平成二十九年東京都議会会議録第二号

○議長(川井しげお君) これより質問に入ります。
 百十三番高木けい君。
〔百十三番高木けい君登壇〕

○百十三番(高木けい君) 平成二十九年第一回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 ここ数年、世界も我が国も政治の急激な変化の中に置かれています。中東の不安定化と大量の移民問題が一つのきっかけとなって、ヨーロッパもアメリカもますます内向き志向を強めております。
 大手銀行系シンクタンクは、そうした国際社会の中で唯一の政治的希望は、我が国の政権が長期的に安定していることと分析しております。
 ことし、我が国は、安定政権のもとで、デフレ脱却やアベノミクスの着実な前進に向け、どのように飛躍を遂げられるのかが問われており、東京も例外ではありません。東京都政にかかわる私たちは、混沌とする時代の周辺環境の変化に機敏に対応していくことが求められます。
 ダーウィンの進化論にあるように、生き残るのは強いものでも賢いものでもなく、変化に対応できるものであり、変わらないためには変わることが必要であるともいわれます。私たちは、変化に流されるのではなく、みずから積極的に改革していくことこそ重要であります。
 都政もそうあらねばならず、保守政党である私たち自由民主党は、我が国の歴史と伝統の中に秩序ある進歩を求める、この保守の基本理念のもと、ことしも都政の着実な前進と不断の改革に邁進していくことをまずお約束申し上げたいと思います。
 さて、東京都議会は、今定例会開会日の去る二月二十二日、議員報酬の二〇%削減、政務活動費の月額十万円の減額、実費を含めた費用弁償の全廃等、議会改革案の新年度からの施行を全会一致で可決し、新たなスタートを切りました。
 私たちは、多くの課題を抱える都政の推進は、都民の信頼なくしては果たせないとの考え方から、議員みずからの待遇を引き下げ、今後の都政改革の実を上げる決意の象徴として、議員報酬等の削減を決めました。
 一方で、このことが議員と議会の単なる自己満足に終わってはならないと考えます。つまり、議員報酬二〇%削減、政務活動費の月額十万円の減額、実費を含めた費用弁償の全廃などの歳出削減の努力が、直接的、間接的に都民生活、都民福祉の向上に結びつかなければなりません。
 都民生活、都民福祉の向上とは、政策の充実によって都民ニーズを実現していくことにほかなりませんが、例えば、少子化、高齢化対策における保育や介護基盤の拡充などは、喫緊の課題として新年度予算で既に着実に取り組まれております。
 そこで、私たち東京都議会自由民主党は、直接都民生活、都民福祉の向上につながる新たな政策シリーズを準備し、本日はその第一弾として、個人都民税の一〇%減税を知事に提案いたしたいと思います。
 都の個人都民税収入額は、ここ数年、単年度で約八千八百億円。したがって、一〇%減税で年間約八百八十億円の減税となります。
 議員報酬等の削減だけでなく、知事も給与を削減しており、さらに新年度予算編成に当たっては、七百二十億円もの歳出削減が行われていますので、その成果を直接都民に還元することは、まさに改革の成果を直接都民に体感していただき、結果として都民生活、都民福祉の向上につなげることができると考えます。
 さらに、平成三十一年度からは消費税が一〇%に引き上げられ、三十三年度からの平年度化を見据えれば、地方消費税は都において、平成二十九年度見込みと比較しておよそ二千億円の増収と試算され、加えて都は、今後、知事が示した実行プランにおいて、東京のGDPを百二十兆円に引き上げる目標を持っていますから、都税収入はさらに増加することになります。
 東京都は全国でも数少ない不交付団体であり、不断の歳出削減の努力も続ければ、強固で持続可能な財政基盤を堅持しつつ、個人都民税の一〇%減税は確実に実現可能な目標と考えます。
 また、減税は消費拡大の呼び水ともなり、GDP百二十兆円に向けての後押しになるだけでなく、デフレマインドの払拭にも寄与します。
 知事の示した東京大改革は、議会と知事が一体となって努力した歳出削減の成果が、直接都民に実感され体感される政策として、つまり、政治の努力の成果が直接都民に還元されるものであってほしいと私は思います。まさにそれが東京大改革の基本理念であるべきと考えます。個人都民税の一〇%減税について、知事の所見を伺います。
 続いて、本定例会に提出された来年度予算の前提となる、二〇二〇年に向けた実行プランについてお伺いいたします。
 四年前の都議選で、我が党は、東京を世界で一番の都市にすることを約束し、都民の皆様から厚い信任をいただきました。この約束を実現するため、我が党は、政策推進総本部を立ち上げ、議員全員による議論、研究を重ね、これまで三度にわたり知事への政策提言を行い、我が党の提言を踏まえた東京都長期ビジョンが策定されました。
 あわせて、三百四十八項目に及ぶ重要政策について継続的な進行管理を行い、政策の達成度を精査し、執行機関をただしてまいりました。
 昨年十二月に小池知事が公表した都民ファーストでつくる「新しい東京」二〇二〇年に向けた実行プランは、この東京都長期ビジョンの方向性を継承しつつ、その取り組みを進化、加速させるものとして、これまで我が党が提言してきた政策のほとんどが反映されております。
 今後、このプラン実現に向け、私たちも知事とともにしっかりと責任を果たしてまいります。
 そこで、今後、実行プランにおけるさまざまな取り組みを迅速かつ着実に推進していくためには、プラン・ドゥー・チェック・アクションのPDCAサイクルを確実に機動させ、適切な進行管理を行っていくことが欠かせないと考えますが、実行プランを具体的にどのように推進していくのか、知事の所見を伺います。
 例えば、実行プランの中で、先ほども取り上げた東京のGDPを百二十兆円に引き上げる成長戦略について、知事はどのような具体策をお考えでしょうか。
 国は昨年、日本再興戦略二〇一六で、二〇二〇年を目途に名目GDP六百兆円を目指すことを表明いたしました。現在、国のGDPは約五百兆円ですから、二〇%増の目標であります。一方、都のGDPは現在約九十五兆円。したがって、百二十兆円とは約二五%増を目指すことになります。国が六百兆円を目指すに当たって、都の牽引力は不可欠であり、地方創生と相まってぜひ達成してほしい目標であります。
 そこでまず、知事は、いつまでにGDP百二十兆円の達成を目指しているのか、目標年次をお伺いいたします。
 経済の規模が大きくなればなるほど、成長率が小さくなるのは理の当然であり、国も都もこれだけの大きな経済力を持つに至った現在、その規模を拡大していくのは容易なことではありません。ましてや、二〇二五年をピークに、都も人口減少社会に入るといわれております。GDPとは付加価値の合計であり、簡単にいえば粗利の合計であります。
 それを国は二〇%、都は二五%ふやす目標ですから、容易なことでないのは誰の目にも明らかであります。それでも国は日本再興戦略二〇一六をつくり、政策の内容を明らかにしておりますが、都においては、いまだ体系としてのそうした基本戦略が見当たりません。
 そこで知事は、その目標に向かって、現在どのような施策体系を考えているのか、お伺いいたします。
 また、新年度予算編成において、GDP百二十兆円に向けての取り組みは、どの施策にどのように反映されたのか、お伺いいたします。
 都は、GDP百二十兆円に向けた基本戦略を早急につくるべきと考えます。見解を伺います。
 実行プランに関連して、知事が所信表明で言及された二〇二〇改革プランについてもお伺いいたします。
 都が現在の強固な財政基盤をつくり上げることができたのは、石原都政時代に、都議会とともに途切れることなく行財政改革にしっかり取り組んできたからにほかなりません。行財政改革は、自治体にとっては常に念頭に置かなければならない課題であり、新年度から新たに改革プランをつくることは時宜にかなったことと考えます。
 私の知る限り、明治維新で東京府ができて以来の首都東京において、最も大胆に行財政改革を行ったのは、第四代東京府知事由利公正であると思います。青山やすし元副知事の書かれた「痛恨の江戸東京史」によれば、由利は明治四年七月、廃藩置県の十日後に東京府知事に就任し、新政府の首都東京はこのままでよいのかと内務卿大久保利通に迫り、大久保の許可を得て、当時東京府庁にいた九百人余りの官吏を三百人弱に減らしたといわれております。
 民間にとって役所の許認可などの意思決定の速度は、時として死活問題であることを見抜いていた由利の考えは、極めて明快で、役人の数が多過ぎるから意思決定が遅いのだ、減らせば早く決まるというものでありました。
 由利は市民からの訴えについて、午前中に出されたものはその日の午後のうちに処理することを原則とし、やむを得ない場合でも、三日以内に結論を出すことを決め、府庁に代書人を二人常駐させ、無料で書類作成をさせるなど、市民サービスの向上も図り、さらに、官吏には、事務処理のスピードを上げさせるため、その日に処理すべき仕事が終わったら、時間前でも役所を退出してよいことにしたとのことであります。先日始まったプレミアムフライデーの先駆けのような考え方だったのかもしれません。
 由利の着眼点のユニークさは、官吏を減らすことに主眼を置いたことではなく、市民サービスの向上とは、意思決定のスピードを上げることと考えたことにあります。
 行財政改革は、ともすると職員定数を減らすことに終始しがちですが、都政は事務系、技術系を問わず、適正な職員の数をもって、都民に高い行政対応能力で貢献することが第一でなければなりません。
 明治初期と現在の政治行政の環境は違いますが、これは政治行政機構の変わらぬテーマであり、都政の先達としての由利の業績は、私たちに改革への勇気と新しい発想を与えてくれる可能性があります。これから知事が行おうとしている二〇二〇改革プランの策定にも参考になるかもしれません。
 そこで、知事のイメージする行財政改革のプランはどのようなものなのか、また、そのプランの実効性を担保するための手法と組織はどのようなものなのか、お伺いいたします。
 続いて、知事の財政運営及び平成二十九年度予算案の全体像について伺います。
 先般発表された平成二十九年度予算案は、一般会計、特別会計、公営企業会計ともにマイナス予算となりましたが、全体としては、我が党の要望を多数取り入れ、充実した予算編成になったと評価しています。
 予算は、政策の裏づけであり、知事の方針を体現するものです。私たちが平成二十九年度予算案を充実した予算編成と評価している理由は、例えば、平成十九年度から私たち都議会自民党の提案によってつくられた地域の底力再生事業の有効性をご理解いただき、二十九年度からは、地域の底力発展事業として予算額も二五%増額していただいたこと、また、当初予算を待たずに、二十八年度最終補正予算案において、市町村総合交付金を十億円増額していただき、ついに五百億円台まで引き上げていただいたことなど、私たちのかねてからの主張を的確に取り入れていただいたことによります。
 各分野におけるそうした項目は枚挙にいとまがなく、個別の予算項目については予算特別委員会でしっかりと議論したいと思いますが、二元代表制における知事と議会の制度的な役割分担が、新年度予算では十分に機能し、結果が反映されたと思っております。
 知事が目指す都民ファーストと、私たち都議会自民党が自負する都民の与党の意味合いに、私はそれほど違いがあるとは思えないと一貫して申し上げてまいりましたが、二十九年度予算案の中身は、まさに都政の大義である都民の幸せを実現するという目標において、その基本となる方向性に違いがないことを証明しました。
 そうした目標の実現には、強固で持続可能な財政基盤が必要であります。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会の成功と、その先を見据え、健全な財政運営に努めながら、東京が直面する課題解決に迅速に取り組むため、知事は、平成二十九年度予算編成にどのような思いを込めたのか、また、知事が最も重視した点は何か、お伺いいたします。
 続いて、豊洲市場について伺います。
 昨年の第三回定例会で、私は豊洲市場の安全性に関して、主に用地と建屋の二点について質問いたしました。
 用地の安全性については、環境局長から、豊洲市場用地の土壌につきましては、特定有害物質による汚染の把握や健康被害の防止に関する措置を定めた土壌汚染対策法上の対策が的確に実施されているものと考えておりますとの答弁をいただき、建屋の安全性については、都市整備局長から、建築基準法に基づき審査し、ダブルチェックの観点から、都のみならず、構造計算の適合性判定を行う第三者機関においても、耐震性を含め構造上の安全性を確認してございますとの答弁をいただきました。
 つまり、用地も建屋もそれぞれ法律上の安全性について要件を満たしているとのことでありました。しかしその後、用地については、九回目の地下水モニタリングにおいて環境基準値を大幅に上回る数値が出たことから再度疑惑の目が向けられ、土壌汚染対策工事の効果すら疑われる事態となりました。
 これは都民に正確な情報が伝わっていないからだと感じております。つまり、正確な情報とは、第一に、専門家会議の平田座長が何度も言及されているように、用地の地下と地上は切り離して考えるべきということであります。
 そして第二は、九回目のモニタリング調査の結果は採水方法が適切でなかったことによる可能性があるということであります。
 モニタリングについては、予算執行上の事情があったにせよ、九回目の一度だけのために調査会社を変えることのリスクを市場当局はどのように考えていたのでしょうか、答弁を求めます。
 モニタリングについては、これまでの八回と、九回目の数値ができるだけ正確に比較されることが望ましいのは誰の目にも明らかであります。つまり、調査会社を突然変えたりせず、採水から分析までの一連の作業を同じ会社が同じ手順で行うことが望ましいはずであります。にもかかわらず、調査会社を希望制指名競争入札で募集し、競争入札ですから、当然最低金額で応札した業者に業務を委託することになりました。
 市場当局は、この手法で調査分析の品質は担保されると考えていたのでしょうか。聞くところによると、結果として落札率はかなり低いものであったといわれています。
 そこでまず、この入札案件の予定価格と落札金額、落札率の公開を求めます。お答えください。
 物品扱いの入札ですから、最低制限価格もなく、最低金額を提示したものが落札者となり、この結果が生まれました。改正品確法がつくられ、こうした事態を未然に防止することが昨今の公共調達においては強く求められているにもかかわらず、なぜこうしたリスクに対する防御策を考えることができなかったのでしょうか。
 契約の方法には一般競争入札や総合評価方式、随意契約などを含め、地方自治法に定められたさまざまな形態があります。この大切な業務を委託するに当たって、低入札のリスクが放置されたのはなぜなのか。これは市場当局のみならず、全庁的な課題と思います。
 一部に、公共調達は安ければ安いほどよいという考え方があるようですが、低入札には大きなリスクが伴うことをこの経験から学ぶべきと思います。知事の所見を伺います。
