平成二十九年東京都議会会議録第二号

   午後三時五十五分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十八番まつば多美子さん。
〔三十八番まつば多美子君登壇〕

○三十八番(まつば多美子君) 都議会公明党を代表して質問します。
 小池知事は、施政方針表明で、東京大改革を進めると繰り返し訴えられました。都議会公明党は、都民が望む東京大改革とは、都民の幸福に直結する事業により多くの予算を充てるなど、納税者である都民の理解と賛同をより鮮明に得られる都政であるべきと考えます。そのためには、みずからのチェック機能を高めなくてはなりません。
 都議会公明党は、豊洲市場問題などで都政や都議会への不信や疑問が高まる中、信頼回復に向け、議員一人一人が襟を正し、改革に挑もうという覚悟を示すため、身を切る改革を一貫して主張してまいりました。
 今定例会初日の二十二日、都議会議員みずからの身を切る改革を断行するための条例が全会一致で可決されました。最終的に、公明党の案に全会派の賛同をいただいた内容は、一、議員報酬の二〇%削減、二、政務活動費を議員一人当たり十万円の減額、関係資料のインターネット上での全面公開、三、島部を除く費用弁償の廃止などです。
 今後、身を切る改革にとどまらず、間断なく議会改革を進めていくべきだと考えます。
 例えば、通年議会の導入を視野に入れて、都民を取り巻く状況の変化に議会が迅速かつ的確に対応できる体制を整えるため、議会の調査、提言能力は、今後、制度としてその機動力を高めていかなければなりません。
 その意味では、予算執行へのチェックが重要であり、決算委員会への知事の出席も制度化すべきと考えるものであります。限りある予算の中で最大の効果を上げる効率性を追求し、都民からいささかでも疑念を持たれることがないよう、都政の刷新に全力で取り組んでまいります。
 初めに、築地市場移転問題について質問します。
 知事は、施政方針表明において、築地市場をみずから視察されたことを踏まえて、消費者である都民、国民、そして働く業者の皆様のために、市場の安全・安心を確実に守らなければならないと述べられました。我が党も全く同感であります。
 また、知事は、安全が科学的、法律的な根拠に基づくものであり、安心は消費者の理解と納得によるものだとの見解を示されました。
 二年間にわたり調査されたモニタリング調査の信頼性が揺らいでいる中、四社によるクロスチェックで再調査が行われています。その結果が三月中旬には明らかになるとのことですが、安全について知事は、さきの施政方針表明において、専門家会議と市場問題プロジェクトチームの議論を踏まえ、総合的に判断すると述べられました。
 知事は、安心は消費者の理解と納得によるものとの考えを示されましたが、具体的にはどのような手法で判断していくのか、知事の見解を求めます。
 また、知事は、市場の持続可能性についても言及されました。市場の今後の経営状況を考えた場合、当然、単年度の損益状況も重要でありますが、持続可能性を考えた場合、何よりもキャッシュ・フローを重視していくべきであります。
 さきの市場問題プロジェクトチームの議論で都が提出した資料によると、十五年後の第十二次整備計画まではキャッシュ・フローは回るようになっています。ただ、その資料では、築地市場が豊洲市場の開場後に四千三百八十六億円で売却されることが前提となっています。築地市場においては、その土地の地歴から土壌汚染や水質汚染も心配されております。
 そこで、この築地市場の売却価格が本当に妥当なのか、都の見解を求めます。
 都議会公明党は、豊洲への市場移転をめぐるさまざまな問題について、都議会で十二年ぶりに設置された百条委員会において、都民目線から徹底した真相解明に取り組んでまいります。
 さて、世界が注目する二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが三年後に迫る中で、これを成功に導く鍵を握っているのが東京都のかじ取りであることはいうまでもありません。関係機関が成功へ向けて心一つに進むために、必要な改革をリードする使命が東京都にはあります。
 そこでまず、東京大会の開催経費、とりわけ知事も施政方針表明で触れられた負担のあり方について質問します。
 先日、都外で開催する競技場の施設整備費が十一施設で四百三十七億四千万円になるとの試算が組織委員会から都や国、開催地の六道県に示されました。この大半を占める仮設施設の費用三百八十五億四千万円について、対象となる北海道、宮城、埼玉、神奈川、千葉、静岡の六道県が突然の負担に戸惑っています。
 これらの費用について、知事は施政方針表明で、他の自治体が所有する施設を含め、都も負担することを排除せず、検討するよう事務方に指示したことを明らかにしました。
 一部の朝刊紙では、分担が決まっていない仮設経費の総額を二千億円と報じています。そのほか、整備費用にとどまらず、選手村からの輸送やセキュリティー費用などにも広がるといった報道や、一〇〇%東京都が負担するものと受けとめる旨の他県知事の見解も伝えています。
 内容によっては、都民の負担は大幅にふえることが予想されます。知事のこれらの発言の真意について見解を求めます。
 都がこれまで、施設整備や大会準備への財政支援を繰り返し国に対して求めてきたのは、当然のことであります。
 安倍総理みずからが招致決定のためのプレゼンテーションを行ったほか、リオ大会の閉会式では、スーパーマリオブラザーズのマリオに扮して東京大会をアピールするほどの取り組みだったことを見れば、誰もが納得することです。
 丸川担当大臣は、就任時の平成二十八年八月の訓示で、東京のオリンピックというだけでなく、日本のオリンピックという思いを持って臨んでいきたいと宣言しておりました。しかし、いざ国の財政支援の話題になると、その責任を負うべき丸川担当大臣は、平成二十三年十二月の閣議了解を盾にして、国の積極的な関与を避け続けています。
 ところが、その閣議了解とは、そもそも民主党政権下で行われたものであり、政権交代してから平成二十七年十一月に遠藤前担当大臣のもとで確認されたオリ・パラ基本方針では、大会を契機として日本を再興、オールジャパンの魅力の発信、あるいは日本全体の祭典とするとうたっているのです。これらの発言の趣旨に沿い、国は、東京大会の成功に向けて総力を挙げるべきです。
 ちなみに、二〇一二年のロンドン大会では、開催経費の負担割合は、国が約七割、開催都市のロンドン市は一割で、国が相当の負担をしております。
 都は、今こそ世論を味方にして、政府が応分の財政負担をするよう求めるべきです。知事の見解を求めます。
 次に、組織委員会へのガバナンス強化について質問します。
 組織委員会の理事には、東京都から副知事とオリンピック・パラリンピック準備局長、さらに、都議会からも前職、現職二人の議長が就任されております。ただ、現状を見ますと、都の意向が組織委員会にどのように反映されてきたのか、いま一つ判然としない面があります。
 そこで、これまでの経緯を踏まえ、もし都の意向が適切に組織委員会に反映されていないのであれば、新たな対策を練る必要があります。今後、組織委員会に対する都の関与を強化することを含め、知事の見解を求めます。
 また、都議会公明党が昨年の第三回定例会でも指摘しましたが、組織委員会の事務所が入るビルの賃料は、平成二十七年度で四億七千六百万円、平成二十八年度では七億一千五百万円に上ると見込まれているとおり、もともと賃料が高い地域に事務所が設置されています。その額の大きさは、都民感情と全くかけ離れており、より賃料の相場が安い場所で設置するべきとの声も上がっています。
 これでは、大会経費に対する組織委員会の負担額をふやすべきだと判断されても仕方がないでしょう。組織委員会が都や国にさらなる財政負担を求めるのなら、まず、みずから財政規律を正すべきであります。
 そこで、組織委員会の詳細な収支について、都と都議会、あるいは国がチェックできる仕組みを早急に立ち上げるべきと考えます。知事の見解を求めます。
 ところで、小池知事は今月十七日、フラッグツアーの一環で、東日本大震災で被災した岩手県沿岸部を訪れ、慰霊碑で献花するとともに、復興五輪を目指して同県幹部と会談されました。知事による被災県訪問は、福島、宮城両県に次ぎ三県目であり、有言実行の姿勢に敬意を表します。
 そこでまず、被災各県を訪れた率直な感想と復興五輪に向けた決意について、改めて知事の見解を求めます。
 公明党の一貫した主張を受け、都はこれまで、被災地の復興なくして五輪の成功なしと訴えるとともに、パラリンピックの成功なくして五輪の成功なしとのスローガンを掲げてきました。
 ところが、残念なことに、さきの競技会場見直しの事前調査では、パラリンピック関連の競技団体へのヒアリングが行われず、有明アリーナで開催予定の車椅子バスケットボール競技のことが委員会配布資料で記載されていないなど、パラリンピックの視点が全く欠如していたことが我が党の指摘で明らかになっています。
 今後、国や組織委員会との間で、経費負担や役割分担等をめぐり、より踏み込んだ協議が進むものと期待しますが、こうした協議や準備の中で、パラリンピック軽視という誤解を与えるような愚を二度と繰り返さないよう強く求めておきたいと思います。オリンピック・パラリンピック準備局長の見解を求めます。
