平成二十九年東京都議会会議録第二号

   午後五時五十五分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百一番尾崎大介君。
〔百一番尾崎大介君登壇〕

○百一番(尾崎大介君) 私たちは、まず隗より始めよということで、議員報酬の三割削減を初め、費用弁償の廃止、政務活動費の削減と情報公開及び適正化などをこれまで主張してまいりました。
 先日の本会議において、議員報酬二割削減など、議会改革関連条例が全会一致で可決、成立したことは一定の前進であると考えております。
 しかし、これだけで十分だとは考えておりません。引き続き都議定数は現行の百二十七からの大幅な削減、政務活動費は忘年会や新年会など飲食を伴う支出を認めない使途制限など、都議会の改革に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 また、都政のブラックボックスの象徴となっている豊洲市場移転問題について、私たちは、この間、再三真相究明のため百条委員会を設置すべきだと訴えてまいりました。先般、二月二十二日の本会議において、特別委員会の日程を生かした形での百条委員会の設置が決定をいたしました。
 しかし、日程を先送りしたり、アリバイづくりの審議が続くようなことはあってはならず、私たちは、石原元知事の証人喚問など、徹底的にこの問題の真相究明に向けて取り組んでいく決意であります。
 今の都議会で議会改革や豊洲問題の真相究明などへの取り組みが遅々として進まず、ここまで時間がかかるのは一体なぜなのでしょうか。こうした改革に徹底して抵抗する勢力が多数を占めている都議会は、まさに百鬼夜行の世界であるかのごとしであります。
 私たちは、この都議会の現状を打破し、明るい日の光のもと正々堂々と議論を行い、スピード感を持って物事を決める、都民の負託に応える議会として再生をすべく、改革を阻んできた都議会自民党と闘い、都議会改革を進めるため全力で取り組むことをお誓い申し上げ、代表質問に入ります。
 まず、知事の基本姿勢についてお伺いをいたします。
 小池知事は、ご自身初の本格予算案を審議する定例会開会に際し、施政方針表明において、東京大改革で、これまでの延長線を超えた改革で都政の手法と体質を変える、これまでの組織、制度、政策の全てを見直すと宣言をされました。
 我々東京改革議員団のDNAは、改革の推進と既得権打破であります。そして今、都民が求めているのは、改革を前へ進めること、そして全ての人があすへの希望を持てる東京にすること、すなわち格差の是正であると考えております。我々議会は、この都民の期待に応えなければなりません。
 そこで、昨年末には、二〇二〇年に向けた実行プランを策定され、平成二十九年度予算編成をされた小池知事の東京大改革に向けた見解を伺います。
 私は、繰り返し正規雇用の三分の一にも満たない非正規雇用労働者の収入、将来の格差にも直結をする子供の貧困と教育格差は、一刻も早く手だてを講じなければ取り返しのつかなくなる緊急課題であると述べ、国に先んじても将来に必要な投資を行い、実効性が高い施策を行うよう求めてまいりました。
 また、長期ビジョンの策定に当たっては、都民の幸福度、満足度の世界一を目指していただきたい旨、求めてまいりました。そして実行プランの策定に当たっても、格差の解消なくして、二〇二〇年の先の夢も、明るい未来も描けない、努力が報われる東京にするためのプランとし、具体的な政策展開をと申し上げてまいりました。
 これまでの知事は、私たちの再三の求めにもかかわらず、長期計画において、都民の生活がどうあるかという視点を政策の大きな柱に据えることはありませんでした。
 しかし昨年末、策定をされたプランには、東京の挑戦として都民生活満足度を掲げ、教育格差の解消に向けて、私たちが提案をしてきた東京都版給付型奨学金という具体的な施策の実行など、現状の打破に向け布石を打つ内容となっていると理解をいたします。
 実行プランにおいて掲げた都民の生活満足度を五四%から七〇%に高めるという挑戦に、知事がどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、行財政改革について伺います。
 情報公開の推進には、いつ、誰が、どのように、何を決め、何をしたのか、情報が記録として残されることが極めて重要であり、このことを徹底しなくてはなりません。
 私たちは、公の文書は、将来も含めた都民のものであるという原則をいま一度ルールとして明確化をするために、公文書管理条例の早期制定をこれまで求めてまいりました。
 これまでの知事のもと、情報公開と公文書管理の徹底は実現をしてきませんでしたが、さきの定例会では、小池知事より、公文書管理条例の来年度早期の制定について極めて明快な答弁をいただき、公文書管理の適正化に向けて動き出しました。
 私たちは、新しくつくる公文書管理条例については、外部有識者を入れて、後日の検証可能性の担保を主眼とした検討を行うべきと考えます。すなわち、決裁文書はもちろん意思決定をも対象とし、作成義務を課すことを提案いたします。
 また、保存すべき文書が新しい条例の制定、施行前に廃棄されないよう、継続中の事業に関する文書の保存、重要案件の文書の終了後一定期間の保存、これらの徹底を知事として指示をしていただきたいと考えております。
 豊洲問題では、移転はおろか建物の引き渡しすら済んでいない段階で決裁文書がないとされ、市場建設に係る打ち合わせ記録もないといえる信じられない実態が明らかになりました。
 これらを踏まえ、豊洲のような問題が二度と起こらない都庁風土をつくり、改革の礎となるような公文書管理条例の制定に取り組むべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 私たちは、これまでも監理団体の契約情報の公開に取り組み、実現をするなど、行政改革に取り組んでまいりました。監理団体活用方針の見直しや随意契約の問題など、まだ残された課題がございます。
 また知事は、既に四千八百全ての事業に原則として終期を設けることとされましたが、私たちがこれまで求めてきた徹底した無駄排除と綱紀粛正のため、繰り返し外部の目による評価の導入も必要と考えております。
 例えば、事業評価や監理団体経営評価に外部の目を入れる、あるいは東京都版会計検査院として独立した調査活動を行うチームを設置するなど、有効な手法を検討すべきと考えております。
 小池知事は、施政方針において、二〇二〇改革プラン(仮称)の策定に取り組むと表明をされ、これまで都庁の自律改革を促してきましたが、これからは経営戦略改革へとレベルを上げていくとされました。
 時代に即した合理的かつ効率的な行政のあり方、業務のあり方を実現するためには、行政改革のプランが必要であり、目標や期限を明確にして取り組むべきであると申し上げてきましたが、平成十八年を最後に策定されておりませんでした。
 二〇二〇年の先の未来を考えると、少子高齢化社会が現実となった今ほど、行政改革のプランが必要とされているときはないといっても過言ではありません。
 行政改革のプラン策定に当たり、知事の見解を伺います。
 知事は、豊洲市場の建設工事費の膨張などから、入札に関して問題意識を持たれ、都政改革本部においても自律改革に向けて取り組まれており、施政方針においても見直しを検討していると述べております。
 都の入札案件では、不調の発生、一者入札、九九・九%の高落札率が多く見られます。このことは、入札の趣旨に鑑み、決して好ましくないことは確かであります。
 私たちは、都の入札について、多くの企業が参加をし、活発な競争が行われる入札が、都民への説明責任を果たす上でよい入札であると主張し、民間工事が旺盛なときには公共工事に魅力がなくなるといわれる中でも、なぜ公共工事が選ばれないのかを認識し、対応策をとるよう求めてまいりました。また、入札参加企業における社会保険未加入問題などへの徹底した対応など、悪貨が良貨を駆逐することのないような取り組みも求めてまいりました。
 公共工事の入札では、入札の競争性、公平性、透明性をより一層高めると同時に、工事等の品質担保はもちろん、環境負荷の低減や技能労働者等の労務環境をしっかり確保することも求められております。
