平成二十九年東京都議会会議録第十八号

平成二十九年十二月一日(金曜日)
 出席議員 百二十五名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番成清梨沙子君
四番鈴木 邦和君
五番おじま紘平君
六番平  慶翔君
七番後藤 なみ君
九番やながせ裕文君
十番大場やすのぶ君
十一番山内れい子君
十二番伊藤しょうこう君
十三番田村 利光君
十四番藤井とものり君
十五番池川 友一君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番滝田やすひこ君
二十一番藤井あきら君
二十二番奥澤 高広君
二十三番森口つかさ君
二十四番村松 一希君
二十五番内山 真吾君
二十六番森澤 恭子君
二十七番おときた駿君
二十八番菅野 弘一君
二十九番川松真一朗君
三十番小松 大祐君
三十一番柴崎 幹男君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番原田あきら君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番遠藤  守君
三十九番伊藤こういち君
四十番もり  愛君
四十一番龍円あいり君
四十二番あかねがくぼかよ子君
四十三番保坂まさひろ君
四十四番関野たかなり君
四十五番森村 隆行君
四十六番福島りえこ君
四十七番鳥居こうすけ君
四十八番つじの栄作君
四十九番上田 令子君
五十番舟坂ちかお君
五十一番清水 孝治君
五十二番三宅 正彦君
五十三番神林  茂君
五十四番西沢けいた君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とや英津子君
五十九番大松あきら君
六十番まつば多美子君
六十一番高倉 良生君
六十二番上野 和彦君
六十三番菅原 直志君
六十四番清水やすこ君
六十五番白戸 太朗君
六十六番木下ふみこ君
六十七番斉藤れいな君
六十八番増田 一郎君
六十九番入江のぶこ君
七十番佐野いくお君
七十一番細谷しょうこ君
七十二番両角みのる君
七十三番ひぐちたかあき君
七十四番高橋 信博君
七十五番中屋 文孝君
七十六番古賀 俊昭君
七十七番宇田川聡史君
七十八番山口  拓君
七十九番河野ゆりえ君
八十番米倉 春奈君
八十一番白石たみお君
八十二番里吉 ゆみ君
八十三番のがみ純子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番小磯 善彦君
八十七番藤井  一君
八十八番馬場 信男君
八十九番本橋ひろたか君
九十番田の上いくこ君
九十一番桐山ひとみ君
九十二番たきぐち学君
九十三番米川大二郎君
九十四番石川 良一君
九十五番中山ひろゆき君
九十六番山田ひろし君
九十七番岡本こうき君
九十八番小宮あんり君
九十九番山崎 一輝君
百番吉原  修君
百一番三宅 茂樹君
百二番中村ひろし君
百三番とくとめ道信君
百四番尾崎あや子君
百五番和泉なおみ君
百六番長橋 桂一君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番大津ひろ子君
百十一番栗下 善行君
百十二番木村 基成君
百十三番伊藤 ゆう君
百十四番小山くにひこ君
百十五番荒木ちはる君
百十六番山内  晃君
百十七番増子ひろき君
百十八番石毛しげる君
百十九番尾崎 大介君
百二十番早坂 義弘君
百二十一番鈴木 章浩君
百二十二番秋田 一郎君
百二十三番高島なおき君
百二十四番あぜ上三和子君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番曽根はじめ君
 欠席議員 一名
八番 西郷あゆ美君
 欠員
    五十五番
 出席説明員
知事小池百合子君
副知事川澄 俊文君
副知事長谷川 明君
副知事猪熊 純子君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務邊見 隆士君
政策企画局長遠藤 雅彦君
総務局長多羅尾光睦君
財務局長武市  敬君
主税局長目黒 克昭君
警視総監吉田 尚正君
生活文化局長塩見 清仁君
オリンピック・パラリンピック準備局長潮田  勉君
環境局長和賀井克夫君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長藤田 裕司君
建設局長西倉 鉄也君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長土渕  裕君
交通局長山手  斉君
消防総監村上 研一君
水道局長中嶋 正宏君
下水道局長渡辺志津男君
青少年・治安対策本部長大澤 裕之君
病院経営本部長内藤  淳君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長浜 佳葉子君
人事委員会事務局長砥出 欣典君
労働委員会事務局長池田 俊明君
監査事務局長岡崎 義隆君
収用委員会事務局長佐藤  敦君

十二月一日議事日程第一号
第一 第百六十四号議案
東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百六十五号議案
東京都地方独立行政法人評価委員会条例の一部を改正する条例
第三 第百六十六号議案
東京都職員の退職管理に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百六十七号議案
東京都都税総合事務センター設置条例の一部を改正する条例
第五 第百六十八号議案
有明アリーナの公共施設等運営権に係る実施方針に関する条例
第六 第百六十九号議案
東京都障害者スポーツセンター条例の一部を改正する条例
第七 第百七十号議案
東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
第八 第百七十一号議案
東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百七十二号議案
東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百七十三号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十一 第百七十四号議案
東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第十二 第百七十五号議案
東京都国民健康保険保険給付費等交付金条例
第十三 第百七十六号議案
東京都国民健康保険事業費納付金条例
第十四 第百七十七号議案
東京都国民健康保険運営協議会条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十八号議案
東京都国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第十六 第百七十九号議案
東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
第十七 第百八十号議案
東京都立産業貿易センター条例の一部を改正する条例
第十八 第百八十一号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第百八十二号議案
東京都立公園条例の一部を改正する条例
第二十 第百八十三号議案
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第二十一 第百八十四号議案
東京都デートクラブ営業等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第百八十五号議案
特定異性接客営業等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第二十三 第百八十六号議案
警視庁本部庁舎(二十九)大規模改修工事請負契約
第二十四 第百八十七号議案
東京消防庁調布消防署庁舎(二十九)改築工事請負契約
第二十五 第百八十八号議案
東京都公文書館(二十九)改築工事請負契約
第二十六 第百八十九号議案
大井ホッケー競技場(仮称)(二十九)新築及び改修その他工事請負契約
第二十七 第百九十号議案
東京都公文書館(二十九)改築空調その他設備工事請負契約
第二十八 第百九十一号議案
平成二十九年度十三号地新客船ふ頭ボーディングブリッジ製作据付工事請負契約
第二十九 第百九十二号議案
大井ホッケー競技場(仮称)(二十九)新築及び改修その他電気設備工事請負契約
第三十 第百九十三号議案
東京都島しょ農林水産総合センター漁業調査指導船「やしお」製造請負契約
第三十一 第百九十四号議案
平成二十九年度十三号地新客船ふ頭岸壁建設工事(その一)請負契約
第三十二 第百九十五号議案
下高井戸調節池工事請負契約
第三十三 第百九十六号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二十八)請負契約
第三十四 第百九十七号議案
公立大学法人首都大学東京定款の変更について
第三十五 第百九十八号議案
東京都人権プラザの指定管理者の指定について
第三十六 第百九十九号議案
当せん金付証票の発売について
第三十七 第二百号議案
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター定款の変更について
第三十八 第二百一号議案
東京都船形学園の指定管理者の指定について
第三十九 第二百二号議案
東京都八街学園の指定管理者の指定について
第四十 第二百三号議案
東京都勝山学園の指定管理者の指定について
第四十一 第二百四号議案
東京都片瀬学園の指定管理者の指定について
第四十二 第二百五号議案
東京都七生福祉園の指定管理者の指定について
第四十三 第二百六号議案
東京都八王子福祉園の指定管理者の指定について
第四十四 第二百七号議案
東京都千葉福祉園の指定管理者の指定について
第四十五 第二百八号議案
東京都東村山福祉園の指定管理者の指定について
第四十六 第二百九号議案
東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
第四十七 第二百十号議案
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター定款の変更について
第四十八 第二百十一号議案
東京都立葛西海浜公園の指定管理者の指定について
第四十九 第二百十二号議案
東京都立小峰公園の指定管理者の指定について
第五十 第二百十三号議案
東京都高尾ビジターセンターの指定管理者の指定について
第五十一 第二百十四号議案
東京都御岳ビジターセンターの指定管理者の指定について
第五十二 第二百十五号議案
東京都御岳インフォメーションセンターの指定管理者の指定について
第五十三 第二百十六号議案
東京都立大島公園海のふるさと村の指定管理者の指定について
第五十四 第二百十七号議案
東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定について
第五十五 第二百十八号議案
東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定について
第五十六 第二百十九号議案
東京都檜原都民の森の指定管理者の指定について
第五十七 第二百二十号議案
東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定について
第五十八 第二百二十一号議案
東京都立葛西臨海公園の指定管理者の指定について
第五十九 第二百二十二号議案
消防・救急デジタル無線設備の買入れについて
第六十 第二百二十三号議案
無停電電源装置の買入れについて
第六十一 第二百二十四号議案
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第二百二十五号議案
東京都公営企業の管理者の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第二百二十六号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第六十四 第二百二十七号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六十五 第二百二十八号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六十六 第二百二十九号議案
東京都知事等の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十七 第二百三十号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十八 第二百三十一号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第二百三十二号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第七十 第二百三十三号議案
東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
議事日程第一号追加の一
第一 議員提出議案第十九号
地方消費税の清算基準の見直しに関する意見書

   午後一時開会・開議

○議長(尾崎大介君) ただいまから平成二十九年第四回東京都議会定例会を開会をいたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(尾崎大介君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

○議長(尾崎大介君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   四番   鈴木 邦和君 及び
   六十四番 清水やすこさん
を指名いたします。

○議長(尾崎大介君) 次に、議会局の局長に異動がありましたので、紹介をいたします。
 議会局長松山英幸君。
〔局長挨拶〕

○議長(尾崎大介君) 以上で紹介を終わります。

○議長(尾崎大介君) 謹んでご報告を申し上げます。
 名誉都民岸本忠雄氏には、去る十月六日、また、名誉都民小宮康孝氏には、十月二十四日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

○議長(尾崎大介君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松丸俊之君) 平成二十九年十一月二十四日付東京都告示第千七百二十七号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案七十件の送付がありました。
 次に、平成二十九年第三回定例会の会議において同意を得た副知事、教育委員会委員及び人事委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、知事及び三行政委員会より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更及び説明員の委任の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、人事委員会より、平成二十九年十月六日付で、都の一般職の職員の給与についての勧告等がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
 次に、住民監査請求について、地方自治法等の一部を改正する法律附則第二条第三項の規定により通知がありました。
(別冊参照)

○議長(尾崎大介君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第三回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一一ページ)に掲載〕

○議長(尾崎大介君) 次に、閉会中の議員の辞職について申し上げます。
 去る十一月十五日付をもって、北多摩第三選出いび匡利君より、議員を辞職したい旨、届け出がありました。
 本件は、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、議長において、同日付をもって辞職を許可いたしました。

○議長(尾崎大介君) 次に、先般、副知事に就任されました方々をご紹介いたします。
 副知事長谷川明君。
〔副知事長谷川明君登壇〕

○副知事(長谷川明君) 先般の第三回定例会におきまして、選任のご同意をいただき、副知事を拝命いたしました長谷川明でございます。
 二〇二〇年とその先に向け、都民生活の向上と東京のさらなる発展のため、災害に強い都市づくりや魅力あふれるまちづくりなどの課題に、知事のもと全力を尽くして取り組んでまいります。
 都議会の皆様のご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。

○議長(尾崎大介君) 副知事猪熊純子さん。
〔副知事猪熊純子君登壇〕

○副知事(猪熊純子君) 先般の第三回定例会におきまして、選任のご同意をいただき、副知事を拝命いたしました猪熊純子でございます。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を成功させるとともに、これを契機に、東京を将来にわたり持続的に発展させ、都民生活の向上につなげることを目指し、小池知事のもと全力で取り組んでまいります。
 都議会の皆様のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

○議長(尾崎大介君) 以上をもって副知事の紹介は終わりました。

○議長(尾崎大介君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 政策企画局長遠藤雅彦君、環境局長和賀井克夫君、会計管理局長土渕裕君、人事委員会事務局長砥出欣典君、労働委員会事務局長池田俊明君、収用委員会事務局長佐藤敦君。
〔理事者挨拶〕

○議長(尾崎大介君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(尾崎大介君) 次に、閉会中の常任委員の所属変更について申し上げます。
 去る十月五日付をもって、おときた駿君より、経済・港湾委員から公営企業委員へ、鈴木邦和君より、公営企業委員から経済・港湾委員へ、また、十一月十六日付をもって、清水ひで子さんより、警察・消防委員から財政委員へ、それぞれ常任委員の所属変更の申し出がありましたので、委員会条例第五条第三項ただし書きの規定により、議長において、それぞれ同日付をもってこれを許可いたしました。

