平成二十九年東京都議会会議録第八号

○副議長(小磯善彦君) 三十四番和泉なおみさん。
   〔三十四番和泉なおみ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○三十四番(和泉なおみ君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 最初に、築地市場の移転問題です。
 我が党は一貫して、東京ガス豊洲工場跡地は、高濃度の土壌汚染が広範囲かつ地下深くあるため、どれだけお金をつぎ込んで汚染対策をしても、汚染を全て取り除くことは不可能だと指摘してきました。
 このような深刻な汚染地に市場を移転すべきではないという都民や市場業者の批判が大きく高まる中で、移転を推進した自民党、公明党なども、二〇一〇年三月の都議会で、無害化された安全な状態での開場を可能にすることを都に求める付帯決議を議決せざるを得ませんでした。
 市場長も、無害化された安全な状態とは、汚染物質が全て除去、浄化され、土壌はもちろん、地下水中の汚染も環境基準以下になることだと答弁したのです。
 しかし、土壌汚染対策工事が終わり、市場の建物が完成した後の地下水調査の結果、環境基準の百倍を超えるベンゼンなどが地下水から検出され、全て環境基準以下にするという都民との約束は果たされませんでした。
 我が党の調査で、主な建物下には盛り土がないことが明らかになり、盛り土をするから地下の汚染は地上に出ないという約束も果たされませんでした。
 小池知事は、石原都政のもとで豊洲移転に向けた土壌汚染対策案を出した専門家会議を再招集して検討させてきましたが、専門家会議の平田座長は、無害化は約束できない、全て環境基準にすることを今は目標としていないと発言しました。
 この発言は、都民と市場業者、都議会への約束を一方的にほごにするものであり、市場関係者から怒りの発言が相次いだのは当然のことですが、知事はどのように受けとめていますか。
 小池知事は、豊洲新市場について、地上は安全との見解を示していましたが、昨日の所信表明では、無害化は達成できていない、約束を守れなかったと明言したことは重要です。
 実際、平田座長ですら、地下の汚染が地上に及ぶ危険に言及せざるを得ず、環境学者は、盛り土がされなかったため、コンクリートのひび割れなどで専門家会議がいう以上の重大な影響が地上部に及ぶことは避けられないとの見解を示しているのです。
 今、小池知事が、汚染物質が全て除去、浄化され、土壌はもちろん、地下水中の汚染も環境基準以下になることが市場移転の条件だという都民への約束をしっかり守るのかどうかが鋭く問われています。知事、この都民との約束を守るのか否か、明確に答えてください。
 専門家会議も、豊洲市場の無害化はできないといっているのです。築地市場の水産仲卸業者の七、八割が移転に反対しています。青果の仲卸組合も、食の安全・安心が確保できなければ豊洲市場への移転は反対との声明を出しています。
 我が党は、市場業者の声を重く受けとめ、食の安全を守る立場から、知事が移転中止を決断するよう強く求めておくものです。
 自民党、公明党は、環境基準の四万三千倍の土壌汚染が検出された東京ガス豊洲工場への市場の移転を推進しましたが、築地再整備の声が高まると、築地も汚染されているといって築地再整備案を攻撃しています。
 先日、築地市場で三十カ所の土から基準値を超える有害物質が検出されましたが、最大でも環境基準の四・三倍という軽微な汚染でした。(発言する者あり)さらに調査をし、必要な対策を再整備を進める中で行えば、環境基準を十分クリアできます。知事は、どう認識していますか。
   〔発言する者あり〕

○議長(川井しげお君) ご静粛にお願いします。

○三十四番(和泉なおみ君) シャネル日本法人社長が、日本の経済誌からのインタビューに答え、築地について、技術、品質へのこだわり、伝統、人々のきずな、味覚、美学が詰まっている、築地市場を移転すれば、銀座だけでなく、東京、さらには日本のイメージを破壊しかねない、築地を移転するなんてこんなひどい間違いはないといっています。知事、この発言をどう受けとめますか。
 築地市場の現在地再整備については、市場問題プロジェクトチームの案を初め、さまざまな提案が相次いでいます。
 建築家の伊東豊雄さんは、日本のすばらしい建築技術をもってすれば、築地市場を使いながら改修していくことは十分可能、百年後に築地市場という東京にとって最大級の遺産を残すことは、金銭にかえられない我々の責務と考えるといっています。
 そのほか、古い建物の耐震補強とリノベーションをあわせて行う方式など、さまざまな案が出されています。ヨーロッパ諸国では、古い建物にさまざまな形で手を加えて大事に使い続けています。専門家の英知を集め、市場関係者の合意を得ながら整備案を進めれば、必ずや成功をおさめるはずです。知事の積極的答弁を求めるものです。
