平成二十八年東京都議会会議録第十七号

   午後六時四十分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 十三番西沢けいた君。
   〔十三番西沢けいた君登壇〕

○十三番(西沢けいた君) 知事は、所信表明で、政策や事業の見直しに向けた自主点検など、一段高い取り組みを進めてまいりたいと発言されました。
 公金、税金の無駄遣いをなくすための行財政改革は、不断の取り組みが必要です。都政改革本部において、各局の自律的な改革の取り組みが示され、現在、各局における自律改革の取り組みが進行中です。
 その成果について、現在は、都政改革本部で報告されているだけにとどまるわけですが、東京都の取り組みとして成果を全庁的に共有することが大切であると考えますが、その成果をいつ、どのように示していくのか伺います。
 また、所信表明で知事は、二〇二〇年に向けた実行プランの策定に当たって、より具体的で数多くの政策目標を定め、その工程表も明確に作成している、これにより、事後的な達成度のチェックや評価を行い、PDCAサイクルを回して、しっかりと施策を実行していくことが可能となると述べられています。
 これまでの都の長期プランでは、中長期のビジョンが定められ、具体的な到達点も示されましたが、具体的にその進捗状況や成果は、都民に余り知られていないのが実情です。
 豊洲問題に始まり、東京都の信頼は失墜しております。今、小池知事の外部の目を取り入れたさまざまな取り組みに、都民は大変注目をしています。
 私は、こうした外部の目を取り入れたプランの進行管理を行い、随時これを公表していくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 豊洲新市場の建設費用をめぐり、各街区の落札率がいずれも一者入札であり、九九%台の落札率となったことは広く報道され、議会でも取り上げられました。さらに、都政改革本部でも入札制度について議論され、競争性や合理性、制度のあり方などへの疑問などが指摘されました。
 入札制度改革については、長年議論されてきたわけですが、一者入札で九九%超の落札率が乱発される状況は、適正な公共調達とは必ずしもいえません。
 時代の変化に柔軟に合わせ、総合評価方式の運用方法なども含めた抜本的な入札制度改革の取り組みを促すものですが、見解を伺います。
 豊洲問題の再発防止策の一つとして、小池知事は十一月一日より、新たな公益通報制度を開始いたしました。
 これまでの制度は、公益通報者保護法に規定された法律違反のみしか対象としておらず、また、職員の実名での通報のみに限定されておりました。さらに、その通報先は、庁内及び外郭団体といった内部にのみ限定されていたものであり、およそ積極的な活用がされてきたとはいえませんでした。
 新たな制度では、法令違反行為全般を対象とするとともに、広く都民からの通報も受け付け、通報先も外部の弁護士窓口を設けるなど、開かれた都政を実現している改革と大いに評価できるものと考えます。
 そこでまず、旧制度の通報実績と新たな制度の通報実績を伺います。あわせて、職員の幅広い意見を知事に直接伝えるために、新たに設置された職員目安箱の現在の状況と今後の活用方法を伺います。
 公益通報に該当する法令違反行為等の通報はないにこしたことはありませんが、積極的に通報制度を活用することで、ガバナンスが欠如していると知事が断言する都庁文化を変えることにつながります。この変化を促していくためには、新しい通報制度を都職員及び都民に広く利用されることが重要です。
 このため、適切な広報を行い、制度の周知、浸透を進めることが重要であると考えますが、見解を伺います。
 続いて、二〇二〇大会のコストについて伺います。
 コスト削減については、小池知事みずから取り組み、議会はもちろん、各局や都政改革本部においても議論されております。
 先般の議論では、計画策定、予算編成、執行の各段階において、適正なコスト管理の観点から、チェック体制を確立、継続することが必要とされました。そのためには、都、国、組織委員会との連携は欠かせません。
 組織委員会の財政は、開催都市である都が保証するわけであり、二〇二〇大会終了後に解散する組織委員会は、都の強い影響下のもとにあるべきで、都の管理下には入らないという姿勢の組織委員会の対応には不安が募るばかりです。
 こうした状況下において、どのようにしてチェック体制を確立し、確実な予算管理を行うのか見解を伺います。
