平成二十九年東京都議会会議録第三号

○議長(川井しげお君) 六番前田和茂君。
〔六番前田和茂君登壇〕

○六番(前田和茂君) 初めに、二〇二〇年に向けた実行プランについてお伺いいたします。
 東京都では、全ての事業において、五年以内という終期を設け、必要な見直し、再構築を行う事務事業評価を取り入れております。これは、特に、福祉などの助成事業において大変効果的と考えます。
 一旦予算化された助成事業は、新たな事業との整合性や、時代にそぐわなくなった事業でも、廃止や見直しを検討すると、多くの反対の声が出て、結果として、段階的に支給額を変更する経過措置での対応や、区市町村が独自事業として継続を余儀なくされているものもあります。
 この事後検証を徹底し、無駄の排除を行う事務事業評価と、数値目標を工程表に基づき事業の進捗や成果を客観的に把握、検証、評価する実行プランとの二つの事業の相乗効果で、より一層事業の有効性、実効性の確保につながることを大いに期待いたします。
 この実行プランへの昨日の我が党の代表質問に対して、実行プランの事業進捗や成果を客観的に把握、検証し、その結果を都民と共有した上で、その後の事業展開に反映していくと答弁がありました。
 しかし、都民の共感を得ながら都政を前に進めていくためには、事業の進捗、成果を的確に把握、検証、評価する必要があり、執行機関だけの評価だけでは不十分であると考えます。都民、区市町村、民間団体から共感を得るためにも、決して都側だけの進行管理による我田引水の評価にならないよう図るべきと考えます。
 そこで、実行プランの進捗状況の検証、評価を具体的にどのように行っていくか、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、こどもの城、青山病院跡地についてお伺いいたします。
 知事は、十二月二十五日の報道番組にて、こどもの城購入の予算執行はないと発言され、本定例会には減額補正が提案されています。これは、首都災害医療センター基本構想検討委員会での検討結果まで、一度立ちどまって検討されるとのことですが、この検討結果の動向に地元、周辺区は大いに注目をし、期待を寄せております。
 注目の理由は、当該用地の土地面積を比較した場合、現在の広尾病院全敷地が二万二千百七十平米に対し、こどもの城に隣接する、現在、住宅展示場に賃貸ししている青山病院跡地を合わせた面積は二万七千四百五十六平米となり、単純計算でも土地ベースで五千平米以上のスペースが確保され、子育て施設を含めた複合施設の建設が可能と考えられているからです。
 なぜ、この地域に子育て施設の要望があるかの理由は、平成二十三年の東京都児童会館廃止にさかのぼります。当時、廃止の理由の一つに、近隣に、同じ児童の健全育成を目的としたこどもの城があることが説明されました。
 しかし、その翌年に厚労省から、こどもの城及び隣接する青山劇場、青山円形劇場の平成二十六年度末の廃止が、事業仕分けで廃止、存続と二転三転しながらも、最終的には老朽化を理由に決定されました。
 子供たちが楽しみながら主体的に参加できる音楽コンサートや、さまざまな工作、スポーツなど、工夫された多彩なプログラムがあり、子供の豊かな成長に大きな役割を果たした両施設は、児童会館で年間約六十万人、こどもの城で年間約八十万人もの利用があり、この地域では、子育ての大切な場が、一度に二カ所失ったことが理由です。
 また、多くの子育て施設の復活を願う声と同じく、広大な敷地面積があることから、高齢者施設も併設できるのではとの期待も高まっています。
 渋谷区の特養ホーム整備率は、他区と比べ遜色はないものの、民間の老人ホームは、区民以外の利用が多い、いわゆる高級有料老人ホームなどで、区民待機者が数多く存在しています。施設整備を進めるにも、人気のエリアが多く地価が高いことから用地獲得が難しく、先日の都有地活用推進本部の土地洗い出しでも、三十五坪の土地が一カ所しかなかったように、都有地、国有地も少なく、整備が進みにくいのが現状です。
 そのような中、こどもの城、青山病院跡地に複合施設が建設されれば、特養ホームのみならず、認知症グループホームやデイサービスの施設整備、また、病院との併設が実現できれば、日常の医療と介護、生活支援などが連携できる地域包括ケアの拠点を考えることも可能になるなど、期待は大いに膨らみます。
 しかしながら、こどもの城、青山病院跡地の活用については、まずは、検討委員会の結論を待ってからとなります。現在、青山病院跡地の住宅展示場は、二十四時間体制で警備員を配置しておりますが、住宅街と隣接するこの地域では、こどもの城廃止直後は治安面で不安の声が上がっていたなど、住宅展示場の暫定利用期間終了後の近隣対策など、不安の声もあります。
 青山病院跡地の今後の利用についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
 次に、障害者グループホームについてお尋ねいたします。
