平成二十九年東京都議会会議録第十五号

   午後一時開議

○議長(尾崎大介君) これより本日の会議を開きます。

○議長(尾崎大介君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(尾崎大介君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松丸俊之君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成二十八年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。

○議長(尾崎大介君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、平成二十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出をされました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(尾崎大介君) これより質問に入ります。
 百十七番増子ひろき君。
〔百十七番増子ひろき君登壇〕

○百十七番(増子ひろき君) 平成二十九年第三回都議会定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事並びに関係局長に質問いたします。
 質問に先立って申し上げます。
 昨日、衆議院の解散が表明され、総選挙が行われることになりました。国政での改革が進むことを期待しつつ、私たち都民ファーストの会東京都議団は、都民の期待に応えるべく、都政改革に一意専心の思いで取り組んでまいります。
 さて、今都議会は、都民ファーストの会として初めての定例議会であります。ここで、私たち都民ファーストの会東京都議団の都政への認識並びに立場と使命を明確にしておきたいと思います。
 振り返れば、東京都の行政指導力を失った青島都政に始まり、週に二度の登庁ともいわれた石原都政に及ぶ長く続いたトップ不在の間に、両輪といわれる行政と議会との関係は、都議会のみが肥大していきました。私たちは、この状態を古い都議会と呼び、都議選で新しくすることを都民の皆さんに訴えてきました。
 私たちは、議会としての健全な機能を取り戻すため、議決機関である都議会と執行機関である都庁との役割を峻別し、巨大な都庁を厳しく監視していくとともに、議員提案条例の制定により、行政と政策を競い合う東京都議会を目指していきます。これが、東京大改革は都議会改革からを掲げた私たち都民ファーストを選んでいただいた都民の方々の負託に応える道であります。私たちは、都議会議員のための都政ではなく、都庁職員のための都政ではなく、そして知事のための都政でもない、都民の、都民による、都民のための都政を実現してまいります。
 初めに、都庁の行政改革について伺います。
 小池知事就任直後の昨年九月に東京大改革を推進する体制を整備するため、都政改革本部が設置されました。それ以降、情報公開の分野における非開示のいわゆる黒塗り部分の最小限化や公文書管理体制の整備、公益通報保護制度の見直しなど、非常に多くの改革が議論され、実行されてきました。
 平成二十九年度からは二〇二〇改革がスタートし、各局の主要事業に関して、適正な予算、人員となっているか、ほかにより有効な政策がないかといった観点から、分析、評価が進められてきています。
 二〇二〇改革のうち、仕組み改革では、各局の自律的取り組みでは解決できない全庁横断的な課題の制度、仕組みの改革を対象とし、都職員の退職管理と監理団体のあり方も検討の対象とされています。
 都政改革本部の設置から一年余りが経過しましたが、この一年の都政改革本部の活動、成果を振り返っての評価と、二年目に入った都政改革本部の今後の方向性について、知事の見解をお伺いします。
 都政改革の原動力は情報公開です。都民が必要な情報を得られることによって、都政に対して検証し、提言し、参画できる仕組みが生まれ、都民は都政の観客ではなく、都政のプレーヤーとなることが可能になります。
 今回、知事が提案された予算編成過程において都民から直接アイデアを募って予算化する試みは、まさにプレーヤーとして、都民の皆様の都政参画を促す有効な施策だと考えます。都民からのすばらしいアイデアが都政に新たな輝きをもたらすことを期待しています。
 オリンピック・パラリンピックや豊洲市場の工事に関する情報公開の過程で、多くの都民から工事額が高過ぎるとの指摘を受けており、都の高コスト体質が疑問視されています。こうした事態を受けて、都では、ことし六月から、財務局所管の入札契約案件について、入札制度の改革を試行的に実施し、各局も十月をめどに試行を開始。一年間実施した後に検証を行うことになっています。入札契約の基本は、地方自治法に定める、最少の経費で最大の効果を求めることにありますが、他方で、中小零細企業の東京都の工事への参入機会の確保も重要です。
 そこで、入札改革の試行の状況と今後の見通しについて、現時点での知事の所見と、東京都の工事への中小零細企業の参入機会の拡大をどのように図っていくのかについて、知事の見解をお伺いいたします。
 二〇二〇東京大会を控え、世界の注目が東京に集まっています。情報が集積する東京にはビジネスを飛躍的に発展させる触媒機能もあれば、世界一といわれる食の文化があり、世界中のVIPを引きつけてやみません。この首都東京の持つ魅力が二〇二〇東京大会で世界に向けて一気に拡散することは、五輪後の東京の成長にも欠かすことができません。
 知事は就任以来、非常に多くの海外の要人との積極的な外交を行ってきました。例えば、パリ市長アンヌ・イダルゴ氏、サウジアラビア王国サルマン国王、イギリスのテリーザ・メイ首相、十月には、世界大都市気候先導グループC40の運営委員会などに参加するため、パリ市への出張が予定されています。
 知事の海外要人との積極的な交流は、東京の魅力と存在感を世界に発信することになるとともに、世界の潮流をいち早くつかみ、施策に反映することで、都のみならず、国にとっても大きな利益をもたらすものと考えます。
 そこで、知事が主体的に行おうとされている外交について、知事の見解を伺います。
 平成二十五年の厚生労働省の若者の意識に関する調査では、日本の未来は明るいと回答した若者はわずかに一九・二%、明るいとは考えていないと回答した若者は四五・一%に達しています。確かに、日本には、人口減少、超高齢化に伴う大きな課題が横たわり、将来への不安が絶えません。この急激な変化の中で、未来への希望を明るいものとし、誰もが生き生きと活躍できる東京を実現するには、人への投資が欠かせません。なかんずく、女性の活躍の機会を拡大することは今や不可欠です。
 都民ファーストの会では、ことし四月に女性活躍推進本部を立ち上げ、十八人の女性を都議会に送り出すことができました。女性が働きやすい環境、女性がやりたいことができる社会をつくっていくため、起業支援などをさらに推進してまいります。
 そのことを踏まえて、子供やお年寄り、障害者の方々が安心して生活できる東京の創造について質問いたします。
 都民ファーストの会は、さきの都議会議員選挙でも、子供や人の暮らしに焦点を当てた議員提案条例の制定で課題解決を図ることをお約束しました。
 本定例会には、都議会公明党の皆さんとともに、東京都子どもを受動喫煙から守る条例案を提出しております。本条例案は、子供をたばこの煙から守る条例としては全国初で、罰則を設けず努力義務とする啓発的な条例です。条例成立に向け、皆様のご理解をお願いいたします。
 また、東京都も、いわゆる受動喫煙防止条例を検討中であり、十月六日まで意見を募集していると聞いております。
 そこで、これまでの東京都においての取り組みと、東京都受動喫煙防止条例の制定にかける知事のお考えと決意をお伺いいたします。
 子供を育てやすい東京にするためには保育政策が欠かせません。都は昨年、保育サービスの緊急対策として、補正予算で百二十六億円を計上した結果、平成二十九年四月一日現在の保育サービス利用児童数は、昨年度から一万六千三人増加しました。しかしながら、待機児童数は、従来の統計のとり方では、昨年から七百七十三人減少し七千六百九十三人となりましたが、実態に即した統計方法への変更後では、待機児童数は百二十人増加し八千五百八十六人となっています。平成二十九年度の保育関係予算は、昨年度より四百三億円増の千三百八十一億円とし、さらに、ことし九月に追加対策を行っています。
 そこで、今回の追加対策並びに今後の待機児童解消に向けた取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。
 フィンランド語でアドバイスの場を意味するネウボラとは、フィンランドの子育て家庭を支える仕組みで、妊娠期から出産、子供の就学前までの間、母子とその家族を支援する目的で、地方自治体が設置、運営する拠点です。
 都では、いわゆるネウボラに類する事業を目指し、平成二十七年度から三十一年度までの五カ年事業、ゆりかご・とうきょう事業を実施し、子育て家庭に対して、妊娠期から行政の専門職がかかわることでニーズを把握し、支援につなげ、妊婦、乳幼児、保護者の心身の健康保持増進を図る目的として、妊娠期から子育て期の切れ目のない支援を行っています。
 しかし、この事業は五年間の時限措置であり、将来的な展望として事業展開できない区市町村もあると聞きます。妊娠期から子育て期までの長期に及ぶ支援は長期的な視点での制度設計が求められることから、五年間の時限措置とすることなく、五年後もゆりかご・とうきょう事業を継続していくべきと考えます。
 妊娠期から支援体制としてのゆりかご・とうきょう事業の取り組み状況はどのようになっていますでしょうか。今後も、区市町村の取り組みがさらに進むように支援を継続していくべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 子供が公立小中学校に通う家庭の半数近くは、学習塾代や家庭教師代に児童一人当たり年間二十万円以上を支出しており、家計における三大支出の一つとなっています。教育費の増大は、親の可処分所得を減らし、子育て世代の消費を抑制するばかりか、少子化の一端となっているという指摘もあります。
 この背景として、学校の授業だけでは希望の進学がかなわないという危惧があります。親の所得格差が子供の教育格差につながり、子供が貧困から抜け出せなくなる負のスパイラルが生じないようにすることが必要と考えます。
 公立小中学校が、多様化し続ける児童生徒や家庭の希望の受け皿となるためには、学校の授業だけでなく、放課後の空き教室を活用して学びの機会を設ける必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 教員の長時間労働は看過できない深刻な状況であり、学校現場では教員の勤務時間の把握が不十分な状況も指摘されています。
 平成十年より、小学校における年間標準授業時数は右肩上がりに増加しています。英語の教科化などを盛り込んだ新学習指導要領実施時には、年間総授業時数がさらに増加します。小学校教諭が一日当たり学校に滞在する時間は約十二時間であるとの指摘もあり、日本の教員は世界一忙しいといわれています。
 本年八月の東京都総合教育会議でも、小学校教諭の多忙化は大きな課題として取り上げられています。まさに、教育の現場を担う教員の質の向上のために、働き方改革が必要とされており、例えば、小中学校や高校の教員が児童や生徒への教育に専念できるよう、教育以外の業務を専門に行う職員を配置し、または、外部への委託を推進することも解決策の一つではないかと考えます。
 都教育委員会は、学校の働き方改革の推進に向けたプランを策定予定と聞いていますが、学校現場、特に小中学校教員の多忙化についてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 政府のまち・ひと・しごと創生基本方針二〇一七の地方創生に資する大学改革について質問します。
 基本方針二〇一七では、東京二十三区の大学の学部、学科の新増設、定員増の抑制が決定されました。現在は地方大学の振興策等について検討が行われており、年内に最終報告案が取りまとめられる予定となっています。
