平成二十八年東京都議会会議録第十一号

平成二十八年九月二十八日(水曜日)
 出席議員 百二十六名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番大門さちえ君
四番和泉ひろし君
五番山森 寛之君
六番前田 和茂君
七番菅野 弘一君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番やながせ裕文君
十一番おときた駿君
十二番宮瀬 英治君
十三番西沢けいた君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番川松真一朗君
二十一番栗山よしじ君
二十二番小松 大祐君
二十三番堀  宏道君
二十四番松田やすまさ君
二十五番柴崎 幹男君
二十六番舟坂ちかお君
二十七番小松 久子君
二十八番山内れい子君
二十九番上田 令子君
三十番田中 朝子君
三十一番中山ひろゆき君
三十二番あさの克彦君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番清水 孝治君
四十一番鈴木 錦治君
四十二番神野 次郎君
四十三番木村 基成君
四十四番北久保眞道君
四十五番高椙 健一君
四十六番栗山 欽行君
四十七番大場やすのぶ君
四十八番和泉 武彦君
四十九番近藤  充君
五十番西崎 光子君
五十一番両角みのる君
五十二番石川 良一君
五十三番新井ともはる君
五十四番中村ひろし君
五十五番島田 幸成君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番藤井  一君
六十四番小宮あんり君
六十五番鈴木 章浩君
六十六番ほっち易隆君
六十七番山内  晃君
六十八番河野ゆうき君
六十九番島崎 義司君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番田中たけし君
七十二番鈴木 隆道君
七十三番神林  茂君
七十四番早坂 義弘君
七十五番秋田 一郎君
七十六番野上ゆきえ君
七十七番今村 るか君
七十八番斉藤あつし君
七十九番小山くにひこ君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番鈴木貫太郎君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番長橋 桂一君
八十七番中屋 文孝君
八十八番鈴木あきまさ君
八十九番桜井 浩之君
九十番山崎 一輝君
九十一番三宅 正彦君
九十二番山加 朱美君
九十三番高橋かずみ君
九十四番山田 忠昭君
九十五番林田  武君
九十六番こいそ 明君
九十八番古賀 俊昭君
九十九番立石 晴康君
百番大西さとる君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番高橋 信博君
百十二番崎山 知尚君
百十三番高木 けい君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番野村 有信君
百二十番高島なおき君
百二十一番吉野 利明君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
九十七 番  田島 和明君
 欠員 なし

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事安藤 立美君
副知事川澄 俊文君
副知事中西  充君
副知事山本  隆君
教育長中井 敬三君
政策企画局長長谷川 明君
総務局長多羅尾光睦君
財務局長武市  敬君
主税局長目黒 克昭君
警視総監沖田 芳樹君
生活文化局長中嶋 正宏君
オリンピック・パラリンピック準備局長塩見 清仁君
都市整備局長邊見 隆士君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長藤田 裕司君
建設局長西倉 鉄也君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長浅川 英夫君
消防総監高橋  淳君
交通局長山手  斉君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長内藤  淳君
中央卸売市場長岸本 良一君
選挙管理委員会事務局長福田 良行君
人事委員会事務局長松山 英幸君
労働委員会事務局長土渕  裕君
監査事務局長猪熊 純子君
収用委員会事務局長砥出 欣典君

