象徴されますように、これまでのおごり高ぶった姿勢や言動、そして全てが未解決な都政丸投げという無責任さにより、衆議院選挙に大敗し、続く葛飾区議会議員選挙でも、みずからの党の候補者がことごとく敗北を喫するというものでありました。
 選挙は戦いであり、結果はさまざまでありますが、戦いに臨む信念、志は一つであると思います。事前の党設立の協議をリセットしてまで強い思いでみずから立ち上げ、代表として臨まれた国政進出を、設立者責任を果たしたとの説明により、唐突に国政から身を引き、都政に専念するとの方針は、党首を信じて投票された有権者を裏切る行為であるとともに、そもそもみずからの覚悟はいかにあり、何のための国政進出であったのか、大いに疑問が残るものであります。
 知事は政治家であり、強い信念のもとに行動されていると思います。ならば、今、謝罪とともに、政治家小池百合子氏の信念を都民に語るべきであり、その言葉がないのであれば、知事のおっしゃる都民ファーストは、余りにも空虚で、都民に対して本当に失礼なものであるといわざるを得ません。知事の誠意ある見解をお伺いいたします。
 東京都は、将来的に共有する膨大な地域活力を生かし、共同して広域的課題に積極的に取り組むことを目的とする九都県市首脳会議のメンバーであります。さらには、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の開催都市として、国や組織委員会だけでなく、各関係自治体との間で関係自治体等連絡協議会を設立し、オールジャパンで大会準備を加速していくための協力をお願いしております。オリンピック・パラリンピック大会はあくまでも自治事務であり、開催都市である東京都が中心となって関係機関に協力要請する立場にあります。
 知事は、パリにおける国際会議に出席のため、衆議院選挙の結果を待たずして東京を飛び立ちました。党の代表として無責任との指摘がある中、知事としてパリへ向かったのです。
 また、知事は、災害対策本部長でもありますが、そのころはあいにく、後に激甚災害に指定された台風二十一号が日本列島に接近したときであり、二〇二〇年大会の競技会場の一つである神奈川県江の島のヨットハーバーも被害に遭いました。副知事がお見舞いを伝えたとはいえ、知事は、九都県市首脳会議のお隣さんとして、また開催都市の長として、みずから直接行動することもできたのではないでしょうか。
 選挙後、関係自治体の知事から、都政に専念してほしいともいわれる中、知事みずからが、パリやシンガポールだけではなく、関係自治体からの信頼を得ていく必要があります。
 そこで改めて、関係自治体と今後どのように連携を進めていくのか、知事の見解をお伺いいたします。
 知事は、希望の党結党当初、基本理念を寛容な改革保守と説明され、イギリスの政治思想家エドマンド・バークの保守のための改革が政治信条であると述べられました。
 フランス革命の省察の中で、バークは、一人一人の人間の知恵などたかが知れており、その時代の思いつきで継続性を破壊してしまうことの危険性について警鐘を鳴らしました。
 また、モンテーニュは、人間に対し、うぬぼれは我々の持って生まれた病である、全ての被造物の中で最も惨めでもろいものといえば人間であるのに、それが同時に最も傲慢なのであると、モンテーニュ随想録で警句を発しております。
 知事はこれまでに、都政の積み重ね、継続性を全く無視し、みずからの直感という思いつきにより、都政を混乱させてきました。五輪会場の見直しでは、原案どおりの会場のまま、準備作業を半年おくらせました。さらに、正しい検討、手続により、市場業者のご理解とご協力をもって進めてきた豊洲移転を、十分な説明もないまま、突然独断で延期を決定し、いまだその混乱が続いております。
 また、築地再開発の方針決定のプロセスが全く不透明であり、知事みずからがブラックボックスといわれております。この件については、具体的に各特別委員会、常任委員会、議会で質疑されておりますが、小池知事みずからの明快な答弁も、新たな豊洲移転への安全宣言もなされておりません。
 さらに、豊洲市場の土地購入をめぐる住民訴訟で、東京都の被告代理人である弁護団が、当時知事だった石原慎太郎氏の責任はないとした都の方針を、トップダウンで見直し、都の基本的立場の変更に至る検討経過の説明がないまま、新たな弁護団に着手金一千五十万円、解任した旧弁護団に九百万円が支払われました。新弁護団からは、もとの方針のとおり、石原氏の責任は追及せず、東京地裁に判断を委ねると表明がなされました。
 知事からは、この件について、豊洲の土地の扱いは不透明なところが多かったが、新弁護団が解明したと談話を出されましたが、そもそも元知事の責任を問うか否かは、決めるのは小池知事であり、被告代理人である弁護団に白紙で委ねたことは小池知事の不作為であり、差しかえの弁護士費用は不適切な税金の支出に当たります。また、そのようなことまでして一体何が解明されたのか、全く説明されておらず、何の根拠もなく、みずからの思い込みで公金を使って白紙委任してまで元知事の責任を問おうとした事実は、大変罪深いものといえます。
 モンテーニュは、本当に改革すべきは、保守し、維持する中から見えてくると述べられております。特に民主主義は、意思決定プロセスを明らかにすることが何よりも大切です。
 そこで、知事の掲げた基本理念である寛容な改革保守とは一体どのようなものか、お伺いいたします。
 次に、税制改革についてお伺いいたします。
 現在、国において、平成三十年度税制改正に向け、地方消費税の清算基準の見直しに関する議論が進められています。この見直しは、東京を初めとする都市部の税収を奪い取ろうと企図されたものであり、実際に改正がなされれば、都民生活を支える行財政運営に甚大な影響が発生することになります。
 こうした状況に対する強い危機感から、都議会自由民主党は、自由民主党東京都支部連合会と連携しながら、宮沢洋一自由民主党税制調査会長に対し直接働きかけを行うなど、都民生活を支える貴重な財源を守るため、さまざまな要請活動を行い、汗を流しております。
 ところが、こうした要請活動を実施する中で、多くの国会議員から耳にするのが、東京都は税が余っているのではないかという意見であります。
 さきの衆議院選挙で知事が、消費税増税は凍結と繰り返し発言したことに鑑みれば、こうした発言がもたらされるのは当然の帰結ともいえ、都民生活を守るはずの知事が、都民生活を脅かす都税の減収を後押しする誤解を生んでいるという現実は、都民にとって不幸以外の何物でもありません。
 現在、財務省を初め国は、都政運営が盤石でない今こそ、都からさらなる財源を奪い取る絶対の好機と捉えております。
 これまで、国による不合理な税制度の改正により、都は二・二兆円もの巨額の財源を奪われてきており、今般の地方消費税の清算基準の見直しが実施されれば、都は毎年五百億円以上、区市町村も毎年五百億円以上の財源をさらに失うこととなり、今後の行財政運営に大きな影響を与えることとなります。
 こうした苦境を招いたのは、希望の党代表として自家撞着ともいえる発言や、知事の都政軽視の姿勢であり、それらが東京都だけでなく、区市町村へも大きな影響を及ぼしているという事実を重く受けとめるとともに、猛省していただきたいと思います。
 今まさに地方消費税の清算基準の見直しをめぐる議論は大詰めを迎えています。これまで行われてきた税制度の不合理な見直しに加え、さらに巨額の財源が奪われようとする中、知事はこの課題についてどのように考えているのか、所見をお伺いいたします。
 次に、商業地に対する固定資産税及び都市計画税についてお伺いいたします。
 来年度は、三年に一度の評価替えの年度となっており、前回の評価替えから平成二十九年までに、二十三区商業地の時価公示価格は一四・三%の増と大きく上昇しております。
 膨大な財政需要を抱える都としては、税収確保の観点から見れば望ましいことともいえますが、古くから事業を営んでいる中小企業にとっては、時価上昇で税負担が重くなるばかりで、必ずしも売り上げ増にはつながらず、今でも苦しい経営状況がさらに厳しくなることを心配している方々も少なくありません。
 こうした状況の中、都は、小規模非住宅用地に対する減税措置や負担水準の上限引き下げなどの二つの条例減額制度により、総額三百億円もの軽減を独自に行っており、特に時価の高い二十三区では必要不可欠なものとなっております。