 昨今の東京都の契約案件の課題をどのように捉え、どのように入札制度の改革をしようとしているのか、知事の見解を伺います。
 文部科学省による組織的な再就職あっせんが問題となっております。
 人事課歴代OBが介在をし、同省の業務を多数受託している団体や民間企業から資金提供などを受け、再就職支援業務として組織的にあっせんをし、口裏合わせをしていたというあきれた実態が明らかになってきました。こうした事態を受け、国は、天下りが禁止された平成二十一年にさかのぼって実態を調査することとしております。
 知事が施政方針でも述べたとおり、都は、東京都退職管理条例により、再就職情報を管理、人材情報の提供を行っておりますが、国のこうした事態を受け、この制度の目の届かないところで、不適切な天下りやあっせんがないかも含めた都としての検証で、都民の理解が得られるよう取り組むべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、平成二十九年度予算案について伺います。
 事業評価などにより、都政の無駄を排除することはもちろんですが、将来の成長に向けた戦略をしっかりと描き、必要な投資には十分な予算を振り向けなければなりません。
 私は、平成二十九年度予算要望において、小池知事に成長戦略に基づく新産業の育成や、環境エネルギー施策の充実、子育て、福祉の充実などに集中して予算を投じるなど、めり張りをつけていただくことを求めました。
 予算案を見ますと、小池知事の三つのシティー、女性活躍など、特色のある内容となっております。中でもダイバーシティーは、私たちが東京都に対して求めてきた都市ランキングの指数にはあらわれない分野にも光を当て、さまざまな価値観、考え方の住民が暮らす大都市東京にふさわしい多様性のある施策を展開すること、意欲のある人に多様な教育と就労の機会を提供し、一人一人の可能性を広げること、そして東京を夢と活力にあふれる魅力的な都市にするとして、私たちが求めてきた内容と合致をしております。
 具体策としては、東京都版の給付型奨学金を初め、非正規、貧困、教育、いずれについても新たな取り組みが盛り込まれており、最重点として知事に求めた待機児童対策には、過去最大の一千三百八十一億円を計上し、保育士確保のための給与改善策として、国事業へのさらなる上乗せを決断されたことを高く評価するものであります。
 この予算を通じ、知事が掲げる新しい東京をどのように実現させようとしているのか、平成二十九年度予算案について見解を伺います。
 知事は、今回の予算編成において、毎年二百億円と決まっており、毎年同じような項目となっていた復活予算を廃止し、各種団体の予算要望を直接聞き、さらに知事査定期間を倍増させました。提出された予算案を見る限り、復活予算の廃止による影響は見られず、市町村総合交付金の増額など、むしろ必要に応じ、適切に予算を配置し、措置されたものと感じております。
 私たちも、例年各局の予算要求を前に、約百団体から、東京都予算に対する要望を聞いておりますが、いただいたご要望については全て回答をお届けしています。
 このように、議会は議会として都民要望を聞き、調査検討し、予算への反映を求める。知事は知事として都民要望を聞き、議会と議論をし、総合的に判断して予算編成を行う。さらに予算案を第一回定例会で十分に審議をし、必要があれば決まった金額ではなく、内容に応じて修正するというのが本来の姿であります。
 団体からの予算要望ヒアリングにより、どのような成果があったのか、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、多摩の活性化について伺います。
 かつて、東京都の長期構想では、都内のエリアごとにビジョンが示されておりました。また近年では、多摩ビジョンが策定をされましたが、現状打破には至っていないというのが、私の率直な感想であります。
 私たちは、予算特別委員会などの場で、里地里山の保全と活用、新規就農を希望する若者への支援や、グリーンケアへの取り組みを支援するなど、東京だからこそできる農業活性化や農業経営の改善を提案、水源林の涵養、フォレスターのような専門職としての林業の担い手の育成、木質バイオマス活用による林業の収益性向上策、また、森林や農地で退職者が利用できるクラインガルテンのような滞在型農園への支援など、数多くの提案を行い、東京都の取り組みが進んできた経緯もございます。
 知事は、二〇二〇年の先を見据え、多摩の振興プラン(仮称)を策定すると表明をされました。その手法についても、フラッグツアーで真っ先に多摩地域を訪れた小池知事らしく、積極的に多摩地域に足を運び、地域の方々と意見交換を行うとされたことは、これまでになかったことであります。
 多摩地域は、区部より早く人口が今後減少に転じ、高齢化の進展も早く、さらには、大規模工場の撤退など、状況は大きく変化をしております。
 私たちもこの状況に的確に対応し、活気ある地域づくりに全力を挙げていきたいと考えておりますが、平成二十九年度予算において、知事は多摩の活性化に向けた狙いをどのように込めたのか、見解をお伺いいたします。
 次に、豊洲市場移転問題について伺います。
 百条委員会が設置されたことを踏まえ、私たちは、石原元知事に対して、移転の意思決定の経緯などを質問いたしますが、ここではその前提となる事実確認を含めて、幾つかお伺いをいたします。
 石原元知事は、昨年十月二十五日の小池知事に対する回答の中で、一九九九年四月の知事就任以前から、都庁幹部や市場関係者の間で豊洲という場所を決めていた旨、記述をしております。また、豊洲という土地への移転は、既定路線のような話であり、そのことは当時の資料をお調べいただければわかるものと思いますとしております。
 濱渦元副知事も、この間、マスコミなどに対しては、豊洲は青島時代に決定済みの案件だったと答えております。
 そこで、当時の築地市場の整備に関する検討状況はどうだったのか。豊洲市場への意思決定をした当時の最高責任者とその時期について、確認を求めるものであります。
 この間、一九九九年から中央卸売市場長を務められた大矢實氏も、マスコミの取材に応じ、私が移転を進言し、石原元知事が最終決定をした旨語っております。私たちも、決定したのは石原元知事だと考えております。
 しかし、築地市場の現在地再整備は一九八六年一月十三日、当時の鈴木俊一都知事を筆頭とする東京都首脳部会議において決定をされた事項であります。紆余曲折がありながらも、決定をされた現在地再整備が何の庁内の手続もなく変えられ、最終的に大矢元市場長の一存で石原知事に提案するに至ったとは、到底思えるものではありません。青島都政下において、明らかに意思決定のシステムが変わっていたのではないかと思われます。
 一九八六年、東京都首脳部会議において現在地再整備を決定するに至った経緯と内容について、確認を求めるものであります。
 また、石原元知事に対しては、二〇一〇年十月二十二日に豊洲移転を決断したことの経緯についても確認をしたいと思っております。
 二〇〇九年の都議会議員選挙で、当時の私たち民主党は、強引な移転に反対、現在地再整備について改めて検討するなどとしたマニフェストを掲げ、都議会第一会派となりました。その後、都議会において特別委員会が設置をされ、築地での現在地再整備案が作成されるまでに至りました。
 当時私たちは、築地の現在地再整備案と豊洲案とを比較して、業界の意向調査を実施した上で、豊洲移転の可否を判断すべきと考えておりましたが、十月二十二日、石原知事が定例会見で、突然、豊洲移転を進めていくことを決断したと発言をし、あわせて、議会が決めかねるから決断をした旨、発言をいたしました。
 これは、二〇一〇年度予算案に付された、知事は議会における検討結果を尊重するという当時の付帯決議を無視するものであり、私たちにとって到底容認できないものでありました。