○議長(尾崎大介君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る十一月二十四日付をもって、和泉なおみさんより辞任願が提出をされましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって、おときた駿君を指名いたしました。

○議長(尾崎大介君) 次に、閉会中の平成二十八年度各会計決算特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る十月五日付をもって、上田令子さんより辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって、ひぐちたかあき君を指名いたしました。
 また、議員の辞職に伴い、同委員に欠員が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、去る十一月十五日付をもって、和泉なおみさんを指名いたしました。

○議長(尾崎大介君) 次に、閉会中の平成二十八年度公営企業会計決算特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る十月五日付をもって、おときた駿君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって奥澤高広君を指名いたしました。

○議長(尾崎大介君) 次に、閉会中のオリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 議員の辞職に伴い、同委員に欠員が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、去る十一月十五日付をもって曽根はじめ君を指名いたしました。
 また、去る十一月二十四日付をもって、曽根はじめ君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって、おときた駿君を指名いたしました。

○議長(尾崎大介君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十九号、地方消費税の清算基準の見直しに関する意見書が提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

○議長(尾崎大介君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十二月十五日までの十五日間といたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十五日間と決定いたしました。

○議長(尾崎大介君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事小池百合子さん。
〔傍聴席にて発言する者あり〕

○議長(尾崎大介君) 傍聴人は静粛に願います。
〔傍聴席にて発言する者あり〕

○議長(尾崎大介君) 傍聴人の方に申し上げます。
 退場を命じますので、静粛にお願いします。
〔傍聴席にて発言する者あり〕

○議長(尾崎大介君) そちらの傍聴人の方も静粛に願います。
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 平成二十九年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。
 十月六日、名誉都民である木彫刻師、岸本忠雄さんが逝去されました。また、十月二十四日、同じく名誉都民である染織家、小宮康孝さんが逝去されました。ここに謹みまして追悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 まず、このたびの総選挙に当たりまして、私自身の行動により多くの皆様にご困惑、ご心配をおかけをいたしました。みずからを厳しく省み、改めて都民第一、都民ファーストの姿勢で都政に専念いたしたく、ご指導、ご協力のほどよろしくお願いを申し上げます。
 激動する世界の流れに東京が追いつけるか。少子高齢化が急速に進み、かつてない危機が見込まれる中、東京は改革のスピードを上げていかねばなりません。
 平成二十七年国勢調査では、全国の人口は一億二千七百九万人と、前回から約九十六万人減少し、調査開始以降初めての減少となりました。東京の人口さえも、団塊世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年の千三百九十八万人をピークとして減少に転じる見込みであります。そして、国の推計では、我が国の人口が現在のペースで減り続け、生産性の改革も進まなければ、二〇四〇年代には、経済のマイナス成長が定着するとされております。
 こうした中、従来の延長線上の政治を繰り返していては、東京と日本の明るい未来を切り開くことはかないません。労働生産性は、先進七カ国の中で最も低い。女性活躍も期待どおりには進まず、世界経済フォーラムが各国の男女平等の度合いを示したランキングは、昨年からさらに後退をいたしました。我が国がこうした現状を打ち破り、人口減少の中にあっても成長の軌道を描いていくためには、日本経済のエンジンである東京が改革を加速し、日本全体を牽引しなければならないのであります。
 ところが、国は、東京対地方の構図をいたずらにあおり、東京の成長力、ひいては日本の国際競争力をそぐことになりかねない動きを見せております。
〔傍聴席にて発言する者あり〕