 切実かつ緊急な都民要求について伺います。
 国民健康保険料の値上げが続き、二十三区に住む年収三百万円の三人世帯の場合、今年度の保険料は約三十万円にもなります。
 私たちは、都の支援による一人一万円の値下げを提案しています。区長会からも財政支援の強化が要望されています。都として、負担を抑えるために財政支援を行うべきだと思いますが、いかがですか。
 我が党の調査では、ことし四月の隠れ待機児童を含む待機児童数は、五十区市町村で二万四千人を超え、深刻な認可保育園不足が続いています。
 都は、認証保育所なども含めた保育サービスを七万人分ふやすとしていますが、認可保育園を九万人分ふやすという目標に引き上げて待機児童解消に取り組むことを求めますが、知事の答弁を求めます。
 都内、三万人を超える方が特別養護老人ホームの入所を待っています。整備目標を引き上げて、増設を大幅に加速させる必要があります。知事はどう取り組むのですか。
 東京都高齢者福祉施設協議会の調査では、介護職員の不足により、特養ホームで、ベッドがあいていても受け入れができないなどの深刻な影響が生じています。原因は賃金が低いことです。都として、待遇改善に本腰を入れて取り組むべきですが、いかがでしょうか。
 日本共産党は、私立高校生の学費負担軽減について、この四年間だけで十七回の質問を行い、何度も出された都民の請願を毎回採択するよう主張してきました。この春からの授業料無償化の拡大は大きな前進ですが、それでも、対象者は私立高校生の約三割です。また、平均二十四万円の入学金、施設費などの学校納入金二十一万円は軽減制度がありません。私立高校生へのさらなる学費負担軽減の拡充が必要だと考えますが、知事、いかがですか。
 特に、生活保護や低所得家庭の負担軽減を早急に進めるべきと考えますが、知事の答弁を求めます。
 都民の暮らし、福祉を充実するためには、予算の使い方を変えることが必要です。
 東京都の決算に占める老人福祉費の割合は、石原元知事が就任する前の一九九八年度には四十七都道府県中二位でしたが、二〇一五年度には四十二位に転落しました。
 一方、大型道路建設に巨額の予算が使われています。東京外かく環状道路の場合は、今、進められている関越高速から東名高速までの十六キロの整備費が一兆六千億円と、中央環状高速や圏央道と比べても巨額の費用がかかっています。その上、東名から湾岸道路まで二十キロを整備するなら、合計数兆円かかることになり、都の負担は合わせて一兆円近くになりかねません。知事、一本の道路にこれだけお金をつぎ込むようなことをしたら、都民施策の充実もできないのではありませんか。
 このような過大なインフラ整備を進めているため、土木費の割合は四十位から二十一位に大幅アップしています。予算のあり方を正して、都民の暮らし、福祉の充実を進めることが求められていますが、知事、いかがでしょうか。
 東京都は一昨日、国や組織委員会、都外自治体の代表と、オリンピック・パラリンピック費用の分担の大枠を合意し、発表しました。
 都の負担は、都立恒久施設などの整備費と新たに合意した仮設整備費や大会運営費を合わせ総額六千億円になります。選手村の基盤整備費などを加えると、都民の税金負担は七千億円以上、都民一人当たり五万四千円、四人家族で二十一万六千円にもなるのです。千五百三十億円だったはずの都負担がどんどんふえ、このままでは都民施策はどうなるのかとの懸念と批判の声が上がっています。
 知事は、第一回定例会で、都民の負担をできるだけ軽減し、都民施策に影響を及ぼさないよう、幅広く検討すると答えました。その結論が費用膨張分の多くを都がかぶるということでは都民は納得できません。大幅な削減の努力が必要ですが、知事の認識を伺います。
 仮設施設の整備や大会運営などは、組織委員会が民間資力をもとに実施するというのが組織委員会が作成した大会開催基本計画にも記載された役割分担です。にもかかわらず、森会長が本まで出版して、この間の東京都の費用削減の努力を非難し、都民に負担を押しつけようとしていることは余りに無責任です。新聞の社説も、こんな様子で組織委トップの任に耐えられるのか、もはや体制を抜本的に見直すべきときではないかと批判しています。
 経費についても、組織委員会が都民に詳細な見積もりを公開し、納得を得る努力をする、費用全体の縮減をいかに図っていくのかを示す、収入についても民間の協力を強く働きかけるなど、組織委員会にその責任を果たさせるべきです。知事、いかがですか。
 安倍内閣は、今回の合意で、もともとの分担である警備や入国管理などの費用以外は一切の負担に応じず、都外会場を受け持つ地方自治体支援という国の役割も放棄しています。