 この組織委員会については、東京都は、監理団体にすべきと要請したと聞きます。そこで、監理団体について伺います。
 そもそも監理団体制度は、全庁的に指導監督を行う必要があるものとしており、都の強い影響下にあるべき団体を監理団体として、東京都側から経営目標を定めたり、評価したり、報告を求めたりすることができるようにする制度です。
 石原都政のときに、監理団体改革を行財政改革の大きな柱として、当時六十四あった団体を現在の三十三団体に統廃合するなど減らしてきたとともに、監理団体の存在意義を検証した監理団体活用方針を策定しました。
 しかし、財政再建期、景気低迷期に策定した当時から時代も変わりつつあります。削減してきた監理団体ですが、都と関連の深い団体をむしろ監理団体にすることで、透明性を確保することができます。
 組織委員会もその一つですが、例えば、一般財団法人東京都営交通協力会という団体があります。都営交通のお客様のためになくてはならない団体ですが、この団体の収入の約六十二億円が東京都からの委託で、九九%が特命随意契約、その他の収入五十億円のほぼ全てが、都の資産を賃貸や管理などを行うことによって得ております。さらに、OB職員も多数再就職しているとともに、現役の職員も出向しています。
 こうした都と関連した団体、ほかにもあると思いますが、これだけ東京都と関連が深いにもかかわらず、監理団体ではないので、東京都から経営目標なども求められず、評価などもされない一民間団体です。私は、こうした団体こそ監理団体として都がしっかりと連携できる環境をつくることが必要と考えます。
 こうした状況下において、改めて監理団体のあり方を見直すとともに、小池知事みずからによる新たな監理団体の指針を策定すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、自転車運転者への取り締まり強化について伺います。
 子供からお年寄りまで、気軽に便利に使える交通手段である自転車は、近年、健康志向の高まりや環境への配慮などから、その用途は通勤通学、スポーツや娯楽、宅配業務、レンタルシェアなど、多彩な広がりを見せています。
 それとともに、自転車利用者のルール違反やマナーの悪さが大きな社会問題となっています。
 例えば、赤信号無視、スマホを見ながらの運転、歩行者優先を配慮しない乱暴な歩道走行など、一歩間違えば、重大事故に発展しかねない法令違反が目につきます。
 本年九月末までに、死亡事故の五四・五%が信号無視や安全不確認、一時不停止などの違反による事故となっており、マナー遵守の限度はとうに超えております。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、開催国首都として、世界に恥ずかしくない自転車のルール、マナーを確立することは急務であります。自転車ならば赤信号無視しても捕まらない、自転車であれば安全確認をしなくても取り締まられることはない、こうした風潮があるとすれば変えなければなりません。
 そのためには、自転車利用者に対する指導だけにとどまらず、私は、もはや自転車運転者への厳しい取り締まりの強化をすべき段階にあると考えます。
 今後の取り組みについて、警視総監の所見を伺います。
 最後に、復活予算について伺います。
 小池知事は、都議会各種団体からの要望をオープンな場で聞くことで、都政の見える化を進めると所信で述べ、復活予算の仕組みの廃止を明言されました。
 復活予算制度は、都民にわかりにくく、廃止は見える化を進めるという知事の趣旨に合ったものだと考えます。評価し、賛同するとともに、開かれた場での議論が予算に反映されることを求め、復活予算の仕組みの廃止についての知事の見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 西沢けいた議員の質問にお答えいたします。
 まず、実行プランの進行管理についてのご質問がございました。
 二〇二〇年に向けた実行プランですが、三つのシティーを実現するための具体的な政策展開を示すものでございます。
 そして、計画の進行管理におきましては、計画の策定、政策、事業の実施、そして評価、検証、改善、見直しといういわゆるPDCAサイクルを回していくということが重要でございます。
 そのために、実行プランでは、このPDCAサイクルの概念を強く意識いたしまして、それを適切に実施していくための仕組みを計画の策定段階から組み込んでまいります。