 建屋についても、市場当局には猛省を求めたいことがあります。先ほど申し上げたとおり、第三回定例会で私は建屋の安全性について質問いたしました。その後、市場PTでも建屋の安全性が数次にわたって議論され、設計を担当した日建設計を交えての検討会は、ネット上の映像でも広く公開されております。
 建屋の構造を初めとする安全性については、視聴者からの写真をもとに、柱が曲がっていると根拠なくセンセーショナルに報道したテレビ局があったように、マスコミ報道の誤解や曲解も含めて、市場当局は都民に正確な情報を提供すべき課題であったと考えます。
 正確な情報提供も昨年の第三回定例会で私が市場当局に要望し、そのとおり努力するとの答弁をいただきました。にもかかわらず、建屋の最終的な安全性にお墨つきを与えた、建築基準法第七条第五項に規定されている建築物及びその敷地が建築基準関連規定に適合していることを証する文書である検査済み証が、昨年十二月二十八日に交付されていたことを都は一切発表いたしませんでした。
 こうした大事なことが大事なこととして認識されていないところに、市場当局のみならず、都側の緊張感のなさが見てとれます。民間であれば、建築物を発注した施主及び請け負った業者にとって、検査済み証の発行を受けることは大きな喜び事であり、慶事であります。それは、公的機関がお墨つきを与え、晴れてその建築物の使用を許可されることだからであります。
 これだけ話題になった案件であったにもかかわらず、検査済み証が発行されたことがなぜ公表されなかったのか、また知事は、検査済み証が発行されたことを知っていたのか、あるいはいつ知ったのか、お伺いいたします。
 また、検査済み証が発行されたということは、豊洲市場の全街区について、当然のことですが、昨年十二月二十八日をもって建屋の安全性は公的に担保されたと考えますが、知事の所見を伺います。
 豊洲市場にかかわる諸問題について、去る二月二十二日、いわゆる百条委員会が都議会の総意として設置されました。
 築地市場の狭隘化、老朽化に伴い、市場移転は喫緊の課題といわれてから既に三十年がたち、この間、多くの関係者による努力が続けられてきたにもかかわらず、結果としていまだ移転に対する明確な道筋が見えてまいりません。私たちは、この問題は、今までの検討の結果、築地か豊洲かという二者択一であり、第三の道はないと考えますが、知事はどのようにお考えでしょうか、見解を伺います。
 土地取得の過程や土壌汚染対策工事の有効性、また、その結果における安全性などを検証する上で、百条委員会の中で必要な参考人や証人をお招きしてお話を聞くことは大事なことですが、一方で私たちは、築地と豊洲の両市場の適正性も調査、検討しなければならないと考えます。例えば、今や世界基準となっているHACCPに現在の築地の市場施設が対応することは可能なのでしょうか、お伺いいたします。
 今後しっかり議論を進めていきたいと思いますが、この議論の中には、豊洲市場の基本的インフラである地下水管理システムの問題もあります。
 建設工事の最終盤に地下水の強制排水をとめたことにより、地下ピット内に大量の地下水が湧出する事故がありました。雨の多い時期でもあり、一時はかなりの水位になりましたが、現在は地下水管理システムの稼働と強制排水で、地下ピット内は当初の予定どおりドライな空間に戻ったと聞いております。
 専門家会議の指摘により、地下ピット内はドライな空間を保ち続けること及び換気装置をつけることにより、衛生環境を向上させることが求められていましたが、現在の地下ピット内の状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。
 昨年私は豊洲市場を視察した際、現地で地下水管理システムの説明を聞き、この目で設備を確認してまいりました。市場用地は街区ごとに遮水壁で囲い、底面は不透水層の壁によって囲われているという、いわゆる観賞魚用のアクリル水槽の上に建屋が立っているような構造を想像すると、雨が降ればそこに水がたまるのですから、地下水位の適切な管理は市場の基本的かつ基幹的インフラであることがわかります。
 そうした大切な仕組みであれば、定期的なメンテナンスは必須であろうと思いますし、水槽の上に建屋があり、したがって気象条件によって地下水の水位が日々変わる市場用地の特性、あるいは万が一の故障などのリスクを考えると、地下水管理システムは、今の水準でよしとするのではなく、もう一つ別のシステムをつくるなど、万全の体制に増強されるべきと考えます。見解を求めます。
 市場問題の最後に、今定例会には二十九年度補正予算案として、移転延期に伴う補償費用が五十億円提案されています。一部マスコミでは、移転補償費は約百億円とも報道されましたが、五十億円の根拠をまずお示しいただきたいと思います。その上で、移転延期に伴う補償費を現時点で幾らぐらいと考えているのか、見解を伺います。
 次に、都市づくりのグランドデザインについて伺います。
 昨年公表された民間の研究機関による世界の都市ランキングにおいて、東京は一昨年の第四位から第三位へと、一歩前進する結果となりました。
 我が党はかねてより、東京を世界で一番の都市にすることを主軸に置き、さまざまな政策を進めてきました。その成果が確実に出始めていると感じております。
 この流れを継続し、二〇二〇年東京大会をステップに、経済活力を中心とする都市力のさらなる向上を図っていかなくてはなりません。
 そして、東京の旺盛な経済活動をしっかりと受けとめることができる都市をつくることこそ、そのことこそがまさに東京の都市づくりのグランドデザインに求められる大きな役割の一つであると思います。
 加えて、私はこれまでもさまざまな機会を捉えて訴えてきましたが、都市づくりは構想から実現まで時間がかかることから、長期的な視点を持ち、取り組みを進めることが非常に重要であります。
 例えば、この都庁のある新宿副都心では、淀橋浄水場の移転が構想されてから新宿副都心整備計画の策定を経て、都庁舎の竣工までおよそ六十年を要しております。また、インフラ整備についても同様に、平成二十七年に三環状道路で初めての全線開通となった中央環状線は、完成まで約五十年の歳月を要していることからも、いかに時間がかかるものであるかがうかがえます。
 このような視点を踏まえ、長期的な観点から、まず都市の弱点を克服し、その上で将来を見据えた成熟都市にふさわしい都市づくりを進めていくべきであると考えます。そのためには、まず不足する空港の容量、アクセス強化への対応や、拠点間の連携強化や利便性の向上に資する道路、鉄道の整備など、都市の骨格となるインフラを整えることについて、先を見据えた大きな方向性を示すことが非常に重要になります。
 また、先般の都市計画審議会の答申では、都心、副都心という業務機能の受け皿の育成の視点から脱却し、個性的な拠点の魅力を向上させることや、これまでセンター・コアとしてきたエリアを、高密な地下鉄ネットワークの展開を踏まえ、環七まで広げることなども示されました。
 これは、それぞれの個性のある地域が、努力によって社会、あるいは東京に貢献していくために切磋琢磨し、新たな価値をつくり出してほしいという大事なメッセージであると受けとめております。
 このことは、東京がこれから成熟都市としてさらに発展していくに当たり、ビジネス機能はもとより、歴史や文化など、それぞれの地域が持つ個性を尊重しながら、周辺区や多摩も含めた東京全体の底上げにもつながる大変重要な視点でもあります。これから先、人口規模の縮小やさらなるグローバル化の進展など、国内外の社会経済情勢の大きな変化が予測される中、将来を見据えた骨太の都市づくりの考え方を明確に示し、一歩一歩その実現に取り組んでいくことが、東京を世界で一番の都市にすることにつながる最良の策であると考えます。
 都では、都市計画審議会の答申を踏まえ、新たな都市づくりの計画となる、都市づくりのグランドデザインの検討を進めていますが、二〇四〇年代に向けて東京はどのような都市を目指し、その実現にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、都市づくりのグランドデザインに関連して、都市計画道路について伺います。
 去る二月二十六日、圏央道の茨城県内区間が開通しました。来年度には外環道の千葉県区間が開通する予定と聞いております。
 いよいよ首都圏三環状道路も総仕上げの時期に差しかかっています。首都東京の潜在力を最大限生かすためには、三環状道路などと都市計画道路が一体として機能しなければなりません。
 十年後には関東大震災からの復興を目指した大東京都市計画道路網の決定から百年、都市づくりのグランドデザインが見据える二〇四〇年代には、戦災復興都市計画の決定から百年と、大きな節目を迎えます。長期的な都市づくりを考えている今だからこそ、壊滅的な状況からよみがえった東京の繁栄を盤石なものとするため、必要な路線の整備を加速するとともに、整備方針に位置づけられていない残る都市計画道路についても腰を据えて考え、広域的なネットワークの形成を前提に、しっかりとした根拠に基づいて、見直すべきものは柔軟に計画を変更していくことが重要であります。こうした残る都市計画道路の今後のあり方について伺います。
 次に、重要な拠点としての新宿のまちづくりについて伺います。
 現在、大手町や虎ノ門地区、渋谷駅周辺などでは都市開発が盛んに行われ、国際ビジネス拠点としての整備が進んでいます。
 一方で、訪日外国人の約四割が訪れ、一日に約三百五十万人が利用する世界一のターミナル駅である新宿については、バスターミナルや自由通路の整備が進んでいますが、駅周辺の建物や都市基盤の老朽化が進み、都市としての魅力や競争力の低下が懸念されております。東京を世界で一番の都市にしていくためには、都庁のお膝元でもある新宿の再編整備は欠かせませんが、所見を伺います。
 二月二十六日に、知事がスターターとなり開催された東京マラソン二〇一七は、外国人六千二百五十八人を含む、総勢三万五千八百二十四人のランナーが参加し、盛大に開催されました。十一回目となる今回の大会は、コースが大幅に変わり、高速レースが期待される中、日本で初めて二時間三分台の記録が出る結果となりました。フィニッシュが東京駅前、行幸通りとなった新しい東京マラソンは、その記録とともに、世界に美しい、クオリティーの高い都市東京の姿を発信しました。
 同時に開催された車椅子レースも多くの方々に勇気と感動を与え、まさにスポーツの力を実感した大会でありました。
 さて、二〇二〇年の大会開催まで残すところ、あと三年余りとなりました。これからは関係者が一丸となって東京大会をかち取った喜びと責任の重みをいま一度胸に刻み、総力を挙げて大会準備を加速させていく重要な時期であります。
 大会を成功させ、大会後へ引き継ぐレガシーを構築していくことは、都がリーダーシップを発揮し、国、組織委員会を初め、関係機関と一層の連携を図りながら、これまで以上にスピード感を持って開催準備に取り組む必要があります。
 競技会場等の着実な整備はもとより、円滑な大会運営や都民、国民のさらなる機運の醸成など、大会開催に向けた具体的な取り組みを明らかにし、推進していくべきですが、知事の見解を伺います。
 東京大会を成功させるには、都内区市町村と連携し、東京全体で取り組む努力が必要であり、都は各地域で機運醸成に資する事業やスポーツ施設整備を支援するため、区市町村への補助制度を創設しました。
 この補助制度では、事前キャンプ誘致に資する施設の改修は対象となっているものの、練習会場やラグビーワールドカップのキャンプ地などが対象外となっており、補助メニューの充実を望む声が多く寄せられていると聞いております。
 都内区市町村の連携協力を得て大会運営を円滑に進めるとともに、キャンプ地となることで地域住民の開催機運を盛り上げたいという地域の要望にも応えていくなど、実効性のある具体的な支援策を着実に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京大会に向けて、都の世論調査においても、障害者スポーツへの関心は高まっております。障害者スポーツの普及啓発を進め、障害のある方がスポーツを楽しめる場を拡大するなど、さまざまな取り組みを重層的に展開し、東京における障害者スポーツの振興を図っていくことこそ、二〇二〇年東京パラリンピックのレガシーとなるものです。
 パラリンピックの準備と障害者スポーツの振興を着実に進めていくことは、東京大会を成功へ導く一層の推進力となります。大会の成功、そして障害者スポーツのさらなる振興に向けて、各種振興策をどのように進めていくのか、知事の所見を伺います。
 スポーツ推進計画と障害者スポーツ振興計画について伺います。
 国は、スポーツ基本計画を改定予定であり、都も新たな計画を策定していく必要があります。
 都は、昨年第四回定例会において、新たな推進計画を策定することを表明しましたが、子供から大人まで、障害のある人もない人も、誰もがともに楽しみ、競い、夢や感動を与えるスポーツの価値を踏まえた計画とすべきと考えます。
 特に、世界に例のない超高齢社会を迎える東京においては、スポーツの力により都市に活力を与えるという視点も重要であります。そして何より、現場でスポーツを支えている人々の意見をよく伺いながら、実効性のある計画を策定していくことが大事であると考えます。
 都は、二〇二〇年のさらに先を見据えたスポーツ都市東京の実現に向けて、新たなスポーツ推進計画を策定していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、ゴルフ競技場の件で伺います。
 平成二十四年当時、立候補ファイルに記載する会場の選定においては、都が日本ゴルフ協会に選定を依頼し、霞ヶ関カンツリー倶楽部に決定したと聞いております。現在、同倶楽部の会員制度が議論になり、倶楽部内でも検討していただいていると聞いております。
 都は、多くの方が納得し、選手がプレーしやすい競技会場を用意するため、現在の議論の動向を踏まえつつ、若洲を含めた都内ゴルフ場での開催の可能性等、さまざまな角度から検討を進めておくことも必要であると考えますが、見解を伺います。
 二〇一九年に開催されるラグビーワールドカップは、全国十二の会場で、まさにオールジャパンで全国一丸となって行う大会です。開会式と開幕戦が開催される東京スタジアムは、この大会のスタートとなる会場であり、選手が最高のコンディションでプレーできる競技環境を確保し、世界中に映像発信される試合にふさわしい会場でなければなりません。
 また、会場を満員にするためには、観客の皆さんが快適に観戦できるよう、スムーズな交通アクセス、ファンゾーンの設置など、万全の準備が必要であります。
 一方で、ことし一月に公表された都民世論調査では、二〇一九年にラグビーワールドカップが日本で開催されることを知らない方が四五%に上るとの結果でありました。大会の認知度向上、機運醸成は急務と考えます。大会まで残すところ二年七カ月を切った今、大会開催に向けた準備を着実に進めるとともに、開催機運をどのように高めていくのか、知事の見解を伺います。
 都は、平成二十八年度から、二〇二〇年東京大会に向けた機運醸成のため、東京文化プログラム助成を開始しており、この取り組みは、オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典にとどまらない一大文化イベントでもあるとする、我が党の政策提言を踏まえたものであり、我が党も全力で推進してまいります。