 関連して、オリンピック・パラリンピック教育におけるアスリート派遣事業、夢・未来プロジェクトについて質問します。
 都議会公明党は、オリンピック・パラリンピックで活躍したアスリートの教育現場への派遣を繰り返し求めてまいりました。一流アスリートとの触れ合いは、次代を担う子供たちに限りない夢や希望、そして生きる勇気を与えており、かけがえのない貴重な体験となっています。
 都教育委員会は、二〇二〇年東京大会を大きな契機として、本事業の実施校をさらに拡大し、都内全ての公立学校に機会を提供すべきです。見解を求めます。
 都政改革の中で、まず取り上げたい課題は教育の改革です。教育は明るい未来を開く鍵であり、教育力の向上は社会全体の活力の向上につながります。
 特に親の経済格差が子供に受け継がれる貧困の連鎖が社会問題化する中で、家計の状況によって行きたい学校に行けない、受けたい教育を受けられない状況はなくしていかなければなりません。また、これからの社会を支える人材を育てる観点からも、教育費の負担軽減は人への投資につながる重要な施策と考えます。
 今回、知事は、平成二十九年度予算案に、年収七百六十万円未満の世帯を対象とする私立高校の授業料が実質無償化となる措置を盛り込みました。この英断を高く評価するものであります。
 知事が都議会公明党の強い要望を受けとめて予算案に盛り込んだことは、知事査定を報じたマスコミの各報道でも明らかであります。
 子供たち、親たちのニーズを満たす質、量ともに十分な子育て支援こそが日本を救うと主張する京都大学准教授の柴田悠氏は、今回の無償化について、親の経済状況にかかわらず、大学進学に必要な教育を受ける機会を保障するものとして、格差や社会の分断を回避する重要な取り組みと評価しています。
 公明党の強い要請を受けて、私立高校の授業料無償化を決断された知事の所見を求めます。
 一方、今回の無償化では、東京都認可の通信制高校が対象から外されております。都内に九校ありますが、通信制で頑張る高校生の保護者も支援すべきであります。所見を求めます。
 また、私立高校授業料の無償化は、都民の反響が大きく、制度の詳しい内容に関して多くの問い合わせが寄せられています。
 都は十分に情報提供する必要があると考えますが、実施内容やスケジュール、周知方法などについて、都の答弁を求めます。
 また、実質無償化については、私立高校の関係者から、経常経費補助が削られるのではないかと懸念する声も出ているようでありますが、財源対策も含め、予算編成に当たっての都の基本的な考え方について見解を求めます。
 加えて、実質無償化に便乗して授業料の引き上げが行われるようなことがあれば、事業の趣旨を損なうものと考えますが、そうした事態が発生しないための都の対応について見解を求めます。
 あわせて、東京都育英資金の延滞利率について質問します。
 東京都は、高校生に対しての貸与型奨学金として育英資金事業を実施しています。この奨学金は卒業後返済をしなければなりませんが、返済が滞った場合に違約金が徴収されています。徴収はやむを得ないとしても、違約金の延滞利率が年一四・六%と極めて高いものとなっています。
 国や都が返済不要な給付型奨学金に歩み出している昨今の事情を考えれば、高過ぎるのではないでしょうか。早急に是正すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、セーフシティーの観点から、安全・安心の東京のまちづくりについて質問します。
 まず、ホームドアの整備についてであります。
 ことしに入ってからも、障害者などが駅ホームから転落する痛ましい事故が後を絶ちません。先月は、埼玉県内のJR京浜東北線蕨駅で、盲導犬を連れた視覚障害者の男性が転落し、進入してきた電車にはねられ亡くなるという事故が発生しました。
 都は、ホームドア設置に取り組む鉄道事業者に対する支援として、平成二十六年度より、利用者数十万人以上の駅を対象に、補助を本格的に実施していますが、JRや私鉄各線の鉄道駅には、いまだにホームドア設置が進んでいません。視覚障害者や高齢者を初め、全ての人々が安心して鉄道を利用できるよう、ホームドアの整備を急ぐべきです。見解を求めます。
 次いで、防犯カメラの整備についてであります。
 東京が世界に誇る魅力の一つが、治安のよさです。増大化する訪日外国人旅行客への対応を含め、さらに都民の誰もが身近に治安のよさを実感できるよう、防犯カメラの整備を急ぐべきと考えます。
 そこで、初めに、警視庁に質問します。
 警視庁は、都内の街頭防犯カメラ設置促進に向け、都を初めとする自治体などに対し、現状どのような働きかけを展開しているのか、今後どのように働きかけていく方針であるのか、あわせて警視総監の見解を求めます。
 関連して、ことし一月に、警視庁と足立区の連携により、足立区が設置している災害用定点カメラの映像を、警視庁本部でリアルタイムに見ることができるシステムを構築する旨の報道がありました。
 このシステムの概要と活用方法、今後の方針について警視総監の見解を求めます。
 昨年六月、目黒区立碑文谷公園内で発生した死体遺棄事件がきっかけとなり、区立公園への設置は検討され始めていますが、現状、都内の区立公園での設置率は数%にすぎません。
 青少年・治安対策本部は、こうした対策の所管部局であります。積極的に支援の充実を図るべきであります。見解を求めます。
 さらに、都立公園にも防犯カメラを設置するべきであります。都立公園は面積も広く、園内には公道に面していない暗がりが数多く存在します。防犯カメラの設置を早期に進めるべきと考えます。見解を求めます。
 また、都営住宅でも防犯カメラの拡充が必要です。都市整備局は、既にエレベーター内に防犯カメラを整備していますが、今後は、民間集合住宅への模範を示すためにも、駐輪場やごみ置き場などの暗がりに整備を進めるべきです。見解を求めます。
 昨年七月、相模原市の津久井やまゆり園では、痛ましい殺傷事件が発生しました。このような事件の再発を防ぐため、福祉施設にも防犯カメラの整備が進むよう積極的に支援すべきです。見解を求めます。
 さて、間もなく東日本大震災の発災から六年になりますが、防災力の強化は不断の努力を傾けるべき最重要のテーマです。
 そこでまず、女性の視点からの防災対策について質問します。
 公明党は、東日本大震災の教訓を踏まえ、平成二十三年八月に、党内に女性防災会議を立ち上げ、数多くの提言を行ってきました。中でも、災害時に女性特有のニーズに対応した体制づくりが必要であることから、災害対策基本法の改正を行うなど、地方防災会議への女性委員登用を進めてきました。
 その結果、都においても、都議会公明党の提案で、平成二十五年、東京都防災会議条例の改正をきっかけとして、都の災害対策全般を話し合う東京都防災会議に、ようやく二人の女性委員が登用され、女性委員のいない都道府県がゼロになったわけであります。ただ、いまだ六十六人の委員のうち女性委員は二人だけというのが実情です。一層の拡充が必要と考えます。
 さらに、昨年十二月六日、私は、都議会公明党の一員として、小池知事に政策提言を行い、都防災会議への女性委員の登用拡大や女性の目線から考える防災ブックの発刊を強力に求めたところであります。
 これを受け、女性ならではのきめ細やかな目線で防災のノウハウをまとめる、女性視点の防災ブックの作成が来年度予算案に盛り込まれました。ここで改めて、女性の視点を生かした防災対策について、都政史上初の女性知事である小池知事の見解を求めます。
 関連して、公明党の提案に基づき、視覚障害者らに配慮した音声コードや点字つきの防災ブックのほか、外国人向け英語版の防災ブック、さらには「東京防災」の大活字版も製作されます。一層きめ細やかな災害の備えが進むことを期待しております。
 次に、震災対策について質問します。
 都議会公明党は、木造住宅密集地域の不燃化はもとより、緊急輸送道路沿道の建物の耐震化に加え、それ以外の一般の分譲マンションの耐震化についても対策の強化を求めてきました。それは、マンションのような集合住宅には、同じ建物内に多くの人々が暮らしており、一たび地震によって倒壊するような事態が発生すれば、一度に多くの人命にも及ぶ被害が懸念されるからです。
 阪神・淡路大震災では、約五千棟のマンションのうち、半数の約二千五百棟が被害に遭ったとの調査があります。一方、現在都内には、旧耐震基準のマンションが約一万二千棟も存在しています。
 そこで都は、一般の分譲マンションの耐震化を促進、加速するため、マンション管理組合のニーズに沿った専門家派遣や耐震化助成などの支援策を拡充すべきと考えます。見解を求めます。
 次いで、強風時における木密地域火災への対策について質問します。
 知事も施政方針表明で言及されましたが、昨年十二月に糸魚川市で発生した大規模火災は、強風により火の粉が飛び、その焼損面積は、約四万平方メートルに及びました。
 一方、都内の木密地域は依然として数多く、常時強い風が吹いているビル風地域や、風の通り道に木密地域が近接している可能性も否定できません。
