平成二十八年東京都議会会議録第十二号

   午後一時開議

○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川井しげお君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松丸俊之君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成二十七年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
(別冊参照)

○議長(川井しげお君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、平成二十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(川井しげお君) これより質問に入ります。
 百十三番高木けい君。
   〔百十三番高木けい君登壇〕

○百十三番(高木けい君) 平成二十八年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 最初に、知事の都政運営に対する認識と基本姿勢について伺います。
 去る七月三十一日、舛添知事の辞任により、改めて東京都知事選挙が執行され、都民の大きな期待を担って小池新知事が誕生しました。平成二十四年十月の石原知事辞任以来、この四年間で三度目の知事選でした。都政は多くの課題を抱えているにもかかわらず、いずれも知事本人の事情によって辞任が繰り返され、都政が停滞を余儀なくされてきました。まことに残念なことであります。
 私たち東京都議会自由民主党は、知事がかわるたびに都政の正常化を図るべく努力してまいりました。このたび誕生した小池都政においても、その立場は変わらず、協力すべきは協力し、都民の代表として、都民の与党として、都民目線で山積する課題を一つ一つ迅速に的確に解決していく努力を惜しむものではありません。
 都政を前に進めることは、知事の務めであると同時に、私たち都議会の務めでもあります。中でも、私たち東京都議会自由民主党は、都議会百二十七議席のうち六十議席を有する第一党でありますから、地方自治の原則である二元代表制を健全に機能させ、都民の幸せをつくることをこれからも全力で全うしていきたいと考えます。
 さて、小池都政の本質を知るために、まず知事の基本姿勢についてお伺いいたします。
 最初に、政治家としての思想、信条、信念、憲法及び地方自治に対する考え方についてお伺いいたします。
 私たち都議会自民党は、保守の政治集団として、我が国及び郷土の歴史と伝統を大切にしています。先人のよりよき共同体をつくる努力と歩みが歴史であり、その貫かれ継承されてきた価値と知恵の集積が伝統であります。都議会自民党のホームページには、そうした思いをあらわすために、太田道灌が江戸城を築城して以来の、いわゆる中世から現代に至る東京の歩みを、当時の絵図面と写真を使い、スライドショーで掲載しております。
 時代を超えて続いてきたあらゆる連続性、特に国民の精神性、いいかえれば魂の連続性こそ、私たちの最も尊重する価値の一つであります。
 東京には天皇陛下のお住まいである皇居があり、さらに、政治、経済、文化等の中心として首都機能の全てが置かれているほか、我が国の歴史や伝統を体現する施設も数多く置かれております。その一つが、戦没者慰霊のための靖国神社や千鳥ヶ淵戦没者慰霊堂などであります。世界的にも戦没者慰霊の場の中心は首都に置かれている例が多く、イギリス、フランス、ドイツ、中国、韓国、台湾などでも、それは首都にあります。したがって、戦没者慰霊のための祈りの場の中心は、広い意味で首都機能の一つといえます。
 首都東京の知事は、そうした幅広い概念の首都機能全体を統理する役割を担うものであり、その責務は極めて重いものといわねばなりません。
 さて、ことしの終戦の日に、知事は靖国神社への参拝を見送られましたが、国会議員時代には、代理参拝も含め、幾度となく参拝していたと聞いております。都知事になられて初めての終戦の日であったことしの八月十五日、靖国神社へ参拝しなかった理由をお伺いいたします。
 次に、知事の憲法及び地方自治に対する考え方を伺います。
 国会議員から地方自治に身を転じられた知事は、国会議員時代とは別の角度から、憲法についてお考えになる機会も多くなったと思います。
 私は、地方議員になってことしで二十五年になりますが、この間、憲法の問題を地方自治との関係から考えるにつけ、地方自治の一層の振興は、地方自治制度を規定した現行憲法が、国民的議論を経てよりよい改正につながることが望ましいとの結論に至りました。
 例えば、地方分権の課題は、憲法九十二条、九十四条と深くかかわり、究極的には、我が国の統治機構の問題として憲法に直結いたします。また、東京都がここ数年、国との関係で大変苦労している地方自治体の財源論、課税権及び課税自主権の問題も、憲法九十二条、九十四条と深くかかわります。
 地方自治の本旨である団体自治と住民自治、そして、その地域に暮らす住民と地方公共団体のあり方は、まさに憲法と直結する課題であり、今後一層の議論が待たれます。
 そこで、我が国の統治機構、地方自治のあり方を含めた知事の現行憲法についての考え方を伺います。
 そもそも知事は、地方になぜ立法権がないのかという疑問をお持ちなったことはないでしょうか。現行憲法では、国権の最高機関である国会にのみ立法権が与えられていますが、かつて我が国では、帝国憲法が制定される以前の明治新政府の中に、地方の代表も立法権を持った方がよいという考えがありました。木戸孝允や板垣退助らが主張した地方官会議を立法機関とする考え方がそれであります。木戸は、明治八年に設立された元老院を上院、地方官会議を下院とし、ともに立法機関とすることを主張いたしました。
 結果として、地方官会議は立法機能を持つことができず、現在の全国知事会のような組織となりましたが、このとき木戸がこのことをもっと強力に主張していたならば、地方の代表が立法権を持つことができたのではないかと考えると、極めて残念な思いがいたします。しかし、明治新政府の国づくりの過程の中に、地方の意思を最大限尊重しようとした人々がいたことを、私たちは忘れてはならないと思います。
 東京は我が国の首都であり、地方のリーダーであり、地方自治のあり方に最も影響力を持つ自治体です。知事は、東京の地方自治を、歴史的背景、国との関係、他の道府県との関係、都内のみならず全ての基礎的自治体との関係を含め、今後どのような考えで導いていくのか、所見を伺います。
 次に、東京の現状認識を伺います。
 知事は所信表明の中で、東京の現状を、後藤新平のつくった骨格に、あふれんばかりのぜい肉をつけた肥満都市東京との表現をされました。これはどのような認識に基づく比喩なのか、私たちにはいま一つよくわかりません。説明をお願いしたいと思います。
 次に、選挙公約について伺います。
 知事は、立候補を表明された七月五日の記者会見において、三つの選挙公約、一、都議会の冒頭解散、二、利権追及チーム、目安箱の設置、三、舛添問題の第三者委員会設置を発表されました。
 そこでまず、選挙公約とは何か、知事の所見を伺います。
 一般的に選挙公約とは、自身の努力によって実現するものと考えられますが、都議会の冒頭解散については、都議会の知事不信任決議がなければ知事に解散権はありません。知事は記者会見で、不信任が出なければ解散できないとおっしゃっていましたから、このルールは当然ご存じだったにもかかわらず、なぜ冒頭という時期を特定した公約を掲げたのか、見解を伺います。
 このことは、知事にとって選挙公約、つまり、都民との約束とは何かということをお伺いするものですから、率直なお気持ちを聞かせていただければと思います。
 公約に関して、今定例会に提出された知事給与削減条例についても伺います。
 知事の給与を初めとする特別職の給与、報酬については、通常、報酬審議会という第三者機関の判断が尊重されます。それは、知事及び議員は、それぞれが給与、報酬に関する条例提案権を持ち、決定権を持っているからにほかなりません。つまり、恣意的な給与、報酬の設定をしないことが望ましい立場であることから、そうした制度が確立されたと思います。
 私たちは、このたびの知事の条例提案に対して、特に反対をするものではありませんが、給与体系を変えずに支給額のみを半減するにしても、条例が成立すれば、実際に知事と副知事の給与の逆転現象が起こるほか、幾つかの問題をはらんでおります。
 そこで、まずは、報酬審議会に知事給与の削減を諮問し、意見を聞くべきと考えますが、所見を伺います。
 知事及び特別職の給与、報酬については、その職責や景気経済状況、都財政の現状などを総合的に判断して決められるべきものと考えます。かつて、鈴木、青島、石原の三代の知事が同じように知事給与削減を行ったことがありますが、このときは都財政が極めて重大な危機に頻していたことから、その象徴として給与を削減したと聞いております。しかも、それは知事自身の政治姿勢であり、お考えであったことから、専決処分で行われております。
 そこで、改めて、この時期に知事給与削減条例を提案した理由についてお伺いいたします。
 また、知事給与と議員報酬を同列に論ずる傾向もあるようですが、知事は給与、議員は報酬、ちなみに国会議員は歳費と定められておりますように、ひとしく税金から払われるお金であっても、その内容が異なることは意外に知られておりません。知事給与には生活給が含まれるのに対して、議員報酬には生活給が含まれず、したがって、都市部においては特に現実とかなり乖離がありますが、地方議員は副業により生活の糧を得ているという前提に立った制度設計がなされております。
 だからこそ、議会へ出席することは、その副業を妨げるという理由で、交通費その他の費用を実費弁償する制度である費用弁償という制度が存在します。その是非は、議員報酬及び議員の身分のあり方とともに論じられる必要があります。
 また、地方議員には、退職金、議員年金、公設秘書等の制度はなく、国保、国民年金、秘書給与は一部政務活動費、一部自前の政治資金で賄うのが基本であります。一方、知事には退職金制度があり、一期四年間務めると約三千六百万円が支給され、公務員共済にも加入することができますので、共済年金、共済健保にも加入できるわけであります。さらに、知事には知事交際費がある上に、特別秘書が二人つき、特別秘書に職員がそれぞれ五人前後つくことが慣例となっております。
 このような制度の違うものを同じ土俵で論じるのはいささか無理があると思いますので、私たちは、都議会として議員報酬について検討するならば、報酬審議会等の意見を聞いた上で、議員の身分に関することを含め、都議会のあり方検討会のテーマとすることがふさわしいと考えます。
 次に、いわゆるブラックボックス批判についてであります。
 知事は、自民党都連をブラックボックスと批判し続けてきましたが、都知事選告示直後の七月十五日、吉祥寺駅前の街頭演説において、その都議会において、いつも、誰が、どこで何を決めていたのかわからないようなブラックボックスがあってと発言され、都議会もブラックボックスと批判されました。
 現時点で、知事が指摘した都議会のブラックボックスはどのようなもので、どこにあるのか、解明はされましたでしょうか。見解を伺います。
 私は平成十七年から都議会議員となり、立場によって知り得るものと知り得ないものは当然あるものの、全体として都議会の意思決定が不透明であると感じたことはありません。委員会理事会等の打ち合わせ会に類するものは非公開扱いですが、最終決定の場である本会議や委員会、各種審議会等も全て原則公開であり、議会側の意思決定は、その議事録の公開も含めて透明性は担保されております。
 むしろ私は、知事の側にこそ、都議会や都民に見えずに意思決定が行われるブラックボックスがあると実は感じております。
 わかりやすい事例を挙げたいと思います。舛添前知事が一方的に決めたといわれる都立市ヶ谷商業高校跡地の韓国人学校への貸与問題は、私たち都議会にも都民にも知らされずに、舛添知事が独断で進めたとされています。私はこのことを、去る五月三十一日の文教委員会で、特別支援学校の充実を求める立場で質疑の俎上に上げ、時系列的な経過と誰がどのような役割を担ったのか、そして、結論として、この問題は再考されるべきとの意見を申し上げました。
 現在、教育財産の処分等の方針に関しては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十二条四号により知事に権限があり、議会の同意も議決も必要といたしません。だからこそ、こうした問題が起こり、議会の関与もないままに方針が決められる直前にまで行ってしまいました。この件が象徴するように、知事の権限は大きいだけに、知事の側にこそ、いわゆるブラックボックスがあるとも思われます。
 また、このたび知事は、矢継ぎ早に学識経験者と思われる特別顧問等を既に十六人任命されました。この方々がどのような経緯で選ばれたのか、私たちは存じ上げません。職員及び理事者に聞いても、正確な理由を答えてくれる人はおりませんでした。情報公開が大切と常々いわれている知事であるならば、この方々の実績や選任の経緯をつぶさに開示し、今後十六人が都政にかかわるに当たって、どのような仕組みと権限で、どのくらいの経費が予定されているのかくらいはお示しいただくことが適当かと考えますが、見解を伺います。
 次に、都政改革本部について伺います。
 知事は都政改革本部を立ち上げ、先ほど申し上げた十六人の特別顧問等を中心に、さまざまな都政の課題に取り組もうとされています。もとより、私たち都議会も、都政改革は永遠の課題との位置づけから、今までも幅広く改革すべき課題に取り組んでまいりました。
 一例を申し上げれば、石原都政時代の財政再建、行財政改革では、およそ十年の歳月をかけて、二兆円ともいわれた隠れ借金の解消を果たし、ディーゼル車規制では、運輸、自動車業界とともに不正軽油撲滅運動などを行い、東京の環境改善に大きな役割を果たしました。監理団体改革や入札契約制度改革なども、大きなハードルを越えながら、一つ一つ成果を上げ、国における品確法の制定と軌を一にしながら、公共事業の質の向上に取り組んでまいりました。
 そこで、小池都政における都政改革本部は、どのような位置づけで何を目指しているのか、所見を伺います。
 知事が任命された顧問団は政治任用であり、常勤の職員ではありません。したがって、理事者としっかりと連携をとらないと、成果を上げることは困難ではないかと危惧されます。
