平成二十八年東京都議会会議録第十六号

○議長(川井しげお君) 百番大西さとる君。
   〔百番大西さとる君登壇〕

○百番(大西さとる君) 小池知事は就任以来、豊洲市場、オリンピック・パラリンピック、そして情報公開など、世論の注目を集めながら、これら問題に対峙されてきましたが、就任後百日を過ぎ、来年度の予算編成を控えての第四回定例会となります。
 先日の所信表明で、知事は、現状維持は後退であると述べられましたが、私たち都議会民進党も、まさに不断の改革を進めることが使命であると考えております。
 また、知事は、改革の一環として復活予算の仕組みを終了いたしました。本会議を初め、オープンな場での議論が来年度の予算編成に生かされることを求めるものです。
 不断の改革によって、都民とともに進む都政への転換が図られることを期待し、都議会民進党を代表して、都政の重要課題について小池知事並びに関係局長に伺います。
 まず、知事の基本姿勢について伺います。
 情報公開についてです。小池知事によって、黒塗り部分の開示、重要会議の公開など、私たちが求めてきた情報公開が前進し始めていることを評価しております。
 しかし、一方で、いまだ東京都に欠けているものは、公文書は都のものではなく、将来も含めた都民共有のものであるという基本原則の明確化であります。
 第三回定例会でも申し上げたとおり、適切な文書管理は情報公開の前提であり、この両者は車の両輪であります。対象となる文書の存在が曖昧で都民が確認できない状態だと、不存在、非開示がまかり通ってしまいます。豊洲問題の真相も、適切な記録、開示が行われておらず、いまだ完全に解明されたとはいえないままです。情報公開法が公文書管理法を必要としたように、公文書管理条例は、情報公開条例と対をなして機能するものであり、一方がない状態は片輪走行であると評する識者もいます。
 知事が一丁目一番地といわれた都政の透明化、見える化に欠かせない情報公開を一層推進するため、公開を前提とした文書の作成、保存及び廃棄に関して、基準その他必要な事項を条例化することによって、都民に開かれた都政を実現すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、二〇二〇に向けた実行プランについて伺います。
 東京都政においては、四年後に迫ったオリンピック・パラリンピックの成功はもちろんのこと、その先に、子供たちの未来にどんな東京を描くのか、広く英知を集めて議論し、取り組みを進めなければなりません。
 私たちが超高齢社会の到来を目前にして直面しているのは、平均年収百七十万円という正規雇用の三分の一にも満たない非正規雇用労働者の実態、将来の格差にも直結する子供の貧困、教育格差といった厳しい現実です。
 このような現実に対して、国に先んじても手だてを講ずることが都政の使命であり、都民一人一人があすへの希望を持ち、努力が報われる東京にするために、負の連鎖を断ち切る施策を断固として実行すべきです。
 私は、知事が所信表明において具体的に描くと述べた将来の夢あふれる東京、ビヨンド二〇二〇、それはすなわち格差のない東京であると考えます。格差の解消なくして、夢も明るい未来も描けないということは、昨今の世界諸都市の状況を見ても明らかです。
 こうしたことを踏まえて、どのようなプランを策定し、具体的な政策展開を盛り込んでいこうとしているのか、知事の見解を伺います。
 次に、全ての子供の学びと成長について伺います。
 私たちは、全ての子供たちが学ぶことができる都独自の給付型奨学金の創設を求めてきましたが、改めて早期実現を求めるものです。
 また、国の高校中退者数調査によると、生活保護受給世帯の子供の中退率が、全世帯平均の三倍に上っています。貧困たたきの風潮もありますが、貧困の連鎖は断ち切らなければなりません。所得格差を教育格差にしてはなりません。
 知事が定める教育施策大綱の骨子では、経済状況にかかわらず、全ての子供が学び続けられる教育の仕組みが必要だとされており、そのための支援が不可欠です。
 貧困による学びの格差をなくしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 経済的に厳しい子供に対して、食事の提供や学習支援を行う居場所が都内でもふえています。足立区では、中学生向けに四カ所目の施設が設置され、区内全域で利用できるようになります。また、高校生用の居場所も開設しています。
 一方、都においては、居場所支援を初め、進学に向けた学習塾などの受講料や高校、大学への受験料の貸し付けがふえています。将来の進学や就職に向けて、経済的に厳しい子供の社会的自立につなげる支援を充実すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 今、教育現場では、いじめや不登校、学力格差など、さまざまな教育課題を抱えています。これら課題の解決には、世界一といわれる教員の多忙さの原因を一つ一つ取り除き、教員が子供と向き合う時間を確保することが不可欠であると考えます。
