平成二十八年東京都議会会議録第十五号

平成二十八年十二月一日(木曜日)
 出席議員 百二十六名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番大門さちえ君
四番和泉ひろし君
五番山森 寛之君
六番前田 和茂君
七番菅野 弘一君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番やながせ裕文君
十一番おときた駿君
十二番宮瀬 英治君
十三番西沢けいた君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番川松真一朗君
二十一番栗山よしじ君
二十二番小松 大祐君
二十三番堀  宏道君
二十四番松田やすまさ君
二十五番柴崎 幹男君
二十六番舟坂ちかお君
二十七番小松 久子君
二十八番山内れい子君
二十九番上田 令子君
三十番田中 朝子君
三十一番中山ひろゆき君
三十二番あさの克彦君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番清水 孝治君
四十一番鈴木 錦治君
四十二番神野 次郎君
四十三番木村 基成君
四十四番北久保眞道君
四十五番高椙 健一君
四十六番栗山 欽行君
四十七番大場やすのぶ君
四十八番和泉 武彦君
四十九番近藤  充君
五十番西崎 光子君
五十一番両角みのる君
五十二番石川 良一君
五十三番新井ともはる君
五十四番中村ひろし君
五十五番島田 幸成君
五十六番とくとめ道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番藤井  一君
六十四番小宮あんり君
六十五番鈴木 章浩君
六十六番ほっち易隆君
六十七番山内  晃君
六十八番河野ゆうき君
六十九番島崎 義司君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番田中たけし君
七十二番鈴木 隆道君
七十三番神林  茂君
七十四番早坂 義弘君
七十五番秋田 一郎君
七十六番野上ゆきえ君
七十七番今村 るか君
七十八番斉藤あつし君
七十九番小山くにひこ君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番鈴木貫太郎君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番長橋 桂一君
八十七番中屋 文孝君
八十八番鈴木あきまさ君
八十九番桜井 浩之君
九十番山崎 一輝君
九十一番三宅 正彦君
九十二番山加 朱美君
九十三番高橋かずみ君
九十四番山田 忠昭君
九十五番林田  武君
九十六番こいそ 明君
九十七番田島 和明君
九十八番古賀 俊昭君
九十九番立石 晴康君
百番大西さとる君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番高橋 信博君
百十二番崎山 知尚君
百十三番高木 けい君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番野村 有信君
百二十番高島なおき君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
百二十一番  吉野 利明君
 欠員 なし

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事安藤 立美君
副知事川澄 俊文君
副知事中西  充君
副知事山本  隆君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務邊見 隆士君
政策企画局長長谷川 明君
総務局長多羅尾光睦君
財務局長武市  敬君
警視総監沖田 芳樹君
主税局長目黒 克昭君
生活文化局長中嶋 正宏君
オリンピック・パラリンピック準備局長塩見 清仁君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長藤田 裕司君
建設局長西倉 鉄也君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長浅川 英夫君
消防総監高橋  淳君
交通局長山手  斉君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長内藤  淳君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長福田 良行君
人事委員会事務局長松山 英幸君
労働委員会事務局長土渕  裕君
監査事務局長猪熊 純子君
収用委員会事務局長砥出 欣典君

十二月一日議事日程第一号
第一 第百八十号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百八十一号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百八十二号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百八十三号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百八十四号議案
東京都特定個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百八十五号議案
特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第七 第百八十六号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百八十七号議案
通訳案内士法関係手数料条例の一部を改正する条例
第九 第百八十八号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第十 第百八十九号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十号議案
東京国際展示場(二十八)増築工事請負契約
第十二 第百九十一号議案
警視庁中野警察署庁舎(二十八)改築工事請負契約
第十三 第百九十二号議案
東京都現代美術館(二十八)改修工事請負契約
第十四 第百九十三号議案
東京都障害者総合スポーツセンター(二十八)改修及び増築工事請負契約
第十五 第百九十四号議案
東京国際展示場(二十八)増築電気設備工事請負契約
第十六 第百九十五号議案
東京国際展示場(二十八)増築空調設備工事請負契約
第十七 第百九十六号議案
東京国際展示場(二十八)増築給水衛生設備工事請負契約
第十八 第百九十七号議案
東京都現代美術館(二十八)改修空調設備工事請負契約
第十九 第百九十八号議案
東京都現代美術館(二十八)改修電気設備工事請負契約
第二十 第百九十九号議案
平成二十八年度新砂水門(再整備)建設工事(その三)請負契約
第二十一 第二百号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十二)請負契約
第二十二 第二百一号議案
小名木川護岸耐震補強工事(その一)請負契約
第二十三 第二百二号議案
平成二十八年度中潮橋撤去工事請負契約
第二十四 第二百三号議案
平成二十八年度十三号地新客船ふ頭岸壁(-(マイナス)十一・五m)連絡通路建設工事(その一)請負契約
第二十五 第二百四号議案
自治体情報セキュリティクラウド(外部接続中継システム)機器の買入れについて
第二十六 第二百五号議案
当せん金付証票の発売について
第二十七 第二百六号議案
東京都江戸東京博物館外五施設の指定管理者の指定について
第二十八 第二百七号議案
杉並区学校教育職員の教育管理職選考及び四級職(主幹教諭・指導教諭)選考に係る事務の受託について
第二十九 第二百八号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の買入れについて
第三十 第二百九号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
第三十一 第二百十号議案
品川ふ頭外貿岸壁外三施設の指定管理者の指定について
第三十二 諮問第三号
地方自治法第二百六条の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
第三十三 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について

   午後一時開会・開議

○議長(川井しげお君) ただいまから平成二十八年第四回東京都議会定例会を開会いたします。

○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) 謹んで申し上げます。
 崇仁親王殿下には、去る十月二十七日薨去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 この悲報に接し、都議会議長として、直ちに弔意を表する記帳をしてまいりました。
 ここに改めて崇仁親王殿下のご冥福をご祈念申し上げ、議会として深甚なる弔意を表します。

○議長(川井しげお君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   三番   大門さちえさん 及び
   六十六番 ほっち易隆君
を指名いたします。

○議長(川井しげお君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松丸俊之君) 平成二十八年十一月二十四日付東京都告示第千八百九十九号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案三十二件の送付並びに地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づく専決処分一件の報告及び承認についての依頼がありました。
 次に、平成二十八年第三回定例会の会議において同意を得た監査委員、教育委員会委員、公安委員会委員及び土地利用審査会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき通知がありました。
 次に、人事委員会より、平成二十八年十月十八日付で、都の一般職の職員の給与についての勧告等がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
(別冊参照)

○議長(川井しげお君) この際、平成二十八年十月二十五日付をもちまして、全国都道府県議会議長会において、自治功労者として表彰を受けられました方々をご紹介いたします。
 在職二十年以上、野村有信君、植木こうじ君、松村友昭君、吉野利明君、かち佳代子さん、吉田信夫君、三宅茂樹君、清水ひで子さん、こいそ明君、曽根はじめ君、川井しげお。
 在職十五年以上、林田武君、高橋かずみ君、山田忠昭君、相川博君、野島善司君、高島なおき君、山加朱美さん、吉原修君、酒井大史君、山下太郎君。
 在職十年以上、鈴木章浩君、今村るか君。
 ここに敬意を表し、心からお祝いを申し上げます。
   〔拍手〕

○議長(川井しげお君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第三回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(九ページ)に掲載〕

○議長(川井しげお君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 東京都技監都市整備局長兼務邊見隆士君、中央卸売市場長村松明典君。
   〔理事者挨拶〕

○議長(川井しげお君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(川井しげお君) 次に、閉会中のオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員より、それぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名をいたしました。

   オリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員辞任・選任名簿

○辞任
 藤井  一君(公明) 伊藤こういち君(公明)
 小林 健二君(公明) 斉藤やすひろ君(公明)
 酒井 大史君(民進)
〔以上 平成二十八年十月十四日付〕

○選任
 吉倉 正美君(公明) 遠藤  守君(公明)
 まつば多美子君(公明) 谷村 孝彦君(公明)
 小山くにひこ君(民進)
〔以上 平成二十八年十月十四日付〕

○議長(川井しげお君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十二月十五日までの十五日間といたしたいと思います。
 これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十五日間といたします。