 知事と理事者、顧問団と理事者の関係を知事はどのように考えるのか、また、どのように構築するのか、所見を伺います。
 次に、都議会との関係についてお伺いいたします。
 知事は、去る八月三十一日、築地市場の豊洲移転に関して、選挙中からの発言どおり、記者会見において移転延期を表明されました。豊洲新市場の問題は後ほど詳しくお聞きしますが、まず、この手法についてお伺いいたします。
 都政の重要な政策が都民の代表機関である都議会に報告される前に記者会見に供されることを、私たちは通常、議会軽視と呼んでおります。つまり、都議会に何の報告もなく、マスコミを通じて重要案件が知事の思いのみによって既成事実化されていくことを、私たちは二元代表制の根幹にかかわる問題と危惧するからであります。
 豊洲新市場の開場時期は、オリンピック・パラリンピックとの関連を踏まえた業界の要望をもとにして、東京都が最終的に十一月七日と決定したものであり、そこに至るプロセスは、市場審議会、新市場建設協議会、都議会などでの長時間にわたる議論と数多くの議決によってまとめられたものであります。それを都議会に報告しないまま記者会見で発表し、それ以降も九月二十七日の経済・港湾委員会まで正式な報告をしないというのはなぜなのでしょうか。
 都議会には都議会のルールと役割があり、二元代表制は、直接公選された知事と都議会が互いの代表制を認め合って役割を果たしつつ、抑制と均衡を保ちながら進んでいくことを前提としています。その理想的な関係は、なれ合いでも対立でもなく、政策の競い合いで、都民によりよい政治の成果を提供することにあります。
 知事は今後、都議会との関係をどのようにつくっていくつもりなのか、所見を伺います。
 また、開場延期については、いつ、誰が、どのような情報に基づいて、どのような議論を経て決定したのか、この際改めて決定の経緯を明らかにしていただきたいと思います。答弁を求めます。
 さて、豊洲新市場について伺います。
 築地市場移転問題は、長年の議論の末に豊洲移転が決められました。築地市場の狭隘化、老朽化の議論が始まったのが昭和三十年代から四十年代。昭和六十一年には、場内を六工区に分けたローリング工事による工期十四年間、整備費二千三百八十億円と見積もられた現在地再整備案が決定されました。
 この方針に基づき、現在地再整備が始められたのが平成三年。しかし、営業を続けながらの再整備にはさまざまな問題が顕在化し、結局、四百億円を投じるも、平成八年に中断を余儀なくされました。その後、業界、都議会のさまざまな議論を経て、最終的に豊洲移転が決定されたのが平成二十二年十月のことでありました。
 移転に関する土壌汚染対策や業界からの意見聴取が集中的に行われたのは、平成二十一年九月から二十三年十月まで設置されていた都議会の東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の場でありました。
 特別委員会は、内部に設置された小委員会とともに、休日も委員会を開くなど、合計三十一回、たび重なる参考人招致や大阪市中央卸売市場の視察も含め、審議時間だけで合計約四十時間という極めて長時間にわたる審議の末、報告書をまとめ、最終的に石原知事が豊洲移転を決断するに至りました。
 こうした三十年以上にわたる長年の関係者の努力にもかかわらず、このたび発覚した豊洲新市場の地下空間問題は、豊洲移転決定以来、内容も、経緯も、技術的検証の結果も、一度も議会及び業界への報告がなく、議会の質疑の場でも、結果として虚偽答弁といわれても仕方のない説明をしていたのですから、都政の重大な不祥事といわねばなりません。
 市場当局の職員のみならず、都庁の執行機関全体に猛省を促さざるを得ません。私の知る限り、都政において今までこのようなずさんなことが行われたことはなく、全くもって言語道断であります。
 しかし一方で、議会の調査力を問題視する声に、私たちは謙虚に耳を傾けなくてはなりません。歴代知事、市場長等、関係者ですら今回の事実を見抜けなかったとはいえ、このたびのことを私たちは今後の厳しい教訓にしなければなりません。
 その上で、議会の審議がしっかりと行われるためには、まず、執行機関から正確な情報が報告される必要があり、それをもとに、議員の調査権に基づく議会の多面的、多角的な審議が行われなければなりません。
 今後は、より正確な情報を適時適切に議会に報告することを徹底していただきたい。この問題を契機に、都政の信頼性が著しく低下したことに対して、知事の所見を伺います。
 今回の問題を整理すると、第一に、新市場の建屋の構造形式が従前の説明と違うことに関して、ただいま申し上げたとおり、議会及び業界に一度も説明されていなかったこと、第二に、したがって、現在の建屋の構造形式が、従来予定されていた四・五メートルの盛り土を行った上での建築工法と比較して、土壌汚染対策として及び建物としての安全性において、議会及び新市場建設協議会の場で比較検討が行われなかったこと、第三に、平成二十三年の環境アセス評価書案では、盛り土形式でアセスをかけながら、実際には現在の構造に変更されていることから、アセス変更手続をこれから行わなければならないこと、第四に、新市場をめぐる正確な情報が都民に行き渡っていないことなどがあります。
 以下、一つずつ質問してまいります。
 第一の問題である説明の欠如についてですが、このような重要な変更が行われていながら、なぜ議会及び業界に説明がなされなかったのか、現時点でわかっている真相をお伺いいたします。
 第二の問題である安全性についてですが、実は、この部分が本件の鍵でもあります。
 盛り土を行った上に建屋を建てるという前提から、盛り土を行わずに建屋を建てる現在の工法に変わったことで、新市場の安全性は大丈夫なのかという、多くの都民から安全性に疑問の声が出ております。このことは、土壌汚染対策法上からもはっきりさせなければなりません。普通に考えて、平成二十三年の基本設計の段階でこの建築工法がとられることがわかっていたなら、基本設計を描く前にこうした工法の採用が議会側にも報告されていたはずであります。
 平成二十一年九月から二十三年十月までは、都議会に先ほど申し上げた特別委員会が設置されていた時期でもあり、私も所属委員の一人でありましたが、もしこの時期に現在の形に工法の変更が報告されていたなら、この工法について、まず、新市場の建屋の工法が今までと違うが、土壌汚染対策の面で、今までと同等またはそれ以上の安全性が担保されるのかと間違いなく問いかけたはずであります。工法変更の報告がなかったことで、この質疑ができなかったからこそ、今、多くの都民から疑問の声が出ていると考えます。
 したがって、本来五年以上前にしなければならなかった質問ですが、今、改めてお伺いいたします。
 盛り土を行わずに地下構造形式を採用した現在の新市場は、土壌汚染対策法上、安全性は担保されるのでしょうか。これは、東京都において土壌汚染対策の多くの知見と責任を持つ環境局長に答弁を求めます。
 また、盛り土を行わない現在の工法は、建物としての耐震性等に対して、建築工法として、また、建築基準法上安全なのか。これは、建築行政をつかさどる都市整備局長に答弁を求めます。
 都民の重大な関心事は、なぜ議会及び業界に報告のないまま、このような工法変更が行われたのかということもありますが、それ以上に、豊洲新市場の安全性は確認されているのかどうかという点にあると考えます。役所特有の言葉や表現ではなく、疑問を持っている全ての都民が理解できる明快な答弁を求めます。
 ところで、豊洲新市場の土壌の安全性については、九月二十九日、第五街区の七十二本ある井戸のうち三本の井戸から環境基準を上回る地下水が検出されたとの報告がありました。今までのモニタリングでは環境基準を上回る地下水が検出されたことはありませんので、この現状をどのように理解すればいいのか、所見を伺います。
 次に、第三の問題である環境アセスの件についてです。
 既に再招集された専門家会議の検証とも関連しますが、環境アセス変更手続はどのような流れになるのでしょうか。現時点での見通しをお答えください。
 第四の問題である正しい情報の発信についてですが、都は、技術的側面も含めて、しばらく定例的な記者会見等の場を設定し、正しい情報を誠実に責任を持って都民に提供すべきでしょう。それには中央卸売市場だけに任せるのではなく、全庁的な協力体制が必要であります。都全体として正しい情報を一元的に発信していくことを求めます。所見を伺います。
 翻って、正しい情報の発信に努めるべきなのは、議会側にもいえることであります。
 例えば、地下空間にたまった水について、各党がそれぞれ独自の調査を行っているようですが、これは専門家会議の平田座長も九月二十四日に指摘しているとおり、専門家会議において追加調査の実施を指示していることから、直ちにやめるべきと思います。
 水の成分分析は極めて微量の物質を検出する作業です。取水の時期、方法、使用機材等に差があっては正確性を担保できません。議員の調査権を否定するものではありませんが、正確な情報を都民に提供するという意味からも、独自調査はしばらく控え、都議会として正式に調査をするならば、例えば所管の経済・港湾委員会が中心となって、専門家の方々としっかりした仕組みをつくり、一元的な成分分析を依頼し、都民に公表していくべきではないでしょうか。議員各位の協力を求めるものであります。
 新市場に関する正しい情報について、この際、改めて二点伺っておきたいと思います。
 一つは、新市場用地の土壌汚染対策は不十分だったのかという点であります。
 都議会は、平成二十二年度の中央卸売市場会計予算を可決するに当たり、三つの付帯決議をつけました。その一つが安全性に対する項目で、無害化された安全な状態での開場というものであり、現時点で土壌汚染対策が不十分で安全な状態でないとするならば、都議会の付帯決議は守られなかったことになります。
 私たちは、これまでの七回の地下水モニタリング、この八月に行われた施設内の空気測定、九月十三、十四日に採取された地下ピット内の水質検査等、いずれも環境基準内におさまっていることから、それらのデータを見る限り、専門家会議、技術者会議の提言どおり、常識的には土壌汚染対策は適切に行われたと考えます。
 しかし、先ほど申し上げたとおり、九月二十九日、八回目のモニタリングにおいて、第五街区の七十二本ある井戸のうちの三本の井戸から、環境基準を上回る地下水が検出されたとの報告がありました。また、地下ピット内の水は専門家会議によって地下水であることがわかりましたが、地下水管理システムが作動すれば、水位が適切にコントロールされ、以後、地下ピット内に上がってくる可能性は低いといわれております。
 こうしたデータを踏まえた上で、新市場用地は都議会との約束である無害化された安全な状態となったのか、改めて伺います。
 二つ目は、新市場整備の財源についてであります。
 知事は、九月十日の記者会見で、新市場用地の土壌汚染対策費に触れられ、八百五十八億円、土壌汚染対策だけでお金をつぎ込んでいるわけでございまして、タックスペイヤーズマネーを考えますとという表現をなさっています。
 タックスペイヤーズマネー、これはそのまま解釈すると、都民の税金という意味ではないかと私は思うのですが、中央卸売市場会計は、市場業者が都に納めている使用料を主な収入とする独立採算の会計で、整備財源は当初から保有資金、国庫交付金、築地市場跡地処分収入を充てることを見込んでおり、一般会計からの繰り入れなど、都民の税金を直接投入することは考えられておりません。
 中央卸売市場を含む東京都の公営企業は、地方財政法、地方公営企業法を根拠法令としたもので、地方財政法第六条により、その経理は特別会計を設けて行い、その経費は当該企業の収入をもって充てなければならないと規定されています。
 したがって、正しい情報を都民に発信するという意味では、新市場の整備が、あたかも都民の税金を際限なく使って行われているかのような誤解を招きかねない表現は、修正していただくことがよろしいかと思います。所見を伺います。
 次に、行財政運営について伺います。
 知事は、平成二十九年度予算を新しい東京の未来に向けて改革を推し進める予算と位置づけ、東京が抱える課題解決に向けて、積極果敢に取り組む方針を示されています。山積する課題の解決に向けて積極的に策を講じていくことは、もとより重要であります。
 ただ、その際、肝心なのは、財源の裏づけであります。都財政は、現状、健全性を維持していますが、わずか十数年前には、都議会と執行機関が協力し、血のにじむような財政再建に取り組んでいたことを忘れてはなりません。
 また、都財政の歴史は国との財源をめぐる争いの歴史でもあり、膨大な財政需要に対応するためには、今後、知事と都議会とが協力して都民の財源を守っていくことも重要です。
 加えて、都は、東京と地方の共存共栄に向けた取り組みを積極的に進めており、今後も、東京の活力と地方の魅力を結びつけることにより、両者がともに栄え、日本全体を成長させ、経済全体のパイを拡大していくべきと考えます。
 将来にわたる強固な財政基盤の構築は、安定した都民サービスの提供に必要不可欠であり、これは今回、百二十六億円もの補正予算を機動的に編成できたことからも明らかであります。
 そこで、知事は、今後どのように財政運営を行っていくのか、見解を伺います。
 また、我が党はかねてより、二〇二〇年を通過点として、次の時代も輝き続ける世界で一番の都市東京をつくっていくことこそが重要であると繰り返し主張してきました。
 また、先般、都市計画審議会から、二〇四〇年代の東京の都市像とその実現に向けた道筋について、今後の社会の変化を視野に入れた答申も示されました。
 そもそも、東京の都市計画の原型は、関東大震災後に後藤新平が立案した帝都復興事業だといわれております。この事業では、骨格幹線道路の新設や復興小学校と復興小公園の一体的な整備など、画期的な都市改造が行われました。
 しかし、復興予算は削減に削減を重ねられ、幹線道路の大幅な幅員縮小や共同溝事業の全額削減など、後藤が考えた当初案から大きく後退、縮小されたのも事実であります。後藤は、一日も早く復興事業を始めるために予算削減を受け入れましたが、なし得なかった東京の都市づくりの夢に対して、他日を期して全きを期せんとす、つまり、いつの日か、この都市づくりを完成させなければならないと、強い思いを示したといわれております。
 私は、後藤がいったその他日とは、リオ大会が終了し、いよいよ二〇二〇年大会開催まで四年となった今、このときであると考えます。世界で一番の都市東京を実現していくためにも、今こそ、骨太の都市づくりを考え、将来のレガシーとなる計画をつくるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、情報公開の推進について伺います。