 しかし、法律を根拠に実施する二つの条例減額制度は、適用期限が今年度末になっており、現在、国の与党税制調査会で、今後の取り扱いについて議論されております。
 都独自の軽減措置の継続については、毎年、都議会自由民主党が予算要望を行っていることに加え、都議会としても全会一致で決議を行ってきており、継続されない場合には、特に多くの中小企業の経営に大きな打撃を与え、ひいては地域の活性化にも支障を生じさせかねないものであります。
 そこで、商業地における固定資産税等の税金のあり方について、都の見解を求めます。
 さて、東京対地方という対立ではなく、今必要なのは、日本全体の発展を目指す真の地方創生を実現するため、東京と地方の共存共栄を図ることであります。
 さまざまな現場を持つ東京都は、その知識、ノウハウを惜しみなく提供することで、他の地域における多様な行政課題の解決に貢献することが可能であり、また、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を確実に成功に導くためには、東京都がみずからの強みを提供するだけでなく、東京都が全国各地の力に支えてもらうことも必要です。
 共存共栄は、東京と地方が互いの強みを提供し合い、強固な信頼関係を構築していく中で育まれるものであり、そのためには、まず、都みずからが他の地域の懐に飛び込んでいき、胸襟を開いた議論や話し合いを行うことで、志を一にすることが肝要であります。
 そして、こうした取り組みを先導することこそ首都東京に求められる役割であり、税をめぐる議論においても、地方全体の財源不足の解消につながらない地方間での財源の取り合いではなく、地方が一丸となって、国から地方への税源移譲を求め、役割に見合う地方税財源の拡充を図ることにつながるものと考えます。
 平成二十八年第一回定例会において、我々都議会自由民主党が、東京と地方の共存共栄を掲げる東京都版総合戦略を策定した政策企画局に対し、みずから汗をかき、他の地域とのつながりを強めていくことについて見解をただしたところ、当時、政策企画局長は、全庁的な視点から政策を展開する政策企画局においても、今後、直接他の地域を訪問し、幅広く政策全般にわたり胸襟を開いて意見交換を行うなど、共存共栄の取り組みを着実に進めていくとの答弁を行っております。
 しかし、この取り組みは遅々として進まず、東京対地方の構図は変わっておりません。ぜひ有言実行を果たしていただくべきであり、今後の対応をお伺いいたします。
 次に、入札契約制度改革については、本年六月より一方的に試行を開始し、業界の大きな混乱をもたらし、特に中小企業からは悲痛な声が聞こえてきます。こうした現実を直視しなければなりません。一月に建設業界とのヒアリングを実施すると聞いておりますが、早期に実情を聞き届け、間違った制度変更であったと認識すべきであります。
 公共事業においては、競争性や透明性、品質確保等を担保することは当然でありますが、都内中小企業育成という観点をあわせ持つこともまた、都の責務であると考えます。問題が多い変更は速やかにもとに戻し、委託契約における最低制限価格の設定など、新たに進むべき他の改革こそ着手すべきであると考えます。このことを改めて知事に求めておきます。
 次に、豊洲市場についてお伺いいたします。
 我々都議会自由民主党は、豊洲市場は現在においても安全な市場だと考えております。豊洲市場の地下水は、飲むものでもなければ、使うわけでもありません。
 また、築地市場よりも厚いコンクリートで覆われており、地下と地上を遮断することで、市場の機能をつかさどり、地元住民を初め、都民が憩いの場として利用する屋上庭園を含む地上部分は安全である、このことは科学的にはっきりしております。安全と安心をむやみに混同した結果が、不安を助長したのであります。
 そのような状況にもかかわらず、安全性に懸念があるとして移転を延期し、この間、マイナスイメージを拡散させ、危険で不安な市場であることを印象づけ、築地市場の関係者の分断と混乱を助長してきたのは、知事自身であります。
 築地市場協会は、知事の安全宣言を速やかに発信するよう要望しております。これに先立って、地元住民からも、知事自身、直接安全宣言を求められたとの報道に接しました。移転する側も、それを受け入れる側も、知事の安全宣言を求めているのです。これは、移転を決断した知事の責任であります。
 知事は、速やかにかつ明確に安全宣言を行い、風評被害の払拭に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 豊洲市場の移転、開場日が決まらずにいます。来年の十月中旬という時期は、市場関係者のご努力によって合意されましたが、具体的な開場日の設定を予定していた新市場建設協議会が直前に中止となったまま、既に十二月を迎えております。
 築地市場の豊洲市場への移転、開場日は、全国の生鮮食料品の流通に影響を及ぼすだけでなく、トラック輸送も集中し、車両ばかりか、都心の道路交通にも多大な影響が出るのは必定です。引っ越し準備や民間事業者、関連する公的機関との調整のためにも、十分な期間が必要です。それが、早期の移転、開場日の決定が求められるゆえんであります。
 知事は、開場日の決定には、現時点でどのような環境整備が必要だと考えていらっしゃるのか、所見をお伺いいたします。
 次に、千客万来施設についてお伺いいたします。
 豊洲市場の移転、開場には受け入れ自治体の理解が不可欠であることはいうまでもありません。
 都は、千客万来施設を、公募を経て、現在の事業者を選定しました。その事業者が開設準備を進めていたやさきの六月二十日、知事は築地に食のテーマパークを設置する方針を公表し、事業者の事業計画に悪影響と不安を与え、千客万来施設の建設は暗礁に乗り上げております。
 一方、江東区は、都のにぎわい施設設置の約束の再確認と進展を求めております。これは、都と江東区、行政と行政とが実現に向けて合意したものであり、都が誠実に取り組むべきものであります。
 知事は、みずから豊洲市場の受け入れ自治体である江東区に足を運び、今後の見通しを丁寧に説明すべきであると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 なお、今夏の第二回臨時会で成立した補正予算に基づいて、豊洲市場の安全性を向上させるため、現在、九件の追加対策工事が発注されております。
 しかし、豊洲市場の追加対策工事で入札不調が相次ぎ、契約が成立したのはわずか二件にとどまっております。
 こうした中、都は入札を断念し、特命随意契約に切りかえる検討を進めているとの報道に接しました。かつて豊洲市場整備工事の契約で、一者入札や特命随意契約をあれだけ批判していた知事が、結局同じ道をたどることは、まことに皮肉といわざるを得ません。
 先ほども申し上げたとおり、入札制度改革の失敗は明白で、その悪影響は都政全体に広がりかねないことを申し述べておきます。
 次に、環境、エネルギー施策についてお伺いいたします。
 まず、原発ゼロに向けた取り組みについてお伺いいたします。
 都は、昨年三月に改定した環境基本計画において、二〇三〇年までに温室効果ガスを二〇〇〇年度比で三〇%削減する目標を設定しております。
 この目標は我が国の水準を上回り、国や他都市をリードする意欲的なものであると評価しております。目標における二〇三〇年の電源構成は、国が二〇一五年七月に発表した政府の長期エネルギー需給見通しをベースとしているため、原子力による発電を二二から二〇%程度想定しております。
 知事は、さきの衆議院選挙において、二〇三〇年までに原発ゼロを目指すという方針を掲げました。都が発表している政策目標と矛盾が生じていると思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、東京ゼロカーボンデーの取り組みについてお伺いいたします。
 パリ協定の目標実現のため、有効なCO2削減策を講じていく必要があります。
 都は、石原都政の時代から先駆的に気候変動対策に取り組み、我が党を含む全会一致の賛成による条例改正を経て、二〇一〇年から世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度を開始いたしました。