○議長(川井しげお君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事小池百合子さん。
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 平成二十八年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、改めて都政運営に対する私の所信の一端を述べさせていただきます。
 三笠宮崇仁親王殿下におかれましては、十月二十七日、御薨去なされました。ご回復を願っておりましたが、残念でなりません。
 ここに、都民を代表いたしまして、謹んで哀悼の意を表したいと存じます。
 東京大改革という旗を掲げ、知事に就任いたしまして早四カ月となります。東京大改革とは、都政を透明化し、常に情報を公開し、都民とともに進める都政、都民ファーストの都政を実現することであります。全ての施策、お金の使い道が真に都民の利益にかなうものなのか、それを常に念頭に置き、行動をしてまいりました。そのため、就任直後からの百日間は、まず都政のさまざまな課題を掘り起こすことに邁進をしてまいりました。
 連日、メディアでも都政が主題に取り上げられ、都議会の様子もかつてないほどに注目を集めました。より多くの都民の皆様に都政を、都議会を注視していただくことは、非常に重要なことであると考えております。一番身近な政治の場で何が語られ、何が討議され、何が議論されなかったのか。自分たちの税金がどのように生かされていくのか。それを一人でも多くの都民の皆様に見て、知っていただきたいと、このように思います。
 この百日の間、最も注目を集めました課題は、いうまでもなく東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック、この経費の問題、そして、築地市場の移転問題であります。東京二〇二〇大会を最高の大会とするために、膨張し続ける大会経費に歯どめをかける必要と責任が、都民の代表であります私にはあります。市場の移転に関しましても、移転ありきの結論の優先ではなく、都民の、そして食を預かる市場関係者の最大の関心事であります安全・安心の確認が重要と考えました。誤った情報や手続をただす必要と責任が私にはありました。
 二〇二〇年の後も都民の生活は続きます。市場は、五十年、百年という単位で考えねばなりません。
 この間、オリンピック・パラリンピックの経費の見直し、豊洲市場の安全性の確認といった課題とともに、知事給与の半減により身を切る改革の姿勢を示しつつ、待機児童対策のための補正予算百二十六億円の編成、延遼館の復元構想の見直しなど、貴重な財源の有効活用にも取り組んでまいりました。都民ファーストの観点から、地域住民の声も反映し、韓国人学校への都有地貸与の撤回なども行ってまいりました。都政の透明化という点では、情報公開を徹底するため、いわゆる口ききの記録化や黒塗り資料の積極的な公開も進めてきたところでございます。
 今後は、掘り起こした幅広い課題をどう解決していくのか、具体的な答えを出していく段階であります。二〇二〇年に向けた実行プランの策定、来年度予算案の編成の中で、新しい東京に向けた大義ある政策を明らかにして、都民の皆様方の共感を追い風として、それらをスピーディーに実現してまいりたいと考えております。
 二〇二〇年に向けた実行プランには三つのシティー、すなわち、安全、安心、元気なセーフシティー、誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティー、環境先進都市、国際金融経済都市として成長を続けるスマートシティー、この実現に向けた四年間におけます集中的な取り組みを盛り込んでまいります。四年間におけます集中的な取り組みを盛り込んでいくわけでございますが、東京が抱える課題の解決とより一層の成長創出のため、これまでの長期ビジョンに掲げた取り組みをさらに進化、加速させて、新たな発想を取り入れた政策にしてまいります。
 策定に当たりましては、私を含め副知事、教育長及び各局長が一堂に会しまして、議論を重ねてまいりました。これまでの施策計画と今回のプランの大きく異なる点は、各施策について、より具体的で数多くの政策目標を定め、その工程表も明確に作成している点であります。これによりまして、事後的な達成度のチェックや評価を行い、PDCAサイクルを回して、しっかりと施策を実行していくことがこれまで以上に可能となります。パブリックコメントで寄せられました都民の皆様の知恵も生かしながら、オール都庁の英知を結集して、年内に取りまとめてまいりたいと考えております。そして、そのプランの施策は、できるだけ来年度の予算に反映させ、速やかに実行に移してまいります。
 加えて、プランでは、二〇二〇年の先、ビヨンド二〇二〇におけます東京の明るい未来像も大胆に描いていきたいと思います。二〇二〇年以降の少子高齢化の急速な進行や人口減少などの不安材料はございますが、そうした困難にしっかりとした準備を行って、将来の夢あふれる東京の姿をわかりやすく具体的に示していく。そのことが、これまでの延長線を超えた政策の立案、それらの推進力となる都民の皆様方の共感を呼ぶことにつながっていくことでありましょう。
 民間の研究機関が発表したことしの世界の都市ランキングでは、東京はパリを抜いて初めて三位となりましたが、ここで常にトップに君臨する、世界中の憧れの都市を目指すというのもわかりやすい目標でありましょう。都民の皆様の、よし、一緒に東京をよくしていこうというかけ声をたくさんいただきながら、明るい未来に向けて力強く歩んでまいります。
 プランにおいて、新しい東京に向けた具体的な道筋を明らかにする一方で、目前の課題にもしっかりと対応してまいります。何よりもまずは、東京二〇二〇大会を成功に導くための取り組みであります。
 大会を成功させ、二〇二〇年以降の東京、日本の成長につなげていくための最も重要な基盤は、都民、国民の皆様方の納得であります。それを得るために、特に整備費用が高騰しております三つの競技会場について、ラストチャンスとなる見直しを熟慮に熟慮を重ねて進めてまいりました。オリンピック・パラリンピックの持続可能性をうたうIOCのアジェンダ二〇二〇が、東京大会で初めて適用されることを踏まえまして、整備費用はもとより、ライフサイクルコストや大会後の活用見込みなども含めまして、総合的に検討をしてきたところでございます。そして、一昨日、フルオープンで行いましたIOC、組織委員会、国との四者協議におきまして次のことを確認いたしました。
 まず、ボート、カヌースプリントにつきましては、事前合宿地として宮城県長沼ボート場を活用することが合意され、会場は、経費縮減を図りつつ海の森に整備することといたしました。水泳会場につきましては、アクアティクスセンターを新たに整備をいたしますが、座席数を二万席から一万五千席へと縮減するなど、整備費用の圧縮を図ることといたしております。バレーボール会場については、横浜での開催におけます課題などを整理する一方で、有明での会場整備についてはさまざまな観点からのさらなる精査を行って、クリスマスまでの間に総合的な判断によります最終結論を出したいと考えております。
 また、大会の総経費につきましては、二兆円を上限に圧縮を図っていく旨が報告されましたが、今後とも四者が連携をしながら、さらなる経費縮減に向けまして、計画、予算管理、執行の各段階においてガバナンスを強化してまいります。
 復興五輪の理念の実現に向けましては、一部種目を被災地で実施するほか、事前合宿の誘致を促して、オリンピック・パラリンピックフラッグツアーも、先月訪問いたしました福島に加えて、岩手、宮城、熊本で実施をしてまいります。被災地の元気な姿を世界に発信できるよう、引き続き復興を後押ししてまいります。
 復興五輪に加えて、もったいない、アスリートファーストの理念に都民、国民の皆様方の共感を呼びながら、全てのアスリートがその力とわざを最大限発揮できて、皆様に長く愛されるレガシーを残すための投資をしっかり行い、大会を成功に導いてまいります。そして、この平和の祭典が未来永劫続いていくためのモデルを示していきたいと考えております。
 もう一つ、前へ進めなければならない課題が市場の移転問題であります。豊洲市場のいわゆる地下空間問題につきましては、先月、第二次自己検証報告書を公表して、当時の市場担当者の責任を明確にいたしました。その上で、一部盛り土を行わないという対応を、必要な手続を踏まずに進めてきたことなどに対して、職責等に応じた処分を行ったところでございます。
 私も、本件に関するけじめをつける意味で、知事給与のさらなる減額を行いたいと考えております。議会への誤った説明を行ってきたその問題を含めまして、厳正な処分を実施したことを一つの区切りといたしまして、引き続き市場のあり方について、都民の食の安全の確保を最優先として、的確かつ冷静な議論と判断を行ってまいります。
 移転につきましては、安全性の科学的な検証と環境アセスメントの審議が終了いたしました段階で、新市場の持続可能性なども含みます総合的な観点から判断をいたします。その上で、移転に向けた環境が整う時期は、再アセスメントの必要性の有無にもよりますけれども、早くて一年後の冬と見通しております。市場関係者の皆様におかれましては、豊洲への設備投資など具体的な負担が発生している方も多いわけで、大変ご心配をおかけしていることは、都政の責任者といたしまして真摯に受けとめているところでございます。
 しかしながら、一連の手続は、食の安全の確保と、皆様が安心して事業を続けられる環境の実現のため、着実に踏むべきステップであると考えておりまして、何とぞご理解をいただきたいと存じております。
 喫緊の課題でございます関係者の皆様への補償につきましては、弁護士などの皆様から成る検討委員会によりまして、今月の下旬から年明けにかけまして、客観的かつ公正なスキームを策定いたします。補償開始までは、利子や保証料を都が全額負担するつなぎ融資を実施するなど、誠心誠意、不安の軽減に努めてまいります。
 市場の移転問題を解決する。東京二〇二〇大会を成功させる。そして、新しい東京への一つ一つの政策を花開かせる。これらは全て都民の皆様のご理解を得なければ実現できないものばかりでございます。その基盤となる信頼を取り戻すため、都政改革に着実に取り組んでまいります。
 改革を進めるための一番のツールは、情報公開の徹底でございます。情報公開は信頼回復への一丁目一番地であることはもとより、これを進めて官民の知恵を結集させていきますと、幅広い課題にスピーディーに取り組むことができ、都政への期待を高めることにもつながってまいります。
 来年度予算案の編成におきましては、都議会の皆様、各種団体の皆様などからご意見やご要望をオープンな場で伺うことで、都民の声を最大限反映させ、都政の見える化を推し進めることといたします。そして、これまでの政党復活予算の仕組みにつきましては、終了とさせていただきます。先月には、業務の適正の保持のため、弁護士を窓口に都民の皆様からも通報を受け付ける新たな公益通報制度も開始したところであります。
 加えまして、各局では、自律的に進める改革の項目を既に三百以上挙げて、若手職員の意見を施策の形成や業務改善に反映させる仕組みなど、前向きな検討を行っております。その状況につきましては順次公表するとともに、今後は、政策や事業の見直しに向けました自主点検など、一段高い取り組みも進めてまいりたいと思います。職員の意見が直接私に届く職員目安箱にも職務の改善案などが数多く寄せられております。
 引き続き全庁的に改革マインドを醸成しながら、情報公開と自律改革を進めていくことによりまして、一歩ずつ都民の皆様からの信頼を回復し、都民とともに進める都政を実現してまいりたいと考えております。
 東京二〇二〇大会は、成熟社会の典型である東京を大きく変えるチャンスであります。大会へ向けて新しい東京づくりを加速させる取り組みについて、その一端を申し述べさせていただきます。
 大会の成功、そして、その先の持続可能な東京の大前提となるのは、安全・安心の確保であります。特に、東京が直面する最大の脅威であります首都直下型地震に対しては、万全の対策を講じていかなければなりません。甚大な被害が想定される木造住宅密集地域においては、建物の不燃化に加えて、延焼の遮断や避難、救援活動に大きな役割を果たす特定整備路線の整備を強力に進めてまいります。
 また、日本の象徴である桜とほぼ同数、全国に三千五百万本もあるという電柱、これもまた日本の象徴なのかもしれませんが、私は、東京の電柱をゼロにしたい、そのことを目指そうと思っております。震災時には倒壊して救援、復旧活動を停滞させかねないほか、景観を損ねます。ベビーカーや車椅子の通行にも厄介なものであります。無電柱こそ日本の新たな常識へ。今後、国の動きも踏まえまして、無電柱化を推進する条例案を検討してまいりたいと思っております。
 先月、福岡市の地下鉄工事現場におきまして大規模な道路陥没が発生いたしました。工事に起因する事故とされておりますが、インフラ維持管理の重要性につきまして改めて痛感させられたものであります。道路、水道、下水道、病院、都営住宅など、都が所有する施設の管理につきましては、全庁的に的確に対応していくことが不可欠であります。東京の活力を支える重要な基盤につきまして、引き続き総合的かつ計画的な維持管理を進めて、都市の安全・安心を確実に確保してまいります。
 こうしたハードの取り組みに加えまして、乳児を抱える方々にとって安全・安心の一つの支えとなるのが、災害時にお湯がなくても飲める乳児の液体ミルクであります。かねてより普及を主張してまいりましたが、ようやく国において、国内での製造販売解禁に向けました検討も進み始めております。都としても、国の検討状況を注視しつつ、普及に向けた課題を整理して、きめ細かな災害対策につなげていきたいと考えております。
 多様性を尊重するオリンピック・パラリンピックのホストシティーとして、あらゆる違いを超えて誰もが快適に過ごせる優しさあふれる都市へと、東京をさらに進化させてまいります。道路のバリアフリー化は、東京二〇二〇大会までに競技会場や主な観光施設の周辺について整備するとともに、二〇二四年度までに駅と生活関連施設を結ぶ一定の都道について進めてまいります。加えて、大会の運営におけますハード、ソフト両面のバリアフリー基準、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドライン、この知見をまちづくりにも生かしまして、高齢者や障害者に優しいユニバーサルデザインを隅々まで広げていきたいと考えております。
 あわせまして、心のバリアフリーも進めてまいります。社会全体で障害のある方々への理解を深め、差別をなくす取り組みを一層推進するための条例案につきまして、検討を開始いたします。障害のある方々の意見を十分にお聞きをしながら、相談、紛争解決の仕組みの整備、意思疎通のための配慮等に取り組みまして、障害者の社会参加を後押ししたいと思います。そして、誰もが存分にみずからの能力を発揮できる、希望ある東京へと導いてまいります。
 優しさあふれる東京の一つのメルクマールとなる動物の殺処分ゼロに向けましては、十一月を動物譲渡促進月間と位置づけまして、PRのためのイベント開催、映像放映を通じまして、保護した犬や猫の新しい飼い主を探す取り組みも強化いたしました。引き続き知恵を絞って、二〇二〇年までの殺処分ゼロを目指して着実に進んで、歩んでまいりたいと存じます。
 リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックにおきまして、私たちは世界中のアスリートからたくさんの感動をいただきました。その躍動する姿に憧れて、私もスポーツをやりたいという思いに駆られた方々も多いのではないでしょうか。スポーツは、個人の健康増進のみならず、地域振興、大きな経済効果、異なる価値観を超えたつながりをもたらすなど、多くの効用を持ちます。二〇一九年ラグビーワールドカップや東京二〇二〇大会を控えまして、こうした新しい視点も踏まえた今後のスポーツ振興の方向性を明らかにするため、新たなスポーツ推進計画を策定いたします。若者もシニアも、また、障害のある方もない方も、都民の誰もがスポーツに親しみ、生き生きと生活する。そして、そこから生まれる一人一人の活力が、東京をもっと輝かせる。そうしたスポーツ都市の実現に向けまして、アスリートや有識者のご意見も伺いながら、来年度を目途に取りまとめてまいります。
 文化の祭典でもある東京二〇二〇大会に向け、伝統芸能からキラーコンテンツであるアニメ、漫画まで、東京、日本の文化の魅力をさらに高めてまいります。先般、日本橋で東京二〇二〇文化オリンピアードのキックオフイベントを開催いたしました。この地が全国に広がる五街道の起点であるように、まさに東京が世界への文化発信の起点となっていく。そのためにも、民間などさまざまな主体を巻き込みながら、四年間で多彩な文化プログラムを展開し、世界中に日本のファンをふやしたいと思います。
 先月は、このプログラムの一つであり、東北六県の祭りが一堂に集まりました東北六魂祭パレードの出発式に出席をしてまいりました。鎮魂、復興への思いと支援への感謝の気持ちが込められた力強い歩みが、約二万人の観客を魅了いたしました。文化プログラムを通じましてオールジャパンの魅力を発信していく中で、被災地の元気な姿や復興五輪の理念も世界に届けてまいりたいと存じます。
 IOCが提唱するスモークフリーへの取り組みは、もはや世界的な潮流でもございます。都はこれまで、受動喫煙防止に向けて、喫煙の健康影響に関する普及啓発、外国人旅行者受け入れに向けて分煙に取り組む宿泊、飲食施設への支援などを行ってまいりました。国は、飲食店などを原則禁煙とする罰則つきの検討案を公表するなど、法制化を目指した動きを進めているところであります。こうした動きも十分に見きわめながら、都としてのさらなる対応を検討してまいりたいと思います。
 東京は今、大きな転換点に立っております。人口減少社会の到来や高齢化のますますの進行。特に、高度経済成長を機に日本中から大勢の若者が東京に集まって、若い力にあふれるまちとなった反面、そうした世代が高齢者の仲間入りをしていく二〇二〇年以降、急速なスピードで高齢化が進行することが予測されているわけであります。その中で成長を続けていく都市をつくるため、今何をすべきなのか。そうした視点からの取り組みを展開してまいります。
 私は、東京の可能性は都民の皆様、都民の中に眠っていると思います。東京で生き生きと暮らせる。存分に力を発揮できる。夢を実現できる。一人一人の希望の先に明るい未来は開けると私は信じております。
 そのためにも、ダイバーシティー、すなわち年齢、性別、障害の有無などにかかわらず、全ての都民が生き生きと活躍できる社会を実現していかなければなりません。とりわけ女性の活躍を推し進めることは日本全体の喫緊の課題であります。しかしながら、世界各国の男女格差を比較するワールド・エコノミック・フォーラムのことしの調査では、日本は百四十四カ国中百十一位と、昨年よりも順位を落とす結果となっております。女性の参画に向けて、日本は努力をしているものの、それ以上に他の国々が熱心に取り組んでいるということのあらわれでありまして、このままでは、日本が世界から取り残されかねません。東京が日本の女性活躍を進めるエンジンとなって、強力に取り組みを進めてまいります。
 まずは今月、女性が輝く社会を築くためのアイデアを、私と都民の皆様方が対話をしながら一緒に考えるイベントを開催いたします。そして、来月には、さまざまな分野におけます先進的な取り組みを女性活躍推進大賞といたしまして表彰して、広く発信をするなど、都民一人一人の意識改革につなげてまいりたいと考えております。また、女性活躍に向けて取りまとめた白書や、都の男女平等参画審議会の議論を踏まえまして、今年度中に女性活躍推進計画を新たに策定いたします。行政や事業者が進めるべき取り組みを明らかにすることで、かけ声だけで終わらせない、生きた女性政策を展開してまいります。
 待機児童ゼロを目指した努力も続けなければなりません。さきの定例会で都議会の皆様に可決いただいた補正予算による緊急対策も、早速、効果があらわれております。保育施設整備のための都有地貸付につきまして制度を拡充し、区市町村を介して事業者に貸し付ける方式を追加いたしましたところ、第一号となる案件が台東区で決まりました。
 今後も、庁内横断的に利用可能な都有地を集め、相談窓口として設置した、とうきょう保育ほうれんそうによる情報提供も進めながら、こうした事例をふやしていきたいと思います。また、先月開催した区市町村との待機児童解消緊急対策会議には、私も出席をいたしまして、保育士の待遇改善策を初め、対策を進めていくための要望などについて現場の声を直接伺ったところであります。
 今後も、こうした会議を定期的に続けて、都と区市町村が問題意識や目標を共有し、一体となって待機児童対策に臨むようにしたいと考えております。また、現場の声も踏まえまして、さらなる取り組みを来年度予算案に反映させ、もっとよく効く待機児童対策を展開してまいります。
 十月には、待機児童解消や介護など幅広い分野において、国家戦略特区の取り組みを国と連携して強力に進めるため、都庁内に東京特区推進共同事務局を立ち上げました。その具体策として、今後、介護サービスの充実や介護職員の待遇改善にもつながります混合介護の弾力化や、介護離職をなくすために、中小企業の負担軽減にも配慮しつつ、将来を見据えた介護休業、介護休暇のあり方について検討を進めてまいります。待機児童解消につきましても、規制改革の面から新たな取り組みが進められるよう、この事務局をフルに活用してまいります。
 東京の活力を高めるため、待機児童ゼロを目指し女性活躍を推し進める。さらには、満員電車の混雑についても、庁内横断的に取り組むほか、民間事業者などからも知恵を集めて、官民が連携して解決をしていきたいと思います。
 一方で、こうした現代社会が直面する課題の根っこにあるのは、実は働き方そのものにあります。誰もが同じように朝から晩まで長時間オフィスに拘束される働き方は、もはや限界であると感じざるを得ません。短時間勤務や在宅勤務など、多様なワークスタイルが広がって定着しますと、育児、介護との両立や女性活躍の後押しとなり、究極的には、満員電車も過去の話となる。働き方改革こそ、ダイバーシティー実現の大きな鍵であります。
 そうした認識のもと、都は率先して、二十時完全退庁のルール化によります超勤縮減の取り組みを開始いたしました。加えて、新たに設置した都庁働き方改革推進ミーティングにおいて、テレワーク、フレックスタイムの導入や、さらなる改革のメニューを検討しております。
 一方、民間企業に対しても働き方の見直しに向けた支援を行っておりまして、既に七百社を超える企業が都の支援を活用して、それぞれの取り組みを進めています。誰もが個々の事情に合わせて生き生きと働き、より活力が高まる東京を目指していく、民間企業を巻き込んだムーブメントを先導していきたいと思います。働き方改革も、国のさまざまな規制を突破しなければ前へ進めることはできません。先ほど申し上げた国との共同事務局を通じまして、国家戦略特区の仕組みを大いに活用してまいります。
 続いて、教育施策について申し上げます。
 全ての子供の可能性を伸ばすことや、時代が求める人材を育成することが、教育の重要な使命であります。先般開催をいたしました総合教育会議では、こうした視点を踏まえました新たな教育施策大綱の骨子をお示しいたしました。家庭の経済状況等にかかわらず、誰もが学べる環境を実現できる都独自の給付型奨学金制度、実践的なコミュニケーション能力を育む外国語教育、ボランティアマインドの醸成、障害のある子供たちの教育の充実等、教育委員の皆様と自由闊達な意見交換を行ったところでございます。ここでの意見を踏まえまして、さらに議論を深め、来月には新たな大綱を策定してまいります。
 また、家庭の貧困やいじめ、不登校、中途退学など、子供をめぐる状況が複雑化、多様化する中で、学びを支える教師力、学校力の強化も必要であります。教員の指導力を高めることはもとより、専門人材や地域社会と連携、協働し、教育の質を向上させていきたいと思います。
 さて、来月アメリカでは、トランプ新政権が誕生いたします。イギリスのメイ首相も、トランプ氏も、それぞれ法人税の大幅な軽減を打ち出しておりまして、国際的な都市間競争のさらなる激化が想定されます中、持続的な成長を手にするには確固たる戦略が必要であります。危機感を持って、東京を、世界の都市間競争を勝ち抜く最先端都市、スマートシティーへと生まれ変わらせなければなりません。
 その肝となるのは、東京の地位を再びアジアナンバーワンの国際金融都市へと高めることであります。国との共同事務局をてこにして、特区制度等をフル活用することを初めとして、政府とも連携しつつ聖域なき構造改革や規制緩和を実現することで、内外の資産運用業者やフィンテック企業、そこで働く高度な人材を東京に集積させる。それによって東京、日本の国際競争力を高め、政府の成長戦略にも貢献してまいりたいと考えます。先月には、金融活性化に向けた本質的な課題に取り組むべく、内外の金融の専門家や企業経営者などから成る懇談会と、実務担当者等から成る検討会を新たに立ち上げました。それらの会議体の提言を参考にしつつ、国や民間とも連携しまして、時代おくれの業界慣行、規制、税制等の見直しによって、企業誘致や外国人の生活環境改善等を実現すべく、都として鋭意検討を進めてまいります。
 環境分野においても、世界と切磋琢磨してまいりたいと考えております。
 先日、私は、世界の八十以上の都市が連携をしまして、気候変動対策に取り組むC40において、その意思決定機関となる運営委員会の委員に選出されました。大規模なオフィスビルなどにCO2の削減を義務づける、五年間で約一千四百万トンの削減を達成した都市型キャップ・アンド・トレード制度など、都がこれまで培ってきたノウハウを生かして、世界の気候変動対策をリードしてまいります。
 先週には、新たな試みとして、都有施設のLED化など、都の環境事業への投資の受け皿となります東京環境サポーター債の売り出しを開始したところ、初日に完売をいたしました。来年度には、このノウハウを日本が国際的におくれているといわれるグリーンボンドの発行につなげて、環境投資の面でも世界に伍していきたいと考えております。そして、都民が投資を通じて都の環境政策に参加する機運を醸成して、再生可能エネルギーやLED照明の普及、ヒートアイランド対策、食品ロスの削減等、世界に冠たる環境先進都市に向けました政策を大きく前へ進めていくための呼び水としていきたいと考えております。
 中小企業の海外展開も積極的に後押しをしていきたいと考えております。都はこれまでも、海外販路の開拓支援やASEAN地域におけます現地情報の提供、経営、技術の相談等を行ってまいりました。
 一方で、スマートフォンをめぐるグローバル企業同士の特許侵害訴訟の事例が示しますように、海外展開に当たりましては、特許、商標の取得、模倣対策など、知的財産に関する戦略の重要性はますます高まっております。そこで、ニーズに合った新たな支援も検討しながら、海外へのビジネス拡大を狙う中小企業のチャレンジを強力にサポートしてまいります。
 IoT、AI、これらに代表される新たな技術が持つ可能性を引き出し、さらなる成長へとつなげていくことも必要であります。
 医療機器産業の分野では、日本橋に開設した東京都医工連携イノベーションセンターを拠点に、ものづくり中小企業と臨床機関、医療機器メーカー等との連携を進めております。先般視察いたしました産業交流展では、中小企業のすぐれた技術を、世界を見据えた独創的かつ革新的なビジネスに結びつける土壌が着実に整いつつあると感じたところであります。競技用の車椅子にも試乗いたしましたが、こうした分野で世界に誇る製品を開発していくことは、二〇二〇年に向けたパラスポーツ発展の後押しとなり、かつ、その後の超高齢社会におけます成長戦略の一つとなることでありましょう。
 また、既存の枠組みやルールにとらわれない発想で、新たな価値を提案する起業家を数多く輩出することも大切であります。来月には、創業希望者が気軽に利用でき、ワンストップでの支援を受けられる拠点を丸の内に開設いたします。国際金融センターを目指します大手町から兜町の地区、ライフサイエンスの拠点化が進みます日本橋、そして、中小企業のオンリーワンの技術力。こうした強みに起業家の発想力をプラスしながら、東京からイノベーションを次々と生み出して、日本全体の成長を牽引してまいりたいと考えております。
 もう一つ、成長戦略の重要なキーワードが東京のブランディングでございます。東京のブランドを国内外に効果的にPRするには、じゃあどうすればいいのか。これまでの取り組みを検証しまして、そのあり方について議論を始めております。また、伝統的な産品やたくみのわざを守りながら、これらを新しい切り口で活性化していく、東京ブランドとして育てて発信していく、そのために今月、フランスのコルベール委員会を参考といたしました新たな会議を立ち上げます。各界の有識者とともに、東京の魅力を発信する方策を検討してまいります。
 多摩・島しょ地域にも東京ブランドの種がたくさんございます。先月、フラッグツアーのイベントに合わせて訪問いたしました三宅村、御蔵島村では、バイクレースやイルカウオッチングといった際立つ特徴が、観光地として大きな魅力となっておりました。十月に訪れた小笠原村、奥多摩町、檜原村も同様です。それぞれが持つ個性こそが強みであり、ブランドとなり得る魅力なのであります。
 今後も、精力的に多摩・島しょ地域を訪れまして、さながら宝探しのように各地の個性を見出して、磨き上げていきたいと考えております。
 インバウンドの増加に向けては、国際会議などMICEの誘致も効果的であります。国際的な誘致競争が激化する中で、海外プロモーションを強化するとともに、特別感を演出できるレセプション会場である、いわゆるユニークベニューとして都立の美術館や庭園などを活用していくなど、都内でのMICE開催の増加を図ってまいります。
 そして、これらの取り組みを観光振興にしっかりとつなげるため、有識者のすぐれた提言もいただきながら、新たな施策を体系的に盛り込む東京都観光産業振興実行プラン二〇一七(仮称)の策定を進めているところであります。近々、中間のまとめを明らかにいたしまして、都民の皆様のご意見等も反映させた上で、年度内に公表していく運びとなっております。
 さて、現状維持は衰退であるという言葉は、多くの方々に語られています。我が国は、長きにわたって現状維持に安住し続けてきたのではないでしょうか。現状維持はそのときには快適ではあります。しかし、それは、社会、経済、そして政治の後退をもたらすのみであります。
 多くの都民の皆様方から改革を進めよとの声をいただきますのは、現状維持では立ち行かなくなる、このままでは衰退や後退でしかないと肌で感じておられるからでありましょう。
 議会におかれましても、さまざまな改革へのご議論が始まろうとしていると私は聞いております。二〇二〇年とその先の明るい東京の未来に向かって、改革を進める意欲あふれる皆様とともに歩んでまいりたいと思います。
 なお、本定例会、これまで申し上げたものを含めまして、条例案十件、契約案十四件など、合わせまして三十三件の議案を提案いたしております。どうぞよろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
 東京大改革。改めましてその決意を申し上げまして、私の所信表明を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(川井しげお君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(山内晃君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二日から六日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二日から六日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月七日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
  午後一時五十分散会


文書質問趣意書及び答弁書

28財主議第437号
平成28年11月22日
東京都議会議長
 川井しげお殿
東京都知事
小池 百合子

文書質問に対する答弁書の送付について

 平成28年第三回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

塩村あやか議員
おときた駿議員
宮瀬英治議員
西沢けいた議員
山内れい子議員
尾崎あや子議員
中村ひろし議員
河野ゆりえ議員
斉藤あつし議員
石毛しげる議員

平成28年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 塩村あやか

質問事項
一 受動喫煙防止条例について
二 都立公園など公共空間での喫煙について
三 都立公園での動物の遺棄について
四 公文書や記録の情報開示や保管期間について
五 動物愛護について

一 受動喫煙防止条例について
 知事就任後初の定例会において、知事は受動喫煙防止条例制定を示唆する所信表明を行いました。これまで私も健康面や国際的な潮流を鑑みて、受動喫煙防止条例について本会議でも質問をしていましたので、大変に歓迎をするものであります。
 近年オリンピック・パラリンピックを開催する都市の多くは、受動喫煙防止対策として完全禁煙を義務化しており、事業者に罰則まで課すものとなっております。
 これまでの都議会での受動喫煙防止条例については、私が質問をした時の質問調整時には条例制定については回答が難しいとのことで、飲食店での室内完全分煙の促進に切り替えざるを得ませんでした。
 その後舛添知事(当時)は屋内の受動喫煙対策を盛り込んだ条例制定をしたいと意欲を突如見せていましたが、最大会派から事業者の自主的な取り組みを促すべきと要望を受けたところ、残念ながら一気にトーンダウンしてしまいました。
 しかし、受動喫煙の健康被害や影響は明らかであり、今年国立がんセンターが国内の9本の研究論文を統合解析し、非喫煙者の受動喫煙による肺がんリスクはない人に比べて1.3倍にもなり、リスクは確実であり屋内全面禁煙の義務化を訴えたと報道されたことからも、2020年のオリンピック・パラリンピックを前に早期の制定が望まれます。
 そこで、条例制定の意思を示した小池知事にどのような条例を目指すのか以下をお伺いします。
1 制定後に周知の期間も必要であることから、できるだけ早期の制定が必要と考えますが、具体的な条例案提出の時期やスケジュールについての考え。
2 これまでの開催都市の取組には完全分煙と完全禁煙がありますが、東京都が目指す方向はどちらか。
3 バンクーバー大会以降は「公共性の高い施設」「公共交通機関」「飲食店」「宿泊施設」「屋外運動施設」「事業所」のほぼ全てに(バンクーバー大会は宿泊施設は分煙)「完全禁煙、罰則付き」を課しています。世界一の都市東京も成熟都市の責務として罰則付きを検討すべきという意見もありますが、知事の考えを伺います。