 五輪でこんなにお金を出さなかった政府はありません。ロンドン五輪では、開催経費の公的負担のうち約七割を国が負担しました。前回の東京五輪でも、国が施設整備はもとより運営費の半分を負担しました。スポーツ基本法でも、オリンピックなどの国際大会の資金確保に国が特別の措置を講じることが定められています。オールジャパンといいながら、安倍内閣が財政負担の責任を回避することは許されません。知事は、政府にどう迫ってきたのですか。国の当然の責務として、負担を強力に求めるべきですが、お答えください。
 自民党の圧力で、舛添前知事が、国の責任である新国立競技場の整備費のうち四百四十八億円を都が負担すると約束したことは断じて容認できません。新国立競技場整備費の都負担はやめるべきです。知事、いかがですか。
 最後に、都議選を目前にして、安倍首相は、憲法九条に自衛隊を明記し、二〇二〇年には施行したいと表明しました。こんなことを許したら、海外での歯どめのない武力行使に道を開くことは明らかです。
 日本共産党は、野党、市民の皆さんと力を合わせて、安倍自公政権による憲法破壊から、世界に誇る九条を守り抜きます。そして、都民の暮らし、福祉充実という自治体本来の役割をしっかり果たす都議会をつくるために全力を尽くす決意を述べ、再質問を留保して代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 和泉なおみ議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、市場移転問題に関して、専門家会議についてのご質問がございました。
 先月の専門家会議が休会となった状況につきましては、市場当局より報告を受けております。
 専門家会議は、昨年九月、地下に盛り土がない状況が判明したことを受けまして、地下ピットがある状態において、リスク管理上必要な対応策などを検討するために改めて設置をしたものでございます。議会の付帯決議でいう無害化への対応そのものではございません。平田座長は、こうした経緯を踏まえまして発言されたと、このように認識をいたしております。
 また、専門家会議には、科学的な知見に立ちまして今後の対応策を示していただくことを期待しているところでございます。
 同じく市場の移転問題についてでございますが、都議会の付帯決議で定められた無害化という約束が果たされていない現状については、しっかりと受けとめる必要があると思います。
 一方で、世の中にゼロリスクはあり得ないという考え方もございまして、都民の理解と納得を得て、市場の移転問題を解決できるように、市場のあり方戦略本部におきまして、専門家会議における議論も集約し、その上で総合的に判断をしてまいります。
 築地市場の土壌汚染につきましてのご質問でございます。
 今回の調査では、工事の区域全てにおきまして基準を超えた有害物質が検出をされております。専門家は、土地の履歴からはそれらの原因が推定できず、敷地内のほかの区域についても似たような状況にあると懸念をされているところでございます。
 今後、汚染が基準を超えて検出された地点につきましては、ボーリング調査を実施し、有害物質の程度につきましても詳細に把握することといたしております。
 さらに、コラス、シャネル日本法人社長の発言についてのご質問でございます。
 築地市場には、日本橋魚河岸の時代から続きます長い歴史、伝統、そして、豊富な品ぞろえ、目ききの力、活気とにぎわいなど、築地ブランドと呼ばれるような魅力が備わっていることは事実でございます。この魅力は、築地市場で働く事業者の方の日々の努力の中で生み出されてきたものでありまして、この社長のご発言は、そういったブランドの持つ魅力を大切にしてほしい、そのような趣旨だと受けとめております。
 そして、築地再整備についてでございますけれども、築地市場に思いを寄せる建築家の方々が現地でのリノベーションや、耐震補強などについてさまざまな見解を示されていることは承知をしているところでございます。
 市場問題プロジェクトチームにおきましても、現在、豊洲市場移転案に加えて築地改修案について検討が進められておりまして、その中で工期、費用、事業者との調整、各種の法的手続などの諸課題について多くの議論がなされているところでございます。
 こうした検証の成果につきましても、市場のあり方戦略本部に集約をいたしまして、その課題を含めた総点検を行った上で総合的な判断を下してまいりたいと考えております。
 待機児童の解消に向けた取り組みについてでございます。
 都は、平成三十一年度末までに保育サービスを七万人分拡充いたしまして、待機児童を解消する目標を掲げ、保育所等の整備促進、人材の確保、定着の支援、そして、利用者支援の充実などさまざまな施策を講じておりまして、昨年度は約二万人分の定員拡大を図りました。
 今後とも、待機児童の解消に向けまして、区市町村としっかりと連携をしながら、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など多様な保育サービスの整備を進めてまいります。