 一方、東京における文化活動は、伝統芸能から先端技術を活用したアートまで、その分野は非常に多彩であり、また、担い手の方々もプロからアマチュアまで多様であり、この懐の深さ、広さが東京の文化活動の大きな魅力になっております。
 そこで、今後、東京の文化プログラムを一層盛り上げ、大会の成功につなげていくには、多くの都民がさまざまな形で参加できるよう、文化プログラム助成事業を幅広く展開していくことが重要と考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 大会の成功はもとより、世界で一番の都市を目指す上で、まちに潤いをもたらす緑の役割は重要であります。
 都はこれまで、都市公園の整備や街路樹の倍増、校庭芝生化等により、平成二十七年度までの九年間で約七百五ヘクタールの緑を創出してきました。しかし、これまでの取り組みには見せ方の工夫が不足しており、その一つとして、花で見せるという要素が足りなかったのではないかと考えています。
 美しい花で彩られた都市空間は、都市の品格向上につながるものであり、二〇二〇年に向けて、国内外からの来訪者をおもてなしするという観点からも、まち中を花と緑で彩る取り組みが大切であります。
 今後、花と緑あふれる都市東京を目指し、民間事業者、区市町村、都民など、さまざまな主体と連携した取り組みを推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 二〇二〇年大会を契機に、東京の魅力を世界に発信していく上で、舟運の活性化を図り、水辺の魅力を引き出していくことも重要です。
 舟運の活性化に当たっては、舟運の認知度、知名度の向上とともに、航路の拡充や船着き場の利便性向上を図る必要があります。
 都は、昨年五月には舟運活性化パートナーを選定し、九月から十二月にかけて運航に関する社会実験を実施いたしました。今後、舟運を活性化し、水の都東京を復活させるためには、引き続きこうした取り組みを続けていくことが必要です。
 都は、舟運の活性化に向けた平成二十八年度の取り組みの成果を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 世界中から人々が集まる東京大会は、若い世代にもさまざまな交流を行うことができる絶好の機会であり、我が国の精神伝統や重層的で多様な文化を伝える好機でもあります。
 この大会は、日本人としてのアイデンティティーを再認識する場でもあり、子供たちにとっては、古来より日本人が育んできた寛容の心や他者を思いやる精神、いわゆる大和心を改めて認識していく貴重な学びの場となります。このような資質をしっかり子供たちに意識させ、根づかせていくためには、オリンピック・パラリンピック教育の中でもボランティアマインドの醸成と障害者理解を深める教育の推進が極めて有効と考えます。
 こうした取り組みは、二〇二〇年東京大会以降も教育活動の中にしっかりと位置づけ、次世代の子供たちにも身につけさせるべきものであり、今大会のレガシーとすべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 続いて、安全で安心な東京の実現に向けた取り組みについて伺います。
 都はこれまでも水害対策を積極的に進めていますが、全国では方々で数十年に一度といわれる豪雨により、甚大な被害が発生していることも事実であります。都は、大規模水害の発生に備え、想定外の災害も想定し、効果的な避難体制を確立していくことが不可欠であります。
 低地帯である区部東部が水害に見舞われると、浸水被害は極めて広範囲に及び、想定される浸水エリアには約二百五十万人の住民が居住していることから、生命、財産そして都市機能全体に甚大な被害を及ぼすおそれがあります。
 このような広範囲に及ぶ浸水被害が発生した際に、膨大な規模となる住民避難をいかに迅速かつ的確に行えるのか、大きな課題であります。都は大規模水害対策にどのように取り組んでいくのか伺います。
 集中豪雨等による水害から都民の生命と財産を守り、災害に強いまちづくりを実現するためには、都はこれまでも時間五十ミリ降雨に対応する護岸や調節池等の整備により、治水安全度の向上を図ってきました。
 近年、降雨が激甚化し、これまでの整備水準を超える降雨による浸水被害が生じていることから、都は平成二十四年に方針を改定し、中小河川の目標整備水準を、区部で時間最大七十五ミリ、多摩部で六十五ミリ降雨に引き上げました。現在、時間五十ミリ降雨に対応する護岸や調節池の整備に加え、新たな目標整備水準に対応する調節池等の整備を進めており、引き続き必要な対策を着実に推進していくことが重要です。今後の中小河川整備について伺います。
 東京大会が開催される七月下旬から九月上旬は、局地的な集中豪雨や台風などによる浸水被害が懸念される季節でもあり、大会の安全な運営という観点からも降雨対策としての下水道整備が重要です。
 下水道局においては、これまで区部全域で時間五十ミリ降雨対策を進めるとともに、浸水被害の影響が大きい大規模地下街や、甚大な被害が発生している市街地では、整備水準を中小河川同様に時間七十五ミリ対応へレベルアップしています。
 東京大会を控え、これからの三年間は、安全・安心の確保に向けた取り組みをさらに加速させていく重要な時期であり、浸水対策をさらに強化していくべきと考えます。今後の下水道における時間七十五ミリ降雨対策について伺います。
 首都直下地震など大災害が発生したときに、負傷者の搬送や物資輸送などの応急対応を確実に行うには、各拠点を結ぶ多様なルート確保が必要不可欠であります。
 首都直下地震等の発生時に、区部東部は液状化などが発生し、陸路による救出救助活動が困難になることも想定されます。また、沿岸部には周囲を運河に囲まれ、橋梁やトンネルで結ばれた埋立地も多数存在しています。
 このため、緊急輸送ルート確保の基本方針に基づき、各主体の役割分担のもと、航行可能な船舶の掌握、情報連絡体制の構築、防災船着き場の運用など、水上ルートを有効活用する仕組みづくりの具体化は急務であると考えます。
 首都直下地震等の大規模災害時における水上ルートを確保するための都の対応及び今後の取り組みについて伺います。
 災害発生後のインフラの早期復旧も重要な課題です。水道事業の早期復旧に関して過去の災害を教訓に、公益社団法人日本水道協会による相互応援の枠組みが日本各地に存在しています。
 昨年の熊本地震の際も、都水道局はこの枠組みによる要請に基づき、本震の翌日には部長級を隊長とする第一次隊を派遣いたしました。第一次隊が熊本市内に入ったところ、現場では支援要請や支援活動に関する指揮命令系統は適切に機能しておらず、都の隊長が熊本市と応援部隊との実質的なコーディネーター役を担当したと聞いています。首都直下地震の切迫性が指摘される中、東京が全国の応援を受ける際に、東京都のみでは対応が困難になることも想定されます。
 そこで、災害発生時の水道の早期復旧に向けて、円滑な受援体制の強化が重要であると考えますが、見解を伺います。
 災害時に備え、消防団員の入団を促進し、消防団の組織力等を充実強化していくことは重要であります。しかし、消防活動を支えている消防団員は減少傾向にあり、特別区においては、一万六千人の定員に対して、平成二十二年の一万五千九十四人をピークに、平成二十八年四月現在、一万三千八百六十五人となっており、その充足率は八六・七%にとどまっております。
 東京消防庁では、これまでも団員確保に向けてさまざまな取り組みを展開されていますが、首都直下地震の発生が危惧される中、消防団の充実強化は喫緊の課題であります。
 消防団への入団は、地域の活動に参加し、地域に貢献するといった社会的な意義があることから、幅広い層の地域防災の担い手を確保するとともに、特に地域の若者や女性に対して入団を働きかけていくべきと考えます。
 今後、消防団員の増加に向けた取り組みを組織的に幅広く展開していくべきであると考えますが、東京消防庁の見解を伺います。
 都は、都内の木密地域の不燃化に取り組んでおり、平成二十四年から木密不燃化十年プロジェクトを開始し、延焼遮断帯を形成する特定整備路線の整備や、区とともに市街地の不燃化に向けた不燃化特区を展開してきました。
 昨年三月には防災都市づくり推進計画を改定するなど、木密地域の不燃化を一層進めるため、避難や救援活動を円滑にする防災生活道路の拡幅や沿道の不燃化建てかえに対する支援を開始しています。今後も、木密地域の不燃化に向け、取り組みを強化していかなければならないと考えます。
 そこで、さらなる不燃化の推進に向けてどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
 特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化促進も急務であります。
 都は、平成二十三年三月、耐震化推進条例を制定し、耐震診断の義務づけ、耐震改修費の最大九割助成等、耐震化を推進してきました。昨年四月からは設計助成上限額の引き上げ、改修計画作成の支援など、所有者への支援を拡充しています。
 こうした取り組みの結果、昨年十二月時点では、耐震診断が行われた建築物の割合は九六%になったと聞いています。
 この診断の成果を耐震改修等の実施につなげていくためには、現在個別訪問による働きかけを実施中とのことですが、今後、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の促進に向けて、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 東京の安全・安心を守っていくには、サイバーセキュリティー対策も不可欠です。警視庁は、昨年四月、サイバーセキュリティー対策の司令塔として、各分野の課題を部門横断的に推進する、副総監を本部長とするサイバーセキュリティ本部を設置しました。そしてサイバーセキュリティ戦略を策定し、情報収集と共有化、人材育成の強化、官民連携の強化に取り組むことで、サイバー空間の脅威への対処能力の強化と社会全体のサイバーセキュリティー意識の向上を図るとしております。
 その一方で、現在、サイバー空間の脅威に対処するための関連部署が複数設置され、各部署が分散しているため、課題も発生していると聞いています。
 二〇二〇年の東京大会の成功と、一層深刻化するサイバー空間の脅威に的確に対処するため、警視庁はサイバー関連部署を集約すると聞いていますが、サイバー関連部署集約施設を整備する意義について、警視庁の見解を伺います。
 インターネットやスマートフォン等の普及に伴い、性的画像を送らされてしまう、いわゆる自画撮り被害が多発しています。ネット上に流出した画像回収は事実上極めて困難で、被害に遭った青少年が不登校になったり将来の夢を諦めたりするなど、深刻な状況にあります。
 これまで東京都は、ネット利用による被害防止に向けて各種施策を展開していますが、自画撮り被害は一対一のメールで完結するため、未然防止が困難であると聞いています。
 都がこの問題に対して、今回、二月二十一日の東京都青少年問題協議会に諮問し、全国で初めて条例化に取り組むことは評価できますが、自画撮り被害の実態、つまり、ネット上に流出した画像を回収する手だてはほとんどないに等しいという状況の中、実効性のある対策をどのように進めていくのか、また、条例化でどのような効果が期待できるのか、お伺いいたします。
 都は、二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、平成二十八年度から平成三十一年度までの四年間で七万人分の保育サービスを整備する目標を掲げています。
 保育サービスを拡充するためには、施設整備を進めるとともに、保育を担う保育人材の確保、定着を図ることが重要です。そのためには、保育士等の処遇を確実かつ早急に改善することが急務となっています。
 国は、保育士の処遇改善を行うため、平成二十九年度より、全職員に月額六千円程度、技能、経験を積んだ職員に月額四万円程度の上乗せをするとしていますが、特に保育士不足が深刻な都においては、さらなる施策の充実が求められています。
 そこで、保育人材の確保、定着に向けての都の取り組みについて伺います。
 都は、高齢化の進展に伴う施設サービス需要の増加を見据え、平成三十七年度末までに特別養護老人ホームの定員を六万人分確保する目標を設定しましたが、建築価格の高騰により、施設整備にかかる事業者の費用負担が増大するとともに、地価の高い区部においては、特に施設用地の確保が困難となっております。
 これまでも、都は、施設整備の補助単価の増額や建築価格の高騰に対する加算など、都独自の支援策を実施し、特別養護老人ホーム等の整備を促進してきましたが、さらなる高齢化社会を迎え、今後、特別養護老人ホーム等の着実な整備を進めるためには、促進策の一層の充実が必須であると考えます。都の見解を伺います。
 近年、医療技術の進歩等により、NICU等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃瘻等を使用した医療的ケアが必要な障害児、いわゆる医療的ケア児が増加しています。厚生労働省の調査報告では、このような十九歳以下の医療的ケア児が、全国で約一万七千人と推計されています。
 昨年六月に施行された改正児童福祉法では、医療的ケア児が適切な支援を受けられるよう、各自治体において、医療、福祉等の連携促進に努めることと規定しており、法改正の趣旨を踏まえ、医療的ケア児が地域で安心して暮らせる環境の整備が必要となっています。
 そこで、医療的ケアが必要な障害児への支援にどのように取り組んでいくのか、また、家族の負担軽減に向けてどのように支援していくのか、都の見解を伺います。
 次に、周産期医療についてですが、人口動態等の統計では、都における出生数は長期的には減少傾向にありますが、低出生体重児は増加傾向にあり、母体救命のための搬送は、平成二十一年度の五十一件に対し、平成二十五年度は百十件と倍増しております。
 その一方で、都内の医療施設については、産科、産婦人科が大幅に減少し、母体救命に対応できる施設も限られているなど、体制の一層の強化が必要であります。
 都においては、昨年度には新棟の整備が完了した墨東病院が、高度救命救急センターの指定を受けるなど、救命救急医療体制を強化しています。ハイリスク妊産婦や低出生体重児が増加している現状に鑑み、区東部地域の総合周産期母子医療センターである墨東病院において、ハイリスク妊産婦への対応をさらに強化していく必要があると考えます。
 そこで、都立墨東病院における周産期医療への取り組みについて伺います。
 次に、動物愛護相談センターの機能強化について伺います。
 昨年九月、我が党の動物愛護政策研究会は、都の動物愛護管理施策の中核を担う施設である動物愛護相談センターを視察いたしました。世田谷区の本所は築四十年、多摩支所及び城南島出張所は築三十年を経過し、いずれも建物が老朽化しております。また、狂犬病予防法に基づく犬の捕獲抑留から、収容動物の譲渡促進等へと、その役割も変化しております。
 このような状況を踏まえ、都は、センター本所の移転改築に向けた経費を平成二十九年度予算に計上し、先般、基本構想の骨子を作成し、パブリックコメントを実施したと聞いています。
 そこで、センター本所の機能強化に向けた整備の考え方と、今後の整備スケジュールなどについて、知事に伺います。
