平成二十九年東京都議会会議録第八号

○議長(川井しげお君) 十一番小松久子さん。
   〔十一番小松久子君登壇〕

○十一番(小松久子君) 都議会生活者ネットワークを代表して質問します。
 二〇一二年のロンドン・オリンピックでは、大会を契機にホームレス政策が進み、大会後ホームレスを排除しないというレガシーを残しました。都はホームレスの地域移行を進めていますが、施設入所の促進や支援の提供だけでなく、人々を包摂する都市に東京を変えていくという発想が求められます。
 二〇二〇年に向けた東京都の取組の中で、共生社会の実現を掲げているものの、ホームレスについての言及はありません。二〇二〇年東京大会においても、ホームレスへの配慮がレガシーとして定着されることが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 今議会に公文書管理条例が提案されました。目的が明記され、文書の作成、整理及び保存、廃棄などの規定がようやく条例に位置づけることになります。
 廃棄手続が所管局の中でダブルチェックすることになり、とりあえずはそれでよいとしても、今後は第三者機関の設置やパブリックコメントの実施など、外部の目を通す必要があると考えます。都の見解を伺います。
 子育て支援の待機児童対策では、子供が安全で健やかに育つための環境整備も重要です。
 保育施設で重大事故が起きた事例もあり、都は認可外保育施設の立入調査を実施していますが、改善を指摘されても実行しない施設も多いと聞きます。
 子供の命を守るために、都は区市町村と連携して認可外保育施設を調査し改善を求める取り組みを進める必要がありますが、見解を伺います。
 最後に、予防接種についてです。
 子宮頸がんワクチンは、法定接種となって二カ月後の二〇一三年六月、接種後の健康被害の問題を無視できなくなった厚労省が積極的勧奨を中止しました。しかし、それまでの約三年間、各自治体が中高生女子を対象に国の助成による接種事業を行い、対象者の約七割は接種済みでした。その時点で副反応報告数は全国で約千二百件、障害が残るなどの重篤なケースは百件を超え、現在、民間団体が都内在住の被害者約五十人を把握しています。彼女たちは学籍のある間は、学校現場の裁量によって支援を受け生活できていたものの、卒業後は不安定な状況に置かれ、就労問題や家庭内の不和、経済困窮などの問題を抱えるケースが少なくありません。
 接種当時の中学生が今成人となり、問題は健康面にとどまらず、複雑化、重層化しています。都としての相談などの支援体制が求められますが、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小松久子議員の一般質問にお答えいたします。
 私には、大会レガシーとしてのホームレスへの配慮についてのご質問がございました。
 二〇二〇大会では多様性と調和、これが大会ビジョンの基本コンセプトの一つでございます。
 昨年、策定いたしました二〇二〇年に向けた実行プランにおきましても多様性が尊重され、誰もが生き生きと生活できる、活躍できる都市としてのダイバーシティーの実現を目指してさまざまな施策を推進しており、ホームレスの一日も早い自立を目指して、生活の安定に向けた総合的な対策に引き続いて取り組んでまいります。
 さらに、ホームレスの置かれている状況、そして自立支援の必要性につきましても都民の理解を促進するため、啓発なども行ってまいる考えでございます。
 その他の質問につきましては、関係局長よりご答弁させていただきます。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 公文書の管理についてですが、公文書管理条例と規則等が一体となることにより、新たな文書管理の規範が整い、今後はこの規範にのっとり適正な文書管理を行っていくこととなります。
 新たな制度では、重要な文書の廃棄に関しては、所管限りの判断にはよらず、ダブルチェックを導入し、手続の厳格化を図っており、まずはこの制度の円滑な運用に向け、職員一人一人が取り組んでいくことが重要と考えております。
 さらに、新しい制度の定着を図りながら、その実効性についても検証を行い、適宜必要な見直しを行うなど、引き続き適正な文書管理に向けて取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、認可外保育施設への指導監督についてでありますが、都は児童福祉法等に基づき、認可外保育施設に対して書面による報告徴収、立入調査、巡回指導等の指導監督を実施しております。立入調査では、施設の運営状況等を確認しており、基準に適合しない場合は文書による改善指導を繰り返し行い、改善されない場合には改善勧告、施設閉鎖命令等を行っております。
 また、認可外保育施設の保育サービスの質の向上を図り、児童の安全と保護者の安心を確保するため、本年三月から巡回指導チームが施設に立ち入り、指導を行っており、全ての施設に対し年一回実施することとしております。
 立入調査や巡回指導には区市町村が立ち会うほか、指導内容も共有をしており、今後とも区市町村と連携しながら、認可外保育施設に対する指導監督を実施してまいります。
 次に、子宮頸がん予防ワクチンについてでありますが、現在、接種後に副反応と見られる症状があった場合、医療機関等は国に報告することとされており、国はその報告に基づき、症状の内容、程度、治療等に関する追跡調査を実施しております。
 都は、ワクチン接種後に体調が悪くなった方からの相談に対応するため、平成二十七年十一月に医療、学校生活に関する相談窓口をそれぞれ設置し、協力医療機関や健康被害救済制度の案内なども行っております。
 また、予防接種施策の充実として、ワクチンの有効性や安全性を十分に検証した上で、国民にわかりやすく情報提供を行うとともに、重い副反応が生じた場合に適切な治療が受けられる体制や、被接種者等からの相談に応じる体制の整備などを国に提案要求しております。

○議長(川井しげお君) 以上をもって質問は終わりました。

ページ先頭に戻る