平成二十九年東京都議会会議録第十五号

   午後三時二十五分開議

○副議長(長橋桂一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八十五番谷村孝彦君。
〔八十五番谷村孝彦君登壇〕

○八十五番(谷村孝彦君) 私は、都議会公明党を代表して、都政が直面する諸課題について、知事並びに警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長に質問します。
 まず、質問に先立って一言申し上げます。
 昨日、小池知事は、希望の党を立ち上げ、みずからが代表に就任し、国政に進出することを表明しました。
 都民が知事に期待したことは、都政に専念し、改革を強力に推進することであります。都議会公明党も同じ思いで、都政において、小池知事と連携関係を構築してまいりました。都政を踏み台にして他の狙いがあるかのような報道がなされていることは、非常に残念でなりません。
 都政を強力に改革していくとの初心に立ち返り、都民のためにしっかりと汗を流していくことを強く希望するものであります。
 さて、我が国では今後、一層高齢化が進展し、少子化に歯どめがかからず、総人口が大きく減少すると予測されております。国立社会保障・人口問題研究所の分析では、二〇五〇年代には総人口が一億人を割り込み、七十五歳以上の高齢者が四人に一人を占めるようになります。
 こうした状況を踏まえ、まず当面のメルクマールとなる分岐点が、いわゆる二〇二五年問題への対応であります。二〇二五年には団塊の世代が七十五歳以上に到達し、総人口の約四分の一を七十五歳以上の高齢者が占めることになります。
 七十五歳以上になると、高齢者の介護認定率は約七倍にはね上がります。このままでは、医療、介護の費用負担や人材不足などの課題が雪だるま式に増大化し、日本の繁栄を長く支えてきたさまざまな社会機構がドミノ式に崩壊する危機を迎えてしまいます。
 これからの都議会が担うべき使命は、二度目の五輪大会の成功もさることながら、二〇二五年問題に象徴される社会不安の克服に向けて、説得力のある対応策を示すことにあります。
 都議会公明党は、今後の四年間、地域包括ケアシステムや子育て支援の充実、住宅問題の改善といった諸課題の解決に全力を尽くしてまいります。
 そこで、都議選後初めての定例議会の代表質問に当たり、まずは冒頭、二〇二五年問題に対処する知事の基本的な考え方について見解を求めます。
 次に、介護施策について質問します。
 二〇二五年問題では、在宅での介護や療養を推進する地域包括ケアシステムの実効性が、それぞれの地域で問われることになります。
 その実効性を左右する要因の一つが、介護人材不足であります。介護職の待遇改善を急ぐ必要があり、介護報酬による処遇改善加算が進められておりますが、現場からは、その実感がないとの声が上がっております。
 国も介護事業者に対し、職員から加算による賃金改善について照会があった場合には、書面などでわかりやすく回答を求めるよう通知を出しております。さらに、介護従事者処遇状況等調査を実施する予定であります。
 都としても、税金投入の効果を個々の事業者や働き手に即して把握するなど、処遇改善に伴う取り組みの監視と指導体制を強化すべきと考えます。見解を求めます。
 都は現在、国のキャリア段位制度を活用する独自の取り組みを進めております。しかし、今後、国の介護報酬による改善にさほどの効果がないことが明らかになれば、もはやこれ以上の猶予は許されません。
 国に厳重に対策の強化を求めるとともに、都独自でも、介護職離れに歯どめをかける緊急の対策を講じるべきであります。見解を求めます。
 なお、地域区分など大都市の実情に合った介護報酬への転換についても、一層の推進を図るべきであります。見解を求めます。
 次に、在宅療養について質問します。
 都は、地域包括ケアシステムの構築を通じた在宅療養の推進に向け、在宅医療の二十四時間体制を確保する在宅医等相互支援体制構築事業や、地域の多職種がICTを活用して情報共有を図る在宅療養推進基盤整備事業により、各地の医師会等への支援を行ってきました。しかし、どちらの事業も今年度までの時限事業となっております。
 在宅療養の実施主体である区市町村は、医療資源の偏在や財政力の格差、高齢化率の違いなど、異なる事情を抱えながら環境整備に取り組んでおりますが、結果として、都内で自治体ごとにサービスの質と量が大きく異なるようであってはなりません。
 都はこうした支援を継続すべきであります。見解を求めます。
 次に、在宅療養に関連して、駐車違反の規制のあり方について質問します。
 都議会公明党には、デイサービスなど、高齢者施設への送迎車両の駐車問題について、多くの相談が寄せられております。
 既に警視庁では、訪問介護に関し、医師訪問診療や訪問看護と同じく、各警察署長の駐車許可により柔軟な対応を図っており、訪問介護だけでなく、訪問入浴介護、訪問リハビリテーションなどの車両に駐車許可証が交付されていることは承知しております。
 一方、デイサービスなどの通所介護に伴う送迎車両は、その対象になっておりません。例えば、運転に従事する送迎担当者が集合住宅の居室まで介護者を送り迎えする場合も、駐車違反の取り締まりを受けているのが実情であります。
 介護事業者の負担を軽減し、利用者の適切な介護を継続して行っていくためには、デイサービスなど施設介護の送迎車両も駐車許可の対象にすべきと考えます。警視総監の見解を求めます。
 続いて、子育て支援について質問します。
 まず、私立高校授業料の実質無償化についてであります。
 東京都は、公明党の強い要請を受け、今年度から私立高校の授業料の実質無償化制度をスタートさせました。子育て世代の保護者の皆様方から、家計が助かります、都立だけでなく特色ある私立を第一志望にでき、学校選択の幅が広がりますなど、喜びの声が上がっております。
 一方、今回の実質無償化は、世帯収入約七百六十万円までのご家庭を対象にスタートしましたが、公明党は、都立高校の無償化基準と同じく、対象となる世帯年収を約九百十万円まで引き上げるよう求めてきたところであります。
 人への投資こそ政治の重要課題とする知事の教育の機会均等に向けた今後の取り組みについて、見解を求めます。
 このたびの私立高校授業料の実質無償化で、残された課題があります。その一つが、保護者が都内に在住していても、生徒が寮など都外に在住する場合、対象にならないことであります。全寮制が入学の要件になっていたり、部活動のため入寮が必要になったりする場合もあります。寮生活は在宅通学以上に経費がかさみます。ことし四月にさかのぼって、支援の対象に加えるべきであります。見解を求めます。
 また、東京都認可の通信制高校が対象から外れていることも課題であります。
 都議会公明党は、本年第一回定例会において、通信制高校で頑張っている都内の高校生も支援するべきと主張し、五月には知事に緊急申し入れも行いました。早期に実施するべきであります。見解を求めます。
 そして、生徒の家計が急変した場合への対応も万全でなければなりません。学校が授業料を減免すれば、都がその大部分を負担する制度がありますが、これは必ずしも全ての学校が導入しているわけではありません。
 都として、減免制度の導入を各学校に働きかけるとともに、年度途中における授業料無償化の申し込みにも対応するべきであります。見解を求めます。