 都民目線の施策を展開し、都民の期待に応える都政を実現していく上で、情報公開の推進は極めて重要であります。
 都は、国や他の自治体に先んじて公文書開示の条例を制定するなど、都政について都民に説明する責務を強く認識し、情報公開の推進に取り組んできたと思います。今求められているのは、時代に合わせて、公開する情報を質、量の両面から一層拡充すべく、積極的に取り組みを進めていくことであります。
 そのためには、公文書開示請求のあった文書の非開示部分、いわゆる黒塗りを減らすことも重要でありますが、まず取り組むべきは、都民の誰もが、知りたいときに、容易に必要とする行政情報を得ることができるよう、都みずから、保有する情報を積極的に提供することではないかと考えます。それが進めば、手数料を徴収する開示請求によらずとも、広く情報を公開することができます。
 今後、より一層透明性の高い都政を実現していくために、情報公開をどう進めていくのか、知事の見解を伺います。
 次に、都政喫緊の課題の一つとして、都民の皆様から強く解決を求められている福祉保健政策の充実について伺います。
 まず、少子高齢社会への対応について伺います。
 我が国においては、世界に類のないスピードで少子高齢化が進展し、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年には、都民の四人に一人が高齢者となる見込みです。
 そうした認識のもと、三年前、我々都議会自民党は、世界で一番の都市東京の実現を公約に掲げました。中でも最重点課題である少子高齢化対策については、日本の将来を担う子育て世代に優しい東京、高齢者や障害者に優しい東京をつくることをお約束して、全ての選挙区で議席を託されました。以来、責任政党として具体的な政策を練り上げ、提言し、一つ一つ政策を積み上げてまいりました。
 その成果として、例えば、保育士がその専門性を高めながら、やりがいを持って働き続けられるよう支援する保育士等キャリアアップ補助があります。また、多様な保育サービスの整備も促進され、さらに、全ての子育て家庭への支援の充実も進みました。
 高齢者施策では、認知症高齢者がより身近な地域で支援を受けることができるよう、認知症疾患医療センターの設置を着実に進めてまいりました。また、都立清瀬小児病院跡地を活用して、老朽化した特別養護老人ホーム等の改築中に利用できる代替施設の整備が、まさに今進行しています。
 そうした数々の取り組みは、都議会自民党の提言なくしてはあり得なかったと私は自負いたしております。
 今後、東京の少子高齢化は、かつて経験したことのないほど急速に進んでいきます。こうした待ったなしの状況にある中、少子高齢社会において、施策を実施するに当たっての知事の所見を伺います。
 次に、待機児童について伺います。
 先月、都は、待機児童解消に向けた緊急対策と、それに基づく補正予算案を取りまとめました。
 都議会自民党はこれまでも、待機児童対策を最優先課題の一つとして政策提言を行い、長期ビジョンへ反映させるなど、待機児童ゼロに向けて積極的に取り組んでまいりました。
 加えて、さきの第二回定例会では、共働き世代の増加により、待機児童数もふえる見込みとなったことから、さまざまな保育サービスについて、質を確保しながら大幅に拡充し、待機児童対策を加速化するよう求めたところであります。
 そこで、今回の補正予算編成の考え方について、見解を伺います。
 待機児童解消のためには、施設整備の促進とともに、人材の確保、定着が重要です。
 先ほども申し上げたとおり、都は、我が党の要望を踏まえ、人材の確保、定着を図るため、昨年度から保育士等キャリアアップ補助を開始し、全国的にも一歩進んだ位置にあります。
 保育サービスの整備が一層加速化する中で、必要となる人材を安定的に確保するためには、処遇の改善を初め、さらなる支援策が必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、高齢者施策について伺います。
 第六期高齢者保健福祉計画を策定して一年半が経過しますが、この間、都は、東京の特性を踏まえた地域包括ケアシステムの構築に向け、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 一方、国は、介護離職ゼロの実現に向けて、介護サービス基盤整備の加速化や介護職員の処遇改善を図るなど、介護の環境整備に向けた新たな方針を打ち出しております。
 また、社会保障審議会においては、平成三十年度からの次期介護保険制度改正に向け、給付や負担のあり方などが議論されています。
 そこで、現行計画に基づく取り組みの成果や国の動きを踏まえ、今後の高齢者施策の展開について見解を伺います。
 次に、地域医療構想について伺います。
 少子高齢化がさらに進展し、医療需要の増加が見込まれる中、効率的で質の高い医療提供体制を確保し続けるためには、都は、東京都地域医療構想を本年七月に策定しました。
 我が国の医療需要や医療提供体制の現状は都道府県ごとにさまざまで、特に東京には、大学病院等の集積、公共交通網の発達など、他の道府県とは異なる大都市特性があります。
 このため、昨年二月、国が地域医療構想の策定ガイドラインを取りまとめるに当たって、我が党が、大都市の特性を十分反映するため弾力的な運用を、塩崎厚労大臣に直接要望した結果、ガイドラインにはその考え方が反映されたわけであります。
 将来にわたって、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京にするため、行政、医療関係者、保険者などが十分連携を図りながら、地域に必要な医療の確保に向けて取り組みを進めていくことが重要であります。
 そこで、地域医療構想の実現に向けた今後の進め方についてお伺いいたします。
 次に、動物愛護施策について伺います。
 今や動物は、私たちの人生のパートナーとして深いかかわりを持つようになっています。実は私も昨年来、ボランティアの方に保護された推定四歳の大変かわいらしい茶虎の雄猫を自宅にお預かりし、殺処分ゼロに向けたささやかな保護猫活動のお手伝いをしております。
 しかし一方で、全国では年間十万頭以上もの動物が殺処分になっている現状があります。
 これまで、飼い主の責任や都民の動物愛護への理解促進、譲渡拡大などの施策の充実を求めてきた我が党に対し、都は、本年の予算特別委員会で、殺処分のさらなる減少等を目指し、動物愛護相談センターの機能強化を検討していくと答弁されました。
 私たちは、先月十六日に改めて現場を視察し、老朽化した施設の建てかえも視野に入れた検討が必要であると強く感じました。
 今後東京は、首都として、人と動物の調和のとれた共生社会を実現し、全国を牽引していくべきと考えます。知事の所見を伺います。
 次に、安全なまちづくりについて伺います。
 我が党は、災害に強い安全な東京をつくるため、減災都市の実現を目標に、都と一体となり防災対策を強力に推進してきました。
 特に、発災当初の七十二時間は、救命救助活動において極めて重要であり、この間の対応を万全にすることが不可欠であります。
 首都直下地震においては、道路閉塞や支援物資の滞留が極めて大規模に想定されますが、熊本地震では、自衛隊の装備、練度等の災害対応能力の高さが改めて認識されました。
 都も、首都直下地震に備え、緊急輸送ルート確保の具体化を図っていると聞きます。発災後の対応を万全とするためにも、自衛隊など関係機関との実践的な連携体制の構築が重要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、大規模地下街における浸水対策について伺います。
 東京のターミナル駅周辺では、地下街や地下鉄等が相互に接続し、大規模な地下空間を形成しており、一度浸水が発生すると被害が広範囲に及ぶことが懸念されます。
 また、昨年の関東・東北豪雨やこの八月の台風九号など、甚大な被害をもたらす豪雨が近年増加しております。
 こうした状況の中、昨年、水防法が改正され、今後想定し得る最大規模の降雨に基づき、浸水想定を見直すこととなっております。
 都は、大規模地下街の浸水対策を強化すべきと考えますが、現在の状況と今後の取り組みを伺います。
 次に、山間・島しょ地域の道路整備について伺います。
 都民の生命、財産を守るためには、大地震や集中豪雨等、自然災害への備えとして、防災力を高める社会インフラを積極的に整備し、東京の強靱化を推進する必要があります。
 特に、山間・島しょ地域では、人の移動や物資の輸送のほとんどが道路を利用し、生活及び産業、経済、文化などの活動及び振興にとって重要な社会基盤となっております。
 本年四月の熊本地震では、大規模な斜面崩壊で道路が通行不能となり、支援物資の輸送が停滞するなど大きな支障が生じました。
 この教訓も踏まえ、防災力の強化に資する道路整備を着実に進めていくことが重要です。
 そこで、山間・島しょ地域における道路整備の推進について、都の見解を伺います。
 次に、土砂災害対策への取り組みについて伺います。
 平成二十五年の大島や二十六年の広島など、全国で豪雨による土砂災害が頻発する中、本年は、東北や北海道でも多数の土砂災害が発生いたしました。
 東京都でも、八月の台風の際、大きな被害に至りませんでしたが、複数の箇所で斜面の崩落などが発生しております。
 東京には土砂災害のおそれのある箇所が約一万五千カ所存在するといわれており、対策を早急に進めていく必要があります。昨年第四回定例会での我が党の質問に対し、都は、関係各局による検討委員会を設置し、緊急性を評価する手法などを年度内に定めると答弁されました。
 そこで、その結果を踏まえ、土砂災害対策にどう取り組むのかお伺いいたします。
 次に、頻発する水害への取り組みについて伺います。
 都はこれまでも、時間五十ミリに対応した護岸や調節池等の整備を進めており、平成二十四年度から目標整備水準をさらに引き上げ、治水能力の向上に努めています。
 一方で、豪雨による広域の浸水被害も頻発しています。
 今年三月、中央防災会議が大規模水害に関する七つの提言を行い、荒川や多摩川では、全国に先駆け、国が最大規模の洪水による浸水想定区域図を公表し、自治体での避難体制整備を促すなど、新たな動きが見られております。
 そこで、目標整備水準を超える豪雨による水害に対する取り組みについて伺います。
 次に、環境政策について伺います。
 東京では自然環境を守るため、建築物の解体により大量に発生するコンクリート塊について、貴重な資源として九〇%以上は再生砕石に加工され、道路路盤材を中心に活用されております。
 二〇二〇年東京大会に向けて、競技会場や周辺施設の整備が本格化するとともに、東京の持続的発展を見据えた都市更新が進む一方、発展に伴い発生する膨大な量の廃棄物の有効活用が大きな課題となります。
 再生砕石については、現在、品質に関する公的な基準が存在せず、関連業界が独自の品質基準である東京ブランドを策定し、有効活用を図ろうといたしております。
 資源循環、3R促進の観点からは、再生砕石を含めたコンクリート塊のさらなる有効活用に向けた工夫が必要であると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、重要な都市基盤について伺います。
 まず、多摩地域の幹線道路ネットワークについて伺います。
 四百万人を超える都民が生活する多摩地域では、魅力と活力にあふれ、安全・安心なまちを目指すため、地域が有する多様な特性を生かし、さらなる発展を促す取り組みが必要です。
 このため、多摩地域の内外で都市と都市を結び、物や人の流れを円滑にするとともに、災害時には救助救援活動を支えるため、幹線道路ネットワークの整備を着実に進めていくことが重要であります。
 しかし、いまだ都市計画道路の完成率は約六割と、その整備状況は道半ばです。
 そこで、多摩地域の幹線道路ネットワークの整備について、今後どのように取り組むのか、知事の所見を伺います。
 二〇二〇年東京大会に向け、国内外から障害者を含む多くの人が東京を訪れることから、さらなる道路のバリアフリー化が必要です。
 都は、競技会場や観光施設周辺等の都道のバリアフリー化を進めていますが、整備に当たっては、都道だけでなく区市道も含めた連続性の確保が必要不可欠であります。
 そこで、二〇二〇年東京大会開催に向け、またレガシーとしても、連続した道路のバリアフリー化を推進すべきと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 次に、水道、下水道のライフラインの整備について伺います。
 まず、渇水を踏まえた水源の確保についてお伺いします。
 この夏、利根川水系では取水制限が七十九日間も続き、一都五県の給水に深刻な影響を及ぼす寸前まで水源状況が悪化しました。
 現在、利根川上流で建設中の八ッ場ダムが予定どおり完成していれば、この夏の取水制限は回避できたはずであります。八ッ場ダムが首都東京の安定給水に必要な水源であることは論をまちません。
 そこで、ことしの渇水を踏まえた水源の確保について、国への働きかけを含めた都の見解を伺います。
 一方、異常気象による局地的豪雨や洪水が多発し、列島各地を襲っています。
 最近では、台風十号によって岩手県や北海道で死者を出すなど、風水害の被害は甚大であります。
 こういった状況を見ても、八ッ場ダムは、利水のみならず治水の面からも極めて重要であることを再認識したところであります。
 八ッ場ダムの建設をめぐっては、本体事業の中止など紆余曲折を経て、現在、ダム事業は終盤を迎えており、ダム基礎部の掘削が終わり、本体のコンクリート打設が始まる段階まで進んでおります。先人の労苦とともに、下流都県のためにダムの建設を受け入れた地元住民のためにも、今後、八ッ場ダムを一刻も早く完成させることが我々の責務であると考えます。
 今回、工期は変わりないものの、事業費増額を伴う基本計画変更の議案が上程されております。この点を含めて、八ッ場ダムについての知事の認識を伺います。
 次に、下水道事業について伺います。
 東京では、国家戦略特区の区域指定などにより、各地で大規模な開発が行われております。
 新駅の整備に沸く品川エリアの芝浦水再生センター上部には、下水道事業として全国初の立体都市計画制度を活用した民間ビルと、風の道となる緑豊かな公園が整備され、環境都市づくりを先導しています。
