○副議長(小磯善彦君) 次に参ります。
二十六番舟坂ちかお君。
〔二十六番舟坂ちかお君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○二十六番(舟坂ちかお君) 初めに、二〇二〇年に向けた実行プランについてお伺いをいたします。
小池知事は、この実行プランを年内をめどに策定していくことを表明されました。東京都長期ビジョンの策定後、やがて二年が経過し、テロの脅威、災害への備え、待機児童の増加など、都政をめぐる情勢はさまざまな変化を見せております。そして、リオデジャネイロにおけるオリンピック・パラリンピックも閉幕し、いよいよ世界中の注目が東京二〇二〇年大会に集まることになります。
こうした世の中の変化に柔軟に対応し、常に都政を刷新していくことは、我々も含め都政を担う者として当然の心構えであります。
重要なことは、都政の現実を十分に踏まえ、議会とともに長期ビジョンによって積み上げられてきた政策をしっかりと前進させることであります。
知事も、長期ビジョンの大きな方向性は継承しつつ、現行の三カ年の実施計画の終了を待たず、新たな計画として今回の実行プランを策定するとされています。そして、実行プラン策定に当たっては、都民のさまざまなニーズを的確に捉えることが大切なことはいうまでもありません。
知事は、都民ファーストを掲げておられますが、我が党もこれまで常に都民目線でやってきました。都民のためになることであれば、都政を前に進めるため、協力すべきは協力し、今回のプランの策定に当たっても、現場の声に向き合い、建設的な提案を行っていきます。
東京でオリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年は、都民、国民が心を一つにして、日本全体の発展を目指していく大きなきっかけとなる年であります。
これまでの長期ビジョンにおける政策をもとに、さらに今後の大事な四年間の都政の方針を示す実行プランの策定に向けた知事の基本的な考え方をお伺いいたします。
次に、道路整備の取り組みについて伺います。
東京を世界で一番の都市にしていくためには、東京の国際競争力を高め、東京が日本経済を牽引していく力を持たなければなりません。
一方で、想定される首都直下地震に備え、津波や豪雨などの自然災害への対応など、東京全体の安全・安心を確立していく取り組みも重要です。
そのためには、東京の最大の弱点である交通渋滞を解消し、災害時には、救援活動や物資輸送を支えるなど、さまざまな効果のある道路整備を推進していくことが不可欠であると考えます。
しかしながら、東京の都市計画道路の整備率はいまだ六割程度であり、各所で慢性的な交通渋滞等の課題が生じるなど、道路ネットワークの整備は道半ばであり、早期の整備が望まれます。
こうした中、都は、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めていくため、本年三月に東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)を策定し、今後の道路整備に向けた方針を示したところであり、この取り組みを遅滞なく進めていくことが重要であります。
都のこの取り組みに対し、我が党としても、政策提言において、人と物の流れがスムーズに行き交う首都圏をつくるとして、道路ネットワークの重点整備を掲げ、これまでの都の取り組みである骨格幹線道路を初めとした道路整備の推進を後押ししております。
私の地元葛飾区では、補助第一三八号線の中川を渡る区間や補助第一四三号線の柴又街道など、都市計画道路が未整備となっております。
このうち、補助第一三八号線は、中川により隔てられた葛飾区、足立区の避難場所をつなぐことで、防災性の向上にも寄与する重要な路線であり、早期に取り組む必要があると考えます。
また、補助第一四三号線の柴又区間は、都内有数の観光地である柴又地域を通り、帝釈天の参道とも交差している区間であります。
しかし、現道の柴又街道は、歩道が狭い上、近年、外国人観光客も増加していることから、さらなるにぎわいの創出を図るためにも、早期の拡幅整備が望まれております。
これらの路線は、かねてから第四次事業化計画の優先整備路線に位置づけるよう要望してきたところであり、先般公表された計画において、都施行路線に位置づけていただきました。
道路の事業化には、交通処理や構造など、さまざま検討が必要であり、時間がかかることは理解しておりますが、そのためにも、直ちに検討を行っていく必要があると考えます。
そこで、補助第一三八号線及び補助第一四三号線の事業化に向けた取り組みについて伺います。
次に、重症心身障害児者の療育体制の充実について伺います。
重度の知的障害と肢体不自由が重複する重症心身障害児者が安心して暮らし続けるためには、地域におけるさまざまな専門的支援の提供が必要であります。
中でも、重症心身障害児者にとって、日中活動の場であり、医療や訓練など、必要な療育サービスが受けられる通所施設は重要です。
しかし、私の地元葛飾区にある都立よつぎ療育園の利用者のお母様方からは、利用希望者が多く、週五日の利用を希望しても、週四日の利用をお願いされる場合が日常的にあると聞いております。
こうしたことから、都は、重症心身障害児者通所施設の設置促進を図るとともに、来年度から策定作業が始まる次期障害福祉計画においても重点施策として位置づけるべきと考えますが、見解を伺います。
