平成二十九年東京都議会会議録第八号

   午後一時開議

○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川井しげお君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十号、東京都議会基本条例、知事より、東京都公安委員会委員の任命の同意について二件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(川井しげお君) これより質問に入ります。
 百十一番高橋信博君。
   〔百十一番高橋信博君登壇〕

○百十一番(高橋信博君) 平成二十九年第二回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表いたしまして質問いたします。
 今定例会をもって、第十九期都議会は四年間の任期を終えることになります。今期は猪瀬都政に始まり、舛添都政、小池都政と目まぐるしく変化し、都議会第一党であり責任政党自由民主党として、都政を継続的に着実に進めるのに苦労した四年間でもありました。
 昨年八月から始まった小池都政においては特に、前任者との違いを強調する余り、築地市場の豊洲移転やオリンピック・パラリンピック開催の費用負担の問題など、都政の大きな課題が停滞を余儀なくされています。
 四年前に二〇二〇年大会の東京招致を獲得して以来、都政は全ての政策の時間軸を二〇二〇年に据えてまいりました。しかし、今やそれが根底から覆されようとしています。
 例えば、築地市場の豊洲移転問題は、二〇二〇年を展望し、昨年十一月七日に移転、築地市場の解体、環状二号線の建設工事にできるだけ早く取り組まなければならない課題でありました。それが昨年八月末の知事の独断による無期限の移転延期宣言以来、今に至っても全く方向性が見えません。
 このことによって、豊洲市場の維持管理に一日当たり五百万円の経費が浪費され、昨年十一月から数えて七カ月が過ぎようとしています。これだけで既に十億円以上が無駄にかかっており、業者への補償費も合わせれば百億円ともいわれる貴重な都民のお金が浪費されています。ワイズスペンディング、賢い支出を標榜する小池知事にとって、この状態を続けていくことに自責の念がないのか、疑問であります。
 市場移転問題に方向性が見えないことで、困っていることが多々あります。例えば、移転を前提としてきた築地市場の各種市場インフラ機能がいつまで正常に機能するのかわからないという問題を知事はご存じでしょうか。
 去る三月に、配管の老朽化によって仲卸業者にろ過海水の供給がストップしましたが、このことで市場に大きな影響が出たのは記憶に新しいところです。これは幸い一日で復旧しましたが、さらに深刻なのは老朽化した冷凍冷蔵設備です。
 市場内の氷の供給は、現在、市場内三カ所の冷蔵庫で行っておりますが、冷蔵庫にトラブルが発生すると、氷の供給に支障が出ると同時に、夏場の場内の需要に応える製氷能力以上の余裕がないことから、現在の設備ではこれ以上の増産はできません。閉鎖型市場でない築地市場において、品質の劣化を防ぐ氷の供給は、その生命線ともいえ、冷蔵庫の故障及び氷の供給ストップは悪夢のシナリオといわざるを得ません。
 知事はこの現状をご理解いただいているのでしょうか。そして、この現状のもとでも、まだ市場移転問題の結論を先延ばしにするのでしょうか。
 また、二〇二〇年大会との関連でいえば、環状二号線建設問題は極めて深刻です。今のままでは予定どおりに建設することは不可能といわれています。都市計画の道路予定線が築地市場内の青果棟にかかることから、かねてより青果棟だけ取り壊せばよいとの主張が散見されます。
 小池知事の側近で市場PT座長の環境の専門家、小島顧問は、去る四月二十六日、現在地再整備案と絡めて青果部のみの移転を提案されましたが、これもそうしたことを意識してのことでしょう。
 しかし、やはり門外漢とのそしりは免れず、現実を知らない暴論といわざるを得ません。築地市場は、水産と青果が一体となって運営されていることが総合市場としての強みであって、どちらかが単独で移転などできるわけもありません。
 また、環二建設に際しては、青果棟のみが影響を受けるわけではありません。ちょうど環二が築地市場に入ってくる部分は、水産にとってこれも生命線の一つであるろ過海水生産設備があり、これがなければ水産の市場業務は成り立ちません。
 この設備を除却することになれば、青果部だけでなく水産部も業務をとめなければなりません。つまりそれは、築地市場の業務を今のまま継続しつつ、環二は建設できないことを意味し、IOCとの約束をほごにすることにほかなりません。
 さらに、環二が建設できないことによって、オリンピックの輸送計画に著しい支障が予想されます。また、築地市場がこのまま残るのだとすれば、大会期間中に駐車場とする跡地活用計画を変更せざるを得ません。そのときに、バスだけで三千台といわれる代替の駐車場スペースを都が用意する必要があります。
 二〇二〇年という政策の時間軸とはこのようなことであって、二〇二〇年までに何をしなければならないのかを明確にして進んできたことであります。
 小池知事就任前に都政が決めたことを、知事はいたずらに否定しようとしているように見えますが、知事は二〇二〇年の時間軸というものをどのように認識しているのか、まず伺います。
 マスコミを中心に、小池知事を評して、決められない知事とやゆする向きがあります。小池知事にとっては大変不本意なレッテル張りと感じていることでしょう。私ほど決めてきた知事はいないと記者会見でもおっしゃっていたとおり、知事ご自身はしっかり仕事をしてきたとの自負をお持ちなのでしょう。
 しかし、自分の評価は他人が決めるものであって、巷間、決められない知事といわれていることは、あながち間違っていないと私たちは感じています。
 例えば、先ほど申し上げた築地市場の豊洲移転では、三月の予算特別委員会で第三の道はないと明言しながらも、いまだに築地か豊洲かの結論を出すことに逡巡されています。
 オリンピック・パラリンピックの都外施設に対する費用負担問題も、知事が仮設施設建設費について都が負担するとおっしゃられ、議会にはようやく昨日報告がありました。しかし、財源と都外に東京のお金を出す手法について、事実上何も決まっておりません。
 他県での競技開催をお願いしたのは東京都自身であり、これによって二千億の経費が削減できたのです。昨年十二月以来、結論を先送りし続けてきた小池知事は、他県の知事の声を真摯に受けとめるべきです。
 そんな状態を少しでも前に進めていくために、私たち自由民主党は、次回の文教委員会でこの間の経緯の説明を伺い、直接知事に質疑を行うことを求めました。この日に行う我が党の質疑は、他県の知事及び関係者の皆さんにとっても、ようやくスタートラインに立ったと思える有益な情報となるでしょう。
 決められない知事の象徴的な出来事は、豊洲や二〇二〇年大会問題にとどまりません。ご自身の自民党籍問題に対しても、進退伺を出したままずっと放置してきました。
 政党政治の中で、自由民主党という組織の中で政治活動をしてきた私たちには、到底理解不可能です。これは決められない知事としての、まさに象徴の中の象徴といえるでしょう。
 そして、昨日突如として離党届を出されたと聞きましたが、今になってなぜ離党する気持ちになったのか伺います。
 政治的な決断をすることは政治的責任をとることと表裏一体の関係にあり、知事はまさにそのことを常に迫られるお立場です。都議会議員選挙やその他の政局に振り回されることなく、都政を前に進めるための決断と実行を求めます。
 さて、第十九期都議会の最後の機会に、あえてもう一度、知事の地方自治に関する考え方、二元代表制に対する認識、知事と都議会の関係について伺っておきます。
 昨年の第三回定例会以来、毎回知事には地方自治に対しての質問をしてきましたが、特に二元代表制、議会との関係をどうしたいのか、そのことは今もって全くわかりません。質問に対する答弁では、制度の持つ意味合いを教科書どおりに述べられていますが、実際の行動は全く違っています。知事の手法は極めて独裁的かつ側近政治の意味合いが強いと感じます。
 豊洲移転延期やオリンピック会場変更問題、都外仮設施設の整備費及び二〇二〇年大会全体の費用負担問題など、都政にとって大事な課題、問題が大きければ大きいほど、議会に相談も報告もなく、知事が連れてきた顧問団などの助言に沿って、マスコミ発表をもって都政の既定路線としていく手法をとられてきました。
 また最近、突如としてこの六月から、入札契約制度の変更が打ち出されました。このことはもちろん議会に相談も報告もなく、ましてや第一回定例会の終了を待っていたかのように、三月三十一日、突如として公表されました。今回は公共工事関係の入札制度の変更ですが、知事はなぜか方針を示してから関係者のヒアリングを行い、方針の一部変更をいい出しました。
 こうした制度変更を行うならば、まず先に関係者の意見を聞き、その上で都の方針を固めて発表するのが普通です。ましてや今回の制度変更は、改正品確法の根本理念とは相入れない考え方によるもので、一部変更したところでよりよい制度にはなりません。