 一方、大手町では、連鎖型の第四次再開発として、来年度から常盤橋街区の事業が着手されます。この街区は、国際金融ビジネス拠点に加え、災害復旧拠点となる大規模広場や、日本橋川の親水護岸など常盤橋公園との一体的整備で、歴史と文化、水と緑が調和した新たな都市空間に生まれ変わろうといたしております。
 下水道局は、このプロジェクトに地権者として参画し、銭瓶町ポンプ所の再構築を行うとともに、施設の上部を活用すると聞いております。
 そこで、下水道施設の整備とまちづくりの観点から、常盤橋街区再開発プロジェクトへ参画する意義について伺います。
 次に、産業政策について伺います。
 去る八月、国は、未来への投資を実現するという崇高な理念を掲げた新たな経済対策を打ち出し、GDP六百兆円の実現に向け、政策を総動員する姿勢を示しました。
 六百兆円という極めて高い目標は、全国の地方自治体それぞれが地域の事情に応じた努力を積み重ねることで初めて達成できるものであります。GDPの二割を生み出す東京は、まさにその先頭に立って、持てる知恵を総動員して取り組んでいかなければなりません。
 例えば、近年、物流のリアルタイムでの管理、スマート工場の導入など、さまざまな産業でIoTの活用が進められています。こうした第四次産業革命ともいえるIoTや人工知能の活用を中小企業でも積極的に進め、イノベーションの創出を図るべきです。これにより、製造業に加え、国際的に低いとされる非製造業の生産性をも高め、稼ぐ力を伸ばすことができると私は考えます。
 都は、時代の潮流を捉え、積極果敢に未来への投資を行う中小企業を強力に後押ししていくべきですが、見解を伺います。
 東京の未来への投資として欠かすことができないのが、創業の促進であります。開業率一〇%という高い目標の達成に向けた一層の後押し、中でも新たな担い手として期待される女性や若者が、みずからの感性や発想を生かし、大きく飛躍していけるよう後押ししていくべきと考えます。女性・若者・シニア創業サポート事業などの資金面を含めた手厚い支援策を、さらに効果的に創業希望者に届けていく必要があります。
 これに加え、例えばビジネスプランコンテストなどで、若者に訴求力のある効果的な手法での働きかけを行い、そこで生まれた希望者を着実に創業に結びつける、より積極的な取り組みが必要だと考えます。
 創業支援の一層の充実に向けた都の見解を伺います。
 二〇二〇年大会は、都や国はもとより、全国の自治体や関係者が力を合わせて招致を実現しました。したがって、その効果は全国に波及させる必要があり、日本全体での産業振興の取り組みを我が党は強く求めてまいりました。
 各地からは、東京でのビジネスチャンスを活用したい、東京から各地に出向いて双方の企業が交流する機会が欲しいといった要望や期待の声が寄せられているとのことであります。これにしっかりと応え、一つ一つの取り組みを着実に実施し、成果につなげていくべきです。また、さきの熊本地震や東日本大震災からの復興支援という視点も決して忘れてはなりません。
 日本全体での産業振興に向けた都の今後の取り組みについて伺います。
 今後、二〇二〇年大会やラグビーワールドカップの準備が本格化し、多くの契約案件が発生していきます。こうしたビジネスチャンスを、日本経済の基盤である中小企業にこそしっかりと届けていく必要があります。
 都は、今春、官民の入札、調達情報を集約した情報ポータルサイト、ビジネスチャンス・ナビ二〇二〇を稼働させ、都、組織委員会や民間企業等の発注案件を数多く掲載しています。
 中小企業の受注機会の拡大に向けて、サイトの一層の利用促進を図っていくべきですが、都の見解を伺います。
 次に、教育政策について伺います。
 現在、国においては、一億総活躍社会の実現を推進するため、給付型奨学金制度の創設を含む大学等奨学金の充実を検討しています。
 一方、我が党はかねてより、私学振興に関する質疑を通じて、私立高校の保護者負担軽減などの取り組みの重要性を主張してまいりました。
 子供たちの就学機会を確保するため、保護者負担の実態に即した、より一層の支援が必要なのは都立高校も同じであります。
 知事は、所信表明において都独自の給付型奨学金についての検討を約束されましたが、都立高校、私立高校の実情に配慮しつつも、給付の目的を明確にし、効果的な取り組みとなるような制度の構築が必須であると考えます。
 教育は未来への投資です。どのような環境に置かれていても、意欲ある子供たちが経済的な理由で教育の機会を奪われることがないよう、社会全体で支えていくことが必要です。
 都独自の給付型奨学金について、知事の所見を伺います。
 次に、発達障害について伺います。
 発達障害への理解の進展を背景に、今後、支援が必要な発達障害の子供の増加が考えられます。
 これに対し、我が党はかねてより、発達障害教育の総合的施策を都に求めてまいりました。都教育委員会はこれに応え、本年二月に策定した計画において、小中学校での具体的取り組みを明らかにしました。
 しかし、高校においては、近い将来、社会に出た際に、みずからの行動に責任を問われるなど直ちに大人の扱いをされるという厳しい現実があります。新たな環境の中で、発達障害を背景として人間関係につまずくようなことを未然に防ぐことが必要です。
 発達障害があったとしても、社会に出て困らないために、都立高校在学中に障害の状態に応じた特別な支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、スポーツ、文化について伺います。
 まず、オリンピックについて伺います。
 東京は、二〇二〇年大会の招致にみずから名乗りを上げ、多くの関係者一丸となった招致活動の末、開催都市の栄誉を担うに至りました。その後も、国、組織委員会など関係者と緊密な連携を図ることで、二千億円以上の経費を縮減した会場計画をIOCに承認してもらいました。
 リオ大会を経て、東京はいよいよ大会準備を加速していくべき重要な時期に立っていると思います。
 一方、知事は就任後、都政改革本部のもと、オリンピック・パラリンピックについても特別顧問等による調査チームを設置し、先般、その報告書がマスコミに提示されました。仄聞するところによれば、その報告書では、海の森水上競技場は宮城県長沼ボート場への移設を探るべきなど、現計画の抜本的見直しが提案されているようであります。
 連絡すらない突然の発表に、関係者の競技団体は大いに困惑し、二〇一六年招致のころから調整を重ね、つくり上げてきた現計画を尊重してほしい旨の声が上がりました。
 私はまず、こうした知事が考える改革の前提となる理念、哲学の部分について伺いたいと思います。
 大会の成功に重要な責任を持つ開催都市の長として、二〇二〇年の東京大会をどのような理念、哲学を持ち、関係団体とどのような連携のもと、どのような大会にしたいのか、その基本的な認識について伺います。
 次に、リオ大会から学んだ点について伺います。
 リオ大会は、夏季の大会運営をじかに学ぶラストチャンスであり、我が党は、オリンピックに五名の議員を現地に自主派遣いたしました。東京大会を史上最高の大会とするため、競技会場、選手村などの大会運営や、輸送交通体系、ボランティアの活動、現地の盛り上がりなどをつぶさに視察してきました。
 例えば、観光地、駅、オリンピックパークにおける案内ブースの設置や、選手村等で地元の食材を優先的に確保する基準の策定などは、大いに参考にすべき取り組みでありました。
 また、簡易な仮設施設や、オリンピックレーン、BRTの設置などは、自然災害が少なく道路が広幅員であるリオ市の特徴を生かしたもので、我が国での実現は困難かと思われますが、大変示唆に富む視察でありました。
 都も多くの職員を派遣したと聞いていますが、これから本格的に大会準備を進める上で、リオ大会から何を学び、どのように東京大会に生かしていくつもりなのか、知事の見解を伺います。
 次に、パラリンピックについて伺います。
 我が党は、リオ・パラリンピック大会にも四名の議員を自主派遣し、パラリンピックならではの大会運営を視察してまいりました。現地では、ボランティアが陽気に競技会場に向かう人々に声をかけ、会場内では観客が選手に熱い声援を送るなど、人々の笑顔が強く印象に残ったとのことでありました。
 しかし、日本では、オリンピックほどにはメディアに取り上げられず、東京大会に向け、機運醸成は大きな課題であると捉えております。
 また、競技会場を初め、さまざまな場面でバリアフリーの取り組みが施されていたとのことですが、東京で重要なのは、今後、まち全体を、バリアフリーはもとより、ユニバーサルデザインに変えていくことであります。
 そのためには、まず東京大会に向けたバリアフリーの指針であるアクセシビリティ・ガイドラインを踏まえ、競技会場等でのより高いレベルのユニバーサルサービスを実現していくことが重要であります。
 日本は高齢化率が世界で最も高く、今後も急速に進展していくことから、誰もが住みやすいまちづくりが必要不可欠であり、世界で一番の都市への試金石として、あらゆる面で東京大会を必ずや成功させなくてはなりません。
 東京で開催する二回目のパラリンピックをどのような大会にしたいのか、知事の所見を伺います。
 次に、フラッグツアーについて伺います。
 リオ大会の閉会式で、東京に大会旗が引き継がれました。総理にも一役買っていただいたサプライズや、障害を乗り越えて活動する日本の若者の姿を世界に発信し、次回開催都市東京、そして日本を鮮烈に印象づける非常に華やかなセレモニーでありました。
 これらフラッグは、二〇二〇年大会の理念、目標の象徴であります。フラッグツアーの実施に当たっては、都民一人一人が二〇二〇年大会への期待を高め、参加しようという思いを持ってもらうことが重要であると考えます。
 また、都内はもとより、東日本大震災や熊本地震の被災地、他県の競技会場都市など日本全体にも波及させ、日本全体で開催機運を盛り上げていくべきであります。
 こうした観点からフラッグツアーを実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 リオ・パラリンピックでの、みずからの限界に挑むアスリートの雄姿は、都民、国民にとって、障害者スポーツを知り、理解する大きなきっかけとなりました。この機運を東京大会へとつなげていくためには、障害者スポーツがより身近なものとなるよう浸透させていく取り組みが必要です。
 そのためには、障害者スポーツに対する関心を高め、実際に競技会場に足を運んで観戦してこそ、アスリートの卓越した技術や集中する姿など、その魅力が伝わるはずであります。
 都は、障害者スポーツの観戦の促進に向け、戦略を持って働きかけていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、東京の文化発信について伺います。
 リオ大会において、都は、昨年度からリーディングプロジェクトとして取り組んできた東京キャラバンやTURNに加え、江戸木やりや東北の郷土芸能の演舞イベントを実施しました。ブラジル現地の方々や観光客など多くの人々が訪れる中、すばらしい成果を知事みずからも体感されたと思います。世界から注目を集めたリオ大会の期間を捉え、東京、日本のすばらしい文化の魅力を伝えることができたことは、大変意義があったと考えます。
 リオ大会が終わった今、いよいよ東京の文化プログラムが始まります。これから二〇二〇年大会までの期間は、伝統を初めとする多彩で奥深い東京、日本の文化の発信力を高めていく重要な期間になると考えます。
 二〇二〇年に向け、東京、日本の持つ文化の力を結集し、世界へアピールしていくため、今後四年間、東京の文化発信をどのように行っていくのか、知事の考えを伺います。
 さて、東京大改革を掲げた小池知事の誕生により、都政は新しい時代に入りました。
 既に申し上げたとおり、私たち都議会自民党は、今までもこれからも都政改革は永遠の課題との認識で、よりよい都政を目指して努力していきたいと考えます。
 私たちの目指す改革とは何か。フランス革命を批判し、保守主義の父といわれたエドマンド・バークは、以下のように述べました。
 我々は誰しも変化の大法則に服従しなければならない。これは自然の最も強力な法則であり、多分それの保存の手段であろう。それゆえに、我々人間の英知に実行できることは、この変化を目に見えない形で穏やかに進行させる配慮である。
 目に見えない形で穏やかに進行させる配慮である、私たちはこうした考えで、これからも都民の幸せをつくる政策の実現に邁進していきます。
 知事が主張する都民ファーストと私たちが日ごろ申し上げている都民の与党とは、表現は違いますが、意味にそれほど変わりはないと考えます。都政を前に進めていくために、互いに協力すべきは協力し、よりよい政策実現に切磋琢磨していく関係こそが、二元代表制の本来の姿であり、都民の期待であると信じています。
 都政の一つの区切りである二〇二〇年まであと四年。東京都議会自由民主党は、その限られた時間の中で、都議会第一党としての役割を精いっぱい果たしていくことをお約束申し上げ、答弁によっては再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 高木けい議員の代表質問にお答えをさせていただきます。
 まず、靖国神社への参拝についてでありますが、今日の平和と繁栄は、戦禍の中で亡くなられた多くの方々のとうとい犠牲の上に築かれているものであるという事実を決して忘れてはならない、私は、ことしの終戦の日に行われました東京都戦没者慰霊式におきまして、多数のご遺族の皆様を前にこのような式辞を申し述べたところでございます。
 これはまさしく、毎年、終戦の日を迎えるたびに私が強くする思いであり、常に心の中で、どこであれ、戦没者に対する崇敬の念を抱いているところであります。
 ご遺族の皆様も年々高齢化されている。戦後生まれの世代が、戦没された方々の祖国発展への思いをしっかりと受け継いでいかなければならないと存じます。
 首都のかじ取りを担う東京都知事として、東京ひいては日本を、戦没された方々に誇ることのできる、夢と希望にあふれた平和な都市、国家として発展させていくため努力をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 続きまして、地方自治のあり方等を含めた現行憲法についての考え方について、お話がございました。お問い合わせがございました。
 地方に、より大きな権限を与えて主体的な地方自治を目指す。これが私の地方自治に対する基本的な認識でございます。
 多くの自治体で、人口そして歳入の減少に直面している今日にあって、地方自治体が新たな発想で、産業や歴史、文化など、それぞれの個性を生かしてオンリーワンのまちづくりを進めていくことは重要な観点でございます。