○議長(尾崎大介君) 静粛に願います。退場させてください。

○知事(小池百合子君) 二十三区の大学の定員増や学部等の新増設の抑制は、ただでさえ地盤沈下が激しい日本の大学の国際的地位を低下させるだけであります。
 また、地方消費税の清算基準の見直しは、税収を最終消費地に帰属させるという本来の趣旨をゆがめ、地方が抱える巨額の財源不足を、日本の経済成長を支える東京などの地域に穴埋めさせるものにほかなりません。
 東京の貴重な財源を守るため、まずは先月、愛知県、大阪府、都内自治体とともに、地方税を所管する野田総務大臣への要請を行ってまいりました。また、国の主張の問題点や都の考え方を反論書として取りまとめ、国会議員の方々にも都の訴えを後押ししていただくよう、幅広く働きかけを進めております。引き続き、私自身、関係する国会議員と面会をし、要請を行うなど積極的に行動してまいります。
 国が果たすべき役割を東京に押しつけ、東京から財源を不当に収奪することで都民生活を脅かす不合理な措置に対し、都議会の皆様や区市町村等と力を合わせて、あらゆる機会を捉えて強く反論をしてまいります。
 東京の持続的な成長が日本の経済成長を牽引する原動力となる。そうした確信のもと、私はこれまで、都政の体質を変えるべく、情報公開を徹底しながら、大胆な待機児童対策、都市間競争を勝ち抜く成長戦略の展開、二〇二〇年大会を契機としたさらなる成熟都市への取り組みを初め、幅広く力を尽くしてまいりました。
 今後も、東京に課せられた使命を肝に銘じながら、都民ファーストを基本に、東京大改革を推し進めてまいります。そして情報公開や賢い支出を手段とし、安全・安心なセーフシティー、誰もが活躍できるダイバーシティー、成長を生み出すスマートシティーの三つのシティーを実現してまいります。
 現在、進めている予算編成につきましては、昨年度、いわゆる政党復活予算を廃止し、各種団体からの意見を公開の場で伺うヒアリングを開始をいたしました。今年度は、昨年度より一カ月以上前倒しをしてヒアリングを行い、早い段階から現場の声に耳を傾けるとともに、改革の第二弾として、都民の皆様や意欲あふれる職員からの提案を施策形成に生かす取り組みを進めております。都民の新しい発想や職員が現場で積み重ねてきた知識と経験を積極的に取り入れる新たな手法で、喫緊の課題の解決に向けた政策を練り上げてまいります。
 また、都政改革本部におきましては、各局の主要事業について、予算、人員、成果などをわかりやすく明示し、政策の見直しや刷新、執行の効率化、民間や監理団体との役割分担等を検討する、見える化改革を精力的に進めております。
 先日の本部会議では、八局からそれぞれの事業を客観的なデータなどにより分析した結果の報告がございました。今月の本部会議におきましても、多くの局から報告を受ける予定でございます。
 今後は、各局において、ふだんから見える化改革の手法を生かして、事業のあり方について戦略的な検討を行ってまいります。さらに、監理団体のあり方、人材育成、働き方改革による人事制度の見直し等にも取り組んでおり、年度末までの本部会議で議論する予定としております。
 こうした改革と並行して、人が生きる、人が輝く東京を目指した重点政策方針に基づいて、超高齢社会への対応、保育サービスの質と量の充実など、人に焦点を当てた施策を力強く展開をいたします。その先に、誰もが輝く新しい東京を実現するため、汗をかいてまいります。
 誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティーを実現し、都民一人一人の活力を高めることは、東京に持続的な成長をもたらす大前提であります。これより、人が輝くために重点的に展開していく施策について申し述べてまいります。
 高齢者の方々が地域で安心して暮らしながら、いつまでも意欲旺盛に活躍できる社会をいかに実現するか。超高齢社会に突入し、二〇二五年には団塊世代が全て七十五歳以上となる東京にとりまして、待ったなしの問題であります。
 先月立ち上げた超高齢社会における東京のあり方懇談会では、各分野の有識者の皆様に、生涯現役での社会参加、多世代交流の促進、先端技術の活用など、人生百年時代の社会のあり方を幅広く検討いただいております。その成果は、可能なものから来年度予算案に反映させるとともに、来年八月をめどに政策提言としてまとめていただく予定であります。世界に例を見ない速度で高齢化が進む東京から、これからの先進的な地域モデルを国内外に発信してまいりたいと思います。
 一方で、次代を担う子供一人一人が健やかに成長できる社会の確立も進めてまいります。その道筋を示す子供・子育て支援総合計画につきましては、計画期間の中間年となる今年度、これまでの施策の成果や社会状況の変化などを踏まえた見直しを行います。
 具体的には、貧困の世代間連鎖を断ち切り、全ての子供が夢に向かって輝ける社会の実現に向けて、総合的な子供の貧困対策を盛り込んでまいります。また、子育て世帯を対象とした保育ニーズ実態調査の結果などを踏まえ、保育サービスの整備目標を検証するなど、この計画を待機児童の解消に向けた確かな羅針盤としていきたいと思います。
 既に、来年四月からの保育施設への入園申し込みも始まっております。待機児童対策については、就任以来、矢継ぎ早に大型の施策を展開して、保育施設の定員は一年間で二万人を超える過去最大の増加を実現いたしました。今年度も引き続き定員増加に最大限努め、社会で活躍する女性の不安を解消するだけでなく、女性の活力を社会に生かせる環境づくりに努めます。
 大いなる可能性を秘める子供たちは、東京が未来へ羽ばたく原動力であります。今月十四日には、東京を担う人材育成に取り組む都立高校の現状と課題をテーマとして、知事と教育委員会の協議の場であります今年度二回目の総合教育会議を開催をいたします。特色ある取り組みを進める四校の校長にも参加いただいて、人材育成に向けた教育のあり方などについて、教育委員の皆様とともに議論を深めてまいります。ここでの議論は、来年度に策定を予定いたしております都立高校改革の次期実施計画に反映させ、都立高校のさらなる発展に生かしていきたいと思います。
 学校現場の課題の複雑化や教育内容の一層の充実などを背景に、教員の長時間勤務が常態化しております。教員が心身ともに健康で、誇りとやりがいを持って職務に従事できるよう、先月、学校における働き方改革推進プランの中間まとめを発表いたしました。教員を支える体制の確保や部活動の負担軽減など、五つの方向性を打ち出して、保護者や地域社会の理解も図っていくことといたしております。都民の意見を踏まえて来年二月にプランを公表して、教育委員会や区市町村と連携しながら、教育の質の維持向上につなげてまいります。
 柔軟な働き方を可能とするテレワークは、生産性の向上や、女性、高齢者の活躍推進に向けた起爆剤でございます。都内企業におけるテレワーク導入をさらに加速するため、昨日、約七万八千の会員企業などを有する東京商工会議所の三村会頭と働き方改革の推進に向けた協定を締結をいたしました。多摩地域を含め都内の商工団体とも連携しながら、都が進める時差ビズや働き方改革宣言企業制度とあわせてテレワークの普及に取り組んでまいります。
 都庁における働き方改革も着実に進展しております。十月からは、翌日の勤務開始まで一定時間をあけることを義務づける勤務間インターバルや土日連続勤務の禁止の試行を始めたところであります。弾力的に勤務時間を設定できるフレックスタイム制についても、来年四月からの本格導入に向け、本定例会に条例の改正案を提案しております。
 先日、都庁働き方改革宣言を行った私自身を初め、特別職、全局長がリーダーシップを発揮して、生産性の高い職場環境を実現することで、都庁から、東京、日本の働き方を変えてまいります。
 安全・安心に暮らせる社会は都民の活力の基盤であります。震災への備え、治安向上、テロ対策を初め、セーフシティーを実現する取り組みを幅広く進めてまいります。
 ますます激甚化する自然災害に対しては、災害即応対策本部の設置や区市町村との緊密な連携などにより的確な対応を行ってまいりました。台風に伴う大雨や高潮については、都内各所の調節池や防潮堤、水門が大いに効果を発揮しております。引き続き、ハード面の整備や関係機関と連携した迅速な情報収集、発信等によりまして、自然災害の脅威から都民の生命と財産をしっかり守ってまいります。
 震災時の道路閉塞を防ぐ無電柱化につきましては、十一月十日の無電柱化の日に啓発イベントを開催し、その意義や課題を多くの皆様と共有をいたしました。引き続き都民の共感を広げながら、コスト縮減につながる技術開発等に取り組んでまいります。
 また、年度内には、国の動きも踏まえ、基本方針や整備目標を定めた新たな計画を策定し、電柱のない安全、快適なまち並みを都内全域に着実に広げていきたいと思います。
 悪質商法を初めとする消費者被害は、いまだ後を絶ちません。超高齢化や電子商取引の増加など、社会の変化にも的確に対応するべく、先月、新たな消費生活基本計画の素案を公表いたしました。人、社会、環境に配慮したエシカル消費の理解の促進や、成年年齢引き下げを見据えた若年層への消費者教育の充実など、時代に即した取り組みを盛り込んでおります。年度末を目途に計画を策定し、情報発信にも工夫を凝らして、消費者である都民の安全・安心を確保してまいります。
 子供たちを取り巻く脅威も見過ごせません。いわゆる自画撮り被害の防止に向け、本定例会に青少年の健全な育成に関する条例の改正案を提案いたしました。被害防止に向けた普及啓発の推進を都の責務とするとともに、青少年に対し、画像の提供を不当に求める行為を罰則をもって禁ずるものであります。条例に基づく規制によりまして青少年を確実に守り、子供たちを健全に育む社会の実現をさらに加速してまいります。
 世界の都市間競争に打ち勝つ。都民の皆様が好景気を実感できる。そのための成長を生み続けるスマートシティーの実現に向けて、都民の大いなる活力を土台に成長戦略を力強く展開してまいります。
 アジアナンバーワンの国際金融都市の地位を取り戻す。その道のりを確実に歩むべく、先月、東京版金融ビッグバンともいうべき新たな構想を発表いたしました。官民一体の金融プロモーション組織の設立や新興資産運用業者の育成プログラムの導入など、日本初となるものも含めた具体的な取り組みを打ち出しております。
 来週には、伝統ある金融街、シティー・オブ・ロンドンと金融分野で交流、協力を深めるための合意書を締結するなど、国内外の関係者や国、民間事業者等とも連携しながら、これらの取り組みを迅速かつ果敢に進めてまいります。
 先日のシンガポール出張では、この構想に基づく東京の取り組みを広くアピールをしてまいりました。あわせて国際金融センターとして、アジアを牽引するシンガポールの現状を目の当たりにし、リー・シェンロン首相や閣僚と幅広く意見交換を行うことで、国際競争のスピードを改めて実感をいたしました。その中で、我が国が世界をリードしていくため、東京は金融分野で日本を伸ばす先兵となる。その決意新たに今回の出張の成果を、世界に冠たる国際金融都市の実現に生かしていきたいと存じます。
 都内の産業力の源泉である中小企業のポテンシャルを大きく引き出し、東京の持続可能な成長の基盤を強化してまいります。先月の産業交流展では、革新的な製品やサービスを生み出した三十二の中小企業を表彰いたしました。世界に発信できる技術や発想を持つ中小企業が、都内に数多く存在すること、改めて頼もしく感じたところであります。
 あわせて、中小企業における女性の活躍をしっかりと応援するために、昨年度に続きまして三名の女性の経営者に特別賞を贈呈いたしました。中小企業やそこで働く女性の意欲を一層高め、すぐれた製品、サービスの開発を後押しするとともに、広く国内外への販路拡大を目指してまいります。
 地域経済の象徴である商店街を元気にしていくことも重要であります。商店街での開業を目指す若者や女性が、店舗運営や販売を通じてノウハウを蓄積できるチャレンジショップを今月末に自由が丘に開設をいたします。これまでにない新たな発想で、多彩な商品やサービスを生み出す意欲的な担い手を支援し、商店街のさらなる活性化につなげていきたいと存じます。
 先月のCOP23では、二〇二〇年からの温暖化対策の枠組みとなるパリ協定について、ルールづくりを加速する合意がなされました。世界の都市や企業におきましても脱炭素社会に向けた機運が高まる中、地球環境と調和して持続的な成長を目指す東京も、行動を力強く推進をいたします。
 十月、パリで開催された世界大都市気候先導グループC40の会合は、エネルギーの大消費地である各都市が、気候変動対策に関する制度や経験を共有する有意義な機会でございました。
 私は、その場で、オフィスビルなども含めて、CO2削減を義務づける世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度をアピールし、この制度の一つの成果となる東京ゼロカーボンフォーデーズイン二〇二〇の実施を発表いたしました。オリンピック・パラリンピックの開会式、閉会式の計四日間におきまして、事業者が持つCO2の超過削減量を活用して、オフセットを実施し、都内のCO2排出量をゼロとする取り組みであります。
 都として省エネルギー対策をさらに推進するとともに、多くの事業者から協力をいただいて、ゼロカーボンデーを実現できることで、CO2を排出しないゼロエミッション都市を官民一体で目指す東京の姿を、世界に強く印象づけてまいります。
 急速な経済成長を続けるアジアの大都市では、廃棄物や大気汚染の問題が共通の環境課題であります。そこで、欧米の先進都市も交えて政策や英知を共有し、解決策を議論する都主催の環境国際会議を来年五月に開催をいたします。国際的に活躍する有識者を基調講演者に迎えて、C40の加盟都市にも参加を呼びかけることで、国内外への訴求力、発信力を高め、世界における環境対策の推進に積極的に貢献してまいります。
 東京の都市機能をさらに高めるため、ICT活用の今後の展開を示すICT戦略の策定を進めております。日進月歩で進化するICTをツールとして、災害対応力の向上、高齢者や障害者にもっと優しいまちの実現、成長力の強化など三つのシティーの姿のさらなる進化を目指したいと思います。今月末を目途に戦略を公表して、ICTの大きな可能性を新しい東京づくりに最大限に生かしてまいります。
 持続的な成長を生み、活力にあふれる拠点を形成する。人、物、情報の自由自在な交流を実現する。都市づくりのグランドデザインに掲げたこれらの戦略は、まさに東京の重要な成長戦略であります。この実現に向けて、都市計画の基本的方針でありますマスタープランの改定の検討を進めて、来年早々には東京の土地利用のあり方について、都市計画審議会に諮問するなど、具体的な取り組みを開始いたします。持続的に発展する高度成熟都市を目指して、次世代への思いも込めながら、一つ一つのステップを重ねてまいります。
 また、人や物の活発な交流の基盤となる道路ネットワークにつきましては、渋滞解消や災害時の首都機能の維持など、多岐にわたる効果を発揮する首都圏三環状道路の整備に重点的に取り組んでまいります。あわせまして、区部放射、環状道路や多摩南北、東西道路など、骨格幹線道路の整備も推進をして、新たな価値と活力を生み続ける東京をつくり上げてまいります。
 一方で、都市づくりにおける適正な環境配慮は、子や孫の世代に良好な都市環境を引き継ぐためには欠かせません。大規模な開発事業等について周辺環境への影響を抑える手続である環境影響評価制度は、創設から三十七年が経過し、更新期を迎える建物などの増加も見込まれるなど、取り巻く状況は変化いたしております。引き続き適切でわかりやすい運用を行うために、環境影響評価条例の改正を含めた制度の見直しにつきまして、今月、審議会に諮問し、検討を進めてまいります。
 先日のパリ出張では、アンヌ・イダルゴ・パリ市長、エリック・ガルセッティ・ロサンゼルス市長と面会をして、東京に続くオリンピック・パラリンピック開催都市の長と連携を深める貴重な機会となりました。持続可能な大会のバトンをしっかりと引き継ぐべく、組織委員会、国、全国の自治体などとオールジャパンで緊密に連携しながら、残り一千日を切った大会までの一日一日を大切に積み重ねたいと思います。
 先週、大会会場となります新たな競技施設の第一号として、武蔵野の森総合スポーツプラザが開業をし、オープニングイベントを実施いたしました。大会時に繰り広げられるバドミントン、近代五種のフェンシング、車椅子バスケットボールの熱戦への期待を膨らませるとともに、大会準備が着実に進んでいる手応えを感じたところであります。
 同じく、大会に向けて整備が進む有明アリーナについては、管理運営に民間の力を最大限活用するコンセッション方式を都として初めて導入をし、大会後もスポーツ、文化の一大拠点として長く愛されるレガシーとしてまいります。本定例会には、その実施方針の策定に向けました条例案を提案いたしております。将来的には、有明アリーナ周辺を、有明レガシーエリアとして、民間のノウハウと創意工夫を生かして、新たなにぎわいを創出していきたいと思います。
 受動喫煙防止対策につきましては、九月に公表した受動喫煙防止条例の基本的な考え方への意見募集に対し、約一万七千件のご意見をいただきました。引き続き、条例制定に向けて検討を重ねてまいります。
 さきの定例会では、都議会の皆様から、子供がいる室内や車内で喫煙しないことなどを努力義務として定める、子どもを受動喫煙から守る条例が提案され、成立をいたしました。都といたしましても、多数の人が利用する施設を原則屋内禁煙とする条例の制定を目指すことで、議会と知事が切磋琢磨しながら政策を練り上げ、よりよい東京をつくり上げていく一つのモデルケースとしていきたいと存じます。
 大会の成功と東京、日本のさらなる成長を目指し、六分野で十三のプロジェクトを展開しておりますホストシティTokyoプロジェクトを引き続き力強く推進してまいります。
 魅力発信の分野におきましては、東京文化プログラムの認知度向上や発信力強化を図る戦略的なプロモーションを新たに進めてまいります。そして、二〇二〇年四月からの半年間は、Tokyo Tokyo FESTIVALと銘打って、集大成となるプログラムを集中的に展開することで、世界を大いに魅了したいと存じます。
 来年二月からは、パリ市との文化交流事業であるパリ東京文化タンデム二〇一八を開催いたします。秋には、パリ市庁舎前におきまして、風呂敷をテーマとしたアートイベントを行うなど、東京とパリの双方で互いの芸術文化の魅力を発信する多彩な事業を実施してまいります。
 また、来年は、江戸が東京となりまして百五十年の節目であり、これを好機として、伝統と革新が共存する東京の魅力をアピールしたいと存じます。象徴となるロゴマークを作成し、記念イベントを初め、さまざまな取り組みを展開することで、都民とともに東京百五十年を祝い、盛り上げ、東京の奥深い魅力を国内外に広く発信してまいります。
 次に、市場の豊洲移転について申し上げます。
 移転時期につきましては、市場業者の皆様のご協力により、来年の十月中旬と決定いたしました。今後、業者の皆様のご理解を得て、できるだけ早期に具体的な移転期日を確定してまいりたいと思います。
 豊洲市場の開場に向けましては、追加対策工事の実施と完了後の専門家会議による確認、農林水産大臣の認可手続など、一連の手続を着実に進めてまいります。あわせて、業者の皆様、都民の皆様に対する正確な情報提供を積み重ねて、しかるべき段階におきましては、私みずから安全・安心についての発信を行ってまいります。
 また、豊洲ならではの活気やにぎわいの創出につきましては、千客万来施設の整備を初め、地元区や関係者とも知恵を出し合いながら積極的に取り組んでまいります。こうしたステップの先に、豊洲市場を誰もが安心できる活気あふれる日本の中核市場へと育て上げ、新たな豊洲ブランドを確立したいと思います。
 一方、築地の再開発につきましては、十月に検討会議を立ち上げ、これまで二度にわたり、築地を新たな魅力の発信拠点としていくための議論を進めてまいりました。経営、文化、まちづくりなど幅広い分野でご活躍の委員の皆様に、引き続き自由な発想で検討を重ねていただき、来年五月をめどに、夢のある築地の実現に向けたまちづくりの大きな視点を取りまとめてまいります。
 豊洲と築地、その両方を生かし、相乗効果を図ることで、東京の新たな魅力の創出と発展につなげてまいります。
 困難は厳正なる教師である。イギリスの政治思想家エドマンド・バークが説いた言葉のとおり、人口減少、超高齢化それらを初め、東京を取り巻くかつてない困難は、これまでの都政の姿を大胆に変えていく必要性を示唆しているように思います。目の前の困難を直視し、危機感を持って、前例にとらわれない改革と政策を力強く推し進める。その道のりは決して平たんではありませんが、この東京大改革の先にこそ、東京の明るい未来は開けるのであります。そうした思いのもと、都議会の皆様と建設的な議論を積み重ねながら、都政を着実に前へと進めてまいります。まさに一心一意、都政に邁進する所存でございます。皆様のご理解とご協力をよろしくお願いをいたします。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、条例案三十二件、契約案十一件など、合わせて七十件の議案を提案いたしております。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
 以上をもちまして私の所信表明を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎大介君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(斉藤れいな君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議することに決定いたしました。

