平成二十八年東京都議会会議録第十三号

   午後三時四十五分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十一番中山ひろゆき君。
   〔三十一番中山ひろゆき君登壇〕

○三十一番(中山ひろゆき君) まず、都政改革本部について知事に伺います。
 私たち都議会民進党は、知事選挙最中は小池知事とご一緒する機会がありませんでした。そのため、質問に当たり、東京大改革という選挙公報や、目が充血するほど、何度も知事の演説が配信されている映像を拝見させていただきました。確かに、みずから所信表明でも述べられたように、小池知事の演説は多くの聴衆を魅了し、日に日に聴衆がふえていく光景を映像から拝見いたしました。
 しかし、今回の知事選挙最中では、待機児童問題、東京オリンピック・パラリンピックの課題、防災対策などの喫緊の大きな政策に関しては、基本的に有力候補者の三者と大差はないものでありましたが、まさに知事の発信力と、そして東京大改革宣言というトータルなビジョンによって、都民の心を突き動かしたように思います。
 もちろん、さまざまな要素はありますが、ふたをあけてみれば、知事の圧勝でありました。
 こうした中、知事は早速、東京大改革宣言に基づいて、九月の一日に都政改革本部を立ち上げました。メンバーには、上山信一特別顧問を初めとして十六名もの学識経験者が名を連ねております。
 上山信一氏の「行政の経営分析」という著書の一文には、行政改革において最も重要なことは何か、一にも二にも情報公開であるとつづられております。こうした考えの学識経験者が、第三者の目を持って、内部から行政改革を進めることは、強く期待するものであります。
 そこで、今回、多くの学識経験者を任命していますが、どのような視点で選ばれたのか、知事に伺います。
 次に、ヘイトスピーチについて知事に伺います。
 東京には、現在、約四十万人の外国人が暮らしており、都民のおよそ三十人に一人に及んでおります。また、今後、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、東京を訪れる外国人の数はますます増加することが予想されます。
 さまざまな国から東京に集まる外国人は、多様な文化や価値観、ライフスタイルを持ち、これが東京の伝統文化と相まって、自由で豊かな国際都市東京の活力を生み出しているものといえます。
 一方で、都内を初め全国都市で、特定の国籍を排斥する趣旨の言動、いわゆるヘイトスピーチが行われるなど、外国人の人権が侵害されている事案も見受けられます。
 そこで、外国人の人権が十分尊重されるよう、ヘイトスピーチ対策などを含め、幅広い啓発活動を行うなど、実効性のある対策を講じるべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、東京のブランド発信について知事に伺います。
 知事は、銀座四丁目の交差点での街頭演説や、八月二日の知事記者会見で、東京版コルベール委員会について言及されております。名称はともかくとして、都は、既に東京のブランディング戦略など、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックやMICE戦略を見据え、着々と東京の付加価値が構築されつつあります。
 また、産業労働局や生活文化局など、これまでも継続的にさまざまな施策を通じ、伝統工芸品、都内の中小企業の技術など、十分に把握されているものと認識しております。
 例えば、私の地元台東区においても、靴、かばんなどの皮革製品や伝統工芸品は宝の山といってよいと考えます。
 むしろ、これまでのブランディング戦略を確実に進め、東京にあるさまざまな施策を通じて、築かれた伝統工芸品、中小企業の技術、ブランド品などを知事のリーダーシップによってトップセールスされることが実績を積み上げる確かな道であると考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、観光振興について知事に伺います。
 知事の選挙公報のチラシでは、項目の最後に小さく、東京ブランドを確立し、観光インバウンド客をさらに増大させると示されただけでありました。また、選挙中の街頭演説でも、それほどこの観光振興について取り上げられておりませんでした。
 もちろん、時間も広報物も限られた選挙戦ですから、全てを網羅できるものではありません。
 しかし、インバウンドの取り込みは、東京の経済にとって重要な政策課題になっております。日本が本格的な人口減少時代を迎えていることもあり、交流人口の拡大は成長維持に不可欠な課題であります。
 現在、アジア諸国の経済成長や円安傾向、ビザ発給条件の緩和、消費税免税の拡充など奏功し、インバウンドの数は急増しております。
 また、世界中で海外旅行に十二億人弱出かけていますが、二〇三〇年には十八億人に拡大する見通しともいわれております。増大する旅行需要をめぐって、世界各国がしのぎを削っている環境下にいるのが現実であります。
 そこで知事は、東京の観光振興についてどのような認識を持たれているのか伺いたいと思います。
 次に、観光振興について当局に伺います。
 現在、日本の観光産業も国際競争力を持たなければならないが、観光振興を支える人材育成システムが脆弱ではないかという認識を示しております。
 この理由は、国際競争力にさらされているという感覚が不足している点を挙げております。意識改革と人材育成システム強化が求められている今、観光人材育成に取り組む大学の協力が大変重要な点であります。
 都においては、観光振興プランの中で、MICE開催都市として東京のさらなる地位の向上を目指すため、首都大学東京において、大学生から社会人まで幅広い層を対象としたオープンユニバーシティー講座を開催し、MICEを含め、観光全般に幅広い知識を持つ人材の輩出につなげるとしております。
 そこで、さらなる人材育成のため、産学との連携とともに、次代の観光産業をリードする経営人材の育成強化をすべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、観光振興につながるクルーズ客船ふ頭整備について当局に伺います。
 先日の報道で、クルーズ客船は訪日外国人の伸びを牽引しているとの記事がありました。日本全体で、七月の寄港数は、前年同月の一・四倍となる九十二便で、旅行者数は二十万人を超えたようであります。訪日外国人のことし七月の統計では約二百万人ですから、約一割がクルーズ客船を利用している計算になります。
 こうした中、観光振興に盛んな地元台東区でも、都が計画している臨海副都心のクルーズ客船ふ頭の完成に大きな期待を寄せております。そこで、新客船ターミナルは、国内外から東京を訪れる乗客にとって、利便性の高い施設としていくことが必要であります。
 クルーズ客船から下船した乗客がスムーズに観光バスへ乗りかえることができるようにするなど、乗客の利便性に配慮したターミナルづくりを進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 最後に、豊洲市場移転問題について当局に二点伺います。
 先日、専門家会議の平田座長が日本経済新聞のインタビュー記事で、専門家会議の一番の役割は、築地関係者との意思疎通であり、正確な情報を共有しながら合意形成を目指さなければ話は進まないと語っており、とりわけ、十一月七日の移転に向けて準備をしていたのは市場関係者であります。築地での再契約や冷蔵庫の運転費用などで金銭的にも大打撃を受けて不安の日々を送っていると聞いております。
