平成二十八年東京都議会会議録第十七号

○副議長(小磯善彦君) 五十一番両角みのる君。
   〔五十一番両角みのる君登壇〕

○五十一番(両角みのる君) 初めに、受動喫煙についてお聞きします。
 当初、舛添前知事は、受動喫煙防止条例制定への強い意向を示していましたが、関係業界や都議会の一部から反対意見が出るや、一転、腰砕けとなり、条例化を見送りました。
 都が条例化を逡巡しているうちに、国では、罰則つき法制化へ準備を加速しています。
 都では、平成二十七年度に、外国人旅行者向けの宿泊、飲食施設用として、分煙環境整備補助制度を創設し、分煙化政策を進めています。
 しかしながら、この補助金は、平成二十七年度執行率が約一三%と低調であるばかりか、屋内全面禁煙という世界的な受動喫煙防止の方向性に逆行するものです。
 今後の当該補助制度のあり方について、所見を伺います。
 この十月には、厚生労働省が受動喫煙防止対策のたたき台を発表し、サービス業等は、喫煙室の設置も可能とする方向性が示されましたが、受動喫煙防止対策としては不十分との声が上がっています。
 オブザーバーとして国の検討チームに参加している都は、スモークフリー都市実現に向けて、屋内全面禁煙の法制化を国に働きかけ、さらに必要があれば、独自の条例化を考えるべきですが、知事の所見を伺います。
 次に、ライフワークバランスについて質問します。
 国では、働き方改革が大きな政策課題となっていますが、毎日の満員電車での通勤と長時間労働が常態化をしている我が国の現状は、とても人々が幸せな状態とはいえません。
 働き方を変え、ライフワークバランスを実現していくことは、都政においても極めて重要な今日的政策課題であり、満員電車ゼロも含めて、知事が公約としてこうした問題に光を当てたことを高く評価します。
 都は、十月から二十時までの完全退庁を始めましたが、この取り組みが、仕事の進め方や時間の有効活用といった本質的な変革につながることを期待しています。
 そこで、二十時完全退庁の実施状況と効果、課題について伺います。
 ライフワークバランスを考えたときに、職務や個々人の置かれた状況に応じた勤務形態が整っていることが重要です。
 都庁では、柔軟な勤務形態として、時差勤務が導入されていますが、今後、出産、育児、介護といったさまざまなライフステージに応じた柔軟な働き方を一層進めていくには、フレックスタイムも有効な手法であると考えます。
 国では既に導入され、都でも、都庁働き方改革推進ミーティングにおいて検討を始めたとのことですが、業務効率向上と個々人の働き方の質を高めるため、フレックスタイムなどの柔軟な働き方をどう取り入れていくのか、現行の時差勤務の活用実態も含め、所見を伺います。
 予算編成についてお聞きします。
 政策の裏づけである予算は、行政活動のうちで最も重要なものであり、中身はもちろん、その手続にも首長の姿勢が色濃く反映をされます。
 知事は、公約実現に向け、二〇二〇年に向けた実行プランの年内策定を表明しましたが、掲げる政策を着実に推進していくには予算の裏づけが必要です。
 そこで、二〇二〇年に向けた実行プランにおける重要施策、優先度の高い施策の事業費を、平成二十九年度予算では、どの段階で、どのように計上するのか伺います。
 ところで、都の予算編成過程では、各種団体や議会、議員からどのような要望があり、それらがいかに扱われたかのプロセスも、結果も見えにくい状況にあります。
 私は、各種の予算要望やその反映状況も含めて、予算編成過程をできるだけ透明化し、予算を見える化すべきと考えます。
 東京都では、二百億円のいわゆる政党復活予算が慣例化され、毎年一月の各党、各会派の復活要望を踏まえ、公表されてきました。しかし、このような復活枠がある道府県はほかにはありません。
 (パネルを示す)復活予算の過去の実績を見ると、毎年同じ項目に同程度のシェアで予算づけがされておりまして、制度は、行政と一部党派とのなれ合いのセレモニーと化しており、形骸化しているのが実態です。
 このパネルで五カ年の数字が出ているんですけれど、二百億円のうち、ほぼ九割が固定化された八項目で、その順位も全く変わっていないのがこの復活予算の実態でもございます。
 今般、知事は、いわゆる政党復活枠の廃止を打ち出しましたが、その趣旨と狙いを伺います。あわせて、都民ファーストの視点からは、今後、どのように予算編成過程の見直しに取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
 最後に、広尾病院の移転についてお聞きします。
 広尾病院の移転に関しては、今年度、青山の用地取得費が予算化されるとともに、首都災害医療センター基本構想検討委員会が立ち上がり、年度末に結論を得て、構想を策定するとしています。
 しかし、初回検討委員会では、青山移転に対し、多くの疑問が呈されました。
 第二回検討委員会では、移転プロセスの詳細な説明がなされましたが、私には十分理解することができませんでした。
