平成二十九年東京都議会会議録第七号

平成二十九年六月一日(木曜日)
 出席議員 百二十六名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番大門さちえ君
四番和泉ひろし君
五番山森 寛之君
六番立石 晴康君
七番大場やすのぶ君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番やながせ裕文君
十一番小松 久子君
十二番西沢けいた君
十三番宮瀬 英治君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番前田 和茂君
二十一番菅野 弘一君
二十二番川松真一朗君
二十三番栗山よしじ君
二十四番小松 大祐君
二十五番木村 基成君
二十六番山内  晃君
二十七番上田 令子君
二十八番おときた駿君
二十九番山内れい子君
三十番中山ひろゆき君
三十一番田中 朝子君
三十二番石川 良一君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番堀  宏道君
四十一番松田やすまさ君
四十二番柴崎 幹男君
四十三番舟坂ちかお君
四十四番清水 孝治君
四十五番鈴木 錦治君
四十六番神野 次郎君
四十七番北久保眞道君
四十八番高椙 健一君
四十九番栗山 欽行君
五十番両角みのる君
五十一番西崎 光子君
五十二番小山くにひこ君
五十三番あさの克彦君
五十四番新井ともはる君
五十五番中村ひろし君
五十六番とくとめ道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番藤井  一君
六十四番和泉 武彦君
六十五番近藤  充君
六十六番ほっち易隆君
六十七番河野ゆうき君
六十八番島崎 義司君
六十九番小宮あんり君
七十番鈴木 章浩君
七十一番きたしろ勝彦君
七十二番田中たけし君
七十三番鈴木 隆道君
七十四番神林  茂君
七十五番早坂 義弘君
七十六番島田 幸成君
七十七番尾崎 大介君
七十八番今村 るか君
七十九番石毛しげる君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番鈴木貫太郎君
八十四番ともとし春久君
八十六番長橋 桂一君
八十七番秋田 一郎君
八十八番中屋 文孝君
八十九番桜井 浩之君
九十番山崎 一輝君
九十一番三宅 正彦君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番山田 忠昭君
九十六番林田  武君
九十七番こいそ 明君
九十八番田島 和明君
九十九番古賀 俊昭君
百番山下 太郎君
百一番酒井 大史君
百二番大西さとる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番高橋 信博君
百十二番崎山 知尚君
百十三番高木 けい君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番野村 有信君
百二十番高島なおき君
百二十一番吉野 利明君
百二十二番内田  茂君
百二十三番柿沢ゆきえ君
百二十四番斉藤あつし君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 なし
 欠員
    八十五番

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事安藤 立美君
副知事川澄 俊文君
副知事中西  充君
副知事山本  隆君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務邊見 隆士君
政策企画局長長谷川 明君
総務局長多羅尾光睦君
財務局長武市  敬君
警視総監沖田 芳樹君
主税局長目黒 克昭君
生活文化局長中嶋 正宏君
オリンピック・パラリンピック準備局長塩見 清仁君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長藤田 裕司君
建設局長西倉 鉄也君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長浅川 英夫君
消防総監高橋  淳君
交通局長山手  斉君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長内藤  淳君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長福田 良行君
人事委員会事務局長松山 英幸君
労働委員会事務局長土渕  裕君
監査事務局長猪熊 純子君
収用委員会事務局長砥出 欣典君

六月一日議事日程第一号
第一 第九十号議案
  東京都公文書の管理に関する条例
第二 第九十一号議案
  行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例
第三 第九十二号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第九十三号議案
  職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第五 第九十四号議案
  職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第九十五号議案
  住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの都道府県知事保存本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第七 第九十六号議案
  住民基本台帳法関係手数料条例の一部を改正する条例
第八 第九十七号議案
  東京都人権プラザ条例の一部を改正する条例
第九 第九十八号議案
  東京都選挙管理委員会関係手数料条例の一部を改正する条例
第十 第九十九号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第十一 第百号議案
  東京都情報公開条例の一部を改正する条例
第十二 第百一号議案
  東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百二号議案
  東京都特定個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百三号議案
  特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第十五 第百四号議案
  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第百五号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十七 第百六号議案
  東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第十八 第百七号議案
  東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十九 第百八号議案
  東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
第二十 第百九号議案
  東京都無電柱化推進条例
第二十一 第百十号議案
  都道における道路標識の寸法に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第百十一号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第二十三 第百十二号議案
  特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第二十四 第百十三号議案
  警視庁神田警察署庁舎(二十九)改築工事請負契約
第二十五 第百十四号議案
  東京消防庁臨港消防署庁舎(二十九)新築工事請負契約
第二十六 第百十五号議案
  都立千歳丘高等学校(二十九)改築及び改修工事請負契約
第二十七 第百十六号議案
  都立神代高等学校(二十九)校舎棟改築工事請負契約
第二十八 第百十七号議案
  警視庁有家族者待機寮駒場住宅(二十九)改築工事請負契約
第二十九 第百十八号議案
  都営住宅二十八CH―一〇六東(江東区豊洲四丁目・江東区施設)工事その二請負契約
第三十 第百十九号議案
  平成二十九年度辰巳排水機場(再整備)ポンプ設備製作据付工事請負契約
第三十一 第百二十号議案
  内川排水機場耐震補強工事請負契約
第三十二 第百二十一号議案
  都立府中療育センター(二十九)改築電気設備工事請負契約
第三十三 第百二十二号議案
  東京消防庁消防学校第一校舎ほか一か所(二十九)空調設備改修工事請負契約
第三十四 第百二十三号議案
  カヌー・スラローム会場整備工事請負契約
第三十五 第百二十四号議案
  平成二十九年度十三号地新客船ふ頭駐車場等用地建設工事請負契約
第三十六 第百二十五号議案
  野川大沢調節池工事(その一)請負契約
第三十七 第百二十六号議案
  扇橋閘門耐震補強工事(その二)請負契約
第三十八 第百二十七号議案
  扇橋閘門耐震補強工事請負契約
第三十九 第百二十八号議案
  多摩市公共下水道使用料徴収に係る受託事務の変更について
第四十 第百二十九号議案
  ヘリコプターの買入れについて
第四十一 第百三十号議案
  エンジン(PT六C―六七C型(ヘリコプター用))の買入れについて
第四十二 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について

   午後一時開会・開議

○議長(川井しげお君) ただいまから平成二十九年第二回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

○議長(川井しげお君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   五番   山森 寛之君 及び
   六十八番 島崎義司君
を指名いたします。

○議長(川井しげお君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松丸俊之君) 平成二十九年五月二十五日付東京都告示第九百二十一号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案四十一件の送付並びに地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づく専決処分一件の報告及び承認についての依頼がありました。
 次に、平成二十九年第一回定例会の会議において同意を得た収用委員会委員及び収用委員会予備委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、平成二十八年度東京都一般会計予算外三件の明許繰越について、平成二十八年度東京都一般会計予算外一件の事故繰越について及び平成二十八年度東京都中央卸売市場会計予算外五件の繰り越しについて、それぞれ報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
(別冊参照)

○議長(川井しげお君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第一回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(九ページ)に掲載〕

○議長(川井しげお君) 次に、閉会中の常任委員の所属変更について申し上げます。
 去る五月十五日付をもって、野上ゆきえさんより、総務委員から財政委員へ、大西さとる君より、財政委員から総務委員へ、それぞれ常任委員の所属変更の申し出がありましたので、委員会条例第五条第三項ただし書きの規定により、議長において、それぞれ同日付をもってこれを許可いたしました。

○議長(川井しげお君) 次に、閉会中の議会運営委員、オリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員、豊洲市場移転問題特別委員並びに豊洲市場移転問題に関する調査特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名をいたしました。
   〔議会運営委員、オリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員、豊洲市場移転問題特別委員、豊洲市場移転問題に関する調査特別委員辞任・選任名簿は本号末尾(一一七ページ)に掲載〕

○議長(川井しげお君) 会期についてお諮りをいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から六月七日までの七日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、会期は七日間と決定いたしました。

○議長(川井しげお君) 次に、議員の表彰についてお諮りをいたします。
 百二十二番内田茂君及び百二十一番吉野利明君には、東京都議会議員として、多年にわたり地方自治の確立と都政の進展のために貢献せられ、その功績はまことに顕著であります。
 本議会は、その功労を多とし、表彰することにいたしたいと存じますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、本議会は、両君を表彰することに決定をいたしました。
 お諮りをいたします。
 表彰文は議長に一任せられたいと存じますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認め、さよう決定をいたしました。
 これより、議長において起草いたしました表彰文により表彰をいたします。
    表彰状
内田  茂殿
 あなたは東京都議会議員として
 多年にわたり
 常に都政の発展に貢献され
 その功績はまことに顕著であります。
 ここに永年の功労を多とし表彰します。
   平成二十九年六月一日
東京都議会
   〔拍手〕

    表彰状
吉野 利明殿
 あなたは東京都議会議員として
 多年にわたり
 常に都政の発展に貢献され
 その功績はまことに顕著であります。
 ここに永年の功労を多とし表彰します。
   平成二十九年六月一日
東京都議会
   〔拍手〕
 なお、表彰状の贈呈については、議長において取り計らいたいと存じますので、ご了承願います。

○議長(川井しげお君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事小池百合子さん。
   〔傍聴席にて発言する者あり〕

○議長(川井しげお君) 傍聴人、ご静粛に願います。ご静粛にお願いします。
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 平成二十九年第二回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。
 ただいま、多年にわたり都政に貢献された二名の議員の方々、表彰をお受けになりました。都政の発展に尽くされたご功績に対して、深く敬意を表し、心からお喜びを申し上げます。
 冒頭、市場の移転問題に関して、私の考えを申し述べさせていただきます。
 豊洲に移転すべき、築地に残るべきなど、さまざまな意見があることは理解をいたしております。そして、移転すべきという意見の中では、きちんと安全を担保して移転すべきという都民の皆様のお声が多いことも、もちろん承知をいたしております。
 私が豊洲への移転の延期を決めた最も大きな要因は、豊洲市場の安全性への懸念、二年間の地下水モニタリングの結果を見届けることにございました。結果はご存じのとおり、これまでの都知事が市場業者の皆様、都民の皆様にお約束をし、都議会が付帯決議をした無害化が達成できていないという状態であります。業者の皆様が、約束が違うではないかと憤る中、専門家会議は休会の状態にあります。
 しかし、無害化を約束したのは専門家会議ではありません。かつての都知事を初め、東京都であります。都議会での付帯決議も、法的拘束力を有するものではないとはいえ、尊重されるべきものでございます。
 現場を担う業者の皆様には、お約束を守れなかったことを都知事としておわびを申し上げます。また、八百六十億円もの土壌汚染対策を施しながら、いまだお約束を守れていないことを都民の皆様におわびを申し上げます。
 さて、過去二十年の間に、東京はアジアナンバーワンの金融拠点の地位をシンガポールや香港に奪われ、物流拠点は上海、ハブ空港は仁川のそれぞれ後塵を拝しつつあります。これまでの延長線をなぞるだけの都政では、躍動感あふれる東京を復活させることはできません。
 私が昨年八月に都知事に就任して以来進めてきた東京大改革は、首都東京を将来にわたって、経済、福祉、環境などあらゆる分野で持続可能な新しい東京へと再構築することであります。世の中の既成概念、そして一部の人たちの既得権益やなれ合いで物事を決めているようでは、都民のための改革などなし得ないのであります。
 今日、時代の流れは余りに速く、新たな段階に入った北朝鮮の脅威や総選挙を来週に控えたイギリスのEU離脱問題を初め、国際情勢も激動のさなかにあります。こうした中にありまして、東京が世界の都市間競争に打ち勝ち、成長を続けていくためには、時代の流れ、環境の変化を的確に捉え、グローバルな視点を持ちながら、山積する課題に果敢に取り組まなくてはなりません。なすべきことをなしてまいります。
 そのための基礎として、都は、都民ファースト、情報公開、賢い支出の三つの原則を徹底いたします。これまでの都政の体質を変えていかなければなりません。その上で、都民の皆様とともに大義と共感のある都政を進め、なすべきビジョンであるセーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーの三つのシティーを実現する。この東京大改革をなし遂げることこそ、都知事としての私の最大の目標でございます。
 都の体質を変える装置として就任直後に設置した都政改革本部のもと、各局は互いに切磋琢磨しながら、政策の見直し、都民サービスの向上、そして事業の効率化のための合計四百八十六件の自律改革に取り組んでまいりました。若手からベテランまで、職員に改革マインドを浸透させつつ、今後もさらに高い次元の改革を進めてまいります。
 都政の一層の透明化に向けては、二つの条例案を本定例会に提案をいたしております。情報公開条例の改正により、公文書について、閲覧手数料を廃止し、紙による写しの交付手数料も最低限とするほか、ICTを活用して、データの無料での提供も進めてまいります。
 また、新設する公文書の管理に関する条例は、公文書の適正な管理こそ情報公開の基盤であると位置づけ、その適切な整理、保存や厳格な手続のもとでの廃棄、文書による事案決定などを徹底するものであります。
 この二つの条例案をてことして、都民に開かれ、都民とともに進める都政に向けた透明化をさらに前進させて、情報公開を都の文化としてしっかりと根づかせていきたいと考えております。
 二月の施政方針表明において、これまでの組織、制度、政策の全てを包括的に見直すとした今後の都政改革では、三つの新たな改革を進めてまいります。
 第一は仕事改革。これは、個々の職員に着目し、その仕事のやり方、職場環境を広く見直して、生産性の向上とライフワークバランスの実現を目指すものであります。
 第二は見える化改革。各局の主要事業について、コスト、人員、成果を数値によって見える化し、他の都市や民間企業との生産性の比較も行うものであります。これによりまして、今後の政策の見直しや効率化、監理団体や民間企業との役割分担の抜本的見直しを行うなど、これまで現場レベルで取り組んできた自律改革を経営戦略改革のレベルへと引き上げてまいります。
 そして、第三は仕組み改革。ここでは情報公開や内部統制の取り組みを一層強化するとともに、監理団体、報告団体の役割のあり方や、人事制度、行政評価といった各種管理ツールの見直しなど、執行体制の強化等に取り組んでまいります。
 これら三つの改革の原点は、都民ファースト、情報公開、賢い支出であります。この三つの物差しに照らし、若い職員の意見も参考にしながら、各局はみずからの政策や事務等を点検し、局の未来の姿を考えてまいります。
 そして、都政改革本部は、今後、三つの改革を有機的に連携させる司令塔と位置づけます。既に四月から取り組みを始めておりまして、年度末には、向こう数年にわたって持続的な改革を進めるための二〇二〇改革プランを策定してまいります。
 入札契約制度についても、都民に疑念を抱かれないための透明性の確保に向け、改革を進めております。(発言する者あり)業界団体へのヒアリング結果を踏まえ、実施方針について中小の事業者にさらに配慮した見直しを加えた上で、今月下旬から制度改革の試行に取り組んでまいります。
   〔発言する者あり〕

○議長(川井しげお君) 静粛にしてください。

○知事(小池百合子君) これらの改革を担う職員は、今、都民ファーストの視点、視野を広げて常にチャレンジ、ライフワークバランスの実践の三つをミッションとして、新たな発想で希望あふれる東京を実現すべく、日々取り組んでおります。
 先月には、都民に信頼される都政であり続けるため、職員が遵守すべきコンプライアンス基本方針を制定いたしました。これまでに三回開催した東京未来ビジョン懇談会におきましても、各分野の気鋭の若い皆さんが数々の幅広いアイデアを提起し、明るい未来を切り開くための大いなる刺激を与えてくれております。
 都政が着実に変わりつつある中、引き続き職員の先頭に立って、誰もが輝く新しい東京に向けた東京大改革を力強く進めてまいります。
 東京の明るい未来を築くために、都政は今、何をなすべきなのでありましょうか。このことを問いかける象徴的な問題が市場問題であります。五十年、百年の鳥の目で市場のあるべき姿を考え、真に都民のためとなる結論を導いて、未来の都民にも責任を果たしていく。そのためには、問題をどちらが安全か安心かという一点で捉えるべきではありません。
 もとより安全・安心は、この問題における最大の課題であります。豊洲市場につきましては、無害化が実現できていない中、法的、科学的根拠に基づく安全と、都民の理解、納得に基づく安心が確保できるのか、ロードマップに沿って総点検を進めております。
 さらに忘れてはならない視点は、市場の移転が長年議論されている間に生じた物流環境の変化、そして都民にとっての費用と効果であります。築地市場における水産物の取扱数量は年々減少し、三十年前の約半分となっております。こうした環境の変化を踏まえまして、今後の市場の経済合理性、持続可能性も検討して、的確な結論を導いていく必要がございます。
 専門家会議、市場問題プロジェクトチームはそれぞれ審議を重ねており、先日は築地市場における土壌汚染調査の結果も明らかになりました。市場のあり方戦略本部では、こうした多面的な分析や市場を取り巻く環境などを全て議論のテーブルにのせ、市場業者、流通業界、生産地等の皆様の意見も伺いながら、まさにこれからの市場のあるべき姿について、集中的、戦略的に総点検をしている最中であります。その結果を踏まえまして、行政のトップとして、東京の未来に責任を持った総合的な判断を行ってまいります。
 続いて、オリンピック・パラリンピックについて申し上げます。
 まず、情報公開についてでございます。
 ロンドン、リオの両大会で公開されていたIOCとの開催都市契約は、東京大会につきましても、IOC、JOC、組織委員会との協議が調いまして、先月公表をいたしました。
 次に、大会の費用負担などのあり方でございます。
 都は、開催都市としての責任を真摯に受けとめて、その役割をしっかり果たしていくことを基本とし、関係者との協議や自治体との作業チームを主導してまいりました。昨日、関係自治体等連絡協議会の場で、都、組織委員会、国、競技会場が所在する自治体との間で、大会の役割分担、費用負担に関する基本的な方向について、合意に達したところでございます。
 都は、会場関係では、都及び他県市が所有する施設において大会時のみ使用する仮設の整備費や賃借料等の経費を負担いたします。また、運営関係では、大会時の都民生活に与える影響を最小とするように、都内会場周辺の輸送やセキュリティーに要する経費を負担することといたしました。
 各関係者は、それぞれ役割と負担を受け持つ基本的な考え方に合意をして、組織委員会は一千億円の増収を見込み、国はパラリンピックやセキュリティー対策、ドーピング対策などの経費を負担いたします。加えて、一兆六千億から一兆八千億円とされた大会経費については精査を進めて、昨年十二月の段階から一千億円以上を圧縮することができました。こうした状況は、経費について都民の理解を得るための大きな前進であると考えております。
 今回、都は開催都市として主導的に調整を行い、関係者間の合意に至りました。引き続き、さらなる経費の縮減、効率化を図り、必要な財源を確保しながら、この合意に責任を持って対応してまいります。さらに今後は、この枠組みのもとで大会準備の進行管理を進めるため、都、組織委員会、国、関係自治体が共同いたしまして、コスト管理及び予算の執行統制の強化を図る仕組みを具体化してまいります。
 今回の合意によりまして、オールジャパンの体制の礎をしっかりと築くことができました。今後、大会の成功に向け、関係者一丸となって準備を加速してまいります。
 大会に向けました都民、国民の皆様との一体感も、確実に高まってきたと感じております。メダル製作のために小型電子機器を集める取り組みは、都庁舎での受け付け数が三カ月で三万個を突破し、パラリンピックの魅力が詰まったイベント、NO LIMITS SPECIALにも、大型連休中の二日間で約五万二千人の皆様にご来場いただきました。パラスポーツのファンサイト、チームビヨンドには五十三万人を超える方々にご参加いただいており、さらに大きなチームとしたいと考えております。パラリンピック競技応援校の取り組み、特別支援学校と小中学校によるボッチャ交流大会なども通じまして、オリンピックとともにパラリンピックを大いに盛り上げて、まちの段差の解消、共助の社会づくりなど、成熟都市東京の一層の進化にもつなげてまいります。
 今月二十四日には、ラグビー日本代表のテストマッチが行われます。相手のアイルランド代表は、ラグビーワールドカップ二〇一九の一次リーグでも対戦する屈指の強豪でありまして、世界トップレベルの力、わざ、スピードを目前にできるこの一戦は、二〇二〇年大会への期待も高めてくれるものと確信しております。
 そして、来月の二十四日から九月六日までは、三年後にオリンピック・パラリンピックが開催される期間に当たります。この間、誰もが親しむラジオ体操を活用した機運醸成に重点的に取り組むなど、オリンピック・パラリンピック期間を日本中に強く印象づけたいと存じます。
 東京文化プログラムも多くの都民が参加できる活動への支援を充実いたしまして、東京全体で盛り上げてまいります。
 さらに、一八六八年に江戸が東京へと改められまして百五十年の節目に当たる来年には、さまざまな事業を通じて都民とともに東京百五十年を祝う中で、東京への愛着と大会に向けた一体感を一層高めていくチャンスと考えております。世界の注目を集める大会のホストシティーとして、都民、国民の皆様の期待を膨らませる取り組みをますます充実させて、オールジャパンで必ずや大会を成功させてまいります。
 東京大改革により目指す三つのシティー。その実現のための取り組みも着実に進めておりまして、引き続き都民の皆様とともに加速してまいります。
 三十年以内に七〇%の確率で発生するといわれます首都直下地震。改めて、いつ発生してもおかしくないとの危機感を持ちながら、倒れない、燃えないまちづくりを推し進めてまいります。
 無電柱化の推進については、都道府県では初となる条例案を本定例会に提案をいたしております。都市防災の機能強化、良好な都市景観の創出など、無電柱化の大義を明確にして、都道への電柱新設を禁止するとともに、区市町村との連携やコスト縮減につながる技術開発などを進めてまいります。都民の皆様の理解を深めるべく、啓発イベント、シンポジウムなども展開をいたしまして、これまでの遅々とした取り組みを都民の共感、新たな技術、関係機関との連携の心技体をそろえて加速してまいります。
 三月には、防災都市づくり推進計画整備プログラムを更新いたしました。引き続き延焼遮断帯の形成に努めるとともに、緊急車両の通行、円滑な避難、救援等を可能とする防災生活道路の整備、木造住宅密集地域の改善を集中的に行う不燃化特区の取り組みをさらに促進してまいります。平成三十二年度までに、延焼による市街地の焼失をゼロとする燃えないまちを実現すべく、住民の皆様の理解と協力を得るための工夫も凝らしながら取り組んでまいります。
 災害発生時、被災者の方々の支えとなるのが、困難な状況にしっかりと目配りしたよりきめ細かな対策でございます。そこで、避難所における着がえ、授乳への配慮など、女性視点の対策を充実させる防災ブックの作成に向け、先月、各分野で防災に取り組む女性による検討委員会を立ち上げました。あわせて、女性視点の対策の旗振り役となる人材育成に向けた取り組みも進めております。ハード、ソフトの両面から、迫りくる脅威への備えを万全なものとしてまいります。
 さて、四月には、大規模地震から一年となる熊本を訪問してまいりました。福島、宮城、岩手と同様、被災地の今をこの目で見るたびに、改めて、復興を加速させる力を日本中から結集させねばならない、だからこそ復興五輪であるとの思いを強くいたしております。
 今月、熊本においては、現地の食品業者と都内の百貨店等を結びつけて、熊本の食の魅力発信と販路拡大につなげるための商談会を開催いたしますが、引き続き被災地の皆様に安全、安心、元気に暮らしていただけるよう後押ししてまいります。
 先日、都民の生活を守る最前線である警視庁の現場を視察し、都知事として、都民の生命と財産を全力で守らなければならないとの決意を新たにいたしたところでございます。世界に目を転じれば、北朝鮮によるたび重なるミサイル発射、各地で相次ぐテロ行為、日本でも被害が見られた大規模なサイバー攻撃など、東京にとっても看過できない脅威が広がっております。二〇二〇年大会を見据え、東京を取り巻く脅威をしっかりと認識し、関係機関と緊密に連携しながら、都民の希望と活力の基盤である安全・安心を確保してまいります。
 一昨日には、児童のいわゆる自画撮り被害の防止につきまして、青少年問題協議会から答申をいただきました。青少年を脅かすこうした深刻な課題にも、的確に対応してまいりたいと存じます。
 四月に公表されました我が国の将来推計人口におきまして、五十年後には生産年齢人口が約四割減るとされた中、明るい未来に向けた活力を高めていくために、誰もがその能力を存分に発揮できる社会を築いてまいります。
 女性が育児か仕事かの二者択一を迫られている現状を打開すべく、待機児童対策には大胆に予算を配分いたしました。保育士の処遇改善や、企業が従業員のために設置する企業主導型保育施設の開設費用の一部助成など、多面的な取り組みを進めております。
 都が所有する土地、建物を活用した保育施設の整備につきましては、区市町村を介した保育事業者への貸し付け、区市などへ移管した土地、建物の保育施設への柔軟な用途変更を可能とした結果、昨年九月以降、既に九件の施設が整備されることとなり、うち一件は四月に開所したところであります。
 同じく四月には、国家戦略特区によります都市公園内への保育所設置の特例につきまして、全国初の認定を受けた都立汐入公園内の施設が開所しております。この特区の特例により確保する保育所の定員は、この先開所するものも含めますと約一千二百人に上りまして、都の取り組みを先駆けとし、今後、都市公園内への保育所設置は全国で解禁されることとなります。
 引き続き、都が全国の取り組みを牽引するとの気概のもと、施設の整備促進に知恵を絞ってまいりたいと考えております。
 保育人材を幅広く確保するため、求人情報や就労への支援策を発信して、求職者、離職者と保育施設とのマッチングに向けたサポートをウエブ上で行います人材情報バンクの運用も、来年一月を目途に開始いたします。預かり保育の大幅な拡充、小規模保育施設の卒園児受け入れに積極的な私立幼稚園をTOKYO子育て応援幼稚園と位置づけまして、都の支援を充実することで、利用者の選択肢も広げてまいります。
 このように保育サービスを拡大すれば、子供を預けて働きたいと考える女性もふえてきています。さらに、今年度から待機児童の定義が見直され、育児休業中でも復職の意向がある保護者の子供も含めることとなりました。こうした中でも、待機児童の解消に断固たる決意を持って取り組み、保育サービスを利用する児童を平成三十一年度末までに七万人ふやすとの目標を是が非でも達成しなければなりません。
 その第一歩として、昨年度は児童の受け皿となる保育施設の定員を約二万人分整備いたしました。今後とも、スピード感を持って、区市町村ともしっかり連携しながら、働く女性を応援するための果敢な取り組みを進めてまいります。
 高度経済成長期以来、東京の一つの代名詞ともいえますのが、長時間労働と満員の通勤電車であります。ライフワークバランスを妨げ、個人がスキルアップするための時間も活力も奪うこうした状況を放置すれば、働き手が減少していく中で、経済の停滞を招きかねません。
 時間や場所にとらわれない働き方であるテレワークは、こうした懸念を打破する起爆剤となりましょう。来月、テレワークの体験、相談やコンサルタント派遣等の支援をワンストップで提供する東京テレワーク推進センターを国とともに開設いたします。隣には、四月に設置したTOKYOライフ・ワーク・バランス推進窓口が並んで、両者を相互に連携させながら、東京の働き方改革を力強く牽引してまいりたいと思います。
 鉄道の混雑緩和に向けましては、来月十一日から約二週間、快適通勤ムーブメントを展開いたします。時差ビズと銘打ちまして、テレワーク、フレックスタイムの活用、オフピーク通勤への特典付与など、混雑緩和のための一斉の取り組みを企業や鉄道事業者等に呼びかけてまいります。
 ムーブメント期間中には、オリンピックの開会式の日に当たる七月二十四日を迎えますが、大会に訪れる世界中からのお客様に都内をスムーズに移動していただく、おもてなしの観点からも、混雑緩和は重要であります。国も、この日をテレワーク実施を呼びかけるテレワークデーと位置づけておりまして、二〇二〇年大会を契機といたしまして、時差ビズをクールビズに続く東京の新たな常識として定着させたいと考えております。
 グローバル化がますます進展する今日、特に若い世代が活躍の場を広げるためには、英語力は必須のパスポートであります。今年度から都立高校の一部において、時事問題や身近な話題のディスカッションなど、授業以外の時間にも英語を使う機会を拡大いたしまして、実践的な英語力を高めるプロジェクトを開始いたします。また、留学生との交流を英語力の向上や国際感覚の醸成などにつなげていくために、日本が強みといたします科学技術分野や伝統的な日本文化に触れる機会などを盛り込んだプログラムを用意して、海外の高校生の受け入れを促進してまいります。
 教育は、生涯にわたって生き生きと活躍するための礎となるものでございます。しかし、学校が抱える課題が複雑化、多様化して、多くの教員が授業の準備時間の不足などに悩む中にあっては、その礎も揺らぎかねません。教員の働き方を見直して、教育の質の維持向上を図るための学校の働き方改革推進プランを今後策定してまいります。未来を担う児童生徒一人一人が、その可能性を存分に伸ばすことができるよう、教育現場の実情にもしっかりと目を配ってまいります。
 誰もが活躍できる環境を整えるとともに、いつまでも安心して暮らせる地域社会をつくり上げることこそ、ダイバーシティー実現の鍵であります。高齢者も障害者もともに過ごし、必要な支援を受けられる共生型サービスの推進、生活困窮者の支援体制の整備、福祉人材の確保など、分野を超えたきめ細かな対応を充実させる地域福祉支援計画の策定に向けまして、今月下旬には有識者等によります検討を始めてまいります。
 また、より多くの子育て世帯を居住面から支援するため、都営住宅に入居できる収入基準を引き上げる特例の対象を、高校修了期までの子供のいる世帯にまで拡大する条例案を本定例会に提案いたしております。将来への安心感が活力を生み出し、誰もが生き生きと毎日を送ることができる東京を実現してまいります。
 世界をリードする国際都市東京の実現に向けて、激化する都市間競争に打ち勝つ成長戦略を展開してまいります。
 昨年、東京を訪れた外国人旅行者は約一千三百十万人と、過去最高を記録いたしました。世界の注目がますます高まる中、東京の魅力を海外へわかりやすくアピールする新たなアイコン、そして、キャッチフレーズが、Tokyo Tokyo Old meets Newであります。筆文字とゴシック体の二つのTokyoを並べましたデザインは、国外からも伝統と革新の共存を感じさせるとの意見を多くいただいております。
 海外の方々に人気の渋谷スクランブル交差点をイメージした落款が、東京で待つ新たな出会いへの期待を一層膨らませる。そんなデザインとともに、伝統的な食や文化から、最先端のファッション、アニメまで、見どころ満載の東京の魅力を余すところなく発信をしてまいります。
 先月、伝統のわざを受け継ぐ職人と、革新性に富むデザイナーとの協働による東京手仕事プロジェクトの商品発表会にも出席をいたしました。伝統と革新が融合した新たな商品の大いなる可能性を肌で感じてまいりました。
 東京には、江戸東京の伝統に根差され、そして、すぐれた技術や産品など、私たちが気づいていない数多くの宝物が存在をいたしております。昨年十二月に立ち上げました江戸東京きらりプロジェクトでは、こうした宝物に衣食住といった視点から光を当てて、東京ブランドへと磨き上げる取り組みを進めておりまして、本日からはそうした取り組みを牽引するモデルとなる事業の公募を開始いたします。二〇二〇年には二千五百万人の外国人旅行者をお迎えするPRIME観光都市・東京の実現に向けて、数々の宝物で世界を魅了してまいりたいと思います。
 我が国のGDPに占める割合を、現状の五%からイギリス並みの一〇%台へと倍増させると、GDPを約三十兆円押し上げるとされる金融分野。そして、IoT、AI、フィンテックなど、日本経済の中長期的な発展の鍵を握る先端分野。これらの活性化は、東京の成長戦略の中核であります。
 金融活性化に向けた抜本的対策を検討する国際金融都市・東京のあり方懇談会では、先月、議論の中間取りまとめが行われました。秋には、懇談会の最終提言を参考にして、アジアナンバーワンの国際金融都市の実現に向けた新たな構想を打ち出してまいります。また、海外の金融系企業や革新的技術を持つ企業の誘致を加速するため、金融関連手続の支援等をワンストップで行うサービスを開始したほか、海外における窓口も開設をいたしました。現在、国に提案している外国人の新たな在留資格特例の創設も含めた攻めの誘致を展開し、東京における今後の成長分野の発展につなげてまいります。
 一方で、足元の経済に対する目配りも忘れてはなりません。東京の産業を支える中小企業に対しましては、経営改善やさらなる成長を目指す企業への経営診断、専門家派遣をふやすなど支援を加速してまいります。
 加えて、今年度からは、製品やサービスのブランディングによりまして、業界や産地の活性化を目指す中小企業団体のプロジェクトに対し、調査分析から事業化に至るまでの包括的な支援も開始してまいります。人材確保や知的財産面からの海外展開のサポートなどを含めまして、幅広い取り組みによりまして、中小企業の経営力、稼ぐ力を高めていきたいと存じます。
 資源小国という現実に立ち向かうべく、我が国が技術を磨いてきた省エネルギー化はまさに成長戦略、今後も徹底して進めていかなければなりません。来月、家庭で使われている白熱電球二個以上をLED電球一個と交換する取り組みを開始いたします。仮に、白熱電球四個を全てLEDに取りかえ、一日八時間使用したといたしますと、一世帯当たり年間で約一万三千六百円の電気料金削減が見込まれ、各家庭で省エネ効果を実感していただくことで、日本の技術の粋であるLED照明の普及を一気に進めてまいります。
 世界が地球温暖化と闘う中で、CO2を排出しない水素エネルギーの実用化も、今後の成長戦略となり得ましょう。先般、公表した選手村地区エネルギー整備計画におきましては、大会後の選手村地区に水素ステーションを整備し、燃料電池バス、そして、住宅棟などで水素を活用して、環境負荷の低減を図るほか、そのすぐれた貯蔵性を生かしまして、災害時の自立性を高めることなどをうたっております。近々、これらの取り組みを実施する事業者を公募いたしまして、この地区を将来の水素社会のモデルとしてまいりたいと考えております。
 未来を見据えた数々の成長戦略のその先に、どのような都市像を実現するのか。その基本的な方針となる都市づくりのグランドデザインの素案を先月公表いたしました。環境、社会、ガバナンス、すなわちEnvironment、Social、GovernanceのESGに配慮した都市づくりを進め、緑、まち、人を守っていく。新たな価値を生み続ける場として世界中から選択される都市、あらゆる人が多様なライフスタイルを選択できる都市を実現してまいります。そのような都市づくりの目標を掲げております。
 今後、広く都民の皆様の意見も聞きながら、夏には取りまとめ、持続的に発展する高度成熟都市をつくり上げてまいります。
 知事就任から三百日。この間、精力的に多摩・島しょ地域に足を運んでまいりました。先月開催いたしました多摩の明日を考えるワークショップでは、多摩の将来を語る地域の皆様の議論を拝見して、さらなる飛躍に向けた現地の熱気を感じてまいりました。こうした実感を、夏にまとめる多摩の振興プランにも取り入れながら、地域とともに多摩の一層の振興に力を尽くしたいと存じます。
 多摩・島しょ地域は十の自然公園を有し、その総面積は東京全体の約三六%を占めております。この雄大な自然を確実に守りながら、誰もがそのすばらしさを体感できる環境を整備していくため、自然公園の総合的なビジョンとしては全国初の東京の自然公園ビジョンを先月策定いたしました。
 民間事業者とも連携をして、内外の多くの方々にその価値や魅力を発信するなど、都民の財産であります自然公園のポテンシャルを最大限に発揮していくとともに、多摩・島しょ地域を初めとする東京のさらなる魅力向上につなげていきたいと存じます。
 今月二十日には、多摩地域で初となる東京観光情報センターを立川にオープンいたします。船舶で島々を訪れる婚活ツアーも夏には実施できるよう後押ししてまいります。豊かな自然や地域資源、特色ある産品など、それぞれの地域で光る宝物に新たな価値をつけ加え、人々を引きつけるブランドへと高めて、働く場所の創出にもつなげていく視点を持ちながら、多摩・島しょのさらなる活力を生み出して、東京をますます元気にしていきたいと考えております。
 これまで、希望あふれる東京を実現するための施策について申し述べてまいりました。産業構造しかり、技術開発しかり、比類なき速さで世界が変化していく中で、そのスピードにおくれることなく、将来を見据えた都政を力強く前へ進める所存でございます。
 最後に、この所信表明を、百年前に今の東京の骨格をつくった後藤新平の言葉で終わりたいと存じます。
 人は日本の歴史に五十ページ書いてもらうより、世界の歴史に一ページ書いてもらうことを心がけねばならぬ。
 その意志をしっかりと受け継ぎ、世界をリードする新しい東京を築くため、全力で邁進してまいる所存でございます。
 さて、本定例会は、都議会の皆様にとりましては、現任期最後の定例会となります。この四年間、東京の発展に力を尽くされたことに心より感謝を申し上げます。昨年夏の都知事就任以来、東京大改革の旗を掲げ、都政がかつてないほど注目を集める中にありまして、都議会においてもさまざまな改革への動きがあったことと認識をいたしております。さらなる改革、そして、真に都民ファーストの都政の実現に向け、同じ志を持つ皆さんとともに歩んでまいりたいと存じます。
 現任期を最後にご勇退される方々、これまでのご労苦に対しまして、都民を代表いたしまして改めて深く敬意を表したく存じます。そしてまた、改選を迎えられる皆様方には、心よりのご健闘をお祈り申し上げます。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、条例案二十三件、契約案十五件など、合わせまして四十二件の議案を提案いたしております。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
 以上をもちまして私の所信表明を終わりとさせていただきます。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(川井しげお君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(河野ゆうき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りをいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認め、さよう決定をいたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会をいたします。
   午後一時四十五分散会