 一方、都議会においては、賛成派が、直前まで民主党会派に所属をしていた花輪ともふみ議員を引き抜き、翌年三月に迎えた本会議では、彼の裏切りによって予算案が一転、六十三対六十二の一票差で可決をしてしまいました。この世田谷区選出の花輪議員は、採決日当日、自民党の都議会議員二名を護衛役として、両サイドをかたく守られながら本会議場入りを果たしたことや、四月の世田谷区長選挙において、自民党の推薦を受けて立候補したことなどからも、その裏で政治工作があったとも報じられております。
 一月十五日、小池知事は審議を見直す必要がある旨は話されたと聞いておりますが、都議会ではこのような経過があったことも認識をした上で、都政のうみを出し尽くすべきと考えております。
 そこで、二〇一〇年十月二十二日の石原元知事の決断がなければ、当時想定をされていた豊洲市場の整備スケジュールはおくれたのか、見解を伺います。
 私は、昨年の第三回定例会で、小池知事にパネルでお示しをした全面黒塗りの豊洲新市場用地購入に関する交渉記録が、知事の指示によって改めて開示をされました。東京ガスの土壌汚染対策費の負担七十八億円の合意に向けた交渉など、隠されていたやりとりの一部が明らかになりました。
 明らかになった記録からは、二〇一〇年十月、豊洲の土地売却を望んでいなかった東京ガスに対して、石原知事から交渉を任された濱渦元副知事が、水面下での交渉を持ちかけ、都庁に東京ガスに損をさせない仕組みづくりを指示、それまで難航していた築地市場の豊洲移転に向けた具体的な開発や土壌汚染処理、費用負担、土地売買などを強引に決めていったことがわかります。
 土地売買については、土壌汚染費用の分担額や瑕疵担保責任の解除など、東京都がなぜそこまで無理に買わなければならなかったのか、大きな疑問があります。
 現在、国が大阪の国有地を学校法人に売却をした問題で、学校の建設用地が相場をはるかに下回る価格で国から学校側へ売られていたことが発覚をし、国会で追及をされております。豊洲の土地は、この問題とは真逆で、進んで高値で買い取った事例ではないかと考えます。
 豊洲市場の土地をめぐる交渉や土地の最終価格などを検証し、都が進んで土地を買い取って、都民に損害を与えていなかったのかという点も含めて調べるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 私たちは、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックについて、従前より最少の経費で最大の効果をと繰り返し申し上げ、大会後にさまざまなレガシーを残すよう取り組むべく、さまざまな提案を行ってまいりました。
 そして、その実現のためには、皆がスクラムを組んで前進をしていくことが必要ですが、そもそも石原知事に大会招致を要請をした森組織委員会会長のさまざまな言動、行動などにより、その前進が大きく妨げられているものと考えております。
 先週、小池知事が仮設施設の整備費の負担検討に言及をしましたが、この問題も、森会長が調整をすべき仕事であったと考えることから、その責任は極めて重く、みずから身を処すべきではないかと考えます。
 その森会長が原因で大きな混乱を招いているのが、国の責任と費用負担の問題であります。
 組織委員会は、大会の総経費が最高で約一兆八千億円になると発表をし、多くの都民、国民から厳しい目が注がれております。森会長は、費用について、都がやりたいといったんでしょと全面的な責任を求め、国も丸川大臣が、費用負担について、国という話は、東京都が理由と一緒に説明をと述べるなど、責任回避に腐心をしております。
 しかし、東京二〇二〇年大会では、招致決定後に、成功に向けた閣議了解が行われておらず、衆参両院で万全な措置を求めるとする決議まで行ったわけですから、国は応分の負担をしてしかるべきであります。
 一九六四年東京大会では、国と東京都のオリンピック関連諸事業の経費分担割合は常に同額、一つのものに対して、おのおの二分の一ずつ負担をする原則を打ち立て、大会を成功裏に終えました。
 一九六四年東京大会と同様に、国が当然費用負担をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 大会のゴルフ会場、霞ヶ関カンツリー倶楽部は、女性が正会員になれない問題で、IOCから男女平等への改善を求められております。小池知事による大会会場としての違和感の指摘はもっともだと考えます。ゴルフ界の問題を提言する有識者会議からも、ゴルフ会場を都立若洲ゴルフリンクスに変更すべきだとの提言が発表をされました。
 大会レガシーについて、霞ヶ関カンツリー倶楽部は、大会後に一般の都民、国民がレガシーコースとしてプレーをしたいと考えても、これは会員制のクラブであることから利用することができません。レガシーにこれはならないのではないかと考えます。
 これに対して、若洲ゴルフリンクスは、東京都が所有をするパブリックコースであり、誰もがオリンピックコースでプレーをすることができます。昨年のリオ大会においても、会場として新たなパブリックコースが整備をされております。
 気候については、霞ヶ関カンツリー倶楽部の至近地の夏期の平均気温は、国が運動は中止と注意を促す三十五・八七度であり、三十八度を超える日もあることから、熱中症の危険があり、アスリートや観客には苛酷過ぎる状況であります。これに対して、海風が吹く若洲ゴルフリンクスは、気温は四度ほど低い三十一・八八度になることがわかっております。
 会場へのアクセスについて、霞ヶ関カンツリー倶楽部は、選手村から車で一・五時間かかり、関越道など高速道路に専用レーンを設けなければならず、多額の補償費が費やされます。これに対し若洲ゴルフリンクスは、選手村から六キロの距離で、東京駅や羽田空港から、車でわずか十五分の距離にあります。
 会場決定経緯については、霞ヶ関カンツリー倶楽部に決定をした招致委員会の会議が独自に設けた基準は、国際ゴルフ連盟の基準とは大きく異なったもので、リオ五輪でも必要とされなかった三十六ホール以上を保有するコースとした点など、若洲ゴルフリンクスを外し、あえて霞ヶ関カンツリー倶楽部に選定をするために基準にしたことが推測をされるものであります。
 開催経費については、霞ヶ関カンツリー倶楽部は、報道によると百六十二億四千万円、若洲ゴルフリンクスは、有識者会議の試算によると、二十億六千万円とされ、約八倍の驚くべき差額となることが示されました。
 東京二〇二〇年大会のゴルフ会場は、さまざまな問題を抱えており、都外施設の費用についても、都が負担をしなければならなくなる可能性があることも考えれば、百四十億円の費用削減ともなる再検討が行われるべきと考えます。
 知事におかれては、ぜひ若洲ゴルフリンクスを視察していただきたいと求めるものであります。さまざまな問題を指摘されているゴルフ会場、霞ヶ関カンツリー倶楽部を、若洲ゴルフリンクスを含め、見直すべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 組織委員会においては、総経費の不断の見直しを行っていくことに加え、知事も施政方針で表明をされた共感や収益を生む取り組みを積極的に行うことが極めて重要と考えます。
 加えて、組織委員会予算が五千億円の収支均衡となっていることに対し、都が残りの一兆三千億円を負担しなければならなくなることを想定すれば、組織委員会における一層の増収の取り組みを積極的に行っていくことが極めて重要だと考えております。
 先日、小池知事が、東京の伝統工芸品の技法を生かした公式グッズ、風呂敷兼スカーフを紹介した取り組みは、大変よい宣伝効果があったと考えるものであります。そのため、多くの都民からは、公式ライセンス商品を購入したいという声が寄せられております。組織委員会としてさまざまな商品を販売して増収を図り、東京都として負担を限りなくゼロに近づける努力をするべきであります。
 また、来年には大会マスコットが公表されるため、組織委員会において、国民から大いに共感を得る多くの商品を開発し、マーケティングを進めて、さらなる国内スポンサーシップの増加が図られることを強く求めるものであります。
 さらに、特別委員会にて提言をしておりますが、都が収益をふやすこと、施設整備への寄附を広く募るべきと考えます。施設整備にあわせて記念碑を建立し、そこに寄附者の氏名を刻むことや、ネームプレートを施設の壁面に掲載をするなどの取り組みを検討すべきであります。
