○副議長(小磯善彦君) 六十八番河野ゆうき君。
〔六十八番河野ゆうき君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○六十八番(河野ゆうき君) なれ合いのない、緊張感のある関係、改革を本気で実行する姿勢。知事の所信、大変感銘を受けました。
コスト感覚の緩さ、ガバナンス能力、責任感の欠如。巨大都庁の大改革、妥協することなく、徹底的に進めていただきたいと思っております。
一方で、都には、士気の高い有能な職員もたくさんいます。名誉都民になられた小澤征爾さんは、先日の授賞式で、棒振りはオーケストラがいないと何もならないとおっしゃっておりました。職員のやる気につながる改革と同時に、信頼関係を築いていただけるようお願いを申し上げます。
ところで知事は、行政の連続性についてどのように考えているでしょうか。左側通行を突然、あしたから右側通行では困ります。
先日の所信表明は、具体的な政策面については、歴代の焼き直しが多いと評価をされておりました。細かい政策の部分では、方向性は、都庁がこれまで進めてきた、あるいは我々が求めてきた方向とおおむね共有していると感じました。
そこで、改めてお聞きします。行政の連続性についてどのようにお考えか。立ちどまって考えることも時には必要です。また、継続することで、価値の出てくる政策などもあります。引き返すには、それなりの正当な理由が一つ一つ必要であります。所見を伺います。
次に、防災、都市整備について伺います。
常々我が会派は、後藤新平の見果てぬ夢の実現を目指し、努力してまいりました。都市整備の分野では、ぜい肉どころか、まだまだ骨格づくりは継続中であります。
ことし四月に発生した熊本地震では、多くの住宅に被害が発生し、改めて住宅耐震化の重要性を認識しました。対策は急務であります。
各自治体は、さまざまな工夫を凝らし耐震化を進めております。例えば、墨田区では、バリアフリーが必要になる高齢者の方は、風呂場の改修やトイレ、廊下の手すりなどは、必要に駆られ工事を実施する世帯が多いことから、その際に、あわせて耐震補強の工事を行うと、さらに補助を受けることができる制度を構築しております。
都としても、住宅の耐震化に向け、さらなる積極的な施策の検討が必要と考えますが、今後の取り組みについて伺います。
次に、無電柱化について伺います。
なぜ、海外に比べて日本は無電柱化が進まないのでしょうか。
海外の主要都市における無電柱化率は、ロンドン、パリ、香港では一〇〇%、ニューヨークでは八三%、一方、東京二十三区では、国道、都道、区道を含めると、たった七%程度であります。
知事は、電柱ゼロを掲げており、先日の所信表明では、無電柱化推進に向けた大きなうねりを起こすとおっしゃっておりました。
そこで、都の無電柱化の取り組みについて伺います。
また、平成二十六年に出されました東京都無電柱化推進計画は、以前、私は、東京都道無電柱化推進計画ではないかと申し上げたことがあります。難しいのは区市町村道であります。
以前、板橋区の商店街で四百メートルの整備に六億三千六百万円もの事業費で丸八年かかりました。財政基盤の弱い区では、事業化はなかなか進まない状況があります。板橋区道の無電柱化の整備率は、たったの〇・三三%。
国は、ことし二月にコスト削減策として、交通量の少ない道路において、電柱等の埋設の深さを浅くできるように基準を緩和しました。
そこで、区市町村道の無電柱化を促進するため、コスト削減に向けた今後の都の取り組みについて伺います。
次に、踏切対策について伺います。
都は、特定整備路線である補助七三号線を整備しております。池袋の西口、劇場通りから、東武東上線の下板橋駅を通り、国道一七号中山道につながる重要な計画路線です。鉄道との交差については、安全性、利便性向上のため、地元には、将来アンダーパスで整備することを説明されております。
しかしながら、ここには、谷端川の下水幹線が埋設されております。道路のアンダーパス整備には課題があるかと考えますが、検討状況を伺います。
一方、隣の駅である大山駅付近においては、鉄道連続立体交差事業の事業候補区間に選定されております。この隣接する区間をあわせて整備することで、コスト的にメリットが出る可能性があると考えます。
ぜひ、ここは立ちどまって、ワイズスペンディング、検討していただくことをお願い申し上げます。
また、ときわ台駅から上板橋駅付近の区間も、鉄道立体化の必要性が高い区間と考えます。この区間の立体化に向けての都の見解を伺います。
次に、城北エリアでの公認陸上競技場設置について伺います。
都内には、国立、都立、大学等、三十カ所の日本陸上競技連盟公認の陸上競技場がありますが、城北地区、荒川、北、豊島、板橋、練馬区内には、陸連公認の競技場は、二百五十メートルトラックを有する板橋区新河岸陸上競技場しかなく、しかも、第四種公認のため、陸上に親しむ城北地区の中高生の多くは、大会のために、江戸川や夢の島の競技場など遠方まで行くことになります。
