平成二十九年東京都議会会議録第十六号

○議長(尾崎大介君) 四十九番清水やすこさん。
〔四十九番清水やすこ君登壇〕

○四十九番(清水やすこ君) 西多摩選挙区選出の清水やすこと申します。私は、介護と子育ての経験のある女性の目線で、また、税の専門家の目線で取り組んでまいります。よろしくお願いいたします。
 本日は、大きく三つのテーマに分けて質問をさせていただきます。
 まず、皆様の強い関心のある都有財産の有効活用について質問させていただきます。
 都は、多くの土地を保有しています。こうした都有地の多くは、警察署や消防署、都立学校など、それぞれの目的に従い、都民の安全を守り、暮らしを支えるさまざまな施設の用地として有効に利用されているところです。さらに都は、このような行政目的で都が直接利用しない都有地についても、売却だけでなく、福祉インフラ整備事業や私立学校耐震改修工事等支援事業など、これまで効果的に未利用都有地を活用してきたと聞いております。
 しかし一方で、例えば、私の選挙区にございます駅の近くには、ある施設の跡地約九百坪が、いまだ都として利用されることなく十年以上そのままの状態に置かれています。
 そこでまず、財務局が所管する普通財産の都有地の保有状況と、その中で未利用となっている都有地がどのぐらいあるのか伺います。
 また、利用されていない都有地の中には、その時々の行政需要に加え、敷地の形状や面積など、都としての利用が難しい土地もあります。
 一方、全く活用されていない状態のままでは、都民の共有財産である都有資産の賢い使い方とはいえません。地元区市町村とも連携し、地域の課題解決のためにも、可能な限り有効利用していくべきです。
 そこで、未利用都有地の使い方についてどのような検討がなされているのか、確認させていただきます。
 次に、都営住宅には、たくさんの駐車場の空き区画がございます。資産が長期間眠っているように見受けられるものもございます。ある都営住宅の駐車場は、全二十八台の駐車場数のうち十三台分がコーンでしっかり固定されて違法駐車できない状態です。
 一方、目の前にございますのが保育園です。園児数百人を超える市立保育園で、その保育園の駐車スペースはわずか三台です。
 確かに都営住宅の駐車場は、その住宅に居住する住民のための施設であることは理解しております。しかし、何年も利用されず眠っている状況を都民目線で考えますと、例えば、都から区市町村等に定期利用を締結するなど、一般に開放することで、違法駐車も減り、周辺の道路状況が改善されるのではないでしょうか。また、本来、駐車場を賃貸していれば、そのキャッシュインフローは、都にとってもプラスなのではないかと考えます。
 そこで、都営住宅における駐車場の有効活用について見解を伺います。
 次に、都の水源林、また、都民の財産である森林の税金に関して伺います。
 森林は、地球温暖化防止、土砂災害防止、水源確保など、さまざまな機能を有しており、広く都民に恩恵をもたらすものです。
 しかし一方では、全国的に長期間、不動産登記の名義変更がなされず、所有者や境界線が不明確な森林も多く、いざ政策を施しようにも、全ての相続人の同意が必要なため、スピーディーに反映することができません。加えて、林業の担い手不足や木材需要の低迷などにより、間伐などの森林整備が十分に実施されず、山そのものが荒廃しつつあります。
 さて、このような課題を解決する一つの政策として、森林整備財源の確保のため、国の平成二十九年度与党税制改正大綱に基づき、森林環境税の検討が進められていますが、国における検討状況を踏まえて、都の見解を確認いたします。
 そして、二つ目でございます。都の観光政策について質問させていただきます。
 私はこれまで、三市三町一村の西多摩地域に国内外含めた観光客数を伸ばしたいとの強い思いから、各市町村や観光協会、旅館を経営される方々を初めとして、多くの皆さんと意見交換をしております。私自身も、補助金の説明会にみずから参加し、関係者の皆様と連絡をとっておりますが、地域の観光資源を生かした取り組み状況がまちまちであると感じます。
