平成二十九年東京都議会会議録第三号

○議長(川井しげお君) 百二十三番酒井大史君。
〔百二十三番酒井大史君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○百二十三番(酒井大史君) まず、多摩地域の振興について、観光の観点からお伺いをいたします。
 小池知事にとって初の本格予算である平成二十九年度予算案において、多摩地域初となる東京観光情報センターの設置が盛り込まれたことを大変うれしく思っております。日本人だけではなく、海外のお客様に有意義な情報を提供し、多摩地域を含む東京のさまざまな魅力を堪能していただくことは、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会に向け、観光都市東京を推進していくことにもつながります。
 現在、都は、二十三区内の四カ所に東京観光情報センターを設置し、都内及び全国の観光案内、観光地や観光ルートの紹介、交通アクセスの案内、都内宿泊施設の紹介などを行っています。
 過日、バスタ新宿内にあるセンターを私の学生スタッフが調査をしたところ、四、五人のスタッフが常駐し、英語を中心として四カ国語に対応、パンフレット類も充実をしているとのことでした。
 一方、立地に関して、バス利用者にとっては好立地であるものの、電車等で新宿に来た旅行者にとってはわかりづらい場所であるという感想でした。
 なお、平日の日中約三十分の間に訪れた方は、英語圏の二団体、中国人家族一組、韓国人一人、そして道を尋ねる日本人四、五人ということでした。
 そこで、今回新設をする多摩地域の東京観光情報センターは、利用者に認知をされやすいという観点から、どのような立地にどのようなスペックで整備をするのか、お伺いをいたします。
 また、同センターが旅行者に継続的に利用され続けていくためには、立地だけではなく、提供する情報を、質そして量ともに集積をする必要もあります。現在、配布をされている東京ハンディーガイド約八十ページ中、多摩地域に関する情報は、ほんのわずか四ページにすぎません。多言語による多摩地域の情報発信を強化すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 さらに、これから観光ルート等を作成する多摩地域の自治体や観光協会に対するサポートも必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、産業の観点からお伺いをいたします。
 かつて多摩地域には、電機メーカーや自動車産業等の大規模工場が点在し、企業城下町のような自治体が多くありました。しかしながら、石原元知事時代に多摩シリコンバレーなどと標榜していたことは夢のまた夢。現在では多くの工場が撤退し、当時、ネーミングばかりで有効策を講じてこなかったことのツケが生じている状況です。当該自治体にとって、税収減という財政への影響も懸念をされる事態になっています。
 通常、他県では、企業の撤退等への対策は県を挙げて対応する問題です。都は、これ以上、多摩地域から企業が撤退するのを食いとめるため、自治体との連携をこれまで以上に強化し、必要な対策を講じるべきと考えますが、所見を伺います。
 また、来年度予算案にて、多摩ものづくり創業支援事業を新規事業として計上しておりますが、本事業は多摩地域の産業振興にどのように生かせるのか、所見をお伺いいたします。
 次に、交通インフラの観点からお伺いをいたします。
 多摩地域に海外からの観光客等を誘引していくためには、交通インフラの充実も不可欠であり、国際路線が拡大している羽田空港と多摩地域を結ぶ交通アクセスの向上が求められます。
 そこで、羽田空港と多摩地域のアクセス時間短縮の可能性を有するルートとして、南武線の活用を二年前の一般質問で提案をいたしました。
 南武線は、快速列車が導入をされたものの、退避設備がある駅が二駅しかないため、増便も所要時間の大幅な短縮もできないことを指摘し、府中市内と川崎市内に各一駅ずつ退避設備を設置することで、立川─川崎間の所要時間を二十分程度短縮できる可能性を紹介いたしました。これに対し、舛添知事時代の都市整備局長は、るる説明はあったものの、JR東日本の対応を注視との答弁でございました。
 しかし、この構想は、我が会派の小山議員が当時の予算委員会で提案した、川崎市内の南武支線及び東海道貨物支線を活用し、プラス約四キロの新線を建設するだけで、南武線を羽田空港へ直接乗り入れることができ、JR中央線、青梅線、武蔵野線との連結で、多摩地域の西部や北部と羽田空港のダイレクトアクセスが実現、観光客のみならず、地域住民の利便性の向上にも役立つものと考えています。