 そこで、この糸魚川市大規模火災の被害を急ぎ分析し、その教訓を踏まえ、東京の木密地域における強風時の火災対応のあり方に生かすべきと考えます。消防総監の見解を求めます。
 東京都は現在、特区規制により、木密地域には準耐火、耐火建築物への建てかえを進める新たな防火規制区域の指定、整備を進めています。問題は、今回焼損した地域を含め、糸魚川市では準耐火建築物まで延焼してしまったのかどうかという点であります。それが皆被害を免れているのであれば、現行の取り組みにふぐあいはなく、ピッチを早めることだけが課題となります。そうではなく、焼損してしまったのであれば、抜本的に対策を立て直す必要が生じます。
 都市整備局は、この点に関する検証に遅滞なく取り組むべきと考えます。都技監の見解を求めます。
 次に、さまざまな人々が輝くダイバーシティーの観点から質問します。
 まずは、働き方改革であります。
 一口に働き方改革といっても、男性中心の労働慣行の見直し、長時間労働の改善、みずからに適した働き方を選べる多様化など、さまざまな課題があります。
 中でも、長時間労働慣行の改善は喫緊の課題といわれています。しかし、いわゆる持ち帰り残業がふえてしまうような取り組みであっては、実質の労働時間は減らないのに、時間外手当だけが減ることになりかねません。
 この点、イクボス宣言の拡充などを通じて、知事は今後どのようにして都庁内、そして広くは都民全体に長時間労働の改善を促していくのか、見解を求めます。
 また、働き方の多様化を進めたとしても、結果的に短時間労働だけがふえ、ワーキングプア化が進むのであれば、本来の目的から逸脱してしまいます。この点、企業での就労を続けながら、在宅勤務やモバイルワークに取り組むテレワークは、現在の収入を減らさずに自分に合った働き方を選択できるものであり、介護や子育て、趣味趣向や社会貢献への対応などのゆとりにつながる可能性があります。
 私が今月八日、同僚議員とともに視察したライフ・ワーク・バランスフェスタ東京二〇一七では、会場内にスカイプを活用して模擬テレワークを体験するブースが設けられており、私も体験しました。また、先行導入する企業関係者とも意見交換を行い、テレワークの導入が、優秀な人材の確保、労働意欲の向上、交通費の削減などのさまざまなメリットにつながっていると伺いました。
 しかし一方で、テレワークとはいえ、仕事に専念できる環境が必要との指摘もありました。子育て中の世帯にあっては、通勤勤務と同じく保育の利用が前提となります。また、子育て中に限らず、家庭での職務専念は困難と感じる人が一定程度存在することになるのであれば、身近な場所で働けるサテライト型オフィスの整備が必要となってきます。
 小池知事もまた、当日、模擬テレワークを体験されたと伺いました。
 そこで、さまざまな課題を克服しながら、今後どう具体的にテレワークの普及を図るのか、そして、テレワークの推進を通じて、どのようなメリットを都民に提供されようとしているのか、知事の見解を求めます。
 次いで、若者支援であります。
 若者の持つ意欲や感性を引き出し、その情熱や力を首都東京の新たな活力、原動力として生かすための工夫が大切です。
 核家族化が進むことによって、世代の異なる人々との交流が減っている中で、高校や大学を卒業すると急激に社会の荒波にさらされてしまい、仕事や人間関係、結婚などのさまざまな悩みに直面し、将来に不安を抱く若者が少なくありません。そうした現状を打開するためには、若者の不安や悩みを受けとめ、支えていくことが必要です。
 都は、都議会公明党の要請に応え、平成二十一年度から東京都若者総合相談、若ナビを開設し、電話や電子メールによる相談に加え、カフェにおける対面相談を実施し、実績を上げております。
 複雑化、深刻化している若者の課題を的確に捉え、早期の自立や問題解決につなげるためには、若者支援の強化が必要です。
 都は今後、若ナビ相談事業を常設化するなど、さらに拡充していくべきと考えますが、見解を求めます。
 次いで、ダイバーシティーの観点から、子供を安心して産み育てられるまちについて質問します。
 一点目は、訪問型保育サービスの活用であります。
 今後、待機児童の解消を図るためには、新たな発想でさまざまな保育サービスのメニューを整備する必要があります。都議会公明党にも、育児休業を終え職場復帰をしたい方から、特に年度途中は保育所の受け入れ枠が少ないとの声が寄せられております。
 出産後に職場復帰する際は、特にゼロ歳から一歳児が多く、こうした受け皿を確保するためには、子ども・子育て支援新制度で制度化された訪問型保育サービスを活用していくことが有効と考えます。
 都としても、ベビーシッターを初めとした訪問型の保育サービスの取り組みを積極的に進めていくべきと考えます。見解を求めます。
 二点目は、保育士の処遇改善です。
 かねてよりこの問題がクローズアップされ、実効的な処遇改善が急がれる中、保育サービスの充実と連動する課題として取り組んでいかなければなりません。
 都は、独自にキャリアアップ補助を創設し、処遇改善に取り組んでおりますが、補助をさらに充実させる等、保育人材の確保を一層加速させて取り組むべきであります。見解を求めます。
 三点目は、保育士の定着支援であります。
 処遇改善で新たな保育人材を確保するとともに、現在働いている保育士が憂いなく働ける職場環境の整備も大切な取り組みであります。
 都が実施した保育士実態調査による退職理由では、給料が安いとの理由とともに、妊娠、出産がほぼ同じウエートを占めています。産休、育休をとり、保育士として職場に復帰しようとしても、子供の預け先がなく、離職せざるを得ない状況もあります。
 保育士の職場復帰を支援し、定着させていく支援策も積極的に取り組んでいく必要があります。都の見解を求めます。
 四点目は、保育施設の整備における都有地の活用であります。
 実行プランでは、福祉インフラ整備への活用が見込まれる候補地を平成三十六年度末までに三十ヘクタール以上提供するとしていますが、保育施設の整備において、その土地の確保に苦労している区市町村を一層支援していく取り組みが重要であります。
 警視庁や東京消防庁などを含め、オール東京で活用可能な都有地に関する情報を区市町村に積極的に提供し、保育施設の整備に役立てていくべきであります。見解を求めます。
 五点目は、学童クラブの充実であります。
 保育需要が増加している昨今、今後は、学童クラブのニーズもますます高まっていくと予測されます。
 都では、都型学童クラブ事業を初め、学童クラブへの運営費補助、施設の改修、整備に係る経費を補助しておりますが、今後高まるニーズに対応していくためにも、学童クラブの計画的な整備を図るとともに、今、既に学童クラブの待機状態にある児童が過ごせる場を早急に確保する必要があります。見解を求めます。
 子育て支援施設の整備に関連して、税の減免を用いた整備促進策について質問します。
 都議会公明党は、昨年の第三回定例会本会議の代表質問において、他党に先駆け、保育施設の整備促進を図るための固定資産税等の軽減措置の拡充を求めたところであります。これを受け、主税局は、ことし一月二十五日、区部を対象に固定資産税と都市計画税の新たな減免措置を打ち出し、知事も施政方針演説で言及されました。
 そこで、我が党が提案を行った際に指摘した定期借地権への減免の適用拡大を含め、その詳細について説明を求めます。
 また、今回の施策は都内区部に限られています。税の課税、徴収主体に違いがあるとはいえ、多摩地域においても抱える課題は同じです。工夫して固定資産税と都市計画税の減免による保育所整備の支援策を導くべきです。見解を求めます。
 次に、都議会公明党が一貫して推進し、実行プランで触れられた環境先進都市、スマートシティー構築に向けた政策について質問します。
 二〇二〇年東京大会においては、仮設施設や設備、備品などが大量に使用され、一時的に利用された物品が大会終了後直ちに廃棄されるのでは非常にもったいないものと考えます。できる限りリユース、再使用して、スマートシティーをアピールすべきです。
 一方、地域の高齢者からは、児童遊園やポケットパークなどに腰かけるベンチがあると助かるという声や、町会、自治会からは、イベントで使うため古くなったテントを更新したいが費用がないという声を多く聞きます。
 そこで、例えば大会ロゴマークや使用会場名などが入ったベンチやテントなどの大会使用物品を、希望する都内区市町村や他県を通じて各地域で再使用できれば、長きにわたって環境に配慮した大会のレガシーの一つとして残っていくと考えます。
 また、費用の面においても、再利用を前提とした長期的な視点や共通部品化によって、コスト削減も見込めると考えます。
 そこで都は、組織委員会をサポートし、再使用を希望する区市町村との事前調整や、調達段階から使用後のことを踏まえた入札などが行えるよう、積極的にリユースに取り組んでいく仕組みづくりを行うべきと考えます。見解を求めます。
 次に、食品ロス対策について質問します。
 日本は、食料の大半を世界から輸入する一方で、年間約六百四十二万トンの食品ロスが発生しています。