 障害者通所施設等整備費補助事業では、障害者グループホームを、三年間で二千人の定員増を目標に、平成二十七年度は六百七十五人分の整備が行われ、着実に計画が実行されていることは高く評価いたします。
 障害者の地域における居住の場の整備のため、新築、改築の補助率では、社会福祉法人の負担を四分の一から八分の一に引き下げ、また、借地活用の施設整備の補助基準額は、当該地の公示価格に応じて三段階の補助基準を設定するなど、実情に即した事業であり、ぜひとも三年間で二千人増の目標に向けて努力を続けていただきたいと考えます。
 しかし、この整備内容を地域別に見ますと、格差が生じているのも事実です。全体の定員数が少ない地域の順は、千代田区、港区、渋谷区、中央区、文京区の順で、比較的地価が高い地域の整備数が悪くなっています。
 これは、施設整備の用地取得が高額なために難しく、また、借地を活用する整備の際の助成対象である五年間を過ぎた後の賃借料負担が、安定的な収入となる、入所者が払える利用料などだけでは厳しく、継続的な運営が難しいと判断され、二の足を踏まれていることなどが考えられます。
 そこでお伺いいたします。
 まずは三年間で二千人の計画を確実に実施され、その後の検証として、地域間での偏在をなくすべく、都心区において継続的な施設運営が可能となる制度を検討すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、都立公園の活用のあり方についてお伺いいたします。
 現在、都心部にある大規模公園は、それぞれの地域のニーズに応じた災害時の防災拠点としての活用や待機児対策の園舎など、さまざまな利用が検討されています。おのおのの事業に異を唱えるものではありませんが、都心にある自宅や職場とは一線を画した空間の創出は、しっかりとしたコンセプトを持ち、その上で多面的な活用を推進すべきと考えます。
 渋谷区では、都心における区立公園改修の参考に、地域住民有志により、ニューヨークのブライアントパークの視察を実施されました。一九七〇年代に荒廃し、多数の犯罪が発生していたブライアントパークに大規模な改修工事を実施し、現在では年間約六百万人以上が訪れる大名所となっています。
 改修内容は、鬱蒼と茂っていた樹木を整備し、人々が自由にくつろげる開放的なスペースを確保し、くつろげるカフェや気軽に楽しめるアクティビティーを導入し、明るい雰囲気を演出しています。
 また、四千五百個の可動式椅子を配置することで、自分がくつろぎたい場所に移動でき、さらに開放的なスペースに可動椅子を配置することで、映画祭などイベント会場としても利用されています。バラエティー豊かな飲食店舗を導入することで、幅広い来園者につながることとともに、その賃料収入を利用し、一日八回のごみ収集と、トイレには男女一人ずつの警備員を配置し、安全な環境が維持されています。
 この緑と開放的なスペースの考え方は、都心部の大規模公園にも当てはまります。私の住む渋谷区には、東京都を代表する公園の一つ、代々木公園があります。都心の中心部にある、自分らしさを取り戻せる、心地よい憩いの場として、例えば樹木を移設し、中央に広大な芝生空間があり、周辺のレストラン、カフェのテイクアウトを、可動式の椅子、テーブルで、自由にくつろげる開放的なスペースの確保や、世代別の遊具が配備されたゾーン、また、スポーツを楽しめるゾーンなど、エリア分けがなされた、計画された公園が考えられます。
 また、代々木公園だけでなく、各都立公園において、立地条件、特性などを考慮し、特徴ある公園として活用すべきであります。
 そこでお伺いいたします。
 都立公園の活用のあり方、将来像についてどのようなお考えをお持ちか、所見を伺います。
 次に、トラック運送業者の荷さばきスペースの確保についてお伺いいたします。
 これまでも我が党は、都民生活や産業のため、物流が滞らないためにも、営業用トラックなどが利用可能な貨物専用駐車場の増設などを求めてきました。
 東京都においては、都市の構造が、荷おろしや配達のために駐車することに適していない現状であります。
 加えて昨今は、増加する自転車利用に対して、自転車専用レーンの整備が行われるなど、さらに荷物の積みかえ、配達などに厳しい状況になっております。業務用車両の駐車場の確保は急務でありますが、実際に駐車場用地の取得、整備は、都心区ほど難しい状態にあります。
 そこで、駐車場利用が可能な都有地で、終日使用は無理でも、曜日、時間帯で、荷物の積みかえやトイレ休憩の利用提供など、考えられると思います。
 例えば、日中ほとんどの車両が出払っている都バス車庫の空きスペースや、休日利用がほとんどで平日利用が少ない都立公園の駐車場、逆に、平日の利用がほとんどで休日利用が少ない都施設など、利用時間や曜日を限定して利用できる用地の検討を各局と連携して行うべきと考えます。このことは、運送業者だけでなく、歩行者にも自転車にも優しいまちづくりにつながると思います。
 そこでお尋ねいたします。