文書質問趣意書及び答弁書

29財主議第129号
平成29年5月24日
東京都議会議長
川井しげお殿
東京都知事
小池 百合子

文書質問に対する答弁書の送付について

 平成29年第一回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

塩村あやか議員
小松久子議員
宮瀬英治議員
菅野弘一議員
尾崎あや子議員
松田やすまさ議員
鈴木錦治議員
北久保眞道議員
中村ひろし議員
斉藤あつし議員
山崎一輝議員
石毛しげる議員
崎山知尚議員

平成29年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 塩村あやか

質問事項
一 配偶者暴力対策について

一 配偶者暴力対策について
 先般、東京都男女平等参画推進総合計画(素案)-Ⅱ 東京都配偶者暴力対策基本計画-が示されました。年間1万件近い相談が都に寄せられ、その数は高止まりしており、減少する気配がありません。警視庁への相談も平成14年度比で6倍近くまで増加をしています。
 さて、配偶者暴力(以下DV)の被害者の殆どは女性であり、9割を超えています。これは性差により力の差が生じていることや、経済的な自立の問題もあることから、女性のほうが社会的にも弱い立場に置かれていることも一因と考えられます。
 答申が発表された段階の頃、DVについて複数の相談が私のもとに寄せられ、東京都に相談をさせて頂いたところ、まったく解決の糸口すらみえないという状況になっていました。すべての相談が被害者が自分で相談窓口にアクセスできず、周囲が見かねて相談をしてくるという案件でした。
 一例を紹介すると、公衆の面前で妻を殴打し驚いた近隣住人が相談をしてきたケースですが、夫は「認知症の指導だ」と主張をし、妻は「(顔のあざは)転んでできただけです」と正直に話しません。携帯電話も持っておらず、本人が直接的に救済を求めていないと何もできない状態です。
 もう一件は悲惨なケースで詳細は記しませんが、壮絶な生活を強いられているにも関わらず、恐怖から周囲に助けを求めることもできず、携帯電話も所持しておらず、見かねた知人が相談をしてきました。私は都に相談をしましたが、結局何もできないままでした。このケースは周囲の協力で加害者が逮捕され解決をみましたが、こうした被害者が救済されるケースは氷山の一角であると推察されます。
 いずれのケースも自発的な相談が難しく、壮絶な生活を強いられ、直接的な表現は避けますが、人生を搾取されているといっても過言ではなく、人権の侵害にもつながっています。
 こうした自分たちで「相談できない」「相談したところでその後の人生はどうするのか考えると、相談する気もない」という女性たちが多くいることは明らかです。
 答申には被害者が相談窓口にアクセスができない場合についての記述がないことを指摘させて頂いたところ、後日発表がされた計画素案には「相談をしたくても相談する方法がわからない等で悩んでいる潜在的被害者については、相談につながるよう、より多くの人への相談窓口の周知方法について検討します」と明記し、前進していたことは高く評価ができます。
 ここで重要なのは、周知(広報)を拡充することだけでは、解決にならないことです。さきほど記したような「氷山の一角」で苦しみ、様々な搾取をされている女性たちをどのように東京都は「発見し、支援につなげていくのか」です。
1 そこで、東京都はこうした被害者を発見し、相談につなげるため、どのような施策を行っていくのでしょうか。
 施策目標(2)において、早期発見体制の充実とあり、〔1〕医療機関における適切な対応 〔2〕保健所や保健センターにおける適正な支援 〔3〕学校、幼稚園、保健所職員に対する意識啓発等 〔4〕民生委員・児童委員への研修の実施 〔5〕警察における通報への対応 が記されています。
 しかし、これでは、私の元に相談が寄せられているケースには当てはまりません。つまり、救えないのです。
2 潜在的被害者の多くを救済できるよう、「早期発見体制」については、地域住民との連携の明記なども必要ですが、見解を伺います。
3 また、都度必要な対応ができるよう、柔軟に対応をして同基本計画に記されていないことも東京都は柔軟に対応できるのか伺います。

平成29年第一回都議会定例会
塩村あやか議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 配偶者暴力対策について
1 都は、自分で相談窓口にアクセスできず、周囲が見かねて相談をしてくるような配偶者暴力の被害者を発見し、相談につなげるため、どのような施策を行っていくのか、見解を伺う。

回答
 都では、お話にあるような、自ら相談窓口に連絡できない配偶者暴力の被害者がいることは、認識しています。
 都では、より多くの都民の方に、配偶者暴力に対する正しい認識と理解を促し、暴力の防止や早期発見に向けた意識を高めていただく必要があると考えています。そのため、都民の方を対象とした講演会を実施するほか、区市町村の協力を得て、パンフレットやPRカード等を配布するなど、配偶者暴力の防止に向け、様々な手段で啓発活動を行っています。
 さらに、職務を通じて被害者を発見する可能性のある医療関係者、学校・幼稚園・保育所の教職員、民生委員・児童委員等に対する研修や情報提供を実施しています。
 被害者の早期発見に向けた取組の一層の充実を図っていきます。

質問事項
一の2 潜在的被害者の多くを救済できるよう、東京都配偶者暴力対策基本計画の施策目標(2)「早期発見体制」については、地域住民との連携の明記なども必要だが、見解を伺う。

回答
 都では、被害者の身近な人たちが配偶者暴力の被害に気づき、相談につなげることができるよう、東京ウィメンズプラザを中心に、先述のとおり、都民に対する啓発活動や職務関係者に対する研修・情報提供などを行っており、配偶者暴力被害者の早期発見に向け、体制の充実に努めていきます。

質問事項
一の3 潜在的被害者の救済のためには、都度必要な対応ができるよう、柔軟に対応して同基本計画に記されていないことも都は柔軟に対応できるのか伺う。

回答
 被害者支援に当たっては、「東京都配偶者暴力対策基本計画」に基づき、本人の意思を尊重しながら、一人一人の状況に応じた適切な対応を図っていきます。

平成29年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 小松久子

質問事項
一 公文書管理と情報公開について
二 警視庁からの機動隊等の派遣について

一 公文書管理と情報公開について
1 公文書管理について
 公文書管理の現状について伺います。
ア 2015年度の東京都公文書館年報によると、当該年度に長期保存文書12,350件、有期保存文書505件、資料文書2,775件が引き継がれたとされています。公文書館への引き継ぎの考え方について伺います。過去にさかのぼると何年までデータがあるのか、また過去10年度分の数字もお示しください。併せて、廃棄文書の実績についても伺います。
イ 2015年度の東京都公文書館年報によると、30年経過後の評価公開件数は示されていますが、評価対象となった件数などが明らかではありません。東京都文書管理規則第54条第3項に基づく公文書館長が歴史的資料としての保存価値等を再評価した結果、保存しないとした件数、保存するとした件数、保存し評価公開した件数について、現存するデータをお示しください。
ウ 豊洲新市場に関する公文書の不存在が問題になっていますが、この経緯に関する文書は、文書管理規則によれば「起案文書、供覧文書、帳票、図画、写真及びフィルム」と「主務課長が定めた保存期間が1年以上の収受文書」と「資料文書」が存在すると考えられます。廃棄により文書が確認できないものは、具体的にどの区分で発生しているのか伺います。
エ 文書管理規則には、1年未満保存文書という区分があり、資料文書には区分で保存期間が設定されているものがあります。1年未満保存文書はどのようなものか伺います。
2 情報公開について
ア 知事は情報公開条例の改正を表明し、手数料の減額等を行うとしています。一方、不開示規定の改正は行わず、すでに請求に対する決定でも非開示判断の厳格化を行っているとしています。公表されている「公文書開示等決定件数報告」によると、2014年度から2017年1月の開示・一部開示・非開示・不存在等の割合は、小池知事就任前と就任後で、その割合に大きな変動が見受けられません。豊洲市場に関する情報公開請求事例を除き、判断の厳格化によって開示範囲の見直しが図られるようになったのか伺います。
イ 2015年9月8日の第65回情報公開・個人情報保護審議会及び2016年3月24日開催の第66回同審議会で、課題審議「情報公開条例及び個人情報保護条例の運用上の課題について」が審議されました。審議検討されたのは、「他制度との調整について」として、主に東京都を当事者とする訴訟記録について、情報公開条例及び個人情報保護条例で開示請求等が行えないように解釈を変更することが検討されました。
a 課題審議として挙げられた事項の検討状況について伺います。
b 今後の課題としての審議予定について伺います。
ウ 情報公開・個人情報保護審査会の答申では3年保存文書とされています。WEB上には5年前以前の答申は載っていません。現在、東京都において保存されている答申の状況について伺います。

二 警視庁からの機動隊等の沖縄派遣について
 都議会生活者ネットワークは、昨年第3回定例会で、山内れい子が警視庁の機動隊派遣について文書質問しました。
1 辺野古や高江など、アメリカ軍基地建設の反対運動に対して、機動隊が暴力的に強制排除を実施していると指摘されています。基地の警備活動に警視庁機動隊も参加してきたため、この派遣に関して質問します。
ア 前回、2014年度、2015年度、2016年度9月までのそれぞれについて、派遣先の道府県名と各派遣目的、派遣回数、派遣期間、派遣人数を伺いましたが、回答は県名だけでした。
沖縄県への1人当たりの平均派遣期間を伺います。
イ 沖縄県への派遣に関して、2015年度に国費から2億5000万円を歳入しています。派遣に伴う日当、手当の種類について伺います。さらに、それが国庫負担か警視庁負担かについても伺います。
ウ 国庫負担となる経費は、警視庁に対して、月ごとの請求・支払いになっているのか、四半期ごとかなど、請求方法について伺います。また、2015年度の支払い期ごとの執行金額も伺います。
エ 沖縄県への派遣に関連して警視庁に寄せられた苦情、要望、意見の件数とその内容の概要を伺います。
2 沖縄県警への警察官出向について伺います。
ア 他県から沖縄県への警察官派遣は、最近、派遣から出向という形式になっていると聞いていますが、実情はいかがでしょうか。
イ 派遣と出向とでは、何がどのように違うのか、また、今回の出向はどのような法律に基づいているのか、出向に至る経緯について伺います。
ウ 警視庁から沖縄県への出向の実態について伺います。どのような部署の警察官なのか、人数や期間についても伺います。
エ 出向の場合、給与および日当、宿泊費、交通費などの経費は、都、沖縄県、国のどこがどれだけ負担するのか伺います。

平成29年第一回都議会定例会
小松久子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 公文書管理と情報公開について
1 公文書管理について
ア 2015年度の東京都公文書館年報によると、当該年度に長期保存文書12,350件、有期保存文書505件、資料文書2,775件が引き継がれたとされているが、公文書館への引き継ぎの考え方について伺う。過去にさかのぼると何年までデータがあるのか、また過去10年度分の数字も伺う。併せて、廃棄文書の実績についても伺う。

回答
 東京都文書管理規則第49条に基づき、主務課長は保存期間が長期の文書等について、公文書館長に引き継ぐものとされています。
 また、有期保存文書については、同規則第54条第2項に基づき、公文書館長から引継ぎを求められたときは、当該文書を公文書館長に引き継ぐものとされています。
 公文書館への引継ぎに関するデータは、過去に遡ると、公文書館が開設された昭和43年までのものを保存しており、過去10年度分の数字は次のとおりです。

年度長期保存文書有期保存文書資料
2712,3505052,775
269,3974761,109
2510,837602761
2417,624397-
2323,751339-
2219,520649-
2119,136613-
209,124728-
199,116912-
188,182808-
注釈1 長期保存文書には、特例起案帳票を含む。
注釈2 資料とは、現代文書調査・収集プロジェクトにより引き継がれた長期・有期文書以外の重要な史資料をいう。

 なお、公文書館に引き継がれた文書等を廃棄した実績はありませんが、都において直近の平成27年度の公文書廃棄実績は、警視庁・消防庁を除き約100万件です。

質問事項
一の1のイ 2015年度の東京都公文書館年報によると、30年経過後の評価公開件数は示されているが、評価対象となった件数などが明らかではない。東京都文書管理規則第54条第3項に基づく公文書館長が歴史的資料としての保存価値等を再評価した結果、保存しないとした件数、保存するとした件数、保存し評価公開した件数について、現存するデータを伺う。

回答
 作成又は取得後30年が経過した公文書については、公文書館長が歴史的資料としての保存価値等を評価し直し、東京都公文書館30年経過公文書利用審査会における審査を経て公開の可否を決定しています。
 評価対象件数等については、30年経過公文書の公開準備が整った平成5年以降のものを保有しており、過去10年度分のデータは次のとおりです。

協議年度評価対象件数保存しないとした件数保存するとした件数評価公開した件数
273,45003,4501,394
264,48504,4852,385
254,91504,9152,628
244,30604,3062,708
233,47603,4762,369
228,02508,0255,654
212,74202,7421,910
202,90302,9031,838
192,89002,8901,893
185,82805,8282,733

質問事項
一の1のウ 豊洲新市場に関する公文書の不存在が問題になっているが、この経緯に関する文書は、文書管理規則によれば「起案文書、供覧文書、帳票、図画、写真及びフィルム」と「主務課長が定めた保存期間が1年以上の収受文書」と「資料文書」が存在すると考えられる。廃棄により文書が確認できないものは、具体的にどの区分で発生しているのか伺う。

回答
 豊洲市場整備等に関する文書の中で「不存在」又は「一部不存在」とした文書は、そもそも請求に係る文書が作成されていない、あるいは、作成されたものの廃棄されたものです。
 廃棄された文書が、文書管理規則に規定するいずれの文書に該当したかについては、対象の文書を具体的に特定できないことから、お答えすることが困難です。

質問事項
一の1のエ 文書管理規則には、1年未満保存文書という区分があり、資料文書には区分で保存期間が設定されているものがあるが、1年未満保存文書はどのようなものか伺う。

回答
 都では、文書等の保存期間を、長期、10年、5年、3年、1年、1年未満の6種類に設定しています。
 このうち、保存期間が1年未満の文書等とは、当該文書等を職務上作成し、又は取得した日から1年未満の期間内において、事務遂行上必要な期間が終了するものです。
 東京都文書管理規則第47条第2項に規定する文書等の保存期間の基準により、保存期間が1年未満の資料文書とは、「随時発生し、短期に廃棄する軽微なもの」としています。具体的には、庁内の定例的な打合せの資料など、軽微な文書等です。

質問事項
一の2 情報公開について
ア 「公文書開示等決定件数報告」によると、2014年度から2017年1月の開示・一部開示・非開示・不存在等の割合は、小池知事就任前後で、その割合に大きな変動が見受けられない。豊洲市場に関する情報公開請求事例を除き、判断の厳格化によって開示範囲の見直しが図られるようになったのか、見解を伺う。

回答
 情報公開条例第7条では、公文書の開示請求があったときは、開示請求に係る公文書に非開示情報が記録されている場合を除き、当該公文書を開示しなければならないと規定しており、原則公開という基本的考え方を定めています。
 平成28年9月に開催した都政改革本部において、情報公開についてはこれまでの姿勢を大幅に転換すること、原則開示を徹底し、非開示部分を最小限にすることが掲げられました。これを受けて、非開示情報を厳格に適用することなどについて、同年10月に生活文化局と総務局の連名で全庁に通知を発出するとともに、各局等の情報公開主管課長を集めた会議を開催し、周知・徹底をしました。
 各局においては、これらを受けて、公文書開示制度の適切な運用と積極的な情報公開に取り組んでいます。

質問事項
一の2のイ 情報公開・個人情報保護審議会について
a 2015年9月8日の第65回及び2016年3月24日開催の第66回同審議会で、課題審議「情報公開条例及び個人情報保護、条例の運用上の課題について」が審議された。「他制度との調整について」として、主に都を当事者とする訴訟記録について、情報公開条例及び個人情報保護条例で開示請求等が行えないように解釈を変更することが検討されたが、課題審議として挙げられた事項の検討状況について伺う。

回答
 訴訟記録については、民事訴訟法の規定で、誰でも裁判所で閲覧を請求することができることとなっているため、情報公開条例第18条第1項の「他の制度で閲覧等ができる公文書は開示しない。」との規定により、本来は公文書開示の対象とはしていません。
 しかし、裁判所では、利害関係者以外は訴訟記録のコピーを得られないことから、都では、都民の利便に供するため、訴訟記録に記載されている、保護すべき個人情報等を非開示にした上で写しを交付する運用を行ってきました。
 一方で、平成27年に、係争中であるため訴訟記録を都が非開示とした決定に対して、開示を求める訴訟が提起され、その後、「訴訟記録は誰でも閲覧可能であることから、個人情報等を含めた都が非開示とした情報は開示すべきである。」という趣旨の判決がありました。
 このため、引き続き、運用で訴訟記録の写しを交付し続けると、今後同様の争訟となった場合に、都が保有する訴訟記録に記載された個人情報等を開示せざるを得ないおそれが生じる状況となりました。
 このような状況を受けて、情報公開・個人情報保護審議会において、個人情報保護の観点から、訴訟記録の写しを交付する現行の運用をこのまま継続することの是非について、平成27年9月と平成28年3月に議論が行われました。
 平成29年1月開催の審議会では、「都政に関する情報公開を一層推進していく」という都の方針を踏まえ、個人情報等の保護に十分配慮しつつ、当面、現行の運用を継続し、訴訟記録の写しの交付の請求があった場合は、これまで通り対応することとしました。

質問事項
一の2のイのb 今後の課題としての審議予定について伺う。

回答
 訴訟記録等を開示請求の対象としている現在の運用について、当面、審議を行う予定はありません。

質問事項
一の2のウ 情報公開・個人情報保護審査会の答申では3年保存文書とされている。WEB上には5年前以前の答申は載っていない。現在、都において保存されている答申の状況について伺う。

回答
 東京都情報公開・個人情報保護審査会の答申については、その交付決定を行った起案文書の保存年限が3年間ですが、審査会の審議に必要な資料として、おおむね過去20年間分の答申書のデータを保存しています。

質問事項
二 警視庁からの機動隊等の沖縄派遣について
1 警視庁機動隊の派遣について
ア 前回、2014年度、2015年度、2016年度9月までのそれぞれについて、派遣先の道府県名と各派遣目的、派遣回数、派遣期間、派遣人数を伺ったが、回答は県名だけだった。沖縄県への1人当たりの平均派遣期間を伺う。

回答
 派遣の詳細については、警察の対応能力等が明らかになるおそれがあるため、お答えを差し控えさせていただきます。

質問事項
二の1のイ 沖縄県への派遣に関して、2015年度に国費から2億5000万円を歳入している。派遣に伴う日当、手当の種類について伺う。さらに、それが国庫負担か警視庁負担かについても伺う。

回答
 派遣に伴う日当については、国庫が支弁することとされ、超過勤務手当及び特殊勤務手当については、都が負担することとされています。
 このうち、超過勤務手当については、国が所要額を補助することとされています。

質問事項
二の1のウ 国庫負担となる経費は、警視庁に対して、月ごとの請求・支払いになっているのか、四半期ごとかなど、請求方法について伺う。また、2015年度の支払い期ごとの執行金額も伺う。

回答
 国費の予算配分については、原則として四半期ごとにおいて必要となる所要額を警視庁が申請し、警察庁から配分を受けています。
 内訳については、警察の対応能力等が明らかになるおそれがあるため、お答えを差し控えさせていただきます。

質問事項
二の1のエ 沖縄県への派遣に関連して警視庁に寄せられた苦情、要望、意見の件数とその内容の概要を伺う。

回答
 警視庁機動隊員の沖縄県派遣に関連して、警視庁に寄せられた苦情、要望、意見の件数は、平成27年が63件、平成28年が77件となっており、主な内容として、警視庁機動隊沖縄派遣の中止を求めるものが挙げられます。

質問事項
二の2 沖縄県警への警察官出向について
ア 他県から沖縄県への警察官派遣は、最近、派遣から出向という形式になったとのことだが、実情について伺う。

回答
 沖縄県警察への警視庁警察官の派遣については、沖縄県内における米軍基地移設工事等に伴い生じる各種警備事象への対応等のために必要であるとして、警察法第60条第1項の規定に基づき、沖縄県公安委員会から援助の要求があったことを受け、沖縄県警察に対し警視庁警察官の派遣を行ったものです。
 また、平成29年1月から行っている沖縄県警察への警視庁警察官の出向については、沖縄県民の安全・安心の確保を図るため、平成28年12月、沖縄県において警察官100人増員に係る条例改正が行われたことを受け、警視庁を含め16都府県警察の警察官が沖縄県警察に採用されたものです。

質問事項
二の2のイ 派遣と出向とでは、何がどのように違うのか、また、今回の出向はどのような法律に基づいているのか、出向に至る経緯について伺う。

回答
 警察法第60条第1項に基づく援助の要求による派遣については、派遣された警察官は派遣元(警視庁)の身分を有したまま、派遣先の公安委員会の管理の下、派遣先の警察本部長の指揮を受け、各種警察業務に従事することとなります。出向については、任命権者間の合意を伴って行われる任命行為であり、地方公務員法等に基づき、出向先の道府県警察の警察官として採用され、当該道府県警察の職務に従事することとなります。
 また、今回の出向に至る経緯については、政府の「沖縄県における犯罪抑止対策推進チーム」において平成28年6月に決定された犯罪抑止対策の中で、沖縄県民の安全・安心を確保するため、警察力の充実・強化に取り組むこととされたことを受け、平成28年11月、国において、沖縄県警察官の定員の基準を100人増員することを内容とする警察法施行令の一部を改正する政令が施行され、平成28年12月、沖縄県において警察官100人の増員に係る条例改正がなされたところ、沖縄県民の安全・安心の確保を図るためには、速やかな増員の実施が望ましいことから、平成29年1月、警視庁を含め16都府県警察から100人の警察官が沖縄県警察に採用されたものです。

