平成二十八年東京都議会会議録第十二号

   午後三時五十一分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百八番東村邦浩君。
   〔百八番東村邦浩君登壇〕

○百八番(東村邦浩君) 都議会公明党を代表して質問を行います。
 この夏、北海道や東北地方を初め日本列島は立て続けに台風の直撃を受けるなど、甚大な豪雨災害をこうむりました。亡くなられた方々のご冥福と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
 質問に入ります。
 知事と議会は、健全でめり張りのある緊張感を保ちながらも、互いに都民の声を代弁する二元代表として切磋琢磨し合うべき関係でなければなりません。
 都議会公明党は、是は是、非は非との基本姿勢を貫き、その中で数々の制度創設や事業の改善を推進してまいりました。改めて都民のための政策を積極的に提言していくと表明するものであります。
 小池都知事は就任以来、都民ファーストと東京大改革を強調されています。都民ファーストについては、我が党も賛同するものであります。その上で、我が党としてはあえて、弱者に寄り添う庶民ファーストの視点を強調しておきたいと思います。
 一口に都民といっても、生活の基盤はさまざまに異なり、経済力も違います。みずからの力で希望を実現できる人や試練の克服が可能な人もいれば、自分の力だけでは乗り越えられない人もいます。
 例えば、ことし七月に、神奈川県相模原市の津久井やまゆり園で発生した殺傷事件は、犯行の残虐さとともに、障害者などの存在を全否定し、税金の無駄遣いとまで公言する容疑者の言動が人々に大きな衝撃を与えました。
 みずからを選良と思い込み、他者の生存の権利まで奪おうとする考え方は、一般に優生主義といった言葉で表現されます。今回の事件に限らず、歴史的に見ても悲惨な大量虐殺や人種差別など、人類の負の遺産となってきました。
 都議会公明党は、効率性などを根拠に、今再びこのような考えの台頭を許すような風潮とは、断固闘うものであります。
 一方、一見して強い立場にある、あるいは順風満帆に見える人であっても、人生の山坂にあっては、いつ何どき急な下り坂や谷底に直面するかわかりません。いわば、いつでも、誰でも社会的弱者になるかもしれないのです。
 その意味で、自力での克服が困難な状況に陥ったときには、誰人であっても必要な支援を受けて、みずからに適した自己実現を図ることができるための社会的な仕組みが必要です。
 その社会的仕組みこそが福祉であり、成長と分配を適正に保ちながら福祉を守り、支えていく取り組みは、まさに人々の英知を結集して臨むべき文明史的にも価値のあるものと考えます。
 都議会公明党は、これまでもそうした観点から、機会あるごとに東京都を世界一の福祉先進都市とすべきと訴えてまいりました。
 例えば、住宅政策上のセーフティーネットであるべき都営住宅などの維持充実や高齢者の健康寿命の増進を支え、世代間交流を社会的に促す役割を担うシルバーパスなども福祉先進都市の象徴的な取り組みと考えます。
 小池都知事が目指す都政は、社会的弱者にどう寄り添う政治であるのか、知事の基本的見解を求めます。
 弱者に寄り添う視点は、教育環境を整える上でも大切です。特に高等学校の学費、とりわけ公私間格差の負担感は、平成二十六年にリニューアルスタートした国の高等学校等就学支援金制度をもってしてもなお改善の余地があり、保護者の肩に重くのしかかっています。
 特に、都は他の道府県に比較し、私立学校への依存度が高く、都立高校の在籍数は、都内で高校に通う生徒数の四割にすぎません。所得の少ない家庭では、私学を選択したくても経済的に困難であるとのケースも多く見受けられます。
 公明党は、さきの党大会で、大学教育においても無償化の流れを本格的に推し進めると表明しました。都は、国に先駆けた改革を、まずは高校授業料の公私間格差の解消策として打ち出すべきと考えます。
 例えば大阪府では、授業料の上限設定を条件とするキャップ制をしき、所得に応じて授業料の免除や減免に乗り出しています。百校程度ある府内の私立高校のうち、上限を超え授業料を設定する高校は一校しかありません。
 一方、キャップ制には私学経営者に負担の肩がわりを強要し、耐震化や機器の導入、教職員の人件費などで、逆の公私間格差となる課題もあります。
 教育の自由と私学の独立性を守るため、私立高校への経常費補助は一層の充実が必要であります。その上で、都は、中低所得者世帯の授業料等の負担の公私間格差の解消に取り組むべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、豊洲市場問題について質問します。
 小池知事による開場延期の決定、建物部分での盛り土の不存在の発覚、地下空間と地下水問題と続いた一連の問題は、今まさに大事な局面に差しかかっています。
 都議会公明党は、現地調査を三回重ねた上で、リオ・パラリンピック大会から帰国直後の小池知事に対し、緊急要望を行ったところであります。
 豊洲市場問題は、都民の食の安心・安全への信頼を大きく揺るがす問題です。都議会公明党は、既にプロジェクトチームを立ち上げ、万全な食の安全対策の再構築、そして、原因究明、再発防止に向け、全力で取り組んでいます。都においてもしっかりと説明責任を果たしていくことを強く求め、質問に入ります。
 専門家会議が敷地全体への盛り土を提言したのは、平成二十年七月であります。また、第九回の技術会議では、仮に地下水中から環境基準を超える汚染物質が検出された場合には、汚染地下水の浄化ができるよう、建物の下に作業空間を確保する必要があると、建物の下のモニタリング空間利用の考え方が都庁側から提案されております。しかし、最終的な技術会議の報告書には、地下空間を利用する提言など、どこにも記載されていません。
 そこで、市場当局はなぜ専門家会議からだけでなく、技術会議からも提言されていない地下空間利用を推し進めたのか、都は、理由を明らかにすべきであります。基本設計の発注に至る検討の内容と経緯を含め、明快な説明を求めます。
 平成二十六年の第十七回、第十八回技術会議の説明資料によれば、埋め戻し、盛り土の完了確認図面には、五、六、七街区の各建築敷地の地盤高は、全て盛り土がされていないAPプラス二メートルと記されています。
 専門家である技術会議の委員の方々が、この二回の技術会議で建物の下に盛り土がなされていないことを認識していたかどうかは極めて重要な問題です。資料並びに都の説明から判断すると、技術会議は盛り土はないということをわかっていたとしか思えません。この点について知事の見解を求めます。
 施設の基本設計の特記仕様書や技術会議の平面図には、建物の下に盛り土がないことを前提とする資料が配布されていたにもかかわらず、市場当局は、その後も事実と異なる議会答弁を繰り返しました。これは議会に対する信義違反であります。
 例えば、平成二十七年三月十七日の経済・港湾委員会での我が党委員に対する質疑では、都は、具体的には、ガス工場操業地盤面から下二メートルまでの土壌は、汚染の有無にかかわらず全て入れかえ、その上に二・五メートルの盛り土をすることに加え、操業に由来する汚染土壌を全て掘削除去し、汚染地下水は七十年間、一日二リットルの地下水を飲用しても健康に対する有害な影響がない濃度として法に定められた基準値以下に浄化するなどの対策を実施したものでございますとの答弁をしております。
 小池知事が開場延期の決定を公表した翌日も、市場当局は専門家会議の提言のとおり、盛り土について実施したと述べていました。余りにも事実とは異なる答弁と説明であり、到底納得できるものではありません。
 もとより答弁内容は、中央市場長を初め幹部職員の共通認識のもとで協議されるものです。事実経過の時系列を考えれば、この答弁が行われた時点では盛り土が行われていないことを幹部職員は皆、承知していたはずです。
