平成二十九年東京都議会会議録第十六号

○議長(尾崎大介君) 八十八番馬場信男君。
〔八十八番馬場信男君登壇〕

○八十八番(馬場信男君) 同じ会派からの質問が続いておりますが、私が最後でございます。
 現在、国政におきましては、衆議院選挙に向けまして、かなりドラマチックな展開となっているようでございますが、私は、都政のさらなる進展のために、ここに、さきの通告に従いまして、順次質問をしてまいりたいと思います。
 まずは、Jアラートについてお伺いをいたします。
 先ほど、我が党の議員から発言がありましたが、少し角度を変えてお伺いをいたします。
 去る九月九日、私は地元の中学校の道徳公開授業に参加をしていました。この日は北朝鮮の建国記念日に当たり、弾道ミサイルの発射実験がうわさをされた日でもありまして、私と同じく参加をしていた保護者の方からは、学校って、もしJアラートを確認しても避難が大変ですね、窓ガラスがいっぱいでと話しかけてきました。
 NHKテレビでは、ミサイル発射、ミサイル発射、北朝鮮からミサイルが発射された模様です、頑丈な建物か地下に避難してくださいと字幕が出ました。そして、アナウンサーも同様に呼びかけました。
 学校は窓ガラスがいっぱいと私に話しかけた人は、頑丈な建物か地下に避難しなければならないというメッセージ、イコール、ミサイル着弾、衝撃波や爆風、ガラスの破片が飛び散る、この流れを理解している人だったのであります。
 Jアラートにより、避難のメッセージが流れますが、いきなり地下に避難と放送されても、東京といえども、地下があるところは極めて限られた場所でありまして、避難をしようという行動につながらないこともあります。
 そこで伺います。
 まず、ガラスが多い学校では、避難の場所を決めておくべきであります。オフィスビルなど窓ガラスの多い建物の中にいる場合は、窓から離れる旨の避難指示が必要となります。都庁舎や都議会議事堂においても、迅速に避難行動をとることが重要です。さらに、まち中にいる場合においても同様であります。
 これらも含めて、ミサイルが発射され、東京にJアラートによるミサイル発射情報が伝達された際、学校やオフィスにいる場合や屋外にいる場合においてはどのように対応すべきか、お伺いをいたします。
 大江戸線を初め、ミサイル着弾時にシェルターとなる施設への対応はどうでしょうか。
 例えば、地上の状況がわかるまで地下で待機するべきと伝えるなどというアナウンスのマニュアル整備はあるのでしょうか。
 また、炭疽菌など生物兵器が使われた場合も同様であります。地下鉄など、避難や隔離が必要な場合、その備えや備蓄はあるのでしょうか。これらを含め、ミサイル着弾時に避難先となる施設における事前の準備は重要であり、備蓄やマニュアルの整備なども必要であると思うが、いかがでしょうか。
 さらに最近では、電磁パルス攻撃による電子機器の障害及びそれに伴う事故や社会的混乱も懸念をされておりますが、電磁パルス攻撃などへの対策、指揮系統のBCP、事業継続計画書や訓練についても検討していくべきと考えます。電磁パルス攻撃への対応についてお伺いをいたします。
 続いて、危機管理体制の構築についてお伺いをいたします。
 東京に差し迫る危機はミサイルだけではありません。三十年以内に七〇%の確率で発生するといわれております首都直下地震もであります。改めて、いつ発生してもおかしくないという、この危機感を持つことが重要であります。
 このような危機感のもと、各地では防災訓練を実施しておりますが、一たび想定を超える大規模な災害が発生した場合には、平時の訓練で対処できたとしても、有事にはうまくいかない場合もあります。
 例えば、東日本大震災の際には、通信が途絶えたり、庁舎の被災等により、被害状況の把握や報告、発信等への支障が多く発生したほか、被災地への物資の調達、輸送における混乱といった状況も発生するなど、被災地では発災直後から混乱をしていたと聞きます。
 このような場合でも、都と防災関係機関が緊密に連携し、混乱することがなく、迅速に活動していくための日ごろからの備えが必要であると考えますが、危機管理体制の構築に向けた都の取り組みを伺います。
 続いて、災害時における物資の調達、供給について伺います。
 昨年四月に発生した熊本地震は記憶に新しいところであり、発災後には全国から多くの支援物資が送られた一方で、運ばれた荷物が物資集積拠点に滞留してしまい、避難所にいる被災者の手に速やかに届かない事態も発生をいたしました。
 例えば、物資の集積拠点にフォークリフトやパレット等が準備されていなかったため、荷おろしを人の手に頼らざるを得ず、物資を輸送するトラックが長時間滞留する事態があったと聞いています。
 その後、このような状況は徐々に解消されましたが、その際、物資の配送のノウハウを蓄積している民間の物流業者等が大きな役割を果たしたようであります。
 そこで、首都直下地震に備え、避難所へ的確に物資を輸送する体制をより充実するため、民間企業との協力関係を強化していくべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 次に、都営住宅政策についてお伺いをいたします。