 日本の成長を牽引するグローバル人材の育成が喫緊の課題となっている中にあって、日本の大学の世界におけるランキングは低下の一途をたどっています。地方創生は、東京対地方という対立構図ではなく、東京と地方が共存共栄し、日本の発展に寄与していく、そうした日本全体の創生であるべきです。
 知事は先般、文部科学大臣、まち・ひと・しごと創生担当大臣に対し、緊急要望を行うなど、精力的に都として見解を示す取り組みを行っておりますが、事は東京のみならず、日本の国際競争力や国益にかかわることです。この問題における小池知事の所見をお伺いいたします。
 今月五日、東京都地方独立行政法人評価委員会は、公立大学法人首都大学東京の第二期中期目標期間の業務実績評価について知事に報告を行いました。そこで指摘されたのは、大都市における人間社会の理想像の追求という使命を十分に果たすこと、それにつながる戦略を構築していくことでした。
 特に、都市環境の向上、活力ある長寿社会、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築をキーワードに、大都市ならではの教育環境を生かした取り組みが必要です。
 知事は、評価委員会からの評価結果報告を受けて、それぞれの法人が特色、強みを生かして、都民の期待に応えられるように、さらなる支援をお願いしたいと述べておられます。
 公立大学法人首都大学東京は、大都市における人間社会の理想像の追求という使命を果たし、都民の期待に応えられるよう取り組みを進めていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 また、首都大学東京は、東京に立地し、都から多額の財政的支援を受けて運営されている大学として、大都市東京の抱える問題解決に、より一層貢献すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、がん対策について伺います。
 日本人の二人に一人ががんになり、三人に一人ががんで亡くなるといわれています。男性では、たばこの喫煙率が高いことが大きく影響し、喫煙することにより、肺がんや胃がんのリスクを高めている要因となっており、女性は、乳がんや子宮がんなどの女性特有のがんの発症リスクが高いのが現状です。
 東京都は、東京都がん対策推進計画に基づき、がんの予防と早期発見を基本方針として、がんの予防に関する取り組みや、がん検診受診率と質の向上に取り組んできました。しかし、大腸がん、肺がんは年々増加傾向であり、検診受診の勧奨をさらに強化すべきです。また、課題としては、検診受診率及び精度管理が挙げられますが、特に検診後の精密検査へ回る際に広域的な医療機関に移ることで、各自治体が把握しにくいのが現状です。
 本年度は計画の最終年度となり、新たに来年度より二次改定として計画改定されますが、受診率向上や精度管理の必要性を伺うとともに、次期計画におけるがん検診の方向性について、都の所見をお伺いいたします。
 医療技術の進歩により、これまで予後不良とされてきた疾患の生存率が向上していることなどを背景に、治療をしながら仕事を続けることを希望する従業員のニーズが高くなってきています。厚生労働省では、がんなど継続治療が必要な病気を理由に退職勧奨をさせないように、労働環境を改善すべく、ガイドラインを設けています。
 疾患を抱える従業員に働く意欲があっても、治療と仕事の両立を支援する環境が十分に整っておらず、就業を継続し、または休職後に復職することが困難な状況にあります。
 治療と仕事の両立のためのメンタルヘルスの重要性など、がんと診断されても、いかにつき合いながら治療するかが大切であり、がんと共存する対応策が求められていますが、東京都における治療と仕事の両立に向けた取り組みをお伺いいたします。
 厚生労働省では、加齢とともに筋力や認知機能等の心身の活力が低下し、生活機能障害などの危険性が高くなった虚弱状態をフレイルと呼び、今後、フレイルの進行を予防する取り組みがより重要との認識を示しています。
 加齢とともに心身の活力が低下していくことはいたし方ないとしても、適切な対策を講じることによって、その進行を予防することができます。首都大学東京に高齢者の学びの場を創出することや、健康増進、疾病予防、セルフメディケーションの取り組みもフレイル対策として有効です。
 フレイル予防には、医療と介護が連携する多面性に応じた総合的な対策の検討が必要です。健康寿命の延伸とともにフレイル予防の重要性とその対策は高まっていくと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 都立病院は他の医療機関などと連携し、都における良質な医療サービスの確保を図ることを役割としています。
 都立広尾病院は、老朽化に伴い建てかえが必要となっておりますが、都が設置した検討委員会は、現在地の建てかえでも災害対応に必要な施設や設備を強化できるとして、都立広尾病院を移転せず、現在地での建てかえ案を取りまとめています。
 都民の健康と安全を守る病院施設の整備は急務であることから、検討結果を踏まえて、現在地建てかえを判断された知事の見解をお伺いいたします。
 障害者への包括的支援体制の整備について伺います。
 障害のある方とない方がともに社会参画し、共生するダイバーシティーという潮流がある中で、東京は、特別支援学校や支援学級に所属児童や生徒がふえ、分けて教育する傾向があります。
 さらに、医療的ケア児は保育園等で受け入れられず、児童発達支援事業、放課後等デイサービスでさえも通所を断られています。子供時代から、ともに育たなければ、本当の意味のダイバーシティーは実現していきません。
 障害者は、医療、保育、療育、教育、就労、住居、生活など多岐にわたって支援を必要とし、人生の段階によってもニーズが変わります。しかし、現在は、行政の縦割りの中で、細やかな切れ目のない支援が実現していません。支援や地域の情報が集約されておらず、障害者や保護者が口コミやブログ等から情報を集めているのが実情であり、横断的かつ包括的な支援が必要です。
 都は、障害児や家族に対する相談対応など、地域での支援の充実に取り組むべきであると考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 障害者の人権に関して、障害者の権利に関する条約が二〇〇六年の国連総会で採択され、二〇〇八年に発効しております。日本では、二〇一三年に障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が成立いたしました。法律の施行を受けて、都では現在、障害者への理解促進及び差別解消のための条例制定に向けて検討が行われています。
 知事は、平成二十八年第四回定例会において、障害者差別解消のための新たな条例案の検討を開始し、平成三十年度の条例の施行を目指していくと述べられておられます。条例の制定に当たっては、障害当事者の声を十分に聞くとともに、事業者などからも幅広く意見を聞いた上で策定することが重要です。
 そこで、都における障害者差別解消条例制定に向けた検討体制と、現在の検討状況についてお伺いいたします。
 東京都の空き家は、二〇一三年で約八十二万戸となっており、全国の一割を占めています。東京都では、東京都民間住宅活用モデル事業を三年間実施し、ことし四月からは、空き家対策連絡協議会を立ち上げて取り組みを開始しています。
 そのような中、高齢者、低所得者、子育て世帯等の方々に対して、住宅セーフティーネット機能を強化するための住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給に関する法律の一部を改正する法律が、ことし十月に施行されます。
 国は、二〇二〇年までに十七万五千戸の登録を目標としていますが、要配慮者の入居に不安を感じている家主に対して理解を求めて登録件数をふやすとともに、空き室を保有している家主と入居したい要配慮者の円滑なマッチングの仕組みの構築が重要です。
 都はこれまで、居住支援協議会を通じて、区市町村による民間住宅への入居円滑化の取り組みを支援するなど、住宅確保要配慮者の居住の安定に向けた取り組みを行っていますが、住宅確保要配慮者への入居支援をさらに円滑に進めるためには、福祉保健局や自治体、不動産関係団体との連携が必要です。
 住宅セーフティーネットに関する新たな制度を受けて、東京都としての住宅確保要配慮者に対する取り組みについてお伺いいたします。
 東京の未来都市像についてお伺いいたします。
 都は、二〇四〇年代の目指すべき東京の都市の姿への実現に向けて、都市づくりのグランドデザインを策定しました。これまでの延長線上にない難しい課題の解決に当たっては、新たな視点の取り込みや活用などによる新機軸の打ち出しが重要です。
 今回、都市づくりのグランドデザインが発表されたことを受けて、改めて二〇四〇年代の東京の都市づくりについてのビジョンと、その実現に向けた今後の取り組みの方向性を知事にお伺いいたします。
 一九六四年の東京五輪は、戦後からの復興を世界に印象づけるとともに、国民に大きな自信を与えました。一方で、五輪開催に間に合わせるため、河川の上空に築かれた首都高が美しい日本橋の景観を奪い去ってしまいました。首都高に覆われた日本橋は、当時の日本の発展の象徴でもあり、その犠牲の象徴でもあります。
 日本橋の美しさを取り戻すため、首都高の地下化は、小泉元首相の指示を受けるなど、過去二度、有識者から提言がなされてきましたが、実現に向けて動き出すことはありませんでした。
 こうした中で、都は、本年七月に日本橋の首都高の地下化に向けて取り組むことを表明しました。五輪で失われた景観を五輪で取り戻す取り組みは、五十年余りを経て変化した東京を映し出す鏡のような取り組みで、大変価値あることだと考えます。
 首都高の大規模更新は喫緊の課題であり、世界に誇れる都市景観を創造するためにも、この取り組みを知事のリーダーシップのもとで進めることが重要です。
 そこで、今回の日本橋首都高の地下化に対する知事の決意をお伺いいたします。
 一方、熾烈化する世界の都市間競争で勝ち抜くためには、世界のビジネスマンを引きつける都市機能を磨かなければいけません。国際金融センターとしての機能強化もその一つです。
 国際金融センターには、金融機関のみならず、多くの企業や人々、そして付随する情報が集積し、都民に対しても有形無形の恩恵がもたらされます。その際重要なことは、都民と外資系金融機関双方がウイン・ウインの関係を構築することです。
 そこで、国際金融都市東京を実現していくに当たり、東京都として、都民や都内の企業にどのようなメリットを生み出し、また、外資系企業にはどのような魅力を提供して、海外からの投資を呼び込んでいくのかについて、都の考えをお伺いいたします。
 東京都では、二〇二〇年に向け、東京を訪れる外国人旅行者の旅行者数二千五百万人を目標としています。目標達成には、都心のみならず多摩や島しょエリアへの還流を目指したマーケティング、ブランディング、プロモーションが課題です。
 二〇一八年に開催される平昌五輪は、IOCなど五輪関係者、外国メディア、各国の大手旅行代理店などが集結するため、絶好のPRの機会です。こうしたシティーセールスのチャンスには、オリ・パラ準備局以外の観光部の職員を同行するなど、積極的に都職員を派遣するべきではないかと考えます。
 また、二〇一九年のラグビーワールドカップも外国人観光客の受け入れ体制を図る上で試金石となります。
 外国人旅行者を増加させるためのマーケティングやブランディング戦略、そして実際の受け入れ体制を構築する上で、二〇一八年の平昌五輪、続く二〇一九年のラグビーワールドカップへの取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。
 東京の観光振興を図る上で、多摩・島しょ地域の多様な魅力を生かして、さらなる誘客を図ることは重要です。多摩・島しょ地域に外国人観光客を回遊させるために、旅行会社などと協力した取り組みを行うとともに、地域の魅力の発信を強力に行うべきと考えます。
