午後一時開議
○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。
○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
○議長(川井しげお君) 昨日に引き続き質問を行います。
七十一番田中たけし君。
〔七十一番田中たけし君登壇〕
○七十一番(田中たけし君) 質問に先立ち、昨日の代表質問で、東京改革議員団幹事長、尾崎大介議員は、唐突に、公党である我が党を著しく侮辱するとともに、花輪智史氏に対する名誉毀損になりかねないゆゆしき発言を行いました。
この発言は、断じて容認できるものではなく、東京都議会自由民主党は、東京改革議員団に対し強く抗議するとともに、尾崎議員自身による陳謝及び発言の撤回を求めるものであります。
まず初めに、築地市場、豊洲市場移転問題について伺います。
築地市場は開場から八十二年が経過しており、これまで長年にわたり、老朽化、狭隘化した築地市場をどうするのか、業界挙げて、議論や検討が行われてきました。
昭和の終わりには、一旦、現地再整備の方針が決定され、四百億円もの費用が投じられましたが、営業を続けながらの工事には調整が極めて困難で、工期も相当長期にわたることから断念いたしました。
その後、さまざまな議論を経て、平成十三年に豊洲市場への移転を決定し、事業が進められました。ここでは、土壌汚染が大きな課題となり、さまざまな対策が講じられ、ようやく昨年、豊洲市場が完成したところであります。その間も、平成二十一年から二十二年にかけては、都議会の特別委員会で、改めて現地再整備も含めた議論が交わされてきました。
豊洲への移転に関して、都議会はこれまでも質疑を重ねてきましたが、このたび、都議会が一致して設置した百条委員会において、改めて調査を進めることとなり、豊洲移転について、都民の皆様の理解が得られるよう、しっかりとした検証が必要だと考えます。
その一方で、移転をめぐり、二転三転する状況に振り回されてきたのが、築地の事業者の方々であります。事業者の誰もが築地市場を愛し、できるなら築地に残りたい、しかし、老朽化、狭隘化、衛生面の課題、将来を見据えると、新たな市場を求めるしかない。多くの人は、こうした気持ちの中で移転を決断し、昨年十一月七日の豊洲市場での開業に向け、準備を進めてこられました。いよいよ移転というところでの延期であり、目の前の目標を奪われ、力が抜けてしまったとの声も多く聞きます。
そして、先般の地下水モニタリング調査の数値が大きな衝撃を与え、移転自体どうなってしまうのか、めどが立たず、不安感を強くしております。
こうした築地の事業者の方々の気持ちに寄り添い、補償はもとより、経営面などのさまざまな支援を進めていくことが急務だと考えます。豊洲市場移転問題は、事中央卸売市場だけの問題ではなく、オール都庁で対応すべき最重要課題であり、関係局の総力を結集して対応していくべきと考えます。
築地の事業者の方々の多くが中小零細事業者であり、特に経営支援について期待されています。経営の相談や計画づくりなど、産業労働局のさまざまな支援策を効果的に届けるなど、丁寧に対応すべきと考えますが、都の見解を伺います。
また、都は、昨年十二月から補償金が支払われるまでの間の資金繰り支援として、仲卸事業者や関連事業者の資金需要を満たす特別融資を実施しています。
昨日、今年度の受け付けを終了したとのことでありますが、その特別融資の利用状況は、最終的にどの程度であったのでしょうか。
また、今後も不安定な状態に置かれ続ける事業者の状況を踏まえますと、来年度も引き続き、手厚い支援を講ずるべきと考えますが、都の見解を伺います。
私は先週、築地市場を訪れ、事業者の皆さんからさまざまなお話を伺うとともに、補償のための個別相談ブースの様子を拝見いたしました。
一月末に公表された補償スキームでは、豊洲に設置した設備に関する損失だけではなく、築地で事業を続けていく上で、やむを得ず修繕した場合の費用についても対象とされています。
事業者が直面する実情を捉えたものであり、当然の対応だと考えます。事業者は一人一人それぞれ異なる状況に置かれています。こうした個別の事情をつぶさに聞き、丁寧な説明を重ねていくことが、事業者の理解を得る上で大変重要であります。
同時に、公正な補償スキームに基づいた適切な補償を迅速に行っていく必要があり、市場職員だけではなく、会計士や弁護士など、専門家のノウハウも活用すべきと考えます。
そこで、補償の実施に向けた都の取り組みについて伺います。
先日、二月二十五日、豊洲市場移転問題特別委員会で、豊洲市場へ視察に行き、専門家会議の平田座長、事務局の中島フェローから、地下水の採水方法、地下ピットの地下水及び空気、屋外の空気の観測結果等の説明を受けました。特に、平田座長、中島フェローからは、各街区の全ての地下ピット内の空気、水質の分析結果は、いずれも基準値を下回るとの説明でありました。
