平成二十九年東京都議会会議録第十九号

   午後三時五分開議

○副議長(長橋桂一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番橘正剛君。
〔百七番橘正剛君登壇〕

○百七番(橘正剛君) 都議会公明党を代表して質問を行います。
 初めに、十月六日逝去されました名誉都民の岸本忠雄さん、十月二十四日逝去されました名誉都民の小宮康孝さんに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 質問に入ります。
 小池知事は、今定例会の所信表明の冒頭、十月に行われた総選挙における知事自身の行動について、多くの皆様にご困惑、ご心配をおかけいたしましたと反省を述べた後、都政に専念したい、改革のスピードを上げていくとの決意を表明いたしました。
 今、多くの都民が知事に求めているのは、豊洲市場への移転、入札契約制度改革の見直し、二〇二〇オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた施設整備や経費縮減など、知事みずからが着手した改革や見直しに、みずからが決着をつけることです。
 政治は結果です。知事が進めてきた改革の成果を都民が実感できない中で、新たな改革を打ち出しても、実績の裏づけと決着を伴わない政策は虚妄となります。
 知事、改めて申し上げます。まずは知事がこれまで着手した都政改革について、見直すべきものは見直し、決断すべきことは早急に決断すべきです。
 以下、重要課題に対する我が党の考えを示しながら見解を求めたいと思います。
 初めに、豊洲への市場移転問題について質問します。
 まず、市場会計の持続可能性であります。知事は本年六月二十日に、築地は守る、豊洲は生かすとの基本方針を示し、豊洲市場への移転を決断しました。その後、市場移転に関する関係局長会議を立ち上げ、六月二十二日の第一回会議において、豊洲市場への早期移転などの課題を整理するよう指示しました。
 七月二十一日には第二回会議が開催され、既に四カ月半たっております。この第二回会議では、築地市場の跡地は市場会計の持続可能性を担保するため、経済合理性を確保しながら、民間主導により再開発する方向で検討を進めるとしていました。
 これに対し、八月三十日の都議会臨時会の代表質問で、我が党は、築地の土地を一般会計に有償所管がえすれば、市場会計の財政安定化に寄与するだけでなく、民間主導の開発もしやすくなるとの観点から、有償所管がえについて検討すべきと改めて提案し、知事の見解を求めました。
 知事は、長期の貸し付けだけでなく、有償所管がえを含めて多角的に検討し、経済合理性の確保に努めると答弁しました。
 しかし、築地再開発検討会議では、現在のところ、市場会計の持続可能性を考慮した議論は行われていません。
 そこで、第二回市場移転に関する関係局長会議以降、築地市場跡地の再開発について、市場会計の持続可能性を担保するために、庁内でどのような検討が行われているのか、具体的にお答えいただきたいと思います。知事の見解を求めます。
 都議会公明党は、ことしの予算特別委員会で、市場当局が市場問題プロジェクトチームに提出した資料を分析した結果、その試算では、築地市場跡地の売却収益が入ることで、平成四十年度のバランスシートは累積損失にはならず、むしろ剰余金が出ること、また、キャッシュ・フローを見ても、日々の事業運営を支える資金繰りに問題がないことを明らかにしました。
 市場会計の平成二十八年度決算は、経常損益が赤字となり、平成三十年度予算要求には、豊洲市場への移転に向けたさまざまな経費が計上されています。このような状況の中で、市場当局は当然、市場会計の今後の中長期的な見通しを検討していると思います。
 そこで、市場当局は、事業運営の見通しとなる財政収支について、築地市場跡地を有償所管がえした場合と、長期貸付をした場合、それぞれどのような事態を想定しているのか、見解を求めます。
 次に、豊洲市場の追加工事について質問します。
 九月十九日から豊洲市場の追加対策工事の入札手続が進められていますが、九件の工事案件のうち四件が入札契約制度改革の新ルールにより、中止を余儀なくされました。現時点では、わずか二件しか契約が成立に至っていません。
 報道によれば、こうした状況を受けて、都は、入札から随意契約への移行を検討しているようですが、遅きに失した感が否めません。新たに開始された入札契約制度改革によって、都政の重要課題の一つである豊洲市場の追加対策工事がおくれ、予定どおりの完了が危ぶまれています。
 市場業界からも、入札不調が続く現状に対して、十一月二日に知事宛てに追加対策工事と専門家会議による安全確認を来年七月までに行うよう要望がありました。
 そこで、現下の厳しい契約状況が続けば、豊洲市場の追加対策工事の完了と専門家会議による安全確認を来年七月末までに完了できないと思われますが、今後どのように対応していくのか知事に見解を聞きます。
 次に、入札契約制度改革について質問します。
 入札契約制度改革の新ルールは、本年六月二十六日以降に公表を行った入札案件を対象に試行されました。十月末現在の実施状況を見ると、不調発生率は一九%であり、昨年度の九・九%に比べ、倍近く増加しています。
 こうした状況の中、都が進めている入札契約制度改革に対して、幾つかの点で中小建設業者から改善すべきとの声が寄せられています。
 例えば、過去三年間に社会保険の未加入があった場合、失格となる新たなルールが設けられている点です。将来、社会保険の全加入を実現するために、経過措置を設けて徐々に適正化を図るのであれば理解できますが、修正できない過去を今になって問うという規制は、中小建設業者にとっては大変酷です。むしろ、社会保険の加入をさらに促していく仕組みや運用が必要ではないでしょうか。
 そこで、中小建設業者の社会保険未加入への対応は、入札契約条件の厳格化という方法ではなく、加入促進という考え方で、担い手の確保を図るべきと考えます。都の見解を求めます。
 また、業界団体から、JV結成義務の撤廃についても多くの意見が寄せられています。
 これまで、大企業と都内中小企業から構成されるJVの結成を義務づけてきたことについては、中小企業の受注機会の確保のみならず、大規模な工事を経験することを通した人材育成に寄与してきたと評価する声が多くあります。
 建設業の就業者の状況に目を向ければ、平成二十七年に五十五歳以上が三四%を占める一方で、二十九歳以下の若年者は一一%と、高齢化が進んでおり、若手技術者の定着、育成は喫緊の課題です。
 都内中小企業の若い技術者がJVへの参画を通し、その技術力を高めていくことは、公共工事の担い手の中長期的な育成、確保を目的とする改正品確法の趣旨にも合致します。
 今後、JV結成義務の撤廃については、中小企業の意見もよく聞きながら再検討し、速やかに結論を出すべきです。見解を求めます。
 入札不調が続く現実に直面し、二〇二〇年を前にして、多くの都民に都政全体の停滞という不安を惹起させています。入札契約制度改革については、都が先般打ち出した実施方針を抜本的に見直すべきと考えますが、知事に見解を求めます。
 次に、防災対策について質問します。
 まず、水害対策であります。地球温暖化に伴う影響が懸念される昨今、東京でも時間当たり五十ミリを超える降雨による水害が頻発するなど、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化しています。