 外国人旅行者を都内全域に還流させるための取り組みや、多摩地域や島しょのプロモーションについて、都の考えをお伺いいたします。
 二〇二〇東京大会は、東日本大震災からの復興をアピールする役割を持っています。東京と東北地域を結ぶモデルルートを設け、オリンピック・パラリンピックに訪れる外国人観光客が東北各地を訪れるようにする工夫も有効だと考えます。
 五輪で東京を訪れた外国人旅行者に日本国内を周遊してもらえるよう、とりわけ震災からの復興を目指す地域との連携強化、東京五輪に向けての被災地との連携について、都の考えをお伺いいたします。
 多摩・島しょについてお伺いいたします。
 知事は就任当初より、多摩地域の振興や格差の解消に向けて取り組むとし、市町村総合交付金の増額や、地域ごとに視点を変えた取り組みを実施してきました。また、新たに多摩の振興プランも五月には素案がまとめられ、今月に策定されました。多摩地域の振興、多摩格差の是正、解消には、徹底的な現状把握とかけ声で終わることのない本気度が必要です。
 格差は時に、特徴、個性という言葉に置きかえられてしまい、その実情がうやむやになってしまうことがあります。多摩の住民の視点からは、確実に、切実に格差が存在しており、それは予算レベルから政策レベルまで多岐にわたります。予算の面では数字が見えやすいですが、政策レベル、意識レベルでは見えづらくなります。
 多摩地域における各種施策を検討する際には、多摩地域にとってはどうかという視点を意識的に入れることが必要であると考えます。
 多摩地域の振興、多摩格差の是正、解消に向け、改めて知事の思い、所見をお伺いいたします。
 島しょ地域は、世界自然遺産の小笠原諸島を初めとする雄大な自然はいうまでもなく、新島ガラスなどの伝統工芸、くさや、青酎などの食文化といった唯一無二の宝物を有しています。
 一方で、少子高齢化の進展や自然災害のリスクを抱え、不安を感じながら暮らす方々が数多くいらっしゃることも事実であり、早急な対応が求められています。
 知事を初め、東京宝島推進委員会委員の皆様におかれましては、各島への訪問を通じて島の魅力を再発見していただいたものと思います。これらの価値をさらに高めることは、オリンピックを控えた東京にとって多様な観光資源となることから、東京を一層魅力的にするものと考えます。
 そこで、島しょ振興について、知事の思いと所見をお伺いいたします。
 次に、都市農業についてお伺いいたします。
 東京の農業、農地は、新鮮かつ安全な農産物の提供、緑や自然の保護など環境保全に寄与するとともに、防災機能や交流、教育、学習の体験の場として、多面的な役割を果たしています。他方で、農業従事者の高齢化や後継者不足や農地面積の大幅な減少に直面しています。
 さらに、生産緑地に対する固定資産税の軽減措置や相続税の納税猶予の特例が一九九二年から期限は三十年ということで始まり、二〇二二年以降にその期限が到来します。その時点で後継者がおらず、買い取り者がいないなどにより、生産緑地の指定が解除されることになれば、優遇措置がなくなり、農地を維持することができなくなります。
 しかし、その特例として、買い取りの申し出期間を十年延長し、引き続き税制優遇措置を受けることができる特定生産緑地制度があります。また、農地の開発に一定の制限はありますが、直売所や農家レストランなどの整備もできる田園居住地域制度もあります。
 都は、都市農地を守り、都市農業の発展振興の観点から、二〇二二年までに特定生産緑地の制度活用を促す制度を積極的に行うとともに、田園住居地域という用途地域の活用に向けた検討をすべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、働き方改革についてお伺いいたします。
 テレワークは、子育て、シニア、障害のある方など、都民の皆さんそれぞれの生活スタイルに合った働き方を実現できる働き方改革のかなめですが、企業の導入率は、二〇一二年度では一一・五%にとどまっています。
 ロンドンでは、二〇一二五輪に向けて官民挙げての取り組みを行い、大会期間中の交通渋滞緩和、仕事の生産性向上、テレワーク社会、多様な働き方への社会的な切りかえを成功させたと聞いています。これはまさに見えないレガシーといえます。
 こういった成功事例を調査分析し、定着しやすい業種、プライバシーや知財、情報漏えいなどの課題、期待される成果などを整理し、テレワークの推進に生かしていただきたいと思います。また、一般的にはテレワークとは縁遠い介護士、保育士、教職員など、報告義務が必要な業種に対しての働きかけも必要だと考えます。
 これらを踏まえて、実施主体である企業経営者へテレワークに対する動機づけをどのように行い、テレワークを確実に推進していくか、都の見解をお伺いいたします。
 これまで通勤ラッシュ問題の解消に向けて、鉄道事業者による車両の長編成化や大型化、複々線化などの輸送力増強策、さらにオフピーク通勤キャンペーンを実施することなどにより、東京圏における主要三十一区間の平均混雑率は、昭和五十年の二二一%から、平成二十七年には一六四%まで緩和されてきています。
 各国と比べて鉄道分担率の高い日本において、供給側の工夫と需要側の意識改革など、さらなる対策を講じることによって、快適な通勤を促進することが必要です。
 知事は、昨年の都知事選挙で満員電車ゼロを公約として掲げ、テレワークや在宅勤務を取り入れることなどを含む働き方改革の一環として、時差ビズを提唱されました。鉄道会社や企業、利用者のさらなる共感を得ることが重要だと思いますが、今後の取り組みについて、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、環境対策についてお伺いいたします。
 二〇一五年十一月にパリで開催された気候変動枠組条約第二十一回締約国会議で、温度上昇を摂氏二度以内にとどめること、今世紀後半にはCO2の排出をゼロにすることなどを内容とする、二〇二〇年以降の新たな国際枠組みであるパリ協定が締結されました。
 東京都はエネルギーを大量に消費している都市であり、ゼロエミッション東京の実現に向け、需要サイドの対策、すなわちエネルギー使用量を削減し、エネルギー源を再生可能エネルギーや水素へと転換を進めることにより、多大な貢献ができます。パリで開催されるC40への知事の出席は、東京の国際的な役割を世界に印象づける機会になると期待しています。
 家庭レベルでのLED電球無料交換事業は、都民の省エネ意識を高めていくという発想から事業を考案された、世界でも極めてまれな事業であり、評価できます。
 この事業は、百万個の白熱電球がLED電球にかわることで、一般家庭約三万世帯分の電力消費量が削減され、CO2に換算して四・四万トンの削減効果が見込まれます。課題の一つとされた、身体的な理由で協力店に行かれない方に対しては、早速今秋から代理受領や出張受領が実施され、さらなる利用者の増加が期待されます。環境局の今回の迅速な対応は、この事業を何としてもやり遂げるという熱い情熱を感じます。
 しかし、まだ目標に届いていない理由としては、都民への周知がまだ十分でないことが挙げられます。都民への周知、啓発には、都民に一番近い区市町村の協力はもちろん、環境教育の一環として周知するなど、区市町村や学校等とのさらなる連携が必要ではないかと考えます。都の所見をお伺いいたします。
 農林水産省の統計によれば、平成二十八年度食料自給率は、カロリーベースで三八%、生産額ベースで六八%になっています。これは、先進国中最低水準です。ところが、日本では年間六百二十一万トンもの食べ物が廃棄されています。
 日本のコンビニエンスストアや外食産業はマニュアル化が進んでおり、多くの食べ物を廃棄することを前提として成り立っています。その一つが流通業界における三分の一ルールで、賞味期限の三分の一までを小売店への納品期限、次の三分の一までを消費者への販売期限とする商習慣です。
 例えば、賞味期限三カ月の食品だと、店頭に並ぶのは一カ月ということになり、一カ月が過ぎると廃棄されてしまうということになります。
 諸外国の消費者への販売期間は、イギリスでは四分の三、ヨーロッパでは三分の二、アメリカでは二分の一といわれています。食品ロスをなくすには、業界の商習慣を是正するとともに、消費者の側の認識の変化も促さなければなりません。また、クリスマスケーキや恵方巻など、特定の日が過ぎると需要がなくなるため、これらの廃棄も問題となっています。
 東京都は、食品流通の実態調査を行い、関係事業者から成るステークホルダー会議を立ち上げることになりましたが、諸外国の商習慣などを参考にして、販売期間拡大に向け、都が積極的にこの会議を進めていくことは、食品ロスを減らす上で重要ではないでしょうか。都の所見をお伺いいたします。
 次に、動物愛護についてお伺いいたします。
 これまでの取り組みにより、犬猫については、平成二十四年には全国で殺処分数十六万二千頭であったものが、平成二十八年度には約五万六千頭にまで減少しています。
 都では、知事が殺処分ゼロを公約に掲げています。苦痛を取り除くなど、やむを得ない場合を除いた殺処分数は、平成二十七年度二百三頭だったものが、平成二十八年度に九十四頭に半減し、犬の殺処分数は初めてゼロを達成することができました。これは大きい成果です。
 これには、動物愛護相談センターに収容された動物を新しい飼い主へとつなぐ仕事の役割が大きく、ボランティア団体がそれを担ってきました。知事の公約、殺処分ゼロを実現するためには、ボランティア団体から新しい飼い主へ動物の譲渡を一層推進する必要があると考えますが、都の取り組みをお伺いいたします。
 次に、水道行政について伺います。
 日本で初となる国際水協会、IWA世界会議が、ちょうど一年後に東京で開催されます。水は人々の暮らしを支えるだけではなく、車一台をつくるのに四十万リットルの水が必要との報告もあり、工業においても、水の価値は石油をしのぐといわれるようになりました。
 近年、水道事業を民営化した国の中には、民間事業者からの値上げを受け、水道事業が破綻したケースもあり、改めて公営の上下水道事業に注目が集まっています。都はこれまでにも、民間企業と連携し、漏水や盗水に悩む東南アジアの諸都市に技術提供するなど、貢献してきました。
 来年開催される世界会議を機に、都がこれまで培ってきた上下水道の技術やノウハウを広く世界に発信し、水不足にあえぐ十億人ともいわれる世界の人々に貢献することは、大変意義のあることと考えます。
 今月四日には、IWAのダイアン・ダラス会長が都庁を訪問され、知事との会談の中で、来年の世界会議への高い期待が寄せられたところです。IWA世界会議を通じた世界の水問題への貢献について、知事の所見をお伺いいたします。
 IWA世界会議は、世界の水問題の解決に資するだけでなく、国内企業が有する高度な技術やノウハウをPRするよい機会であり、会議を通じた企業の海外に向けたPRは、産業力の強化にもつながります。IWA世界会議に対する東京都の対応及び準備状況について伺います。
 国内の水道事業について伺います。
 水道事業は法定による点検義務はありませんが、電気やガスと同様にお客様への個別訪問をし、家庭内の水質確認、漏水調査などを行っています。
 このため、お客様のニーズを的確に把握するなどのために水道フレッシュ診断を三カ年にわたって実施しました。また、安全でおいしい高品質な水を実感していただくなどの目的で、東京水道あんしん診断を提供中です。
 水道フレッシュ診断、東京水道あんしん診断ともにアンケート調査を行い、アンケート結果で得たお客様の声を水道事業に反映するとのことですが、前回の水道フレッシュ診断の結果は、現在の水道事業のどの部分に、どのように反映されたのか、所見をお伺いいたします。
 都は、都市部における台風や集中豪雨による水害対策として、一時間当たり五十ミリの降雨による洪水に対して安全を確保することを目標として中小河川の準備を進めてきました。ところが、近年はそれを超える豪雨があり、二〇一二年には、区部を流れる河川は七十五ミリ、多摩部を流れる河川は六十五ミリに目標整備水準を引き上げています。しかし、目標水準を引き上げたとしても、対策が必ずしも追いつく確証はありません。