また、五街区の地下ピットの空気からわずかに気化した水銀が確認されましたが、水銀濃度が現在測定されているレベル以下で維持されれば、問題が生じることはないというものでありました。
これまでも伺っておりましたが、豊洲市場では、地下水を飲んだり、他に利用する予定もないため問題は生じないし、また、土壌についても、直接摂取の可能性がないため問題は生じないと改めて説明を受けました。
今後、豊洲市場へ移転するしないの決断をする際、安全・安心の確認が必要であると考えます。小池知事は、安全は科学的、法的根拠に基づくものであり、安心は消費者の理解と納得に基づくものと指摘されました。
安全は客観的事実で証明されますが、安心は個々人の主観的感じ方でもあり、安心をいかに獲得していくかが今後の大きな課題であると考えます。
特に、食材に対する安心の確保は極めて重要であると考えます。私はその第一は、客観的事実、数値に基づいた情報、状況を積極的に発信していくことが必要だと考えます。
今回の平田座長、中島フェローの観測値に対する評価も含め、正しい情報をさらに積極的に繰り返し発信すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
次に、震災対策についてお伺いいたします。
日本列島の周りには、四つのプレートがぶつかり合っているため、日本は世界的にも地震の多い地域であり、震災対策は都政の重要課題の一つであります。
昨年も四月に熊本地震が、十月には鳥取県中部地震が発生し、多くの被害を受けましたが、過去に発生した地震から得た教訓を都の震災対策に生かしていくことも重要であります。
特に、平成七年に発生した阪神・淡路大震災は、東京と同じ大都市神戸で発生した震災であり、初動対応、復旧、復興対応など、多くの教訓を得てまいりました。
当時、私の両親は宝塚に住んでおり、神戸市内ほどの被害は受けなかったものの、家具や冷蔵庫などは倒れ、電気、ガス、水道のライフラインがとまるなどの被害を受けました。また、父が勤めていた三宮のオフィスビルは完全に倒壊しており、もし勤務時間中の震災であったらと思うと、今でも身の毛のよだつような思いになります。三宮のオフィス近辺のほとんどのビルが崩れ落ち、この世とは思えない光景を目の当たりにして、自然災害の恐ろしさと人間の無力さを強く感じたと申しておりました。
また、宝塚の自宅では、食料や飲料水の配布などの復旧活動の手伝いをしていたとも聞いております。同様に、私の家内の実家であった西宮市の家屋も亀裂が入るなどの被害を受け、義父母はその後に川西市に転居しております。
両親や親類、多くの知人、友人が被災しており、間接的ではありますが、大震災の怖さ、防災対策の必要性、初動対応のあり方、復旧、復興過程での地域連携や行政の役割などの教訓を得てまいりましたが、二十二年前のこととはいえ、決して風化させてはならず、震災体験者には積極的に次なる震災対策に役立ててもらいたいと常々思っております。
小池知事は、発災当時、西宮市、宝塚市など震災被害を受けた地域を選挙区とする代議士であり、阪神・淡路大震災の発生時から復興に向けてのさまざまな経験をされていらっしゃると思います。
ぜひとも、阪神・淡路大震災から得たさまざまな教訓、経験を東京の震災対策に大いに生かしていただきたいと思っておりますが、知事の防災対策、とりわけ震災対策に対する認識をお伺いいたします。
次に、環境エネルギー政策についてお伺いいたします。
地球規模の大きな課題ではありますが、環境エネルギー政策も都政の主要課題の一つであります。
これまで都は、地球温暖化対策、CO2削減にも積極的に取り組んでまいりました。その中で、利用段階でCO2を一切排出しないクリーンなエネルギーであり、環境に優しいエネルギーとして、水素を活用した水素社会の実現に向け、積極的に取り組んでまいりました。
特に、産学官が一体となり、水素社会の実現、水素エネルギーの普及拡大に向けた具体的取り組みを推進していく、水素社会の実現に向けた東京推進会議を設置し、また、幅広い年代の方々の水素に対する理解を深め、都民に向け情報発信もしていく水素情報館東京スイソミルを開設するなど、積極的に取り組んでいます。
一方、都議会自民党でも、環境エネルギー政策研究会を設置し、燃料電池自動車やバスの普及促進に向けた調査研究、車両の試乗、水素ステーションの設置に対する課題調査や意見交換、規制緩和に向けた国への要請行動など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
このような中、小池知事が、自民党国会議員時代、自民党本部でFCV(燃料電池自動車)を中心とした水素社会実現を促進する研究会の会長をされていたときに、私が都議会での政策研究会会長であることから、自民党本部での研究会に小池会長よりお誘いをいただき、勉強する機会を得たことは、現在も感謝しております。
自民党本部での研究会では、自動車業界だけではなく、重電機メーカーや商社、鉄道事業者など、幅広く多くの分野での水素エネルギーの利活用の事例や研究開発状況などを勉強させていただき、一方で、東京都の水素エネルギーの推進に向けた取り組み状況の報告もさせていただきました。