質問事項
二の2のウ 警視庁から沖縄県への出向の実態について伺う。どのような部署の警察官なのか、人数や期間についても伺う。

回答
 平成29年1月18日から平成29年3月31日までの間、警察署等に所属していた警察官24人が沖縄県警察に出向していました。
 平成29年4月1日以降も、警察署等の所属から警察官12人が引き続き出向しています。

質問事項
二の2のエ 出向の場合、給与および日当宿泊費、交通費などの経費は、都、沖縄県、国のどこがどれだけ負担するのか伺う。

回答
 出向期間中の給与等の経費は、法令・条例等に基づき国又は沖縄県が負担するものと承知しています。都は、沖縄県警察への出向を終えて帰任する際の旅費を負担します。

平成29年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 宮瀬英治

質問事項
一 災害時における東京湾の大火災について
二 踏切事故について
三 パトカーにAED(自動体外式除細動器)を配備することについて
四 子どもの貧困対策について
五 親子断絶について
六 男女共同参画における男性への支援について
七 自殺対策について
八 都の幹部職員による再就職について
九 入札制度改革について
十 都営三田線の8両編成化について
十一 2020年東京五輪施設の大会後の利用について

一 災害時における東京湾の大火災について
 東日本大震災において、宮城県気仙沼市では港におかれていた燃料タンクが津波で押し流され、大量の油が流出しがれきと共に炎上、大火災を引き起こした。また首都圏においても千葉県市原市の石油コンビナートでガスタンクの大爆発が発生。爆風は3キロ以上離れた市街地にも及び、住民8万5,000人に避難勧告が出される事態になった。東日本大震災以降、国においては石油コンビナート法に基づく指針を改訂し、地震が引き起こす湾岸大炎上の脅威に備えた取組を加速させている。そこで以下、伺う。
1 大災害に伴う湾岸大炎上についての都の現状認識と取組について伺う。
2 東京湾には神奈川県を始め多数の石油コンビナートが配置され、また多くのタンカーが航行している。一度、大火災が発生すれば都民の生命と財産が危険にさらされることは言うまでもない。都においても、あらゆる可能性を否定することなく最悪の事態を想定し、他県や関係機関との連携など取組を強化するとともに新たな対策に取り組むべきと考えるが所見を伺う。

二 踏切事故について
 板橋区内を走行する東武東上線において踏切事故が絶えず、ダイヤが乱れることが日常化している。
1 まずは区内各駅における過去5年間の事故件数の推移を伺うとともに現状に対する認識を伺う。
2 とりわけ東武練馬駅においては、乗降者数は平成27年度には59,910名にのぼり、都内区間では池袋、成増に次いでいる。また平成12年には近隣に大型商業施設が開業して以降、駅の乗降者のみならず、多くの家族連れやお年寄りなどが駅前の踏み切りを利用している。さらには車の通行量も多く、多数の住民が常に身の危険に晒されているのが実態である。都および警視庁は現状をどのように認識しているのか伺う。また早急に関係各所と連携しながら改善に向けてあらゆる取組をすべきと考えるが所見を伺う。
3 東武練馬駅のみならず都内各所の踏切においては、子どもや高齢者をはじめ多くの方々が命を落としていることから早急に対策を行うことが求められる。現状と改善に向けた取組を伺う。

三 パトカーにAED(自動体外式除細動器)を配備することについて
 近年、多くの交通事故や事件などが発生している。警察官は迅速に事件・事故現場に到着をすることから、負傷者の救護あるいは二次災害防止のための救急措置をするケースも大いに考えられる。イタリアやアメリカなどの先進諸国においては、パトカーにAEDを搭載することで多くの命を救うことに成功している。また熊本県、奈良県、神奈川県などにおいても、先行しモデル事業が開始されているところである。警視庁においても東京消防庁との縦割り行政を排除し、導入に向けて検討すべきと考える。さらには警視庁におけるAEDの活用など救急救命活動への現状および取組状況を伺う。

四 子どもの貧困対策について
1 いま、子どもの6人に1人が貧困状態とされ、都は平成28年度に、子どもの居場所創設事業など、子どもの貧困対策に680億円を計上した。同時に貧困に苦しむ子どものためにNPOや地域の方々による様々な取組が行われている。しかし現場で子ども食堂や学習支援を行っている方々に話を聞くと、「本当に支援が必要な子どもにアプローチできない」「毎日子どもと接し状態を把握している学校や行政に相談に行っても門前払いされる」「個人情報保護の点から支援が必要な子どもを教えてくれない」といった実態がある。所見を伺う。
2 また昨年4月からスタートした「子どもの居場所創設事業」について、現在の状況と取組状況について伺う。
3 申請数や交渉中の団体も僅かであり、スピード感を持って拡大しなければならないと考える。また学校や行政、NPO等との連携を強化し、「貧困に苦しむ子供のために支援をする人たち」と「貧困に苦しみ支援を必要とする子供たち」。その双方を結び付け、子どもの貧困解消に向けた取組が必要と考えるが所見を伺う。

五 親子断絶について
 私は文教委員会にて都のDV対策の問題点への指摘や積極的な提言活動を行ってきた。いままでDVによる被害者救済に積極的に取組んできたが、他方で、故なく一方的にDV加害者とされる問題が生じている。
 現在、我が国の民法では離婚後単独親権であることから、離婚を意識した際に、ある日突然、子を従前の生活と片親から引き離し、共同監護から独占監護の実効支配の継続をすることが、離婚において親権及び経済条件で有利になる確実な手法として浸透し、それによる被害親子が発生している。日弁連も、「子の連れ去りは違法であるが、全く問題視されずに、むしろ有利に扱われている」ことを指摘している。
 いわゆる「子の連れ去り」を可能にしているのは、最初の連れ去りを問題とせず連れ戻しを誘拐とする司法の運用の慣習があるが、失踪を可能にしているDV防止法の悪用もあると言われている。総務省が平成16年5月31日、各都道府県にあてた「ドメスティック・バイオレンス及びストーカー行為等の被害者の保護のための措置に係る質疑応答について」との通達文書も存在している。そこで以下伺う。
1 都内区市町村における配偶者暴力相談件数は、近年激増しているが、相関が高いはずである都や警察との傾向に明らかな差が生じている。これは都として、どんな要因があると考えられるか、また虚偽の相談が含まれる可能性について、どのように考えているか伺う。
2 「住民基本台帳事務における支援措置申出書」において、「支援措置は、厳格な審査の結果、不当な目的によるものでないこととされた請求まで拒否するものではありません。」と記されているが、具体的に「厳格な審査」とはどのように行われているのか伺う。
3 「住民基本台帳事務における支援措置申出書」において、「申出の内容について、警察等に確認させていただきます。」と記されているが、実際に警察等に確認をしているのか、またその後、警視庁は捜査を行っているのか伺う。
4 婦人相談員の中には、相談者からの一方的な主張で、加害の事実認定を行っている可能性が一部指摘されている。必要に応じ双方の主張を確認することが重要と考えるが所見を伺う。
5 「住民基本台帳事務における支援措置申出書」の「加害者欄に記載された者」が「加害者」でなかった場合に被る人権侵害の発生と被害に対する責任について、どのように考えているか所見を伺う。
6 子を連れ去られた親が子の居所を確認しようとした際に、開示できない場合、その理由を説明しているか伺う。
7 子を連れ去られた世帯の住民票が連れ去られる前と変わりが無い場合(同居の状態となっている場合)、児童手当の受給資格は子を連れ去られても喪失しないでいるのか、喪失させる場合はどのような理由で喪失を説明しているのか伺う。
8 子の連れ去りの際に保育園や幼稚園や小学校などが利用されているケースもあると聞く。そのようなケースへの対策を何か行っているか、またそのような事が起きた場合、現状どのような対応をしているか伺う。
9 子を連れ去られた親権者を保育園・幼稚園・小学校などは、差別をせず保護者として扱っているか、もしそうでない場合、子を連れ去られた親に対し行事参加や成績開示など、子との関わりを疎外していることについて都はどのように考えているのか所見を伺う。
10 日本でも欧米並みに離婚率が3割を超え、裁判所での係争期間は日本では数年に及ぶことが多く、子の実効支配の継続性により勝ちが決まる司法の運用がされていると聞くが、係争期間中に子を連れ去られた親を疎外し不利にせず、中立公平な立場を今後とるべきではないか所見を伺う。
11 弁護士の一部には、「DV保護命令で冤罪は珍しくない。加害者が子どもと会えなくなる以外は格別の不利益は無く…」と謳い、更には「これにより子どもと父親の面会交流を阻止でき、国の方で衣食住も確保してくる…」と説明している者も居る。この状況について、都は対策をとるべきではないかと考えるが所見を伺う。

六 男女共同参画における男性への支援について
 「児童相談所の児童虐待相談件数の内訳」では虐待者別構成において「実母」が最も多く、犯罪白書の「児童の殺害検挙人員数と被害者と加害者の関係」において加害者は「実母親」が最も多くなっている。以下伺う。
1 都内の市区町村において、「婦人相談」の窓口は何か所あるか、また「男性相談」に対応できる窓口は何か所あるか、さらには都の「男性相談窓口」の認知度とともに伺う。
2 子どもが両親との関係を維持できるための取組について。離婚時に面会交流と養育費支払いについて取り決めをする共同養育計画を作成するよう、法務省より昨年10月から全市区町村に通知がでており広報されている。共同養育計画を作らずに、一方の同意なく子供を連れ去ることは、子の利益にはならないことを都はもっと周知していくべきと考えるが、具体的な周知の取組とともに伺う。
3 共同養育計画の作成は、専門家である弁護士等による指導等が必要である。そこで弁護士等により実施される「裁判外紛争解決手続き」の整備を各区市町村に働きかけをすべきであり、同時に、補助金等によるサポートも必要と考えるが所見を伺う。

七 自殺対策について
 平成27年度厚生労働省「人口動態統計」や内閣府資料「人口統計資料集」において、日本は国際的に死亡者の構成において自殺率が常に上位に位置している。以下、伺う。
1 都内における自殺の実態、自殺理由などその全体像を都や警視庁は正確に把握しているのか伺う。また現在の状況を関係機関で情報を共有し、分析を行っているのか伺う。
2 子を連れ去られ冤罪被害に遭っている親は、自死する者が多いと聞く。遺書が無い場合、自死の原因と結びつけることは困難だが、親子断絶の被害当事者達は、理解されづらい差別を受けていることから当事者同士の関係性が強いと聞く。都は、被害当事者団体などと協力して、親子引き離しと自死の実態の調査をする必要があるのではないか所見を伺う。
3 当事者団体によれば「実子誘拐を教唆する弁護士らは、それを正当化するために引き離した親の人格否定を係争において多用し、婚姻を破綻させるために対立を煽る書面を作成することが多い」「相手方弁護士からの書面を受け取った後に、PTSDの症状が出たり、希死念慮にかられることが多い」との声が寄せられている。精神的に追いやられていることを相手方弁護士に知られると、監護権者不適格であると親子断絶の理由にされてしまう場合があり、誰にも相談できずに精神的に追い込まれる状況も生じている。都は、子と引き離され係争を仕掛けられた親の相談窓口を設けるべきと考えるが所見を伺う。

八 都の幹部職員による再就職について
 都の幹部職員による再就職については、都民から公正な都政運営が損なわれるといった疑念が持たれることがあってはならない。しかし都の管理職による過去三年の監理団体、報告団体等への再就職率は平成25年46%、平成26年46%、平成27年42%と他道府県に比べ高い水準となっている。そこで、都では平成28年4月に退職管理条例を施行し都庁版人材バンクや退職管理委員会を新たに設置した。そこで以下、伺う。
1 豊洲新市場問題において歴代市場長および幹部職員が監理団体等に再就職し、高額な報酬を得ていることが改めて問題視されている。その中には平成28年新たに制定された退職管理制度下において再就職した都庁OBもおり、残念ながら現行の退職管理制度では都民の疑念が払拭されたとは言えない状況である。
  都ではすべての33監理団体と28報告団体また61社の都と密接な関連企業が、退職管理委員会へ適材推薦団体として事前承認され、退職管理委員会が事実上追認機関となっているが、不採用となった事案は過去あるのか、また離職後の再就職の届出期間は何年とされているのか伺う。
2 大阪府では、都の監理団体や報告団体にあたる「出資指定法人」「派遣団体」、さらには府から300万円以上の出資法人への再就職を原則禁止している。監理団体を「府関係者が役員として就任すべきもの」「ポストを削減すべきもの」「プロパー職員や民間人を登用すべきもの」と3区分し、あくまで例外措置として府関係者が役員として適切な法人を選別し、再就職は府知事の最終判断としている。また離職後の再就職の届出が都よりも3年長く5年間としている。さらには大阪府では出資指定法人数の削減および役員報酬の上限設定および報酬の見直しを常に図っている。
  都においても監理団体・報告団体数や役員報酬の見直しに加え、都幹部職員による監理団体や報告団体への再就職を原則禁止とすること、あくまで例外措置として再就職団体を選別した上で、最終判断は知事が行うことなど、現行の退職管理条例をさらに強化すべきと考えるが、都の所見を伺う。

九 入札制度改革について
 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の競技場施設の建設費において、海の森水上競技場、有明アリーナなどの落札率が99%を超えていること、また審査委員が全員都庁職員であることなどが問題視されている。また港湾局が過去5年間に発注した伊豆大島、利島の大型港湾工事においては、「五洋建設」と地元会社の「山田建設」が平成24から28年度まで、最低制限価格との差額1万円未満で入札した工事が9件、うち8件が落札されている。また事前公開されていない入札の下限額を都側が積算ミスをしていたにもかかわらず、一部の業者がこの下限額とほぼ同金額で入札、落札した事案も生じている。以下伺う。
1 なぜこのようなことが生じているのか、現状とともに都の所見をそれぞれ伺う。
2 一部の都民は「談合、利権、口利き、都の職員による情報漏えいなどにより、貴重な都民の血税が一部の業者に不当に支払われている」との疑念を結果的に持っていることについて所見を伺う。
3 談合、利権、口利き、都の職員による情報漏えいなど断じてあってはならない。都民にあらぬ疑いを招くようなことがないよう、都として現在の入札制度の見直し、新たな制度の導入など抜本的に見直すべきと考えるが、所見を伺う。

十 都営三田線の8両編成化について
1 都営三田線が通ります板橋区では平成27年国勢調査人口によると56万人をついに突破した。板橋区では大型マンション等の建設が相次ぎ、私自身、都営三田線を毎日利用しているが、年々混雑が激しくなっていると体感している。日々「本当に何とかしてくれ」と言った要望が多く、抜本的な対策が急務といえます。そこで私は、過去、各委員会や文書質問等で都営三田線を8両編成化すべきと繰り返し強く訴えてきたが、改めて見解を伺う。
2 また8両編成化の実現は関係機関も多岐にわたり調整に多くの時間を有すことから、それまでの間、様々な工夫や取組によって混雑率の緩和に努めなければならないと考える。ダイヤ改正による本数増便といった具体的な混雑緩和施策が必要と考えるが、現在の混雑率とともに所見を伺う。

十一 2020年東京五輪施設の大会後の利用について
 小池知事がさまざまな工夫により約400億のコスト削減に取組んだことを評価している。一方で、リオ大会では多くの恒久施設が事実上廃墟と化している現状を鑑みると、東京大会においても多額の税金を投入し施設を新設しても大会後は都民に何も残らないといったことは絶対に避けねばならない。そこで以下伺う。
1 新設される6施設の競技場において、大会後はどのように活用されるのか、また民間企業への売却およびPFIを行う予定はあるのか伺う。
2 339億円と見積られた有明アリーナの整備にはコンセッション方式の導入が表明されている。大会後の収支計画をどう組み立てているのか、また結果として黒字になるのか赤字になるのか整備費用を含んだ場合と含まない場合でそれぞれ伺う。
3 有明アリーナの運営について一部の民間事業者だけが潤い、都民に還元されなくては税金を投入した大義を失う。都民にどのように還元されるのか大会後の利用について細心の注意が必要と考える。どうそれを図っていくのか合わせて所見を伺う。

平成29年第一回都議会定例会
宮瀬英治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 災害時における東京湾の大火災について
1 東日本大震災以降、国においては石油コンビナート法に基づく指針を改訂し、地震が引き起こす湾岸大炎上の脅威に備えた取組を加速させているが、大災害に伴う湾岸大炎上についての都の現状認識と取組について伺う。

回答
 石油コンビナートなどの危険物施設等の安全対策は、本来、石油コンビナート等災害防止法などに基づいて、国と事業者に適切に対応すべき責務があることから、都は、九都県市として、これまでも対策の一層の推進を国に働きかけてきました。
 なお、東京都地域防災計画では、災害発生に伴う流出油への対応として、海上保安庁、警視庁、東京消防庁のほか、都、沿岸区等が連携して対応することを定めています。

質問事項
一の2 東京湾には多数の石油コンビナートが配置され、また多くのタンカーが航行しており、一度、大火災が発生すれば都民の生命と財産が危険にさらされることは言うまでもない。あらゆる可能性を否定することなく最悪の事態を想定し、他県や関係機関との連携など取組を強化するとともに新たな対策に取り組むべきだが、見解を伺う。

回答
 九都県市では、これまでも首都圏の経済活動や市民生活を支える石油コンビナート地域の防災・減災対策を推進するため、石油コンビナートにおける大規模災害への対応に向けた関係省庁の連携強化や一元的な防災対策の推進等について要望内容を拡充させてきました。
 東京港及びその周辺海域で油等の排出事故が発生した場合の防除活動については、都では、国、近隣自治体及び関係機関で構成される協議会で必要な事項を協議し、かつ、その実施を推進するなど、他県や関係機関と連携した取組を進めています。
 引き続き、こうした取組を推進していきます。

質問事項
二 踏切事故について
1 板橋区内各駅における過去5年間の事故件数の推移を伺うとともに現状に対する認識を伺う。

回答
 東武東上線の板橋区内における過去5年間の踏切事故件数については、鉄道事業者によると平成24年度1件、平成25年度1件、平成26年度1件、平成27年度1件及び平成28年度1件となっています。
 踏切については、踏切事故に加え、道路渋滞やまちの分断などの問題が発生しており、引き続き、踏切対策を推進していくことが重要と認識しています。

質問事項
二の2 東武練馬駅においては、多数の住民が常に身の危険に晒されているのが実態だが、都および警視庁は現状をどのように認職しているのか伺う。また早急に関係各所と連携しながら改善に向けてあらゆる取組をすべきだが見解を伺う。

回答
 東武練馬駅前の東上本線第40号踏切は、都の踏切対策基本方針において重点的に対策を実施・検討すべき踏切に位置付けています。
 当該踏切では、これまで道路管理者や鉄道事業者により、歩道のカラー舗装化や、横断時間を確保するための警報時間制御などの対策が実施されてきています。
 さらに、地元の板橋区が当該踏切を含めた駅周辺の交通安全を向上させるため、道路の交通規制について関係者との調整を進めていると聞いています。
 これらの状況を踏まえ、必要に応じて関係者の取組を支援していきます。

質問事項
二の3 都内各所の踏切においては、子どもや高齢者をはじめ多くの方々が命を落としていることから早急に対策を行うことが求められるが、現状と改善に向けた取組を伺う。

回答
 都は、踏切対策基本方針に基づき、重点的かつ計画的に踏切対策の推進に取り組んでいます。
 鉄道立体化としては現在、西武新宿線中井駅から野方駅間や京王京王線笹塚駅から仙川駅間などの4区間について連続立体交差事業を行っているほか、JR埼京線十条駅付近や京急本線品川駅付近の2区間で事業化に向けた都市計画などの手続を実施しています。
 その他、重点的に対策を実施・検討すべき踏切では、道路管理者や鉄道事業者において、踏切道の拡幅や歩道のカラー舗装化、警報時間制御など、個々の踏切の状況に応じて、早期に実施可能な対策がおおむね実施されています。
 引き続き、区市町や鉄道事業者など関係者との連携を図りながら、踏切対策を推進していきます。

質問事項
三 パトカーにAED(自動体外式除細動器)を配備することについて
  先進諸国においては、パトカーにAEDを搭載することで多くの命を救うことに成功しており、熊本県、神奈川県などにおいても、モデル事業が開始されている。警視庁においても東京消防庁との縦割り行政を排除し、導入に向けて検討すべきと考える。さらには警視庁におけるAEDの活用など救急救命活動への現状および取組状況を伺う。

回答
 AEDの動作環境温度は0度から50度であり、かつ振動も望ましくないなど故障のリスクが高くなることから、常時車載することには適していないと考えられます。
 警視庁では、平成21年から警察署等へのAEDの配備を始め、平成29年3月末現在、全警察署及び全ての交番・駐在所にAEDを配備し、警察署をはじめとする各所属において、AEDの使用を含めた救急法訓練を推進しています。傷病人等の110番入電時には、最寄りの交番勤務員等がAEDを携行し、現場で活用しています。
 今後とも、これらの機材を活用するとともに、救急法に関する警察職員の技能向上と知識の習得を図っていきます。

質問事項
四 子どもの貧困対策について
1 子ども食堂や学習支援を行っている方々に話を聞くと、「本当に支援が必要な子どもにアプローチできない」「毎日子どもと接し状態を把握している学校や行政に相談に行っても門前払いされる」「個人情報保護の点から支援が必要な子どもを教えてくれない」といった実態があるが、見解を伺う。

回答
 都内の区市では、民間団体等と連携しながら、生活困窮者自立支援法に基づく子供の学習支援が行われており、併せて居場所の提供や親への養育支援などの取組も行われています。
 都は、こうした取組を更に進めるため、平成28年度から子供の居場所創設事業を実施しています。
 子供の居場所では、配置された支援員が、支援を必要とする子供と保護者に対し、その家庭の状況に応じて、福祉事務所や保健センター、子供家庭支援センター、児童相談所、学校など、様々な地域の関係機関と情報を共有し、連携して支援を行っています。

質問事項
四の2 昨年4月からスタートした「子どもの居場所創設事業」について、現在の状況と取組状況を伺う。

回答
 平成28年度に開始した子供の居場所創設事業は、区市町村が民間団体等と連携し、子育て家庭の状況を把握して、必要な援助につなげるための支援員を配置し、学習支援や食事の提供、保護者への援助などを一体的に行う居場所づくりを支援する事業であり、2区6か所で実施しました。
 平成29年度は、実施規模を10か所に拡大するとともに、支援員が中心となった居場所と地域の子供食堂との連携や、学校給食がない夏休みなどに昼食等を提供する取組に対しても支援を行っていきます。

質問事項
四の3 学校や行政、NPO等との連携を強化し、「貧困に苦しむ子供のために支援をする人たち」と「貧困に苦しみ支援を必要とする子供たち」の双方を結び付け、子どもの貧困解消に向けた取組が必要だが見解を伺う。

回答
 区市町村が民間団体等と連携して取り組む、子供の居場所創設事業では、社会福祉士や相談援助の実務経験者など、専門的な知識を持つ支援員の配置を義務付けており、日々の子供との関わりや子供や保護者との面談を通じて、家庭の状況も把握し、支援が必要な場合には、子供家庭支援センター、児童相談所、学校等の地域の関係機関と連携して支援しています。

質問事項
五 親子断絶について
1 都内区市町村における配偶者暴力相談件数は近年激増しているが、都や警察との傾向に明らかな差が生じている。都として、どんな要因があると考えるか、また虚偽の相談が含まれる可能性について、見解を伺う。

回答
 都内区市町村における平成27年度の相談件数は34,652件であり、平成24年度の26,547件から約8千件増加しています。特に、配偶者暴力相談支援センターを整備した区での増加が大きく、区市町村全体の増加件数の約7割を占めています。
 このことから、相談件数の増加は、区における配偶者暴力相談支援センターの機能整備などにより、身近な地域で相談しやすくなったためであると考えています。
 配偶者暴力に関する相談は、配偶者からの暴力の防止と被害者の保護を目的とする配偶者暴力防止法に基づき実施しており、相談内容を丁寧に聞き取った上で、相談者の視点に立った適切な支援に努めています。

質問事項
五の2 「住民基本台帳事務における支援措置申出書」において、「支援措置は、厳格な審査の結果、不当な目的によるものでないこととされた請求まで拒否するものではありません。」と記されているが、具体的に「厳格な審査」とはどのように行われているのか伺う。

回答
 住民基本台帳法に基づく事務は、区市町村の自治事務であり、各区市町村が法令や国の通知等に基づき、制度の適正な運用を図っています。
 本支援措置の申出者に係る住民票の写し等の交付等の請求については、国が定めている住民基本台帳事務処理要領において、加害者が第三者になりすまして行う申出に対する交付等を防ぐために、厳格な本人確認や利用目的に係る厳格な審査を行うことが適当とされています。
 都内区市町村は、本事務処理要領に基づき、厳格に審査を行っているものと考えています。

質問事項
五の3 「住民基本台帳事務における支援措置申出書」において、「申出の内容について、警察等に確認させていただきます。」と記されているが、実際に警察等に確認をしているのか、またその後、警視庁は捜査を行っているのか伺う。

回答
 国の通知では、支援措置の申出があった場合は、受付区市町村は申出の内容について、警察署への電話確認や書面等による意見聴取が適当であるとされています。都内区市町村は、本通知に基づき、適切に対応しているものと考えています。
 なお、警察が相談者からストーカー、ドメスティック・バイオレンスの相談を受けた場合は、被害の未然防止又は拡大防止のため、自治体をはじめとする関係機関や団体と連携し、相談者等の安全確保を最優先とした検挙措置及び保護対策等の措置を徹底しています。

質問事項
五の4 婦人相談員の中には、相談者からの一方的な主張で、加害の事実認定を行っている可能性が一部指摘されており、必要に応じ双方の主張を確認することが重要だが見解を伺う。

回答
 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律に基づき、被害者の相談に応じ、必要な指導を行うことが、婦人相談員の役割です。

質問事項
五の5 「住民基本台帳事務における支援措置申出書」の「加害者欄に記載された者」が「加害者」でなかった場合に被る人権侵害の発生と被害に対する責任について、見解を伺う。

回答
 本支援措置は、ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等の被害者の保護を図る観点から、被害者の申出により必要な支援を行うものです。
 国の事務処理要領において、被害者の住所を探索する目的で、加害者が住民基本台帳の閲覧等を行うおそれがあると認められるかどうかについては、警察、配偶者暴力相談支援センター、児童相談所等の意見を聴取し、又は裁判所の発行する保護命令決定書の写し若しくはストーカー規制法に基づく警告等実施書面等の提出を求めることにより確認するものとされています。
 都内区市町村は、本事務処理要領に基づき、適切かつ慎重に確認を行っているものと考えています。

質問事項
五の6 子を連れ去られた親が子の居所を確認しようとした際に、開示できない場合、その理由を説明しているか伺う。

回答
 国の事務処理要領では、加害者から請求等があった場合は、不当な目的があるものとして請求等を拒否することとされています。また、国によれば、さらに理由を問われた場合、請求の対象者がドメスティック・バイオレンス及びストーカー行為等の被害者の保護のための措置を受けている者であることを伝えることが適当であるとされています。
 都内区市町村は、本事務処理要領等に基づき、適切に対応しているものと考えています。

質問事項
五の7 子を連れ去られた世帯の住民票が連れ去られる前と変わりが無い場合、児童手当の受給資格は喪失しないでいるのか、喪失させる場合はどのような理由で喪失を説明しているのか伺う。

回答
 児童手当に関する事務は、区市町村が法定受託事務として認定及び支給を行っており、DV事例についても、国の通知に基づき処理しています。
 児童手当は、児童を監護し、かつ、生計同一である者に支給しており、父母がともに支給要件に該当する場合には、児童の生計を維持する程度がより高い者に支給しています。
 配偶者から暴力を受けたと訴え、児童を連れて避難している者から、避難先の区市町村に児童手当の申請があったときは、監護及び生計維持の状況を確認し、配偶者の住所地の区市町村において職権による児童手当の支給事由消滅の処理を行った上で、申請者に児童手当を支給します。
 配偶者には、児童手当の支給事由消滅の処理を行った理由として、児童を現に監護する者から、配偶者からの暴力を受けたと訴えがあったこと、その者が児童の生計を維持する程度が高いと確認されたことなどを、配偶者の住所地の区市町村が説明しています。

質問事項
五の8 子の連れ去りの際に保育園や幼稚園や小学校などが利用されているケースもあると聞くが、対策を何か行っているか、またそのような事が起きた場合、現状どのような対応をしているか伺う。

回答
 保育所や幼稚園、小学校においては、配偶者暴力防止法の趣旨等を踏まえ、必要に応じて区市町村の福祉部門と連携を図りながら、個別に対応していると考えています。

質問事項
五の9 子を連れ去られた親権者を保育園・幼稚園・小学校などは、差別をせず保護者として扱っているか、もしそうでない場合、子を連れ去られた親に対し行事参加や成績開示など、子との関わりを疎外していることについて見解を伺う。

回答
 先述のとおり、保育所や幼稚園、小学校においては、配偶者暴力防止法の趣旨等を踏まえ、必要に応じて区市町村の福祉部門と連携を図りながら、個別に対応していると考えています。

質問事項
五の10 日本でも離婚率が3割を超え、裁判所での係争期間は数年に及ぶことが多く、子の実効支配の継続性により勝ちが決まる司法の運用がされていると聞くが、係争期間中に子を連れ去られた親を疎外し不利にせず、中立公平な立場を今後とるべきではないか見解を伺う。