 ことしも七月の九州北部豪雨で甚大な被害が発生し、十月には超大型で強い勢力の台風二十一号により、八王子市の南浅川や東村山市の柳瀬川で住宅地の近くで護岸が崩落し、一部では車両が通行不能となるなどの被害が発生しました。大規模氾濫によって、多数の逃げおくれが生じるなど、全国で頻発、激甚化する豪雨に対し、的確な避難勧告の発令や広域避難体制の整備の必要性が高まっています。
 大規模水害をハード面の整備だけで防ぐことは現実的に困難であることから、都議会公明党は、平成二十八年二月に大規模水害から人の命と首都東京を守る緊急提言を行い、避難等のソフト対策の重要性を訴えてきました。
 国では、頻発する大規模水害に対応するため、本年五月に水防法を改正し、洪水時の逃げおくれによる人的被害等を発生させない取り組みとして、大規模氾濫減災協議会を創設することになりました。
 そこで、都においても、水害を軽減するため、多様な関係者の連携体制を構築する減災協議会を早期に設置すべきです。見解を求めます。
 次に、建築物の耐震化について質問します。
 都はこれまで、特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化を重点に、災害時における重要道路の閉塞防止などに取り組んできました。
 昨年三月に改定された東京都耐震改修促進計画では、平成三十一年度末までに耐震化率九〇%という目標を掲げています。千回に及ぶシミュレーションの結果、特定緊急輸送道路沿道の九〇%を耐震化できれば、都内のどこにあっても、迂回すれば通行が可能になるとのことです。
 平成二十九年六月現在、特定緊急輸送道路の耐震化率は八三・六%であり、残り二年半で六%以上の進捗が求められています。しかし、実際は毎年約一%から二%ずつの進捗です。目標年次である平成三十一年度末には確実に達成されるべきであり、なお一層重点的な取り組みが必要と考えますが、見解を求めます。
 次に、住宅の耐震化について質問します。
 都はこれまで、防災都市づくり推進計画に定める整備地域を対象に、住宅についても耐震化に向けた助成事業を展開し、専門家の派遣など、所有者の取り組みを促す支援を実施してきました。その結果、建てかえや除却を含む耐震改修工事の平成二十八年度における助成件数は、平成二十六年度の一・三倍に伸びており、成果を上げています。
 その上で、今後は、東京の防災力をさらに高めるため、住宅所有者による耐震化への支援を、整備地域以外でも広範かつ積極的に行うことが重要です。
 都は、都内全域において、住宅の耐震化を促進する新たな取り組みを検討すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、マンションの耐震化対策について質問します。
 現在、都内にある分譲マンションの戸数は百七十万戸を超え、都内の全世帯の約四分の一を占めています。しかし、その約二割に当たる三十六万戸が旧耐震基準のマンションとなっています。
 都が、平成二十三年度に実施したマンション実態調査によると、アンケートに回答のあった旧耐震基準のマンションのうち、耐震診断を実施したマンションは一七%であり、耐震改修まで実施したマンションはわずか五・九%でした。
 耐震化を進めるためには、管理組合が耐震診断や改修に主体的に取り組まなければなりませんが、老朽度などを考えた場合、改修ではなく、建てかえを検討したいと考える管理組合もあるようです。
 しかし、建てかえと改修とでは、費用や工事期間などで管理組合の負担や改善効果等が異なり、専門的な知識がなければ選択の判断が難しい現状にあります。
 このため、マンション管理組合が、建てかえか耐震改修かを適切に選択できるように、都は必要な支援を行うべきと考えます。見解を求めます。
 また、管理組合が建てかえを検討する場合、旧耐震基準のマンションでは容積率などから既存不適格となり、単体での建てかえが困難となっている事例が見られます。
 こうした現状を打開するため、都は、品川区、杉並区、多摩市の二区一市で二年間をかけてモデル事業を実施し、このたび、その成果を踏まえて、マンション再生まちづくり制度を創設しました。本制度を積極的に活用し、マンションの建てかえを促進すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、災害時の海からの医療支援について質問します。
 首都直下地震の被害想定を見ると、住宅の全壊や焼失が多く発生するエリアが、都心部を取り巻くような形で広がっています。火のリングと呼ぶ専門家もおり、火災による交通遮断などが懸念されています。
 災害時に、火のリングなどによって、陸上の交通が遮断された場合には、空や海からの支援を考えなければなりません。ちょうどこの火のリングは、東京港が存在する南東側が欠ける形になっています。この欠けた部分を利用して取り組む海からの支援が極めて重要です。
 現在、国では、船そのものが病院になる病院船の導入が検討されています。そのために行われた三回の実証訓練のうち、二回は東京港で民間船や自衛隊の護衛艦を使い、都の協力のもと実施されています。
 来年六月には、米海軍の病院船「マーシー」が初来日し、東京港に寄港します。この機会を捉え、都が積極的に役割を果たす形で訓練を展開するとともに、海からの医療支援について、防災計画等への反映を急ぐべきです。国と連携した防災対策の拡充について、見解を求めます。
 次に、都議会公明党が提案し、予算化された女性視点の防災ブックの発刊について質問します。
 震災時には、自分の命は自分で守り、家族や地域と助け合う、自助、共助が不可欠です。とりわけ、女性は日ごろから地域の中でつながりがあり、子育て、介護などの経験を通じて、きめ細かな配慮の視点を持っています。
 こうした女性の発想、アイデアを防災の取り組みに生かし、都民一人一人の生活に身近で、よりきめ細かな防災対策を進めることが重要です。
 女性視点の防災ブックには、妊産婦や子育て中の方の防災対策、さらには、家族同様に大切なペットを守る防災対策など、災害時に切実な問題となる課題についての対応策をわかりやすく、かつ具体的に盛り込むべきです。
 あわせて、視覚障害者や外国人なども、女性視点の防災ブックの情報にアクセスできるよう対応すべきと考えますが、見解を求めます。
 防災に関連し、災害時には避難所ともなる学校施設の空調設備について質問します。
 都議会公明党の強力な推進もあって、学校の普通教室の空調設備は九割以上の整備が終わっていますが、理科実験室や調理実習室など、特別教室は、小中学校で七二%、高等学校は六八%にとどまっています。とりわけ多摩地域では、特別教室の空調整備率が区部に比べて一五%以上低くなっています。
 空調が家庭に普及した現在、学校現場で空調が整っていないことが児童生徒の体調不良の原因となる可能性が高まっています。快適な特別教室で、安心して調理や実験などに取り組めるよう、空調整備のピッチを上げるべきと考えますが、見解を求めます。
 一方、体育館は、災害発生時に避難所として多くの住民を受け入れる重要な施設となり、長期にわたる避難生活においては、体調を維持するために空調管理が極めて重要です。
 しかし、都内公立学校の体育館の空調設備は、小中学校で八・四%、高等学校で四・四%と、ほとんど進んでいないのが実態です。