 次に、幼児教育、保育の無償化について質問します。
 既に自公政権は、三歳児から五歳児の幼児教育、保育の無償化を打ち出し、その財源に、消費税率引き上げ時の使途変更を充てるとしております。これは、都議会公明党の政策の柱でもあり、国に先駆けてでも首都東京で早期に実現させることが重要であります。
 教育や保育などの子育て経費への支援は単なるばらまきなどではなく、社会の活性化、経済の立て直しに不可欠な取り組みでもあります。
 例えば、京都大学大学院の柴田悠准教授の研究では、政府統計に基づく公共事業の経済効果が投入額の一・一倍とされているのに対し、先進国のデータを分析したところでは、保育のGDPへの投資効果は二・三倍に上ると指摘しております。
 無償化は単なる恩恵ではなく、最大の投資であるとの発想の転換を進めるべきであり、デフレマインドからの脱却を図る上でも効果的な取り組みといっても過言ではありません。
 自公政権では、今後の取り組みで、三歳以上を対象にしておりますが、都は零歳から二歳にかけての幼児教育、保育の無償化について検討を開始すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、学校給食の無償化について質問します。
 公明党は、貧困対策などの観点も含め、国が全小中学校における学校給食の無償化を実施すべきであると主張してまいりました。公明党の提案を受け、文部科学省は、給食費の無償化に関する全国調査を開始しております。
 こうした国の動きが見え始めた機を捉え、学校給食の無償化を実現していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 続いて、住宅政策について質問します。
 まず、住宅セーフティーネット法改正への対応についてであります。
 低所得者や障害者、高齢者の住まいを円滑に確保する仕組みをつくるために、いわゆる住宅セーフティーネット法が制定され、ことしで十年を迎えます。住宅政策と福祉政策を結びつける取り組みは、今後ますますその重要度を増していくものと考えます。
 本年四月の住宅セーフティーネット法の改正で、住宅確保要配慮者を支援する新たな枠組みが示されたところであります。法改正により、住宅確保要配慮者に向けた賃貸住宅への入居支援策が整うことになりますが、見守りなどのソフト的な支援策が伴わないと、家主側は要配慮者の入居に不安を覚え、貸し渋りを解消できないとの指摘もあります。
 その意味で、都においても住宅部門と福祉部門との一層の連携強化が求められております。
 そこでまず、住宅と福祉の緊密な連携に向けた所見を知事に求めます。
 また、このたびの法改正は十月二十五日に施行されますが、財源の問題で、この制度の活用に踏み切れない自治体もあります。法改正本来の趣旨の実効性を高めていくためにも、新制度の施行に当たって都は、区市町村への財政支援に取り組むべきであります。見解を求めます。
 次に、若者世代の住宅の確保策について質問します。
 厳しい経済情勢のもと、平成九年に四百七十四万円だった三十歳代の平均年収が、平成二十七年には四百十六万円に下がり、若年層の収入は減少しております。若者世代が子育てするために間取りの広い住宅を都内で確保することは、ますます難しくなっております。
 しかし、活力ある東京を構築するためには、結婚、出産を希望する若い子育て世帯こそが安心して暮らせる住環境を整備しなければなりません。そこで求められる施策の一つが、若年層の都営住宅への入居促進であります。
 都営住宅では、入居者の高齢化、単身化が進み、居住者の平均年齢は高くなる一方であります。自治会など地域コミュニティとしての機能も果たせなくなり、入居者からも、若者世代の入居枠の拡大を求める声が上がっております。
 都は、都議会公明党の提案を受け、期限つきでない若年世帯向けの募集を来年一月から毎月五十戸程度実施すると表明しましたが、こうした取り組みをさらに進め、若年世帯の入居を一層促進すべきであります。見解を求めます。
 加えて、単身化が進む高齢者用に合わせて建てかえを進めてしまえば、今後、間取りの狭い部屋がふえ、子育て世帯が利用できる居室が減ってしまいます。子育て世帯向けの広い居室の増設も検討していくべきであります。見解を求めます。
 七十五歳以上の高齢者の人口が二百万人を超えていく都内にあっては、入居要件を満たす高齢者の全てに都営住宅を提供していくことは物理的に困難であります。
 そこで注目されているのが、このたびの法改正によってスタートする住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅としての登録制度であります。登録すれば、家主側も改修費や家賃低廉化への補助が受けられるようになります。
 今回の制度は、当然、民間賃貸住宅での促進が図られていくべきものでありますが、公社住宅やUR住宅においても、現役を退いた年金生活者にとっては、家賃負担が重く、大きな問題となっております。
 その点、突破口となる取り組みが都内で行われております。北区のUR神谷堀公園ハイツの居室では、高齢者向け優良賃貸住宅制度を活用し、国と都と区が家賃を補助し、区内の高齢者用の住宅を提供しております。こうした取り組みなどを都内の各区市町村に働きかけ、広げていくべきであります。見解を求めます。
 次に、防災対策について質問します。
 この夏、世界的に巨大台風の襲来による高潮水害や記録的豪雨による大規模な水害が多発しております。東京でも、集中豪雨の降雨量は明らかに変化を見せており、既に深刻なステージに入ったと捉え、対策を急ぎ、強化していく必要があります。
 国は一昨年、想定し得る最大規模の洪水、内水、高潮に対する避難体制等の充実強化等のソフト対策の推進を目指して、水防法を改正し、洪水に加えて高潮についても浸水想定区域を公表する制度を創設しました。
 そこでまず、都としても、高潮の浸水想定区域図を早急に作成し、公表すべきであると考えますが、見解を求めます。
 また、一昨年とことし、関東、東北地方や、九州北部地方を襲った豪雨災害は、線状降水帯と呼ばれる特定の箇所に降雨が続く気象現象によってもたらされました。今後、いつ、どこで発生しても不思議ではないといわれる線状降水帯による豪雨被害から都民の生命と財産を守るためには、避難行動に資する情報が必要であり、そのための取り組みが求められております。
 都では平成十三年より、全国に先駆けて河川管理者と下水道管理者が連携して、河川流域ごとの浸水予想区域図を公表しており、これが区市町村が作成するハザードマップのもととなっております。
 そして、都は一昨年の水防法改正に合わせ、中小河川流域における浸水予想区域図の見直しに取り組んでおります。この進捗状況を明らかにすべきと考えますが、見解を求めます。
 平成二十七年の水防法改正に伴い作成が義務づけられた区市町村のハザードマップは、作成しておくことが目的ではなく、地域住民に対し、あらかじめ内容を伝え、理解を促進し、実際の避難時に役立てることこそが重要であります。
 都としても、水害に対する都民の認識を高めるべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、オリンピック・パラリンピック東京大会のコスト管理について質問します。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会の成功は、大会そのものの成功とともに、開催経費の縮減も大きな要素となっております。五輪特有の多岐にわたるレガシーを確実に残していくためには、都の経費負担に対して、都民の皆様のご理解を得ることは断じて欠かすことができません。