九月二十八日議事日程第一号
第一 第百五十二号議案
平成二十八年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第二 第百五十三号議案
東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百五十四号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例
第四 第百五十五号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百五十六号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百五十七号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第七 第百五十八号議案
東京都立図書館条例の一部を改正する条例
第八 第百五十九号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第九 第百六十号議案
東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第十 第百六十一号議案
東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第十一 第百六十二号議案
東京都民生委員定数条例の一部を改正する条例
第十二 第百六十三号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百六十四号議案
都立江北高等学校(二十八)改築工事請負契約
第十四 第百六十五号議案
都立王子地区特別支援学校(仮称) (二十八)増築及び改修工事請負契約
第十五 第百六十六号議案
都立篠崎高等学校(二十八)改修工事請負契約
第十六 第百六十七号議案
東京国際フォーラム(二十八)改修工事請負契約
第十七 第百六十八号議案
東京国際フォーラム(二十八)空調設備改修工事請負契約
第十八 第百六十九号議案
東京国際フォーラム(二十八)電気設備改修工事請負契約
第十九 第百七十号議案
消防艇の製造請負契約
第二十 第百七十一号議案
中川護岸耐震補強工事(その三十四)請負契約
第二十一 第百七十二号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十一)請負契約
第二十二 第百七十三号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二十七)請負契約
第二十三 第百七十四号議案
公立大学法人首都大学東京に対する出資について
第二十四 第百七十五号議案
公立大学法人首都大学東京定款の変更について
第二十五 第百七十六号議案
東京都人権プラザ本館の指定管理者の指定について
第二十六 第百七十七号議案
移動観覧席及び装置一式の買入れについて
第二十七 第百七十八号議案
可動畳の買入れについて
第二十八 第百七十九号議案
八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について
第二十九 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成二十八年度東京都一般会計補正予算(第一号)の報告及び承認について
第三十 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
議事日程第一号追加の一
第一 東京都名誉都民の選定の同意について(二八財主議第三〇六号)
第二 東京都名誉都民の選定の同意について(二八財主議第三〇七号)
第三 東京都名誉都民の選定の同意について(二八財主議第三〇八号)
第四 議員提出議案第十五号
北朝鮮による核実験及びミサイル発射に対する抗議決議

   午後一時開会・開議

○議長(川井しげお君) ただいまから平成二十八年第三回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

○議長(川井しげお君) 次に、去る七月三十一日執行されました東京都議会議員の補欠選挙において当選されました議員の議席を、会議規則第二条第二項の規定により、大門さちえさんを三番に、和泉ひろし君を四番に、山森寛之君を五番に、前田和茂君を六番に、それぞれ指定いたします。

○議長(川井しげお君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   十三番  西沢けいた君 及び
   六十四番 小宮あんりさん
を指名いたします。

○議長(川井しげお君) 次に、議会局の局部長に異動がありましたので、紹介をいたします。
 議会局長和賀井克夫君、管理部長新美大作君、議事部長松丸俊之君、調査部長山内和久君、連絡調整担当部長宮澤浩司君。
   〔局部長挨拶〕

○議長(川井しげお君) 以上で紹介を終わります。

○議長(川井しげお君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松丸俊之君) 平成二十八年九月十四日付東京都告示第千五百七十九号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案二十八件の送付並びに地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づく専決処分二件の報告及び承認についての依頼がありました。
 次に、知事代理副知事より、知事の職務代理について、平成二十八年六月二十二日以後、知事の職務は副知事安藤立美がこれを代理する旨の通知がありました。
 次に、知事及び知事代理副知事より、平成二十八年第二回定例会の会議において同意を得た、副知事、監査委員、収用委員会委員及び収用委員会予備委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、知事及び知事代理副知事並びに五行政委員会より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更及び説明員の委任の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、知事より、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定により、健全化判断比率及び資金不足比率について、それぞれ報告がありました。
 また、東京都債権管理条例に基づく私債権放棄について報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、教育委員会教育長より、平成二十八年度東京都教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価、平成二十七年度分について報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、平成二十八年定例監査、平成二十七年度執行分の結果について報告がありました。
(別冊参照)

○議長(川井しげお君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第二回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一三ページ)に掲載〕

○議長(川井しげお君) 次に、新たに当選されました諸君を順次ご紹介を申し上げます。
 三番大門さちえさん。
   〔三番大門さちえ君登壇〕

○三番(大門さちえ君) 七月三十一日の補欠選挙において選出させていただきました新宿区の大門さちえでございます。
 皆様どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

○議長(川井しげお君) 四番和泉ひろし君。
   〔四番和泉ひろし君登壇〕

○四番(和泉ひろし君) 都議会自民党台東区選出の和泉ひろしでございます。さきの補欠選挙におきまして、台東区民の皆様のご負託をいただき、この場に立たせていただいたこのことは、私にとって生涯忘れることができません。区議会、十三年余り務めてまいりましたが、そのときの信条であります、お一人お一人に寄り添う政治を標榜して、しっかりと努力をさせていただきたいと思います。
 どうぞ皆様方のご指導、ご鞭撻、心よりお願いを申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(川井しげお君) 五番山森寛之君。
   〔五番山森寛之君登壇〕

