平成二十九年東京都議会会議録第四号

○副議長(小磯善彦君) 七番大場やすのぶ君。
〔七番大場やすのぶ君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○七番(大場やすのぶ君) 最初に、一言、申し述べさせていただきたいと思います。
 都政に新しい風をもたらすべく船出いたしました新風自民党、会派としては孤軍奮闘となりました。
 私は、自由民主党所属の議員として、都議会自民党がこれまで育んできた都民第一の数々の施策の進展を支えつつ、自由主義、民主主義を守る所存でございます。その上で、小池知事が推し進められている東京大改革につきましては、一二〇%支持しており、知事とともに改革に取り組み、改革をなし遂げたいと考えております。
 こうした立場から、決意と熱意を持って一般質問をいたします。
 東京都民、中でも若年層にとっての子育て環境の整備や、社会を支える働き盛りの世代が抱える高齢者介護の問題は、今や不安ではなく、目の前の現実となっております。
 去る二月十六日付の読売新聞朝刊に、安心の子育て・介護に向けた提言が掲載されました。人口減少と同時に、超高齢化が進む我が国において、一、二歳児保育対策や処遇改善による人材確保対策など、子育てや介護の支援を強化し、仕事と両立できる環境を整備することがその主眼となっております。
 私は、都として極めて有益な提言であると受けとめました。というのも、日ごろ、まちの方々や、保育園や介護施設の職員の方々などのお話をお伺いしておりますと、まさに、この提言で示されているような実効性ある対策を行政に求めていらっしゃるのです。そして、小池知事ならば、課題解決に真剣に取り組んでくれると、皆さんはとても期待をしていらっしゃいます。
 そこでまず、この提言は提言として、小池知事は、東京の福祉保健施策を推進するに当たり、どのような施策で取り組まれるのか、基本的なお考えをお伺いいたします。
 私の地元、世田谷区にある国立成育医療研究センターでは、子供の出生前から出生後にかけて幅広く医療、研究を行っており、区内はもとより、都内全域から障害のあるお子さんがお越しになります。その中で、障害児の定義に入らないものの、人工呼吸器や経管栄養など、何らかの医療的ケアを必要とするお子さんがたくさんいらっしゃいます。
 国は、昨年六月に児童福祉法を改正し、医療的ケア児を、人工呼吸を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児として位置づけました。あわせて、適切な支援が受けられるよう、地方自治体に保健、医療、福祉等の連携促進に努めるよう規定をいたしました。
 医療的ケア児という言葉自体は、社会に認知され始めてきてはおります。しかしながら、医療的ケア児を持つ親御さんにとっては、地域において支える体制が十分に整備されているとはまだまだいえません。お子さんから目を離せない時間が多い中で、医療と福祉、さらには教育行政の密接な連携なくしては、効果的な支援とはならないでしょう。
 私は、医療的ケア児とそのご家庭が地域で安心して暮らせるよう、区市町村はもとより、都が積極的に支援を行うべきと考えますが、今後の都の取り組みをお伺いいたします。
 冒頭申し上げました読売新聞社の提言でも指摘されておりますが、子育てをめぐる最大の課題は待機児童対策であります。
 働く女性が増加する中、その数は、世田谷区では約一千二百人、都内でも八千人をはるかに超える数字に膨らんでおり、焦眉の急を告げる事態であります。一刻も早く、保活で悩むお父さんやお母さんが、区内に、都内に一人もいなくなるような、多様な保育サービスが提供されなければいけません。
 国の制度改革により、平成二十七年度から、小規模保育や家庭的保育など、少人数の保育サービスが認められるようになりました。これらのサービスは、賃貸物件の活用が中心で、短期間での整備が可能という利点があり、待機児童解消をスピーディーに進めていくための効果的な対策となっております。
 そのため、私は、賃貸物件を活用した保育所等の整備に対する都の支援が待機児童対策に大変有効であると考えますが、所見を伺います。
 小池知事もご存じのとおり、都民生活に関する世論調査では、二年連続で、都に対し特に力を入れてほしいことの第一は、高齢者対策となっています。
 高齢者対策において介護ニーズは増大するばかりでありまして、介護のために仕事をやめる介護離職が年間十万人にも及ぶとの推計があります。また、二〇二五年には全国で三十七万七千人の介護人材が不足するともいわれております。
 一方、都内では、昨年十一月の介護職員の有効求人倍率は六・四六倍となっており、全職種の一・八倍と極めて厳しい状況となっております。今後の超高齢化社会において、誰もが安心して生き生きと暮らすために、介護の担い手を確保することは喫緊の課題であります。
 私は、その解決に向けて、介護人材確保のための積極的投資が大変重要であると考えます。特に、経験や能力が賃金に適切に反映されるキャリアパスの仕組みを促進させることなどにより、介護施設の職員の処遇改善をより一層進める必要があると考えますが、ご見解を伺います。
 さて、教育現場でのいじめは、古くて新しい課題であります。完全になくすことは極めて難しくとも、行政として、限りなくゼロに近づける努力を継続していかなければなりません。
 都は先月、いじめ総合対策第二次を発表いたしましたが、その策定過程で明らかになった、学校におけるこれまでの対策の成果と課題はどのようなものであったのか、お伺いします。
 今後、学校では、いじめ総合対策第二次に基づき、どのような取り組みが行われるのか、お伺いいたします。
 また、私は、全ての教職員の共通理解のもとに、確実にこのいじめ総合対策が実施されなければいけないと考えますが、教育長のご認識をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 大場やすのぶ議員の一般質問にお答えいたします。
 今後の福祉保健施策の展開についてのご質問がございました。
