平成二十八年東京都議会会議録第十三号

○副議長(小磯善彦君) 二十七番小松久子さん。
   〔二十七番小松久子君登壇〕

○二十七番(小松久子君) 都議会生活者ネットワークを代表して質問します。
 まず、情報公開についてです。
 小池知事は所信表明で、東京大改革を推進する肝は、都政の透明化、つまり見える化、わかる化の徹底であるとして、都政改革本部に情報公開調査チームを立ち上げました。
 しかし、豊洲の一連の問題において、誰が、いつ、どこで、何を決めたのかさえ解明することはできませんでした。今回のような不祥事を二度と起こさないためにも、都政の信頼を回復するためにも、徹底した調査が必要です。
 都政の意思形成過程の情報を公開していくことは極めて重要ですが、知事はどのように進めていくべきとお考えか所見を伺います。
 また、情報公開を進めるには、その基盤となる公文書管理のあり方も重要です。豊洲問題で、組織的に使われたメモなどを公文書として管理し、公開すれば、責任の所在がより明らかになるはずでした。都は文書管理規則に基づいて管理していますが、保存期間や都民のアクセスしやすさに配慮するなど、改善の検討が必要だと考えます。見解を伺います。
 一連の豊洲問題の内部調査では、なぜ間違った説明がまかり通ったのか究明されず、空気のように決まっていったという生ぬるい報告でした。都政への信頼を失墜させた歴代の市場長や管理職の責任は免れません。都議会のチェックの甘さも厳しく問われています。議会として、百条委員会を設置して真相を明らかにしていく必要があります。
 先般、モニタリングポストから有害物質が検出されました。土壌汚染に関する安全性について、都は、水質や空気中の化学物質を調べていますが、知事は、専門家会議を復活、さらにプロジェクトチームも立ち上げ検討するとのことです。
 では、最終的に安全性の確認は、誰がどのように判断するのか伺います。
 豊洲新市場計画の環境アセスメントは、二〇一一年七月、既に盛り土なしの工事が発注された時期に環境影響評価書が出されています。ところが、評価書には盛り土することが明記されました。これは、明らかに虚偽記載といわざるを得ません。
 都のアセス条例によれば、虚偽の報告をしたときは当該事業者を公表する規定があります。今回の問題発覚によって、今後どのように対応するのか、見解を伺います。
 ところで、千客万来施設は市場敷地内に併設する民間施設ですが、その用地は、土壌汚染対策工事の発注時の図面では六・五メートルまでの盛り土があるのに、完了確認の報告では盛り土がなく、さらに民間への引き渡しは盛り土がある状態で引き渡すことが条件とされ、盛り土のあるなしが二転三転しています。
 ここは地下二階建ての建設計画がされていますが、その仕様、設計については、土地の履歴からの制約がおのずからあるはずで、地下は使用しない制約のもとで建設計画がなされるよう、都は説明する責任があったのではないでしょうか。
 建設工事に係る現在の地盤高は一体どうなっているのか、それを掘って地下室を二階分つくることになるのか伺います。
 なぜ盛り土ではなく、地下空間となったのか。その理由として、都市計画道路補助三一五号線の存在があると考えます。この道路があるがために水産卸売り場棟と水産仲卸売り場棟の二つの街区が分断され、道路の高さに制約を受けて盛り土を設ける余裕はなく、辛うじて市場施設にターレのための連絡通路が設置されたものです。
 道路は一九九三年に都市計画決定されましたが、その時点では豊洲に市場計画はありませんでした。二〇〇一年、石原知事が豊洲への移転を決め、二〇〇三年には新市場基本構想を出しましたが、補助三一五号線は計画だけでまだ影も形もなく、都市計画を見直せるチャンスでした。中央卸売市場の重要性を考えると、道路計画自体を見直し、敷地全体が有効に使えるようにすべきでした。市場と道路との関係はどのように検討されたのか伺います。
 続いて、子育て支援についてです。
 知事の提唱するライフワークバランスは、男性も家事や育児に参加できるよう、働き方の意識や仕事の進め方の改革を進めており、賛同するところですが、ことし二月にまとめられた東京都女性活躍白書によれば、性別役割分担の意識は根強く残っており、男性の育児休業取得率は低い数字にとどまっています。
 北欧では、パパクオーター制度が導入されていることもあって、母親、父親がそれぞれ育児休業を取得し、仕事と育児の両立を図りやすい環境整備ができています。
 都においても、男性の育児休業制度の利用を促すなど生活と仕事の両立が可能となるよう、企業における働き方の改革を進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 待機児童対策に関する補正予算案には、保育の質の確保を図る観点から、認可外保育施設への指導監督の強化が盛り込まれています。都内では、ことし三月、認可外保育施設で死亡事故が発生しており、今回の巡回指導の強化は、再発防止の意味でも必要な取り組みです。
 指導監督権限は都道府県にありますが、巡回に際しては、ぜひ保育の実施主体である区市町村とともに訪問するなど、自治体を応援する形で連携を密にして取り組むべきと考えます。
 こうした視点も踏まえ、認可外保育施設に対する指導監督の取り組みについて、都の所見を伺います。