○議長(尾崎大介君) 追加日程第一、議員提出議案第十九号、地方消費税の清算基準の見直しに関する意見書を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第十九号
地方消費税の清算基準の見直しに関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条第一項の規定により提出します。
  平成二十九年十二月一日
(提出者)
古城まさお  けいの信一  成清梨沙子
鈴木 邦和  おじま紘平  平  慶翔
後藤 なみ  西郷あゆ美  やながせ裕文
大場やすのぶ 山内れい子  伊藤しょうこう
田村 利光  藤井とものり 池川 友一
細田いさむ  うすい浩一  小林 健二
加藤 雅之  滝田やすひこ 藤井あきら
奥澤 高広  森口つかさ  村松 一希
内山 真吾  森澤 恭子  おときた駿
菅野 弘一  川松真一朗  小松 大祐
柴崎 幹男  宮瀬 英治  原田あきら
斉藤まりこ  藤田りょうこ 斉藤やすひろ
栗林のり子  遠藤  守  伊藤こういち
もり  愛  龍円あいり  あかねがくぼかよ子
保坂まさひろ 関野たかなり 森村 隆行
福島りえこ  鳥居こうすけ つじの栄作
上田 令子  舟坂ちかお  清水 孝治
三宅 正彦  神林  茂  西沢けいた
原 のり子  星見てい子  とや英津子
大松あきら  まつば多美子 高倉 良生
上野 和彦  菅原 直志  清水やすこ
白戸 太朗  木下ふみこ  斉藤れいな
増田 一郎  入江のぶこ  佐野いくお
細谷しょうこ 両角みのる  ひぐちたかあき
高橋 信博  中屋 文孝  古賀 俊昭
宇田川聡史  山口  拓  河野ゆりえ
米倉 春奈  白石たみお  里吉 ゆみ
のがみ純子  中山 信行  谷村 孝彦
小磯 善彦  藤井  一  馬場 信男
本橋ひろたか 田の上いくこ 桐山ひとみ
たきぐち学  米川大二郎  石川 良一
中山ひろゆき 山田ひろし  岡本こうき
小宮あんり  山崎 一輝  吉原  修
三宅 茂樹  中村ひろし  とくとめ道信
尾崎あや子  和泉なおみ  長橋 桂一
橘  正剛  東村 邦浩  中嶋 義雄
大津ひろ子  栗下 善行  木村 基成
伊藤 ゆう  小山くにひこ 荒木ちはる
山内  晃  増子ひろき  石毛しげる
尾崎 大介  早坂 義弘  鈴木 章浩
秋田 一郎  高島なおき  あぜ上三和子
清水ひで子  大山とも子  曽根はじめ
東京都議会議長 尾崎 大介殿

地方消費税の清算基準の見直しに関する意見書
 地方分権の更なる推進と財政自主権の確立により、自らの権限と財源に基づく行財政運営を行うことは、地方が自主性・自立性を持って課題の解決を図る上で必要不可欠である。しかしながら、国はこれまで、受益と負担という地方税の原則に反し、地方自治の本旨にもとる不合理な偏在是正措置により、二・二兆円もの都民の貴重な財源を収奪してきた。
 地方自治体は、教育や産業振興など様々な行政サービスを担っており、また、都においては、待機児童の解消や高齢者対策の推進、災害対策の推進など、直面する課題への対応に着実に取り組むとともに、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた準備など、日本の成長につながる施策を積極的に展開することが求められている。
 地方が、それぞれの地域の実情に応じ、これらの施策を着実に展開していくためには、地方の税財源を維持・拡充していくことが不可欠である。
 現在、国では、都を始めとする大都市から税収を搾取することを意図し、地方の自主財源である地方消費税の清算基準について、消費に関する「統計」の比率を下げ、代替指標である「人口」の比率を高めるなどの見直しが検討されている。
 そもそも、地方消費税の清算基準は、税の最終負担者である消費者が消費を行った地域と税収の最終的な帰属地を一致させるという趣旨にのっとり、その運用を図るべきものであり、地方間の税収格差という論点に基づき、見直しが議論されるべきものではない。
 こうした本質を顧みず、国による見直しが強行されれば、地方財政への影響が強く懸念されることはもとより、地方消費税が、地域での消費活動の活性化が税収に反映されるという「地方税」としての意義を失い、地域活性化に向けて地方が積み重ねた努力が全く報われない仕組みとなることが危惧される。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要請する。
一 地方消費税の清算基準については、税収の偏在是正を目的とすることなく、最終消費地と税収の最終的な帰属地を一致させるという制度本来の趣旨を踏まえ、基準の精緻化を図ること。
二 消費の代替指標である「人口」の比率を殊更に引き上げることは、地方分権の流れに逆行するものであり、行わないこと。
三 消費の代替指標である「従業者数」は、勤務地等における消費活動を反映させる重要な指標であり、引き続き用いること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十九年十二月一日
東京都議会議長 尾崎 大介
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
社会保障・税一体改革担当大臣
経済財政政策担当大臣
地方創生担当大臣 宛て

○六十七番(斉藤れいな君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第十九号については、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第十九号は、原案のとおり可決されました。

○六十七番(斉藤れいな君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二日から五日まで四日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二日から五日まで四日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月六日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時四十五分散会


文書質問趣意書及び答弁書

29財主議第469号
平成29年11月22日
東京都議会議長
尾崎大介殿
東京都知事
小池百合子

 文書質問に対する答弁書の送付について

 平成29年第三回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

山内れい子議員
宮瀬英治議員
原のり子議員
里吉ゆみ議員
尾崎あや子議員

平成29年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山内れい子

質問事項
一 里親支援について
二 併設や複合型施設でインクルーシブなまちづくりについて
三 「健康食品」による健康被害防止について
四 生物多様性の保全に向けた取組について

一 里親支援について
 社会的養護の必要な子どもに対する家庭的養護の割合は、日本では諸外国に比べて著しく低く、施設入所が圧倒的に多い現状があります。2015年4月、東京都は社会的養護施策推進計画を策定し、このなかで、社会的養護に占める家庭的養護の割合をおおむね6割とするよう進めていくことになっています。
 子どもが里親のもとで育つことが当たり前という状況をつくり出していくための普及啓発や、社会的養護が必要な子どもの自立に向けた支援を拡充することが重要です。
1 家庭的養護の現状について
 ア 都における社会的養護のもとで育つ子どもの数、そのうち家庭的養護で育つ子どもの数について伺います。
 イ 養育家庭、ファミリーホームの登録数と委託児童数について伺います。
 ウ 養育家庭に登録していても、委託に至らないこともあります。未委託の養育家庭の数とその理由について伺います。
 エ 養育家庭委託解除の現状とその理由について伺います。
2 家庭的養護の里親への支援について
 先日、乳幼児の子どもを受託した里親から、区市町村から、健康診査や予防接種など子どもの健康管理に関する情報を得るために苦労したという話を聞きました。子ども担当と里親担当の児童相談所が異なることも多いということです。
 ア 乳幼児の里親になった方へ、里子の情報はどのように伝えられるのか伺います。
 イ 知的障がいや発達障がいなどの子どもの場合は、里親はその障がいを理解し、自立するためにどうしたらよいか、とても悩むと聞いています。それに応えるには、さまざまな機関の支援が必要です。知的障がいや発達障がいの子どもに対する里親への支援について伺います。
 ウ 里親からは、里子の状況をていねいに説明したい、子ども担当の児童相談所との情報共有をていねいに行いたいという思いを聞いています。家庭訪問を土日に実施してほしいとの要望がありますが、都の対応について伺います。
 エ 2013年、福祉保健局から教育庁あてに「公立学校に在学する養育家庭で生活している子供たちへの教育上の配慮について」の通知が出されているとともに、児童相談所を通じて学校側にも協力依頼されています。里子の学校における通称名と実名の配慮はどのように行われているのか、伺います。
3 「新生児委託推進事業」について
 妊婦健診を受けないまま出産にいたる未受診妊婦、いわゆる飛び込み出産といわれる出産や、望まない妊娠、経済的な理由などで、実親が子どもを育てられない場合があります。
 今年度実施している「新生児委託推進事業」の目的と機能について伺います。

二 併設や複合型施設でインクルーシブなまちづくりについて
 生活者ネットワークは、かねてからインクルーシブなまちづくりに向けて、高齢者と子どもなどの多世代や障がい者などが交流したりともに過ごす場づくりを提案してきました。これまで、高齢者や障がい者、子どもなど対象別の施設をつくり、専門的な福祉施策を実施してきています。しかし、地域にはさまざまな人たちが暮らしており、世代や障がいを超えて交流することで、当事者が元気になったり、地域の人たちの理解が進むという相乗効果が出ています。高齢者のデイサービスに小さい子どもや障がい者を受け入れ、地域のボランティアたちも一緒に過ごすことの重要性が認識され、取り組みが広がっています。こうしたことから、最近、国でも多世代交流・多機能型の施設づくりを進めています。
1 都内でも、特別養護老人ホームと保育園を併設するなどの取り組みが始まっていますが、都が実施している支援はどのようなものでしょうか。
2 分譲マンションと高齢者住宅を一体的につくり、大学と連携したり住まいの整備とあわせて交流の場をつくるなど、ソーシャルミックスのまちづくりを進めている例もあります。こうした一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅の整備について、都としてどのように取り組んでいるのか伺います。
3 今年、江戸川区で特別養護老人ホームと障がい者グループホームとの合築が実現に向けて動き出したと聞いています。合築できないという制度に対する区や区長会からの粘り強い働きかけによって可能になったようですが、実現に至る経緯について伺います。
4 都内では、高齢者や障がい者などの福祉施設の敷地面積を確保することが難しいため、施設の合築を進めたいと考えている区が多いと聞いていますが、面積確保の問題だけでなく、合築や併設した施設は、さまざまな人たちが地域で交流できる場としての価値があります。今後の展開が期待されますが、都の見解を伺います。
5 地域では、障がいの有無や世代にかかわらず集える居場所を創設するなどの市民活動が行われています。高齢者、障がい者、子どもなどの行政の縦割りを取り払い、誰もが気軽に立ち寄れる場所として、子ども食堂やカフェも併せて運営しているところもあります。このような全方位的な取り組みへの支援が必要と考えますが、見解を伺います。

三 「健康食品」による健康被害防止について
 健康や美容に役立つからと、サプリメントをはじめとする健康食品が多くの人に利用されています。特定保健用食品(トクホ)・栄養機能食品・機能性表示食品の制度が始まっていますが、これら保健機能食品について市民の間にきちんと理解が広まっているのか、またそれ以外のいわゆる健康食品との違いについても認識されているのかという問題もあります。保健機能食品の中でも、国が有効性や安全性を審査しているのはトクホだけであり、機能性表示食品は、事業者の責任で、食品に身体の機能の維持や改善に役立つ表示ができるものです。
 都は、健康食品の成分や表示について調べ、その結果を公表しており、また、利用上注意すべきことをパンフレットにまとめて出しています。しかしそれでも、利用のしかたによって、健康を損なう被害を引き起こすことがあります。
1 健康食品による被害が生じた場合、都としてはどのような対応をするのでしょうか。
2 被害が広がらないようにするため、周知はどのように実施しているのか伺います。
3 美容を目的にした「プエラリア・ミリフィカ」という健康食品による健康被害が、若い女性を中心に相次いでいることから、厚生労働省や国民生活センターが注意喚起を行っています。「プエラリア・ミリフィカ」に対する都の取り組みについて伺います。

四 生物多様性の保全に向けた取組について
1 都立公園の生物多様性について
 今年、開園100年を迎えた井の頭恩賜公園には、西部緑地公園事務所の管理のもと、長きにわたり土地固有の生物が生息している樹林地、草地があります。三鷹市は、井の頭恩賜公園内に文学施設を建設しようと計画を立てていますが、提示した場所については、生物多様性の観点から問題があると、多くの市民から指摘されています。
 ア 区市が都立公園の敷地内に区市所有の公園施設を建てたいとの要望があった場合、都はどのような手順で審査するのか、伺います。
 イ 都立公園に区市や民間事業者が公園施設を建てた場合、土地使用料は発生するのか、伺います。
 ウ 三鷹市は井の頭恩賜公園内に「井の頭文学施設(仮称)」に関する整備基本プラン(案)を策定していますが、都は市の計画を把握しているのか、伺います。今回の計画内容について、都に対し許可申請がなされた場合、どのようなことが許可の判断基準となるのか、伺います。
 エ 現在、都立公園では、「多様な生物が生息できる都立公園づくり事業」が進められ、住民を入れたワークショップ形式で生物多様性保全管理計画がつくられています。この事業の進捗状況と、井の頭恩賜公園における予定について伺います。
 オ 井の頭恩賜公園においても生物多様性の保全に取り組むべきであり、今回、三鷹市から文学施設の計画が示された場所は、長年土地固有の生物が生息している樹林地などであり、都は、生物多様性の観点から許可しないこともあるのか、伺います。
2 自然公園の生物多様性について
 広域圏東京(山間部雲取山から火山島の伊豆七島、一度も陸続きになったことがない海洋島の小笠原諸島)にはさまざまな生き物がいます。世界で亜高山帯から亜熱帯まで持っている都市は他にありません。都の自然公園は亜高山帯から亜熱帯までのエリアをカバーしています。豊かな自然を守るには、まず、生物等の現況把握が重要です。
 ア 自然公園エリアで生物多様性の状況等についてNPOなどの協力を得ながら体系的に情報を収集し、自然環境の状況を的確に把握していくべきと考えますが、見解を伺います。
 イ 情報収集をより的確に行うにはその情報を統合する情報拠点が必要です。あわせて、収集した情報を分析したり、多くの人や組織に情報提供するなどの活用を行うことも重要です。情報のみならず、都内には貴重な資料を持っているセミプロ並みアマチュアが多く活動しています。こうした資料の収集保管も求められています。都の面積の3分の1の自然公園が存在することは全国的にも珍しいというのに、周辺県にはある「自然史博物館」が東京都にはありません。情報の収集・分析・展示・保管拠点として「自然史博物館」を設置する必要があると考えますが、見解を伺います。