 誤解を恐れずに申し上げれば、まさに市場当局は、局を挙げて集団的に偽っていたとしか思えません。議会軽視のきわみであります。こうした答弁に至った経緯と、その責任について明らかにすべきであります。見解を求めます。
 今後、豊洲市場問題について、都民の皆様の不安を取り除く上で検討しなければならないことを二点申し上げます。
 一点目は、風評被害対策です。都議会公明党が先月二十一日に小池知事に緊急要望を行った際、変な風評被害を立たせないような努力と透明性を確保すると発言されました。食の安全という都民の関心の高い問題だからこそ、あらぬ風評を未然に防止していくことは、この問題における重要な課題の一つであると考えます。
 知事が想定されている風評被害対策の内容と今後の方針について見解を求めます。
 二点目は、市場関係者への配慮であります。知事の移転延期の決断で、市場関係者の最大の不安要因は、市場の将来展望が描けないことであります。
 こうした中、築地の市場業者が最も懸念しているのも、この風評被害であります。風評被害は仮に今後豊洲に移転した後に発生するのではなく、今ここにある危機であります。こうした不安は、市場関係者のみならず、今や豊洲市場の周辺にも及んでいます。
 知事は、九月三十日の定例記者会見においては、市場関係者への補償ということについてはしっかりと取り組ませていただくとも発言されました。
 築地ブランドを守り、築いてくださった市場関係者の皆様が混乱と不安を抱え、日々心労を重ねておられる中、都の責任として真摯に市場関係者の皆様に応対していかなければなりません。
 今後、市場関係者やその周辺が抱えている不安解消に向けて、補償内容の明示や相談対応の充実などを直ちに示すべきであります。知事の見解を求めます。
 豊洲市場問題の最後に質問します。
 今後、知事は大きな決断をしなければならない課題が山積しております。小池知事が延期の決断をされた際に、理由の一つとして言及された地下水のモニタリング調査では、九月二十八日、第八回目の速報値において、二百一カ所の観測地点のうち、三カ所で環境基準を超えるヒ素やベンゼンが検出されました。この結果を知事はどう受けとめているのか見解を求めます。
 都議会公明党が九月十四日に行った現地調査において、青果棟など三施設の地下空間のたまり水を確認しました。その原因として、地下水が上昇している可能性があると判断し、都に対し、直ちに現状の地下水の水位を示すよう申し入れました。
 しかし、都は、それを示さなかったため、都議会公明党は、二十一日再び現地調査を行い、地下水位観測井戸のマンホールをあけさせ、メジャーを差し込み、おおよその地下水位を計測しました。
 その結果、地下ピットにたまったたまり水の高さよりも高い水位であることを確認しました。そもそも専門家会議の提言は、地下水を管理し、地下水位の上昇を防止することであったはずであります。具体的には、APプラス二メートル程度を求めています。
 都は、都議会公明党の調査、提言を受け、ようやく昨日から水位を計測し、本日午前、観測井戸における地下水位の測定結果を発表しました。
 これによれば、最低の水位でもAPプラス二・九メートル、最高水位はAPプラス五メートルを超えていることが明らかになりました。これでは何のための安全対策なのか、地下水管理システムにふぐあいがあったのではないかと疑わざるを得ません。本来、建物の完成と同時かそれ以前に地下水管理システムを本格稼働させ、地下水をコントロールしていなければならなかったはずです。
 都は、なぜ都議会公明党の指摘を真摯に受けとめ、直ちに地下水の水位を計測してこなかったのか、また、建物完成の五月から管理システムを稼働させなかったのか、その理由をそれぞれ明確にすべきです。答弁を求めます。
 さらに、盛り土問題を隠し続けてきたことが、今再び環境アセスメント、環境影響評価の手続にも影響を及ぼし始めています。市場当局は、都の環境局に対し、変更届の提出をしたいとの意向を示しています。
 仮に審議会において、環境アセスのやり直しを求める意見が出た場合、再度実施する場合は十五カ月を要すると考えられます。こうした事態をどのように認識しているか、知事の見解を求めます。
 さらに、安全性の確保のための追加工事の実施、開場の見通しが立たない中、増大化する補償費用の問題等に対し、今後追加の予算措置が必要となります。そうなれば、公営企業会計だけでは賄い切れず、一般会計から税金を投入することも想定されます。これは公営企業の独立採算の原則に抵触することにもなります。こうした事態を知事はどのように受けとめているのか見解を求めます。
 豊洲市場の安全性の問題や建物の下に盛り土をしなかった原因究明については、今後、一般質問でも取り上げ、さらに、経済・港湾委員会で集中的に審議していくことを申し上げ、次の質問に移ります。
 八ッ場ダムについて質問いたします。
 今定例会には、事業費の増額について知事から議会の同意が求められております。八ッ場ダムの整備事業は、これまで幾たびも建設の是非が議論されてきました。
 昭和二十二年の台風九号、いわゆるカスリーン台風級の水害等を教訓に、首都東京及び利根川流域を守るため、公明党が建設推進の立場を貫いてきたことは改めて申し上げるまでもありません。集中豪雨や渇水期の対策として重要なダムであり、一日も早い完成を求めるものであります。
 総事業費の見直しは今回が二度目となり、十二年前には四千六百億円であったものが今回は五千三百二十億円。七百二十億円の増加であり、このうち東京都の負担増は九十九億円となっています。
 これについて知事は、特定多目的ダム法に基づいて都議会の議決を求めているわけでありますが、知事自身が東京都負担分の増加に同意するに至った政策決定過程を明らかにし、基本計画変更について、議会や都民の理解を求めるべきであります。見解を求めます。
 東京都の喫緊の課題であり、補正予算として提出されている待機児童解消に向けた緊急対策について質問します。
 今年四月一日時点の待機児童数は、東京において昨年より六百五十二人増の八千四百六十六人になっています。都政において待機児童対策は引き続き重要な柱となっています。今回の補正予算案について、都議会公明党は、施策を大きく前へ進めるために必要な取り組みと認識しています。
 そこで、今回の緊急対策をより実効性あるものにしていくために、提案を含めて質問をいたします。
 待機児童対策について、知事は所信表明の中で、国家戦略特区を活用した都立公園への保育所整備に触れました。現在、世田谷区にある都立蘆花公園の一角を民間事業者に提供して、その事業が行われていますが、都議会公明党の調査で、その建設地の地下に大量のごみが広範囲に堆積し、一部から環境基準の約三倍の鉛成分が検出されたことが明らかになりました。事業者は建設を進めることができない状況になっています。
 都議会公明党は、九月二十六日、現地調査を行い、二十八日は都に対し、早急に対応を求める緊急申し入れを行いました。適切に対応しなければ、保育所整備に都立公園を提供する事業の信用にもかかわり、風評被害によって今後の待機児童解消のための都有地活用に影響が及ぶ可能性があります。
 都は、早急に土壌汚染の実態や原因を明らかにするとともに、調査だけにとどまらず、土壌を取り除くなど具体的な対策を進め、さらに工事が進められないでいる事業者へも適切な支援を行うべきであります。見解を求めます。
 また、都は、都有地での保育所整備を進めるため設置した都有地活用推進本部で、まずは財務局所管の未利用の都有地三百二十八カ所の中から活用可能性のある土地をリストアップしていくと聞いています。保育所は、子供たちが一日の大半を過ごす場所であります。