 都は先般、この制度の成果である超過削減クレジットでオフセットを行い、オリンピック開会式、閉会式の四日間をゼロカーボンデーにする取り組みを発表しました。
 オフセットは、国際的なスポーツ大会や伊勢志摩サミットなどでも取り組まれております。
 しかし、今回の都の取り組みは、都内の大企業が努力して削減したCO2を、寄附により移転して埋め合わせるものであります。
 こうした取り組みは、企業の努力を評価し、協力をいただくというスタンスで施策展開すべきであって、企業の意向も確認せず、しかも国内ではなく、海外でいきなり発表するものではありません。
 当該取り組みを進めるに当たって、都は今後どのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、家庭におけるLED省エネムーブメントについてお伺いいたします。
 家庭部門における二〇一五年度のエネルギー消費量は、二〇〇〇年度と比べると、世帯数が増加していることなどから二・五%の減少にとどまっており、その対策が必要です。
 本年七月から実施している白熱電球とLED電球の交換事業は、家庭の電力消費量を減らすことに有効であります。しかし、目標個数百万個に対して、実績は事業開始から約四カ月で十四万六千個程度となっております。
 知事の思いつきとパフォーマンスにより、地域の家電店への周知不足に加え、都民が交換しにくい取り扱いになっているからではないでしょうか。
 私のもとには、都の取り扱いがころころ変わってよくわからない、電球型蛍光灯を間違えて持ってくる方もいるといった、まちの電気屋さんからの声がある一方、平日昼間しか営業していないので交換に行けないといった都民からの声も多く寄せられております。
 タレントを起用した派手な広報だけでなく、地域家電店へのきめ細かい配慮や地域住民に対する事業の周知が極めて重要であります。都は、目標個数百万個達成のため、今後どのように進めていくのかをお伺いいたします。
 次に、都市づくりについてお伺いいたします。
 まず、東京の新たな土地利用の展開についてお伺いします。
 二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック大会が開催されます。このチャンスを最大限に生かして、次の時代も輝き続ける世界一の都市東京をつくり上げなくてはなりません。
 我が党はかねてより、二〇二〇年は通過点であり、日本の再生とそれを牽引する東京の再起動を目指して、先を見据えて取り組みを進め、東京が力強い経済で日本をリードしていく必要があることを訴えてきました。
 東京が持続的に発展していくためには、世界中の誰もが憧れ、希望と活力があふれる成熟した都市としていくことが必要不可欠であります。
 このため、都は、本年九月に都市づくりのグランドデザインを公表し、二〇四〇年代の都市像とその実現方策を示しました。
 今後は、その将来像の実現に向けて、東京の土地利用を適切に誘導していくことが重要であると考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、コンクリート塊の有効利用についてお伺いいたします。
 東京の都市づくりにおいて、建築物等を着実に更新していくためには、解体により大量に発生するコンクリート塊を貴重な資源として活用していくことが課題となります。
 コンクリート塊については、これまで再生砕石として、主に道路の路盤材を中心に活用されておりますが、東京都は今年度より、道路路盤材以外の用途拡大や、民間団体等が定めた品質基準を東京都が認証する制度も創設され、ことしの十月には初の認証に至っているところであります。
 このように、再生砕石の利用は進んでいるものの、一方でコンクリート材の骨材として利用する再生骨材コンクリートについては、供給エリアが都内の一部区域に限られていることもあり進んでおりません。
 そこで、コンクリート塊のさらなる有効活用として、再生骨材コンクリートの利用拡大に向けた今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、羽田空港の機能強化についてお伺いいたします。
 国は、二〇二〇年までに三・九万回の国際線増便に向け、新たな飛行経路の導入など、羽田空港の機能強化に向けた取り組みを進めています。
 本年十月に発表された都市競争力ランキングにおいて、東京は昨年に引き続き世界第三位となっており、中でもことしは、海外からの訪問客や、国際線直行便就航都市数の増加により、課題であった交通、アクセスの順位が十一位から六位に上昇。本年十一月には、日本を訪れる外国人旅行者数は、昨年の二千四百四万人を突破し、今後もますます旅行者数の伸びが期待されます。
 都心から近く、二十四時間オープンしているという強みを持つ羽田空港の国際線が増便すると、企業誘致、投資にも追い風となり、東京や我が国の国際競争力の向上に大きく寄与し、さらなる国際競争力強化には、日本の玄関口である羽田空港の機能強化は重要であると考えます。
 一方、本年九月には、成田空港周辺や大阪で航空機のパネルが落下するなど、住民を不安に陥れる事態が発生しました。
 国は、羽田空港の機能強化について、本年十一月から来年二月にかけて住民説明会を開催しており、地元からは、特に落下物について心配する声が上がっております。
 羽田空港での航空機からの落下物対策について、国はどのように取り組んでいくのか、また都の今後の取り組みについて、所見をお伺いいたします。
 次に、東京都営住宅条例についてお伺いいたします。
 都の六十五歳以上の高齢者率は、右肩上がりで上昇の一途をたどっており、あらゆる場面で高齢者が安心して生活できる環境を整えていくことは、何よりも重要であります。
 国の研究によると、六十五歳以上の高齢者の約一五%が生活上の課題を持つ認知症だといわれており、特に高齢化が進んでいる都営住宅において、その対応は急務であります。
 今定例会には、都営住宅に居住する認知症患者等の収入報告義務を緩和することができる条例改正案が提案されておりますが、この条例改正の意義と都営住宅における取り組みについてお伺いいたします。
 次に、防災対策についてお伺いいたします。
 まず、発災時における緊急輸送ルート確保に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 首都直下地震等の大規模災害時には、救出救助、支援物資輸送など、応急対策活動の迅速な実施が必要とされます。
 そのためには、輸送経路のかなめとなる緊急輸送ルートを、陸路、水上経路などを活用して早期に確保していくことが重要と考えます。
 都は、平成二十八年三月に、発災時における緊急輸送ルート確保に向けた基本方針を策定しました。しかし、大規模災害の発生時における緊急輸送ルートの迅速で円滑な確保には至っておりません。
 今後、都はどのようにして取り組んでいくおつもりか、お伺いいたします。
 次に、土砂災害対策についてお伺いいたします。
 毎年のように、全国各地で豪雨による災害が発生しております。ことしの七月には、九州北部豪雨により甚大な被害が発生し、都内では、平成二十五年に伊豆大島において、台風二十六号の影響による大島町観測史上最大の豪雨で大規模な土砂災害が発生し、甚大な被害を及ぼしました。
 本年十月の台風二十一号では、幸い人的被害はなかったものの、都内において十カ所を超える土砂災害が発生しました。
 都には、多摩・島しょ地域など急峻な地形を中心に、土石流や崖崩れ、地すべりといった土砂災害のおそれのある箇所が、約一万五千カ所存在していると聞いております。
 台風や集中豪雨などによる土砂災害から都民やその生活基盤を守るため、ソフト、ハード両面で土砂災害対策を推進することが求められます。
 今後、都ではどのように土砂災害対策に取り組むおつもりか、見解をお伺いいたします。
 次に、中小企業振興、産業政策についてお伺いいたします。
 我が国の経済は緩やかな回復を続けていますが、中小企業経営者の方々の肉声から浮かび上がってくるのは、これとは裏腹な経済の実像です。
 とりわけ、都内中小企業の八割以上を占める小零細の事業者は、その多くが人手不足や後継者の不在など厳しい課題に直面しております。