 公共工事や入札契約制度を所管するのは国においては国土交通省ですが、私たちのもとには同省出身の国会議員や元大臣などから都の方針に極めて強い懸念の声が寄せられています。というよりも、懸念の声しか聞こえてこないのが現実です。
 担い手育成、確保やダンピングに対する制度的な歯どめなど、どのように取り組むのか伺います。
 知事も議会もともに都民の代表であり、お互いの代表性を尊重することが二元代表制の基本であることは再三申し上げてきましたが、知事就任以来今日まで、こうした事例を見るまでもなく、議会の代表性が尊重されることはありませんでした。制度の特性を生かせないことは、東京の自治にとって、それはとりもなおさず都民にとって、大変不幸なことであります。
 知事にはもう一度、二元代表制の制度としての特性をどうしたら最も有効に発揮させることができるのか熟考されることを望みます。見解を伺います。知事ご自身の言葉でご答弁ください。
 次に、都市づくりのグランドデザインについて伺います。
 今日の東京は、大正十二年の関東大震災後の復興事業から昭和三十九年の東京オリンピック関連の都市改造までに概形が定まり、その後、幾多の都市機能の更新を繰り返し、世界にも類を見ない大都市圏の中心地へと成長してまいりました。
 近年の東京の都市づくりは、大正八年に制定され、昭和四十三年に新たに生まれ変わった都市計画法に基づき進められており、都市計画に関する事項の調査審議や計画決定の議決を行う機関として東京都都市計画審議会が設置されています。
 都市計画審議会は、都市計画を行政機関だけで判断するのではなく、学識経験者や議会の議員、関係する国の機関、区市町村の長などから構成される委員の調査審議を経て決定する場として位置づけられているものです。
 最近では、昨年九月に、二〇四〇年代の東京の都市像とその実現に向けた道筋についての答申が出され、国際的なビジネス交流拠点の持続的な更新などにより、活力の向上、イノベーションの創出を図ることや、高密で強靭な道路、鉄道ネットワークに多様な交通モードを組み合わせ、自由自在な移動と交流を実現することなど、幅広い観点から都市づくりの方向性が示されました。
 この答申の考え方は、我が党のこれまでの主張と、ともに軌を一にするものであり、我々も、東京二〇二〇年大会をステップに都市力の向上を図り、日本をリードするとともに、世界で一番の都市にすることを訴えてきたところでございます。
 現在、答申を踏まえ、グランドデザインの検討を進めているところと聞いていますが、第一回定例会では、我が党の代表質問を受け、夏ごろを目途に行政計画を取りまとめるとの答弁がありました。
 そこで、今後、計画策定に向け、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、都市づくりのグランドデザインに関連して生産緑地制度について伺います。
 さて、公表中の都市づくりのグランドデザインの素案では、四季折々の美しい緑と水を編み込んだ都市の構築に向け、都市農業の育成と農地の保全、活用に取り組むこととしています。
 東京の農地は年々減少が続いており、これに歯どめをかけなければなりません。特に、農地の約半分を占める生産緑地をいかに保全、活用していくかが重要であると考えます。
 平成三十四年には、都内の大部分の生産緑地が指定から三十年を迎え、買い取りの申し出が可能となるが、農家からは、税の優遇措置が打ち切られるのではないか、営農を続けられないのではないかといった不安の声が聞かれます。
 こうした中、国は、都市農業振興基本法の制定を踏まえ、都市計画の面からも都市農業の振興や都市農地の保全を積極的に推進するために、関連する法の改正を進めており、特に生産緑地については、買い取りの申し出期間を十年延長する特定生産緑地指定制度の創設などの改正を進めております。
 この特定生産緑地指定制度を実効力のあるものとして農地を保全するためには、まずは平成三十四年までの限られた期間で、区市や農家に、改正される生産緑地制度などに関する正確な情報を提供し、理解を深めてもらうことが極めて重要です。
 そこで、都は、生産緑地制度の普及啓発に向け、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 あわせて、今回のように多くの農家が影響を受ける法制度の改正については、国においても積極的に制度の周知を図るよう、都においても積極的に国に働きかけていくことを要望しておきます。
 次に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 まず、受動喫煙防止対策について伺います。
 国は、平成二十七年十一月に閣議決定した東京二〇二〇大会の基本方針に受動喫煙防止対策の強化を盛り込み、WHO、世界保健機構とIOC、国際オリンピック委員会は、たばこのないオリンピックを共同で推進することについて合意いたしました。
 二〇二〇年大会前年のラグビーワールドカップの開催を契機に、受動喫煙防止対策を強化し、都民の健康増進に取り組むことが重要だと考えます。このため、我が党は、原則屋内全面禁煙とする都独自の罰則規定のある受動喫煙防止条例の制定を公約に掲げたところであります。
 現在、国では法整備に向けて議論が続いていますが、実効性のある都独自の条例制定に当たっては、関係団体等の理解と協力が不可欠であることはいうまでもありません。
 知事は今後、受動喫煙防止対策の強化についてどのように取り組まれるのか、見解を伺います。
 リオ大会は、過去大会に比較して障害者スポーツに関する報道量が飛躍的に増加しています。しかしながら、オリンピックは五一・二%の国民が会場での観戦を希望しているのに対し、パラリンピックの観戦希望者は三六・四%にとどまっています。競技会場で観戦したいと思う人がまだ少ない状況にあり、障害者スポーツの露出の増大を観戦行動の高まりにつなげていく一層の取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。
 都は、二〇二〇年大会後の新規恒久施設の活用方策について、外部有識者や民間事業者、競技団体、地元自治体等の意見を幅広く聞きながら検討を進めてきました。本年四月、これまでの検討結果を取りまとめ、大会後の施設運営の指針となる施設運営計画を策定しました。
 リオ大会では、大会後の施設の活用が進んでいません。東京大会ではその轍を踏まないよう、大会後の施設運営に万全を期していく必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、ラグビーテストマッチの取り組みについて伺います。
 二〇一九年大会の開会式、開幕戦まで二年三カ月余りとなりました。去る五月十日には、京都迎賓館で二〇一九年大会のプール組分け抽せん会が行われ、日本が決勝トーナメント進出をかけてプール戦で対戦する相手が決まるなど、大会準備がいよいよ本格化します。
 昨年、東京スタジアムでテストマッチやラグビーイベントが行われ、さまざまな知見が得られました。それらを踏まえ、本番に向けてさらなる検証が必要です。
 ことし一月に公表された都民世論調査によりますと、日本で二〇一九年大会が開催されることを知らない人が五割弱あり、今回のアイルランド代表とのテストマッチを活用した大会の認知度向上及び機運醸成の取り組みが急務となっていますが、都の対応について伺います。
 二〇二〇年大会の選手村については、昨年四月に市街地再開発事業の認可を取得し、五月には都が基盤整備工事に、本年一月には特定建築者、民間事業者が建築工事に着手したところです。
 本来であれば、環状二号線の整備がなされ、大会に向けて臨海部で行われる選手村などのさまざまな工事にとって重要な役割を果たしていたところでありますが、その整備が不透明となっていることから、選手村などの工事はもとより、大会期間中や大会後のまちづくりにも大きな影響を与えるのではないかと懸念しています。
 しかしながら、こうした状況下であっても、二〇二〇年大会の選手村の整備については、大会までの限られた期間の中で確実に整備を進めていくことが必要であり、大会後のまちづくりも含め、事業が大規模となるため、工事車両の集中等への対応も求められています。
 選手村の整備にどのように取り組んでいくのか、伺います。
 次に、豊洲市場の移転問題について伺います。
 都は、豊洲市場の建設にあわせ、この地域の水際に約五キロメートルに及ぶ緑地帯を整備してきました。この緑地帯は、地元区が隣接する区立公園とあわせ、豊洲ぐるり公園という名称のもと、昨年秋の開園を予定していたところでございます。
 しかしながら、このエリアのカヌー、ボート乗船場や水陸両用車のスロープに加え、緑地帯のほとんどが、築地市場の豊洲移転が停止されている影響を受け、閉鎖管理されたままです。この間、区民からは、緑や水辺に囲まれてすばらしい環境なのにもったいない、なぜ完成しているのに使わせないのかといった声が多く寄せられてきました。
 我が党は、早急に都と区と協議し、市場用地とは接していない緑地帯や乗船場、スロープなど、その一部でも、速やかに都民が利用できるようにすべきと主張してきましたが、その後の進捗状況と今後の見通しについて伺います。