 去る五月三十一日、都と組織委員会でそれぞれ六千億円、国が一千五百億円の負担をするという大枠の合意がなされ、先日、都外の競技会場等にかかわる経費については、関係自治体と共同で、宝くじによる追加支援等の要望が行われました。これにより、大会準備を前進させる体制が整ったわけであります。
 また同時に、役割分担及び経費負担に関する基本的な方向とあわせて、大会準備における進行管理の強化のため、コスト管理と執行統制の強化を図る共同実施事業管理委員会が設置されました。
 本委員会の設置は、大きく膨れ上がりやすい開催経費を抑制するためには一歩前進でありますが、対象は、都や国等が公費を投入し、組織委員会が実施する共同実施事業のみとなっており、組織委員会の予算六千億円はコスト管理の対象となっておりません。
 しかし、組織委員会予算の六千億円の収支均衡がとれなくなれば、都は財政保証をする仕組みとなっており、さらなる負担を強いられることになります。
 都から組織委員会へは、今年度、四百人の職員を派遣しており、都職員の平均給与額を乗ずると、金額ベースでは年間三十億円に上る人件費が投入されることになるにもかかわらず、組織委員会のコスト管理に都が関与することもなく、都による財政保証が必要となる事態に陥らぬよう、組織委員会のコスト管理、執行状況についても、都が大会経費全体を管理して、その透明性を確保していくべきと考えますが、知事の明快な答弁を求めます。
 次に、オリ・パラ教育について質問します。
 オリンピック憲章には、オリンピズムは、スポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものであるとうたわれており、IOCは教育プログラムを重要視しております。
 まさに五輪レガシーとして後世に残すべきものは、競技施設などのハード面だけでなく、世界平和と人類のきずなというオリンピック精神を刻んだ、人というレガシーもまた重要であります。
 組織委員会は今後、若い世代を鼓舞する取り組みを一体となって行う東京二〇二〇教育プログラム、愛称「ようい、ドン!」事業を展開するとしており、これに先駆け、開催都市である東京は、昨年、全ての公立学校をこの事業の教育実施校として認証し、既に推進しております。
 この事業は、誰もが、どこにいても、オリンピック・パラリンピックに参画できるようにするためのものでもあり、ことしからは全国の学校に広がっていきます。
 都議会公明党は、招致段階から、東京二〇二〇大会について、パラリンピックの成功なくして五輪の成功なしと主張してきました。
 そこでまず、パラリンピックが持つ意義、魅力を教育的観点から子供たちに伝えるなど、これまで以上に取り組みを強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 また、東京二〇二〇教育プログラムが全国に広がり始めたこの機会を捉えて、パラリンピック競技の体験活動を通じ、都内の学校と全国の学校との交流を深めるべきであります。
 とりわけ、公明党は、復興五輪との位置づけを強調してまいりました。特に、東北や被災地各地の児童生徒が、次代を担う人材として、東京の児童生徒とともに互いに成長し合えるよう、都が率先して取り組むべきと考えます。あわせて見解を求めます。
 次に、商店街の活性化について質問します。
 商店街では、経営者の高齢化や後継者難が深刻であります。事実、都の調査では、この十五年間で三百カ所以上の商店街が姿を消しております。一方、近年では、防犯や防災の面だけでなく、高齢者の見守りや子育て支援など、各種の地域活動の拠点として商店街の価値が見直され始めております。今後は、都の支援内容も、こうした社会情勢の変化も踏まえて改善を図っていくべきと考えます。
 例えば、広域支援型商店街事業は、平成二十一年度からスタートし、商店街の連携を区市町村の壁を超えて育む役割を果たしてきました。各地で商店街同士の連携による取り組みが広がるなど、先導的な事業として一定の成果を上げてきました。
 また、この事業はイベント事業として執行されておりますが、平成二十八年度の都の調査では、後継者難に加え、集客の柱となる、いわゆるコア店舗に欠けることや、幅広い客層に対応できる店舗業種の不足など、一過性のイベントでは対処しがたい課題が回答の上位にランクされております。
 こうした課題の解決に役立つ可能性を秘めているのが、空き店舗などを活用した商店街での創業や、新たな担い手による事業承継を応援する取り組みであります。とりわけ、女性や若者などを対象に取り組みを進めれば、購買層の主力である女性の集客を増強するほか、客足が不足する若者層での集客を見込める効果が期待できます。すぐれたアイデアを募るコンペティションなどを開けば、集客効果も一層向上します。
 そこで、これまで先行的な役割を果たしてきた広域支援型商店街事業の発展的見直しを行うとともに、地元商店街の意向を踏まえつつ、空き店舗などを舞台に、広く女性や若者に参加を呼びかけて、集客力のあるコア店舗の創出に挑むなど、新たな支援策に力を入れていくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 空き店舗の活用や新たな生産の現場を探し当てるため、ネットを活用した情報収集にたけた若者世代に向けて、時代に合った情報発信を心がける必要があります。
 例えば、新たに商店街での開業を目指す若者が、自分の希望する条件に合致する空き店舗や入店できる家屋についての情報を、各地にみずから出向き、めぐりながら収集することは容易ではありません。
 同じようなことは、ものづくり系の中小企業で、機械を使って生産のできる場所を求める場合にも当てはまります。立地条件のわかりやすい発信などで、工場に適した場所を見つけ出す労力が大幅に縮小する可能性もあります。
 都は、ICT技術を活用して、こうした課題の解決に積極的に仲介を進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、医療と障害者福祉について質問します。
 まず、休日、夜間の小児救急の課題についてであります。
 原則的に、医師には応招義務があり、休日、夜間を問わず、救急患者等に対応しなければなりません。その一方で、働き方改革が進む中、病院にとって休日や夜間に勤務する小児科医の確保が大きな経営課題ともなっております。
 また、都内では、女性医師の占める比率が全国平均と比較して高いことなどから、出産や育児といった環境変化にかかわらず、安心して医療に従事できる支援が欠かせません。
 都は、従前の取り組みに加え、休日、夜間の小児救急診療に従事する医師の確保に向けて、より踏み込んだ財政的支援を検討すべきであります。見解を求めます。
 次に、新生児の聴覚検査について質問します。
 都内では現状、一千人に一人から二人という確率で聴覚障害のある新生児が誕生していると推測されております。先天性の聴覚障害であっても、早期に発見され、療育が行われた場合には、音声言語発達などへの影響を最小限に抑えることができるといわれており、新生児の聴覚検査は大変に重要であります。
