○議長(川井しげお君) 四十三番清水孝治君。
〔四十三番清水孝治君登壇〕
○四十三番(清水孝治君) 都議会自民党の清水孝治でございます。
初めに、小池都知事の政治スローガンと都政運営について伺います。
知事は昨年八月に就任以来、持ち前の発信力を遺憾なく発揮され、都政運営に邁進されてまいりました。その発信力に私たちは舌を巻いている感がありますが、過去には小池知事が環境大臣のときに、地球温暖化防止のためのビジネス軽装、クールビズをその年の流行語に押し上げた実績もございます。
ちなみに、このクールビズという愛称の名づけ親は、私の地元でございます立川市にお住まいの田形英明さんによるものであります。参考までにご案内申し上げたいと思います。
知事は、昨年夏の都知事選挙から、都民ファーストというスローガンを掲げ、選挙を勝ち抜かれ、その後、初めて手がけられた実施計画、二〇二〇年に向けた実行プランにも、都民ファーストでつくると副題がつけられておられます。
都民ファースト、いいかえれば都民第一でありましょうか。都政内輪の議論であれば、都民を第一に考えるで結構かと思いますが、他の自治体や世界都市など、対外的な議論となれば注意が必要であります。
ご存じ米国トランプ大統領のアメリカ・ファースト、アメリカ第一主義のかけ声は、世界中を震撼させ、利己主義や対立構造を助長させております。
また、昨今の都財政を取り巻く状況は、東京ひとり勝ちと称され、いわれなき富裕論に包囲され、自治体間の財政力格差の解消を理由に、いわゆる地方法人課税の不合理な偏在是正措置がなされました。このようにファーストというキーワードが他者に誤解をもたらすようではいけません。
これまでも都は、日本経済のエンジン役を自覚し、我が国の経済成長をリードしていくという心構えだけではなく、全国各地との結びつきを強化し、共存共栄の関係を構築すべく努力してまいりました。
また、東京のブランディング戦略であります、&TOKYOというキャッチコピーもその後押しに一役買っていると私は思います。小池都知事も宮城県を訪問し、復興五輪を訴えられ、岩手県では二〇二〇年オリンピック・パラリンピックのフラッグツアーに参加されるなど、被災地復興、国を挙げての大会成功に尽力されているのは十分理解をしているわけであります。
そこで、改めて都民ファーストを政治スローガンとされている小池都知事は、私たちの首都東京の役割をどのように内外に発信されていかれるのか、ご所見をお伺いいたします。
次に、消防庁、救急隊の効果的な運用について伺います。
救急対応が必要な病気やけがに見舞われたとき、頼りになるのが、やはり消防庁の救急隊であります。我が国の一一九番通報で出動する消防の救急車は、疾病者の年齢、国籍、納税の有無などを問わず無料で利用することができるせいか、昨今、救急需要は増大傾向にあります。
二〇二〇年東京大会に向け、東京消防庁は、延伸している救急隊の平均到着時間を七分以内と位置づけ、救急隊の救急体制の拡充に努められております。私も何度か救急車のお世話になったことがありますが、確かに救急患者にとって救急隊の到着がいかに一日千秋の思いか、我が身を持って経験いたしました。
その救急隊の現場は、精神的にも肉体的にもハードな状況での職務となっております。私の地元、立川消防署の受け持ち管内は立川市と国立市でございますが、合計約三十二平方キロメートルのエリアを、わずか四台の救急車で対応しているとのことでございます。
一日平均約三十五回の出動要請を、四台の車両に一隊三名、これを三交代勤務で対応しております。いいかえれば、救急車一台につき九名の隊員が必要となります。まさに限られた人員の中、昼夜を問わず活動されているのが現状です。東京消防庁もこのような現状を鑑み、到着七分以内に向け、救急隊の計画的な増隊を図るそうであります。
他方、昨今では、この増大する救急需要への対応策の一つとして患者等搬送事業、いわゆる民間救急やタクシーによるサポートキャブが行われております。ともに転院や入院、通院など緊急性がない場合に限り、東京民間救急コールセンター、電話番号〇五七〇─〇三九─〇九九、オーミンキュウ、オーキュウキュウに申し込み、配車いただくそうであります。ただし、有料でございます。
残念ながら現段階では、民間救急は緊急自動車に定められていないため、サイレン及び赤色警光灯が装備できないため、持てる機能を十分に発揮できる状態にありません。しかし、ニューパブリックマネジメントという概念が自治体経営に定着されて以降、民間にできることは民間にの合い言葉のとおり、まさに民間救急は消防庁の救急業務を補完できる取り組みであると私は認識をしております。
そこで、民間救急に対し、その役割、有用性やさらなる活用を期待するものでありますが、消防庁の見解を伺います。
次に、観光振興について、三多摩・島しょ地域の取り組みについて何点か伺います。
観光産業は、我が国の成長を牽引する有力な産業へと期待が膨らむ中、東京二十三区だけでなく、自然や歴史、文化、伝統といった観光資源豊富な三多摩・島しょ地域は、今後の発展が見込まれる観光エリアでもあります。
そんな中、本年年明けの五日、小池知事により、多摩地域の観光情報センターを、新年度予算案に二億六千万円の費用を盛り込み、多摩地域交通網の結節点である立川駅周辺に整備をする方針が発表されました。