 次に、安全で安心な東京の実現に向けた取り組みについて伺います。
 都議会自民党は、災害に強い安全な東京をつくるを公約の柱として、東京から電柱をなくすとの政策提言を行い、積極的に無電柱化に取り組んでまいりました。
 無電柱化は、災害時の電柱倒壊による道路の閉塞を防ぐなど、防災、減災に資するとともに、美しい都市景観の形成を図る上でも大変重要でございます。
 都は、無電柱化推進計画に基づき、センター・コア・エリア内はもとより、周辺区部や多摩地域の第一次緊急輸送道路など、都道の無電柱化を進めてきましたが、我が党は、都道に限らず、区市町村道も含めた都内全域で無電柱化を一層推進すべきとして、その必要性を強く訴えてきました。
 本定例会において無電柱化を推進する条例案が提案されていますが、条例制定により、今後、東京の無電柱化をどのように進めていくのか、知事の所見を伺います。
 次に、河川の耐震、耐水対策について伺います。
 東日本大震災を受け、今後発生が予想される大地震や津波等に対して、東京をより安全で安心な都市とするため、都は、平成二十四年十二月に、東部低地帯の河川施設整備計画を策定し、河川施設の耐震、耐水化を推進することとしました。
 この整備計画では、対象となる堤防八十六キロメートルのうち、防潮堤約四十キロメートルと水門や排水機場など全二十二施設を平成三十一年度までに、また、水門より内側の護岸約四十六キロメートルを三十三年度までに完了させるとしています。
 首都直下地震の切迫性を踏まえれば、東部低地帯に暮らす三百万都民の命と暮らしを守るため、一日も早い対策の完了を望みますが、今後の取り組みについて伺います。
 東京では、高度経済成長期以降に大量に整備した下水道管が、今後一斉に耐用年数を迎えます。下水道の機能を将来にわたって安定的に確保することは重要であり、政策提言にもある整備年代の古いライフラインの再生はまさに喫緊の課題です。
 老朽化により下水道管が損傷すると、下水道の本来機能である汚水や雨水の排除が困難となるばかりか、道路陥没による交通障害を引き起こすなど、二〇二〇年大会の安全な運営や首都機能が集積する東京の都市活動に与える影響ははかり知れません。
 膨大なストックの老朽化対策を効率的に実施するには、老朽化の状況を踏まえて対策の優先度を設定するなど、柔軟かつ計画的に対策を講じていく必要があります。
 下水道管の老朽化の現状把握と対策を着実に推進することが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、自衛隊等関係機関との連携について伺います。
 地震発生当初の七十二時間は、救命救助活動において極めて重要であります。昨年の第三回定例会での我が党の代表質問において、発災後の対応を万全とするためにも、自衛隊を含めた関係者間で被災状況に応じた緊急輸送ルートの効果的な組み合わせや、人員、機材の運用方法等を事前に検討するなど、応急対応の実効性を高めていくとの答弁がありました。
 これまで都は、緊急輸送ルート確保とともに、応援部隊の活動拠点となる大規模救出救助活動拠点の確保も進めてきましたが、災害時に自衛隊等の応援部隊が円滑に応急対策活動を行えるよう、各拠点の活用方法等についても、より一層の連携を深めながら具体化を図っていく必要があると考えます。都の見解を伺います。
 災害時には公助のみならず自助、共助の取り組みが大変重要です。地域において、共助の担い手として、町会、自治会を初めとする自主防災組織はさまざまな防災活動に取り組んでいます。
 都は、共助の取り組みを推進するため、意欲的な防災活動をしている団体の活動を広く紹介してきましたが、一方で、団体においては、参加者の固定化や活動の硬直化などの課題を抱えています。また、団体を直接的に支援する区市町村では、支援のノウハウが不足しています。
 自主防災組織及び区市町村に対する支援として、例えば防災活動の参加者がふえるような工夫など、地域防災活動の活性化につながるきめ細やかな情報提供が必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、高齢者の万引き防止対策について伺います。
 都内の刑法犯認知件数は、平成十四年には三十万件を超え、戦後最悪の水準にありましたが、昨年には十三万件台と、ピーク時から約六割減少し、戦後最少を更新いたしました。
 身近な犯罪である万引きも同様に減少傾向ですが、近年の万引きは、少年の割合が減少する一方、高齢者の割合が増加しているのが現状です。犯罪白書によっても、高齢者による犯罪は他の年齢層に比べて高どまり、微増傾向にあると指摘があります。
 都内の高齢者の犯罪として最も多いのは万引きで、今後の高齢化を見据えると看過できない状況にあります。
 こうした中、東京都は、この三月、高齢者による万引きに関する報告書をまとめたところでありますが、今後の取り組みについて伺います。
 次に、自画撮り被害への対策について伺います。
 インターネットやスマートフォン等の普及に伴い、子供が性的画像を送らされてしまう、いわゆる自画撮り被害が多発しています。ネット上に流出した画像の回収は事実上極めて困難で、被害に遭った子供が不登校になったり、将来の夢を諦めたりするなど、深刻な状況にあり、日常のあらゆる危険、ネット犯罪を含めた身近な犯罪の被害から、今、子供を守ることが喫緊の課題です。
 都は先日、東京都青少年問題協議会から、全国で初めて画像要求行為の禁止に係る条例化に取り組むことなどを内容とする答申を受けました。
 この答申を踏まえ、早急に自画撮り被害への対策を講じるべきと考えますが、今後どのような取り組みを行うのか伺います。
 次に、高齢者施策の今後の進め方について伺います。
 都が昨年実施した調査では、特別養護老人ホームの入所申込者、いわゆる待機者三万七百十七人で、前回、平成二十五年度調査の四万三千三百八十四人と比べて約三割減少しています。この結果は、施設サービスや在宅サービスの整備が進んだものと評価しています。
 しかしながら、今後、東京では団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年をピークに人口は減少に転じ、二〇三〇年には都民の四人に一人が高齢者となる見込みであることから、さらなる施策の充実が必要です。
 高齢者が安心して暮らし続けるために、今後の高齢者施策をどのように展開していくのか、見解を伺います。
 本年四月には、国立社会保障・人口問題研究所が新たな将来人口推計を公表いたしました。この推計によれば、出生が中位の推計では、全国の日本の人口は二〇六五年には八千八百八万人、高齢者は三八・四%を超えると予測されています。
 こうした超高齢、人口減少社会を見据えれば、従来のやり方で施策を進めるだけでは、都民一人一人に必要な支援が行き届かない事態も想定されます。
 我が党は、世界で一番の都市東京の実現を公約に掲げ、少子高齢化対策を重点課題として取り組みを推進してきました。
 子育て世代に優しい東京、高齢者や障害者に優しい東京をつくるためには、施策相互の連携をさらに進め、より深化した施策展開が重要と考えますが、所見を伺います。
 次に、産業政策について伺います。
 政府の日本再興戦略二〇一六では、日本の持続的な成長戦略に結びつけることを目指し、第四次産業革命の実現など、新たな有望市場を創出する必要性を訴えています。
 このような中、都においても、世界中から人、物、金、情報が集まり、イノベーションを生み出し続ける都市としていくために、二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、海外から第四次産業革命関連企業の誘致の加速化による経済活性化を目指すこととしています。
 そこで、東京の成長に貢献する第四次産業革命関連企業の誘致を的確に行うとともに、誘致企業と都内企業との協働を実現させる実効性のある取り組みが重要と考えるが、所見を伺います。
 次に、中小企業振興について伺います。
 東京二〇二〇年大会の開催は、今後、直接あるいは間接にも、さまざまなビジネスチャンスをもたらす。その効果を東京の中小企業はもちろん、全国に届けていくことが重要です。
 都は、二〇二〇年大会のさらにその先を見据えた中小企業の受注機会の拡大等を目的に、受発注案件や企業情報などを集約する情報サイト、ビジネスチャンス・ナビを立ち上げました。
 開設から一年間、我が党としても関係団体へのPRなど、広範かつ精力的に取り組み、先日には登録企業数が二万件を突破したと伺っています。
 今年度においても、サイトの一層の活用促進とともに、展示会等を活用して登録企業のすぐれた製品、サービスの販路開拓を支援するとされているが、受発注取引の活性化を図るために一層の努力、工夫が必要です。
 そこで、都みずから先頭に立って、官民の発注案件の掘り起こしを進めるとともに、展示会への出展効果のさらなる向上など、施策の実効性を高めていくことが重要と考えますが、所見を伺います。
 二〇二〇年大会を控え、自然災害や感染症の発生、あるいは近年急速に巧妙化しているサイバー攻撃の手から、企業活動ひいてはサプライチェーンを守ることも、ますます重要です。
