平成二十九年東京都議会会議録第四号

   午後二時五十五分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 十八番遠藤守君。
〔十八番遠藤守君登壇〕

○十八番(遠藤守君) がんは、今や都民の二人に一人がかかり、三人に一人が命を落とす病であります。
 私も、都議会議員に初当選させていただいた一年後、身内をがんで失いました。このことをきっかけに、患者、家族に思いをはせ、三期十二年、さまざまな意見、提案をしてまいりました。本日もまず、このテーマから質問をいたします。
 初めは、これまで埋もれてきたAYA世代の患者支援について伺います。
 アルファベットでA、Y、AとつづるAYAは、思春期及び若年成人と訳し、おおむね十五歳から三十九歳の年代を指します。この年代に発生するがんの特徴は、白血病や悪性リンパ腫など十五歳未満の小児に多く発生するものと、乳がん、大腸がんなど成人に多く発生するものの二つに大別をされます。
 きょうの質問を前に、先日、みずからも乳がんを克服し、現在、AYA世代の患者支援に奔走しているリーダーの方と意見交換をさせていただきました。重い病と向き合いながら、進学や就職、結婚、出産といった人生の転機を迎えるAYA世代にとって、将来への不安ははかり知れないと実感をいたしました。中でも、終末期の患者さんは、在宅での療養を強く望んでおられますが、この年代は介護保険の適用外であり、各種サービスを利用するにも全額自己負担のため、家計にゆとりがなければその願いはかないません。
 終末期の在宅療養費の助成を初め、思春期から三十九歳までのAYA世代のがん患者支援に、都として取り組むべきであります。答弁を求めたいと思います。
 来年度予算案には、都のがん対策推進計画改定のための作業経費が盛り込まれておりますが、専門家から医療現場で軽視されているとの指摘があるのが、緩和ケアであります。
 いうまでもなく、緩和ケアは、がんと診断された直後から生じる精神的、社会的な苦痛をも対象にするもので、決して身体的な痛みのみを対象とするものではありません。
 以下、この原則を踏まえ、何点か質問をいたします。
 第一は、医師研修の拡充であります。
 都内に二十五カ所あるがん拠点病院の医師を対象とした緩和ケア研修の受講率は五二%と決して高いとはいえません。せめて痛みだけはとってほしいという患者、家族の切なる願いに応えるには、受講率を早急に向上させるべきであります。
 第二は、院内におけるセンター機能についてであります。
 都内のがん拠点病院のうち、中心的な役割を担っている都立駒込病院などの都道府県拠点病院には、専門の医師やスタッフ、設備を備えた緩和ケアセンターが設置をされております。国の当初の議論では、同センターは拠点病院全てに設置をされるはずでしたが、専門医がそろわない等の理由で見送られた経緯があります。
 そこで、こうした未設置の拠点病院には、例えば院長直属の緩和ケア統括室、これは仮称でございますが、これを設け、緩和ケアセンターに準じた機能を持たせるなど、取り組みを充実させるべきであります。
 第三は、一般病院における緩和ケアの推進であります。
 全国のがん患者のうち約四割が、拠点病院以外の病院で診療を受けておられます。こうした一般病院には国や都の強制力が弱いため、専門家からは対策が急がれるとの強い指摘があります。都内の一般病院における緩和ケアの実態を調査分析し、速やかに手だてを講じるべきであります。
 緩和ケアの充実について、以上三点、見解を求めたいと思います。
 次に、性犯罪、性暴力被害者支援について質問をいたします。
 先日、この問題に取り組んでいる民間団体の代表から、現状と課題についてヒアリングを行いました。この団体は、貧困やいじめ、親からの性的虐待など、さまざまな事情により居場所がなく繁華街をさまよう十代、二十代の女性に話しかけ、相談に乗り、一時保護を行い、時に行政につなげる活動を行っておられます。行政では限界のあるこうした異色な活動は広く注目を集め、テレビ、新聞、雑誌など、多くのメディアで紹介をされております。
 ヒアリングの際、代表者の口から繰り返し語られたのは、彼女たちは現行の制度からこぼれ落ちているというフレーズでありました。絶望のふちに立たされながらSOSを上げられない、こういった女性を支援するため、都は来年度、総務、生活文化、福祉保健の各局及び青少年・治安対策本部、警視庁に関連経費を盛り込んでおられます。
 全国から多くの女性が集まる首都東京の女性知事として、この問題にどう立ち向かわれるのか、小池知事の所見をまずお伺いしたいと思います。