 このような取り組みは、既に他自治体でも行われており、直近では、北九州スタジアムの整備で実施をされました。民間では、吹田サッカースタジアムでも、百億円を超える寄附を募ったところであります。都の新規恒久施設の整備においても、寄附への取り組みを行うべきと考えます。
 小池知事発案の、不要な携帯電話などから東京二〇二〇大会の金メダルをつくるプロジェクトも、大会への参加意識の醸成に大変有効な取り組みであると考えます。
 組織委員会や都においても増収を図るとともに、都民、国民の参加意識を高める相乗効果のある寄附や取り組みを、より積極的に行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、子供、子育て支援について伺います。
 教育に対する国の公的支出は、世界的に低水準であり、教育投資をふやすことが求められております。私たちは、高校無償化など、親の経済力に左右されずに学べる環境をつくるために取り組んでおり、都には給付型奨学金の創設を求めてまいりました。
 都立高校においては、保護者が資格試験や模擬試験、修学旅行の参加費など、多くの学校関係費を負担しております。こうした経費は、家庭の経済状況によっては払えずに、子供が学校行事や将来の夢を諦めざるを得ないこともあると聞いております。
 小池知事によって給付型奨学金が創設をされることで、教育の格差是正が進むことを大いに評価いたします。
 給付型奨学金など、子供の未来への教育投資をふやす事業を積極的に予算に盛り込んだ知事の思いをお伺いいたします。
 私たちは、保育サービスの拡充を中心とした子育て支援の充実が、東京の課題である少子化や子供の貧困対策、労働政策、低成長の改善に効果があるため、都において、待機児童の解消など、目標達成に向けた取り組みを求めております。
 都内で共働き世帯がふえ、保育施設の受け入れをふやしても待機児童が減らない、保活が大変厳しい状況が続いております。
 都は、二〇一七年度予算案で、過去最大の待機児童対策一千三百八十一億円を計上し、二〇一九年度末までに、七万人の保育サービスをふやす取り組みを掲げており、その取り組みを評価するものであります。
 しかし今年度末、国は新たな待機児童の定義に関する検討結果を取りまとめる予定であり、今後、待機児童数に含まれる人数がふえることが予想されます。また、多様な働き方から、夜間保育や休日保育など、保育に対するニーズがふえるなど、都が広域的に取り組むべき課題が存在をいたします。
 国の新たな定義など、潜在的な保育需要を踏まえ、多様な保育ニーズに応えるなど、待機児童ゼロの実現に向けて、さらに取り組むべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 新たな保育施設が整備をされ、保育士が必要となる一方で、毎年多くの保育士が離職をしており、平均勤務年数も、全産業の平均に比べて期間が短く、就職と定着に課題があります。都内の保育所長からは、保育士を募集してもなかなか集まらないとの声を聞いており、私たちは、都として、保育士の就職促進支援や職場定着支援、人材確保策を推進すべきと訴えてまいりました。
 また、子育てなどで保育現場から離れた保育士の復職を促すには、専門職としてきちんと評価をし、それに見合った賃金とすることや、労働環境を改善することも不可欠であります。民間保育所で働く常勤保育士の賃金は改善をされているものの、非常勤保育士も含めて月額ベースで底上げする必要があり、株式会社が運営する保育所においては、さらなる待遇改善が求められております。
 私たちは、子育て環境の整備と、保育士が安心して働き続けられるよう保育士のさらなる処遇改善を求めてまいりましたが、知事が保育士の家賃補助拡充に続き、新たに保育士等キャリアアップ補助を拡充することを大いに評価するものでございます。
 知事が重点的に取り組む保育士確保、定着のさらなる取り組みについて見解をお伺いいたします。
 保育士不足の要因の一つは、業務超過の労働環境であります。保育以外の事務や雑務、非常勤保育士の指導など、業務は年々ふえ、自宅への持ち帰り残業や長時間労働が常態化をしているとの声も聞かれます。都の実態調査でも、給与、賞与等の改善、職員数の増員に次いで、事務雑務の軽減の希望が多く出ております。手書きで作成をする保育記録や、クラス便りなどをデジタル化、ペーパーレス化して、保護者とスマートフォンやパソコンを通じてやりとりすることに変えるなど、保育士の負担を軽減すべきであります。
 保育所のICT化など、保育士の業務負担を軽減する取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
 都内自治体では、地域で子育て家庭を応援する保育バウチャーを発行し、一時保育や家事援助などのサービスを利用しやすくしております。こうした施策は、地域のコミュニティビジネスやNPOなどの発展、事業拡大にも大いに寄与をしているものであります。
 また、都は、特別区において保育施設として使われる借地を対象に、固定資産税などを全額免除する方針を発表いたしました。多摩の市町村においても、保育施設の用地確保策に取り組んでいることから、万全な支援を求めるものであります。
 私たちは、乳幼児一人一人への支援が重要だと考えており、都において、ベビーシッター利用や、保育バウチャーなどに取り組み、子育てサービスの利用者支援を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、少子化対策として、子供を産み育てやすい環境の構築に向けて取り組んでまいりました。しかしながら、これらの施策とあわせて取り組むべき施策として、子供を産みたいと考えているにもかかわらず、なかなか子供を授かることができない夫婦に対する不妊治療への取り組みがございます。
 私たちは、この不妊治療への都の支援を十年以上も前から訴えてまいりました。夫婦双方に体力的、精神的、経済的な負担がかかる不妊治療への支援にさらに取り組み、負担を軽減すべきと考えます。
 高年齢での妊娠、出産は、さまざまなリスクが高まるとともに、不妊治療においても、出産に至る確率が低くなることが医学的に明らかになっております。特に三十歳代後半以降では、女性や子供への健康影響などのリスクは上昇をする傾向にあり、早期に検査や治療を受けることが望まれます。
 そこで、不妊かもしれないと悩む夫婦に、早期に検査を受けることを促し、早期治療に着手をする環境を整備するために、不妊検査及び不妊治療に対して支援を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 知事は施政方針の中で、島々を船舶で周遊する婚活ツアーなども後押しをすると述べておりました。しかし、官製婚活については、なかなか出会いがないのではなく、長時間労働で出会う時間がつくれない、あるいは、官製婚活に税金を使うのであれば、収入が安定するような施策に取り組んでほしいという意見があるのも事実であります。また官製では、退屈な婚活パーティーになりかねず、むしろ民業圧迫だという意見もございます。
 私は、働き方改革は当然のこととして、東京には、さまざまな旅行業者やイベント企画会社があることも踏まえ、民間の事業を後押しする取り組みが必要であると考えております。また、小池知事のいう賢い支出という視点からは、少子化対策を兼ねつつも、あくまでも観光振興の一環として婚活ツアーを後押しすべきではと考えております。
 施政方針で述べられた島々を船舶で周遊する婚活ツアーについて、小池知事の見解を伺います。
 次に、問題を抱えた子供たちの支援について伺います。
 まずは、児童虐待対策の推進です。
 昨年度、都内で児童相談所が対応した虐待相談は九千九百件を超えました。この十年間で三倍にふえております。新聞を開けば、虐待事件が報じられない日がないほどで、悲惨な虐待事件の記事を読むのが、はばかられるほどであります。
 来年度、東京都は、子供の命を守る児童福祉司や児童心理司をふやしますが、件数増に追いついてはいないため、引き続きの増員と専門性を高める取り組み、関係機関の連携強化を求めるものであります。