平成29年第三回都議会定例会
山内れい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 里親支援について
1 家庭的養護の現状について
 ア 子どもが里親のもとで育つことが当たり前という状況をつくり出していくための普及啓発や、社会的養護が必要な子どもの自立に向けた支援を拡充することが重要である。都における社会的養護のもとで育つ子どもの数、そのうち家庭的養護で育つ子どもの数について伺う。

回答
 平成29年3月現在、社会的養護の下で育つ児童は3,988人、そのうち、家庭的養護の下で育つ児童は1,346人となっています。

質問事項
一の1のイ 養育家庭、ファミリーホームの登録数と委託児童数について伺う。

回答
 平成29年3月現在、養育家庭の登録数は522家庭、委託児童数は368人、ファミリーホームの届出数は18ホーム、委託児童数は83人となっています。

質問事項
一の1のウ 養育家庭に登録していても、委託に至らないこともある。未委託の養育家庭の数とその理由について伺う。

回答
 平成29年3月現在、児童を委託していない養育家庭は231家庭です。
 要保護児童の措置委託に当たっては、児童の福祉を第一に考え、児童の年齢、生育歴、心身の発達状況、保護者の引取りの可能性など、一人一人の状況を総合的に勘案して決定しており、まずは養育家庭への委託を検討しています。
 養育家庭への委託に至らない理由は様々ですが、特に乳幼児の場合など、実親が「子供に会えなくなる」という思いから委託を承諾しない場合があることや、虐待等により心に深い傷を受け情緒的な課題を抱えているなど、養育家庭への委託が難しい専門的なケアが必要な児童が増えていることなどが挙げられます。

質問事項
一の1のエ 養育家庭委託解除の現状とその理由について伺う。

回答
 平成28年度における養育家庭への委託を解除した児童数は69人で、その内訳は、満年齢(18歳)によるものが14人、就職が1人、施設等への措置の変更が33人、その他が21人となっています。解除の理由は、児童の自立や家庭復帰のほか、養育家庭の生活環境の変化や養育負担感の増加、里親の健康問題などが挙げられます。

質問事項
一の2 家庭的養護の里親への支援について
 ア 乳幼児の子どもを受託した里親から、区市町村から、健康診査や予防接種など子どもの健康管理に関する情報を得るために苦労したという話を聞いた。子ども担当と里親担当の児童相談所が異なることも多いということである。乳幼児の里親になった方へ、里子の情報はどのように伝えられるのか伺う。

回答
 児童相談所は、児童を委託する養育家庭に対して、出生時や乳幼児期の発育や発達の状況、予防接種歴、現在の健康状態などの情報を文書で提供しています。
 また、委託前に行う里親子の交流期間中、定期的に養育家庭から状況を確認し、交流が円滑に進むよう児童が入所している施設や里親支援機関、区市町村等からなる関係者会議で情報を共有しています。

質問事項
一の2のイ 知的障がいや発達障がいなどの子どもの場合は、里親はその障がいを理解し、自立するためにどうしたらよいか、とても悩むと聞いている。それに応えるには、さまざまな機関の支援が必要である。知的障がいや発達障がいの子どもに対する里親への支援について伺う。

回答
 都は、課題を抱える児童を養育している里親を支援するため、児童相談所において、児童心理司が心理診断を行い、心理療法やカウンセリングなど、専門的な支援を実施し、必要に応じて、地域の医療機関につないでいます。
 また、養育家庭が孤立しないよう、互いに養育の悩み等を話し合う里親サロンを実施しています。
 さらに、定期的な訪問支援等を行う里親支援機関、里親のレスパイト支援等を行う児童養護施設や乳児院、地域において相談対応等を行う区市町村等と児童相談所が連携しながら、総合的に里親を支援しています。

質問事項
一の2のウ 里親からは、里子の状況をていねいに説明したい、子ども担当の児童相談所との情報共有をていねいに行いたいという思いを聞いている。家庭訪問を土日に実施してほしいとの要望があるが、都の対応について伺う。

回答
 児童相談所では、里親や里子の個々の状況を踏まえながら、児童福祉司の家庭訪問や定期的な里子の心理面接を行っています。

質問事項
一の2のエ 2013年、福祉保健局から教育庁あてに「公立学校に在学する養育家庭で生活している子供たちへの教育上の配慮について」の通知が出されているとともに、児童相談所を通じて学校側にも協力依頼されている。里子の学校における通称名と実名の配慮はどのように行われているのか伺う。

回答
 公立学校に在学する養育家庭で生活している子供に対し、教育上必要な配慮を行うことは重要です。
 そのため、現在、都内公立学校では児童・生徒の状況に応じ、入学式、卒業式での氏名の読み上げ等、学校生活全般での通称名の使用や、通称名と戸籍上の本名による2枚の卒業証書の発行等の措置を行っています。
 都教育委員会は、今後とも、区市町村教育委員会及び都立学校に対し、教育上必要な配慮の重要性について周知していきます。

質問事項
一の3 「新生児委託推進事業」について
 妊婦健診を受けないまま出産にいたる未受診妊婦、いわゆる飛び込み出産といわれる出産や、望まない妊娠、経済的な理由などで、実親が子どもを育てられない場合がある。今年度実施している「新生児委託推進事業」の目的と機能について伺う。

回答
 里親子の愛着を育むためには早期に養子縁組里親に結び付けることが重要です。
 そのため、都は、平成29年度から、医療機関や区市町村等からの情報に基づき、児童相談所において養子縁組が最善であると判断した場合には、できる限り新生児のうちに委託する、新生児委託推進事業を開始しました。
 本事業では、児童相談所と乳児院に専任の職員を配置し、いつでも交流が開始できるよう、里親に対して、沐浴や体調管理など新生児の養育に関する研修を実施します。乳児院での交流開始後は、里親の養育不安を軽減するための助言や里親子関係のアセスメントを短期間で集中的に行い、委託につなげていきます。
 また、委託後も家庭訪問等により、養育状況を確認するとともに、里親からの相談に応じるなど、安定した養育が行えるよう支援します。

質問事項
二 併設や複合型施設でインクルーシブなまちづくりについて
1 最近、国でも多世代交流・多機能型の施設づくりを進めている。都内でも、特別養護老人ホームと保育園を併設するなどの取組が始まっているが、都が実施している支援はどのようなものか伺う。

回答
 平成28年3月、国は、従来高齢者、児童、障害者(児)等、対象者別に提供されていたサービスを、一つの施設で総合的に提供する際に、兼務可能な人材や共用可能な設備に関するガイドラインを示しました。
 都は、特別養護老人ホームや保育所などを整備する場合、施設整備費補助や都有地の貸付け等により、区市町村や事業者を支援しており、複数分野のサービスを提供する際には、このガイドラインに沿って施設を整備できる旨を周知しています。

質問事項
二の2 分譲マンションと高齢者住宅を一体的につくり、大学と連携したり住まいの整備とあわせて交流の場をつくるなど、ソーシャルミックスのまちづくりを進めている例もある。こうした一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅の整備について、都としてどのように取り組んでいるのか伺う。

回答
 都は、多様なニーズを持つ高齢者が安全・安心に暮らせる住まいの選択肢の一つとして、サービス付き高齢者向け住宅の供給促進に取り組んでいます。
 その一環として、高齢者が多様な居住者や地域住民との交流を深めることを目的に、一般住宅及び交流施設を併設したサービス付き高齢者向け住宅を、平成26年度から公募により整備してきました。
 公募に際しては、事業者から、交流イベントに活用できるレストラン、災害時に地域住民も使えるマンホールトイレ、さらには地域住民参加の防災セミナーなどの多様な提案がなされ、これまで6件が選定されました。
 今後とも、事業の効果検証を行いながら、高齢者が多世代の様々な居住者や地域住民とのつながりを通じて、安心して生きがいを持って住み続けられるよう取り組んでいきます。

質問事項
二の3 今年、江戸川区で特別養護老人ホームと障がい者グループホームとの合築が実現に向けて動き出したと聞いている。合築できないという制度に対する区や区長会からの粘り強い働きかけによって可能になったようだが、実現に至る経緯について伺う。

回答
 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準を定める省令では、都道府県が参酌すべき基準として、障害者グループホームは「入所により日中及び夜間を通してサービスを提供する施設又は病院の敷地外にあるようにしなければならない」と規定されています。都は、これを踏まえ、平成24年12月に、条例で、同様の規定を定めました。
 平成28年3月に、特別区長会は、地方分権改革に係る提案として、国に対し、特別養護老人ホームと障害者グループホームを合築できるよう規制緩和することを提案しました。
 この提案を受け、国は、平成29年1月、「施設類型のみをもって一律に合築等の可否を判断せず、グループホームの趣旨に則った運営が確保されるものであるかについて、都道府県知事等が、立地や運営形態などを総合的に勘案して判断すべき」という旨の解釈通知を発出しました。これを受け、都は現在、整備計画について、江戸川区及び事業予定者と調整を行っています。

質問事項
二の4 都内では、福祉施設の敷地面積を確保することが難しいため、施設の合築を進めたいと考えている区が多いと聞いているが、面積確保の問題だけでなく、合築や併設した施設は、さまざまな人たちが地域で交流できる場としての価値がある。今後の展開が期待されるが、都の見解を伺う。

回答
 高齢者、児童、障害者(児)等、複数の福祉施設を合築や併設により整備した施設では、各種行事などを通じて、利用者や地域の方々の交流等が行われています。
 都は、地域のニーズを踏まえながら、施設整備に取り組む区市町村を支援しています。

質問事項
二の5 地域では、高齢者、障がい者、子どもなどの行政の縦割りを取り払い、誰もが気軽に立ち寄れる場所として、子ども食堂やカフェも併せて運営しているところもある。このような全方位的な取組への支援が必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、食事の提供や学習支援等を行う子供の居場所づくりや、在宅高齢者のための交流の場づくりに取り組む区市町村を支援しています。
 また、現在、高齢者、児童、障害者(児)等の分野を越えた施策の充実を図るため、東京都地域福祉支援計画の策定を進めています。その中では、区市町村や事業者の取組も聴きながら、地域における居場所づくりの議論を行っています。

質問事項
三 「健康食品」による健康被害防止について
1 都は、健康食品の成分や表示について調べ、その結果を公表しており、また、利用上注意すべきことをパンフレットにまとめて出している。しかしそれでも、利用のしかたによって、健康を損なう被害を引き起こすことがある。健康食品による被害が生じた場合、都としてはどのような対応をするのか伺う。

回答
 食品衛生法第6条では、有害な物質が含まれる食品は販売してはならないとされています。
 また、同法第7条において、厚生労働大臣は、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その販売を禁止することができるとされています。
 都は、健康食品による健康被害が疑われる場合には、利用者への調査や製品の検査を実施し、その結果を厚生労働省に報告するとともに、必要に応じて都民への注意喚起や事業者に製造管理の改善指導を行っています。
 さらに、同法第6条又は第7条に抵触するものについては、販売禁止の措置などを講じています。

質問事項
三の2 健康食品による被害が広がらないようにするため、周知はどのように実施しているのか伺う。

回答
 都は、健康食品による健康被害の拡大を防止するため、健康食品の摂取と健康被害との因果関係が疑われる場合には、迅速に都のホームページ上の「健康食品ナビ」などを通じて都民に周知するほか、東京都医師会及び東京都薬剤師会を通じて医療機関等への情報提供を行っています。
 また、区市の保健所と連携して、当該製品を扱っている製造施設や販売施設に立ち入り、健康被害の発生状況についての情報提供や適正な製造管理の実施等の指導を行っています。
 さらに、広域的に流通するものについては、厚生労働省への報告や関係自治体への情報提供を行っています。

質問事項
三の3 美容を目的にした「プエラリア・ミリフィカ」という健康食品による健康被害が、若い女性を中心に相次いでいることから、厚生労働省や国民生活センターが注意喚起を行っている。「プエラリア・ミリフィカ」に対する都の取組について伺う。