 そこで、さまざまな教育課程に対して、教員が子供たちに向き合える環境整備に都としてしっかり取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、働き方改革について伺います。
 電通の女性新人社員が過労自殺をしたことが社会問題となっていますが、一カ月間の残業時間が過労死ラインの八十時間を超える正社員がいる企業は二二・七%と、過労自殺は誰にでも起こり得る問題です。
 一方、昨年五月十九日、東京都を初め、東京労働局や関係労使団体が、働き方改革に関する共同宣言を行い、長時間労働の削減や年次有給休暇等の取得促進など、働き方改革宣言をする企業も着実にふえてきています。
 知事も、イクボス宣言や残業ゼロ、午後八時退庁に率先して取り組んでいますが、私たちは、働き方改革の機運が社会全体に浸透し、企業経営者や働く人たちが共通の目標を持って取り組んでいくことが、極めて重要であると考えています。
 働き方改革の推進に向けた知事の見解を伺います。
 女性の活躍を推進するには、子育て支援、家庭と仕事の両立支援など、包括的なパッケージでの施策が欠かせません。ことし九月、待機児童解消や子育て支援に特化した補正予算が成立しましたが、私たちが求めてきた保育士の処遇改善など、人材確保策を含め、引き続き積極的な取り組みを要望するものです。
 また、所得や管理職比率に格差があることから、女性が公正に採用、育成、積極登用されるよう、事業者に周知、啓発を行うとともに、再就職支援やスキルアップ支援を行うべきです。
 さらに、ことし四月の女性活躍推進法の施行に伴い、三百一人以上の企業は行動計画の策定が義務づけられましたが、都内九九%を占める中小企業への支援を初め、施策の積極的な展開が望まれます。
 女性の活躍に向けた取り組みをより一層推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、仕事と介護の両立についてです。
 高齢者人口が増加し、今後、団塊世代が七十歳代に突入することに伴って、働き盛りの世代の介護者がますますふえることが見込まれます。
 また、少子高齢化の進行に加え、出産年齢の高齢化によって、子育てと親の介護のダブルケアに直面する労働者が増加傾向にあるとも指摘されています。
 介護サービスの充実はもとより、介護休業、介護休暇の取得支援を拡充することなどで、介護離職ゼロを早期に実現すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、仕事と治療の両立についてです。
 日本人の二人に一人がかかるがんですが、がん患者の三割は現役世代です。医療技術の進歩で、がんは治る病気となりつつあるにもかかわらず、働く患者の三人に一人は退職に追い込まれています。労働力損失は、年間一・八兆円ともいわれています。
 企業への普及啓発や休暇取得支援に取り組むなど、仕事と治療の両立を積極的に推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、環境施策について伺います。
 東京都はこれまで、キャップ・アンド・トレード制度の導入や地球温暖化対策報告書制度を創設し、省エネ、気候変動対策に先進的に取り組んできました。
 私たちとしても、東日本大震災を契機とした議員提案である省エネ条例の制定を初め、環境施策には特に力を入れ、精力的に視察、調査活動を重ね、政策提言を行ってきました。
 二〇二〇年の先を見据えた東京の都市像を描く上で欠かせない事柄の一つに、スマートエネルギー都市の実現があります。
 知事は、環境施策に精通されており、より一層、東京の環境施策の進化、強力な政策展開を期待するものですが、スマートエネルギー都市の実現に向けた知事の見解を伺います。
 東京都は、家庭の省エネ、創エネに取り組み、再生エネルギー機器の普及促進などを進めてきました。今後は、こうした取り組みに加え、建築物省エネ法で二〇二〇年から義務づけられる方向性にある新築住宅の省エネ基準適合も急務であり、既存住宅も含めて、住宅の環境性能の向上に取り組みを進めなければなりません。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスも、標準仕様となる段階に移行しつつあるといわれています。
 こうした状況を踏まえ、断熱性能が高く、省エネ、再エネ機器を備えるなどした省エネを超えたゼロ・エネルギー・ハウスを東京都版エコハウスとして推奨することも、社会インフラとしての住宅の環境性能を高めるために欠かせない取り組みであると考えます。