 児童虐待により小さな命が失われる悲劇を防ぎ、負の連鎖を断ち切るために、児童虐待への取り組みを一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、子供の居場所であります。
 子供の六人に一人は所得水準の低い家庭で暮らしております。厳しい状況に置かれている子供の食を満たし、意欲を引き出す支援などを行う、子供の居場所をふやす取り組みが行われております。
 居場所には、一日二回の食事を提供しながら学習指導を行っている施設もあれば、月四回の夕食を提供する子供食堂など、子供たちを支える形態はさまざまであります。こうした支援を必要とする子供たちもまだまだおり、支援に意欲を持つ方もたくさんいらっしゃいます。子供の居場所をふやすためには、開設や運営をしやすくするような支援が必要であります。
 子供食堂や学習支援、親への支援など、都内の全ての地域に子供の居場所づくりが進むよう支援をしていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、貧困対策です。
 子供の貧困には多くの要因が絡み合っております。子供自身の障害、虐待、親の就労や借金問題、親もまた、貧しさや経験の乏しさの中で育った場合が多く、家庭の養育力が低い傾向にあるといわれております。貧困の連鎖を断ち切るためには、子供だけではなく、親や家族が抱える問題への法的対応なども含めた総合的対策が欠かせません。
 他県では、自治体と弁護士が連携をして総合的な相談事業を行っており、東京都においても、各自治体に各支援をつなぐ人材を配置できるよう支援が必要であります。
 子供たちが貧困の連鎖を背負うことのないよう、各自治体に人材配置の支援を行うなど、子供の貧困対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、環境施策について伺います。
 私たちは、東日本大震災を契機とした議員提案である省エネ条例の制定を初め、環境施策には特に力を入れ、精力的に視察、調査活動を重ね、政策提言を行ってまいりました。省エネルギー、再生可能エネルギーの推進については、二十八年四定の私たちの代表質問に対して、小池知事より、これまでの施策に新たな視点を加え、総合的な施策を展開していきたいとの答弁をいただきました。
 二十九年度予算においては、エネルギーシフトを推進するための事業が計上されております。
 私は、こうした知事の方針を率直に評価をするとともに、これまでの知事が、企業、事業者による取り組みに重点を置いて施策を構築していたことに対し、小池知事となって、新たに環境においても、都民とともに進める都民ムーブメントの創出にも力を入れていこうという意思を感じております。
 都民ムーブメントの創出で象徴的な事業は、百万個のLED電球無償交換事業であります。単に電球をかえるだけで、消費電力は約五分の一になり、寿命は二十から四十倍に延びるため、大きな省エネ効果があります。
 私は、交換だけにとどまらず、交換に訪れた都民に、省エネコンシェルジュなどが賢い省エネを働きかけ、家庭全体の省エネに発展をさせる取り組みにすることで、高い政策効果が得られるのではないかと考えます。
 省エネルギー、再生可能エネルギーの導入推進、いずれをとっても都民の共感と協力なくしては前に進められないものであります。今後の環境施策の進め方について、知事の基本的見解を伺うものであります。
 家庭における省エネのパッケージ対策として、新築住宅の省エネ基準適合や、既存住宅も含めた住宅の環境性能の向上に取り組みを進めなければなりません。
 一方で、空き家問題が叫ばれる中、既存住宅の環境性能を高める取り組みを促すことは、環境施策だけにとどまらない副次的な効果をもたらすものだと考えております。
 実行プランにおいて、都有施設のZEB化が掲げられていますが、住宅のネット・ゼロ・エネルギー・ハウスが、今後標準的な新築になっていくといわれており、きちんとしたエコハウスの普及促進は大変重要な課題であります。
 これまで私たちが提案をしてまいりました欧州で効果を上げている住宅エネルギーパスのように、住宅性能を上げる取り組みが、東京都版エコハウスの推奨や既存住宅の省エネ、断熱改修に係る事業として、今回予算案に計上をされました。社会インフラとしての住宅の環境性能を高め、環境性能の高い住宅を普及させる取り組みについて、見解を伺います。
 最後に、一言申し上げますが、長いこの都議会の歴史の中で、今ほど都議会が全国的にも注目をされ、自浄能力が問われているときはないと思っております。
 私たちは、今まで都議会で全力を尽くしてきたという思いもありますが、時代や都民のニーズには、まだ十分に応えられていない部分があったのかもしれません。いま一度、都民の皆さんの負託に応えられる議会として再生をすべく、東京の改革を前に進め、これから始まる百条委員会の審議における徹底した真相解明こそが、都政の信頼を回復する唯一の道であることを確信しております。全力を尽くすことを申し上げ、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 尾崎大介議員の代表質問にお答えをいたします。私がお答えするのは十九問ございます。
 まず、東京大改革についてのご質問がございました。
 東京を今大きく改革しなければ、東京の持続可能性は失われる、これは私が知事選に出馬を決意したときからの変わらぬ思いでございます。今後の人口減少、不透明かつ不安定な国際情勢の中で激化する国際競争、こうした困難な状況におきましては、これまでの都政の手法と体質を変えなければ、東京をさらなる発展へと導くことはできない、そのような強い危機感を抱いているところでございます。
 だからこそ、就任以来、全庁を挙げて情報公開、そして自律改革に取り組んできたわけでございますが、今後はさらにそのレベルを上げるとともに、二〇二〇改革プランの策定を進めて、業務の効率化や執行体制の見直しなどに取り組むなど、これまでの都政を包括的に見直すことが必要であります。
 そして、二〇二〇年に向けた実行プランと平成二十九年度予算を両輪といたしまして、都民とともに大義と共感のある政策を着実に進めて、都民一人一人の希望にあふれた東京の明るい未来を築き上げていきたいと思います。
 今、そして未来の都民への責任を果たすため、同じ志を持つ皆様と東京大改革に邁進してまいりたいと思います。
 都民の生活満足度の向上についてのご質問がございました。
 都民ファーストの視点から、大義ある政策を都民の共感を得ながら進め、三つのシティーを実現することで新しい東京をつくる、そのための具体的な道しるべとして、私はこの実行プランを策定したところであります。
 新しい東京とは、誰もが安心して暮らし、希望と活力を持てる社会であり、その実現こそが、都民の皆様が感じておられる今後の生活への不安を取り除いて、生活満足度の向上につながるものと考えております。
 そこで、実行プランにおきましては、生涯を通じた健康づくりや、高齢者が住みなれた地域で暮らせる体制づくり、また、教育機会の格差解消、女性の活躍推進、東京の持続的成長の創出などに取り組んで、多くの都民が心身ともに豊かで充実した暮らしを送り、自己実現を図ることができる、そんな社会づくりを進めてまいります。
 こうしたさまざまな政策を着実に実行いたしまして、きょうよりもあす、あすよりもあさってがもっといい、誰もが希望を持って輝ける、そんな東京を実現してまいります。
 公文書管理条例についてのご質問がございました。
 適正な文書管理は、情報公開制度と相まって、都民の都政への参加を進めるとともに、行政が説明責任を果たす際の基盤となるものでございます。
 豊洲市場における文書管理の問題を受けて、今後同様の事態が発生することがないように、まずは東京都文書管理規則を年度内に見直します。さらに、適正な文書管理を制度的に保障する条例案を次期定例会に提案することを目指しております。条例案の提案に当たりましては、外部有識者や都民の皆様の意見を十分聞きながら検討を進めてまいります。
 このような取り組みを通じまして、公文書の適正な管理を進めて、都民とともに進める都政を着実に実現してまいります。
 行政改革についてでございます。