 公明党は、党を挙げて循環型社会の構築を一貫して推進してきました。平成十二年には、循環型社会形成推進基本法の制定で主導的な役割を果たし、ごみ処分量の大幅な減少に貢献したほか、再利用率も飛躍的に向上しました。また、関連法である食品リサイクル法制定も全力で取り組んできました。さらに、平成二十七年十二月、食品ロス削減推進プロジェクトチームを立ち上げ、政府に対して提言を繰り返し行ってまいりました。
 都においても、昨年の第四回定例会で、普及啓発の取り組みが重要であると訴え、知事も積極的に取り組む考えを示されました。
 都議会公明党の提案を受け、都は、賞味期限間近の防災備蓄食品を都民や福祉団体に提供する取り組みを実施するとともに、実行プランでは、二〇三〇年までに食品ロス半減という数値目標を掲げています。
 今後は、大きな災害がなかったことを感謝しながら、備蓄食品の更新の際には、それを有効活用する仕組みが必要と考えます。今回の取り組みを第一歩に、食品ロスの削減を大きな運動として展開していくことが重要と考えます。環境局長の見解を求めます。
 また、都立施設の帰宅困難者一時滞在施設の備蓄品についてですが、平成三十年の一月、二月が賞味期限となっています。その更新に当たっては、例えば子供や高齢者の皆様に食べていただいて、災害時に口に合うかどうか貴重な意見を聞き、意見を反映させて更新することや、防災意識の向上のためのPRに活用するなど、工夫して有効活用を図るべきです。総務局長の見解を求めます。
 次に、家庭におけるLEDの普及について質問します。
 平成二十八年三月に策定された東京都環境基本計画では、平成二十五年度の部門別エネルギー消費量について、平成十二年度比で見ると、産業、運輸、業務部門では減少しているものの、家庭部門のみ増加しており、家庭部門の省エネ対策が急務です。
 都は、来年度予算案で、家庭の省エネ対策として、LED電球を普及させるため、家電店に白熱電球二個を持参すると、LED電球一個に無償交換する事業を盛り込んでいます。都民にわかりやすく、省エネ効果にもすぐれた事業だと高く評価します。
 そこで都は、家庭の省エネ対策に関し、電球の交換の際に、家電製品の省エネモードの活用や節水も節電になることなど、参考事例を紹介するチラシをあわせ配布するなど、都民に対し、省エネ行動が広がるような取り組みをより一層進めるべきと提案します。知事の見解を求めます。
 質問の最後に、東京大改革の骨格をなす行政改革の一環として、今回は監理団体のあり方について質問します。
 東京都には、三十三の監理団体があります。都が出資等を行い、都の行政運営を支援、補完する団体で、都の政策との連動性が高く、その施策実施の現場を担う団体と位置づけられております。
 しかし、現在、その事業検証は、監理団体みずからが設定した目標をみずからが採点し、都が評価するというものになっており、チェック体制も再検討が必要な状態といわざるを得ません。
 平成二十八年度包括外部監査報告書でも、監理団体を活用して実施する業務を定期的に見直すとともに、監理団体が実施する事業または監理団体そのものの組織のあり方も再検討する必要があると警鐘を鳴らしております。監理団体改革に対する知事の見解を求めます。
 平成十五年九月の地方自治法改正により、東京都でも指定管理者制度が導入されました。これは住民サービスの向上と行政効率化が目的で、民間でできるものは民間に託すという制度で、積極的に民間に公募を進めていくべきであります。
 東京都指定管理者選定等に関する指針では、競い合いによる効果が十分発揮されない場合に特命契約を認めておりますが、これまでに、さまざまな理由を付して、現在その六割が監理団体への特命契約となっており、制度が形骸化しているといわざるを得ません。
 また、監理団体と一定程度の特命契約を必要とするのであれば、公募される指定管理契約については、監理団体をその対象から一切除外するなど、指定管理者制度のあり方についても抜本的な見直しを図るべきであります。知事の見解を求めます。
 こうした課題を抱える監理団体の現在の理事長、代表取締役の八割が、都の元副知事、教育長、都技監、局長、局長級理事等の都庁幹部OBで占められていることも指摘しておきたいと思います。
 また、都から補助金が支出されている各種団体については、都から再就職した元職員が補助金獲得に大きな役割を担っているとの指摘もあります。
 折しも、文科省の天下り問題が発覚し、都民、国民の関心を呼んでいるところであります。都の監理団体や各種団体においても、東京大改革の一環として、改めて都民の納得を得られるルールを確立すべきと考えます。知事の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) まつば多美子議員の代表質問にお答えさせていただきます。
 まず、市場移転におけます消費者の安心についてのご質問がございました。
 築地市場の移転問題は、食の安全・安心にかかわる課題でございます。そして、科学的、法律的な根拠に基づく安全と、消費者の理解と納得による安心なくして解決し得ないものと考えております。
 消費者の安心を確保する上で必要なことは、都民一人一人が市場の状況について冷静に理解することができるように、正確な情報を適切にお届けすることでございます。
 だからこそ私は、就任以来、一貫いたしまして、移転問題に関する情報の開示と情報発信に努めてきたところでございます。
 具体的には、いわゆるノリ弁といわれた東京ガスとの交渉記録を積極的に開示するとともに、専門家会議や市場問題プロジェクトチームで進められているさまざまな議論、検証についても、インターネット中継やホームページを通じた情報発信に努めております。
 こうした都民に対する情報公開を進めまして、そのご意見もご参考にさせていただき、総合的に判断してまいります。
 オリンピック・パラリンピックに関してでございますが、他の自治体の仮設整備についてのご質問がございました。
 二〇二〇年大会の準備を万全に行いまして、大会を成功に導くためには、都、国、組織委員会、関係自治体が緊密に連携をして、それぞれがしっかりとその役割と責任を果たしていく必要がございます。
 昨年末、私が提案をし、設置されました関係自治体との作業チームにおきましては、仮設施設に加えて、輸送、警備など、膨大な業務があることが明らかになりつつあります。
 大会まであと三年に迫りました。作業チームを含めまして、さまざまな検討を加速させて、費用負担の協議も促進する必要がございます。
 このため、今般、組織委員会が負担することになっている仮設施設の整備について、他の自治体が所有する施設を含めまして、都も負担することを排除せず、検討するように指示をしたところでございます。
 協議に当たりましては、都、国、組織委員会、関係自治体がみんな、常にコストとレガシーを念頭に置いて、そしてまた、都としては、都民の皆様の負担をできる限り軽減をして、都民施策に影響を及ぼさないよう検討をしてまいります。
 今後とも、都民の皆様に十分に説明をしてご理解をいただきながら、スピード感を持って確実に準備を進め、大会成功への道を築き上げていきたいと考えております。
 そして同じく、国の費用負担についてのご質問がございました。
 大会開催に向けましては、多様で、そして膨大な業務がございます。国は、当然担うべきセキュリティー対策などに尽力することはもちろん、会場が所在する自治体への支援など、果たすべき役割は極めて大きいものがあると考えます。
 また、二〇二〇年大会は、世界に向けて、東京だけでなく、日本全体をアピールする絶好の機会でもございます。
 国に対しましては、これまでオールジャパンでの取り組みを推進するために、平成二十三年十二月の閣議了解によります枠組みに固執することなく、財政面を含めた全面的な支援を行うように強く求めてきたところであります。
 都は、開催都市としての責任を重く受けとめまして、役割を果たしてまいります。また国においても、しっかりその役割を果たされるように期待をしております。
 そして、組織委員会への都の関与についてのご質問がございました。
 組織委員会の理事は現在三十五名、うち都の執行機関から二名、都議会から二名が選任をされているほか、評議員六名のうち二名が都の職員でございます。
 組織委員会の副会長が一名、そして評議員二名の合計三名は、東京都の副知事でございます。都の立場から意見を伝えて、重要な事項の決定に関与させているところでございます。
 組織委員会には、役員だけでなく、要所要所に局長級を初めとする多くの職員を派遣いたしております。大会準備に主体的、積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後、理事会、評議員会などの場を通じまして、さらにしっかりと都の意向を組織委員会の運営に反映させてまいります。私も開催都市の長としての責任を積極的に果たして、大会準備を加速してまいります。
 組織委員会へのチェックの仕組みについてのご質問がございました。
 二〇二〇年大会の経費は、一兆六千億円から一兆八千億円と見込まれております。これを上限額として、さらにコストを縮減していくには、計画、予算、執行の各段階におきまして、強力なチェック体制を確立することが必要であります。