 小池知事は、第三回都議会定例会の開会に当たっての所信表明の中で、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年を見据え、地域で支え合いながら、誰もが安心して暮らし続けられる東京へ、介護サービスの基盤整備、高齢者向け住まいの充実、介護人材対策の推進などに向けた具体的な施策を示し、超高齢社会への対応に力を入れて取り組んでいくと力強く表明されました。
 都内の高齢者の人口の割合は、この二十年間で約一割も上昇し、ことし公表された高齢化率は二三・三%、約四人に一人が六十五歳以上の高齢者であります。WHOと国連の定義によりますと、六十五歳以上の人口が七%を超えると高齢化社会、一四%を超えると高齢社会、二一%を超えると超高齢社会とされています。まさに世界に類を見ないスピードで高齢化が進み、人類史上初、いまだかつて経験したことのない超高齢社会の領域に踏み込んだところであります。
 私の地元足立区には、多くの都営住宅が整備をされています。所管する都市整備局に、居住者に占める高齢者の割合を確認しましたところ、六十五歳以上の高齢者世帯は約六五%、おひとり住まいの世帯に限っていえば何と八〇%とのことで、都内の高齢化率をはるかに上回ります。今後さらに高齢化が進むに当たり、二十六万戸の都営住宅を抱える東京都としても適切な対応が望まれます。
 福祉的なサービスは、地元自治体である区市町が提供していくというのが基本であることは理解をしておりますが、東京都としては、都営住宅の管理者として、高齢者世帯に対して特別な配慮が必要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 都営住宅は、昭和四十年代以前の約十万戸を対象に順次建てかえが進んでおります。理想をいえば、全ての団地がリニューアルされ、室内や施設設備が最新のものになることが期待をされます。
 しかし、十万戸を短期間で一気に進めることは、財政的な制約やマンパワーの問題、種地の確保など、容易なことではありません。
 そこでお伺いをいたします。
 古い団地では、住宅内部の設備も陳腐化し、住みなれた住宅であっても、高齢者や障害者にとって使いにくい面もあると思います。このような状況を踏まえながら、都営住宅のバリアフリー対策を推進すべきと考えますが、いかがでしようか。
 最後に、大規模な都営住宅団地建てかえについて、二点ほどお伺いをいたします。
 都内各地には、一つのまちを形成する規模の都営団地があります。これらは、高度成長期に就業機会などを求めて東京に転入してきた人々の居住の場として建設をされました。これらは適切に修繕はされてはいるものの、建設から約五十年を経過しており、老朽化が進んでおります。したがって、計画的に建てかえを進めること、そして効率的に進めていくことが何より重要であります。
 そこで、大規模な都営住宅団地の建てかえの進め方について、都の見解をお伺いいたします。
 また、大規模団地の多くは、四、五階建ての中層の住棟から構成されておりまして、建てかえにより高層化となり、まとまった規模の用地が創出されています。建てかえが終わった団地を見ると、敷地内に保育所などの福祉施設が新しく整備されており、こうした取り組みは、施設整備用地が不足している地元自治体はもとより、地域の住民にとってもとても歓迎するものと考えます。
 そこで、都営団地の建てかえによる創出用地の活用について、都の基本的な考えをお伺いして、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 馬場信男議員の一般質問にお答えをいたします。
 都営住宅行政について、四点のご質問をいただきました。
 まず、都営住宅における高齢者世帯への配慮についてでございます。
 高齢者世帯の生活をサポートするため、指定管理者である東京都住宅供給公社では、巡回管理人制度を実施して、希望する六十五歳以上の世帯に対して、定期的に訪問し、日常的な相談を受けるほか、各種申請書類の取り次ぎなどを行ってございます。
 また、高齢者世帯の安全を確保するため、公社では、二十四時間三百六十五日対応できる緊急時の連絡体制を整備してございます。
 さらに、平成二十四年度からは、地元区市町との間で安否確認に関する協定を締結し、連絡協議会の設置や緊急時の情報共有の仕組みなどを構築してございます。
 今後とも、こうした高齢者世帯に配慮した取り組みを進めてまいります。
 次に、都営住宅におけるバリアフリー対策についてでございます。
 都営住宅において、高齢者や障害者の生活利便性を確保するため、住宅設備の改善を進めることは重要でございます。
 現在、都営住宅では、建てかえや改修の際にエレベーターの設置、玄関や室内の段差解消などを進めてございます。また、高齢者や障害者が居住している住戸では、玄関やトイレ、浴室への手すりの設置のほか、緊急通報が可能なインターホンへの取りかえなどを、居住者の申請により実施してございます。
 今後とも、都営住宅におけるバリアフリー対策を進めてまいります。