 そのためには、地方財政にもっと自主性を持たせるなど、住民自治及び団体自治の一層の充実が求められているところでございます。
 今後の地方自治のあり方について、憲法の規定も含め、国民がみずからの問題として考えていく。その結果、加憲を含め、憲法についての議論を深めることが望ましいと私も考えているところでございます。
 地方自治をますます発展させる、さらには日本の国益や伝統、歴史を大切にしていく。そのために憲法はどうあるべきなのか。こうした国民的議論が活発に行われることを私も期待をしているところでございます。
 続いて、東京の地方自治についてのお尋ねでございます。
 今後、東京を含めまして、日本全体が超高齢化社会を迎える。その中で、限られた税収の有効活用を徹底して、住民の利益を最大化していくためには、住民のニーズ、これをじかに把握できる地方自治体にこそ財政の自主性を与え、地方のことは地方で決める分権を進めていくということは不可欠であります。そのことが日本全体を活気づかせることにもつながると、このように考えております。
 まさに今こそ、明治の先人たちに倣って、地方の意思を国の方針に最大限反映させていく努力を惜しんではならないと考えております。東京が日本の成長のエンジンとして全国を牽引し、東京と地方がともに栄えることなくしては、日本の持続的な成長はなし得ないのであります。
 そうした認識のもと、都は、全国の地方自治体のリーダーとして、率先して国に物申していく。同時に、住民に最も身近な区市町村の取り組みを後押しして、東京の地方自治を力強く前へ進めていくと考えております。
 次に、所信表明におけます東京の現状の表現についてお尋ねがございました。
 後藤新平は、関東大震災の後、ご存じのように、大風呂敷ともいわれた大胆な発想で、百年先を見据えた東京の骨格をつくり上げました。
 翻って今日、東京を預かる私たちは、百年先を見据えて働いているのでしょうか。後藤が震災の廃墟の中からつくり上げた新たな骨格、その中に込めた東京の持続的な発展への熱い思いが、豊かな税収を背景に見えなくなってはいないだろうか。その戒めとして表現をさせていただいたものでございます。
 次に、選挙公約についてお尋ねがございました。
 公約とは、いうまでもなく、有権者の皆様との約束、また、みずからの政治家としての姿勢を示すものでございます。
 そして、冒頭解散を述べた意図についてお尋ねがございました。
 私は、主権者である都民の意思が適切に反映されることが、都政にとって極めて重要だと考えております。
 したがって、発言の意図といたしましては、都民のご支持をいただき知事になったその直後の私に不信任決議が出されるのであれば、都議会を解散し、都民の意思を伺うということを意図したわけでございます。都民の皆様方の意思を受け、私も覚悟を持って対応していかなければならない。その決意を持ってお示しをしたところでございます。
 続いて、特別職報酬等審議会への諮問についてお尋ねがございました。
 今回私が提案しております給与の減額措置でございますが、知事の本来の給与水準を引き下げるものではなく、私の都政改革に向けた決意と姿勢を示すために、あくまで特例として実施するものでございます。
 一方、特別職報酬等審議会は、知事を初めとする特別職の報酬等の改定に際しまして、公平性、公正性をより一層高める観点から、社会経済情勢や民間のベースアップ等を考慮いたしまして、適正な報酬水準等について答申をいただいているものでございます。
 このような報酬等審議会の性質を踏まえますと、今回のように知事の政治姿勢に基づいて給与の減額を行う場合は、審議会への諮問にはなじまないと、このように考えるものでございます。
 さらに、給与減額条例の提案についてお問い合わせがございました。
 過去に専決処分で減額を行った例があることは承知をいたしております。当時は、財政の再建等のために早急な対応が必要との認識から、例外的に専決処分を実施したものと考えております。
 一方で、今回の減額措置についてでございますが、私の都政改革に向けた決意と姿勢を明らかにするために実施するものでございまして、今後私が取り組んでいく改革の内容を示しつつ、議会の皆様にお諮りして実施すべきものと考えまして、本定例会へ条例案を提出させていただいたものでございます。
 続いて、ブラックボックスという言葉についてのご質問がございました。
 日本流の根回しを初め、日本の政治風土においては往々にして、主権者の目の届かないところで、ある種の力学が働きがちでございます。そのため、一般の都民の目線では見えづらいところも間々あるということを表現したものでございます。
 これまで、都議会を含めまして、都政がこれほど注目を集めた前例はございません。都政の透明化、これを進めることで、都民の皆様に共感いただける東京都を皆様とともに実現していきたいと、このように考えております。
 続いて、特別顧問等の方々の実績や選任の経緯等についてご質問がございました。
 都政改革本部で行うさまざまな課題の検討に、客観的な第三者の視点を反映させるため、東京大改革をともに進めていこうという同じ志を持つ外部の方を、特別顧問や特別参与として任命をいたしたところでございます。
 例えば、情報公開や自治体改革に知見のある方、弁護士、公認会計士、企業の経営改革に携わってきた方など、都政改革を進めるに当たって大きな力を発揮してくださる方々等でございます。
 特別顧問等は、特別職の非常勤職員であります。本部長である私の命によりまして、改革本部において、都政の課題についての実態調査や改善策の検討などを行っていただきます。
 その報酬に係る年度末までの経費といたしましては、総額約二千万円を見込んでいるところでございます。
 特別顧問等には、専門知識、そしてご経験を生かした客観的な第三者によるチェック、これを期待しているところでございます。
 次に、都政改革本部の位置づけについてのお尋ねがございました。
 私の目指す東京大改革の肝は、都政を透明化、見える化をいたし、都民ファーストの都政を実現すること、このことを何度も申し上げたところでございますが、そのためには、職員一人一人が、みずからが改革の担い手となって、積極的に情報公開を行う姿勢を持ちながら、仕事の進め方を見直していかなければなりません。
 こうした都庁の自己改革精神を呼び覚ます装置として設置したのが、私が本部長を務め、各局長を本部員とする都政改革本部でございます。
 本部で示された方向性に従って、都庁の各局はワイズスペンディング、つまり税金の有効活用の観点を踏まえつつ、政策や制度、予算、内部統制など、あらゆる改革を自主的に行っていく。
 今後、この本部を土台として全庁に改革マインドを根づかせるとともに、ガバナンスの機能強化を図り、都政に対する都民の信頼を確保していく。そして、この大改革を進めたその先には、誰もが希望と活力を持って安心して生活をし、日本の成長の牽引役として世界の中で輝き続ける新しい東京を、都民の皆様、都議会の皆様とともにつくり上げていきたいと考えております。
 理事者や顧問団との関係についてでございますが、知事である私は、みずからの判断と責任において、都政を運営する責務を負っております。
 その具体的な担い手でございますが、地方自治法上、補助機関と位置づけられている、各局長を初めとする職員の皆さんでございます。
 特別職の非常勤職員であります都政改革本部の特別顧問の皆様方には、専門知識と経験に基づいて、客観的な第三者の視点から助言、提言をしていただく、いわゆる助言機関の役割を期待しているところでございます。
 私は、都庁の自律的改革を柱といたしております。職員の皆さんと目指すべき目標を共有して、特別顧問などの助言も受けながら、改革を不断に進めてまいりまして、都民ファーストの都政を展開していきたいと考えております。
 続いて、都議会との関係でございます。
 市場の移転につきましては、所信表明で申し上げましたとおり、過去、関係者の皆様方が積み上げてきたものであるということについては十分承知をいたしております。しかし、一方で、食の安全・安心という点からの重要性に鑑みまして、再度検証しておきたい、その思いで判断したものでございます。
 この都議会は、議決機関であります議員の皆様との議論を通じて、東京都として未来に向けた決断を行っていく場だと、このように考えております。移転の延期の判断にいたしましても、既成事実化ということでは決してございませんが、今後、都議会でさまざまな観点からご議論いただくものと認識をしておりまして、議会軽視とは考えておりません。
 開場延期の決定経緯についてのお尋ねがございました。
 私は環境大臣を務めておりましたころから、また、今回の知事選の選挙期間中から、豊洲市場の安全性や使い勝手などについて、懸念があるとの声、聞いてまいりました。
 そこで、まずは立ちどまって考えるべきとの観点に立ちまして、知事就任後に早速、所管局から現状の報告を受けるとともに、現地へ赴き、そしてみずからの目で状況の確認も行ったところでございます。
 賛成、反対、それぞれの立場の関係者のご意見や、専門家のお話もつぶさに伺ってきたところでございます。
 こうした経緯を経ながら、十一月七日の移転につきましては、慎重に検討を重ねてまいりましたものの、それでもなお安全性への懸念、巨額で不透明な費用の増加、情報公開の不足、これら三つの疑問が解消されるには至りませんでした。
 円滑な移転に向けた、議会の皆様、市場関係者の皆様のご労苦は、所信表明の際にも、先ほど申し上げたように承知をしているところではございますが、都民の食の安全を守り、都民への説明責任を徹底すべき都知事として、そのような状況で移転を進めることは都民の納得を得られるものではないと考えまして、延期を決定したものでございます。
 都政の信頼性の低下についてのご質問がございました。
 このご質問にありましたように、私も、今回の件は組織のトップとして非常に重く受けとめているところでございます。
 都政の信頼の回復は、一朝一夕になし遂げられるものではないと思っております。まずはこの問題について、現状を客観的に把握し、専門家の知見も取り入れながら、都民、市場関係者に安心していただく、その方策を見出してまいりたい。一つ一つ積み重ねていくことが必要だと、このように考えております。
 同時に、こうした事実を都民に丁寧にお知らせをし、理解と協力を得ていかなければなりません。この都議会での質疑につきましても、大変、都民への情報提供の場として重要であると、このように考えております。
 市場移転について、これまで事実関係を確認する機会があったにもかかわらず、極めて不十分であった。組織のこれら弛緩した空気の存在は、都庁組織にとりましても、残念ながら危機的状況といわざるを得ないと考えております。
 今後、私が先頭に立って、都庁組織が抱える問題を正面から見据え、常に自律的に改革を行うことができる組織へと変えてまいりたいと考えております。そして、都政の見える化を進めることで、都民が都民ファーストを実感し、信頼できる都政をつくり上げていく。そのためにも、都議会のご協力をお願いしたいと考えております。
 議会、そして業界に説明がなされていなかったことについてのお尋ねがございました。
 都議会や都民、市場関係者からの信頼を踏みにじることになった点、都民の皆様方の憤りは当然のことでございます。市場関係者の方々のご労苦、ご心労には、心より申しわけなく思っております。
 このような事態を招いた最も大きな要因は、ガバナンス、責任感の欠如であるといわざるを得ません。
 具体的には、前例踏襲の仕事の進め方や曖昧な意思決定のあり方、また、上司と部下の間、土木と建築の担当、あるいは技術職と事務職といった職種間での連携の不足などを挙げることができます。
 個人の特定は引き続き行うものとして、問題は組織運営上のシステムのあり方だと考えます。
 この問題を契機といたしまして、いま一度基本に立ち返って、職員の意識改革及び組織運営の改革を通じて、都民ファーストの視点を持って、議会や市場関係者の方々へ正確な情報を適切かつスピーディーに発信をしてまいりたいと考えております。
 続いて、豊洲市場の整備の財源についてのご質問がございました。
 都の市場事業については、独立採算を原則として運営をしております。その主な収入が市場の使用料であるということについても、ご指摘のとおり、承知はいたしております。
 一方で、豊洲市場の整備には多額の費用がかかっており、将来にわたって市場会計の健全性を維持していくためには、税金と同じように、ワイズスペンディング、つまり資金の有効活用を徹底するということが重要であり、その趣旨をもって申し上げたところでございます。
 続いて、今後の財政運営についてのお尋ねがございました。
 私が都民とお約束をいたしました三つのシティー、つまりセーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティー、これらを実現して新しい東京をつくり上げていくためには、これを支える強固な財政基盤の構築は極めて重要でございます。
 そもそも、歳入の根幹をなす都税収入でございますが、景気変動の影響を受けやすく、また、都は地方交付税の不交付団体であるということから、他の自治体以上に自律的な財政運営を行っていかなければなりません。
 そのため、全ての事業に終期、終わりの期を設定いたしまして、一定期間をもって一度立ちどまる、そこで事業評価を行う、事業を継続するのか、それとも見直し、再構築を行っていくのか、または拡充を図っていくのか、多角的な検証を行うシステムを導入することといたしました。
 これまでの事業評価を継承しつつ、施策のPDCAサイクルを一層強化して、さらなる機能向上を図ることで、都民ファーストの視点に立った改革を、より一層推進してまいりたいと考えております。
 あわせまして、都の財源については、都議会の皆様と手を携え、私自身が先頭に立って、国にも強く働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 続いて、情報公開の推進についてでございます。
 東京大改革の肝となるのは、都政の透明化、見える化、わかる化、すなわち情報公開の徹底でございます。
 情報公開を進めるに当たりましては、何よりも都庁全体の意識改革を図らなければならないとは先ほど申し上げたとおりでございます。
 そこで、私が本部長となる都政改革本部に情報公開調査チームを設けまして、積極的な情報発信に向けた取り組みを開始したところでございます。