 そのために、都、国、組織委員会の三者が常に緊密に連携をして、効率的な調達の実施や統一的に執行をチェックして、マネジメントできる体制を構築してまいります。
 大会運営面での計画づくりから、仮設施設の整備などの具体的な業務執行に至るまで、しっかりと組織委員会に対しまして関与していくとともに、大会準備の各段階におきまして、丁寧に都民に対して説明を行ってまいります。──失礼(発言する者あり)風邪ではありません。
 三者協議も含めまして、都が先頭に立ってガバナンスを強化し、関係者一丸となりまして、大会の成功に向け、準備を加速してまいります。
 被災三県の訪問と復興五輪についてのご質問がございました。
 昨年十一月に福島県、今月には宮城県、岩手県を訪れ、沿岸部を中心といたしまして復興状況をみずからの目で見るとともに、現地の方々からも直接お話を聞き、三県の知事とも意見交換をしてまいりました。
 震災から六年がたとうとする中、被災地の方々の懸命な努力によって、復興は着実に進んではいるものの、いまだ途上であります。引き続き支援が必要であるということを肌で感じてまいりました。
 また、各県を訪問いたしました際に開催したフラッグツアーイベントにおきましては、参加する子供たちの笑顔に触れることができました。東北の未来を担っていく世代に元気を届けエールを送ることが、復興オリンピック・パラリンピック実現に向けての大きな力になると確信をしたところであります。
 二〇二〇年は、震災後十年目に当たります。引き続き被災地のニーズを踏まえまして、復興を後押しするとともに……。(発言する者あり)大丈夫です。東北の方々の元気になっていく姿を世界に広く発信していきたいと考えております。
 今後とも、復興なくして大会の成功はないということを常に念頭に置きまして、二〇二〇年大会の成功に向けて全力で取り組んでまいります。
 私立高等学校等特別奨学金の拡充についてのご質問でございます。
 現在、私立高校等への就学に対しましては、保護者への一定の支援制度が設けられておりますものの、教育費の公私間格差は依然として大きいままでございます。
 家庭の経済状況の格差が将来の希望を閉ざすことがあってはなりません。教育費の負担軽減は、人への投資につながります。重要な施策であるというご指摘は、全く同感でございます。
 そこでこのたび、都内の高校生の約六割が私立に在学するという私立学校が公教育に果たす役割を踏まえまして、できるだけ多くの世帯の保護者の経済的負担を軽減することといたしました。
 具体的には、現在、都の特別奨学金の支援対象となっております年収約七百六十万円未満の世帯に対しまして、国の奨学金支援と合わせまして、平均授業料額まで支援できるよう、特別奨学金の支給額を大幅に拡充いたします。
 教育への投資はまさに未来への投資でございます。東京の未来を担う人に焦点を当てました支援を拡充し、誰もが個性と能力に応じて希望する教育を受けられる環境を整えてまいります。
 女性の視点を生かした防災対策についてのご質問が続きました。
 首都直下地震の発生が懸念されるここ東京におきましては、想定外の事態が起きても対応できるよう、大きなハード整備だけでなくて、被災者の目線に合わせた備えを行うことは極めて重要でございます。
 そのためには、避難所での授乳や着がえの問題など、細やかな配慮の必要性に気づくことのできる、女性ならではの視点を生かしながら、よりきめ細かな災害対策を進めていかなければなりません。
 私は、こうした課題をしっかりと受けとめまして、防災分野でも女性の力を存分に生かしていく所存でございます。
 そこで、ご提案もいただいておりました、来年度、女性の視点からまとめました防災のノウハウや、液体ミルクの活用の話も盛り込みまして、誰もが自然体で、日ごろより災害の備えに取り組めますよう……(「地震だね」と呼ぶ者あり)落ち着きましょう。──また状況に応じまして対応させていただきます。
 改めまして、来年度でございますが、ご提案もいただいておりました、女性の視点からまとめた防災のノウハウ、液体ミルクの活用の話も盛り込みまして、誰もが自然体で、日ごろから災害の備えに取り組めるよう、新たな防災ブックを作成いたします。
 また、防災対策に女性の視点をより反映させるため、地域や企業などの防災活動の中核となる女性防災リーダーの育成を始めてまいります。
 防災分野でも女性が活躍する取り組みを進めまして、安全、安心、元気なセーフシティーを実現してまいります。
 また、ただいまの地震につきましては、情報が入り次第、皆様方にもお伝えしたいと考えております。
 長時間労働の改善についてのご質問でございます。
 誰もが活躍できる持続可能な社会を表現するためには、長時間労働は当たり前という認識を社会全体で改める必要がございます。
 このため都庁では、隗より始めよとの認識のもと、職員が生活と仕事を両立できる職場づくりに向けまして、私を筆頭といたしまして、管理職全員、イクボス宣言を行ったところでございます。
 さらに、毎日遅くとも二十時には退庁することを基本ルールといたします二十時完全退庁を突破口に、残業ゼロを目指しまして、職員の意識改革はもとより、仕事の進め方自体の改革にも取り組んでおります。
 また、民間企業に対しましても、長時間労働の削減など働き方を見直す取り組みを力強く応援しております。今年度、働き方改革に取り組むと宣言する企業は、千社に達する見込みでありまして、今後、二〇二〇年度までに五千社を目指してまいります。
 一人一人の力を一〇〇%引き出して、社会全体の生産性を高めていくため、民間企業も巻き込んだ働き方改革のムーブメントを先導してまいります。
 テレワークの普及についてのご質問がありました。
 ようやく日本でも働き方を見直す機運が生まれてきたと感じます。私は、テレワークの推進を働き方改革の起爆剤にしたいと考えております。
 テレワークは、企業における生産性の向上、労働者のライフワークバランスの実現にも資するものでございます。近年では、テレワークを導入する企業は増加傾向にあるものの、その割合は二割に満ちておりません。
 私も先日のライフ・ワーク・バランスフェスタでオンライン会議を体験し、離れていても円滑にコミュニケーションがとれることを実感したところでございます。こうしたテレワークの活用方法や企業、従業員にとってのメリットをわかりやすく伝えていくことが必要と感じております。
 このため、来年度、国と連携をいたしまして、テレワーク推進センターを開設して情報提供や相談、さらには体験といったサービスをワンストップで提供いたしてまいります。
 また、サテライトオフィスの利用など、さまざまな形態のモデル事業を通じまして、業種や企業規模に応じた活用策を検証して、事例を広く発信するとともに、企業への費用助成を行うことで、テレワークの導入を促進してまいります。
 こうした取り組みによりまして、テレワークの普及を図り、東京から働き方改革を牽引してまいります。
 スマートシティーについてのお尋ねがございました。
 家庭におけます省エネ対策についてでございますが、家庭への省エネ対策を進めるに当たりましては、今の生活に少しの工夫を加えるだけで省エネ効果が得られることを都民にわかりやすく伝えて、行動を促すことが重要でございます。
 このため、家庭の電力の約二割を消費している照明に着目いたしまして、来年度、都民に身近な地域家電店などと連携をして、白熱電球からLED電球への交換促進事業を行います。多くの家庭で実際に利用してもらいまして、LEDの普及の一層の推進を行います。
 交換に当たりましては、賢い節電方法などを記載いたしましたリーフレットなどを活用しながら、省エネアドバイスを行って、家庭におけるさらなる省エネ行動につなげてまいります。
 また、あわせてPRイベントの実施とともにSNSの活用、動画の配信などによりまして、LEDのすぐれた点を発信するための戦略的な広報を考えております。
 これらの広報活動については、私自身も積極的にかかわって、多くの都民の皆様に直接お訴えをしてまいります。
 こうしたLED照明を広く浸透させる取り組みを手始めといたしまして、都民の省エネに対する意識改革を促して、東京から省エネムーブメントを起こしてまいりたいと存じます。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 監理団体の改革についてのご質問がございました。
 私の目指す都政とは、セーフシティー、ダイバーシティー、そしてスマートシティーの三つのシティーの実現を通じて、都民一人一人が希望を持てる新しい東京をつくり上げることでございます。
 都庁とともに、その実現に向けた重要な役割を担うのが、都政の現場を支える監理団体でございます。だからこそ、都庁の体質を変える都政改革と軌を一にした改革が監理団体にも求められるところでございます。
 都はこれまでも、監理団体改革を行財政改革の大きな柱の一つに据えて、団体の統廃合を初め、役員退職金制度の廃止など、さまざまな改革に取り組んでまいりました。
 また、私が知事に就任して以降も、都政改革本部におきまして監理団体の指導監督をテーマの一つに据えるとともに、改革の一丁目一番地である情報公開の推進、経営目標評価制度の見直し等の新たな改革に既に着手をいたしております。