 特別養護老人ホームの整備についてのご質問がございました。
 都は、高齢者人口の将来推計や、区市町村のサービス見込み量を踏まえまして、平成三十七年度末までに特別養護老人ホームの定員を六万人分にふやす目標を掲げて、その整備を進めております。
 これまで都独自の施設整備費の補助、建築価格の高騰への加算、土地賃借料の負担軽減など、さまざまな支援策を講じておりまして、今後とも目標達成に向けまして、区市町村や事業者を支援してまいります。
 教育費の負担軽減についてのご質問もございました。
 家庭の経済状況に左右されることなく、誰もが希望する教育を受けることができる環境を整備するということは大変重要でございます。
 都は今年度から、私立高校などに在学する生徒の保護者の経済的負担を軽減するために、年収約七百六十万円未満の世帯に対して、国の就学支援金とあわせ、都内私立高校の平均授業料額まで支援できるように、都独自の特別奨学金を大幅に拡充したところでございます。
 さらに低所得世帯につきましては、授業料以外の教育費の負担軽減といたしまして、奨学給付金を支給しているほか、所得にかかわらず、無利子の入学支度金の貸付額を、二十万円から都内私立高校入学金の平均額でございます二十五万円まで引き上げたところでございます。
 都はこのように、保護者負担の軽減の拡充に努めておりまして、子供たちの学びたいという気持ちにしっかりと応えてまいりたいと思います。
 財政運営についてのご質問がございました。
 都はこれまでも、高齢者の暮らしへの支援はもとより、待機児童の解消に向けました取り組みや、子供の貧困対策など、都民福祉の向上に全力を注いでおります。平成二十九年度予算におきましても、福祉と保健予算の充実を図ったところでございます。
 あわせて、都市インフラの整備や計画的な維持更新につきましても、都民の利便性の向上、安全・安心の確保に必要不可欠な取り組みでありまして、着実に進めていかなければならないと考えます。
 今後とも、事業評価の取り組みなどを通じまして、事業の必要性、経費の内容などを厳しく検証して、見直すべきものは見直しを行った上で、必要な施策に的確に財源を振り向けて、都民福祉の向上を初め、都政の諸課題にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 オリンピック・パラリンピックの大会経費の削減努力についてのご質問でございます。
 都は、今回の大枠合意に向けまして、さらなる経費の圧縮、組織委員会の増収、国の負担、この三点の一体的解決を目指しまして、国や組織委員会など関係者との調整を主導してまいりました。
 その結果、予備費を除きますV1予算の一兆五千億から一千億円以上の圧縮を図ったところでございます。また、組織委員会の収入を一千億ふやすなど見直し効果は大きいものと考えます。
 引き続きV2予算に向けまして、さらなる経費の縮減を図っていくほか、今回合意され、関係者により構成されます共同実施事業管理のための委員会の設置で、執行段階におきまして、コスト管理と予算統制の強化を図ってまいります。
 組織委員会の取り組みについてでございます。
 今回の大枠の合意におきまして、組織委員会は、できる限りの増収努力を行いまして、所要の収入確保を目指すとともに、経費の縮減、効率化を図りながら、経費全体の精査、把握に努めることといたしました。
 さらなる増収に向けました取り組みといたしまして、国内スポンサーシップの増加や効果的なチケット販売戦略などによりまして、六千億円の収入を目指すことといたしております。
 また、経費の縮減に当たりましては、予算の段階のみならず、調達の段階においても、調達管理委員会を設置いたしまして、経済合理性を踏まえた最適な調達を実現していくことといたしております。
 都といたしましても、引き続きV2予算及び大会実施に向けまして、情報の共有と公開に努めて、関係者間で緊密に連携をしながら、大会経費のさらなる縮減、効率化を図りまして、都民の理解を得て大会を成功に導いてまいります。
 国の負担についてでございます。
 国は、大会の基本方針において、オールジャパンでの取り組みの推進を掲げておりますが、役割、経費分担に関する具体的な動きは進んでおりませんでした。
 例えば、パラリンピックに係る経費につきましては、国と都がその運営費用の五〇%を支援することを立候補ファイルにおいて保証しておりましたが、内訳は未定のままでございました。
 また、昨年、組織委員会が公表したV1予算におきましては、セキュリティー対策など、国として担うべき業務との重複が想定されるものも大会経費へと計上されてまいりました。
 そこで、私は、安倍総理とも面会をいたしまして、大会経費のうち、パラリンピック経費について、その四分の一相当額を国と都がそれぞれ分担をして、セキュリティー、ドーピング対策などの行政的経費につきましては、国が役割と責任をしっかり果たすように要請をいたしまして、総理のご同意をいただいたところでございます。その結果、今般の大枠の合意に至ったものでございます。