また、重症心身障害児者を自宅でお世話されているご家族は大変にご苦労されております。さらに、年々高齢化も進み、介護の厳しさは増しております。重症心身障害児者が地域で暮らし続けるためには、ご家族も不安なく元気でいる必要があります。
都は、重症心身障害児者のご家族に対して積極的に支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、観光振興について伺います。
東京の経済の活性化を図る上で、観光振興もまた重要なテーマの一つであり、とりわけ二〇二〇年に向けて増加が期待される外国人旅行者が、都心だけでなく、広く多摩や島しょエリアに足を運んでもらえるよう取り組みが必要です。
都は、多摩・島しょの観光振興に向け、建物や施設整備などのハード面に加え、案内マップやパンフレットの作成などソフト面でのサポートも行っていますが、二〇二〇年を見据え、さらに手厚くしていく必要があります。
また、島しょ地域への来訪者をふやすには、さまざまな島が力を合わせて旅行者を呼び込み、地域経済の活性化につなげるなど、従来にない視点での思い切った後押しを行うべきです。
多摩や島しょ地域の観光振興に向けた取り組みについて、都の見解を伺います。
次に、地域資源を活用した産業の活性化について伺います。
二〇二〇年東京大会まであと四年を切る中、都内の中小企業は新たな需要獲得のチャンスを迎えております。こうした需要を確実に取り込み、二〇二〇年とその先を見据えた地域産業の発展へつなげていくことが重要です。
都内各地には、それぞれの歴史、風土の中で育まれてきた特色ある地域資源が存在します。例えば、私の地元では、映画「男はつらいよ」でおなじみの柴又帝釈天周辺の下町風情あふれるまち並みや、古くからの伝統的なわざを継承する職人によってつくられる伝統工芸品など、さまざまな地域資源があります。
そうした地域資源は、おのおのの地域が持つ強みであり、これらの魅力ある資源を生かした事業者の取り組みを後押しすることで、地域産業の活性化を図ることが大切です。
都として、地域資源を活用した中小企業の新たな事業展開を積極的に支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、中小企業の事業継承について伺います。
都内には多種多様な中小企業が立地し、その集積を生かして高品質で高付加価値の製品やサービスを生み出してきました。都内の企業数の九九%を占める中小企業は、経済、雇用の両面から東京の活力を支えております。
この四半世紀を振り返れば、バブル崩壊後の長引く景気低迷があり、アベノミクスによる景気回復基調の中でも、厳しい経営を強いられている中小企業は少なくありません。近年では、経営者の高齢化や後継者不足による廃業などを背景に、これまでの集積が失われつつあります。
私の地元葛飾区は、プレス業、メッキ業を初めとする都内でも代表的な工業集積地であり、玩具、ボールペンなどの文具、アクセサリーなど装身具、工業用ゴムなど、全国的にも主要な生産地となっています。しかし、残念なことに区内の工場数は年々減少しており、最新の統計によれば約二千七百社とピーク時の三分の一程度になっています。
先ほども申し上げたとおり、中小企業は地域経済を支える重要な基盤であり、中小企業の事業継承は、これまで以上にしっかりと進めていかなければなりません。
事業承継の課題は、後継者が見つからない、将来の経営不安、債務があるなど、多岐にわたっています。都はこれまでも、相談や制度融資などさまざまな支援を実施してきましたが、これに加え、今年度新たに、弁護士や公認会計士などの専門家や金融機関と連携して中小企業の事業継承を支援するとしております。
そこで、現在の取り組み状況をお聞きしまして、質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 舟坂ちかお議員の一般質問にお答えをさせていただきます。
実行プランの策定に向けました基本的な考えについてのお尋ねでございました。
都知事として、私の使命は全庁を挙げて自律改革を進め、都民ファーストの都政を隅々まで徹底して、その先に都民の皆様とともに新しい東京をつくり出すことといたしております。
東京二〇二〇大会の成功をてこにして、そして確かなレガシーを残すことで、誰もが希望と活力を持って安心して暮らしていける、日本の成長の牽引役として世界の中で輝く、持続可能なサステーナブルな東京をつくり上げていきたいと考えております。
そして、その基盤となりますのが三つのシティー、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーでございますが、これらを実現して、東京の課題の解決と成長創出を進めていく、その具体的な政策展開を示すのが、ご指摘いただいた二〇二〇年に向けた実行プランでございます。
二〇二〇年を一つの区切りといたしまして、その先、つまり二〇二〇年以降も展望し、東京のサステーナブルな成長につながる重要な課題に、この四年間、集中的に取り組んでまいります。
そして、実行プランにおきましては、東京都長期ビジョンをもとにしながらも、これまでの政策の延長線ではなく、それを超えた新たな発想を取り入れて、目指すべき東京の明るい将来像の実現に向けた大義ある政策を積極的に立案してまいりたいと考えております。
都民ファーストの視点に立ちまして、車の両輪として都政を担う都議会の皆様方とも真摯な議論を重ねて、都民の皆様の共感を呼び起こしながら、新しい東京へのしっかりとした道筋を切り開いてまいりたいと考えております。