 今後、区市町村や民間事業者に活用してもらうに当たっては、安全性を調査した上で提供していくべきと考えますが、知事の所見を求めます。
 次いで、緊急対策をスピーディーに推進していくための区市町村へのさらなる配慮についてであります。
 今回の緊急対策では、保育所の整備について従来の都の計画に五千人分を上積みするとしていますが、この五千人には、区市町村が既に当初予算に基づき着手している案件も多く含められており、いわば織り込み済みといえます。
 緊急対策では、区市町村の負担軽減が図られているとはいえ、早期に実効性を上げていくためには、区市町村に対するさらなる支援が必要です。見解を求めます。
 保育士不足の解消に向けて、都議会公明党はこれまで、保育士給与の増額補助、資格試験の年二回の実施、保育士養成校の卒業時における就職マッチング支援など、さまざまな取り組みを提案し、実現してきました。
 今回の緊急対策では、抜け落ちている取り組みがあります。特に保育士給与の増額という重要な取り組みが盛り込まれていません。物価が高く、生活環境が厳しい東京において、給与の増額を進めていくことは、保育士確保策の大きな柱になると考えます。
 また、保育現場で働く保育補助者への支援も重要であります。保育補助者は重労働ながら非正規雇用が多く、最低賃金に近い状況があり、長続きしない、希望者がふえないという課題を抱えています。
 保育補助者を含め、保育士等の賃金アップを支援すべきと考えますが、知事の所見を求めます。
 保育人材の確保策として、子育て支援員の育成、活用を進める必要があります。子育て支援員制度は、子ども・子育て支援制度の開始に伴い、全国共通の制度として創設されました。都が実施する研修を受講し、認定されると保育士の配置基準の三分の一を超えない範囲で、みなし保育士として活用できています。
 本年の第一回定例会での都議会公明党の質問を受け、都は、研修の大幅な拡充を進め、今回の緊急対策でも、さらに三百人増員するとあります。応募状況を確認した上で、定員を超過した場合は、全員が受講できるよう対応すべきと考えますが、見解を求めます。
 待機児童の解消に向けた受け皿として、幼稚園による三歳未満の子供を対象とする、いわゆるプレ幼稚園の取り組みがあります。幼稚園教育の対象外とされる三歳未満の子供について、集団的な子育てともいうべき保育の効果に期待を寄せる保護者がふえています。
 幼稚園側もプレ幼稚園や預かり保育園を拡大させる意向はあるものの、人件費の負担増が壁になっています。新たな保育園をつくるのに比べ、既存幼稚園を利用しての三歳未満の対応拡大は、実効性が高いと思われます。
 人件費補助などの幼稚園の取り組みに対する支援を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 保育施設の整備を推進していくために、民有地や空き家の活用を図っていくことは効果のある取り組みです。緊急対策では、賃借料の補助を強化することを盛り込んでいますが、さらに固定資産税等の軽減措置を拡大していくことが必要と考えます。
 現在、固定資産税等の軽減措置は、自家所有物件や無料で貸し付ける場合に限っていますが、これを定期借地や建物賃貸を行う場合にも拡大していくべきであります。見解を求めます。
 次に、オリンピック・パラリンピック東京大会について質問します。
 先週、都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームが、開催経費の妥当性等について警鐘を鳴らしました。特に、都や国、そして組織委員会等で構成される調整会議のあり方について、リーダーが不明で全体の予算管理者がいない点について厳しく指摘しております。
 都政改革本部は、調整会議のあり方を具体的にどう変えていくのか、知事の見解を求めます。
 都政改革本部は、開催経費について三兆円に上るとの試算を改めて発表しました。そのうち、組織委員会の経費は二兆円を超えると試算されており、最大五千億といわれている収入を差し引いても一兆五千億を超える赤字が生じることになります。
 組織委員会の事務所が入るビルの賃料だけでも年間四億七千万円に上ることなども明らかになっており、こういった組織委員会の詳細な収支については、現在都議会でチェックできない仕組みになっています。
 このような状況で組織委員会の膨大な開催経費のツケが都に回された場合、都民の理解を得ることは到底困難といわざるを得ません。開催経費が膨大になり、組織委員会の収支が赤字になった場合の財政負担は、第一義的には東京都が全てこうむるからであります。
 組織委員会の監理団体化への検討も含め、都と議会が財務内容をチェックできる仕組みを確保するべきであります。
 あわせて、組織委員会の既存の評議員会には、都議会の代表を送り込み、都と都議会が組織委員会の予算執行等をチェックする仕組みを構築すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 調査チームの報告書では、今後の課題として、一つ、海の森水上競技場など都の恒久施設の見直し、二つ、都内仮設施設の見直し、三つ、仮設施設の費用の分担内訳の見直しを挙げております。
 しかしその一方で、これらの見直しに当たっては、大会組織委員会、国内各競技団体、IOC等での協議が必要とも記載し、結論として最終判断を知事に委ねております。
 さらに報告書では、なるべく短い期間に調整すべきだが、開催スケジュールも踏まえた判断が必要と記載し、暗に知事が決断を下すには時間的猶予がないことを示しております。また報告書では、知事が行うこの意思決定は、担当部門等の意見を踏まえて行うともしております。
 知事はタイムリミットをいつに設定するのか、知事が最終判断のよりどころとする担当部門等とは一体何を指すのか、知事の見解を求めます。
 さらに、調査チームの報告書に関連して、以下四点について質問します。
 まず第一に、三兆円を超える可能性がある開催総費用のうち、ハード面の経費の見直しにしか言及していません。総費用の大半を占める警備、輸送、広報など、ソフト面での経費の見直しについての見解及び現時点で、開催総費用のうち、どれくらいの削減が可能、もしくは必要と考えておられるのでしょうか。
 第二に、これまで関係諸団体が積み上げてきた計画を抜本的に見直していくような手法は、現時点で最良といえるのでしょうか。また、見直しの余地があるとしている都の七つの新規恒久施設の多くは、既に設計段階、もしくは着工済みであります。この見直しをする場合、関係機関や他県との協議、既存施設の改修などの可能性を検討及び決定するには、多大な時間が必要となります。二〇二〇年の開催に間に合うのでしょうか。
 第三に、具体的に見直すべきとしている海の森、アクアティクスセンター、有明アリーナの三施設それぞれについて、他県の施設活用、仮設、規模縮小などの提言をとる場合、費用はどれくらい圧縮できるとお考えなのでしょうか。また、その見直しについて、IOCの承認をいつまでに得られると想定しているのでしょうか。
 第四に、現行の各組織の持ち寄り方式では、費用が際限なく増大するとして、総額に上限を定め、都、国が開催計画、予算、人員を一元管理すべきとしています。総額は幾らにすべきと考えておられるのでしょうか。また、その根拠をお示しください。
 以上、都政改革本部長としての知事の見解を求めます。
 オリンピック・パラリンピックに関連して、東京大会における追加競技への重点的な取り組みについて質問します。
 八月に開催されたIOC総会で、東京五輪における追加競技として、野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの五競技十八種目が正式決定しました。
