平成二十九年東京都議会会議録第八号

   午後三時四十五分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十四番斉藤あつし君。
   〔百二十四番斉藤あつし君登壇〕

○百二十四番(斉藤あつし君) 会派東京改革議員団を代表して質問を行います。
 まず、都政改革について伺います。
 これまで二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会準備においては、一部の人による密室での協議や交渉により、不透明なまま都民の負担が膨らむことがたびたびありました。森友学園問題、加計学園問題では、国民から隠れた密室でそんたくが行われ、国有地を破格で買えたり、審査の基準改正までされる。多くの都民は、こんなことは実は氷山の一角で、コネ行政がまかり通っている、きっとコネがなければ保育所にも老人ホームにも入れないんじゃないか、そんなふうに感じているんじゃないでしょうか。
 知事が、私たちが求めてきた公益通報制度をつくり、いわゆる口ききの記録を制度化し公表するのは、こんな風潮を改め、都政に都民の信頼を取り戻すためと理解をしています。私は、都議会議員からの口きき記録を詳細に公表し、都民の判断を仰ぐことも必要と考えています。
 東京都政において、旧来の密室型政治に終止符を打ち、透明で公正な新しい東京へと改革を進めるための取り組みについて、知事の見解を伺います。
 今定例会において、私たちが代表質問で求めた公文書管理の徹底を目指す東京都公文書管理条例が提案されたことは高く評価をいたします。
 豊洲市場問題において、盛り土しないことを誰がいつ決めたのかを示す資料もいまだ出てきておらず、六百億円もの市場用地購入に至る交渉経過の記録も欠落したままです。石原元知事と東京ガス社長との会談を、東京都はないとしていましたが、東京ガス側はちゃんと記録をしているなど、東京都のずさんな記録のあり方が明白になりました。
 公文書管理条例の制定で、しっかりと公文書として作成、保存することを明確にして、管理を体系化することが必要です。情報公開の前提、都政改革の土台となる公文書の管理について、これまでとこれから、きっぱりと変えていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 さらに、私たちは、いつの時点からどの文書を公文書とするのか、保存年限の起点をいつにするのか、廃棄の際は局内のチェックだけではなく、外部の目を入れた判断を行うなど、その徹底には細部への留意が必要と考えています。どんなにいい条例をつくってみても、運用次第で骨抜きになってしまうので、今後の運用が大事なわけです。東京都公文書管理条例が制定されれば、文書の作成、保存が義務として明記され、重要度に応じた保存期間を設定し、目録も作成することになります。
 今後は、真に適切な保存期限を設定し、事業終了前、保存期限前に資料が散逸、破棄されたり、情報公開を逃れるために公文書にしないなどということが絶対にないようにしなければなりません。しかし、文書管理をどのように変えていくのか、具体的に伺います。
 豊洲市場の事業費については六千億円、建物だけとっても二千七百億円、当初見込みから三倍近くに膨張いたしました。建設費の高騰や一者入札等に対する都民の疑念を払拭し、同じことが繰り返されない都政にしなくてはなりません。
 都の入札、契約を見ると、五億円以上の契約案件での一者入札は、ピーク時の平成二十六年度には四七・三%、落札率九九%以上の案件は一六・五%なっております。こうした実態を鑑み、東京都の公共調達をより都民の利益にかなったものにするため、小池知事が改革のメスを入れたことは評価するものであります。
 しかしながら、JV結成義務をなくすことで、中小事業者が仕事をとれなくなるなどの懸念もあります。私たちは、高過ぎる入札参加のハードルを合理的な範囲で下げるなど、意欲と能力のある中小事業者がより多くの参加機会を得られるように改革すべきと考えます。
 発注者すなわち都民に有利な条件で契約を結ぶためには、一者入札や契約不調を防ぎ、意欲と能力のある事業者にチャンスがある健全な競争環境をつくり出していくことが必要と考えますが、入札契約改革についての知事の見解を伺います。
 次に、子供施策について伺います。