 都民の皆様とお約束した東京大改革を進め、新しい東京をつくり上げる、これが都知事といたしましての私に課せられた使命でございます。
 このため、知事就任後、直ちに情報公開、内部統制、自律改革の三つのテーマを初めといたしました都政改革に取り組んで、職員の改革マインドを根づかせてまいりました。
 今後は、こうした取り組みを一歩進めて、従来の延長線を超えた新たな発想を常に生み出すために改革を重ね、都政の手法と体質を変えていくことが必要でございます。
 このため、四月から二〇二〇改革プラン、仮称でございますが、この策定作業を始めて、業務の効率化や官民の適切な役割分担、監理団体の戦略的活用などに取り組んでいく予定でございます。
 あわせまして、自律改革の取り組みを、現場改善のレベルから主要な事業の見える化を図ることによりまして、経営戦略改革のレベルへと高めていくなど、新たな行政改革の取り組みを推し進めてまいります。
 入札契約制度改革についてのお尋ねでございます。
 公共調達は都民の貴重な税金を原資としております。そのためにも、透明性、競争性、品質の確保に万全を期す必要があるとともに、将来にわたりまして持続可能な調達としていくためにも、女性の登用を初め、中小企業の振興、環境への配慮などへの社会的要請にも応えていくものでなければいけません。
 入札契約にはさまざまな方法があります。それぞれにメリット、デメリットがあり、全ての課題に万全の対応をすることは難しいですけれども、お話の一者入札で九九・九%の落札など、都民の疑念を生じさせることのないよう、予定価格の事前公表制や一者入札を防止する取り組みなどについて見直す必要があると認識をしております。
 現在、都政改革本部の内部統制プロジェクトチームにおきまして、年度内を目途に改革案をまとめることとしておりまして、その報告を受けて具体的な行動を起こしてまいります。
 いずれにいたしましても、都の公共調達が真に都民の利益にかなうものなのか、ワイズスペンディング、つまり賢い支出や都民ファーストの視点に立って入札契約制度改革を進めてまいります。
 職員の退職管理についてのご質問でございます。
 職員の再就職につきましては、都民から公正な都政運営が損なわれるといった疑念を持たれることがあってはならないと考えております。
 都はこれまでも、再就職情報を一元管理する都庁版人材バンクを独自に設置するとともに、昨年四月には退職管理条例を施行し、外部有識者で構成される退職管理委員会を新たに設置、運用しながら、再就職のより一層の公正性、透明性の確保に努めてきたのはご存じのとおりであります。
 また、条例では、原則、再就職した全ての職員に対しまして、再就職情報の届け出を義務づけておりまして、特に管理職については、届け出を行わない場合などに罰則を科すことによって実効性を確保しております。
 一方、ことしの四月から二〇二〇改革プランの策定作業を始めまして、官民の適切な役割分担、監理団体の戦略的活用など、新たな行政改革に取り組んでいく予定でございますが、幹部職員の再就職につきましても、今後こうした取り組みとあわせて、監理団体のあり方とともに必要な検証を進めてまいります。
 平成二十九年度の予算案についてのご質問でございます。
 私が知事として初めて編成した平成二十九年度予算案でございます。新しい東京の実現に向けた改革を強力に推し進め、明るい未来への確かな道筋を紡ぐ予算となっております。
 具体的には、二〇二〇年に向けた実行プランの事業については一〇〇%予算化を図るとともに、男女や教育機会の格差とまちの段差を解消する施策を含め、過去最高となります三百八十二件の新規事業を立ち上げるなど、必要な施策には思い切った投資を積極的に行いました。
 同時に、全ての事業に終期を設定をいたし、終期を迎えた事業につきましては事業評価を行うシステムを導入するなど、無駄の排除を徹底し、めり張りをきかせることで財政構造改革の一層の推進を図っております。
 実行プランのまさしく実行力を支えているのが平成二十九年度予算案であり、都民の皆様の共感を推進力といたしまして、この予算案に盛り込んだ施策を着実に前へ進めていくことで、夢あふれる新しい東京の未来像を一つ一つ実現していきたいと考えております。
 各種団体等からの予算要望ヒアリングの成果についてのお尋ねもございました。
 予算とは、単にお金をつければよいというものではありません。都民の皆様の納得と共感を呼んで、現実の成果へとつながるものとしていかなければなりません。
 そのためには、現場の生の声を幅広く伺うことが必要と考え、都議会各会派の皆様に加えまして、今回、新たに区市町村の代表や各種団体の皆様から直接ヒアリングを行いまして、それぞれが代表する都民の声を伺うことといたしたところでございます。
 また、予算編成のプロセスを透明化をいたしまして、都政の見える化をさらに進めるために、これらのヒアリングは、インターネット中継などを通じまして、都民の皆様に公開をしてまいりました。
 こうしたプロセスをしっかりと踏んで、現場の状況を踏まえて、議論や判断を行うことによって、東京の明るい将来に向けた大義ある政策を予算案に反映できたものと考えております。
 続いて、多摩の活性化についてのご質問でございます。
 多摩地域は、ご存じのように、東京の三分の一に相当する四百万人もの人口を擁しております。そして、高い技術力を持つ中小企業や大学、研究機関が集積をしています。さらに、豊かな自然、地域の特産物を初めとして、きらりと光る宝物がたくさんあります。その発展は、活力ある東京に欠かすことができない存在でございます。
 一方、多摩地域は、人口減少、少子高齢化の進展、大規模工場などの撤退、道路、交通ネットワークの整備など、それぞれの地域ごとに諸課題を抱えております。
 そこで、来年度予算におきましては、市町村の課題などへの対応を支援する市町村総合交付金の増額を初めとして、地域を支える道路などの都市インフラ整備、多摩ものづくり創業の推進、仮称でございます東京観光情報センター多摩の整備など、地域の特性や課題を踏まえた効果的かつ重層的な取り組みを展開してまいります。
 先般、全ての市町村の長の皆様から、直接、各自治体が抱える課題、そしてご要望を伺ったところであります。そこでいただいたご意見も踏まえまして、今後とも、積極的に現場に足を運んで、市町村と緊密に連携をしながら多摩地域の持続的な発展を図ってまいります。
 豊洲市場の土地をめぐる経緯についてのお尋ねがございました。
 豊洲市場につきましては、用地の選定や土地の購入契約などの経過が不透明といった指摘がなされてまいりました。食の安全・安心にかかわる豊洲市場の問題は、都民の理解と納得なくして解決することができない課題であり、用地の選定から購入に至るまでの事実関係、それにまつわる責任を曖昧にすることなく都民に明らかにする必要があると思います。
 このため、まずは過去の東京ガスとの交渉記録を開示し、一連の交渉過程を、都民に対し、つまびらかにいたしたところであります。
 また、豊洲市場用地の住民訴訟に対応する訴訟対応特別チームを編成をいたしまして、これまでの売買契約等を精査することといたしました。こうした取り組みによって、用地取得に関する経過や問題の所在が明確になるものと考えております。
 都政の透明化を進めることは東京大改革の第一歩であります。今後とも、都民に対する情報公開は積極的に進めてまいる所存であります。
 次に、二〇二〇年東京大会に関して、国の費用負担についてのお尋ねがございました。
 二〇二〇年大会の準備を万全に行って、大会を成功に導くためには、都、国、組織委員会、関係の自治体、それぞれが緊密に連携をして、しっかりとその役割と責任を果たしていく必要がございます。
 大会の開催に向けましては、さまざまで多様で膨大な業務があります。国は、当然担うべきセキュリティー対策などに尽力することはもちろんですが、会場の所在する自治体への支援など、果たすべき役割は極めて大きいものがあります。
 また、二〇二〇年大会は、世界に向けて、東京だけではなく、日本全体をアピールする絶好の機会でもございます。
