午後五時二十五分開議
○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
九十番田の上いくこさん。
〔九十番田の上いくこ君登壇〕
○九十番(田の上いくこ君) ちょうど去年の今ごろ、私は保活を始めました。保活とは、子供を保育園等に入れるために保護者が行う活動です。
まず見学に行って、名前を書いてこなくてはなりません。人気のある保育園は一回の見学に百人近い保護者が集まり、それを何回も行っていました。ゼロ歳児の枠は大体六名程度、兄弟枠が埋まってしまったら残りは何名になるのか。その数名の枠に数百人の保護者が押し寄せていました。中にはまだ妊娠中の方もいました。認証保育所に問い合わせると、既に登録者は八十人とのこと。別のところでは九十人待ちでした。このままでは入れないかもしれない、保活の不安で遠くの保育所まで足を運ぶ日々でした。
保活中にたくさんの友人ができました。いわゆるママ友です。四月になって、どこかの保育施設に子供を預けられると、みんなこのつらさを忘れてしまう、でも、この保活の大変さを決して忘れてはいけない、そして今、私は、この現状を知ってほしいと、次に続く人たちのために議場に立っております。
小池都知事の大胆な待機児童対策で、各自治体の保育所定員は大きく拡大しています。我が江戸川区でも来年度、認可保育園が十六園オープン、小規模保育所等も入れて千名を超える定員増の予定です。
東京都の待機児童数は、本年四月一日現在、八千五百八十六名ですが、来年度から待機児童の取り扱いの見直しが義務づけられています。最も待機児童数が多いのは、世田谷区の八百六十一名ですが、育児休業を延長している方などを入れると、同程度の数の自治体も出てくることが予想されます。
都では、子育て家庭を対象として、保育ニーズ実態調査を実施するとのことですが、待機児童の表面の数だけでなく、保育ニーズをきめ細かく把握した上で、待機児童解消に取り組むべきだと考えます。都の見解を伺います。
自治体によって異なるかもしれませんが、こうした保活の状況の中、まず子供を預けることが先行し、少々気に入らない保育所でも名前を書いてきます。保護者は安心して預けられる施設を選べる状況にありません。あらゆる機会を捉えて、保育の実態や現場のニーズを把握していただきたいと要望します。
我が子はこの四月、見事に待機児童になりました。必死であちらこちらに電話をし、キャンセル待ちをふやしました。その結果、ようやく入所できたのは、認可外保育施設、すなわち無認可保育所でした。
子供を預かってもらえるのは大変ありがたく、すがる思いでしたが、ゼロ歳児の我が子は、就学前の大きな子供たちと同じ小さなスペースにいて、ほとんど歩くこともできずに小さくなっていました。おもちゃもほとんど見かけず、手づくりのビーズが入ったペットボトルが転がっていました。親としては、つらくて涙が出ました。
待機児童になったケースだけでなく、看護師さんなど働く時間が不規則な方は、認可保育所では事足りず、あえて認可外保育所を選ぶことがあります。保育料は高いのに、子供の保育環境は認可と無認可では全く異なります。備品購入の補助など、認可外保育施設への支援ができないか伺います。
さらにキャンセル待ちをし、我が子は五月に認証保育所に転園しました。しかし、喜んだのもつかの間、また、ことしも保活をしなくてはならないことが判明しました。その認証保育所は、二歳児までの保育所だったのです。
四月一日現在で、認証保育所の数は六百三十一件、うちA型五百五十八件、B型七十三件です。A型は月百六十時間以上の利用が必要なゼロ歳から五歳までの児童となっていますが、実際はA型の約三割が二歳児までの保育所となっています。
小規模保育所もしかり、二歳までしか対応しない保育所の場合は、入園した後も毎年のように保活をしなくてはなりません。せっかくなれた保育園の先生、お友達がいるからとそのままにしていると、数年後、三歳児の枠が狭くて、預け先がなくなってしまいます。いわゆる三歳の壁です。
そうならないように、一歳児の保活、それに失敗したら二歳児の保活、三歳児の保活と続けていくわけです。
待機児童が多いゼロ歳から二歳の保育が中心となっている現状の中で、卒園後の園児の受け皿となる連携施設の対策も必要であると考えます。
厚生労働省では、三歳児以降の継続的な保育サービス確保のため、幼稚園の預かり保育への支援強化などを掲げていますが、十七時くらいまでの預かり保育では、フルタイム勤務の場合、対応できないのではないかと推測します。
東京都が今年度始めたTOKYO子育て応援幼稚園では、長時間の預かり保育を可能にするとのことですが、三歳児の壁に対応できるものになるのか伺います。
また、切れ目のない保育のために、五歳児まで対応できる認可保育所や認証保育所A型をふやすべきと考えますが、保育サービスの拡充に向けた都の取り組みについて伺います。