 多くの待機児を抱える自治体にとって、保育園をふやすために一番困っているのは土地の確保です。各局等が所有する都有地については、それぞれの行政目的で活用されていることは承知するところですが、待機児童対策の緊急性に鑑みて、このような土地の中でも、少しでも活用可能性のあるものについては区市町村に情報提供、周知することが必要であると考えます。見解を伺います。
 さて、知事は、八月の定例記者会見で、武蔵野の緑豊かな国分寺崖線を通る小金井三・四・一号線と小金井三・四・一一号線の優先整備二路線に関して、都知事選の際に候補者として回答したアンケートに絡めた質問に対し、一旦立ちどまって、これは本当にいいのかどうかということを判断すると答え、また、現地視察についても、できるだけあちこち行きたいと発言しておられます。
 知事には、地元の声を受けて、現地視察とともに、ぜひ市民の声を直接聞く機会を設けていただきたいと考えますが、知事の見解を伺います。
 最後に、八ッ場ダムの基本計画変更についてです。
 今回の基本計画変更は、一九八六年以降、五回目です。当初は、二〇〇〇年度に完成、事業費二千百十億円だったものが、計画変更で工期延長と事業費増額を繰り返し、今回は七百二十億円増額し、五千三百二十億円、都の負担分の増額は九十九億円にも上ります。
 そもそも八ッ場ダムを建設する根拠は、水道水源が足りないというものです。しかし、水需要は二十年以上減少しているのに、都はまだ水需要がふえる予測を出し、実績との乖離はどんどん開いています。治水の面でも、利根川、江戸川における八ッ場ダムの効果は非常に小さいだけでなく、東京の水害はゲリラ豪雨による内水氾濫ばかりであり、局地的な豪雨に八ッ場ダムは全く役に立ちません。
 八ッ場ダムは、これほど必要性がないにもかかわらず事業費が膨らみ続け、まさに小さく産んで大きく育てる無駄な公共事業の典型といえます。今後、現地の地質の脆弱性による地すべり対策や、本体工事のおくれなどで、さらなる事業費の増額や工期の延長が予想されます。見解を伺って質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小松久子議員の一般質問にお答えいたします。
 情報公開についてのご質問でございます。
 都政の透明化を進める上で、何よりも重要なことは情報公開の推進であり、そのためには都庁全体の意識改革を図らなければならない。
 そこで、まず、今般の都政改革本部の模様をインターネットで中継しております。会議資料も迅速に公表しております。都政の課題についての検討過程を明らかにしているところでございます。
 また、各局におきましても、審議会のさらなる公開など、早速、積極的な情報発信に向けた自律改革を始めたところでございます。
 都民ファーストの観点から、こうした情報公開を徹底し、全庁を挙げての都政の透明化を進めていく所存でございます。
 続いて、働き方の改革についてのご質問でございます。
 東京が次世代に向けて持続的に発展していくためには、生活と仕事を両立できる調和のとれた社会を実現していかなければなりません。人生、そして生活をもっと大切にして、男性が日常的に子供と触れ合う、あるいは、女性と家事を分担する時間をふやすことによって、女性も男性も生き生きと生活し、活躍することにつながると考えております。
 そのためには、深夜に及ぶ残業は当たり前というこれまでの価値観を転換して、働き方の改革を進めていかなければなりません。
 都は、今年度から、長時間労働の削減など、働き方の見直しや育児のための休暇制度の充実、男性の育児休業の取得促進など、生活と仕事の両立に取り組む企業を支援いたしております。
 よって、今後とも企業における働き方の改革を推進して、ライフワークバランスの実現を目指していきたいと考えております。
 そして、小金井市内の都市計画道路についてのお尋ねでございます。
 都市計画道路は、交通、物流機能の向上による経済の活性化のみならず、日々の生活を支えるとともに、災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤でございます。
 小金井市の二路線は、広域避難場所へのアクセス向上や生活道路への通過交通抑制によります地域の安全性向上などに資する重要な路線と考えております。あわせて、環境に配慮することも重要でございます。現地の地形の状況や景観を踏まえた検討が必要と考えております。
 そして、この道路整備に当たりましては、さまざまな意見があることは承知をいたしております。今後、道路の果たす役割や機能、そして環境にどう配慮するかについては、市民との意見交換の場を設けて、一つ一つ丁寧に対応を行うように指示したところでございます。
 現場視察につきましては、状況を踏まえて判断をさせていただきます。
 残余の質問につきましては、関係局長からご答弁させていただきます。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 公文書管理のあり方についてですが、都が保有する文書は、行政活動を行う上で基本的かつ不可欠であり、適切な文書管理は、情報公開制度と相まって、都民の方々にとって都政への参加を進めるために重要でございます。
 また、文書管理規則等に基づき、各局において、重要度等を考慮して文書の保存期間を設定し、必要があるときは、期間経過後も当該文書を保存することができる制度としております。
 さらに、文書の公開件名、保存期間等の情報は、情報公開の検索システムを通して都民に提供してまいりました。