 環境性能の高い住宅の普及に向け、都として積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、豊洲市場問題です。
 盛り土問題では、いまだ結論がはっきりしたとはいえません。知事は、当時の市場長らの処分を決める一方、元担当部長からは反論書も提出されています。このままでは、トカゲの尻尾切りだとの声も聞かれますが、そもそも、当時のトップである石原元知事が知っていたのかどうかさえも全く明らかではありません。小池知事からの質問に対しても、石原元知事は資料が全てを物語っていると回答するとともに、コンクリート箱を重ねて地下に埋め込む工法を聞き、昼食会で都の幹部に提案したとも回答しており、知事としても、当時の資料を突き合わせつつ、真相究明に努めるべきです。
 東京ガスとの交渉経過の資料が提出され、その検証が期待されますが、私たちも二〇一〇年十月二十二日の定例会見で、なぜ石原元知事が、都議会で築地の現在地再整備案を検討中にもかかわらず、付帯決議を無視して、突然、移転を決断したのか疑問でなりません。
 事実関係を明らかにする場合には全面的に協力すると述べている石原元知事など、関係者に直接聞き取りをし、検証、真相究明すべきと考えますが、小池知事の見解を伺います。
 豊洲の土壌汚染対策工事としては、都は、操業由来の汚染土壌の除去など、万全な安全対策を講じてきたと述べてきました。必要な手続を怠り、専門家会議の提言による盛り土をしなかったことは問題ですが、現実問題として、地下ピットには想定し得なかった大量の地下水がたまり、また、その地下水や地下空間の大気から、基準値や指針値を超える有害物質が検出されているのです。
 都の安全対策は効果的であったのか検証すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、市場業者との信頼関係です。
 知事は、豊洲移転が、早くて来年の冬以降になるとの見通しを示しました。また、所信表明では、市場関係者に対し、設備投資など具体的な負担が発生している方も多く、大変な心配をかけていることは、都政の責任者として真摯に受けとめる旨述べ、誠心誠意、不安の軽減に努めるとの決意を表明しました。
 知事が直接、市場業者と向き合って信頼関係構築に取り組むべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピック問題について伺います。
 先日、四者協議において、知事は、大会の総経費が、終わってみれば結局三兆円を超えるのではないかとの懸念を表明されました。私たち都議会民進党は、大会まで四年を切った現在もなお、総経費が公表されていないことが問題であり、ロンドン大会のように速やかに総経費を公表すべきだと考えています。その上で、規模感、レベル感の検討や民間活用などの効率化、経費膨張リスクへの対応策など、総経費の削減に向けて尽力すべきと考えます。
 知事は、組織委員会が整備を行う仮設施設の整備費や警備費、輸送費などを初めとした総経費を明らかにさせ、縮減に向けて一層取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、組織委員会について伺います。
 先月、組織委員会は、都に対して出捐金の一部を返還しました。これは都の関与を逃れようとする意図があり、懸念するものです。森会長の判断には問題があり、その責任は少なくないと考えます。
 組織委員会が出捐金を返還したとしても、組織委員会の全職員数七百三十三名のうち、二百四十五名を都が派遣していることは変わらず、大会終了後、組織委員会に負債があれば、それを補償をするのは東京都であることから、見過ごすわけにはいきません。
 このような組織委員会の一連の対応について、知事の見解を伺います。
 次に、大会のレガシーについて伺います。
 特に、交通関係のレガシーについて、例えばロンドンでは、長年の懸案であったクロスレール計画が実行に移されました。ヨーロッパ最大規模のプロジェクトと称され、完成すればヒースロー空港とロンドン中心部が乗りかえなしのダイレクトアクセスとなります。さらに、オリンピックを起爆剤として軌道に乗せた東部の再開発地域にもつながる計画です。
 翻って、東京大会では、大会を契機とした未来図、レガシーが、交通関係に関してはなきに等しいものとなっています。
 全国各地との結節点となる東京駅、五本目の滑走路の構想があるなど、世界各都市とのつながりがますますふえることが期待される羽田空港、そして三本目の滑走路建設も検討されている成田空港、これらを結ぶ鉄道アクセスの抜本的改善は、日本全体を牽引する東京圏の国際競争力向上や観光立国という視点から欠かせないものと考えます。