 第二回検討委員会では、都は、病院が実施した調査は、現地建てかえか移転かの優劣をつけたものではないと説明をしていますが、報告書には、移転新築には大きな課題があり、広尾病院の改築を目指すべきであると記述をされており、現地建てかえを結論づけたようにしか読めません。
 (パネルを示す)また、当時、前知事の説明に用いた病院経営本部の資料、上ですけれど、本件調査のキャプションに、二〇二〇年までの現地建てかえは、技術的に可能というふうに記されております。にもかかわらず、検討委員会では、この部分を削除した資料が配られ、都は、調査報告の内容は厳しいのではと思ったと説明をしています。
 しかし、そもそも自局が発注した調査結果を尊重せずに、この調査結果では難しいなどということは理解ができません。
 また、病院経営本部は、この調査結果を打ち消すように、その三カ月後に、伊藤喜三郎建設事務所に新たな調査を委託しています。
 その報告書は、冒頭で、現在の病院敷地内に大規模な建築物を改築するのは非常に困難であるとして、他の候補地、具体的には青山用地への移転についても検討をすると書き出しており、実質の目的が、青山の優位性を示すための調査となっています。
 検討委員会で、都は、これら二つの調査は、移転か現地かの可否のためのものではないと述べ、内部で独自に検討を進め、青山移転で知事の了承を得たと説明をしています。
 しかし、時系列で状況を追っていくと、当初のみずほ総研調査で現地建てかえの優位性が示されたのに、病院経営本部としては、国からの働きかけもあり、青山移転に判断が傾き、その理由づけのため、新たな伊藤調査を急遽実施したと見る方が合理的です。
 そして、調査発注後一週間という結果も何も出ていない段階で、ばたばたと前知事の了承を得て、青山移転が決定されたということではないでしょうか。
 ほかにも、予算要求に当たり、財務局への土地取得依頼手続がとられていないなど、通常の行政手続からの逸脱があり、検討委員会での都の説明と私の理解には大きな隔たりがあります。このことに対する都の見解を伺います。
 設置要綱は、青山移転を与件としたものとなっています。こうした中、さきの第二回検討委員会では、機能面の検討の後に青山への移転の可否を判断するとしていますが、青山の用地取得は、検討委員会で移転の可否の結論を得てから決定すると理解をしてよいのか伺いまして、質問を終わります。
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 両角みのる議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、受動喫煙防止対策についてのお尋ねがございました。
 ご存じのように、IOCが唱えるスモークフリーでございますが、その取り組みは、もはや世界的な潮流といえましょう。
 また、近年のオリンピック・パラリンピック開催都市におきましても、屋内を全面禁煙とするなど、法律などで罰則を伴います厳しい受動喫煙防止対策を講じているところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、現在、国は、飲食店などを原則禁煙とする罰則つきの検討案を公表しておりまして、法制化を目指した動きを進めているところと聞いております。
 そして、都はこれまでも、受動喫煙防止対策を強化するための法律を整備するよう、国に対し提案要求しておりますが、今後、国の動きも十分に見きわめながら、都としてのさらなる対応を検討していきたいと考えております。
 それから、いわゆる政党復活予算の廃止及び予算編成過程の見直しについてでございます。
 私が編成する初めての予算となります平成二十九年度予算でございますが、まず、都民ファーストの視点に立ちまして、予算編成のあり方を大きく見直すことといたしました。
 まず、予算編成過程の見直しといたしまして、都民の声を最大限予算に反映していく、そのために、都議会各会派の皆様方に加えまして、新たに政策現場の実態に精通しておられる各種団体などから、広くご意見、ご要望を伺う機会を設けることとしたものでございます。
 また、各局の予算要求内容、そして財務局によります査定の状況をホームページで公開をするとともに、都議会各会派、そして各種団体の皆様方からのヒアリングもマスコミに公開をするなど、情報公開を徹底してまいりたいと考えております。
 こうしたプロセスをしっかりと踏みながら、かつオープンにすることによりまして、これまで長きにわたり実施してこられたこの制度、また、既得権化されてきた、このいわゆる政党復活予算の仕組みについては終了させていただきます。
 今後とも、東京大改革を支える皆様方とともに都政の見える化を推し進めまして、都民とともに進める都政の実現を目指してまいります。
 残余の質問に関しましては、担当局長からお答えいたします。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 分煙の環境を整備する補助制度についてでございますが、都は、外国人旅行者が快適に滞在できるよう、平成二十七年度から、多言語対応に取り組む飲食店や宿泊施設を対象といたしまして、分煙環境の整備に対する助成を行っております。