小池都知事が就任され、わずか一年の間に数々の施策を打ち出し、これまでの都政にはないスピードと内容で待機児童対策を進めてきたことを高く評価しております。
一方で、依然八千人を超える待機児童がいることや、この数に含まれていない待機児童がいることも事実です。
賃借料が高い駅周辺での賃借料補助の拡充は、事業者のニーズでもあり、保護者の通勤のニーズにも応えた対策の例です。今後もさらに現場のニーズに耳を傾けていただきたいと要望し、待機児童解消に向けた知事の決意を改めて伺います。
次に、バリアフリーです。
都民ファーストの会は、バリアフリー、ユニバーサルデザインのまちづくりを訴えてきました。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会までに整えられる環境は整備し、セーフシティーを実現してほしいと考えます。
私は、視覚障害者のガイドヘルパーとして時折活動しております。アイマスクをして階段を上ったり、電車に乗ったり等経験し、視覚を失うと大きな不安を伴うことを初めて知りました。
視覚からの情報は全体の約八〇%といわれ、視覚情報が少なかったり、全くない場合の生活は大変だといわれています。また、視覚障害者のうち全盲は約三割で、七割は弱視です。弱視の方の見えにくさには幾つもの種類があり、ぼやけによる見えにくさ、まぶしさによる見えにくさ、視野の周辺部や中心部が見えない見えにくさなどがあります。
弱視の人は、白杖を頼りに一人で外出することも多く、公園や川沿いは身近で快適な外出場所です。
そこで、今後の都立公園のバリアフリー化に向けた取り組みについて伺います。
都立公園には自転車が進入しないように、シルバーの車どめなどが設置してありますが、シルバーが光ってよく見えず、弱視の方がぶつかることが多いと聞きます。区道などでは、視認性が高まる黄色の反射テープ等を張っているポールを見かけますが、こういった色による工夫を都立公園でも積極的に行うべきと考えます。
バリアフリーはさまざまな視点から取り組まなくてはなりません。交通局は、都営地下鉄において、これまでにもエレベーターのワンルート確保など取り組んでいると認識しています。
しかしながら、通勤電車の時間帯の駅においては、混雑も激しく、たくさんの危険が伴います。エスカレーターでは、右側を急いで通行する人たちが多く、ガイドヘルパーが視覚障害者の隣に立つことができず、前後に一列となってしまいます。
また、エスカレーターをおりる際に、ガイドヘルパーは利用者の前に出て誘導しなければなりませんが、右側歩行があるために大変苦労します。
本来は歩行するものではないエスカレーターにおいて、右側の歩行利用は依然として続いており、この習慣を変えるためには、鉄道会社だけでなく、社会全体で取り組んでいかなくてはなりません。
まず、交通局では、都営地下鉄におけるエスカレーターの安全利用について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
鉄道駅等の公共施設において、手すりも一人で外出する視覚障害者にとっての大切な道しるべとなっています。
ところが、鉄道等の階段やスロープでは、設置されている手すりが視覚障害者に安全な水平な場所まで設置されていなかったり、踊り場の途中で途切れてしまうなど、頼りにしていた手すりが急に失われてしまうといった状況があります。
そこで、都営地下鉄駅の構内で、階段、スロープ等の手すりの整備に関する今後の取り組みについて、交通局の見解を伺います。
体調の悪い方にとって、長い距離を移動するのは大変で、途中休憩したいこともありますが、都営地下鉄のホームにトイレが設置されている駅は少なく、せめて休憩できるベンチがあればよいのですが、駅によっては、ベンチの設置台数が少なく、不便な場所も見受けられます。
都営地下鉄のホームにおけるベンチの増設について、あわせて所見を伺います。
最後に、電柱の地中化について質問をいたします。
東京都無電柱化推進条例が成立し、九月一日より施行されており、今後、都内で無電柱化が加速することが期待されます。昨年十二月に成立した無電柱化の推進に関する法律では、都道府県または市町村は、無電柱化推進計画を定めることを努力義務としていますが、このたびの条例で、都は無電柱化のための計画を今年度中に定めることになりました。
電柱を地中化することは、電柱倒壊によって道路を塞ぐ二次災害を防ぐのみならず、都市景観の形成や都民が納得できるワイズスペンディングにより経済的効果が期待できます。また、バリアフリーの観点からも、狭い歩道を通行するベビーカーや車椅子、視覚障害者にとっても安全な歩行が可能になります。
そこで、都民が安全・安心に暮らせるセーフシティーの実現に向けて、無電柱化の果たす役割について、小池都知事に改めて伺います。