○五番(山森寛之君) 去る七月三十一日の補欠選挙におきまして、大田区から選出をさせていただきました山森寛之でございます。
 諸先輩方におかれましては、ご指導をどうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(川井しげお君) 六番前田和茂君。
   〔六番前田和茂君登壇〕

○六番(前田和茂君) 渋谷区選出の前田和茂です。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

○議長(川井しげお君) 以上をもって紹介は終わりました。

○議長(川井しげお君) 次に、先般、副知事に就任されました方々をご紹介いたします。
 副知事安藤立美君。
   〔副知事安藤立美君登壇〕

○副知事(安藤立美君) 先般、第二回定例会におきまして、選任のご同意をいただき、副知事を拝命いたしました安藤立美でございます。都民生活向上のため、小池知事のもと、山積する課題に全力で取り組んでまいりたいと存じます。
 都議会の皆様のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いを申し上げます。

○議長(川井しげお君) 副知事川澄俊文君。
   〔副知事川澄俊文君登壇〕

○副知事(川澄俊文君) 先般の第二回定例会におきまして、選任の同意をいただき、副知事を拝命いたしました川澄俊文でございます。東京を将来にわたって持続的に発展させていくため、区市町村と一体となって、防災、危機管理や少子高齢化などの諸課題に、知事のもと全力で取り組んでまいる所存でございます。
 都議会の皆様のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

○議長(川井しげお君) 副知事中西充君。
   〔副知事中西充君登壇〕

○副知事(中西充君) さきの第二回定例会におきまして、選任のご同意をいただき、副知事を拝命いたしました中西充でございます。東京二〇二〇大会を契機といたします中小企業、産業の振興、多摩・島しょ地域の振興など、東京のさらなる発展のために、知事のもと全力を尽くして取り組んでまいりたいと思います。
 都議会の皆様のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

○議長(川井しげお君) 副知事山本隆君。
   〔副知事山本隆君登壇〕

○副知事(山本隆君) 先般の第二回定例会におきまして、選任のご同意をいただき、副知事を拝命いたしました山本隆でございます。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会と、その前年、二〇一九年のラグビーワールドカップを成功させるとともに、これを契機として、その後の東京をさらに持続的に発展させることを目指し、小池知事のもと全力で取り組んでまいる所存でございます。
 都議会の皆様のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

○議長(川井しげお君) 以上をもって副知事の紹介は終わりました。

○議長(川井しげお君) 次に、警視総監高橋清孝君の退任に伴い、新たに沖田芳樹君が警視総監に就任いたしましたので、ご紹介いたします。
 警視総監沖田芳樹君。
   〔警視総監沖田芳樹君登壇〕

○警視総監(沖田芳樹君) 去る九月二十日付で警視総監を命ぜられました沖田でございます。
 東京都議会の皆様方には、平素から警視庁の運営につきまして格別のご理解とご高配を賜り、心から厚く御礼申し上げます。
 さて、都内の治安情勢は、警視庁が総力を挙げて取り組んでおります犯罪抑止総合対策の効果などにより、昨年の刑法犯認知件数が平成十五年以降十三年連続で減少し、戦後最少を記録いたしました。
 しかしながら、依然として厳しい状況が続いている特殊詐欺への対策、ストーカー、DV事案への迅速的確な対応のほか、首都東京におけるテロ対策、サイバー空間の脅威への対処、さらには、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた諸対策など重要課題が山積しております。
 警視庁といたしましては、こうした重要課題に的確に対応し、都民の皆様の安全・安心を守るため、関係機関の方々と連携を図りながら、組織力を最大限に発揮して、各種対策を強力に推進してまいります。
 都議会の皆様方には、今後とも一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。(拍手)