 都は、都立学校体育館の空調設備の整備を進めるとともに、区市町村立の学校の体育館についても、新たな支援策を講じて、設置を急ぐべきと考えます。見解を求めます。
 次に、消防団への支援について質問します。
 消防団の皆様は、生業の傍ら、地域住民の方々の生命と財産を守るため日夜訓練に励みつつ、いざ火災出動となると、二十四時間体制で全てに優先して出動し、消防署隊と連携して火災現場で活躍しておられます。
 現在、二十三区では一万三千五百人、多摩地域で七千九百人、島しょ地域で千二百人、合計二万二千六百人の消防団の皆様によって、都内各地域の安全・安心を守っていただいております。都内それぞれ異なった課題がありますが、とりわけ多摩・島しょ地域は、広範囲にわたって起伏の激しい丘陵地が多いという特性があり、また、区部に比べて消防団員に占める女性の割合が低いことも課題となっています。
 都は、こうした特性に応じて、最新技術を駆使した資器材の整備をより積極的に支援していくべきです。また、女性団員の比率向上に向けた支援も必要と考えます。あわせて見解を伺います。
 次に、工業用水道の防災対策について質問します。
 工業用水道事業は、事業開始から五十年以上が経過し、配水管を初め、施設や設備の老朽化が刻々と進行しています。
 現在、工業用水道事業のあり方が検討されていますが、重要なことは、事業を継続するにしても、廃止するにしても、防災対策をなおざりにしてはならないということです。
 特に、施設の耐震化がなされていないと、大規模な地震発生時に甚大な被害発生のおそれがあります。特定緊急輸送道路に布設されている約二十八キロメートルの工業用水道管のうち、約八割が耐震性を有する材質であるものの、継ぎ手部分に抜け出し防止機能を持つ耐震継ぎ手化の整備率は約一五%にすぎないなど、震災への備えは喫緊の課題です。
 また、仮に工業用水道事業を廃止せざるを得ない場合でも、地中に配水管をそのまま放置することは、震災時の陥没リスクを考えれば許されることではありません。
 そこで、都は、首都直下地震の切迫性が指摘される中、事業の継続、廃止の方向性を問わず、都民の安全・安心を確保していくため、工業用水道施設の防災対策を着実に行っていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、中小企業支援について質問します。
 まず、知的財産の保護です。これまでも都は、新技術や新製品の開発などを初め、中小企業の知的財産権の取得費用を助成してきましたが、その内容の多くは、海外進出に備えた取り組みであるなど、対象が限定されたものでした。
 しかし、中小企業が知的財産権の取得に苦労するケースは少なくありません。特に、創業期の企業は手元資金に余裕がないため、知的財産の登録が後回しにならないようサポートが必要です。また、地域の中小零細企業においても、独自のノウハウを守るためには、知的財産の保護は重要であり、地元の区市町村による支援の取り組みを都としても後押しすべきです。
 こうしたことも踏まえ、今後は、国内であっても模倣されないよう、都が実施する支援策を強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、人材確保についてです。
 優秀な人材の確保、育成は、中小企業にとって喫緊の課題です。しかし、中小企業には、若い世代の優秀な人材が集まりにくく、人手不足が労働環境の悪化を招き、さらなる人材不足につながるという悪循環が見られます。
 都は、業界特有の課題に精通した事業者団体を通じて、中小企業の人材確保や働き方改革を一体的に支援する必要があります。見解を求めます。
 次に、非正規雇用対策の推進について質問します。
 パートや契約社員等の非正規労働者は、正規雇用と比べて雇用が不安定であり、賃金や教育訓練の機会などの処遇面でも格差があります。
 都は、二〇二〇年に向けた実行プランの中で、国の補助事業に上乗せをして、都独自の助成金制度を創設し、企業内での非正規労働者の正規雇用への転換を促進してきました。
 平成二十七年度から三カ年計画で始まったこの制度は、当初は四千二百人の実績でスタートしましたが、二十八年度は一万人を超え、今年度は二万人を超える申請がありました。
 ところが、これだけ実績が伸びているにもかかわらず、今年度は九月に、正規雇用転換促進助成金の申請受け付けを予算額の満了により終了しました。国は、キャリアアップ助成金を継続していますが、都は、雇用情勢の変化を踏まえ、今年度でこの助成事業を終了するとしています。
 都議会公明党には、助成金の継続を望む要望が数多く寄せられています。これまでの三カ年の取り組みを検証し、制度の質を高めるなどの工夫を行った上で継続すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、都税制について質問します。
 本年三月に国土交通省が発表した平成二十九年地価公示によると、全国の商業地については、前年比で一・四%増となるなど、堅調に推移しています。特に二十三区の商業地については、前年比で五・五%増となっており、全国と比べて大きく地価が上昇している状況にあります。
 こうした中、来年度は三年に一度の評価替えの年度に当たり、全ての土地の評価額が見直されることになります。もともと地価の水準が高く、固定資産税についても高い税負担となっている二十三区の納税者は、さらに過重な税負担になると考えられます。
 一方、都は、法の定めに従い、急激な固定資産税の上昇を緩和するため、二つの減額措置を条例で設けています。
 しかし、この二つの条例減額制度は、今年度で法律の適用期限を迎えます。現在、国の与党税制調査会で議論されている平成三十年度の税制改正で継続されなければ、都が独自に実施し続けることができなくなってしまいます。
 したがって、都は国に対して、都内中小事業者にとって重要な条例減額制度による税負担緩和の継続を強く求めていくべきです。見解を求めます。
 次に、償却資産の申告期限ですが、多くの事業者から、法人税の申告期限と一緒にできないかとの要望が寄せられています。法人税は、事業年度終了時点での資産等の状況を把握し、原則としてその翌日から二カ月以内に申告するものですが、償却資産に係る固定資産税は、決算期にかかわらず、全ての事業者が一月一日時点の資産を把握し、申告することとされています。
 このため、国税と地方税とで資産を把握する時点が異なることが、事業者にとって負担となっており、税理士会からも、法人税の申告期限と一致させるべきとの要望が出されています。
 税務行政においては、納税者の協力が得られるように利便性を高めていくことが必要であり、そうした観点からも、納税者みずからが適切に申告しやすいような制度にしていくことが重要です。
 償却資産の申告制度は、全国一律のものであり、都独自では制度変更ができないことは承知しています。納税の利便性向上に努めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 税制に関連して、情報バリアフリーの取り組みについて質問します。
 今週の十二月三日から九日までは、障害者基本法で定められた障害者週間です。障害のある方々が自立した生活を送り、社会参加を促進していくために、情報のバリアフリー化が必要です。