 今後、二〇二〇改革プランの策定作業をことしの四月から始めます。官民の適切な役割分担、監理団体の戦略的活用、執行体制の見直しなど、新たな行政改革に取り組んでいく予定でございまして、監理団体のあり方について必要な検証を進めて、都庁の改革とともに、新しい東京の実現を支える監理団体の改革を推進してまいります。
 指定管理者制度についてもご質問がございました。
 効率性や柔軟性にすぐれた民と公共性や安定性を有する官とがそれぞれの特徴を生かして知恵を持ち寄り都政を前進させることが、私が目指す新しい東京につながっていくと考えております。
 この制度は、公の施設の管理運営において、民間の創意工夫を生かして住民サービスの向上と経費の節減を図ります仕組みの一つであると認識をしております。
 都におきましては、平成十八年度にこの制度を導入して、これまで都民サービスの向上などに資するさまざまな運用改善に努める中で、政策連動性及び管理運営の特殊性が高い施設などに、都の施策実施の現場を担う監理団体も積極的に活用してきたところでございます。
 一方で、制度導入から十年がたち、この制度を取り巻く社会経済環境は大きく変化しております。改めて検証を行った上で、改善すべきところは改善することが重要と考えます。
 今後、新たな行政改革に取り組んでいく予定でございますが、この中で指定管理者制度につきましても、その運用のあり方につきまして、都民ファースト、賢い支出の観点から検証を進めてまいります。
 監理団体などへの退職者の再就職についてのご質問でございます。
 職員の再就職について、都民から公正な都政の運営が損なわれるといった疑念を持たれることがあってはなりません。
 都はこれまでも、再就職情報を一元管理する都庁版人材バンクを独自に設置するとともに、昨年の四月には退職管理条例を施行し、外部の有識者で構成されます退職管理委員会を新たに設置、運用しながら、再就職のより一層の公正性、透明性の確保に努めてきたことは皆様ご存じのとおりでございます。
 また、都は監理団体を都政の現場を支えるパートナーと捉え、団体運営のかなめとなる経営層に都退職者を推薦するなど、都のガバナンスを確保し効果的な事業展開を図ることにより、都政全体の執行力強化に努めてきましたが、今後新たに取り組んでいく行政改革において、各種団体も含めました幹部職員の再就職についても、監理団体のあり方とともに、都政改革と軌を一にして必要な検証を進めてまいります。
 先ほど大変お聞き苦しい点がありましたことをおわび申し上げます。
 また、その他の質問については、警視総監、教育長、東京都技監、関係局長からご答弁させていただきますが、今の地震についての何か情報は入っておりますので、それについてもお伝えをさせていただきます。
 ありがとうございました。
〔警視総監沖田芳樹君登壇〕

○警視総監(沖田芳樹君) ご質問に先立ちまして、先ほどの地震に関しまして、若干ご報告をいたします。
 これは、あくまでもニュース等のマスコミ報道でございますが、宮城南部と福島県浜通りで震度五弱ということでございます。東京につきましては、震度二でございまして、現地の方では津波のおそれは今のところないということでございます。
 また、都内一一〇番等、警察に対する被害の申告は今のところないという状況でございます。
 以上、ご報告いたします。
 続きまして、ご質問でございますが、二点のご質問にお答えいたします。
 まず、防犯カメラに関しての東京都を初めとする自治体などに対する働きかけについてですが、警視庁では東京都の関係部局に対して、町会等が設置する街頭防犯カメラの設置費用を補助する制度の拡充のほか、東京都が管理する場所への街頭防犯カメラの設置についても働きかけを行っているところでございます。
 また、区市町村に対しては、管轄する警察署を通じて東京都に対するものと同様の働きかけをしているほか、街頭防犯カメラの設置を検討している町会、商店街等に対して、犯罪発生状況を踏まえた設置場所、適正な運用方法について助言をいたしております。
 今後とも、東京都青少年・治安対策本部を初めとする関係部局等と連携し、自治体や地域の方々に対して設置促進に向け積極的な働きかけを行い、東京二〇二〇大会等、将来に向けた安全・安心社会の重要インフラの構築に努めてまいります。
 次に、災害用定点カメラについてですが、システムの概要につきましては、テロ及び災害などの非常事態が発生した場合に、足立区から警視庁本部等に対し設置している災害用定点カメラのリアルタイム映像の提供を受けるものとなっております。
 映像の活用方法といたしましては、これらの映像により早期に現場の状況を把握して迅速な救出救助を行うとともに、被害の拡大防止、住民の避難誘導などの活動を効果的に推進することに役立ててまいります。
 今後とも、自治体を初め、民間事業者、地域住民等と緊密に連携し、官民一体となった、テロや災害に強いまちづくりを推進してまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) オリンピック・パラリンピック教育における夢・未来プロジェクト事業についてでございますが、子供たちがオリンピアン等との交流を通じて、オリンピック・パラリンピックの感動や価値を直接学ぶとともに、夢に向かって努力したり、困難を克服する意識を高めることは、教育上大きな意義がございます。
 このため、都教育委員会は、オリンピアン、パラリンピアン等を学校に派遣する本事業を昨年度から開始し、既に延べ三百三十二校で実施してまいりました。本事業は、学校のニーズも高く、区市町村等が独自に実施する類似事業は既に都を上回る規模になっており、大きな広がりを見せております。
 今後、都教育委員会は、派遣規模を本年度の二百二十校から来年度は三百校に拡大するとともに、二〇二〇年までに区市町村等による派遣分も含めて、希望する都内全公立学校で実施できるよう取り組んでまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、ホームドアの整備についてでございます。
 利用者の安全性確保のため、ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
 このため、都としても、国や地元区市とともに、利用者十万人以上のJRや私鉄の駅を対象として補助を実施してございます。競技会場周辺駅については、利用者の規模によらず、都が区市の負担分も補助しており、来年度からは同様に空港アクセス駅にも対象を拡大いたします。
 これにより鉄道各社とも取り組みを加速させておりまして、JRでは千駄ヶ谷や神田など二〇二〇年までとしていた二十駅について整備を前倒しすることを今月公表してございます。
 二〇二〇年東京大会開催に向けて鉄道の安全性をさらに高めていくため、国や地元区市とも連携して、事業者の取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、都営住宅への防犯カメラの設置についてでございます。
 これまでエレベーター内については、構造上、他の共用部と比較して周辺からの見通しが確保できないため、都営住宅の居住者の安全・安心の観点から、都として防犯カメラの設置を行ってきてございます。
 一方、駐輪場などの整備に当たっては、見通し確保に十分留意してきてございますが、申し出があった場合には、都は照明の増設などの協力を行った上で、自治会による防犯カメラの設置の承認をしてございます。
 お話の防犯上の要請に基づくカメラの設置については、プライバシー保護や居住者の合意形成、経費負担などの課題を含め、対応について検討を行ってまいります。
 次に、分譲マンションの耐震化の促進についてでございます。
 都は、管理組合への個別訪問による普及啓発、アドバイザー派遣や耐震化助成を行う区市に対する財政支援などの取り組みを実施してございます。
 これらを通じて、管理組合の課題は、居住者の高齢化や費用負担などにより合意形成が難しい、建てかえも検討したいなど多岐にわたることが明らかになってございます。
 来年度からは、アドバイザー派遣について、管理組合が状況に応じた助言を受けられるよう、建築士に加えてマンション管理士や再開発プランナーなどを助成の対象とし、さらに補強設計について助成単価を約二倍に引き上げ、改修工事については、一戸当たりの助成限度額の撤廃をいたします。こうした取り組みによりまして、今後とも、マンションの耐震化を積極的に促進してまいります。
 最後に、糸魚川市の大規模火災の検証についてでございます。
 国は、被災直後に専門の研究員を現地に派遣して調査を行っておりまして、準耐火建築物の焼失の有無を含め、延焼拡大の要因などについて、現在、総合的に検証を進めてございます。
 準耐火建築物とは、火災による熱に対して壁や柱などが一定時間耐える性能を持つ建築物でございます。
 都は、平成十五年に全国に先駆けて、建築物をその規模によらず準耐火建築物以上とすることを義務づける新たな防火規制を導入し、不燃化特区の全域で指定し、準耐火建築物などへの建てかえを促進してございます。