これまで都では、水素社会の実現に向けて、都バスへの水素バスの導入、水素ステーションの設置支援などに積極的に取り組んでおりますが、自民党本部での研究会での調査研究の成果も踏まえ、幅広く、より積極的に水素エネルギーの利活用に取り組むべきと考えますが、知事の認識をお伺いいたします。
次に、都市基盤整備について、無電柱化についてお伺いいたします。
これまで都議会自民党では、政策提言の中で、東京から電柱をなくすとして、都の無電柱化の推進を求めてまいりました。私の地元品川区では、地下を通る中央環状品川線の整備に伴い、上部である山手通りでの無電柱化事業が進められており、防災上、景観上の効果が期待されております。区内では、今後、主要都道である中原街道など、他の都道での無電柱化も期待されております。
都道での無電柱化を進めると同時に、都市の防災機能をさらに強化するためにも、区市町村道での無電柱化を進めることが重要であります。
これまで都は、センター・コア・エリア内、主要駅や観光地周辺、防災に寄与する路線などの無電柱化に対し、区市町村への財政支援を行っており、品川区では戸越銀座商店街や北品川商店街で既に無電柱化が行われ、防災上や景観上の効果だけではなく、歩行空間も確保され、商店街を買い回る地元の方々からも高い評価を得ております。
都としては、引き続き、積極的に都道の無電柱化に取り組むべきでありますが、より地域での無電柱化の効果を高めていくためには、区市町村との連携が必要であります。その中で、都道に接続する区市町村道の無電柱化や、区市町村の境界線周辺での無電柱化には、広域的整備の観点から、都が主体的に取り組むべきと考えます。
また、これまで培ってきた都の無電柱化に対する経験や技術を区市町村へ提供するとともに、効果的に無電柱化を進めるため、区市町村の無電柱化の計画策定を促していくべきと考えます。
そこで、都の取り組みについてお伺いをいたしまして、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 田中たけし議員の一般質問にお答えいたします。
私から二問お答えさせていただきます。
まず、東京の震災対策の推進についてのお尋ねがございました。
ご指摘のように、私は阪神・淡路大震災を経験した一人でございます。大震災におきましては、倒壊した建物や電柱が救急車両の通行を妨げて、火災による被害が瞬く間に広がるなど、あらゆることが同時に起こるということを痛感したところでございます。
また、首都直下型地震は、三十年以内に七〇%の確率で起きるとされております。その脅威を十分に認識をしつつ、想定外の事態にも対処できるように、万全の対策を講じていかなければなりません。
このため、市街地の不燃化、緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化などに着実に取り組んでまいります。
また、電柱倒壊によります道路閉鎖を防ぐためにも、無電柱化を推進するための条例案の策定など、取り組みを加速してまいります。
また、町会や自治会などによります防災活動の後押しもしてまいります。地域の防災力の向上を図るとともに、女性の防災リーダーの育成、そして新たな防災ブックの作成などを通じまして、地域の活動に女性の視点が反映されますように取り組んでまいります。
さらに国、関係団体とも連携いたしまして、乳児用液体ミルクの国内製造に向けた検討も進めております。そして、誰もが安心できるきめ細やかな災害対策を実現してまいりたいと考えております。
災害の経験、教訓に学びながら、こうしたハードと、そしてソフト、両面の対策を推進をして、セーフシティーを確立していきたいと考えております。
一方で、水素エネルギーの利活用への取り組みについてもご質問がございました。お答えさせていただきます。
ご承知のように、水素は利用の段階で二酸化炭素を排出いたしません。そして、水やバイオマスなど、さまざまな資源からつくることができます。そういったことから、環境の面からもエネルギー安全保障の面でも大きな可能性を秘めたエネルギーといえると思います。
こうした水素を広く利用する社会の実現を目指しまして、都といたしまして先般、水素ステーションの整備、燃料電池自動車や家庭用燃料電池の普及に係ります二〇三〇年までの目標を定めたところでございます。
この目標の達成に向けて、現在、ステーションの整備、車両の初期需要を創出するための事業を実施いたしております。
また、まちづくりの中での水素利用でございますが、新たに業務用燃料電池の導入の支援、そして水素の蓄電に係ります調査などを行ってまいります。来る三月二十一日からは、全国で初めて燃料電池バスによります都営バスの運行も開始をするところであります。