また、昨年、東京の電柱をゼロにしたいとの発言がありましたが、今後の区市町村道での展開を含め、どのように進めていくのか伺います。
また、条例では、都道において事業者が電柱や電線を道路上に新たに設置しないことが盛り込まれていますが、新設禁止が当てはまらない区市町村道において、都として今後どのように対応されるのか伺います。
以上で質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 田の上いくこ議員の一般質問にお答えいたします。
まず、待機児童対策についてのお尋ねでございました。
女性の力をもっと引き出してその活躍を後押しする、そのためには、誰もが働きながら地域で安心して子育てができる環境を整えていく、このことが不可欠でございます。
そのために、私は待機児童の解消を都政の最重要課題の一つと位置づけまして、さまざまな取り組みをこれまでも進めてまいりました。
昨年十一月、そしてことし四月には、地域で保育サービスを担っている区市町村の首長の方々と、現場が抱えておられる課題やニーズについて率直に意見交換をさせていただいたところでございます。
また、保育事業者からヒアリングを行うほか、保育の現場を視察して、そこで働くスタッフの方や保護者の方からも直接のご意見を伺いました。
今後とも、さまざまな機会を捉えて、そして議員のご経験も含めて、現場のニーズを把握しながら、待機児童の解消に向けて保育サービスの整備を加速してまいりたいと考えております。
続いて、無電柱化についてでございます。
東京の防災力を高めて、都民が安全・安心に暮らせるセーフシティーを実現していくためには、また、ベビーカーや車椅子などの安全な通行を確保して、良好な都市景観を創出する、そのためにも無電柱化は重要なポイントでございます。
阪神・淡路大震災では、多くの電柱が倒れて、避難や救助の妨げとなったことを、私みずからが見ております。防災性の向上を図るためにも、都道のみならず、区市町村道のような道幅の狭い道路こそ、電柱や電線をなくしていかなければならないと考えております。
無電柱化が進まない要因、その最大の要因は、整備に多額の費用を要することでございます。
このために、区市町村に対して財政的、技術的な支援を行うとともに、事業者間の競争やイノベーションを促すことによって、コストの縮減を図ってまいります。そして都民の共感を得ながら、東京の無電柱化を強力に推進していきたいと考えております。
その他のご質問につきましては、関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
まず、保育ニーズの把握についてでありますが、保育の実施主体である区市町村は、現在、地域の保育ニーズを踏まえ、平成二十六年度に策定をいたしました保育計画の中間の見直しを進めております。
また、都におきましても、保護者の就労状況にかかわらず、保育サービスの利用状況や利用の意向、育児休業制度の活用状況などを把握する観点から、都内約三万八千の子育て世帯を対象に、現在、実態調査を行っております。
今後、こうした調査結果などを踏まえて、来年三月に東京都子供・子育て支援総合計画を改定する予定であり、区市町村と連携しながら、待機児童の解消に向け取り組んでまいります。
次に、認可外保育施設に対する支援についてでありますが、都は、認証保育所に対して、開設準備経費や運営費を支援するとともに、企業主導型保育施設に対しては、国の施設整備費や運営費の補助に加え、開設時の備品購入に要する経費を支援をしております。
また、認可保育所等への移行を目指す認可外保育施設に対しては、運営費のほか、改修費や移転費の支援を行っております。
さらに、職員配置や設備等の基準を満たす認可外保育施設を利用する保護者の負担軽減に取り組む区市町村に対しては、昨年十一月から独自の支援を開始しており、引き続き認可外保育施設の利用者を支援してまいります。
最後に、保育サービスの拡充についてでありますが、区市町村は、年齢別、地域別の保育ニーズを踏まえ、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育など多様な保育サービスを整備しており、都は、区市町村や事業者の負担軽減、都有地の減額貸付、国有地、民有地の賃借料補助など、さまざまな独自の促進策により、区市町村の取り組みを支援しております。
この結果、本年四月の認可保育所の施設数は、前年に比べ二百十六カ所増加をし、認証保育所A型も新たに十カ所開所いたしました。
今後とも、保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。
〔生活文化局長塩見清仁君登壇〕
○生活文化局長(塩見清仁君) TOKYO子育て応援幼稚園についてでございますが、これは、待機児童解消に向けた都の施策の一つといたしまして、共働き家庭等のニーズに応える私立幼稚園を支援する今年度からの新たな取り組みでございます。