 都として、また、国を挙げてこの五競技を提案した以上は、東京五輪での注目度を高め、二〇二〇年以降も継続して正式競技となるような機運の醸成が必要であります。競技のルールや楽しみ方、競技やプレーできる場所などの情報発信や、今後の裾野拡大のための施設整備の充実などに積極的に取り組んでいくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、オリンピック・パラリンピックに関連して、公共交通のバリアフリー化について質問します。
 東京圏における正確で安全な鉄道ネットワークは、活発な都市活動と豊かで快適な都民生活を支える基幹的なインフラであり、東京の強みでもあります。
 その強みである都内の交通インフラで本格的にバリアフリーを進めることは、二度目のパラリンピックを迎える都市の使命として重要であり、我が党は、高齢者や障害者を初め全ての人々の安全で快適な利用を目指し、その進展に取り組んでまいりました。
 バリアフリー化の中でも、特にホームドアの整備は、鉄道駅での転落事故防止策として有効であり、極めて重要な安全対策です。
 先日、地下鉄銀座線の青山一丁目駅で、盲導犬を連れた視覚障害者の男性がホームから転落死するという痛ましい事故が発生し、改めて駅ホームの危険性が浮き彫りになりました。ホームドアが設置されていれば、事故は確実に防ぐことができたはずであります。
 この事故を受けて、都議会公明党は、命を守るホームドアの整備について、日本盲人会連合の竹下義樹会長とともに、石井啓一国土交通大臣に再発防止に向けた緊急要望を行いました。
 ホームドアの整備が進まない要因は、扉の位置の異なる列車への対応など、技術的な課題もありますが、最大の理由は多額の費用負担にあります。
 そのため、我が党は、国、都、事業者の負担の割合を決める整備スキームを提案し、早期の実施を主張してきました。
 都は、平成二十三年度から、ホームドア整備促進のための予算を地方自治体として初めて計上し、実現に至っております。
 都は一刻も早く、死亡事故が発生した東京メトロ銀座線を初め、JRや私鉄各駅へのホームドア設置のために、国、事業者との連携、協議を積極的に進め、さらに整備を本格的に推進させるべきであります。見解を求めます。
 次に、受動喫煙防止対策について質問します。
 アテネ大会以降のオリンピック・パラリンピック大会において、開催都市では、受動喫煙について罰則つきの法律や条例が施行されています。ことしのリオ大会でも州条例により対策が実施されました。
 現在東京は、各開催都市に比べて、学校、医療機関などの公共施設や公共交通機関、飲食店、宿泊施設などでの禁煙、分煙が努力規定にとどまっている状況です。世界保健機構でも、日本の受動喫煙防止の現状は最低レベルであると判定しています。
 知事は、今定例会の所信表明で、IOCが唱えるスモークフリーの精神は重要なものと述べ、都においても、ホストシティーとしての責任や都民の健康増進の観点から対策を進めると、受動喫煙防止対策について積極的な姿勢を示しました。都議会公明党も、これまで繰り返し受動喫煙防止対策を本会議などで訴えてきました。
 東京は、オリンピック・パラリンピック開催都市として、受動喫煙防止条例を制定していくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 本日は、二〇一一年三月十一日に発災した東日本大震災から二千三十五日目になります。東北三県の被災地は、想像を絶する努力と苦労を重ねながら、いまだ風評被害に苦しみ、一方で、震災の風化とも闘っています。かつて、被災地からさまざまな恩恵を受けてきた東京は、さらなる支援を行っていく必要があるものと考えます。
 四年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック大会の成功は、この被災地の復興なくして断じてありません。
 都議会公明党は、一貫して被災地の復興なくしては、東京オリンピック・パラリンピックの成功はないと訴えてまいりました。震災後直ちに、岩手県、宮城県、福島県の現地に入り、避難をしている住民や行政、経済団体、観光団体などと意見交換をし、さまざまな支援策を提言してきました。
 その一つが、被災地の観光を後押しする被災地応援ツアーであり、被災地の農産品の風評被害を払拭するための小売団体や消費者団体による農産品等の検査体制の視察ツアーの実施であります。
 都議会公明党がこの八月、福島県を訪問した際、福島県の内堀知事は、ぜひとも新知事に福島県を訪問し、復興に向けた取り組みを見ていただき、意見交換をさせていただきたいと強く期待をしておられました。
 二〇二〇年東京大会の開催都市の知事として、岩手、宮城、福島の被災三県を訪問して、各県の知事と胸襟を開いて懇談し、東京大会の成功に向け、被災地に対して何ができるのか把握していただきたいと思います。知事の見解を求めます。
 また、内堀知事からは、福島の人たちが二〇二〇年の東京大会を身近で実感できるよう、追加種目となった野球を、野球が盛んな福島でも開催していただきたいと要望されました。小池知事にも実現に向けて後押しをしていただきたいと思います。見解を求めます。
 さらに、福島県が七月にグランドオープンさせた環境創造センターを公明党は視察いたしました。このセンターの中の教育研修施設であるコミュタン福島は、五つのエリアに分かれています。
 第一、第二のエリアでは、三・一一からの福島の歩みと環境の現状を知ることができます。また、第三のエリアでは、放射線ラボで放射線を正しく理解し、判断するための情報を知ることができます。そして、第四のエリアでは、福島の再生可能エネルギーへの取り組みを知ることができ、第五のシアターでは、福島の環境の未来を考えていくことができます。
 この施設は、福島の児童生徒の教育研修に活用されるとのことです。放射能について断片的な知識でしか知らない東京の児童生徒にも活用してもらいたいと感じた次第であります。
 そのためにはまず、教育現場を担う教員が訪問をし、学習をしていただきたいと考えますが、教育長の見解を求めます。
 最後に、小笠原への航空路開設について質問いたします。
 本土から南に約千キロ離れた小笠原諸島は、昭和四十三年にアメリカから日本に返還され、二〇一一年には世界自然遺産に登録されました。
 唯一の交通手段である船便で、東京から片道二十四時間かかり、帰ってくるのに約一週間かかります。病人やけが人が出たら、海上保安庁や自衛隊の航空機で本土に搬送してくれますが、緊急かつ重症でなくては利用できません。出産可能な環境が整っておらず、出産を間近に控えた女性は、あらかじめ本土に移動しなくてはなりません。また、小笠原村民は、本土にいる肉親の最期をみとることができないという問題を抱えています。
 小笠原が返還されたときに、政府が飛行場をつくると約束した経緯がありますが、二〇〇一年に都が多額の事業費や自然環境への影響などを理由に建設計画を撤回して以来、延び延びとなったまま今日に至っています。
 我が党は、二十数年前から何度も小笠原に調査団を派遣し、航空路を整備するよう、都議会で繰り返し訴えてきました。
 本年五月に七十二歳で亡くなった元小笠原村議会議長の佐々木幸美氏も、長年にわたり小笠原航空路開設のために、地元の同僚議員とともに、国や都に陳情を繰り返してきました。亡くなる前に、自分が生きている間に航空路を実現したかったと涙ながらに語っていました。
 知事、小笠原村民は一日も早い航空路の開設を待ち望んでいます。長年の悲願です。
 最近、航続距離が長く、短い滑走路で離発着可能な国産初のジェット旅客機が開発されました。いよいよ都は、飛行場の設置主体として、国と連携して小笠原航空路の開設に取り組むべきと考えます。
 知事の見解を求め、再質問を留保し、終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えをさせていただきます。