 今後、国の検証結果などを踏まえた上で必要に応じて対策を講じ、引き続き安全・安心な都市の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 築地市場跡地の売却価格についてでございますが、築地市場の土地のうち、環状二号線用地につきましては、一般会計への有償所管がえを予定しておりまして、既に対象用地の土地評価を行い、移管概算額を三百七十億円と算定しております。
 このため、市場問題プロジェクトチームに示した市場会計の収支では、この移管概算額の平米当たりの単価を用いまして、当該用地以外の跡地処分収入額を四千三百八十六億円と試算いたしました。
 また、試算に当たりましては、土地処分に際して一般的に考慮すべき土壌や埋蔵文化財の調査費用等も加味しておりまして、現時点で想定される処分収入額として示したものでございます。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) パラリンピックを見据えた大会準備についてでございます。
 二〇二〇年大会の成功のためには、常にパラリンピックを念頭に置いて進めていくことが重要であります。
 都は、パラリンピック競技大会イベントなどによる開催機運の醸成やアクセシビリティ・ガイドラインの策定など、大会時におけるハード、ソフト両面のバリアフリー化の推進に取り組んでおります。
 今後、選手や観客の輸送、ボランティアの育成、標識、サインなど全ての準備が本格化する中、あらゆる分野でパラリンピックの視点を十分に取り入れてまいります。
 このため、今般、パラリンピック担当の理事を新たに設置するとともに、四月からは予算や組織体制を充実させ、二〇二〇年大会の準備に全力で取り組んでまいります。
〔生活文化局長中嶋正宏君登壇〕

○生活文化局長(中嶋正宏君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別奨学金の通信制高校への適用についてでございますが、私立高校の通信制課程については、施設面や教諭の数などで全日制課程と設置基準が異なり、授業料が低額であることから、特別奨学金の対象としてはまいりませんでした。
 そうした中、通信制課程は、不登校や進路変更を行った生徒が学び直す機会を提供することなど、近年、多様な学習ニーズに応える高校としての役割を果たしてきております。
 一方で、通信制課程は、学ぶ環境や授業形態が多様であり、授業料につきましても、年額制や単位制など各学校や通うコースにより異なるほか、在籍する生徒の年齢や生活実態もさまざまでございます。
 通信制高校への適用には、こうした状況に対応した制度設計を行う必要があり、今後、その詳細な実態をしっかりと調査してまいります。
 次に、特別奨学金の今後のスケジュール等についてでございますが、今回の拡充が新年度から速やかに実施できますよう、都としては、対象者に対しまして迅速かつ十分な周知を行ってまいります。
 具体的には、四月に入って直ちに全ての生徒、保護者に学校を通じてリーフレットを配布するとともに、都のホームページ等でも周知を行います。
 個々の保護者への支給に当たりましては、これまでのスケジュールにのっとり、六月に学校を通じて詳細な手続方法をお知らせし、所得等の審査を行うため、六月末から当該年度の課税証明書を添えた申請書を受け付けます。その後、授業料額との調整などを経まして、十二月に保護者へ支給いたします。
 次に、特別奨学金の拡充と経常費補助についてでございますが、私立学校に対する基幹的補助であります私立学校経常費補助は、教育条件の維持向上、保護者の経済的負担の軽減及び学校経営の健全化を目的とするものでございます。
 経常費補助は、原則として毎年度、公立学校の決算値をもとに標準的な運営費を算出した上、二分の一の補助率を乗じて算定するものであり、各学校運営の基盤の確保に大きな役割を果たしております。生徒が質の高い教育を受けるためには、教育環境の維持向上が重要であります。
 都はこうした観点から、保護者への負担軽減策とあわせ、経常費補助の充実に努めてきており、平成二十九年度予算案においては、これまで同様の考え方で必要な額を計上しております。
 次に、特別奨学金の拡充に伴う授業料への影響についてでございますが、私立学校の授業料などの学費は、各学校が自主的に決定するものでありますが、それを変更するに当たりましては、事前に知事への届け出が必要になっております。
 学費の動向は保護者に大きな影響を及ぼすものであることから、その適正化が図られますよう、都としては、これまで値上げなどを予定している高校から事前に事情を聴取するとともに、毎年、学費の値上げ状況等の公表を行っております。
 また、私立学校経常費補助の交付に当たりましては、その評価項目の一つに学費の項目を設け、授業料が一定額を超えた場合に、その超過額に応じて交付額を減じております。
 今後とも、こうした取り組みを着実に行い、授業料の適正化を図ってまいります。
 最後に、東京都育英資金の違約金についてでございますが、育英資金貸付事業におきましては、条例に基づき、借り受け者が奨学金の返還を遅滞した場合に違約金を徴収することとしております。
 違約金の率は、平成十七年度に東京都分担金等に係る督促及び滞納処分並びに延滞金に関する条例など、公債権の延滞金に係る規定を参考に定めたものでございます。
 育英資金の返還金は、新たな貸し付けの原資となるものであり、違約金は返還意識を一層高め、滞納発生の抑止効果があると考えます。
 違約金の利率等につきましては、こうした意義を勘案しつつ、借り受け者の過度な負担感や社会経済状況の変化、国や他道府県の状況も考慮し、引き続き検討を行ってまいります。
〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市町村立公園の防犯カメラの設置支援についてですが、都では、防犯カメラの設置を契機として、地域の見守り活動が活発に展開されることを目的に、町会、自治会等における防犯カメラの設置経費を補助し、都内にはこれまで、一万台を超える防犯カメラが設置されました。
 他方、ご指摘の目黒区の碑文谷公園での遺体遺棄事件の発生等もあり、都民の身近な場所である公園における安全対策強化の要望が高まってきており、区市町村では公園の防犯カメラの設置検討が進められております。
 そこで、都では二〇二〇年東京大会も見据え、このような区市町村の取り組みを加速するため、区市町村立公園の防犯カメラの設置に関し、公園内の見守り活動を条件とした新たな補助制度を来年度から開始することで、地域における安全・安心の体制をより一層強化していくこととしております。
 次に、東京都若者総合相談、若ナビにおける相談事業の拡充についてですが、ひきこもりやニート、非行等、社会的自立に困難を有する若者の背景は複雑かつ深刻化し、これまで以上に若者への支援を充実していくことが求められております。
 このため、都は来年度から、若ナビの相談機能を拡充した東京都若者総合相談センターを開設いたします。
 新しいセンターでは、これまでの電話やメールによる相談に加え、夏からは新たに専門職を配置して来所相談を受け付け、これまで以上に若者やその家族の悩みをきめ細かく受けとめ、課題の解決に向けて取り組んでいくこととしております。
 同センターは、若者が気軽に相談できる利便性の高い場所に設置することとしており、一人でも多くの若者が夢や希望を持って社会で活躍できるよう、自立に向けた支援を積極的に実施してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 都立公園における防犯カメラの設置についてでございますが、多くの方々が訪れる公園におきまして、誰もが安心して安全に利用できる環境を整備することは重要でございます。
 これまで都立公園では、職員による園内の巡回、見通しを確保するための樹木の剪定や伐採、照明灯による明るさの確保、地元警察と連携した園内パトロールなどの防犯対策を行ってまいりました。
 しかし、都立公園では、トイレの破損や落書き、火遊びなど、都民の不安につながるような事案が散見されております。
 このため、これまでの対策の強化とともに、二〇二〇年東京大会の開催に向けて、さらに多くの来園者が見込まれることなどから、プライバシーに配慮し、地元警察と協議しながら、防犯カメラの設置について検討し、都立公園における安心・安全の確保に努めてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、障害者施設等の安全確保についてでありますが、都はこれまで、事業者説明会や開設時の現地確認など、さまざまな機会を捉え、障害者施設等の安全確保について注意喚起を図ってまいりました。
 また、今回の事件を受けまして、所管する全ての施設に対して、改めて緊急時の職員体制の整備、施設設備の点検、危機管理マニュアルの策定など、防犯等の安全管理を徹底するよう通知をいたしたところでございます。
 来年度は、利用者の一層の安全確保を図るため、入所施設、通所施設、グループホーム、短期入所等における防犯カメラや警察等への非常通報装置、電子錠、防犯ガラスなど、防犯のための施設や設備の整備を支援いたします。