二 都立公園など公共空間での喫煙について
 都立公園での喫煙について度々相談を受けます。その都度、都に対して対応を求めてきたとおりです。その中でも見逃せないのは、都立公園では禁煙になっていないという意見です。都の公園協会のHPでは喫煙については「喫煙は、多くの利用者が集まる場所・広場や受動喫煙のおそれがある場所などではご遠慮いただいております。公園内における喫煙マナーについて、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。」とありますが、その他の火気使用については「〔1〕直火は、禁止しています。〔2〕各区画のレンガの上にバーベキュー用具を置き、炭火で調理してください。」と禁止明記しており、喫煙についてはやはり禁止をしていない旨が読み取れ、東京都は公園内では禁煙ではないとの意見の通りなのではないでしょうか。
1 そこで、都は「完全禁煙」「完全分煙」「禁煙や分煙が明文化されたものはない」のかをお伺いをいたします。
2 また、多くの方や子供を含む家族が集う公園であることからも、「完全分煙」とし、喫煙所以外での喫煙は禁止である旨を明文化することが必要だと考えますが、都の見解を伺います。
3 また、寄せられる苦情の多くが喫煙を公園内でしているというものです。以前に担当課を呼び対応が必要ではないかと伝えたところ、公園内は禁煙という訳ではないという回答でした。しかし、それでは都民の健康を守る都の責務を果たしているとは言えません。できることは「喫煙所の周知で喫煙所以外での喫煙を減らすこと」「喫煙所を知らせるマークなど案内を増やす事」ではと提案をしてきました。その後、どのような対応を取ったのか、また、その効果を伺います。
4 さらに、最近都立公園内で「水タバコ」を吸っている若者たちについての相談がありました。私も実際に都立公園で一度目にしたことがあり、異国情緒溢れるボトル(シーシャボトル)からホースが出ており、その吸引口からフレーバーを楽しむものだそうで、プカプカと煙を吹き出しておりました。こちらについても、火を使うものでありながら、都では公園内で吸うことは禁止されていないとのことでした。火を使うものであることからも、タバコについては全面的に公園内では喫煙所を除き禁止をし、完全分煙を目指すべきと考えますが、所見を伺います。
5 加えて、いま急速に普及をしている電子タバコについての都の考え方を伺います。

三 都立公園での動物の遺棄について
 都立水元公園にて近年うさぎの遺棄が相次いでおり、対応ができないかという相談があります。今年も20羽ほどが遺棄され、現在相談者の方やその周囲で保護をし、一時預かりをしているとのことです。昨年も同様のことがあり、数年前も一度に35羽ほどが北詰所付近で遺棄され、ボランティア団体が里親を募ったという経緯もあり、うさぎ遺棄が相次いでいる公園です。
1 動物愛護管理法第44条第3項では愛護動物の遺棄は100万円以下の罰金となります。これまで東京都内で動物の遺棄で100万円以下の罰金を科した件数を都は把握をしているのか伺います。
2 また、特定の都立公園内でうさぎの遺棄が異常に多いことは問題であり、巡回を増やすことや監視カメラから遺棄した人を割り出し、その背景にあることを突き止めなくては遺棄の場所が人の目に届かない所に移ってしまうだけになり兼ねません。これまでの都の対応と、今後の対策を伺います。

四 公文書や記録の情報開示や保管期間について
 議事録や記録やメモなど公文書には保管期間が規則により設けられておりますが、今回の豊洲新市場問題をはじめ、知事就任以前から疑念を持たざるを得ない事態が多々ありました。これまで私に発生したことは、都の著作物関係の運用が杜撰であり、その証明として公文書開示請求をしたところ、申請者と申請会派が異なるにも関わらず、筆跡が同じであることから職員の文書偽造が疑われる案件や、保存期間前であるにも関わらず処分されていることも判明しました。納得がいかず、担当局に交渉をしましたが埒があかないために、情報公開委員会へ開示請求の不服を行うことになりました。委員会での専門家の意見も「文書不存在のため、非開示」でよいということになりました。当方の指摘は保存期間に誤りがあるという申し立てをしているにも関わらずです。多くの問題を含んでいますが、論点がぼやけないよう要点のみ記しますがこれでは、都合の悪い書面は廃棄していれば、請求しても「文書不存在のために、開示しなくてよい」ということに都の見解はなってしまいます。また、この件については担当局の職員が申立てに賛成しないよう、各会派に根回しを行っており、ある会派では先に述べた職員により公文書の偽造にあたる旨を指摘してようやく職員が引き下がっていったと報告を受けています。
 豊洲新市場問題では「当時の職員が部局トップの市場長にレクチャーした際の文書も残っておらず、残り4人の説明の信ぴょう性は検証できなかったという」と新聞報道もされており、都民より批判されています。
 公文書の保存期間の設定は理解ができますが、今回の築地・豊洲新市場問題のような問題が発生した場合に保存期間が経過していたので、廃棄されていましたでは事の真相まで一緒に闇に廃棄されてしまいます。また、のり弁のような黒塗りばかりの開示資料も批判をされています。それでは情報を開示していることにはなりません。
 そこで、今回のような長期の施策に関わる資料やメモを含む議事録などすべての文書は事業が完了し、完全に検証が終わるまでは保存しておかねば都民に説明責任を果たせなくなるため、抜本的に情報公開の在り方や、保管期間を見直すことが必要だと考えますが所見を伺います。

五 動物愛護について
 小池都知事は「ペット殺処分0」をかかげて当選を果たされました。不幸な犬猫を0にすること、殺処分0は、4年近く前、私が都議会議員に立候補をするきっかけの1つです。当時はまだまだ動物より人間をという意見も多かった中、この4年で大きく世の中は変わってきたと実感をしているところです。今回小池知事が公約に明確に掲げてくれたことに私をはじめ、多くの都民が感謝をしていることと思います。しかしながら、殺処分をなくしていくための具体的な施策が第3回定例会では言及がありませんでしたので、いくつかお聞きいたします。
 これまで行政では飼い主の意識や責任についての啓発に係る施策を多く展開してきています。大切なことであり、継続が必要な施策です。しかし、一方で飼い主責任のみの施策を行政で行っていることも大変にバランスが悪いと言わざるを得ません。根本原因は飼い主だけにある訳ではないからです。
1 今後、知事は業の規制の強化などを条例制定する意志はあるのかをお伺いをします。
2 また、殺処分0のために、知事はどのような施策展開をしていき、殺処分0を達成するのかをお伺いいたします。
3 また、私も当選以来何度も要望をだしている、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催時までに新しい動物愛護相談センターについてはこれまでの議会答弁より設置されることが明らかです。これまでの設置に関する経緯などをお伺いをします。また、2020年に間に合うように設置するのであれば、他府県の例からも逆算をすると予算議会までに発表することが望まれますが、見解を伺います。
4 昨今私の元には動物愛護について多くの相談が届きます。なかでも、気になるのが「相談をしても動いてくれない」という声が多いことです。これまで担当課長に伝えてきたとおりです。中には、問題解決のために、都の譲渡対象団体でもある団体が多頭飼育崩壊状態の現場から引き受けると申し出ているにも関わらず、進展がないという声もあります。私も現場に入ってみるのですが、明らかに虐待状態や不法状態のことが多々見受けられるにも関わらず、出来ない理由を出してきて拒んでいると感じずにはいられません。昨今は動物愛護と動物福祉を実践する自治体が増えており、東京がこの後塵を拝する状態では問題です。日本初のペットショップへの行政処分となったパピオンの件をみても明らかなように、何度もテレビや新聞にまで取り上げられてしまうほどに状態が悪いものには、都こそが法令違反などには率先をして取り組んでいくべきと考えます。その見解を伺います。
5 いま、複数の相談があり問題が上がっているとおもいますが、都の今後の対応を伺います。

平成28年第三回都議会定例会
塩村あやか議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 受動喫煙防止条例について
  1 受動喫煙防止条例は、制定後に周知の期間も必要であり、できるだけ早期に制定すべきだが、具体的な条例案提出の時期やスケジュールについて伺う。

回答
 現在、国では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の基本方針に基づき、検討チームを設置し、受動喫煙防止対策に向けて立法措置も含めた検討を進めており、平成28年10月には、検討チームに厚生労働省から「受動喫煙防止対策の強化について(たたき台)」が提示されました。
 都における条例化については、国の動きを踏まえながら、総合的に判断していきます。

質問事項
 一の2 これまでのオリンピック・パラリンピック開催都市の取組には完全分煙と完全禁煙があるが、都が目指す方向はどちらか伺う。

回答
 オリンピック・パラリンピック開催都市として、IOCが唱えるスモークフリーの精神は重要なものと考えています。
 平成28年10月に厚生労働省が示した「受動喫煙防止対策の強化について(たたき台)」は、その考え方に沿ったものであり、都は、国の検討状況を踏まえ、大会のホストシティとしての責任や、都民の健康増進の観点から、受動喫煙防止対策を一層進めていきます。

質問事項
 一の3 バンクーバー大会以降、公共性の高い施設、公共交通機関、飲食店、宿泊施設、屋外運動施設及び事業所のほぼ全てに「完全禁煙、罰則付き」を課している。東京も罰則付きを検討すべきという意見もあるが、見解を伺う。

回答
 近年のオリンピック・パラリンピック開催都市は、屋内を全面禁煙にするなど、法律や条例で罰則を伴う受動喫煙防止対策を講じています。
 厚生労働省が示した「受動喫煙防止対策の強化について(たたき台)」では、官公庁や社会福祉施設等は「建物内禁煙」、学校や医療機関等は「敷地内禁煙」、飲食店等のサービス業等は「原則建物内禁煙(喫煙室設置可)」とし、実効性の担保措置として、罰則の在り方について検討するとしています。
 都における条例化については、国の法制化の動きを踏まえ、総合的に判断していきます。

質問事項
 二 都立公園など公共空間での喫煙について
  1 都の公園協会のHPでは、煙草以外の火気使用について禁止を明記しているが、喫煙については禁止していない旨が読み取れ、都立公園では禁煙ではないのではないか。都は、「完全禁煙」、「完全分煙」、「禁煙や分煙が明文化されたものはない」のか伺う。

回答
 東京都立公園条例第16条では、公園内での行為の制限について定めていますが、喫煙に関する規定はありません。
 なお、都立公園では、多くの利用者が集まる場所での喫煙を控えていただくなど、喫煙マナーの向上を推進してきました。

質問事項
 二の2 多くの方や子供を含む家族が集う公園であることから、「完全分煙」とし、喫煙所以外での喫煙は禁止である旨を明文化すべきだが、見解を伺う。

回答
 健康増進法では、受動喫煙について、「室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること」と定義されていますが、屋外であっても子供の利用が想定される公共的な空間では受動喫煙防止のための配慮が必要とされています。
 このため、都立公園では、喫煙者、非喫煙者を問わず、安全で快適に利用していただけるよう、喫煙マナーの向上を推進してきました。
 今後は、国の動向等を踏まえて、対応を検討していきます。

質問事項
 二の3 以前、担当課に苦情対応すべきと伝えたところ、公園は禁煙というわけではないとのことであった。できることは「喫煙所の周知で喫煙所以外での喫煙を減らすこと」「喫煙所を知らせるマークなど案内を増やす事」ではと提案をしたが、その後どのような対応を取ったのか、また、その効果について伺う。

回答
 都立公園では、職員による喫煙場所の案内などの声掛け、吸殻入れの設置場所を園内の案内板やホームページで周知するなど、喫煙マナーの向上を推進してきました。
 今後も、喫煙マナーの向上に取り組んでいきます。

質問事項
 二の4 「水タバコ」についても火を使うものであることから、タバコについては全面的に公園内では喫煙所を除き禁止し、完全分煙を目指すべきだが、見解を伺う。

回答
 一般的なたばこと同様に、水たばこの使用についても、多くの利用者が集まる場所や、受動喫煙のおそれがある場所等では、御遠慮いただきたいと考えています。

質問事項
 二の5 いま急速に普及している電子タバコについての都の考え方を伺う。

回答
 平成28年8月に国が示した、喫煙の健康影響に関する検討会報告書では、電子たばこ等への暴露と疾病及び死亡リスクとの関連については明らかでなく、電子たばこ等の暴露による健康影響は、今後の研究が待たれるとされています。
 なお、都立公園においては、一般的なたばこと同様に、電子たばこの使用についても、多くの利用者が集まる場所等では御遠慮いただきたいと考えています。

質問事項
 三 都立公園での動物の遺棄について
  1 動物愛護管理法第44条第3項では愛護動物の遺棄は100万円以下の罰金となるが、これまで都内で動物の遺棄で罰金を科した件数を都は把握しているのか伺う。

回答
 罰金は裁判により刑罰として科せられ、検察庁に納付するものです。
 「平成27年検察統計年報」では、動物愛護管理法違反による起訴の件数は全国で27件となっていますが、その内容については公表されていません。
 そのため、同法第44条第3項違反により罰金を科した件数について、都は把握していません。

質問事項
 三の2 特定の都立公園内でうさぎの遺棄が異常に多いことは問題であり、巡回の増や監視カメラから遺棄した人を割り出し、その背景を突き止めなくては遺棄の場所が人の目に届かない所に移ってしまうだけになり兼ねないが、これまでの都の対応と今後の対策を伺う。

回答
 都立公園では、環境省、警察庁が制作している動物遺棄等の防止を呼びかけるポスターの掲出や過去に動物が遺棄されていた場所への看板設置など公園内への動物の遺棄防止の啓発に取り組んでいます。
 今後は、看板等の設置に加え、巡回の強化や遺棄の発生状況に応じて警察への連携・協力を依頼するなど、公園内への動物遺棄等の防止に向け取り組んでいきます。

質問事項
 四 公文書や記録の情報開示や保管期間について
 長期の施策に関わる資料やメモを含む議事録などすべての文書は事業が完了し、完全に検証が終わるまでは保存しておかねば都民に説明責任を果たせなくなるため、抜本的に情報公開の在り方や、保管期間を見直すべきだが、見解を伺う。

回答
 都が保有する文書は、行政活動を行う上で基本的かつ不可欠であり、適切な文書管理は、情報公開制度とあいまって、都民にとって、都政への参加を進めるために重要です。
 都では、公文書の適切な管理を行うために、文書管理規則等において、文書の保存期間について、法令等の定め、当該文書の効力、重要度、利用度、資料価値等を考慮した基準を定めています。
 各局は当該基準に基づき、それぞれ文書保存期間表を定めていますが、その適切な運用なくしては、都民への説明責任が十分果たせないものと考えます。
 こうした保存期間の考えにのっとり、適切な保存期間の設定と運用が行われるよう、改めて徹底するとともに、必要な改善を検討していきます。

質問事項
 五 動物愛護について
  1 これまで行政では飼い主の意識や責任の啓発に係る施策を多く展開してきたが、飼い主責任のみの施策だけではバランスが悪いと言わざるを得ない。今後、知事は業の規制強化などを条例制定する意志はあるのか、見解を伺う。

回答
 動物取扱業の基準遵守義務については、動物愛護管理法で定められており、その基準については省令等で規定されています。
 国は、平成25年に施行された改正法において、施行後5年を目途として、法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講じることとしており、都は、国の動向を注視していきます。

質問事項
 五の2 殺処分0のために、どのような施策展開をし、達成するのか伺う。

回答
 都は、これまで動物愛護管理推進計画に基づき、動物の致死処分数の更なる減少を目指して、動物の適正飼養や終生飼養の普及啓発、ボランティア団体等と連携した譲渡活動など様々な取組を推進してきました。
 今後、飼い主のいない猫対策や離乳前の子猫の育成と譲渡、子供を対象とした普及啓発、譲渡活動を紹介するイベントなど、区市町村やボランティア団体等との連携を強化して取組を進め、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会までに、動物の殺処分ゼロにすることを目指していきます。

質問事項
 五の3 新しい動物愛護相談センターについて、設置に関する経緯などを伺う。また、2020年に間に合うように設置するのであれば、他府県の例からも逆算をすると予算議会までに発表すべきだが、見解を伺う。

回答
 動物の致死処分数の更なる減少や、事業者等による動物の適正な取扱いを推進していくためには、保護動物を譲渡するまでの飼養環境の向上や、譲渡事業の推進、事業者に対する監視指導の充実など、動物愛護相談センターの機能を強化していくことが必要です。
 そのため、平成27年度からセンターの現状分析や課題整理を行うとともに、他自治体の取組状況の調査等を実施しており、平成28年4月からは、センターに求められる役割や機能について検討を行っています。
 今後、動物愛護管理審議会からの御意見も頂き、平成28年度中には具体的な整備計画を盛り込んだ基本構想を策定する予定です。

質問事項
 五の4 日本初のペットショップへの行政処分となった件をみても明らかなように、何度もテレビなどで取り上げられてしまうほどに状態が悪いものには、都が法令違反などには率先して取り組むべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、動物愛護管理法及び動物愛護管理条例に基づき、第一種動物取扱業者に対しては、飼養施設や設備の管理、動物の管理などの基準の遵守状況等について、定期的に監視指導を実施しています。
 また、都民等から苦情を受けた場合には、速やかに立入検査を行っています。
 飼い主に対しては、動物の管理状況等に問題のある場合に、現地調査を行い、飼い主としての責務や遵守事項について指導をしています。
 動物の適正な取扱いを確保するため、法令等に基づき、迅速かつ適切に監視指導等を行っていきます。

質問事項
 五の5 私の元に動物愛護についての多くの相談が届くが、気になるのが「相談をしても動いてくれない」という声が多いことである。いま、複数の相談があり問題が上がっているが、都の今後の対応について伺う。

回答
 都は、都民からの相談や情報提供があった場合は、必要に応じて区市町村や関係機関等とも連携しながら、速やかに現地調査や関係者への聞き取りを行った上で、飼い主や事業者に対して指導を行っています。
 動物の適正な取扱いを確保するため、法令等に基づき、適切に対応していきます。

平成28年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 おときた駿

質問事項
一 舟運とウォーターフロント活性化について
二 睡眠リズム障害について
三 社会的養護における家庭養護・里親委託の促進について
四 都の情報発信体制の強化・SNS活用について

一 舟運とウォーターフロント活性化について
 東京五輪に向けても注目が集まる舟運とベイエリア活性化ですが、現在の東京都はその高い可能性を埋没させています。都内を流れる川の護岸はあまりにも味気ない風景が続き、東京湾に関しても「商業港である」という考え方の元、荷揚げや運搬の場所としてしか許可がおりず、一般の方や観光客のボートが着岸することはできませんでした。裏を返せばこの水際の規制緩和を行うことは、大きな可能性を秘めているともいえます。そこで、以下の4点についてお伺いいたします。
1 都内の河川を船で移動すると、目につくのが防災桟橋です。70箇所以上存在しこれからも増やす計画もあるとのことですが、平時はほとんど活用されることなく放置されているのが現状です。この防災桟橋を平時は観光等の目的で民間業者に開放することで管理清掃も担保され、舟運の活性化にもつながると考えられます。防災桟橋のあり方について見直すべきと考えますが、見解を伺います。
2 また都内の河川には、点々と係留している船が目につきます。あれらの船は、どのような権限をもって係留所ではない護岸に停泊・係留しているのでしょうか。またそもそも、そのような船の実態は都としてどのように把握されているのでしょうか。見解を伺います。
3 舟運の活性化については様々な社会実験を行なっていますが、国と都がそれぞれ別々の企画運営を行なっており、また都の中でも港湾局・建設局・都市整備局などに担当が分かれているなど、いわゆる「縦割り行政」の弊害が指摘されています。舟運活性化に成功した大阪では新たにNPO法人を立ち上げ(NPO法人大阪水上安全協会)、官民一体となって協議を進めてきた前例があります。都も国や民間事業者との連携を強化するため、新たな組織体を設けることを検討すべきと考えますが、見解を伺います。
4 世界には全長24mを超えるスーパーヨットが数千隻あり、これらは一般的に富裕層が所有して世界をクルーズしていますが、残念ながら日本への寄港が非常に少ないことが指摘されています。この大きな理由の一つは東京港に着岸地がないことで、晴海埠頭や大井埠頭は現在、商業船ではないこれらの船に着岸許可を出していないのが現状です。寄港により世界への観光立国アピール効果や経済の活性化などが期待できるこうした船に対しては、横浜港のように着岸許可を出すことを検討すべきと考えますが、見解を伺います。