 しかしながら、こうした小零細事業者こそが、地域の経済と雇用を支えている存在であります。地道で愚直かもしれませんが、誇りを胸に、お客様のため誠心誠意頑張られております。
 その経営の安定と発展を後押しすることなくして、実感のある景気回復も、都内GDP百二十兆円の達成もなし得ません。この現実から逃げず対処していく、それがまず第一になすべきことだと考えます。
 小零細企業の実態を踏まえ、地に足のついた施策展開が求められると思いますが、見解をお伺いいたします。
 安倍総理は、さきの国会演説において、これからの三年間を、生産性革命、集中投資期間と位置づけ、人手不足に悩む小規模事業者に積極的な投資を促すと表明しました。その切り札として、人工知能、ロボットやIoTなど、新時代の技術が重要な役割を担うことはいうまでもありません。
 問題は、これらを、国内大手企業や海外企業の競合におくれをとることなく、中小企業にどう浸透させていくかであります。行政による支援の強化はもちろん、協同組合等の団体の主導で業界各社が歩調を合わせ、技術導入を目指してともに取り組むなど、生産性革命を産業全体に広げる視点が重要です。
 こうした先進の技術や設備の普及を促す支援のあり方が課題となっておりますが、見解をお伺いいたします。
 次に、障害者雇用についてお伺いいたします。
 障害者が地域で自立した生活を送る上で、働く機会の確保は重要であります。
 来年四月には、精神障害者が雇用義務の対象に加わり、民間企業の法定雇用率が二・〇%から二・二%に引き上げられます。
 また、障害者を雇用しなければならない企業の範囲が、従業員五十人以上から四十五・五人以上に広がるなど、企業においてもさらなる取り組みが求められることになります。
 近年、精神障害者の雇用者数は大きく伸びており、今回の雇用義務化に伴って、今後新たに精神障害者を雇い入れる企業もふえると考えられますが、一方で、初めて障害者を雇用する企業の現場からは、経験やノウハウの不足による不安の声も多く聞こえてまいります。
 こうした中、中小企業における障害者雇用の促進に向けて、都として支援の充実を図るべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、東京ブランドの発信についてお伺いいたします。
 海外からの旅行者誘致に際しては、東京の持つ魅力をわかりやすく発信していくことが何よりも大切です。
 都では、一昨年の十月に、&TOKYOを作成し、民間事業者へ利用を働きかけるなど、東京ブランドの浸透に取り組み、企業や各種団体などと協議したPRは、都内でも広がりを見せてまいりました。
 また、本年四月には、新たに海外PR用のアイコンとしてTokyo Tokyoを作成し、映像やポスター等も活用したプロモーションを開始しましたが、一方で、&TOKYOの取り組みが大変停滞しているようにも見受けられます。大切なのは、この二つのアイコンをどのように広めていくかという都全体の戦略を立て、意思統一を図ることが必要です。
 現在、都職員の中でも戸惑いがあるようでは、広く普及しないのも無理はありません。前知事との違いを出すためのアイコンであれば、都民を惑わすだけであり、無駄遣いともいえます。
 今後、都は、旅行地としての東京の魅力を国内外にどのように効果的に発信していくおつもりか、知事の見解をお伺いいたします。
 日本を訪れる外国人旅行者数は、ことし二千八百万人に上るとの見込みが報じられ、そのうち東京都では一千三百十万人となったものの、都内での消費額は横ばいにとどまっております。
 観光を将来の発展を支える成長産業へと育て上げていくためには、旅行者の消費をしっかりと取り込み、都内の各地域に活力を生み出していかなければなりません。
 東京二〇二〇大会が近づくにつれ、観光の面でも、海外からの多くの関心が寄せられています。アメリカの富裕層向けの旅行雑誌、コンデ・ナスト・トラベラーにおいて、東京が世界の中で最も魅力的な都市に二年連続で選出されるなど、観光都市として存在感はますます高まっております。
 こうした国際的な注目度を最大限に生かしながら、インバウンド消費の増加に結びつけていくために、富裕な旅行者層の誘致に積極的に取り組むべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、全国育樹祭を契機とした森林整備、林業振興についてお伺いいたします。
 平成八年に全国植樹祭が開催され、天皇皇后両陛下によるお手植えが行われてから約二十年となる来年秋に、全国育樹祭がここ東京で初めて開催されます。
 育樹祭に先立って行われた植樹祭は、戦後、荒廃していた森林の再生を図るために開始されたものであり、昭和二十三年に東京都青梅市で両陛下がお手植えされた愛林日植樹行事がその前身であります。
 植樹祭と育樹祭は、このような歴史的経緯から見て、東京にとって大変ゆかりのある行事でもあります。皇族殿下のご臨席を仰ぎ、全国から多くの林業関係者が出席して開催される全国育樹祭は、都民に森林整備の重要性や、東京の地域材である多摩産材をアピールする好機であり、都内の関係者も、育樹祭の開催を通じた林業、木材産業の活性化に大きな期待を寄せております。
 また、戦後の日本の復興に向けた建設需要に対し、木材が果たしてきた貢献に改めて思いをはせ、木材の大消費地である東京から、木を使うことの大切さを全国に発信することは、大きな意味があると考えます。
 都は、育樹祭の開催を契機として、そのレガシーともなる東京の林業振興と多摩産材のさらなる利用拡大を図る取り組みを強力に進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、福祉、医療政策についてお伺いいたします。
 まず、東京都保健医療計画についてお伺いいたします。
 急速な高齢化の進行や医療技術の進歩、都民の意識の変化など、医療を取り巻く環境は大きく変化しており、こうした状況に適切に対応して、誰もが、病気になっても安心して必要な医療を受けられるようにすることが必要です。
 そのため、患者の増加が続くがん、糖尿病などの疾病や、救急、周産期、小児、在宅などの医療分野で、効率的な医療提供体制を構築するとともに、患者の療養生活の質の向上を図っていくことが求められます。
 来年は、医療計画と介護保険事業計画等の同時改定、診療報酬と介護報酬の同時改定が行われ、今後の医療、介護施策を進めていく上で非常に重要な節目の年となります。東京においても、将来にわたって医療提供体制を維持発展させていくためには、こうした状況を踏まえて、今後の保健医療施策の方向性を明らかにすることが必要であると考えます。
 現在、東京都の保健医療施策の基本的かつ総合的な計画である保健医療計画の改定作業が進められており、昨年七月に策定した地域医療構想を一体化すると聞いておりますが、次期計画の基本的な考え方についてお伺いいたします。
 次に、認証保育所に対する支援についてお伺いいたします。
 我が党が、平成十三年度制度創設以来、一貫して支援している認証保育所は、大都市特有のニーズに対応しており、多くの都民の信頼を得ております。十三時間開所、直接契約といった特色を持ち、さまざまな独自のサービスを創意工夫しながら提供している認証保育所は、利用者の満足度も高く、第三者評価でも高い評価を得ております。
 この認証保育所においても、保育人材の不足は深刻な問題となっており、我が党にも、認証保育所を運営する事業者から、人材確保に苦慮しているとの声が多数寄せられております。
 都はこれまでも、認証保育所に対し、キャリアアップ補助や宿舎借り上げなどさまざまな支援を行ってきましたが、今後、さらに充実を図るべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、国民健康保険制度改革についてお伺いいたします。
 我が国では、国民皆保険制度を通じて、誰もが安心して医療を受けることができ、世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を実現してまいりました。中でも国民健康保険は、国民皆保険の基礎として、国民の健康を支える重要な役割を果たしております。