 この課題に対する都の取り組みは、被害者相談や保護、未然防止のための普及啓発、医療費補助など各局にまたがるため、きょうは、都と民間で連携運営しているワンストップ支援センターの機能強化及び今後の一時保護のあり方に絞って提起をしたいと思います。
 まず、ワンストップ支援センターについてであります。
 総務局は来年度予算に、同センターの運営負担金として、初めて約三千八百万円を計上いたしました。二十四時間三百六十五日体制で行っている相談や、支援員が医療機関や警察に付き添うためなどの経費であります。こうした取り組みはもちろん有意義でありますが、性被害に遭った女性のうち約三人に二人は、知られたくない、自分さえ我慢すればなどの理由から、誰にも相談せず、ますますハイリスクな状況に陥っているそうであります。
 こうした声を出せない女性を救うには、フットワークの軽さや柔軟性にすぐれた民間の力をかり、こちら側から出向いていく、いわゆるアウトリーチ型の活動も実践すべきであります。また、主要駅や繁華街などにワンストップ支援センターのサテライトオフィスも開設すべきであります。
 さらに、今後、同センターの機能強化を協議するに当たっては、外部の有識者だけではなく、実際に被害に遭った女性たちのケアを行ったり、まち角で未然防止活動をしている民間団体など、現場の生の声にも十分耳を傾けるべきであります。それぞれ総務局長の答弁を求めます。
 ところで、さまざまな困難を抱える女性たちを一時保護する場所に、都道府県が設置をする婦人相談所があります。しかし、十代、二十代の女性にとって、幅広い年齢層の人と生活をするのは、心理的な負担もあり、より気兼ねなく生活のできる別の場所が必要です。民間とも協働し、現行の制度では救い切れていない女性を保護し、支援していくべきと考えます。福祉保健局長の見解を求めたいと思います。
 次に、精神障害者と家族に対する支援について質問をいたします。
 去る二月十七日の厚生委員会において、精神障害者を都の医療費助成制度の対象とすることに関する請願が全会一致で採択をされました。本日も代表の方が傍聴にお越しになられておりますが、親御さんらでつくる家族会の皆様が、寒風の中集められた署名は一万三千百六十六筆に上り、紹介議員には、都議会公明党を初め多くの会派が名を連ねました。私自身、二〇一五年の第三回定例会一般質問を初め、その実現を一貫して訴えてきた者として、感慨深いものがあります。
 改めて申すまでもなく、現在の都の医療費助成制度の対象者は、身体障害者手帳一級、二級を持つ方、愛の手帳一度、二度の知的障害者の方などであり、精神障害者の方は含まれておりません。それぞれの障害特性は異なりますが、抱えている共通の課題に対しては同様の支援の手が差し伸べられるべきと考えます。
 本会議での採決は三月三十日の定例会最終日になりますが、厚生委員会における都議会の総意ともいえる全会一致の結果をどう受けとめるのか、福祉保健局長の明快な答弁を求めたいと思います。
 最後に、鉄道ネットワークについて質問をいたします。
 昨年四月に公表された国の交通政策審議会答申には、おおむね十五年後を念頭に置いた東京圏の鉄道整備指針が示されております。その中には、私の地元の大田区が推進している新空港線、いわゆる蒲蒲線について、事業化に向けて関係地方公共団体、鉄道事業者等において、費用負担のあり方等について合意形成を進めるべきとの記載もありました。三十年前から検討されているプロジェクトであり、検討の熟度も深いことから、こうした高い評価につながったものと考えます。
 新空港線の整備により、東急多摩川線を介して東急東横線、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武池袋線の五路線が相互直通運転となり、首都圏全域に及ぶ非常に広域な交通ネットワークが形成されます。さらに、国際競争力強化の拠点であります、ここ新宿、渋谷、池袋など、副都心と羽田空港とのアクセスが飛躍的に向上をするわけであります。
 これらは、知事が進めるスマートシティー政策の柱である交通、物流ネットワークの形成、世界に開かれた国際観光都市の実現にも大きく寄与するものと考えます。
 昨年二月、大田区を含む都内十四区長と埼玉県の三市長の連名で、石井国土交通大臣に対して、早期整備着手に向けた要望書を提出いたしております。私も同席いたしましたが、大臣からは、皆さんの熱い思いは受けとめたと、前向きな発言がございました。
 国の答申で高い評価を受けた路線は、新空港線以外に五つありますが、これらは事業の検討開始時期もそれぞれ異なり、熟度もまちまちであります。大田区は、来年度予算案に新空港線の整備主体の設立に関する予算を盛り込みましたが、これは答申が求めている関係者間の協議が順調に進んでいるあかしといえます。