 社会的に弱い立場にある方々に寄り添う政治についてご質問がございました。
 都民の置かれた境遇はさまざまでございます。しかし、誰もが生き生きと生活をして活躍できるためには、福祉の充実は不可欠であります。社会的に弱い立場にある方々にしっかりと寄り添って、その方々があすへの活力を持って暮らし、そして躍動できるよう支援していかなければならないと考えております。
 寄り添うということは、支援を必要としている方々の目線で、常に真のニーズを把握しながら、その実現に知恵を絞るということであります。相手に心が伝わり、制度的にも持続可能な施策を大胆かつ細やかに展開することこそ、都民に寄り添う政治、そのための細やかさと発想力を常に持たなければならないと心がけているところでございます。
 二〇二五年には、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上となる超高齢社会を迎え、医療や介護等の基盤のさらなる整備が求められております。また、セーフティーネットの構築が都民のさまざまなチャレンジを引き出すことにもなりましょう。
 将来を見据えて、変えるべきは変えて、そして守るべきはしっかりと守る。こうした考えのもと、誰もが活躍できるダイバーシティーを実現して新しい東京をつくるために、細やかさと発想力をフルに発揮いたしまして、都民に温かく優しい都政を展開してまいる所存でございます。
 私立高校生の授業料などの公私間格差についてご質問がございました。
 東京の高校生の約六割が通う私立学校は、それぞれが建学の精神、そして独自の教育理念に基づいて特色ある教育を展開しておられます。そして、東京の公教育に果たす役割も極めて大きいものがございます。
 都は、家庭の経済状況により、学校選択の幅が狭まることのないように私立学校に対する経常費補助を通じて授業料などの抑制を行い、そして修学上の経済的負担の軽減に努めているところでございます。
 また、保護者に対しましても、その所得水準に応じて就学支援金、特別奨学金によりまして支援を行っております。さらに、授業料以外の教育費についても、低所得世帯を対象に奨学給付金を支給しているところでございます。
 今後、都独自の給付型奨学金を含めまして、支援制度のあり方について総合的に検討し、公私間格差の是正の観点から、保護者の教育費負担の軽減にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、豊洲市場問題でございますが、技術会議での盛り土の議論についてご質問がございました。
 技術会議は、専門家会議の提言を具現化するために設置されていた機関であります。そして、土壌汚染対策工事の具体的な工法、そして、その確実な施工を確認する役割を担っていたものでございます。
 先日公表した調査によりますと、建物の実施設計が完了した平成二十五年二月には、建物の下に地下空間を設けることが確定していたと、このように記されているわけでございます。このことから、議員のお話の平成二十六年時点での技術会議で配布された資料では、建物建設地には盛り土がされていない図面が添付されていた。
 しかし、会議の場ではそのことを明示して都側から特段の説明もしておらず、質問や議論もなかったということから、技術会議の委員の方々が建物の下に盛り土がないことをわかっていたかどうか、現時点では不明といわざるを得ません。
 いずれにいたしましても、担当部局の説明不足は明らかといわざるを得ないと思います。
 続いて、風評被害対策でございます。
 豊洲市場におけます食の安全については、これまでも生活者の目線、都民ファーストの感覚は何よりも大切にしなければならないと述べてまいりました。
 盛り土がないこと、地下水がたまっていること、市場における食の安全、これらに不安を抱かれているのが現状であります。加えて、豊洲市場に関して、建物の耐震性や床の耐荷重など、連日、多くの問題が報道されておりまして、そのことが都民や市場関係者の皆様に対しても、さらに大きな不安を与えていることになっているかと思います。
 そのため、まずは専門家会議や土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会など、科学的に安全性を確認していただくことが肝要と考えます。その上で、豊洲市場に対する不安を払拭していく、そのことにしっかりと努めていきたいと存じます。
 科学的かつ正確でわかりやすい情報を、タイミングを逸することなく、広く発信していくことで、風評被害の発生、拡散を防いでまいりたいと考えております。
 市場関係者の不安解消に向けた取り組みについてのお尋ねでございます。
 厳しい経営環境の中、豊洲市場の移転に向けて準備を進めてこられました市場業者の方々が、今さまざまな不安や課題に直面していることは十分承知をいたしております。
 そして、こうした不安や課題に真摯に耳を傾けるとともに、市場業者の方々がこうむった損失に対しての補償など、必要な支援策を講じて早急に対応していくことは重要なことでございます。
 地下水モニタリングの結果についてご質問がございました。
 平成二十六年十一月から実施しております地下水モニタリングですけれども、七回までは環境基準以下でございましたが、今回、環境基準を上回る数値が確認をされたところでございます。最初に報告を聞いたところ、私も正直驚いたところでございます。
 現在実施中の二年間の地下水モニタリングでございますが、着実に実施していくことが重要でございます。
 そして、今回の結果につきましては、今後、専門家会議や土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会で、調査、検証していただく運びとなっております。
 環境アセスメントについてのご質問でございます。
 本来であれば、建物の設計が固まった時点で設計を踏まえた変更手続を行うべきであったにもかかわらず、これを怠ったということは重く受けとめなければなりません。
 まずは、専門家会議で改めて安全性を評価、検証していただいて、環境影響の予測、評価と対策を取りまとめて変更届を提出する必要がございます。
 その内容については、環境影響評価審議会の場で、しっかりとしたご審議をいただき、意見を取りまとめていただくことといたしております。
 そして、その意見を踏まえて最終的に知事として決定をさせていただきます。
 豊洲市場の追加の予算措置についてのご質問でございます。
 都の市場会計は、独立採算制を原則といたしております。都内十一の中央卸売市場全体にかかる経費を全市場の収入で賄うという考え方をとっていることはご承知のとおりでございます。各市場の卸売業者や仲卸業者などから徴する市場使用料が主な収入となっております。
 また、生鮮食料品の取引指導などの行政的経費を除いては、税金は充当されていないということを改めて申し上げておきます。
 続いて、八ッ場ダムについてのご質問でございます。
 八ッ場ダムは、将来にわたりまして、東京のみならず首都圏の安定給水を確保して、洪水被害の危険性を低減する上で必要不可欠な施設でございます。
 台風や集中豪雨、一方で渇水の発生など、気象変動に伴う影響が顕在化している今日、ますますその必要性は高まっているということでございます。
 そこで、事業費の増額でございますが、前回の基本計画変更後の物価上昇などによるものと聞いております。
 都は、事業者である国からの提示を受けて、関係五県と連携して検証し、その妥当性を確認したところでございます。
 この内容を局から説明を受けて、工期を厳守し、都民の利水、そして治水の安全性を確かなものとするために、これはやむを得ないものと判断をしたところでございます。
 続いて、待機児童解消緊急対策に係る都有地の土壌汚染などについての対応に関するご質問をいただきました。