 国に対しましては、これまでオールジャパンでの取り組みを推進するため、平成二十三年十二月の閣議了解による枠組みに固執することなく、財政面を含めた全面的な支援を行うように強く求めてまいりました。
 都は、開催都市としての責任を重く受けとめ、役割を果たしてまいります。また国においても、しっかりその役割を果たせるように期待をしております。
 ゴルフ会場についてのご質問でございます。
 会場の選定に当たりましては、IOC、IFから示された競技や運営に関するさまざまな条件を踏まえて、多くの国際大会の知見を持つ日本ゴルフ協会が、若洲を含め首都圏のゴルフ会場を総合的に検討した結果、霞ヶ関カンツリー倶楽部になったと聞いております。
 現在、この会場は、女性が正会員になれないことについてIOCから対応を求められておりますが、関係者が連携をされて、解決に向け取り組んでおられる、その推移を見守ってまいりたいと思います。
 また、若洲ゴルフリンクスにつきましては、大規模なコースの改造、多くの観客が安全に観戦できるスペースの確保、国際放送、関係者用の運営スペースの確保などなど、オリンピックの会場としては課題もあると、このように認識をしておりますけれども、いずれにしましても、都の大切な宝であることには変わりがないと考えております。
 二〇二〇年大会の寄附などの取り組みについてのご質問でございます。
 あと三年と迫りました二〇二〇年大会に向けまして、都民、国民の皆様との一体感を高めて、多くの皆様に大会を身近に感じていただけますよう、さまざまな取り組みを進めていくことが重要であります。
 都市鉱山からのメダル製作のための携帯電話の回収、これは私が発案したわけではございませんが、PRはしております。風呂敷クロスなど公式商品のPR、販売などで、多くの方々から賛同をいただける、そんな大会に貢献していきたいと思っております。そういう都民の強い思いも実感しているところでございます。
 オリンピック・パラリンピックの寄附金につきましては、現在、組織委員会において、創設に向けて寄附の仕組みを検討しております。
 また、都の施設整備につきましても、他の自治体の事例なども踏まえまして、参加意識を高める方策を幅広く検討していくとともに、グリーンボンドなどの活用によって、多くの方々の協力が得られるように取り組んでまいります。
 都民、国民の皆様の期待と志をしっかりと受けとめて、人々の心にいつまでも残る大会を実現してまいりたいと考えております。
 教育についてのご質問でございます。
 教育は、まさに未来への投資でございます。十年、百年先の希望あふれる東京の実現には、その担い手となります、人をつくる、そのための教育の充実が欠かせない要素でございます。そのためにも、全ての子供たちの将来の可能性を引き出して、一人一人の夢や希望を大切に育む環境を整える必要がございます。
 こうした考えのもとに、家庭の経済状況が教育機会の格差につながることのないように、勉強合宿の費用や資格試験の受験料などの学習活動経費を支援する仕組みを取り入れるなど、都独自の給付型奨学金を創設することといたしました。
 また、先般策定いたしました教育施策大綱では、奨学金の創設に加えて、生きる基盤となる基礎学力の徹底、生きた英語を学ぶ環境の充実など、今後取り組むべき施策の方向性を示しております。
 今後、本大綱に基づいて、教育委員会と力を合わせて、未来を担う子供たちの学びたいという意識にしっかりと応えてまいります。
 待機児童の解消に向けた取り組みについてのご質問でございます。
 女性の活躍を後押しするためにも、東京に誰もが働きながら地域で安心して子育てができる環境を整えることは必要であります。
 そのため、私は、待機児童問題を都政の最重要課題の一つとして位置づけ、昨年九月に発表いたしました待機児童解消に向けた緊急対策では、保育所の整備費、賃借料などへの補助を大幅に拡充いたしまして、民有地や都有地の活用を進めるための取り組みも強化したところでございます。
 来年度は、さらに二十三区内で保育所用地を有償で貸し付ける場合、固定資産税、都市計画税を十割減免する税制の支援や、企業主導型保育施設の開設費用への支援、預かり保育を進める私立幼稚園への支援の拡充など、新たな取り組みを展開してまいります。
 二〇二〇年に向けた実行プランでは、平成三十一年度末までに、保育サービスを七万人分拡充をして、待機児童を解消するという目標も掲げております。その達成に向けて、区市町村と連携しながら、効果的な施策を強力に推し進めてまいります。
 保育士の確保、定着に向けた取り組みについてのお尋ねでございます。
 保育士の確保、定着を図るためには、やりがいを持って長く続ける環境を整えることが必要であります。
 そのために、都はこれまで、キャリアアップ補助、宿舎の借り上げ支援、就職から定着までの相談支援など、働きやすい職場環境づくりを支援してまいりました。
 来年度は、さらに、国の処遇改善に加えまして、都独自にモデルケースとして保育士一人当たり月額二万一千円引き上げられますよう、キャリアアップ補助を大幅に拡充してまいります。
 また、産休、育休明けに利用するベビーシッター代の補助、業務負担軽減に向けた保育所などのICT化への支援も開始してまいります。
 保育サービスを一層整備するためには、保育士の確保がこれまで以上に重要となります。
 今後とも、区市町村や保育現場の意見を踏まえながら、効果的な施策を進めてまいりたいと考えております。
 島しょを活用した婚活ツアーについてでございます。
 東京の観光面の魅力を一層高めるために、それぞれの地域の持つ宝物に磨きをかけて、すぐれた観光の機会の提供に結びつけることは大切であります。
 特に、東京の島々の観光の魅力はもっと多くの方々に知っていただきたい。島しょは個性のある宝島であり、さまざまな工夫で来客をふやす施策を展開できるものと信じております。
 さて、島しょを船で周遊するツアー、それを主催する代理店を支援して、婚活の場として活用する、そして出会いの機会を提供するとともに、観光支援に結びつけていくというもので、都が婚活ツアーそのものを主催する官製ツアーは考えておりません。そしてまた、参加者は各自がその費用を負担するということで、都のお金が個人に使われるものでもありませんので、改めてここはご説明しておきたいと思います。
 こうした新しい発想を持って施策をつくり上げて、島しょ全域への観光客の誘致を進めて、東京を世界で最高レベルの観光都市へと発展させてまいります。
 児童虐待の防止についてのご質問であります。
 児童虐待は、子供たちの心に深い傷を残すだけではなく、一人一人が持つ未来への無限の可能性を奪うものであります。人として決して許される行為ではございません。しかし、多くの関係者の懸命な努力にもかかわらず、痛ましい虐待事件が後を絶たないのも現実でございます。
 こうした深刻化する児童虐待に対応するために、都はこれまで、児童福祉司や児童心理司の増員、専門課長の配置、虐待対策班の設置、一時保護所の定員拡充など、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。
 来年度は、児童福祉司、児童心理司を大幅に増員をいたしまして、一層の体制強化を図ってまいり、また、虐待の未然防止を図るために、巡回支援チームを設置する区市町村を支援してまいります。
 児童虐待防止のためには、行政のみならず、民生児童委員、医療機関、学校など、地域が一体となって取り組んでいかなければなりません。
 今後とも、児童相談所が中心となりまして、地域の関係機関の力を束ねながら児童虐待の防止に向けて取り組んでまいります。
 省エネ対策の推進についてのご質問でございます。
 今般、都民ファーストの視点に立って策定いたしました二〇二〇年に向けた実行プランにおきまして、世界をリードするスマートエネルギー都市の実現を目指して、省エネ対策、再生可能エネルギーの導入促進、水素社会の実現に向けた取り組みなど、地球温暖化対策を積極的に進めることを明らかにいたしました。
 東京都はこれまでも、キャップ・アンド・トレード制度やソーラー屋根台帳による太陽光発電の導入の促進、水素ステーション整備への支援など、先進的な施策を進めてきたことはご存じのとおりであります。