 二年前の質問以降、南武線沿線五市、川崎、稲城、府中、国立、立川では協議会が発足し、シティープロモーションについて議論しているとともに、まちづくりについても勉強会が発足をしております。
 既存のインフラに少し手を加えるだけで、大きな整備効果を生む可能性があります。
 都としても、従来の姿勢から一歩踏み出し、沿線自治体の取り組み等をバックアップすることにより、南武線の利便性向上を図る必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、キー・コンピテンシーの観点からの教育について伺います。
 都は、来年度予算案にて、私どもが従来から要望していた給付型奨学金を創設、拡充するなど、教育機会の格差解消に取り組まれていることを大変評価しております。まさに未来への投資である教育において、格差の解消とともに取り組むべき課題が、教育内容の充実であります。
 文部科学省は、二月十四日、二〇二〇年度から順次導入をされる小中学校の学習指導要領の改訂案を公表いたしました。ポイントは幾つかありますが、小学校では生きる力を育てる、中学校では解決する力を重点としております。
 二〇〇三年に最終報告が出されたOECDのDeSeCoでは、人生の成功と正常に機能する社会の実現を高いレベルで達成する個人の特性を、キー・コンピテンシーとしてまとめております。このキー・コンピテンシーは、相互作用的に道具を活用する能力、異質の集団における交流能力、自律的に行動する能力の三つに集約をされるとしています。
 今、文部科学省の生きる力が志向しているのは自立的に行動する能力に近いとされ、また相互作用的に道具を活用する能力は、日本でも実施をされているOECD生徒の学習達成度調査、いわゆるPISA調査に関連をいたしております。直近では二〇一五年に行われ、昨年十二月に調査結果を公表しております。
 そこで、教育庁として、今回のPISA調査の結果をどのように評価をし、今後、都内の学校に通う子供たちの教育に反映をしていこうと考えているのか、伺います。
 このPISA調査は、読解力、数学、科学のいわゆるリテラシーの到達度をはかるものですが、教育庁は従来のリテラシーの概念を超えて、我が会派の山下議員が提唱したメディアリテラシーの向上にも取り組んでいただいておりますが、さらにグローバル化された社会の中で子供たちが生き抜き、成功をおさめていくためには、キー・コンピテンシーが示す異質の集団における交流能力、つまり他者とうまくかかわる能力、協力する能力、対立を処理し解決をする能力も必要になってきます。
 なお、OECDでは、二〇三〇年の教育をターゲットとして、キー・コンピテンシーの見直しも検討される予定です。
 そこで、教育庁は、このコンピテンシーという概念をどのように評価をしているのか。また、キー・コンピテンシーの核となる考える力を生涯にわたって学び、生活実践に活用できるすぐれた学習環境の形成にいかに取り組んでいるのか、課題とあわせて所見をお伺いいたします。
 最後に、犯罪被害者支援についてお伺いをいたします。
 私は、都議会初当選のときより、犯罪被害者支援の必要性を訴え、一般質問のたびにこの問題に言及をいたしてまいりました。
 これまで都は、犯罪被害者への二次被害の防止や、犯罪被害者等の人権教育の推進など、多くの提案を受け入れていただきました。しかし、犯罪被害者支援をさらに推進し、都が被害者に寄り添う姿勢を広く示すため、東京都犯罪被害者等基本条例も議員提案をいたしましたが、議会、行政ともその必要性を認めていただけませんでした。
 また、一千三百万人を超える人口を有する東京都において、被害者支援都民センターの多摩支所の必要性もかねてからお伝えをしておりますが、いまだご理解をいただけておりません。この間も、ストーカー等による殺人や傷害事件、児童虐待、また高齢ドライバーによる死亡事故など、命を奪われ、また体を傷つけられた被害者、そしてその家族の方々の苦しみや悲しみを思うと、胸が苦しくなります。
 警視庁の犯罪抑止対策は、着実に成果を上げていると認識をしています。
 しかし、この社会から犯罪が一件も存在しなくなるということは考えられない中、日々ふえ続ける被害者の回復に向けた支援の必要性は、ますます高まっていると思います。