 都は、危機管理に関する普及啓発や事業継続計画、BCPの策定支援とともに、昨年度からは、サイバーセキュリティー対策への取り組みにも着手いたしました。
 しかしながら、危機管理対策の重要性は、知識としては知られていても、経営資源に限りのある多くの中小企業では実践までに至っていません。
 都は、こうした実情を踏まえ、一社一社の危機管理に関する理解をこれまで以上に深め、具体の対策にまでつなげていくよう、きめ細かく支援していくことが重要です。所見を伺います。
 次に、商店街振興について伺います。
 今、商店街は、商業機能の充実のみならず、地域コミュニティやまちづくりにおいても重要な役割を担うことが期待されています。
 そのため、消費者や地域住民のニーズをしっかり把握し、これに応えることが商店街の発展にとって非常に重要であり、我が党はこうした支援の充実を主張してまいりました。
 都は今年度から、商店街の意欲的かつ主体的な取り組みを後押しするため、専門家派遣事業等を初め、新たな支援策を開始いたしました。
 しかしながら、都内商店街が抱える現実の課題や悩みは、集客力の問題や後継者不足、空き店舗などさまざまです。一筋縄ではいかない実態を的確に見きわめ、求められる支援をタイムリーに届けていくことが重要です。
 都は、施策を実効あらしめるため、商店街の実情を踏まえたきめ細やかな事業展開を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 商店街の発展のためには、商店街みずからがおのおのの魅力を磨き、集客力を高め、にぎわいをつくり出していくことが重要です。
 しかし、その大半は財政基盤が脆弱であり、そのために自主的な活動がままならないといったことも少なくありません。
 こうした中、一部の商店街では、街路灯に広告フラッグを掲出し、その収入をもとに、イベントの開催や街路灯の保守管理、道路清掃等の活動を行っている事例も見られます。
 このフラッグ事業は、商店街の活性化につながり得るものの、制度自体の認知度や関係機関との調整を含む実施スキームに対する理解が十分とはいえず、平成二十三年度の本格実施以降の実施例は二百件にも及ばない状況にあります。
 かつて、五輪の招致の折には、商店街のアーケードなど東京中のさまざまなところにフラッグがはためき、にぎやかさに色を添えていたことがありました。
 そこで、フラッグ事業の意義や効果を広く周知するなど、その一層の活用を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、東京における農業振興について伺います。
 我が都議会自民党は、これまで本会議や予算特別委員会など、あらゆる機会を通じて東京農業のさらなる発展に向けた政策提言を行ってきました。
 その中の一つが都市農業特区であり、都内農業者の要望を踏まえた我が党の主張を受けて都が国に提案し、この五月には法改正により生産緑地の指定面積要件が緩和されるなど、一定の成果を上げてきました。
 しかしながら、都内農業者が最も期待する都市農地の貸借や税制の改正については、まだ先送りされている状況にあります。
 一方で、二〇二〇年大会の開催が三年後に迫る中、三月には大会会場や選手村等に提供できる農産物等の調達基準が示され、食の安全や環境保全の法令等の遵守を確認する農業生産工程管理、いわゆるGAPにより農産物を生産することが求められています。
 GAPは都内消費者の食への信頼度向上にもつながるため、地産地消の観点からも、東京農業にとって重要な取り組みですが、取得している都内農業者はほとんどいないのが現状です。
 こうした東京農業や農業者の置かれた現状を十分に踏まえ、都は今後、いまだ不十分な農地制度や税制度の改正の実現も含め、都市農地の保全に取り組むべきです。
 二〇二〇年大会とその後を見据えた農業者への認証取得促進を図るなど、東京農業の持続的な発展に向けた振興施策のさらなる充実が必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、環境政策について伺います。
 初めに、自然公園についてです。
 東京の面積の約三六%を占め、四季折々に多彩な魅力を見せる自然公園は、東京の大きな魅力の一つであり、観光資源としても高いポテンシャルを有しています。
 都は今般、利用形態や利用者層が多様化する自然公園について、保護と利用の両立を図り、時代にふさわしい積極的な施策展開を図るため、東京の自然公園ビジョンを策定しました。私は、とりわけ自然公園が持つ観光資源としての価値を活用していく取り組みに注目しています。
 東京には、秩父多摩甲斐国立公園を初め、三つの国立と名称がつく自然公園があります。
 亜高山帯や渓谷美の多摩地域、ダイナミックな火山島の様相の伊豆諸島、そして世界遺産でもある小笠原。こうした資源があることを、十分に国や地元自治体と連携し、積極的にPR、あるいは活用し、多摩・島しょ地域の発展につなげていくことが望まれます。
 特に二〇二〇年大会を契機として、東京を訪れる人たちがこれらのすばらしい多摩や島しょの自然に触れ、体験してもらうには、これまで以上に地域の特性を生かした宿泊や飲食などのきめ細かいサービスの提供に実績のある民間事業者のノウハウを活用していく必要があると考えますが、所見を伺います。
 ポリ塩化ビフェニル、いわゆるPCBの処理について伺います。
 PCBは、主に電気機器の絶縁油などに利用された化学物資で、昭和四十三年に発生したカネミ油症事件でその毒性が明らかになり、社会に大きな衝撃を与えました。
 このPCB廃棄物を処理するために、国は、中間貯蔵・環境安全事業株式会社を設立し、平成十七年から処理が行われているが、都内の高濃度PCB廃棄物は、今でも処理が完了していません。
 PCB特別措置法では、都内の高濃度PCB廃棄物の処理期限は平成三十三年度末であり、期限までの残り五年となった今、確実かつ適正な対応が求められています。特に資力のない中小企業者等に対しては支援が必要です。
 そこで、中小企業者等の高濃度PCB廃棄物の期限内の確実な処理完了に向け、都は、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。
 都議会自民党は、これまでも、日本の伝統文化、芸術の振興、次世代への継承について政策を提言してまいりました。また、その実現に向けて、東京の子供たちには日本人としての自覚と誇りを持ち、世界で渡り合える若者になってもらいたいという観点から議会での質問を重ねてきました。
 都教育委員会では、人間国宝の狂言師、野村万作氏の狂言を都立高校生に観覧させる新たな取り組みを実施するなど、さまざまな取り組みがなされていると聞いています。
 今後も、都立高校の生徒が我が国の伝統文化に対する関心と理解を深める取り組みを一層充実すべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 障害者基本法の一部改正や障害者差別解消法の施行に伴い、障害者の企業就労を促進する社会の機運は高まっています。直近の都立知的障害特別支援学校卒業生の企業就労率は四六・四%であり、五年前が三八・九%であったのに比べると七・五ポイント上昇しています。
 障害者雇用促進法の改正内容からすると、今後、障害者の企業就労はさらに進むことが予測される中、知的障害特別支援学校の卒業生が各企業で能力を十分に発揮し、やりがいを感じられるように教育の質を高めることが重要です。企業や業界団体と連携した職業教育、就労支援をさらに強化すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、多摩振興について伺います。
 二〇一九年にはラグビーワールドカップ、また二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピックが開催され、多摩地域のさらなる発展にとって、またとないチャンスが訪れます。
 また近年、自動運転や人工知能、IoTなど、技術革新の動きは目覚ましいものがあり、一方、国においては、国家戦略特区や都市農業振興など、規制緩和や制度改正の動きが進んでいます。
 東京都は、昨年末に二〇二〇年に向けた実行プランが策定され、現在は都市づくりのグランドデザインの策定作業が進められています。
 我が党はこれまで、都と一体となり、道路ネットワークの整備や産業振興、医療の充実、防災力の向上など、多摩地域の発展に尽力してきました。
 一方で、人口減少、少子高齢化の進展や道路交通インフラのさらなる整備など、引き続き対応を求められる課題も山積し、こうした中で、今般、多摩の振興プランの素案が公表されましたが、このプランの策定の狙いと今後の最終取りまとめに向け、どのように検討を進めていくのか、都の所見を伺います。
 平成二十七年第二回定例会で、多摩地域におけるインフラ整備をどのように進めていくのかという我が党の代表質問に対し、広域的な視点から、圏央道とあわせて、多摩南北道路など幹線道路ネットワークの整備により地域内外の連携を強化し、渋滞解消や物流拠点の形成など、地域全体の利便増進を図っている旨の答弁がありました。
