平成二十九年東京都議会会議録第四号

○副議長(小磯善彦君) 五番山森寛之君。
〔五番山森寛之君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○五番(山森寛之君) 知事は、施政方針表明の中で、東京大改革の名のもとに、都政の透明化を第一に掲げ、都民の皆様に都政の真実を曲げることなく届け、都民一人一人に考え、判断していただくと話されました。このような取り組みの中で、確かに築地市場の移転に関し問題提起され、これまでにも増して都民の皆様の都政への関心は高まっています。
 私も知事と同じく昨年七月に都議会補欠選挙で初当選をいたしました。選挙期間中から、知事への都民の皆様からの有形無形の期待を肌で感じ、一抹の不安もございましたが、知事が表明された政策と予算案は、私たちがこれまで考え、推し進めてきたものと変わりないものであり、安堵と期待をいたしております。
 二〇一七年は、問題の提起から一刻も早い問題解決への提起と、これまでにも増して政策を推し進める年にしていかなくてはなりません。是々非々の議論を活発に行い、知事が都政を議会とともに発展的に前進していただけるよう、強く要望いたします。
 さて、昨年十月に発表された森記念財団都市戦略研究所による世界都市総合ランキングで、東京は初めて、ロンドン、ニューヨークに次いで三位となりました。これは、これまでトップを維持していた経済に加え、訪日外国人の増加に伴う文化、交流、物価水準の下落や住宅平均賃料の下落による居住、羽田空港の国際化などによる交通アクセスの分野別スコアを確実に伸ばした結果であります。
 また、都市のイメージ調査によると、東京を訪れていない人のイメージは、ストレスが多い、うるさいなどでしたが、訪れた人は、礼儀正しい、安全、清潔などのイメージを持って帰国されていることもわかりました。
 知事が出された東京の成長戦略の方向性の中でも、東京の挑戦と題して、世界の都市ランキング一位を目指すとされております。今後、東京が世界で一番の都市になるに向け、都市機能の充実強化に加え、地域が受け継ぐ伝統文化のSNSや動画サイトを利用した情報発信、イベントの開催、ビッグデータの活用、都市の交通アクセスの利便性の推進、治安対策などの取り組みを、さらに加速、強化していかなくてはなりません。
 また、訪日外国人をふやすことだけでなく、訪日外国人の消費額をいかにふやすかも重要だと考えます。
 私の地元大田区では、特区民泊事業にあわせて、多言語観光サイト、Wi-Fiの整備、地元経済団体との連携のもと、利用者に対する商店街の多言語マップ、銭湯のタオル引きかえ券配布などを実施し、地域の活性化と消費を促す取り組みをしております。
 羽田空港の免税店では、丈夫でシンプルなデザインが人気となり、ランドセルが売れるなど、私たちが思いもしない物や文化、食などが消費につながっております。
 知事は就任してから、国家戦略特区の積極的活用と、アジアナンバーワンの金融都市の実現を掲げ、懇談会を開催し、幅広い議論をされていると承知しておりますが、世界の金融機関が東京に集積することだけでなく、世界から東京に人、物、金が集まるように、潜在力のある分野への規制緩和と税制面における大胆な取り組みが最大の課題であると考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、鉄道ネットワーク形成について伺います。
 東京を利便性が高く、豊かで活力ある都市にしていく上で、鉄道は不可欠なライフラインです。最近の外国人旅行者の増加や少子高齢化の進展などにより、東京圏の都市鉄道を取り巻く環境は変化しております。
 このような状況を踏まえ、昨年四月、国の諮問機関である交通政策審議会から、東京圏における今後の都市鉄道のあり方について答申が出され、国際競争力の強化に資するプロジェクトとして、JR蒲田駅と京急蒲田駅のミッシングリンクを解消することにより、東急東横線、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武池袋線との相互直通運転を通じ、新宿、渋谷、池袋、東京都北西部、埼玉県南西部と羽田空港のアクセス利便性が向上される新空港線を初めとする六路線が位置づけられました。二〇二〇年に向けた実行プランの中でも、答申を踏まえ、具体化に向け検討を実施するとされております。
 新空港線の整備は、平成二十七年三月にも、大田区を含めた関係沿線九区長連名で、東京都に早期整備着手に関する要望書を出すなど、広域的な悲願でもあります。また、新空港線の整備による建設投資と消費支出を足した東京都における経済波及効果は、初年度で約二千三百八十五億円との算出も出されております。
 現在、東京圏の空港を結ぶ鉄道網は、比較的西側が弱いとされており、西側鉄道ネットワークの強化の意味でも、また東京圏の国家戦略特区が目標とする世界で一番ビジネスをしやすい環境整備にも、大きく寄与します。
 二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、今後も訪日外国人の増加が予想される中、事業スキーム等の整備が整った路線から順次、整備を進め、新空港線を初めとする鉄道ネットワークのさらなる充実を図っていくことが重要と考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、住まいにおける子育て環境の向上について伺います。