多摩地域の観光振興にとって大変重要な役割であります。ぜひともこの立川のタは三多摩のタのごとく、この情報センターから八王子の高尾山、西多摩の日原鍾乳洞や多摩市のサンリオピューロランドなど、多摩地域が持つ多彩で魅力的な観光情報を一刻も早く発信できることを願います。
それとともに、多摩地域で最初の情報センターであります。せっかくですから、バスタ新宿内の情報センターのような大変充実した機能を求めるものであります。要望をいたします。
加えまして、今現在も、三多摩各市町村には、昭島観光案内所や日野宿交流館観光案内所など十四もの観光案内窓口が稼働し、それぞれ地域ならではの観光情報の収集、発信をしております。当該観光センターは、このような既存観光案内窓口の情報を集約、発信するなど、多摩地域観光案内情報のハブ機能を担うべきだと思いますが、都の所見を伺います。
二点目は、多摩地域におけるMICE拠点の育成支援について伺います。
観光庁によれば、国際会議に参加する外国人旅行者の一人当たりの支出額は、主催者による支出も含まれるため、一般観光旅行者に比べると実に二・三倍にもなるとされており、MICE開催には高い経済波及効果が期待されております。
しかし、こうしたMICEの誘致をめぐっては、会場となるホテルや大学など施設の会場機能の強化が課題となっております。したがって、国際会議に引けをとらない設備レベルの向上に、都が支援を行うことは重要だと思うわけでございます。
また、都内開催エリアの選択の幅を広げるためにも、いわゆる大・丸・有地区などの都心部だけでなく、これからは三多摩地域にもMICE誘致を進めていく必要がございます。
このたび二十九年度新規事業として、多摩地域におけるMICE開催拠点の育成事業が盛り込まれました。多摩地域には、大自然や伝統ある神社仏閣などユニークベニュー、特別な会場となり得る資源が豊富に存在しております。
そこで、これからのMICE誘致に向けて、都の具体策を伺います。
なお、現在、八王子市では、MICE事業を推進するため、公益社団法人観光コンベンション協会(仮称)の設立を本年四月に予定し、都も二〇二二年をめどに同市内に産業交流拠点を整備する方針と報道がされております。
八王子のこれまでの思いが実を結ぶことを同じ三多摩都民として願うとともに、この取り組みが三多摩における地域産業の起爆剤となるよう、MICE拠点の育成事業のさらなる拡充を望むものであります。要望といたします。
三点目は、三多摩・島しょ地域の自然公園を生かした観光事業についてであります。
これまで三多摩・島しょ地域の自然に着目した観光振興は多々ございました。このたび予算案にも、自然公園への旅行者の誘致など、新たな視点での取り組みが盛り込まれております。島しょ地域縁結び観光プロジェクトのような、現地までの移動時間を生かしての施策展開には、私は率直に新鮮さを感じる次第であります。
実は私も以前、地元農業後継者団体でいわゆるお見合いパーティーを企画し実行してまいりました。立川から山梨県の富士急ハイランドまでのバスツアーでございましたが、道中車内のどきどき感は今でも忘れることはありません。
当該プロジェクトも、島しょの自然環境の魅力もさることながら、船中の緩やかな時間に着目したユニークな取り組みと拝察いたします。
そこで、こうした自然公園を活用した旅行者の誘致や縁結びプロジェクトをどのように進めていかれるのか、改めて所見をお伺いいたします。
最後に、都市農業の振興について伺います。
都市農家の一員である私は、この四年間、さまざまな角度で都市農業の振興について質問を重ねてまいりました。しかし、都市農地の減少傾向は一向に収束する気配はありません。
あくまでも農地あっての都市農業であります。無足の農家というわけにはまいりません。今後、東京都内にどのような方策をもって農地を残していくのか、その視点に立ってお伺いいたします。
近年、我が国の都市農業を取り巻く法整備には大きな変革が訪れております。本年二月十日には、生産緑地法の一部改正案が閣議決定され、生産緑地地区の面積要件の緩和など、新たな都市農業の保全策が進められているものであります。
他方、派手さには欠けますが、すぐに効果があらわれる施策を東京都が着実に打っていかれることは重要でございます。これまで数ある農業振興施策の中で都市農地保全支援プロジェクトは、都市農地における新鮮農作物の供給、防災や環境保全など、地方の大産地とは異なる、その多面的な機能を捉え、その保全方をタイムリーに支援してまいりました。
しかし、都市農地がこの十年で千ヘクタール減少する中で、福祉や教育といった新たな都市農地の活用に着目をいたし、さらなる農業者への支援により、都市農地を保全する取り組みを展開すべきと考えますが、都の所見をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 清水孝治議員の一般質問にお答えをいたします。
首都東京の役割の発信についてのお尋ねがございました。
渦潮のように不透明かつ不安定な国際情勢でございます。日本が、激化するこの国際競争に打ち勝っていくためには、国内において東京だけがひとり勝ちするのではなくて、四十七都道府県がそれぞれの強みを生かして、オールジャパンで輝くことが不可欠でございます。
そうした中でも、東京は日本経済のエンジンとして、日本全体の成長を牽引するとともに、各地域の発展にも寄与していくことが求められております。