 二〇二〇年東京大会を経て、大幅に増加が予想される外国人訪日客の交通利便性を高めるために、東京の鉄道ネットワークを強化、改善する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 以上で都議会民進党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
  〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 民進党大西さとる議員にお答えをさせていただきます。
 情報公開についてのご質問がございました。
 都民ファーストの観点から、都政の透明化、見える化を進めていくこと、それに何よりも重要なことは、全庁を挙げての情報公開の推進でございます。
 公文書の当初の適切な管理の実現、そして、都庁の隅々にまで浸透させる、そのことが必要でございます。適正な文書管理は、情報公開制度と相まって、都民に対して都政への参加を進めるとともに、行政が説明責任を果たす際の基盤、インフラとなるものでございます。
 今回の豊洲市場におけます文書管理の問題も受けまして、今後、同様の事態が発生するようなことがないように、まずは、東京都文書管理規則を年度内に見直していきたいと考えております。
 さらに公文書の管理に関しましては、来年度早期の条例化を検討するように指示をしたところでございます。
 このような取り組みを通じまして、公文書の適正な管理を進めて、都民とともに進める都政を実現してまいりたいと考えております。
 格差のない東京の実現に向けた政策展開についてのご質問がございました。
 二〇二〇年に向けた実行プランは、新しい東京をつくるために、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーの三シティーを実現することを策定の目的としているところでございます。
 何度も申し上げますけれども、ダイバーシティー、これは都民の誰もが希望と活力を持って生き生きと活躍できる社会のことでございます。そして、そのためには、誰にも平等にチャンスがあって、そのチャンスを生かして、みずからの希望をかなえていける、そういう社会のことを目指しております。
 こうしたダイバーシティーの実現に向けまして、実行プランにおきましては、家庭の経済状況などに左右されずに、全ての子供が未来のために、みずからの意志で学べる教育環境の整備、不本意な非正規雇用者の正規雇用化など、誰もが自分らしく活躍できる社会づくりに向けました四カ年の具体的な政策展開を示してまいります。
 そして、このプランの政策を着実に進めることで、みんながこれからもっと東京はよくなるんだと、きょうよりもあしたの東京の方がもっといいんだと、このように都民が希望を持てる都政を展開し、そして、日本の未来を明るく照らす新しい東京を、都民の皆様方とともにつくってまいりたいと考えております。
 貧困による学びの格差についてのご指摘がございました。
 将来を担う子供たちの教育の機会はまさに平等であるべきでございます。家庭の経済状況が子供たちの将来を閉ざすことがあってはなりません。そして、そのために全ての子供が学び、成長し続けられるように、社会全体で子供の学びを支える仕組みをつくることが大切と考えております。
 例えば、誰もが安心して学んで、自己の可能性を伸ばすことを支援する都独自の給付型奨学金を創設する、生きる礎となる基礎学力の定着を徹底する、学校、家庭、地域の連携で社会的自立に必要な力を育成するといったような具体的な策が必要でございます。
 こうした考えに基づいて、来月には新たな教育施策大綱を策定いたしまして、教育委員会と力を合わせて、東京の未来を担う人材を育成する教育を実現してまいりたいと考えます。
 働き方改革についてのご指摘でございます。
 全ての人が生き生きと活躍できるダイバーシティー、その実現のためには、働き方、ここから変えていくということが何よりも鍵でございます。深夜に及びます残業は当たり前というのが日本の価値観となっているわけでございますけれども、その価値観の転換から進めていかなければなりません。そして、ワークスタイルもさまざま、今は新しいものもございます。それを定着させていかなければなりません。
 そこで、今年度から、それぞれの企業に合った働き方の改革に向けまして、それぞれの企業、社を挙げて取り組む、そんな会社を力強く応援する制度を設けて支援をいたしております。
 また、国に国家戦略特区を活用したテレワーク推進センターの設置も提案をいたしておりまして、柔軟な働き方の導入を進める企業の後押しをしてまいりたいと考えます。
 社会全体に働き方改革の輪を広げていくことによりまして、誰もが生き生きと働くことのできる都市を実現してまいりたいと考えます。
 女性の活躍推進についてのご質問がございました。
 少子高齢化が急速に進展をして、労働力人口の減少が見込まれる中で、社会の活力を高めていくためには、女性の力を最大限に引き出すことは不可欠であります。