 まず、今般の都政改革本部の模様をインターネットで中継いたしております。そして、会議資料も迅速に公表をいたしております。都政の課題についての決定過程の透明化を進めているところでございます。
 あわせて、各局においても自律的な改革を行って、ホームページを通じて、都政の重要課題を初め都民が必要とする情報を十分かつ容易に得られるよう、その内容と量を大幅に拡大してまいりたいと思います。
 今後、都民ファーストの観点からも、こうした取り組みを都庁の隅々まで徹底して、都民とともに進める都政を実現してまいりたいと考えております。
 少子高齢社会への対応についてのお尋ねがございました。
 我が国では、世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進んでいるのはご承知のとおりでございます。この東京におきましても、二〇一二年に初めて死亡数が出生数を上回り、二〇二〇年をピークに人口は減少に転じると予測をされております。
 今後の福祉施策を進めるに当たりましては、こうした将来を見据えて、東京の持続可能な発展のために、都民のニーズに応える具体的な取り組みをきめ細かく、かつ迅速に実施していく必要がございます。
 そのため、まず、都民が安心して子供を産み育てられるよう、待機児童解消に向けた緊急対策を取りまとめまして、本定例会に補正予算案を提案させていただいているところでございます。
 補正予算案には、保育所等の整備促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実の三つを柱といたしまして、施設整備費補助の充実や都有地活用の推進、保育従事者のための宿舎借り上げ支援の拡充、認可外保育施設利用者の支援などを盛り込んだところでございます。
 今回の対策は、待機児童解消に向けた第一弾でございます。今後、国の動向や区市町村の意見なども踏まえまして、さらなる支援策を検討して、来年度予算案にも反映していく所存でございます。
 また、高齢者対策についても、できる限り住みなれた地域で暮らし続けられますよう、介護サービス基盤の整備や介護人材の確保、定着、地域で適切な医療が受けられる体制の確保など、地域包括ケアシステムの構築に向けた施策の一層の充実を図ってまいります。
 そして、女性も、男性も、子供も、高齢者も、障害者も生き生き生活できる、活躍できるダイバーシティー東京を実現していくため、今後、常に都民ファーストの視点に立ってさまざまな福祉施策を展開してまいりたいと考えております。
 人と動物との調和のとれた共生社会を実現するための取り組みについてお尋ねがございました。
 動物は、飼い主にとりましては家族の一員、社会にとってその一員であると、そして私たちの生活に潤いや癒やしを与えてくれる大切な存在と所信表明でも述べさせていただきました。
 私は、こうした信念のもとで動物愛護施策に力を注ぎ、また、今回の都知事選挙においてもペットの殺処分ゼロを公約に挙げたところでございます。
 都における動物の殺処分、平成二十六年度までの十年間で約八分の一まで減少しております。平成二十七年度の殺処分の数は、苦痛から解放するために行った場合などを除きますと、犬が十頭、猫百九十三頭、合わせて二百三となっております。私は、二〇二〇年の東京大会までにこれをぜひゼロにしたいと思っております。
 そのためには、子供のころから命あるものを慈しむ気持ちを育んでいく、動物を飼い始めたら終生飼養する、また、やむを得ず飼えなくなった場合にはできるだけ譲渡をする、そのことが何よりも重要だと考えております。
 また、こうした考えに立ちまして、今後、飼い主のいない猫対策、離乳前の子猫の育成や譲渡、子供を対象とした普及啓発など、区市町村との連携を一層強化して、動物愛護推進員やボランティア団体、都民の皆様の理解と協力を得ながら取り組みを進めてまいりたいと存じます。
 また、都の動物愛護施策の拠点であります動物愛護相談センターについて、その役割や機能の検討を進めて、年度内には具体的な整備計画を盛り込みました基本構想を策定する考えでございます。
 高木先生におかれましては、どうぞ猫ちゃんをかわいがっていただいて、その姿をどうぞ都民の皆様方にお示しいただきますようお願いを申し上げたく存じます。
 続いて、多摩地域の幹線道路ネットワーク整備についてご質問がございました。
 東京の将来を築くに当たりまして、人口の三分の一、そして面積の半分を占める多摩地域は非常に大きな存在でございます。
 多摩地域には、高度な技術力を持つ中小企業や大学、研究機関が集積するなど、所信表明で触れたところでございます。高尾山を初めとする緑豊かな観光資源、活力と魅力にあふれているのが多摩地域でございます。
 これらの潜在する可能性を最大限に生かして、多摩地域のさらなる発展を図るためには、交通、物流機能の強化、日々の生活を支え災害時の迅速な救急救援活動を担う幹線道路ネットワークの充実は極めて重要でございます。
 幹線道路の整備を積極的に進め、地元市町村とともに、多摩地域の多様な魅力と活力を一層高め、東京の持続的な成長につなげてまいりたいと考えております。
 続いて、八ッ場ダムについてのご質問でございます。
 八ッ場ダムにつきましては、将来にわたって東京のみならず首都圏の安定給水を確保し、洪水被害の危険性を低減する上で必要不可欠な施設でございます。
 台風や集中豪雨、一方で渇水の発生など、気象変動に伴う影響が顕在化していることはご指摘のとおりでございます。
 今回の事業費増額は、物価上昇、埋蔵文化財調査の範囲の拡大などが主な要因と聞いております。国からの提示については、一都五県による検証を経て妥当なものとなっておりまして、やむを得ないと考えております。
 八ッ場ダムがその持てる役割を十二分に発揮できますよう、国には工期の厳守と完成までの徹底したコスト縮減を強く求め、災害に強い安全な都市東京の実現につなげてまいります。
 続いて、都独自の給付型奨学金についてのお尋ねがございました。
 将来を担う子供たちの教育の機会は平等であるべきであり、経済格差が将来の希望の格差につながることがあってはなりません。
 都は現在、高等学校の授業料については保護者の所得水準に応じて国の就学支援金を支給し、また、私立高校生に対しては特別奨学金制度を設け支援を行っているのはご存じのとおりでございます。
 また、授業料以外の教育費につきましても、低所得世帯を対象に奨学給付金を支給しております。
 これらの支援制度や今日の経済状況、保護者の教育費負担の現状などを踏まえまして、今後の東京にふさわしい都立高校そしてまたご指摘のありました私立高校の実情に応じた都独自の給付型奨学金について、速やかに検討を進めてまいります。
 家庭の経済状況に左右されることなく、どのような環境にあっても、誰もが希望する教育を受けることができるように、子供たちの学びたいというその気持ちにしっかりと応えてまいりたいと思います。
 続いて、二〇二〇年の東京大会についてでございます。
 誰もが希望と活力を持って安心して生活をし、日本の成長エンジン、牽引役として世界の中で輝き続けるサステーナブル、持続可能な新しい東京。私は、二〇二〇年大会の成功こそが、この新しい東京実現へのきっかけになると確信をしております。
 そのためには、まず大会の主役でありますアスリート、選手の皆さんが競技に集中できる快適な環境を整備することで、その圧倒的なパフォーマンスを後押ししてまいりたいと考えております。
 競技施設や大会運営は、まず、もったいない、3Rの思想で持続可能なものとしてまいりたい。そしてまた、パラリンピックでは、多様性を認め合って、あらゆる違いを超えてつながり合うというオリンピック・パラリンピックの精神を広げてまいりたいと考えております。
 また、大会の安全・安心も確実に確保しなければなりません。国と十分に連携しながら、テロ対策を初め、治安基盤の充実強化に万全を期してまいります。
 このように、大会とその準備を通じまして、まちづくり、治安、観光、文化など、あらゆる分野で東京を進化させてまいります。そして、都民生活の質の向上と持続的な成長を実現してまいりたいと考えております。
 私は、開催都市の長として、二〇二〇年を超えてよきレガシーを東京と日本に残すため、多くの関係者と力を合わせながら、何としても大会を成功させ、開催都市の責任を果たしてまいりたいと思います。
 リオ大会についてお話がございました。
 リオ大会は、開会前には治安の問題や会場整備のおくれなどの課題が数々指摘をされておりましたが、大きなトラブルもなく成功裏に終了したと思います。リオデジャネイロのパエス市長を初めとする関係者の方々には、改めて心から敬意を表したいと存じます。
 そして、私自身、次回開催都市の長として現地に赴いたわけでございますが、大会旗を受け継ぐとともに、同時に大会の運営、そして施設の整備、交通インフラ、治安対策など、大会を開催する都市が担うべき役割や課題、対応方針なども、ともに引き継いでまいったところでございます。
 また、施設整備につきましては、仮設施設の柱、はり、エレベーター、トイレなどを、例えば解体後に再利用することを前提に整備するなど、持続可能性に最大限配慮している、その点で大変評価をしたいと思っております。まさにリデュース、リユース、リサイクルの3Rを体現したというのが今回のリオ大会だったと、このように思うところでございます。
 こうした取り組み、いい点などは参考にしながら、東京大会の運営には、一方で日本の伝統的な美徳でありますもったいないの思想を取り入れて、環境面やコスト面について、しっかりと検証しながら準備を進めていく必要がございます。
 二〇二〇年大会を単なる一九六四年の東京大会の繰り返しではなくて、成熟都市ならではの創意工夫を凝らして、最先端都市でありますTOKYOの魅力を世界中にアピールする、そんな大会にしたいと、このように考えております。
 パラリンピック大会についてもご質問がございました。
 リオにおきまして、私もボッチャやゴールボール、ウィルチェアラグビーなどを、初めて目の前で見てまいりまして、そのおもしろさ、迫力に感動いたしました。
 しかし、日本では、それぞれの競技が十分に知られているとはまだいえない状況だと思います。オリンピックに比べますと、知名度は圧倒的に低いといわざるを得ません。
 そこで、東京大会に向けまして、まずパラリンピック競技そのものの認知度、選手の競技力向上などに取り組んでまいって、ぜひ会場を満員の観客で埋め尽くしたいと、このように考えております。
 また、バリアフリーにつきましては、障害の差に応じた施設や細やかな心遣いの必要性など、さまざまな気づきをリオにて得ることができたわけでございます。
 施設などの整備はパラリンピックを前提で進めることによってオリンピックにプラスに活用していく、そういう発想が必要であると実感したところでございます。
 東京におきましても、世界各国から選手や観客を迎えるに当たりまして、会場などの施設やアクセス経路のバリアフリー化に徹底的に取り組んでまいりたいと考えております。
 そして、大会に適用されるバリアフリーの基準でございますが、アクセシビリティーガイドラインという言葉がございます。考え方、コンセプトがございます。これを十分に踏まえながら、都有の施設を初めとして、高齢者や障害者に優しいユニバーサルデザインのまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
 二〇二〇年大会は、誰にとっても住みやすい東京への大きな転換点となることはご指摘のとおりでございます。二〇二〇年以降の東京の未来像を見据えて、パラリンピックに向けた取り組みが最大のレガシーとなるよう、全力で成功へと導いてまいりたいと考えております。
 フラッグツアーについてのご質問がございました。
 大会の成功の鍵は、都民、国民の皆様が大会にかかわって、自分たちの大会であるということを感じていただくことだと思います。
 私は、これからの四年間、大会を盛り上げるわくわくするような取り組みを進めてまいる、そして、多くの方たちと、このわくわく感を分かち合いたいと考えております。
 その第一歩として、リオ大会の興奮と感動を二〇二〇年につないで、オリンピック・パラリンピックのすばらしさと価値を共有していただくため、その象徴でありますフラッグが都内全区市町村を巡回するフラッグツアーをこれから実施するところでございまして、都議会議員の皆様方の区市町村それぞれにこれから回らせていただく計画を練っているところでございます。
 そこで、特色あるイベントや文化、教育プログラム、スポーツ活動とも連携をいたしまして、都民の皆様方が参加できる多種多様なプログラムを考えてまいります。
 また、二〇二〇年大会は復興オリンピック・パラリンピックでもある。それが原点でもございます。被災地に元気を届け、復興の歩みを力強く発信できるように、東北の被災三県、熊本県などを初めとする全国各地でも、このフラッグツアーを展開していく考えであります。
 私自身は、小笠原村を皮切りに積極的に参加をする予定としております。そして、スペシャルアンバサダーのTOKIOさん、そしてオリンピアンやパラリンピアンの方々とともに、オール東京、オールジャパンで開催の機運を盛り上げていきたいと考えております。
 そして、最後の私へのご質問でございますが、東京の文化の発信についてお尋ねがございました。
 私も、リオにおきまして、江戸とび木やりの皆さん、拝見させていただきました。TURN、そして東京キャラバンなどを直接拝見させていただき、激励もしてまいったところでございます。国や言葉の壁を越えて人々に感動を与える芸術文化の力、これは日本のまさしく力だと強く感じたところでございます。
 特に、東京には、長い歴史の中で育まれ発展してきた数多くの芸術文化がございます。そして、海外では、私たち日本人が当たり前だと思っているようなことが大変な文化として高い評価を得ているわけでございます。
 そこで、二〇二〇年大会までの四年間だけでなく、私はその先を見据えて、東京の宝物、日本の宝物といえる芸術文化の魅力を改めて引き出したいと、このように考えております。
 そして、この秋から展開します文化プログラムでございますが、大会の機運の醸成を図る上でも、より多くの都民、国民に参加してもらうとともに、誰もが楽しめるプログラムを充実いたしまして、国内外にしっかりとアピールしていくことが重要と考えております。
 そのために、都立文化施設の有効な活用を初めとして、全庁一丸となって取り組みを進めるとともに、国や組織委員会、被災地など全国各地とも協力いたしまして、東京、日本の芸術文化の魅力を世界へと発信してまいりたいと思います。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長及び関係局長からご答弁をさせていただきます。