 物流拠点は、多摩地域の産業振興に寄与するとともに、大規模災害発生時の支援物資の受け入れや配送の拠点としての機能も期待できることから、整備を進めていくに当たり、関係機関やトラック輸送等の物流業界の関係者とともに十分意見交換を行っていくべきと考えますが、多摩地域の物流拠点の整備に向けて、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 東京を訪れる外国人旅行者数が二〇一六年に過去最高の一千三百十万人に達する一方で、多摩地域の訪問割合は依然として低い状況にあります。国内外からの旅行者誘致は、消費拡大や雇用創出などを通じ、地域社会の活性化につながります。
 広く都内を訪れる旅行者をふやすためには、都心部のみならず、多摩地域の魅力をさらに高め、これまでにない新しい視点を持って、その地域ならではの特色を生かした観光資源を最大限活用することが重要です。
 多摩はエリアが広く、西多摩のように豊かな自然に恵まれてハイキングなどのレジャーを楽しめるところや、農業による特色ある食材を土産物として売り出すほか、伝統ある祭りや文化財で集客のできるスポットなど、地域ごとに異なる多様な魅力を持っています。
 こうした特性を踏まえて、観光スポット等の情報の収集と提供をきめ細かく行う体制を整備し、効果的なPRを行うこと、さらに、多摩地域などでいまだ活用されていない観光資源に磨きをかける取り組みを進めている地域団体の活動を支援することも不可欠です。
 また、観光客のみならずMICEの誘致も重要です。今月二十日には、JR立川駅の商業施設内に観光情報センターがオープンするとのことですが、これを契機に多摩地域の魅力発信が強化されるものと期待しております。観光による多摩地域の活性化に向けた今後の取り組みについて伺います。
 最後に、島しょ地域の水道事業体に対する技術支援について伺います。
 小笠原村では、本年長期にわたり水不足になり、一時は渇水が深刻な状況になりました。小笠原村のほかにも、都内島しょ地域には小規模な簡易水道が多数存在していますが、四方を海に囲まれた島々では、台風等の自然災害に加え、水源状況が天候に左右されやすく不安定であるなどのリスクを抱え、災害発生時や渇水時など不測の事態が生じた際の対応にはさまざまな困難を伴うと聞いています。
 職員数も少なく、日常の施設管理を適切に行っていくための技術力の維持向上も課題です。
 水道局では、近隣事業体と連携し、課題を抱える首都圏の中小水道事業体への支援を実施していくことを本年二月に発表しました。
 こうした国内水道事業体への支援実施に当たっては、足元の都内島しょに対する配慮も必要があると考えますが、これら地域の水道事業体への技術支援について所見を伺います。
 代表質問の結びに当たりまして、一言申し上げます。
 都議選の投票日は七月二日と、残すところ一月であります。都議会自民党は、日々、都民や各種団体の皆様の声をじかに聞く中で、都民の目線に立ち、安全・安心なまち東京と活気あふれる発展のまち東京を実現することを皆様にお約束をし、全力で取り組んでまいりました。
 そして、この四年間で、オリンピック・パラリンピック招致を初め、防災ハンドブックの全戸配布や防犯カメラ一万台の設置、待機児童ゼロに向けた緊急対策の取りまとめ、三環状道路の整備、島しょの情報格差解消などに確実に実績を上げてまいりました。
 責任ある政治を貫き、東京の未来を切り開くため、都政を停滞させることなく、山積する課題の本質を見きわめながら、都政をリードしていく、それが都議会自民党に課せられ
た責務であり、都民の期待に応える道であります。都議会自民党は政策力でしっかり都政を前に進めてまいります。
 私たちは、公認候補全員の当選で、都民の皆様とともに新たな東京をつくる決意であることを申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 高橋信博議員の代表質問にお答えをさせていただきます。
 私に対しましては六問のご質問を頂戴いたしました。
 まず、二〇二〇年の時間軸についてのご質問でございます。
 オリンピック・パラリンピックを控える東京にとりましては、二〇二〇年という年が大きな意味を持つことはいうまでもございません。しかし、それだけではございません。二〇二〇年のその先も見据えまして、現在、そして未来の都民に責任を果たしていく視点を忘れてはいけないと考えております。
 例えば市場問題でございますが、移転を延期し、地下水モニタリングの結果を見届けたからこそ、安全・安心の確保のためのその確認や持続可能性のチェックなど、五十年、百年の鳥の目でもって、市場のあるべき姿を総点検することにつながっております。
 オリンピック・パラリンピックにつきましても、役割分担等は極めて難しい、詳細にわたる問題でございましたが、時間はかかったものの、合意に向けた調整を主導的に進めた結果、先日、関係者全員からの合意を得ることができたわけでございます。
 このことによりまして、オールジャパンで大会を成功させ、その先の東京、日本の成長へとつなげていく礎を築くことができたと考えております。
 これまでも、そしてこれからも、二〇二〇年とその先の明るい未来に向かいまして、なすべきことをなしてまいりたいと思います。
 過去の都政を、決めたことをいたずらに否定しているというご指摘でございますが、全く当たりません。それどころか、今だからこそ、これまでの都政のよき部分は残し、見直すべきところを見直す。当たり前のことを一つ一つ行ってまいりたいと考えております。
 次に、自民党の離党届を提出したことについてのお尋ねでございます。
 昨日の段階で離党届を提出いたしましたのは、昨年の夏に私が提出いたしました進退伺に対しまして、御党では、それぞれの区議会議員の処分はさっさとなさいながらも、私の進退伺についてはそのままとされてきました。
 そこで昨日、都民ファーストの会の代表就任を機に、私の意思を明確にするために提出をさせていただいたものでございます。
 今後、東京の真の改革をみずからが先頭に立ちまして、志を同じくする皆様とともに強力に推し進めてまいりたいと考えております。
 続きまして、入札契約制度改革についてでございます。
 今回の実施方針でございますが、都政改革本部及び内部統制チームにおきまして、半年以上にわたって検討を重ねた結果でございます。そして、三月に開催いたしました都政改革本部会議で発表させていただきました。
 また、業界団体からご意見を伺う中で、小規模零細企業への一層の配慮が必要だと、このような判断をもとに、低入札価格調査制度につきましては、その適用範囲を一部縮小することといたしました。(発言する者あり)
 今回の改革におきましては、決して品確法の理念を否定しているものではございません。より多くの事業者にとりまして入札に参加しやすい環境をつくって担い手を育成する、そのことを目的の一つとしております。
 また、ダンピングの防止に取り組む姿勢につきましても従来と何ら変わりはございません。これまで以上にダンピング防止に重点を置きました厳格な調査を行うことによりまして、品質の確保と競争性の……
   〔発言する者あり〕

○議長(川井しげお君) ご静粛にお願いします。

○知事(小池百合子君) 向上を図ってまいります。
 入札契約制度には、これが絶対という完璧な答えはございませんが、健全な競争が行われていること、このことを都民にも見えるようにする、すなわち見える化することが求められていると考えます。
 今後も、競争性、透明性、品質の維持、中小企業の保護、育成など、さまざまな要素のバランスをとりながら、不断の改革を進めてまいる所存でございます。
 二元代表制についてのお尋ねがございました。
 所信表明でも申し述べましたとおり、今日、時代の流れは余りにも速く、国際情勢も激動の真っただ中にございます。こうした中で、東京が世界の都市間競争に打ち勝って成長を続け、都民の希望あふれる東京を実現していくためには、スピード感がますます必要となってまいります。(発言する者あり)
 二元代表である議会と知事が互いに都民の代表として切磋琢磨して、必要な政策を充実し、実行していかなければならないと考えます。私は知事として、都政改革を進め、都民に開かれました大義と共感にあふれる、そんな都政を展開してまいります。
 議会におかれましては、しっかりと都政をチェックし、条例の立案を初め、政策的な提案を行うなど、新しい議会の役割が求められるのではないでしょうか。
 時に協調、時に厳しいチェック。議会と知事がそれぞれの役割を十分に果たすことで……
   〔発言する者あり〕

○議長(川井しげお君) ご静粛にお願いをいたします。

○知事(小池百合子君) 都民ファーストの都政を実現してまいります。このことこそ都民のために目指すべき二元代表制の機能であると考えております。
 さて、受動喫煙防止対策でございます。
 受動喫煙防止対策には、都民の健康増進の観点、また、オリンピック・パラリンピックのホストシティー、ラグビーワールドカップの開催都市としての立場からもしっかりと取り組まなければならないことは長年いわれてまいりました。
 現在、国では厚生労働省の案をもとにいたしまして、対策の強化に向けた健康増進法の改正を検討していますが、規制の内容や範囲についてさまざまな議論があって、いまだに法案がまとまっていない状態であると聞いております。