 そこで、局地的集中豪雨に対しても、中小河川やマンホールからのあふれ出しを防止する対策だけでなく、洪水が起きたときに命と財産を守るための順応的な対策も検討する必要があります。
 全国各地で大規模な浸水被害が発生している中、治水対策は喫緊の課題です。新たな目標整備水準を早期に達成するため、今後どのように取り組んでいくのか、建設局及び下水道局にお伺いいたします。
 また、治水対策だけでなく、平時は水と親しめるようにする工夫が都民に憩いと潤いを与えます。水害の危険から都民の命と暮らしを守りながら、良好な河川環境を保全、創出するために今後どのような工夫がなされていくのか、お伺いいたします。
 都は、東京都地域防災計画を策定し、被害を最小限に抑えるために、耐震化推進、木密地域の不燃化対策、無電柱化などのハード面の対策に加え、「東京防災」の全戸配布や女性視点の防災ハンドブック作成、ツイッターを利用した防災情報発信など、ソフト面の対策も推し進めています。
 しかし、備えよ常にとの考えに基づいて、さらに関係機関、民間企業、地域団体との平時からの連携や都民の防災意識の啓発などを通じ、都として地震への備えを強力に進めていくことが強く求められています。
 そこで、都における震災対策に関して、知事の基本的な認識をお伺いいたします。
 経団連は、平成二十八年に、大規模災害への対応における官民連携の強化に向けてという提案を出しており、支援物資の輸送にとどまらず、防災や災害対応全般について官民連携が不可欠だと指摘しています。このときに大切なのは、官民が持つ情報を共有し、災害対策や都民の防災につなげていくためのICTの活用です。
 そこで、災害対応におけるICTを活用した情報連携について、都の取り組みを伺います。
 東京の防災力を高めるとともに、ベビーカー、車椅子などの安全な歩行空間を確保し、電線のない良好な都市景観を創出するためにも、無電柱化の推進は重要な政策です。無電柱化推進のフォトコンテストが実施されるなど、民間においても無電柱化促進への取り組みが進んでいます。
 都は、都道に限らず、区市町村道も含めた都内全域で無電柱化を一層推進すべきとして、新たに条例を定め、九月一日から施行となりました。さらに、今年度から、コスト縮減に向け、電線等の埋設の深さを浅くする手法を導入するなど、チャレンジする区市町村に対して財政的、技術的支援を拡充しています。
 そこで、条例制定により、今後東京の無電柱化をどのように進めていくのか、また、条例の意義について都民の理解をどのように得ていくのか、知事の所見を伺います。
 さらに、これまで見えてきた課題とその解決を含む具体的な進め方について見解を伺います。
 オリンピック・パラリンピック大会経費の不透明さやわかりにくい仕組みが国民の期待を下げる要因となっており、大会成功に向けては、情報の共有と公開に努め、経費の縮減、効率化を図ることが課題となります。
 本年五月三十一日には、関係自治体等連絡協議会で、東京都、組織委員会、国、関係自治体の四者による経費、役割分担が明確化されました。また、公費等が投入され、共同で実施する事業については、共同実施事業管理委員会を設置して、大会経費のコスト管理、執行統制の強化を図っていくとしました。今回の取り組みは大会経費の透明化の第一歩であり、私たちは大きな期待を寄せています。
 共同実施事業管理委員会にどのような効果を期待して、具体的かつ主体的に取り組んでいくのか、知事のご見解をお伺いいたします。
 大会関係のうち、東京都及び国に割り振られていない未決定の費用である関係自治体の会場周辺における輸送、セキュリティー等の経費は、今後整理、精査を行うこととしています。大会準備を円滑に進めるためには、関係自治体との連携が不可欠ですが、本年九月六日、東京都を初め関係自治体と共同して、全国宝くじ協議会や関係省庁への要望活動を行ったことで、関係自治体の足並みがそろったと感じています。
 今後、どのように関係自治体との連携を進めていくのか、伺います。
 復興五輪は、二〇二〇東京大会の重要なテーマの一つです。被災地での競技開催で、東日本大震災の被災者の方々に夢や希望を持っていただくとともに、被災地の復興を世界中の方々に発信することが重要となっています。
 これまで、スポーツ交流や観戦招待、千キロ縦断リレーなどを行い、一つ一つのことが継続し、開催されていることで、地元の方にも受け入れられています。ことしは、フラッグツアーでは、都内はもとより、地震で被災した東北三県と熊本県を巡回し、知事みずからも現地入りし、機運醸成を図っています。
 いよいよ開催まで三年を切った今、改めて復興五輪に向け、知事の思いをお聞かせください。
 近年、ヒートアイランド現象に地球温暖化による影響が重なって、東京の気温上昇は顕著となっています。気温上昇による熱中症患者数の増加など、都民の健康や生活への影響も顕著となっており、猛暑日の運動では、重篤な熱中症にかかる事態も報告されています。
 また、樹木などの木陰がない路面についても、遮熱舗装の効果が認められれば、都内の気温が下がり、局地的集中豪雨への対応にもなり得ると考えます。
 東京五輪に向けて、アスリートや観客が暑さをしのげるよう、遮熱性舗装やクールエリアの創設などの暑さ対策を総合的に展開していく必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 東京が二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催権をかち取ったのは、二〇一三年九月。IOCのロゲ前会長が東京をコールし、日本中で歓喜が湧き上がってから四年がたちました。この間、エンブレム問題、国立競技場工事費問題などから、オリンピック機運に水を差す事態も相次ぎました。しかし、大会の成功のために機運醸成は欠かせません。
 都は、機運醸成のため、都内の学校においてオリンピック・パラリンピック教育を進めています。開催まで三年を切り、さらなるオリンピック機運醸成には、都や組織委員会が主催するイベントの開催に加え、都民の誰もが主体的に取り組める新たな仕組みが必要と考えます。
 都民が主体的に参加できる仕組みの必要性について、都の考えを伺います。
 スポンサー収入の一層の確保策について伺います。
 現在、組織委員会では、スポンサー収入を二千八百六十億円と見込み、大会運営を支えるためにさらなる収入増を図っていると聞いています。
 そこで、競技施設などの工事現場における屋外広告物規制について伺います。
 今後、競技施設など五輪関係工事が進む中で、工事期間中の仮設壁などにオリンピアン、パラリンピアンの躍動感あふれる写真やイラストを掲示することは、五輪機運醸成にも貢献しながらスポンサー収入増を見込める一石二鳥の効果が期待できます。
 しかし、現在の都の屋外広告物規制では、工事現場の仮設壁には百平米までの掲示しか許されておらず、規制の枠を超えられません。
 そこで、オリンピック・パラリンピック関係に限定し、時限的に屋外広告物規制の緩和を検討するべきではないかと思いますが、東京都の所見を伺います。
 築地市場の豊洲への移転は、六月二十日に知事の基本方針によって決定され、移転の条件を整備するため、臨時都議会で五十五億円の補正予算も成立しました。これにより、盛り土がなかったことに対する追加対策工事が実施されるなど、築地市場の速やかな豊洲移転に向けての施策が講じられることとなりました。
 一方で、盛り土がなかったことに対する市場関係者、都民の皆さんの不安はいまだに残っています。また、豊洲市場にカビが発生したことも不安を与える一因となりました。
 速やかな移転には、丁寧な説明が求められます。これから始まる追加対策工事の実効性を市場関係者、都民の皆さんに正確にお伝えするとともに、盛り土問題で与えた都民の不安と不信を払拭していく必要があります。
 また、移転準備に向けては、具体的なスケジュールや手続を市場関係者の皆さんと協議していく必要があります。今回の追加対策工事に伴う事業者への説明に合わせて、開場時期、引っ越しの手順についても丁寧に協議し、速やかに決定されることを望みます。
 これらを踏まえ、補正予算成立を受けて対策工事が始まろうとしている今、豊洲市場への取り組みについての知事の所見を伺います。
 また、築地再開発検討会議が発足をし、大きな東京都市づくりの観点から築地の再開発が議論されると聞いております。
 築地のブランドは世界のブランドであり、唯一無二のものであります。更地にして売却してしまえば築地が育んできた食のブランドは何も残りませんが、都として再開発への青写真を描き、築地のブランドを残しつつ、東京のランドマークになるまちづくりへと昇華させれば、都民が、国民が世界に誇れる築地のまちづくりになると期待しています。
 知事には、築地エリア開発こそが今後の東京の成長を担うというくらいの大きな視点で築地再開発に臨んでいただきたいと思いますが、知事の所見を伺います。
 さらに、六月二十日に知事が示した大方針によって、一刻も早く豊洲で新たな事業展開を図りたいと希望する事業者もおられるでしょうし、豊洲に移転後、再び築地での経営を希望する方もいらっしゃると聞いています。
 さまざまな市場関係者の率直な意見を聞き取ることは、豊洲市場への移転や今後の築地の再開発を考える上で、貴重な意見として貢献するものと考えますが、都はこうした市場関係者の声にどのように向き合っていくのか、都の所見をお伺いいたします。
 最後に、私たちが目指す真の議会改革について申し上げます。
 本定例会に提出の子どもを受動喫煙から守る条例案を策定する過程で、四百件を超えるご意見をいただきました。私たちの声がこうして届き、議員の手によって条例化されることに感激しているとのご意見や、条例を一緒につくれる機会なんて今までなかったという声もいただきました。
 ヒアリング、意見募集を通じて、私たちは実感いたしました。議員がみずからの手で条例という地域のルールづくりを始めれば、多くの情報、要望、知恵、そしてこれまでいえなかった不平、不満、苦悩が都民から集まるということを。その意見が私たちの筆を走らせ、条例の一字一句に都民の願いを込めることができることも確信いたしました。
 掘らなければ、泉は湧き上がりません。議会の私たちが、その努力を惜しまず掘り進めば、とどまっていた都民の声は一気に湧き上がり、知恵のダムとなった議会は、改革の清流を生み出すことができると自信を持って申し上げたいと思います。
 私たち都民ファーストの会は、古い慣習で眠りについた都議会の権能を覚醒させ、都民の皆さんの意見を反映できる全国一の議会にしてまいります。
 都議選で寄せられた都民の期待に応えていくことを改めてお約束申し上げ、代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 増子ひろき議員の代表質問にお答えさせていただきます。
 まず、都政改革本部についてのご質問をいただきました。
 就任直後の昨年の九月、都政の体質を変える装置といたしまして、私自身を本部長とする都政改革本部を設置いたしました。当本部のもとで、これまで、都民ファースト、情報公開、賢い支出、この三原則を徹底しながら、さまざまな改革を推進してまいりました。
 中でも、改革の一丁目一番地であります情報公開につきましては、条例改正に加えて、予算編成過程の透明化、公金支出情報の公開など、多様な取り組みを速やかに実行に移して、都政の透明化は大きく前進をいたしました。
 また、入札契約制度改革を初めとする内部統制の強化や、改革の具体的な担い手であります職員みずからの提案に基づく自律改革の定着など、この一年で改革の基盤は着実につくられたものと認識をいたしております。
 二年目に入りました都政改革本部におきましては、具体的な改革の方向性を提示するとともに、単に切り込むだけではない、伸ばすところは伸ばす、めり張りのきいた改革をスピード感を持って進めてまいります。
 都民に開かれ、都民とともに進める都政、この実現に向けて都政改革本部を司令塔として、私が先頭に立って、しっかりと改革の実績を積み重ねてまいる所存でございます。
 入札契約制度改革についてであります。