 日本の将来を担う子供を産み育てる世代の住環境整備は重要であり、住宅マスタープランの最初の目標が住まいにおける子育て環境の向上であることは、都としても最重要課題として認識されているものと考えます。
 都はこれまで、都営住宅において、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居制度を実施するなど、積極的な取り組みを行っています。
 また、公社住宅においても、親子が互いに行き来できる距離に暮らす、近居を推進し、祖父母が子育てに協力できるよう、新築住宅の入居者募集の抽せん時に優遇倍率制度を設けるなどの取り組みを進めているということですが、今後、より一層、子育てしやすい環境を整えるため、都営住宅や公社住宅を活用して、住まいにおける子育て環境の向上を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、子供の貧困対策について伺います。
 平成十八年に一四・二%であった我が国の子供の貧困率は、平成二十四年には一六・三%まで上昇しており、実に六人に一人の子供が貧困状態であるといわれています。
 各家庭の生活様式が多様化する中、困難の主要因を特定することは非常に難しい状況ですが、先日、都が発表した子供の生活実態調査の結果では、小中高生等がいる家庭の約二割が生活に困難を抱えるとしています。この数値は、国が出している相対的貧困率とは異なり、所得以外の生活上の困難要素を加味しているため、国の相対的貧困率とは比較できませんが、五家庭に一家庭が何らかの生活上の困難を経験しているという結果が出ています。
 また、大田区でも昨年、子供の生活実態調査を行い、多岐にわたる施策、制度がどのように機能しているのか、実際にどのような生活困難を抱えているのかなど、全容把握に取り組んでいます。調査からは、生活困難層の四六・八%の子供が、自分は価値のある人間だと思うの設問に対し、思わない、余り思わないと回答し、頑張れば報われると思うの設問に対しても、二三・七%が思わない、余り思わないと回答。経済的貧困から子供の精神面への影響、自己肯定感の欠如も見られたと聞いております。
 保護者に関しても、子供の進路や生活態度など、子供本人や学校に任せきりになっていることや、心理的ストレスを抱えているということがわかってきています。こうした実態から、都における子供の貧困対策の一層の推進が求められています。
 子どもの貧困対策法が施行され二年が経過しました。その間、国や東京都、各自治体において、関係施策の充実が図られてきたことは評価いたしますが、子供の貧困対策を一層推進するためには、施策の充実を図ると同時に、早期予防と早期発見、支援が必要な子供や家庭に必要な支援を組み合わせ、コーディネートして提供する工夫などが必要です。
 経済面やその他の困難理由で子供が排除されない地域社会の構築に向け、まずは支援が必要な子育て家庭への施策の周知が重要と考えますが、都の今後の取り組みを伺います。
 次に、震災時の関係機関との連携について伺います。
 首都直下地震が今後三十年以内に七〇%の程度の確率で起こると発表されてから、既に五年が経過しました。昨年の第一回定例会において、我が党の代表質問で、関係機関の相互連携と効果的な救助活動の重要性、対処要領を、より実災時に即した内容に適宜見直しをすべきと指摘し、都は昨年三月に、都と関係機関の基本的連携マニュアルである、首都直下地震等対処要領の改定版を発表いたしました。
 改定版では、大規模救出救助活動の機能強化、都災害対策本部における部門体制の強化、ルート確保の方針明記と具体的な経路の選定等が、関係機関、市区町村との協議を踏まえ、改定されました。
 死者、行方不明者合わせ一万八千名を超えた東日本大震災から間もなく六年を迎えます。地震の規模、津波の大きさ、全てにおいて想定外の地震といわれたあの日から、次に起こり得る災害に向け、全ての災害対策を見直し、関係機関はこれまで不断の努力を重ねてまいりました。
 しかし、災害対策に終わりは決してありません。これからも都民の生命と財産を守るため、大規模災害発生時、警察、消防、自衛隊などの防災機関と、効率的、効果的な連携のもと、人命救助を第一とした円滑な災害応急対策活動を迅速に行い、改定した対処要領をもとに、各機関が発災時対応の実効性を高めていくことが重要と考えますが、都の見解を伺い、私の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 山森寛之議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、世界から人、物、金を集める取り組みについてでございます。
 都民生活を支え、都市の活力を生み出す経済の分野におきましては、現在、国際的に熾烈な都市間競争が繰り広げられております。イノベーションを生み出す人材や企業は、世界のどの都市からも求められているわけでございます。