 受動喫煙防止対策は国民の健康を守るために必要。国においては早期に実効性ある法律を制定していただきたいものと考えます。
 都といたしましては、飲食店、宿泊施設の実態調査などを行いまして、対策に向けた準備を進めております。今後、さまざまな場合を想定しながら、都独自の条例化も見据えまして、スピード感を持ってしっかりと取り組んでまいります。
 無電柱化についてでございます。
 東京の防災力を高めて、都民が安全・安心に暮らせるセーフシティーを実現していくためにも、また、ベビーカー、車椅子などの安全な通行を確保して良好な都市景観を創出するためにも、無電柱化は重要でございます。
 このため、こうした無電柱化の大義を明確にして、その実現に向けた区市町村との連携、都道への電柱新設の禁止、コスト縮減につながります技術開発の推進などを定めました条例案を、都民の意見も踏まえて、このたび提案したものでございます。
 今後は、区市町村への財政的、技術的な支援を行いながら、条例に基づき、区市町村と連携した新たな計画を策定するとともに、事業者間の競争や技術開発を促すことでコストの縮減を図り、都民の理解と共感を得ながら、東京の無電柱化を強力に進めてまいりたいと考えております。
 無電柱化こそ、日本の新たな常識へ。私は東京の電柱をゼロにしてまいりたい。そのことを目指してまいりたいと考えております。
 なお、その他のご質問に関しましては、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、日本の伝統文化理解の一層の推進についてでございますが、高校生が日本人としての自覚と誇りを高めるためには、授業を通して伝統文化への理解を深めるとともに、古典芸能のすぐれた演技に触れることなどが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、これまで日本史の必修化や伝統文化に関する教材の作成などに取り組んでまいりました。
 また、昨年度からは、全都立高校を対象に、生徒が在学中に一度は狂言など古典芸能の第一人者による本物の演技を鑑賞することなどができるよう、学校や民間ホールで日本の伝統芸能鑑賞教室を実施しております。
 今後、この鑑賞教室に雅楽、三味線などの演目を加えるとともに、生徒が古典芸能のよさや奥深さについて話し合い、発表するなどの体験を通して、我が国の伝統文化の意義を深く理解する活動を一層推進してまいります。
 次に、知的障害のある生徒の職業教育等についてでございますが、障害のある生徒が就労先で能力を発揮し、生き生きと働くことができるようにすることは、生徒の将来的な自立と社会参加を促進する上で極めて重要であります。
 そのため、都教育委員会は、これまで企業等の助言を受け、学校での職業教育の改善や就労先の開拓等を支援してまいりました。また、清掃業界団体の協力を得て、特別支援学校に加え、昨年度からは中学校特別支援学級の教員対象の研修を開始し、実践的指導力の向上に取り組んでおります。
 今後、特別支援学校と企業や業界団体等との連携を強化し、生徒の障害の程度と就労先の実情に即した新たな指導方法を開発するとともに、特別支援学校の教員と企業関係者が中学校に助言する取り組みを推進するなどして、職業教育、就労支援のさらなる充実を図ってまいります。
   〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都市づくりのグランドデザインについてでございます。
 都市づくりは、将来を見据えた長期的な視点を持ち、今なすべきことに工夫を加え、新たな一歩を踏み出すことがよりよい都市の実現につながると考えてございます。
 先月公表した素案では、都市計画審議会の答申を踏まえて、目指すべき都市像とその実現方策を示してございます。都市づくりの実効性をより高めるためには、計画策定段階から都民や企業などの幅広い関係者が世代を超えて内容を共有することが重要でございます。
 現在行っているパブリックコメントに加え、区市町村からの意見や、将来を担う若い世代の声も聞きながら、最終案を取りまとめる予定でございます。東京ならではの価値を高め、活力とゆとりのある高度成熟都市の実現に向け、着実に取り組んでまいります。
 次に、生産緑地制度の普及啓発についてでございます。
 東京の生産緑地は、環境や防災の機能を持った貴重な緑の空間であることに加え、大消費地に近接する特性を生かして、付加価値の高い農業生産の場として活用することが極めて重要でございます。
 今回の法改正により、都市計画における農地の位置づけが強化され、身近な小規模農地の指定や、にぎわいを創出する農家レストランの設置などが可能となり、また、農家の営農継続の意向に対応するため、買い取りの申し出期間を延長できる特定生産緑地指定制度が創設されてございます。
 これらの制度は、東京の農業を守り育てる上で重要な手段であることから、関係局間で連携し、区市とも協力しながら、広く制度の周知を図って、農家の方々に丁寧な情報提供を行うとともに、その積極的な活用を図ってまいります。
 次に、選手村の整備についてでございます。
 選手村は、世界中から集う選手が競技に向けた万全の準備やスポーツを通じた国際交流を行う場として、また、大会後には持続可能な成熟都市のモデルとなるまちの姿も見据えながら、限られた時間の中で整備する必要がございます。
 都は昨年度、市街地再開発事業に着手し、道路などの都市基盤の整備と民間事業者による選手の宿泊施設となる住宅棟などの整備を、都の一体的な工程管理のもと、地元の理解を得ながら進めてございます。
 本年二月から環状第二号線晴海―豊洲間を工事車両の通路として確保するとともに、四月からは建設発生土の海上輸送を行うなど工夫を凝らして、工事の効率化と周辺への影響の軽減に努めてございます。
 今後とも、選手村の確実な整備と大会後のレガシーとなるまちづくりに全力で取り組んでまいります。
 最後に、多摩地域の物流拠点の整備についてでございます。
 圏央道などの広域的な都市インフラを生かして多摩地域に物流拠点を整備していくことは、東京及び首都圏の物流を支えるとともに、災害時の救援活動を円滑に行う上でも重要でございます。
 このため、都が平成二十年に策定した東京都西南部の流通業務施設に関する整備方針では、圏央道周辺における流通業務施設の整備を促進することとしてございます。
 この方針に基づき地元市は、インターチェンジに近接した物流拠点の形成に取り組んでおりまして、例えば八王子市では、土地区画整理事業などの計画策定を進めてございます。
 都としては、関係機関などと連携を図りながら、こうした市の取り組みを支援することにより、多摩地域の物流機能の強化に取り組んでまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者スポーツの観戦促進についてでございます。
 都はこれまで、障害者スポーツの楽しさや迫力を伝えるため、NO LIMITS CHALLENGE等の競技体験会を実施し、十五万人を超える方に来場をいただいております。
 さらに今年度は、テコンドーなどこれまで実施したことのない競技の体験手法の検討、実施等により、二〇二〇年パラリンピック大会で実施する二十二競技全てのPRを強化してまいります。
 また、障害者スポーツのファンサイト、チームビヨンドを活用し、競技大会への観戦招待や、障害者スポーツ支援に関心が高い企業、大学等と連携した情報発信などを通じて、障害者スポーツのファンをふやしてまいります。
 今後も、障害者スポーツの普及啓発のためのさまざまな取り組みを進め、パラリンピックの競技会場が観客で満員となるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、大会後の施設運営についてでございます。
 新規恒久施設を大会後も有効に活用していくためには、大会前の早い段階から大会後のレガシーを見据えた取り組みを進めていくことが重要でございます。
 そこで、都は本年四月、大会後の施設運営の指針となる新規恒久施設の施設運営計画を策定したところであり、この計画を踏まえ、今年度、各施設の大会後の管理運営方式について具体的な検討を行い、来年度には運営事業者を選定する予定であります。
 大会前に運営事業者を選定し、二〇二〇年大会に向けた準備を円滑に進めるとともに、大会後における大規模なスポーツ大会やイベントの誘致活動を早期に開始することで、新規恒久施設を都民、国民の貴重な財産として有効活用できるよう、施設運営に万全を期してまいります。
 最後に、ラグビーワールドカップ二〇一九についてでございますが、先月の組分け抽せん会において、日本代表は二〇一九年大会の一次リーグでアイルランド代表との対戦が決定いたしました。
 今回のテストマッチは本大会の前哨戦ともいえ、機運醸成の絶好の機会でございます。同日開催するラグビーイベントとあわせて、テレビやSNS、デジタルサイネージ等を活用し、認知度向上に向けた情報を発信してまいります。
 また、運営面につきましては、西武多摩川線多磨駅の積極活用やシャトルバス系統の多様化により来場ルートの分散を図るとともに、ボランティアの人数や業務を拡充いたしてまいります。