 しかし、現在の国保の被保険者は、非正規労働者や高齢者の占める割合が高くなっていることなどから、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律が成立し、来年四月から施行されます。新たな制度では、国が毎年三千四百億円の財政支援を行うとともに、都道府県が財政運営の責任主体となり、国保運営の中心的な役割を担い、制度の安定化を図ることとしております。
 都道府県は、保険給付に必要な費用の全額を区市町村に交付するとともに、区市町村が都道府県に納める納付金と、実際に保険料を決定する際に参考となる標準保険料率を、区市町村ごとに提示することとなっております。
 都道府県内の一律の基準で算定することにより、例えば医療費水準が高い自治体や所得水準が高い自治体では、標準保険料率が高くなる場合があります。
 制度変更に伴い、保険料が急激に増加する区市町村に対し、十分な経過措置が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、多摩地域の医療拠点についてお伺いいたします。
 多摩メディカルキャンパスは、子供から大人まで高次元の医療を提供しており、多摩地域の医療を推進するためには、多摩キャンパス総体の医療機能を向上させることが必要であるとの観点から、我が党は、がん医療の強化や難病医療センターの整備など、平成二十八年都議会一定や二十九年予特において、既に質疑を行ってまいりました。
 多摩地域の医療環境を見ると、区部に比べて、多摩地域では高齢化が急速に進行し、患者の増加が見込まれております。
 また、大学病院の特定機能病院は、都内で十五医療機関あるのに、多摩地域では一医療機関しかないなど、多摩キャンパスの地域の医療拠点としての役割に対する期待は大きいものがあります。
 一方、団塊の世代が後期高齢者になる平成三十七年を目指し、地域の医療ニーズに対応した医療提供体制に移行する変動期にあります。
 このような状況の中で、地域で安心して住民が生活できる地域包括ケアシステムを実現するためには、今後の医療の方向性ともいえる地域を支えることも、都立病院の重要な役割であると考えます。
 先月公表された多摩メディカルキャンパス整備基本構想案においても、新たなキャンパスの役割の一つとして、地域医療支援の拠点が位置づけられております。
 また、地域移行を推進するためには、リハビリ医療も重要な要素であります。多摩キャンパスは、三病院で約一千六百床を有する都内最大級の医療集積群であり、多摩地域の医療拠点として、急性期医療を一層充実させるとともに、これまで蓄積してきた地域医療に貢献するためのノウハウや豊富な医療人材を活用して、将来の地域医療を見据えた先駆的なモデルを提示していくべきであると考えます。
 多摩キャンパスにおいて、今後どのように地域医療を支援していくのか、見解をお伺いいたします。
 最後に、教育政策における子供の自殺予防のための取り組みについてお伺いいたします。
 本年十月に発覚した神奈川県座間市の事件の報道によると、容疑者は、ネット上に自殺をほのめかす投稿をしている若者を家に招き入れていたとされております。被害者の心の叫びにつけ込んで殺害するという卑劣な行為に、強い憤りを感じます。
 我が党はこれまで、いじめなどさまざまな悩みや不安を抱えている子供たちが、身近な大人に助けを求め、周囲の大人が早期に察知し、対応できるようにする対策を、社会全体で講じていくことが必要であると訴えてまいりました。
 また、本年七月に閣議決定された自殺総合対策大綱には、さまざまな困難やストレスへの対処方法を身につける教育の推進などが明記されたところです。
 大切なことは、まだまだ弱く、もろい子供たちのとうとい命を守り、育んでいく取り組みを広げていくことであります。
 そこで、自殺予防に向けて、子供が抱える悩みや不安を受けとめ、子供にとってつらい状況を乗り越えることができるよう支援するための都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。
 小池知事の誕生により、都政が大変注目をされるようになったことは、都政にとってプラスなことと思います。だからこそ、思いつきでなく、今まで以上に政策決定プロセスの説明責任を果たしていくことが不可欠であり、政策の理念と取り組みを一致させ、結果に責任を持つことが求められます。そして、その取り組みました都政の評価は、後の都政史によってのみなされるのであります。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会まで千日を切り、さらに二〇一九年ラグビーワールドカップまで二年を切りました。
 私たち都議会自由民主党は、これからも都民の与党として、責任ある都政を前に進めるため、そして十年後、二十年後も輝きのある東京都のために、全力で取り組んでいくことをお誓い申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 鈴木章浩議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、政治家としての信念、これにつきましては、先日、所信表明でも申し述べさせていただきました。
 東京は今、かつてない困難に直面しております。こうした困難を突破していくためには、東京の大改革を加速して、これまでの延長線上ではない新たな都政を、力強く前へ進めていかなければなりません。
 そのためには、国政との連携はもとより、壁となる岩盤規制を取り除くなど、国にもスピード感あふれる改革を求めていくことが不可欠と考えます。
 今、我が国に求められるもの、それはスピード感であると考えます。そこで、国政の場に改革の同志をふやして、新しい政治の流れをつくっていくとの思いのもと、さきの総選挙におきまして国政に関与したものであります。
 私自身は、都知事として、大義と共感をベースに大胆な改革を進めて都政を磨いていく、そのことによって、日本全体のロールモデルとなる政治を進める、そのことが役割であると心得ております。
 一方、総選挙に当たりましては、私自身の行動によって、都議会の皆様、都民の皆様にご心配をおかけしたことも事実でございます。
 そこで、改めて都民ファーストの姿勢で、国政に東京、地方の声をしっかりと届けながら都政に邁進をしていく、このことに心を新たにしたところでございます。
 関係自治体との連携についてのご質問がございました。
 二〇二〇年大会を成功させるためには、競技会場が所在する関係自治体とも一丸となりまして開催に向けて取り組んでいくこと、これは重要でございます。
 そのため、関係自治体とともに既に作業チームを設置しており、大会準備を進めるための協議を重ねながら、きめ細かく対応してきたところでございます。
 現在は、輸送やセキュリティーなど具体的な準備に取り組む時期を迎えておりまして、実務的な課題に対して、それぞれの担当者同士が協力をしながら、その解決に向けて取り組んでいるところでございます。
 私自身も全国知事会、そして九都県市首脳会議などの場を通じまして、各知事等と直接意見交換を行っております。また、大会成功に向けて、関係自治体と連携をして取り組んでいるところでございます。
 今後とも、関係自治体とは一層緊密に連携しながら、大会を契機としたレガシーを残していけるように、残り千日を切った大会までの一日一日、大切に積み重ねていく所存でございます。
 寛容な改革保守の理念についてのご指摘がございました。
 ご指摘のように、イギリスの政治思想家、保守主義の父、エドマンド・バークは、保守のための改革は、何かを守るためには変えるべきところは変え、常に動き続けなければならないということを説いております。これは、私の政治家人生を貫く精神でもあり、そして、変えるべきところは大胆に変えていくためには、都民一人一人の声に耳を傾けて、幅広い意見をしっかり受けとめ、寛容さを備えるということも不可欠でございます。
 変えるべきは、しがらみに縛られることなく大胆に変え、守るべきはきめ細かに守っていく、それこそが寛容な改革保守の理念であると、このように考えております。
 国による不合理な税制の見直しについてのご指摘がございました。