○議長(川井しげお君) 以上をもって紹介は終わりました。

○議長(川井しげお君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 政策企画局長長谷川明君、総務局長多羅尾光睦君、財務局長武市敬君、主税局長目黒克昭君、生活文化局長中嶋正宏君、産業労働局長藤田裕司君、建設局長西倉鉄也君、港湾局長斎藤真人君、会計管理局長浅川英夫君、病院経営本部長内藤淳君、選挙管理委員会事務局長福田良行君、人事委員会事務局長松山英幸君、労働委員会事務局長土渕裕君、収用委員会事務局長砥出欣典君。
   〔理事者挨拶〕

○議長(川井しげお君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(川井しげお君) 次に、閉会中の常任委員の選任について申し上げます。
 委員会条例第五条第四項の規定により、去る九月十四日付をもって、議長において、新たに当選されました大門さちえさんを財政委員に、和泉ひろし君を文教委員に、山森寛之君を環境・建設委員に、前田和茂君を公営企業委員に、それぞれ指名いたしました。

○議長(川井しげお君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名をいたしました。

   議会運営委員辞任・選任名簿

○辞任
 宇田川聡史君(自民) 秋田 一郎君(自民)
 神林  茂君(自民) 田中たけし君(自民)
 小宮あんり君(自民) 小松 大祐君(自民)
 和泉 武彦君(自民) 柴崎 幹男君(自民)
 清水 孝治君(自民) 上田 令子君(かが)
〔以上 平成二十八年八月一日付〕
 かち佳代子君(共産)
〔以上 平成二十八年八月二十五日付〕
 斉藤あつし君(民進)
〔以上 平成二十八年九月十四日付〕
 長橋 桂一君(公明)
〔以上 平成二十八年九月二十一日付〕

○選任
 高木 けい君(自民) 崎山 知尚君(自民)
 高橋 信博君(自民) 山崎 一輝君(自民)
 桜井 浩之君(自民) 島崎 義司君(自民)
 山内  晃君(自民) 河野ゆうき君(自民)
 ほっち易隆君(自民) 両角みのる君(かが)
〔以上 平成二十八年八月一日付〕
 畔上三和子君(共産)
〔以上 平成二十八年八月二十五日付〕
 宇田川聡史君(自民)
〔以上 平成二十八年九月十四日付〕
 谷村 孝彦君(公明)
〔以上 平成二十八年九月二十一日付〕

○議長(川井しげお君) 次に、閉会中のオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る九月十四日付をもって小山くにひこ君より、また九月十五日付をもって上田令子さんより、それぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれ同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、九月十四日付をもって菅野弘一君を、また、九月十五日付をもっておときた駿君を指名いたしました。

○議長(川井しげお君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十五号、北朝鮮による核実験及びミサイル発射に対する抗議決議及び知事より、東京都名誉都民の選定の同意について三件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(川井しげお君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十月十三日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。