二 睡眠リズム障害について
 ヒトは通常、約24時間のサイクルで体内時計が動き、夜に眠り、朝に起きるという活動パターンを持っていますが、これがうまく動かない「睡眠リズム障害」という疾患があります。しかしながら医療機関や教育現場での認知度は極めて低く、医師によっては「自律神経失調症」「起立性低血圧」「起立性障害」などと診断されてしまい、適切なケアを受けられていないケースがあるようです。さらに深刻なのは教育現場における認知・ケアの不足であり、都立高校中退者の多くが「リズムが合わなかった」ことを理由にあげていますが、その中で少なくない数の生徒たちは、このリズム障害が原因であることが考えられます。多くの場合は10代で発症するこの障害ですが、「ただの怠け」、「気合が足りない」とだけ見られてしまい、必要なサポートや治療を受けられずにいる状態は重大な問題です。そこで、主に都の関連する教育機関における対応について、以下の2点について伺います。
1 都教育委員会および教育庁は、この睡眠リズム障害についてどのような認識を持っているでしょうか。具体的には、生活リズムが不安定で遅刻・欠席がちな生徒に対して、睡眠リズム障害の可能性を考えた対応・ケアを行っているかを伺います。
2 教育現場や保護者の方々、そして生徒自身にこの睡眠リズム障害を認知してもらうために、都は教員研修や授業、広報活動の中で睡眠リズム障害について取り扱うなどの対応をしていくべきだと考えますが、見解を伺います。

三 社会的養護における家庭養護・里親委託の促進について
 なんらかの事情で両親や保護者の元で暮らせなくなった要保護児童に対して、家庭に近い環境を提供することは極めて重要です。本定例会において小池知事は、上田令子都議会議員からの一般質問に対して
「子供にとって家庭は、安らぎの場であり、人間形成の行われる最初の場でもある。こうした考えのもと、社会的養護の施策展開に当たっても、養育家庭をはじめとした里親制度の活用を中心に進めていきたい」
との答弁をされました。ところがこれまで東京都は、社会的養護における目標設定に関して、厚労省のガイドラインに反して「家庭養護」単独の目標値を設けず、里親やグループホーム(小規模施設)を一緒くたに扱う「家庭的養護」の目標値のみを定めてきました。こうした不可解な目標設定を行っているのは都道府県の中で東京都のみとなっており、里親を中心とした家庭養護の促進姿勢とは相反するものです。
 そこで都は、厚労省の「家庭養護が約3割」という指標を参考に、改めて家庭養護単独の目標値を設定すべきと考えますが、見解を伺います。

四 都の情報発信体制の強化・SNS活用について
 都政への注目が高まるにつれて、重要になるのが都からの積極的な情報発信です。ホームページで情報公開をしているだけでは十分ではなく、いまや人々はSNSなどから流れてくる情報を手にするのが一般的です。
 都は猪瀬元知事の時代に全局がTwitterアカウントを開設し、またFacebookページなどの活用も積極的に行なっていますが、いま若年層を中心にもっとも基本的なSNS・情報入手の手段となっているのは「LINE」です。
 当初はセキュリティ面などが問題視されましたが、すでに首相官邸や渋谷区など多くの公的機関で導入され、プッシュ通知とともに手元に情報が届く利便性は高く評価されています。
 そこで都は、広報広聴を司る生活文化局を中心として、LINEの活用についての検討を始めるべきと考えますが、見解を伺います。

平成28年第三回都議会定例会
おときた駿議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 舟運とウォーターフロント活性化について
  1 防災桟橋は、平時はほとんど活用されず放置されているため、平時は観光等の目的で民間業者に開放することで管理清掃も担保され、舟運の活性化にもつながる。防災桟橋のあり方について見直すべきだが、見解を伺う。

回答
 防災船着場は、災害時に都民の避難や、物資の緊急輸送等に使われる施設であり、現在、都内の河川に71か所が設置され、都が15か所を、その他を国や区などが管理しています。
 これら71か所の防災船着場は、平常時には、東京都総合防災訓練をはじめ、地元区などの防災訓練に利用されているほか、現在、16か所が民間事業者などに開放されています。
 都はこれまで、地元の理解を得ながら、隅田川の越中島など4か所を平成18年度より順次一般開放し、屋形船などに広く利用されてきました。
 今後も、舟運を生かした水辺空間の更なる魅力向上に向け、防災船着場の活用を図っていきます。

質問事項
 一の2 都内の河川には、点々と係留している船が目につくが、あれらはどのような権限をもって係留所ではない護岸に停泊・係留しているのか。また、そのような船の実態は都としてどのように把握しているのか、見解を伺う。

回答
 河川区域内に船舶を継続的に係留させるためには、河川法に基づく占用許可が必要です。占用許可を得ていない河川区域内の不法係留船舶に対しては、指導・警告を実施するとともに、受け皿となる係留保管施設の確保等を進めるなど、地元区と緊密に連携を図りながら適正化を推進しています。文書や口頭により繰り返し警告を行っても自主的な移動・撤去がなされない場合、法令に基づき、船舶の移動などの措置をとっています。
 なお、不法係留船舶の実態については、毎年調査を行い、把握しています。上記の取組により、都内河川の不法係留船舶数は平成14年度の1,050隻から、平成25年度に516隻、平成28年4月には306隻と、着実に減少しています。

質問事項
 一の3 舟運の活性化について、国と都が別々の企画運営を行い、都の中でも局ごとに担当が分かれ、いわゆる「縦割り行政」の弊害が指摘されている。国や民間事業者との連携強化のため、新たな組織体を設けるべきだが、見解を伺う。

回答
 都では平成27年度から庁内の関係部局をはじめ、地元区や学識経験者、舟運事業者とともに、「水辺空間活用(舟運)ワーキンググループ」を設置し、水辺空間の魅力向上に向けた舟運活性化の具体的な方策について検討を行っています。その一環として、平成28年9月からは、関係者が連携して運航に関する社会実験などに取り組んでいます。
 また、国とも連携し、双方が取り組んでいる社会実験から得られた知見などについて、情報共有に努めています。
 今後とも、関係者と緊密な連携を図りながら舟運の利便性や魅力向上に努めていきます。

質問事項
 一の4 富裕層はスーパーヨットで世界をクルーズしているが、日本への寄港が非常に少なく、この大きな理由の一つは東京港に着岸地がないことである。寄港により世界への観光立国アピール効果や経済の活性化などが期待できるこうした船に対しては、着岸許可を出すことを検討すべきだが、見解を伺う。

回答
 東京港における係留施設については、港湾計画により定められたふ頭の機能に応じた役割を果たしています。
 個人所有のヨットなどについては、東京港内における航行の安全確保の観点も踏まえ、原則として全長6メートル以上20メートル以下のものに限り、夢の島マリーナで受入れを行っています。
 また、晴海客船ふ頭は旅客船埠頭、大井水産物ふ頭は外貿埠頭としての機能を担っています。これらのふ頭については、港湾法に基づく係留施設の管理運営に当たり、安全管理面等に問題がないことを確認の上、貨物や旅客の運送等を行う事業者に対して使用許可を行っています。
 引き続き、東京港の機能が適切に発揮されるよう港湾の管理運営に努めていきます。

質問事項
 二 睡眠リズム障害について
  1 都教育委員会および教育庁は、睡眠リズム障害についてどのような認識を持っているのか。具体的には、生活リズムが不安定で遅刻・欠席がちな生徒に対して、睡眠リズム障害の可能性を考えた対応・ケアを行っているのか伺う。

回答
 「睡眠リズム障害」については、医療現場における医学的見地の状況を踏まえ、必要に応じて対応していくものと認識しています。
 生徒の健康管理やこれを踏まえた生徒への生活指導については、学校生活を送る上で基礎となる重要な要素と考えています。
 このため、体調の不調や生活リズムの乱れにより、遅刻や欠席等が多くなり、不登校や中途退学のおそれがある生徒に対しては、学級担任と養護教諭や生活指導担当の教諭等が連携し、保護者からの相談に応じるなどの対応をしています。

質問事項
 二の2 教育現場や保護者、そして生徒自身に睡眠リズム障害を認知してもらうために、都は教員研修や授業、広報活動の中で睡眠リズム障害について取り扱うなどの対応をすべきだが、見解を伺う。

回答
 個別の障害や疾病については、保護者や生徒からの申出により、適切に対応することに加え、生徒に変調があった場合は、学校は保護者に対して情報提供するなどの対応を行っています。
 また、睡眠障害なども含めた生活リズムの乱れ等から生じる様々な影響については、教員に対する研修や生徒に対する授業を実施しています。
 今後は、医療現場における医学的見地の状況を踏まえて、教育現場での「睡眠リズム障害」に関する認識を深めるとともに、生徒指導の充実の参考としていきます。

質問事項
 三 社会的養護における家庭養護・里親委託の促進について
 都は、社会的養護における目標設定に関し、「家庭養護」単独の目標値を設けず、「家庭的養護」の目標値のみを定めてきたが、里親を中心とした家庭養護の促進姿勢とは相反する。都は、厚労省の「家庭養護が約3割」という指標を参考に、改めて家庭養護単独の目標値を設定すべきだが、見解を伺う。

回答
 都の社会的養護施策推進計画は、子供の状況に合わせた養育の場という観点から目標を定めたものであり、情緒的問題や健康上の問題など課題を複数抱える約4割の子供には、施設における専門的ケアが必要と判断しました。それ以外の子供については、一人一人の状況に合わせた適切な措置委託先を判断することとし、家庭的養護全体で6割とする目標を定めています。
 国は、現在、家庭養護と家庭的養護の定義の明確化や、里親・養子縁組の推進等について検討を行っています。
 今後、国の動向や、東京都児童福祉審議会専門部会における議論を踏まえながら、社会的養護の下にある子供が、できる限り家庭的な環境で養育されるよう、具体的な方策を検討していきます。

質問事項
 四 都の情報発信体制の強化・SNS活用について
 都は、猪瀬元知事時代にTwitterやFacebookなどの活用も積極的に行っているが、若年層を中心にもっとも基本的なSNS・情報入手の手段となっているのは「LINE」である。都は、広報広聴を司る生活文化局を中心として、LINEの活用についての検討を始めるべきだが、見解を伺う。

回答
 都はこれまでも、SNSを活用し、様々な都政情報を発信しています。
 LINEについては、1対1のユーザー同士やグループ内でのコミュニケーションに、特に適したスマートフォンアプリとして普及し、広く活用されています。
 その一方、都政に関する幅広い情報を、不特定多数のユーザーに向け多頻度で発信する手法としての有効性や、個人でなく団体などが利用する場合、他のSNSサービスと異なり費用負担が生じるなど、課題もあると認識しています。
 新しい情報発信ツールについては、今後ともその特性を十分に見極めつつ、時代の変化や都民のニーズを捉えながら、活用の可能性を検討していきます。

平成28年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 宮瀬英治

質問事項
一 都営地下鉄の利用者満足度向上について
二 首都直下地震対策について
三 都立公園等について

一 都営地下鉄の利用者満足度向上について
都営三田線が運行される板橋区では、平成二十七年、国勢調査人口の速報値によると、五十六万人をついに突破いたしました。現在、板橋区においては都営三田線等による交通の利便性向上や立地の良さにより、大型マンション等の建設が相次いでおります。私自身、三十六年、都営三田線を利用しておりますが、年々混雑が増していると実感をしております。また、満員電車をゼロにすることを公約として掲げた小池知事が新たに誕生いたしました。以下、都営三田線の混雑率緩和に向けた取り組み等、利用者満足度向上についてお伺いいたします。
1 都は三田線の現状の混雑率をどのような認識ととらえ、また混雑率は現在どの程度になっているのか推移も含めてお伺いします。
2 また、その混雑率に対し都がどういう認識でいるかお伺いいたします。
3 平成28年第一回定例会公営企業委員会の私の質疑において、「混雑緩和対策として当面、車両の運用の工夫、ダイヤ改正、ことしの秋を目途に、朝ラッシュ時間帯に一本増発する」との答弁がありましたが、具体的に何をいつから実施しそれらによってどの程度現状の混雑率が緩和されるか所見をお伺いいたします。
4 混雑率緩和に向けて私鉄においては車両に導入されている幅広車体など様々な工夫がなされておりますが、今後新調される車両においては幅広車体の導入も検討するなど新たな混雑率緩和策も必要と考えますが所見を伺います。
5 平成28年第一回定例会より意見をしておりますが、抜本的な混雑率緩和に向けて車両を6両編成から8両編成にすべきと考える。すぐには、8両編成への実現は困難であり、まずは6両編成での対応が重要であるが、もしも8両編成を実現する場合、具体的にどのような課題等があるのかお伺いいたします。
6 私鉄やJR、東京メトロにおいては、最終電車を他線と連携を図りながら時間調整を行い乗換え難民を生じさせない取組みを推進しております。都営地下鉄の現状について伺うとともに、現在どのような対策を行っているのかお伺いいたします。また今後は関係機関と調整しながら終電時における乗換え難民を出さない取組みを推進すべきと考えますが所見を伺います。
7 満員電車時に限らず乗客による痴漢や暴力など迷惑行為の撲滅は利用者満足度向上のために取組みを強化すべきと考えます。過去五年における都営地下鉄全体及び三田線の件数の推移と内容についてお伺いいたします。
8 私鉄や東京メトロにおいては女性専用車両の導入等がなされ迷惑行為対策において効果を発揮しているとお伺いしております。都営地下鉄においても女性専用車両の導入を図るべきと考えますが所見を伺います。
9 小池都知事が新たに満員電車ゼロを公約として掲げており私も大いに賛同し推進すべきと考えます。そこで今後、都としてどのように三田線の満員電車をゼロにしていくのか具体的に所見を伺います。
10 現在、都営三田線の西高島平駅から志村坂上駅間の高架下において耐震補強工事が順次施工されております。地域住民にとり高架下は飲食店をはじめとした各種店舗や駐輪場など生活に密着した欠かすことができない重要な空間であります。現在の工事の進捗状況と今後の予定について伺います。
11 また工事に伴う店舗移転が行われておりますが、具体的にどのような交渉を行い結果どのような状況であるのかお伺いいたします。また工事終了後、どのように店舗が戻るのかの要件や条件、また希望状況はどのようになっているのかお伺いいたします。
12 西台駅高架下自転車駐車場が平成29年1月1日から耐震補強工事のため利用できなくなる状況にあります。現在の自転車駐車場の状況と工事内容をお伺いするとともに、その影響について都としてどのように認識しているのかお伺いいたします。
13 西台駅高架下自転車駐輪場は560台を収容する大規模駐車場であり、本駐車場が利用できないとなると西台駅周辺に違法駐輪自転車が増えることが予想されます。板橋区と連携しながら実態にあった代替地の確保をすべきと考えるが所見を伺います。また耐震補強工事を2回に分けて実施するなど利用者の利便性を重視した工夫をすべきと考えますが所見を伺います。
14 蓮根駅周辺の高架下において下水処理が間に合わず、雨天時には水溜りによって住民通行の妨げになっている箇所があります。現在の都の認識を伺います。
15 高架下における該当箇所において土地の所有関係や責任はどのようになっているのか、また近隣住民が何度も改善作業を行っているが一向に改善が見込めていない状況であります。都においても抜本的な対策をこうじるべきと考えますが所見をお伺いいたします。

二 首都直下地震対策について
1 都では16万人の死傷者を想定しており、80ある災害拠点病院の機能維持は重要です。
とりわけ電力確保は最重要課題であり、都では各病院に対し非常用電源のための燃料確保は3日分と義務づけています。一方、私が全拠点病院に行った実態調査では、実際には3日分に全く満たない病院や、津波など水害が想定される海抜ゼロメートル地域の病院の非常用電源設備が、浸水しやすい地下に埋設されている病院があるなど、備蓄や備蓄を取り巻く環境に多くの課題が生じていることが明らかとなりました。都として早急に正確な実態把握に努めるとともに対策を講じるべきと一般質問において指摘してまいりましたが、現在の状況と今後の取組についてお伺いいたします。
2 病院に殺到する傷病者を近接地に設置された緊急医療救護所で、効率的にトリアージ・応急処置することは重傷者を救うためにも重要ですが、以前の病院調査では、ほぼすべての病院が防災訓練を行っているものの、救護所を含めた区市町村・地区医師会との連携訓練はいまだ7割が実施されておらず、また今後も行うつもりもないといった病院もありました。前回の一般質疑を踏まえ、現在の状況とその後の取組みについてお伺いいたします。またさらにより一層、災害拠点病院と区市町村・地区医師会などとのさらなる連携構築・強化すべきと考えますが所見をお伺いいたします。

三 都立公園等について
都立公園は都民の憩いの場としてだけではなく防災上も重要な拠点となるなど欠かすことのできない貴重な空間であると考えます。そこで以下お伺いいたします。
1 都は、駒沢オリンピック公園内で飲食店の設置・運営を行う事業者の公募を開始いたしました。平常時は、飲食サービスを提供し、大規模災害が発生した際は、公園協会が防災施設に転用して、帰宅困難者への対応や地域住民の支援を行うとのことであります。改めて進捗状況をお伺いするとともに他の都立公園においても拡大すべきと考えますが、要件とともに所見をお伺いいたします。
2 板橋区内には赤塚公園、城北中央公園、浮間公園等の都立公園がありますが、一部では他地域の都立公園と比べ売店や飲食店が無い、かまどベンチがないなど防災機能に乏しい公園が散見されています。地域間格差を解消するためにも駒沢オリンピック公園のような飲食店や売店の設置、防災機能向上に向けた設備を早急に設置するなど都民の利便性をさらに向上すべきと考えますが所見をお伺いいたします。
3 都立公園等においては子どもが大いに遊び子どもの成長にとって欠かせない空間である。しかし様々な規制や制約があり自由に遊べない環境もまた存在する。2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向け都としてスポーツを推進していく政策を打ち出している状況と齟齬があるように受け止めております。都としてどのように現状を認識しまたどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
4 公園のみならずまた保育園等での子どもの声は周辺住民にとって課題であります。
2015年3月、都議会では、子供の声などを騒音規制の対象から除く環境確保条例改正案を可決し、「保育所や幼稚園、公園での子供の声や足音、拍手などを騒音の数値規制の対象外とする。その上で、音の種類や頻度、防音対策、関係者同士による話し合いの内容から周辺住民への影響を判断し、必要があれば施設側に措置を取るよう勧告・命令できる」としました。現在、その条例改正による効果や影響について、また今後の取組み状況について所見を伺います。

平成28年第三回都議会定例会
宮瀬英治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 都営地下鉄の利用者満足度向上について
  1 都は、三田線の現状の混雑率をどのような認識ととらえ、また混雑率は現在どの程度になっているのか推移も含めて伺う。

回答
 三田線の乗客数は増加傾向にあり、最混雑区間である西巣鴨駅から巣鴨駅における朝ラッシュ時間帯1時間当たりの平均混雑率は、平成23年度が145パーセント、平成24年度が148パーセント、平成25年度が147パーセント、平成26年度が150パーセント、平成27年度が157パーセントとなっています。