回答
 司法の運用に関して、都は答える立場にありませんが、都では、配偶者暴力防止法の趣旨にのっとり、相談内容に応じて適切に対応していきます。

質問事項
五の11 弁護士の一部には、「DV保護命令で冤罪は珍しくない。加害者が子どもと会えなくなる以外は格別の不利益は無く…」と謳い更には「これにより子どもと父親の面会交流を阻止でき、国の方で衣食住も確保してくる…」と説明している者も居るが、この状況について、都は対策をとるべきではないか、見解を伺う。

回答
 個別の弁護士の業務等について、都は答える立場にはないと考えています。

質問事項
六 男女共同参画における男性への支援について
1 都内の市区町村において、「婦人相談」の窓口は何か所あるか、また「男性相談」に対応できる窓口は何か所あるか、さらには都の「男性相談窓口」の認知度とともに伺う。

回答
 都内区市町村においては、51団体が配偶者暴力の相談窓口を設置しています。男性からの相談については、31団体で対応しています。
 窓口のない自治体に相談があった場合は、東京ウィメンズプラザを紹介していただくなど連携して対応しています。
 東京ウィメンズプラザが実施している男性相談の認知度については、個別には調査していませんが、平成27年度に都が実施した「男女平等参画に関する世論調査」によれば、都が設置する配偶者暴力相談支援センターである東京ウィメンズプラザや東京都女性相談センターなど都の相談窓口の認知度は、男性で48.9パーセント、女性で56.8パーセントでした。

質問事項
六の2 離婚時に面会交流と養育費支払いについて取り決めをする共同養育計画を作らずに、一方の同意なく子供を連れ去ることは、子の利益にはならないことを都はもっと周知していくべきだが、具体的な周知の取組とともに伺う。

回答
 都は、ひとり親家庭支援センターにおいて、養育費の取決め等の専門相談や面会交流に関する支援を行うほか、離婚前後における法律相談等を行っています。
 また、法務省は平成28年10月に「子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」を作成しており、都は、地域のひとり親家庭等の相談や必要な情報提供・指導を行う母子・父子自立支援員が活用できるよう、各区市に周知を図っています。

質問事項
六の3 共同養育計画の作成にあたり、弁護士等により実施される「裁判外紛争解決手続き」の整備を各区市町村に働きかけをすべきであり、同時に、補助金等によるサポートも必要だが見解を伺う。

回答
 都は、ひとり親家庭支援センターにおいて、子供の養育に関することなど、離婚に伴い生じる様々な問題の解決に向け、養育費専門相談や離婚前後の法律相談を実施しており、都内在住のひとり親家庭の親や、20歳未満の子供を持つ母親又は父親に対し、パンフレットやホームページ等により周知を図っています。
 相談者の状況に応じ、必要な場合には、家庭裁判所の調停申立てや、弁護士会の運営する紛争解決センターへの申立てなどを案内しています。

質問事項
七 自殺対策について
1 都内における自殺の実態、自殺理由などその全体像を都や警視庁は正確に把握しているのか伺う。また現在の状況を関係機関で情報を共有し、分析を行っているのか伺う。

回答
 厚生労働省は、警察庁から提供を受けた自殺データに基づき、全国、都道府県別、市区町村別の自殺者数や年代、職業、自殺原因・動機の状況などについて集計し、「地域における自殺の基礎資料」として公表しています。
 都は、厚生労働省から資料の詳細なデータの提供を受け、都における自殺者の年代別の傾向などの分析を行い、その結果を学識経験者や医療福祉・経済労働・教育の関係団体等で構成する自殺総合対策東京会議のほか、東京都多重債務問題対策協議会、区市町村連絡会などにおいて情報共有しています。

質問事項
七の2 都は、親子断絶の被害当事者団体などと協力して、親子引き離しと自死の実態の調査をする必要があるのではないか見解を伺う。

回答
 自殺の背景には、経済・社会問題、生活問題、健康問題、家庭問題などの様々な要因が複合的に絡み合っています。
 厚生労働省がまとめている「地域における自殺の基礎資料」では、自殺の原因・動機について、家庭問題、健康問題、経済・生活問題、勤務問題、男女問題、学校問題等に分類して公表しています。
 家庭問題の分類は、親子関係の不和、夫婦関係の不和、家族の将来悲観、子育ての悩み等の項目別に集計が行われていますが、都道府県別には公表されていないため、今後、都は、こうしたデータについて、厚生労働省に提供を依頼し、年代別の分析を行うなど、実態の把握に努めていきます。

質問事項
七の3 都は、子と引き離され係争を仕掛けられた親の相談窓口を設けるべきだが見解を伺う。

回答
 都は、ひとり親家庭支援センターにおいて、離婚前後の親が抱える子供の親権や養育費、面会交流などに関する法的な課題に対応するため、無料の法律相談を実施しています。
 相談の対象者は、都内在住の20歳未満の子供を持つ母親又は父親で、離婚などの家事事件に精通した弁護士が、対面により、それぞれの状況に応じた法律的な助言を行います。
 一人につき3回までの継続相談を可能としており、課題の早期解決につながるよう支援しています。

質問事項
八 都の幹部職員による再就職について
1 都では、都と密接な関連企業が退職管理委員会へ適材推薦団体として事前承認され、退職管理委員会が事実上追認機関となっているが、不採用となった事案は過去あるのか、また離職後の再就職の届出期間は何年とされているのか伺う。

回答
 都では、職員の再就職に関する公正性・透明性を高める観点から、平成28年4月に退職管理条例を施行しました。この条例に基づき、都政の一体的、効率的かつ効果的な運営を行うために適材として職員を推薦することが必要と認められる団体については、退職管理委員会への諮問を経た上で、「適材推薦団体」として指定しています。
 適材推薦団体への職員の推薦は平成28年度より実施していますが、条例の趣旨を十分に踏まえて行っており、推薦の結果、不採用となった事例はありません。
 なお、適材推薦団体に対して職員の推薦を行う場合は、退職管理委員会へ報告を行っています。
 また、離職後の再就職状況については、働きかけが規制される期間と合わせて、条例で、離職後2年間の届出を義務付けています。

質問事項
八の2 監理団体・報告団体数や役員報酬の見直し、幹部職員による監理団体や報告団体への再就職原則禁止、例外措置として再就職団体を選別した上で最終判断は知事が行うことなど、現行の退職管理条例をさらに強化すべきだが、都の見解を伺う。

回答
 都はこれまで、再就職情報を一元管理する「都庁版人材バンク」を独自に設置するとともに、平成28年4月には退職管理条例を施行し、外部有識者で構成される退職管理委員会を新たに設置・運用しながら、再就職のより一層の公正性・透明性の確保に努めてきています。
 具体的には、管理職について、離職時の職務と利害関係のある企業等への求職活動を原則禁止するとともに、罰則を設けて再就職情報の届出を義務付けるなど、様々な規制を導入しています。
 このように、条例に基づく取組を厳格に行っていますが、今後新たに取り組んでいく行政改革と軌を一にして、職員の再就職についても、監理団体の在り方とともに必要な検証を進めていきます。

質問事項
九 入札制度改革について
1 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の競技場施設において、落札率が99%を超え、また審査委員が全員都庁職員であること、港湾局が過去5年間に発注した伊豆大島、利島の大型港湾工事において、2社が最低制限価格との差額1万円未満で入札した工事が9件、うち8件が落札されていること、事前公開されていない入札の下限額を都側が積算ミスをしていたにもかかわらず、一部の業者がこの下限額とほぼ同金額で入札、落札した事案も生じているが、なぜこのようなことが生じているのか、現状とともに都の見解をそれぞれ伺う。

回答
 一部で落札率が99パーセントを超える案件が発生していますが、その理由として、都では予定価格を事前公表していることが挙げられます。
 そのため、その事前公表された予定価格内で、採算のとれなくなるおそれがある施工条件の厳しい工事などでは、落札率が高くなる場合があると考えています。
 また、海の森水上競技場の技術審査委員会には、学識経験を有する特別委員を置き、実施方針の調査・審議、技術提案審査基準の策定等について、学識経験者の意見を聴取しており、適切な手続きと考えています。
 離島港湾工事については、類似の工事が毎年継続して発注される傾向にあるため、公表されている最低制限価格の算出式を利用して、予定価格等から最低制限価格を類推することも可能と考えています。
 単価の設定ミスや消費税ミス等の積算ミスが確認されたことについては、港湾局技監をトップとするPTにおいて対策を検討し、積算ミス防止を徹底していきます。

質問事項
九の2 一部都民は「談合、利権、口利き、都職員による情報漏えいなどにより、貴重な都民の血税が一部の業者に不当に支払われている」との疑念を結果的に持っていることについて見解を伺う。

回答
 公共調達は、都民の貴重な税金を原資とするため、公正性、透明性、競争性に万全を期す必要があるとともに、品質の確保なども図らなければならないと認識しています。
 都では、工事や物品・委託等の契約の入札に当たっては、電子入札システムにより公表から開札まで他の参加者が一切分からないよう、入札参加希望者が一堂に会する機会を排除し、入札契約の公正性、透明性、競争性を確保しています。
 都の公共調達が真に都民の利益にかなうものか等今後も賢い支出、都民ファーストの視点に立って、疑念を持たれることのないよう入札契約制度を運用していきます。

質問事項
九の3 都民にあらぬ疑いを招くようなことがないよう、都として現在の入札制度の見直し、新たな制度の導入など抜本的に見直すべきだが、見解を伺う。

回答
 入札契約制度については、都政改革本部に設置した内部統制プロジェクトチームにおいて検討が進められ、平成29年3月31日に開催された第7回都政改革推進本部会議において「入札契約制度改革の実施方針」として取りまとめ、公表をしました。
 現在、予定価格の事後公表、JV結成義務の撤廃、一者入札の中止、低入札価格調査制度の適用拡大など、「入札契約制度改革の実施方針」で示した事項について、具体策を検討しており、6月を目途に試行を開始することとしています。
 今後とも、都の公共調達が真に都民の利益にかなうものか、賢い支出、都民ファーストの視点に立って入札契約制度改革を進めていきます。

質問事項
十 都営三田線の8両編成化について
1 各委員会や文書質問等で都営三田線を8両編成化すべきと繰り返し強く訴えてきたが、改めて見解を伺う。

回答
 三田線については、沿線地域の開発が進み、相互直通運転を行っている東急目黒線からの乗客数も増加しています。さらに、平成34年度には、海老名方面からの相模鉄道と、東急電鉄との直通運転が予定されており、一層の増客が想定されます。このため、相互直通運転を行っている各社と、現行の6両編成を8両編成に増強する協議を平成29年3月に開始しました。

質問事項
十の2 8両編成化の実現までの間、様々な工夫や取組によって混雑率の緩和に努めなければならない。ダイヤ改正による本数増便といった具体的な混雑緩和施策が必要だが、現在の混雑率とともに見解を伺う。

回答
 三田線の最混雑区間である西巣鴨駅から巣鴨駅間における朝ラッシュ時間帯1時間当たりの平均混雑率は、平成27年度で157パーセントとなっています。
 三田線においては、乗客数が増加傾向にあることから、平成28年10月にダイヤ改正を実施し、平日の朝ラッシュ時間帯に高島平駅発御成門駅行を1本増発しました。さらに、平成29年3月27日には、この御成門行き列車を東急目黒線方面への直通列車に変更して、混雑緩和や利便性向上を図っています。
 今後も、乗客数の動向などを見極めつつ、混雑緩和に努めていきます。

質問事項
十一 2020年東京五輪施設の大会後の利用について
1 新設される6施設の競技場において、大会後はどのように活用されるのか、また民間企業への売却およびPFIを行う予定はあるのか伺う。

回答
 都は、新規恒久施設を、アスリートの競技力強化や都民のスポーツ実践の場として活用し、東京のスポーツ振興の拠点としていくとともに、文化・レジャー・教育などで幅広く活用していきます。また、「点から面へ」の視点で周辺地域との連携を強化し、多くの人々が集うにぎわいの拠点としていきます。
 平成29年3月に開催したアドバイザリー会議の意見も踏まえ、大会後の施設運営の指針となる「施設運営計画」を策定し、各施設の具体的な活用方法を明らかにしています。
 また、各施設とも民間企業への売却は予定していません。有明アリーナは、都が施設を所有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定するPFIの一つであるコンセッション方式の導入について検討を進めています。その他の5施設は、指定管理者制度等による管理運営について、今後、具体的な検討を進めていきます。

質問事項
十一の2 有明アリーナの整備にはコンセッション方式の導入が表明されているが、大会後の収支計画をどう組み立てているのか、また結果として黒字になるのか赤字になるのか整備費用を含んだ場合と含まない場合でそれぞれ伺う。

回答
 有明アリーナの現時点での収支試算では、支出は、人件費、光熱水費、業務委託費などで約8億8900万円、収入は、施設利用料やジム・スタジオ収入などで約12億4500万円であり、収支は約3億5600万円の黒字と見込んでいます。今後、運営事業者選定の中で提案を募るなど、更なる収益向上に取り組んでいきます。なお、この試算は、施設運営における収支であり、施設整備費は含んでいません。
 有明アリーナは、東京の新たなスポーツ・文化の拠点とするとともに、周辺施設等との連携により、地域全体を活性化しにぎわいをもたらす施設であり、その整備費は、都民にとって価値あるレガシーを創出するための投資としての意味合いを持つものと考えています。

質問事項
十一の3 有明アリーナの運営について、一部の民間事業者だけが潤い、都民に還元されなくては税金を投入した大義を失う。都民にどのように還元されるのか大会後の利用について細心の注意が必要だが、どうそれを図っていくのか合わせて見解を伺う。

回答
 有明アリーナにコンセッションを導入する目的は、民間の創意工夫を最大限に生かした運営を行い、施設を東京の新たなスポーツ・文化の拠点として、可能な限り有効活用することです。
 民間事業者に長期にわたり運営権を委ねることにより、サービス向上のための追加投資など戦略的な運営が可能となり、きめ細かなサービスの提供や稼働率の向上、さらには収益の向上などが図られ、都民の利益につながるものと考えています。
 また、PFI法では、運営事業者に対して、必要に応じ業務・経理の状況について報告を求め、必要な指示を行うことができるモニタリングの実施を定めています。こうした手法を活用しながら、適切な管理運営を確保していくよう検討していきます。

平成29年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 菅野弘一

質問事項
一 特区(法人実効税率の引下げ)について
二 行政改革について

一 特区(法人実効税率の引下げ)について
1 都は「国際金融都市・東京のあり方懇談会」において、金融の活性化とアジアナンバーワンの金融都市・東京の実現に向けて、法人税についてのありかたを議論するとしているが、どのようなスケジュールで構想を策定するのか、伺う。
2 知事は「法人税についてのあり方を議論する」としているが、都の税収は法人二税の占める割合が高く、たとえ1%の引下げであっても数千億単位の減少となることが見込まれる。このことについて、どのように考えているのか、伺う。
3 実際に都の法人二税を1%引き下げると都の税収にはどれくらいの影響があるのか、伺う。
4 都は国における実効税率引下げの議論に際し、その影響額の大きさから、地方に影響のないようにすべきという論旨を展開した。そのことを踏まえれば、実効税率の引下げとは言っても、政策減税として対象や年限を限定して実施する必要があると考えるが、どうか。
5 「国際金融都市・東京のあり方懇談会」では、有識者の委員から、都の超過課税を廃止すべきとの指摘があった。都が超過課税を行っている意義について、見解を伺う。
6 アジア・ヘッドクォーター特区などでは、国税である法人税の軽減も含めて、実効税率を引き下げた。その結果、経済波及効果を含めて、どの程度の効果があったのか、きちんと検証するべきであるが、見解を伺う。
7 実効税率に占める地方法人課税の比率は6%程度と低く、国際競争に伍すことができるような水準に実効税率を下げていくためには、国税である法人税の引き下げが不可欠である。国に対してどのように働きかけを行って行くのか、伺う。
8 アジア・ヘッドクォーター特区や国家戦略特区においては、国において対象企業や適用となる事業活動について、高いハードルが課され、実質的にはあまり活用されていないという声を聞く。特区での税制の活用について、より活用しやすい制度となるよう、国に求めていくべきであると考えるが、見解を伺う。
9 地方法人課税のうち、法人住民税は特別区では都が都税として賦課徴収する一方、市町村では市町村税として市町村の貴重な財源となっている。都が特別区分に属する法人住民税の税率を引き下げた場合、市町村に対しても減税圧力がかかり、市町村の貴重な税源を失うことにつながりかねないが、これについてどのように考えるか。

二 行政改革について
1 知事は施政方針で、「実は都庁は、平成18年度を最後に、いわゆる行政改革のプランを策定しておりません」としたが、「実は」という発言の趣旨は何か。隠していたのか。
2 平成18年度以降、行政改革プランを策定してこなかった理由について伺う。
3 行政改革プランを策定していなくても、しっかりと行政改革の取組を進めてきたものと認識していたが、プランがなかったことをどのように評価しているのか、伺う。
4 平成29年度に「2020改革プラン(仮称)」を策定することとした背景となる知事の考えについて伺う。
5 行政改革とは、行政のあり方や組織のあり方に関するこれまでの考え方のいわばシフトチェンジであると認識しているが、知事が描こうとしている改革プランの大きな方向性とは何か、伺う。
6 「2020改革プラン(仮称)」の策定が必要であるとのご判断であるが、都政の現状をどのように認識しているのか、伺う。
7 知事は施政方針で、「2020改革プラン(仮称)」に関し、業務の効率化、官民の適切な役割分担、監理団体の戦略的活用、時代に合った人事制度や執行体制の見直しに取り組むとしているが、既に取り組んできた内容ではないか。これまでの取組と何が違うのか、伺う。
8 業務の効率化とは、具体的にどのような効率化を想定しているのか。更なる職員の減は都庁内に蓄積されたノウハウを失わせ、事業の継続性を危うくするものと考えるが、知事の見解を伺う。
9 官民の適切な役割分担とのことであるが、都はこれまでも民に任せられるものは民にゆだね、組織のスリム化を進めてきた。今後、具体的にどのように役割分担を想定しているのか、伺う。
10 監理団体の戦略的活用とは、監理団体の数を増やしていくということなのか、現状は戦略的に活用できていないという認識なのか、その考え方について伺う。
11 「2020改革プラン(仮称)」が行政改革プランであれば、東京都庁自体の改革であり、都職員が主体となって検討し、顧問の関与は最小限にすべきと考えるが、どのような体制で検討を行う予定なのか、伺う。
12 「2020改革プラン(仮称)」について、東京都の案が示されれば、都議会においても十分に審議を行っていくつもりであるが、プラン策定のスケジュールについて伺う。

平成29年第一回都議会定例会
菅野弘一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 特区(法人実効税率の引下げ)について
1 都は「国際金融都市・東京のあり方懇談会」において、金融の活性化とアジアナンバーワンの金融都市・東京の実現に向けて、法人税についてのあり方を議論するとしているが、どのようなスケジュールで構想を策定するのか伺う。

回答
 国際金融都市・東京のあり方懇談会は、国内外の金融の専門家等で構成され、金融の活性化に向けた課題とその解決に向けた抜本的対策について、議論を行っています。
 今後のスケジュールについては、11月に予定されている懇談会の答申を参考にしつつ、秋には新たな構想を取りまとめていきます。

質問事項
一の2 知事は「法人税についてのあり方を議論する」としているが、都の税収は法人二税の占める割合が高いことから、1パーセントの引き下げであっても数千億円の減少となると見込まれるが、どのように考えているのか伺う。

回答
 世界の都市間競争が激化する中、アジアナンバーワンの国際金融・経済都市を実現するためには、これまでの既成概念にとらわれることなく、税制も含めた構造的・本質的課題に取り組んでいく必要があると認識しています。
 その一方で、金融の活性化に向けた政策税制については、今後の懇談会における議論を踏まえ、公平性とのバランスや経済効果、他の支援措置との役割分担などを十分に考慮して、慎重に、かつ戦略的に検討していく必要があると考えています。

質問事項
一の3 実際の都の法人二税を1パーセント引き下げると都の税収にはどれくらい影響があるのか伺う。

回答
 都における超過税率を適用した場合の法人実効税率は30.86パーセントであり、このうち、法人二税は4.53パーセントとなっています。
 法人実効税率において、都の法人二税を1パーセント引き下げた場合、減収額は約2,400億円となります。

質問事項
一の4 都は国における実効税率引き下げの議論に際し、影響額の大きさから、地方に影響のないようにすべきと論旨を展開した。そのことを踏まえると、実効税率の引き下げは、政策減税として対象や年限を限定して実施すべきだが、見解を伺う。

回答
 金融の活性化に向けた政策税制については、今後の懇談会における議論を踏まえ、公平性とのバランスや経済効果、他の支援措置との役割分担などを十分に考慮して検討していきます。

質問事項
一の5 「国際金融都市・東京のあり方懇談会」では、有識者の委員から、超過課税を廃止すべきとの指摘があったが、都が超過課税を行っている意義について、見解を伺う。

回答
 都は、憲法によって保障された地方の課税自主権に基づき、景気変動に伴う減収リスクに備えるとともに、大都市特有の財政需要に対応するため、昭和49年から法人事業税、昭和50年から法人都民税の超過課税を実施しています。

質問事項
一の6 アジア・ヘッドクォーター特区などでは、国税である法人税の軽減も含め実効税率を引き下げた。その結果、経済波及効果も含めて、どの程度の効果があったのか、検証すべきだが、見解を伺う。

回答
 アジア・ヘッドクォーター特区においては、平成25年度から平成27年度まで、20パーセントの所得控除の特例がありましたが、本特例を申請した企業はありませんでした。
 これは、本特例の適用要件が、アジア業務統括事業等を専ら実施する企業で、専ら事業所が特区内に存在するものに限定されていたこと等が要因であると考えています。

質問事項
一の7 実効税率に占める地方法人税課税の比率は低く、国際競争に伍すことができるような水準に引き下げていくには、国税である法人税の引き下げが不可欠であるが、国に対してどのように働きかけを行っていくのか、見解を伺う。

回答
 現在、懇談会においては、米国をはじめとした諸外国の法人税の動向も踏まえ、金融の活性化に向けた政策税制の活用について、地方税、国税を含めた法人課税の在り方を含め議論が行われています。
 御指摘の国に対する働きかけについては、今後の懇談会における議論を踏まえ検討していきます。

質問事項
一の8 アジア・ヘッドクォーター特区などにおいては、国において事業活動等において、高いハードルが課され、実質的には活用されていないと聞く。より活用しやすい制度となるよう、国に求めていくべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、アジア・ヘッドクォーター特区における所得控除の特例が創設された平成25年度より、法人実効税率の更なる引下げや要件の緩和を国へ要望してきました。
 その結果、平成28年度には、国家戦略特区における所得控除の特例が創設され、医療、国際、IoT等の分野の事業を専ら営む企業であること、特区外の小規模な事業所の設置も認められること等の要件の緩和が実現しました。
 今後、外国企業等への税制支援に関する広報を強化していくとともに、引き続き、外国企業誘致などに関する税制について検討し、必要な措置を国に要望していきます。

質問事項
一の9 法人住民税は市町村の貴重な財源であり、都が特別区分に属する法人住民税を引き下げた場合、市町村に対しても減税圧力がかかり、市町村の貴重な税源を失うことにつながりかねないが、見解を伺う。

回答
 法人住民税市町村分の課税については、課税自主権を有する市町村の判断を尊重すべきものと考えています。
 都としては、市町村の自主性・自立性の向上等の観点からも、今後の動向に応じて適切に対応していきます。

質問事項
二 行政改革について
1 知事は施政方針で、「実は都庁は、平成18年度を最後に、いわゆる行政改革のプランを策定しておりません」としたが、「実は」という発言の趣旨は何か。隠していたのか。見解を伺う。

回答
 都は、平成18年7月に計画期間を3年とする「行財政改革実行プログラム」を策定しました。
 この計画以後、いわゆる行政改革のプランやプログラムを策定していませんでしたが、平成29年4月から新たに「2020改革プラン(仮称)」の策定作業に着手していきます。
 こうしたことを都民の皆様にも分かりやすく伝えるため、「実は」と前置きをしたものです。

質問事項
二の2 平成18年度以降、行政改革プランを策定してこなかった理由について伺う。

回答
 都は、財政再建を達成した平成18年度以降、いわゆる行政改革のプランを策定してきませんでしたが、事業評価制度等を通じて、費用対効果や事業内容の改善等、毎年度、一定の成果を上げてきました。
 行財政運営の質がより一層問われる中、限られた時間で様々な変化に即応するために、行政改革プランで予め目標や期限といった範囲を区切るのではなく、個々の事業の検証と見直しを行うなど、不断の行政改革を推進してきました。

質問事項
二の3 行政改革プランを策定していなくても、しっかりと行政改革の取組を進めてきたものと認識していたが、プランがなかったことをどのように評価しているのか伺う。

回答
 都は、平成18年7月に、計画期間を3年とする「行財政改革実行プログラム」を策定し、期間終了後はそうしたプランやプログラムを策定せず、事業評価制度等を通じて、費用対効果や事業内容の改善等、毎年度、一定の成果を上げてきたものと考えています。

質問事項
二の4 平成29年度に「2020改革プラン(仮称)」を策定することとした背景となる知事の考えについて伺う。

回答
 内外ともに困難な状況に直面し、未来が不確実さを増している今、旧来の発想から抜け出し、なすべきことをなすことで、希望あふれる東京の未来を切り開くことができます。
 このため、知事就任後直ちに、情報公開、内部統制、自律改革の3つのテーマをはじめとした都政改革に取り組んできました。今後は、こうした取組を一歩進めて、従来の延長線を超えた新たな発想を常に生み出すために改革を重ね、都政の手法と体質を変えていくことが必要です。
 そこで、平成29年度からは新たに、「しごと改革」、「見える化改革」、「仕組み改革」という3つの改革に取り組み、その成果を「2020改革プラン(仮称)」として取りまとめていきます。

質問事項
二の5 行政改革とは、行政のあり方や組織のあり方に関するこれまでの考え方のシフトチェンジであると認識しているが、知事が描こうとしている改革プランの大きな方向性は何か伺う。

回答
 平成29年度から新たに取り組む「2020改革」は、「削る」「減らす」を主眼とした、従来型の行政改革ではなく、都民ファーストに資する都庁の機能強化を目指すものです。
 具体的には、職員・職場のレベルから都庁のしごとを見直す「しごと改革」、各局等の主要事業について分析・評価し、その実態と課題を浮き彫りにする「見える化改革」、これらの改革から見えた成果や課題を踏まえ、全庁的な制度や仕組みの見直し等を進める「仕組み改革」という3つの改革に取り組んでいきます。
 このように、情報公開を基軸にしつつ、「都民ファースト」、「賢い支出(ワイズ・スペンディング)」の観点から、組織、制度、政策の全てを包括的に見直すことで、東京の持続的発展を支える都庁の機能強化を図っていきます。

質問事項
二の6 「2020改革プラン(仮称)」の策定が必要であるとの判断であるが、都政の現状をどのように認識しているのか伺う。

回答
 都では、これまで財政危機などを契機としながら、プラン等に基づく行政改革の取組を実施してきました。近年は、個々の事業の検証と見直しを繰り返し徹底する、「質」の改革を重視し、不断の改革に取り組んできました。
 一方、現在、都は、東京2020大会の開催を控え、大会準備に向けた様々な取組を展開するとともに、従来の延長線を超えた新たな発想を常に生み出すために改革を重ね、「新しい東京」の実現に向けた様々な政策を推進することが求められています。
 このため、知事就任後直ちに、情報公開、内部統制、自律改革の3つのテーマをはじめとした都政改革に取り組み、今後は、こうした取組を一歩進めて、都政の手法と体質を変えていくことが必要です。
 そこで、平成29年度からは新たに、「しごと改革」、「見える化改革」、「仕組み改革」という3つの改革に取り組み、その成果を「2020改革プラン(仮称)」として取りまとめていきます。

質問事項
二の7 知事は施政方針で、「2020改革プラン(仮称)」に関し、業務の効率化、時代に合った人事制度や執行体制等の見直しに取り組むとしているが、既に取り組んできた内容ではないか。これまでの取組と何が違うのか伺う。

回答
 地方自治体には、常に最少の経費で最大の効果を上げる責務が課せられており、都はこれまでも、職員定数の大幅な削減、国や他団体に先駆けた人事給与制度改革や監理団体改革など、行財政改革を積み重ね、財政の健全化に努めてきました。
 また、財政再建を達成した平成18年度以降も、費用対効果の検証や事業内容の改善等に着実に取り組んできました。
 今般の「2020改革」は、都民ファーストに資する都庁の機能強化を図るものであり、自治体の行政改革で一般的に行われる、「削る」「減らす」を主眼とした改革手法ではなく、ICTの積極的な活用を通じた業務効率化やサービスの向上など「質」の向上を、現場に根差したボトム・アップの改革で推進していきます。

質問事項
二の8 業務の効率化とは、具体的にどのような効率化を想定しているのか。更なる職員の減は都庁内に蓄積されたノウハウを失わせ、事業の継続性を危うくするものだが、見解を伺う。

回答
 今般の「2020改革」においては、「情報公開」を基軸にしつつ、「都民ファースト」、「賢い支出(ワイズ・スペンディング)」の観点から、改めて、これまでの組織、制度、政策の全てを包括的に見直すこととしています。
 自治体の行政改革で一般的に行われてきた、「削る」、「減らす」を主眼とした改革手法ではなく、ICTの積極的活用や職員の能力開発、多様で柔軟な働き方の推進など、生産性の向上に資する業務の効率化に取り組み、都庁の執行体制の強化を図っていきます。