 私はかねてより、女性の能力を生かし切れていないのは、まさしくもったいないと何度も申し上げてまいりました。
 企業において女性の活躍を進めるには、働き方を見直す、そして男女を問わず、職場での活躍の機会が得られる、そのような環境が整備されなければなりません。
 その際、重要なことは、まず事業主の意識改革でございまして、特に中小企業を対象として雇用の平等に関する普及啓発、そして女性の就業の継続や管理職への登用等が進みますように、女性活躍推進法に定めた行動計画の策定支援を行っているところでございます。
 一方で、育児などで離職した女性、この方々に対しては再就職に向けた意識啓発はもとより、スキルアップのための職業訓練など、個別の状況に応じた就業支援をきめ細かく実施をしております。
 こうした取り組みを通じまして、東京が日本の女性活躍を進めるエンジンとなる、そのモデルケースとなる、そして女性が輝く社会を実現する、それを牽引してまいりたいと考えております。
 環境政策でございます。スマートエネルギー都市の実現についてのご質問でございます。
 人類の生存基盤を脅かす気候変動に対処するには、世界の温室効果ガスの七割を排出する都市の役割は極めて重要でございます。
 東京は大都市の責務といたしまして、地球温暖化対策に先導的に取り組むということで、ご指摘のございましたように、温室効果ガスの排出量を二〇三〇年までに二〇〇〇年比で三〇%削減をする、これは国の目標を上回る大変野心的な、意欲的な目標を掲げたところでございます。
 この目標の達成のために大きな成果を上げているのがキャップ・アンド・トレード制度であり、この着実な実施と、そして再生可能エネルギーの普及拡大、さらには水素社会の実現に引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 さらに、身近で効果的な省エネ対策でございますが、我が国の技術力の象徴でもある、またノーベル賞の受賞の礎となりましたLED、この照明を家庭、そして事業所を問わず、広く普及をさせていくことによって、確実な省エネ対策を進めてまいりたいと思います。
 そして、世界をリードするスマートエネルギー都市の実現に向けまして、世界の大都市が参加しているネットワーク、C40の加盟都市とも切磋琢磨しながら、これまでの先進的な取り組みに新たな視点を加えまして、総合的な地球温暖化対策を展開してまいりたいと考えております。
 豊洲の移転問題につきましてのご質問がございました。当時の関係者への対応についてであります。
 今回の豊洲市場の問題については、二回にわたります自己検証報告書におきまして、経緯とその責任の所在を明らかにしたところでございます。
 その上で、それをベースにして、その内容を踏まえまして、不適切な事務処理による信用失墜行為に該当する関係者に対しては、懲戒処分を行ったところでございます。そしてまた、私自身もけじめをつけるという意味で、給与の減額をする条例案をこの定例会に提案させていただきました。
 こうした厳正な処分の実施を一つの区切りといたしまして、今後は信頼回復に向けて取り組んでいくと同時に、ご指摘がございましたように、当時この問題にかかわってこられましたリーダーの方々には、今回の対応、私どもの対応を十分にご認識いただきたいと存じます。みずからリーダー論を語っておられるのならば、そのリーダーとしての矜持を示していただきたいと、このように考えているところでございます。みずから経緯を明らかにするなど、その責任を果たしていただこう、このように考えております。
 同じく市場関係でございますけれども、信頼関係の構築、大変重要な課題でございます。
 市場の業者の方々は、豊洲市場の問題についてはさまざまな不安を抱えておられる、このことについては重々承知をし、また、懸念しているところでもございます。そして、こうした不安を一つ一つ解消していくことが信頼関係の再構築につながると、このように考えております。
 そこでまず、豊洲市場の安全性等につきまして、現在、専門家会議、そして市場問題プロジェクトチームにおきまして、市場業者の意見を伺いながら、精力的に検証を進めているところであり、また、補償問題、一番重要な課題でございますが、補償問題につきましては、既にヒアリングに着手をしております。そしてまた、来月には、客観的で公正な補償スキームを策定いたしますし、また、年末を迎えているということも考えまして、今月の一日から、つなぎ融資の受け付けを開始して、当面の資金繰りを支援いたしております。
 今後、市場業者のニーズを踏まえまして、さらなる拡充についても検討を進めていくところでございます。
 今後とも、市場業者の方々と向き合いながら、安全・安心な市場、この実現に向けまして、しっかりと取り組んでいく所存でございます。
 東京大会の経費の問題でございます。