質問事項
 一の2 その混雑率に対し、都がどういう認識でいるのか伺う。

回答
 三田線については、今後とも乗客数の動向などを把握し、混雑緩和に取り組んでいきます。

質問事項
 一の3 平成28年第一回定例会公営企業委員会において、「混雑緩和対策として当面、車両の運用の工夫、ダイヤ改正、今年の秋を目途に、朝ラッシュ時間帯に一本増発する」との答弁があったが、具体的に何をいつから実施し、それらによってどの程度現状の混雑率が緩和されるのか見解を伺う。

回答
 三田線は、平成28年10月21日にダイヤ改正を実施し、平日朝7時台の高島平駅発御成門駅行を1本増発しました。これにより、混雑率は数パーセント改善されるものと考えています。

質問事項
 一の4 混雑率緩和に向けて私鉄においては幅広車体など様々な工夫がされているが、今後新調される車両においては幅広車体の導入も検討するなど、新たな混雑率緩和策も必要だが見解を伺う。

回答
 JR等で行っている車体側面を湾曲して車両幅の一部を拡幅するいわゆる幅広車体の導入については、都営地下鉄では、トンネルの大きさから決まる車両限界があるため困難です。
 都営地下鉄では、ダイヤ改正や車両編成数の増備等で混雑対策を行っています。

質問事項
 一の5 抜本的な混雑率緩和に向けて車両を6両編成から8両編成にすべきだが、その実現は困難である。もしも、8両編成を実現する場合、具体的にどのような課題等があるのか伺う。

回答
 都営三田線の輸送力を増強するためには、まずは現行の6両編成における増備等による対応を行うこととなり、それを上回る需要の増加により更なる対応が求められる場合に、8両編成化に取り組むこととなります。
 この8両編成化に当たっては、車両の増備に加え、ホームドアの増設や信号設備の改修、さらには火災対策基準に基づく駅の防災改良工事が必要になるなど、大規模な設備投資を要することから、国庫補助金の導入などが前提となると考えています。

質問事項
 一の6 私鉄、JR、東京メトロにおいては、最終電車を他線と連携を図るなどして、乗換え難民を生じさせない取組を推進しているが、都営地下鉄の現状について伺うとともに、現在どのような対策を行っているのか伺う。また今後は関係機関と調整し、乗換え難民を出さない取組を推進すべきだが、見解を伺う。

回答
 都営地下鉄の安全輸送を確保する上で、終車から始発までの保守時間の確保は必要不可欠なものであり、それを踏まえて終電時間を設定しています。
 現在も、各社と連携し状況に応じて乗換えの調整を行っていますが、こうした事情から最終電車の出発時刻を調整することには限界があります。

質問事項
 一の7 乗客による痴漢や暴力など迷惑行為の撲滅は利用者満足度向上のために取組を強化すべきだが、過去5年における都営地下鉄全体及び三田線の件数の推移と内容について伺う。

回答
 過去5年間における都営地下鉄で発生した痴漢や暴力行為などで警察に通報した件数は、4線合計で、平成23年度729件、平成24年度687件、平成25年度717件、平成26年度738件、平成27年度669件です。
 このうち三田線については、平成23年度143件、平成24年度126件、平成25年度133件、平成26年度140件、平成27年度161件です。
 内容については、痴漢、暴力行為のほか、お客様同士のトラブル、盗撮、窃盗などとなっています。

質問事項
 一の8 私鉄や東京メトロにおいては、女性専用車両の導入等がなされ迷惑行為対策において効果を発揮している。都営地下鉄においても女性専用車両の導入を図るべきだが見解を伺う。

回答
 女性専用車両は、平成17年5月から都営新宿線の朝ラッシュ時間帯に導入しています。三田線への女性専用車両の導入については、相互直通運転を行っている他の鉄道事業者との調整などの課題があります。

質問事項
 一の9 今後、都としてどのように都営三田線の満員電車をゼロにしていくのか具体的に見解を伺う。

回答
 今後とも、沿線開発の動向や混雑状況を把握するとともに、相互直通運転各社とも連携を図りながら、適切にダイヤ改正等を行い、混雑緩和に努めていきます。

質問事項
 一の10 現在、都営三田線の西高島平駅から志村坂上駅間の高架下において耐震補強工事が順次施工されているが、現在の工事の進捗状況と今後の予定について伺う。

回答
 三田線高架部については、志村坂上駅から高島平駅間において、高架下店舗移転等により、施工が可能になった箇所の耐震補強工事を実施しました。
 現在、志村坂上駅から高島平駅間において、施工が済んでいない箇所の設計を進めており、平成29年度以降、工事を実施する予定です。
 高島平駅から西高島平駅間については、着手に向けて準備を進めています。

質問事項
 一の11 工事に伴う店舗移転が行われているが、具体的にどのような交渉を行い、結果どのような状況であるのか伺う。また工事終了後、どのように店舗が戻るのかの要件や条件、また希望状況はどのようになっているのか伺う。

回答
 耐震補強工事の実施に当たっては、移転の対象となる高架下店舗等の関係者に対して、説明会の開催や個別訪問等により移転に向けた理解を得るとともに所定の補償を行い、次回の工事が予定される区域では、全ての関係者の移転が平成28年10月に完了しました。
 耐震補強工事完了後、建物を再築して入居希望者を募集する予定としており、今後とも、関係者の理解を十分得ながら事業を進めていきます。

質問事項
 一の12 西台駅高架下自転車駐車場が平成29年1月1日から耐震補強工事のため利用できなくなるが、現在の自転車駐車場の状況と工事内容を伺うとともに、その影響について都としてどのように認識しているのか伺う。

回答
 現在、西台駅の自転車駐車場については、高架下用地の一部を板橋区に貸し付け、同区により、「西台駅高架下自転車駐車場」及び「西台駅東自転車駐車場」の2か所が設置されています。
 今回、高架下部の橋脚の鋼板巻き立てなどの耐震補強工事を実施するため、「西台駅高架下自転車駐車場」を一時的に閉鎖する必要が生じました。このため、交通局は板橋区との間で検討・協議を重ね、西台駅西側の高架下の用地を、暫定的に同区に貸し付けることにしました。
 今後、板橋区により代替の自転車駐車場が同地に整備される予定ですが、交通局としても、関係法令に基づき、可能な限り協力していきます。

質問事項
 一の13 西台駅高架下自転車駐輪場が利用できないと、西台駅周辺に違法駐輪自転車が増えることが予想され、板橋区と連携しながら実態にあった代替地の確保をすべきだが見解を伺う。また耐震補強工事を2回に分けて実施するなど利用者の利便性を重視した工夫をすべきだが見解を伺う。

回答
 板橋区では、西台駅の自転車駐車場の需要予測を行い、今回整備する代替の自転車駐車場に加え、既存の「西台駅東自転車駐車場」を引き続き運用することにより、耐震補強工事期間中の自転車駐車場の収容力は確保できるとの見解を示しています。
 今後とも、西台駅における自転車駐車場については、区との連携を図りながら、適切に対応していきます。

質問事項
 一の14 蓮根駅周辺の高架下において下水処理が間に合わず、雨天時には水溜りによって住民通行の妨げになっている箇所があるが、現在の都の認職を伺う。

回答
 蓮根駅西側部分の民地沿いに伸び駅東側の区道に接続する道路は、交通局所管の敷地内に設けられた私道であり、管理・保全等については私道の設置者に委ねられています。

質問事項
 一の15 高架下における該当箇所において土地の所有関係や責任はどのようになっているのか、また近隣住民が何度も改善作業を行っているが一向に改善が見込めていない状況である。都においても抜本的な対策を講じるべきだが見解を伺う。

回答
 本件私道は、交通局所管の都有地を更地として貸し付けた後、開発行為を行った者により築造されたものであり、舗装及び側溝その他の附属物等の財産並びに管理責任は借主側に発生します。
 また、本件土地の貸付は、民法上の使用貸借契約に基づいており、使用者には善管注意義務が発生するほか、契約時の条件として、築造する道路上が滞水しないような構造とすることを求めています。
 交通局としては、基本的には、本件私道の設置者により、適切な管理・保全等の対応がとられるものと認識しています。

質問事項
 二 首都直下地震対策について
  1 都では16万人の死傷者を想定しており、80ある災害拠点病院の機能維持は重要で、電力確保は最重要課題であり、都では各病院に対し非常用電源のための燃料確保は3日分と義務づけているが、現在の状況と今後の取組について伺う。

回答
 都は、災害時の電力確保のため、災害拠点病院に対し、国の指定要件に基づき、3日分程度の燃料の確保を求めるとともに、停電時に限られた電力を適切に利用するためのエネルギー管理や、近接のガソリンスタンドなどとの協定に基づく燃料の補充などについても、BCPに規定するよう働き掛けを行っています。
 また、国や石油連盟等と連絡協議会を設け、災害時に国家備蓄を活用し、燃料を確保する体制を整えています。
 今後とも、東京都災害拠点病院連絡会などを通じ、BCPの策定や改定への働き掛けを行うなど、災害拠点病院における必要な燃料の確保に努めていきます。

質問事項
 二の2 ほぼすべての病院が防災訓練を行っているが、救護所を含めた区市町村・地区医師会との連携訓練はいまだ7割が実施していない。現在の状況とその後の取組について伺う。またより一層、災害拠点病院と区市町村・地区医師会などとの連携構築・強化すべきだが見解を伺う。

回答
 都は、区市町村、地区医師会、医療機関などで構成される地域災害医療連携会議を二次保健医療圏ごとに設置し、区市町村による緊急医療救護所の設置・運営などについて、地域ごとに、その実情を踏まえながら検討しています。
 平成28年度は、各地域災害医療連携会議において、区市町村、地区医師会、災害拠点病院等が連携した取組を進めるよう働き掛けており、病院等が行う防災訓練についての説明会においても、関係団体等との連携を働き掛けています。
 また、平成28年9月に葛飾区で実施した東京都総合防災訓練では、行政機関、地区医師会、災害拠点病院等が連携した、緊急医療救護所における医療救護活動訓練を実施しており、今後とも、地域において関係機関の連携が進むよう支援していきます。

質問事項
 三 都立公園等について
  1 都は、駒沢オリンピック公園内で飲食店の設置・運営を行う事業者の公募を開始した。改めて進捗状況を伺うとともに、他の都立公園においても拡大すべきだが、要件とともに見解を伺う。

回答
 駒沢オリンピック公園では、都立公園で初めての取組として、レストランの建築から運営までを行う民間事業者を公募しました。平成27年10月に事業者が決定され、平成28年9月には建築工事に着手しました。
 このレストランは、発災時には防災施設に転用される店舗として、来春、開業する予定です。
 他の都立公園へのレストランの拡大については、駒沢オリンピック公園の事例を検証し、地域や来園者のニーズ等も踏まえ、検討していきます。

質問事項
 三の2 板橋区内の都立公園の一部では、他地域の都立公園と比べ、防災機能に乏しい公園が散見される。地域間格差を解消のためにも飲食店や売店の設置、防災機能向上に向けた設備を早急に設置するなど都民の利便性をさらに向上すべきだが見解を伺う。

回答
 都はこれまで、震災時に救出救助の活動拠点や避難場所等となる都立公園について、各公園の立地や特性、発災時の役割等に応じて、必要な防災施設の整備を地元区とも協議し進めてきました。
 城北中央公園をはじめ赤塚公園、浮間公園においても、臨時ヘリポートとなる広場の整備や主要園路の拡幅などを行うとともに、応急給水槽やAEDなども設置し防災機能の向上を図っています。
 今後は、主要な公園灯や管理所等が停電時にも機能を発揮するよう、非常用発電、ソーラーパネル等により電源を確保するとともに、避難者等へ情報を提供するデジタルサイネージ等を、平成36年度までに順次整備していきます。
 都立公園へのレストランや売店の拡大については、駒沢オリンピック公園の事例を検証し、地域や来園者のニーズ等を踏まえ、検討していきます。

質問事項
 三の3 都立公園等には、様々な規制や制約があり自由に遊べない環境も存在する。2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向け、スポーツを推進する政策を打ち出している状況と齟齬があるが、都としてどのように現状を認識しまたどのように取り組んでいくのか見解を伺う。

回答
 都立公園は、屋外における活動の場であるとともに、都市環境の改善や発災時の避難場所等、様々な機能を有しています。
 これまで都立公園においては、レクリエーションのためのスポーツの場を提供する取組として、野球場やテニスコート等の運動施設や、ボール遊びができる多目的広場の整備、指定管理者によるランニング教室の開催などを行ってきました。
 一方、安全の確保や利用者同士のトラブル防止の観点から、利用者が多い場合など状況に応じて、広場でのキャッチボールやサッカー等を制限することもあります。
 今後とも、利用者の様々なニーズに配慮しながら、誰もが気軽にスポーツに親しめる環境づくりを進めていきます。

質問事項
 三の4 2015年3月、都議会では、子供の声などを騒音規制の対象から除く環境確保条例改正案を可決したが、現在、その条例改正による効果や影響について、また今後の取組状況について見解を伺う。

回答
 都は、子供の声等に係る規制について、子供一人一人の健やかな成長・育成に配慮しつつ、苦情の解決に資する制度とするため、単に数値で規制するのではなく受忍限度で判断する規制へと平成27年3月に環境確保条例を改正しました。
 従来、子供の声を巡っては、法や条例の規制基準を基に裁判で争われるなど、数値による規制が話合い等による解決を困難にしている事例も見られました。騒音規制については委任により区市がその事務を行っていますが、改正後は区市の担当部署から都に対し、子供の声等の苦情に関する相談はありません。
 区市の担当部署、保育所や幼稚園の関係者に条例改正の趣旨を説明することなどにより、問題解決のポイントとなるコミュニケーションの重要性について理解が深まってきていると認識しています。
 都は今後も引き続き、区市等からの相談に対応するなど、話合いやコミュニケーションを通じた地域での円滑な解決を促していきます。

平成28年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 西沢けいた

質問事項
一 へイトスピーチ対策について

一 へイトスピーチ対策について
平成27年6月24日、都議会において議員提出議案第十号、外国人の人権が十分尊重されることを求める意見書が可決されました。
「東京都議会は、国会及び政府に対し、外国人の人権が十分尊重されるよう、へイトスピーチ対策を含めた幅広い啓発活動を行うなど、実効性のある対策を講ずるよう強く要請する。」
この意見書の国への提出の後、国会の衆参両院における法務委員会においても、ヘイトスピーチは重要な議題となりました。超党派での議論がなされた結果、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」いわゆる「へイトスピーチ解消法」が可決され、平成28年6月3日より施行されています。
しかし依然として、東京都内において排外主義的活動は減ってはおらず、一見するとそれぞれの活動は政治的主張をテーマにしているようにみえますが、その殆どの場において「朝鮮人、支那人は日本から出て行け」等のへイトスピーチが繰り返されている状況だといわれています。
そのような中、
・川崎市は、へイトスピーチ解消法と附帯決議の精神に鑑み、ヘイトスピーチを繰り返す主催者に対し、平成28年6月5日に開催予定のデモ集合地として、市の公園を貸し出さない措置をとった。
・大阪市では解消法成立前の本年1月15日にヘイトスピーチ対処条例を制定した。専門の審査会を置くことや、市民からの申し立てによりへイトスピーチを行った者の氏名、名称を公表するなどの制裁措置を定めており、本年7月1日より完全施行となった。
・本年9月30日、法務省と関連省庁、東京都を含む自治体とのへイトスピーチ対策についての会議が行われた。
といった動きも出てきております。
東京は世界都市のひとつであり、次の夏季オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市です。しかしながら、日本は、へイトデモの横行について、2014年に国連自由権規約委員会及び人種差別撤廃委員会から勧告を受けたほか、アメリカ国務省の人権白書では2010年版以降、日本のへイトスピーチを取り上げ、イギリス政府が日本への渡航者に対し排外デモについて注意喚起するなど、国際的な批判をあびている状態です。
2014年9月、国際オリンピック委員会(IOC)は、今後の五輪開催都市との契約に差別禁止義務を含めると発表しました。2022年冬季五輪立候補都市宛の書簡で「オリンピック憲章の第6基本原則の表現を用いて、あらゆる形態の差別の禁止について明示的な言及が行われる」としています。
このままでは、反人種差別を憲章として掲げるオリンピックの成功が危ぶまれます。小池知事は、開催都市の首長として、へイトスピーチが横行している東京の現状について、どのように臨まれるか、何らかの対策を取る必要があるのではないかと考えます。
平成32年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されますが、へイトスピーチが抱える問題は広く国際問題に繋がりかねません。小池知事の任期中、大阪市が行ったような条例制定などの具体的な抑止策を含め、へイトスピーチ対策にどのようなスケジュールで対策を講じるか見解を伺います。

平成28年第三回都議会定例会
西沢けいた議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 ヘイトスピーチ対策について
 知事の任期中、大阪市が行ったような条例制定などの具体的な抑止策を含め、へイトスピーチ対策にどのようなスケジュールで対策を講じるのか、見解を伺う。

回答
 特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、いわゆるヘイトスピーチは許されるものではありません。
 都は、これまでも、国に対して実効性のある対策を求めるとともに、大型啓発イベントや人権週間行事などにおいて、外国人の人権をテーマに様々な都民啓発を行ってきました。
 平成28年6月、いわゆるヘイトスピーチ解消法が施行となりましたが、引き続き国としっかり連携しながら、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市として、人権意識を浸透させていくことを目指し、2020年に向けて啓発活動などの取組を重点的に進めていきます。

平成28年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山内れい子

質問事項
一 警視庁からの機動隊等の派遣について

一 警視庁からの機動隊等の派遣について
沖縄県名護市のアメリカ軍辺野古新基地の建設には沖縄県が反対しています。辺野古をはじめとする基地建設の工事に対して、多くの沖縄県民がそれを止めたいと、反対運動をしており、現地で座り込みなど非暴力の抗議行動をしています。ところが、現地ではこれに対して機動隊が、反対する市民を暴力的に強制排除していると指摘されています。沖縄県公安委員会からは、東京都のほか千葉、神奈川、愛知、大阪、福岡の各府県の公安委員会に援助の要求がされ、数多くの機動隊員が派遣されていますが、現地からの報告によれば、東京から派遣された警視庁機動隊によって、反対する市民が殴る蹴るなど事実上の暴力行為と差別的発言によって人権侵害ともいえる暴力にさらされているということです。
東京から警察官を他県へ派遣し、反対運動への暴力による弾圧行為を行っているとすれば、都民としても不問に付すわけにはいかないと考えます。
1 道府県への派遣について
警視庁の機動隊等が派遣される際の手続きおよび実績について伺います。
ア 機動隊をはじめとする警視庁の部隊が東京都以外の道府県へ派遣される場合、どのような手続きでなされるのでしょうか。
イ 2014年度、2015年度、今年度9月までのそれぞれについて、派遣先の道府県名と各派遣目的、派遣回数、派遣期間、派遣人数を伺います。
2 沖縄県への派遣について
警視庁から沖縄県への派遣状況について伺います。
ア 沖縄県への派遣について、派遣要請から派遣までにかかる時間はどれくらいでしょうか。また、東京都公安委員会は、派遣の決定前に開催され決裁したのでしょうか。
イ 機動隊以外に派遣される部署はあるのでしょうか。また、その役割は何かお示しください。
ウ 派遣に伴う日当、宿泊費、交通費等が国庫負担と聞いていますが、沖縄への派遣に対して昨年度の国から歳入した金額(国庫負担)はいくらですか。
エ 沖縄県では、前述のとおり他県から多くの機動隊が派遣され、アメリカ軍基地工事への反対運動を暴力的にやめさせようとしていると、沖縄県民から批判されています。派遣部隊の指揮(現場の責任者)は、だれが行うのでしょうか。また、沖縄県警と共同で警備にあたる場合、沖縄県公安委員会と協議してあらかじめ方針を定めることになると思いますが、その方針はどのようなものでしょうか。
オ 沖縄県のアメリカ軍基地工事に反対する市民を機動隊が排除・拘束したり、マスコミの取材活動を機動隊が制限するなど、現地からは不信や反発の声があがっています。こうした沖縄県民からの意見について、警視庁はどのような見解を持ち、公安委員会への報告はどのように行われているのか伺います。