 東京は、人口が平成三十七年をピークに減少に転じる見込みであり、少子高齢化の急速な進行やライフスタイルの多様化など、住生活を取り巻く環境が大きく変化していくことが予想されています。
 都は、平成二十三年度に住宅マスタープランを策定し、各種住宅施策を実施していますが、平成二十六年七月、知事は住宅政策審議会に対して、住宅政策の新たな展開を諮問し、平成二十八年十一月、住宅政策審議会が、豊かな住生活の実現と持続に向けてを答申しました。
 本年二月、都は、計画期間を平成二十八年度から三十七年度とする東京都住宅マスタープランを公表し、パブリックコメントを実施したところですが、東京の住宅政策の羅針盤ともなる新しい住宅マスタープランと、プランに基づく今後の取り組みについて伺います。
 少子高齢化や防災などの課題解決には、自助、公助に加え、共助社会の実現が重要であり、共助の両輪であるボランティアの活動推進と町会、自治会の活性化は不可欠であります。
 都は、地域コミュニティの中核をなす町会、自治会に対して、地域の底力再生事業助成等による支援を実施してきましたが、活動の担い手不足が深刻化しており、一層の活性化が必要です。
 具体的には、二〇二〇年東京大会の機運醸成を初め、町会、自治会活動の活性化に向けた助成事業をさらに充実するとともに、地域活動支援アドバイザー派遣事業など、人手不足に悩む町会、自治会の実態を踏まえ、それぞれの課題にきめ細かく対応する支援が重要です。
 東京都は、地域における共助社会づくりに大きく貢献する町会、自治会に対して、今後どのように支援の充実を図っていくのか伺います。
 無電柱化は、災害時の電柱倒壊による道路の閉塞を防ぐなど、防災、減災とともに、美しい都市景観の形成を図る上で重要な事業であります。
 私たち都議会自民党は、前回都議選の際に、東京から電柱をなくしますとの公約を掲げ、それを受けて都は、平成二十六年に無電柱化推進計画を定め、無電柱化に取り組んでおります。今後、無電柱化をさらに進めていくには、都道はもちろん、生活道路のような道幅の狭い区市町村道の無電柱化が欠かせません。道幅が狭く、十分な用地が確保できない道路で無電柱化を進めていくには、技術開発の状況を踏まえつつ、地域の実態に即した仕組みを検討していくことが必要であります。
 昨年の第四回定例会において、無電柱化を推進するため、知事は条例案を検討するとの発言がありましたが、これは、無電柱化を推進してきた我が党の政策と軌を一にするものであります。
 東京の無電柱化を加速させるための新たな計画を策定すべきと考えますが、今後、無電柱化をどのように進めていくのか、知事の所見を伺います。
 都内には、いまだ千を超える踏切が残されており、そのうち約二百五十カ所があかずの踏切で交通渋滞や事故の原因となるなど、経済活動や都民の暮らしの支障となるほか、震災時には救急活動などの妨げになるおそれもあります。
 都は、六路線八カ所で連続立体交差事業を実施していますが、今年度末には、京浜急行本線・空港線京急蒲田駅付近、京成押上線押上駅から八広駅間、西武池袋線石神井公園駅付近の三カ所が完了いたします。
 連続立体交差事業が完了した京成押上線では、明治通りの踏切による渋滞解消だけでなく、京成曳舟駅周辺の商業床面積が約五十倍に増加し、にぎわい創出などの効果も得られています。
 今後、スムーズで安全な道路交通を実現していくには、あかずの踏切を抜本的に解決する連続立体交差事業の推進が欠かせないと考えますが、見解を伺います。
 東京の人口の三分の一、面積では半分を占める多摩地域は、多くの企業や大学、研究機関が集積する一方で、高尾山を初めとする観光資源など多様な魅力を有しており、東京の発展を推進していく上で欠かせない地域であります。
 都はこれまで、多摩南北主要五路線並びに多摩東西主要四路線の整備に取り組んできましたが、多摩地域の一層の発展を図るには、多摩地域の利便性のさらなる向上や災害時の物流、交通機能の確保が重要であります。
 今後、多摩地区の渋滞を解消し、人や物の流れを円滑にし、災害時にも都民が安全・安心して暮らせる防災性の高いまちとするには、多摩地域の骨格幹線道路の整備が不可欠であると考えます。都の見解を伺います。
 駅のホームからの転落事故が依然として後を絶たず、国は、ハード、ソフトの両面から転落防止にかかわる総合的な安全対策を検討し、昨年末に中間取りまとめを公表いたしました。地下鉄のホームドアに関しては、利用者十万人以上の駅について、原則平成三十二年までに整備することとしていますが、全ての駅にホームドアが整備されるまでには、さらに時間が必要です。
 都営地下鉄においても、ホームドア整備に積極的に取り組むとともに、全ての駅にホームドアが整備されるまでの間は、転落防止に向けたソフト面での安全対策を強化していくことが重要です。今後の安全対策の取り組みについて伺います。
 事故が発生した場合の被害者救済について伺います。
 都内には、都が管理する空港が七つあり、離島航空路や防災等の拠点として重要な役割を果たしています。
 平成二十七年七月二十六日、調布飛行場を離陸した航空機が直後に住宅地に墜落するという事故が発生しました。平成二十八年第四回定例会での、事故原因が不明で、加害者が特定されず損害賠償など救済が進んでいない、新たな救済策を打ち出すべきとの我が党の質問に対して、被害者が迅速に救済されるよう、具体的な方針を検討するとの答弁がありました。
 しかし、事故後一年半たった現在も、被害者への補償はいまだ行われていないのが現状であります。
 航空機事故は、原因の究明に時間がかかり、被害者が長期間救済されない事態が起こります。都は、都民の安全・安心を守るため、都営空港を離着陸する航空機に事故が発生した場合の新たな救済制度を整備すべきと考えますが、見解を伺います。
 都内事業所の九九%を占める中小企業は、東京の産業活動の担い手であり、都が掲げる都内GDP百二十兆円を達成するため、その稼ぐ力を向上させることが不可欠です。
 都はこれまでも、医療や環境などの成長産業分野における技術開発支援や、付加価値の高いものづくりに必要な設備導入への支援などにより、都内中小企業の収益力引き上げを図ってきました。
 中小企業のさらなる成長のためには、生産性を向上させる設備の導入や、新たな商品やサービスを生み出す可能性を秘めた、物のインターネット、IoTの活用などを一層強力に促していくことが重要です。
 都内経済を持続的成長に導くために、都は、中小企業の稼ぐ力を強化する政策展開をさらに進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 都内GDPの引き上げを図るためには、新たな発想を持った企業家が新ビジネスを生み出していくこともまた重要です。
 都はこれまでも、創業希望者へのセミナーや創業の場の提供、事業計画策定への先輩起業家による支援など、さまざまな施策により、起業を志す方をふやす裾野拡大に取り組んできました。今後さらなる起業を促していくには、柔軟な発想を持つ若者や、男性の半分にとどまっている女性の起業への支援を強化する必要があります。
 また、ビジネスのグローバル化に伴い、すぐれたビジネスモデルを武器に、国境を越えて活躍するベンチャー企業を育てていくことも重要であります。
 開業率一〇%台の達成を目指すべく、こうした多様な企業家の輩出と、その成長に向けた支援の一層の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 二〇一二年には五百五十六万人であった訪都外国人旅行者数が、二〇一五年には一千百八十九万人と倍増し、観光客の消費する額も四千四百億円から一兆一千百億円と大幅に増加しております。
 都は、こうした訪都外国人旅行者の急増や消費額の拡大など、観光をめぐる環境の変化に対応し、戦略的に観光産業振興を進めていくため、ことし一月、新たに、PRIME観光都市・東京、観光産業振興実行プラン二〇一七を策定しました。
 このプランでは、二〇二〇年までの目標として、訪都外国人旅行者数二千五百万人、外国人リピーター数一千五百万人、そして、訪都外国人消費額二兆七千億円など、意欲的で具体的な目標を明示しています。こうした戦略的な観光産業振興を着実に推進していくには、都内全域における観光産業を活性化していくという視点が必要です。
 今後は、都内の観光関連の中小事業者の声を聞いて連携しつつ、区部に加え多摩や島しょ、とりわけ観光面でのポテンシャルの高い島しょエリアへの誘致に力を入れて、施策を展開していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 都内におよそ二千五百ある商店街は、地域を支える大切な基盤であります。少子高齢化などにより、地域が抱える課題が多様化する中、商店街は今、地域コミュニティやまちづくりにおいても中心的な役割を果たすことが期待されています。
 そして、商店街がこうした地域のニーズや課題を掌握し、その解決やまちの活性化に取り組むことが、商店街の持続的な発展にもつながっていくと考えます。
 時代や環境の変化を読み取り、みずから知恵を絞り、創意工夫して新しい取り組みに挑戦していく、意欲ある商店街への支援の充実、拡大が求められています。見解を伺います。
 都市農地は、新鮮で安全・安心な農産物の生産はもとより、災害時の防災空間の確保や良好な生活環境の保全など、さまざまな機能を発揮し、都民の暮らしに大きく貢献しております。
 しかし一方で、高額な相続税負担により、市街化区域内農地は毎年約百ヘクタールが減少し、生産緑地も高額な価格や維持管理費の後年度負担などの理由で区市による買い取りが進まず、毎年約五十ヘクタールが宅地化しております。
 国は、昨年五月、都市農業振興基本計画を策定し、区市による生産緑地の買い取り支援策を検討中ですが、まだ時間がかかる見込みであると聞いています。
 これまで都は、農家の収益力向上や担い手の確保、育成を通じ、農家の事業継承や都市農地の多面的機能を発揮させる取り組みへの支援により、農地の保全に取り組んできましたが、これ以上の都市農地の減少に歯どめをかけるため、一歩踏み込んだ農地保全施策を展開していくべきと考えます。見解を伺います。
 なお、先般、閣議決定された生産緑地法の改正についても今後の動向を注視し、都として万全の対応に努めていただくよう、あわせて要望しておきます。
 東京を世界で一番の都市にするため、誰もが活躍できる社会づくりに全力で取り組む必要があります。その観点から、難病患者、がん患者の就業支援について伺います。
 昨年十二月には、がん対策基本法が改正され、がん患者の雇用の継続等に配慮することが事業主の責務に位置づけられるなど、今後、がん患者や難病患者の方々の就業、そして雇用継続への支援の充実が求められています。
 都はこれまで、障害者の雇用促進に向けた施策の一環として、難病患者等の就業を支援してきました。今後、難病患者、がん患者の方々の疾患の特性を踏まえた職場環境整備など、具体的な支援を進めることが必要です。
 そこで、企業が難病患者やがん患者の採用や就業継続に踏み出せるよう、支援制度を構築すべきと考えますが、所見を伺います。
 東京が世界で一番の環境先進都市として発展を遂げるためには、天然資源の採取に伴う環境負荷を最小化し、持続可能な資源利用を進めることが重要です。高度成長期に建設された膨大な量のインフラが更新期を迎え、大量に発生するコンクリート塊の有効活用が、今後の都市更新の進捗を左右しかねない喫緊の課題であります。
 今後、建造物の解体時に発生するコンクリート塊を原材料とした再生砕石の利用拡大を推進していく必要がありますが、これまで再生砕石の主な活用先であった道路路盤材としての需要は、長期的に減少傾向にあります。
 そうした中、民間では、再生砕石について、品質に関する公的な基準がないことを補うため、独自の品質基準策定などの取り組みを行っております。
 こうした民間の取り組みも踏まえ、都も再生砕石の利用拡大の支援を講じるべきと考えます。資源循環や3R促進の観点からも、再生砕石の利用拡大に向けた取り組みが重要と考えますが、所見を伺います。
 東京の大気環境は大幅に改善してきておりますが、PM二・五と光化学オキシダントの環境基準達成は、いまだ大きな課題となっています。
 基準達成には、PM二・五や光化学オキシダントの原因物質の一つといわれる揮発性有機化合物、VOCの排出を着実に削減することが重要です。原因物質であるVOCは、幅広い分野で活用され、都内事業者の多くは中小企業であることから、個々の取り組みには限界があり、排出削減の取り組みが十分浸透していないのが実情であります。VOC排出削減に向けて、関係業界の使用実態に応じた効果的な対策を検討し、個々の事業者にその取り組みを広げていくことが重要と考えます。
 そこで、民間事業者と連携した揮発性有機化合物、VOC対策の推進について、所見を伺います。
 多摩地域には、豊かな自然、商業施設や住宅地、企業や大学、さらには農地が広がるエリアなどがあり、多様性に富み、豊かな潜在力を持った地域です。
 一方で、人口減少や少子高齢化、大規模工場の撤退や大学の都心回帰、そして、区部に比べ道路や公共交通網の整備が進まず、交通不便地域が存在するなど、課題も山積しており、今後、厳しい環境下に置かれることも予想されます。
 我が党はこれまで、都と一体となり、新たな多摩のビジョン行動戦略に基づき、多摩地域の振興を推進してきましたが、昨年の第一回定例会での我が党の質問に対し、本年を目途に、新たな振興策を取りまとめる旨の答弁がなされました。
 今後、多摩の振興プランを検討していくに当たり、幅広く関係者の意見を聞き、地域の実情を踏まえた実効あるものにしていく必要があると考えますが、どのような視点で検討を進めているのか、現在の検討状況とあわせて伺います。
 国内にある百十の活火山のうち約二割の二十一の活火山を抱える、東京の島しょ部の火山災害対策は都政の重要な課題の一つであります。
 二十一の活火山のうち、噴火の可能性が高いとして気象庁が常時観測している火山は七つあり、特に火山活動が活発な大島及び三宅島では、過去にたびたび火山災害が発生しており、島外避難も経験しております。
 一昨年十二月、改正活動火山対策特別措置法が施行されたことに伴い、昨年四月、伊豆諸島の火山ごとに火山防災協議会を設置し、協議を行っていると聞いております。
 都は、次の噴火に備える時期にあるといわれている大島、三宅島を初め、島しょ地域の火山対策に積極的に取り組むべきと考えます。都の取り組みについてお伺いいたします。
 代表質問の結びに当たり、一言申し上げます。
 私は、本定例会の冒頭に議決した今回の議会改革案の検討を機に、この間、地方自治の本旨や議員としてのあるべき姿に日々悩み、日々考えてまいりました。そして行き着いたのは、福島県二本松城址に置かれている戒石銘の有名な十六文字でありました。「爾俸爾禄 民膏民脂 下民易虐 上天難欺」、「爾の俸 爾の禄は民の膏 民の脂なり 下民は虐げ易きも 上天は欺き難し」。
 この言葉の大意は、二本松市のホームページによりますと、お前がお上からいただく俸祿、給与は、民の汗と民の脂の結晶である、下々の民は虐げやすいけれども、神をあざむくことはできないとのことであります。政治、行政にかかわる全ての者が戒めにしなければならない十六文字の言葉であると感じました。