 今後とも、利用者が安心してサービスの提供を受けられるよう、障害者施設等の安全確保に努めてまいります。
 次に、居宅訪問型の保育サービスの活用についてでありますが、都は現在、保育の実施主体である区市町村が、地域の実情を踏まえ、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育事業など、多様な保育サービスを拡充できるよう、さまざまな支援を行っております。
 来年度は、障害や疾病等により集団保育が困難な場合や、ひとり親家庭で夜勤がある場合などのほか、やむを得ない事由により保育所等での保育を受けることが困難な場合にも、区市町村が認可する居宅訪問型の保育サービスを積極的に活用できるよう、保護者が負担している保育者の交通費への都独自の補助制度を開始いたします。
 また、今年度から開始した認可外保育施設利用支援事業の対象に、居宅訪問型の保育サービスも加え、保護者の利用料負担軽減に取り組む区市町村も支援してまいります。
 次に、保育人材の確保に向けた取り組みについてでありますが、都は保育士が専門性を高めながら、将来を見通し、やりがいを持って働くことができるよう、現在、キャリアパスの仕組みを導入する事業者を対象に処遇改善の取り組みへの支援を行っており、昨年度の実績では保育士一人当たり月額平均約二万三千円の改善が図られております。
 来年度、国は、公定価格の充実や技能、経験を積んだ職員に四万円程度の追加的な処遇改善を行うこととしており、都は、財務情報の公表や非常勤職員の賃金改善等を行うことを条件に、モデルケースでさらに月額二万一千円引き上げられるよう、キャリアアップ補助を拡充いたします。
 また、月額八万二千円まで補助している宿舎借り上げ支援についても、昨年十一月から全職員に拡大をしており、今後とも、さまざまな人材確保策を展開してまいります。
 次に、保育士の職場復帰に向けた支援についてでありますが、保育士の確保、定着を図るためには、出産後も安心して働き続けることができるよう、保育サービスの提供など職場復帰を後押しすることが必要でございます。
 そのため、都はこれまで、未就学児を持つ保育士に対する保育料の貸し付けや、育児休業などでブランクがある方などを対象とした研修の実施などにより、保育士の復職を支援してまいりました。
 来年度からは、産休、育休明けの保育士の子供が保育所等に入所できず、認可外の居宅訪問型の保育サービスを利用する場合に利用料を補助する区市町村への支援を開始いたします。
 また、保育士の子供が優先的に保育所等を利用できるよう、区市町村に積極的に働きかけてまいります。
 最後に、学童クラブの整備についてでありますが、都は平成二十六年度から三十一年度末までに、学童クラブの登録児童数を一万二千人分ふやすことを目標に、施設の新設や改築、小学校の余裕教室など、既存施設を利用する場合の改修に係る経費の補助を行っております。
 また、民家、アパート等の賃貸物件を活用する場合の賃借料補助を行いますとともに、今年度から、借地料や受け入れ児童数をふやすための移転費用も新たに対象としております。
 来年度は、学童クラブを整備するまでの緊急対策として、児童館等に専任職員を配置し、学童クラブを希望しても利用できない児童や、夏休みなど長期休暇期間のみ利用する児童を受け入れる区市町村の取り組みを包括補助で支援することとしておりまして、今後とも学童クラブの整備を積極的に支援してまいります。
〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 糸魚川市大規模火災を踏まえた対応についてでありますが、東京消防庁では、木造住宅密集地域において火災が発生した場合には、迅速に必要な消防部隊を集結させ、早期に消火する体制を整えております。
 また、強風時には、さらに消防部隊を増強するとともに、飛び火に対する警戒活動等を効果的に実施することとしております。
 今後とも、当庁も参加している国の検討会の動向等を踏まえるとともに、発生が危惧されている首都直下地震等に備えるため、大量放水資器材を初めとする各種装備の充実や消防隊員の教育訓練を徹底するなど、大規模火災への対応に万全を期してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 都有地を活用した保育施設の整備についてのお尋ねでございます。
 都は、都有地活用推進本部を設置し、警視庁や東京消防庁を含め、全庁的に都有地を洗い出し、今月、財務局の未利用地とあわせ、保育所等として活用可能性のある二百二十八件の都有地の情報を区市町村に提供いたしました。
 今後も、各局等に強く働きかけ、新たに未利用地となる土地を含め、精力的に都有地を洗い出し、年四回程度、きめ細かく最新の情報を区市町村に提供するなど、待機児童解消に向け、都有地を活用した保育所等の整備推進に積極的に取り組んでまいります。
〔主税局長目黒克昭君登壇〕

○主税局長(目黒克昭君) 保育所等に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置についてでありますが、この措置は、待機児童の解消に向け、民有地を活用した保育所等の整備促進を税制面から支援するため講じるものでございます。
 対象となる土地の要件は、二十三区において、認可保育所、認証保育所など、一定の保育所等の用途に供されていること、保育所等の設置者に有料で貸し付けられていること、さらに、一定の期間内にご指摘の定期借地権を含め、当該土地に係る賃貸借契約を新たに締結し、かつその契約締結後に保育所等を新規開設することとなってございます。
 これらの要件に該当した場合、土地の所有者の固定資産税等を五年度分、十割減免するものでございます。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域における固定資産税等の軽減による保育所整備の支援策についてですが、本支援策をどう実施するかは、課税権を有する各市町村が独自に判断するものでございますが、これまで都は、市町村も含めた東京全域において待機児童解消が進むよう、軽減措置の導入について各市町村長に理解と協力を求めてまいりました。また、市町村の判断に資するよう、税務担当者向けに説明を行っておりました。
 今後、必要に応じて特別区における取り扱いを定める要綱等の情報提供を行ってまいります。
 あわせて、市町村における導入状況を踏まえるとともに、その課税自主権にも配慮しつつ、適切な財政補完に努めてまいります。
 次に、都立施設の防災備蓄食品の有効活用についてですが、都立一時滞在施設では、来年度後半に備蓄食品の賞味期限を迎えます。発災時には、さまざまな人が帰宅困難者となることが想定されることから、更新を迎える備蓄食品を有効活用した試食機会を設けるなど、都民の多様なニーズの把握に生かしてまいります。
 また、更新の機会を捉えて都民の防災意識の向上を図ることも重要です。今後、防災訓練や各種防災イベント等で配布し、家庭における食品備蓄の必要性や賞味期限に対する普及啓発を進め、都民の防災意識の向上につなげていきます。
 都立施設における防災備蓄食品を有効に活用することで、防災施策の充実と食品ロスの削減を図ってまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京大会における3Rの推進についてでございますが、二〇二〇年大会は、持続可能な資源利用に向けた取り組みを世界に広く発信する機会でもあることから、大会の運営において3Rを推進し、大会で一時的に使用したスポーツ器具や設備等の有効利用を図っていくことが極めて重要でございます。
 そのため、これまで国内外で開催された競技大会やイベント等における使用済み物品のリユースやリサイクルに関する取り組み状況について調査を行うとともに、その結果をもとに、使用済み物品を総合的に管理する仕組みの検討を始め、組織委員会の取り組みをサポートしてまいります。
 大会で使用された物品を大切に長く活用するとともに、大会後もこの3R推進の仕組みそのものをレガシーとして社会に定着させてまいります。
 次に、食品ロスの削減についてでございますが、都では、これまでも持続可能な資源利用に向けたモデル事業を実施し、消費者に食品ロスの問題を知ってもらう広報の展開などに取り組んでまいりました。
 また、このたび賞味期限の迫った防災備蓄食品約六十七万食につきまして、都民や社会福祉団体等の協力を得て、先週末までに無駄にすることなく全ての配布を完了できたところでございます。
 食品ロスに対する都民の関心は高まっており、今後は流通、小売段階における食品ロスの削減に向けて実態調査を行い、関係事業者等から成るステークホルダー会議を立ち上げ、新たな仕組みにつきまして検討してまいります。
 こうした取り組みなどを通じて、二〇三〇年度までに食品ロス半減を達成する食品ロス削減東京方式の確立を目指してまいります。

○副議長(小磯善彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時三十二分休憩

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