 しかし、都内の多くの区市町村では、その検査費用は全額自己負担で、助成が行われているのは三市一村にとどまっております。費用面から検査を受けないと判断する保護者も少なくありません。助成を実施していない日野市の例では、約二割の新生児が検査を受けていないという状況にあります。また、日本産婦人科医会の調査でも、都内については同様の結果となっております。
 平成二十四年度からは、母子健康手帳の必須記載事項の検査記録の中に、新生児聴覚検査の記載が追加されており、都も推進に向けて取り組みを進めてきたはずであります。
 そこでまず、都内における新生児聴覚検査の実施状況について見解を求めます。
 新生児聴覚検査については、かつて公明党の取り組みで、都内全域で約十七万人の賛同署名が集まり、都の助成金によるモデル事業が実施された経緯があります。
 立川市では、モデル事業終了後の平成十七年度から、市の一般財源により本格実施するとともに、平成二十三年度からは、市内医療機関だけでなく、里帰り先での検査にも助成を適用し、好評を博しております。
 全ての新生児が聴覚検査を受けられるよう、都内の全区市町村が共通して取り組むことが必要であり、都として財政面を含めて区市町村を支援し、体制整備を推進すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、障害児支援についてであります。
 医療技術の進歩もあり、NICU等で救命に成功した後で、人工呼吸器や胃瘻、たんの吸引や経管栄養といった医療的ケアを必要とする障害児、いわゆる医療的ケア児がふえ続けている状況にあります。
 昨年の児童福祉法の改正や、ことし三月に公表された第五期障害福祉計画等に係る基本方針などにおいて、医療的ケアへの支援が盛り込まれたこともあり、徐々に支援に向けた取り組みが進んでいる状況にあります。障害児の通所施設では、医療的ケア児であっても、重症心身障害児の場合と同じく、受け入れるには看護師の確保や特段の施設整備などが必要とされております。
 しかし、医療的ケア児を受け入れても、重症心身障害児とは異なり、国の運営費補助や都の独自加算も適用されないため、負担だけが大きくなり、受け入れが困難になっております。
 都は、制度のはざまにある医療的ケア児の支援について、改善を強く国に求めるとともに、みずからも支援の強化に取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 次に、多摩・島しょ振興について質問します。
 初めに、多摩振興、具体的には高尾山の観光振興策についてであります。
 都は、ことし五月、東京の自然公園ビジョンを策定する中で、リーディングプロジェクトとして、まずは高尾山に管理運営協議会を設置し、良好な景観の保全や利用促進に向けた地域ルールを策定するとしております。
 かねてから、高尾山の環境整備策について、さまざまな提案を重ねてきた公明党として、こうした対応を高く評価します。協議会の活動を通じて、目指すべき観光事業の将来像を地元関係者が共有する意義は大きく、都はこれを機に、PRイベント開催など、高尾山の魅力を効果的に発信する取り組みを安全確保に配慮しつつ、一層強化するべきと考えますが、見解を求めます。
 次は、島しょ振興についてであります。
 都は本年三月、東京宝島推進委員会を立ち上げました。島しょ地域の島民が熱い期待を寄せる推進委員会であります。これまでの検討内容と今後の取り組みについて見解を求めます。
 特に、三宅島については、十七年前に雄山が噴火した経緯もあり、一段と踏み込んだ観光振興策が必要であります。都は現在、雄山の噴火口までの登山道を整備中ですが、今後は、噴火口周辺の豊かな自然環境の保全に配慮しつつも、登山道などの施設を有効活用して、三宅島の観光振興に役立てることが重要であります。
 登山道の完成を機に、利用者に火山活動を初めとした自然の成り立ちや、利用者マナーについて解説を行うなど、三宅島の魅力を伝えるソフト面での取り組みを進めていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、動物愛護相談センター本所の移転、新設について質問します。
 都議会公明党は、予定地を視察し調査しましたが、アクセス道路が狭く、敷地についても十分な広さではないと率直に感じたところであります。
 都は、新施設で、動物の譲渡のため、より長く動物を飼養できるようにするとしておりますが、そのためには、動物を屋外で運動させるような敷地の広さが不可欠であると考えます。
 この都有地は、長く活用されることもなく、自立支援施設用地として五年間は使われましたが、地元からは、今後は公園やスポーツ施設として活用をとの要望が出ておりました。
 新たな機能を備える動物愛護相談センター本所は、今後、都が動物施策を進めるための中心的な拠点となるものであり、設置に当たっては万全を期す必要があります。移転予定地については見直しの検討が必要と考えますが、見解を求めます。
 最後に、入札契約制度改革について質問します。
 我が党の提案を受けて、本年五月に見直された入札契約制度改革について、中小建設業者からは、低入札価格調査制度の適用範囲の下限額が大幅に引き上げられたことにより、最低制限価格が引き続き適用され、従来と同じ制度の中で入札に参加できるといった安心の声が寄せられております。
 しかし、残る課題もあります。その一つがJV結成義務の撤廃をしたことであります。
 公明党には、中小企業が大規模な工事に参画し、人材を育成する貴重な機会が失われてしまうと懸念する意見が多く寄せられております。JVを組まなくても入札に参加できる建設業者は限定されてしまいます。入札契約制度改革は、入札の競争性や透明性の確保を図ることはもとより、本来、都内の中小零細企業の育成に資する狙いに立つべきものと考えます。この点、JV結成義務の撤廃は本当に都内中小零細企業の利益にかなうものとなっているのか、虚心坦懐にこの点を分析するべきであります。
 また、低入札価格調査制度の運用に関し、過去に社会保険未加入であること等をもって失格にされるのは筋が違うとの声も寄せられております。そこで、本格実施を図る際には、改めて中小建設業など事業者の意見を丁寧に聴取した上で実施に向けた検討を進めるべきと考えます。
 知事に見解を求め、代表質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 谷村孝彦議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、二〇二五年問題についてのご質問がございました。
 我が国では、世界に類を見ない速度で高齢化が進む中で、二〇二五年には団塊の世代が全て七十五歳以上になるという現実があります。
 こうした超高齢社会におきまして、さまざまな課題が先鋭的にあらわれるのが、それが東京でございます。東京の取り組みこそが、我が国、ひいては世界の高齢化におけます対応のモデルになる、このように考えております。
 超高齢社会におきましても、成長を続ける東京を目指して、全ての世代が生き生きと活躍できる活力ある社会を実現していかなければなりません。そのためには、地域包括ケアシステムの構築はもとより、認知症の予防、高齢者の身体機能を低下させない取り組みが必要でございます。
