平成二十九年東京都議会会議録第八号

○議長(川井しげお君) 二十八番おときた駿君。
   〔二十八番おときた駿君登壇〕

○二十八番(おときた駿君) 都民ファーストの会東京都議団として、今期最後となる一般質問を行います。
 初めに、受動喫煙防止対策についてお伺いをいたします。
 近年のオリンピック・パラリンピックの開催都市は、全て屋内禁煙、罰則つきの法令が定められている点を指摘するまでもなく、我が国の受動喫煙防止対策は、先進国の中で大きくおくれをとっています。にもかかわらず、国による法整備は遅々として進まず、屋内は原則禁煙にしたい厚労省と、面積などで例外を設けて規制を骨抜きにしようとする抵抗勢力、自民党とのせめぎ合いが続いています。
 その議論の中では、自民党都連所属の国会議員から、がん患者は働かなくていいという不規則発言、いわゆるやじも飛び出るなど、一部の党派や議員の中で受動喫煙に対する理解のおくれが非常に際立っているところです。
 都の対応を振り返ってみると、舛添都政下の平成二十六年夏、当時の舛添知事が屋内を原則禁煙とした罰則つきの条例制定に意欲を見せたことがありました。ところが、これに都議会自民党が強く反発。平成二十六年九月十六日には、東京都の受動喫煙防止対策に関する緊急要望を提出し、屋内の一律禁煙に明確に反対し、分煙社会を目指すべきとの主張を展開しています。そして、この都議会自民党の緊急要望によって、条例化を目指した舛添元知事の態度は急変、屋内を原則禁煙とする受動喫煙防止対策が都政において妨げられたことは紛れもない事実です。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、こうした今までのおくれと、国では遅々として進まぬ議論をリードするために、ここ東京都から、積極的な受動喫煙防止対策を進めていかなければならないことは、もはやいうまでもありません。
 対策の先進国に目を向けてみれば、子供が同席する車の車内や室内への喫煙にも制限を設けるなど、受動喫煙の被害を最大限に認識し、子供などの弱者を守る視点での対応が徹底しています。
 改めて、ここ東京都から、受動喫煙防止対策に取り組む知事のお考えと決意をお伺いいたします。
 次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会における費用負担についてお伺いいたします。
 今現在、都外で競技を行う場合の開催自治体の費用負担が課題の一つとなっています。先月末の協議で、立候補ファイルなどで取り決められた原理原則にのっとって調整を続けていく旨が合意されましたが、そもそもこの混乱の発端は、舛添都政下で、競技会場を都外に拡張した際、五輪組織委員会らが費用負担の問題を曖昧なままにしていたことに原因があります。
 立候補ファイルでは、仮設費用の負担は全て組織委員会の負担が原則となっているにもかかわらず、昨年末には、一部筋から関係自治体への負担を示唆されたことで議論が紛糾いたしました。
 また最近でも、五輪担当大臣が都外施設の費用負担が四百億円という数字を挙げながら、自治体の皆様の納得できる負担の範囲がおよそ見定まったと先走った発表を行い、関係自治体から反発を招くという事態が発生しています。一部の人間たちよる政治的な思惑で不正確な情報が錯綜し、混乱を助長している状態は、まことに遺憾であるといわざるを得ません。
 こうした状況にもかかわらず、知事のリーダーシップのもと、着実に一歩ずつ協議を進め、五月三十一日の基本的な方向についての合意に至ったことについては高く評価をするものです。(発言する者あり)
 また、一部からは協議中の項目について、東京都側の動きが見えなかった、あるいは都議会に十分な報告がなかったとの批判があるようですが、大筋合意の内容に基づいて、これから二元代表制の都議会において活発な議論が進められていくものと理解をしています。
 そこで、この大筋合意に至るまでに……
   〔発言する者あり〕

○議長(川井しげお君) 静粛にしてください。

○二十八番(おときた駿君) 東京都は事務レベルを含めてどのような調整、協議を行ってきたのか、知事から、これまでの協議の経緯を明らかにしていただくとともに、最後に、締結された合意に基づいて、今後、大会の責任者として、都知事がどのような方向性でリーダーシップをとっていかれるのか、その考えと決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) おときた駿議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、受動喫煙防止対策についてのご質問がございました。
 ご承知のように、昨年発表されました、たばこ白書によりますと、受動喫煙による年間死亡者数は推定一万五千人、受動喫煙のある人は、ない人に比べますと、肺がんになるリスクは約一・三倍といわれております。また、ぜんそくや乳幼児突然死症候群、SIDSなど、子供に対する健康影響も指摘されているところでございます。
 受動喫煙防止対策は、何よりも人の命、人の健康を守るために必要でございます。特に未成年の従業員や妊娠をしている方、食事をする場所や遊ぶ場所などを自分で選ぶことのできない子供たちを、望まない受動喫煙から守るということは非常に重要でございます。
 私は、都民の皆様の健康をしっかりと守るため、また、オリンピック・パラリンピック開催都市の知事としての責任を果たすためにも、今後さまざまな場合を想定しながら、受動喫煙防止対策にスピード感を持って取り組んで、都独自の条例化も検討してまいります。
 そして、国に対しましても、早期に実効性のある法律を制定するように求めてまいります。
 もう一点、東京二〇二〇大会に関して、これまでの調整状況と今後の取り組みについてのご質問がございました。
 昨年十二月、関係自治体の首長からの要請を受けまして、私が提案して設置をいたしました作業チームがございます。そこで、競技会場ごとに、大会準備に必要な仮設や輸送、警備といった業務につきまして丁寧に議論を重ねてまいりました。これを土台としながら、都、国、組織委員会の三者で役割と経費の分担について調整をしてまいりました。
 その際、私はその実務的な調整に当たってさらなる経費の圧縮、組織委員会の増収、そして、国の負担というこの三点の課題を一体的に解決するように指示をしたところでございます。で、この三者の調整が進んだことから、五月十一日、私は安倍総理と面会をし、都の仮設負担について表明するとともに、国に対しては負担を要請し、総理からのご同意を得たということでございます。
 さらに、その後、関係自治体との調整状況を踏まえまして、座長を務めているのが丸川大臣、この丸川大臣に、関係自治体等連絡協議会の開催を要請いたしました。そして、三十一日に大枠の合意に至ったというのがこれまでの流れでございます。
 いよいよ今後、施設整備から大会の運営面まで、さまざまな準備を加速させていかなければなりません。そのためには、都、組織委員会、国、関係自治体が緊密に連携しながら、大枠の合意に基づいてしっかりとその役割と責任を果たしていく必要がございます。
 大会の成功に向けまして、開催都市の長として先頭に立って、スピード感を持って確実に準備を進めてまいります。

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