 現在、東京都は、第三期東京都犯罪被害者等支援計画に基づき施策を展開していますが、計画初年度において、都としての支援体制の向上、市区町村との連携や都民意識の啓発など、進捗状況及び二十九年度に向けた取り組みについて、総務局長にお伺いをいたします。
 私は、今この瞬間にも傷つき、そして苦しんでいる犯罪被害者とその家族の方々が、一日も早く肉体的、精神的、そして経済的な被害から救われる社会を、この東京からつくっていきたいというふうに望んで、そして願ってまいりました。
 最後に、犯罪被害者支援に対する小池知事の所見をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 酒井大史議員の一般質問にお答えをさせていただきます。
 最後のご質問で、犯罪被害者支援についてのご質問でございました。お尋ねでございました。
 犯罪被害に遭われた方やそのご家族は、犯罪によります直接的な被害にとどまらず、その後も身体的、精神的あるいは経済的に苛酷な状況に置かれるという現状がございます。被害者やそのご家族にとりましては、一日も早く穏やかな日常を取り戻すことが何よりも重要でございます。
 都はこれまでも、東京都総合相談窓口の機能強化を初めとして、被害直後から自立した生活に回復するまで途切れることのない支援体制を構築するなど、幅広い取り組みを進めてまいりました。
 さらに、今年度は、新たに策定した第三期東京都犯罪被害者等支援計画に基づきまして、性犯罪等被害者支援を初めとする支援施策の充実強化、広報啓発活動によります都民の理解の促進、市区町村や民間団体との連携体制の強化を三つの柱といたしまして、社会全体で支える支援の実現に向けた取り組みを進めているところでございます。
 都は、引き続きまして、被害者の心に寄り添う支援策を着実に展開をし、温かく優しさにあふれる都市の実現を目指しまして、全力で取り組んでまいります。
 その他の質問につきまして、教育長、東京都技監、関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、PISA調査の評価と今後の取り組みについてでございますが、OECDの学習到達度調査であるPISA調査の最新の結果では、日本の義務教育修了段階の生徒の学力は、科学的リテラシーで、全参加国七十二カ国中二位となるなど上位に位置しており、文部科学省は、各小中学校で学力向上の取り組みの成果であると評価しております。
 都教育委員会としても、区市町村教育委員会と連携し、知、徳、体をバランスよく育むとともに、言語活動や体験活動を重視し、思考力、判断力、表現力等の育成に取り組んできたことの成果であると捉えております。
 今後、こうした取り組みに加え、次期学習指導要領の理念の一つである、主体的、対話的で深い学びの視点に立った授業改善の徹底等により、これからの社会に必要とされる資質、能力を育む教育をさらに向上させてまいります。
 次に、キー・コンピテンシーについてでございますが、これはOECDにより提示された国際的な資質、能力であり、学習指導要領の示す生きる力は、この考え方とほぼ同様のものであると認識しております。
 グローバル化が進展する社会の中で、これからの子供たちには、多様な人々と協働して問題を発見、解決していく力や、いわゆる内向き志向を打破し、世界の人々とコミュニケーションを図ろうとする態度を育成することが必要であります。
 このため、都教育委員会は、世界で活躍できる人材の育成に向けて、全ての学習の基盤となる言語能力を身につけさせるとともに、多様性を尊重し、社会に貢献しようとする意欲を育み、実践的な英語力にとどまらない豊かな国際感覚を醸成する取り組みを推進してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) JR南武線の利便性向上についてでございます。
 鉄道は、都民の日常生活や経済活動を支える重要なインフラでありまして、駅を中心とする地域のまちづくりにも深くかかわってございます。
 JR南武線については、都が連続立体交差事業を実施し、その際に、これとあわせて、鉄道事業者によって稲城長沼駅で退避のための線路が増設されて、快速運転の区間が拡大し、駅周辺では、都は沿線市によるまちづくりを支援してまいりました。昨年四月の交通政策審議会答申では、南武線の輸送サービスの改善について検討を期待するとされてございます。