 また、元気な高齢者が、仕事やボランティア、さらには学び直しによって、生涯現役として社会と密接にかかわることのできる手だてを講じていくことも重要だと考えております。さらに、空き家の活用といったまちづくり、そしてICTの活用などの取り組みも欠かせません。
 かつて経験したことのないこの超高齢社会を見据えまして、あらゆる政策を総動員して取り組みます。そして、都民一人一人がいつまでも輝き続ける東京をつくり上げてまいりたいと考えております。
 二つ目に、教育の機会均等についてのご質問をいただきました。
 将来を担う子供たちの教育の機会は平等であるべきであります。経済格差が将来の希望の格差につながるということはあってはならないことでございます。
 このような考え方のもとで、都といたしまして、私立の高校等に在学する生徒の保護者の経済的負担を軽減する、そのために特別奨学金を大幅に拡充するなど、取り組みを進めてきたところでございます。
 人への投資はまさに未来への投資、誰もが希望する教育を受けることができますよう、これまでの取り組みを着実に進めて、子供たちの学びたいという気持ちに応えてまいります。
 幼児教育、保育の無償化についてのご質問でございます。
 幼児期の教育そして保育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものでございます。全ての子供に質の高い幼児教育を保障することが必要と考えております。
 国は平成二十六年以降、毎年、経済財政運営と改革の基本方針に、幼児教育の無償化に向けた取り組みを位置づけて段階的に進めており、本年の基本方針では、幼児教育、保育の早期無償化に向けて安定的な財源確保の進め方を検討し、年内に結論を得るということとしています。
 都といたしましては、現在、幼稚園や認証保育所などを利用する保護者の負担を軽減するため、独自に区市町村を支援しております。また、区市町村におきましても、認可保育所などの保育料を国の基準から独自に軽減しているところでございます。
 現在、国におきましては、さまざまな議論が行われているところであり、一方で、都といたしましては、こうした動きを踏まえて、幼児教育、保育の無償化に対応することが必要であると、このような認識を有しております。
 新たな住宅セーフティーネット制度についてのご質問がございました。
 いうまでもなく、住宅は生活の基盤であります。誰もが生き生きと生活できる都市東京実現のために、都民の居住の安定を確保するということは重要でございます。
 二〇二〇年に向けた実行プランにおきましては、少子高齢化が急速に進行する中、住宅セーフティーネットの機能の強化を進めることなどを位置づけております。
 このたび高齢者や子育て世帯、障害者など、住宅確保要配慮者を拒まない賃貸住宅を登録する制度の運用を来月の下旬に開始いたします。こうした方々の入居をしやすくするという流れでございます。
 また現在、各市町村の居住支援協議会への支援のほか、空き家の利活用、サービスつき高齢者向け住宅の供給促進などの施策を、住宅と福祉の連携によって進めております。
 今後、この新たな住宅セーフティーネット制度も生かしながら、高齢者が生活支援サービスを受けて、地域で安心して暮らせるように、住宅と福祉の連携を強めて、都民の居住の安定を実現してまいります。
 二〇二〇年大会のコスト管理についてのご指摘がございました。
 オリンピック・パラリンピックを都民に支持され、そして喜ばれるものとするためには、そしてまた大会を成功に導いていくためには、限りある資金の有効活用を図って、経費の圧縮に向けて取り組んでいく、このことは重要でございます。
 そのため、昨年、都、IOC、組織委員会、国、この四者協議におきまして、経費の精査を行いました。そして、V1予算を公表いたしましたが、その後も、ことし五月の大枠の合意に向けまして、都が主導して、組織委員会、国の三者でもって大会経費の精査を進めてまいりました。
 先日、報道がございましたように、コーツ委員長が大会経費の削減、縮減について言及されておられますが、目指す方向は同じでございます。今後、毎年度更新されます大会経費全体の予算の作成に当たりまして、執行状況を検証しながら、しっかりと経費を精査した上で、枠を定めてまいります。
 その上で、組織委員会において、決算が予算を上回らないように、徹底した執行管理を図ってまいります。
 具体的には、専門家、専門的な識見や知見を有する第三者の意見の聴取や、毎年度行っている都への決算報告に加えまして、来月には東京都監査委員による財政援助団体等監査も予定をされております。
 今回設置されました共同実施事業管理委員会とあわせまして、大会経費全体の圧縮につなげてまいります。
 また、大会経費や大会準備の状況を定期的に公表し、透明性を確保してまいります。
 ご指摘のように、今後とも、大会経費の縮減、そして都の負担の抑制に向けて組織委員会と共同し、執行統制の強化に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、商店街に対する支援についてのご質問がございました。
 商店街は、住民に身近な買い物の場といたしまして、その日々の生活を支えるだけでなくて、人々が交流する地域のコミュニティの中心として、暮らしの中に安全そして安心を生み出すとともに、イベントなどにより、にぎわいをつくる重要な役割も果たしておられます。
 一方で、近年では、消費者の買い物のスタイルや商品へのニーズが変化しているということに加えまして、店舗の後継者が不足をしている、住民の地域社会とのかかわり方も希薄になっているなどなど、商店街を取り巻く環境というのは大変厳しさを増しているところでございます。
 このため、都内の商店街の集客、お客様を集めるということに役立つように、時代の変化に応じたさまざまな課題を見据えながら、より効果の高い施策を打ち出していく、このことは必要でございます。
 これからの商店街を担うリーダーとなる若者や女性が空き店舗で開業して、新しい消費の動きを捉えた事業展開が図れるよう、サポートに力を入れてまいります。
 ご指摘の商店街の広域的な連携を促す先導的な支援でございますが、一定の成果を上げている中で、今後はより主体的に協力関係をつくり上げることにつながる仕組みにしてまいりたいと考えております。
 東京の商店街がそれぞれの特色を生かして活性化して、住民生活のよきパートナーとなって、地域の顔として存在感を持ちながら発展できるように、後押しをしてまいります。
 入札契約制度改革についてのご指摘がございました。
 都の入札に参加する事業者の九割以上は中小企業であります。そして公共事業、公共工事を進めるに当たっては、中小企業の果たす役割は非常に大きいものと認識をしております。
 社会資本ストックの本格的な更新期を迎える、そういう中で、建設工事の中長期的な担い手をいかに確保していくかというのは大きな課題でございます。
 制度改革の試行を開始するに当たりましては、業界団体からのヒアリングでいただいたご要望を踏まえ、中小企業に配慮をして、低入札価格調査制度の適用範囲を当初案から縮小いたしました。
 今後、試行の結果をしっかりと検証するとともに、お話しいただいた点も含めまして、中小企業から成る業界団体のご意見も聞かせていただく、そして本格実施に向けた検討を進めてまいることで、中小企業が十分に力を発揮できる、そんな環境を確保してまいりたいと考えております。