本事業は、年間を通じた長時間の預かり保育だけではなく、二歳児までが対象の小規模保育施設からの子供の受け入れに取り組む幼稚園に都独自の補助を行うことで、その拡充を目指しておりまして、いわゆる三歳児の壁の解消にも資するものでございます。
今般、都では、この幼稚園をPRするシンボルマークを作成したところでありまして、これを活用するなどいたしまして、広く都民に周知を図るとともに、子育て支援の実施主体である区市町村との連携を強化いたしまして、TOKYO子育て応援幼稚園をさらにふやすよう取り組んでまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕
○建設局長(西倉鉄也君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、都立公園でのバリアフリー化の取り組みについてでございますが、都民の安らぎと憩いの場となっております都立公園では、誰もが安全、快適に過ごせることが重要でございます。
都は、平成二十四年度に、東京都立公園における移動等円滑化の基準に関する条例を定めまして、これまで高齢者、障害者等の円滑な利用に適した施設整備に取り組んでまいりました。
今年度は、夢の島公園などで、性別、障害等にかかわらず快適に利用できる誰でもトイレを新設いたします。また、車椅子の方や高齢者も移動しやすいよう、園路の段差解消や勾配の改善などを行ってまいります。さらに、視覚障害者にも配慮いたしまして、公園の出入り口にあります車どめの視認性の改善を図ってまいります。
引き続き、誰もが安心して利用できますよう、都立公園のバリアフリー化を着実に進めてまいります。
次に、区市町村道における無電柱化についてでございますが、無電柱化を進めるためには、既存の電柱、電線を撤去するとともに、電柱の新設を抑制する取り組みが重要でございます。
昨年十二月に施行されました無電柱化の推進に関する法律では、国及び地方公共団体は、災害の防止等を図るために無電柱化が特に必要であると認められます道路につきまして、電柱の新設を禁止するなど、必要な措置を講ずるものとしております。
このことから、都といたしましては、法の趣旨を踏まえまして、区市町村との連絡会議等におきまして、電柱の新設禁止など、道路管理者である区市町村の主体的な取り組みを促してまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕
○交通局長(山手斉君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、都営地下鉄のエスカレーターの安全利用についてでございますが、エスカレーターにおきまして転倒や接触などによる事故を防止するためには、お客様に手すりにおつかまりいただくことが重要でございます。
このため、交通局では、鉄道各社等と共同して、エスカレーターみんなで手すりにつかまろうキャンペーンを毎年実施しておりますとともに、駅の構内放送を通じまして、エスカレーターの安全な利用を呼びかけてございます。
加えて、局独自の取り組みといたしまして、マナー啓発用ポスターや車内液晶モニターなども活用いたしまして、お客様が安全にエスカレーターをご利用いただけますよう、今後とも積極的な啓発に努めてまいります。
次に、駅の階段やスロープ等への手すり設置についてでございますが、都営地下鉄では、全てのお客様が駅を安心してご利用いただけますよう、駅のバリアフリー化を進めてございます。
浅草線、三田線など、開業時期の古い路線におけます階段やスロープの手すりが不連続な箇所につきましては、手すりを連続して設置する取り組みや水平な場所まで手すりを延長するなどの取り組みを、計画的に実施してまいりました。
さらに、壁面に消火栓などの設備がございますため、手すりの設置が物理的に困難な箇所などにつきましては、駅の大規模改良工事の機会を捉えて、手すりを含めた全面的なバリアフリー化を図ることといたしておりまして、現在、神保町駅や日比谷駅におきまして工事を実施してございます。
引き続き、全てのお客様が駅をより一層安心してご利用いただけますよう、取り組みを進めてまいります。
最後に、都営地下鉄のホーム上のベンチについてでございますが、交通局では、お客様の利便性や快適性の向上を図るため、経営計画に基づきまして、平成二十五年度から三年間で新たに百台のベンチを設置しており、その後も、お客様からのご要望を踏まえまして、順次増設を行ってまいりました。
今後も、高齢者や障害をお持ちのお客様など、誰もが安心して都営地下鉄をご利用いただけますよう、ホームの構造やお客様の流動等を踏まえまして、ホーム上にベンチを設置してまいります。
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