質問事項
二の9 官民の適切な役割分担とのことであるが、都はこれまでも民に任せられるものは民にゆだね、組織のスリム化を進めてきた。今後、具体的にどのように役割分担を想定しているのか伺う。

回答
 都は、効果的・効率的な事業執行を図るため、民間でできることは民間に委ねるとの原則のもと、官民の役割分担を見直し、指定管理者制度など多様な民間開放手法の導入を進めるとともに、制度の運用に当たっては、評価の仕組みやチェック機能の強化などに取り組んできました。
 今般の「2020改革」においては、都庁の機能強化を図るため、「情報公開」を基軸にしつつ、「都民ファースト」、「賢い支出(ワイズ・スペンディング)」の観点から、改めて、これまでの組織、制度、政策の全てを包括的に見直すこととしています。
 このような見直しを通じて、効率的で効果的な事業の実施体制の視点から、官民の適切な役割分担を検証していきます。

質問事項
二の10 監理団体の戦略的活用とは、監理団体の数を増やしていくということなのか、現状は戦略的に活用できていないという認識なのか、その考え方について伺う。

回答
 都は、これまで監理団体改革を行財政改革の大きな柱の一つに据えて様々な改革に取り組んできました。その上で、監理団体を都政の重要なパートナーと位置付け積極的に活用を図ってきました。
 東京2020大会の成功やその後の東京の持続的発展に向けて、都庁の機能強化を図っていくことが重要であり、都の現場を支える監理団体を含めた「都庁グループ」としての総合力を発揮できる執行体制を確立していく必要があります。
 こうした考えに基づき、今後、監理団体の在り方について「都民ファースト」、「賢い支出(ワイズ・スペンディング)」の観点から、監理団体の機能や規模など必要な検証を進め、「新しい東京」の実現を支える監理団体の戦略的活用に向けた改革の取組につなげていきます。

質問事項
二の11 「2020改革プラン(仮称)」が行政改革プランであれば、東京都庁自体の改革であり、都職員が主体となって検討し、顧問の関与は最小限にすべきだが、どのような体制で検討を行う予定なのか伺う。

回答
 「2020改革プラン(仮称)」は、直接職員や職場の声を汲(く)み上げて都庁のしごとを見直す「しごと改革」、各局が主体となって、主要事業について実態と課題を浮き彫りにする「見える化改革」、全庁的な制度や仕組みの見直し等を進める「仕組み改革」という3つの改革の成果を取りまとめるものです。
 いずれの改革も、職員自らが主体であり、今回の改革の理念の一つとして、「自主的・自律的なボトムアップの改革の推進」を掲げています。
 特別顧問等については、専門的な知見やノウハウ、経験に基づいて助言を行うとともに、必要に応じ、庁内に設置されるプロジェクトチームにも参加を予定しています。

質問事項
二の12 「2020改革プラン(仮称)」について、都の案が示されれば、都議会においても十分に審議を行うつもりだが、プラン策定のスケジュールについて伺う。

回答
 平成29年第一回定例会において、平成29年4月から「2020改革プラン(仮称)」の策定作業を始めることを明らかにしました。
 今後の策定スケジュールとしては、平成29年夏を目途に本プランの方向性を提示し、年末から年度末にかけて取りまとめ、公表する予定です。
 また、平成30年度以降も、毎年度、必要な改革の取組を追加するとともに、改革の方向性等についても適宜見直しを行い、改訂版プランを策定・公表していくことを想定しています。

平成29年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 小児慢性特定疾病医療費助成にかかわる問題について
二 待機児童解消、民有地を活用した必要な保育所建設について

一 小児慢性特定疾病医療費助成にかかわる問題について
 東京都は、小児慢性特定疾病医療費助成を行っています。そのなかに「1型糖尿病」も入っています。
 私は、1型糖尿病の子どもを持つお母さんから「息子は1型糖尿病で、医療費は都から助成があって、大変助かっている。しかし、対象は18歳未満で必要であると認められた場合は20歳未満までとなっています。」と相談がありました。
 「11歳の時に発症。一晩で5キロも体重が減り血糖値が1000に(健康な人は100くらい)なって、ひん死の状況だった。病気は治らないのに、年齢で医療費の補助がなくなるのは困る。発病して3ヵ月から4ヵ月入院し、自分でインシュリンの注射が出来ないと退院できなかった。病気の認知度が低く、偏見もあった。高校入試の時には、『入院しないようにする』と一筆書いてくれと言われた。薬や血糖をはかるチップや注射の針など、医療費は1ヵ月で4万円程度かかります。入院も多いので、定職に就くこともできない」ということです。
 1型糖尿病は原因が不明で、大人になっても完治しません。難病指定にして欲しいと希望していたが、難病の指定にはなりませんでした。日本では、10万人に約1.5人といわれますが、最近増えているようです。
1 小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象疾病はいくつありますか。また、何人が認定になっていますか。
2 そのうち、1型糖尿病の認定は何人ですか。
3 20歳まで更新できる対象について、伺います。
4 1型糖尿病の方で、18歳以上の人は何%くらいですか。
5 20歳まで更新可能となっていますが、どのように周知していますか。
6 国の難病指定には入っていない疾病でも、都独自の補助制度が求められます。今後の検討を要望するものですが、いかがですか。
7 小中学校や高校に、病気の内容や症状などについて周知し、病気によって差別やいじめが起こらないようにすることが必要ですが、都の認識を伺います。
8 小池都知事は「ダイバーシティ」をかかげ、2017年度予算案には「難病・がん患者就業支援事業」が盛り込まれたことは重要です。病気で通院・入院が必要な人への理解を広げ、難病やがん患者だけでなく、都が医療助成の対象にしている難病や1型糖尿病などのように定期的に通院や入院が必要な人が継続就労できるように、対象の枠を拡大するよう検討を求めますが、いかがですか。

二 待機児童解消、民有地を活用した必要な保育所建設について
 私の地元・東大和市でも「保育園に申し込んだが入れなかった。子どもを保育園に預け仕事に復帰しようと思っていたが、職場復帰をあきらめて仕事をやめた」というお母さんがいます。待機児童解消は、待ったなしの事態です。
 都は来年度予算案に、民有地を活用するうえで23区に限って固定資産税などの減免を行うとし、多摩地域は対象になっていません。あらたな多摩格差になるのではないかと思います。
1 都は来年度予算案に、民有地を活用するうえで23区に限って固定資産税などの減免を行うとしています。23区に限って行う理由は何ですか。
2 都有地・国有地の活用だけでは条件が少ないため、多摩地域においても民有地の活用の推進が求められます。市町村の判断で固定資産税などの減免を行う場合、その減免分に相当する都の財政支援を行えば、多摩地域でも民有地の活用が進むと考えますが、いかがですか。

平成29年第一回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 小児慢性特定疾病医療費助成にかかわる問題について
1 小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象疾病はいくつあるか、また、何人が認定になっているか伺う。

回答
 平成29年4月現在、小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象疾病は、悪性新生物、慢性心疾患、内分泌疾患など14疾患群、722疾病となっています。
 平成27年度の対象疾病は14疾患群、704疾病で、認定者数は7,339人となっています。

質問事項
一の2 そのうち、1型糖尿病の認定は何人か伺う。

回答
 平成27年度の小児慢性特定疾病医療費助成制度の認定者のうち、1型糖尿病など7つの疾病からなる糖尿病疾患群の認定者数は、410人となっています。

質問事項
一の3 20歳まで更新できる対象について伺う。

回答
 18歳到達時点において小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象となっており、かつ引き続き医療支援が必要であると認められる場合には、20歳の誕生日の前日まで本制度の対象となっています。

質問事項
一の4 1型糖尿病の方で、18歳以上の人は何パーセントくらいか伺う。

回答
 平成27年度に都が実施した「慢性疾病を抱える児童等の実態調査」では、1型糖尿病を含む糖尿病疾患群の認定を受けた児童等の保護者から回答を頂いた163件のうち、児童等が18歳以上の件数は30件であり、全体の18.4パーセントとなっています。

質問事項
一の5 20歳まで更新可能となっているが、どのように周知しているのか伺う。

回答
 都は、更新対象となる全ての認定者に対して、医療受給者証の有効期間が満了となる月のおおむね4か月前に、更新申請のお知らせを郵送しています。

質問事項
一の6 国の難病指定には入っていない疾病でも、都独自の補助制度が求められる。今後の検討を要望するが、見解を伺う。

回答
 国の医療費助成の対象となる難病は、平成27年1月の「難病の患者に対する医療等に関する法律」の施行に伴い、特定疾患治療研究事業の対象疾病56疾病から、平成27年1月1日に110疾病、同年7月1日に306疾病、平成29年4月1日に330疾病と拡大されています。
 平成27年9月に告示された「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」では、医療費助成制度の今後の取組の方向性について、「指定難病については、定められた要件を満たす疾病を対象とするよう、国は、疾病について情報収集を広く行い、それぞれの疾病が置かれた状況を踏まえつつ、指定難病の要件の適合性について適宜判断を行う」としており、国は、引き続き、厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会において検討を行うこととしています。
 都は、国に対し、難病の要件を満たすものについては指定難病とするよう提案要求しています。

質問事項
一の7 小中学校や高校に、病気の内容や症状などについて周知し、病気によって差別やいじめが起こらないようにすべきだが、都の認識を伺う。

回答
 都は、児童福祉法に基づき、慢性的な疾病にかかっていることにより、長期にわたり療養を必要とする児童等の健全育成及び自立促進を図るため、平成27年1月から小児慢性特定疾病児童等自立支援事業を実施しており、学校等の関係機関と連携しながら、小児慢性特定疾病児童等及びその家族への相談支援等を行っています。
 また、小児慢性特定疾病児童等に対する理解を促進するため、平成27年度には、都内の公立小・中・高等学校及び特別支援学校の職員を含む地域の関係機関を対象に長期療養児の治療や生活等をテーマとする研修を行いました。
 さらに、「慢性疾病を抱える児童等の実態調査」を実施し、平成28年度に、母子保健従事者等を対象に行った研修の中で、調査結果の周知を図りました。

質問事項
一の8 難病やがん患者だけでなく、都が医療助成の対象にしている難病や1型糖尿病などのように定期的に通院や入院が必要な人が継続就労できるように、対象の枠を拡大するよう検討を求めるが、見解を伺う。

回答
 難病患者の方については、平成27年に施行された難病法で社会参加の機会が確保されるべきことがうたわれ、国において、従来より行っていた就労支援を強化しています。
 また、平成28年12月に改正されたがん対策基本法では、新たに企業にがん患者の方の雇用継続への配慮に努めることとされました。
 都は、こうした国の動向を踏まえ、平成29年度より、難病患者やがん患者の方が、安心して職場で活躍できるよう、治療と仕事の両立に配慮した雇入れや復職、継続就業に取り組む事業主を支援する事業を開始しており、これを着実に実施していきます。

質問事項
二 待機児童解消、民有地を活用した必要な保育所建設について
1 都は来年度予算案に、民有地を活用するうえで23区に限って固定資産税などの減免を行うとし、多摩地域は対象になっていないが23区に限って行う理由は何か伺う。

回答
 都は、待機児童の解消に向け、民有地を活用した保育所等の整備促進を税制面から支援するため、23区において保育所等の用に供する土地を有料で貸し付けている所有者の固定資産税及び都市計画税について、一定の要件を満たす場合に、減免措置を講じることとしました。
 都が固定資産税及び都市計画税の課税権を有するのは23区内に限られるため、都内市町村において、都と同様の減免措置を実施するか否かについては、課税権を有する各市町村が判断することになります。

質問事項
二の2 多摩地域においても民有地の活用の推進が求められるが、市町村の判断で固定資産税などの減免を行う場合、その減免分に相当する都の財政支援を行えば、多摩地域でも民有地の活用が進むが、見解を伺う。

回答
 多摩地域における固定資産税等の減免については、課税自主権を有する各市町村が独自に判断するものです。
 これまで都は、軽減措置の導入について市町村長に理解と協力を求めてきました。
 今後、市町村における導入状況を踏まえるとともに、課税自主権にも配慮しつつ適切に対応していきます。

平成29年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 松田やすまさ

質問事項
一 私学助成について
二 団体ヒアリングについて

一 私学助成について
1 私立高等学校等の特別奨学金補助について、公明党が要望していた910万円以下の都内平均授業料までの引き上げを、760万円以下とした理由について伺う。
2 親の年収が760万円以下と以上とで、323,200円もの授業料に格差が生じることは、公平性の観点から疑問が残るが、見解を伺う。
3 今回の措置では、生活保護世帯など真に必要な方々への支援は拡大されていない。知事は「家庭の経済状況に左右されず、安心して学び続けられる環境を整備する」と言っているが、低所得者への支援を優先的に拡大するべきではなかったのか、見解を伺う。
4 私立学校教育助成の経常費補助を引き上げて、私立学校に通う全ての子供を対象として、修学上の経済負担を引き下げるべきと考えるが、いかがか。
5 また、この奨学金制度を引き続き行うのであれば、私立小学校や私立中学校に通う子供も、都内平均授業料まで引き下げるべく支援すべきと考えるがいかがか。
6 先の代表質問や予算特別委員会で、通信制高校も特別奨学金補助の対象に含めるといった議論が他党よりなされているが、都民の税金をどの事業に振り分けるかは、実態をしっかりと把握した上で配分すべきであり、選挙対策などと揶揄されないようにしていただきたい。
7 通信制課程では、教育環境や授業形態が多様で、授業料も年額制や単位制など各学校や通うコースによって異なり、生徒の年齢や生活実態も異なるなどの課題がある。三重県に所在する通信制私立高校の就学支援金不正受給問題などの記憶も新しい中、どのような検討を行って行くのか、伺う。
8 私立高校の授業料負担が減ることで、教育の自由度の高い私立高校の優位性が高まり、公立高校の地盤沈下につながるといった声には、どのように考えているのか。
9 私立高校の授業料負担が減ることで、私立高校を志望する子供が増えることが想定されるが、公立校の規模の見直し等は検討しているのか、伺う。

二 団体ヒアリングについて
1 知事が直接団体からの要望を聞くという場を設けた趣旨について伺う。
2 対象団体として、60団体を選定した基準について伺う。
3 ヒアリングを行う団体はあわせて60団体であったが、これで都民の声をすべて聞いたと言えるのか。また、ヒアリングの対象から漏れた団体の意見については、どのように予算に反映したのか、伺う。
4 団体からは、1団体15分と言う限られた時間では、十分に要望を伝えきれないとの戸惑いの声があったが、知事は全ての要望を受け止めたと考えているのか。
5 団体要望のヒアリングを実施したことによって、当初の局要求よりも予算を増やした事例はあるのか。
6 ヒアリングを行った団体に対して、知事査定終了後、査定の方向性をお伝えしたとのことだが、なぜ、公開しなかったのか。

平成29年第一回都議会定例会
松田やすまさ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 私学助成について
1 私立高等学校等の特別奨学金補助について、公明党が要望していた910万円以下の都内平均授業料までの引き上げを、760万円以下とした理由について伺う。

回答
 今回の特別奨学金の拡充は、私立高校が公教育に果たす役割を踏まえ、できるだけ多くの世帯の保護者の経済的負担を軽減することを目的としました。
 具体的には、支給対象の所得区分のうち、平成27年の都の4人世帯の平均年収である約660万円が含まれるのは、年収約590万円以上約760万円未満の区分であるため、今回の拡充対象をこの所得区分までとしました。

質問事項
一の2 親の年収が760万円以下と以上とで、323,200円もの授業料に格差が生じることは、公平性の観点から疑問が残るが、見解を伺う。

回答
 今回の特別奨学金の拡充は、支給対象の所得区分のうち、平成27年の都の4人世帯の平均年収である約660万円が含まれるのは、年収約590万円以上約760万円未満の区分であるため、対象をこの所得区分までとしました。
 都は、年収約760万円以上の世帯についても、学校への補助である経常費補助を通じて授業料等の抑制を図るとともに、保護者に対しては、国の就学支援金により教育費の負担を軽減しています。
 加えて、育英資金や入学支度金貸付を実施しています。
 こうした施策を総合的に活用し、修学上の経済的負担の軽減に努めていきます。

質問事項
一の3 今回の措置では、生活保護世帯など真に必要な方々への支援は拡大されていないが、低所得者への支援を優先的に拡大するべきではなかったのか、見解を伺う。

回答
 都はこれまでも、国の就学支援金や都の特別奨学金により、授業料の保護者負担軽減を図っており、生活保護世帯については、都内私立高校の平均授業料額までの支援を行ってきました。
 授業料以外の教育費負担については、奨学給付金や育英資金により軽減を図っています。
 さらに、平成29年度より、無利子の入学支度金貸付額を、20万円から都内私立高校入学金の平均額である25万円まで引き上げることとしました。
 都は、こうした幅広い施策を総合的に活用し保護者負担の軽減に努めていきます。

質問事項
一の4 私立学校教育助成の経常費補助を引き上げて、私立学校に通う全ての子供を対象として、修学上の経済負担を引き下げるべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、学校への補助である経常費補助を通じて授業料等の抑制を図るとともに、保護者に対しては、都の特別奨学金や奨学給付金、国の就学支援金等により教育費の負担を軽減しています。
 加えて、育英資金や入学支度金貸付を実施しています。
 こうした幅広い施策を総合的に活用し、修学上の経済的負担の軽減に努めています。

質問事項
一の5 この奨学金制度を引き続き行うのであれば、私立小学校や私立中学校に通う子供も、都内平均授業料まで引き下げるべく支援すべきだが、見解を伺う。

回答
 国は、平成29年度から「私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業」を行うこととしています。これは、私立小・中学校等に通う年収400万円未満の世帯に属する児童生徒について、都道府県を通じて授業料負担の軽減事業を行いつつ、その家庭の状況等、実態を把握するための調査を行うものです。
 都は、国の実証結果に基づくその対応を注視していきます。

質問事項
一の6 代表質問や予算特別委員会で、通信制高校も特別奨学金補助の対象に含めるといった議論がなされているが、都民の税金をどの事業に振り分けるかは、実態をしっかりと把握した上で配分すべきである。見解を伺う。

回答
 通信制課程の生徒に必要な支援を検討するに当たっては、各学校現場の実状を具体的に把握し、それを踏まえた制度設計を行う必要があります。
 そこで、支援の対象となる生徒数や、未成年の就労生徒の割合などについて、学校に対してヒアリングを行い、その結果を踏まえ、検討を進めていきます。

質問事項
一の7 通信制課程では、教育環境や授業形態が多様で、授業料も年額制や単位制など各学校や通うコースによって異なり、生徒の年齢や生活実態も異なるなどの課題があるが、どのような検討を行っていくのか伺う。

回答
 各学校へのヒアリング結果を踏まえ、対象となる生徒数や履修登録の状況等をもとに制度を検討し、併せて事業規模を把握します。
 その後、各学校と調整しながら、申請時期や審査期間、支給時期などの年間を通じた事務処理の流れを定め、必要となる事務体制の整備、システムの構築などの検討を進めていきます。

質問事項
一の8 私立高校の授業料負担が減ることで、教育の自由度の高い私立高校の優位性が高まり、公立高校の地盤沈下につながるといった声には、どのように考えているのか伺う。

回答
 都教育委員会は、これまでも都立高校改革推進計画に基づき教育内容の充実や教育環境の整備を推進してきました。
 さらに、平成29年度に都立高校と私立高校の双方において、それぞれの状況に応じた給付型奨学金制度が導入され、都民の教育費負担の軽減が図られるとともに、中学生の学校選択の幅が広がるものと考えています。
 都教育委員会は、今後も、こうした状況も踏まえながら、都立高校に在籍する多様な生徒を真に社会人として自立した人間に育成するため、都立高校の特色化や生徒個々の状況に応じた学力向上等、公教育をともに担う私立高校と互いに切磋琢磨して、都民の期待に応えられるよう、様々な施策に取り組んでいきます。

質問事項
一の9 私立高校の授業料負担が減ることで、私立高校を志望する子供が増えることが想定されるが、公立校の規模の見直し等は検討しているのか伺う。

回答
 都教育委員会と都内私立高校は、毎年度、公私間において協議を行い、全日制高校への進学を希望する公立中学校の3年生が全員入学できるよう、毎年度の生徒数の増減に対応した就学計画を策定し、受け入れています。
 一方、平成28年11月に公表した教育人口等推計では、都内公立中学校の卒業予定者数が平成41年度まで増加していくことが見込まれていることから、中長期的視点による対応策を検討しています。
 今後も引き続き、中学生の都立高校への進学希望や実績等を注視しながら、適正な就学計画を策定するとともに、就学機会の確保に努めていきます。

質問事項
二 団体ヒアリングについて
1 知事が直接団体からの要望を聞くという場を設けた趣旨について伺う。

回答
 各種団体からのヒアリングは、予算編成に都民の声を最大限反映させていくという、予算編成プロセスの見直しの一つとして、現場の実態に精通する団体の方々や、都民の皆様により身近な行政サービスを提供している区市町村の代表の方々から、知事自身が直接意見を伺う場として設けたものです。

質問事項
二の2 対象団体として60団体を選定した基準について伺う。

回答
 60団体を選定した考え方としては、まず、連合体なども含めた各種団体57団体については、団体に関連した補助金又は委託料等の予算を1億円以上計上している団体を基本とし、広く都民の生活向上に関わる事業を行う団体、関連業界の上部機関として業界の意見を代表している団体、会員相互の連携によりその専門性を活かして都政に寄与していただいている団体という3つの視点に基づき、事業を所管する各局からの推薦を踏まえて選定しました。
 これに加えて、区市町村の代表として、特別区長会、東京都市長会、東京都町村会の3団体を選定し、合わせて60団体としています。

質問事項
二の3 ヒアリングを行う団体はあわせて60団体であったが、これで都民の声をすべて聞いたと言えるのか。また、ヒアリングの対象から漏れた団体の意見については、どのように予算に反映したのか、伺う。

回答
 限られた時間の中でヒアリングを行うため、対象団体は、一定の基準を設け、連合体なども含めた各種団体57団体と、区市町村の代表3団体を選定しました。
 ヒアリングを行った団体は、都民の生活に密接に関わる事業を行う団体や、業界の意見を代表する団体などであり、都民の皆様の声を幅広く伺うことができたと考えています。
 また、これに加え、知事の現場視察などの際にいただいてきた都民の皆様の生の声や、各局からの多岐にわたる報告、さらには都議会の皆様からの御要望などを活かすことにより、知事査定を通じて、都民の皆様に共感いただける予算を編成できたものと考えています。

質問事項
二の4 団体からは、限られた時間では十分に要望を伝えきれないとの戸惑いの声があったが、全ての要望を受け止めたと考えているのか、見解を伺う。

回答
 1団体15分という限られた時間の中ではありますが、御意見や御要望をしっかりと聴くため、各種団体の事業概要や東京都との関わりなどについて、事前に情報を十分に収集・整理した上でヒアリングを実施しました。
 また、ヒアリングには、具体的な事業に精通している所管局長が同席し、各種団体の皆様との率直な意見交換が行えるよう、工夫をしました。
 こうした取組により、現場の声を幅広く伺うことができたものと考えています。

質問事項
二の5 団体要望のヒアリングを実施したことによって、当初の局要求よりも予算を増やした事例はあるのか伺う。

回答
 各種団体からヒアリングを実施することにより、現場の実態や都民が直面する課題に即した、都民目線のきめ細かな事業とすることができたものと考えています。
 予算を増やした事例としては、例えば、東京都町会連合会からいただいた、町会・自治会への加入率の減少や加入者の高齢化という問題の深刻さについての御意見を踏まえ、情報発信力の強化など、若年層の加入率向上に取り組む町会・自治会への補助を、当初の局要求から約1億円増加させ、3億円を措置しています。
 また、市町村長の皆様から強い要望のあった市町村総合交付金については、多摩・島しょ地域の一層の振興を図るため、局要求から更に5億円を増額し、500億円確保するなど、必要に応じた予算措置を行っています。

質問事項
二の6 ヒアリングを行った団体に対して、知事査定終了後、査定の方向性を伝えたとのことだが、なぜ、公開しなかったのか伺う。

回答
 今回の予算編成においては、ヒアリングを行った各種団体の御意見も踏まえて、知事査定を行い、その結果をしっかりとお伝えするため、面会を実施しました。
 この面会は、予算査定の一環として行ったものであることから、公開はできませんでしたが、知事査定と同様に、各種団体との面会後に囲み取材を実施し、予算編成プロセスの見える化、透明化を図っています。

平成29年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 鈴木錦治

質問事項
一 市町村総合交付金について

一 市町村総合交付金について
1 そもそも平成27年度から平成28年度にかけて17億円もの増額がはかられているが、それらはどのような考え方で各市町村に交付したのか、伺う。
2 今回、全市町村から公開のヒアリングを行った上で、各市町村への配分額を決めたようだが、要望額以上に実際の交付金を配分した市町村はあったのか、伺う。
3 市町村の要望額を超えて配分しているのであれば、都民の税金が恣意的に配分されているのではないかとの懸念が生じるが、どのような基準で増額交付をすることとしたのか。
4 また、こうした懸念については、選挙対策として行っているのではないかと疑念を抱かせないような対応が必要ではないか。
5 市町村長との意見交換を踏まえつつ交付額を決定したとのことだが、これまでは市町村の要望を聞いていなかったのか、聞いているのだとすれば、具体的にどのように意向を反映していたのか、伺う。
6 特別区に対しても、特別区財政調整交付金や特別区都市計画交付金などを交付していると思うが、市町村と同様に、特別区の首長に対しても公開のヒアリングの場で意見を聞いた上で配分を行った方が望ましいという考え方はなかったのか、伺う。
7 平成28年度当初予算から最終補正予算及び平成29年度予算案への増額は何故10億円の増額なのか、また、局要求額495億円から更に5億円増額させたのは何故か、その理由について伺う。
8 そもそも、平成29年度予算に際しての市町村(市長会、町村会等を含む)からの要望額はいくらだったのか、伺う。
9 平成28年度から新たに算入項目として加えたものは何か、伺う。
10 島しょ部に加え、東大和や清瀬、東久留米市など、野田特別秘書の元選挙区であった北多摩地域が要望額よりも多く配分されていると聞いているがこの理由は何か、伺う。
11 これら野田特別秘書の元選挙区は都営住宅が多く存在するようだが、こうしたことが多く配分されている理由だとすれば、都営住宅が多く存在する市町村にどのような財政需要が生じているのか、伺う。
12 都営住宅を多く抱えている市町村に対して市町村総合交付金を多く配分しているのだとすれば、このことについて、都営住宅の整備を実施してきた都市整備局はどのように考えているのか、伺う。
13 また、都営住宅は市町村だけでなく区部にもあると思うが、都営住宅を多く抱えている区部の財政需要に対してはどのように対応しているのか、伺う。
14 平成29年度以降も、こうした算定項目を存続させるのか、伺う。
15 待機児童の解消に向け、23区内において「民有地を活用した保育所等整備促進税制」を創設した。同様の税制を市町村が実施する場合、市町村の税収減を市町村総合交付金で補てんするとの説明があったが、そもそも市町村総合交付金の趣旨に反するのではないか。
16 今回公表された情報は、市町村名及び市町村ごとの交付額のみであり、それが多いのか少ないのか、過去からの推移がどうなのか、配分のおおまかな考え方などの情報はなかった。都政の透明化を標榜する知事として、都民目線から、十分な情報をわかりやすく公開できたとお考えか、伺う。
17 算定の透明化を含めた交付額決定のあり方について検討を行うとのことだが、今後どのようなスケジュールで検討を進めるのか、伺う。
18 市町村の強い要望であった500億円を達成したが、今後この500億円を維持するのか、または増やしていく考えなのか、今後の方向性を伺う。
19 これまでの方法では何が問題で、どのような検討を行っていくのか、伺う。

平成29年第一回都議会定例会
鈴木錦治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 市町村総合交付金について
1 平成27年度から平成28年度にかけて17億円も増額がはかられているが、それらはどのような考え方で各市町村に交付したのか、見解を伺う。

回答
 市町村総合交付金は、市町村が実施する各種施策に要する一般財源の不足を補完することにより、市町村の行政水準の向上と住民福祉の増進などに寄与することを目的とした制度です。
 交付に当たっては、全ての市町村長との意見交換において伺った課題や要望を踏まえ、当初予算で把握できなかった財政負担や市町村における緊急的な課題等への対応を支援するため、財政支援の拡充を図りました。

質問事項
一の2 今回、全市町村から公開のヒアリングを行った上で、各市町村への配分額を決めたようだが、要望額以上に実際の交付金を配分した市町村はあったのか、見解を伺う。

回答
 市町村総合交付金は、個々の市町村の財政力指数や徴税率等の指標により客観的に算定を行うほか、公共施設整備や地域振興事業など、市町村の個別の実情に応じた財政需要についても、ヒアリング等を通じて把握した上で算定しており、市町村の要望に対して交付額の増減が生じることもあります。
 これは、歳入の増加による財政状況の改善や経営努力に係る取組、大規模公共事業の完了に伴う財政需要の減少など、市町村の実情や個別の財政需要を的確に交付額へ反映した結果であり、各市町村に対しては当該理由について丁寧に説明を行っています。

質問事項
一の3 市町村の要望額を超えて配分しているのであれば、都民の税金が恣意的に配分されたのではないかとの懸念が生じるが、どのような基準で増額交付をすることとしたのか、見解を伺う。

回答
 市町村ごとの交付額は、市町村に配布・周知した要綱に基づき、財政力指数や徴税率等の指標により客観的に算定を行うほか、公共施設整備や地域振興事業など、個々の市町村が抱える個別の財政需要についても、ヒアリングにより内容をきめ細かく確認するなど、それぞれの実情に即した交付となるよう適切に算定しています。
 なお、歳入の増加による財政状況の改善や経営努力に係る取組、大規模公共事業の完了に伴う財政需要の減少などにより、市町村によって交付額は増減します。