 なお、その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監、そして関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監吉田尚正君登壇〕

○警視総監(吉田尚正君) 施設介護の送迎車両の駐車許可についてでありますが、現在、高齢者を対象とした事業のうち、訪問看護、訪問介護など、高齢者宅を訪問して行う必要があるものにつきましては、警察署長の駐車許可により対応いたしております。
 一方、高齢者を施設で介護するデイサービスのための送迎につきましては、一般的に運転者が車両を離れることがなく、同乗する介護士などが高齢者の乗降を介助する形態でございますことから、人の乗降のための停車とみなしておりまして、駐車ではございませんので、許可は不要といたしております。
 今後、高齢化が進展する中で、関係機関と連携をいたしまして、デイサービスの送迎実態を把握いたしました上で、駐車せざるを得ない特別な事情が認められる場合には、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、学校給食の無償化についてでございますが、学校給食法においては、学校給食は学校の設置者が実施し、食材費等の学校給食費は、児童または生徒の保護者が負担することとされております。
 公立小中学校における学校給食費は、学校設置者である区市町村が地域の実情や特性を考慮して決定しており、就学援助を含む保護者負担の軽減策などについても、区市町村の判断により行われております。
 学校給食の無償化については、法改正や財源確保などさまざまな課題があり、国の責任と負担によるべきものと考えております。
 今後、都教育委員会は、国の動向を注視してまいります。
 次に、パラリンピック教育の充実についてでございますが、子供たちがパラリンピック教育を通して障害者理解を深め、多様性を尊重する態度を身につけるとともに、力強く生きる大切さを考えることは極めて重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、これまでパラスポーツ競技応援校を指定するとともに、子供たちとパラリンピアン等との交流機会を年々ふやすなどして、パラリンピック教育の充実を図ってまいりました。交流を体験した子供たちは、努力すれば夢がかなうと実感したといった感想を持つなど、困難を克服することの大切さなどを学んでおります。
 今後、体験するパラスポーツの種目を拡大したり、事例集の配布等により、競技応援校での実践を全都に広めたりすることで、互いを認め合う心など共生社会の実現に必要な資質、能力を、より一層子供たちに育んでまいります。
 最後に、パラスポーツを通した他県との交流についてでございますが、東京二〇二〇大会の開催都市であり、またパラスポーツ競技団体や人材が多く存在する東京都は、全国のパラリンピック教育をリードする役割を期待されております。
 そのため、都教育委員会は、パラリンピックの意義や歴史等を学ぶための学習読本や映像教材を作成し、全国の教育委員会に配布いたしました。
 また、他県を訪問し、都の特徴ある取り組みを情報提供するとともに、パラリンピック教育充実のための連携の方策等について協議してきております。
 今後、これまでの協議内容をもとに、都内の子供たちと修学旅行等で東京を訪れる被災地等の子供たちが、パラスポーツを一緒に体験するなどの交流を通して、他者を尊重し、ともに認め合う心を培うことができるよう、機会の設定について、具体的に検討を進めてまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新たな住宅セーフティーネットについてでございます。
 制度の普及のためには、地域の実情に応じたきめ細かい居住支援を行う区市町村の役割は極めて重要でございます。
 都はこれまで、各地域において、高齢者向けの住宅のあっせんや見守りサービスなどを行う区市町村の居住支援協議会への支援を実施し、また、今回導入する新たな住宅セーフティーネット制度の内容について、区市町村への情報の提供を行ってまいりました。
 法施行に合わせて国が導入した登録住宅の改修費や家賃低廉化、家賃債務保証料への支援制度の活用については、区市町村の動向を踏まえ、検討を進めてまいります。
 次に、若年世帯の都営住宅への入居促進についてでございます。
 人口減少社会に向かう中、都営住宅において、子育て支援などの政策課題に対応することは重要であり、都はこれまで、子育て世帯の収入基準の緩和や倍率優遇などを実施してまいりました。
 ことし三月に策定した東京都住宅マスタープランでは、子育て世帯とその親世帯が支え合いながら安心して暮らせるよう、多世代同居などを促進することとしており、都では今後、その具体化に向けた取り組みを検討してまいります。
 あわせて、子育て世帯が応募できる住宅の選択の幅を広げることで、そのニーズに柔軟に対応できるよう工夫をしてまいります。
 こうした施策を通じて、子育て世帯など若年世帯の入居に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、都営住宅における子育て世帯向けの住宅の供給についてでございます。
 住宅に困窮する子育て世帯の居住の場の確保や、居住者の高齢化が進む団地の活性化、これらを図ることは重要な課題であると認識をしてございます。
 都営住宅については、良質なストックとして維持更新していくため、昭和四十年代以前に建設された住宅を対象に、地域の特性や老朽化の度合いなどを勘案しながら、計画的な建てかえを進めてございます。
 都は、都営住宅の建てかえに当たり、現在の居住者の状況に加え、団地ごとの実情などを勘案しながら、ファミリー向け住戸の整備を行ってまいります。
 最後に、高齢者向け優良賃貸住宅についてでございます。
 高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすためには、バリアフリー化され、緊急時対応、安否確認等のサービスが利用できる住宅の供給促進を図ることが重要でございます。
 お話の事例は、UR都市機構が北区の要請を受け整備した住宅でございますが、都はこれまで、区市町村を通じた高齢者向け優良賃貸住宅などの整備費や、家賃減額等に対する助成を実施してまいりました。
 今後とも、東京都住宅マスタープランに基づき、区市町村との連携を図りながら、高齢者の多様なニーズに応じて、サービスつき高齢者向け住宅も含めた賃貸住宅の供給促進に積極的に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 九点のご質問にお答えをいたします。
 まず、介護職員処遇改善加算についてでありますが、国は事業者に、本加算の取得に当たり、賃金改善等に関する計画を作成し、事業所内全ての介護職員に周知することや、年度ごとに処遇改善に関する実績を都道府県等に報告することを義務づけており、都は、各事業者が実施した賃金改善の総額が受領した加算の総額を上回っていることや、賃金改善の方法などを確認しております。
 また、職員から加算による本人の賃金改善について照会があった場合には、書面によりわかりやすく回答することを事業者に求めており、都は、事業者が職員に対して適切に説明を行うよう、事業者団体の研修会等におきまして周知を図っております。