 教育に対する日本の公的支出が世界的に低水準であることは公然の事実であります。民主党政権では高校無償化を進め、保護者の経済力に左右されずに学べる環境づくりに努めてきました。東京都に要望し、都立高校での給付型奨学金の創設、私立高校等特別奨学金の拡充など、保護者の教育費負担軽減が実現しました。
 教育の無償化を進めるということは、未来への投資であるだけではなくて、子供を産み育てたいという願いをかなえること、子供の貧困やいじめの解消にも資すると考えます。
 そこで、教育の無償化の実現に向けた知事の基本認識について伺います。
 さらに、義務教育は基本的に無償であるべきで、小中学校における給食費の無償化など、総合的な支援が必要だと考えます。学校給食は、単なるお昼ご飯ではなく、学校教育の一つであり、子供たちの食のセーフティーネットでもあります。学校給食無償化が全国でも広がりつつあり、都内においても奥多摩町、御蔵島村、そして利島村の一町二村が実施をしています。
 そこで、東京都としても、学校給食の無償化を行う区市町村に対する支援を取り組むべきと考えますが、知事に見解を伺います。
 昨年、東京都が行った四区市の子供や保護者の生活実態調査では、低所得や経済逼迫などに該当する生活困難層が約二割もいること、子供食堂や学習支援などの利用意向は高いのに、サービスを知らないために利用できていないことなどがわかりました。必要とする子供に必要な支援サービスをしっかりと届けるためには、現状をきめ細かく把握して具体的な施策を構築することが欠かせません。
 そこで、区市町村との連携のもと、都内全域の子供の生活実態を把握し、子供の貧困対策をさらに拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 本来、全ての子育て家庭にひとしく子育て支援を行うのが理想であります。待機児童が減らない中、まずは保育所などの利用を希望する保護者にきめ細かく対応する。都として保育バウチャーなどの拡大に取り組み、負担軽減を推進すべきと考えます。
 同じように保育サービスを必要としながら、わずかなポイント差で保育所に入れなければ、受けられるサービスは全く異なってしまいます。特にゼロ歳児保育においては、月額三十万円程度の行政コストがかかっています。保育所を利用できないことになった保護者が、本当に、本当に困っているという事実に対して目を向け、そして手を差し伸べることで、この不公平感を緩和すべきだと考えます。
 そこで、待機児童世帯への経済的支援をする東京都版子供手当を創設するとともに、待児童対策をさらに充実していくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、都市づくりについて伺います。
 住まいは人間の生活にとって欠かせない生活の基盤ですが、住宅の確保に困窮を来している都民が数多くいます。
 昨年、私は、特別養護老人ホームの待機者が多いために、介護つき有料老人ホームが多数の要介護者を受け入れているという現状を指摘いたしましたが、実際、高齢者が生活できる場所というのは不足をしています。
 また、高齢者が賃貸住宅への入居を拒否されるケースはいまだ数多くあり、高齢者の居住支援は需要に追いついていません。著しく狭隘な居室に生活保護世帯を住まわせている貧困ビジネスも存在しています。
 また、子供のためには一定の広さの住居が必要ですが、低所得の若年世帯では子育てに適した住環境が確保できにくい現状もあります。中でもひとり親世帯の場合は収入が低く、民営借家に居住する割合が四七・五%とかなり高くなっています。
 このような都民の状況を踏まえると、子育て世帯、ひとり親世帯や高齢者など住宅を確保することが困難な方の安心居住は喫緊の課題です。住宅セーフティーネットについて知事の基本的見解を伺います。
 さらに、都の主な住宅セーフティーネットである都営住宅は非常に高倍率であり、必要でありながら入居できない人が数多くいます。二〇一五年度、いわゆる収入超過で、低額所得者とはいえない入居者が約一万五千世帯いました。しかし、高額所得者として明け渡しを行ったのは二百七件にすぎません。
 一方、都内の空き家、空き室は約八十二万戸。空き家率は約一一%。空き家のうち約六十万戸は賃貸用であり、二〇〇八年から十万戸以上も増加をしています。老朽マンションの空き室や管理不全によるゴーストタウン化が地域に与える影響、そして、空き家の急増が懸念されており、既存住宅ストックの有効活用が強く求められています。