 昨年策定いたしました実行プランにおきましては、子供を安心して産み育てられるまち、高齢者が安心して暮らせる社会、障害者が生き生きと暮らせる社会、医療が充実し健康に暮らせるまち、これらを政策の柱に掲げまして、これから取り組んでいく福祉保健施策の具体的な目標を示したところでございます。
 また、来年度予算案におきましては、保育人材の確保、介護サービス基盤の整備、在宅療養環境の整備、障害者の就労や職場定着への支援など、実行プランを実現するためのさまざまな施策を盛り込んだところでございます。
 誰もが安心して暮らして希望と活力を持てる、そんな新しい東京をつくり上げてまいりたいと考えております。そのために、今後とも、都民の声、現場の声、そして事業者の声を、しっかりと耳を傾けながら、常に都民ファーストの視点に立ちまして、大都市東京にふさわしい福祉保健施策を展開してまいりたいと考えております。
 残余のご質問は、教育長、福祉保健局長よりお答えさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、いじめ防止の取り組みの成果と課題についてでございますが、都教育委員会は、現行のいじめ総合対策に基づき、各学校で実施してきた三年間にわたる取り組みの成果と課題を踏まえて、ことし二月に、新たにいじめ総合対策第二次を策定したところでございます。
 策定に向けた検証からは、これまでの取り組みの成果として、教員やスクールカウンセラーによる定期的な面談等により、子供がいじめについて教職員に相談しやすい環境づくりが進められたことなどが挙げられます。
 一方、課題としては、軽微ないじめも見逃さないようにするために、教職員の研修やOJTを徹底させること、また、全ての学校に設置されている学校いじめ対策委員会の役割を明確にして、その機能を強化することの必要性などが明らかになりました。
 次に、いじめ総合対策第二次の取り組みについてでございますが、子供がいじめを受けて悩み苦しむことがないようにするためには、教職員が、日常から保護者、地域、関係機関等との緊密な連携のもとに、学校組織全体でいじめ防止対策に取り組んでいくことが不可欠でございます。
 現在、各学校に設置された学校いじめ対策委員会で、子供の気になる様子について情報を収集し、複数の教職員により、迅速にいじめの有無を確認するなどの取り組みを実施しておりますが、今後、新たないじめ総合対策に基づき、こうした組織的対応の徹底を図ってまいります。
 また、いじめが確認された場合には、学校は関係する保護者に対して丁寧な説明を行い、共通理解を図るとともに、必要に応じて警察や児童相談所等の関係機関と連携し、いじめの早期解消を目指してまいります。
 最後に、いじめに関する教職員の共通理解についてでございますが、学校におけるいじめ防止対策を有効に機能させるためには、教職員が継続的な研修やOJTを通して自己の意識を啓発し続けるとともに、常に学校の取り組みを検証し、課題の改善を図っていくことが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、いじめ総合対策第二次に、新たに教職員が子供の様子の変化に気づくための確認項目や、いじめに対する組織的な対応のあり方を学ぶための研修プログラム、自己の取り組みを点検するためのチェックリストなどを掲載したところでございます。
 今後、学校が、これらの資料を活用して校内研修やOJTを充実させるとともに、年度末に取り組みの達成度を検証して課題を改善することができるよう、区市町村教育委員会と連携し、学校への指導助言を強化してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、医療的ケア児への支援についてでありますが、医療的ケア児が地域で適切な支援を受けながら生活できるよう、都は来年度から、障害児通所施設に看護師を配置するモデル事業を実施し、医療的ケア児の受け入れの促進を図ってまいります。
 また、保育所等に看護師を配置する区市町村を支援するほか、NICU等から在宅へ円滑に移行できるよう、外泊訓練等への支援を開始いたします。
 さらに、保健、医療、福祉の連携を強化するため、保健所、訪問看護ステーション、障害児通所施設など、地域で医療的ケア児の支援にかかわる関係機関の連絡会を設置するほか、人材の育成研修も充実するなど、今後とも医療的ケアが必要な障害児やその家族への支援を積極的に進めてまいります。
 次に、賃貸物件を活用した保育所等の整備についてでありますが、賃貸物件の活用は、短期間で保育所を整備する上で有効な手法の一つであり、都は、これまで独自に、改修費等を補助し、賃貸物件を活用して保育所の整備を行う区市町村や事業者の負担軽減を実施してまいりました。
 今年度から、国は、公定価格の賃借料加算を実勢に対応した水準に増額をいたしましたが、都は独自に、公定価格の対象とならない、改修工事期間等の開設前の賃借料を補助するほか、昨年十一月から、緊急対策として、保育所等の開設後の運営の安定化を支援するため、開設後五年間の賃借料を補助しております。
 来年度、国は、賃借料が高い都市部へのさらなる支援を予定しており、今後とも、賃貸物件を活用して、保育所等の整備を進める区市町村を支援してまいります。
 最後に、介護職員の処遇改善についてでありますが、介護職員の処遇における一番の問題は、キャリアパスの仕組みが十分でないことでございます。
 そのため、都は国に対し、介護職員のキャリアパスを早急に整備、普及するよう、繰り返し提案要求してきており、国は、来年度の介護報酬改定において、昇給と結びついたキャリアアップの仕組みの構築を要件に、月額一万円相当の処遇改善を実施することとしております。
 また、平成二十七年度から、都独自に、国のキャリア段位制度を活用してキャリアパスの導入に取り組む事業者を支援しており、来年度からは、補助期間を三年間から最大五年間へ延長するほか、段位の評価を行うアセッサーの養成講習の受講料を助成するなど、介護人材の確保、定着に向けた事業者の取り組みを支援してまいります。

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