平成28年第三回都議会定例会
山内れい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 警視庁からの機動隊等の派遣について
  1 道府県への派遣について
   ア 機動隊をはじめとする警視庁の部隊が東京都以外の道府県へ派遣される場合、どのような手続きでなされるのか伺う。

回答
 他道府県公安委員会から東京都公安委員会に対する警察法第60条に基づく援助の要求を受け、東京都公安委員会において要求に係る警察官等の派遣を決定しています。

質問事項
 一の1のイ 2014年度、2015年度、今年度9月までのそれぞれについて、派遣先の道府県名と各派遣目的、派遣回数、派遣期間、派遣人数を伺う。

回答
 平成26年度は、宮城県、秋田県、山形県、福島県、埼玉県、新潟県、長野県、山梨県、福井県、奈良県、広島県、香川県、福岡県、長崎県及び沖縄県の15県に派遣しています。
 平成27年度は、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、富山県、石川県、福井県、三重県、和歌山県、福岡県及び沖縄県の12県に派遣しています。
 平成28年度9月末日までは、岩手県、宮城県、山形県、福島県、長野県、静岡県、福井県、愛知県、三重県、広島県、熊本県及び沖縄県の12県に派遣しています。
 派遣の詳細については、警察の対応能力等が明らかになるおそれがあるため、お答えを差し控えさせていただきます。

質問事項
 一の2 沖縄県への派遣について
    ア 沖縄県への派遣について、派遣要請から派遣までにかかる時間はどれくらいなのか。また、東京都公安委員会は、派遣の決定前に開催され決裁したのか伺う。

回答
 援助の要求から実際に派遣するまでの時間は、個々の状況により異なるため、一概にお答えすることはできません。いずれにせよ、沖縄県公安委員会から東京都公安委員会に対し、警察法第60条に基づく援助の要求がなされ、東京都公安委員会において要求に係る警察官等の派遣を決定することとなります。

質問事項
 一の2のイ 機動隊以外に派遣される部署はあるのか。また、その役割は何なのか伺う。

回答
 派遣される部署については、個々の状況により異なるため、一概にお答えすることはできませんが、例えば、平成28年7月12日付けの沖縄県公安委員会から東京都公安委員会に対する警察法第60条に基づく援助の要求については、公安部からも警察官を派遣しています。その役割等については、沖縄県公安委員会の管理の下、沖縄県警察本部長の指揮を受け、各種の警察業務に従事していると承知しています。

質問事項
 一の2のウ 派遣に伴う日当、宿泊費、交通費等が国庫負担と聞いているが、沖縄への派遣に対して昨年度の国から歳入した金額はいくらだったのか伺う。

回答
 沖縄県への派遣に関して、平成27年度、国費を執行した金額は約2億5千万円です。

質問事項
 一の2のエ 派遣部隊の指揮は、だれが行うのか。また、沖縄県警と共同で警備にあたる場合、沖縄県公安委員会と協議してあらかじめ方針を定めることになると思うが、その方針はどのようなものか伺う。

回答
 警視庁から沖縄県警察に派遣された警察官は、沖縄県公安委員会の管理の下、沖縄県警察本部長の指揮を受け、各種の警察業務に従事しています。
 したがって、その活動の詳細については、お答えする立場にありません。

質問事項
 一の2のオ 沖縄県のアメリカ軍基地工事に反対する市民を機動隊が排除・拘束したり、マスコミの取材活動を機動隊が制限するなど、現地からは不信や反発の声があがっている。こうした沖縄県民からの意見について、警視庁はどのような見解を持ち、公安委員会への報告はどのように行われているのか伺う。

回答
 警視庁から沖縄県警察に派遣された警察官は、沖縄県公安委員会の管理の下、沖縄県警察本部長の指揮を受け、各種の警察業務に従事しているところ、沖縄県警察では、不偏不党かつ公平中正を旨とし、沖縄県において警察の責務を遂行しているものと承知しています。
 また、派遣先において警視庁機動隊が従事した警察業務に関する苦情、要望、意見等は、沖縄県警察において適切に対応するものと承知しています。

平成28年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 保育施設、介護施設不足を解消するため、あらゆる都内遊休空間の利用について
二 柳瀬川の護岸整備について

一 保育施設、介護施設不足を解消するため、あらゆる都内遊休空間の利用について
待機児童・待機者問題は、大変深刻な事態です。私の活動地域である東村山市・東大和市・武蔵村山市の3市で、今年1月から「くらしアンケート」にとりくみました。そのなかでも「都内の都有地を活用して、不足している保育所、特養ホームなどを増やしてほしい」「国有地を活用してほしい」の声が寄せられ74%の方から「都有地・国有地を活用すべき」と回答しています。
1 小池都知事は「あらゆる都内遊休空間を利用し、保育施設、介護施設不足を解消」と公約しました。どのような施策を実施あるいは検討していますか。
2 2015年11月26日、「介護離職ゼロ」に直結する緊急対策として、未利用の国有地を介護施設整備に活用する場合は、格安で(50年の総支払額で通常の39%など)賃貸する施策を打ち出し、これまでに都内で50か所171,575.93平方メートルの国有地を指定しました。しかし、そのうち介護施設整備の方向で事業者選定は4件14,318.76平方メートルにすぎず、23件の土地が一般競争入札にかけられたもしくは、今後一般競争入札にかけられるという結果になります(2016年8月31日現在)。特養ホームや老健施設などの許認可権者である東京都として、この状況をどのようにとらえていますか。
3 2016年8月19日、私は、日本共産党市議団らとともに、この件で国のレクチャーを受けました。自治体側から、介護施設整備に活用しないという回答を一度得たものでも、入札期日の決まっていないものについて自治体が検討したいということであれば、柔軟に対応するとのことでした。許認可権者である東京都として、包括的に検討すると国に通知し、区市町村と話し合ってできるだけ活用できるようにすべきと考えますが、いかがですか。保育施設等については、介護施設のような格安での賃貸はないものの、介護施設以外での公的活用も可能な仕組みになっていると説明を受けました。小池都知事の公約に照らして、東京都がイニシアチブを発揮して国有地を活用しての介護施設や保育施設の整備を進めるべきと考えますが、いかがですか。
4 東京都は、福祉施設整備について、都有地の減額貸与に加えて、民有地や国有地を賃借する際の補助制度を設けています。さらなる拡充について伺います。また、区市町村有地を用いた福祉施設整備の補助制度の現状と考え方について伺います。

二 柳瀬川の護岸整備について
今年8月の台風9号によって、柳瀬川(東村山市秋津町)が氾濫し住宅が床上浸水しました。
1 柳瀬川沿いで台風の被害で床上浸水になったのは、東村山市秋津町で9月17日に聞き取り調査すると9件発生していることがわかりました。床上30センチの被害にあったお宅もあります。台風9号による柳瀬川が流れる清瀬市、東村山市における床上浸水は何世帯あったのか、伺います。
2 柳瀬川の護岸整備の今後の計画を伺います。
3 床上浸水があった場所については、地元市と連携し調査を行い、住民の生命と財産を守る立場で、対策が求められますが、いかがですか。

平成28年第三回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 保育施設、介護施設不足を解消するため、あらゆる都内遊休空間の利用について
  1 小池都知事は「あらゆる都内遊休空間を利用し、保育施設、介護施設不足を解消」と公約したが、どのような施策を実施あるいは検討しているのか伺う。

回答
 都は、福祉インフラの整備を促進するため、平成15年から未利用の都有地を50パーセント減額して貸付けしており、平成26年8月からは都内公示地価平均を超える部分については減額率を90パーセントに拡大して貸付けを実施しています。
 また、待機児童解消に向け、都有地の更なる活用を図るため、平成28年9月に副知事をトップとした「都有地活用推進本部」を設置して、保育施設用地として活用可能な都有地を全庁的に洗い出し、区市町村に対する情報提供を年4回を目途に行うこととしています。平成28年10月には、「とうきょう保育ほうれんそう」を開設し、民間保育事業者からの都有地に関する問合せに対応しています。
 民有地についても、保育施設の整備を促進するため、不動産業者や物件所有者の団体等と協議会を立ち上げ、物件情報の共有や整備に関する情報提供の方法について検討するとともに、不動産情報の収集等を行うコーディネーターの増配置等、区市町村の物件確保に向けた取組を支援することとしています。
なお、高齢者施設の取扱いについては、今後、こうした取組を進める中で検討していくこととしています。

質問事項
 一の2 2015年11月26日、未利用の国有地を介護施設整備に活用する場合は、格安で賃貸する施策を打ち出し、これまでに都内で50か所171,575.93平方メートルの国有地を指定したが、23件の土地が一般競争入札にかけられた、もしくは、今後一般競争入札にかけられるという結果になる。特養ホームや老健施設などの許認可権者である都として、この状況をどのようにとらえているのか伺う。

回答
 都はこれまで、国に対し、国有地貸付料の減額を行うよう繰り返し提案要求し、これを受け国は、平成28年1月から介護施設の整備に係る国有地の減額貸付けを開始しました。
 この制度により、介護施設用地として活用が見込まれている案件は、事業者を選定予定の案件4件に加え、既に事業者を選定済みの案件等も含め、平成28年8月末現在で17件となっています。
 未利用の国有地については、公用・公共用の利用優先の考え方を基本に、3か月間、地方公共団体等からの取得等の要望を受け付け、要望がない場合には一般競争入札により売却することとされています。
 都としては、区市町村や社会福祉法人が、土地の面積、立地条件、地域の介護ニーズ、介護施設以外での活用等を総合的に勘案し、国有地の活用を進めているものと認識しています。

質問事項
 一の3 国は、自治体側から介護施設整備に活用しないと回答を得たものでも、入札期日が未定のもので、自治体が検討したいのであれば、柔軟に対応するとのことである。都として、包括的に検討すると国に通知し、区市町村と話し合いできるだけ活用すべきだが、見解を伺う。保育施設等についても、格安ではないものの、介護施設以外での公的活用も可能であり、知事の公約に照らして、都がイニシアチブを発揮し、国有地を活用して介護施設や保育施設の整備を進めるべきだが、見解を伺う。

回答
 未利用の国有地の処分に当たっては、国は、公用・公共用優先の原則に基づき、優先的に地方公共団体の要望を受け付け、売却や定期借地による貸付けを行うこととしています。
 こうした考えの下、国は、国有地の情報を提供しており、保育や介護など地域のニーズに対応した活用がされるよう、区市町村の意向を尊重しています。
 都は、国有地を活用した社会福祉施設の整備が進むよう、国に対して、介護施設と同様に、児童福祉施設の整備についても国有地の貸付料の減額を行うことを提案要求しています。

質問事項
 一の4 都は、福祉施設整備について、都有地の減額貸与に加えて、民有地や国有地を賃借する際の補助制度を設けているが、さらなる拡充について見解を伺う。また、区市町村有地を用いた福祉施設整備の補助制度の現状と考え方について伺う。

回答
 都は、民間事業者が民有地や国有地を活用して保育所や特別養護老人ホーム、障害者の通所施設等を整備する場合に借地料の補助を行うほか、定期借地権を利用して整備を行う場合には一時金の補助を実施しています。
 保育所等については、早期に待機児童解消を図るため、平成28年第三回東京都議会定例会の議決を経て、借地料補助の上限額を従来の年額1,500万円から2,000万円までに引き上げるとともに、都の負担割合も、従来の4分の1から4分の3に改め、区市町村と事業者の負担を軽減しています。
 さらに、平成28年度中に着工する場合には、都の負担割合を8分の7まで引き上げ、区市町村と事業者の負担の更なる軽減を図っています。
 区市町村有地を用いて福祉施設を整備する場合も、民有地、国有地と同様に整備費を補助しています。
 公立保育所の整備費については、平成18年度に一般財源化されていることから補助対象外としています。

質問事項
 二 柳瀬川の護岸整備について
  1 柳瀬川沿いで台風の被害で床上浸水になったのは、東村山市秋津町で9月17日に聞き取り調査をすると9件発生していることがわかった。床上30センチの被害にあったお宅もあるが、台風9号による柳瀬川が流れる清瀬市、東村山市における床上浸水は何世帯あったのか、伺う。

回答
 柳瀬川が流れる清瀬市、東村山市における床上浸水は、平成28年10月14日現在、52世帯です。

質問事項
 二の2 柳瀬川の護岸整備の今後の計画について伺う。

回答
 柳瀬川は、埼玉県との境に位置していることから、県との改修工事に関する協定に基づき、都県境に係る区間を4つの区間に分け、最下流部は埼玉県、その上流は都、さらにその上流は県、そして最上流部は都の施行区間とし、1時間50ミリの降雨に対応する護岸や調節池の整備を進めています。
 都施行区間における平成27年度末現在の護岸整備率は43パーセントとなっています。
 都が施行する2区間のうち、下流側の清瀬市区間では、金山調節池を整備し、下流側の安全性を確保した上で、調節池から上流側の護岸整備を進め、平成27年度には空堀川合流点までの整備が完了しました。
 残る、上流側の東村山市区間の整備については、その下流側の県施行区間が未整備となっており、その整備が完了した後に着手する予定です。

質問事項
 二の3 床上浸水があった場所については、地元市と連携し調査を行い、住民の生命と財産を守る立場で、対策が求められるが、見解を伺う。

回答
 台風9号による浸水被害の状況については、都及び地元市がそれぞれ調査を実施し、情報交換を行っています。
 その結果、東村山市秋津町付近では、自然河岸が一部崩壊したため、早期の復旧を目指し、測量や設計を進めています。
 なお、東村山市区間の護岸整備については、下流側の埼玉県施行区間の整備が前提となるため、定期的に開催している埼玉県との河川連絡調整会議等の場において、県施行区間の整備スケジュールなどについて確認調整するとともに、整備促進を要望しています。

平成28年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
一 高齢者施策について

一 高齢者施策について
9月28日に行われた小池知事の初の所信表明演説では、「新しい東京」を目指して「セーフ シティ」「ダイバーシティ」「スマート シティ」の3つのシティの実現を掲げました。その中の、「ダイバーシティ」の実現の一つとして、超高齢社会についても言及されました。2020年のオリンピック後の東京の未来像「Beyond2020」を描くことも表明されていますが、そこに向けて最も大きな課題の一つは来たるべく超高齢社会への対応です。とりわけ2025年にはいわゆる団塊の世代の方がすべて後期高齢者を迎え「2025年問題」と言われています。そこで超高齢社会に向けての取組について以下、質問します。
1 知事は公約で「あらゆる都内遊休空間を利用し、保育施設、介護施設不足を解消。同時に、待遇改善等により保育人材、介護人材を確保する。」と掲げました。住み慣れた地域で生活し続けることは望ましいのですが、介護施設もまだまだ不足しており必要であることは言うまでもなく、都も整備を進めていますが、多くの方が待機しているのも現実です。これまでの「東京都長期ビジョン」を基本的には継承するとのことですが、保育園の待機児童の問題のように計画を前倒しして緊急対策をすることも必要です。今後の方向性について伺います。
2 予算の問題などから、国の介護保険制度の見直しで、特別養護介護老人ホームには原則要介護3以上しか入所できないことになりました。制度の変更によって、都が見込んでいた待機者数はどのように変化したのか伺います。また、制度が変わったからといって困っている人が減るわけではないので、実態をどう把握しているのか伺います。
3 特別養護老人ホームへの入所は原則要介護3以上ということのため、原則要介護1、2の方は入れなくなりました。しかし、原則なので、認知症の方は要介護度1、2の方も制度上は入所できるとのことです。実際に要介護度1、2の方でどのくらいの方が入所できているのか伺います。
4 老人保健施設に入所される家族の方から、本当は特別養護老人ホームに入りたいけれど、入れないので、老人保健施設に入っていると聴くことがあります。実態として介護老人保健施設に入所している方々で、どのくらいの人が特別養護老人ホームの待機者であると把握しているか伺います。また、その数は、特別養護老人ホームの待機者の数としてどのように扱われているか伺います。
5 老人保健施設はリハビリテーションが目的のため、3~6ヶ月で退所を求められるとのことです。しかし、実際には特別養護老人ホームの待機者は自宅に戻れる状態ではないため、その期間が来るごとに次の施設を探し、転院することで苦労しています。ある施設で一緒だった方が、別の施設でまた一緒になるという話もよく聴きます。こうした矛盾をどのように捉え対応すべきか、負担を軽減する施策が必要と考えますが、見解を伺います。
6 生産年齢人口の減少や共働き世帯の増加などにより、今後、介護と仕事との両立の課題がますます増大していきます。両立ができないと介護離職せざるを得なくなり、そのことは経済的な困窮に繋がりかねません。都として介護離職の問題をどのように捉えていますか。また、実際にどのくらいの人が介護離職をしていると把握していますか、伺います。
7 知事は、「ライフ・ワーク・バランス」を掲げ、生活の重要性を掲げました。今後、介護離職への対応については、働き方の改革からの対応も重要です。その見解を伺います。
8 一方、仕事を続けざるを得ない状況にあれば、介護の制度からの対応も必要と考えますが見解を伺います。
9 晩婚化・晩産化等により、育児と介護を同時に担ういわゆる「ダブルケア」の問題が指摘されるようになっています。今年4月に内閣府男女共同参画局が「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」を行い、全国で25万人がいると推計されます。都においてはその現状をどう把握しているか伺います。
10 ダブルケアについて、東京では、核家族化が進む中で、同居のダブルケアだけではなく、別居の親の介護をすることも想定されます。経済的負担の軽減策について子育てと介護を含めて総合的に判断するなど新たな施策も求められます。ダブルケアに関する対策について都の見解を伺います。

平成28年第三回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 高齢者施策について
  1 知事は公約で「あらゆる都内遊休空間を利用し、保育施設、介護施設不足を解消。同時に、待遇改善等により保育人材、介護人材を確保する。」と掲げ、また、これまでの「東京都長期ビジョン」を基本的には継承するとのことだが、保育園の待機児童の問題のように計画を前倒しして緊急対策をすることも必要である。今後の方向性について見解を伺う。

回答
 都は、現在、第6期東京都高齢者保健福祉計画で定めた、平成37年度末までに特別養護老人ホームを定員6万人分、介護老人保健施設を定員3万人分、認知症高齢者グループホームを定員2万人分確保する整備目標の達成に向け、整備費補助の拡充や都有地の減額貸付けなど、様々な取組を進めており、その成果や目標の達成状況は、保健医療福祉の関係者等からなる委員会で進行管理を行っています。
 今後、第6期計画の達成状況や、区市町村が地域のニーズに基づき算定するサービス見込量などを踏まえ、平成29年度に平成30年度からの第7期計画を策定し、介護施設の整備を進めていきます。

質問事項
 一の2 国の介護保険制度の見直しで、特別養護介護老人ホームには原則要介護3以上しか入所できないことになったが、制度変更により、都が見込んでいた待機者数はどのように変化したのか伺う。また、本変更により困っている人が減るわけではなく、実態をどのように把握しているのか伺う。

回答
 介護保険制度の改正により、平成27年4月1日以降の特別養護老人ホームの入所対象者は、原則として、要介護3以上となりました。
 都は、東京都高齢者保健福祉計画の策定の基礎資料とするため、特別養護老人ホームの入所申込状況について、3年ごとに調査を実施しており、平成25年度に実施した直近の調査では、入所申込者は43,384人で、このうち要介護3以上は31,411人でした。
 制度改正後の入所申込状況については、次期計画の策定に向け、現在調査中です。

質問事項
 一の3 特別養護老人ホームへの入所は、原則要介護3以上のため、原則要介護1、2の方は入れなくなったが、原則なので、認知症の方は要介護度1、2の方も制度上は入所できる。実際に要介護度1、2の方でどのくらいの方が入所できているのか伺う。