 そして、プランの策定に当たりましては、パブリックコメントを実施いたしまして、広く都民の皆様方からの意見も募集をいたしました。そして、各政策におけます年度別の進行を明瞭化いたすために、可能な限り数値化した政策目標を定めまして、その工程表もより詳細に作成して、都民の皆様にお示しをしてまいります。
 実行プランの推進に当たりましては、これらに基づいて、都民ファーストの視点から、適切な進行管理を行います。そして、その検証、評価をその後の事業展開、そして予算措置に反映させることによって、それぞれの政策の着実な推進を図ってまいりたいと考えております。
 入札契約制度改革への取り組みについてのご質問がございました。公共調達の課題でございます。
 都民の貴重な税金を原資とするわけでございますので、透明性、公正性、競争性の確保に万全を期す必要があることは当然でございます。そして、中小企業の振興、担い手の育成、環境への配慮などの社会的な要請にも応えていくものでなければなりません。
 ご指摘のように、入札契約制度にはさまざまな方法がございます。それぞれにメリット、デメリットがあります。そして、全てを満足させるということは、難しいものがございますが、お話にありました総合評価方式なども含めまして、その時々の社会情勢に応じて、より多くの方が納得できる、そんな制度を構築していくことが重要かと考えております。
 例えば、一者入札で九九・九%の落札など、都民の視点から見て疑問が生じるような事態を回避する工夫なども考えていかなければなりません。
 いずれにいたしましても、私は、都の公共調達が真に都民の利益にかなうものなのか、ワイズスペンディング、都民ファーストの視点に立ちまして、より適切な競争環境の中で、良質な調達が行えるように、入札契約制度の改革を進めてまいりたいと考えております。
 職員目安箱のご質問もあったかと存じます。
 職員目安箱は、多様な意見を聞かせてもらう仕組みでございまして、大きな組織になりますと、どうしてもふだん意見の聞ける範囲が限られるわけでございますが、現場の職員の声を伺うという観点で進めているところでございます。
 そして、公益通報制度もございますが、違法行為に関するものでございまして、これを放置してはならないということから、その通報を寄せていただく職員の身を守るために、そのためにさまざまな工夫を凝らしたという制度でございます。
 監理団体の改革についてのご質問でございます。
 私の都政運営に対します基本姿勢は、何度も繰り返しておりますけれども、都民ファーストであり、税金の有効活用であり、情報公開と、これらのツールがベースになっております。
 都民に信頼される都政を実現することがその目標であり、これは監理団体についても同様の考え方でございます。
 二〇二〇年東京大会の成功や、私が目指しております三つのシティーの実現に向けて、都の施策実施の現場を担います監理団体は、これまで以上に団体運営の適正性、透明性を高めてまいらなければなりません。そして、都民のご理解を得ていかなければならないと考えております。
 そのために、改革に向けました一丁目一番地であります情報公開を進めてまいります。そして、目標評価制度の見直しなど、徹底した自律改革を進めていく考えであります。
 また、都政改革本部におきましても、監理団体の指導監督をテーマの一つに据えまして、今後、検証、必要な見直しを行うことといたしております。
 このように、こうした取り組みを通じまして、都政の現場を支える監理団体の改革を進めまして、都民ファーストの都政を実現してまいります。
 復活予算についてのご質問もございました。
 昨年度まで行われておりましたこの仕組みにつきましては、もはや東京のみであり、都民の皆様に理解されないものと考えております。
 今、都民から求められていることは、予算の内容そのものについての議論であり、都議会各会派の皆様に加えて、新たに政策現場の実態に精通しておられる各種団体などからも、直接ご意見、ご要望をお伺いする機会を設けたわけでございます。
 こうしたプロセスをしっかりと踏んで、かつ、オープン、公開することによって、これまで長きにわたり実施をされてきました復活予算の制度を廃止することといたしたわけでございます。
 こうした改革を進めることこそが、都民が求めている政治の姿であり、今後とも、都政の見える化を推し進めて、都民とともに進める都政を実現してまいりたいと思います。
 この復活予算にいたしましても、都民の皆様方のお金であるという、その原点に立ち戻っていきたいと考えております。