 ありがとうございました。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 都立高校における発達障害教育についてでございますが、発達障害と考えられる生徒はほとんどの高校に在籍しており、その在籍数や学科等の状況に応じつつ、生徒一人一人の多様な教育的ニーズに応える必要がございます。
 このため、都教育委員会は、現在、社会性の向上などを目的とする学校設定教科、科目の研究開発に着手するとともに、発達障害の専門性を持つ機関を活用して、土曜日に学校外で特別な指導を受けられる都独自の取り組みを試行実施しております。
 今後は、学校内で通常の授業とは異なる特別な授業を通級により実施することについて、平成三十年度の運用開始を目指し、鋭意検討してまいります。
 これらの取り組みにより、発達障害の全ての生徒に適切な支援を幅広く実施してまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊洲市場用地の土壌汚染対策についてでございますが、用地内の操業由来の汚染土壌につきましては、中央卸売市場からの届け出を受けて審査を行い、汚染土壌の掘削除去や処理、工事中の拡散防止などが土壌汚染対策法の規定に基づき実施されたことを確認しております。
 また、用地全体で関係者以外が汚染土壌に触れることがないよう措置がとられており、地下水の利用も予定されておりません。
 豊洲市場用地の土壌につきましては、特定有害物質による汚染の把握や健康被害の防止に関する措置を定めた土壌汚染対策法上の対策が的確に実施されているものと考えております。
 次に、環境アセスメントに係る変更手続の期間についてでございますが、豊洲新市場の環境アセスメントにつきましては、建物下の構造が評価書に記載されている内容と異なっているため、中央卸売市場からは、専門家会議の検証を踏まえた上で環境を保全するための措置を含む変更届を提出していきたいとの意向が示されております。
 変更届が出された場合、審議については、一般的に、提出されてから約一カ月を要します。
 なお、変更の内容が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、知事は環境影響評価審議会の意見を聞いた上で、手続の全部または一部を再度実施するよう求める場合がありますが、その場合、手続に要する期間は約十五カ月を要するものと考えております。
 最後に、再生砕石の利用拡大についてでございますが、都は、本年三月に策定した東京都資源循環・廃棄物処理計画において、今後取り組むべき施策として、建設工事におけるエコマテリアルの利用促進を掲げ、持続可能な木材や再生砕石を初めとする再生資材など、さまざまなエコマテリアルの利用促進を図っていくこととしております。
 これまで道路路盤材を中心に活用されてきた再生砕石につきましては、今後の都市更新の進展を踏まえると、さらなる利用拡大が必要でございます。
 そのため、需要と供給の両面から現状や課題の把握に努めるとともに、関係業界における独自の品質基準の策定動向等も踏まえ、具体的な方策を検討してまいります。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、豊洲新市場施設の構造上の安全性についてでございます。
 主要な市場施設においては、地下に空間があり、柱やはりなどの骨組み、支持地盤に達するくいなどで建物全体を支える構造形式となってございます。
 これを前提とした図面で申請され、建築基準法に基づき審査し、ダブルチェックの観点から、都のみならず、構造計算の適合性判定を行う第三者機関においても、耐震性を含め、構造上の安全性を確認してございます。
 したがって、盛り土がないことをもって構造上の安全性が損なわれているということはありませんけれども、着工後、主要な構造部分に変更が生じた場合には、その後、改めて審査を行うことになります。
 次に、将来に向けた都市づくりの計画についてでございます。
 東京が持続的に発展していくためには、新たな価値を生むことで世界中から選択され、誰もが住み方、働き方、憩い方を選択できる、このような都市を目指すことが重要でございます。
 都市づくりは、新宿副都心が計画策定から都庁舎完成まで三十年以上かけて形成されたように、長い時間を要するため、長期的な視点を持って、今なすべきことに取り組むことが、よりよい都市の実現につながると考えてございます。
 例えば、三環状道路が完成する時代を見据えたとき、道路など既存ストックを再編し、ゆとりやにぎわいといった付加価値を創出する新たな利活用も可能となります。
 このため、都市計画審議会の答申を踏まえまして、二〇四〇年代の都市像を示す都市づくりのグランドデザインを行政計画として策定し、その実現に向け取り組んでまいります。
 最後に、大規模地下街の浸水対策についてでございます。
 地下鉄などが接続し、多くの人が来訪する大規模地下街では、各管理者が連携して取り組むことが重要でございます。
 このため、都は、新宿など九カ所で協議会を設置し、対策の具体化に取り組んでまいりました。緊急連絡体制や避難誘導方法等を定めた浸水対策計画を、渋谷を皮切りに、この八月までに全箇所で策定をいたしました。あわせて、現場での対応力を高めるための情報伝達訓練も実施してございます。
 さらに、現在、丸の内や銀座など駅周辺で多数の店舗等が接している地下通路六カ所においても関係者による協議を進めており、年内を目途に計画を取りまとめる予定でございます。
 こうした取り組みは、今後、浸水想定が見直された場合にも有効であると考えてございまして、引き続き大規模地下街等の一層の安全性向上に取り組んでまいります。
   〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕

○中央卸売市場長(岸本良一君) 豊洲市場に関する三点のご質問にお答えします。
 まず、環境基準を上回る地下水の検出についてでございますが、これまで八回の地下水モニタリングを行っており、七回まではいずれも環境基準以下でございましたが、今回、環境基準の超過を確認いたしました。
 この件に関し、専門家会議の平田座長は、土壌汚染対策実施後に地下水中の汚染物質濃度が変動しながら低下していくことはよくある現象である、現在は、対策後の地下水中の濃度の推移を確認している状況であり、一時的な上昇をもって判断するものではなく、今後の推移を見守るべきであるとコメントしております。
 こうしたことから、今後、継続して地下水モニタリングの結果の推移を確認していく必要があると認識しております。
 次に、豊洲市場に係る正しい情報の発信についてでございますが、正確な情報発信は、情報公開を進め、都政運営への理解をいただくためのかなめであると認識しております。
 今回、社会的関心が極めて高い中で、職員のコメントなどという形でメディアに断片的な内容が引用されるといった状況が生じるなど、さまざまな状況が錯綜し、混乱を招いたという面がございました。
 こうしたことを課題として反省し、問題の重大性に鑑み、メディアに対して、関係各局とも連携して全庁的な協力体制のもと、専門的な見解も踏まえつつ、技術面を含めた正確な情報を随時積極的に発信してまいります。加えて、その内容をホームページ等でわかりやすく公表してまいります。
 最後に、無害化された安全な状態についてでございますが、中央卸売市場はこれまで、豊洲市場用地の安全を確保するため、専門家会議の提言に沿って、土壌・地下水の浄化、地下水の管理、盛り土を三本柱とする対策を講じてまいりました。
 第一の土壌、地下水の浄化では、ガス工場操業に由来するベンゼンやシアン化合物などの有害物質を含む土壌を、ガス工場操業地盤面より二メートル下まで全て掘削除去するとともに、汚染が確認された地点の土壌を取り除く工事を行いました。
 地下水につきましては、揚水、復水を現地において繰り返し実施し、地下水の汚染状況を環境基準以下にまで改善いたしました。
 土壌、地下水のいずれにつきましても、対策の完了が平成二十六年十一月の技術会議において確認されたところでございます。
 二点目として重要なことは、地下水管理システムにより、地下水面を一定以下に維持することでございます。当該システムは現在、試運転を行っており、今月中に本格稼働する予定でございます。
 三番目の盛り土に関しましては、建物以外は盛り土を行っているものの、建物下についてはなされておらず、この点に関しましては、専門家会議や市場問題プロジェクトチームで調査、検証を行っていただくこととしております。
 なお、二年間の地下水モニタリングにつきましては、七回まではいずれも環境基準以下でございましたが、今回、二百一カ所中三カ所の観測井戸におきまして環境基準の超過が確認されました。継続的に地下水モニタリング結果の推移を確認いたしますとともに、専門家会議等において評価、検証をいただく予定でございます。
 今後、地下水管理を徹底するなど、適切な対策を進めることによりまして、都民に安心していただける市場の実現に取り組んでまいります。
   〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 補正予算編成の考え方についてでございますが、今回の補正予算案は、今般取りまとめた待機児童解消に向けた緊急対策に基づき、保育サービスの整備を加速化させる第一弾といたしまして、来年度予算編成を待つことなく必要な予算措置を講じたものでございます。
 具体的には、新規五事業、拡充六事業の十一事業に百二十六億円を計上し、その財源といたしまして福祉先進都市実現基金を活用することとしております。これにより、平成二十八年度の保育関係予算は、当初予算の九百七十四億円と合わせまして、総額で一千百億円となります。
 今回編成した補正予算案を円滑かつ着実に実行することにより、待機児童ゼロにしっかりとつなげてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、保育人材の確保、定着に向けた取り組みについてでありますが、都はこれまで、保育人材の安定的な確保のため、キャリアアップ補助や宿舎借り上げ支援、保育人材・保育所支援センターのコーディネーターによる就職相談から就職後の定着までの支援、人材育成や働きやすい職場環境づくりに関する事業者向け研修などを実施してまいりました。
 また、今回の補正予算案では、事業者や区市町村の意見を踏まえ、現在、採用後五年目までの職員が対象の宿舎借り上げ支援を全員に拡大することとしております。
 今後、国の動向も踏まえながら、都としての新たな待機児童対策を来年度予算案に盛り込んでいく考えでございまして、保育士等キャリアアップ補助につきましても、現場における現在の補助制度の活用実態や国の新たな処遇改善策を踏まえ、さらなる充実を検討してまいります。
 次に、今後の高齢者施策についてでありますが、都は現在、介護サービス基盤の整備、在宅療養や認知症対策、介護人材対策の推進など、第六期高齢者保健福祉計画で定めた六つの重点分野で、大都市東京にふさわしい地域包括ケアシステムの構築に向けたさまざまな取り組みを進めており、その成果や目標の達成状況は、保健、医療、福祉の関係者等から成る委員会で進行管理を行っております。
 また、次期計画の策定に向け、事業者の運営状況や特別養護老人ホームの入所申し込み状況等の実態調査も進めておりまして、国においては、介護保険制度改正に向け、人材確保策を初めとした検討が行われております。
 今後、こうした国の動向や第六期計画の達成状況などを踏まえながら、来年度、第七期の新たな三カ年計画を作成し、高齢者施策の一層の充実を図ってまいります。
 最後に、地域医療構想についてでありますが、七月に策定した地域医療構想では、東京の保健医療の現状や地域特性を踏まえ、構想区域ごとの平成三十七年の病床数と在宅医療の必要量を推計いたしますとともに、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京を目指して、四つの基本目標と施策の方向性等をお示しいたしました。
 今後、構想区域ごとに、医療機関、医療関係団体、区市町村などで構成する地域医療構想調整会議を設置し、病床機能報告制度による情報等の共有や、地域に必要な医療機能の確保に関する協議などを行ってまいります。
 この地域医療構想は保健医療計画と一体化することとしておりまして、都は医療関係者等の意見も聞きながら、平成三十年度からの次期計画に、今回の構想で示した基本目標の実現に向けた具体的な施策を盛り込んでまいります。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 緊急輸送ルートの確保に当たっての自衛隊等との連携についてですが、発災時に救出救助等の応急対策活動を円滑に展開し、首都機能の維持を図るためには、甚大な被害が発生した地域等への輸送路を早急に確保することが重要でございます。
 このため、都は、本年三月に定めた緊急輸送ルート確保に向けた基本方針に基づき、ルートの点検情報の共有や、道路啓開に必要な資機材の調達など、国や民間団体等との対応の具体化を図っております。
 今後、こうした取り組みを継続するとともに、自衛隊も含めた関係者間で、被災状況に応じた緊急輸送ルートの効果的な組み合わせや、人員、機材の運用方法等を事前に検討するなど、発災時の状況を具体的に想定し、応急対応の実効性を高めてまいります。
   〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、山間・島しょ地域の道路整備の推進についてでございますが、道路は、地域の生活や産業経済を支える極めて重要な社会基盤でございます。ひとたび地震等で道路が寸断されると地域交通に甚大な影響を及ぼすことから、避難、救援活動の生命線ともなるダブルルートの確保などにより、地域の孤立化を防止することが必要でございます。
 都では、防災力強化に向けた道路整備を進めており、昨年五月に多摩川南岸道路の城山工区、本年四月に神津島で、新たな道路が完成いたしました。さらに、日の出町と青梅市を結ぶ梅ヶ谷トンネルの搬入路工事に今年度着手するとともに、小笠原父島において津波避難道路となる行文線や三宅島伊ヶ谷地区で港へ接続する代替路の検討を進めてまいります。
 今後とも、地域振興や防災性向上に寄与し、命の道となる山間・島しょ地域の道路整備を全力で推進してまいります。