 都は、都税の納税通知書を送付する際、希望する納税者に税額や納付期限を記載した点字文字を同封しています。しかし、視覚障害者の中で点字が判読できる人は一割程度です。
 都議会公明党はこれまで、視覚障害者に対し行政情報を確実に提供するため、点字などに加え、情報技術を生かして文字情報を音声化する音声コードを活用するよう提案してきました。
 都税に関する情報バリアフリーをさらに進めるため、約六百万通に上る固定資産税、自動車税、個人事業税の納税通知書全てに音声コードをつけるべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、青少年の相談環境の整備について質問します。
 今、中高生にもスマートフォンが急速に普及し、青少年の多くは、コミュニケーション手段として、通話やメールよりもSNSを使っています。
 総務省の平成二十八年の調査によれば、十代の平日一日当たりの平均利用時間は、携帯電話の通話が二・七分であるのに対し、SNSが五十八・九分と圧倒的に多くなっています。
 ことし、神奈川県で発生した悲惨な事件は、被疑者がSNSを通じて自殺願望のある青少年と知り合い、犯行に及んだとされています。
 また、SNSを通じて、子供の性的画像が他者に渡る自画撮り被害や、ネットいじめなどのトラブルも急増しています。
 警察庁によれば、SNSがきっかけとなって犯罪に巻き込まれた青少年は、八年前の二倍以上にふえています。
 一方、身近に相談相手がいない青少年にとって、SNSが安心して本音を吐き出せる場になっていることも事実です。
 都では、ネット上のトラブルに関する青少年からの相談を電話とメールで受け付ける窓口、こたエールを設置しています。
 加えて都は、我が党の提案を受けて、自画撮り被害の防止に向けて、全国に先駆け、本定例会に青少年健全育成条例の改正案を提出し、この中には、相談事業の充実が盛り込まれています。
 そこで、自画撮り被害を防止するためにも、相談窓口のこたエールについては、青少年がふだんから使っているSNSを活用して相談を受けるなど、環境整備をすべきと考えます。見解を求めます。
 次に、医療的ケアの必要な児童生徒の支援について質問します。
 初めに、通学手段についてです。現在、都立特別支援学校に通う児童生徒数は約一万二千人で、そのうち、医療的ケアの必要な児童生徒は約七百人です。
 スクールバスに乗車できない医療的ケアが必要な児童生徒は、保護者の送迎によって通学する場合が多く、保護者の都合や天候などに左右されやすく、学校へ行きたくても欠席せざるを得ないこともあります。
 また、自家用車などの通学手段を持たない家庭では、学校への通学を諦め、やむなく訪問教育を選択したケースもあるようです。とりわけ、学校への通学が可能な児童生徒が、通学手段の確保ができないことで、他の児童生徒と同じような学習の機会を得られていないことは問題であり、早期に解決しなければなりません。
 都はこれまで、スクールバス内での医療的ケアの実施は、安全の確保が難しいため困難としてきましたが、最近の技術革新や工夫を凝らすことで、医療的ケアが必要な全ての児童生徒の通学手段を都が確保すべきと考えます。見解を求めます。
 また、医療的ケアの必要な児童生徒を支援するのは、通学のみならず、地域生活全般においても、その支援にかかわる人材確保と育成が重要です。
 そのため、都は、医療的ケアが必要な障害児への支援の輪が大きく広がるよう、支援にかかわる人材の育成に本腰を入れて取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 次に、地域包括ケアシステムについて質問します。
 超高齢社会を支える安心の仕組みとして、病院も含めた地域の医療、看護、介護の連携体制や地域の実情に即した取り組みの構築が重要となっています。二〇二五年には団塊の世代が七十五歳以上となり、医療や介護を必要とする高齢者がさらに増加します。
 都においても、病院から在宅療養、介護の移行と、これを支える地域包括ケアシステムの構築は緊急の課題です。
 高齢者が病院から退院し、自宅など地域における在宅療養生活に移行するためには、地域の病院と、かかりつけ医、訪問看護師、ケアマネジャー等の多職種が連携し、外来や入院時から退院後を見据えた支援、いわゆる入退院支援を行うことが求められています。
 そこで、病院と地域の多職種が、入退院支援の充実に向けて、これまで以上に相互理解を進め、連携していく必要があると考えますが、見解を求めます。
 次に、心身障害者医療費助成制度について質問します。
 現在の都の医療費助成制度の対象者は、身体障害者手帳一級、二級を持つ方、愛の手帳一度、二度の知的障害者の方などであり、精神障害者の方は含まれていません。それぞれの障害特性は異なりますが、抱えている共通の課題に対しては同様の支援をすることが必要であると考えます。
 本年の第一回定例会の一般質問において、都議会公明党は、精神障害者が心身障害者医療費助成制度の対象に含まれていないことから、その実現を強く求め、福祉保健局長から検討を行う旨の答弁がありました。
 また、三月三十日の都議会本会議では、精神障害者を都の医療費助成制度の対象とすることに関する請願が全会一致で採択されています。
 そこで、改めて、心身障害者医療費助成制度の精神障害者への拡大について見解を求めます。
 次いで、多摩メディカルキャンパスの整備における、がん医療の強化について質問します。
 国の第三期がん対策推進基本計画が十月二十四日に閣議決定されました。この計画では、国民の二人に一人が生涯のうちにがんになるという高い割合の中で、早期発見で早期治療につなげる重要性が改めて指摘されました。
 今後、がん対策を推進していくに当たっては、がんを早期発見し、早期治療につなげていく体制の構築が必要となります。そのためには、一次検診で要検査が指摘された後の精密検査の受診率の向上が重要です。
 平成二十七年度の東京都の統計によれば、精密検査の受診率は、大腸がん五四・六%、子宮頸がん五八・六%と、国の第三期推進計画の目標である九〇%にはほど遠いのが現状です。
 府中市にある多摩地域の医療拠点である多摩メディカルキャンパスについて、整備基本構想案が先月二十七日に公表されました。構想案では、東京都がん検診センターの精密検査機能を多摩総合医療センターに統合するとされています。
 そこで、同センターにおいて、精密検査の受診率の向上と検査機能の強化を図る取り組みを進めるべきと考えますが、所見を求めます。
 次に、エシカル消費の推進について質問します。
 都議会公明党は、二〇二〇東京大会を持続可能性への転換を図る大会と位置づけ、提案を行ってきました。
 二〇二〇年には、パリ協定のルールの適用が開始されます。当然、東京大会では、環境への配慮が求められますが、加えて、貧困や差別といった課題の解消に向け、人権の面でも持続可能性に配慮していかなければなりません。
 典型的な事例では、日本で消費されるチョコレートの原料であるカカオ畑では、ある原産国の場合、労働者の六割が十四歳以下の子供たちとの報告もあります。ILO、国際労働機関の調査報告では、世界の児童労働者数は一億五千万人で、人身売買も顕在化しており、問題になっています。
 こうした事態を踏まえ、国連は、SDGs、すなわち世界を変えるための十七の目標を提唱し、二〇三〇年での達成を目指しています。その中には、貧困の解消や公平で質の高い教育の普及、生産する側と使用する側の責任なども明示されています。