 今後は、これらの施策を着実に実施するとともに、これまで以上にエネルギー消費量の削減が必要な家庭部門において、白熱電球とLED電球の交換促進事業やエコハウスの普及推進などの事業を展開してまいります。
 低炭素社会の模範となる都市の実現に向けまして、都民の省エネに対する意識改革につながる政策を、都民の皆様の共感を得ながら進めてまいりたいと思います。
 その他のご質問につきましては、関係局長よりご答弁させていただきます。
 ありがとうございました。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、築地市場の整備の検討状況についてですが、青島知事時代の平成七年、再整備工事の工期のおくれや整備費の増大、市場業者の営業活動への深刻な影響等の問題が顕在化する中、業界内で再整備や移転に関するさまざまな意見が出されるようになりました。
 その後、再整備工事が中断し、平成八年に計画の見直しが決定され、平成九年から新たな再整備計画の策定に向け、業界との協議が進められましたが、施設規模や営業活動への影響、工事の長期化への懸念など、さまざまな問題が提起されました。
 こうした中、平成十年に業界団体から、臨海部への移転可能性について調査検討の要望が提出されました。この要望に対しまして、都が業界団体の意思を再確認したところ、業界全体の意見が一致しなかったため、平成十一年二月から石原知事就任後の同年七月にかけて、改めて複数の再整備案について検討が進められましたが、工期や費用の問題に加え、完成後も基幹市場としての機能配備が不十分となることなどが明らかとなりまして、いずれの案も合意に至らなかったものでございます。
 こうした状況のもとで、業界から早期移転検討に向けての要望書が提出され、同年十一月、都と業界との協議の場におきまして、現在地再整備は困難であり、移転整備へと方向転換すべきと意見が集約されました。
 その後、石原都政下におきまして、平成十三年十二月、第七次卸売市場整備計画によって、豊洲地区への移転が正式に決定したところでございます。
 次に、過去の現在地再整備の決定経緯等についてですが、昭和四十七年、都内卸売市場の過密化により、第一次卸売市場整備計画において、築地、神田等の既設市場の機能分散化を図るため、大井埋立地に総合市場を建設することが盛り込まれました。
 昭和五十六年、都は、築地市場について、大井市場への全面移転、一部機能分散、築地での再整備のいずれかで調整することといたしましたが、全面移転及び一部機能分散につきましては、業界調整等が難航し困難となりました。
 こうしたことから、昭和六十一年一月、鈴木知事のもと、東京都首脳部会議におきまして、築地市場を基幹的市場としての機能を発揮するよう、現在地において再整備すること、再整備の実施時期、今後の進め方等を決定したところでございます。
 最後に、平成二十二年の石原知事の決断についてですが、平成二十一年九月、都議会において、築地市場の移転再整備に関する特別委員会が設置され、翌年十月、同委員会において中間報告が取りまとめられました。
 この報告を受けて、石原知事は、現在地再整備には、全てが順調に進んでも十数年かかるという問題が明らかであるにもかかわらず、議会としての結論が先送りされたとした上で、業界団体からの要望も踏まえまして、豊洲移転を決断した旨を記者会見で述べております。
 なお、豊洲市場の整備スケジュールは、当時の業務の進捗状況によって変わり、また、平成二十二年以降、スケジュール自体が見直されていることから、この決断が当時のスケジュールへ与えた影響につきましては、現時点で判断いたしかねるところでございます。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、保育士の業務負担の軽減についてでありますが、都は現在、保育士の業務負担を軽減するため、日誌の作成や翌日の準備などを行う保育補助者や、清掃や給食の配膳など、周辺業務を行う補助者を雇用する事業者を支援しております。
 また、高齢者が保育所等で補助的業務を行えるよう、養成講座を開催する区市町村を支援しております。
 来年度からは、保育日誌の作成や園児の出欠管理、保護者への連絡などの業務をICT化するための補助も実施するなど、保育士の業務負担の軽減に向けた取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、子育て家庭の支援についてでありますが、都はこれまで、子育て支援の実施主体である区市町村が、地域の実情に応じ、創意工夫を凝らして実施する取り組みを、包括補助や子育て推進交付金により支援してまいりました。
 また、今年度から、緊急対策として、保育所等の利用を希望する保護者にきめ細かく対応できるよう、情報提供や相談、助言などを行う保育コンシェルジュの増配置を支援するほか、認証保育所などを利用する保護者の負担軽減に取り組む区市町村を支援しており、来年度からは、負担軽減の対象を、認可外の居宅訪問型保育サービスにも拡大をしてまいります。
 次に、不妊検査及び不妊治療への支援についてでありますが、都は現在、不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、保険適用とならない体外受精や顕微授精等の特定不妊治療費の一部を助成しており、新鮮胚移植や凍結胚移植につきましては、国基準に上乗せをして助成をしております。
 また、不妊・不育ホットラインを設置し、不妊に悩んだ経験を持つカウンセラー等がさまざまな相談に応じ、治療に関する情報提供等も行っております。
 来年度からは、早期に不妊治療に着手する環境を整備するため、妻が三十五歳未満の夫婦を対象に、不妊検査費及び薬物療法や人工授精等の一般不妊治療費に対する助成を、五万円を上限に開始いたします。
 次に、子供の居場所づくりへの支援についてでありますが、現在、都内区市は、生活困窮者自立支援法に基づく子供の学習支援を行っており、都は今年度から、民間団体等と連携して子育て家庭の状況を把握し、必要な援助につなげるための支援員を配置し、学習支援に加え、食事の提供や親への養育支援を一体的に行う居場所づくりを支援しております。
 来年度は、支援員が中心となった居場所と地域の子供食堂との連携や、学校給食がない夏休みなどに昼食等を提供する取り組みなどに対して支援を行ってまいります。
 さらに、こうした活動を担う団体の立ち上げも支援することとしておりまして、子供の居場所づくりに取り組む区市町村を積極的に支援してまいります。
 最後に、子供の貧困対策についてでありますが、子供の貧困は親の貧困であり、貧困の連鎖を断ち切るためには、教育支援、生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援の四つを柱に、福祉、教育、就労など、さまざまな分野の関係機関が連携しながら、子供や家庭を支援していくことが必要でございます。
 そのため、都は来年度から、専任職員を配置して、生活困窮世帯やひとり親家庭などを支援する区市町村の取り組みを支援いたします。
 この事業では、専任職員が子育て家庭等の状況やニーズ等を把握するとともに、児童福祉関係者、母子保健関係者、教育委員会等とネットワークを構築し、それぞれの家庭を必要な支援につないでいくこととしております。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 環境性能の高い住宅の普及についてでございますが、都内のエネルギー消費量の約三割を占め、さらなる省エネが必要な家庭部門においては、省エネ、再エネ機器の導入とともに、冷暖房に必要なエネルギーの削減につながる住宅の断熱性能の向上が重要でございます。
 このため、来年度は、住宅の中でも特に熱が逃げやすい窓について、高断熱な窓等に改修した場合に、費用の一部を補助する事業を実施いたします。
 また、エネファーム等の創エネ、省エネ機器や住宅の断熱性向上に関する技術を紹介したパンフレットを作成し、配布いたします。
 こうした取り組みを通じて、環境性の高い住宅の普及を図ってまいります。

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