 今後とも、都民が必要な情報を迅速かつ容易に得ることができるよう、文書管理の仕組みを適切に運用するとともに、必要な改善をしてまいります。
   〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕

○中央卸売市場長(岸本良一君) 豊洲市場に関します三点のご質問にお答えします。
 まず、安全性の確認についてでございますが、地下水モニタリングで基準超過を確認したことや、盛り土がなされていなかった問題につきまして、一つ一つ確実に検証していくことが重要でございます。
 このため、専門家会議や市場問題プロジェクトチームにおきまして、これらの問題について調査、検証していただくこととしております。その結果をもって知事が総合的に判断することとなります。
 次に、千客万来施設についてでございますが、まず、敷地の引き渡し地盤高はA.P.六・二メートル程度でございます。また、千客万来施設は、生鮮食料品を取り扱う市場とは異なり、民間が整備する商業施設でありますことから、公募時の整備条件としては、土壌汚染対策法等に基づき適切に処理すること、また、市場に隣接していることから、地下水管理システムの設置や維持管理を妨げることのない方法とすることなどとしておりました。
 公募時に事業者からは、地下二階を有する施設計画が提案されたところでございます。現在、事業者が設計を進めておりますが、都と事業者の間で、その具体的な内容に関する協議を行っているところでございます。
 最後に、市場と補助第三一五号線との関係についてでございますが、補助第三一五号線は、豊洲地区と有明地区を連絡する広域幹線道路であり、産地や買い出し人の車両等をスムーズに市場に導くためにも重要な役割を果たすものでございます。
 市場の施設計画の検討に当たりましては、補助第三一五号線の一部を高架道路とし、高架下に水産卸売り場棟と水産仲卸売り場棟とを結ぶ連絡通路を設けますことで、閉鎖型市場による高度な衛生管理を実現するなど、市場としての一体性を確保しております。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 豊洲新市場の環境アセスメントについてでございますが、豊洲新市場の盛り土については、変更届が提出されていないことから、環境影響評価条例第九十一条第一項第一号における手続の全部または一部を行わなかったときとして、同条に定める事業者の氏名等の公表の規定が適用される可能性がございます。
 しかしながら、中央卸売市場からは、既に変更届を提出していきたいとの意向が示されております。このため、事業者の氏名等の公表により手続の確実な遂行を担保しようとする同条例の趣旨に照らせば、あえて本条を適用する必要性には乏しいと考えられます。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 認可外保育施設の指導監督についてのご質問にお答えをいたします。
 都は、児童福祉法等に基づき、認可外保育施設に対し、書面による報告徴収、立入調査、巡回指導等の指導監督を行っております。指導監督に当たりましては、立入調査等に区市町村が立ち会うほか、指導内容の情報を共有するなど、保育の実施主体である区市町村と連携を図っております。
 今回の補正予算案では、認可外保育施設の保育サービスの質の向上を図り、児童の安全と保護者の安心を確保するため、巡回指導チームを編成し、指導体制を強化することとしておりまして、来年度には、全ての施設に年一回巡回指導できる体制に拡充をいたします。
 今後とも、区市町村と連携しながら、法令等に基づき指導監督を実施してまいります。
   〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 待機児童対策における都有地活用についてでございますが、東京都は、都有地を活用した保育所の整備を一層推進するため、副知事をトップとする都有地活用推進本部を設置いたしまして、先月、その第一回目の会議を開催いたしました。
 その中で、財務局所管の都有地に加えまして、各局が所管する都有地につきましても、洗い出しをするよう依頼したところでございます。
 こうした取り組みを通じ、区市町村に対しまして、今後、より多くの都有地の情報を提供してまいります。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 八ッ場ダムについてでございますが、八ッ場ダムは、利水、治水の両面で必要不可欠な施設でございます。
 利水面では、この夏の渇水に対して、八ッ場ダムがあれば取水制限は回避できたと見込まれているなど、極めて大きな効果がございます。
 治水面でも、台風などの広域的な豪雨への備えを強化し、首都東京の治水安全度の向上を図る上で重要な施設でございます。
 地すべり対策などの残事業もおおむね確定し、工事は終盤を迎えておりまして、国は、今回の基本計画の変更に際して、今後想定し得る事業費の増要因を十分に考慮し、平成三十一年度完了に向けた工程の精査も行ってございます。
 都は、引き続き国に対して、工期の厳守と徹底したコスト縮減を強く求め、八ッ場ダムの一日も早い完成を確実なものにしてまいります。

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