 都はこれまで、不合理な税制度の見直しによって、平成元年度以降、五兆二千億円もの財源を国に奪われ、平成三十年度税制改正に向けて、地方消費税の清算基準の見直しで、東京など都市部の税収をさらに奪おうとする議論が進められているところでございます。
 今日の都政には、待機児童の解消、超高齢社会への対応、災害に強い都市づくりなど、直面する課題の解決に着実に取り組むなど、日本全体の持続的成長につながる施策を積極的に展開していくことが求められている。その中において、清算基準の見直しで、都は年間一千億を超える減収になるともいわれておりますが、これが実行されますれば、都民生活を大きく脅かしかねず、ひいては東京、日本の衰退にもつながることが懸念されます。都政を預かる者として強い懸念を抱いているのは同じでございます。
 今、真に必要なこと、それは地方間で限られた財源を奪い合うことではありません。地方税財源全体の充実、強化を図ることであります。
 こうした認識のもとで、私は七月の全国知事会議など、あらゆる機会を通じて都の主張を行うとともに、他の自治体とも連携しながら、地方税制度を所管する野田総務大臣、宮沢会長を初めとする自由民主党の税制調査会のメンバー、鴨下自民党都連会長など、東京都選出の国会議員の方々に対します要請活動を精力的に行ってまいりました。都の主張の正当性を繰り返しお訴えをしているところでございます。
 また、今回、都議会の皆様方からも、国の動きに反対する意見書を全会一致で可決していただくなど、多大なご尽力をいただいているところでございます。
 国における税制改正議論、まさに今、大詰めでございます。都議会のご協力いただきながら、最後まで都として強力に要請を行ってまいります。
 また、先ほども申し上げましたけれども、国は都から財源を奪い取ろうとするのではなくて、オールジャパンで二〇二〇年大会を成功させるために、パラリンピック同様、オリンピックに対する財政面での関与をもっと強めていくことを訴えてまいりたいと思います。
 豊洲市場の安全宣言についてのお尋ねがございました。
 豊洲市場用地は、専門家会議で、法的、科学的に安全であると確認され、このことはこれまでもお伝えをしてまいりました。加えて、専門家会議からは、豊洲市場のさらなる安全性の向上に向けて、将来のリスクに備え、必要な追加対策についてのご提言をいただいております。そして、そのためにも、追加対策工事を着実に進めることで、安全で安心な豊洲市場の実現を目指してまいります。
 こうした追加対策の取り組み状況に加えまして、空気、地下水の調査結果など、客観的なデータを専門家による評価とあわせまして公表し、市場見学会の開催など、風評被害の払拭に向けた対策を通じて、豊洲市場の安全・安心に関します都民の理解を促進してまいります。
 加えまして、農林水産大臣の認可手続といった開場に必要な行政手続を経た上で、しかるべき段階で、私みずから安全・安心について発信をしてまいります。
 豊洲市場の開場日につきましては、この決定に当たりましては、市場業界、そして受け入れ区である江東区の理解とご協力が必要であります。
 業界団体の皆様には、精力的に意見集約を行っていただき、先般の新市場建設協議会で、開場時期を来年十月の中旬とすることで合意をいただいております。この間のご尽力に改めて感謝を申し上げたく存じます。
 引き続き、追加対策工事を着実に実施するとともに、開場に向けたさまざまな準備などについて、業界と丁寧に調整を重ねてまいります。
 また、江東区に対しましては、にぎわいの場の整備に向けた事業者との調整や、風評被害払拭に向けた対策など、都の取り組み状況について説明し、ご理解を求めてまいります。
 できるだけ早期に新市場建設協議会を開催して、具体的な開場日を決定できるように、今後とも、関係者との調整を丁寧に進めてまいります。
 にぎわい施設の整備に係る江東区との調整についてのご質問でございます。
 千客万来施設事業は、築地特有のにぎわいを受け継ぎ、発展させるもので、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出して、地域のまちづくりや活性化に貢献する重要な事業と捉えております。
 豊洲市場の移転に当たりましては、江東区の理解と協力が不可欠でありますので、区が強く求めておられるにぎわいの場の整備に向けましては、しっかりと取り組んでまいります。
 都といたしましては、千客万来施設の事業者との調整を丁寧かつ誠実に行う、そして都の取り組み状況を区に説明して、理解を求めてまいります。
 これらの取り組みを一つ一つ積み重ねた上で、私自身が足を運ぶということも考えてまいります。
 今後の気候変動対策についてのご質問がございました。
 電源構成などのエネルギー政策のあり方につきましては、国レベルで議論、検討がなされるべきものでございます。ご指摘の原発ゼロは、国家としての理想、ビジョンでございます。都の政策目標は着実に進めるものと、このように考えております。
 都が定めました二〇三〇年におけます温室効果ガス削減目標は、二〇五〇年までの世界的な目標水準、電力の大消費地としての責務を踏まえて、バックキャスティングの考え方で設定をされたものであります。
 目標達成に向けた施策展開に当たりましては、電源構成のいかんにかかわらず、都民、事業者の協力を得ながら推進することが必要と考えます。
 このため、キャップ・アンド・トレード制度、エコハウスの普及等の省エネルギー対策とともに、太陽光発電などの再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を推進してまいります。加えまして、次世代自動車の普及、CO2フリー水素の先駆的な活用なども図ってまいります。
 今後とも、こうした重層的な取り組みを進めて、持続的に成長する環境先進都市の実現を目指してまいります。
 東京ブランドの発信についてのお尋ねがございました。
 東京が将来にわたって世界有数の観光都市へと成長していくためには、旅行地としての魅力を海外の人々が明確にイメージができるように効果的にPRしていくことは必要であります。
 東京は、伝統と革新が共存する世界でも類を見ない多様な宝物にあふれた都市であり、都はブランディング戦略を策定して、統一的なコンセプトのもとでこうした魅力の発信に努めてまいりました。
 &TOKYOにつきましては、有識者、デザイナーなどを交えました検討会で、外国人目線に欠けており、訴求力が弱いとのご指摘をいただき、投資と効果で検討したものでございます。
 このため、本年四月に、渋谷のスクランブル交差点を表現する落款を入れたアイコンとキャッチフレーズ、Tokyo Tokyo Old meets Newを作成しまして、伝統と革新というイメージを海外へ明確に伝えるために使用することといたしました。
 都庁各局のさまざまな施策におきまして目的に応じて効果的に活用して、東京の魅力を発信してまいります。
 その他の質問につきましては、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 子供の自殺予防のための取り組みについてでございますが、学校は、家庭や地域と一体となっていじめ等の悩みや不安を受けとめ、早期に対応する体制を確立するとともに、子供がみずから対処できる力を育むことが必要であります。
 そのため、都教育委員会は、学校の相談機能や関係機関と連携した支援体制の充実を図ってまいりました。また、本年度は、自殺対策の専門家を含めた委員会で、困難やストレスへの対処方法に関する指導のあり方を検討しております。
 今後、この検討を踏まえて作成するDVD教材を都内全公立学校で活用し、新たに、家族や教員に限らず信頼できる大人に助けを求めることの大切さを、小学校から高校までの発達段階に応じて保健の授業等で計画的に指導できるようにするなど、自殺総合対策大綱に示された学校における取り組みを全国に先駆け推進してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京の新たな土地利用の展開についてでございます。
 土地利用に関しては、都と区市町、都民の共通の尺度として方針等を事前に明示した上で、地域特性に応じた用途地域の見直しを行っていくことが効果的でございます。
 先般、都市づくりのグランドデザインを策定し、その中で示した新しい都市像や取り組みの方向性を踏まえて、土地利用の方針等を改定する必要がございます。