 整備効果が着実に見込め、かつ関係者の協議が進んでいる路線から順次着手することは、都の費用負担の平準化という観点からも、小池知事が唱えておられる賢い支出であり、真に有効な投資と確信をいたします。
 新空港線の整備着手に向け、小池知事の所見をお伺いし、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 遠藤守議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、性犯罪、性暴力被害者支援についてのお尋ねがございました。
 女性が性犯罪などの被害に遭うと、強い不安感などの症状があらわれ、心的外傷後ストレス障害を発症したり、望まない妊娠や感染症のリスクも負うなど、身体的、精神的に極めて重い負担を強いられております。女性の活躍を推進していくためにも、こうした実態を重く受けとめまして、社会全体で理解を広げるとともに、被害者支援にしっかりと取り組んでいかなければなりません。
 都は、平成二十七年度から開始した性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業など、被害に遭われた方々を支援するために、全庁を挙げて各種施策に取り組んでおります。
 また、今年度スタートいたしました第三期東京都犯罪被害者等支援計画におきましても、性犯罪等被害者支援の充実強化を重点的取り組みとして掲げておりまして、警察や医療機関などと連携をいたしまして、精神的ケアの充実など、さらなる取り組みを行っております。
 今後も、都は、被害者の立場に立った支援を実施していくとともに、被害者の置かれた状況を広く都民に理解いただけるように、啓発にも力を入れまして、全ての女性が生き生きと輝ける社会の実現のために尽力してまいりたいと考えております。
 新空港線についてのお尋ねがございました。
 国際都市東京の玄関口としての羽田空港の機能を最大限発揮させるためには、鉄道アクセスの充実を図ることは重要であります。
 新空港線は、国の答申におきまして、国際競争力の強化に資するプロジェクトの一つとして、事業化に向けて合意形成を進めるべきと位置づけられております。
 このため、現在、地元大田区や鉄道事業者などと連携をいたしまして、採算性や費用負担のあり方などについての課題について、検討を行っております。
 引き続き、関係者とともに、このような課題の解決に努めてまいります。
 残余のご質問については、関係局長よりご答弁させていただきます。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、AYA世代のがん患者への支援についてでありますが、思春期から若年成人のいわゆるAYA世代のがん患者は、修学や就職、結婚等の時期と治療の時期が重なるため、働く世代のがん患者への就労支援とは異なった観点が必要であることに加えまして、心理社会的な問題や教育の問題等に関する相談支援体制や、緩和ケア提供体制等を含めた総合的な対策のあり方を検討する必要がございます。
 国は、厚生労働科学研究の一つとして、平成二十七年度からAYA世代固有の詳細な課題を明らかにするための研究を進めており、患者や家族のニーズ、診療実態、医師の意識に関する調査等を行っております。
 都は、今後、こうした国の動向を注視しながら、東京都小児がん診療連携協議会等におきまして、AYA世代のがん患者への支援のあり方について検討を進めてまいります。
 次に、医師を対象とした緩和ケア研修についてでありますが、国が平成二十四年に策定いたしましたがん対策推進基本計画では、国が指定する拠点病院では、当該施設でがん診療に携わる全ての医師が、国の指針に基づく緩和ケア研修を五年以内に修了することを目標としております。
 都は、できるだけ多くの医師が緩和ケア研修を受講できるよう、国指定の拠点病院が複数回研修を実施する場合に、都独自に補助いたしますとともに、都が指定する拠点病院が同等の研修を実施する場合にも補助を行っております。
 平成二十年度から二十七年度までに、合わせて約九千人が研修を修了しており、来年度は、受講率の一層の向上に向け、拠点病院への補助を拡充し、研修機会をふやすこととしております。
 次に、地域がん診療連携拠点病院の緩和ケアについてでありますが、都道府県がん診療連携拠点病院が設置している緩和ケアセンターは、専従の医師、看護師等から成る緩和ケアチームが主体となって、緩和ケア外来、緩和ケア病棟等と連携し、専門看護師による看護カウンセリングやカンファレンス、地域の医療機関の診療従事者との連携協力、患者、家族に対する相談支援などを行っております。