 今回の制度改革は、より多くの方が入札に参加しやすい環境をつくって、入札の競争性や透明性を高めることを主眼として実施をいたしております。六月下旬に公表した案件から試行を開始いたしまして、八月から開札が始まったところであり、今後、案件を積み重ねながら検証作業を進めていくことになります。
 検証に当たりましては、例えば入札の参加者数や落札率の状況を見ていくことによりまして、制度改革の効果があらわれているかを確認してまいります。
 また、中小零細企業の参入機会の拡大に向けましては、分離分割発注の徹底を引き続き進めるとともに、今回の制度改革におきましても、予定価格の事後公表に関して、人手が限られている中小企業でもより正確な積算ができるよう、詳細な数量の提示、十分な積算期間の確保などの配慮を加えたところでございます。
 入札契約制度には完璧な答えはございませんが、今後、一年間の試行期間の中で、この改革をさまざまな角度からしっかり検証した上で、よりよい入札契約制度になるよう、不断の見直しを進めてまいります。
 都が実施をいたします外交についてのお尋ねがございました。
 二〇二〇年東京大会まで三年を切りました。世界からの東京に対する注目はますます高まっております。
 私は、知事就任以来、東京を来訪した多くの海外の要人との面会を通じまして、東京のプレゼンスの向上に努めてまいりました。今回予定しておりますパリ出張におきましても、C40やシティーラブなどの国際会議に参加をする予定としております。そして、この機会に東京の施策や魅力を広くPRするとともに、世界の主要都市のリーダーたちとも大いに意見交換をしてまいります。
 また、実務レベルにおきましても、積極的な交流を図ることは重要であります。危機管理等、各局のこれまでの都市間協力に加えて、若手を初めとする意欲のある職員が国際会議などの機会を通じ、東京の施策を積極的に発信していくとともに、海外の先進事例を学んで、都政の問題解決に結びつけていく。
 今後とも、海外諸都市との連携をさらに深めて、都が実施する外交の成果を東京の持続的な発展と都民生活の向上につなげてまいる所存でございます。
 受動喫煙防止対策についてご質問がございました。
 受動喫煙は、肺がんや乳幼児突然死症候群等のリスクを高めるなど、健康に悪影響を与えることが科学的に明らかにされております。また、近年のオリンピック・パラリンピック開催都市では、屋内を全面禁煙とするなど、法律や条例で罰則を伴う対策を講じております。
 こうしたことを踏まえまして、先日、東京都受動喫煙防止条例(仮称)の基本的な考え方、こちらを公表いたしました。
 都はこれまで、東京都受動喫煙防止ガイドラインに基づいて、都民への普及啓発はもとより、職場向けのハンドブックや飲食店向けのリーフレットを配布いたしまして、禁煙、分煙の取り組みを働きかけるなど、さまざまな対策を推進してまいりました。
 また、国に対しましては、受動喫煙防止対策を強化するための法律を早期に整備するよう提案要求をしてきたところでございます。受動喫煙の問題は、本来、国全体で取り組むべき課題でございます。
 都といたしましては、国の動きを見据えながら、現在行っておりますパブリックコメントの意見も踏まえて、早期に条例案を策定、そして二〇一九年ラグビーワールドカップ開催までの施行を目指していく所存でございます。
 次に、待機児童対策についてのお尋ねがございました。
 私は、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つと位置づけまして、保育所等の整備の促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実、この三つを柱といたしまして、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 こうした取り組みをさらに加速させるために、今回、七つの追加対策を取りまとめたところでございます。
 その対策は、地価の高い駅周辺などでの保育所整備を促進するための賃借料補助の引き上げ、保育士の業務負担を軽減するためのICT化の促進、保育士の復職を支援するための資金貸付の拡充など、区市町村や事業者からの要望に機動的に応えることを目的といたしております。
 今後とも、区市町村としっかりと連携をいたしまして、平成三十一年度末までに待機児童を解消するという目標の達成に向けまして、スピード感を持って効果的な施策を進めてまいります。
 東京二十三区の大学における定員増の抑制等についてのご質問がございました。
 地方創生のために地方の大学の一層の振興を図ることは重要でございます。しかし、そのために、東京二十三区の大学を規制するなどということは、到底納得ができません。事地方創生となりますと、随分と乱暴な議論が展開されているように感じておりますが、私は、都市か地方かという二律背反の考えでは、そもそも地方創生はなし得ず、東京と地方がともに栄え、日本全体が発展していくことを目指すべきと考えております。
 大学は、知の拠点として、次代を担う人材の育成やイノベーションの創出といった重要な役割を担っております。国際競争が激しさを増す中、世界中から学生が集まるような大学をどう育てるか、これが肝要でございます。
 ところが、国は問題を履き違えているとしかいいようがございません。むしろ、大学の革新を滞らせかねないような方向で、法整備まで検討をいたしております。これは、国益を損なう本質を見誤った政策といわざるを得ません。
 私は、これからも、東京二十三区の大学への規制について強く反対をするとともに、激しい国際競争に打ち勝つための高等教育はどうあるべきなのかといった本質的な議論を喚起すべく、必要な主張を行ってまいりたいと考えております。
 次に、公立大学法人首都大学東京についてのご質問でございます。
 この法人は、総合大学である首都大学東京、社会人向け専門職大学院である産業技術大学院大学、実践的工学専門教育を行う都立産業技術高等専門学校という三つの高等教育機関を設置しております。
 我が国の高等教育を取り巻く環境は、少子化に伴う大学間競争の激化、国際社会や地域社会が求める人材の多様化、高度化など、激しさは増す一方でございます。
 このような状況下にあって、都の公立大学法人が設置する大学、高専が重視すべきこと、それはグローバル社会を生き抜く力を持った人材の輩出、他の大学にはない特色ある教育研究の専門分野を持つこと、そして、人生百年時代を見据えた生涯学習の充実の取り組みを進めていくことでございます。
 二つの大学と一つの高等専門学校がそれぞれの強みや特色を発揮しながら、都が設置する高等教育機関としての価値を高めて、都民の期待に応える存在となっていくように、都としても支援をしてまいります。
 次に、広尾病院の建てかえ整備についてでございます。
 首都直下地震を初めとする災害時に何よりも都民の生命を守る、そのことは都立病院の果たすべき重大な責務でございます。
 とりわけ広尾病院は、都心部唯一の基幹災害拠点病院として、都の災害医療体制の中心的な役割を担っておりますが、築三十五年を超えて、施設の老朽化も進んでおります。建てかえが必要な状況でございます。
 その建てかえに当たりましては、敷地の狭隘さや工事中の診療制限等の懸念から、当初は移転整備を基本に検討をしてまいりました。一方で、この間、将来の医療需要を見据えた地域医療構想を初め、地域医療を取り巻く情勢は大きく変動しております。広尾病院自体も病床利用率が急激に低下するなど、病院整備の前提が変化をしております。
 都といたしましては、こうした状況変化が顕在化する中で、昨年の八月以降、外部の専門家等によります検討委員会を中心として、今後の病床規模、そして診療機能などについて鋭意検討を始めてきたところでございます。
 この結果、病床数を四百七十八から四百程度に適正化する、整備手法も工夫するといったことで、現在地でも災害拠点機能の強化は可能との結論に至りました。加えまして、検討委員会からは、地域医療への支援や持続可能な病院運営の観点からも、現地建てかえがより望ましいとの提言をいただきました。
 これらを踏まえまして、広尾病院が期待される役割を果たしていくためには、これまで地域で培ってきた地の利を生かした現地建てかえ整備が適切であると判断をいたしました。
 そこで、今後とも都民の命と健康を守ることを第一といたしまして、広尾病院の整備を着実に進めてまいる所存でございます。
 次に、都市づくりのグランドデザインについてのお尋ねがございました。
 今回作成いたしましたグランドデザインは、二〇四〇年代を見据えて東京を活力とゆとりのある高度成熟都市として生まれ変わらせ、新たな価値を生み続ける活動の舞台として世界中から選択される、そのような都市となることを目指しております。従来の発想にとらわれていては、躍動感あふれる東京をつくり出すことはできません。将来を見据えた長期的な視点を持って、新たな工夫を加えながら、今なすべきことをなす、そのことが重要と考えます。
 例えば、先端技術や、いわゆるESGの概念も取り入れて、ゼロエミッション東京を目指して持続的に発展をさせていく。また、国際ビジネス拠点を育成して、三環状道路や鉄道といったインフラを充実させて、最大限に活用をする。燃えない、倒れないまちづくりを加速して、緑を減らさない取り組みなども進める。これらによりまして、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティー実現の礎となる都市づくりを展開してまいります。都民の皆様とともに東京の未来をつくり、次世代に確実に引き継いでまいります。
 日本橋周辺の首都高速道路の地下化についてのご質問でございます。
 日本橋は五街道の起点として、江戸の経済、文化の中心であった場所でございます。現在の橋は、国の重要文化財に指定をされております。
 この橋の上にかかる首都高は、近年老朽化が進む一方で、周辺景観に与える影響についてさまざまな議論がされてまいりました。
 こうした状況の中で、首都高の大規模更新の機会を捉えて、国家戦略特区の都市再生プロジェクトなど、周辺のまちづくりと連携をして、今般、国や首都高速道路株式会社と共同で、首都高の地下化に向けて取り組むことといたしました。
 日本橋周辺の首都高のいわゆる見えない化は、品格ある都市景観の形成、歴史、文化、さらには水辺を生かした都市の顔づくりなど、東京の価値を高める一つの象徴となるものでございます。その実現に向けまして、関係者と力を合わせて取り組み、快適、ゆとりの高度成熟都市としての姿を未来に残してまいりたいと考えます。
 外国人旅行者の増加に向けた取り組みについてのご質問でございます。
 世界の注目が集まります平昌大会、ラグビーワールドカップなどのビッグイベントにつきましては、東京の魅力を効果的に発信できる絶好の機会と考えます。
 このため、平昌大会の開催時には、アイコン、Tokyo Tokyoを活用いたしまして、世界から集まる観戦者を初めとして、各国のメディア、旅行事業者に対しまして、ジャパンハウスや現地の広告などを通じまして、伝統と革新が共存する東京の魅力をアピールしてまいります。
 また、二〇一九年のラグビーワールドカップにおきましては、全国の大会会場を訪れる海外からの旅行者に、東京と日本各地の魅力を存分に堪能していただいて、さらなる旅行者の誘致につなげてまいります。
 こうした外国人旅行者のニーズや国ごとの特性をマーケティング調査で十分に把握をいたしまして、効果的なプロモーションに活用するとともに、まち中や公共交通機関の利用における多言語対応の充実、宿泊施設などのトイレの洋式化など、受け入れ体制の整備を加速をさせてまいります。
 今後は、訪都外国人旅行者数二千五百万人という高い目標の達成に向けまして、国別の旅行者数の目標値を定めて、効果のある取り組みをさらに戦略的に進め、インバウンドの拡大の効果を日本全体に波及させていきたいと考えております。
 多摩の振興についてでございます。
 多摩地域は、東京の三分の一に相当する四百万人を超える人口を擁しております。そして、豊かな自然や地域の特産物を初めとして、きらりと光る宝物がたくさんあるほか、高い技術力を持つ中小企業や大学、研究機関が集積をしております。その発展は、東京の活力を一層伸ばしていく上で欠かすことができません。