 住宅に困窮する都民の状況と住宅ストックの実情に合った制度の検討、構築は急務です。
 そこで、耐震性などの基準をクリアした物件を東京都セーフティーネット住宅として指定し、その家賃を補助、入居者のマッチングや家賃等債務保証、改修経費への支援などの、居住者もオーナーも安心できる安心居住家賃補助制度、これは仮称ですが、を早急に検討し、構築に向けて取り組むべきと考えますが、東京都の見解を伺います。
 次に、駅ホームドアの一〇〇%設置に向けた取り組み推進について伺います。
 日本国内において二〇一五年度に発生したホームから転落した接触事故は三十九件、亡くなった方は十八人、ホーム上で列車等に接触した事故は百五十九件、亡くなった方は十人もおり、ホームドア設置促進は喫緊の課題です。
 しかし、ホームドアの設置には、車両扉の位置の違いや重いドアを支えるくい打ちなどの改修工事、設置コストなどの課題があり、その進捗はゆっくりしたものになっています。これらの課題に対応した新たなタイプのホームドアの開発も進んでおり、設置をスピードアップするための支援をすべきと考えます。
 少なくとも東京都の鉄道駅においてホーム自殺、転落、接触事故ゼロ、人身事故による遅延ゼロを目指して、ホームドアの一〇〇%設置に向けて取り組みを推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、東京オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 都外仮設施設の都負担について、小池知事が負担を決断したことは、開催都市の責任として理解したいと思います。
 しかし、そもそも仮設費用を負担するはずの組織委員会が主催者の責任を放棄し、知事の決断を遅過ぎると批判する姿勢には、大きな疑問を感じざるを得ません。決められない知事を演出する思惑があるのであれば、オリンピックの政治利用でしかなく、到底容認できません。
 私は、引き続き組織委員会に体制の見直しを求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 さらに五月三十一日、東京都と国、組織委員会、関係自治体が大会における役割と経費の分担について大枠で合意をしました。
 東京二〇二〇大会における開催経費の都の分担は、都民が納得できる負担なのか、財源を確保でき、ほかの事業を圧迫することはないのか、都民に説明すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、受動喫煙ゼロの実現についてです。
 東京二〇二〇大会とラグビーワールドカップを見据えて、国で法整備の議論が行われていますが、私はこの法案がどこかの政党に骨抜きにされたとしても、都として独自の支援策を講じるなどして、より厳しい基準の条例制定を目指すべきと考えます。
 また、条例化に当たっては、単に屋内施設の規制にとどまらず、路上や公園、競技場敷地内、あるいは面的な対応というのを含めて、広く受動喫煙対策に取り組むべきと考えます。
 そこで、受動喫煙をゼロとするために禁煙条例を制定すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 さらに、東京二〇二〇大会開催時には、首都圏の主要な展示会場が競技会場となり、東京ビッグサイトの東側展示棟も約二十カ月間、展示会やイベントで使用できないといわれております。
 このため関係者から不安の声が上がり、再三要望されていますが、都が用意をしている仮設展示場では規模が小さく、多くの展示会などが縮小や中止になると危惧する声が聞かれております。
 そこで、東京ビッグサイトの会場使用者にヒアリングを行い、開催対策に取り組むとともに、IOCに対して東京ビッグサイトの使用期間の短縮を求めるなど、展示会、イベント会場問題の解決に向けて取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、豊洲市場移転問題について伺います。
 小池知事に豊洲移転の早期決断を迫る声がありますが、無害化を求めた都議会の付帯決議を無視するのであれば、これは言語道断です。ガス工場の跡地だったからこそ、都民の安心を得る必要があったからこその付帯決議ではないでしょうか。