回答
 平成29年7月、独立行政法人国民生活センターは、「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品に関する健康被害の相談が増えていることを公表しました。これを受け、厚生労働省は、各都道府県等に対し、事業者の製造、販売の管理状況及び健康被害の発生状況の調査等をするよう通知を行い、都は、特別区と連携して、速やかに事業者に対する調査を実施しました。
 この調査結果等について、厚生労働省は、薬事・食品衛生審議会の調査会において検討を行い、平成29年9月に、改めて各都道府県等に対し、消費者への注意喚起及び事業者に対する製造管理の改善や健康被害情報の収集等について指導するよう通知を行いました。
 これを受け、都は現在、都内の事業者に対し、特別区と連携して、製品の製造管理の見直し、消費者に対する情報提供の充実強化、健康被害情報の収集と報告体制の構築を指導しています。
 また、「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品に関する情報を「健康食品ナビ」に掲載し、都民への注意喚起を行っています。

質問事項
四 生物多様性の保全に向けた取組について
1 都立公園の生物多様性について
 ア 三鷹市は、井の頭恩賜公園内に文学施設を建設する計画を立てているが、提示した場所について、生物多様性の観点から問題があると、多くの市民から指摘されている。区市が都立公園の敷地内に区市所有の公園施設を建てたいとの要望があった場合、都はどのような手順で審査するのか伺う。

回答
 区市が都立公園内に公園施設を設置する場合、都市公園法の規定に基づく許可が必要となります。
 許可に当たっては、許可できる相手方や施設の種類、許可の期間などを定めた審査基準により判断しています。

質問事項
 四の1のイ 都立公園に区市や民間事業者が公園施設を建てた場合、土地使用料は発生するのか伺う。

回答
 区市や民間事業者が公園施設を設置するに当たっては、東京都立公園条例に基づき、土地の使用料を徴収しています。

質問事項
四の1のウ 三鷹市は井の頭恩賜公園内に「井の頭文学施設(仮称)」に関する整備基本プラン(案)を策定しているが、都は市の計画を把握しているのか伺う。今回の計画内容について、都に対し許可申請がされた場合、どのようなことが許可の判断基準となるのか伺う。

回答
 三鷹市の整備基本プラン(案)については承知しています。
 許可に当たっては、許可できる相手方や施設の種類、許可の期間などを定めた審査基準により判断していきます。

質問事項
四の1のエ 現在、都立公園では、「多様な生物が生息できる都立公園づくり事業」が進められ、住民を入れたワークショップ形式で生物多様性保全管理計画がつくられている。この事業の進捗状況と、井の頭恩賜公園における予定について伺う。

回答
 事業の対象となる31公園のうち、これまでに9公園で保全管理計画を策定しました。そのうち5公園については環境整備を実施し、例えば石神井公園では多様な環境を創出するために湿地を整備しました。
 井の頭恩賜公園においては、平成32年度から自然環境調査や地域住民を交えたワークショップを実施するなど、保全管理計画の策定に着手する予定です。

質問事項
四の1のオ 井の頭恩賜公園においても生物多様性の保全に取り組むべきであり、今回、三鷹市から文学施設の計画が示された場所は、長年土地固有の生物が生息している樹林地などであり、都は、生物多様性の観点から許可しないこともあるのか伺う。

回答
 三鷹市から許可申請があった場合は、審査基準に基づき適切に判断していきます。

質問事項
四の2 自然公園の生物多様性について
 ア 豊かな自然を守るには、まず、生物等の現況把握が重要である。自然公園エリアで生物多様性の状況等についてNPOなどの協力を得ながら体系的に情報を収集し、自然環境の状況を的確に把握していくべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 平成29年5月に策定・公表した「東京の自然公園ビジョン」では、今後の施策展開として、「自然環境の状況を的確に把握し、情報の収集・分析を行う」こととしています。また、「民間事業者やボランティア等多様な主体と連携する」こととしています。
 今後、「東京の自然公園ビジョン」に基づき、生物多様性の状況等の自然環境の状況を的確に把握していきます。

質問事項
四の2のイ 周辺県にはある「自然史博物館」が東京都にはない。情報の収集・分析・展示・保管拠点として「自然史博物館」を設置する必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
 東京都自然環境保全審議会においては、ビジョン検討の過程で、「自然史博物館」について活発に議論がなされ、多くの委員から都内の専門家が有する貴重な標本等の資料が今後、散逸することへの懸念が示されました。
 こうしたことから、「都心部における自然公園に関する情報の収集や発信を強化」することが答申されました。
 今後、「東京の自然公園ビジョン」に基づき、施策を推進する中で、自然史博物館を含め、情報の受発信等の在り方について、積極的に検討していきます。

平成29年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 宮瀬英治

質問事項
一 板橋キャンパス再整備基本計画に基づく跡地活用について

一 板橋キャンパス再整備基本計画に基づく跡地活用について
 板橋キャンパスは、高齢者専門病院の「東京都老人医療センター」(直営)、高齢者専門研究所であり財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団が運営する「東京都老人総合研究所」、指定介護老人福祉施設及び介護老人保健施設からなる「東京都板橋ナーシングホーム」(直営)の各施設が相互に連携を図りながら、福祉・医療・研究のいわゆる三位一体の高度専門的・総合施設として施設が設置され、長きにわたり高齢者の医療・福祉の進歩に大きく貢献してきた。
 しかしながら、高齢者の医療・介護を取り巻く環境の変化と課題に応え、各施設の建物・設備の老朽化等への対応が必要なため、板橋キャンパス全体の再編整備を図ることとし、平成19年5月に「板橋キャンパス再編整備基本構想」を策定した。
 再整備基本計画に基づく跡地活用について、都は健康長寿医療センター駐車場ゾーン、多目的スペース、高齢・障害サービスゾーン、構内通路、社会福祉施設建替え促進事業ゾーン、防災ゾーンを計画している。
 以下、それぞれ伺う。
1 板橋区の意見・意向を十分に聞いて、その意向を反映すべきと考えるが、都は具体的に過去どのような取り組みを行っていたのか、また今後どのように反映させていくのか伺う。
2 高齢・障害サービスゾーンについて
 板橋区内にある17の障がい者団体が板橋区に対して「板橋区障がい者総合福祉センター(仮称)の設置を求める陳情」を提出した。昭和61年に開所した現在の板橋区立障がい者福祉センターは、開所から30年が経ち老朽化が進んでいること、新たな事業も増え手狭であること、最寄り駅から離れアクセスが悪いことなど、様々な課題や障がい者への合理的配慮が足りないといわざるを得ない。そこで、陳情では、地域における相談支援の中核的な役割を担う機関としての「機関相談支援センター」をはじめ障がい者の日常生活および社会生活を総合的に支援する多様な機能をもった「板橋区障がい者総合福祉センター(仮称)」を求めるものである。そこで東京都は板橋区と連携をしながら、その障がい者団体の切なる要望を真摯に受け止め、立地条件の良い旧板橋キャンパス跡地の活用も視野に入れるべきと考えるが所見を伺う。
3 社会福祉施設建替え促進事業ゾーンについて
 現在どのような施設を計画しているのか進捗を都に伺う。
4 床数に余剰が生じた場合、地域にある障がい者団体のための一時預かりやレスパイト活用など、健康長寿医療センターと連携しながら、都は柔軟な対応をすることを検討すべきと考えるが所見を伺う。
5 防災ゾーンについて
 区市等の備蓄のバックアップ機能として、都防災備蓄倉庫を整備するとともに地域の防災機能を付与すると都は表明しているが、隣接した区立大山公園を活用し板橋区や近隣町会と連携しながら防災力のさらなる向上に努めるべきと考える。地域の防災機能を付与とは具体的にはどのようなものか伺う。
6 構内通路について
 構内通路は地域住民にとって貴重な生活動線であり、地域に開放すべきと考えるが所見を伺う。
7 多目的スペースについて
 地域住民も利用できるのか、またどのように活用できるのか伺う。

平成29年第三回都議会定例会
宮瀬英治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 板橋キャンパス再整備基本計画に基づく跡地活用について
1 板橋キャンパス再整備基本計画に基づく跡地活用について、板橋区の意見・意向を十分に聞いて、その意向を反映すべきと考えるが、都は具体的に過去どのような取組を行っていたのか、また今後どのように反映させていくのか伺う。

回答
 平成20年2月に都が策定した「板橋キャンパス再編整備基本計画」では、板橋キャンパスの旧建物解体後の跡地について、「高齢者の福祉施設等ゾーン」及び「緑化・広場ゾーン」としての活用を検討することとしました。
 その後、板橋区からは、当該跡地における介護や障害福祉サービスなどの整備、災害発生時に避難場所などとして使用できるよう、隣接する区立大山公園との一体的な活用も視野に入れた防災機能の整備について、要望がありました。
 都は、区と十分に調整を重ねた上で、当該跡地について、「健康長寿医療センター駐車場ゾーン」、「高齢・障害サービスゾーン」、「社会福祉施設建替え促進事業ゾーン」、「防災ゾーン」及び「多目的スペース」として活用することとしています。
 今後、具体的な整備に当たっては、引き続き板橋区と連携しながら、進めていきます。

質問事項
一の2 板橋区内にある17の障がい者団体が板橋区に対して「板橋区障がい者総合福祉センター(仮称)の設置を求める陳情」を提出した。都は板橋区と連携しながら、障がい者団体の切なる要望を真摯に受け止め、立地条件の良い旧板橋キャンパス跡地の活用も視野に入れるべきと考えるが所見を伺う。

回答
 板橋区に提出された「板橋区障がい者総合福祉センター(仮称)の設置を求める陳情」は、旧板橋保健所跡地に、「板橋区障がい者総合福祉センター(仮称)」の設置を求めるものであると聞いています。
 板橋キャンパスの旧建物解体後の跡地では、板橋区のニーズを踏まえながら、「都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業実施要綱」に基づき、公募により決定する民間事業者が、「高齢・障害サービスゾーン」に、高齢者及び障害者向けサービスを提供する施設を整備する方針です。

質問事項
一の3 社会福祉施設建替え促進事業ゾーンについて、現在どのような施設を計画しているのか進捗を伺う。

回答
 「社会福祉施設建替え促進事業ゾーン」では、老朽化した区部の特別養護老人ホームの建替えを促進するため、事業者が交代で使用できる代替施設を整備し、貸し付ける事業を進めることとしています。

質問事項
一の4 床数に余剰が生じた場合、地域にある障がい者団体のための一時預かりやレスパイト活用など、健康長寿医療センターと連携しながら、都は柔軟な対応をすることを検討すべきと考えるが所見を伺う。

回答
 「社会福祉施設建替え促進事業ゾーン」では、老朽化した区部の特別養護老人ホームの建替えを促進するため、事業者が交代で使用できる代替施設を整備することとしています。
 特別養護老人ホームと障害者施設では、施設基準が異なっており、「高齢・障害サービスゾーン」において、地域のニーズを踏まえ、障害者向けのサービスを提供する施設を整備する方針です。

質問事項
一の5 防災ゾーンについて、区市等の備蓄のバックアップ機能として、都防災備蓄倉庫を整備するとともに地域の防災機能を付与すると都は表明しているが、隣接した区立大山公園を活用し板橋区や近隣町会と連携しながら防災力のさらなる向上に努めるべきと考える。地域の防災機能を付与とは具体的にはどのようなものか伺う。

回答
 「防災ゾーン」については、区市等の備蓄のバックアップ機能として、都災害備蓄倉庫を整備するとともに、板橋区の意見等も踏まえ、災害時に、隣接する区立大山公園と一体的に活用できるよう、土地の形状、面積、機能、管理方法等を検討していきます。

質問事項
一の6 構内通路は地域住民にとって貴重な生活動線であり、地域に開放すべきと考えるが所見を伺う。

回答
 板橋キャンパスの旧建物の解体工事期間中に閉鎖している構内通路については、解体工事完了後、速やかに仮舗装を行い、住民に開放する予定です。

質問事項
一の7 多目的スペースについて、地域住民も利用できるのか、またどのように活用できるのか伺う。

回答
 「多目的スペース」は、主に「建替え中の代替施設等の共用スペース」として各施設によるイベント等に使用することを想定し、「社会福祉施設建替え促進事業用地」及び「高齢・障害サービスゾーン」の向かい側に配置したものです。
 区民まつり等の地元イベントでの使用も可能であり、詳細は板橋区と調整していきます。