 都は、区市町村からの要望を踏まえまして、都有地活用推進本部での検討を経まして、可能な限り幅広く都有地の情報を提供してまいります。
 このため、地下埋設物や土壌汚染の可能性がある都有地も、それらの現状を含めて情報提供をしてまいります。
 その上で、それらの都有地の利用希望がある場合には、改めて地歴や概況の調査を行いまして、その結果、土壌汚染などが判明した場合には、都が法令にのっとりまして土壌汚染対策などを行うなど、安全性を確保してまいります。また、区市町村の要望に基づいて、地元調整についても必要な支援を行ってまいります。
 これらの取り組みを区市町村と連携して着実に行うことによりまして、保育所の整備に向けた都有地の適切な活用を図ってまいるところでございます。
 それから、保育士などの処遇の改善についてのお尋ねでございます。
 保育士などの確保、定着を図るためには、処遇の改善は重要だという認識を共有しております。
 そのため、今回の補正予算案では、現在、採用後五年目までの保育従事者が対象となっております宿舎借り上げ支援を全員に拡大することといたしました。この取り組みで、アパートを借りている保育従事者の実質の所得は、最大で月額、家賃分の八万二千円分改善されることとなります。
 国の方も現在、来年度から二%相当の処遇改善を行うとともに、ベテラン職員にはさらに四万円程度上乗せをするということを検討しておられます。
 来年度予算案には、都としての新たな待機児童対策を盛り込んでいく考えでございまして、都独自に実施している保育士等キャリアアップ補助についても、その活用の実態や国の新たな処遇改善策を踏まえまして、非正規雇用者の対策も含めて、さらなる充実を検討してまいります。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に関する調整会議についてご質問をいただきました。
 都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームの報告におきまして、都、国、組織委員会などで構成される調整会議は、大会準備全体の司令塔としてガバナンスを担うには不十分であり、企業に例えると社長や財務部長がいないような状態であるという大変厳しい分析がなされたところでございます。
 大会準備全般の推進体制を抜本的に見直さなければ、開催総費用は三兆円を超える可能性があると指摘されたこと、これについては重く受けとめなければならないと考えます。
 調整会議のあり方についても、調査チームの報告を起爆剤として、もう一度ガバナンスの確立という原点に立ち戻って、都としてとるべき方策を検討してまいりたいと考えております。
 さらに、組織委員会への関与についてのご質問がございました。
 二〇二〇年大会を何としてでも成功させなければなりません。そして、東京、日本はもとより、世界中の誰もが記憶に残る大会とすることが、知事として私に課せられた使命であることはいうまでもございません。
 そしてまた、そのためには、大会開催をめぐるさまざまな課題について、国や組織委員会と緊密な連携を図り、都民への説明責任を果たしながら解決策を見出していくということは重要な観点でございます。
 そこで、まずは都民の理解と納得が得られるように、都政改革本部会議でもご報告のありました全体のガバナンスのあり方に関する都の考えをまとめまして、国や組織委員会と協議を進めてまいります。
 その上で、財務状況等をチェックする仕組みや監理団体化の検討なども含めまして、組織委員会に対する都の関与のあり方についても整理をしてまいりたいと考えております。
 同じく、調査チームによる調査報告を受けた後の対応についてのお尋ねでございます。
 オリンピック・パラリンピック調査チームには、都が整備する三つの恒久施設について、大会終了後のランニングコストも含めて、極めて客観的かつ経営的な手法で分析をしていただいたところであります。
 また、仮設の施設や設備についても、立候補ファイルの原則のままでは準備が進まないため、早急に新しいルールをつくるべきとの提言を受けたところでございます。
 リオデジャネイロ大会は終わりました。東京大会開催まで残された時間が少ないその中で、都民の皆様からお預かりしている税金を有効に活用するという観点から、見直しを行うには最後の機会といえましょう。
 既にオリンピック・パラリンピック準備局を中心とした関係局では検討に着手しておりまして、一カ月を目途に、都として一定の結論を得るように努力をしてまいります。
 調査報告書に関連したご質問でございます。
 先日の都政改革本部で、オリンピック・パラリンピック調査チームには極めて客観的、経営的な手法での分析を行っていただいたこと、先ほど申し上げたばかりでございます。そして、その出された報告は、しっかり本部長として重く受けとめなければなりません。
 一方で、相手があることでございます。そして、これまで関係者がいろいろと努力をしてこられた中で今の計画があるということも踏まえて、総合的に検討していきたいと考えております。
 そして、検討に当たっては、大会準備を開催に間に合わせなければならないことはもちろんではございますが、あわせて大会レガシーが負の遺産にならないように、施設の整備を仮設で対応することや、大会後のランニングコストなどをしっかりと算定する、将来負担の低減を図るということなどを考慮しなければなりません。
 そして、いただいたご質問にありましたソフト面での経費の見直し、そして関係者等との調整、都が整備する三施設の整備費用の見直し、開催経費の上限の設定につきましては、いずれも検討すべき重要な課題でございます。
 今後、ご指摘いただきました課題も含めまして、調査報告書の提言について、組織委員会など関係者の協力も得ながら、早急に検討、そして答えを出してまいりたいと考えております。
 受動喫煙防止対策についてのご指摘でございます。
 私はオリンピック・パラリンピック開催都市の知事として、IOCが唱えるスモークフリーの精神は重要なものと考えております。また、近年の開催都市は、屋内を全面禁煙とするなど、法律や条例で罰則を伴う大変厳しい受動喫煙防止対策を講じているところでございます。
 現在、国は、内閣官房を中心とした検討チームを設置して、受動喫煙防止対策の強化に向けた検討を行っていると聞いております。
 都としても、大会のホストシティーとしての責任や都民の健康増進の観点から、受動喫煙防止対策を一層進めていく点については、所信表明でも述べさせていただきました。その中で、条例化についても、国の動きを踏まえながら総合的に判断していく所存でございます。
 東日本大震災の被災地支援についてでございます。
 これまで都は、職員を派遣し、また、都内への避難者の支援、風評被害の払拭やスポーツ、文化を通じた交流など、総力を挙げて被災三県を支援してきたところでございます。
 震災から五年半がたった今、東北では被災地の方々の懸命な努力によって、復興は着実に進んでいるものの、その道のりはいまだ途上、道半ばでありまして、震災記憶の風化も懸念されているところでございます。
 また、二〇二〇年大会は復興オリンピック・パラリンピックであり、被災地の復興なくして大会の成功はないと私は考えております。
 このため、被災地訪問について、私も就任以来申し上げてまいりましたように、今後、開催都市の知事として、機会を捉えて被災地に足を運んで、各県の知事とも意見交換を行います。そして、復興に向けた取り組みをより効果的に後押ししてまいる所存でございます。
 今後とも、被災地の声に耳を傾け、ニーズを的確に把握しながら、二〇二〇年大会の成功のためにも、一日も早い復興に向けて全力で支援してまいります。
 そして、最後のご質問ではございませんでした、最後から二つ目、福島県における野球・ソフトボールの開催についてのご質問でございます。