 毎年、我が党からも要望しております、集荷、配送用トラックの駐車スペース、荷さばき専用スペースの確保などについて、現在までの取り組みについてお伺いいたします。
 以上、ご答弁よろしくお願いいたします。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 前田和茂議員の一般質問にお答えさせていただきます。
 二〇二〇年に向けた実行プランについてのお尋ねがありました。ありがとうございます。
 この計画は、策定することにとどまりません。その政策を着実に実行して、成果を都民の皆様に実感していただくということが何よりも求められていると考えております。
 そこで、この実行プランでは、可能な限り数値化した約五百の政策目標を定めるということと、四年間の具体的な工程表を作成するなど、PDCAサイクルを適切に実施していく仕組みを、最初から、策定の段階からしっかりと組み込んだものでございます。
 これらに基づきまして、それぞれの事業の進捗状況を客観的に把握、検証いたしまして、そこから導かれる課題や問題点を捉えて、それを改善、見直しにつなげ、事業の実効性を一層高めてまいります。
 都民ファーストの視点から、その結果はできるだけわかりやすく公表いたします。そして、都民の皆様から、一緒に東京をよくしていこうとの共感をいただきながら、実行プランを着実に着実に推進し、三つのシティーを実現して新しい東京を築いてまいりたいと考えております。
 残余のご質問は、技監及び関係局長からご答弁とさせていただきます。
 ありがとうございました。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 荷さばきスペースの確保についてでございます。
 集配送の円滑化を図るためには、貨物車の荷さばきスペースの確保などに取り組むことが重要でございます。
 このため、都は、駐車場条例に基づき、附置義務と地域の実情に応じたルールを通じて、ビルの建てかえに合わせた荷さばき駐車施設の設置を促進してございます。
 例えば、渋谷地区では、駅周辺の都市再生にあわせて、共同で利用できる荷さばき施設を確保する取り組みがなされてございます。
 また、都は地区物流効率化認定制度を設けて、物流改善の取り組みを支援しておりまして、例えば丸の内周辺地区では、運送事業者と連携した共同配送を行い、荷さばきスペースの効率的な運用を図ってございます。
 引き続き、開発事業者や運送事業者と連携し、都心区などではまちづくりの機会も活用しながら、物流の円滑化を促進してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 旧青山病院跡地の利用についてでございますが、現在、首都災害医療センター(仮称)基本構想検討委員会におきまして、新病院の機能や規模に関する検討が行われておりまして、旧青山病院跡地での都有地の利活用につきましては、まずはその検討を見守ってまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 障害者グループホームの整備についてのご質問にお答えをいたします。
 都は、障害者グループホームの整備を促進するため、現在、障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおきまして、平成二十七年度からの三年間で二千人分の定員増を目標に掲げ、整備費の事業者負担を軽減する特別助成のほか、都有地の減額貸付や定期借地権の一時金に対する補助を行っております。
 また、借地を活用する場合は、土地の借り受けから経営が安定するまでの五年間、借地料の補助を行っており、地価に応じた三段階の補助基準額を設定しております。
 来年度は、平成三十年度からの第五期障害福祉計画を策定する予定でございまして、これまでの実績などを把握、検証しながら、今後ともグループホームの整備を促進していく考えでございます。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 都立公園の活用のあり方、将来像についてでございますが、代々木公園などの都立公園は、都市の貴重な緑とオープンスペースを持ち合わせ、都民ニーズに応じた多様な活用ができる都市のインフラであり、そのポテンシャルを十分に発揮していくことが重要でございます。
 都は、昨年九月、東京都公園審議会に都立公園の多面的な活用の推進方策について諮問し、このたび、中間のまとめといたしまして、緑や防災機能等のさらなる向上を図りつつ、来園者が多様な過ごし方ができるよう、民間のアイデアも取り入れながら、季節や天候にかかわらず楽しめるインドア・プレーグラウンドの設置などが提案されました。
 今後、パブリックコメントを経て取りまとめられる最終答申に基づきまして、公園ごとの特性を生かして、都市の魅力を高める多面的な活用を推進してまいります。

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