 約束していた盛り土がなかった問題などで東京都への不信感が募る中、小池知事が昨年十一月に示したロードマップで、改めて都民の信頼を回復しようと努力されていることは評価をしています。信頼こそが安心につながります。
 私たちは、都民の安全・安心を最優先する立場から、地下水浄化などの追加対策の早期実現を求めるものであり、情報公開を徹底し、都民の理解と納得がない豊洲移転はあり得ないと考えています。今必要なことは、築地と豊洲、どちらが汚染されているかを競うのではなくて、理解と納得を得る手続を丁寧に積み重ねていくことです。
 ロードマップで四月とされていた専門家会議の報告書がまとまっていないなど、スケジュールのおくれが見られますが、決断を急ぎ、都民の理解と納得をないがしろにすることはあってはなりません。
 そこで、みずから示したロードマップの進捗状況に対する認識と総合的な判断に向けた小池知事の見解を伺います。
 以上で会派東京改革議員団を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔傍聴席にて発言する者あり〕

○副議長(小磯善彦君) お静かに願います。静粛に願います。
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 斉藤あつし議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、都政改革についてのご質問がございました。
 私は就任以来、東京大改革の名のもとにおきまして、都政の透明化を第一に掲げて、都民の信頼を取り戻す努力を重ねるとともに、都の体質を根本から変える改革へと取り組んでまいりました。
 中でも情報公開は、都政への信頼回復への一丁目一番地でございます。都政改革本部では、まず情報公開を改革テーマに据え、各種審議会及びその議事録の公開など、都の姿勢を大きく転換する取り組みを進めてまいりました。
 また、業務の一層の適正化を図るために、公益通報制度の拡充を行いましたほか、いわゆる口ききを含めた働きかけの記録化、東京都コンプライアンス基本方針の制定なども進めてまいりました。
 本定例会におきましては、情報公開条例の改正、そして情報公開の基盤となります公文書の管理に関する条例の新設を提案をいたしております。この二つの条例案をてこといたしまして、都政の透明化、さらに前進をさせてまいります。
 これらの一連の取り組みを力強く推し進めることで、都民に開かれ、そして都民から信頼される都政の構築に取り組んでまいります。よろしいでしょうか。
 公文書管理についてでございます。
 都政の透明化、見える化を進めていくためには、情報公開の基盤である公文書の適正な管理が何よりも重要でございます。
 都ではこれまで、知事部局、行政委員会など、執行機関ごとに文書管理の定めを設けてまいりましたが、今回の条例化は、全庁的に統一したルールの確立を図ることで、さらに一歩進んだ公文書管理を実現しようとするものでございます。
 例えば、豊洲市場における文書管理の問題を受けまして、今後、同様の事態が発生することがないよう、この条例によりまして文書による事案決定の徹底、そして政策の形成過程を明らかにする文書の作成を義務化するなどとともに、新たに全庁的に公文書の管理状況を点検いたしまして、公表する仕組みを導入いたします。
 今後、この条例に掲げました理念を職員一人一人に浸透させることで、都民共有の財産であります公文書の適正な管理を推進して、都民に開かれた都政を実現してまいります。
 入札契約制度改革についてでございますが、公共調達は、貴重な税金を原資としていることはいうまでもございません。入札の競争性、公正性、透明性の確保は極めて重要でございます。
 一方、公共調達は、中小企業の振興や担い手の育成、環境への配慮などの社会的な要請にも応えていくものでなければなりません。
 お話のありましたJV結成義務の撤廃でございますが、より多くの方が入札に参加しやすい環境をつくり、競争性や透明性を高めるための取り組みとして実施するものでございますが、同時に、意欲と能力のある中小企業が単独でも入札に参加できるように参加条件を緩和するなどの取り組みを行いまして、中小企業の方々が活躍できる環境を確保してまいります。
 今後も、改革の試行結果をしっかり検証していくとともに、業界団体などのご意見も伺いながら、その時代時代に応じた制度となるよう、不断の見直しを行ってまいります。