 追加の競技については、先般のIOC総会において満場一致で決定をされまして、現在、組織委員会を中心に、被災地における野球・ソフトボールの一部試合の開催可能性を検討しているところでございます。
 お話の福島県には、プロ野球開催などの実績を持つ大規模な球場が複数ございます。県や県内自治体が開催を強く要望していることも承知をいたしております。
 福島県での野球・ソフトボールの開催は、復興オリンピック・パラリンピックとして意義のあるものであり、私としても、その実現に向けて後押しをしてまいりたいと考えております。
 最後に、小笠原航空路についてでございます。
 小笠原の航空路開設は、島民の生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展を図る上で極めて重要でございます。
 私も航空路の開設が小笠原村民の切なる願いであることは十分承知をいたしております。
 その一方で、航空路開設に当たっては、自然環境との両立や財政面、就航可能な機材の確保など、さまざまな課題もございます。
 このため、国や小笠原村など関係機関との調整を緊密に、かつ丁寧に行うとともに、幅広い視点に立って、課題に関する調査を行ってまいります。
 この週末には、私みずから現地に赴きます。台風が過ぎ去った後だと願っております。島内の状況をしっかり確認してまいります。
 そして、今後、調査結果や関係機関との調整などを踏まえまして、世界自然遺産である小笠原で実現可能な航空路案が取りまとめられるよう、国からの支援、協力も得ながら、精力的に検討を進めてまいる所存でございます。
 なお、その他の残余の質問につきましては、教育長及び関係局長からの答弁とさせていただきます。
   〔発言する者あり〕
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) ただいまのご質問に対する答弁が一部漏れておりました。再度、答弁させていただこうと思います。お許しください。
 市場関係者の方々への不安解消についての項目のところでございます。
 現在、築地市場に設置しております移転サポート相談室の体制を強化してまいります。そして、補償を初めとしたさまざまな相談に丁寧に応じることで、市場業者の皆様方の不安解消に積極的に努めてまいります。
 この点が漏れておりましたこと、おわびを申し上げます。
 以上でございます。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 福島県環境創造センターの活用についてでございますが、いまだに風評被害に苦しみ、震災の風化と闘っている被災地の復興をさらに支援していくためには、被災地を訪れ、着実に改善している状況を理解することが重要でございます。
 都教育委員会では、ことし八月に都立高校生と教員を合わせて約百名を宮城県南三陸町に派遣し、被災者との交流や地域産業復興のためのボランティア活動を行ってまいりました。また、九月には二度にわたって教育庁職員を福島県に派遣し、被災後の環境の回復状況等について認識を深めてきております。
 今後、被災地の復興支援の一環として、宮城県南三陸町との交流を継続するとともに、被災地の復興状況を正しく理解し、教育活動に生かしていくことができるよう、教育管理職対象の宿泊研修等において、お話の環境創造センターの訪問について検討してまいります。
   〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕

○中央卸売市場長(岸本良一君) 豊洲市場に関します四点のご質問にお答えいたします。
 豊洲市場の地下空間設置に至る経緯でございますが、建物下に地下空間を設置するに至ったプロセスは、段階的に進行したことが自己検証により明らかになりました。
 平成二十年十月の第四回技術会議で、委員から地下水の長期モニタリングと処理の必要性についての発言があり、同年十二月の第八回技術会議で、都から、建物下のモニタリング用及び万一の際の作業用の空間、いわゆるモニタリング空間の必要性を説明しております。
 一方、都の技術部門におきましては、技術会議開催前後からモニタリング空間に関する内部検討が進められ、技術面での可能性や課題について検討が進められました。
 建物を建築する際には、基礎部分の地盤を掘り下げてピットを設けることが基本的な措置である、あるいは、いわゆる高床式に関しましては、取りつけ道路が急勾配になるなど現実的ではないなどの議論を経まして、各種ライフラインの設置管理や市場の使い勝手の観点から、モニタリング空間を地下に設ける考え方が共有されていったと推定されます。
 こうした中、平成二十二年十一月、基本設計の起工書の中で、モニタリング空間設計等は本設計に含むとの特記仕様書が示され、平成二十三年六月に完了した基本設計では、建物地下に空間が広がった図面が示されました。
 その後、さらなる議論を経まして、地下にモニタリング空間を設けることにつきまして、平成二十三年八月に担当部としての確認を経て、同年九月、実施設計を起工し、市場として組織決定をいたしました。
 平成二十五年二月の設計の完了によりまして、建物地下にモニタリング空間を設け、盛り土を行わないことが確定したと判断されるところでございます。
 次に、事実と異なる答弁の経緯と責任についてでございますが、自己検証の結果、明らかになったことといたしまして、歴代の土木担当部長は、建物下に盛り土がないとの認識がなかったか、土壌汚染対策の基本的な考え方を述べるものとの認識があり、前例に沿って答弁を行ってきたところでございます。
 また、建物建設を担当する建築担当部長は、建物下に盛り土がないことを認識しておりましたが、答弁所管の土木担当部長が対策の基本的な考え方を述べていると考えたため、修正の意見を述べることがございませんでした。
 さらに、答弁のチェック機能を果たすべき市場長等も、私も含めて、盛り土が行われていなかったことを知らなかったか、知っていても矛盾を感じなかったため、答弁案を修正させることはございませんでした。
 これらは、土木と建築の縦割りによる連携不足、担当部署の問題認識の甘さ、市場長や管理部門の認識不足など、ガバナンスと責任感の欠如によるものでございます。
 この問題に関しては、盛り土がないことを認識していたか、いなかったかにかかわらず、組織運営のトップとして、市場長の責任は免れないと考えます。私自身、深く反省し、責任を痛感しているところでございます。
 次に、地下水位の計測や監視の実施についてでございますが、地下水位を一定に保つための地下水管理システムは、本年八月から試運転を行っており、今月中に本稼働する予定でございます。昨日から地下水位の計測を実施し、本日よりそのデータをホームページで公開を始めました。今後は一日二回、継続して計測をしてまいります。
 なお、建設工事中におきましては、各街区とも雨水を集水するためのくぼ地を設け、集まった水を沈砂槽にポンプで送水した後、土砂などを除去して既設の雨水管に排水してまいりました。
 次に、地下水管理システム工事が建築工事の後追いになっていることについてでございますが、地下水管理システム工事は、地下水をくみ上げるための揚水ポンプの設置工事、地下水を排水施設棟に送る送水管の敷設工事などでございます。揚水ポンプや送水管は、建物の外構工事として施工する建物敷地内の通路下に敷設するため、工程上、終盤に整備することになります。
 そのため、地下水管理システム工事を建物工事に先行して施工することはできなかったものでございます。
   〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 蘆花恒春園保育所予定地の土壌汚染についてでございますが、保育所用地の確保が困難な地域におきまして、地元のニーズを踏まえ、都立公園を活用していくことは、待機児童の解消を図る上で重要な取り組みでございます。