地元体育協会などは、城北地区への公認競技場整備の要望を各区長に提出しており、とりわけ都立城北中央公園にある四百メートルトラックの陸上競技場を改修、再整備することで、第三種公認化への期待をしております。
板橋区と練馬区にまたがる都立城北中央公園は、幅広い世代の方々が散策やジョギングに親しんでおります。スポーツを楽しむ姿も見られますが、地元からは、さらなる公園の活性化、にぎわい創出を求める声が大きいです。
城北中央公園への第三種公認陸上競技場設置について見解を伺います。
次に、MICE誘致について伺います。
都内の観光資源に一層の磨きをかけ、集客力を高めるとともに、新しいイベントを開催することで、東京への訪問客をふやしながら、東京のイメージアップにつなげる視点も大切だと考えています。
こうした視点に立ち、私は、議会の場で幾度か、フォーミュラEの誘致を提案してまいりました。
フォーミュラEは、世界の大都市の市街地の中をコースとする電気自動車のレースです。
知事もご承知のとおりのことと思いますが、国の自由民主党モータースポーツ振興議員連盟では、公道でのレース開催を後押しする自動車モータースポーツの振興に関する法律の法案を準備しており、この臨時国会で成立を目指しているともいわれております。
昨年の八月には、六本木で小規模なデモ走行も開催されました。このような国際的なイベントは各地で開催されており、誘致に向けた競争も盛んであると聞いております。ぜひとも、都でも誘致を検討していただきたいと思います。
さて、東京でも、MICE誘致の支援という形で、さまざまなイベントを開催するサポートを行っています。MICE開催をふやすためには、国や民間など多様な主体が協力してMICE誘致に取り組む体制をつくるとともに、MICE開催そのものの意義等についても広く普及を図ることが重要と考えます。
さらなるMICE誘致に向けて、都としてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
次に、都民サービスの品質向上について伺います。
都民サービスを効率的、効果的に提供する上で、公の施設の管理運営に民間の能力を活用することは不可欠であり、こうした視点に立った改革に取り組んでいくことはもとより重要であります。
一方で、こうした取り組みを進めた結果、経費削減が優先され、都民サービスが低下することになっては本末転倒です。過度な競争によって、安かろう悪かろうになることで、指定管理者制度など民間活力の導入による効果が発揮されないことも懸念されます。
都においては、我が党からの意見を踏まえ、総合評価方式の充実や最低制限価格制度の適用拡大、社会保険等の未加入対策などの取り組みを通じ、工事契約等における品質の確保や法令遵守に向けた見直しを進め、良質な都民サービスを安定して供給するための制度改正を行ってきました。
今後は、こうした品質向上の取り組みを公の施設の担い手である指定管理者へも広げることが重要であり、例えば、社会保険等未加入対策として社会保険労務士の専門性を活用したモデル調査を実施するなど、指定管理者の法令遵守を促し、都民サービスの品質をさらに高めていく取り組みが必要であると考えますが、見解を伺います。
最後に、高校生の社会貢献活動について伺います。
地震や台風などの自然災害が発生するたびに、ボランティアによる支援の重要性を改めて認識するところです。
しかしながら、国の調査によると、実際に活動をしたことのある人の割合は、思いのほか低い傾向にあります。
我が党ではこれまでも、地域で行動する人材を育成することの重要性を主張してきました。その一環として、都教育委員会がこの夏に、高校生を東日本大震災の被災地に派遣し、ボランティア等を体験する合同防災キャンプを実施したことは高く評価します。
ボランティアへの意欲はあっても、具体的な行動に移すことができない現状を打破するには、全ての都立高校生がボランティアに参加できる取り組みを推進する等、若いときから意欲を行動につなげる取り組みが重要だと考えます。
今後も、学校教育において、都立高校生の社会貢献意識をより一層高め、実際の行動につなげていくことが必要であると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
以上で質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 河野ゆうき議員の一般質問にお答えいたします。
行政の連続性についてのご質問がございました。
今まさに、豊洲市場の安全性やオリンピック・パラリンピックの開催費用などについて、立ちどまって検証しているところでございます。