 例えば、国際競争力を強化するための都市開発諸制度を活用する区域を位置づけるとともに、緑を守り、ふやすための田園住居地域の指定の考え方などを明らかにしてまいります。
 来年早々には、東京の新たな土地利用のあり方について都市計画審議会に諮問し、その答申を踏まえ、用途地域に関する指定基準などの改定を行い、政策誘導による都市づくりを推進してまいります。
 次に、再生骨材コンクリートの利用拡大についてでございます。
 都市の更新により発生するコンクリート塊については、建設資材として再生砕石での利用に加えて、再生骨材コンクリートとしての利用も重要でございます。
 都は、環境物品等調達方針において、再生骨材コンクリートなどを環境負荷の少ない建設資材として位置づけ、公共工事での使用を推進してございます。
 今後、これらの建設資材について、施工業者がみずから積極的に採用した場合など、工事成績評定において、より的確に反映されるよう運用を図ってまいります。
 都の発注工事における使用実績を積み重ねていくことで、再生骨材コンクリートの利用拡大を図り、建設資材のリサイクルを推進してまいります。
 次に、航空機からの落下物対策についてでございます。
 羽田空港の機能強化に向けた飛行経路の見直しに当たって、都は国に対し、安全管理の徹底を求めてまいりました。
 現在、国は、職員みずから駐機中の航空機をチェックする新たな体制の構築や落下物の原因者である航空会社に対する処分の仕組みづくりなどを進めており、新飛行経路の運用開始までに実施するとしてございます。
 加えて国は、最近の落下物事案の発生を踏まえ、外国航空会社を含む全ての航空会社から部品欠落の報告を求める運用を十一月から開始してございます。また、航空会社が遵守すべき落下物防止対策基準を年度内を目途に策定する予定でございます。
 都は、引き続き国に対し、安全管理の徹底を図るとともに、地元へ丁寧に情報提供を行うよう要請してまいります。
 最後に、都営住宅条例の改正についてでございます。
 居住者の高齢化が進む都営住宅においては、高齢者世帯の生活をサポートするため、巡回管理人が定期的に訪問し、日常的な相談を受けるほか、各種申請書類の取り次ぎなどを行ってございます。
 今回の条例改正は、認知症患者等の入居者が収入報告をすることが難しいケースにおいて、都がみずから区市町村の課税台帳を閲覧することなどによって収入を把握し、家賃を決定することができるようにするものでございます。これによって、認知症患者等の入居者の負担軽減が図られるものと考えてございます。
 制度の開始に当たっては、全入居者に配布している広報紙によりPRを行うほか、巡回管理人による定期訪問の際に説明するなど、積極的に周知を行ってまいります。
〔主税局長目黒克昭君登壇〕

○主税局長(目黒克昭君) 商業地における税負担のあり方についてでありますが、特別区の固定資産税評価額は全国と比較して極めて高い水準となっており、中小企業を初めとした事業者等の負担感を考慮することも重要でございます。
 このため、特別区において、小規模非住宅用地に対する都独自の減免措置に加え、法に基づく二つの条例減額制度を実施することにより、負担の軽減を図っております。
 これらの措置に係る来年度の取り扱いにつきましては、都の財政状況等を踏まえ、今後検討してまいりますが、その際には、地価動向を踏まえた都民の税負担感や各種団体の要望等にも十分に配慮する必要があると考えております。
 なお、自治体独自の判断により税負担の緩和等が可能となる条例減額制度は、今年度末に法の適用期限を迎えるため、都は国に対し、既にその継続を強く要望してございます。
〔政策企画局長遠藤雅彦君登壇〕

○政策企画局長(遠藤雅彦君) 他の地域とのつながりの強化についてでございますが、東京都総合戦略で掲げた東京と地方の共存共栄を推進するには、各道府県の実情を把握し、強固な連携、共同関係を構築することが重要でございます。
 こうした認識のもと、改めて、今後は私自身も含め、全庁的な視点で政策を推進する立場から、残された道府県を訪問いたします。
 そこで、税財源を含む国と地方の役割分担を初めとして、二〇二〇年東京大会やラグビーワールドカップ二〇一九の成功に向けた取り組み、地震や水害など大規模災害への備え、さらには既に地方で顕在化している人口減少問題への対応など、政策全般にわたって率直な意見交換を行ってまいります。
 また、各道府県の実情を真摯に伺い、都としての連携策を検討してまいります。
 こうした積み重ねにより、東京と地方がともに栄える真の地方創生につながる関係を深化させてまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京ゼロカーボンフォーデーズイン二〇二〇についてでございますが、都はこれまで、キャップ・アンド・トレード制度を初めとする先進的な施策展開によりCO2削減に大きな成果を上げてまいりました。今回、この成果である超過削減クレジットを活用することで、改めて制度の有効性や効果を国内外に発信してまいります。
 事業者の皆様からは、本クレジットを制度外の環境活動やオフセット等に活用したいとの意向も伺っており、今後、四日間のゼロカーボンデーの実現に向け、意義や効果を丁寧に説明し、ご理解とご協力をいただきながら取り組みを進めてまいります。
 あわせて、都民、事業者のさらなる省エネ機運の醸成を図り、持続可能な東京を目指してまいります。
 次に、LED省エネムーブメント促進事業についてでございますが、本事業は、LED電球の交換を契機として家庭の省エネを推進することを目的に、本年七月より開始をいたしました。
 これまで事業の周知を図るため、PR動画の配信や広報紙への掲載を行いました。また、家電店や都民からの問い合わせには専用のコールセンターを設けて対応するなど、利便性の向上に努めてまいりました。
 今後は、大規模なイベントや各種セミナーでの告知に加え、小学生向け環境情報紙を活用した広報等を行ってまいります。
 加えて、年末の大掃除に向け、大型郵便局やファミリーレストランを活用したPRのほか、町会の協力を得た地域住民への周知など、事業のさらなる浸透を図り、目標の達成に努めてまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 大規模災害時の緊急輸送ルートの確保についてですが、発災時の迅速な応急対策活動と首都機能維持のためには、多様な手段による輸送経路の確保が重要でございます。
 このため、都は、平成二十八年三月の基本方針に基づき、陸路では国道や高速道路等の被災情報の共有や国の道路啓開との連携を関係者間で具体的に検討するとともに、水上経路では昨年設置した検討会において、船着き場等を活用した負傷者搬送や支援物資輸送など、具体的な場面を想定して事例の検討を実施してまいりました。
 今後も、陸路では道路啓開のための地図による点検結果の共有方法や道路管理者間の連携手順を定めるとともに、水上経路では施設点検や船舶確保等に関するマニュアルを年度末に確定し訓練を反復実施するなど、緊急輸送ルート確保の実効性をさらに向上させてまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 土砂災害対策についてでございますが、土砂災害から都民の命を守るため、ソフト、ハード両面から対策を着実に推進することが重要でございます。
 ソフト対策では、土砂災害警戒区域等の平成三十一年度の指定完了に向けまして、これまでに約一万一千カ所を指定し、区市町村による警戒避難体制の整備を支援してまいりました。
 本年十月の台風二十一号では、大島町が土砂災害特別警戒区域を対象に避難指示を発令し、被害を防止いたしました。
 ハード対策では、多摩・島しょ地域で砂防事業や急傾斜地崩壊対策事業等を実施しております。
 平成二十五年に大規模な災害が発生しました大島の大金沢では、導流堤の整備など短期対策が二十八年度に完了いたしました。今後は、中長期対策としまして砂防堰堤の整備等に着手いたしますとともに、下流域では流路の改修工事を推進いたします。