加えまして、水素エネルギーの普及に当たりましては、実際に水素を利用する都民の皆様に、まずは理解を深めていただくことが重要でございます。そして、先日作成いたしました映像コンテンツ、東京スイソ学園といいますけれども、これはユーチューブなどで配信をするほか、さまざまなイベントで、水素とはということ、これを都民の皆様に広く知っていただくように活用してまいる考えであります。
こうした取り組みを進めると同時に、CO2フリー水素の先駆的な活用も図りながら、来るべき水素社会のイメージを世界へと発信してまいりたいと考えております。
その他の質問につきましては、関係局長等からお答えをさせていただきます。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕
○産業労働局長(藤田裕司君) 市場業者の方々に対する経営支援についてでございますが、都は、中小企業における経営課題解決を支援するためのさまざまな事業を実施しております。
例えば、各分野の専門家が課題解決のため事業所に赴き、複数回にわたり助言を行うなど、一社一社の実情やニーズに沿った支援事業を実施しているところでございます。
こうした支援策は、市場業者の方々にご利用いただけるものでございまして、都は来年度においても、専門家の派遣規模をふやすなど、その拡充を図りつつ、着実に実施してまいります。
また、中央卸売市場と緊密に連携し、経営改善、事業再生の支援や制度融資等、事業者の意向に沿いました支援メニューの情報提供、周知を丁寧に行ってまいります。
市場業者の方々がニーズに合った適切な経営支援策をご利用いただけますよう、きめ細やかな対応に努めてまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕
○中央卸売市場長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、特別融資の利用状況についてでございますが、二月二十八日までに二百五十件の申請を受け付け、このうち二百件が既に融資を実行され、今後、四十三件の融資実行が決定しております。
また、特別融資の受け付け期間につきましては、移転延期の間の市場業者の資金需要の状況変化に適切に対応するため、当面一年間延長することとしております。
今後も、市場業者が円滑な事業活動を行えるよう、資金繰りへの支援を実施してまいります。
次に、補償の実施に向けた取り組みについてでございますが、まず、築地市場内の全事業者を対象に、先月、説明会を開催いたしまして、補償スキームの内容や具体的な申請手続等について周知を図りました。
その後、二名一組による相談ブースを最大六ブース開設し、事業者との個別相談にきめ細かく対応しているところでございます。
また、補償金の支払いに当たって、法律、会計、税務、中小企業経営の専門家で構成する補償審査委員会を設置いたしまして、補償の対象範囲や設備の価値減耗額の算定等に対し、事前申請の段階からアドバイスをいただくことで、より適正かつ迅速な審査を実施してまいります。
こうした取り組みによりまして、市場業者に生じている具体的な損失に対して適切な補償を行ってまいります。
最後に、豊洲市場に関する情報の発信についてでございますが、移転問題の解決には、都民の理解と納得を得ることが不可欠であり、そのためには、豊洲市場の現状等について、正確な情報を適切に提供していく必要がございます。
このため、中央市場のトップページに、豊洲市場の現在の取り組みという項目を新設いたしまして、情報にアクセスしやすい環境を整えた上で、環境測定の結果や専門家の評価など専門家会議の資料を速やかに公開しております。
また、地下水モニタリングの再調査の様子や地下ピット内のたまり水が解消した状況等を画像とともに掲載するなど、時宜に応じた情報をわかりやすく発信しております。
こうした取り組みに加えまして、今後も記者説明やプレスによる現場視察など、報道機関への正確な情報提供に努め、都民の理解促進に向けたさまざまな工夫を行い、積極的、継続的に情報を発信してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕
○建設局長(西倉鉄也君) 区市町村道における無電柱化についてでございますが、東京の都市防災機能の強化、良好な都市景観の創出、安全で快適な歩行空間の確保を図るため、都道のみならず、区市町村道の無電柱化を計画的に進めていくことは重要でございます。
これまで都は、区市町村に対しまして、防災に寄与する道路等を対象に、財政支援を行うとともに、職員向けの研修による技術支援にも取り組んでまいりました。
これに加えまして、区市町村による主体的な無電柱化推進計画の策定を促すため、平成二十九年度から補助制度を拡充し、計画の策定に必要な調査につきましても、新たに財政支援を行うことといたしました。
今後とも、区市町村と連携し、計画的な無電柱化の推進に積極的に取り組んでまいります。
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