 今後、本テストマッチの検証を踏まえ、万全の準備を進めるとともに、組織委員会、開催都市、地元自治体等との密接な連携のもと、大会二年前イベントの開催や大会PR映像の活用等により、一層の機運の盛り上げを図ってまいります。
   〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 豊洲ぐるり公園といわれる緑地帯についてでございますが、この緑地帯は、地域の潤いとにぎわいある水辺空間の創出を目的の一つとして整備してきたものでございまして、これまで区立公園としての供用に向け、地元区と協議を行ってまいりました。
 現在、約七ヘクタールの緑地とカヌー、ボート乗船場、水陸両用車用スロープについて協議が調い、土地や工作物の移管手続などをおおむね終えたところでございます。
 地元区におきましても、七月上旬の開放を目指して準備を進めていると聞いてございまして、都といたしましても、引き続き連携を図ってまいります。
   〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 河川施設の耐震、耐水対策の取り組みについてでございますが、東部低地帯では、最大級の地震が発生した際にも、堤防や水門などの機能が確保されるよう、耐震、耐水対策を早期に完了させることが重要でございます。
 都は、平成二十四年の計画策定後、速やかに対策に着手し、二十八年度末には防潮堤全体の五割と大島川水門など六施設が完了いたしました。
 二十九年度は、隅田川など四河川で防潮堤五・一キロメートル、小名木川など九河川の水門内側の護岸五・三キロメートル、新川排水機場など四施設の工事に新たに着手し、さらなる推進を図ってまいります。
 これによりまして、堤防の約六割と水門など施設の九割を超える二十一施設を事業化いたします。
 引き続き、東部低地帯に住む多くの都民の命と暮らしを地震や津波による水害から守るため、耐震、耐水対策を全力で推進してまいります。
   〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) 下水道管の老朽化の現状と対策についてでございますが、区部の下水道管約一万六千キロメートルのうち、法定耐用年数の五十年を超えるものは現在約千八百キロメートルあり、二十年後には約八千九百キロメートルに増加する見込みでございます。
 下水道局では、下水道管の劣化状況を調査、評価し、適切に維持管理することで、ライフサイクルコストの最小化を図るアセットマネジメント手法を活用し、経済的な耐用年数となる八十年程度まで延命化を図っております。
 昨年度からは、国道や都道などに埋設されている下水道管について、劣化状況の調査延長を約二割アップさせまして、予防保全型管理を強化しております。
 また、中長期的な事業の平準化を図るため、区部を下水道管の整備年代により三期に分け、最も古い都心部の第一期再構築エリア約一万六千三百ヘクタール、下水道管の延長にいたしますと約四千五百キロメートルにつきまして、平成七年度から優先的に再構築を進めてきておりまして、平成四十一年度末までの完了を目指してまいります。
 さらに、下水道管に起因する道路陥没を未然に防止するため、再構築のみならず、二〇二〇年大会競技会場周辺等の六十四地区におきまして、重点的な道路陥没対策も鋭意進めてまいります。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、自衛隊等関係機関との連携についてですが、全国からの応援部隊が効果的な救出救助活動を行うためには、ヘリの離着陸スペースや部隊の集結拠点としての役割を持つ大規模救出救助活動拠点が重要でございます。
 そのため、都立公園などの各拠点については、具体的な利用箇所や車両動線などにおいて、自衛隊等の各機関と協議を重ね、順次、利用計画を策定してまいりました。
 一方、発災時には、都は活動拠点の被災状況等を速やかに把握した上で、各機関と調整し、活動拠点の使用の可否を迅速に決定する必要がございます。
 今後、応援部隊の具体的な受け入れ手順を整理するとともに、応援部隊との情報共有や連絡調整などの連携方法等について検討し、首都直下地震等の大規模災害発生時における対応の実効性を高めてまいります。
 次に、地域防災活動の活性化についてですが、共助の担い手である自主防災組織の活性化のためには、各団体へのきめ細やかな支援や、地域の実情に精通した区市町村と連携した情報提供の取り組みが重要でございます。
 自主防災組織には、現在、参加者の高齢化や知識、経験の不足などの課題があります。そこで都は、防災の専門家を派遣し、団体ごとの課題に即した効果的なアドバイスを行うことで、活動をきめ細かく支援してまいります。
 また、区市町村における自主防災組織支援は、ノウハウの不足などから、地域により取り組みに差があるため、自治体の特色ある支援施策などを掲載したサポートガイドを区市町村へ提供し、地域防災活動の底上げを図ることといたしております。
 今後とも、自主防災組織及び区市町村を支援するため情報提供を進め、地域防災活動を活性化してまいります。
 最後に、多摩振興プラン(仮称)についてですが、本プランは、二〇二〇年に向けた実行プランを踏まえ、その内容を、多摩に特化した視点で、より具体的に整理、提示するとともに、現在策定中の都市づくりのグランドデザインとも整合を図りながら、おおむね二〇四〇年代を見据えた多摩の目指すべき地域像や施策の方向性を示すことを目的としております。
 また、多摩地域の中でも、地域によって特性や課題はさまざまであるため、今回は、こうした地域の実情をきめ細かく把握、整理し、その視点を加えることとしております。
 今後、パブリックコメントや市町村への意見照会を丁寧に行っていくほか、先般、地域で活躍する方々にご参加いただいたワークショップの成果も取り入れながら、さらに庁内検討を進め、この夏を目途に策定してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者の万引き防止対策についてですが、都は、高齢者による万引きの要因等を把握するため、昨年度、有識者研究会を立ち上げ、万引き被疑者の実態を調査いたしました。同研究会は、その分析等を踏まえ、店舗での声かけ推進、高齢者の孤立防止、再犯防止に向けた関係機関による支援体制の整備等について提言を行いました。
 これに基づき、都は、調査結果をわかりやすく小冊子にまとめ、地域包括支援センターや小売業界等に対し広く発信するとともに、高齢者の問題行動に関する講演会を七月に開催するなど、関係機関との連携を強化することとしております。
 さらに、今後、高齢者本人や家族への支援策の検討に加え、昨年、議員立法により成立した再犯防止推進法に基づく対応の中で、万引きについても関係局、警視庁、区市町村等と連携し、再犯防止の取り組みを検討してまいります。
 次に、いわゆる自画撮り被害対策についてですが、ご指摘のとおり、ネットに流出した画像の回収は困難であり、被害防止には画像を送らせないことが肝要でございます。
 このため、青少年問題協議会の答申を踏まえ、被害を未然に防止するため、子供の判断能力の未熟さにつけ込み、他者に成り済ましたり、執拗に要求するなどの悪質な働きかけ行為自体を罰則をもって禁止し、これらの行為の防止を図る東京都青少年健全育成条例の改正に向けて、速やかに関係機関との調整等を行ってまいります。
 あわせて、学校関係者や警察等とも連携し、このような働きかけに対し、子供が断る勇気を持ち、また、子供が画像を送る前に関係機関等の窓口に相談するよう普及啓発を促進し、働きかけの段階での被害防止に向け、実効性ある取り組みを推進してまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、今後の高齢者施策についてでありますが、高齢者が、介護が必要になっても可能な限り住みなれた地域で生活できるようにするためには、適切な住まいを整備し、医療や介護、生活支援サービス等を地域の中で切れ目なく提供することが必要でございます。
 こうした考えのもと、都は地域包括ケアシステムの構築を目指し、第六期高齢者保健福祉計画に基づき、介護サービス基盤の整備を初め、さまざまな取り組みを推進しております。
 今年度策定いたします第七期計画におきましても、今後の高齢化の進展を見据え、基盤整備の実績や区市町村の介護サービス見込み量等を踏まえながら、さらなる介護サービス基盤の整備、在宅療養や認知症対策、介護人材対策の推進などを盛り込み、地域包括ケアシステムの構築に向けた高齢者施策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、福祉保健医療施策の今後の取り組みについてでありますが、今年度は、高齢者保健福祉計画、障害者計画、障害福祉計画、保健医療計画などの改定に加えまして、子供・子育て支援総合計画の中間の見直しを行う年であり、現在、学識経験者や当事者団体、事業者、区市町村等から成る委員会を設置し、各計画の改定作業を進めております。