 地域がん診療連携拠点病院において緩和ケアを一層推進するためには、緩和ケアチーム、緩和ケア外来等の院内の連携に加え、地域の医療機関との連携も強化することが重要でございます。
 このため、都は、東京都がん診療連携協議会等を活用して、緩和ケアセンターの取り組みを広く周知し、地域がん診療連携拠点病院における緩和ケアの充実を支援してまいります。
 次に、一般病院における緩和ケアの推進についてでありますが、都では、がん診療連携拠点病院が中心となって行っている研修会や症例検討会等を通じまして、地域の一般病院等の緩和ケアの水準の向上を図っております。
 また、現在、東京都保健医療計画及びがん対策推進計画の改定に向けまして、都内全ての医療機関に対して実施している医療機能実態調査では、緩和ケアの実施状況や今後の取り組み予定などを聞いているところでございます。
 来年度は、東京都がん対策推進協議会のもとに、がん医療緩和ケア検討部会を設置することとしておりまして、実態調査の結果やこれまでの取り組みを検証し、平成三十年度からの次期がん対策推進計画に、緩和ケアを推進するための取り組みを盛り込んでいく考えでございます。
 次に、若い女性の保護についてでありますが、保護を必要とする女性をその状況に応じた適切な支援につなげるためには、関係機関が連携して対応することが重要でございます。
 そのため、都は区市町村等と連携しながら、児童相談所、女性相談センターで一時保護を行うほか、民間団体と連携し、子供シェルターにおきまして緊急避難を要する女性を受け入れております。
 また、自立援助ホームや婦人保護施設に加え、若い女性を支援するNPO等と連携し、民間シェルター等も活用して、これらの女性の自立を支援をしております。
 今後、民間団体も含めた関係機関との連携を一層強化いたしまして、一人一人の状況に応じた女性への支援を行ってまいります。
 最後に、心身障害者医療費助成制度の精神障害者への拡大についてでありますが、都は現在、重度の身体障害者、知的障害者の方を対象に本制度を実施しておりまして、身体障害者手帳一級、二級、内部障害は三級まで、愛の手帳一度、二度の方に対して、医療費の自己負担分の一部を助成しております。
 また、精神障害者の方には、法で定める自立支援医療制度により、精神通院医療に係る医療費を助成しており、都はさらに、区市町村民税非課税世帯の自己負担を全額無料とする独自の軽減策を実施しております。
 制度の対象拡大につきましては、国の助成制度との整合性、国保の国庫支出金への影響、区市町村や医師会等の意見対象の範囲や要する経費など、幅広く調査分析を行う必要がありまして、今後、議会でのご意見や請願の内容も踏まえながら、さまざまな観点から検討を行ってまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、性犯罪、性暴力被害者支援についてですが、都は、性犯罪・性暴力ワンストップ支援事業を開始して以降、相談窓口である性暴力救援ダイヤルを、ホームページや啓発事業、研修会などにおいて周知してまいりました。しかし、性犯罪等被害者の声は埋もれがちであり、被害者が窓口に相談しやすい環境をつくることが重要でございます。
 今後は、多くの若者が利用するSNSをより積極的に活用するほか、ワンストップ支援センターは、女性の支援員が親身に相談や支援を行う安心して相談できる窓口であることを、行政や地域に根差した活動をしている支援団体などを通じて、さらに積極的に周知してまいります。
 こうした取り組みにより、被害者をスムーズにワンストップ支援につなげ、被害者支援の充実を図ってまいります。
 次に、性犯罪等被害者支援に取り組んでいる民間団体などの声を伺うことについてですが、性犯罪等の被害者に寄り添い、きめ細やかなケアを行っている支援者の声を聞くことは、都が支援策を策定、実施するに当たり重要なことでございます。
 第三期東京都犯罪被害者等支援計画の策定の際、基礎とした実態調査では、被害の内容や必要な支援の種類などについて、豊富な事例を有する民間の支援団体から多くの声をお聞きいたしました。
 現在、支援を実施する際の諸課題に適切に対応していくために、専門家懇談会を設置し、有識者等の意見を得ていますが、今後は、この場に、現場の第一線で活躍している民間の支援団体にも参加していただき、施策の充実に生かしてまいります。

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