 東京都では、訪都外国人旅行者二千五百万人の達成に向けて、新たに国別の目標を設定するなど取り組まれています。こうした地域の発想を旅行商品の造成などにつなげるための取り組みにおいて、これまで利用のなかった市町村で実施する場合には、手を挙げやすいように後押しをできないでしょうか。また、一度きりの支援ではなかなか成果を出すのが難しく、定着するまでに継続して支援する必要があると思います。都の見解をお伺いいたします。
 また、これからは、オリンピック・パラリンピックに向けて、外国人の観光客を呼び込んでいくことも考えなくてはいけません。
 西多摩地域の観光客の実人数が約五百万人のうち、宿泊はわずか五%です。その中でも、外国人観光客はさらに少なく、二十三区と比較し、多摩地域において外国人向けの表記や宿泊施設、免税ショップ、他国通貨の支払いシステムなど、外国人観光客を受け入れる体制が手薄な面もあるかと存じます。
 こうした事業者の受け入れ環境の整備を進める一方で、気軽に観光を楽しむための電車やバスなどの足の確保や、地域全体を周遊するツアーなどを進めるべきです。
 旅行商品が積極的に造成されるように、各市町村と情報を共有するとともに、旅行事業者に対して働きかけるべきと思いますが、都の見解を伺います。
 多摩地域は、ご存じのとおり、御岳山や高尾山、さまざまな温泉の観光スポットがございますが、特に外国の認知度、まだまだ十分とはいいがたく、地域の多種多様な魅力をさらにPRすることが必要と思います。
 東京都として、西多摩地域の魅力を伝える顧客ターゲットをしっかり決めて、どのような成果が出たのか確認しながら発信していくべきと考えます。都の見解を伺います。
 最後、三つ目は、都の土砂災害について質問させていただきます。
 平成二十五年度の伊豆大島や二十六年度の広島を初め、全国各地で豪雨による土砂災害が頻発しており、本年七月には、九州北部豪雨により甚大な被害が発生し、多数の方が亡くなられました。
 東京には、多摩地域を初め、土砂災害のおそれがある箇所が多数存在していて、対策を早急に進めていく必要があります。
 土砂災害から住民の大切な命を守るためには、土砂災害法に基づき、土砂災害警戒区域等の指定により、迅速に避難行動がとれるよう危険性を周知することが重要と考えます。
 そこで、土砂災害警戒区域等の指定の取り組み状況について伺います。
 一方、多摩地域におきましては、山合いの小中学校などの公共施設が災害時の避難所の指定にされています。このような避難所を守るため、ハードの面での土砂災害対策も重要です。
 そこで、急峻な地形の多い西多摩地域における土砂災害のハード対策について伺います。
 次に、帰宅困難者対策について伺います。
 東日本大震災では、交通機関に大きな混乱が生じ、多くの帰宅困難者が発生しました。私自身も帰宅困難者となり、子供と義理の母を迎えに行くまでに五時間もかかりました。
 東京都の被害想定では、首都直下地震が発生した場合、五百十七万人もの帰宅困難者の発生を見込んでいます。帰宅困難者対策を進めていくためには、多くの都民や事業者の理解と協力を得ることが不可欠でございます。
 都はこれまで、発災時には、むやみに移動を開始せず、安全な場所にとどまってもらう一斉帰宅抑制について、広く都民、事業者に呼びかけるとともに、帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保に取り組むなど、さまざまな対策を進めていらっしゃいました。
 今後、帰宅困難者対策をさらに前進させていくためには、都民と事業者の幅広い理解と協力が重要であると考えますが、知事の見解を伺います。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 清水やすこ議員の初一般質問にお答えをいたします。
 帰宅困難者対策でございますが、東日本大震災の際には、都内でも多数の帰宅困難者が発生をいたしました。幹線道路を延々と歩いて帰宅する姿、駅前でバスやタクシーを待つ長蛇の列、今でも多くの人々の記憶に残っているところでございます。
 都民が安全・安心に暮らせるセーフシティーを実現するためには、大都市特有の課題でございますこの帰宅困難者対策を、都民や事業者の幅広い協力を得まして着実に進めていくことが重要と考えております。