質問事項
一の4 都民の税金が恣意的に配分されているのではないかとの懸念については、選挙対策として行っているのではないかと疑念を抱かせないような対応が必要だが、見解を伺う。

回答
 市町村総合交付金は、個々の市町村の財政力指数や徴税率等の指標により客観的に算定を行うほか、公共施設整備事業など個別の財政需要について、ヒアリング等を通じて把握した上で算定しています。
 平成28年度交付額の算定に当たっては、年間を通じ市町村からヒアリングを行い、それぞれの要望状況をきめ細かく把握するとともに、インターネット中継を通じ公開した全ての市町村長との意見交換において伺った課題や要望も反映し、個々の市町村の実情に即した適切な交付となるよう、交付額を決定しています。

質問事項
一の5 市町村長との意見交換を踏まえつつ交付額を決定したとのことだが、これまでは市町村の要望を聞いていなかったのか、聞いているのだとすれば、具体的にどのように意向を反映していたのか、見解を伺う。

回答
 これまでも市町村総合交付金の交付額の算定に当たっては、毎年、市町村からのヒアリングの中で、十分な意見交換を行った上で、それぞれの要望状況をきめ細かく把握し、公共施設整備や地域振興事業など、市町村が抱える個別の財政需要を踏まえ、適切に交付額を決定しています。

質問事項
一の6 特別区に対しても、特別区財政調整交付金や特別区都市計画交付金などを交付していると思うが、市町村と同様に、特別区の首長に対しても公開のヒアリングの場で意見を聞いた上で配分を行った方が望ましいという考え方はなかったのか、見解を伺う。

回答
 特別区の行財政運営を支援するに当たって、各区から直接意見を聞くことは大変重要です。
 特別区財政調整交付金は、特別区と協議を積み重ね、知事と区長等で構成される都区協議会で検討し、合意を図った上で、地方自治法に基づき、都が条例を制定し、各区に交付金を交付しています。
 また、都市計画事業又は土地区画整理事業に使途が限定されている都市計画税を原資とした特別区都市計画交付金については、毎年度、各区からヒアリングを行い、当該年度の都市計画事業の実施状況等を把握しながら、区が負担する事業費の一定割合を交付しています。
 今後とも特別区の行財政運営が適切に行われるよう対応していきます。

質問事項
一の7 平成28年度当初予算から最終補正予算及び平成29年度予算案への増額は何故10億円の増額なのか、また、局要求額495億円から更に5億円増額させたのは何故か、その理由について伺う。

回答
 市町村総合交付金については、所管局の要求に加え、都議会各会派からの要望や市町村を代表する皆様からの強い要望等を踏まえ、待機児童の解消などの市町村の緊急的な課題等への対応を支援するため、平成29年度予算では前年度から10億円を増額し、500億円としました。また、平成28年度最終補正予算においても、多摩・島しょ地域の充実を一日も早く図るため、10億円を増額し、500億円としています。

質問事項
一の8 平成29年度予算に際しての市町村(市長会、町村会等を含む)からの要望額はいくらだったのか、見解を伺う。

回答
 平成28年11月に開催された都市町村協議会、翌月の都予算に対するヒアリングにおいて、市町村の代表である東京都市長会、東京都町村会から、平成29年度の交付金総額を500億円とするよう要望を受けています。

質問事項
一の9 平成28年度から新たに算入項目として加えたものは何か、伺う。

回答
 平成28年度からの算定項目として位置付けているものはありませんが、交付額の算定に当たっては、新たに実施した市町村長との意見交換において伺った、扶助費の増加や待機児童解消対策に伴う負担増などの課題や要望を交付額に反映しています。

質問事項
一の10 島しょ部に加え、東大和や清瀬、東久留米市など、野田特別秘書の元選挙区であった北多摩地域が要望額よりも多く配分されていると聞いているがこの理由は何か、伺う。

回答
 市町村総合交付金は、個々の市町村の財政力指数や徴税率等の指標により客観的に算定を行うほか、公共施設整備や地域振興事業など、市町村の個別の実情に応じた財政需要についても、ヒアリング等を通じて把握した上で算定しており、市町村ごとに交付額は異なります。
 とりわけ島しょ町村は、市部と比較して財政規模が小さいこと、自然環境が厳しく維持補修に多額の費用を要することなどの財政需要があり、そうした島しょ地域の厳しい財政状況が結果的に交付額に反映されているものです。
 また、御指摘の東大和市などを含む市部においても、扶助費の増加や待機児童解消対策に伴う負担増など、個別の財政需要に応じた算定を行った結果、増減が生じているものです。

質問事項
一の11 東大和や清瀬、東久留米市といった野田特別秘書の元選挙区は都営住宅が多く存在するようだが、こうしたことが多く配分されている理由だとすれば、都営住宅が多く存在する市町村にどのような財政需要が生じているのか、見解を伺う。

回答
 市町村総合交付金の算定方法は、都営住宅の立地状況を直接反映する仕組みとはなっていません。
 なお、市町村ごとの交付額は、各種財政指標により客観的に算定を行うほか、個別の財政需要についてヒアリング等を通じて把握した上で算定しており、財政状況の改善や経営努力に係る取組、大規模公共事業の完了に伴う財政需要の減少などにより増減が生じているものです。

質問事項
一の12 都営住宅を多く抱えている市町村に対して市町村総合交付金を多く配分しているのだとすれば、このことについて、都営住宅の整備を実施してきた都市整備局の見解を伺う。

回答
 市町村総合交付金の算定方法は、都営住宅の立地状況を直接反映する仕組みとはなっていません。
 なお、都営住宅の整備に当たっては、地元自治体からの要望を受け、住棟の低層部などに、保育所をはじめとする福祉施設の整備などを進めています。
 あわせて、建替えで創出した用地を活用し、道路、公園の整備による住環境や防災性の向上、子育て支援施設や高齢者福祉施設の整備促進を図っています。

質問事項
一の13 都営住宅は市町村だけでなく区部にもあると思うが、都営住宅を多く抱えている区部の財政需要に対してはどのように対応しているのか伺う。

回答
 都営住宅の整備に当たっては、地元自治体からの要望を受け、住棟の低層部などに、保育所をはじめとする福祉施設の整備などを進めています。
 あわせて、建替えで創出した用地を活用し、道路、公園の整備による住環境や防災性の向上、子育て支援施設や高齢者福祉施設の整備促進を図っています。
 なお、都営住宅は、都区財政調整制度の基準財政需要額としては、算定されていません。

質問事項
一の14 平成29年度以降も、都営住宅といった算定項目を存続させるのか伺う。

回答
 市町村総合交付金の算定方法は、都営住宅の立地状況を直接反映する仕組みとはなっていません。
 今後とも、市町村を取り巻く状況の変化に応じ、市町村等の意見も十分聞きながら、適切に対応していきます。

質問事項
一の15 待機児童の解消に向け、23区内において「民有地を活用した保育所等整備促進税制」を創設した。同様の税制を市町村が実施する場合、市町村の税収減を市町村総合交付金で補てんするとの説明があったが、そもそも市町村総合交付金の趣旨に反するのではないか、見解を伺う。

回答
 市町村総合交付金は、市町村が実施する各種施策に要する一般財源の不足を補完するものであり、各市町村の財政状況や施策展開など個別の実情を踏まえて交付しています。
 今後、市町村を含めた東京全域において待機児童解消が進むよう、各市町村における当該税制の導入状況等を踏まえつつ、適切な支援に努めていきます。

質問事項
一の16 今回公表された情報は、市町村名及び市町村ごとの交付額のみであり、それが多いのか少ないのか、過去からの推移がどうなのか、配分のおおまかな考え方などの情報はなかったが、都民目線から、十分な情報をわかりやすく公開できたのか、見解を伺う。

回答
 情報公開が求められる中、都においても「都政の見える化」を進める観点から、市町村別の交付額を初めて公表することとしました。
 今後、都民目線でどのような情報の公開が有用か、市町村等の意見も十分聞きながら、適切に対応していきます。

質問事項
一の17 算定の透明化を含めた交付額決定のあり方について検討を行うとのことだが、今後どのようなスケジュールで検討を進めるのか伺う。

回答
 算定の透明化を含めた交付額決定の在り方については、検討に着手したところであり、今後、市町村長及び都議会の皆様の意見も十分聞きながら、進めていきます。

質問事項
一の18 市町村の強い要望であった500億円を達成したが、今後この500億円を維持するのか、または増やしていく考えなのか、今後の方向性を伺う。

回答
 市町村を取り巻く財政状況は、依然として厳しい状況に置かれており、市町村総合交付金は、その財源補完としての役割を十分果たしていくことが重要と考えています。
 今後とも、市町村の財政需要に的確に応えられるよう、その時々の状況を見極めつつ、適切に対応していきます。

質問事項
一の19 これまでの方法では何が問題で、どのような検討を行っていくのか伺う。

回答
 これまで市町村総合交付金については、市町村との信頼関係に基づき把握した情報も含め算定していること、市町村別の交付額を一律に公表することは、その財政状況や経営努力等が金額のみで判断されるおそれがあること、及び市町村自ら公にしていない情報を都が開示する場合には配慮が必要であることなどを勘案し、当該市町村分のみの交付額を提示してきました。
 しかしながら、情報公開が求められる中、都においても「都政の見える化」を進める観点から、市町村別の交付額を初めて公表することとしました。
 今後も、都民目線でどのような情報の公開が有用か、市町村等の意見も十分聞きながら、算定の透明化を含めた交付額決定の在り方について、検討していきます。

平成29年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 北久保眞道

質問事項
一 LED電球の無償配布について

一 LED電球の無償配布について
1 知事は施政方針の中で、「これまでの延長線を超えた「新たな発想」を常に生み出すために自律改革を重ねる」と述べられている。知事が標榜されるこれまでの延長線を超えた「新たな発想」とはどのようなことを念頭に置かれているのか、具体的な事例を挙げてお答えいただきたい。
2 知事が前例としてお示しになっているロンドン市のリビングストン市長が行った施策では、LED電球の提供は民間企業から行われたと聞いている。今回、行政が税金を投入してLED電球を無償配布することについては、丁寧な説明が不可欠であると考えるが、改めてそのねらいについて伺う。
3 LED電球の配布はいつ頃はじまるのか、省エネアドバイザーの指定や研修などを考えれば、時間がかかるのではないか。
4 今回LED電球を100万個配布するとのことだが、何故100万個なのか、その考え方について伺う。
5 この事業に対して予算を18億円計上しているが、この事業による費用対効果について、経済波及効果なども踏まえてお示しいただきたい。
6 電力消費量や電気料金が削減されるというこの事業の効果は、未だLED電球への交換を行っていなかったご家庭がその恩恵の大半を受けることとなると推測されるが、既に交換を行っているご家庭との公平性の観点はどのように考えるのか、伺う。
7 この施策の肝は、交換の際に実施するとしている省エネアドバイスであると考えるが、省エネアドバイスを効果的に実施するためにどのような工夫を行うのか、伺う。
8 この省エネアドバイスにより、各ご家庭においてどのような省エネ行動が行われ、どの程度の省エネ効果を見込んでいるのか、伺う。
9 省エネムーブメントを展開するとのことだが、この事業により展開される「省エネムーブメント」とは、具体的にどのようなことか、伺う。
10 LED電球を無償配布し省エネアドバイスを行っただけでは、いわゆる「ムーブメント」のようなことは到底起こらないと考えるが、今後、具体的にどのような仕掛けでムーブメントを巻き起こしていくのか、伺う。
11 当然、安く仕入れた白熱電球とLED電球を交換し、LED電球を転売することを考える者も出てくると思うが、こうしたことに対してどのような対策を講じるのか、伺う。
12 例えば、交換は1人1回まで、1世帯1回までなどのルールを設けた場合、身分証明書などの確認が必要となるが、ルール違反が確認できるのは既に交換を行った後となることが想定される。こうしたルール違反への何か罰則のようなことは考えているのか、伺う。
13 罰金刑のような現実的な効果を発揮できるような罰則を規定できないのであれば、結果として一定程度ルールは形骸化される。逆に言えば、そのことを想定した上での知事のご決断かと思うが、1人1回まで等のルールを厳格に適用することが困難であっても、本事業を実施すると決断された考え方について、伺う。

平成29年第一回都議会定例会
北久保眞道議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 LED電球の無償配布について
1 知事は施政方針の中で、「これまでの延長線を超えた『新たな発想』を常に生み出すために自律改革を重ねる」と述べている。知事が標榜されるこれまでの延長線を超えた「新たな発想」とはどのようなことを念頭に置かれているのか、具体的な事例を挙げての見解を伺う。

回答
 人口減少社会の到来や激動の国際情勢など、内外ともに未来が不確実さを増す中にあっては、従来の延長線上にとどまらず、新たな発想で山積する都政の課題を解決していかなければなりません。
 例えば、いわゆる「都市鉱山」からオリンピック・パラリンピックのメダルを作成する取組は、都民・国民の一体感や大会への参画意識を高め、大会を成功へと導くための新たな発想です。職員の提案により4月から開始した昼休みの分散化も、まさに新たな発想であり、職員の疲労回復や公務能率の向上を図り、生産性を高めることにつながります。
 今後とも、自律改革を推し進め、広い視野に立った柔軟な発想を職員から引き出すことで、時代の流れを踏まえながら都民本位で課題解決を進めていく組織へと都庁を磨き上げていきます。

質問事項
一の2 知事が前例として示しているロンドン市が行った施策では、LED電球の提供は民間企業から行われた。今回、行政が税金を投入して LED電球を無償配布することについて、丁寧な説明が不可欠だが、改めてそのねらいについて伺う。

回答
 都は、世界一の環境先進都市を目指し、2030年までに温室効果ガス排出量を2000年比で30パーセント削減するという目標を掲げています。
 この目標の達成に向けた鍵の一つは、これまでCO2の削減が進んでいなかった家庭部門の取組であると考えています。
 家庭での電気使用量の機器別割合では、照明が約2割を占めています。
 そこで、白熱電球に比べ電気消費量が約6分の1という高い省エネ効果を持つとともに寿命が約40倍長持ちするLED照明を都内全ての家庭に普及させることを目指して、白熱電球とLED電球の交換事業を実施します。
 LED電球をまだ使ったことが無い方々にも省エネ効果を実感していただき、併せて省エネアドバイスを行うことで、家庭部門の省エネに積極的に取り組んでいきます。

質問事項
一の3 LED電球の配布はいつ頃はじまるのか、省エネアドバイザーの指定や研修などを考えれば、時間がかかるのではないか、見解を伺う。

回答
 LED電球の配布については、都による研修などを経て、省エネアドバイスに精通した地域家電店等の協力を得て実施していきます。参加協力店の募集や、事業の実施方法の周知、ポスター等広報の準備などを確実に進めた上で、事業を開始したいと考えています。

質問事項
一の4 今回LED電球を100万個配布するとのことだが、何故100万個なのか、その考え方について伺う。

回答
 本事業は、都内全域でのキャンペーンとして盛り上げていくために、交付するLEDの数を100万個としました。
 都内で、まだLED電球を一つも使用していない世帯は約280万世帯と想定されますが、この約3分の1の規模にあたる100万個のLED電球を交付するという、インパクトある取組によって、LEDの省エネ性能を実感していただくとともに、省エネに対する都民の関心を呼び、事業効果を高めていきたいと考えています。

質問事項
一の5 LED電球を配布する事業に対して、予算を18億円計上しているが、この事業による費用対効果について、経済波及効果なども踏まえて示していただきたいが、見解を伺う。

回答
 本事業は、LED電球の交付をきっかけとして、同時に省エネアドバイスを実施することで家庭の省エネを推進することを目的としています。
 LED交付事業による直接的な効果としては、100万個の60ワットの白熱電球がLEDに換わることで、年間約4.4万トンのCO2削減になり、年間で約23.4億円の電気料金の削減効果があります。
 また、LED電球の追加購入や、省エネ意識の向上による家電の買い替えなど、副次的な経済的効果も期待しています。

質問事項
一の6 電力消費量や電気料金が削減されるというこの事業の効果は、未だLED電球への交換を行っていなかったご家庭がその恩恵の大半を受けることとなると推測されるが、既に交換を行っているご家庭との公平性の観点はどのように考えるのか伺う。

回答
 本事業は、白熱電球とLED電球の交換をきっかけとして、同時に省エネアドバイスを実施することで、家庭の省エネを推進することを目的に実施する新たな制度であり、白熱電球を2個以上使用している家庭は全て対象となります。

質問事項
一の7 LED電球を配布する施策の肝は、交換の際に実施するとしている省エネアドバイスであると考えるが、省エネアドバイスを効果的に実施するためにどのような工夫を行うのか伺う。

回答
 都民に分かりやすい省エネアドバイスを行うために、東京都の省エネ研修を受けた地域家電店に御協力いただきます。
 省エネアドバイスを行う際は、都が今後作成する家庭の省エネのコツや工夫を紹介したリーフレットを用いて、都民に分かりやすく説明していただきます。
 また、都民に地域家電店へ足を運んでいただくことで、店舗内に展示してある家電製品を用いてエコモードの設定の仕方を説明するなど、実践的なアドバイスもすることができます。

質問事項
一の8 LED電球交換の際の省エネアドバイスにより、各ご家庭においてどのような省エネ行動が行われ、どの程度の省エネ効果を見込んでいるのか伺う。

回答
 温暖化対策を進めるに当たっては、今まで普通だと思ってきた生活様式に少しの工夫を加えることで、利便性や快適性を損なうことなく効果が得られる対策を分かりやすく伝え、実行につなげることが重要だと考えています。
 例えば、白熱電球が4個ついた照明器具をLED電球に交換し、1日8時間使用した場合、1年間で約526キロワットアワー、約13,600円の電気料金の削減効果が見込まれます。
 また、冷蔵庫の設定温度を季節に合わせて調節することで、年間61.7キロワットアワー、約1,600円の電気料金の削減効果が見込まれます。

質問事項
一の9 省エネムーブメントを展開するとのことだが、この事業により展開される「省エネムーブメント」とは、具体的にどのようなことか伺う。

回答
 家庭での省エネ対策を進めるに当たっては、今まで普通だと思ってきた生活様式に少しの工夫を加えることで、利便性や快適性を損なうことなく省エネ効果が得られる方法を分かりやすく伝え、実行につなげていくことが大切です。
 本事業における「省エネムーブメント」とは、白熱電球をLED電球に交換する事業をきっかけとして、省エネ効果が高いLED照明を、家庭に広く浸透させていくと同時に、都民の省エネに対する意識改革を促していくものです。

質問事項
一の10 LED電球を無償配布し省エネアドバイスを行っただけでは、いわゆる「ムーブメント」のようなことは到底起こらないと考えるが、今後、具体的にどのような仕掛けでムーブメントを巻き起こしていくのか伺う。

回答
 まず、白熱電球のLED電球への交換を100万個の規模で行うことで、日頃、家庭での省エネに関心の低かった都民に対し、省エネのきっかけを作ります。
 また、家電店に足を運んでいただき、省エネアドバイスを受けることで、家庭で容易に取り組める省エネ対策を普及するとともに、省エネ家電への関心を高め、買い替えにもつなげていきます。
 あわせて、LEDの省エネ効果等についてSNSの活用や動画を配信するなどして戦略的に広報していきます。
 これらの取組を通して、家庭での省エネの機運醸成を図っていきます。

質問事項
一の11 安く仕入れた白熱電球とLED電球を交換し、LED電球の転売を考える者も出てくると思うが、こうしたことに対してどのような対策を講じるのか伺う。

回答
 不正防止については、LEDの普及、そして家庭の省エネを推進するという本来の目的を踏まえつつ、対策を検討しています。
 白熱電球とLED電球を交換する際に、受領証に氏名、住所を記載していただき、運転免許証等で本人確認をします。
 また、LED電球の箱には、都の事業で交換したものであることを明示し、オークション等に出品された場合には判別できるような工夫を施します。
 都民の参加しやすさや地域家電店の負担、不正防止に掛かるコストなどを総合的に勘案した上で、不正防止対策に取り組んでいきます。

質問事項
一の12 例えば、交換は一人1回まで、1世帯1回までなどのルールを設けた場合、身分証明書などの確認が必要となるが、ルール違反が確認できるのは既に交換を行った後となることが想定される。こうしたルール違反への何か罰則のようなことは考えているのか伺う。

回答
 白熱電球とLED電球を交換する際には、受領証に氏名、住所等を記載していただき、運転免許証等で本人確認をします。
 氏名、住所等のデータは東京都が管理します。
 不正に交換したことが確認された場合は、LED電球の代金相当を返金していただくなど、公平性を保つような仕組みを検討します。
 また、このような対策を、事前にホームページ等に掲載し周知することなどで、不正に対する抑止を図っていきます。

質問事項
一の13 罰金刑のような現実的な効果を発揮できるような罰則を規定できないのであれば、結果として一定程度ルールは形骸化される。逆に言えば、そのことを想定した上での知事のご決断かと思うが、一人1回まで等のルールを厳格に適用することが困難であっても、本事業を実施すると決断された考え方について、見解を伺う。

回答
 LED電球は白熱電球に比べて省エネ性能に大変優れていますが、初期コストが高く、未だ十分に普及しているとは言えません。
 本事業により、100万個の白熱電球がLED電球に換わることで、都内約3万世帯が1年間に使用する電力量を削減でき、これは、年間約4.4万トンのCO2削減に相当します。
 LED電球の交換という分かりやすい取組をきっかけに、地域家電店等による省エネアドバイスを通じて、都民の省エネへの意識啓発を図り、家庭の省エネムーブメントを引き起こしていくことは、東京都の地球温暖化対策を進める上で重要なことであると考えています。
 また、都民の参加しやすさや地域家電店の負担、不正防止に掛かるコストなどを総合的に判断した上で、不正防止対策に取り組んでいきます。

平成29年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
一 都道の安全な歩行空間の確保等について
二 都立公園の管理運営について
三 崖地の開発規制について

一 都道の安全な歩行空間の確保等について
1 都道の整備については、都市計画に基づいて進められていますが、一方では、現状ある都道において、都市計画道路になっていないものも多くあります。そうした都道において大変狭く、地域から安全な歩行空間の確保が求められている箇所も多くあります。歩行者の安全を考えると拡幅に取り組むべきと考えますが、どのように対応するのか伺います。
2 狭い道路で拡幅が難しい場合に、電線の地中化が対応として考えられます。都では無電柱化を重要な政策と位置付けていますが、歩行者の安全確保が必要な箇所については優先して進める必要があると考えます。今後の取り組みについて伺います。
3 三鷹市内において都道連雀通りについて都市計画道路になっている部分の拡幅が現在進められています。一方、都市計画道路になっていない箇所についても拡幅を望む声が地域から出されています。とりわけ、杏林大学井の頭キャンパスの新設によるバスの増便による交通量の増加により交差点改良の声が強まっています。連雀通りにおける安全な歩行空間の確保について取り組みを伺います。
4 三鷹市内の都道人見街道において、都市計画道路になっていない箇所について地域住民の協力により一部拡幅が進められています。しかし、市役所近辺のように交通量の多い箇所、また第一小学校近くのように児童が通る箇所など、地域から強く拡幅を求める声が出されています。人見街道において、歩行者の安全確保が重要と考えますが、今後の都の取り組みを伺います。

二 都立公園の管理運営について
1 都立公園は地域の方々の憩いの場としてだけではなく、災害時は広域避難場所になるなど大変重要な役割も果します。地域住民や所在する市区町村との連携は欠かせません。都は都立公園の管理運営について地域住民や所在する市区町村との連携をどのように行っているのか伺います。
2 現在、都立公園は、上野恩賜公園と井の頭恩賜公園だけが直営で、他は指定管理者が運営しています。都が直接運営することで、直接利用者の声を聴いたり、地域住民や所在する市区町村との連携も図れると考えます。都立公園の管理運営についての見解を伺います。
3 都立井の頭恩賜公園は、三鷹市と武蔵野市にまたがる公園で、今年、開設100周年を迎えます。都と両市、地域住民が協力して記念事業の準備を進めています。とりわけ、池の水がにごっているため2度にわたって「かいぼり」という水を抜いて外来種を除去しきれいにしようという取り組みを行いましたが、報道でも大きく注目されました。都立井の頭恩賜公園100周年に際して、地域住民、地域団体、三鷹市、武蔵野市等と連携して取り組んできたことの意義を伺います。さらには、そうした取り組みを今後の公園の運営にどのように活かしていくのか見解を伺います。
4 100年事業の一つである「井の頭公園アートマーケッツ」として、公園を核とした賑わいの創出のため、手作り作品の出展や、パフォーマンスの出展を、登録制で実施しています。公園に賑わいが創出される取り組みとして継続しての取り組みを求める声がありますが、今後の展開を伺います。

三 崖地の開発規制について
 昨年、三鷹市内の崖地における開発に関して、隣接する市道が陥没し長期間にわたり通行止めになった事例がありました。周辺にお住まいの方にも不安を与えてしまいます。その後、都が指導し、事業者に対して周辺住民への丁寧な対応をするようにしたと聞いています。三鷹市だけではなく、都内各地の崖地において、次々と住宅開発が進められています。都によると、これら崖地における造成工事は、法律の手続きを経て適切に行われている、ということではありますが、周辺住民は不安感を抱いています。そこで、崖地における宅地造成の指導や監督をさらに強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。

平成29年第一回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都道の安全な歩行空間の確保等について
1 現状ある都道において、都市計画道路になっていないものも多くある。そうした都道において大変狭く、地域から安全な歩行空間の確保が求められている箇所も多くある。歩行者の安全を考えると拡幅に取り組むべきだが、どのように対応するのか伺う。

回答
 都市計画道路以外の都道の歩行空間の確保に当たっては、自動車や歩行者の交通量、学校、病院など公共施設の立地状況や沿道状況等を総合的に勘案して整備箇所の選定を行い、拡幅による歩道整備を計画的に進めています。
 一方で、既に密集した市街地が形成され、マンションなど堅ろうな建物や店舗が緊密に建ち並んでいる都道については、拡幅による歩道整備は極めて困難なため、歩車道の分離やカラー舗装による歩行部分の明示を行うなど、歩行者の安全確保に努めています。

質問事項
一の2 狭い道路で拡幅が難しい場合に、電線の地中化が対応として考えられる。都では無電柱化を重要な政策と位置付けているが、歩行者の安全確保が必要な箇所については優先して進める必要があるが、今後の取組について伺う。

回答
 都は、平成26年12月に策定した東京都無電柱化推進計画に基づき、センター・コア・エリア内において、計画幅員で完成した都道の無電柱化を東京2020大会開催までに完了させるとともに、周辺区部や多摩地域の第一次緊急輸送道路を中心に無電柱化の整備を推進しています。
 加えて、狭い道路で無電柱化が困難な箇所では、歩行空間の確保のため、当面の対策として、例えば道路外や歩行者に支障のない位置への電柱移設などを行い、歩行者の安全確保を図るよう取り組んでいます。

質問事項
一の3 三鷹市内において都道連雀通りについて都市計画道路になっている部分の拡幅が現在進められている。一方、都市計画道路になっていない箇所についても拡幅を望む声が地域から出されている。とりわけ、杏林大学井の頭キャンパスの新設によるバスの増便による交通量の増加により交差点改良の声が強まっている。連雀通りにおける安全な歩行空間の確保について取組を伺う。

回答
 都はこれまで、連雀通りの三鷹市井口地区において、歩道整備を行うなど、連雀通りにおける歩行者の安全確保に積極的に取り組んできました。
 引き続き、交通量や公共施設の立地状況等を総合的に勘案して整備箇所の選定を行い、歩道整備を計画的に進めるなど、連雀通りにおける歩行者の安全確保に積極的に取り組んでいきます。
 なお、連雀通りと並行する三鷹3・4・7号線を第四次事業化計画の都施行の優先整備路線に選定しました。本路線と市施行である三鷹3・4・13号線の整備により、連雀通りの交通分散を図り、歩行者の安全確保に努めていきます。

質問事項
一の4 三鷹市内の都道人見街道において、都市計画道路になっていない箇所について地域住民の協力により一部拡幅が進められている。しかし、市役所近辺のように交通量の多い箇所、また第一小学校近くのように児童が通る箇所など、地域から強く拡幅を求める声が出されている。人見街道において、歩行者の安全確保が重要と考えるが、今後の都の取組を伺う。

回答
 都は現在、人見街道の三鷹市野崎地区において、延長約580メートルの歩道整備事業を進めており、平成28年度までに約410メートルの区間で歩道が完成しています。
 また、人見街道と三鷹通りが交差する三鷹市役所交差点は、第3次交差点すいすいプランに位置付けられており、右折車線等の整備に併せて歩道を整備することで、歩行者の安全も確保する予定です。
 引き続き、交通量や公共施設の立地状況等を総合的に勘案して整備箇所の選定を行い、歩道整備を計画的に進めるなど、歩行者の安全確保に積極的に取り組んでいきます。

質問事項
二 都立公園の管理運営について
1 都は都立公園の管理運営について地域住民や所在する市区町村との連携をどのように行っているのか伺う。

回答
 都立公園では、地域住民やボランティア等と連携し、植栽や花壇の管理、園内清掃による美化活動を行うなど、都民との協働による公園管理に取り組んでいます。
 また、市区町村と連携し、公園のにぎわいを創出するイベントの開催や、地域防災力の強化や防災意識の普及啓発に寄与する訓練等を実施しています。