 今後とも、介護職員の処遇改善が確実に図られるよう、事業者に対し、加算制度の適切な運用を求めてまいります。
 次に、介護報酬と介護人材についてでありますが、都は国に対し、介護職員処遇改善加算について、報酬の基本部分に組み込むなど恒久的なものとすること、恒久化に当たっては、キャリアパス等の仕組みの構築を要件として、資格等に応じた人員配置などを評価する加算を充実し、事業者が長期的な視点で介護人材の確保、定着を図ることができる報酬とすることを繰り返し提案要求しております。
 また、都は独自に、国のキャリア段位制度を活用したキャリアパスの導入促進や、宿舎借り上げ支援などを行い、介護人材の確保、育成、定着に取り組む事業者を支援しております。
 介護人材対策は重要な課題であり、今年度策定いたします第七期高齢者保健福祉計画においても、重点分野の柱の一つに位置づけ、施策の充実を図っていく考えでございます。
 次に、介護報酬の見直しについてでありますが、国は介護報酬において、地域ごとの人件費の差を調整するため、区市町村ごとに、人件費分の上乗せ割合を八つの地域区分として定めております。現在の地域区分における上乗せ割合は、基本的に国家公務員の地域手当に準拠しており、都はこれまで、大都市における人件費や物件費等の高さに鑑み、地域の実態を踏まえた介護報酬の仕組みとするよう、繰り返し国に提案要求を行ってまいりました。
 次期報酬改定では、地域区分の設定に新たな特例を設けるなど、都の提案が一部反映される見込みでございますが、今後とも国に対し、都市部の特性を適切に反映し、介護事業の運営実態に見合った介護報酬の仕組みとするよう、また、地域区分についても、区市町村からの意見を踏まえ、さらなる見直しを行うよう、提案要求してまいります。
 次に、在宅療養の推進に向けた支援についてでありますが、都は現在、地域における在宅療養体制を整備するため、二十四時間診療体制の確保や、医療、介護の多職種がICTの活用により情報共有する体制の構築などに取り組む地区医師会を、また、医療と介護の連携調整窓口の設置などに取り組む区市町村を支援しております。
 来年四月からは、全ての区市町村が主体となり、地区医師会等と連携しながら、切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築や、医療、介護関係者の情報共有の支援などの在宅医療、介護の連携推進のための事業を行うこととされております。
 都といたしましては、今後、区市町村が地区医師会と連携しながら、地域の実情に応じた在宅療養体制の確保に向けた取り組みを推進できるよう、引き続き支援してまいります。
 次に、小児救急に従事する医師の確保についてでありますが、都は現在、小児救急医療体制を確保するため、小児科医師が二十四時間体制で救急診療を行う二次救急医療機関に対しまして、病床や医師の確保経費を支援する休日・全夜間診療事業を実施しております。
 また、休日及び夜間に救急診療を行った医師に対し、手当を支給する医療機関を支援するとともに、短時間正職員制度の導入や当直体制の見直しなどにより、病院勤務医の負担軽減に向け、勤務環境改善に取り組む病院を支援しており、その活用を働きかけております。
 現在、国の医師の働き方改革に関する検討会では、医師の勤務実態や勤務環境改善策等について議論をしており、都といたしましては、この動向も注視しながら、小児救急医療体制の確保を図ってまいります。
 次に、新生児聴覚検査の実施状況についてでありますが、平成二十七年度に、母子健康手帳の記録の確認等により検査の受診の有無等を把握している区市町村は三十七でございます。
 また、本年一月に特別区が行った調査によりますと、新生児聴覚検査を実施している二十三区内の分娩取扱施設は全体の七八%、乳児健康診査の場で母子健康手帳の記録や保護者への聞き取りにより確認した新生児聴覚検査の受診率は八三%でございました。
 都は、母子保健担当者連絡会を通じて、より多くの区市町村が新生児聴覚検査の受診勧奨等に取り組むよう働きかけているところでございます。
 次に、新生児聴覚検査の体制整備についてでありますが、都はこれまで、検査の重要性を普及啓発いたしますとともに、子供の聴覚の発達に心配がある場合の相談先等を紹介するリーフレット、赤ちゃんのおみみを作成いたしまして、区市町村を通じて保護者に配布をしてまいりました。
 また、本年七月には、区市町村や分娩取扱施設を対象に、聴覚障害が発育、発達に与える影響や検査の具体的方法、難聴児への支援等についての研修会を実施いたしました。
 現在、妊娠届け出時に共通の受診券を交付し、全ての新生児が都内全域の医療機関で検査を受けられる体制の整備などにつきまして協議したい旨、特別区から提案されており、今年度中に都と区市町村、都医師会の間で協議を開始する予定でございます。
 次に、医療的ケアが必要な障害児への支援についてでありますが、お話のように、医療的ケア児は手厚いケアが必要であるにもかかわらず、給付費ではこれに応じた報酬が設定をされておりません。
 このため、都は平成三十年四月の報酬改定に向けまして、医療的ケア児への支援を報酬上設定することなどについて、国に対し緊急提案を行ってまいります。
 都は今年度から、医療的ケア児の受け入れが一層進むよう、障害児通所施設や保育所等での看護師の配置を支援するほか、看護師が重症心身障害児の自宅を訪問する事業の対象を医療的ケア児にも拡大をしております。
 こうした取り組みを現在策定中の障害児福祉計画にも盛り込む考えでございまして、今後とも医療的ケア児への支援に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、動物愛護相談センターについてでありますが、現在、動物愛護相談センターは、本所が築四十年以上、多摩支所及び城南島出張所の二施設が築三十年以上を経過し、老朽化が進んでおります。
 そのため、本年三月には動物愛護相談センター整備基本構想を策定し、これからのセンターに求められる役割等と整備の方向性について取りまとめました。
 整備計画につきましては、ご指摘も踏まえ、三所全体のあり方を検討する中で具体化し、来年度に予定している東京都動物愛護管理推進計画の中間見直しに反映をしてまいります。
〔生活文化局長塩見清仁君登壇〕

○生活文化局長(塩見清仁君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都外に在住する生徒への特別奨学金の適用についてでございます。
 特別奨学金は、保護者、生徒が都内に在住していることを補助の要件としておりまして、生徒が他県に移り住んだ場合は対象外となっているところでございます。
 一方、ご指摘のように、全寮制の学校やスポーツ推薦など学校の寮に入ることが指定される場合もございます。こうした生徒が都外に移り住むケースの取り扱いについて、特別奨学金制度の趣旨を踏まえ、公平性や実務上の観点などからも、現在、検討を行っているところでございます。
 次に、特別奨学金の通信制高校への適用についてでございます。
 通信制高校については、全日制課程に比べ、多様な学習スタイルが可能となっていることから、各学校の実態を踏まえて制度設計を行う必要がございます。
 このため、都では、本年四月から五月にかけて、東京都認可の通信制高校へのヒアリング調査を実施いたしました。その結果、支援の対象となる生徒数や生徒構成、また年度途中での転入も多いこと、さらには生徒ごとに履修単位数や授業料が大きく異なることなどが明らかになったところでございます。