 既に、我が国でも先駆的な企業やNPOなどが取り組みを開始しており、児童労働のない公正な取引、すなわちフェアトレードが推進されています。バナナの茎を日本の伝統技術で上質な和紙に製品化することを通し、その利益で子供たちに教育の場を提供する海外での取り組みも始まっています。
 こうしたエシカル、すなわち倫理的な取引の推進は、東京大会の持続可能性に配慮した調達コードの中にも明記されており、大会を契機に、今後一層、国内でも、被災者支援や障害者支援などにもウイングを広げつつ、発展させていくべきであります。
 そこで、持続可能な社会の実現に向けて、まずは、都民、国民が無理をせずに取り組めることから、エシカル消費についての理解が進むよう、都が役割を発揮すべきと考えます。見解を求めます。
 最後に、被災地支援について質問します。
 東日本大震災の被災地は、いまだ復興途上であり、都内においても、時の経過とともに、震災に対する記憶の風化が進んでいるように見受けられ、懸念を抱いているところです。
 都議会公明党は、発災後間もない平成二十三年からたびたび現地を訪れ、現地のニーズを探って都の支援につなげてきました。中でも、被災地応援ツアー、被災地とのスポーツ交流事業、千キロ縦断リレーは着実な成果を上げており、関係者からも感謝の声とともに、継続の要望が寄せられています。
 都議会公明党は、二〇二〇東京大会の招致段階から復興五輪と位置づけ、被災地支援を強力に後押ししてきました。
 そこで、平成三十年度においても、福島県に対する被災地応援ツアーを引き続き実施し、同県内の経済と住民生活の回復に寄与する支援に継続して取り組むべきと考えます。都の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 橘正剛議員の代表質問にお答えいたします。
 築地市場跡地の再開発についてのお尋ねがございました。
 本年七月、市場移転に関する関係局長会議におきまして、築地市場の跡地につきましては、市場会計の持続可能性を担保するため、経済合理性を確保しながら、民間主導により再開発する方向で検討を進めることといたしました。
 市場会計を長期にわたり持続させていくためには、コスト削減、収入確保などの経営改善策を具体化していくとともに、築地市場跡地を長期貸付する場合や、ご指摘のような一般会計に有償所管がえをする場合など、さまざまなケースを想定いたしまして精査することが必要と考えております。
 このため、今年度、市場当局によりまして、市場のあり方戦略本部などの試算の前提条件をもとに、改めて収支試算を行ったところでありまして、引き続き、築地再開発検討会議におけます議論も踏まえまして、市場会計が継続的に運営できるように財政収支の観点からも多角的に検討をいたしてまいります。
 次に、豊洲市場の追加対策工事についてでございます。
 豊洲市場への移転を実現する上では、安全・安心の確保が最優先の課題であります。そのためにも、専門家会議の提言に基づく現在の追加対策工事を、着実かつ速やかに進める必要がございます。
 このため、補正予算を可決いただいた後に、直ちに契約手続を進めるように指示をいたしまして、早期の工事着工を目指してきたところでございます。
 現在、入札不調となっている案件がございますが、予定価格との乖離があることから、入札参加者や資機材メーカーへのヒアリングなどを実施いたしまして再積算を行い、案件公表に当たって予定価格の事前公表や入札参加条件の見直しなどの工夫をしながら、再発注の手続を速やかに進めているところでございます。
 都といたしましては、来年七月末までに専門家会議の確認も含めまして、追加対策を完了させる方針で進めておりまして、開場時期に影響を与えることのないように、引き続き、さまざまな手だてを講じながら、早期の契約締結に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
 入札契約制度改革についてでございます。
 今回の改革は、より多くの入札参加者を確保して、適正な競争によって契約が締結されたことを都民にも見えるように再構築をして、入札の透明性を高めることを主眼に実施しております。
 この改革は、国や地方などの入札制度も参考にしながら、一年間の試行として実施をいたしまして、専門的な知見を有する学識経験者や弁護士などから構成される入札監視委員会におきまして、既に先月から本格的な検証を進めていただいているところでございます。
 改革は始まったばかりでありまして、今後、入札件数が積み上がっていく中で、さらに検証を進めていくことが重要だと認識をいたしております。
 契約制度には絶対的な唯一の答えはございませんが、こうした入札監視委員会におけます検証結果を踏まえ、あわせて、業界団体の声もしっかりと聞かせていただきながら、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、公立学校の特別教室への空調整備についてでございますが、都立高校では、普通教室で代替のきかない特別教室のうち、音楽室やパソコン室などへの設置を既に完了しており、昨年度からは、火気を使用する調理室などを新たに対象に加え、現在、順次工事に着手しております。
 また、都立特別支援学校においても、幼児、児童、生徒の障害の重複化等の状況に適切に対応した教育環境を整えるため、特別教室への空調整備を推進しております。
 さらに、小中学校については、都立高校と同様の考え方に基づき、家庭科室などの特別教室に空調整備が計画的に進められるよう、区市町村を支援しております。
 都教育委員会は、今後こうした取り組みを鋭意進め、都内公立学校の教育環境の改善に努めてまいります。
 次に、学校体育館への空調設備の設置についてでございますが、学校体育館は、体育の授業や学校行事、クラブ活動等、児童生徒が安全に活動を行う場であるとともに、避難所としての役割も担っております。
 このため、災害発生時には、適切な温度管理など、避難者のため、良好な生活環境の確保が求められております。学校体育館に空調設備を設置し、日常的に利用する場合、その検討要素として、効率的な冷暖房を行うために必要となる施設の断熱化や、光熱費等の維持経費の増大等を考慮する必要がございます。
 こうしたことから、都教育委員会といたしましては、関係部署や区市町村と連携し、ご指摘の点も踏まえ、学校体育館のあり方についてさまざまな観点から引き続き調査研究を行ってまいります。
 最後に、医療的ケアが必要な子供の通学手段についてでございますが、これまでスクールバスの乗車中に、医療的ケアの必要がある児童生徒につきましては、車内において衛生的かつ安全な環境の確保が困難であるため、乗車を認めておりません。
 こうした児童生徒の多くは、保護者の送迎により通学しており、保護者の状況によっては通学が難しい場合があることから、学校での学習機会の拡充を図るために、安定的に通学できる仕組みを整備する必要があると認識しております。
 今後、こうした点などを踏まえて、医療的ケアの必要な児童生徒の生命と安全の確保を第一としながら、安定的な通学手段の確保策について検討をしてまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございます。