○議長(川井しげお君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事小池百合子さん。
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) このたび、東京都知事に就任いたしました小池百合子でございます。平成二十八年第三回都議会定例会の開会に当たり、都政運営に対する所信の一端を申し述べさせていただきます。
 冒頭からではございますが、まずは豊洲市場への移転問題についてであります。
 築地市場から新天地豊洲への移転については、長年各党、各会派が汗を流してこられたことは、私も承知をいたしております。当の市場関係者も事業の存続をかけ、悩み、考え、移転へのご協力を賜ってまいりました。
 しかし、豊洲市場の移転に関する一連の流れにおいては、都政は都民の信頼を失ったといわざるを得ません。聞いていなかった、知らなかったと、歴代の当事者たちがテレビカメラに答える姿に、多くの都民は嘆息を漏らしたことでありましょう。
 この失った信頼を回復するためには、想像を超える時間と努力が必要であります。責任の所在を明らかにする。誰が、いつ、どこで、何を決めたのか、何を隠したのか、原因を探求する義務が私たちにはあります。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックという大事業を控えている今だからこそ、今後、このような事態を繰り返さないために何をすべきなのかと真剣に議論をしなくてはいけません。徹底した情報の公開も必要であります。組織全体の体質や決定の方法に問題があるとすれば、今こそ、それを変えなければいけないと考えます。むしろ、新しい都政に対する期待に大転換するチャンスとしたい。
 常に目的は、都民ファーストの都政の構築にあります。それは私の信条でもあり、都民の代表者たる都議会の皆様とも共有できる目的だと信じております。
 本日から始まりました都議会の議論に向けられる都民の視線は、これまでのものとは大きく異なります。都議会の皆様と、知事、職員が、なれ合いや根回しで事を丸くおさめるのではなく、都民の皆様の前でその決定過程をつまびらかにごらんいただく。都民の利益のために、一刻も急がねばならない事案、施策につきましては、都議会の皆様の迅速なご承認を賜りますよう、切にお願いを申し上げます。
 知事個人の利益のためではなく、都議会の皆様の利益のためでもなく、都民のため、つまり、都民全体の利益が最大化すると信じることを、お互いに議論をぶつけ合う。それが、新しい都政における都議会の姿だと考えております。
 そこで、改めまして、私の都政運営に対する基本姿勢と施策についての基本的な考え方をここで申し上げます。
 東京大改革、この五文字に込めた私の思いに、都民の皆様から大きな共感をいただき、身に余るご支持を賜りました。私の目指す東京大改革とは、都政を透明化し、情報を公開し、都民とともに進める都政を実現することであります。
 選挙期間中、街頭演説にお集まりいただいた方々は日に日にふえ、見える都政、わかりやすい都政を実現してほしい、そして私たちのために都政を改革してほしいという都民の思いがいかに大きいか、肌で感じてまいりました。都民の皆様から託されたこうした強い思いに、私は何としても応えなければなりません。改めて身が引き締まる思いでございます。
 東京大改革を推進するに当たっての肝となるのは、都政の透明化、つまり見える化、わかる化の徹底であります。そのためには、職員一人一人がみずから改革の担い手となり、積極的に情報公開を行う姿勢を持ちながら、日常的に仕事の進め方を見直していかなければなりません。
 ワイズスペンディングという言葉がありますが、豊かな税収を背景に、税金の有効活用の観点が損なわれることがあってはなりません。ましてや国際情勢、世界経済は不透明であり、その豊かな税収が約束されているわけではない今日であります。
 そうした問題のもと、都庁の自己改革精神を呼び覚ます装置として設置いたしましたのが、私みずからが本部長となる都政改革本部であります。目下、各局が本部と連携しながら、自律的な改革を進めております。同時に、本部に設けた情報公開調査チーム、オリンピック・パラリンピック調査チーム、内部統制プロジェクトチームが、それぞれの課題について実態調査と評価を行い、都民ファーストの都政に向けた改善策を検討しているところであります。
 都政の適正な運営に欠かせない都議会の皆様によるチェックに加え、都みずからが見える化を徹底し、これまでの延長線ではない改革を不断に進めることで、都民の皆様からの信頼を再び取り戻さなくてはなりません。それは決して簡単なことではありません。改革への挑戦に、これまでと勝手が違うと困惑する職員もおられることでありましょう。しかし、これからの東京の発展のため、今ここで、全庁に改革マインドを根づかせていかなければなりません。
 改革を進めるに当たっての私の決意と姿勢を明らかにするため、かねてより都民の皆様方にお約束をしてまいりました知事報酬の半減につきまして、本定例会に議案を提案いたしております。どうぞご審議のほどよろしくお願いを申し上げます。