質問事項
二の2 現在、都立公園は、上野恩賜公園と井の頭恩賜公園だけが直営で、他は指定管理者が運営している。都の直営により、直接利用者の声を聴いたり、地域住民や所在する市区町村との連携も図れるが、都立公園の管理運営についての見解を伺う。

回答
 都が直営で管理する上野恩賜公園及び井の頭恩賜公園では、直接利用者の声を把握するなど、職員が貴重な現場経験を積むとともに、「井の頭恩賜公園開園100年事業」など、地域と一体となった管理運営にも取り組んでいます。
 こうした経験や蓄積されたノウハウを、指定管理者への指導監督を通じて、他の都立公園においても生かしています。

質問事項
二の3 都立井の頭恩賜公園100周年に際して、地域住民、地域団体、三鷹市、武蔵野市等と連携して取り組んできたことの意義を伺う。さらには、そうした取組を今後の公園の運営にどのように活かしていくのか見解を伺う。

回答
 都では、井の頭恩賜公園の開園100周年を迎えるに当たり、地元市や地元商工会など地域民間団体とともに「井の頭恩賜公園開園100年実行委員会」を設立し、地元の機運を高める事業を実施してきました。
 井の頭池の「かいぼり」をはじめ、都とボランティアや地域の方々と協働して様々な事業を実施できたことは、公園の管理運営上、有意義であったと認識しています。
 今後とも、地域と連携し、井の頭恩賜公園の魅力を更に高めていきます。

質問事項
二の4 100年事業の一つである「井の頭公園アートマーケッツ」として、公園を核とした賑わいの創出のため、手作り作品の出展や、パフォーマンスの出展を、登録制で実施している。公園に賑わいが創出される取組の継続を求める声があるが、今後の展開を伺う。

回答
 「井の頭公園アートマーケッツ」は、井の頭恩賜公園開園100周年に向けた事業の一つとして、井の頭恩賜公園100年実行委員会が出展者を募り、実施しています。
 事業の終了後については、公園利用者のニーズなどを踏まえ、適切に対応していきます。

質問事項
三 崖地の開発規制について
  都内各地の崖地において、次々と住宅開発が進められているが、都によるとこれらの造成工事は、法律の手続きを経て適切に行われているとのことだが、周辺住民は不安感を抱いている。崖地における宅地造成の指導や監督をさらに強化すべきだが、都の見解を伺う。

回答
 崖地における宅地造成については、都市計画法や宅地造成等規制法に従い、申請された造成内容について的確に審査を行い、許可処分をすることとなっています。
 完了検査においても、許可条件に従って行われる災害の防止に必要な措置などについて確認し、造成後の宅地の安全性を確保しています。
 さらに、法定の手続に加えて、崖地における造成工事中の箇所についても、現場パトロールや擁壁などの中間検査の実施頻度を高くし、安全管理の面から事業者を指導しています。
 今後とも、関連する法令の趣旨に基づき、事業者を適切に指導し、安全確保に努めていきます。

平成29年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤あつし

質問事項
一 都営住宅の駐車場活用について

一 都営住宅の駐車場活用について
 都営住宅の駐車場の空き状況は地元小平市など多摩地域では50%程度と推察している。駐車場不足と思われる23区内でも3分の1以上が空いている都営住宅が散見される。
1 都内の都営住宅の駐車場の空き状況は把握されていると思うがいかがか。また、把握されているならば何台分、何%が空いているのか、併せて伺う。
2 高齢になり、運転が難しい入居者も多くなっていると推察される。駐車場の空きは過去の状況と比較してどのようになっているのか、推移がわかれば教えていただきたい。また、空き駐車場は地域的な偏在があるのかなど、特徴があれば所見を伺う。
3 住居戸数に応じた駐車場附置義務数があるかと推察する。2012年に整備した世田谷区の都営住宅でも約6割が空き状態という駐車場もある。どのように駐車場数は決められているのか、また、附置義務数はどのようになっているのか伺う。
4 駐車場の活用については以前より、入居者以外の駐車場契約を促進して土地の有効活用を私は訴えてきた。ただ、JKK住宅供給公社の駐車場賃貸のホームページを見てもあれだけある駐車場の空きにもかかわらず掲載物件は限定的である。ホームページ活用が限られる根拠は何か伺う。
5 仮に空き駐車場で入居者以外の賃貸契約が成立した場合、入居者が購入できないような高価な車両を置くことを咎める事はできない。そのような場合に周辺の納税者が不快に思わないように明確に外部の賃貸物件と示すことが住民にも賃貸契約者にとっても誤解を生まない配慮と思う。そのような配慮はされているのか、具体的な取組を伺う。
6 今後車両所有入居者は減少すると推察される。設置数や附置義務数の見直しなどは検討すべきではないか。また、実際に有効活用ができないならばどのようにその土地を活用していくのか、所見を伺う。
7 現実的な課題として周辺納税者から見て理解を得られないほどの空地や空き駐車場については、空いている都有地の活用としてどのように理解を得る工夫をしていくのか伺う。

平成29年第一回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都営住宅の駐車場活用について
1 都営住宅の駐車場の空き状況は地元小平市など多摩地域では50パーセント程度、23区内でも3分の1以上が空いている都営住宅が散見されるが、都内の都営住宅の駐車場の空き状況について伺う。また、把握しているならば何台分、何パーセントが空いているのか、併せて伺う。

回答
 平成29年2月末現在、都営住宅の駐車場は47,964区画あり、そのうち未契約のものは14,822区画、約31パーセントとなっています。

質問事項
一の2 高齢になり、運転が難しい都営住宅の入居者も多くなっているが、駐車場の空きは過去の状況と比較してどのようになっているのか、推移を伺う。また、空き駐車場は地域的な偏在があるのか、特徴について伺う。

回答
 都営住宅の駐車場の空き区画の割合は、平成25年3月末時点の約24パーセントに対し、平成28年3月末現在では約29パーセントであり、約5ポイント上昇しています。
 平成28年3月末現在の空き区画は、区部では約37パーセント、多摩地域では約26パーセントとなっています。

質問事項
一の3 2012年に整備した世田谷区の都営住宅でも約6割が空き状態という駐車場もあるが、どのように駐車場数は決められているのか伺う。また、附置義務数はどのようになっているのか伺う。

回答
 都営住宅の駐車場については、都営住宅における設置方針に基づき、敷地の形状、建物や緑地等の配置、需要の状況などを勘案し、設置しています。
 その際、附置義務台数に基づき区市等と協議を行うとともに、入居する予定世帯の車の保有状況を調査し、需要に見合った区画を設置するよう努めています。
 なお、附置義務台数については、区市の条例等に基づき、住宅戸数や床面積などに応じて定められています。

質問事項
一の4 住宅供給公社の駐車場賃貸のホームページにおいて、あれだけある駐車場の空きにもかかわらず掲載物件は限定的だが、ホームページ活用が限られる根拠は何か伺う。

回答
 地域住民への駐車場の貸出しについては、恒常的に空きがあり、近隣住民等から利用希望がある場合に、公有財産の有効活用を図るため、入居者の利用に支障のない範囲で実施しています。
 ホームページの掲載情報は、駐車場の利用状況が随時変わることから、申込みしていただいた方が確実に利用できるよう、空き区画の数が比較的多い駐車場に限定しています。
 なお、地域住民が駐車場の利用を希望する場合は、実際に現地を見て問合せをすることが多いため、居住者以外の方が視認しやすい場所に、募集看板の設置を進めています。

質問事項
一の5 仮に空き駐車場で入居者以外の賃貸契約が成立した場合、入居者が購入できないような高価な車両を置くことを咎める事はできないが、周辺の納税者が不快に思わないように明確に外部の賃貸物件と示すことが住民にも賃貸契約者にとっても誤解を生まない配慮であるが、そのような配慮はされているのか、具体的な取組について伺う。

回答
 地域住民への駐車場の貸出しを実施している団地では、視認しやすい場所に、居住者以外の方への募集を行っていることが分かる看板の設置を平成27年度から進めており、平成28年度末現在、合計29か所に設置しています。

質問事項
一の6 今後車両所有入居者は減少すると推察されるが、設置数や附置義務数の見直しなどは検討すべきであり、実際に有効活用ができないならばどのようにその土地を活用していくのか、所見を伺う。

回答
 都営住宅の駐車場については、都の設置方針に基づき、地元区市等と個別に協議するとともに、入居予定世帯の車の保有状況も踏まえ、需要に見合った区画を設置するよう努めています。
 駐車場の空き区画については、定期公募後の入居者に対する常時受付や、近隣にある都営住宅の居住者に対する募集に加え、地域住民向けの貸出しを行うなど、利用の拡大を図っています。
 さらに、介護事業など、様々な目的で都営住宅に車で訪れる人々の利便性を考慮し、試験的に9団地でコインパーキングを設置しています。
 今後とも、これらの取組を適切に行っていきます。

質問事項
一の7 現実的な課題として周辺納税者から見て理解を得られないほどの空地や空き駐車場については、空いている都有地の活用としてどのように理解を得る工夫をしていくのか伺う。

回答
 都営住宅については、これまでも建替えで創出した用地を活用し、区市等と連携しながら、道路、公園、福祉施設などの整備を図っています。
 既存の団地において、今ある駐車場や広場などを廃止して、新たに他の施設を建てる場合には、これらを利用している方々の理解や関係法令への適合が必要であり、地元区市からの個別の相談にも応じながら、協力して適切に対応していきます。

平成29年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山崎一輝

質問事項
一 オリンピック・パラリンピックについて
二 経済施策等について

一 オリンピック・パラリンピックについて
1 知事は、3月末までに役割分担を決めるといっていたが、先週末の記者会見で、もう少し時間がかかるような話があったが、いつまでに何を決めるのか明確にしてもらいたい。
2 記者会見の中で、「その準備は着実に前に進んでいる」と発言しているが、知事がこの交渉にどのようにかかわっているのか、伺う。
3 1月以降、知事が自ら、組織委員会や国に対してどのような行動をおこしたのか、伺う。
4 東京大会はアジェンダ2020により、一都市での開催という原則が緩和されて初めてのケースとなるわけだが、分散開催に当たっては、各自治体の負担が問題となる。知事は他の自治体に費用負担を強いる可能性があることについてどのように考えているのか。
5 「東京大会」と冠する以上、主催都市は東京であるということになるが、今回、分散開催をお願いする埼玉や神奈川、静岡県、宮城県などはどのような位置付けとなるのか。
6 分散開催には他の自治体の理解が欠かせない。他の自治体の理解を得るために、知事はこの間、どのような行動を起こしたのか。
7 分散開催には他の自治体の理解が欠かせない。他の自治体に費用負担も含めた協力を得るために、知事は今後、どのような方策を講じるのか。
8 ボート・カヌーについて、この間、長沼や彩湖など、他県を巻き込む代替案が知事側から一方的にマスコミを使って発せられたが、こうしたことが、関連自治体だけでなく、IOCや組織委員会、国の不信感につながり、交渉を困難にしているのではないかと考えるが、いかがか。
9 開催都市として大会を成功に導くためには、組織委員会や国などとも十分に連携し、密接な意思疎通を図っていくことで、お互いの信頼感を醸成することが必要であると考えるが、今後どのように行動していくのか。
10 「開催都市の責任として、大会成功に向けた前向き、積極的な動きを加速させ、準備に支障のないように検討する」と発言しているが、開催都市の長として自ら積極的に行動すべきと考えるが如何か。
11 競技施設の整備に当たっては、国による財政支援が欠かせないと考えるが、平成23年12月13日付の閣議了解について、要件を緩和するよう、知事として国に強く働きかけを行うべきであるが、この間知事はどのような行動を行ってきたのか、伺う。
12 また、今後国の財政支援を得るために、知事としてどのように働きかけを行って行くのか、伺う。
13 投入される税金とその波及効果と言う観点から、オリンピック・パラリンピックの効果検証を行い、都民に示していくことが必要であると考えるが、どうか。

二 経済施策等について
1 都は2020年に向けた実行プランにおいて、東京発の強い経済を創り上げていかなければならないとし、都内GDPを120兆円とすることを目標に掲げている。昨年末に公表された平成28年度見込は94.4兆円であるが、意欲的な目標をどのような考え方で設定したのか。
2 都内経済の活性化、ひいては我が国経済の活性化に向け、東京2020大会は絶好の起爆剤になると考えるが、同大会が開催される2020年に都内GDPはどの程度押し上げられると考えているか。
3 都内GDP120兆円の目標が達成された場合、雇用など都民生活に与える影響をどのように見込んでいるか。
4 舛添前知事の肝いりで進められてきた延遼館の復元について、知事は「建設のコスト、将来的な維持管理に係るコストなど十分に検証した上で判断する」とし見直しの方向性を示したが、費用対効果等の検証を含めたその後の検討の状況について伺う。
5 また、観光ボランティアの制服についても知事から見直しの方向性が示されている。知事就任後改めるべきと感じた点を是正することは当然あり得ると考えるが、一方で、これまでに都民の税金がすでにつぎ込まれているのも事実である。ワイズスペンディングの観点から、見直しの必要性をどのように考えたのか。

平成29年第一回都議会定例会
山崎一輝議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 オリンピック・パラリンピックについて
1 知事は、3月末までに役割分担を決めるといっていたが、記者会見においてもう少し時間がかかるとの話があった。いつまでに何を決めるのか明確にしてもらいたいが、見解を伺う。

回答
 大会の成功に向けて、準備に支障のないよう、仮設や輸送、セキュリティなどの業務全般にわたり、役割、経費分担の基本的な考え方について、5月中の大枠の合意を目指し、国や組織委員会などの関係者と更に協議を加速していきます。

質問事項
一の2 記者会見の中で、「その準備は着実に前に進んでいる」と発言しているが、知事がこの交渉にどのようにかかわっているのか伺う。

回答
 平成28年12月、都知事として提案し設置された、競技会場が所在する自治体との作業チームにおいては、実務的に、丁寧に検討を行ってきた結果、膨大な業務に加え、多くの課題も掘り起こされ、引き続き、更に精査する必要があるとの報告を受けました。
 この前向きで積極的な動きは、施設などハード面の工事やソフト面の計画など、将来に向けての土台になるものであり、きめ細かく、関係者間での情報共有と協議を進めていくよう指示しました。

質問事項
一の3 1月以降、知事が自ら、組織委員会や国に対してどのような行動をおこしたのか伺う。

回答
 組織委員会に対しては、自ら積極的に都民、国民への情報公開に取り組むとともに、現時点で5千億円と見積られている収入について、更なる増収に努めるよう求めています。
 国に対しては、平成29年3月31日に開催された新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議の場において、改めて、オールジャパン体制での推進について申し上げました。
 また、平成29年5月11日に安倍内閣総理大臣と面会し、パラリンピック経費の負担を求めるとともに、セキュリティやドーピング対策などの行政的費用についても、国が役割と責任をしっかりと果たすよう要請しました。

質問事項
一の4 東京大会はアジェンダ2020により、一都市での開催という原則が緩和されて初めてのケースだが、分散開催に当たっては、各自治体の負担が問題となるが、知事は他の自治体に費用負担を強いる可能性があることについて、どのように考えているのか、見解を伺う。

回答
 平成29年1月から4月まで、競技会場が所在する自治体との作業チームにおいて、仮設内容や会場使用期間の見直しなど、会場ごとに大会の業務や経費について、きめ細かく精査してきました。
 一方、経費負担については、平成29年第一回都議会定例会の施政方針において、開催都市としての都の責任を重く受け止め、他の自治体が所有する施設の仮設整備について、都自らの負担の検討に言及しました。
 そして、平成29年5月11日に安倍内閣総理大臣と面会し、他の自治体が所有する施設の仮設整備について、都が大筋で負担することを表明しました。

質問事項
一の5 「東京大会」と冠する以上、主催都市は東京だが、分散開催をお願いする埼玉県や神奈川県、静岡県及び宮城県などはどのような位置付けとなるのか、伺う。

回答
 競技会場が所在する埼玉県や神奈川県、静岡県、宮城県などは、東京2020大会開催に向けて、東京都、組織委員会、国と相互緊密に連携しながら、万全な大会準備に取り組み、大会の成功に向けて重要な役割を担う自治体です。

質問事項
一の6 分散開催には他の自治体の理解が欠かせないが、その理解を得るために、知事はこの間、どのような行動を起こしたのか伺う。

回答
 東京2020大会の成功のためには、競技会場が所在する自治体間で相互緊密に連携して大会準備を進めていくことが重要です。
 このため、平成27年11月に設置された、競技会場が所在する自治体、組織委員会、国により構成される「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた関係自治体等連絡協議会」、及びその下で実務的な調整を行う幹事会において情報共有・意見交換を行ってきました。さらに、平成28年12月、関係自治体の首長から要請を受けた際に作業チームの設置を提案しました。作業チームにおいては、施設などハード面の工事やソフト面の計画など、将来に向けての土台になるものについて、きめ細かく、関係者間での情報共有と協議を進めています。
 一方、費用負担については、平成29年第一回都議会定例会の施政方針において、開催都市としての都の責任を重く受け止め、他の自治体が所有する施設の仮設整備について、都自らの負担の検討に言及しました。
 そして、平成29年5月11日に安倍内閣総理大臣と面会し、他の自治体が所有する施設の仮設整備について、都が大筋で負担することを表明しました。

質問事項
一の7 分散開催には他の自治体の理解が欠かせないが、他の自治体に費用負担も含めた協力を得るために、知事は今後、どのような方策を講じるのか伺う。

回答
 開催都市としての都の責任を重く受け止め、他の自治体が所有する施設の仮設整備について、都が大筋で負担することとしました。
 今後は、仮設整備のみならず、全体の役割、経費分担について、5月中の大枠の合意を目指し、協議、検討を都が主導していきます。

質問事項
一の8 ボート・カヌーについて、他県を巻き込む代替案が知事側から一方的にマスコミを使って発せられたが、こうしたことが、関連自治体だけでなく、IOCや組織委員会、国の不信感につながり、交渉を困難にしているのではないかと考えるが、見解を伺う。

回答
 ボート・カヌースプリント競技会場の見直しについては、平成28年9月、都政改革本部オリンピック・パラリンピック調査チームが提出した調査報告書を契機に、既存施設の活用や被災地復興の観点から検討を始めたものです。
 検討に当たっては、関連自治体の意見も伺いながら、IOC、組織委員会、国、都の四者で十分に協議、調整を行ったものです。その結果、海の森水上競技場を経費縮減しつつ整備することで合意を得ました。
 なお、長沼ボート場については、事前キャンプ地として活用することとされました。

質問事項
一の9 開催都市として大会を成功に導くためには、組織委員会や国などとも十分に連携し、密接な意思疎通を図っていくことで、お互いの信頼感を醸成することが必要だが、今後どのように行動していくのか伺う。

回答
 大会開催まであと3年となり、施設整備などのハード面はもちろん、ソフト面の計画なども含め、様々な取組を加速していく必要があります。
 そのため、都は、開催都市としての責任をしっかりと受け止め、国、組織委員会と緊密に連携し、大会の準備に万全を期していきます。

質問事項
一の10 「開催都市の責任として、大会成功に向けた前向き、積極的な動きを加速させ、準備に支障のないように検討する」と発言しているが、開催都市の長として自ら積極的に行動すべきだが、見解を伺う。

回答
 都民・国民との一体感とオールジャパンの気運を着実に高め、世界中に興奮と感動を呼び、「記録」と「記憶」が人々の心にいつまでも残る大会を実現し、成功させるために、国や組織委員会などの関係者の先頭に立って、主導的な役割を果たし、万全な大会準備を行えるよう、開催都市としての責任を果たしていきます。

質問事項
一の11 競技施設の整備に当たっては、国による財政支援が欠かせず、平成23年12月13日付の閣議了解について、要件緩和を知事として国に強く働きかけを行うべきだが、この間知事はどのような行動を行ってきたのか、伺う。

回答
 平成29年3月31日に開催された新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議の場において、改めて、オールジャパン体制での推進について申し上げました。
 また、平成29年5月11日に安倍内閣総理大臣と面会し、パラリンピック経費の負担を求めるとともに、セキュリティやドーピング対策などの行政的経費についても、国が役割と責任をしっかりと果たすよう要請しました。

質問事項
一の12 また、今後国の財政支援を得るために、知事としてどのように働きかけを行っていくのか、伺う。

回答
 今後、国、組織委員会との三者協議の場などにおいて、国に対しても、オールジャパンでの取組を推進するため、しっかりとその役割を果たすよう、引き続き強く働きかけていきます。

質問事項
一の13 投入される税金とその波及効果という観点から、オリンピック・パラリンピックの効果検証を行い、都民に示していくべきだが、見解を伺う。

回答
 東京2020大会の開催に伴う波及効果には、税金を投入して整備する競技会場等による効果に加え、大会参加者や観戦者の消費など、民間における投資や消費の活性化による効果も含まれます。
 また、こうした大会開催に直接的に関わる「直接的効果」に加え、大会後のレガシーを見据えて実施される取組による「レガシー効果」も含まれます。
 都は、平成29年3月、こうした幅広い効果を検証するために、経済波及効果を試算し、公表しました。試算の結果、大会に伴う経済波及効果は、全国で32兆円の大きな効果が見込まれることが明らかになりました。
 都内においても、直接的効果3兆円、レガシー効果17兆円、合計20兆円の効果が見込まれており、今後も、大会開催による効果を、気運醸成のためのシンポジウムなど様々な機会を捉えて都民に分かりやすく発信していきます。

質問事項
二 経済施策等について
1 都は2020年に向けた実行プランにおいて、都内GDPを120兆円とすることを目標に掲げている。昨年末に公表された平成28年度見込は94.4兆円であるが、意欲的な目標をどのような考え方で設定したのか、伺う。

回答
 「2020年に向けた実行プラン」においては、3年後に迫る東京2020大会の成功とそれをてこにした東京ひいては日本全体の持続的成長の実現を目指すため、「東京の成長戦略の方向性」を提示し、成長戦略が目指す姿として、都内GDP120兆円など4つの「東京の挑戦」を掲げました。
 この「東京の挑戦」は、目標年次等を示す個別の政策目標とは異なり、都のみならず、都民や民間事業者、国など、東京に関わる様々な主体が力を合わせ、相互に連携して取組を進めたその先に拓(ひら)かれる展望として掲げています。
 東京大会後の2020年以降も新たな富を生み続ける成長を目指すため、東京が積極果敢に挑戦していくことで、我が国GDPの約2割を占める東京から強い経済を創り上げ、日本全体の発展につなげていきます。

質問事項
二の2 都内経済の活性化、ひいては我が国経済の活性化に向け、東京2020大会は絶好の起爆剤だが、同大会が開催される2020年に都内GDPはどの程度押し上げられると考えているのか、見解を伺う。

回答
 我が国経済は、雇用・所得環境の改善が続く中、緩やかに回復していくことが期待されており、国内GDPも、2016年の10月から12月期において、年率換算1.2パーセント増と、経済再生・デフレ脱却に向けて着実に前進しています。この流れを確実に軌道に乗せていくためにも、我が国の成長のエンジンたる東京の更なる発展を目指し、今回策定した実行プランにおいて、東京の成長戦略の方向性を示したところです。
 3年後に控えた東京2020大会は、我が国経済を活性化させていくための絶好の機会であり、大会の開催に伴う経済波及効果も都内で20兆円、全国で32兆円と大きなものになることが見込まれていることから、都のGDPも相当押し上げる効果があるものと認識しています。
 これを一時的な浮揚に止めることなく、2020年以降も新たな富を生み続ける持続可能な成長を目指し、積極果敢な成長戦略を推進していきます。

質問事項
二の3 都内GDP120兆円の目標が達成された場合、雇用など都民生活に与える影響をどのように見込んでいるか、見解を伺う。

回答
 「東京の成長戦略の方向性」では、都内GDP120兆円、訪都外国人旅行者数2,500万人、都民の生活満足度70パーセント、世界の都市ランキング第1位といった4つの「東京の挑戦」を掲げ、この挑戦に向けて今後具体的に展開していく5つの戦略として「FIRST戦略」を立てました。
 この戦略においては、国際金融都市・東京の実現に向けた取組や、特区制度を活用しての外国企業誘致の加速化に取り組むとともに、東京の成長を支える基盤である中小企業の振興や、東京の持つ魅力をより高め、多くの外国人観光客を東京へ呼び込む政策などを推進します。
 また、社会の活力である「人」に着目し、働き方改革や女性の活躍推進などに取り組み、誰もが様々な分野で活躍し、その力を発揮できる社会づくりに向けた政策を展開していきます。
 こうした様々な政策を着実に実行していくことで、持続可能な成長を実現するとともに、多くの都民が心身共に豊かで充実した生活を送り、自己実現を図ることができる社会づくりを進めていきます。

質問事項
二の4 延遼館の復元について、知事は「建設のコスト、将来的な維持管理に係るコストなど十分に検証した上で判断する」と見直しの方向性を示したが、費用対効果等の検証を含めたその後の検討状況について伺う。

回答
 貴重な財源の有効活用という観点から、延遼館の復元構想については、見直すこととしています。
 平成29年3月に策定した「東京都における文化財庭園の保存活用計画(旧浜離宮庭園)」においては、延遼館の復元事業を、長期的視点で取り組むものとして位置付けました。

質問事項
二の5 観光ボランティアの制服についても知事から見直しの方向性が示されている。知事就任後改めるべきと感じた点を是正することは当然あり得るが、これまでに都民の税金がすでにつぎ込まれているのも事実である。ワイズスペンディングの観点から、見直しの必要性をどのように考えたのか伺う。

回答
 海外から東京を訪れる旅行者に対して都内の観光に関する情報を適切に伝える体制を充実することは重要です。このため、都では平成27年6月より観光ボランティアが街なかで、外国人旅行者に対し、きめ細かい情報を提供するとともに、季節に応じた4種類の目立ちやすいユニフォームを着用し声をかけやすい雰囲気を生み出す工夫を行ってきました。
 こうした中、平成28年度の「東京ブランドのあり方検討会」において、東京ブランドの発信に関し議論を行う中で、観光ボランティアのユニフォームに関しても、色彩などのデザイン面で統一感を持たせイメージをより高め、それを着用したいと感じ活動への参加を増やすとの視点で検討を行いました。この内容を踏まえ、新たなユニフォームを作り上げることとしました。その一方で、これまでの制服も貴重な財源により制作したものであること等から、引き続き使用できることとしています。これにより、より効果の高い観光情報の提供の体制を充実していきます。

平成29年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 石毛しげる

質問事項
一 障害者について
二 高齢者について

一 障害者について
 視覚障害者にとって駅ホーム等は見える人にはわからない問題や不安が多く存在し、それを象徴するような事故も多く報告されております。
 これまでもいろいろな策が講じられてはおりますが未だ駅のホームは目の不自由な人にとって「欄干のない橋」と形容される危険な場所であることは変わりません。視覚障害者の4割が鉄道ホームにて転落経験があるといいます。普段使い慣れた駅などでも同様な経験があるといいます。ちょっとしたきっかけで方向感覚を失ってしまうと路線がどっち側かわからなくなってしまうからです。
 日本盲人会連合のアンケート結果によりますと、視覚障害者が危ないと感じた駅の1位は飯田橋、そして2位は都庁の最寄り駅でもあります新宿駅です。危険と感じた主な理由としては、ホームが狭い、駅がカーブしていて、ホームと電車の間が離れている、電車とホームに高低差があり、気を付けないと足を落としやすい、ホームの一部で通路が狭く、行き交う人も多いのにホームドアがない、工事中で床にシートが敷いてあるため点字ブロックが分かりにくい、点字ブロックの上を歩いていると、柱にぶつかる、等であります。
1 もっとも有効なのは、物理的に転落を防ぐホームドアだがより早期に整備可能な手段としてと「内方線付き点字ブロック」といわれておりますが駅のホームドアの、特にドア位置が異なる車両への対策について伺います。
2 また、日本盲人会連合のアンケート結果では、危険と感じた主な駅はJR飯田橋、JR新宿、JR渋谷、JR御茶ノ水、小田急新宿駅といずれも利用者の多い大きな駅ですが、今後の取り組みについて伺います。
3 危険と感じた理由を読み返してみますと、ホームドアの設置がなされれば安全というわけではございません。特に電車とホームの高低差や隙間につきましては、視覚障害がなくとも危ないと感じる場面が多々あります。高低差や隙間について、東京都が確認している危険と思われる駅に対しての取り組みについて伺います。
4 高低差や隙間の緩和だけでなく、駅員や周囲の方の声かけなどまた、駅監視員の配置など、周りのサポートも非常に大切であると考えます。2020年のパラリンピック開催に向け、都民ひとりひとりの助け合い意識が高まることを期待しますが、周知や意識をどう盛り上げるか伺います。
5 2020年にはオリンピックパラリンピックが東京で開催されます、来訪する外国人の障害者の会場への交通アクセス対応について伺います。

二 高齢者について
1 近年、高齢者が起こす交通事故が増加傾向にあるといわれております。運動能力や判断力の低下、さらには認知症が疑われるケースもあり、免許返納は浸透せず有効な打開策を見いだせてない現状です。認知症の疑いがある場合には医師の診察を義務付け、免許の自主返納を勧めるなど対策の強化が図られています。また改正道路交通法では、75歳以上に対する免許制度を見直し、警察と医師が連携し認知機能検査を行うことで事故防止に努めており、こうした制度の見直しがあることで、高齢ドライバーの事故が防げることは非常に大切であると考えます。しかしながら高齢者の多くがきちんと診断も受けず、認知症かどうか、あいまいなままハンドルを握り続けているのが現状です。
  免許更新は3年に一度です。75歳以上の免許保有者の事故が年々上昇していることを踏まえるとこの免許更新は1年に一度でも良いのではないかと考えますが、東京都での昨年中の75歳以上の免許保有者の事故件数、また過去5年の事故件数と合わせてお聞かせ願います。
2 免許更新時の診断で認知症が判明した場合や健康診断等、病院で認知症の診断が出た際の免許保有の有無と「自主返納」について確認していくことも事故の防止に繋がると考えますが、東京都における病院と警察との連携についてお伺いいたします。