 この取り組みを進める中では、店舗が狭い場合や建物の構造上の制約から、制度の活用に至らない事例はございますが、施設ごとの状況に応じ、工夫して分煙化を図ることができるよう、きめ細かくサポートしているところでございます。
 今後は、国の動向も踏まえつつ、外国人旅行者の受け入れ環境の向上を図るため、適切な対応を実施してまいります。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、二十時完全退庁の実施状況等についてですが、都はこれまで、全庁一斉定時退庁日やノー超勤ウイークなど、さまざまな超過勤務縮減策を講じてきましたが、本年十月から、遅くとも二十時には仕事を終える二十時完全退庁等の取り組みを本庁で開始いたしました。
 この取り組みでは、長時間労働を防ぎ、できる限り早く仕事を終えて退庁することはもとより、仕事の進め方そのものの見直しにつなげることも狙いとしております。
 取り組み開始後一カ月間の実績は、二十時以降の退庁者数は、一日平均約八百九十人、都庁に勤務する職員のおおむね一割となっており、各職場では、仕事の時間管理の徹底を初め、例えば、会議の進め方の効率化や資料の簡略化、管理職による無駄のないマネジメントなど、実情に応じた取り組み目標を定め、工夫を重ねております。
 こうした各職場の努力や創意工夫を全庁で広く共有し、仕事や働き方の見直しにつなげてまいります。
 次に、時差勤務の活用状況についてですが、時差勤務は、職員の柔軟な働き方を促進するために導入した制度であり、平成二十七年四月に、従来の八時半、九時、九時半の始業時間に加え、育児、介護職員向けに、七時半、八時及び十時の始業時間を追加。平成二十八年四月から、対象を全職員に拡大いたしました。
 平成二十八年四月時点で、本庁勤務者約一万人のうち、二・三%が拡大した始業時間を利用し、職員のライフワークバランスに一定程度寄与しておりますので、一層の活用促進に向け、制度周知や時差勤務が利用しやすい職場づくりに努めております。
 一方、都民サービスに直結する窓口職場における公務運営確保の方法などにも留意する必要があり、国家公務員で導入されているフレックスタイムなど、より柔軟な勤務形態の導入検討に際しては、こうした観点も踏まえ、職場ごとに適した手法を模索してまいります。
   〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 二〇二〇年に向けた実行プランにおける重要施策、優先度の高い施策の予算計上についてのご質問でございます。
 実行プランの事業案に係る経費につきましては、八月に示しました予算見積もり方針において、まず、シーリングの対象外としており、十一月九日に公表した各局の予算要求におきましても、既にその一部について計上されているところであります。
 今後、年内に予定しております実行プランの策定にあわせて、さらに必要となる経費につきましては、各局から追加で要求を受け付け、最終的には、年明けの知事の予算査定を経て、予算案に計上、反映させてまいります。
   〔病院経営本部長内藤淳君登壇〕

○病院経営本部長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、広尾病院の改築に係る検討経緯についてでございます。
 広尾病院につきましては、老朽化への対応や災害医療の拠点機能強化の観点から、平成二十六年度に、現地建てかえや改修、移転などの整備手法を中心に検討を開始いたしました。
 一般的に、既存病院の施設整備には、技術面、運用面等において多くの困難性が伴います。
 このため、過去の改築事例を踏まえまして、工事の手順や期間、病院運営の影響等を念頭に置きながら、さまざまな想定のもとで得られた外部調査データも活用し、多角的な分析、検証を行ったところでございます。
 こうした検討を重ね、適地の取得が可能であるならば、移転改築との方向性を得るとともに、その後、土地の取得手続などの確認を経て、予算計上に至ったものでございます。
 この間、必要な情報は、病院経営本部と財務局で共有して進めてまいりました。
 なお、こうした検討経緯につきましては、先ほどパネルでご紹介いただきました前知事への説明内容も含めまして、既に専門家や関係者を加えた基本構想検討委員会におきまして、外部にも全面公開のもと、丁寧にご説明し、ご理解をいただいているところでございます。
 次に、病院改築に向けた用地取得についてでございますが、現在、基本構想検討委員会におきまして、本年七月に策定された地域医療構想など、今後の地域医療のあり方も視野に入れながら、まずは目指すべき病院像について検討が進められております。
 具体的には、広尾病院の診療実績等の分析を初め、今後担うべき医療機能やその規模感などについて、丹念に議論を重ねていただいております。
 今年度の用地取得の取り扱いにつきましては、こうした検討委員会における議論の推移を見きわめながら、適切に対応してまいります。

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