 そこで、開場延期によって影響を受ける全ての市場業者に対して、経済的な支援策はもとより、十分で丁寧な対応を早急に講じていくべきと考えますが、見解を伺います。
 さらに、今回の延期により、築地の場外市場にある築地魚河岸についても、当初予定していた十月十五日の開業の延期、盛り土問題の発覚で先行き混迷度が増す中で、十一月十九日にプレオープンとして営業を始めることが決まりました。既に人を雇用するなど、準備をしていた事業者などには大きな影響を与えております。
 当時、民主党は、二〇一二年二月七日、築地市場のある中央区と東京都が合意したことを受け、中央区との合意を踏まえ、築地での食文化の拠点が継承されるよう最大限協力することなどとした付帯決議を付して予算案に賛成しました。
 こうした経緯も踏まえ、東京都は、食文化の拠点継承に向け、中央区とも十分協議をし、事業者への必要な支援、協力を最大限行っていくべきと考えますが、見解を伺い、質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 中山ひろゆき議員の一般質問にお答えをいたします。
 東京大改革を推し進めるための都政改革本部に参加していただいている学識経験者の特別顧問の皆さんについてであります。
 都民ファーストの都政の実現に向けました改革を推進するために、先月、私が本部長を務めます都政改革本部を設置したところでありまして、この本部では、徹底した情報公開、それによる都政の見える化を推進してまいります。
 そして、これまでの延長線ではない改革を不断に進めていくということを目標としております。
 そのためにも、東京大改革をともに進めていこうという同じ志を持っていること、そして、さまざまな経験、知見を積んでおられる方々、例えば、情報公開や自治体改革に経験のある方、知見のある方、そして弁護士、公認会計士、企業の経営改革に携わってきた方などを、本部長である私が特別顧問等として任命させていただいたところでございます。
 都政改革本部で行います、さまざまな課題を検討していかなければなりませんけれども、第三者、外部の視点から助言をいただきながら、都庁の自己改革精神を呼び覚ましていきたい、このように考えております。
 次に、ヘイトスピーチ、いわゆる外国人の人権課題に絡んででございますけれども、二〇二〇年東京大会を成功させるためには、多様性を認め合って、あらゆる違いを超えてつながり合うというオリンピック・パラリンピックの精神を広めていく必要がございます。
 また、世界の中で輝き続ける東京であるためには、外国人の人権、当然尊重されるべきものでありまして、また、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、いわゆるヘイトスピーチは許されるものではないと考えます。
 東京都はこれまでも、国に対して実効性のある対策を求めてまいりました。そして、大型の啓発イベントや人権週間行事などにおいて、外国人の人権をテーマとするさまざまな都民啓発を行ってきたところでございます。
 本年六月、いわゆるヘイトスピーチ対策法が施行となっております。このことも踏まえまして、引き続き国としっかり連携しながら、啓発活動などの取り組みを推進して、多様性が尊重され、温かく優しさにあふれる都市、つまりダイバーシティーを実現してまいりたいと考えております。
 そして、次に、東京のブランドの発信についてお尋ねがございました。
 ご指摘のように、東京には、歴史に裏打ちされたたくみのわざによって生み出される伝統工芸品や、新鮮で安全・安心な農畜産物など、魅力ある宝物がたくさん埋もれております。
 こうした東京の宝物を、まず発掘をする、そして、それに付加価値をつけて発信をするということによって、東京の魅力をますます高めていくことができると、このように信じております。
 ご指摘のありましたように、フランスではコルベール委員会なるものが、ブランドの価値を世界に広めていくということで、大変な実績を上げているわけでございます。
 ブランド価値を研ぎ澄まして、二〇二〇年大会を控え、これからますます世界の注目を集めてまいる東京でございますから、対外的なPRに積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
 また、こうした絶好のチャンスを捉えて、一つ一つの宝物に磨きをかけて、それらを通じて東京の魅力を発信するブランディング戦略、私自身先頭に立って強力に進めてまいる所存でございます。
 最後に、東京の観光振興についてのご質問でございます。
 観光は極めて重要な産業でございます。そして、東京が日本の成長の牽引役であり続けるには、ご指摘のように、インバウンドの観光客のさらなる増加を図って、その消費を確実に取り込む、そして都内経済の一層の活性化につなげるということは必要なことでございます。
 外国人の観光客にとって快適な受け入れ環境を実現するためには、例えばさまざまな旅行者ニーズ、それに対応していく、そして、そのためには、ITを活用した観光案内所を設置するとか、駅やまち中での多言語対応の充実をする、さらにはトイレの洋式化、そしてハラール食品の対応など、細やかな気配りを持って進めていきたいと思います。
 また、アニメや漫画などの外国人の関心が高い観光資源を、世界に誇る日本の文化、サブカルとして発信することで、海外からの訪問者の誘致にもつなげてまいりたいと思います。
 さまざまな政策を展開することによって、世界に冠たる観光都市東京の実現を目指してまいりたいと存じます。
 その他の質問につきましては、関係局長からご答弁をいたします。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 観光産業の人材の育成についてでございますが、東京の観光産業の発展のためには、事業展開を適切に方向づける経営者や、レベルの高いサービス提供の担い手などの人材を幅広く育成することが必要でございます。
 これまで都は、MICE関連事業者を対象に、国際会議等の誘致や受け入れに必要な知識を身につける講座を行ってまいりました。また、宿泊事業者が国により異なる文化への理解を深め、よりよい接遇に生かすための研修も実施しております。
 今後は、観光産業の中でマネジメントを担う人材について、大学等の教育機関と連携した育成を検討してまいります。
 こうした取り組みにより、観光産業の発展を後押ししてまいります。
   〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 新客船ターミナルを利用する乗客の利便性についてでございますが、新客船ターミナルは、世界最大の客船にも対応可能な施設であり、国内外から多数の乗客を迎えることとなりますため、高い利便性を確保していくことが重要でございます。
 このため、入国審査、税関審査などの円滑な実施を可能とする施設配置を初め、観光に必要な案内機能や見やすいサイン表示の設置などを行ってまいります。
 また、ターミナルから都内の魅力ある観光地へ向かう乗客がスムーズに移動できるよう、さまざまな工夫を図ってまいります。
 こうした取り組みを通じて、新客船ターミナルを首都東京の玄関口にふさわしい施設としてまいります。
   〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕

○中央卸売市場長(岸本良一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊洲市場の開場延期により影響を受ける市場業者への対応についてでございますが、都といたしましては、築地市場の移転に当たり、相談窓口の設置や利子補給事業を初めとした経済的支援策を行うなど、これまでも、きめ細かな対応を行ってまいりました。
 また、市場業者は厳しい経営環境の中、豊洲の開場に向け準備を進めてまいりましたが、このたびの移転延期により、経済的な負担など、さまざまな影響が生じ、大きな不安や課題に直面しているものと考えております。
 これらの課題に適切に対応していくためにも、業界団体と協議しながら、早急に市場業者が直面する課題や経済的な影響を把握し、現在、実施しております支援策の着実な実施及び相談体制の拡充を図るなど、市場業者の不安や負担が解消されるよう丁寧に対応してまいります。
 次に、築地場外市場の事業者への支援や協力についてでございますが、都と中央区は、平成二十四年の築地のまちづくりに関する合意に基づき、都区検討会を設置し、築地のにぎわい継承に向けた検討を重ねてまいりました。
 本年三月には、築地市場移転後の跡地が築地魚河岸を初めとする場外事業者や来街者用の駐車場等として有効活用されますよう、その一部を暫定的に区に貸し付ける覚書を締結したところでございます。
 今回の移転延期を踏まえ、今後、区と十分に協議を行い、食文化の拠点として築地地区が育んできた活気とにぎわいが確実に継承されるよう、都としても引き続き協力を行ってまいります。
   〔発言する者あり〕

○副議長(小磯善彦君) 傍聴席はお静かに願います。

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