 都は、全国に先駆けて条例を制定し、耐震診断を義務づけるとともに、耐震改修費に対して最大九割を助成するなど、所有者の取り組みを促してまいりました。
 これまで、沿道建築物の約九七%で診断が行われ、このうち約半数で設計に至っておりまして、残り半数について設計などの次の段階につなげていくことが重要でございます。
 昨年度からは、個別訪問によるローラー作戦や、改修計画の作成を支援する専門家の派遣を通じて、補強設計や改修等に結びつくよう取り組みを進めてございます。
 さらに、今後、震災時における緊急輸送道路の機能を効果的に確保していくため、特に倒壊の危険性が高い建築物について、改修だけでなく、建てかえにも助成単価の割り増しなどを検討してまいります。
 次に、住宅の耐震化に向けた新たな取り組みについてでございます。
 耐震化を促進するためには、所有者がみずからの問題として認識し備えることが不可欠でありまして、耐震改修等の費用負担を軽減することに加え、所有者が主体的に取り組むよう働きかけを強化することが重要でございます。
 これまで都は、整備地域内において区の取り組みを後押しするため、改修等に助成を行うとともに、整備地域外においても、国費を活用して、耐震化を促進してまいりました。
 また、今年度からは、都内全域において、区市町村が行う戸建て住宅への全戸訪問に対する支援を拡充するなど、さらなる取り組みを進めてございます。
 今後、整備地域外においても、所有者への積極的な働きかけなどを行う区市町村を対象に、改修等に対する助成を検討するなど、耐震化を加速させてまいります。
 次に、分譲マンションの耐震化についてでございます。
 マンションの耐震化を進めるには、区分所有者間の合意形成が必要なことから、管理組合が建てかえと耐震改修を比較検討し、最適な手法を選択できるよう、専門的知識の提供や技術的支援などを行うことが重要でございます。
 このため、都は、管理組合向けのセミナーの開催やアドバイザー制度による専門家の派遣などを行ってまいりました。
 今後は、管理組合を対象に配布しているマンション建替えガイドブックを年度内に改定し、改修についても記載するなど、内容の充実を図ってまいります。耐震改修に向けた普及啓発のリーフレットも年明けに改定し、工事費や工期を含めた改修事例を紹介するなど、わかりやすいものにしてまいります。
 こうした取り組みによって、管理組合を支援し、マンションの耐震化を促進してまいります。
 最後に、マンション再生まちづくり制度についてでございます。
 容積率や絶対高さ制限などにより、単独での建てかえが困難なマンションについては、お話のように、周辺との共同化など、まちづくりと連携して建てかえを促進することが有効でございます。
 このため、三地区で実施したモデル事業の状況を踏まえ、本年四月、区市がまちづくり計画を検討する場合などに費用を助成するマンション再生まちづくり制度を創設するとともに、容積率の緩和により共同化などを促進するため、都市開発諸制度等の運用基準を見直してございます。
 現在、都は、この三地区において支援を実施し、区市が地域住民との懇談会や有識者へのヒアリング等を行い、まちづくりを検討してございます。
 今後は、実行プランを踏まえ、新たに三地区を加え、まちづくりと連携したマンションの建てかえを促進してまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 市場の財政収支の試算についてでございますが、これまでに市場問題プロジェクトチームや市場のあり方戦略本部で、築地市場跡地を一般会計へ有償所管がえした場合と長期貸付した場合につきまして、収支を試算しております。それらの試算の前提条件をもとに、豊洲市場開場後、おおむね十年間の試算を改めて行ったところでございます。
 その結果、一般会計出資金を繰り入れず有償所管がえした場合は、平成四十二年度の正味運転資本は約一千百億円となりまして、その後、逓減していきます。
 一方、一般会計出資金を繰り入れず、長期貸付した場合、平成四十二年度の正味運転資本は約百九十億円となります。その後、資金収支が断続的にマイナスとなる時期を経て、正味運転資本は逓増していきますが、一定期間、資金収支のマイナスを補う財政上の方策が必要と想定しております。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、低入札価格調査制度についてでございます。
 今回の改革では、低入札価格調査制度の適用範囲の拡大とあわせまして、調査の厳格化を図り、過去の社会保険の加入実績など、厳格な調査基準を設定しております。
 都では、社会保険の加入促進に向けまして、平成二十六年度以降、周知チラシの配布や業界団体への通知を行うとともに、二十九年度からは、未加入事業者は入札参加者名簿に登録できないこととするなど、取り組みを強化しております。
 こうした取り組みを踏まえまして、今回、ダンピングにより、下請け事業者にしわ寄せが及ぶことがないよう、低入札の場合に限りまして、加入実績を含めた確認を行うことといたしました。
 この取り組みは、一年間の試行として実施しているものでありまして、今後、業界団体のご意見も伺いながら検証を行い、さらなる社会保険の加入促進に取り組んでまいります。
 次いで、JV、共同企業体の結成義務についてでございます。
 今回の改革では、JV結成義務が入札参加の制約となっているのではないかという問題意識から、結成義務を撤廃し、単体企業でもJVでもどちらでも入札参加を可能とする混合入札を導入しております。
 今後は、この取り組みによりまして、より多くの方にとって入札に参加しやすい環境が整備されているかどうかを検証してまいります。
 一方で、社会資本ストックの本格的な更新期を迎える中、公共工事の担い手の確保は重要な課題であると認識をしております。
 このため、来年一月下旬に予定をしております業界団体との意見交換会などの機会を捉えまして、現場の声を聞かせていただきながら、中小企業の技術力の向上、人材育成という観点からも、JV結成義務の撤廃に係る検証を進めてまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 減災協議会の設置についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、河川の護岸や調節池の整備等のハード対策に加えまして、住民の避難等に資するソフト対策を進めることが重要でございます。
 都は、平成二十九年六月に施行されました改正水防法を受け、洪水氾濫による被害の軽減に向けまして、住民に避難情報を発する役割を担う区市町村など関係機関と連携し、東京都管理河川の氾濫に関する減災協議会を今月中に設置いたします。
 本協議会では、近年頻発する豪雨等の状況も踏まえまして、河川の氾濫危険情報を直接区市町村長に迅速に伝える仕組みや、浸水想定区域図など、住民の避難に必要な情報の的確な周知等につきまして検討を進めてまいります。
 今後とも、区市町村や気象庁など関係機関と連携いたしまして、減災への取り組みを全力で推進してまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害時の海からの医療支援についてですが、首都直下地震の発生時には多数の負傷者が発生するだけでなく、病院の被災や交通網の遮断等により医療機能が低下する可能性があり、周辺の自治体を含め、既存の病院等だけでは対応し切れないことも想定されます。