 教育の無償化につきましての基本認識についてのお問い合わせがございました。
 教育は、まさに未来への投資でございます。希望あふれる東京の実現には、その担い手となる人をつくる教育の充実が欠かせません。そのためにも、全ての子供たちの可能性を引き出して、夢や希望を大切に育む環境を整える必要がございます。
 このような考えのもとにおきまして、都独自の給付型奨学金を創設、拡充するとともに、生きる基盤となります基礎学力の徹底で、学びのセーフティーネットの構築を進めてまいりました。こうした施策をしっかりと定着させ、未来を担う子供たちの学びたいという意欲に応えてまいります。
 公立小中学校におけます学校の給食の無償化についてのご質問がございました。
 学校給食法におきましては、学校給食は学校の設置者が実施し、食材費等の学校給食費は、児童または生徒の保護者が負担することとされております。
 公立小中学校における学校給食費は、学校設置者である区市町村が地域の実情や特性を考慮して決定をしており、就学援助を含みます保護者負担の軽減策などにつきましては、区市町村の判断により行われているものと認識をしております。
 いずれにしましても、この問題はさまざまな考慮、そして工夫が必要だと、このように考えております。
 待機児童対策についてのご質問がございました。
 女性の活躍を後押しするためには、育児か仕事かの二者択一を迫るのではなくて、誰もが働きながら地域で安心して子育てができる環境を整えていくことが必要でございます。
 そのため、私は待機児童問題を都政の最重要課題の一つに位置づけて、整備費補助の充実や都有地活用の推進、保育従事者のための宿舎借り上げ支援の拡充、認可外保育施設の利用者への支援など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 また、今年度から、二十三区内の保育所用地への税制支援、企業主導型保育施設の開設費用への支援、預かり保育を拡充するTOKYO子育て応援幼稚園への支援など、新たな取り組みも開始しております。
 昨年度は、約二万人分の定員拡大を図ったところでございます。平成三十一年度末までに保育サービスを利用する児童を七万人分ふやし、待機児童を解消するという目標の達成に向けまして、今後とも区市町村としっかり連携しながら、スピード感を持って効果的な施策を推し進めてまいります。
 なお、ご提案のありました待機児童世帯に対します経済的な支援でございますが、世帯間の公平性の観点から、さまざまな課題があるものと認識をいたしております。
 次に、住宅のセーフティーネットについてのご質問がございました。
 住宅は生活の基盤でございます。誰もが生き生きと生活できるダイバーシティーの実現のためにも、都民の居住の安定を確保することは重要でございます。
 本年三月末に策定した住宅マスタープランにおきましては、子供から高齢者まで、それぞれのライフスタイルやライフステージに応じて、都民が生涯にわたって豊かな住生活を実現できる社会を目指すこと、これを基本的な考え方として示しております。
 国におきましても、改正住宅セーフティーネット法が本年四月に公布されております。高齢者、子育て世帯、ひとり親世帯など、住宅確保に配慮が必要な方々への入居支援の取り組みが強化されることとなっております。
 こうした法改正も踏まえながら、既存ストックの活用、多様な主体、分野との連携、地域特性に応じました施策の展開の視点に立ちまして、住宅セーフティーネットの強化に取り組んで安定した居住を確保してまいります。
 続いて、ホームドアの整備についてのご質問でございました。
 高齢者、障害のある方々を初め、誰もが活躍できるダイバーシティーを実現するためには、安心して快適に移動できる環境を整えることは不可欠でございます。
 東京には、世界に類を見ない高密度な鉄道ネットワークが形成されております。これを生かしながら利用者の視点に立ちまして、駅などの既存ストックの質を高めていく必要がございます。
 とりわけ、ホームドアの整備は、利用者の安全を確保する上で重要でございます。これまで鉄道事業者は、新たな技術開発を含め、工夫を加えながら整備を加速させてきておりまして、それに都は、補助を通じてその支援を行っているところでございます。