 首都直下地震の際に発生が見込まれます多数の帰宅困難者に対応するためにも、都はこれまで、発災時の一斉帰宅を抑制する呼びかけ、また、一時滞在施設の確保などに取り組んでまいりました。
 この取り組みをさらに加速するためにも、先日、学識経験者や民間事業者など、さまざまな有識者で構成をいたします検討会議も新たに設置をいたしまして、今後の帰宅困難者対策の方向性などについて検討に着手をしております。
 社会全体の助け合いの機運の醸成や民間事業者との連携の方策などについて検討いたしまして、年内をめどに施策の方向性を取りまとめて、今後の新たな事業展開につなげていく所存でございます。
 なお、その他のご質問につきまして、東京都技監、そして、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 都営住宅の駐車場の有効活用についてでございます。
 これまで都は、都営住宅においても、区市が定める附置義務に基づき駐車場の整備を行ってきておりますが、居住者の高齢化などに伴い、利用率が低下している実態がございます。
 このため、定期的な募集に加え、あき区画が生じた場合には先着順での受け付けを行い、また、地域住民向けにも開放して貸し出しを行うなど、利用の拡大を図ってございます。
 さらに、介護等のために車で訪れる方の利便性を確保することなどを目的として、平成二十六年八月から試験的に一部の区画でコインパーキングを設置することを開始し、現在は九団地まで拡大して百一区画で運用してございます。
 今後、都民共有の財産でもある都営住宅の駐車場について、その有効活用を図る観点から、より適切な取り組みを進めてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、財務局所管の都有地についてでございますが、平成二十九年三月末現在、財務局が所管する普通財産の都有地は、合計で二千九十六件、面積は四百七十八ヘクタールでございます。
 この中には、利活用が困難な明治、大正時代からの借地権等が設定されている長期の貸付財産、無人離島や緑地などが含まれておりまして、こうしたものを除きますと、未利用となっている普通財産の都有地は、合計で三百二十件、面積は約百八十七ヘクタールでございます。
 続きまして、未利用都有地の活用についてでございますが、都有地は、都民から負託を受けた貴重な財産でございまして、最大限有効活用していくことが必要であると認識をしております。
 未利用地の活用に当たりましては、原則として、まず、庁内での利用意向を確認し、次いで区市町村の意向を確認してございます。その上で公共利用が見込めない場合には、民間への競争入札による貸し付けや売却等を検討しているところでございます。
 こうした中、都は、喫緊の課題であります待機児童問題を踏まえまして、保育所等として活用可能性のある土地を全庁的に洗い出し、地元自治体に情報提供するなど、保育所等の整備に向けまして、局横断的に都有地の活用を推進し、用地の確保に取り組む区市町村を積極的に支援しております。
 今後も、地域の諸課題の解決に向けまして、区市町村と一層、連携強化を図りまして、未利用都有地の有効活用に努めてまいります。
〔主税局長目黒克昭君登壇〕

○主税局長(目黒克昭君) 森林環境税についてでありますが、平成三十年度税制改正に向けて、国においては、本年四月から、地方財政審議会において審議されており、本年秋ごろに取りまとめが行われる予定でございます。
 制度のあり方につきましては、個人住民税均等割に上乗せする形で国税として課税し、全額を地方に配分することが検討されてございます。
 森林環境税の創設に当たりましては、都道府県及び市町村の役割分担に応じて配分されることや、都市部の住民からも理解を得られることが重要と認識しております。
 今後とも、国における議論の動向を注視してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、地域の発想を生かした観光振興についてでございますが、地域の観光関連の団体が地元の特色のある資源を生かし、旅行者誘致にみずから取り組んでいくことは、都内各地の観光の活性化につながり、有用でございます。