 私たち東京都議会自由民主党は、議会改革案が百二十六名全員の提案による全会一致で成立した今、改めてこの十六文字を心に刻み、都政に邁進していくことをお約束申し上げたいと思います。
 二〇二〇年、平成三十二年東京オリンピック・パラリンピックを通過点として、東京を世界で一番の都市にするため、私たちはこれからも不断の、そして全力で努力していくことを再度お誓い申し上げ、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
〔傍聴席にて発言する者あり〕

○議長(川井しげお君) ご静粛にお願いします。
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 高木けい議員の代表質問にお答えいたします。
 まず冒頭、個人住民税のうち、区市町村民税を除きます都民税の減税についてのご提案、そしてご質問がございました。
 平成二十九年度予算案では、ご指摘のとおり、事業評価の取り組みを一層強化するなど、無駄なコストは厳しく削減をし、約七百二十億円の財源確保へとつなげてまいりました。
 こうして捻出した財源も活用して、待機児童解消に向けた取り組みに係る予算額を前年度比四百三億円の増とするなど、必要な政策には思い切った予算措置を講じておりまして、まさに改革の成果を大義ある政策という形で、都民の皆様方に還元していると考えております。
 歳出削減の成果を個人都民税の減税という形で都民の皆様方に還元するということは、すなわち、高額所得者ほど減税額が大きくなります。そして、個人都民税が課されない方々に対しては効果が及ばないなどの指摘が、従来よりあることはご承知のことと存じます。税の公平性の観点から課題があるものと認識をしております。
 また、都市と地方との税収格差が問題視される中で、都が独自に都民税の減税策を講じることによりまして、東京の富裕論を背景とした財源調整の動きに拍車をかけることにもなりかねないなど、これまで御党がご指摘になってこられたようなさまざまな課題がございまして、慎重に、そして戦略的に対応すべきものと考えております。
 次に、二〇二〇年に向けた実行プランの推進についてのご質問でございます。
 実行プランは、私の知事としての最初の総合計画でございます。都民ファーストの都政への具体的な道筋、未来への航路となるものでございます。
 新しい東京を都民とともにつくっていきたい、その熱い思いから、このプランでは都議会の皆様からのご提言を初め、広く都民からご意見をいただきながら策定をしたものであります。
 政策は、実行し、都民に届いてこそ花開くものでございます。
 そこで、まずは実行プランで掲げたさまざまな政策を速やかに実行に移すために、平成二十九年度予算案に確実に反映させております。
 また、実行プランでは、各政策を着実に推進するため、PDCAサイクルをしっかりと回していく仕組みを策定段階から強く意識して組み込んでまいりました。そして、可能な限り数値化した約五百の政策目標を設定するとともに、各政策の年度別の進行を明瞭化した四年間の工程表を作成しております。
 これらに基づきまして、事業の進捗や成果を客観的に把握、検証して、その結果を都民と共有することで、都民のニーズを踏まえながらさらなる事業展開を行ってまいります。
 実行プランを道しるべに、まさしく都民ファーストの都政を推し進め、二〇二〇年東京大会の成功とその先の東京の明るい未来に向けまして、都民の皆様の共感とともに力強く歩んでまいりたいと考えております。
 次に、GDP百二十兆円の挑戦についてのご質問がございました。
 二〇二〇年東京大会の成功を、東京ひいては日本全体が飛躍を遂げる絶好の機会と捉えまして、日本の成長のエンジンである東京が先頭に立ってさまざまな政策を展開し、二〇二〇年以降の持続可能な成長につなげていくことが重要と考えております。
 そこで、二〇二〇年に向けた実行プランでは、東京の成長戦略の方向性を提示して、その中で、成長戦略が目指す姿として、都内GDP百二十兆円などの四つの東京の挑戦を掲げております。
 この東京の挑戦は、目標年次などを示します個別の政策目標とは異なりまして、都のみならず、都民や民間事業者、国など、東京にかかわるさまざまな主体が力を合わせて、相互に連携をして取り組みを進めたその先に開かれる展望として掲げたものでございます。
 東京大会後の二〇二〇年以降も新たな富を生み続ける成長を目指すため、東京が積極果敢に挑戦していくことによりまして、我が国GDPの約二割を占める東京から強い経済をつくり上げて、日本全体の発展につなげてまいります。
 また、GDP百二十兆円に向けた都の取り組みについてのご質問がございました。
 東京の成長戦略の実現に向けまして、実行プランでは具体的な戦略として、ファイナンス・金融、イノベーション・革新、ライズ・強みを伸ばす、サクセス・誰もが活躍、テクノロジー・最先端技術、この五つの頭文字をとりまして、FIRST戦略として提示をしております。
 この戦略の推進におきまして大切なことは、都がなすべき政策をスピード感を持って実行していくことでございます。
 そこで、国際金融都市の実現や特区制度の徹底活用など、海外から資金や企業を東京に呼び込む政策に積極的に取り組むとともに、観光の有力産業化や中小企業振興、人材の育成など、東京の成長の基盤を固めて、東京が持つ力を伸ばしていく政策を具体的に示しまして、平成二十九年度予算案にも的確に反映させたところでございます。
 実行プランで示しました成長戦略の方向性のもと、さまざまな政策を強力に推し進めていくとともに、今後の具体的な進捗や国内外の社会経済情勢も踏まえながら、政策のさらなる進化、充実を図ってまいります。
 二〇二〇年改革プランについてでありますが、内外ともに困難な状況に直面をし、未来が不確実さを増している今こそ、旧来の発想から抜け出して、なすべきことをなすことで、希望あふれる東京の未来を切り開くことができると存じます。
 このため、知事就任後直ちに、情報公開、内部統制、自律改革のこの三つのテーマを初めとした都政改革に取り組み、職員の改革マインドを根づかせてまいりました。
 今後はこうした取り組みを一歩進めまして、従来の延長線を超えた新たな発想を常に生み出すために、自律改革を重ねて、都政の手法と体質を変えていくことが必要でございます。
 そこで、四月から、仮称でございますが、二〇二〇改革プランの策定作業を始めまして、業務の効率化や官民の適切な役割分担、監理団体の戦略的活用、執行体制の見直しなどに取り組んでいく予定でございます。
 あわせまして、各局の主要事業の見える化を図りまして、予算、人員の適正化や政策の妥当性の検証など、総合的な見直しを推進することによりまして、自律改革の取り組みを現場改善のレベルから経営戦略改革のレベルへと高め、めり張りのきいた都政へと改革してまいります。
 このように、情報公開を基軸にしつつ、都民ファーストや賢い支出の観点から、私が本部長を務めます都政改革本部で議論をしながら、都政の改革を推し進めてまいります。
 次に、平成二十九年度予算案についてのご質問がございました。
 都民ファーストの観点から、真に有効な投資をしっかり行う一方で、無駄なコストは厳しく削減、めり張りのついた予算とすることを最も重視いたしまして、知事として初めての予算編成に取り組んでまいりました。
 具体的には、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティー、この三つのシティーの実現に向けまして、二〇二〇年に向けた実行プランに掲げる事業を一〇〇%予算化するとともに、待機児童解消に向けました取り組みに係る予算額を前年度比四百三億円の増とするなど、必要な政策には思い切った予算措置を講じております。
 この結果、過去最高となります三百八十二件の新規事業を立ち上げるなど、明るい東京の未来をつくるための投資を積極的に行いました。
 一方で、全ての事業に終期を設定をいたしまして、終期が到来したものにつきましては事業評価を行うなど、マネジメント機能の強化を図り、約七百二十億円の財源確保へとつなげましたほか、中長期的な視点から、基金残高を確保するとともに、将来世代の負担を考慮して都債発行額を抑制するなど、財政構造改革の一層の推進を図りました。
 こうして編成した平成二十九年度の予算案は、実行プランのまさに実行力を支えるものでありまして、都民の皆様からの共感を推進力として、二〇二〇年大会の成功、五十年、百年先の夢あふれる東京の実現に向けまして、都政を強力に前へ進めてまいりたいと存じます。
 公共調達についてのご質問がございました。
 公共調達は、ただ単に安ければよいというものではなく、品質の確保に十分配慮する必要がございます。同時に、都民の貴重な税金を原資としていることから、透明性、競争性などへの対応も求められております。
 入札契約制度が抱えます全ての課題に万全の対応をすることは難しいものがございますが、公共調達が真に都民の利益にかなうものとなるよう、検証そして見直しを進めてまいります。
 豊洲市場の建築物についてのご質問でございます。
 豊洲市場に整備された建築物につきましては、構造上の安全性が十分確保されていることを確認する、その必要があることから、市場問題プロジェクトチームにおきましてしっかりとご議論いただき、その検討結果を踏まえまして、建築基準法に基づく手続を進めるよう、市場当局に指示をしてまいりました。
 同法に基づく完了検査等の手続につきましては、ことしの一月に市場当局から報告を受けております。そして、検査済み証の交付によりまして、建築基準法に基づく安全性が確認されたものと認識をしております。
 なお、市場当局におきまして、ホームページで公表することとなっております。
 築地市場の移転問題でございますが、この問題につきまして、昭和の時代から長きにわたりまして、ほかの市場への機能移転の検討、そして現在地での再整備、その後の豊洲市場移転への方針転換など、さまざまな曲折を経ながら、議論、検討がなされた経緯については承知をいたしております。
 市場移転といった都民生活に大きな影響を及ぼす課題につきましては、市場業者はもとより、都民の理解と納得を得る必要があり、食の安全・安心の観点を含めまして、幅広い検討が求められております。
 そのため、豊洲市場につきましては、専門家会議において、地下水モニタリング調査などを踏まえまして市場の安全性の検証を進めるとともに、市場問題プロジェクトチームにおいては、事業の継続性や築地市場の施設の現状など、さまざまな議論を行っております。
 こうした専門家によります検証に加え、市場業者の方々や都民の皆様のご意見なども参考にしながら、総合的に検討して判断してまいります。
 二〇二〇年大会開催準備の取り組みについてのご質問がございました。
 大会がいよいよ三年後に迫った今、東京大会の成功とその先のレガシーを見据えまして、都民、国民のわくわく感を高めながら、開催都市として主体的に準備を加速してまいります。
 大会を支えます九万人以上のボランティアにつきましては、昨年十二月に策定した戦略を踏まえまして、募集、育成などの具体的検討を進めて、平成二十九年度中には、ラグビーワールドカップ二〇一九に向けて、都市ボランティアの募集を先行的に開始をいたします。
 輸送、セキュリティーなど、大会時の都市運営につきましては、都市機能を維持して、円滑な大会運営を支えます都市オペレーションセンター、輸送センターなどの検討を進めてまいります。開催都市として、万全の体制で世界からアスリートと観客を迎えるための取り組みを推進してまいります。
 競技会場などにつきましては、引き続きコスト縮減に努める一方で、大会後の有効活用について十分検討を行いながら、必要な投資を行いまして、都民に長く愛されるレガシーとすべく、着実な整備を進めてまいります。
 開催機運の醸成につきましては、フラッグツアーの全国各地への展開、平昌大会開催にあわせまして実施するライブサイト二〇一八、メダル製作において、家庭に眠っている、いわゆる都市鉱山を活用する取り組みなどによりまして、大会の成功の鍵となる都民、国民の皆様方との一体感を強めてまいります。
 組織委員会、国、関係自治体などとも連携を密にいたしまして、これらの取り組みを推し進め、誰もがやってよかったと思える大会となるよう、開催都市の長として、開催準備に万全を期してまいります。
 パラリンピックの成功と障害者スポーツの振興についてのご質問がございました。
 障害者スポーツに対する機運が着実に高まりつつあるこの機を捉えまして、予算、組織体制を充実させて、パラリンピックへの準備と障害者スポーツの振興を一体的に取り組んで、相乗効果を生み出してまいりたいと考えております。
 まず、パラリンピックの会場を満員にするためにも、障害者スポーツのファンサイトでありますチームビヨンドのメンバーを一層ふやしていくとともに、競技体験イベントなども活用して、観戦、応援を促進してまいります。
 また、国際大会で活躍できる選手の発掘に加えまして、その育成にも取り組むほか、障害者スポーツに供する技術、製品の開発を進めて、アスリートの競技力向上も支援をしてまいります。
 さらに、競技団体の基盤を強化するために、経理や広報などのスキルを持つ人材をボランティアとして活用してまいります。あわせて、企業や関係機関との連携、協働を一層進めることで、障害者スポーツを支える体制をより強固なものにしてまいります。
 こうした取り組みによりまして、人々の心にいつまでも記憶される大会として、障害者スポーツを社会に根づかせ、パラリンピックのレガシーとしてまいります。
 オリンピックゴルフ会場についてのご質問がございました。
 会場の選定に当たりましては、IOC、そして国際競技団体、IFから示されました競技や運営に関するさまざまな条件を踏まえまして、多くの国際大会の知見を持つ日本ゴルフ協会が、若洲を含めて首都圏のゴルフ会場を総合的に検討された結果、霞ヶ関カンツリー倶楽部になったと伺っております。
 現在、この会場は女性が正会員になれないことなどにつきまして、IOCから対応を求められていますが、関係者が連携して解決に向け取り組んでおられるということであり、その推移を見守りたいと存じます。
 ラグビーワールドカップ二〇一九でございますが、平成二十九年度は、試合日程の発表など大会の全体像が明らかになって、より具体的な準備を行う、その段階に入ってまいります。そのため、六月のアイルランド代表とのテストマッチなども活用いたしまして、着実に準備をしてまいります。
 会場となります東京スタジアムにつきましては、競技用照明の更新やバリアフリー化など、必要な設備などの対応について検討いたしますとともに、鉄道、シャトルバス、車両通行ルートなどの交通アクセス、ファンゾーンの開催場所の選定など、大会の運営につきましても準備を進めてまいります。
 また、会場案内などのボランティア、多言語対応など、翌年開催の二〇二〇年大会と共通の課題につきましては一体のものとして、効果的に取り組んでまいります。
 ラグビーの魅力を解説した冊子の都内全小学校への配布、公式サポーターズクラブの普及、車椅子ラグビー、七人制ラグビーとの連携などを通じまして、ファンを開拓してまいります。
 今後、組織委員会、地元の市などと協力いたしまして、大会準備を加速させるとともに、他の開催都市とも連携をいたしまして、多くの都民、国民が一体感を持って大会を迎えられるように開催機運を高めてまいります。