 平和の祭典でありますオリンピック・パラリンピックを今後とも持続可能なものとしていくためには、アジェンダ二〇二〇、これが初めて適用されるのが東京大会になるわけでございます。
 そこで、限りのある資金の有効活用を図るということはもちろん、そしてまた経費を抑制していく、それに加えて大会を成功に導いていく、いろいろなファクターが必要でございます。
 十月、IOCのバッハ会長と会談をいたしました。それは、都、IOC、組織委員会、国の四者によって、大会経費について協議の場を持つということが、そのバッハ会長との会談の中から出てきたわけでございます。
 そこで行われましたのが先週の四者協議でございますが、先ほども申し上げましたが、組織委員会からは二兆円を上限に圧縮を図っていくという報告がありましたけれども、それをさらに引き下げろという、そのようなIOCのお考えと聞いております。
 現在、この総経費ということについては、今月中の公表に向けて精査を続けているところでございます。
 また、今回にとどまらず、四者協議、リオデジャネイロの経験などを踏まえて、大会総経費の縮減につきましては、来年以降も不断に経費を精査して、順次、大会予算に反映させていく、このような所存でございます。
 お金を幾らでもかけるのは容易でありますけれども、しかし、そこから削っていくのは、そう簡単ではございません。しかし、そのことをしっかりやっていくことこそがサステーナブルであり、アジェンダ二〇二〇に適した東京大会につながるものだと思っておりますので、皆様も、ご協力をよろしくお願い申し上げ、私どもも、しっかりとそのために、さらにいいアイデア、そして実行可能なプランを出してまいりたいと考えております。
 そして、出捐金の返還に当たってもご質問がございました。
 ご指摘のように、今回、追加出捐金として拠出していた五十七億円の返還の理由として、組織委員会からは、当面の法人運営の安定化という目的を達成したということで、原資が税金であり有効活用してほしいとの説明を受けて、了承をしたところでございます。
 返還後におきまして、都の拠出割合は五〇%、組織委員会への法令上の関与等については、ご指摘のように、これまでと変わるところはございません。引き続き大会の準備運営に当たって、透明性の確保を求めていく所存でございます。
 大会を成功に導いてまいりますためには、都民、国民の理解を得ることが重要でございます。
 今後とも、具体的なガバナンス、情報公開のあり方、組織委、国、関係機関と緊密に連携を図りながら協議を進め、そして大会準備に万全を期してまいる所存でございます。
 そして、最後に、鉄道ネットワークについてのご質問がございました。
 二〇二〇年の大会の成功、そして、その先の持続可能な東京を実現するためには、東京の強みである鉄道を生かしていくことが重要であり、ご指摘のとおりかと存じます。これほど公共鉄道網が発達しているところは他にないといっても過言ではないと私は思います。ほかの大都市においては、かなり多くの部分がモータリゼーション、車に頼るところが多いからでございます。
 一方で、この鉄道ネットワークのさらなる拡充を図るということとともに、駅などの既存のストックの質を高めていく取り組みを進めてまいりたいと考えます。
 鉄道ネットワークにつきましては、国の交通政策審議会答申を踏まえまして、羽田空港とのアクセス線を初めとして、国際競争力の強化などに資するプロジェクトの具体化に向け、引き続き採算性、そして費用負担のあり方などの課題の解決に努めてまいります。
 加えまして、東京を誰もが安心して快適に活動できる都市へと進化させていくために、鉄道駅におけますエレベーターの増設、ホームドアの設置、案内サインの改善などの取り組みを加速させているところでございます。
 今後とも、鉄道事業者などの関係者とも連携をいたしまして、鉄道ネットワークの一層の充実に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 情報公開など、これからも東京大改革を進める上で、改革の一翼を担っていただきますよう、今後とも、ご活躍を期待申し上げまして、私からの答弁とさせていただきます。
 ありがとうございました。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 学校現場における教育環境整備についてでございますが、教員の多忙感、負担感を軽減し、子供たち一人一人に寄り添った指導や支援を行える職場環境を確保することは非常に重要でございます。
 こうした観点から、都教育委員会は、学校における心理や福祉の専門家であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど、多様な専門性を有する人材の活用を積極的に図ってまいりました。