 一方で、人口減少、少子高齢化への対応を初めとして、道路、交通インフラの整備、防災対策、産業振興など、それぞれ地域ごとにさまざまな課題を抱えております。こうした課題の解決に向けましては、地域の実情を的確に把握した上で、一つ一つ丁寧な取り組みを行っていくことが重要でございます。
 今回策定いたしました多摩の振興プランは、地域ごとの特性や課題を把握、整理して、今後の多摩振興の道筋を示したものでございます。策定に当たりましては、地域の実情に精通をして、多様な活動をされている方々のご意見やアイデアも取り入れてまいりました。
 今後とも、積極的に現地に足を運びまして、地元の市町村と緊密に連携するなど、多摩地域にしっかりと目を向けて、オール東京の発展につながるよう、多摩振興に全力で取り組んでまいります。
 島しょ振興についてでございます。
 東京の島しょ地域は、豊かな海洋資源と自然環境に恵まれた個性豊かな島々から成っております。私は、知事就任以来、一般の島民の方々がお暮らしになります十一の東京の島々のうち、小笠原諸島の父島を皮切りといたしまして、ことしの七月、新島、式根島まで合わせて九島、九つの島を訪問をしてまいりました。
 実際に現地を訪れてみますと、東京の島々はすばらしい景観や特産品、そして文化など、宝物にあふれているなということを痛感をいたしました。一方で、島の方々は毎日住んでおられると、逆にその価値に意外と気がつかないということもございます。
 私は、それらの宝物に一層磨きをかけていくため、島しょの隠れた魅力を発見して、広く発信をする東京宝島推進委員会の取り組みを進め、加えて、島しょ地域におけます電気自動車普及を目指したモデル事業を開始するなど、島しょ地域の活性化に向けまして、さまざまな振興策を実施しております。
 今後は、なるべく早く残る二島を訪問するとともに、東京の島ならではの地域の秘めた可能性を十分に引き出せるように、島しょ地域の振興に積極的に取り組んでまいります。
 時差ビズについてもご質問がございました。
 満員電車の混雑緩和は、社会の生産性向上のための重要な課題でございます。快適に通勤することのできる環境づくりを進めていくことは重要です。
 ことし七月に行いました時差ビズでは、官民が連携をして混雑緩和のための取り組みを一斉に実施をして、時差出勤やテレワーク、鉄道事業者によりますオフピーク通勤の促進など、鉄道利用者を含めて皆さんに工夫して取り組んでいただきました。
 私が時差ビズの開始を宣言した快適通勤プロモーション協議会の開催時には約二百三十社であった参加企業が、時差ビズ期間中も取り組みの輪が広がりまして、最終日には約三百二十社もの企業にご賛同いただくこととなりました。
 この秋に開催をいたします協議会におきましては、積極的に活動した企業や団体の皆様を時差ビズ推進賞として表彰いたします。その取り組みを広く紹介をさせていただきます。そのことによって、ムーブメントの輪をさらに広げていく所存でございます。
 今後とも、企業や鉄道事業者などと連携をいたしまして、さまざまな工夫を取り入れながら、時差ビズを東京の新たな常識として定着をさせてまいります。
 次に、二〇一八年のIWA世界会議についてのご質問がございました。
 世界の水問題への東京の貢献についてでございます。安全な水を安定的に確保して都市を水害から守る、いわゆる利水、治水という言葉にもあるとおり、政治や行政にとりまして最も重要な課題でございます。
 東京は、蛇口から直接おいしい水が飲める、実は世界でも数少ない都市であります。安全で高品質な東京の水道水は首都の大きな魅力であり、強みといっていいでしょう。
 先日のIWA会長との会談におきましても、三%という極めて低い漏水率を実現している東京の水道技術や、道路を掘らずに管路を新しくする下水道技術など、都の有する先進的な取り組みをぜひ海外に紹介してほしいとのご要望をいただいております。
 各国から水分野の関係者が一堂に集う来年の世界会議におきましては、都が長年培ってきたこうした技術や、官民連携のもと、都が主体となって先駆的に実施してきた経営の取り組みを論文の発表や展示会などを通じて広く、深く発信をしてまいります。
 私みずからも会議の場で都の有する技術やノウハウ、東京水のすばらしさを世界にアピールをしてまいります。
 今後、関係機関と密接に連携をとりながら、着実に準備を進めてまいります。そして、世界の水問題の解決に貢献する実り多い会議を実現してまいります。そして、その成果は二〇二〇年東京大会の成功にもつながる、このように確信をいたしております。
 都におけます震災対策の基本的な認識についてのお尋ねがございました。
 私は、前も申し上げたように、阪神・淡路大震災を経験いたしております。一たび大規模な地震が発生いたしますと、あらゆる災は同時に起こるということを痛感いたしました。
 首都直下地震の切迫性が高まる中で、都民の安全・安心の確立のため、政府機関や区市町村とも連携を一層密にして、想定外の事態にも対処できるように、できる限りの準備を不断に進めること、これが震災対策の基本でございます。
 このため、木造住宅密集地域の不燃化や道路の無電柱化の促進、地域防災活動におけます女性リーダーの育成、帰宅困難者対策など、ハード、ソフトの両面から、迫りくる脅威への備えを万全なものとするように取り組みを実施いたしております。
 さらに、よりわかりやすい事業計画といたしまして、セーフシティ東京防災プラン、仮称でございますが、これを策定いたしまして、都民の理解と共感に基づく自助、共助の取り組みと、公助としての都の取り組みを、ともに推進をしてまいります。
 大規模な災害がいつ発生してもおかしくない。私はそうした危機感の上に、防災対策の強化に全力で取り組んで、都民の命を守るセーフシティーの実現を加速してまいります。
 無電柱化についてのご質問でございます。
 東京の防災力を高めて、都民が安全・安心に暮らせるセーフシティーを実現していくためにも、無電柱化は重要でございます。都は無電柱化の大義を明確にして、これを推進するため、都道府県で初となる条例を制定して、九月一日に施行されたところでございます。
 今後は、この条例に基づいて、国の計画策定の動きも踏まえ、都内における無電柱化の基本方針、整備目標などを定めた新たな計画を、区市町村と連携して今年度内に策定してまいります。
 あわせまして、区市町村道での取り組みに対して支援を行うとともに、事業者間の競争や技術開発を促すことで、コストの縮減を図ってまいります。
 また、十一月十日の無電柱化の日に、私も参加をいたします啓発イベントを展開するなど、これまで以上に広く都民に無電柱化の意義や効果をPRいたしまして、理解と共感を得ながら、東京の無電柱化、官民一体で推し進めてまいります。
 私は、無電柱化によりまして、この東京を世界に誇れる安全で美しいまちにしたいと考えております。
 東京大会の経費に関しましての共同実施事業管理委員会についてのご質問でございます。
 都民に支持され、喜ばれるオリンピック・パラリンピックとするためにも、大会経費の圧縮に向けた取り組みは重要でございます。
 そのため、コスト管理と執行統制の強化に向けて、ことしの五月の大枠の合意に基づいて、共同実施事業管理委員会を設置いたしました。
 この委員会は、組織委員会が東京都や国などの資金を使用して実施する共同実施事業を適切に遂行し、管理するものでございます。
 開催都市である都が主導して、副知事を委員長に据え、専門的な識見を有する第三者の意見の聴取も含めて、しっかりとチェック機能を働かせ、経費縮減の取り組みを促進するとともに、情報公開に努めて説明責任を果たしてまいります。
 また、共同実施事業につきましては、組織委員会において区分経理を行う、そして透明性を確保してまいります。このように国や組織委員会と共同したオールジャパンの体制が整いつつある中、効果的な大会運営に向けて準備を加速してまいります。
 復興五輪についてでございます。
 二〇二〇年大会は、復興オリンピック・パラリンピックでございます。被災地の復興なくして、大会の成功はないと考えております。
 知事に就任して以来、福島、宮城、岩手、東北三県のほか、熊本県も訪問いたしまして、改めて復興を加速させる力を日本中から結集させねばならない、その思いを強くしたところでございます。
 六月に立ち上げましたホストシティTokyoプロジェクトでは、復興、防災を大きな柱の一つとして掲げており、スポーツ交流事業の実施や復興応援イベントの都内開催などによりまして、被災地支援と復興の発信を行っていくことといたしております。
 八月に行われました千キロ縦断リレーのグランドゴール式では、私が直接たすきを受け取りましたが、そのたすきは汗でずっしりと重たく、被災地の復興に向けた全国からの思いを強く感じ取ったところでございます。
 今後とも、積極的に被災地の声に耳を傾けながら、さまざまな事業を通じまして被災地の復興を後押しをして、オールジャパンですばらしい二〇二〇年大会につなげてまいりたいと思います。
 豊洲市場への移転に向けた取り組みについてでございます。
 現時点におきましても、豊洲市場用地の法的、科学的な安全性は、専門家会議によって確認をされております。これに加えて、将来のリスクに備えた地下ピットの追加対策、地下水管理システムの機能強化などによりまして、さらなる安全性の向上が図られるところでございます。
 まずは追加対策を着実に実施して、工事完了後は、専門家会議によります対策の有効性の確認や、農林水産大臣の認可手続などの必要なステップを積み重ねてまいります。
 こうした一連の取り組みの内容や客観的なデータなど、正確な情報をわかりやすく示すことに加えまして、私自身もさまざまな形でメッセージを発信、豊洲市場の開場に向けまして、都民の理解を得てまいります。
 市場業者の方々にも、これらの取り組みを丁寧に説明するとともに、移転に向けました具体的なスケジュールや手順につきましては、業界団体との調整を精力的に進めて、円滑な移転を早期に実現できるよう取り組んでまいります。
 築地の再開発についてのお尋ねでございます。
 築地は、将来の東京にとりまして極めて重要な役割を担うエリアでございます。再開発に当たりましては、築地エリアが有する食文化、浜離宮の景観、水辺の魅力、都心への近接性など、さまざまなポテンシャルを生かしながら、東京の魅力をさらに高めていくことが重要でございます。
 検討会議におきましては、まずは自由な発想で、幅広いご意見を伺って、そのロケーションを生かした夢のある姿を描いてまいります。民間の力を最大限活用しながら、築地再開発に取り組んで、東京の持続的な成長につなげてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長、東京都技監、そして関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 放課後の学習支援についてでございますが、子供たちの学力の向上には、小中学校での授業の工夫、改善はもとより、放課後等における学習支援の充実も重要でございます。
 このため、都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、地域住民による補習等の教育支援活動を行う地域学校協働本部の設置を促進するとともに、平成二十八年度から、NPOや大学生等の外部人材による地域未来塾への支援を開始いたしました。
 現在、区市町村における学習支援は、独自の取り組みも合わせ四十九区市町村で実施されており、基礎学習に加え、進路実現を目指す取り組みも行われております。区市町村からは、子供たちの学習習慣の定着や意欲等の向上に有効との評価が多く寄せられております。
 今後とも、区市町村教育委員会が実施するこれらの取り組みを促進し、子供たちの学力の定着と向上を図ってまいります。
 次に、学校における働き方改革の推進についてでございますが、長時間労働を解消するためには、まず、日々の教員の勤務実態を把握する必要があることから、都立学校では、出勤カードシステムを改修し、来月から教員の在校時間を客観的に記録できるようにいたします。
 また、小中学校における多忙化を解消するため、区市町村教育委員会と都教育委員会との意見交換の場を設け、都立学校の取り組み事例を紹介するとともに、授業以外の教員の業務や部活動指導に係る課題等についても実態を聞き取り、今後策定するプランに反映させてまいります。