回答
 要介護1又は2であっても、認知症で日常生活に支障を来すような症状等が頻繁に見られるなど、やむを得ない事情により特別養護老人ホーム以外での生活が困難な方については、平成27年4月の制度改正後も入所できることとなっています。
 特別養護老人ホームにおける要介護1及び2の人の利用状況は、制度改正前の平成27年3月では全利用者43,318人中4,743人であり、制度改正後の平成28年3月では44,692人中3,941人となっています。

質問事項
 一の4 実態として介護老人保健施設に入所している方々で、どのくらいの人が特別養護老人ホームの待機者であると把握しているのか伺う。また、その数は、特別養護老人ホームの待機者の数として、どのように扱われているのか伺う。

回答
 平成25年度に実施した特別養護老人ホーム入所申込状況調査では、自宅や認知症高齢者グループホームなど、入所申込者の現在の居住場所についても調査しており、それによると、入所申込者43,384人のうち、介護老人保健施設に入所している人は7,994人でした。

質問事項
 一の5 老人保健施設は、3~6か月で退所を求められるが、特別養護老人ホームの待機者は自宅に戻れる状態ではなく、その期間ごとに次の施設を探し、転院で苦労している。こうした矛盾をどのように捉え対応すべきか、負担を軽減する施策が必要だが、見解を伺う。

回答
 介護老人保健施設は、病状が安定期にある要介護高齢者を入所させ、在宅生活への復帰に向けて機能訓練等のサービスを提供する施設ですが、入所申込状況調査によれば、介護老人保健施設に入所しながら特別養護老人ホームに入所申込みをしている人もいます。
 都は、今後とも、大都市東京にふさわしい地域包括ケアシステムの構築を進めるという考えに立って、在宅サービスや施設サービスなどをバランスよく整備し、高齢者が安心して地域で暮らすことのできる環境整備を進めていきます。

質問事項
 一の6 都として介護離職の問題をどのように捉えているのか。また、実際にどのくらいの人が介護離職をしていると把握しているのか、伺う。

回答
 高齢化の進展に伴い、今後ますます介護を要する方の増加が見込まれる中、働く方が、介護を含む家庭生活と仕事との両立を図り、離職することなく働き続けられる職場環境の整備が必要です。
 なお、国の就業構造基本調査によると、介護、看護のために離職した方は、平成23年10月から平成24年9月までの1年間に、東京都内で9,200人と推計されています。

質問事項
 一の7 知事は、「ライフ・ワーク・バランス」と生活の重要性を掲げた。今後、介護離職への対応については、働き方の改革からの対応も重要だが、その見解を伺う。

回答
 介護と仕事との両立が可能な職場環境を実現するには、長時間労働の削減や有給休暇を取得しやすい職場づくりといった働き方の改革を進めることが重要です。
 都は平成28年度から、それぞれの実情に応じた改革に取り組もうとする企業を応援する「TOKYO働き方改革宣言企業制度」を開始しています。
 今後も、「ライフ・ワーク・バランス」の実現に向けて、企業における働き方の改革を支援していきます。

質問事項
 一の8 一方、仕事を続けざるを得ない状況にあれば、介護の制度からの対応も必要だが見解を伺う。

回答
 介護保険制度では、訪問介護や通所介護など、要介護高齢者の在宅生活を支える様々なサービスが提供されています。
 また、都は、家族介護者のレスパイトに有効なショートステイ、小規模多機能型居宅介護など、在宅介護を支えるサービス基盤の整備を促進するとともに、特別養護老人ホームなどの介護施設の整備促進にも取り組んでいます。

質問事項
 一の9 晩婚化・晩産化等により、「ダブルケア」の問題が指摘されるようになっている。今年4月の内閣府男女共同参画局の調査によると、全国で25万人がいると推計されるが、都においてはその現状をどう把握しているのか伺う。

回答
 平成28年4月に内閣府が公表した「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」では、いわゆる「ダブルケア」を行う者は、総務省が実施した「平成24年就業構造基本調査」に基づいて推計すると、全国で25万3千人になるとしています。
 都の推計はありませんが、「平成24年就業構造基本調査」によると、有業者で育児をしている者は全国で710万6千人、都では75万2千人、有業者で介護をしている者は全国で291万人、都では29万9千人となっています。

質問事項
 一の10 ダブルケアについて、東京では、同居のダブルケアだけではなく、別居の親の介護も想定される。経済的負担の軽減策について子育てと介護を含めて総合的に判断するなど新たな施策も求められるが、ダブルケアに関する対策について都の見解を伺う。

回答
 子育て支援について、都は、妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援体制を整備するため、妊娠や出産に関する相談窓口を設置するほか、地域における子供と家庭の相談窓口である子供家庭支援センターの体制強化や保育サービスの拡充等に取り組む区市町村を支援しています。
 また、介護については、介護保険制度に基づき、要介護度に応じて必要な在宅サービスや施設サービスが提供されており、都は、制度運営に必要な財源を負担するとともに、介護サービス基盤の整備などを進めています。
 なお、子育てや介護の経済的負担に対しては、保育や介護サービスの利用料における低所得者への配慮に加え、児童手当や乳幼児等の医療費助成、介護サービスの利用に要した費用の一部が所得税の医療費控除の対象になるなど、様々な対策が講じられています。

平成28年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 河野ゆりえ

質問事項
一 男女平等参画社会の実現にむけた「東京都男女平等参画推進総合計画(仮称)」について

一 男女平等参画社会の実現にむけた「東京都男女平等参画推進総合計画(仮称)」について
日本の女性が、初めて衆議院選挙において参政権を行使したのは、1946年4月10日のことでした。今年は、女性参政権行使70周年、そして、男女平等を明記した日本国憲法公布70周年の年です。日本の女性史の上からも、大きな意義を持つ年と言えます。
東京都では、今年度、「東京都女性活躍推進計画」と「東京都配偶者暴力対策基本計画」で構成される「東京都男女平等参画推進総合計画(仮称)」を策定することになっています。
2000年に制定された「東京都男女平等参画基本条例」に基づいて策定された第四次行動計画の「東京都男女平等参画のための東京都行動計画 チャンス&サポート2012」以来、5年ぶりの改定となります。
現在、東京都男女平等参画審議会で検討が進められ、同審議会からは、この10月に「中間のまとめ」が出され、パブリックコメントの実施などを経て、来年1月にも最終の「答申」が出る予定です。この答申に基づき「東京都男女平等参画推進総合計画(仮称)」が策定されます。
5年ぶりの男女平等参画社会実現への重要な計画改定ですから、「東京都男女平等参画推進総合計画(仮称)」を構成する2つの計画がともに、広く人権尊重の意識を確立すること、そのために行政や関係諸機関が啓発・教育活動に努力することが重要と考えます。また、諸施策・事業の実効性が確保されるよう、実施時期や数値目標を明確にすることを提言します。以下、それぞれの計画についての要望を記します。
1 「女性活躍推進計画」の策定にあたって
「女性活躍」を考える場合、生き方や活躍の仕方について、女性の一人一人が自己決定権を持てるよう、行政が後押しをすることが必要です。東京都は、区市町村とも協力して役割を果たしていくことも求められていると考えます。女性達の自己決定権確立への支援について、東京都のお考えをお示しください。また、区市町村との連携についても検討を進めていただくことを要望します。それぞれお答えください。
2 働き方の改善
今年2月に東京都が策定した「東京都女性活躍推進白書」によれば、東京では男女ともに、通勤時間と労働時間が長く、帰宅時間が遅い、が全国一であることが明らかになっています。
ア 東京都は、こうした現状をどのように受け止めていますか。お答えください。
イ 東京都の合計特殊出生率は、1.15人で全国最下位です。国の調査では、6割以上の女性が出産を機に離職する傾向が続いているとのことです。東京都でも、M字カーブは未だ改善されていません。厚生労働省の調査によれば、労働時間が長いほど身体の疲労と心身の不調を訴える労働者の比率が高くなっています。働き方の改善を具体的に進めなくては、少子化は克服できず、働く都民の健康を守ることもできません。
働き方改革に向けて、都として、どのような対策を講じていくのかが問われていますが、現状を踏まえた考えをお聞かせください。
ウ 通勤時間の短縮、帰宅時間を早めるという点では住宅問題の対策も欠かせません。若年労働者、子育て世帯には、都営住宅をはじめとした公共住宅へ入居の希望が強くあります。都は、こうした切実な要望に応えるべきと考えますが、いかがですか。
エ 女性は正規雇用の場合でも、男性との賃金格差があります。女性の所定内給与額は、男性の7割程度です。その上にパートや派遣などの非正規雇用の割合も高いため、賃金は低く抑えられています。東京都においては、近年、女性の常用労働者に占めるパートタイム労働が高まっていて、2014年度は約4割を占めているのです。このことは年金受給額にも影響して、働く世代、年金生活者ともに「女性の貧困」の要因であり、子どもの貧困にも影響しています。
雇用の形態、男女の賃金と昇進昇格の格差などについて、職場での女性の地位改善が急がれています。男女雇用機会均等法が施行されて、今年は30年にあたりますが、男女格差は大きく残されています。職場における男女格差是正に向けて、都としても、特段の対策を講じていただくことを要望するものです。国や企業に対する働きかけをどのように進めるのか、また、都としての具体的な努力方向をお示しください。
オ 東京都、及び区市町村では、派遣や非常勤職員として働く女性が増え、民間委託になっている職場も増加しています。東京都として公務職員の処遇についても、正規雇用を増やしていく改善が必要と考えますが、いかがですか。
3 政策決定の場に女性の参画を増やすために
ア 都生活文化局の「世論調査」では、「今後、女性がもっと増えた方が良いと思う職業、役職」の回答で、一番多いのは、「国会議員、都道府県議員、区市町村議員」です。前回調査よりは減少していますが、女性議員を増やし、政策決定段階からの参画を強めることへの要望は強いと感じます。
東京都議会は、現在、女性議員の比率が19.8%となり、国会や全国の地方議会の女性議員の比率を上回っていますが、男女平等に照らせば十分とは言えません。現在、改定作業が進められている都の「女性活躍推進計画」に、都としての考え方、取り組みの方向性を位置付けていただくことを要望します。ご見解をお示しください。
イ 都の各審議会委員、監理団体の評議員などに女性の割合を増やす努力も重要です。2012年策定の「チャンス&サポート2012」では、都の審議会等の女性委員の割合を今年度までに35%にするとの目標を掲げていました。今年4月現在の任用率は27.6%です。この2年余、増加傾向にありますが、目標は達成されていませんし、35%の目標についても検討が必要です。
都の審議会等の女性委員の任用比率を高めるために、都はどのような目標を定め、取り組みを進めるのか、お考えを伺います。
ウ 行政分野への女性の参画を拡大するうえで、東京都や区市町村の幹部職員に女性職員の割合を高めることも重要です。2015年度の自治体における女性管理職員の比率は、全国平均で7.7%、東京都は15.1%です。全国平均より高いとはいえ、まだ努力を強める必要があります。
都の審議会等の女性委員の比率を高めることと同様に、目標年度は、数値目標を定めること、合わせて管理職として女性職員が力を発揮できる環境づくりに力を尽くしていただくよう求めるものですが、いかがですか。
エ 民間の職場における女性管理職の比率を高める課題もあります。都の調査では、都内事業所の管理職に占める女性の比率は、係長相当職で約2割、課長相当職は1割を切り、部長相当職では4.4%です。この比率は全国比では高いものの、国際比率では極めて低い位置にとどまっています。
今年4月に全面施行になった「女性活躍推進法」で、従業員301人以上の民間事業主には、事業主行動計画策定や女性の活躍に関する情報の公表等が義務付けられることになりました。こうした制度が、「企業の競争力強化」「企業価値の向上」の面が強調されるのではなく、男女の格差の是正、女性の人権が重んじられる視点での取り組みが重視されなくてはなりません。そのことを、都の「女性活躍推進計画」に明確に位置付けていただくよう要望します。
さらに、都としては、民間企業における女性管理職の比率向上にどのような取り組みをされるのでしょうか。
また、従業員が300人以下の中小企業への、支援も重要ですが、どのような方策を講じるのでしょうか。以上3点についてお答えください。
4 国連女性差別撤廃委員会の「総括所見」について
今年2月、国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)が、日本の取り組みに関する第7、8回日本報告を審議し、3月7日に結果をまとめた「総括所見」を発表しました。「総括所見」の内容を、都の「男女平等参画推進総合計画」に反映していただく立場から質問します。
ア 国が、改善に責任を果たす問題ではありますが、民法で定めている男性と女性の婚姻最低年齢差、夫婦同姓、女性の再婚禁止期間などについては、平等な権利が保障されるよう、都も姿勢を示すべきと考えます。
このような女性への差別が存在することについて、都はどのような見解、認識をお持ちでしょうか。また、改善の必要性についてのご見解はいかがでしょうか。
イ 都議会には、「所得税法56条撤廃を求める陳情」が出されました。長年、家族経営の女性が求め続けている課題であり、CEDAWの総括所見では「家族経営女性の所得を経費として認めるよう」との勧告がされています。所得税法の改正が必要となりますが、都が国に対して家族経営女性の働きが実態にふさわしい評価になるよう国に求めること、併せて、都の「女性活躍推進計画」でも、改善の方向を示していただくことを求めます。いかがですか。
この機会に、女性起業家への支援の強化についても要望致します。
ウ 日本政府は、国連の女子差別撤廃条約の実効性を高める「選択議定書」をまだ批准していません。私は以前にも都に要望しましたが、都が男女平等参画のための行動計画を改定するにあたって、国際比較でも遅れをとっている女性への不平等を早期にただしていく力となる「選択議定書」の批准を行うよう、国に求めていただくようあらためて要望します。お答えください。
5 子育て、介護等の支援について
最近の報道によると、男性の育児休暇取得率は2.3%とのことです。育児休暇取得は圧倒的に女性です。CEDAWの「総括所見」では、両親休暇制の導入や十分な保育施設の提供など、子育て支援が示されています。介護問題も、同様の支援が必要です。また、シングルマザーを支える児童扶養手当等の充実や住宅施策の検討など、経済的に弱い立場の女性達への支援が求められています。
都は、認可保育園や特養ホーム増設へ都有地活用等の方針を打ち出していますが、待機児、待機者解消へは、さらに強力な支援策が急がれています。先にも述べたように、出産を機に60%の女性が離職しています。介護のための離職者の80%は女性です。
女性達の子育て、介護の負担が大きくなっています。小池都知事は、「東京を、女性、男性、子ども、高齢者、障害者など、誰もが安心して生活できるダイバーシティにする」と公約しています。
都の「女性活躍推進計画」に具体的に目標年次、設置数を示して、認可保育園や特別養護老人ホームなどの切実な要望が高い施設の増設目標を明確にしていただくよう求めます。お答えください。
6 若年女性を性被害から守る対策について
JKビジネス、AV被害など、10代の女性達が性犯罪の被害者になってしまう危険な状況が広がり、社会問題になっています。
改定中の「東京都配偶者暴力対策基本計画」には、「性暴力被害者に対する支援」の項と「性・暴力表現等への対応」の項は設けられています。しかし、「性の商品化」によって起きる問題については、都としての十分な認識や対応策が示されているとは言えません。JKビジネスなどで、性被害を受ける若い世代を守る対策は喫緊の課題です。被害防止の対策を計画策定にあたって、具体的に示していただくよう要望します。お答えください。
7 都民への啓発と救済機関の設置について
ア 男女平等参画を実現するには、意識啓発の取り組みが欠かせません。東京都は、かつて年4回発行していたウィメンズプラザニュースを、2006年からなくしてしまいました。その上に、「区市町村の男女平等推進施策一覧」は、都のホームページでしか見ることができなくなっています。
男女平等参画の取り組みを進めていく上で効果的な役割を果たす啓発活動や取り組みの到達状況を知らせる資料は、できるだけ多くの都民に提供されるべきです。都民の意識啓発に役割を果たしていたウィメンズプラザニュースと、「区市町村の男女平等推進施策一覧」の復刊を求めます。お答えください。
イ 男女の不平等、格差について、問題を抱え悩んでいる女性への救済の機関を設けることを提言します。男女平等施策推進に関するオンブズマン制度のような機関の存在は、不平等に苦しむ女性達の強い支えになります。男女格差の実態調査や、是正の勧告ができる権限を持つ機関の設置について、ぜひ検討をお願いします。お考えをお示しください。
8 「東京都配偶者暴力対策基本計画」の改定にあたって
ア DV被害の相談件数は年々増えています。被害者への切れ目ない救済、支援の施策が求められています。また、一時保護される人の6割は子ども同伴とのことです。子どもたちへのケアについてのしくみづくりも求められています。都の努力を求めるものですが、お考えはいかがでしょうか。
イ 現在、都内12区に「配偶者暴力相談センター」が設けられているとのことです。関係者からは「今後、必要なのは広域的な救済、支援の対策を講じること」との意見が出されています。
また、区の「配偶者暴力相談センター」は、夜間は開かれていません。東京都の「配偶者暴力支援センター」は、土曜、日曜は直接の相談ができず、被害者は、最寄りの交番など警察に駆け込まなくてはなりません。
DV被害は、どの時間帯に起きるかわかりません。ですから、24時間態勢で窓口が開かれていることが望まれています。弱い立場の被害者が一人で恐怖の中に置かれていることがないよう、いつでも駆け込める安心の窓口が必要です。都としても実情は把握されていると思いますが、DVやストーカー被害者の不安な心に寄り添った対策を進めていただくことを要望します。お考えをお示しください。
ウ DV被害、ストーカー被害の人達を支える上で、民間のシェルターやステップハウスが、大切な役割を果たしています。しかし、その運営は容易ではなく、とりわけ経済的な困難を抱えているのが現状です。都として実態を調査し、必要な財政支援を行うよう求めるものですがいかがでしょうか。

平成28年第三回都議会定例会
河野ゆりえ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 男女平等参画社会の実現にむけた「東京都男女平等参画推進総合計画(仮称)」について
  1 都は、区市町村とも協力して役割を果たすことも求められているが、女性達の自己決定権確立への支援について、都の考え方を伺う。また、区市町村との連携についても検討を進めることを要望する。それぞれについて見解を伺う。

回答
 都は、東京都男女平等参画基本条例において、男女一人一人が、自立した個人としてその能力を十分に発揮し、自己の意思と責任により多様な生き方を選択することができる男女平等参画社会の実現を基本理念に掲げ、施策を推進してきました。
 男女平等参画社会の実現には、都民、事業者、国のほか、区市町村との連携を図ることが重要です。計画策定に当たっては、こうした視点も踏まえて検討していきます。

質問事項
 一の2 働き方の改善
    ア 今年2月に東京都が策定した「東京都女性活躍推進白書」によれば、東京では男女ともに、通勤時間と労働時間が長く、帰宅時間が遅い、が全国一であるが、都は、こうした現状をどのように受け止めているのか、見解を伺う。

回答
 東京都では、所定外労働時間や通勤時間が全国平均と比べて長く、男性、女性ともに、平均帰宅時間が全国で最も遅くなっている実態があります。
 こうした状況を踏まえ、都では、東京都女性活躍推進白書において、長時間労働の是正や、ライフスタイルに合わせた多様で柔軟な働き方を選択できる社会にしていく取組の方向性を示しています。
 先般公表された東京都男女平等参画審議会の「女性活躍推進計画の策定に当たっての基本的考え方」の中間まとめ(以下「中間のまとめ」という。)においても、同様の提言がなされています。

質問事項
 一の2のイ 働き方の改善を具体的に進めなくては、少子化は克服できず、働く都民の健康を守れない。働き方改革に向けて、都として、どのような対策を講じていくのかが問われるが、現状を踏まえた見解を伺う。

回答
 都は今年度から、長時間労働の削減や年次有給休暇等の取得促進といった働き方の改革に取り組む企業を応援する「TOKYO働き方改革宣言企業制度」を開始しています。