 次に、大規模な都営住宅団地の建てかえの進め方についてでございます。
 建てかえに当たっては、従前居住者の近隣の団地もしくは住棟での移転先を確保しながら、計画的、効率的に進めていくことが重要でございます。これに加え、建設年度や老朽化の度合い、設備やバリアフリー化の状況などの優先度も考慮して、順次建てかえを実施してございます。
 建てかえ事業の実施に当たっては、団地敷地内での住棟の配置などを工夫することにより、建物の除却、建設や居住者の移転、これらを円滑に実施し、事業の着実な推進を図ってございます。
 最後に、創出用地の活用の基本的な考え方についてでございます。
 都営住宅の建てかえによる創出用地は、都民共有の貴重な財産であり、まちづくりに効果的に活用し、都の政策目的の実現や地域の課題解決を図ることが重要でございます。この用地では、これまでも福祉施設や道路、公園の整備など、地元区市の要望も踏まえたさまざまな取り組みを進めてまいりました。
 今後とも、都営住宅の建てかえにおいては、地域の特性や個々の土地の状況などを勘案しながら、創出用地の活用を図ってまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、ミサイル発射時における対応についてですが、ミサイルが東京へ飛来する可能性がある場合は、Jアラートを使い、区市町村の防災行政無線や携帯電話会社の緊急速報メールにより、緊急情報が都民に直接伝達されます。
 緊急情報が伝達された際の安全確保については、国がとるべき行動を示しております。
 具体的には、お話にもございましたが、学校やオフィスビルなど建物の内部にいる場合は、爆風で壊れた窓ガラスなどで被害を受けないよう、できるだけ窓から離れるか、窓のない部屋に移動するなどの行動をとることとされております。
 一方、屋外にいる場合は、爆風や破片による被害を避けるために、建物の中または地下に避難するほか、近くに適当な建物等がない場合は、物陰に身を隠すなどの対応をとることとされております。
 次に、避難先となる施設における対応についてですが、都は、弾道ミサイル攻撃や大規模テロによる武力攻撃事態等に適切に対処するため、警報や避難の指示などの迅速かつ的確な伝達体制の整備や、化学剤や爆発物を想定した訓練を関係機関と実施するなど、平素から備えを進めております。
 一方、避難先となる施設の具体的な対応については、ミサイルの弾頭の種類や被害の状況などにより異なるため、現時点では、国民保護法に基づく国からの避難措置の指示や救援指示などを受けて対処することとなります。
 今後、さらに備えを固めるとともに、万が一の事態が発生した場合には、国や区市町村、警察、消防等の関係機関と連携して、的確に対応してまいります。
 次に、電磁パルス攻撃への対応についてですが、通信、電力等のインフラが狭い国土に集積している我が国、特に高度に集積している東京においては、電磁パルス攻撃も深刻な問題であると認識しております。
 電磁パルス攻撃が行われた場合には、広範囲にわたり電力供給などへ多大な影響を及ぼすことが懸念され、国家的な課題となると考えられております。現在、国としても、国民生活への影響を最小限にするための対策の検討を開始したとのことでございます。
 都としても、都内で混乱が生じないよう、国の検討状況等も踏まえ、万が一の際に備え、対応を検討してまいります。
 危機管理体制の構築についてでございます。
 首都東京の災害対応力を強化するためには、さまざまな災害に的確に対処することのできる体制を構築し、その能力を高めていくための取り組みが重要でございます。
 このため、大規模災害発生時には、知事を直接補佐する危機管理監のもと、総務局が中心となり、情報収集等を行うとともに、関係する各局や機関が連携し、全庁を挙げて災害対応を行う体制を構築することとしております。
 また、自衛隊、警察、消防の管理職等を平時から総務局に配置し、各機関の任務の共有化を図るなど、緊密に連携し、応急対策活動を迅速に行う体制としております。
 さらに、総合防災訓練や図上訓練等を実施しており、このような取り組みを繰り返し行うことにより、危機管理体制の実効力を強化してまいります。
 最後に、災害時物資輸送に係る民間との協力についてです。
 都はこれまで、避難所へ円滑に物資を届けるため、民間事業者との協定の締結を初め、協議や訓練を通じた関係者間の情報の共有や要請手順の習熟、さらには備蓄倉庫等での荷役の効率化などを進めてまいりました。
 また、昨年度、都は広域的な防災拠点として活用するため、旧立川政府倉庫を購入し、本年六月、東京都多摩広域防災倉庫として、その一部の運用を開始したところであり、九月の総合防災訓練では、九都県市による支援物資の受け入れ、配送などの訓練を、民間事業者の協力を得ながら実施いたしました。
 今後も、民間事業者と緊密に連携しながら、災害時における物資調達、供給の体制をより実効性のあるものとしてまいります。

○議長(尾崎大介君) 以上をもって質問は終わりました。

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