 都教育委員会では、今後とも、都立学校における取り組みを率先して進めていくとともに、各区市町村教育委員会においても、プランが策定できるよう、密接に連携し、都内公立学校全ての働き方改革を推進してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新たな住宅セーフティーネット制度についてでございます。
 少子高齢化が急速に進展する中、高齢者や子育て世帯など、住宅確保要配慮者の居住の安定を確保していくことが重要でございます。
 都はこのたび、こうした方々の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度を創設し、その情報を円滑に提供していくこととしてございます。
 住宅の登録を着実に進めていくため、関係団体等と協力しながら、制度の周知を図り、居住支援協議会の場などにおいて、区市町村や庁内の関係局などとの連携を図ってまいります。
 さらに、法施行に合わせて国が導入した家賃低廉化等への支援制度の活用や、目標とする戸数、基準等の設定について、区市町村の動向を踏まえ、検討を進めてまいります。
 次に、都市農業の振興についてでございます。
 東京の都市農地は、環境や防災などの機能を有する貴重な緑の空間であるとともに、大消費地に近接する特性を生かして、付加価値の高い農業生産の場として活用することが極めて重要でございます。農家の営農継続の意向に対応して、買い取り申し出の期間を延長できることとなった特定生産緑地については、区市とも連携して、農家の方々に丁寧な情報提供を行い、積極的にその指定を進めてまいります。
 また、田園住居地域は、住宅と農地が調和した良好な環境の形成を図りつつ、農家レストランの設置などを可能とし、農業の活性化や地域のにぎわい創出にも役立つものと考えてございます。
 今後、制度の活用に向けて、都市計画審議会に諮った上で、指定の考え方などを検討してまいります。
 最後に、屋外広告物についてでございます。
 スポーツ振興の機運醸成に寄与する広告物の掲出については、屋外広告物条例の柔軟な運用を図ってございます。
 例えば、スポーツに関する非営利の写真やイラストなどは、条例に基づく特例許可により、基準の面積を超える広告物の掲出が可能でございます。
 また、企業名が入った営利目的の広告であっても、その広告料収入を二〇二〇年東京大会に向けた体験イベントなど、公益的な取り組みに充当する活動では、条例に基づき、安全性を確保することなどを条件に特例許可を行うことによって、広告禁止区域等での掲出を認めてございます。
 これまで申請がなかった大会競技にかかわる工事の仮囲い等についても、今後、特例許可などを活用しながら、二〇二〇年東京大会の機運醸成につなげてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、ゆりかご・とうきょう事業についてでありますが、本事業は、全ての妊婦を対象に保健師等の専門職が面接を行い、各家庭の状況を把握した上で、必要に応じて支援プランを作成し、継続的に支援を行う区市町村を都が支援する事業でございまして、今年度は四十一の区市町村が実施する見込みでございます。
 二〇二〇年に向けた実行プランでは、二〇一九年度までに全ての区市町村において、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制が整備されることを目指しており、今後、保健衛生主管課長会や母子保健従事者向けの研修等を通じて、事業の意義の説明に加え、先行して実施している事例の紹介等を行うなど、区市町村に対し積極的な取り組みを働きかけてまいります。
 次に、がん検診についてでありますが、科学的根拠に基づくがん検診の受診や精密検査の受診は、がんの早期発見、早期治療、ひいては、がんの死亡者の減少につながるため、受診率の向上や精度管理の充実が重要でございます。
 そのため、都は、東京都がん対策推進計画に、がん検診受診率五〇%の目標を掲げ、その達成に向け、実施主体である区市町村が地域の実情に応じて効果的に取り組めるよう、受診率向上と精度管理向上の手引を作成いたしますとともに、個別通知、再勧奨や、精密検査の受診結果の把握等について、包括補助で支援をしております。
 この計画は、今年度中に改定することとしており、新たに精密検査受診率を目標に追加し、受診率や精度管理の向上に取り組む区市町村を支援していく考えでございます。
 次に、がん患者の治療と仕事の両立支援についてでありますが、がん患者の方が治療と仕事を両立するには、職場における理解や配慮が必要でございます。
 そのため、都は、がん治療の基礎知識や就業上の配慮等をまとめたハンドブックを初め、社員研修用のDVDやスライド教材を作成、配布し、ホームページにも掲載をしております。また、企業向けのシンポジウムを毎年開催し、両立支援に積極的に取り組んでいる企業を表彰いたしますとともに、その取り組みを事例集で広く紹介をしております。
 今年度からは、がんの治療等により、休職した従業員が就業を継続できるよう、計画的な復職支援や、治療と仕事の両立に配慮した勤務制度の導入を行う中小企業に対する助成制度も開始しており、今後とも、がん患者の治療と仕事の両立支援の取り組みを進めてまいります。
 次に、フレイル予防についてでありますが、フレイルを予防するためには、健康なときからのバランスのよい食事や、運動による生活習慣病の予防、衰えを感じてきてからのリハビリテーション、高齢になっても社会とのつながりを保ち続けることなどが重要でございます。
 そのため、都は、包括補助等により、生活習慣の改善に向けた健康教育や、リハビリテーション専門職等を活用した介護予防、高齢者が体操等を行う通いの場づくりなどに取り組む区市町村を支援しております。
 また、医療や介護関係の団体と連携し、フレイルを都民にわかりやすく紹介する冊子を作成し、その意味と予防の重要性を啓発しております。
 今後とも、関係団体や区市町村と連携しながら、フレイル予防に取り組み、健康寿命の延伸を図ってまいります。
 次に、地域における障害児支援の充実についてでありますが、障害児が地域で安心して生活できるよう、都は、障害者・障害児地域生活支援三か年プランを策定し、地域生活基盤の整備を進めております。
 プランでは、地域における障害児支援の中核的施設として、通所支援や障害児とその家族への相談支援、障害児が通う事業所への専門的な支援等を総合的に行う児童発達支援センターの整備目標を掲げ、特別助成などにより整備を促進しております。
 現在策定中の障害児福祉計画では、国が示した基本指針に基づきまして、平成三十二年度末までに、児童発達支援センターを各区市町村に一カ所以上設置することを目標として盛り込む考えでございまして、今後、地域における障害児支援の一層の充実に取り組んでまいります。
 次に、障害者差別の解消に向けた条例についてでありますが、都は本年三月、東京都障害者差別解消支援地域協議会のもとに検討部会を設置し、障害者への理解促進及び差別解消のための条例制定に向けた検討を開始いたしました。
 検討部会は、障害当事者、事業者、教育、福祉関係者、学識経験者など二十三名で構成し、相談、紛争解決の仕組みの整備や意思疎通のための配慮などについて、これまで六回にわたり議論を行っております。
 また、二十二の障害者団体、交通、ホテル、飲食業など十五の事業者団体から、障害者差別の解消のための取り組みや、条例に対して望むことなどについてヒアリングを実施いたしました。
 今後、検討部会での議論を取りまとめ、年度内にパブリックコメントを実施する予定でございます。
 最後に、動物の譲渡を推進する取り組みについてでありますが、都は、飼育経験が豊富で譲渡活動に実績のある四十九のボランティア団体等と連携して、動物愛護相談センターが保護した犬や猫の譲渡を進めており、昨年度からは、独自に十一月を動物譲渡促進月間に定め、譲渡PRイベントを開催しております。
 今年度は、飼育に手間がかかる離乳前の子猫を育成して譲渡するボランティアに対し、ミルクや哺乳瓶などを提供する取り組みを開始し、これまでに二十八名の方を登録して、九十六匹の育成をお願いいたしました。
 また、ボランティア団体の譲渡会や、動物愛護相談センターの譲渡対象動物の情報などを、都民に発信するサイトを新たに開設いたします。
 今後、二〇一九年度までに動物の殺処分をゼロにすることを目指し、動物の譲渡を一層推進してまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、首都大学東京についてですが、都の公立大学として、大都市東京に顕在化する課題の解決に貢献していくことは、重要な課題の一つでございます。
 そのため、都庁各局とさまざまな連携事業を推進しており、平成二十八年度は、十六局と七十三事業に取り組んでまいりました。
 例えば、現在喫緊の課題である子供の貧困対策については、子供の体験や所有物にも着目する独自の視点から生活実態調査を行い、その成果は都の新たな施策にも結実しております。
 平成三十年度には、社会の急速な変化に伴い生じている新たな課題に対応するため、学部等を再編成し、教育研究基盤を一層強化いたします。
 今後とも、東京が抱える課題解決に専門的知見を生かすことを通じて、教育研究の成果をこれまで以上に都政のさまざまな場面に還元してまいります。
 次に、災害対応におけるICTを活用した情報連携についてですが、発災時に被害状況を把握し、迅速な対応を行うためには、災害情報の集約や共有が重要でございます。
 このため、都は、区市町村や防災機関、ライフライン企業を専用回線で結んだ災害情報システムを整備し、運用しております。
 また、情報不足による混乱や二次災害の防止を図るため、ホームページやツイッター、マスコミ各社に一斉配信可能なLアラートを活用し、災害情報を広く発信してまいりました。
 さらに、アプリによる情報提供を望む都民の声が多いことを踏まえ、防災アプリの作成を進めており、今後とも、ICTを活用した情報連携を推進してまいります。
〔政策企画局長長谷川明君登壇〕

○政策企画局長(長谷川明君) 国際金融都市東京構想についてでございますが、都では、国際金融都市東京構想をこの秋に策定、公表し、国や民間事業者等との連携のもと、魅力ある国際金融都市東京の実現に取り組むこととしております。
 具体的には、豊富な国内個人金融資産を背景に、資産運用業者やフィンテック企業の誘致、育成などの取り組みを進めることで、都内企業等への投資や都民への新たな金融サービスの提供などを図ってまいります。
 また、外資系金融企業の東京への進出を促すため、金融系外国人材のための生活環境の整備や、誘致に関するインセンティブの取り組みなどについても検討を進めてまいります。
 このように、国際金融都市東京の実現に向けた取り組みを推進することで、都内経済の活性化、ひいては東京の持続的成長につながることを目指してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、外国人旅行者の誘客についてでございますが、東京の観光振興を図る上で、多摩・島しょの魅力を活用し、旅行者を都内各地に誘致する取り組みは重要でございます。
 このため、都は、地域の観光協会等が連携した外国人の関心を引く観光資源をめぐるルートの開発等を後押しするとともに、旅行事業者を対象に、多摩や島しょ地域を周遊する新たな旅行商品の造成を支援しております。
 また、海外の有名ブロガーによる旅行記やPR映像の発信等を通じて、豊かな自然や地元の食材などの魅力を紹介しております。
 今後は、地域の魅力を伝えるテレビ番組の海外での放映やインスタグラムの活用など、外国人旅行者の興味に応じたきめ細かいプロモーションを実施いたします。
 こうした複合的な取り組みにより、多摩・島しょ地域への一層効果的な誘客を図ってまいります。
 次に、日本の各地域と連携した観光振興についてでございますが、二〇二〇年大会に向けて、外国人旅行者のさらなる誘致に、東京と東北地域が協力して取り組むことは、被災地の復興を支援する上でも重要でございます。