 二〇二〇年東京大会を契機といたしまして、また、その先も見据えながら事業者の取り組みを後押しして、成熟都市東京の一層の進化につなげてまいります。
 組織委員会の体制についてのご質問がございました。
 二〇二〇年大会の準備を万全に行って大会を成功に導くためには、都、国、組織委員会、関係自治体のそれぞれがしっかりとその役割と責任を果たしていくことが不可欠でございます。
 組織委員会は、大会の準備及び運営全般を主体的に担う法人であり、その機能を十全に果たすこと、これが重要でございます。
 現在、組織委員会の副会長及び評議員には、東京都の副知事が就任をいたしまして、都として重要事項の決定に関与をいたすと同時に、要所に局長級を初め、全体の三割に当たる職員を派遣しており、運営を支えているところでございます。
 さらに、公費などの投入を受けまして、組織委員会が実施する仮設の整備等に関しましては、今後、都、国、関係自治体も含めて、組織横断的に管理する体制を整備し、コスト管理と執行統制の強化を図ってまいります。
 また、事務レベルでも、大会開催準備全般にわたりまして活発な意見交換を行って、緊密に連携して事業を推進しております。
 今後も引き続き、組織委員会が大会の運営主体としての責任をしっかりと果たせるよう、都として積極的に関与してまいります。
 都の費用負担についてでございます。
 都はこれまで、持続可能性をうたうアジェンダ二〇二〇を初めて具現化するその東京大会を成功させるために、IOCとともに四者協議を設置し、大会経費の縮減を進めるなどの取り組みを行ってまいりました。
 また、今般の大枠の合意に向けまして、さらなる経費の圧縮のほか、組織委員会の増収、国に負担を求めることの三点を一体的に解決するということを目指しまして、国、組織委員会など、関係者との調整を主導してまいりました。
 都は、開催都市といたしまして、大会を成功に導く責任がございます。組織委員会に対しては財政保証をしております。
 五十六年ぶりのオリンピック・パラリンピック大会は、都民、国民に感動と共感を与えて、全国に大きな経済波及効果をもたらして、ハード、ソフトの両面にわたって有形無形の大きなレガシーを残します。
 大会を成功させるために、開催都市の長といたしまして、運営を担う組織委員会と、それぞれの役割を踏まえた分担のもとで、都及び都以外の自治体が所有する施設の仮設などの経費を負担することといたしました。
 もとより、都民生活に影響を及ぼさないよう、財源については、オリンピック・パラリンピック開催準備基金を初めとして、さまざまなものが想定される中で、来年度予算編成に向けまして、多角的に検討するように財務局に指示をしております。
 都民の皆様には、今回の合意につきまして、さまざまな機会を捉えましてしっかりと説明を行うとともに、責任を持ちまして合意内容を実行してまいりたいと考えております。
 都は、開催都市として、国、組織委員会、関係自治体などと緊密に連携をしながら、オールジャパンで大会準備を加速させてまいります。
 受動喫煙防止対策についてのご質問でございます。
 屋内施設につきまして、現在国においては、受動喫煙防止対策の強化に向けて、原則、建物内禁煙を内容とする罰則つきの健康増進法の改正を検討しておられますが、規制のあり方についてはさまざまな議論があって、いまだに法案がまとまっていない状況であります。
 一方、屋外につきましては、区市町村が、路上喫煙や歩きたばこを禁止する条例などを制定いたしております。
 国におきましては、受動喫煙防止のために早期に実効性のある法律を制定していただきたいと、このように思います。
 都といたしましては、今後、さまざまな場合を想定しながら、都独自の条例化も見据えて、受動喫煙防止対策にスピード感を持って取り組んでまいります。
 市場の移転問題についてご質問がございました。
 安全・安心は、市場問題における重要な課題でございます。法的、科学的根拠に基づく安全と都民の理解、納得に基づく安心を確保することが何よりも大切と考えます。
 だからこそ、私は、ロードマップの中で専門家会議、市場問題プロジェクトチームによります検証など、さまざまな手続を明示いたしまして、踏むべきステップを一歩一歩着実に重ねてきているところでございます。
 こうしたロードマップのステップは、一部におくれはございますが、基本的な流れに変更はなく、安全・安心な市場の実現に向けました対策の議論を前に進めてまいります。