 このような中で、国が病院船を活用し、海から医療機能を提供することは、医師の確保等の課題があるものの、医療救護活動を補完する役割が期待できることから、これまでにも、国が実施する船舶を活用した医療機能の実証訓練に積極的に参加してまいりました。
 米国病院船の日本寄港についても国の動向を注視しており、東京港に寄港する場合は、関係機関と連携し、実践的な訓練を行い、海からの医療支援を含めた多様な手段を確保することで防災対策の拡充を図ってまいります。
 次に、女性視点の防災ブックについてですが、都が実施した調査では、多くの都民が防災対策を気にかけている一方、具体的な方法がわからないなどの理由で、防災対策に十分取り組めていない方もおられます。
 そのため、日用品を少し多目に備える日常備蓄や、ペットの飼い主による防災対策など、暮らしの中で取り組みやすい事前の備えのほか、避難所における妊産婦、子供への配慮や防犯対策など、被災生活でのさまざまな課題への対処などの紹介を行うことを検討しております。
 また、視覚障害者や外国人などにも活用していただけるよう、音声で内容を確認できる音声コードの活用や多言語による発信などについても検討してまいります。
 引き続き、女性の有識者による編集・検討委員会での検討を進め、来年三月を目途に発行していく予定でございます。
 次に、多摩・島しょ地域の消防団の支援についてですが、消防団は、発災時の初期消火や救出救助活動等、地域における防災活動の中核となる重要な役割を担っております。
 都はこれまで、消防訓練所の講習内容の充実や団員確保のための広報活動、資器材の拡充等を図ってまいりました。
 山間部や起伏の多い丘陵地を抱える多摩地域や、海に囲まれた島しょ地域では、迅速な初動対応を行うことが重要であることから、初期情報の収集や団員確保が課題となっており、遠隔操作の機器による情報収集や女性消防団員の定着、加入促進に向けた取り組み等、地域の特性に応じた方策を検討しております。
 今後とも、市町村と連携しながら消防団の状況を把握し、その活動を支援することで、多摩・島しょ地域の防災力の向上に努めてまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 工業用水道施設の防災対策についてでございますが、工業用水道事業は、事業開始から五十年以上が経過し、施設の老朽化が進行しております。特に管路につきましては、一たび漏水などの事故が起これば社会的な影響が大きいことから、適切な維持管理が不可欠であります。
 このため、布設をした年度が古く、漏水の危険性が高い管路につきましては、耐震継ぎ手管への取りかえを随時行っております。とりわけ二〇二〇年東京大会の会場周辺につきましては、大会運営に支障のないよう、平成三十一年度までに完了いたします。
 なお、現在、事業のあり方を検討しておりますが、仮に事業廃止となった場合におきましても、配水管の破損により道路陥没が生じないよう、道路管理者などと調整し、必要な対策を講じてまいります。こうした取り組みにより、工業用水道施設の防災対策に万全を期してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小企業の知的財産の保護についてでございますが、都内の中小企業がすぐれた技術などを知的財産として保護できるよう、きめ細かい支援を行うことが必要でございます。
 このため、都は、中小企業の新しい技術や製品の開発を支援する取り組みの中で、必要に応じ、特許や商標登録などの申請に係る経費の一部を助成しております。
 今後は、起業して間もない会社が知的財産の保護を行った上で着実に事業を展開できるよう、創業期に必要なさまざまな費用の一部を助成する中で、特許申請等の経費を対象とすることを検討してまいります。
 また、区市町村による地域の産業振興の取り組みに補助を行う事業では、特許申請への助成を地元自治体が行う場合も対象としており、こうした支援を引き続き実施し、中小企業の知的財産の保護を着実に下支えしてまいります。
 次に、業界の実情に応じた人材確保支援についてでございますが、各業界において人手不足が深刻化する中、中小企業は、業種や業態によって人材確保に関する課題が異なりますことから、業界団体ごとに支援を行うことが効果的でございます。
 そこで、都は昨年度から、応募のあった団体の中から運送や介護、建設業界など事業効果が高い二十団体を選定し、若手社員の能力向上に向けた資格取得など、中小企業の人材確保や育成を二年間にわたり支援しております。
 今後は、これらの取り組みを普及、定着させるなど、中小企業の生産性向上や多様な人材の確保に向けて、各業界がみずから課題をよりきめ細かく分析した事業計画を策定できるよう後押しする方策を検討いたします。
 また、計画策定に当たりましては、専門家の意見をもとに、働き方改革や女性活躍推進といった都の重要施策を反映させることで、事業の実効性を高める仕組みもあわせて検討してまいります。
 次に、非正規雇用対策についてでございますが、都は、非正規で働く方々の正規雇用化に向けて、平成二十七年度から三年間で一万五千人を目標に社内での正規雇用への転換を図るとともに、正社員としての就職を促進するなど、総合的な対策を実施しているところでございます。
 このうち、社内での正規雇用への転換を促進する助成事業では、昨年度までの二年間で一万四千四百七十八人の正規雇用化を実現しておりまして、今年度はさらに二万人を超える申請を受け付けたところでございます。
 この間、都内の有効求人倍率は二倍を超えるなど、東京の雇用情勢は改善が続いており、深刻な人手不足を背景に、企業による正社員化の動きは活発化しております。
 今後は、正社員化を図る企業に対して、その後の定着を見据えた質のよい転換を促進することが重要であると考えております。
 正規雇用に転換した従業員が安心して働き続けることができるよう、計画的なキャリア形成機会の付与や退職金制度の整備等、良好な労働環境づくりに取り組む企業への支援を検討してまいります。
 最後に、被災地応援ツアーについてでございますが、東日本大震災による被災地復興支援のため、緊急対策の一環として、平成二十三年九月から実施をしているものでございます。
 今年度は、昨年度に引き続き、福島県への旅行者を対象に、宿泊二万泊、日帰り一万五千人分について、その費用の一部を助成しているところでございます。また、都内の学校が福島県内に教育旅行を行う場合に、福島県が実施をいたします教育旅行復興事業と連携をいたしまして、経費の一部に対して補助も行っているところでございます。
 今後、福島県の観光を取り巻く状況や現地の要望を十分に踏まえ、適切な支援を検討してまいります。
〔主税局長目黒克昭君登壇〕

○主税局長(目黒克昭君) 税に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、固定資産税に係る二つの条例減額制度の継続についてでありますが、商業地の地価動向は、地方圏で下落が続く一方で、三大都市圏では上昇基調を強めるなど、地域によって状況は大きく異なっております。中でも特別区の平均評価額は全国平均の約二十倍と極めて高い水準であり、中小企業者等の負担感への配慮が今後とも必要でございます。