 引き続き都民の命を守る土砂災害対策に全力で取り組んでまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、小規模企業に対する支援についてでございますが、小規模企業の経営の力を高めるとともに、将来に向け、その事業の継続と展開を後押しすることは重要でございます。
 都は、地域の商工会議所等と協力し、企業を訪問し、経営状況の改善を相談する取り組みを行うほか、事業承継など専門的な知識が必要な課題に関し、都内六カ所に支援拠点を設け、解決に向けたサポートを実施しております。また、専門家を派遣し、企業の経営について診断を行った上で課題の計画的な解決につなげる支援も進めているところでございます。
 今後、事業承継を地域でより的確にサポートするため、相談対応を行う拠点をふやすほか、将来の承継を見据え、事業の収支改善や後継者育成などを進める会社への支援を検討してまいります。
 また、経営診断等を行う専門家派遣の充実を図り、小規模企業の経営の下支えを着実に進めてまいります。
 次に、最新の技術や設備による生産性向上についてでございますが、中小企業がICT等を用いた設備を導入し、生産活動やサービスの提供を効率的に行うことは重要でございます。
 このため、都は、最新のICT技術や、それを応用したIoTの仕組みに詳しい専門家を企業に派遣し、現場への円滑な導入に役立つ助言を行っております。
 また、新たに成長分野での事業展開に向けて設備の導入を図る企業等への経費助成を実施しております。
 今後は、IoT等のほか、AIやロボットの導入に関して専門家を派遣し、助言を行う対応を図るとともに、業界団体が普及啓発や生産性の向上に結びつくモデル事業に取り組む場合の支援を検討してまいります。
 さらに、生産の効率を高めるロボットなどの設備の導入への助成の充実も検討し、中小企業の生産性の向上を着実にサポートしてまいります。
 次に、障害者雇用に向けた中小企業支援についてでございますが、中小企業における障害者の雇用を進めるためには、企業の理解促進と職場の実情に応じた支援が必要でございます。
 そこで都は、経営者や人事担当者向けのセミナーや障害者雇用支援フェア等により普及啓発を図るとともに、障害者を採用した企業に東京ジョブコーチを派遣し、職場への適応や定着を支援しているところでございます。
 あわせて、ともに働く社員等を職場内サポーターとして養成するなど、企業の主体的な取り組みも後押ししております。
 また、精神障害者を初めて雇用する企業に対しましては、採用前の職場環境整備から採用後の雇用管理まで専任アドバイザーが最長三年間にわたり一貫したサポートを行っております。
 今後は、精神障害者の雇用を進める企業へのインセンティブの拡充や相談対応の充実についても検討し、障害者雇用をより一層促進してまいります。
 次に、富裕な旅行者層等の東京への誘致についてでございますが、海外から富裕な旅行者を誘致することは、滞在中に多くの消費が期待できますことに加え、自国での強い発信力により都市のイメージ向上につながる重要な取り組みでございます。
 都は今年度、アメリカの富裕層向け大手旅行雑誌などに食や自然などをテーマとした特集記事を掲載するとともに、世界最大級のクルーズ関連の展示会に出展し、旅行地としての東京をアピールいたします。
 また、パリにおいて文化人や財界人等を招待し、現代アート作品の展示や日本食の紹介を行うなど、東京の幅広い魅力をPRいたします。
 今後は、こうしたPR活動を行う地域の拡大や富裕層向けの旅行商品を開発する事業者等から成る国際的なネットワークを活用した誘致を検討し、インバウンド消費の拡大やさらなる旅行者の増加につなげてまいります。
 最後に、全国育樹祭を契機とした林業振興についてでございますが、全国育樹祭は、健全で活力ある森林を育て次世代に引き継いでいくことの大切さを伝える国民的な森林と緑の祭典であり、森林整備や木材利用に対する都民の意識を高める絶好の機会であります。
 都は、来年秋に開催される全国育樹祭において木材の有効活用による森林循環の一層の促進、日本が誇る木材利用文化の継承など明確なメッセージを発信し、木材の大消費地である東京ならではの大会としてまいります。
 また、育樹祭を契機とした木材利用等への機運の高まりを捉え、中小の林業事業体の経営基盤の強化や次代の担い手の確保、技術力の向上、区市町村の公共施設での多摩産材のさらなる利用拡大を推進できるよう、林業、木材産業の成長を促す総合的な取り組みを検討してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、次期保健医療計画の基本的な考え方についてでありますが、このたび取りまとめた改定素案では、昨年策定いたしました地域医療構想で、二〇二五年の医療の姿として掲げた誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現に向け、さまざまな保健医療施策の方向性をお示しいたしました。
 具体的には、高度急性期から在宅医療までの切れ目のない連携体制の構築や予防、治療、重症化予防の各段階に対する疾病ごとの取り組みの推進、小児、AYA世代、高齢者等のライフステージに応じた支援の充実などのほか、外国人患者に対する医療、フレイルやCOPDの予防なども新たに盛り込んでおります。
 今後、関係団体への意見照会やパブリックコメントを行い、同時改定いたします高齢者保健福祉計画等との整合性を図りながら、来年三月に改定する予定でございます。
 次に、認証保育所に対する支援についてでありますが、大都市特有の保育ニーズを踏まえ、十三時間開所やゼロ歳児保育などを義務づけた認証保育所は、都の保育施策の重要な柱の一つであり、都は開設準備経費や運営費を支援しております。
 平成二十七年度には、この運営費補助を増額いたしますとともに、保育士等のキャリアアップに向けた取り組みや障害児やアレルギー児などに対応するための取り組みへの支援を開始いたしました。
 また、採用五年目までとしていた宿舎借り上げ支援の対象を昨年度全職員にまで拡大をいたしました。
 今年度からはキャリアアップ補助を拡充するほか、保育従事者の業務負担を軽減するためのICT化の取り組みを支援しており、今後とも認証保育所における保育人材の確保、定着に向け、支援の充実を図ってまいります。
 最後に、国民健康保険制度改革についてでありますが、今般の制度改革により、都道府県は、財政運営の責任主体として医療費水準や所得水準を考慮して区市町村ごとに納付金の額を決定するとともに、保険給付に必要な費用を全額区市町村に支払うことになります。
 また、新たな仕組みでは、医療費水準や所得水準が高い区市町村の保険料が上昇する場合があることから、国が追加で負担する公費と都道府県繰入金を活用して激変緩和措置を行うこととされております。
 区市町村からは、保険料が急激に上昇しないよう、繰入金の活用に加え、都独自の財政支援について要望が出されており、今後、国から示される追加財源や、それを反映した納付金の算定結果を踏まえ、都としての対応を検討してまいります。
〔病院経営本部長内藤淳君登壇〕

○病院経営本部長(内藤淳君) 多摩メディカルキャンパスにおきます地域医療支援についてでございますが、都立病院が急性期医療の安定的な提供に加え、その医療資源やノウハウを活用し、患者が地域で安心して療養できる医療提供体制の構築を支援することは重要であると認識してございます。
 このため、キャンパス内の患者支援センターを中心に、退院後の療養生活や治療と就労の両立など、さまざまな不安や要望に対する相談、支援機能を拡充いたします。
 また、患者が円滑に地域生活へ移行できるよう、ロボット等を活用した高度で先進的なリハビリ医療や在宅医療を支える短期の医療型ケア入院にも対応してまいります。
 一方、研修会など人材交流の機会を捉え、地域の医療人材の育成についても積極的に取り組んでまいります。
 今後、キャンパス全体が地域医療を支える拠点として他の医療機関等と連携、補完し合いながら、患者中心の切れ目ない医療の好循環の実現に貢献してまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時四十三分休憩

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