 その上で、これらの検証の成果や事業の継続性などの諸課題を市場のあり方戦略本部に集約して総点検を行い、総合的な判断を行ってまいる所存でございます。
 なお、その他のご質問につきましては、東京都技監、関係局長よりの答弁とさせていただきます。ありがとうございました。
   〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 都民の居住の安心確保に向けた制度についてでございます。
 住宅確保要配慮者の居住の安定確保のため、都は、居住支援協議会を通じた借り手への入居あっせんや、貸し主への家賃債務保証制度の紹介等の取り組みを促進してまいりました。
 今後、改正住宅セーフティーネット法の施行に向けて、借り手に対しては、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録制度の創設を進めるとともに、貸し主に対し、法施行に合わせて国が導入した家賃の低廉化に対する支援措置の活用などを、区市町村の動向も踏まえ検討してまいります。
 入居者に対する家賃補助については、国も、対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担などの点を指摘しており、また、生活保護制度との関係など、多くの課題がございます。
 引き続き、借り手と貸し主双方に対する取り組みを進め、住宅セーフティーネット機能の強化を図ってまいります。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 公文書の管理についてですが、公文書管理条例と規則等とが一体となることにより、新たな文書管理の規範が整い、公文書作成の目的、各執行機関が担う責務等が明確になり、職員は、今まで以上に高い意識を持って文書事務に取り組まなければならないこととなります。
 具体的には、政策の形成過程における文書作成の徹底や重要な文書の廃棄の際には、所管限りではなく、ダブルチェックの導入など、文書の作成から保存、廃棄までのライフサイクルに応じ、確実に公文書を管理する制度として見直しをいたしました。
 さらに、公文書の管理状況を点検、公表する仕組みの導入も、適正な管理の推進に寄与するものと考えております。
 今後は、あらゆる機会を通じて、新たな文書管理制度について職員への周知徹底等に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 子供の貧困対策についてのご質問にお答えをいたします。
 都は昨年度、これまでの施策の効果や状況を改めて検証し、その内容の充実を図ることを目的に、区部二カ所、市部二カ所で子供の生活実態調査を行いました。また、区市の中でも、国の交付金等を活用し、貧困の状況にある子供や家庭の実態調査が独自に行われております。
 こうした調査結果等を踏まえ、今年度、都は、区市町村における子供の貧困対策の取り組みを進めるため、専任職員を配置して、生活に困窮する子育て家庭等の状況や支援ニーズ等を把握し、関係機関と連携しながら必要な支援につなぐ取り組みへの支援を開始いたしました。
 また、首都大学東京と連携し、子供の貧困に関する実態調査や取り組みについて、区市町村職員向けの研修会を実施し、専門的見地からの助言も行うこととしております。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 展示会、イベント会場等の確保についてでございますが、展示会は、中小企業が経済活動を行う上で効果的なセールスツールとして重要なものでございます。
 このため、都は、二〇二〇年大会によるビッグサイトの利用制約に伴う展示会主催者等への影響を最小限に抑えるため、施設面では、新設いたします南展示棟の供用開始時期を六カ月前倒しをするとともに、制約の始まります二〇一九年四月から利用できる仮設の展示場を整備することといたしております。
 また、利用制約期間について大会組織委員会と調整を図り、一部の展示棟につきましては、その期間が二カ月間短縮されることとなりました。
 今後、展示会等の具体的な開催時期などについて、主催者等の意向を踏まえ、丁寧に利用調整を進め、一件でも多くの展示会等が開催できるよう取り組んでまいります。

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