 次に、土砂災害対策の取り組みについてでございますが、土砂災害から都民の命を守るには、ハード、ソフト両面から総合的に取り組むことが重要でございます。
 ハード対策は時間と費用を要することから、都は、避難所など施設の重要度や災害発生の危険度を考慮して箇所ごとの緊急性を評価する手法を検討し、関係自治体や学識経験者の意見も踏まえ、本年三月に評価フローとして取りまとめました。
 今年度、既に基礎調査を終えた西多摩地域において、土石流のおそれがある箇所の評価を完了させるとともに、引き続き他の地域でも評価を進め、計画的にハード対策を行ってまいります。
 また、土砂災害警戒区域等の着実な指定とあわせて、関係自治体の警戒避難体制をより実効性の高いものとするため、ハザードマップの作成支援等のソフト対策を積極的に推進してまいります。
 今後とも、土砂災害対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、頻発する水害に対する取り組みについてでございますが、水害から都民の命を守るには、河川の護岸や複数の流域で効果を発揮する環七地下広域調節池等の整備を進めるとともに、目標整備水準を超える豪雨に対しても、避難等に資するソフト対策を進めることが重要でございます。
 本年三月に国の中央防災会議は、水害の軽減を目的とした協議会の設置や水害リスクのわかりやすい開示等の提言を行いました。これを踏まえ、都は六月に、国、地元区とともに荒川の協議会を設置し、氾濫水の迅速な排水などについて検討しております。また、九月には、都民の避難行動に資する浸水想定区域図の作成に向け、学識経験者を含む委員会を設置いたしました。
 今後、想定し得る最大規模の洪水に対応する区域図の早期公表に向け取り組んでまいります。引き続き、都民の命と暮らしを守るため、水害対策を全力で進めてまいります。
 最後に、道路のバリアフリー化についてでございますが、高齢者や障害者を含めた全ての人が円滑に移動するためには、都道のみならず国道や区市道などを含めた連続的なバリアフリー化が重要でございます。
 都は現在、本年三月に策定いたしました東京都道路バリアフリー推進計画に基づき、都道の段差解消や勾配改善、視覚障害者誘導用ブロックの設置などに取り組んでおります。
 今後は、新たに設置する都、国、関係区市等による連絡会議を活用するなど、関係機関と連携を図るとともに、アクセシビリティ・ガイドラインも踏まえながら、競技会場周辺等の連続的、面的な広がりを持った道路のバリアフリー化を進めてまいります。
 引き続き、誰もが安全、安心、快適に利用できる道路空間の整備に積極的に取り組んでまいります。
   〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 渇水を踏まえた水源の確保についてでありますが、この夏、利根川水系では、およそ三十年ぶりに、六月という異例の時期から取水制限が実施され、その期間は七十九日間もの長期に及びました。
 この事態に対しまして、東京都では、多摩川水系の活用や、お客様の節水へのご協力などによりまして、渇水を乗り切ることができました。
 今後も気候変動の影響などにより、さらに厳しい渇水が懸念されることから、将来にわたる首都東京の安定給水に向けて、節水の取り組みに加え、安定した水源の確保にしっかりと取り組んでいく必要がございます。
 国の見解によりますと、現在建設中の八ッ場ダムが完成をしていれば、ことしの取水制限は全く必要がなかったとのことであります。八ッ場ダムは、首都東京にとって極めて重要であり、国に対し、一刻も早い完成を強く求めてまいります。
   〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) 常盤橋街区再開発プロジェクトに参画する意義についてでございますが、都心部の汚水排除を担う重要な施設である銭瓶町ポンプ所は老朽化が進んでおりますが、民間ビルと一体構造であり、再構築が困難でございました。そこで、この再開発事業に参画することで、街区全体の建てかえにあわせ、移転先用地を確保いたします。
 また、新たなポンプ所を整備するビルは、下水熱や高効率型照明システムの活用など省エネルギー化を推進し、床面積当たりの二酸化炭素排出量を環境局基準の約三分の二に抑えるとともに、日本橋川の水質改善に寄与する雨水貯留池も整備するなど、環境にも配慮してまいります。
 さらに、施設配置の工夫により、施設上部を事業者に貸し付け、日本一の超高層ビルを含む建物が合築される計画でございます。
 これらを通じ、下水道経営の安定に資するとともに、東京国際金融センター構想の実現など、新たなまちづくりに貢献してまいります。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 産業政策に係る四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小企業の積極的な事業展開への後押しについてでございますが、東京の産業の力強い成長のためには、中小企業が成長産業への参入や製品、サービスの高付加価値化等に取り組み、強靭な経営基盤を構築することが重要でございます。
 このため、都は、環境、福祉などの成長産業分野における技術開発支援や、付加価値の高いものづくりなどに必要な設備導入への助成を行っております。
 今後、設備投資に関する支援の非製造業への拡大を検討し、生産性向上や革新的なサービスの開発などを後押ししてまいります。さらに、最新の技術動向を視野に入れ、IoTや大企業等で進むオープンイノベーションを活用した新産業の創出に向けた方策を検討いたします。
 こうした取り組みにより、東京発のイノベーションを創出し、産業の活性化を図ってまいります。
 次に、創業支援の一層の充実についてでございますが、多くの創業を生み出すためには、創業希望者の裾野拡大とともに、起業の実現に向けた支援が重要でございます。
 このため、女性・若者・シニア創業サポート事業では、地域創業アドバイザーのノウハウを生かし、希望者を掘り起こすなど、取り組みの強化を検討いたします。また、創業の魅力を若者に効果的に伝えるため、起業コンテストにおけるSNS、デジタルサイネージ等を活用した成功事例の発信や、大学と連携した事業展開を検討いたします。
 さらに、来年一月に丸の内に開設する支援拠点におきまして、創業希望者に経営知識の提供、投資家や先輩起業家との交流、資金相談などの支援を行い、着実に創業に結びつけてまいります。こうしたさまざまな支援により、多くの女性や若者の創業を力強く後押ししてまいります。
 次に、全国の道府県と連携した産業振興についてでございますが、都は今年度、各道府県からの意見を踏まえながら、各地と連携した産業振興施策の具体化を順次進めております。
 今月末から開催いたします産業交流展では、全ての道府県から、昨年度の約五倍となります二百を超える企業等が出展し、バイヤーとの商談の場を提供いたします。また、年内には、金属加工業が集積する新潟県燕三条地域や医療機器関連産業が集積をいたします福島県で、都内企業と現地企業の商談会等を開催いたします。
 さらに、来年二月には、九都県市が合同で開催をいたします商談会に、さきの地震で被害を受けた熊本県や大分県からも企業をお招きいたしまして、首都圏でのビジネスチャンスを提供いたします。
 引き続き、各地のニーズを踏まえた連携策を着実に実施し、東京と日本全体の経済活性化につなげてまいります。
 最後に、ビジネスチャンス・ナビ二〇二〇の活用についてでございますが、本サイトの利用促進を図るためには、中小企業の受注機会の拡大につながる多様な発注案件をふやし、着実に成約へ結びつけていくことが重要でございます。
 これまで都は、中小企業支援機関等と連携し、大規模な展示会や業界団体の総会などで受発注双方の利用登録を呼びかけております。また、民間企業出身者を発注コーディネーターといたしまして中小企業振興公社に配置し、調達案件を開拓しているところでございます。
 今後は、組織委員会を初めとする都の関係団体等が本サイトを、契約案件の掲載のみならず、開札まで一貫して行える専用サイトとして活用できるよう、来年夏の稼働に向けましてシステムの改修を行ってまいります。
 こうした取り組みにより、中小企業のサイト利用を活性化し、多くのビジネスチャンスを全国の隅々まで波及させてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 障害者スポーツの観戦促進についてでございます。
 まずは、障害者スポーツの魅力や迫力に一人でも多くの方に触れていただくよう、テレビ、新聞など多様なメディアの活用や、著名文化人等による情報の発信などを通して、幅広い層の関心が集まるように働きかけてまいります。
 次に、ファンサイトを立ち上げ、障害者スポーツのファン、サポーターをふやすとともに、SNSの活用を通じまして、ファン同士がつながる仕組みを構築してまいります。
 さらに会場では、観客と選手の一体感を高め、生の観戦ならではのだいご味を堪能いただけるよう、ライブ解説や来場者サービスの充実等、さまざまな工夫を凝らしてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、多くの方が障害者スポーツを身近に感じ、会場に出向いて観戦を楽しめるよう力を尽くしてまいります。
   〔百十三番高木けい君登壇〕

○百十三番(高木けい君) 豊洲新市場について、三点の再質問をいたします。
 一つは、移転延期の決断理由の一つとなった二年間の地下水モニタリングについてであります。
 新市場用地は、土壌汚染対策法上、形質変更時要届け出区域とされ、二年間の地下水モニタリングが義務づけられている地域ではありません。都が法律上義務づけられていないことを行った理由は、無害化された場所であることの証明のため、つまり都民の安心を担保するための政治的な決定でありました。
 法律的に地下水モニタリングが義務づけられていないため、当然、二年間という期間の設定もないわけですから、いつ、どのような状況になれば都民の安心を担保できるのか、それを決めるのは知事の決断以外にありません。
 先ほど、第五街区の七十二本ある井戸のうちの三本の井戸から環境基準を上回る地下水が検出されたことに対して、今後の推移を見ながら対処していくとの答弁もありました。
 そこでお伺いいたしますが、知事はどのような状況になれば豊洲新市場の安全性が担保されると考えるのか、そして移転が可能となると考えるのか、所見を伺います。
 二つ目は、地下ピットについてであります。
 地下ピットには、今後、地下水管理システムの稼働により、地下水が入らないとされていますが、結露や雨水侵入の可能性は否定できません。さまざまな工夫を凝らして、できるだけドライな空間とし、防カビ対策も徹底してほしいと思います。その際、ピット内の換気システムも必要と考えますが、所見を伺います。
 三つ目は、移転延期により、築地市場で事業を営む業界関係者は大変困惑していると聞いています。資金繰りを初めとするさまざまな問題に対して、都として相談窓口を早急に立ち上げていただきたいと思いますが、所見を伺います。
 以上で私の再質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 高木けい議員の再質問にお答えをさせていただきます。
 まず、移転の決定、どのような状況になればとのご質問でございました。
 豊洲市場の食の安全については、これまでも生活者の目線、都民ファーストの感覚を大切にしなければならないと述べてまいったところでございます。また、いろいろな数字が飛び交って、そしてどれが本当に正しいのかという、そのような観点から、先ほど大変有意義なご指摘、メディアに対する有意義なご指摘もあったかと。メディアではないですね、それぞれの……(「聞こえない」と呼ぶ者あり)聞こえない――はい。(「ボリューム上げて」と呼ぶ者あり)どこで上げるんでしょうか。じゃあ大きい声で話せばいんですね、要はね、はい。
 改めまして、豊洲市場への移転につきまして、豊洲市場の食の安全につきましても、これまでも生活者の目線、都民ファーストの感覚は大切にしなければならないと、このように申し上げてきたところでございます。
 そうした観点から、地下水モニタリング、地下空間の問題、建物の耐震性などにつきまして、現在、専門家会議、そしてまた市場問題プロジェクトチームにおいて調査、検証を行っていただいているところでございます。
 つきましては、移転に当たって、安全性を科学的に、かつ安心していただけるように、わかりやすく市場関係者や都民に説明をいたしまして、そして理解していただくということが一番大切だと思っております。
 そして、これらの科学的、そしてその安全性の確認ということを経た上で、さらにはこうした努力を重ねた上で総合的に判断をしてまいりたい、これが私の考え方でございます。
 残余の質問につきましては、担当の者からお答えさせていただきます。
   〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕

○中央卸売市場長(岸本良一君) 二点の再質問にお答えいたします。
 まず、地下ピットについてでございますが、水産卸売り場棟、水産仲卸売り場棟、青果棟、加工パッケージ棟の地下ピットは防水や換気機能を備えておらず、現在、地下水管理システムの本格稼働に向け、試運転を行っているところでございます。
 今後、ピット内の地下水の状況はもとより、結露などの状況も把握して、専門家会議の場で水処理や換気の必要性などについても議論の上、適切な対策を講じてまいります。
 次に、業界関係者に対する相談窓口の設置についてでございますが、今回の移転延期により、市場で働く事業者の方々に、経済的な負担はもとより、将来への不安などさまざまな課題が生じていることは十分認識してございます。
 豊洲市場での新たな商売や事業拡大に向け、これまで準備を進めてこられた市場業者の皆様は、将来に大きな不安を抱えており、そうした方々への対応が大変重要であると考えております。
 このため、現在、築地市場内に設置しております移転に関する相談窓口の相談員の増員や、資金繰りについて関係局や関係する金融機関とも連携を図り、今月十日までに相談体制を整備してまいります。

○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十三分休憩

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