 都はこれまで、観光協会等のすぐれたアイデアと民間事業者が持つノウハウとを結びつけ、具体化する取り組みを行ってまいりました。また、こうした取り組みを行う地域をふやしていくため、地域として初めて着手する取り組み等に対しては、実施経費の上限額に対し、さらに上乗せして支援することで、主体的な取り組みを後押ししております。加えて、今年度からは、取り組みが継続して地域に根づいていくよう、最大で三カ年にわたり支援することを可能といたしました。
 今後も、これらの取り組みにより、地域の観光振興を支援してまいります。
 次に、西多摩地域での周遊を促進する取り組みについてでございますが、西多摩の魅力ある観光資源を活用し、都内を訪れた外国人旅行者をさまざまな観光スポットへ誘客し周遊を促していくことは、東京全体の観光振興を図る上で重要でございます。
 このため、都は、海外の旅行事業者を西多摩地域に招聘するモニターツアーを実施し、観光資源の魅力や外国人に向けた効果的なPR手法などについての意見を地元市町村等へ情報提供いたしますとともに、国内の旅行業者に対して、ツアー造成の参考として提供してございます。
 また、外国人向けのツアー販売に必要となる広報経費等に対する助成を行うことにより、新たなツアーの商品化につなげております。
 こうした取り組みにより、西多摩地域を含め、都内を広く周遊する外国人旅行者の増加に結びつけてまいります。
 最後に、西多摩地域の魅力の発信についてでございますが、西多摩地域に、より多くの旅行者を効果的に誘致するためには、地域の観光の魅力を旅行者の興味に応じてきめ細かく発信していく必要がございます。
 このため、都は、西多摩地域に対する国内外の旅行者の興味と関心が高い観光のコンテンツや訴求効果のある媒体を調査した上で情報発信を行っているところでございます。
 国内向けには、多摩の豊かな自然を楽しむことができるモデルルートをパンフレットやブロガーによる発信を通じて紹介しております。
 また、海外向けには、豊かな自然に加え、温泉など、外国人からの関心が高い情報をPR動画やテレビの特集番組で発信し、認知度向上に取り組んでおります。
 引き続き、調査結果の検証を踏まえながら、西多摩地域の魅力の効果的な発信に努めてまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、土砂災害警戒区域等の指定についてでございますが、都は、崖崩れ等の災害から都民の命を守るため、土砂災害のおそれのあります約一万五千カ所につきまして、土砂災害警戒区域等の指定を進めております。平成二十九年度は、八月に、新島村等におきまして五百九十三カ所を指定いたしました。これにより、全体の約七五%に当たります一万一千二百六十九カ所の警戒区域等の指定が完了いたしました。
 また、区域指定の前提となります基礎調査につきましては、急峻な地形の多い西多摩地域から順次完了させまして、速やかに結果を公表してまいりました。
 今後は、残る全ての箇所の基礎調査を二十九年度中に、また、警戒区域等の指定を三十一年度までに完了させまして、ハザードマップを作成する地元区市町村への支援など、警戒避難体制の整備を促進してまいります。
 次に、土砂災害のハード対策についてでございますが、土砂災害から都民の命を守るには、避難に資するソフト対策に加えまして、土石流の被害を防ぐ砂防事業や、急傾斜地崩壊対策事業などのハード対策を着実に進めることが重要でございます。
 砂防事業は、時間と費用を要しますことから、避難所など施設の重要度や災害発生の危険度を考慮して、箇所ごとの緊急性を評価し、計画的に対策を進めております。
 また、急傾斜地につきましては、所有者等による対策が困難な自然斜面におきまして、区市町村の要望を受け、急傾斜地法に基づきまして対策を実施しております。
 西多摩地域におきましては、現在、奥多摩町の西川などで砂防事業を、また、檜原村の藤原地区などで急傾斜地崩壊対策事業を実施しております。
 今後とも、土砂災害対策に全力で取り組んでまいります。

ページ先頭に戻る