 動物愛護相談センターの整備についてのご質問がございました。
 動物愛護相談センターは、現在、都内に三カ所ございます。東京都の動物愛護施策を進める拠点となっております。私は、センターが担っております動物の譲渡や普及啓発などの機能をもっと強化をして、新しい飼い主へのかけ橋となる施設にしたいと考えております。
 こうした考えのもと、特に老朽化が進み、手狭となっておりますセンターの本所を移転、そして改築をいたしまして、都民が来所し、見学をしやすい環境のもとで、施設や設備の充実を図ることといたしております。
 新たな施設におきましては、動物の健康やストレスに配慮いたしました飼養環境を整えるとともに、譲渡をさらに進めるために、ボランティア団体と連携をいたしまして、譲渡会などを行うことができるスペースを設けてまいります。
 また、災害発生時には、動物救護活動の拠点といたしまして、被災動物の一時収容などにも対応ができますように、必要な機能や設備を備える考え方を持っております。
 現在、動物愛護管理審議会、パブリックコメントでのご意見も踏まえながら、基本構想を策定いたしております。来年度は、新たなセンター本所の基本設計に着手する予定でございます。
 無電柱化についてでございます。
 東京の防災力を高めて、都民が安全・安心に暮らせるセーフシティーを実現していくために、無電柱化は重要であります。
 このため、無電柱化を推進するための条例案の策定、都道全線におけます電柱新設の原則禁止、先駆的に低コスト手法を導入する区市町村への財政支援の拡充などを二〇二〇年に向けた実行プランに盛り込んだところでございます。
 また、昨年十二月に施行されました無電柱化の推進に関する法律に基づきまして、国の計画策定の動きも踏まえて、都内における無電柱化の基本方針、整備目標などを含めました新たな計画を策定いたしまして、区市町村と連携をいたしまして、総合的、計画的に無電柱化を推進してまいります。
 無電柱化こそ、日本の新たな常識へ。私は東京の電柱をゼロにしたい、そのことを目指してまいります。
 今後の観光振興の進め方についてのご質問もございました。
 東京は、国際的な観光都市として多くの人々を引きつける魅力に富んだまちでございます。そして、世界で最も評価を受ける存在感がございます。こうした魅力を一層高めるために、東京のそれぞれの地域の持つ宝物に磨きをかけて、すぐれた観光の機会の提供に結びつけてまいります。
 これからの観光振興につきましてまとめましたPRIME観光都市・東京では、その表題にふさわしく、東京が旅行者にとって最高の訪問先となることを目指しまして、新しい発想を盛り込んで、さまざまな施策を展開してまいります。
 このプランにおきましては、これまでにない新たな目標を含めまして、高いレベルの到達点を目指しておりまして、そして、来訪者の多い区部のほか、緑にあふれて自然豊かな多摩、そして島しょの観光振興にも力を入れてまいります。
 特に島しょは、個性ある宝物に恵まれた宝島でございます。これらを生かして、島同士が連携して来客を促し、その消費を喚起する新しい仕組みをつくる。また、島しょを船で周遊するツアーを婚活の場として活用することによりまして、観光振興に結びつけてまいります。
 観光に関連する事業者に加えまして、各自治体や地域の団体などとしっかりと連携をいたしまして、観光振興を進めることによって、世界で最高のレベルの観光都市東京の発展を目指してまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監、そして関係の局長から答弁とさせていただきます。
〔警視総監沖田芳樹君登壇〕

○警視総監(沖田芳樹君) サイバー関連部署集約施設の整備についてでありますが、情報通信技術が急速に発展する中、不正アクセスに起因した大規模な情報流出事案やインターネットバンキング不正送金事犯などのサイバー犯罪が多発し、また、標的型メール攻撃を初めとするサイバー攻撃も相次いで発生しております。海外においては、重要インフラの基幹システムを機能不全に陥れるサイバーテロも発生しているところであります。
 こうした情勢のもと、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、サイバー空間の脅威への対処能力を強化するため、平成三十年四月からサイバー関連部署を一カ所に集約することにより、情報や資機材の共有化を促進し、初動捜査や高度解析など、捜査力の強化を図るというものであります。
 今後とも、部門間連携を強化した上で、積極的な取り締まりや実態解明などの諸対策を推進してまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) オリンピック・パラリンピック教育についてでございますが、他者への共感や主体的に社会に貢献しようとする態度を育むためには、体験活動等を重視した教育を、発達段階の早い時期から意図的、計画的に継続して実施していくことが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、今年度から全ての学校でオリンピック・パラリンピック教育を展開し、地域清掃や障害者スポーツ体験等により、ボランティアマインドを醸成し、障害者等の理解を深める取り組みを推進しております。
 今後、新たにボランティア登録制度を開始するとともに、学校と障害者団体等との連携の場を拡充するなどして、児童生徒に互いを尊重する心と社会貢献の精神を培う教育を、大会後のレガシーとして確実に引き継ぎ、開催都市にふさわしい社会の実現を目指してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都市づくりのグランドデザインについてでございます。
 東京は、日本の活力をリードするとともに、都民が夢と希望を持ち、豊かな生活を実感できる都市として持続的に発展していかなくてはなりません。
 そのためには、国際競争力を高める都市基盤の充実や、高度な都市機能が集積する拠点形成を進めてまいります。
 あわせて、道路網がおおむね完成する時代を見据え、そのストック効果を生かした道路空間の再編や、人口減少社会においても利便性の高いコンパクトな拠点づくり、農地も含めた東京の緑の保全、活用など、これまでの延長線を超えた取り組みも進めてまいります。
 本年五月ごろに素案を公表し、都民の意見を聞いた上で、八月ごろを目途にグランドデザインを取りまとめ、その実現に向け、積極的に取り組んでまいります。
 次に、都市計画道路のあり方についてでございます。
 都はこれまで、おおむね十年ごとに事業化計画を策定し、計画的かつ効率的に整備を推進してきております。
 現在の第四次事業化計画に基づき事業を進めることで、今後、おおむね二十年で都市計画道路全体のネットワークの約八割が完成する一方で、残る計画は、完成までになお時間を要することになります。
 この中には、計画幅員まで完成していないものの、既に必要な交通機能が確保されている路線や、沿道のまちづくりの状況に変化が想定される路線などがございます。
 整備すべきものは整備し、見直すべきものは見直すとの基本的な考えに立って、これらの道路のあり方について、来年度から、地元区市町とともに検討を進め、平成三十年度を目途に基本方針を取りまとめる予定でございます。
 次に、新宿駅周辺のまちづくりについてでございます。
 東京が社会情勢の変化に的確に対応し、持続的に発展していくためには、国際ビジネス拠点である都心などに続いて、世界一の鉄道ターミナルである新宿駅周辺を再整備し、国際競争力の強化を図っていくことが必要でございます。
 具体的には、かつて時代を先取りして整備した立体的な駅前広場を、将来に向けて誰もが使いやすい施設につくり変えてまいります。また、それにつながる歩行者優先の空間づくりによって、地域の回遊性を高めるとともに、駅周辺建物の更新などを通じて、観光、商業、業務など、多様な機能の充実強化を図ってまいります。
 今後、区とともに、まちづくりの方向性を公表し、都民の意見を聞きながら、将来像を取りまとめ、魅力的な国際交流拠点の形成に積極的に取り組んでまいります。
 次に、舟運の活性化についてでございます。
 東京の舟運を活性化するためには、舟運事業者の取り組みを促進し、定期航路を拡充していくことが重要でございます。
 このため、今年度は、九月から十二月まで、羽田から浅草に至るルートなど三つの航路で社会実験の実施をいたしました。その結果、船上からの景色などを評価する声がある一方で、乗船時間の長さや料金の設定などに課題があることを把握してございます。
 来年度は、東京港の観光スポットを循環し、短い区間で乗りおりも可能な航路を設定するなど、より多くの方に利用していただけるよう工夫を加え、通年型の社会実験を実施いたします。
 二〇二〇年東京大会、さらにその先に向けて、舟運が身近な観光交通手段として定着するよう取り組んでまいります。
 次に、木密地域のさらなる不燃化の取り組みについてでございます。
 都は、不燃化特区において、税の減免や老朽建築物の除却費の助成などに加えて、区が住民への働きかけを行う全戸訪問に支援を行っておりまして、今年度からは、複数回訪問して、建てかえプランの提示も行えるようにいたしました。
 来年度からは、建てかえに際して借家人などの移転が円滑に進むよう、新たに引っ越し費用の支援を行うとともに、特区の指定区域を北区十条地区など三地区で拡大をいたします。
 このような助成や誘導策に加えて、今年度から実施しております防災生活道路の整備についても対象路線を拡大し、整備にあわせて無電柱化も実施してまいります。燃えない、燃え広がらないまちを早期に実現するため、今後とも工夫を加えて、さらなる取り組みを推進してまいります。
 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございます。
 都は耐震化を促進するため、改修費の最大九割を助成することに加え、今年度からは、改修計画の作成を支援するなど、所有者の取り組みを後押ししてまいりました。これまで沿道建築物の九六%で診断が行われ、このうち約半数で設計に至っておりまして、今後は、残り半数について、設計など次の段階につなげていくことが課題でございます。
 このため、個別訪問によるローラー作戦を加速させた上で、新たな視点から賃貸ビルにおけるテナントの協力を引き出すなどの取り組みも行う必要がございます。
 ことし一月、学識経験者などから成る検討委員会を設置し、実効性のある、さらなる促進策について検討を開始しておりまして、来年度末を目途に取りまとめを行ってまいります。
 最後に、住宅マスタープランの策定についてでございます。
 今月公表したマスタープランの案では、社会情勢の変化や人口の減少を見据え、都民の生涯にわたる豊かな住生活の実現とともに、まちの活力と住環境の向上と持続を目指すことを掲げてございます。
 住まいや住生活の面では、例えば、子育て支援住宅の認定や公共住宅における子育て世帯の入居拡大、空き家を活用した高齢者の入居支援などに重点的に取り組んでまいります。地域や住環境の面では、良質な既存住宅の流通拡大に向けた環境づくり、マンションの適正管理の支援や建てかえによる再生などに取り組んでまいります。
 今後、都民から寄せられた意見を踏まえて、年度内にマスタープランを策定し、区市町村や関係団体などと連携しながら、住宅政策を総合的に推進してまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 六点の質問にお答えいたします。
 まず、モニタリング調査についてでございますが、第一回から第八回までの調査につきましては、豊洲市場用地での工事等の進捗に合わせ、各街区の工事を受注した建設会社等と契約しておりました。第九回につきましては、各街区の主要な工事が完了していたため、契約の公平性、客観性を確保する観点から、競争入札で契約したところでございます。
 調査会社が変わった場合におきましても、採水や分析方法等を定めた国のガイドラインに準拠するよう指導することで、調査結果の精度は担保されると考えておりましたが、第九回調査の状況を踏まえまして、調査精度の向上に取り組む必要がございます。
 このため、現在実施しております再調査におきましては、専門家会議の管理のもと、不純物がまざりにくい方法での採水を行うほか、環境局の助言を得て、調査に当たり標準作業手順書の提出を仕様に定め、複数社での分析のクロスチェックを行うなど、調査精度の向上を図っているところでございます。
 地下水モニタリング調査契約の予定価格等についてですが、都におきましては、契約事務規則等により、予定価格二百五十万円を超える工事請負契約を除き、予定価格は非公表としております。
 このため、今回の地下水モニタリング調査契約につきましても、落札金額は三百二万四千円と既に公表しておりますが、予定価格と落札率は非公表としているところでございます。
 HACCP対応についてですが、HACCPは、食中毒や異物の混入などの危害をあらかじめ予測し、継続的に監視、記録することによって食品の安全性を確保する衛生管理手法であり、大規模な食品の製造や加工施設を中心にその導入が進められております。
 開放型で温度管理等が難しい築地市場におけるHACCP対応は、異物混入や品温管理等について、よりきめ細かなプランの策定とその確実な実施が必要となります。こうしたことから、HACCPの導入は事業者にとって大きな困難を伴うものと考えております。
 地下ピット内の状況についてでございますが、都は昨年十二月十三日から、専門家会議の指示を受けて、地下ピット内の強制排水を開始いたしました。現在、主要四棟の地下ピットのたまり水の水位は、ならしコンクリートより低下し、おおむね乾燥した状態にございます。
 また、地下ピット内の環境管理において、換気の有効性が専門家会議で確認されていることから、今後、同会議の議論を踏まえ、必要な対応策を適切に講じてまいります。
 地下水管理システムについてですが、このシステムは、約四十ヘクタールの豊洲市場用地において地下水位を一定の範囲で管理するとともに、くみ上げた地下水を必要に応じて浄化処理した上で排水するなど、地下水管理における重要な役割を担っております。
 本システムの機能が十分に発揮されるよう、設備の稼働状況に応じ、揚水ポンプの洗浄や排水処理施設の定期的なメンテナンスなど、設備の適切な機能維持に取り組んでいるところでございます。
 現在、システムの稼働状況等について専門家会議において検証していただいており、こうした専門的な知見も踏まえながら、地下水管理システムの機能強化の必要性について検討してまいります。
 最後に、移転延期に伴う補償費についてでございますが、豊洲市場への移転延期に伴い、市場業者の方々に生じている具体的な損失に対しまして適切な補償を実施するため、事業者へのヒアリング調査を行った上で、対象項目などを盛り込んだ補償スキームを策定いたしました。
 ヒアリング調査では、事業者が豊洲市場に導入した設備や築地市場での営業継続のために必要な修繕等の状況について把握いたしましたが、全ての事業者の損失額を詳細に見積もるまでには至っておりません。