平成29年第一回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 障害者について
1 障害者の駅ホームでの転落にもっとも有効なのはホームドアだが、早期に整備可能な手段として「内方線付き点字ブロック」がある。駅のホームドアの、特にドア位置が異なる車両への対策について伺う。

回答
 利用者の安全性確保のため、ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠です。
 扉の位置の異なる列車への対応として、平成27年3月から、JR八高線拝島駅において昇降式ホーム柵の実証実験が行われており、また、平成28年10月には、京急久里浜線三浦海岸駅においてマルチドア対応型ホームドアの実証実験が開始されるなど、鉄道事業者によって様々な取組がなされています。
 都としては、その動向を踏まえ、適切に対応します。

質問事項
一の2 日本盲人会連合のアンケート結果では、危険と感じた主な駅はJR飯田橋、JR新宿、JR渋谷、JR御茶ノ水、小田急新宿駅といずれも利用者の多い大きな駅だが、今後の取組について伺う。

回答
 都は、鉄道事業者のホームドア整備の取組を支援するため、地下鉄の駅、あるいはJRや私鉄の利用者十万人以上の駅を対象として、補助を実施しています。
 これにより、鉄道各社とも取組を加速させており、例えば、JRでは山手線や京浜東北線などで2020年度までの整備目標を示して、整備を進めています。
 御質問の駅のうち、山手線新宿駅、渋谷駅の2駅については、現在改良工事を実施しており、その進捗を踏まえ、2021年度以降にホームドア整備を予定しています。
 引き続き、事業者に働きかけていくとともに、国や区市と連携して、ホームドア整備促進に向け取り組んでいきます。

質問事項
一の3 危険と感じた理由を読み返すと、ホームドアの設置がなされれば安全というわけではなく、特に電車とホームの高低差や隙間については、視覚障害がなくとも危ないと感じる場面が多々ある。高低差や隙間について、東京都が確認している危険と思われる駅に対しての取組について伺う。

回答
 御質問のホームと車両の高低差や隙間を解消する対策としては、例えば、東京メトロにおいては銀座線上野駅で可動ステップの設置が行われており、また、JRにおいては飯田橋駅でホームを移設し、直線化することで、段差や隙間の解消に取り組んでいます。
 駅の安全対策は、鉄道事業者にとって最も基本的な責務であり、引き続き取組を働きかけていきます。

質問事項
一の4 高低差や隙間の緩和だけでなく、駅員や周囲の方の声かけなど、周りのサポートも非常に大切だが、パラリンピック開催に向け、都民の助け合い意識が高まることを期待するが、周知や意識をどう盛り上げるか伺う。

回答
 東京メトロ銀座線青山一丁目駅における事故を受け、平成28年12月に公表された、国の「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」の中間まとめに基づいて、各鉄道事業者は、「声かけ・サポート」運動として、駅員等による声かけを徹底するとともに、ポスターや駅構内の放送などにより鉄道利用者への協力を呼びかけています。
 今後とも、ハード・ソフト両面からの安全対策を鉄道事業者に働きかけていきます。

質問事項
一の5 2020年にはオリンピック・パラリンピックが東京で開催されるが、来訪する外国人の障害者の会場への交通アクセス対応について、見解を伺う。

回答
 東京2020大会の開催に当たっては、外国人の障害者を含め、誰もが円滑かつ安全に会場へアクセスできる環境を整備することが重要と考えています。
 このため、駅から会場への交通アクセスについては、平成29年3月に策定された「アクセシビリティ・ガイドライン」を踏まえ、障害者などの動線となる「アクセシブルルート」を選定し、鉄道駅や道路における段差の解消や、車いすが走行可能な空間の確保等が連続的に実施されるよう、調整を図っていきます。
 さらに、外国人の障害のある方に分かりやすい形で必要な情報を示し、適切に誘導できるよう、アクセシブルルート上で、ピクトグラム等のうち国際的に認められているシンボルを用いて表示することや、要所でボランティアによる適切な案内を行うことなどを検討していきます。
 今後とも、大会組織委員会とともに、大会に向けたハード・ソフト両面からのバリアフリー対策を積極的に推進していきます。

質問事項
二 高齢者について
1 近年、高齢者が起こす交通事故が増加傾向だが、免許更新は3年に一度であり、75歳以上の事故が年々上昇していることを踏まえると、この免許更新は1年に一度でも良いと考える。東京都での昨年中の75歳以上の免許保有者の事故件数、また過去5年の事故件数と合わせて、見解を伺う。

回答
 都内における平成28年中の75歳以上の高齢運転者を当事者とする交通事故は1,748件発生しています。また、過去5年における75歳以上の高齢運転者を当事者とする交通事故の発生件数は、平成24年が1,798件、平成25年が1,764件、平成26年が1,677件、平成27年が1,671件となり、ほぼ横ばいで推移していますが、交通事故の発生件数全体が減少する中で、その占める割合が増加しています。
 免許更新期間の変更については、道路交通法の改正が必要となりますが、平成29年3月12日に高齢運転者対策等を柱とした改正道路交通法が施行され、75歳以上の運転者が免許更新後に一定の交通違反、交通事故をした場合、臨時に認知機能検査を実施し、認知機能が低下していると認められた場合は、臨時適性検査の受検又は診断書の提出、臨時高齢者講習の受講が義務付けられ、3年に一度の更新を待たずに免許継続の可否を判断できるようになりました。
 今後も警視庁では、改正道路交通法を的確に運用して、高齢運転者の交通事故防止対策を推進していきます。

質問事項
二の2 免許更新時の診断で認知症が判明した場合や健康診断等、病院で認知症の診断が出た際の免許保有の有無と「自主返納」について確認していくことも事故の防止に繋がると考えるが、都における病院と警察との連携について、伺う。

回答
 改正道路交通法が施行され、75歳以上の高齢運転者を対象に、運転免許更新時等に実施している認知機能検査で、「認知症のおそれ」があると判定された運転者には、臨時に適性検査を行い、又は医師の診断書を提出する旨を命じることとされ、診断の結果「認知症」と判明した場合は、運転免許の停止又は取消しとなります。
 また、免許更新時以外の場においても、道路交通法上、医師が認知症等と診断した者を、公安委員会に届け出ることができるとされています。
 警視庁では、東京都医師会、東京都福祉保健局、東京都認知症疾患医療センター等と上記制度の運用について、引き続き連携を図っていきます。

平成29年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 崎山知尚

質問事項
一 知事公約について
二 都政改革本部について

一 知事公約について
1 知事は「大風呂敷」とも呼ばれた後藤新平のように、これまでの延長線を超えた大胆な発想で都政を前に進めていくと述べられているが、実際には、知事の公約や「2020年に向けた実行プラン」は、これまでの都の施策の焼き直しに見える。実際に「長期ビジョンの方向性を継承する」とも述べている。小池知事の言う、大風呂敷とは何か、伺う。
2 知事公約の大きな柱の一つは「都政の透明化」であるが、豊洲新市場の安全性に関する情報は積極的に開示しないなど、その方針には一貫性がないように感じる。改めて、知事が目指す「都政の透明化」の基本的な考え方について、伺う。
3 「都政の透明化」を標榜する小池知事が、築地市場内の土壌汚染に関する情報や、豊洲新市場の検査済み証の発行などの情報を速やかに公開しなかったのは何故か、伺う。
4 知事公約に「住宅の耐震化・不燃化を2020年までに加速させる」とあるが、実際には木造密集地域の不燃化・耐震化に係る平成29年度予算案の額は削減されている。都が掲げる不燃化・耐震化の目標に影響はないのか、伺う。
5 知事は公約に「都道の電柱ゼロ化」を掲げているが、真に無電柱化が必要な道路は都民生活に密接に関わる道路であり、こうした道路の無電柱化には区市町村との連携が不可欠だが、どのように進めていくのか、伺う。
6 知事公約に「新たなテロへの脅威に備え、公共施設や重要施設でのセキュリティー対策を本格化する」とあるが、これまでのセキュリティー対策と、小池知事が進める「本格化したセキュリティー対策」とは、具体的に何が違うのか、伺う。
7 満員電車ゼロは、多くの都民の願いであるが、都のみでは実現できない施策の典型的なものでもある。国や鉄道事業者とはどのような協議を進めていくのか、伺う。
8 2階建て通勤電車の導入促進という公約に対して、夢を持った都民は多かったと思うが、現状、実現に向けてどのような状況であるのか、伺う。
9 時差出勤の促進については、これまで官民を挙げて取り組んできた課題である一方、なかなか導入が進まなかった現状もある。知事は今後、どのように時差出勤の導入を促進していくのか、伺う。
10 知事公約に「老朽廃棄物処理場の集約」とあるが、そもそも知事の言う「老朽廃棄物処理場」とは何か、伺う。
11 「老朽廃棄物処理場の集約」とは、具体的に、いつ頃までに、どの廃棄物処理場を、どのようにして集約するのか、また、都はどのようにこの政策を具体化するおつもりなのか、伺う。
12 知事公約に「東京の森林を守り、若者等の就業の場とする」とあるが、林業を魅力ある職業とするためには、その収益力の向上が欠かせない。国内林業の地盤沈下が進む中で、林業をどのように魅力ある職業としていくのか、具体的な青写真について伺う。

二 都政改革本部について
1 知事は情報公開、内部統制、自律改革のこの三つのテーマを初めとした都政改革に取り組み、職員の改革マインドを根づかせてきたと答弁しているが、どのように職員の意識が変わったのか、具体的に説明してほしい。
2 豊洲新市場の検査済み証の交付について、我が党の代表質問がなされるまで知事から発表されなかったことを見ても、情報公開に係る職員の意識が変わったとは言えないと考えるがどうか。
3 都政改革本部の取組についても本部会議は公開されているものの、特別顧問等の人選を含め、よくわからない。今年度、都政改革本部に関わる特別顧問等が参加した会議等の実績を示してほしい。
4 また、これらの会議への出席に伴い、特別顧問等に支払った報酬の実績を示すとともに、その効果を伺う。
5 こうした活動を通じ、特別顧問等が都政改革にどのような貢献をしたのか、具体的に情報公開をすべきであるが、見解を伺う。
6 知事は「都政の透明化」を進めるとしており、特別顧問等の勤務実績や担当業務についても、大阪府と同様に、進んでホームページ等で公開すべきと考えるがどうか。
7 都政改革本部の特別顧問等は16名いるが、その勤務実績は人によってどれくらいの開きがあるか。
8 顧問によって勤務実績が異なる場合、その理由について説明してほしい。
9 勤務実績が少ない顧問等については、その必要性を検証し、解職することも必要と考えるがどうか。
10 オリンピック・パラリンピック調査チームの活動も終了し、都政改革本部の体制の縮小も検討すべきと考えるがどうか。

平成29年第一回都議会定例会
崎山知尚議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 知事公約について
1 知事の公約や「2020年に向けた実行プラン」は、これまでの都の施策の焼き直しに見え、実際に「長期ビジョンの方向性を継承する」とも述べているが、知事の言う大風呂敷とは何か、伺う。

回答
 誰もが安心して暮らし、成長を生み続け、世界の中で輝く「新しい東京」の実現に向けた4年間の実施計画として策定したのが、「2020年に向けた実行プラン」です。
 加えて、オリンピック・パラリンピックを機に更なる飛躍を目指す上で、2020年のその先の未来を大胆に描くことも重要です。夢あふれる未来のビジョンは、都民に希望を与え、山積する都政の課題を解決していく原動力ともなります。
 こうした観点から、実行プランでは「Beyond2020」として東京の未来像の一端を大胆に描き、東京未来ビジョン懇談会においても、次代を担う若い世代の方々と東京の未来を自由闊(かっ)達に議論しています。このような中から、大風呂敷とも言える大胆かつ自由な発想が生まれ、明るい未来につながっていくと考えています。

質問事項
一の2 知事公約の大きな柱の一つは「都政の透明化」であるが、豊洲新市場の安全性に関する情報は積極的に開示しないなど、その方針には一貫性がない。知事が目指す「都政の透明化」の基本的な考え方について、伺う。

回答
 「東京大改革」を進めるためには、「都政の透明化」が最も重要な取組の一つと考えています。
 「都政の透明化」には、徹底した情報公開が不可欠であり、これまで、都政改革本部の会議をインターネットで中継するなど都政の課題についての検討過程の透明化を進めるとともに、公文書開示における原則開示の徹底や、ホームページを通じた情報提供の大幅拡大などについて、全庁で情報公開の取組を進めてきました。
 さらに、都民が都政情報へアクセスできる機会の拡充を図るため、平成29年1月に、公文書開示手数料の軽減、ICTを活用した公文書データの無料提供、積極的な情報公表といった「新たな情報公開の取組」について東京都情報公開・個人情報保護審議会へ諮問しました。同年3月24日に受けた答申を踏まえ、これらの取組を具体的に進めるため、情報公開条例の改正を提案する予定です。

質問事項
一の3 「都政の透明化」を標榜する知事が、築地市場内の土壌汚染に関する情報、豊洲新市場の検査済み証の発行などの情報を速やかに公開しなかったのは何故か、伺う。

回答
 豊洲市場の検査済証は、建築物が建築基準関係法令に適合していることを示すものであり、今回、行政手続の一環として、豊洲市場の主要な施設について、建築基準法に基づく安全性が確認されたとして、交付を受けたものです。一般的に、行政手続の内容について個別の公表は行っていないため、今回の検査済証についても公表を行わなかったものです。
 今後は、市場開設者として都民の関心の高いものについては、迅速に公表していきます。
 また、築地市場の件に限らず、土壌汚染のおそれの有無に関する届出については、その段階での公表は通常行っていません。土地利用の履歴上土壌汚染のおそれがある場合であっても、実際に土壌調査をした結果汚染が確認されなかった例もあり、事業者等に対する混乱を避けるため、土壌汚染のおそれの有無に関する情報については、土壌汚染対策の主管庁として引き続き慎重な取扱いが必要と考えています。

質問事項
一の4 知事公約に「住宅の耐震化・不燃化を2020年までに加速させる」とあるが、木造密集地域の不燃化・耐震化に係る平成29年度予算案の額は削減されている。都が掲げる不燃化・耐震化の目標に影響はないのか伺う。

回答
 木造住宅密集地域の不燃化・耐震化に係る平成29年度予算については、これまでの実績を踏まえつつ、平成32年度末までの目標である不燃領域率70パーセント、住宅の耐震化率95パーセントを達成するため、適切に計上しています。
 具体的には、不燃化・耐震化を加速させることができるよう、住宅所有者などの行動を促すための区と連携した都職員や建築の専門家による戸別訪問の充実に加え、所有者負担の軽減に向けた耐震改修等の助成額の加算や、不燃化特区内での引越し費用への新たな助成に要する額を計上しており、これらにより、区の積極的な取組を支援していきます。

質問事項
一の5 知事は公約に「都道の電柱ゼロ化」を掲げているが、真に無電柱化が必要な道路は都民生活に密接に関わる道路であり、道路の無電柱化には区市町村との連携が不可欠だが、どのように進めていくのか伺う。

回答
 都内全体で無電柱化を進めるためには、都道のみならず区市町村道の整備を促進することが重要です。
 これまで都は、区市町村に対して、防災に寄与する道路等を対象に財政支援を行うとともに、職員向けの研修を実施するなど技術支援にも取り組んできました。
 これに加え、平成29年度より補助制度を拡充し、計画策定に必要な調査や道幅の狭い道路に低コスト手法を導入する事業等に対して、新たに財政支援を行います。
 また、東京電力やNTTなどと低コスト化に向けた技術検討を行い、その成果を区市町村に提供するなど、支援を強化します。

質問事項
一の6 知事公約に「新たなテロへの脅威に備え、公共施設や重要施設でのセキュリティー対策を本格化する」とあるが、これまでのセキュリティー対策と、小池知事が進める「本格化したセキュリティー対策」とは、具体的に何が違うのか、伺う。

回答
 都はこれまで、民間事業者等と連携した危機管理体制の構築や国際テロ情報の共有などを推進してきましたが、東京2020大会の開催を控え、テロの脅威はこれまで以上に現実のものとなっており、テロの発生に対して強い危機感を持った対策が不可欠です。
 また、官公庁等に対するサイバー攻撃が頻発するなど、急速に拡大しているサイバー空間の脅威にも対応する必要があります。
 こうした現状を直視し、東京に住み訪れる人々の安全・安心を確保するため、民間の防犯カメラを活用した非常時映像伝送システムの拡充や新たな消防活動体制の確立など、テロの未然防止や発生時の初動対応を強化し、新たなテロへの脅威に備えた危機管理体制を構築します。高度化・複雑化するサイバー攻撃等に対しても、捜査用資機材の整備や警察官の捜査能力を向上させるとともに、被害防止に向けた啓発活動を行うなど、警視庁や自治体をはじめ社会全体で対処能力を強化していきます。

質問事項
一の7 満員電車ゼロは、多くの都民の願いであるが、都のみでは実現できない施策の典型的なものでもある。国や鉄道事業者とはどのような協議を進めていくのか、伺う。

回答
 鉄道の混雑緩和については、これまでも鉄道事業者による、車両の長編成化や補助制度を活用した新線の建設、都の連続立体交差事業と一体となった複々線化や、時差通勤など様々な取組が実施されてきました。
 平成29年の夏には、鉄道利用者に時差出勤やテレワークの実施などを通じて、快適な通勤を実感してもらう取組として、「快適通勤ムーブメント」を実施します。この中で、鉄道事業者には、オフピーク利用者にポイントを付与する取組や混雑の見える化などについて働きかけます。また、ムーブメントの参加者をはじめ、鉄道利用者の声を幅広く聴くなど、効果の検証を実施していきます。ムーブメントの円滑な実施に向け、4月に協議会を設置しており、今後、国、鉄道事業者、企業など多くの主体と連携して取り組んでいきます。
 ムーブメントを契機に、国や鉄道事業者と協議し、様々な取組を総動員しながら、鉄道の混雑緩和に向けて、幅広く取り組んでいきます。

質問事項
一の8 2階建て通勤電車の導入促進という公約に対して、夢を持った都民は多かったと思うが、現状、実現に向けてどのような状況であるのか、伺う。

回答
 鉄道の混雑緩和に向けて、これまで、新線の建設、複々線化、車両の長編成化、信号システムの改良などの取組が実施されてきています。
 このほか、時差出勤、2階建通勤電車の導入なども混雑緩和に資する取組となります。
 2階建通勤電車については、駅やトンネルなど鉄道施設の大規模改修に多大な事業費を要することなどから、できることから着実に進めていくことが重要であり、平成29年の夏からは「快適通勤ムーブメント」を実施することとしています。
 今後とも混雑緩和に向けて、ハードとソフト両面にわたり幅広く取り組んでいきます。

質問事項
一の9 時差出勤の促進については、これまで官民を挙げて取り組んできた課題である一方、なかなか導入が進まなかった現状もある。知事は今後、どのように時差出勤の導入を促進していくのか、伺う。

回答
 民間企業に対しては、働き方改革宣言企業制度により、平成32年度までに5,000社を目標に、働き方の見直しに向けた支援を行っています。
 本制度では、フレックスタイムや、始業時刻を30分以上前倒しする「朝型の働き方」の導入を奨励金により後押ししていますが、平成29年度は新たに、始業時間の後ろ倒しなど複数の勤務時間を設定する場合も対象に加え、企業における時差出勤の導入を促進していきます。
 また、都庁においても、平成27年度から時差勤務を導入し、職員の積極利用を目標に掲げた平成28年夏以降は、本庁において毎月約400人が新しい勤務時間帯を利用するようになってきています。
 さらに平成29年4月から、職員の柔軟な働き方を一層促進していくため、従来の6種類の始業時間に加え、7時、10時半、11時の始業時間を新たに追加し、全9種類による時差勤務を設定しています。

質問事項
一の10 知事公約に「老朽廃棄物処理場の集約」とあるが、そもそも知事の言う「老朽廃棄物処理場」とは何か、伺う。

回答
 「老朽廃棄物処理場」とは、老朽化による建替えや大規模な設備更新が必要なごみ焼却施設等を指したものです。ごみ焼却施設は、国の調査によると、おおむね20年から25年程度で廃止を迎えている施設が多いとされています。

質問事項
一の11 「老朽廃棄物処理場の集約」とは、具体的に、いつ頃までに、どの廃棄物処理場を、どのようにして集約するのか、また、都はどのようにこの政策を具体化するつもりなのか、伺う。

回答
 ごみ焼却施設等は区市町村が設置する施設であり、その管理・運営については、それぞれの自治体が行います。
 ごみ焼却施設の集約は、日野市、国分寺市及び小金井市で設置する浅川清流環境組合において、平成31年度から共同処理を開始予定です。
 また、昭島市が可燃ごみの焼却を西多摩衛生組合に依頼する計画であり、その協議が進められていると聞いています。
 都は、区市町村が行う廃棄物処理事業が円滑に進むよう、広域自治体としての立場から専門的助言を行うなど、技術的な支援を行います。

質問事項
一の12 知事公約に「東京の森林を守り、若者等の就業の場とする」とあるが、林業を魅力ある職業とするためには、その収益力の向上が欠かせない。国内林業の地盤沈下が進む中で、林業をどのように魅力ある職業としていくのか、具体的な青写真について伺う。

回答
 都民の貴重な財産である森林を守り育てる重要な役割を担う林業を魅力ある職業とするためには、林業者の収益力向上や担い手の確保などを通じ、経営力の強化を図ることが必要です。
 そのため、都では、林道開設等の基盤整備や高性能林業機械の導入支援により林業従事者の作業の効率化と負担軽減を図るとともに、PR効果が高い公共・民間施設での多摩産材の利用拡大等に取り組んでいます。あわせて、林業労働力確保支援センターにおいて就業相談や研修等を実施し、担い手の確保に努めています。
 平成29年度はさらに、大型機械が通行可能な高規格林道の整備を進め、作業の効率化等を一層推進するとともに、家具等の製造に使用する高品質木材の生産を支援し、多摩産材の高付加価値化を促進していきます。加えて、林業従事者が自らのレベルに応じて必要な技術等を習得できる研修を開始し、その定着を図っていきます。
 こうした取組を通じ、魅力ある林業を育てていきます。

質問事項
二 都政改革本部について
1 知事は情報公開、内部統制、自律改革のこの三つのテーマを初めとした都政改革に取り組み、職員の改革マインドを根づかせてきたと答弁しているが、どのように職員の意識が変わったのか、具体的に伺う。

回答
 平成28年9月に都政改革本部を設置して以降、「都民ファースト」「情報公開」「賢い支出(ワイズ・スペンディング)」の3原則の下、様々な改革を進めてきました。
 中でも、重要な柱は自律改革であり、各局では、都民サービスの向上や事業の効率化など500件近くの項目を挙げ、局独自の改革本部や若手職員で構成するPTを立ち上げるなど、局一丸となって取組を進めています。
 また、職員目安箱においても、職員からは、都民サービスの向上につながる具体的アイディアや仕事の生産性を向上させる工夫など、多くの提案が自発的に出されており、着実に改革マインドは根付いてきているものと考えています。
 今後も、都政の課題の解決に向け、改革の具体的な担い手である職員が、客観的な第三者の視点から助言を行う特別顧問等とも課題を共有しつつ、一層協力して改革を進めていけるよう努めていきます。

質問事項
二の2 豊洲新市場の検査済み証の交付について、我が党の代表質問がなされるまで知事から発表されなかったことを見ても、情報公開に係る職員の意識が変わったとは言えないが、見解を伺う。

回答
 情報公開は、都政の信頼回復への一丁目一番地であり、都政改革のための一番のツールです。
 そのため、開示請求における非開示判断の厳格化や予算編成プロセスの透明化を進めたほか、審議会等の議事録の公開や公金支出情報の公開など、様々な取組を進めています。
 情報公開の推進については、都政改革本部会議や職員への訓示など様々な場面で周知を図っており、職員の意識改革は進んでいますが、今後、ICTを活用して公文書データを無料で提供するなど積極的な情報提供を進めていきます。
 なお、豊洲市場の検査済証は、一般的に個別の公表は行っていない行政手続の一環として交付されたものであることから、公表を行わなかったものですが、今後は、都民の関心の高い情報については迅速に公表していきます。

質問事項
二の3 今年度、都政改革本部に関わる特別顧問等が参加した会議等の実績を伺う。

回答
 平成28年9月から平成29年3月までの7か月間に、都政改革本部会議を7回開催しています。その他、特別顧問等が参加したオリンピック・パラリンピックや入札契約制度などに関する打合せ等の開催実績は、平成28年9月が52回、同年10月が60回、同年11月が53回、同年12月が43回、平成29年1月が45回、同年2月が42回、同年3月が39回です。

質問事項
二の4 これらの会議への出席に伴い、特別顧問等に支払った報酬の実績を示すとともに、その効果を伺う。

回答
 平成28年9月から平成29年3月までの7か月間に、特別顧問等が従事した活動の対価として支払った報酬額は、合計で、約1,200万円です。
 その効果としては、例えば特別顧問等が参加した都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームにおいて、都が新たに整備する3施設等についての調査を実施し、客観的かつ経営的な手法で分析をしていただき、経費の削減につなげることができました。
 また、同様に特別顧問等が参加した内部統制プロジェクトチームにおいて、都の入札契約制度についての改革案を職員とともに検討し、改革の実施方針を取りまとめることができました。その他、情報公開や自律改革などの取組を進める上でも、有益な助言をいただきました。

質問事項
二の5 こうした活動を通じ、特別顧問等が都政改革にどのような貢献をしたのか、具体的に情報公開をすべきだが、見解を伺う。

回答
 特別顧問等は、都政改革本部に設置されたプロジェクトチームにおいて、オリンピック・パラリンピック、内部統制等の都政の課題について、各局とともに実態調査及び評価並びに課題の整理及び改善策の検討を行ってきました。
 情報公開については、他自治体の先進的事例の紹介などの具体的助言を特別顧問等からいただき、各種審議会やその議事録の公開、予算編成過程の透明化、公益通報制度の拡充など、数多くの取組が進められています。
 さらに、各局が進める自律改革の取組に対しても有益な助言をいただき、都民サービスの向上等につながる様々な業務改善策が実行されています。
 この間、特別顧問等には、延べ1,800時間近くに及ぶ調査活動に従事していただいており、具体的な取組の成果は、特別顧問や各局から都政改革本部会議の場で発表され、会議終了後は東京都のホームページで広く情報公開をしています。
 今後も、都政改革本部会議の場をはじめとして、広く活動を公開していきます。

質問事項
二の6 特別顧問等の勤務実績や担当業務についても、大阪府と同様に、進んでホームページ等で公開すべきだが、見解を伺う。

回答
 平成29年4月1日付けで、「特別顧問、特別参与及び特別調査員設置要綱」を改正し、特別顧問等が従事した職務の遂行に係る情報に関しては、その概要を公表していくこととしています。
 具体的には、同要綱に基づく「特別顧問、特別参与及び特別調査員の職務の公表等に関する運用指針」に定められた日時、場所、出席者、議題、主な内容について、都政改革本部のホームページ上で公開しています。

質問事項
二の7 都政改革本部の特別顧問等は16名いるが、その勤務実績は人によってどれくらいの開きがあるのか伺う。

回答
 平成28年9月から平成29年3月までの7か月間で、最も従事した時間が多い特別顧問等は362時間35分であり、最も少ない特別顧問等は5時間25分です。

質問事項
二の8 顧問によって勤務実績が異なる場合、その理由について伺う。

回答
 特別顧問等の職務は、都政の課題についての実態調査及び評価並びに課題の整理及び改善策の検討等を行うことです。
 これまで、オリンピック・パラリンピックや内部統制等に関し、都政改革本部にプロジェクトチームを設置し、特別顧問等と各局で調査や改善策の検討等を行ってきましたが、各特別顧問等の持つ知識やノウハウ、これまでの経験等により活動の形態が異なっており、また、関与の度合いも異なるため、従事時間に差が生じています。
 なお、特別顧問等の報酬は、活動に従事した時間数に基づいて支給しています。

質問事項
二の9 勤務実績が少ない顧問等については、その必要性を検証し、解職することも必要だが、見解を伺う。

回答
 都政改革本部では、平成28年度に、16名の特別顧問・特別参与・特別調査員を任用していましたが、今後の都政改革を進める上で必要な見直しを行い、平成29年4月1日付けで、13名の特別顧問・特別参与の任用を行ったところです。
 今後とも、特別顧問等の任用については、都政の課題や特別顧問等の持つ知識や経験に応じて適切に行っていきます。

質問事項
二の10 オリンピック・パラリンピック調査チームの活動も終了し、都政改革本部の体制の縮小も検討すべきだが、見解を伺う。

回答
 平成29年度からは、職員・職場のレベルから都庁のしごとを見直す「しごと改革」、各局等の主要事業について分析・評価し、その実態と課題を浮き彫りにする「見える化改革」、これらの改革から見えた成果や課題を踏まえ、全庁的な制度や仕組みの見直し等を進める「仕組み改革」という3つの改革に取り組み、その成果を「2020改革プラン(仮称)」にまとめていきます。
 こうした取組を、都政改革本部の特別顧問等からの助言を受けながら着実に進めるため、平成29年4月1日付けで必要な特別顧問等の任用を行ったところです。

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