 改定に当たりましては、東京の将来や都民ニーズの変化を見据え、事業の総点検を行いますとともに、医療と介護の一層の連携や医療的ケアが必要な子供への支援など、計画間の整合を図りながら総合的な施策を盛り込む考えでございます。
 また、福祉人材対策の推進、世代を超えた地域包括ケアシステムの構築、生活困窮者の支援体制の整備など、分野を超えた施策の充実を図るために、地域福祉支援計画を新たに策定する予定でございます。
   〔政策企画局長長谷川明君登壇〕

○政策企画局長(長谷川明君) 外国企業の誘致についてでございますが、IoTなど、いわゆる第四次産業革命関連の外国企業の誘致は、投資や雇用の創出に加え、誘致企業との協働による都内中小企業の成長の促進にもつながってまいります。
 このため、新たにロンドンなど海外三都市に、誘致活動の窓口、アクセス・ツー・トウキョウを設置し、誘致企業の発掘とスピーディーな交渉を行いますとともに、市場調査の無償コンサルティングサービスなどを活用して、四年間で四十社誘致の目標達成を目指してまいります。
 また、東京での創業を支援するアクセラレータプログラムを実施するとともに、産業労働局や都内自治体等と連携してマッチング商談会を開催し、四年間で千件の引き合わせ目標の達成を目指します。
 こうした取り組みを総動員して、都内経済の活性化に貢献してまいりたいと考えております。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 六点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小企業の販路開拓等への支援についてでございますが、二〇二〇年大会の開催等は、中小企業にとって、受注の獲得やみずからが持つすぐれた技術等を発信する絶好の機会でございます。
 このため、都は、ビジネスチャンス・ナビを通じた受発注取引の活性化に向け、発注案件のさらなる提供に取り組みます。
 また、本年四月の組織委員会に続き、まずはこの夏を目途に、中小企業振興公社など三団体がナビを通じて入札できるようシステム改修し、本サイトによる取引実績の拡大を図ります。
 さらに、発注コーディネーターを増員し、民間発注案件の開拓を強化するとともに、ナビ登録企業と大手企業との商談会開催により、具体の取引につなげてまいります。
 また、製品等の特性に応じて専門バイヤーが集まる大規模展示会や、アジア地域の展示会への出展支援を行ってまいります。
 次に、中小企業の危機管理対応能力の強化についてでございますが、都内中小企業がさまざまなリスクに対応できる経営基盤を確立するためには、リスクへの認識を深め、対策を実践する体制と必要な設備を整えることが重要でございます。
 都は今年度から、リスク対応の重要性等を一層浸透させるため、中小企業団体中央会と連携し、業界団体ごとの実情に即した普及啓発活動を支援いたします。
 さらに、サイバー攻撃への対応については、ガイドブックを広く配布し、中小企業が行うべき具体的な対策をわかりやすく示してまいります。
 また、従業員のリスク対応力や社内体制を強化するため、標的型メール訓練を実施するとともに、サイバーセキュリティー対策や、BCPの実践に必要な設備導入等の費用を助成いたします。
 こうした多面的な取り組みにより、都内中小企業の危機管理対策を加速させてまいります。
 次に、商店街の取り組みに対する効果的な支援についてでございますが、商店街が持続的発展を果たしていくためには、おのおのの実情に応じたきめ細かな支援を行うことが重要でございます。
 このため、都は、地域に精通した区市町村と連携して巡回相談を実施し、商店街の課題への気づきを促すとともに、その解決に向けた動機づけを行います。また、こうした商店街が戦略的に事業に取り組めるよう、地域ニーズを把握する調査の実施や活性化計画の策定を支援いたします。
 これに加え、商店街が必要に応じて中小企業診断士等専門家の助言を速やかに受けられるよう、派遣の申し込みを随時受け付けることといたします。
 さらに、関係団体向け説明会等を通じ、施策の幅広い周知と活用促進を図り、商店街の自主的な取り組みをより多く引き出してまいります。
 これらにより、商店街のさらなる発展を強力に後押ししてまいります。
 次に、屋外広告を活用した商店街活性化についてでございますが、街路灯などを活用して広告を掲出する商店街フラッグ事業は、地域のために商店街が自主的に行います清掃活動や防災、防犯活動などの財源確保手段として有効でございます。
 都は、区市町村向け説明会等の機会を通じ、地域内の商店街に対して、商店街フラッグ事業の仕組みの説明に加え、その効果についてもさらなる周知を図るよう促してまいります。
 また、この事業を活用した取り組みがより一層広がるよう、屋外での広告掲出にかかわる法令や基準にのっとった具体的なフラッグの掲出方法や、実際の事例等についても周知を図ってまいります。
 こうした取り組みを通じて商店街の意欲的な活動を後押しし、その活性化につなげてまいります。
 次に、東京における農業振興についてでございますが、東京農業の持続的な発展を図るためには、都市農地の着実な保全と、二〇二〇年大会を契機とした都内産農産物の一層の供給拡大に取り組むことが重要であります。
 このため、都みずから生産緑地を一カ所買い取り、多面的機能を発揮するモデル農園の開設準備に着手するなど都独自の農地保全策を推進するとともに、生産緑地の貸借等の制度改正の早期実現を国に強く働きかけてまいります。
 また、都内農業者のGAP認証取得を促進するため、国際、国内認証取得を目指すモデル農家の取り組み事例を広く普及するほか、都市農業の特徴を反映した都独自の基準を設けた東京都GAP制度を早急に構築いたします。
 こうした取り組みを通じて、将来にわたり持続可能な力強い東京農業を実現してまいります。
 最後に、多摩地域の観光振興についてでございますが、多摩を訪れる旅行者をふやすためには、観光PRの一層の充実を図るほか、各地域が集客に役立つスポットをつくるとともに、MICEの誘致に取り組むことが重要でございます。
 これまで都は、東京の観光地を幅広く紹介する情報発信に加え、地域での観光資源の開発や、都心でのMICE開催をサポートする取り組みを行ってまいりました。
 今年度は、多摩地域のPRを重点的に行う観光情報センターを立川駅の商業施設に今月よりオープンし、各自治体や店舗と協力して、旅行者に魅力のある情報を効果的に提供してまいります。
 また、地元で観光資源をつくり、来訪者の誘致に取り組む団体をふやす支援を充実するほか、多摩におけるMICEの受け入れ環境の整備や人材育成の後押しも行います。
 こうした取り組みにより、多摩地域の観光振興を着実に推進してまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自然公園の魅力向上に向けた民間活力の活用についてでございます。
 これまで都は、自然公園におけるボランティア活動の支援やイベントの実施において、民間企業と連携することで事業内容の充実を図ってまいりました。
 今後、ロングトレイルなどの新たな利用形態や、外国人利用者の増加などによる自然公園利用者の多様なニーズに応えていくためには、さらに民間活力を活用していくことが有効でございます。
 そこで、宿泊事業や交通事業などを営む民間事業者の動向や、自然公園との連携に向けた意向を把握するなどの調査を実施し、自然公園の活性化と、その周辺地域の持続的な発展につながる新たな民間活力の活用手法について検討してまいります。
 次に、中小企業者等の高濃度PCB廃棄物の処理完了に向けた取り組みについてでございますが、法で定められました期限までに処理を確実に行うため、都は一昨年度より、工場やオフィスビル等、電気機器を使用している事業者を対象に掘り起こし調査を行っております。その結果、中小企業者等の電気機器の約三割が処理されていないことが明らかになりました。
 このため、中小企業者等に対し、これまで補助対象となっていなかった高濃度PCB廃棄物の収集運搬費の二分の一を補助する制度を今年度から実施いたします。
 今後、高濃度PCB廃棄物を保管する中小企業者等に対して戸別訪問などを行い、補助制度の活用を促し、期限内の処理が確実となるように努めてまいります。
   〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 都内島しょ水道事業体への技術支援についてでありますが、首都圏の水道事業体への支援とともに、都内島しょ地域に対しても、有事、平時を通じたさまざまな課題の解決に向け、東京水道がこれまで培ってきた技術やノウハウを活用していくことは重要であるというふうに認識をしております。
 このため、当局におきましては、昨年夏の利島村での渇水時に、延べ三十五日間に及び当局職員等を派遣したほか、今般の小笠原村に対しても、要請を受けた場合に速やかに技術支援を行えるよう体制を整えてきました。
 今後も、渇水など有事の際の支援を行うとともに、平時における水道施設の適切な維持管理に向けた技術支援等につきましても、島しょ地域の現場ニーズを踏まえ、庁内関係各局と連携して取り組んでまいります。

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