 こうした状況を踏まえますと、固定資産税は資産価値に応じて課税するものでありますが、商業地等における税負担のあり方を検討する際には、全国一律の措置に加えて、各自治体の判断により税負担の調整を可能としていくことが引き続き重要であると認識しております。
 このため、平成二十九年度で適用期限が終了する地方税法に基づく二つの条例減額制度について、都は国に対し、既にその継続を強く要望してございます。
 次に、償却資産に係る固定資産税の申告制度についてでありますが、償却資産と法人税とで異なっている申告期限を一致させることは、事業者の負担を軽減し、申告漏れを防ぐ観点からも有効と認識してございます。
 一方で、事業者によっては、繁忙な決算期に償却資産の申告事務が重なることを危惧する声もございます。また、申告受け付けが通年となり、自治体側の体制整備が必要となるなど、検討すべき課題もございます。
 このため、今年度の東京都税制調査会では、事業者にわかりやすい簡素な制度とする観点から議論がなされ、また、国も関与する資産評価システム研究センターの研究会でも、学識経験者や都を含む自治体の職員により、現在検討が行われております。
 国も償却資産課税のあり方には問題意識を持っており、都としては、実務を担う立場から、納税者の利便性向上に向けて、国における今後の検討を後押ししてまいります。
 最後に、納税通知書への音声コード導入についてでありますが、視覚障害者の方々にとって音声による情報提供は、必要な情報を適切な時期に容易に入手できる環境を整える上で非常に重要でございます。
 都では、本年五月から、月刊広報紙「あなたと都税」に新たに音声コードを導入することにより、情報のバリアフリー化を推進してまいりました。
 納税通知書への音声コード導入は、記載された情報を正確に把握していただくことに加え、税に対する理解をより一層深めていただくという意義もあり、極めて効果的だと認識しております。そのため、税額や納期を初め、音声化する情報の精査、導入時期などの具体的な検討を進め、その実現に向けて取り組んでまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) SNSを活用した青少年の相談環境の整備についてでございますが、いわゆる自画撮り被害の防止には、画像を送らせないことが肝要であり、画像を要求された段階で早期に相談をしてもらうことが必要であります。
 そのような観点からも、こどもネット・ケータイヘルプデスク、こたエールについて、より多くの青少年に知ってもらうとともに、青少年がちゅうちょせずに安心して相談できる機能を整備していくことが重要であります。
 そこで、青少年の主なコミュニケーションツールがSNSとなり、被害の多くもそれらの利用から発生している実態を踏まえて、新たにSNSを活用しての相談受け付けや窓口の周知方法について検討するなど、青少年がより相談しやすい環境の整備を図ってまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、医療的ケア児の支援にかかわる人材の育成についてでありますが、医療的ケアが必要な障害児が地域で適切な支援を受けながら生活するためには、在宅生活を支えるサービスの充実とともに、その支援を担う人材の育成が重要でございます。
 このため、都は、地域の訪問看護ステーションの看護師を対象に、医療的ケア児や重症心身障害児者に必要な看護や在宅での呼吸管理、栄養管理等に関する知識、技術を習得するための研修や、訪問実習を行っております。
 さらに、今年度から、医療的ケア児の支援にかかわる区市町村や相談支援事業所、通所事業所などの職員を対象に、医療的ケア児の理解や支援の留意点、地域連携等を学ぶ研修を四百五十人の規模で開催をいたします。
 今後、医療的ケア児が地域で安心して生活できるよう、支援を担う人材のさらなる育成に取り組んでまいります。
 次に、病院と地域の多職種との連携についてでありますが、都はこれまで、患者や家族が安心して在宅療養に移行できるよう、退院支援マニュアルの作成、退院支援や医療と介護の連携に取り組む看護師等の育成、こうした人材を配置する中小病院への支援を行ってまいりました。
 また、医療職、介護職の連携や相互理解を促進するため、症例検討会等を開催するとともに、病院スタッフと診療所、訪問看護ステーションのスタッフがお互いの職場で業務を体験する研修を実施しております。
 お話のとおり、在宅療養に円滑に移行するためには、入院当初から退院後を見据えた患者の状態や療養環境に応じた支援が必要であり、今後、病院とかかりつけ医、訪問看護師、ケアマネジャー等の地域の多職種との連携を一層強化し、入退院支援の充実に取り組んでまいります。
 最後に、心身障害者医療費助成制度の精神障害者への拡大についてでありますが、現在の制度では、所得税法の特別障害者控除の対象要件や医療費の実態を踏まえ、国の特別障害者手当に準拠した所得制限の範囲内で、身体障害者手帳一級、二級、内部障害の三級、愛の手帳一度、二度の方を対象に、医療費の自己負担分の一部を助成しており、申請書の受理や受給者証の交付などの窓口業務は、事務処理特例条例により区市町村が実施をしております。
 こうしたことを踏まえながら、都は、精神障害者への対象拡大に向け検討を進めており、現在、医療関係団体の意見も聞きながら、対象者の範囲や施行時期等について、区市町村と協議、調整を行っているところでございます。
〔病院経営本部長内藤淳君登壇〕

○病院経営本部長(内藤淳君) 多摩総合医療センターのがん検査体制についてでございますが、がん治療では、早期診断と早期治療が有効であり、検査から高度な治療までワンストップで提供できる体制が重要でございます。
 このため、今回の基本構想案では、東京都がん検診センターの高度な精密検査機能を統合し、新たに、仮称ではございますが、外来がん検査・治療センターとして整備することとしてございます。
 具体的には、早期発見のため、微小な病変でも発見できる乳がん検査装置であるPEMの導入や、内視鏡部門を都内有数の検査規模へ拡充するなど、精度の高い検査体制を構築いたします。また、女性専用エリアなど受診しやすい環境づくりにも取り組んでまいります。
 今後は、こうした取り組みと市町村が実施する検診事業との役割分担のもと、一層緊密に連携し、がんの早期発見とそれに基づく高度な治療の実現に努めてまいります。
〔生活文化局長塩見清仁君登壇〕

○生活文化局長(塩見清仁君) エシカル消費に係る取り組みについてのお尋ねでございます。
 エシカル消費とは、フェアトレード商品のほか、リサイクル製品、被災地産品の消費など、人や社会、環境に配慮した消費行動とされております。持続可能な社会の形成に貢献するこうしたエシカル消費の推進には、消費者の理解と行動が不可欠であるため、行政による普及啓発等の取り組みが重要でございます。
 都では現在、来年度を初年度とする五カ年の東京都消費生活基本計画の改定を進めており、先月公表いたしました素案では、エシカル消費などの持続可能な消費の普及を政策の柱に新たに位置づけております。
 今後、本計画をもとに、例えば若者が集まるイベントでの普及啓発や講座の開催などを通しまして、消費者が、できるところからエシカル消費を選択していけるよう、しっかり取り組んでまいります。

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