 今後、鉄道事業者の動向を踏まえた上で、沿線住民がより快適に鉄道を利用できるよう、地元市の取り組むまちづくりを支援してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、多摩の観光情報センターについてでございますが、東京を訪れる国内外からの旅行者に多摩地域を対象とする観光情報を提供し、来訪者の増加につなげていく取り組みは重要でございます。
 これまで都は、多摩を含む各地域の観光情報を、都庁舎の観光情報センター等に集めて発信してまいりました。
 今後は、交通の便のよい立川で、旅行者がわかりやすい場所に観光情報センターを整備し、多摩の各エリアのさまざまな情報を旅行者に紹介してまいります。
 これにより、多摩地域への観光客の誘致を効果的に進めてまいります。
 次に、多摩地域の多言語による観光情報の提供についてでございますが、多摩を訪れる外国人旅行者をふやすため、地域の魅力ある自然など、観光に役立つ情報を多言語で提供することは効果的でございます。
 このため、都は、多摩の主要な観光スポットを、多言語のウエブサイトやパンフレットにより紹介する取り組みを行っております。また、新たに整備する観光情報センターで、地域からイベント等の情報提供を受け、さまざまな内容を外国語で旅行者に伝えてまいります。
 こうした取り組みにより、多摩地域への外国人観光客の誘致を的確に行ってまいります。
 次に、多摩地域の自治体等による観光振興の取り組みへの支援についてでございますが、多摩への観光客のより効果的な誘致を図っていく上では、地元の観光振興に取り組む自治体や観光協会等をサポートしていく必要がございます。
 このため、都は、地域のさまざまな魅力をテーマに旅行者の誘致を図る自治体への支援を充実いたしますほか、観光資源の開発を目指す観光協会等に専門家を派遣するサポートを実施いたします。
 これにより、多摩地域の自治体等による観光客の誘致を適切に後押ししてまいります。
 次に、自治体と連携した多摩の産業振興についてでございますが、産業の空洞化が無秩序に進行することを防ぎ、その集積を守るためには、地域の実情に精通した地元自治体との連携を強化し、効果的な支援を行っていくことが重要でございます。
 このため、都は、区市町村向けに産業集積に関するセミナーを開催いたしますとともに、企業と大学等との共同開発や自治体と金融機関との連携による経営支援など、産学公金のネットワークづくりに取り組んでおります。
 また、工場の防音、防臭等のための改修工事や都内での工場移転に要する経費等を区市町村を通じて助成することで、企業の操業継続を支援しております。来年度からは、助成対象に機械設備の更新を加えるなど、支援を充実させてまいります。
 これらにより、地域の産業集積の維持発展を図ってまいります。
 最後に、多摩ものづくり創業支援事業についてでございますが、多摩地域にはものづくり企業が集積しており、これらを将来にわたって維持発展させていくためには、製品、技術を開発する新たな担い手を創出することが必要でございます。
 このため、都は、産業サポートスクエア・TAMAにおける資金調達の相談、機器を利用した依頼試験等の支援に加え、ものづくり分野における創業希望者に対するセミナーや事業プランのブラッシュアップ、試作支援など、経営、技術両面からのサポートを行ってまいります。
 さらに、ものづくり支援に特化した民間インキュベーションラボ施設の整備、改修費を助成し、起業を行う環境の整備を促進してまいります。
 こうした取り組みを進め、創業の成功事例を生み出し、多摩地域のものづくり創業を盛り上げてまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 犯罪被害者支援についてですが、都は昨年三月、第三期東京都犯罪被害者等支援計画を策定し、社会全体で支える支援の実現を目指すことといたしました。
 計画の初年度である今年度は、東京都総合相談窓口の相談員を増員し、機能強化を図りました。また、地域の身近な窓口である市区町村が活用できる対応マニュアルを作成し、来年度から、市区町村の担当者に対する訪問指導や研修会において活用してまいります。
 さらに、都民に向けた広報啓発としては、犯罪被害者週間行事を市や区と共催し、参加者の共感を得られるテーマや講師を選ぶなど工夫を凝らし、好評を得ました。
 今後もこうした取り組みを着実に推進し、被害者支援の一層の充実を図ってまいります。

○副議長(小磯善彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

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