そして、これらの検証を行うことは、今日の都民のため、そして、五十年後、百年後の都民のために働いていることにほかならないと考えております。
食の安全を守り、負のレガシーを残さないために、どうしても、今ここで私たちがやらなければならないことだと考えております。今やらずしていつやるのかとの思いでもございます。
行政の連続性も大切であります。漫然と政策を継続するようなことがあってはならない、一方でそのようにも思います。
大義に照らして、守るべきものは断固として守り、変えるべきものは大胆に変えていく、そして、変えるからには、説明責任をしっかりと果たし、都民の皆様、納税者の皆様の理解と共感を得てまいりたいと考えております。そして、これが私の政治姿勢とお受け取りください。
そして、都民のため、この思いを共有している都議会の皆様とお互いにこうやって議論をぶつけ合いながら、真に都民ファーストの都政を実現してまいりたいと考えております。
その他の質問につきましては、教育長及び関係局長からご答弁させていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕
○教育長(中井敬三君) 高校生の社会貢献についてでございますが、将来の社会の担い手である高校生に、地域で率先して助け合おうとする共助の心を育むためには、学校教育においてボランティア精神をより一層涵養し、具体的に実践しようとする取り組みを強化することが重要でございます。
このため、都教育委員会は、教科、奉仕を発展、充実させた新教科、人間と社会を本年度から全面実施するとともに、被災地で産業復興にかかわるボランティアや防災士の資格取得に取り組む合同防災キャンプを実施いたしました。
今後、これらの取り組みを推進していくことに加え、全校で展開するオリンピック・パラリンピック教育を通じ、大会運営や旅行者への支援等、多様なボランティア活動に取り組ませるなど、学校教育の中に奉仕体験活動を明確に位置づけ、高校生の実践意欲と行動力を育んでまいります。
〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕
○都市整備局長(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、住宅の耐震化に向けた今後の取り組みについてでございますが、地震による住宅の倒壊を防ぐことは、居住者の生命と財産を守るとともに、災害に強い都市を実現する上で極めて重要でございます。
このため、都は、防災都市づくり推進計画に定める整備地域での耐震改修工事の助成について、今年度から、上限額を約二倍に引き上げるなど、支援を拡充してございます。
また、整備地域内に限らず、区市町村が所有者からの求めに応じて、木造住宅の簡易診断を行う技術者を派遣できるよう、都は財政的な支援を実施してきてございます。
今後は、こうした取り組みに加え、お話のバリアフリー工事の機会を捉えて耐震改修に助成するといった効果的な先進事例について、都民へのPRや区市町村への実施の働きかけを行うことも含めまして、耐震化の促進に向け、さらなる取り組みを進めてまいります。
次に、東武東上線ときわ台駅から上板橋駅付近の立体化についてでございますが、本区間は、平成十六年に策定した踏切対策基本方針において、鉄道立体化の検討対象区間に位置づけてございます。
鉄道立体化については、地域におけるまちづくりと大きく連動することから、地元区が主体となり、地域の将来像や鉄道立体化を契機としたまちづくりの方針を具体的に検討することが必要でございます。
加えて、本区間には、交差する道路として、都市計画道路の第四次事業化計画に位置づけた、区施行の補助第二四四号線などがございます。
都としては、これらのまちづくりの検討状況や交差道路の整備計画の具体化などを十分に踏まえまして、適切に対応してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕
○建設局長(西倉鉄也君) 五点のご質問にお答えいたします。
初めに、無電柱化の取り組みについてでございますが、都は、平成二十六年に策定いたしました第七期の無電柱化推進計画に基づき事業を実施しており、センター・コア・エリア内の計画幅員で完成した都道の無電柱化を平成三十一年度までに完了させることとしております。
また、第一次緊急輸送道路は、平成三十六年度までに対象路線の整備率を五〇%に引き上げ、特に震災時に重要な機能を果たす環状七号線は全線で無電柱化を完了させます。
さらに、区市町村道の無電柱化を促進するため、財政支援や区市町村職員向けの研修等による技術支援に引き続き取り組んでまいります。
今後とも、都市防災機能の強化や良好な都市景観の創出、安全で快適な歩行空間の確保に向けて、無電柱化を積極的に推進してまいります。