 蘆花恒春園における保育所の設置場所については、地元区と連携し、公園の利用状況や国家戦略特別区域法に定める技術的基準に基づき選定を行いました。
 その場所から土壌汚染対策法の指定基準を上回る鉛及びその化合物が検出されたことにより、開所時期に影響が生じ、ご期待をいただいている地域の方々に対してご迷惑をおかけしていると認識しております。
 今後、土壌調査を実施し、その結果を踏まえ、早期の保育所整備に向けて、区や事業者と具体的な対策等を協議してまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、保育サービスの充実に取り組む区市町村への支援でありますが、保育の実施主体は区市町村であり、保育所等整備費の負担割合は原則国が二分の一、区市町村と事業者がそれぞれ四分の一でございますが、都は保育サービスの整備促進を図るため、独自に補助を行っておりまして、区市町村と事業者の負担を最大で十六分の一まで軽減をしております。
 また、今回の補正予算案で新たに創設する高騰加算では、定員百人規模の場合、補助基準額約一億九千万円に約五千七百万円加算し、都が最大でその十六分の十五まで区市町村負担は求めずに負担することとしております。
 借地料や補正予算案で創設する建物賃借料への補助も、区市町村と事業者の負担を今年度は最大で十六分の一まで軽減することとしており、今後、区市町村の取り組みが一層進むよう、さらなる支援策を検討してまいります。
 次に、子育て支援員研修についてでありますが、都は昨年度から、地域における子育て支援の担い手を確保するため、子育て支援員研修を開始いたしました。そのうち、小規模保育や家庭的保育などに従事する方を対象とした地域型保育コースは、定員七百二十名で実施し、今年度はより多くの人材を養成するため、千三百六十名に拡充をいたしました。
 さらに、今年度から地域型保育コースの修了者を認可保育所等でみなし保育士として活用することが可能となり、受講希望者の増加が見込まれることから、今回の補正予算案では三百名増員することとしております。
 研修の実施に当たりましては、応募状況を確認した上で、定員を超過した場合にも、一人でも多くの方が受講できるよう柔軟に対応してまいります。
   〔生活文化局長中嶋正宏君登壇〕

○生活文化局長(中嶋正宏君) 幼稚園における待機児童解消に向けた取り組みへの支援についてでございますが、幼稚園は三歳以上の子供を対象とする教育機関であり、これまで都は、在園児に対しては教育時間終了後の預かり保育に要する人件費等の補助を充実してまいりました。
 一方、地域の子育て支援のため、三歳未満の子供に対しましても、親の出産や急な用事、育児疲れなど、一時的に家庭での保育が困難となった子供を預かる場合に補助の対象としてまいりました。
 今般、待機児童解消に向けた緊急対策として、国の改正に伴い、この三歳未満の子供を月単位で継続的に預かる場合にまで補助対象を広げることとしております。
 このような対策を実施することにより、待機児童の解消に取り組む幼稚園を支援してまいります。
   〔主税局長目黒克昭君登壇〕

○主税局長(目黒克昭君) 保育施設に係る固定資産税等についてでありますが、現在都では、自己所有または無料貸し付けの場合、認可保育所等について地方税法の規定により非課税としているほか、認証保育所について独自に減免をしております。
 一方、有料貸し付けの場合は、所有者が貸付料を得ており、その負担について別段の考慮をする必要性が低いと考えられますことから、非課税や減免を適用しないこととしております。
 仮に有料貸し付けの保育施設に係る固定資産税等の軽減を図る場合は、保育施設以外の非課税措置との公平性や軽減の効果が特別区の区域に限られる等の課題があると認識をしております。
 なお、保育施設の整備促進に向けては、ご指摘のとおり、定期借地を初めとした民有地等の活用も重要であり、都は税制措置として高いインセンティブ効果が期待される相続税、贈与税の軽減を国に対し提案しております。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) オリンピック追加競技についてでございますが、日本の国民的スポーツである野球、ソフトボール、空手はもとより、世界的に若者に人気があるスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの競技の追加は、オリンピックにさらなる魅力をもたらすものでございます。
 そこで都は、追加競技の決定を受け、早速、リオ大会中に実施したライブサイトにおいて、スポーツクライミングの体験コーナーを設け、普及啓発を開始いたしました。
 今後、これらの競技の裾野を拡大するため、市区町村に対しまして、都の補助制度を活用してスポーツ施設の整備に取り組むよう、働きかけを強めてまいります。
 そして、節目イベントにおける機運上昇やSNSを効果的に活用するなど、これらのスポーツの魅力を積極的に情報発信してまいります。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 鉄道駅のホームドア整備についてでございます。
 利用者の安全性確保のため、ホームドア整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございまして、これまでに約三割の駅で設置されてございます。
 都は、こうした取り組みを加速させるために、地下鉄の駅、あるいは利用者十万人以上のJRや私鉄の駅を対象として補助を実施し、加えて競技会場周辺駅については、昨年度から利用者の規模によらず補助を実施してございます。
 これにより例えば、東京メトロ銀座線では、平成三十年度までに整備がおおむね完了し、JR信濃町駅や千駄ケ谷駅などでは、二〇二〇年大会までに完了する予定でございます。
 今後とも、誰もが安心して鉄道を利用できるよう、国や地元区市とも連携して、鉄道事業者の取り組みを積極的に支援してまいります。
   〔百八番東村邦浩君登壇〕

○百八番(東村邦浩君) 先ほど知事は、技術会議の委員が建物の下には盛り土がないことの認識について、現時点では不明と答弁されました。不明のまま放置すると疑念を呼び、不信感の拡大につながります。さらに、この点を究明すれば事実解明の新たな突破口になるかもしれません。
 急ぎ、一人一人の技術会議の委員に聞き取り調査を行うべきと考えます。市場長の明快な答弁を求めます。
 また、各街区施設の建物の設計は、基本設計を含め全て一社の設計会社が請け負っています。
 都は、建物の下に盛り土を置かないことの決定について、ピンポイントでは責任者を特定できないとしていますが、まずは発注者として設計会社に対し、基本設計委託の発注折衝を都庁内の誰と行ったのか確認すべきであります。早急な実施について、市場長の見解を求めます。
 以上で終わります。
   〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕

○中央卸売市場長(岸本良一君) 二点の再質問にお答えいたします。
 まず、技術会議の委員に対する聞き取り調査についてでございますが、今後、局として対応してまいります。
 次に、基本設計委託の発注折衝についてでございますが、日建設計に対し、基本設計委託の発注折衝を都庁内の誰と行ったかにつきましては、現在、確認を行っているところでございます。

○副議長(小磯善彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時十三分休憩

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