 都は、東京を訪れる外国人旅行者に東北地域にも足を延ばしていただくため、東京と東北を結ぶモデル観光ルートへ海外メディアを招聘し、旅行記をウエブサイトで紹介するほか、観光スポットの映像を三百六十度動画で提供するなど、双方の観光の魅力を発信しております。
 また、海外で商談会を開催するとともに、現地の旅行博で観光情報のPRを行うなど、旅行商品の造成に向けて、海外の旅行業者への働きかけを行っております。
 今後も、こうした取り組みを効果的に推進するため、東北地域とのさらなる連携に取り組んでまいります。
 最後に、企業におけるテレワークの推進についてでございますが、テレワークは生産性の向上や人材確保といった経営課題の解決にも資するものであり、経営者にその導入効果について理解を深めていただくことが重要であります。
 都は、テレワーク推進センターを拠点に情報提供や相談、先進機器の体験等をワンストップで提供するとともに、商工団体とも連携して、都内各地でテレワークの経営効果を紹介するセミナーを開催いたします。
 また、中小企業等を対象としたモデル事業を実施し、労働環境の整備から機器の導入、運用までの一貫した支援を通じて、業種や企業規模に応じた課題や活用策を検証し、好事例を多様なメディアを活用しながら広く発信いたします。
 こうした取り組みにより、導入が困難と感じている経営者にもテレワークの活用を効果的に訴求してまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、LED省エネムーブメント促進事業についてでございますが、都は、本事業の開始に当たりまして、PR用動画を作成し、ウエブ配信を行ったほか、交換開始イベントを実施するなど、都民に対するさまざまな広報を実施いたしました。
 今後、区市町村の協力を得て、各区市町村発行の広報紙での情報提供を順次進めるとともに、区役所等の窓口で地域の参加協力店の一覧が載ったチラシの配布を行うなど、都民により身近な場所での広報を行ってまいります。
 また、学校等で配布されている小学生向けの環境情報紙に、家庭におけるLEDの活用に関する記事を掲載するなどにより、広範な都民への周知につなげてまいります。
 引き続き、さまざまな機会や媒体を活用して事業の認知度を高め、LED省エネムーブメントの促進を図ってまいります。
 次に、食品ロスの削減についてでございますが、都ではこれまでも、持続可能な資源利用に向けたモデル事業を実施し、主に消費者を対象といたしました食品ロスに関する広報の展開などに取り組んでまいりました。食品ロスのさらなる削減に向けては、いわゆる三分の一ルールと呼ばれる商慣習等の見直しや、消費者に食品を無駄にしないライフスタイルへの転換を働きかけていくことが重要でございます。
 そのため、具体的な検討の場として、食品の製造、卸、小売の事業者、消費者団体、有識者から成る食品ロス削減パートナーシップ会議を今月末に設置し、食品ロス削減東京方式の確立に向けた議論を重ねてまいります。
 また、さらなる広報を展開するなどして、食品ロス削減へのムーブメントを広げてまいります。
 最後に、総合的な暑さ対策についてでございますが、近年の東京の暑さは厳しく、東京二〇二〇大会開催時において、蒸し暑さになれていない国、地域からの観光客等に対する暑さ対策は重要な課題でございます。
 都は、副知事を座長といたしまして、庁内各局、国、組織委員会も参加する東京二〇二〇大会に向けた東京都暑さ対策推進会議を設置し、全庁的な推進体制のもと、遮熱性舗装や打ち水の普及促進、外国人観光客等に向けた熱中症に関する情報発信等を実施しております。
 また、今年度から、競技会場周辺で観光客等が集まる地域におきまして、微細ミスト等、暑さ対策設備を整備したクールエリアを創出する補助事業を開始し、大会までに六地域程度で実施をしてまいります。
 今後も、各局等と連携を図りながら、総合的な暑さ対策を推進してまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、IWA世界会議を通じた、水分野における産業力強化に向けた東京都の対応及び準備状況についてでございますが、この会議は、論文発表と展示会が同時に行われることから、企業にとりましては、自社の製品や技術をPRできる絶好の機会でございます。また、海外から多くの関係者が来訪する見込みであり、大きなビジネスチャンスとなります。
 そこで、会場となります東京ビッグサイトにおきまして、国内企業が一体となって出展するジャパンパビリオンを設け、統一感を打ち出すとともに、パビリオン内にセミナースペースを設置し、各企業にプレゼンテーションの機会を提供することなどを検討しております。
 このような取り組みを通じて、本世界会議が水分野における日本の産業力強化に資するよう、引き続き関係機関と連携しながら準備を進めてまいります。
 次に、水道フレッシュ診断におけるアンケート結果を踏まえた水道事業への反映についてでございますが、水道局では昭和五十九年以降これまでに三回、一定期間を置いて全てのお客様のお宅を対象に個別訪問を行い、水道水の品質や漏水の有無を直接確認するとともに、お客様ニーズなどを把握する取り組みを実施しております。
 平成十二年度から実施しました前回の水道フレッシュ診断では、口座振替日は月末にしてほしい、安心しておいしい水を飲みたいなどの多くのご要望をいただきました。こうした声を受け、その後、口座振替日の指定や口座割引の制度を導入いたしました。
 また、国の基準を上回る都独自の水質目標を定め、利根川水系の全浄水場への高度浄水処理導入や直結給水への切りかえ促進など、お客様サービス向上と安全でおいしい水の供給に向けた取り組みを一層強化したところでございます。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小河川の新たな整備水準の達成に向けた取り組みについてでございますが、激甚化する豪雨から都民の命と暮らしを守るには、河川整備を効率的、効果的に進めることが重要でございます。
 このため、時間五十ミリまでの降雨は護岸整備を基本に、それを超える降雨には道路や公園等、用地取得の必要がない公共空間を活用した新たな調節池等で対処いたします。
 現在、新たな目標整備水準に対応する四調節池の工事を実施しておりまして、このうち、環七地下広域調節池は平成三十七年度の完成を目指します。これにより、神田川など三つの流域間で容量を相互に融通して、時間百ミリの局地的かつ短時間の豪雨にも効果を発揮いたします。さらに、二十九年度は谷沢川分水路など三施設の工事に着手いたします。
 今後も、善福寺川や川口川など二十六河川で進めております護岸整備を含めまして、中小河川の水害対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、良好な河川環境の保全や創出についてでございますが、河川は都市に残された貴重な水辺空間でございまして、水害対策に万全を期した上で、親水性や生態系にも配慮した河川環境の保全や創出を図ることが重要でございます。
 具体的には、旧河川敷地等周辺の公共用地を生かした緩傾斜護岸の整備や管理用通路などの緑化に加えまして、河道内における瀬やふちの創出や魚道の設置といった多自然川づくりなどを推進しております。
 また、善福寺川では、隣接する都立和田堀公園を活用し、約一万八千立方メートルの洪水の貯留が可能で、平常時には公園と一体となった親水空間ともなる調節池の整備を進めております。
 今後とも、整備箇所や河川の特性に合わせ、環境にも配慮した潤いのある水辺空間の保全や創出に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、無電柱化を進める上での課題と対応についてでございますが、東京の無電柱化に係る主要な課題は、コストの縮減と、区市町村と連携した計画的な事業の推進であると認識しております。
 このため、区市町村道への適用も見据えた低コスト化に向けまして、東京電力やNTTなどと連携し、技術的な検討を進めておりまして、今年度新たに開始いたしました財政支援とあわせまして、区市町村の取り組みを総合的に支援してまいります。
 また、都内全域で無電柱化を進めるための基本方針や今後十年程度の整備目標等を定めた計画と、具体的な整備箇所を示した実施計画を、区市町村と連携し今年度内に策定いたします。
 これらにより、面的に広がりを持った東京の無電柱化を強力に推進してまいります。
〔下水道局長渡辺志津男君登壇〕

○下水道局長(渡辺志津男君) 下水道事業における浸水対策の新たな整備水準の達成に向けた取り組みについてでございますが、下水道局では浸水被害の影響が大きい大規模地下街や、甚大な被害が発生している市街地に重点化して、整備水準を時間七十五ミリにレベルアップし事業を進めております。
 具体的には、地下街対策の九地区と市街地対策の四地区を定めており、既に渋谷駅西口地区など地下街対策の四地区で事業が完了しております。
 二〇二〇年大会に向け、平成三十一年度末までに、地下街対策の二地区で新たに事業を完了させるとともに、市街地対策地区では、できる限り早期に効果を発揮させるため、一部完成した施設を暫定的に稼働させてまいります。
 引き続き、全事業の一日も早い完了に向け、浸水対策を強力に推進してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、関係自治体との連携についてでございます。
 都はこれまで、競技会場が所在する関係自治体、組織委員会、国と連携し、一丸となって大会準備を進めていく体制の構築に取り組んでまいりました。
 中でも、関係自治体とは、各自治体のニーズを的確に酌み取りながら、費用負担の問題も含め、忌憚のない意見交換ができる関係を構築したことで、このたびの財源に関する共同要望につながったところでございます。
 今後は、大会運営が円滑に行えるよう、会場の使用期間や観客輸送ルートなど、各会場に即した課題の解決に向け、関係自治体とともに精力的に国や組織委員会との協議を行ってまいります。
 引き続き、二〇二〇年大会の成功に向けて、関係自治体と緊密に連携をしながら、大会準備に万全を期してまいります。
 次に、都民が主体的に参加できる仕組みについてであります。
 大会開催まで三年を切り、大会の機運醸成に向けて、都民、国民一人一人がより一層主体的に大会に参加していくことが重要でございます。
 これまで、都は組織委員会と一体となって、メダルプロジェクトや参画プログラムなどの仕組みを提供し、都民、国民の幅広い参加を促してまいりました。
 今後、これらに加え、ボランティアへの参加や大会マスコットの選定、寄附による応援など、機会を捉え、大会運営に直接参加できる仕組みをさらに提供することで、大会に向けた都民、国民の参加意欲を喚起してまいります。
 こうした取り組みを通じて、誰もが大会に参画したと感じられ、一人一人の記憶に残る大会を実現してまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 市場関係者の意見についてでございますが、市場の移転問題を解決するためには、市場業者の方々の理解と納得を得ながら取り組んでいく必要がございます。
 このため、新市場建設協議会や街区別検討会といった検討体制を活用し、豊洲市場への移転に向けた諸課題につきまして、業界団体との調整を精力的に進めているところでございます。
 また、資金繰りや引っ越し、造作工事などに関する相談対応に際しましては、さまざまな状況を抱える個々の事業者に丁寧に寄り添いながら、一人一人の思いや声にしっかりと耳を傾けてまいります。
 あわせて、将来、築地に戻ることを希望する仲卸業者に対する方策につきましては、市場業者の豊洲市場移転後の状況等を踏まえた検討を行っていくこととしております。
 こうした取り組みによりまして、市場関係者のさまざまな思いに真摯に向き合ってまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

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