 現在、これらの実態や特色も踏まえ、検討を進めているところでございます。
 最後に、家計急変などの世帯への対応についてでございます。
 個々の学校において、家計状況の急変などを理由に学校が授業料等を減免した場合には、その減免額について最大五分の四を補助しております。さらに、こうした減免制度の導入を促すため、減免制度そのものを整備している学校に対しまして、定額の補助を行っております。
 今後とも、私立学校に対し、減免制度の導入を積極的に働きかけ、安心して学び続けられる環境を整えてまいります。
 なお、特別奨学金におきましては、通常の申請期間終了後に、修正申告による税額更正や、保護者が亡くなられるなどにより、支給要件を満たすことになった場合などのために、再度の申請の期間を設けてございます。今年度は、平成三十年、来年一月に実施する予定でございます。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 高潮浸水想定区域図の作成についてでございますが、高潮から都民の生命や財産を守るためには、東京を第一線で防護する水門や防潮堤などの施設整備に加え、万一の際に都民が的確な行動をとれるよう、適切な情報をわかりやすく提供することが重要でございます。
 このため、都では、高潮浸水想定区域図の作成に向け、有識者で構成する委員会を設置し、検討を進めております。
 具体的には、想定し得る最大級の高潮をもたらす台風の規模や経路、防潮堤が決壊する潮位など、浸水シミュレーションの実施に必要となるさまざまな条件を検討し、確定したところでございます。
 今後、こうした設定条件をもとにシミュレーションを実施し、地元区等と協議、調整を行った上で、年度末を目途に浸水想定区域図を作成、公表してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 中小河川流域における浸水予想区域図の見直しについてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、河川の護岸や調節池、下水道施設の整備などのハード対策に加えまして、住民の避難等に資するソフト対策を進めることが重要でございます。
 都は、平成二十七年の水防法改正を踏まえまして、学識経験者を含む委員会を設置し、神田川流域におきまして想定し得る最大規模の降雨を用いまして、河川と下水道が一体となった浸水シミュレーションを行うなど、浸水予想区域図の見直し作業を進めております。
 今後は、その結果を踏まえまして、関係区市と十分に調整を図り、浸水予想区域図の年度内の公表に向け取り組んでまいります。また、他の河川流域につきましても、順次見直しを進めてまいります。
 引き続き、水害対策に全力で取り組んでまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水害に対する都民の認識の向上についてですが、洪水などによる被害を最小限に抑えるためには、都民が、平時から居住地の浸水の危険性や具体的な避難場所などハザードマップの内容を理解し、発災時に適切に避難することが重要でございます。
 このため、都は昨年度から、江戸川区などと連携して、住民向けの大規模水害に関するワークショップを実施しており、ハザードマップを用いて、水害リスクや発災時にとるべき行動の普及啓発を進めております。
 また、現在、水害リスクに対する意識啓発を目的とした映像コンテンツを作成しており、完成後は、ワークショップ等の場において活用していく予定でございます。
 これらの取り組みを継続的に実施し、都民が発災時に適切に避難できるよう、水害への認識を一層高めてまいります。
 次に、東京宝島推進委員会についてですが、すばらしい景観や特産品など、東京の島々の宝物にさらなる磨きをかけて発信していくことは、島しょ地域の自立的な発展のために極めて重要でございます。
 本年三月に立ち上げた東京宝島推進委員会では、委員みずから各島に赴き、現地の視察や島民の方々との意見交換を精力的に進めております。八月に開催した委員会では、現地の状況を踏まえ、ブランド化に向けた方策のほか、多様な顧客層やニーズへの対応など、受け入れ体制の課題について議論をいただいたところであり、今後、さらに議論を深め、ことしじゅうを目途に意見を取りまとめる予定でございます。
 都としては、委員会の提言を踏まえ、各島がみずから宝物を磨き上げ、島しょ地域の活性化につながるよう、各局と連携しながら支援をしてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 工場の操業場所や空き店舗に関する情報提供等についてでございますが、中小規模のものづくり企業の操業や商店街での新たな開業にふさわしい場所や建物の情報を、ICTの手法等を用いて効果的に提供する取り組みは重要でございます。
 都内でのものづくりを希望する中小企業を対象に、都は、ウエブサイトにより、操業に適した施設やその周辺地域の産業面の特色に加え、地元自治体の企業誘致の支援策等を紹介しております。
 また、ものづくり企業に物件の情報を紹介し、立地に関する相談をワンストップで行う拠点を十二月に設けますとともに、今後は情報発信の一層の充実を検討いたします。
 このほか、都内商店街での開業を目指す事業者や起業家等に空き店舗に関する情報を提供するウエブサイトも、年度内を目途に開設いたします。
 これらにより、事業者等への情報提供の充実を図ってまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、高尾山の魅力の効果的な発信についてでございますが、東京の自然公園ビジョンでは、リーディングプロジェクトとして、高尾山において早期に管理運営協議会を設置することとしております。
 協議会の設置に当たっては、高尾山とその周辺地区は、内外から多くの人が訪れる自然豊かな観光地であり、さまざまな主体が事業に携わっていることから、土地所有者である林野庁や薬王院に加え、自然保護団体や地元で観光事業に携わる商店会、交通事業者等に幅広く参加を呼びかけてまいります。
 この協議会を通じまして、各事業主体の連携を強化し、自然再生事業やイベントの開催等、各自の強みを生かした取り組みを進めることで、豊かな自然環境の保全や観光地としてのにぎわいの拡大などに積極的に取り組んでまいります。
 次に、三宅島の魅力を伝えるソフト面での取り扱いについてでございますが、都は地元の要望等を受け、噴火で壊滅的な被害を受けた登山道の再整備、トイレや避難シェルターの新設につきまして、早期完成を目指して実施しているところでございます。
 こうしたハード面の整備に合わせ、ソフト面の取り組みとして、一日当たりの利用者数の調整や利用者に対して充実したガイドプログラムの提供を行う東京都版エコツーリズムにつきまして、今後、地元自治体や観光協会等と連携し、新たに三宅島への導入に向け検討してまいります。
 これにより、人為的な影響を受けやすい自然環境の保全とのバランスを図りながら、雄山の観光資源としての利用の促進に取り組んでまいります。

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