 そして、新国立競技場の都の負担についてのご質問もございました。
 新国立競技場は、大会のメーンスタジアムとして、なくてはならないものでございます。その都負担につきましては、議会でもご審議いただいて、関係閣僚会議で決定され、法改正もなされたという流れでございます。
 今後とも、着実に整備され、大会後のレガシーとしても都民にさまざまな便益をもたらすよう、協力すべきは協力し、都として主張すべきは主張してまいる所存でございます。
 その他の質問につきましては、福祉保健局長から答弁をいたします。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、国民健康保険料についてでありますが、国民健康保険の保険料、保険税の賦課方式や料率は、各区市町村の議会で審議をされ、決定されるものでございます。
 都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づき、財政支援を行っております。
 次に、介護職員の処遇改善についてでありますが、介護サービス事業は、サービス提供の対価として事業者に支払われる介護報酬等により運営されることが基本でございます。
 都は、国に対しまして、事業者が介護人材の確保、定着を図り、健全な事業運営を行うことができる介護報酬とするよう繰り返し提案要求しており、国は本年四月の報酬改定において、従来の月額最大二万七千円相当の処遇改善加算に加え、昇給と結びついたキャリアアップの仕組みの構築を要件に月額一万円相当の改善を行っております。
 また、都は独自に、介護人材の確保、定着を図るため、国のキャリア段位制度を活用したキャリアパスの導入や、介護職員の宿舎借り上げに取り組む事業者を支援しております。
   〔三十四番和泉なおみ君登壇〕

○三十四番(和泉なおみ君) 知事に再質問します。
 私は知事に、豊洲市場移転の条件である豊洲市場用地を土壌も地下水も全て環境基準以下にするとの都議会の付帯決議と市場長答弁、都民との約束を守るのか否かと質問しました。
 これに対し、知事は、ゼロリスクはあり得ないという考え方もあると、無害化されていない現状を容認するとも受け取れる答弁をしました。しかし、昨日の所信表明で、知事は、土壌も地下水も全て環境基準以下にすることは、都としての約束であり、尊重されるべきものと述べたではありませんか。
 知事に伺います。
 今必要なのは、付帯決議、市場長答弁、市場関係者、都民との約束を守るなら、豊洲移転はあり得ないという立場を示すことではありませんか、お答えください。
 五輪経費の都民負担が七千億円にも上っている問題です。
 知事として努力し、一定の削減がありましたが、都の負担総額七千億円は、四人家族で二十一万六千円です。まだまだ都民の負担が大き過ぎると思いますが、いかがですか。
 最大の原因は、安倍政権が開催国としての財政責任を果たさないことです。今回の合意では、知事が求めてきた財政面を含めた全面的な支援は達成されていないのではないでしょうか。今回の合意をもって、もう国に財政負担は求めないということですか、それとも引き続き求めていくのですか。
 以上、二点について答弁を求め、再質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 二問の再質問を頂戴いたしました。
 都庁の行政として、そしてまた議会の付帯決議など、この約束をどうやって守っていくのかというご質問だったと理解をいたしております。
 これらの理解を、都民の皆様方の理解と納得を得て市場の移転問題を解決できるように、そのために市場のあり方戦略本部を設置しているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、専門家会議における議論も集約をし、そして、市場問題プロジェクトチームでのこれまでのレポート、そして、さらなる市場の持続可能性などの検討なども含めまして総合的に判断をしていく、これが私の姿勢でございます。改めて申し上げておきます。
 そして、オリンピック・パラリンピックの経費につきましては、大会経費のうち、パラリンピック経費について、その四分の一相当額を国と都がそれぞれ分担をして、セキュリティー、ドーピング対策などの行政的経費について、国が役割をしっかりと果たすように要請をして、総理からのご同意をいただいた、これが私の五月の初めの安倍総理との面会の要請の中身でございます。
 このように、今後、この同意のもとに、これからもしっかりと役割を分担しながら果たしてまいるように努力をしてまいりたいと考えております。

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