こうした役割を果たすためにも、都民目線の都政、つまり都民ファーストを展開して、都民一人一人が力を存分に発揮できる環境を整えることで、東京をさらに活性化していかなければなりません。
都民ファーストとは、都民だけを優先するような考え方ではなく、全国との共存共栄と何ら矛盾するものではありません。
各都道府県がそれぞれ、みずからの宝物を探して、そして、それを磨き上げていく中で、オールジャパンの連携を図りながら、日本全体の発展につながる取り組みを進めてまいります。
そして、その先に、世界の中で輝き続ける日本を実現することが、首都東京が果たすべき役割と考えておりまして、こうした役割をさまざまな場面を通じまして発信をしてまいります。
残余のご質問には、関係局長からご答弁をいたします。
〔消防総監高橋淳君登壇〕
○消防総監(高橋淳君) 患者等搬送事業者の活用についてでありますが、患者等搬送事業者は、都民が通院や入退院等で利用しており、救急車の適正利用に有用であると認識しております。
このため、東京消防庁では、安心して利用できるよう、患者等搬送事業者認定表示制度を設け、基準に適合している二百四十五の事業者を認定し、ホームページ等で公表しているほか、現在、東京都医師会等の関係機関と連携し、さらなる利用の拡大について検討しているところでございます。
今後とも、救命講習などさまざまな場において幅広く都民へ周知することなどにより、患者等搬送事業者の活用を促進してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕
○産業労働局長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えいたします。
初めに、多摩地域の観光案内の充実についてでございますが、東京を訪れる国内外からの旅行者に、多摩地域を対象とするきめの細かい観光情報を幅広く提供して、来訪者の増加につなげる取り組みは重要でございます。
これまで都は、多摩を含む各地域の観光情報をさまざまな案内所から個別に提供を受け、都庁舎の観光情報センター等に集めて発信してまいりました。
今後は、多摩への送客に役立つ情報提供に加え、同地域の観光をきめ細かく紹介するため、多摩の各エリアへの交通の便のよい立川で旅行者がわかりやすい場所に情報センターを整備いたします。
同センターでは、地元の状況に詳しい個々の観光案内窓口から多摩各地のイベント等の情報提供を受け、最新の内容を旅行者に的確に伝える仕組みといたします。
こうした取り組みにより、多摩地域の観光振興を効果的に進めてまいります。
次に、東京へのMICE誘致についてでございますが、東京でのMICEの開催の数を伸ばすため、会場となる施設で提供できるサービスの質を高めるとともに、開催エリアをふやしていくことは重要でございます。
都は現在、MICEを都心のエリアを中心とする会場で開催できるよう、誘致活動や会場の確保に必要となる経費に対する助成等を行っているところでございます。
今後は、MICEを開催する施設で会議の運営に役立つWi-Fi設備や高規格プロジェクターなどの設備の導入に必要な経費も助成いたします。
また、MICEの開催場所をふやしていくため、多摩地域等で会議施設やホテルの多いエリアを選び、地元での誘致や受け入れに向けた取り組みをサポートしてまいります。
これらにより、東京へのMICE誘致の活動を質と量の両面から高めてまいります。
次に、多摩と島しょ地域の観光振興についてでございますが、多摩や島しょエリアの誘客を進めていく上で、豊かな自然を生かしたさまざまな観光振興を行うことは重要でございます。
都は現在、多摩地域の森林を活用して、散策ルートの途中に眺めの良好な場所を設けるなどの取り組みにより、観光客の誘致を進めております。また、小笠原諸島の自然に親しむエコツーリズムのニーズ調査にも取り組んでいるところでございます。
新年度より、多摩・島しょ地域に広がる自然公園を訪れる観光コースをつくるため、モニターによるツアーを実施いたします。また、島を船で訪れるツアーを組み込んだイベントを行い、出会いの機会を提供する新しい観光の方法をつくり出してまいります。
こうした取り組みにより、多摩・島しょ地域の観光振興を着実に進めてまいります。
最後に、農業者支援による都市農地の保全についてでございますが、都市農地の保全を図るためには、農業、農地が有する多面的機能を発揮させる農業者の取り組みに対する支援を充実していく必要がございます。
そのため、都は、これまで行ってまいりました防災機能を有する農業用井戸の整備などへの支援のほか、食育の普及を図り、高齢社会の進展等に対応するため、来年度から教育機能や福祉機能を発揮させる農業者の取り組みへの支援を開始いたします。
具体的には、子供が食の大切さを学ぶ学童農園や、高齢者や障害者の社会参加を促進する福祉農園の整備に加え、農園開設時のアドバイザー派遣についても支援するなど、ハード、ソフト両面から農業者を支援してまいります。
こうした取り組みにより、農地の多面的機能を一層発揮させ、都民の貴重な財産である都市農地を保全してまいります。
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