 そして、その他のご質問につきましては、警視総監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
   〔警視総監沖田芳樹君登壇〕

○警視総監(沖田芳樹君) 自転車利用者に対する指導取り締まりの強化についてですが、特に、信号無視、制動装置不良自転車運転、酒酔い運転などの悪質性、危険性の高い違反行為に対しては、交通切符等を適用した積極的な取り締まりを実施しているほか、交通ルールを遵守させるための取り組みとして、自転車指導警告カード等による指導を実施しております。
 あわせて、基本的な交通ルールである自転車安全利用五則を周知させるため、警視庁ホームページへの掲載、リーフレットの配布のほか、各種メディアを活用した広報啓発に努めてまいります。
 警視庁といたしましては、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて、引き続き、自転車利用者に対する指導、取り締まりなどにより、交通ルールの確立に努めてまいります。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 三つのご質問にお答え申し上げます。
 まず、自律改革の取り組みについてですが、各局における自律改革は、都民ファースト、情報公開、税金の有効活用の三原則に照らし、各局の所掌事業や仕事のやり方等を点検、評価し、改善策を検討する取り組みであり、都政改革の重要な柱でございます。
 各局は、自律改革の取り組みとして、業務改善など三百以上の項目を挙げ、それぞれ局独自の改革本部や若手職員で構成するPTを立ち上げるなど、局一丸となって前向きな取り組みを進めています。
 現在は、さらなる取り組みとして、政策や事業の見直しに向けた自主点検及び評価を行っております。
 今後、本部会議において、順次、各局からの報告を行っていくとともに、すぐれた事例については全庁で共有し、普及を図ることにより、各局における自律改革の一層の推進につなげてまいります。
 次に、公益通報及び職員目安箱の実績についてでございます。
 公益通報制度は、都では平成十八年度から運用しております。過去五年間、公益通報として取り扱った件数は三件でございました。
 本年十一月一日からは、通報対象を拡大するなど、新たな制度の運用を開始し、十一月末までの一カ月間でも多くの通報が寄せられ、公益通報としては三件を受け付けました。
 今後、通報内容の事業を所管する局において、必要に応じて調査、是正措置を実施してまいります。
 また、職員目安箱には、これまで職場に埋もれていた数多くの業務改善策が寄せられております。
 今後は、知事の指示を得ながら、各局と連携して、職員からの意見を職場の改善等につなげてまいります。
 最後に、新たな公益通報制度の周知、浸透についてですが、公益通報制度が有効に機能していくためには、本制度を職員や都民の方々が十分に理解していることが重要でございます。
 そこで都は、新たな制度の開始に当たって、都職員向けには、各局を通じて制度の周知を行うほか、都民向けには、「広報東京都」、東京都公式ホームページなどを通じて、制度のPRを図ってまいりました。
 今後とも、都職員を対象とした研修などを通じた制度の理解促進や、ホームページの掲載方法を工夫するなど、都民にわかりやすい広報に努めることにより、制度の周知、浸透を図り、都民に信頼される行政を実現してまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 東京大会における予算管理についてでございますが、先週の都、IOC、組織委員会、国の四者協議において、経費を積算している組織委員会から、大会経費は二兆円を切るという現段階の見込みとともに、ガバナンスの強化について言及がございました。
 都といたしましても、大会の成功に向け、東京にとって必要なレガシーを残す投資を確実に行っていくとともに、経費については、限りある資金の有効活用を図り、抑制する必要があると認識しております。
 今後、不断に経費を抑制、縮減できるよう、関連する計画、予算、調達等の執行の各段階におきまして、組織委員会や国などとモニタリングを行うなど、関係者と連携してチェック体制を確立いたしまして、ガバナンスの効いた確実な予算管理を行い、大会準備に万全を期してまいります。

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