 こうした中で、日本の成長のエンジンであります東京が、持続的な経済成長をリードしていくためには、規制緩和や税制面など、さまざまな施策の展開によりまして、金融系企業を初めとして、海外の人材、企業の誘致を加速させていくことが重要と考えております。
 先進的な企業や才能豊かな人材を呼び込むには、外国の方も生活しやすい環境を整えることが必要であります。国家戦略特区によります規制緩和によって、外国人医師による診療サービスに続いて、家事支援外国人の活用が間もなく始まります。インターナショナルスクールも、東京駅前や虎ノ門での開設が予定されております。さらに、手続の面でも、東京開業ワンストップセンターについて、新たにサテライトセンターを設置することで、利便性の向上を図ってまいります。
 とりわけ、金融系企業の誘致に向けましては、四月からワンストップ支援サービスを開始いたしまして、さらに、大手町から兜町では、国際金融ビジネス交流拠点の整備を目指しております。
 また、税制のあり方や金融人材の育成などにつきましては、懇談会で議論を進めているところであります。その答申を参考に、秋には東京版金融ビッグバンともいうべき新たな構想を取りまとめる考えでございます。
 これらの取り組みを総動員することで、都市間競争に打ち勝ちまして、アジアナンバーワンの国際金融経済都市を実現したいと考えております。
 二つ目に、鉄道ネットワークの充実についてのお尋ねがございました。
 国際的な都市間競争を勝ち抜いて、持続可能な東京を実現するには、東京の強みである鉄道を生かしていくことは重要であります。
 国の答申におきましては、国際競争力の強化や質の高い鉄道サービスの実現などに向けました具体的なプロジェクトが示されており、新空港線など六路線が、事業化に向けた検討や合意形成などを進めるべきとされております。
 現在、これらの路線につきましては、鉄道事業者などの関係者とも連携をいたしまして、採算性、事業主体の確立、費用負担のあり方につきましての合意形成など、課題について検討を行っているところでございます。
 今後とも、こうした課題の解決に努めまして、鉄道ネットワークのさらなる充実に取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、東京都技監、そして関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 住まいにおける子育て環境の向上についてでございます。
 都営住宅などの公共住宅は、都民共有の財産として、家族向けに整備されたストックを有効に活用し、子育て支援などの政策課題にも対応していくことが重要でございます。
 都営住宅においては、子供の成長とともに教育費の家計負担が重くなることを勘案し、入居時の収入基準を緩和する世帯要件について、同居の子供の年齢を、現在の小学校就学前までから引き上げることを検討してまいります。
 公社住宅においては、近居の支援策として、新築住宅の当せん確率を引き上げる優遇措置に加え、既存住宅では、入居募集時に事前に希望を伺って、あきが出たら入居できる制度を、ことし四月から新たに開始をいたします。
 今後とも、都営住宅での施策の充実や公社との連携強化を図り、さらなる子育て環境の向上に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 支援が必要な子育て家庭等への施策の周知についてのご質問にお答えをいたします。
 都が今年度実施をいたしました子供の生活実態調査では、子供食堂などの食事支援に関するサービスを利用したことがない家庭のうち、その理由として、サービスを知らなかったと回答した割合が、生活に困難を抱える家庭では、一般層に比べて高くなっております。
 こうしたことを踏まえまして、都は、来年度から専任職員を配置して、生活に困窮する子育て家庭等の状況やニーズ等を把握し、関係機関と連携しながら、必要な支援につなぐ取り組みを行う区市町村への支援を開始いたします。
 また、母子健康手帳の交付、保育所の申し込みや小学校入学、転入届の提出など、子供の成長の節目や家庭の状況の変化など、さまざまな機会を捉えまして、区市町村と連携して子育て支援施策の周知を図ってまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 震災時の関係機関との連携についてですが、大規模災害発生時において、一人でも多くの人命を救助し被害を最小限にするためには、警察、消防、自衛隊などの各機関と緊密に連携し、迅速に応急対策活動を行うことが重要でございます。
 都は、各機関との連携強化を図るため、総合防災訓練や図上訓練等を実施し、首都直下地震等対処要領で定めた内容について検証を行っております。また、全国から各機関の救出救助部隊が集まる大規模救出救助活動拠点において受け入れの訓練を行うなど、災害対応の実効性を高める取り組みを進めております。
 今後とも、各機関と連携した実践的な訓練等を通じて、連携内容の検証や改善を進め、災害対応力の一層の強化を図ってまいります。

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