平成29年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 原のり子

質問事項
一 小・中学校における発達障害教育推進について

一 小・中学校における発達障害教育推進について
 東京都は、すべての公立小中学校への特別支援教室設置をすすめています。これまでの通級指導学級でおこなってきた特別な指導(個別指導と小集団活動)を、在籍校で受けられるようにし、これまでより多くの発達障害の児童・生徒が必要な指導を受けられるようにする、巡回教員と学級担任の連携も密にしていくと説明しています。
 東京都教育委員会が2014・2015年度に行なった調査では、通常の学級に在籍する発達障害と考えられる児童・生徒の在籍率は、小学校で6.1%、中学校で5.0%となっています。こうしたことからも、多くの児童・生徒に必要な支援をしていくということは重要です。しかし、同時に課題も出てきています。
 「ある時間だけ、別の教室に移動して指導を受けることができない、つらい」「行きたくない」「通級指導学級では、朝から夕方までだったので、まず体をほぐす体育からはじまり、だんだんと落ち着いて勉強ができたが、短い時間だけ場所を変えて指導を受ける支援教室は対応できない」「通級指導学級では、子どもの特性をみて、先生が適切なグループ分けもしてくれての小集団活動により、仲間のなかで自信をつけていけたが、支援教室では事実上、小集団活動が十分保障されず不安定になっている」「通級指導学級に週1回通うことで、1週間在籍校でがんばれたが、拠点校での指導、特別支援教室、通常学級の3ヶ所で過ごすことに無理があり、情緒障害固定学級にうつった」など、たくさんの声が寄せられています。
 特別支援教室実施に伴い、どのように発達障害教育を推進するかは、区市町村それぞれ工夫もしながら進めており、違いがあります。拠点校での指導を毎週受けられる自治体もあれば、そうでない自治体もあります。大事なのは、どの児童・生徒も必要な指導が受けられることであり、今出てきている声や課題については各自治体まかせにせず、特別支援教室を推進している東京都としてどうしていくかが問われています。そこでうかがいます。
1 特別支援教室が、児童・生徒にとって、安心して過ごせるスペースになるように、環境整備が必要です。現在、東京都公立小学校特別支援教室設置条件整備費補助事業は、1校あたりの補助上限が、簡易工事費70万円、物品購入費30万円となっていますが、現場からはこれでは不足しているとの声があがっています。現場からの声を十分に聞いて、抜本的に補助の強化をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
2 特別支援教室で、一人ひとりに応じた指導、小集団活動が保障されるように、巡回指導教員の増員が必要です。通級指導学級から特別支援教室に移行するにあたり、現状より教員の配置が減ることになります。2020年度までは経過措置がありますが、その後、教員配置が後退することのないようにしていただきたいと考えますが、いかがですか。
3 東久留米市では、今年度、小学校の自閉症・情緒障害固定学級の在籍人数が、30人。そのうち、11人が1年生という状況になっています。昨年度と比べて8人も増えています。特別支援教室を推進してもそれだけでカバーできるわけではないことがよくわかります。固定学級増設に向け、東京都はどのような支援ができますか。
4 小学校の固定学級人数がふえているもとで、中学校にも固定学級をつくる必要性はますます高まっています。東久留米市では、「東久留米市特別支援教育推進計画」において、「小学校の固定学級(自閉症・情緒)の状況について継続して調査・研究を行い、小学校への新たな設置や中学校への設置についての検討を行う」と位置づけています。小学校で増えているということはその受け皿である中学校にも固定学級をつくる必要があります。しかし、財政的な面からも、小学校への増設と中学校への新設を、同時にすすめていくことは困難な課題です。
 「東京都発達障害教育推進計画」には、さらに検討を要する取組として、「区市町村における自閉症・情緒障害特別支援学級(固定学級)の設置に向けた支援」として、「通常の学級で指導を受けることが困難な発達障害の児童・生徒に対し、障害の状態に応じた適切な指導を行うため、区市町村が必要に応じて固定学級を設置できるよう、方策を検討します」とあります。問題は、いったいどういう方策になるのかがわからないことです。そのため、財政力が厳しい自治体としては、なかなか、踏み切れないという実態があります。具体的に、どのような方策、支援を検討しているのか、明らかにしてください。
5 東久留米市では、中学校に自閉症・情緒固定学級がないため、小学校卒業後の進路は、50%が知的固定学級、30%が私立中学校、20%が通常学級となっています。ふさわしい場所がなく、不登校になるケースもあります。東京都全体で、このような調査はやっているでしょうか。一人ひとりの発達障害の児童・生徒が、どのような道筋をたどって中学を卒業し、どのような進路選択をしていくのか、調査し、公表してください。
  

平成29年第三回都議会定例会
原のり子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 小・中学校における発達障害教育推進について
1 現在、東京都公立小学校特別支援教室設置条件整備費補助事業は、1校あたりの補助上限が、簡易工事費70万円、物品購入費30万円となっているが、現場からは不足しているとの声があがっている。現場からの声を十分に聞いて、抜本的に補助の強化をお願いしたいが、見解を伺う。

回答
 公立小・中学校に係る施設整備については、原則として設置者である区市町村がその経費を負担することとされています。
 特別支援教室の導入に当たり、都教育委員会は、区市町村に対し、教材等の物品購入に要する経費について1校当たり30万円と、教室環境の整備に要する簡易工事相当の経費について1校当たり70万円を、それぞれ上限とした金額を補助しています。
 この金額を超える施設・設備の整備については、各小学校の実情に応じて設置者である各区市町村が適切に判断し実施しています。
 なお、特別支援教室の中学校への導入に当たっては、現在実施しているモデル事業の状況を踏まえて支援体制を検討しています。

質問事項
一の2 通級指導学級から特別支援教室に移行するにあたり、現状より教員の配置が減ることになる。2020年度までは経過措置があるが、その後、教員配置が後退することのないようにして欲しいと考えるが、見解を伺う。

回答
 小学校の特別支援教室における巡回指導教員については、今後とも、定数配当方針に基づき、適切に措置していきます。

質問事項
一の3 東久留米市では、今年度、小学校の自閉症・情緒障害固定学級の在籍人数が30人。そのうち、11人が1年生という状況になっている。昨年度と比べ8人も増えている。特別支援教室を推進してもそれだけでカバーできるわけではないことがよくわかる。固定学級増設に向け、東京都はどのような支援ができるか伺う。

回答
 公立小・中学校における特別支援学級の設置については、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」に基づき、当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が、当該学校の児童又は生徒の実態を考慮して行うこととされています。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会の求めに応じて、必要な助言をしています。

質問事項
一の4 「東京都発達障害教育推進計画」には、「区市町村が必要に応じて固定学級を設置できるよう、方策を検討します」とある。どういう方策になるのかがわからないため、財政力が厳しい自治体としては、踏み切れないという実態がある。具体的に、どのような方策、支援を検討しているのか伺う。

回答
 都教育委員会は、区市町村が固定学級を設置する際、設置に向けてのスケジュール、必要な手続、障害の状態に応じた特別な教育課程の編成などの相談に対して助言を行うことで、設置意向のある区市町村を支援しています。

質問事項
一の5 東久留米市では、中学校に自閉症・情緒固定学級がないため、小学校卒業後の進路は、50%が知的固定学級、30%が私立中学校、20%が通常学級となっている。不登校になるケースもある。東京都全体で、このような調査はやっているのか。一人ひとりの発達障害の児童・生徒が、どのような道筋をたどって中学を卒業し、どのような進路選択をしていくのか、調査し、公表して欲しい。見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、都立特別支援学校高等部の受入計画策定等の基礎資料とするため、自閉症・情緒障害特別支援学級(固定)及び情緒障害等通級指導学級(通級)を含め、公立小・中学校の在籍学級別の卒業者の進路状況について、平成27年度以降毎年、調査を実施しています。
 調査結果は、個人が特定されるおそれがあること等から公表はしませんが、区市町村教育委員会等からの求めがあれば、個人が特定されないよう配慮した上で情報提供しています。

平成29年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 里吉ゆみ

質問事項
一 東京都教育委員会の請願制度について

一 東京都教育委員会の請願制度について
 地方公共団体が、教育・学術・文化に関する事務を行う場合は、その性質上、政治的中立を維持すること、行政が安定していること、住民の意思を反映することが求められます。これらにこたえるため、都道府県及び区市町村には、知事又は区市町村長から独立した行政委員会として、合議制の執行機関である教育委員会が設置されています。
 しかし、現在の都教育委員会は、住民の意思を反映するものとはなっていません。2002年に東京都教育委員会請願取扱要綱がつくられてから、要綱に基づき、請願は総務部教育情報課において収受し、主管課に送付する。そして主管課が迅速かつ慎重に検討してその結果を請願者に通知する。そして主管課は、事案決定規程等において、委員会決定に該当する請願については、速やかに当該請願があった旨を委員会定例会に報告することになりました。
1 2003年度から2016年度まで、都教育委員会に出された請願の数と、都教育委員会に報告された請願数、報告されなかった請願数について、年度ごとにそれぞれ伺います。
2 請願取扱要綱が定められて以降の教育委員会で、都民から出された請願について議論のあった案件の有無、あったとすれば何件で、どのような内容だったのか伺います。
 東京都の教育をめぐっては、都立高校の統廃合問題や、国旗掲揚・君が代斉唱を義務付ける「一〇・二三通達」関連、体罰やいじめ問題など様々な課題が山積しています。教育委員であれば、こうした問題について都民から寄せられた意見に真摯に向き合い、東京都の教育について考えるべきでしょう。しかし現状では、東京都教育委員会請願取扱要綱に基づき、都民から寄せられた請願の一部しか教育委員には届いていません。
 都議会には、行政から独立した機関である教育委員会が都民の教育に関する意見や要望を聞いて欲しいと、教育委員会の請願制度の改善を求める陳情が過去何度も出されてきました。主には、教育委員会に提出された請願を教育委員会会議で審議すること、請願者から要請があれば、都教育委員会の場で意見陳述をさせることなどです。
3 都議会に4回も都教育委員会の請願制度について改善を求める陳情が出されていることについて、今も改善を求める要望が強いことについてどう受け止めているか、都教育委員会の見解を伺います。
 教育委員会に報告しない請願があることについて、この要綱を決めた教育委員会の中でも「提出された請願を、教育庁の中で教育委員会に諮るか否か事前にセレクトするということですね。しかし教育長の権限の中でやると、非常に恣意的に、個人的なものがほかに影響してくることもあります。・・・だからこのことをきちっと決めておかなければいけないと思います。」「重要事項であるかどうかということを決めるのが非常に重要であって、いわゆるあいまいな書き方というのはこういうときは一番問題になるのです。」など議論が様々出ていました。
4 「すでに方針が決まったこと」についての請願については、教育委員会に報告していないということになっていると聞いています。その制度の見直しを求める声が都民から出されても都教育委員会は門前払い、話も聞きませんということになるのではありませんか。見解を伺います。
5 請願を選別する根拠となっている「東京都教育委員会請願取扱要綱」の改善を求める請願も、都教育委員会に提出されましたが、都教育委員会の会議には報告もされませんでした。都教育委員会で議論されたものであるにも関わらず、都教育委員会に報告もされないというのはなぜか。要綱について教育委員会では検討することはできないのか、うかがいます。
 2014年に教育委員会制度が大幅に変わりました。教育委員会制度廃止という声もありましたが、やはり教育委員会は行政から独立した形で残すべきだという結論に至りました。同時に、教育委員会は今のままでいいというわけではなく、更なる改革が求められていると思います。
 その一つが、地域に開かれた教育委員会になること、住民の声を聴き、教育施策をチェックできる教育委員会になることです。文科省は通知の中で、公聴会や意見交換会の開催など幅広く地域住民の意見を聞くことを促しています。2015年6月の国会質疑では、日本共産党の教育委員会の改革提言で、教育委員たちが保護者、子ども、教職員、住民の不満や要求をつかみ、自治体の教育施策をチェックし改善する、これが必要だということを紹介した我が党の田村智子委員の質問に、当時の下村文部科学大臣は「それは適切なすばらしい提案だと思います。」と答弁しています。教育委員会が都民の声を聞くのは当然であり、積極的にすすめるべきだというのが、文科省の方針としても示されているのです。
6 教育委員会制度が変更され、教育委員会の改善が求められています。教育委員会の請願制度については、その取扱いについては再検討の必要があると思いますが、いかがですか。
 都立雪谷定時制の廃止見直しを求める皆さんが、7月に都教育委員会に請願を提出しました。雪谷定時制は、昨年10月に来年廃止予定とされた学校です。例年通りであれば今年の10月の教育委員会で募集停止の決定がされることを予想して7月に請願を出しましたが、その後の教育委員会に傍聴に行っても、自分たちの請願がどのようにあつかわれたのか、また少なくとも教育委員のみなさんに請願の文書が届いたのかどうかすらわからなかったそうです。
 都民にかかわる重大問題で、関係者が教育委員に直接意見を聞いてほしい、議論して欲しいと請願をだしているのに、その声を門前払いするようなやり方は教育委員会としてやはりおかしいのではないでしょうか。
7 今の方針を変更して欲しいという請願が、その方針を決定する会議の前に、教育委員のみなさんに渡らず、審議されないというのはおかしいのではないでしょうか、見解を伺います。
8 教育委員会がその役割を果たすためには、今の方針をわけへだてなく教育委員会で審議するべきです。見解を伺います。
 また、都民の教育に関する要望や苦情については、教育庁における苦情等の取扱いに関する要綱に基づいて対応されています。要綱には、原則として、苦情等の内容にかかわる業務を担当する課が行うことが明記されています。しかし実際に教育庁に具体的な要望をもっていくと教育情報課に回されてしまい、担当所管に話ができない、という声が数多くよせられています。
9 教育庁への要望や苦情については、担当所管が丁寧に都民の要望に応えるべきと思いますが、見解を伺います。