 このため、現時点の予算上の措置として五十億円を計上したものでございまして、今後、個別相談や専門家による審査会の開催など、補償手続を進め、その状況に応じて、必要な場合には追加の補正予算により対応することとしております。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、大会成功に向けた区市町村支援についてでございます。
 都では、区市町村における機運醸成や大会後の地域のレガシーにつながるソフト事業、施設整備双方に対して補助制度を設けております。
 来年度予算では、区市町村からの強い要望に応え、二〇二〇年大会の開催に不可欠な練習会場や、ラグビーワールドカップのキャンプ地となる施設の改修に対する補助を新たに対象に加えまして、補助率につきましても拡充を図ることといたしました。
 これにより、円滑な大会運営に向けて、地元自治体や関係者の一層の理解を得るとともに、大会開催に向けた盛り上がりや機運醸成にも弾みをつけてまいります。
 引き続き、大会成功や大会を契機とした地域の一層の活性化に向け、区市町村の実情を踏まえました支援を積極的に進めてまいります。
 次に、新たなスポーツ推進計画の策定についてでございます。
 本格的な少子高齢社会を迎える東京が今後も活力を維持していくためには、年齢、性別や障害の有無にかかわらず、誰もがスポーツに親しむことを通じて、健康で生き生きと活躍する社会を実現することが不可欠でございます。
 そのためには、都民が体力や身体能力に応じ、身近な地域で障害者スポーツを含むさまざまなスポーツを行えるよう、機会や場の提供、支える人材の育成などの取り組みを、関係団体等と連携しながら一層進めていく必要がございます。
 新計画は、現行のスポーツ推進計画と障害者スポーツ振興計画を一本化した上で、誰もがスポーツをする、見る、支えることを通じた健康増進や心のバリアフリー化、スポーツを核とした地域の活性化等を実現する総合的なものとなるよう、その策定に全力で取り組んでまいります。
〔生活文化局長中嶋正宏君登壇〕

○生活文化局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京文化プログラム助成の充実についてでございますが、文化プログラムを成功させるためには、伝統から革新まで多彩なメニューを展開するとともに、より多くの都民に参加していただくことが重要でございます。
 都はこれまで、芸術家による作品発表や地域の郷土芸能などの取り組みを助成してまいりましたが、今年度、より多くの都民に鑑賞していただけるよう、東京文化プログラム助成を創設し、民間の大規模な文化事業への支援を行ってまいりました。
 来年度は、この助成制度をさらに充実させ、プロジェクションマッピングのような日本の誇る先端技術を活用した作品制作なども支援し、東京発の独自コンテンツの創造につなげてまいります。
 さらに、都民自身が文化プログラムの主役として参加できますよう、都内全域から子供たちを集めた音楽祭など、日常的な都民の文化活動にも助成対象を広げてまいります。
 次に、町会、自治会への支援の充実についてでございますが、共助社会づくりを進めるには、地域の課題解決に尽力する町会、自治会の活性化が必要であり、これまでも都は、地域の底力再生事業助成による支援を行ってまいりました。
 来年度は予算を大幅に増額しますとともに、本制度が定着してきたことを機に、その名称も再生から発展へと変更し、さらなる充実を図ることといたしております。
 また、加入世帯数の減少や高齢化により活動の担い手の不足が課題となる町会、自治会の運営を手助けするため、ウエブ開発やイベント制作などの専門性を持つ企業の社員などをボランティアで長期に派遣する取り組みを開始いたします。
 こうした支援を充実させることで、町会、自治会がより魅力的な事業を展開し、共助社会づくりに貢献できるよう、都として全力で取り組んでまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、まち中を花や緑で彩る取り組みについてでございますが、都市における花や緑は都民生活に癒やしと潤いをもたらし、来訪者のおもてなしにも資するものでございます。
 このため、都は、これまでの都電荒川線の軌道敷緑化など、緑の創出に加え、都民や観光客等でにぎわう場所を重点に、まちを花で演出する花の都プロジェクトを開始いたします。
 具体的には、区市町村が住民等と協働し、ハンギングバスケットなどを利用して花でまちを彩る取り組みに対し、都が財政支援を行うとともに、花の維持管理等について、専門機関から技術的助言を得られる体制を整えてまいります。
 このプロジェクトを通じて、効果的な維持管理や展示方法等を検証するとともに、実際に花で彩られたまちを都民に見ていただくことで、地域による取り組みの輪を広げ、花と緑あふれる都市東京の実現を目指してまいります。
 次に、再生砕石の利用拡大についてでございますが、インフラの更新に伴うコンクリート塊の発生増が見込まれる中、それを原料とする再生砕石の利用拡大は、円滑な都市更新を進める上で喫緊の課題でございます。
 しかしながら、現在、再生砕石は、品質への不安感等から、道路路盤材以外の用途への利用拡大が進んでおりません。
 そのため、都は来年度、事業者の定めた再生砕石の品質基準や施設の製造能力を行政として審査の上、認証する制度を新設し、埋め戻し材など新たな用途への利用拡大に向けた事業者の取り組みを支援してまいります。
 今後とも、再生砕石を初めとするエコマテリアルの利用促進により、二〇二〇年に向けた実行プランに掲げた再生資材の利用促進など、資源効率の一層の向上を推進してまいります。
 最後に、VOCの排出削減についてでございますが、大気環境の改善には、塗料や印刷インキ、クリーニング溶剤など、さまざまな製品に活用されているVOCを排出実態に応じて削減することが必要でございます。
 都はこれまで、法令による規制やVOC対策ガイドの作成等により、個々の事業者の取り組みを支援してまいりましたが、来年度はこれに加えて、使用実態を踏まえた対策が業界全体に広がるよう、新たなモデル事業を実施いたします。
 具体的には、VOCの回収装置の設置など、業界にそれぞれの特性に応じた対策を盛り込んだ自主行動計画の策定を促し、その計画に基づき、設備機器を導入する事業者に対し経費を補助するなどの支援を行ってまいります。
 今後とも、関係業界と連携しながら、VOCの着実な削減に取り組んでまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、大規模水害対策についてですが、区部東部には、ゼロメートル地帯を中心に、浸水が想定される区域に約二百三十万人が居住しており、災害時には関係機関が連携して対応することが不可欠でございます。
 都は、国の大規模広域避難に関する検討部会や地元五区の協議会に参加し、浸水の深さ、継続する時間など被害状況に応じた域内、域外避難の優先度や自主避難も含めた適切な避難方法について検討しております。
 また、長年、大規模水害の経験のない住民が、地域の水害リスクを正しく認識することも重要です。
 そのため、都は今年度、区と連携して住民向けのワークショップを試行的に実施しており、来年度は地域を拡充いたします。
 こうした取り組みを国や流域の自治体等と継続的に行い、大規模水害対策を推進してまいります。
 次に、発災時における水上経路の確保についてですが、首都直下地震等の発生時に応急対策活動を迅速に実施するためには、陸路だけでなく、区部東部や東京沿岸部に多く存在する河川や運河などを水上経路として確保し、緊急輸送ルートの多重化を図ることが重要でございます。
 このため、都では平成二十八年七月、国、関係局、地元区等による検討会を設置し、船舶や防災船着き場等の状況把握、関係者との情報連絡手段など、水上経路の運用上の課題を抽出しつつ、負傷者の搬送や支援物資の輸送など、事例検討を実施してまいりました。
 今後、水上経路の活用方法を継続的に検討しながら、運用マニュアルを作成するとともに、図上演習や実地訓練を重ね、迅速な救出救助活動、物資輸送に必要な水上経路の運用体制の確保を図ってまいります。
 次に、多摩振興についてですが、多摩地域は、豊かな自然を背景に、人口動向、土地利用、産業構造など、地域ごとにさまざまな特性を有しており、多摩の振興プランの策定の際には、こうした多様な地域の実情を十分に踏まえることが重要でございます。
 このため、地域ごとの特性や課題を分析した上で、人口減少、少子高齢化の進展や東京二〇二〇大会開催など、社会情勢の動向を見据え、安全・安心で暮らしやすいまちづくり、道路交通ネットワークの充実強化、観光やものづくりなどの産業振興、自然環境の保全といった視点から、施策の方向性を検討しております。
 また、市町村や学識経験者、民間事業者等から幅広く意見を聞いており、今後、こうしたご意見を踏まえて、さらに庁内検討を進め、ことしの八月を目途に策定してまいります。
 最後に、島しょ地域の火山防災対策についてです。
 都は、島しょ地域の火山防災対策として、気象庁と連携し火山活動の観測を行ってきたほか、大島、三宅島等における砂防施設の整備を実施してまいりました。
 また、改正活動火山対策特別措置法により、警戒地域の指定を受けた、硫黄島を除く六火山について、昨年四月に島ごとの火山防災協議会を設置し、島しょ地域の実情を踏まえた避難計画の策定に向け協議を行っております。
 次の噴火に備えるべき大島、三宅島については、過去の火山災害の経験や社会環境の変化を踏まえた、より実効性のある避難計画を来年度早期に策定いたします。そのほかの島についても、平成三十二年度までの避難計画の策定を目指し、専門家や関係機関と協議を進め、島しょ地域の火山防災対策を積極的に推進してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小河川の整備についてでございますが、激甚化する豪雨から都民の命と暮らしを守るには、河川整備を効率的、効果的に進めることが重要でございます。
 このため、時間五十ミリまでの降雨は護岸整備を基本に、それを超える降雨には道路や公園等、用地取得の必要がない公共空間を活用した新たな調節池等で対処いたします。
 具体的には、石神井川や空堀川など二十六河川で引き続き護岸を整備するとともに、新たな目標整備水準に対応する五調節池の工事を本格化いたします。
 このうち、時間百ミリの局地的かつ短時間の豪雨にも効果を発揮する環七地下広域調節池につきましては、平成三十七年度の事業完了に向け、本定例会での議決を経まして、本体工事に着手いたします。
 加えまして、谷沢川分水路につきまして、二十九年度の工事着手を目指し、都市計画の手続を進めるなど、治水対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、連続立体交差事業の推進についてでございますが、本事業は、道路整備の一環として実施しており、数多くの踏切を同時に除却することで、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化や防災性の向上にも資する極めて効果の高い事業でございます。
 現在事業中の八カ所に加えまして、新たに四カ所で事業化に向けた準備を進めております。
 このうち、JR埼京線十条駅付近は昨年十月に、京浜急行本線品川駅から北品川駅付近は本年一月に、都市計画等の説明会を開催いたしました。
 さらに、東武東上線大山駅付近につきましては、鉄道と交差する補助第二十六号線が事業化されており、地元区によるまちづくりの取り組みも進んでいることから、国に対しまして着工準備に係る補助金を新たに要望し、事業化に向けて一歩踏み出すことといたしました。
 人や物の流れがスムーズな都市を実現するため、今後とも必要な財源の確保に努め、本事業を一層推進してまいります。
 最後に、多摩地域の幹線道路の整備についてでございますが、多摩地域のさらなる発展を図るためには、交通、物流機能の強化、災害時の迅速な救急救援活動を担う幹線道路ネットワークの充実が極めて重要でございます。
 多摩南北主要五路線は、既に調布保谷線など三路線が開通しており、府中所沢鎌倉街道線では、本年三月にJR中央線をまたぐ約一・一キロメートルの区間を開通させますとともに、唯一、未着手区間の残る立川東大和線で環境影響評価手続を着実に進めてまいります。
 多摩東西主要四路線は、東八道路でJR南武線との立体交差工事、新青梅街道で用地取得を進めてまいります。また、新五日市街道の福生市区間では、測量や設計を進めるなど、平成三十年度の事業化を目指してまいります。
 引き続き、多摩地域の発展に資する骨格幹線道路ネットワークの整備に全力で取り組んでまいります。
〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) 下水道における時間七十五ミリ降雨対策についてでございますが、下水道局では、時間七十五ミリ降雨対策として、地下街対策九地区と市街地対策四地区を定めております。
 地下街対策地区は、既に新宿駅地区や渋谷駅西口地区などで事業が完了しております。現在、残る五地区で事業中であり、そのうち三地区については、平成三十二年度までの完了を目指しております。
 市街地対策地区は、平成二十九年度に目黒区八雲、世田谷区深沢地区で着手する予定であり、これにより全ての地区で着手となります。市街地対策地区については、二〇二〇年大会に向け、一部完成した施設を暫定的に稼働させるなどして、平成三十一年度までに効果を発揮させてまいります。
 引き続き、全事業の一日も早い完了に向け、浸水対策を強力に推進してまいります。
〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 災害時の受援体制の強化についてでありますが、首都直下地震等が発生し、水道施設に甚大な被害が生じた場合には、全国の水道事業体からの応援部隊と緊密に連携をした対応が不可欠であることから、受援体制の強化は極めて重要であるというふうに認識をしております。
 都はこれまで、災害時における受援体制構築に向けた仙台市との覚書や、応援部隊を効率的に受け入れるための中継地に関する茨城県との覚書の締結のほか、受援マニュアルの整備や独自の訓練などを進めてまいりました。
 今後は、覚書を結んだ三者で受け入れ施設や手順等の確認を行うほか、中部や関西などさまざまな方面からの応援部隊に備えた新たな中継地の選定など、これまで以上に受援の取り組みを充実させ、首都東京を支える基幹ライフラインとして、防災対応力の強化に万全を期してまいります。
〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 特別区消防団員の入団促進についてでありますが、東京消防庁では、ポスターやリーフレット等に加え、電車の車体広告を活用するなど、募集広報を充実するとともに、若者や女性にも効果のある入団促進方策について委託調査を実施しております。
 また、より一層魅力ある消防団とするため、来年度は、費用弁償の増額による処遇の改善、新たな消防団旗の整備や表彰制度の拡充による士気の高揚を図るほか、安全性を向上させた新型の防火帽を全消防団員に整備することを予定しております。
 今後とも、委託調査の結果等を踏まえ、若者や女性も含めた多くの方々の入団を促進するとともに、活動を継続しやすい環境の整備を進めるなど、消防団員の確保に努めてまいります。
〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) いわゆる自画撮り被害への対策についてですが、ネット上に流出した画像の回収は事実上困難であり、被害防止には画像を送らせないことが肝要でございます。
 自画撮り画像を要求する働きかけは、通常、他者に成り済ます、執拗に行うなど、子供の判断能力の未熟さにつけ込む悪質な方法で行われますが、現行法制度では規制対象にならないケースが多く、被害は深刻な状況にあります。
 そこで今回、青少年問題協議会で、こうした悪質な働きかけ行為自体を条例で規制することも含め、実態に即した効果的な未然防止策をご検討いただくものでございます。
 また、学校関係者や警察等とも連携しつつ、このような働きかけに子供が安易に応じることのないよう、ネット利用の危険性に関する子供や保護者への普及啓発を強化するなど、実効性のある対策を推進してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、保育人材の確保、定着に向けた取り組みについてでありますが、都はこれまで、保育人材の安定的な確保のため、キャリアアップ補助や宿舎借り上げ支援、コーディネーターによる就職相談や定着支援などを行ってまいりました。
 来年度は、キャリアアップ補助の条件に財務情報の公表や非常勤職員の賃金改善などを加え、保育士等の給与をモデルケースで月額二万一千円、従来分と合わせて四万四千円相当引き上げられるよう、補助額を大幅に拡充をいたします。
 また、職場復帰する保育士が認可外の居宅訪問型保育サービスを利用する場合の利用料や、業務負担軽減に向けた保育所のICT化に必要な経費を補助する区市町村を新たに支援することとしておりまして、今後とも、保育の実施主体である区市町村と連携し、保育人材の確保、定着に積極的に取り組んでまいります。
 次に、特別養護老人ホーム等の整備についてでありますが、都は、都有地の減額貸付や土地賃借料の負担軽減、建築価格高騰に対応した加算に加え、今年度からは、高齢者人口に対する整備率に応じた補助単価の加算対象地域を拡大するなど、サービス基盤の整備を促進してまいりました。
 来年度は、地域密着型サービスの定期借地権一時金の事業者負担の軽減や、みずから所有する土地を活用した施設整備を行う区市町村への支援を開始いたしますとともに、整備費の高騰加算を増額いたします。
 また、地元の必要数を超えた特別養護老人ホームの整備に同意する区市町村が、福祉目的に活用できる基金造成のための交付金制度を創設いたします。
 今後、平成三十年度からの第七期高齢者保健福祉計画を策定する予定でございまして、区市町村のニーズを踏まえながら、介護サービス基盤のさらなる整備を促進してまいります。
 最後に、医療的ケア児やその家族への支援についてでありますが、医療的ケア児が地域で適切な支援を受けながら生活できるようにするためには、医療、保健、福祉の連携を強化し、在宅生活を支えるサービスを充実していく必要がございます。
 このため、来年度は、地域で支援にかかわる関係機関の連絡会を設置するほか、人材の育成研修も充実いたします。
 また、NICU等からの在宅移行に向けた外泊訓練等への支援を開始いたしますとともに、家族の負担を軽減するため、看護師が自宅を訪問してケア等を行う事業の対象を、医療的ケア児にも拡大をいたします。
 さらに、障害児通所施設や保育所等での受け入れが進むよう、看護師配置を支援いたします。
 来年度改定する障害福祉計画には、新たに障害児福祉計画を盛り込む予定であり、今後とも、医療的ケアが必要な障害児やその家族の支援に積極的に取り組んでまいります。
〔病院経営本部長内藤淳君登壇〕

○病院経営本部長(内藤淳君) 都立墨東病院における周産期医療についてでございますが、子供を安心して産み育てられる環境の整備は重要であり、都民の命と健康を守る都立病院におきましては、周産期医療をさらに充実させる必要があると認識しております。
 このため、墨東病院では、ハイリスク分娩への対応力の強化に向け、母体胎児集中治療管理室の改修や、内科的治療と外科手術を同時に実施可能なハイブリッド手術室の整備などを進めております。
 こうした中、今月開催されました東京都周産期医療協議会におきまして、これまでの実績や救命救急体制の強化が認められ、緊急に処置が必要な母体を必ず受け入れるスーパー総合周産期センターの指定を今年度内に受けることとなりました。
 引き続き、墨東病院の周産期医療体制を充実させ、区東部エリアを初めとし、また都におきます母体救命体制の最後のとりでとしての役割を果たしてまいりたいと考えております。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 都営地下鉄のホーム上の安全対策についてでございますが、既に整備に着手しております新宿線では、平成三十一年秋までにホームドアを全駅に整備いたしますとともに、車椅子のお客様等が乗りおりしやすいよう、ホームの端のかさ上げを実施いたします。
 残る浅草線では、大門駅と泉岳寺駅に加えまして、昨年度利用者が十万人以上になりました三田駅と、二〇二〇年東京大会開催時に多くの乗りかえのお客様が見込まれる新橋駅についても、大会までにホームドアを先行整備いたします。
 さらに、車両の大規模改修を要しない新技術の実用化を図り、全駅への早期整備を目指してまいります。
 また、駅員による視覚障害者の方への声かけ等の徹底を図るとともに、昨年十一月から警備員の配置を順次拡大しており、本年四月にはホームドア未設置の全駅に配置を完了いたします。
 今後とも、ハード、ソフト両面から、ホーム上の安全対策の一層の充実に取り組んでまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 都営空港における航空機事故の被害者救済制度についてでございますが、航空機事故では、事故原因の究明に時間がかかり、その間、責任を負うべき加害者が特定されないため、被害者が長期間救済されないケースが起こり得ます。
 そこで、都は、空港管理者として、都営空港を離着陸した航空機が都内で事故を起こした場合に、被害者を迅速に救済する制度を新たに整備いたします。
 具体的には、被害者の速やかな生活再建のため、住宅の建てかえや補修等の資金を貸し付けるとともに、当座必要となる一時金を被害者へ交付する制度について検討しております。
 こうした被害者救済策の構築や安全対策のさらなる強化により、安全・安心な空港運営に積極的に取り組んでまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小企業の成長に向けた支援についてでございますが、東京の産業が力強く成長していくためには、それを支える中小企業が積極的な投資とイノベーションの創出等により、事業を展開していくことが重要でございます。
 こうした企業の競争力強化や成長分野への参入の取り組みに対する支援を強化していくため、都は、設備導入の支援対象を全業種に拡大いたしますとともに、成長分野におきましては、全事業者について、助成率三分の二を適用いたします。
 また、IoTを活用した飛躍的な生産性向上や新たなビジネス展開を後押しするため、普及セミナーの開催や相談窓口の設置を行いますほか、都立産業技術研究センターにおいて、製品等に係る共同開発やスマート工場化の支援等を実施する新たな拠点の整備に着手いたします。
 これらにより、中小企業の稼ぐ力の強化を促進してまいります。
 次に、起業の促進についてでございますが、開業率を飛躍的に向上させるためには、起業の創出が期待される若者や女性への支援の強化が必要でございます。
 このため、都は、先月開設をいたしましたTOKYO創業ステーションでの取り組みに加え、多様な層への支援策を展開いたします。若者を対象に、起業コンテスト応募者への育成機会の提供等を行いますとともに、女性の起業家向けには、先駆的な事例創出のための育成プログラムや海外派遣等を開始いたします。
 また、グローバルな展開を図る起業家を輩出するため、国内外の投資家や大企業等との交流機会を提供いたします。さらに、ベンチャーファンドを創設いたしまして、起業初期段階における資金供給と経営支援を一体的に提供してまいります。
 こうした取り組みにより、多様な起業家を数多く生み出し、その成長を促してまいります。
 次に、商店街に対する支援についてでございますが、商店街が将来にわたり発展していくためには、商業活動の拠点としての魅力向上に加え、コミュニティの担い手として、地域社会に根づいていくことが重要でございます。
 このため、都は来年度、商店街がそれぞれの顧客や地域の期待に応える取り組みを主体的に行えるよう、支援策の拡充を図ってまいります。
 具体的には、商店街が行う市場調査等に助成するとともに、希望する分野の専門家を派遣し、課題解決や活性化に向けた計画策定等を支援いたします。
 さらに、地域課題の解決に向けた空き店舗の活用や買い物弱者対策、商店街の国際化対応等への助成の充実を図ってまいります。また、町会等と連携した取り組みを行う商店街への支援を実施し、地域との結びつきをより強固なものとしてまいります。
 これらによりまして、商店街のさらなる発展を強力に後押ししてまいります。
 次に、都市農地の保全についてでございますが、農産物の生産基盤であるとともに、防災等の多面的機能を発揮する都市農地は、貴重な緑地空間の確保という観点からも、その保全を図ることが必要でございます。
 しかしながら、現状におきましては、相続発生時に買い取り申し出がなされた生産緑地の多くが宅地化され、農地として利用されてございません。
 このため、都では来年度、農地の保全が計画されている区域等において、相続による買い取り申し出のあった生産緑地一カ所を選定し、みずから買い取り、モデル農園を設置いたします。
 この農園では、都がJA等と連携し、教育や福祉等の多面的機能の発揮と維持管理費の軽減を両立する運営を行い、その手法を区市に波及させることで、区市による生産緑地の買い取りを通じた農地としての継続利用を促し、都民の貴重な財産である都市農地の保全を図ってまいります。
 最後に、難病患者やがん患者の方々の雇用に取り組む企業への支援についてでございますが、誰もが活躍できる社会の実現に向けましては、難病患者やがん患者の方々が安心して活躍できるよう、職場環境の整備を進めていくことが重要でございます。
 このため、都は来年度から、難病やがんの発症等で休職した従業員が就業を継続できるよう、計画的な復職支援や職業生活と疾患管理の両立に配慮した勤務制度の導入を行う中小企業に対する助成制度を新たに構築し、取り組みを後押しいたします。
 また、新たに難病患者やがん患者を雇い入れる企業に奨励金を支給することで、雇用の拡大を図ってまいります。
 こうした企業への支援策により、難病患者やがん患者の方々が安心して活躍できる社会を目指してまいります。
〔百十三番高木けい君登壇〕

○百十三番(高木けい君) 大変多岐にわたる数多くの質問に、それぞれご丁寧にご答弁をいただいたものと思います。まだ今定例会は始まったばかりでございますので、議論が深まっていない課題もありますから、今後の予算特別委員会、あるいは各常任委員会、特別委員会においての議論において、その課題を一つずつ掘り下げてまいりたいと、このように思います。
 そして、先ほど来の答弁の中で、私たちとしては、やはり答弁が物足りないといいますか、納得のできないこともございますので、再質問をさせていただきたいと思います。
 豊洲市場問題について、三問、再質問いたします。
 まず、地下水モニタリング調査契約の予定価格と落札率についてでありますが、非公表との答弁には、私は到底納得ができません。
 既に世間では、低入札だとの指摘が相次いでおりますし、知事は、都政の透明化を第一に掲げ、自分たちに都合のよい情報だけを発信するのでは情報公開とはいえない、また、都民の判断に資する情報公開を進めると、さきの施政方針で表明をされているわけであります。
 先ほどの市場長の答弁は、これに全く逆行するものといわざるを得ないと思います。
 再度、知事にお伺いいたします。第九回の地下水モニタリング調査契約の予定価格、そして落札率をお答えいただきたいと思います。
 次に、市場移転に関して、築地か豊洲かという二者択一なのか、あるいは第三の道があるのかという質問についてであります。
 知事の答弁は、専門家による検証、市場業者の方々と都民の意見を参考に総合的に検証し判断するというものでしたが、残念ながら、これでは私の質問のお答えにはなっていないと思います。
 確認をいたしますが、二者択一なのか第三の道があると考えているのか、どのような選択肢をお考えなのか、そのことだけでもお示しをいただけないでしょうか。知事に答弁を求めます。
 最後に、移転延期に伴う補償費についてですが、全ての事業者の損失額を詳細に見積もるまでには至っていないとの答弁がありました。見積もりをしていないのに、とりあえず五十億円計上したというのは、自治体の予算制度を知る者にとっては、なかなかこれは理解しがたいものがありまして、そもそもこれでは予算制度が成り立たないと私は考えます。
 きょうの時点で、必要な場合には追加の補正予算により対応すると明言されておりますから、移転補償費はさらに膨らむと理解をすべきなのでしょうか。その部分をぜひ知事にお答えいただきたいと思います。
 以上で私の再質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 高木けい議員からの再質問、まことにありがとうございます。
 予定価格、そして落札率の公開についてご質問がございました。
 都政の透明化を進めることは重要であることを、私は再三再四、申し上げておりました。一方で、個人情報や契約に関する情報などは、一部には公表になじまないものが含まれていることも議員よくご承知のことだと思います。地下水のモニタリング調査契約の適正性は、仕様内容、そして履行確認を通じまして担保すべきものと考えております。
 二つ目のご質問でございましたが、市場移転に関する第三の選択肢でございます。
 現在、豊洲市場の安全・安心の検証に向けて、地下水モニタリングの再調査など、専門家会議において検証を進めていただいているところは既にご存じのことと存じます。さまざまな考え方があると思いますが、まずは、私は、こうした科学的な分析を十分に行っていくことが必要と考えているところでございます。
 三つ目、移転延期に伴います補償費についてでございますが、昨年実施をいたしましたヒアリングの調査では、全ての事業者の状況を確認できておりません。よって、正確な損失額を把握するまでには至っていないということでございます。
 このため、現時点での予算上の措置を講じたものでございまして、今後、個別のご相談、そして専門家によります審査会などの補償手続を進めまして、必要な場合には追加の補正予算によりまして対応していく、そのような考え方でございます。
 ありがとうございました。

○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十六分休憩

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