 今後とも、教員と専門家等がそれぞれの専門性を互いに理解し、連携、分担する体制を整備するなど、子供たちの課題に即した指導や支援ができる学校づくりをさらに推進してまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 子供の社会的自立への支援に関するご質問にお答えをいたします。
 都は、生活困窮者自立支援法に基づく学習支援事業に取り組む区市に対し、包括補助による立ち上げ支援や先行事例の紹介を行っており、現在、三十九の区市で実施されております。
 今年度は、新たに学習支援事業従事者の実践力向上に向けた研修を実施いたしますとともに、民間団体等と連携して学習支援と食事の提供などを一体的に行う居場所づくりに取り組む区市町村への支援事業も開始いたしました。
 また、高校や大学への進学を希望する一定所得以下の世帯の中学三年生や高校三年生に対し、学習塾代や受験料の支援を行っております。
 今後、子供の社会的自立につながるよう、学習支援や居場所づくりのさらなる充実を検討してまいります。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、介護と仕事の両立についてでございますが、介護離職を防止するためには、介護休業等を取得しやすい職場環境整備を進めていく必要がございます。
 このため、都は、介護休業に伴う代替要員の人件費補助を行うとともに、仕事との両立に関する社内制度の周知など、企業みずからの取り組みを促す奨励金を支給しているところでございます。
 こうした取り組みに加え、新たに中小企業の人事担当者や従業員を対象に、専門家が離職の防止に向けた助言や、情報提供を行う仕組みについても検討してまいります。従業員が介護に直面しても、離職することなく安心して働き続けられるよう支援してまいります。
 次に、がん患者の仕事と治療の両立についてでございますが、がん患者の方が職業生活と疾患管理を両立できるよう支援を行うことは重要でございます。
 これまで都は、がんに対する理解を深めるため、雇用主の配慮すべき事項等を示したハンドブックや社員研修用DVDを作成するほか、シンポジウムを開催しております。
 また、両立支援に積極的に取り組んでいる企業を表彰し、その取り組みを事例集で広く紹介しているところでございます。
 今後は、疾患の特性に配慮した就業継続を進める企業に対する奨励金など、がん患者の方が働きやすい職場環境の整備に向けた支援策を検討してまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 環境性能の高い住宅の普及についてでございますが、断熱性にすぐれ、省エネ、再エネ機能を備えた環境性能の高い住宅を普及することは、都内のエネルギー消費量の約三分の一を占める家庭部門の省エネを推進する上で重要でございます。
 都はこれまで、太陽光発電とあわせて蓄電池を設置した場合や、太陽熱利用システムの導入などに補助を実施し、家庭のエネルギー利用の高度化を促進してまいりました。
 また、都内で多数を占める既存住宅の断熱性の向上を図るため、省エネリフォームと太陽光発電等を同時導入した場合にも支援を行っております。
 環境性能の高い住宅の普及に向けまして、省エネ、再エネ機器の導入や、建物の高断熱化等への取り組みへの支援に取り組み、施策の展開を図ってまいります。
   〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 豊洲市場における安全対策についてですが、都はこれまで、汚染土壌の掘削除去や地下水の浄化処理など、土壌、地下水汚染対策を実施し、技術会議にも対策工事の完了を報告してまいりました。
 本年十月に公表いたしました第八回地下水モニタリングの結果で、二百一カ所の測定地点のうち三カ所でベンゼンやヒ素が地下水基準を超過いたしましたが、専門家からは、一時的な数値の上昇をもって判断するのではなく、今後の推移を見守っていくべきとのご意見をいただいております。
 都は現在、地下水モニタリングの結果に加えて、地下ピット内の空気や地下水等の環境分析結果につきまして、専門家会議において、評価、検証していただいており、今後、専門家会議の提言を踏まえて、必要な措置を着実に講じてまいります。

○六十七番(山内晃君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りをいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 あすは、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時三分散会

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