平成29年第三回都議会定例会
里吉ゆみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東京都教育委員会の請願制度について
1 2003年度から2016年度まで、都教育委員会に出された請願の数と、都教育委員会に報告された請願数、報告されなかった請願数について、年度ごとにそれぞれ伺う。

回答
 既に都教育委員会で決定された教育施策の基本方針等に基づく事項に係る請願については、「東京都教育委員会請願取扱要綱」、「東京都教育委員会事案決定規程」等に基づき、主管課において当該事案について決定権限を有する者が適正に処理しています。
 平成15年度から平成28年度までに都教育委員会に提出された請願数と、そのうち都教育委員会定例会及び同臨時会に報告した請願の件数は、平成15年度5件のうち0件、平成16年度2件のうち1件、平成17年度8件のうち5件、平成18年度5件のうち4件、平成19年度9件のうち6件、平成20年度11件のうち5件、平成21年度20件のうち10件、平成22年度8件のうち0件、平成23年度22件のうち12件、平成24年度3件のうち0件、平成25年度382件のうち180件、平成26年度20件のうち12件、平成27年度45件のうち35件、平成28年度11件のうち1件で、合計551件のうち271件です。
 なお、平成24年度下半期分から半期ごとに、提出された請願の件数及び主な内容について、都教育委員会定例会に報告しています。
 また、平成28年10月分から毎月、当該月に提出された請願の件数及び主な内容について、都教育委員に資料配布により報告しています。

質問事項
一の2 東京都教育委員会請願取扱要綱が定められて以降の教育委員会で、都民から出された請願について議論のあった案件の有無、あったとすれば何件で、どのような内容だったのか伺う。

回答
 平成15年度から平成28年度までに、都教育委員会に提出された請願のうち、都教育委員会定例会及び同臨時会に報告して議論した請願の件数は、271件です。
 主な内容は、東京都教育委員会による特定教科書の採択排除に抗議し撤回を求める請願、「東京都教育委員会請願処理規則」の一部改正を求める請願、「はだしのゲン」を学校図書室(館)から排除する請願、都立中高一貫校・特別支援学校の教科書採択に関する請願、都立高校定時制の存続を求める請願などです。

質問事項
一の3 都議会に4回も都教育委員会の請願制度について改善を求める陳情が出されていることについて、今も改善を求める要望が強いことについてどう受け止めているか、見解を伺う。

回答
 平成22年から平成23年にかけて4回、ほぼ同じ陳情者や陳情団体から、都教育委員会の請願制度に関して、請願者の声を直接担当主管課が聴くようにするほか、請願内容を都教育委員会定例会で審議すること等を求める内容の陳情が、都議会に提出されました。
 これらの陳情については、文教委員会において審議された結果、いずれも不採択になったものと認識しています。

質問事項
一の4 「すでに方針が決まったこと」についての請願については、教育委員会に報告していないということになっていると聞いている。その制度の見直しを求める声が都民から出されても都教育委員会は門前払い、話も聞きませんということになるのではないか。見解を伺う。

回答
 都教育委員会に提出された請願については、「東京都教育委員会請願処理規則」、「東京都教育委員会請願取扱要綱」、「東京都教育委員会事案決定規程」等に基づき、都教育委員会決定とされる特に重要な事項は、都教育委員会定例会に報告し、決定しています。
 また、既に都教育委員会で決定された教育施策の基本方針等に基づく事項に係る請願については、「東京都教育委員会請願取扱要綱」、「東京都教育委員会事案決定規程」等に基づき、主管課において当該事案について決定権限を有する者が適正に処理しています。
 なお、こうした取扱いについては、都教育委員会定例会において議論し、決定しています。

質問事項
一の5 請願を選別する根拠となっている「東京都教育委員会請願取扱要綱」の改善を求める請願も、都教育委員会に提出されたが、都教育委員会の会議には報告もされなかった。都教育委員会で議論されたものであるにも関わらず、報告もされないのはなぜか。要綱について教育委員会では検討することはできないのか伺う。

回答
 平成23年12月に提出された東京都教育委員会請願処理取扱要綱の廃止を求める請願については、「東京都教育委員会請願取扱要綱」、「東京都教育委員会事案決定規程」等に基づき、主管課において当該事案について決定権限を有する者が適正に処理しました。
 その後、平成25年10月及び同年11月に提出された、請願の全てを都教育委員会定例会で審議するよう規則の一部を改正することを求める東京都教育委員会請願処理規則の一部改正を求める請願について、平成25年12月19日に開催した都教育委員会定例会において審議し、「東京都教育委員会請願処理規則」及び「東京都教育委員会請願取扱要綱」を変更する必要はないことを決定しています。

質問事項
一の6 教育委員会制度が変更され、教育委員会の改善が求められている。教育委員会の請願制度については、その取扱いについては再検討の必要があると思うが、見解を伺う。

回答
 請願の処理に当たっては、全ての請願を収受するとともに、請願者に対して迅速かつ誠実に回答しており、現在でも請願者の声を教育行政に反映した制度となっています。
 このため、「東京都教育委員会請願処理規則」及び「東京都教育委員会請願取扱要綱」を見直す必要はないと考えています。

質問事項
一の7 今の方針を変更して欲しいという請願が、その方針を決定する会議の前に、教育委員に渡らず、審議されないというのはおかしいのではないか、見解を伺う。

回答
 都教育委員会に提出された請願については、「東京都教育委員会請願処理規則」、「東京都教育委員会請願取扱要綱」、「東京都教育委員会事案決定規程」等に基づき、都教育委員会決定とされる特に重要な事項は、都教育委員会定例会に報告し、決定しています。
 また、既に都教育委員会で決定された教育施策の基本方針等に基づく事項に係る請願については、「東京都教育委員会請願取扱要綱」、「東京都教育委員会事案決定規程」等に基づき、主管課において当該事案について決定権限を有する者が適正に処理しています。
 なお、こうした取扱いについては、都教育委員会定例会において議論し、決定しています。

質問事項
一の8 教育委員会がその役割を果たすためには、今の方針をわけへだてなく教育委員会で審議するべきだが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会定例会での審議内容の充実と効率化の観点及び都民サービスの迅速化の観点から、「東京都教育委員会請願処理規則」及び「東京都教育委員会請願取扱要綱」を定め、都教育委員会に提出される全ての請願を誠実に処理しています。

質問事項
一の9 教育庁に具体的な要望をもっていくと教育情報課に回されてしまい、担当所管に話ができない、という声が数多くよせられている。教育庁への要望や苦情については、担当所管が丁寧に都民の要望に応えるべきと思うが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会に提出された請願については、「東京都教育委員会請願取扱要綱」に基づき、広聴を所管する教育庁総務部教育情報課が収受し、請願者から請願の趣旨、意見及び要望を聴取し、その内容を文書にまとめ、請願書とともに事業の主管課に送付しており、請願者の意図は主管課に適切に伝えています。
 請願書を受理した主管課は、その内容を迅速かつ慎重に検討し、その結果を請願者に通知しています。

平成29年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 特別支援学校の教室不足問題等について

一 特別支援学校の教室不足問題等について
 特別支援学校の教室不足は大変深刻です。東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画には、増改修等が3校、新設校4校、そのうち北多摩地区に特別支援学校(仮称)を調整中となっていることは重要です。
 私は7月11日、羽村特別支援学校を視察しました。5年前に改築していますが、教室不足によるカーテン教室は26教室。しかも、給食は500食の規模を超え、職員全員に提供できない状況になっているということも明らかになりました。
 羽村特別支援学校の学区エリアは、6市2町(青梅市・福生市・東大和市・立川市・武蔵村山市・羽村市・瑞穂町・奥多摩町)です。東大和市内からは76人が在籍しています。スクールバスで1時間以上かかる児童・生徒は、東大和市だけでも19人でした。
 今後の児童の推移は、毎年増加することが明らかであり、羽村特別支援学校の教室不足に対する支援が急務となっています。
 東大和市議会で、都営住宅向原アパートの建て替えにかかわる資料要求のなかで都立特別支援学校の建設計画が明らかになりました。
1 北多摩地区特別支援学校(仮称)の新設は東大和市の都営住宅向原アパートの都有地活用で実現することを求めるものです。しかし、都営住宅向原アパートの地域は、住宅しか建てられない地区計画があり、特別支援学校をつくるためには、都市計画の変更が必要になるため、東大和市は都内で他に活用できる都有地があるのであれば、他を活用すべきだと市議会でも発言しています。都内で羽村特別支援学校の教室不足解消に資する特別支援学校の新設ができるような都有地はあるのですか。
2 羽村特別支援学校の教室不足への対策を早急に行うべきですが、都の認識を伺います。
3 羽村特別支援学校の給食の規模を増やし、児童・生徒、職員の給食がまかなえるよう改善すべきですが、都の認識を伺います。また、今後の具体的な対策について、伺います。
4 スクールバスで1時間以上かかる児童・生徒がいます。スクールバスのルートの改善やスクールバスを増やすなど改善し、通学時間の改善を行うべきですが、いかがですか。

平成29年第三回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 特別支援学校の教室不足問題等について
1 北多摩地区特別支援学校(仮称)の新設は東大和市の都営住宅向原アパートの都有地活用で実現することを求めるものである。しかし、特別支援学校をつくるためには、都市計画の変更が必要になるため、東大和市は都内で他に活用できる都有地があるのであれば、活用すべきだと市議会でも発言している。都内で羽村特別支援学校の教室不足解消に資する特別支援学校の新設ができるような都有地はあるのか伺う。

回答
 特別支援学校を新設する際には、一定規模の大きさがあり、接道条件が良いなどの条件を満たした土地が必要となります。
 都教育委員会では、羽村特別支援学校の教室不足の解消や今後見込まれる児童・生徒数の増加等に対応するため、北多摩地区において北多摩地区特別支援学校(仮称)の設置を計画しています。
 現在、学校設置の条件に合う都有地が所在している自治体と設置に向けた調整を行っています。

質問事項
一の2 羽村特別支援学校の教室不足への対策を早急に行うべきだが、認識を伺う。

回答
 都教育委員会は、羽村特別支援学校の近隣の学校整備を行うことで、羽村特別支援学校の教室不足を解消していくこととしています。
 新たな特別支援学校が整備されるまでの間は、羽村特別支援学校において、間仕切りや特別教室からの転用により、普通教室を確保していくこととしており、教室の間仕切りについては、条件に合う場合、遮音性の高い可動式パーテーションを整備していくこととしています。

質問事項
一の3 羽村特別支援学校の給食の規模を増やし、児童・生徒、職員の給食がまかなえるよう改善すべきだが、認識を伺う。また、今後の具体的な対策について伺う。

回答
 羽村特別支援学校の給食については、教育の特殊性に鑑み、児童・生徒の心身の健全な発達に資するよう、在籍する児童・生徒と給食指導を行う教職員に提供しており、必要な給食は実施しています。
 なお、給食指導に関わっていない教職員については、給食を提供しておらず、現在、当該教職員への給食を提供するための施設の整備は予定していません。

質問事項
一の4 スクールバスで1時間以上かかる児童・生徒がいる。スクールバスのルートの改善やスクールバスを増やすなど改善し、通学時間の改善を行うべきだが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、学校からのヒアリングを踏まえ、バスの小型化やコース設定の工夫等により計画的に特別支援学校のスクールバス乗車時間を短縮し、児童・生徒の通学負担の軽減を図っています。

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