次に、無電柱化のコストについてでございますが、区市町村道も含めて、都内全域で無電柱化を推進していくためには、これまで以上に整備費用を削減することが重要でございます。
電線等の埋設の深さを浅くすることにつきましては、国の基準の見直しも踏まえ、交通量の少ない道路での導入に向けて、安全性や施工性などの技術的な検証を行ってまいります。また、道幅の狭い道路における無電柱化のコスト削減に向けて、東京電力やNTT等と検討会を設置いたしまして、電線共同溝のさらなるコンパクト化や、管路等に使用する材料の低コスト化などについて検討してまいります。
今後とも、関係事業者と連携しながら、コスト削減による無電柱化の一層の推進に取り組んでまいります。
次に、補助第七三号線整備の検討状況についてでございますが、補助第七三号線のうち、豊島区池袋本町二丁目から板橋区板橋一丁目までの延長千七十メートルの区間は、首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえて策定いたしました、木密地域不燃化十年プロジェクトの実施方針に基づく特定整備路線といたしまして、平成二十七年一月に事業着手いたしました。
本路線は、下板橋駅付近で東武東上線と交差しており、当該箇所には、下水道施設である谷端川幹線が通っていることから、その移設方法について協議するとともに、道路構造の検討を行っております。
今後も協議や検討を進めるとともに、地元の理解と協力を得て、特定整備路線である補助第七三号線の整備を推進してまいります。
次に、東武東上線大山駅付近の鉄道立体化についてでございますが、大山駅付近には、補助第二六号線を含む八カ所のあかずの踏切があり、鉄道による地域分断の解消等が課題となっております。
都は、本区間を平成二十六年九月に連続立体交差事業の事業候補区間に位置づけ、現在、事業範囲や構造形式などを検討しております。
事業範囲につきましては、大山駅と下板橋駅の間に位置する山手通りが、既に高架構造で鉄道と立体交差していること、鉄道の車両基地が下板橋駅に隣接していることなどを考慮し、費用対効果を勘案して検討することが重要でございます。
引き続き、地元区や鉄道事業者と連携し、鉄道立体化に向けて積極的に取り組んでまいります。
最後に、城北中央公園への第三種公認陸上競技場の設置についてでございますが、城北中央公園は、石神井川と一体となって水と緑のネットワークを形成する、開園面積二十六・二ヘクタールの公園であり、野球場等の多くのスポーツ施設を有するとともに、震災時の活動拠点の役割も担っております。
現在の陸上競技場を第三種公認化するためには、四百メートルトラックを六レーンから八レーンへと増設することや、観覧席の新設等により、陸上競技場の区域の拡張が必要となります。
今後、関係区と情報交換を行うとともに、こうした区域の拡張が公園利用者や周辺の樹木を含む環境に与える影響など、公認陸上競技場設置に伴う課題の把握に努め、実現性を含めて検討してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕
○産業労働局長(藤田裕司君) 東京へのMICE誘致についてでございますが、都内でのMICEの開催をふやすため、その誘致や受け入れにノウハウを持つ政府機関や民間との協力を図ることが重要でございます。
これまで都は、学識経験者のほか、誘致や受け入れの実務に詳しい民間事業者を交えた会議を開いて助言を受け、MICE誘致に向けた施策の展開に役立ててまいりました。
こうした中、国際的に誘致をめぐる競争が激しさを増しており、関係主体の一層の連携強化が必要となっております。
そのため、今後、国や民間、地域の団体などさまざまな関係者が協力して、MICEの誘致と開催に取り組む体制づくりについて検討を進め、MICE誘致の意義や必要性を発信するとともに、効果的な誘致の実現を図ってまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕
○総務局長(多羅尾光睦君) 指定管理者制度における都民サービスの品質向上についてですが、公の施設の管理運営に民間の能力を活用する指定管理者制度の運用においては、コスト面だけでなく、都民サービスの品質向上という観点がとりわけ重要でございます。
これまで都は、指定管理者の選定では、外部専門家を含む選定委員会が、経費だけでなく管理水準など品質面の審査も行い、また、履行段階では、定期的な管理業務の確認に加え、毎年度、外部の視点も得て評価委員会が管理運営状況を評価し、品質確保に取り組んでまいりました。
今後、お話の指定管理者における適正な労働環境の維持、確保についても、専門家の活用を図るなど、チェック機能の強化策を検討してまいります。
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