その他のご質問につきましては、関係局長から答弁させます。
ありがとうございました。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕
○建設局長(西倉鉄也君) 補助第一三八号線及び補助第一四三号線の事業化に向けた取り組みについてでございますが、補助第一三八号線は、葛飾区と足立区の境を流れる中川に新たな橋梁を整備することで、地域間の連携を強化し、防災性の向上を図る重要な路線でございます。
これまで、都と地元両区による検討会で、高低差の生じる橋梁取りつけ部における交差道路との接続や沿道アクセス等について検討してきており、今後は橋梁本体も含めた道路構造等について具体的な検討を進めてまいります。
また、補助第一四三号線は、柴又地域周辺の交通を円滑化し、無電柱化等による景観への配慮など観光振興にも寄与する路線であり、今後、交差点処理などの検討を進めてまいります。
これらの二路線につきましては、引き続き地元区と十分連携を図りながら、早期の事業化を目指し、積極的に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、重症心身障害児者通所施設についてでありますが、都は、重症心身障害児者が地域で安心して生活できるよう、障害福祉計画の策定に合わせ、三カ年ごとに通所施設の整備計画を定めており、昨年四月に策定した第四期の計画では、平成二十七年度からの三年間で百三十人分の定員増を目標に掲げ、整備費の事業者負担を軽減する特別助成を行うなど、設置を促進しております。
本年五月には児童福祉法が改正され、障害児通所支援の提供体制の確保に係る目標などを盛り込んだ障害児福祉計画の策定が新たに自治体に義務づけられました。
都は、今後とも重症心身障害児者への支援を充実する考えでございまして、障害児福祉計画と一体で策定する予定の次期障害福祉計画において整備目標を定め、設置を促進してまいります。
次に、重症心身障害児者の家族への支援についてでありますが、重症心身障害児者が可能な限り在宅で生活を送ることができるようにするためには、本人への支援に加え、介護する家族に対する支援の充実が重要でございます。
このため、都は、家族の病気や都合などで一時的に家庭での療育が困難になった際に、施設などで短期間入所できるよう病床を確保しているほか、家族の休養と本人の健康の保持などを目的に、看護師が自宅を訪問してケアを行う在宅レスパイト事業を実施する区市町村を包括補助で支援しております。
今後とも、区市町村や関係機関と連携し、重症心身障害児者とその家族に対する在宅支援の充実に取り組んでまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕
○産業労働局長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
初めに、多摩・島しょ地域の観光振興についてでございますが、東京全体の観光振興を図る上で、多摩・島しょエリアの魅力的な観光資源を生かし旅行者誘致を進めることは重要でございます。
これまで都は、多摩や島しょの市町村が、観光客の利用する施設の整備や情報の発信など、ハードやソフトのさまざまな取り組みを行う場合に、助成を実施してまいりました。
今後は、二〇二〇年大会に向け、増加が期待される旅行者の誘致など、地元自治体が行う観光振興を加速する取り組みへの支援の充実を検討いたします。また、島しょ地域において、町村と観光協会が協力し、島同士の連携により、地元の消費喚起につながる新たな仕組みづくりについても検討いたします。
こうした取り組みにより、多摩・島しょ地域において、より一層効果的な観光振興を図ってまいります。
次に、地域資源を活用した産業の活性化についてでございますが、地域の特産品やすぐれた技術などを生かし、特色ある事業の創出に取り組む中小企業を支援していくことは、地域経済の活性化を図る上で重要でございます。
都はこれまでも、伊豆諸島のツバキ油を用いた製品の研究開発など、地域の資源を生かした新たな事業に取り組む中小企業に対して、事業に要する経費の助成を行ってまいりました。
今後は、より付加価値の高い製品やサービスの開発を実現するため、事業者に対する経費助成に加え、経営や技術等の専門家によるきめ細かいアドバイスやデザイナーとのマッチングなど、支援の充実を検討してまいります。
こうした取り組みを通じまして、地域産業の持続的な発展につなげてまいります。
最後に、中小企業の事業承継についてでございますが、東京の産業力の維持発展のためには、すぐれた技術を有する企業の次代への承継が円滑に進むよう、効果的な支援を行っていくことが重要でございます。
このため、都は今年度、事業承継に関する新たな支援に着手をいたしました。具体的には、中小企業に対し、事業承継計画の策定やその実行を継続的にサポートしつつ、必要な資金を融資するというものでございます。
本事業では、事業承継に精通した専門家で構成する支援機関が、債務の圧縮など財務上の課題解決に向け、関係者間の合意形成を図るなど、踏み込んだ支援も行ってまいります。
現在、今月下旬の事業立ち上げに向け、支援機関の選定など準備を進めているところでございまして、本事業を着実に実施することで、中小企業の事業承継を促進してまいります。
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