質問事項
 一の2のウ 通勤時間の短縮、帰宅時間を早めるという点では住宅問題の対策も欠かせず、若年労働者、子育て世帯には、都営住宅をはじめとした公共住宅へ入居の希望が強くある。都は、こうした切実な要望に応えるべきだが、見解を伺う。

回答
 子育て世帯などの住宅確保要配慮者の居住の安定確保には、公共住宅に加え、民間住宅を含めた重層的なセーフティネットの機能が重要であると考えています。
 また、若年者については、福祉施策や雇用就労施策とともに、民間事業者等の多様な連携により、民間住宅市場を通じて居住の安定確保を図ることが重要であると考えています。
 都はこれまで、都営住宅などの公共住宅ストックを有効に活用するとともに、民間住宅については、東京都居住支援協議会による区市町村協議会の設立促進及び活動支援などを行ってきたところであり、今後とも、こうした施策の充実を図っていきます。

質問事項
 一の2のエ 今年は、男女雇用機会均等法施行30年にあたるが、男女格差は大きく残されており、職場における男女格差是正に向けて、都としても、特段の対策を講じることを要望する。国や企業に対する働きかけをどのように進めるのか、また、都としての具体的な努力方向について伺う。

回答
 都は、法制度に即し、女性の活躍推進や職場における男女平等を進めるために、労使双方を対象とした男女雇用平等セミナーや、事業主向けの均等法セミナー等を実施しています。

質問事項
 一の2のオ 都及び区市町村では、派遣や非常勤職員として働く女性が増え、民間委託になっている職場も増加している。都として公務職員の処遇についても、正規雇用を増やしていく改善が必要だが、見解を伺う。

回答
 職の設置に当たっては、多様化、高度化する行政ニーズに対応するため、事務の種類や性質に応じて様々な任用形態を活用していくことが重要です。
 そのため、都では、個々の職務内容及び業務量等に応じて、常勤職員、非常勤職員など最も適切な職を設置し、効率的な執行体制の確保に努めています。
 なお、非常勤職員の処遇についても、職の実態を踏まえ、平成27年度に一般職非常勤制度を導入し、それにふさわしい休暇、休業制度の拡充など改善を図っています。
 引き続き、職員の誰もが能力を発揮できる環境整備に取り組んでいきます。

質問事項
 一の3 政策決定の場に女性の参画を増やすために
    ア 都議会の女性議員の比率は19.8%と、国会などの女性議員比率を上回っているが、男女平等に照らせば十分とは言えず、現在、改定作業が進められている都の「女性活躍推進計画」に、都としての考え方、取組の方向性を位置付けることを要望するが、見解を伺う。

回答
 政治・行政分野への女性の参画促進について、中間のまとめでは、計画的な取組の必要性について提言されています。
 都では、行政分野について、今後予定されている審議会の答申を踏まえ検討を進めていきます。

質問事項
 一の3のイ 「チャンス&サポート2012」では、今年度までに都の審議会等の女性委員割合35%の目標を掲げていたが、今年4月現在の任用率は27.6%で、目標は達成されていない。都の審議会等の女性委員の任用比率を高めるために、都はどのような目標を定め、取組を進めるのか、見解を伺う。

回答
 都ではこれまで、計画目標の達成に向けた各局への周知の徹底や、女性人材について豊富な情報をもつ民間事業者を通じた人材紹介など、女性委員の任用率向上に向けた取組を進めてきました。
 中間のまとめでは、審議会等委員への女性の参画を一層推進していく必要性について提言されています。
 都では、今後予定されている審議会の答申を踏まえ、計画策定の中で目標等について検討していきます。

質問事項
 一の3のウ 自治体における女性管理職員の比率は、都は15.1%と全国平均より高いとはいえ、まだ努力を強める必要がある。都の審議会等の女性委員の比率を高めることと同様に、目標年度は、数値目標を定めること、合わせて管理職として女性職員が力を発揮できる環境づくりに力を尽くすよう求めるが、見解を伺う。

回答
 都はこれまで、能力や業績に基づく公平、平等な選考により幹部職員を選抜してきた結果、女性管理職の割合は、国や民間、他の道府県の割合を大きく上回っています。
 また、東京都職員ワーク・ライフ・バランス推進プランにおいて、2020年までに行政系の女性管理職比率を20パーセントに高める目標を掲げ、受験勧奨を実施するとともに、ライフイベントに応じた両立支援を行うなど女性職員のキャリア形成を支える環境づくりに努めてきました。
 今後も、女性管理職の割合を高めることも含め、男女を問わず、意欲と能力のある職員が一層活躍できるよう、積極的に取り組んでいきます。

質問事項
 一の3のエ 「女性活躍推進法」により、事業主行動計画策定や女性の活躍に関する情報の公表等が義務付けられることになったが、男女の格差の是正、女性の人権が重んじられる視点での取組が重視されなくてはならない。そのことを、都の「女性活躍推進計画」に明確に位置付けることを要望する。さらに、都としては、民間企業における女性管理職の比率向上にどのような取組をするのか。また、従業員が300人以下の中小企業への支援も重要だが、どのような方策を講じるのか。以上3点について見解を伺う。

回答
 中間のまとめでは、働く場における女性に対する積極的改善措置を促進し、男女の機会均等や格差是正を推進していくことの重要性についても提言されています。都では、今後予定されている審議会の答申を踏まえ、検討を進めていきます。
 民間企業における女性管理職の登用促進に向けては、企業の経営層を対象としたセミナーの開催や、女性の登用を積極的に行う企業に対する表彰等を行っています。また、中小企業における女性の活躍を推進するため、法に定める一般事業主行動計画策定などに対して支援を行っています。
 今後とも、こうした取組を推進していきます。

質問事項
 一の4 国連女性差別撤廃委員会の「総括所見」について
    ア 民法上の男性と女性の婚姻最低年齢差、夫婦同姓、女性の再婚禁止期間などについては、平等な権利が保障されるよう、都も姿勢を示すべきだが、このような女性への差別が存在することについて、都はどのような見解、認識を持っているのか。また、改善の必要性についての見解を伺う。

回答
 民法上の男性と女性の婚姻最低年齢差、夫婦同姓、女性の再婚禁止期間などについては、今後とも、国の動向を注視していきます。

質問事項
 一の4のイ 所得税法の改正が必要だが、都が国に対して家族経営女性の働きが実態にふさわしい評価になるよう国に求めること、併せて、都の「女性活躍推進計画」でも、改善の方向を示すことを求めるが、見解を伺う。

回答
 国連女子差別撤廃委員会の最終見解に対し政府は、所得税法第56条は、性別を問わず適用されており、女性の経済的自立を損なうものではないとしています。
 なお、国の第4次男女共同参画基本計画では、商工業等の自営業における家族従業者の実態を踏まえ、女性が家族従業者として果たしている役割が適切に評価されるよう、税制等の各種制度の在り方を検討するとされています。
 都としては、こうした国の動向を注視しています。

質問事項
 一の4のウ 国は、国連の女子差別撤廃条約の実効性を高める「選択議定書」をまだ批准していない。都が男女平等参画のための行動計画を改定するにあたって、「選択議定書」の批准を行うよう、国に求めるようあらためて要望するが、見解を伺う。

回答
 国の第4次男女共同参画基本計画では、女子差別撤廃条約の選択議定書の早期締結について真剣に検討を進めると明記しており、今後とも、国の動向を注視していきます。

質問事項
 一の5 都の「女性活躍推進計画」に具体的に目標年次、設置数を示して、認可保育園や特別養護老人ホームなどの切実な要望が高い施設の増設目標を明確にすべきだが、見解を伺う。

回答
 計画の数値目標等について、中間のまとめでは、計画の実効性を確保するために具体的な数値目標を設定し、その達成状況を把握していくことの重要性について提言されています。
 都では、今後予定されている審議会の答申を踏まえ、計画策定の中で目標等について検討していきます。

質問事項
 一の6 「東京都配偶者暴力対策基本計画」には、「性の商品化」により起きる問題について、都としての十分な認識や対応策が示されているとは言えない。JKビジネスなどで、性被害を受ける若い世代を守る対策は喫緊の課題であり、被害防止の対策を計画策定にあたり、具体的に示すべきだが、見解を伺う。

回答
 先般公表された東京都男女平等参画審議会の「東京都配偶者暴力対策基本計画の改定に当たっての基本的な考え方」の中間まとめ(以下「配暴計画の中間まとめ」という。)では、交際相手からの暴力や性暴力、ストーカー被害に加え、若者が遭いやすい性に関する被害についても併せて啓発していくことや、若者が相談しやすい環境整備等の必要性について提言されています。
 都では、今後予定されている審議会の答申を踏まえ、関係局と連携を図りながら、計画改定に向けた検討を進めていきます。

質問事項
 一の7 都民への啓発と救済機関の設置について
    ア 都民の意識啓発に役割を果たしていたウィメンズプラザニュースと、「区市町村の男女平等推進施策一覧」の復刊を求めるが、見解を伺う。

回答
 都では、広域的な視点から意識啓発、情報提供を行うために、都や区市町村による男女平等参画施策の最新の情報等について、ホームページ、ツイッターやフェイスブック、メールマガジンなど、様々な媒体を活用して、都民に広く発信しています。
 さらに、平成28年度からは、スマートフォンの専用サイトを開設し、より一層の充実を図っています。

質問事項
 一の7のイ 男女平等施策推進に関するオンブズマン制度のような機関の存在は、不平等に苦しむ女性達の強い支えになる。男女格差の実態調査や、是正の勧告ができる権限を持つ機関の設置について検討すべきだが、見解を伺う。

回答
 都では、関係局がそれぞれの立場から、男女平等に関する実態の把握に努めています。
 また、男女の不平等や格差等について問題を抱え悩んでいる女性に対しては、東京ウィメンズプラザをはじめとする、都の各機関や相談窓口において、それぞれの専門分野に応じて相談を受け付け、対応しています。
 今後とも、関係機関との連携を図りながら、適切な対応に努めていきます。

質問事項
 一の8 「東京都配偶者暴力対策基本計画」の改定にあたって
    ア DV被害者への切れ目ない救済、支援の施策が求められており、また、一時保護される人の6割は子ども同伴で、子どもたちへのケアについてのしくみづくりも求められている。都の努力を求めるものだが、見解を伺う。

回答
 配暴計画の中間のまとめでは、被害者やその子供が相談から自立まで切れ目ない支援を受けられるよう、支援策の充実や関係機関の連携強化等について提言されています。
 今後予定されている審議会の答申を踏まえ、関係局と連携を図り、計画改定に向けた検討を進めていきます。

質問事項
 一の8のイ DV被害はいつ起きるかわからないため、24時間態勢で窓口が開かれていることが望まれており、いつでも駆け込める安心の窓口が必要である。DVやストーカー被害者の不安な心に寄り添った対策を進めることを要望するが、見解を伺う。

回答
 都では、東京都配偶者暴力相談支援センターにおいて、夜間・休日を含め24時間365日相談可能な体制を取っています。
 また、緊急で危険性が高い場合には、休日・夜間を含めいつでも、警察に通報すれば、警察と東京都配偶者暴力相談支援センターが連携して、被害者の安全確保等に対応することとなっています。
 なお、夜間・緊急の場合の相談先については、携帯用カードの配布や、ホームページへの掲載等により、広く周知を図っています。

質問事項
 一の8のウ DV被害、ストーカー被害の人達を支える上で、民間のシェルターやステップハウスが、大切な役割を果たしているが、その運営は容易ではなく、経済的な困難を抱えているのが現状である。都として実態を調査し、必要な財政支援を行うべきだが、見解を伺う。

回答
 都では、配偶者暴力の被害者等を支援する民間支援団体との間で、毎年、意見交換や情報共有を行う場を設け、各団体の実態や要望等の把握に努めています。
 また、民間支援団体等の自主的な活動を支援するため、シェルター等被害者支援施設の安全対策の強化や被害者の同行支援等の活動に対し、助成を行っています。
 今後とも、民間支援団体への活動支援等に取り組んでいきます。

平成28年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤あつし

質問事項
一 都立広尾病院の建て替えについて
二 東京消防庁航空隊の消防ヘリの離発着について

一 都立広尾病院の建て替えについて
平成27年に報告されている病院経営本部がみずほ情報総研に調査委託した都立広尾病院の建て替えに関する調査報告書である「広尾病院の改修・改築のあり方に関する調査業務」報告について伺います。
報告書の終盤で「移転整備」「現地再整備」「改修」の3つの手法について検討・評価を総括して表にしてあります。様々な角度で評価する形で評価項目が2ページにわたって並んでおり、高い評価の順に◎、○、△の3段階で評価されています。
しかし、ここでは各項目での優劣が判っても、各手法の優劣を判断するのは難しい印象です。この調査報告書において、各手法をどのようにして評価したらよいかを伺います。あわせて、「現地再整備」はしてはいけない、できないという事なのかについても伺います。

二 東京消防庁航空隊の消防ヘリの離発着について
1 東京消防庁として実際に救急搬送の際に緊急時の離発着することを想定している建築物はどのくらいあるのでしょうか。東京23区内にある使用可能な場所を教えてください。
2 実際に離発着を可能にするには騒音や風の影響などを考慮して周辺建築物とどの程度の距離が必要と東京消防庁としては考えているのか伺います。
3 その他に考慮すべき条件がありますか?

平成28年第三回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 都立広尾病院の建て替えについて
 「広尾病院の改修・改築のあり方に関する調査業務」の報告書の終盤で「移転整備」「現地再整備」「改修」の3つの手法について検討・評価を総括して表にしてあるが、各手法の優劣の判断は難しい。この調査報告書において、各手法をどのようにして評価したらよいのか伺う。あわせて、「現地再整備」はしてはいけない、できないということなのか伺う。

回答
 平成27年6月に実施した本調査は、広尾病院の改修・改築に当たり、想定される3つの整備手法について、施設整備の課題、診療への影響、コストの観点から、主な事項別にメリット・デメリットを整理したものであり、現実的かつ具体的な方策を検討するための基礎資料となるものです。
 具体的な整備手法については、広尾病院の現状分析、担うべき医療機能やその規模の在り方、さらには地域医療との連携の在り方など、様々な視点から導き出される新たな病院像を踏まえて、最も効果的な整備手法を総合的に検討していくことになります。

質問事項
 二 東京消防庁航空隊の消防ヘリの離発着について
  1 東京消防庁として、実際に救急搬送の際に緊急時の離発着することを想定している建築物はどのくらいあるのか。東京23区内にある使用可能な場所について伺う。

回答
 消防ヘリコプターが活用している医療機関の緊急離発着場は、7か所です。
 また、この他に大規模災害時の使用を想定している医療機関の緊急離発着場は、11か所です。

質問事項
 二の2 実際に離発着を可能にするには騒音や風の影響などを考慮して、周辺建築物とどの程度の距離が必要と考えているのか伺う。

回答
 建築物の屋上に設ける緊急離発着場に必要な要件は、次のとおりです。
 建築物の屋上にある離着陸帯と呼ばれる緑と黄で塗装された四角い場所を基準とし、この離着陸帯の各辺から一定の距離が離れた位置において、他の建築物や構造物の高さが所定の基準以下であることが必要となります。
 具体的には、離着陸帯の2辺の方向については、500メートル離れた地点まで、1メートル離れるごとに12.5センチメートル、その他の2辺については、45メートル離れた地点まで、1メートル離れるごとに1メートルの高さ以下(離着陸地帯から10メートルまでは、1メートル離れるごとに50センチメートルの高さ以下)であることが必要です。

質問事項
 二の3 前問に関して、その他考慮すべき条件について伺う。

回答
 東京消防庁では、消防ヘリコプターの安全な運行を確保するため、著しい気流の擾(じょう)乱または、強い降水域、落雷、凍結等がある場合には、飛行を制限しています。

平成28年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 石毛しげる

質問事項
一 へイトスピーチ対策法について

一 へイトスピーチ対策法について
特定の民族や人種への憎悪をあおるヘイトスピーチへの対策法が今年5月に衆議院本会議にて可決、成立しております。5月13日付けの朝日新聞には、ヘイトスピーチについての定義として以下のような記載があります。「在日外国人や子孫らに対する差別を助長、誘発する目的で、生命や身体に危害を加えると告知するか侮蔑するなど、地域社会からの排除を扇動する不当な差別的言動」。つまり、不当な差別的言動は許されないと宣言したもので、差別解消のための教育、広報活動の拡充や相談窓口を設置するなど相談体制の整備などを国の責務とし、自治体にも解消に向けて努力義務を課すと定めたものであります。
1 法の施行を見越して、ヘイトデモが予定されていた5月30日に公園の使用を許可しないことを決めた川崎市をはじめ、各自治体でヘイトスピーチ解消に向けた取り組みが見られますが、法施行後の東京都では具体的にどのような取り組みが行われてきたか伺います。
2 積極的なヘイトスピーチ解消の取り組みがある一方で、実際には憲法が保障する表現の自由を踏まえ、どの文言がヘイトスピーチに該当するのか明確さに欠けており、また罰則規定のない理念法であるという懸念も一部でございます。このため、法を施行するにあたり、法の解釈や地方公共団体に対して必要な助言を行う国との連携も重要であると考えますが、これまでの国との連携、または今後どのように連携していくのかについて伺います。
3 選挙演説の内容について、選挙の立候補者が街頭演説で差別を煽る言動を繰り返しても、「選挙運動」ということで、実際には選挙の公平性を保障する観点から規制するのは難しいという事態が起こったことは記憶に新しいところでございますが、今後、選挙運動の演説でヘイトスピーチが行われることのないようどのような取り組みを行っていくか伺います。

平成28年第三回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 ヘイトスピーチ対策法について
  1 へイトデモが予定されていた5月30日に公園の使用を許可しないことを決めた川崎市をはじめ、各自治体でヘイトスピーチ解消に向けた取組が見られるが、法施行後の都では具体的にどのような取組が行われてきたのか伺う。

回答
 都は、これまで、国に対して実効性のある対策を求めるとともに、大型啓発イベントや人権週間行事などにおいて、外国人の人権をテーマに様々な都民啓発を実施してきました。
 平成28年6月の法施行後は、引き続きJリーグやプロ野球の試合、大型啓発イベントなどの機会を捉え啓発を行うとともに、ヘイトスピーチを許さない趣旨のポスターの掲出やリーフレットの配布を行っています。

質問事項
 一の2 積極的なヘイトスピーチ解消の取組がある一方で、憲法が保障する表現の自由を踏まえ、どの文言がヘイトスピーチに該当するのか明確さに欠け、また罰則規定のない理念法であるという懸念も一部である。法施行にあたり、国との連携も重要だが、これまでの国との連携、または今後どのように連携していくのかについて見解を伺う。

回答
 ヘイトスピーチへの取組では、国との連携が重要であると考えます。
 これまで、都は、国に対して実効性のある対策を求めるとともに、法施行後は、国へのヒアリングや意見交換、国への要望活動、国が主催する会議への参加を行っています。
 引き続き、連絡調整を密に行うなど、国としっかり連携しながら、啓発活動などの取組を推進していきます。

質問事項
 一の3 選挙演説の内容について、立候補者が街頭演説で差別を煽る言動を繰り返しても、「選挙運動」ということで、実際には選挙の公平性を保障する観点から規制するのは難しいという事態が起こったことは記憶に新しいが、今後、選挙運動の演説でヘイトスピーチが行われることのないようどのような取組を行っていくのか見解を伺う。

回答
 立候補者が行う街頭演説は、公職選挙法上、街頭演説用標旗の表示義務や演説を行うことができる時間帯など、その方法に関する規定が定められていますが、演説の内容については、直接これを制限する規定はありません。しかし、公職選挙法以外の法令の適用について除外されていないことから、それらの法令に示される理念や規定を遵守して行う必要があります。
 今後は、いわゆるヘイトスピーチ対策法に示される地方公共団体の責務として、立候補者や立候補者陣営の担当者に立候補手続などについて説明する機会を活用し、選挙運動を行う際に遵守すべき法令等と併せて説明することにより周知を図っていきます。

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