 都の自己改革とともに、チェック機能を持つべき都議会の意味がまさに問われているのが、冒頭に述べさせていただいた築地市場の移転問題であります。私には、知事として、都民の皆様の食の安全を守る責任がございます。
 しかしながら、豊洲移転については、安全性の懸念、巨額かつ不透明な費用の増加、情報公開の不足の三つの問題点があり、十一月七日予定の移転の延期を決断いたしました。
 安全性に関しましては、二年間の地下水モニタリングの最終結果が出る前に移転日程が組まれていたのはなぜなのか。建物の下の土壌汚染対策について、盛り土をしているというこれまでの説明はなぜ誤りであったのか。また、建物の地下に空間があり、そこにたまり水があることも確認されております。なぜこうした事態に至ったのか、なぜその事実、情報が共有されていなかったのか、しっかりと検証するとともに、安全性について、改めて専門家の目でご判断いただく必要がございます。
 また、プロジェクトチームにおいても、施設の構造上の安全性や経費の検証等を進めております。オリンピック・パラリンピックの成功に影響させない対応や、市場関係者への配慮等も含め、今後の措置についても、しっかりと判断をしてまいります。
 都民ファーストの都政を展開し、都政に対する都民の信頼を回復したその先に何を目指すのか。それは、新しい東京、すなわち、誰もが希望と活力を持って安心して生活し、日本の成長のエンジンとして世界の中でも輝き続けるサステーナブル、持続可能な首都東京をつくり上げることであります。そのためにも、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーの三つのシティーを実現し、東京の課題解決と成長創出に取り組んでまいります。
 誰もが希望、そして活力を持てる東京の基盤となるのは、都民一人一人が存分に活躍できる環境であります。女性も、男性も、子供も、シニアも、障害者も、生き生き生活できる、活躍できる都市。多様性が尊重され、温かく、優しさにあふれる都市。そのようなダイバーシティーを実現してまいります。
 東京は、世界から見ると、女性の力を十分に生かし切れているとはいえません。一つの指標として、三十五歳から四十四歳の女性の労働力率を比較してみましょう。女性の活躍に力を入れているスウェーデンでは九割であるのに対し、東京では子育て世代が落ち込むM字カーブの谷に当たり、七割にとどまっております。女性が子育てか仕事かという二者択一を迫られている現状に早く終止符を打たなければ、これからの東京の持続可能な発展はあり得ないのです。女性が輝き、男性も輝き、未来が輝く。そのような東京の実現に向けた喫緊の課題は、待機児童の解消でありましょう。
 国家戦略特区を活用した都立公園への保育所整備など、従前からの取り組みに加え、先日、待機児童解消に向けた緊急対策を取りまとめました。保育所等の整備促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実、この三つを柱とする、すぐ効く、よく効くを目指した独自の十一の対策から成っており、区市町村や事業者の早期着手を促す工夫も設けて展開してまいります。
 これによりまして、今年度の目標をさらに五千人分上乗せし、一万七千人分の保育サービスを整備いたします。本定例会には、そのための補正予算案を提案いたしております。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
 あわせて、国とも連携してこの問題にしっかりと取り組んでいくという観点から、育児休業制度や保育所の規制等の改革を、直接、安倍総理に要望をいたしました。今後、さらなる都独自の支援策も、平成二十九年度予算案に反映していきたいと存じます。幅広く、果敢な取り組みで、東京の子育て環境を充実してまいります。
 もはや、長く働けばそれだけ利益が上がる時代ではございません。私はむしろ、夜遅くまでの長時間労働、あるいは満員電車での通勤などは、社会から活力を低下させかねないと思っております。
 東京から、ライフワークバランスを進めてまいりましょう。ワークライフバランスのワークとライフをあえて逆にしております。誰もが人生、生活も、もっともっと大切にすべきであります。
 例えば、東京に住む六歳未満の子供を持つ男性の一日の家事、育児時間は、改めてスウェーデンと比べてみますと、二時間も短い一時間十七分というデータがございます。男性が子供と触れ合う、あるいは女性と家事を分担する時間をもっとふやせば、女性も男性も子供も、生き生きと生活し、活躍することにつながるのではないでしょうか。仕事の生産性を上げて、家族と過ごす時間やみずからを高める時間も大切にする。こうした時間があすへの活力を生み出し、東京の持続的な成長を可能とすると私は信じております。
 働き方の意識や仕事の進め方の改革は必要です。まず隗より始めよ。先日、育児や介護を初め、生活と仕事の両立ができる職場づくりに向けて、私を先頭として、都全ての管理職がイクボス宣言を行ったところであります。ともすれば、夜遅くまで働いている職員を有能と評価しがちな意識を上司が改めて、効率性を追求して定時で確実に成果を上げる、残業ゼロを目指す職場とする取り組みを始めてまいります。
 そして、働き方を改革しようと宣言した企業も力強く応援し、都民、国民の意識を変えていく。その輪をどんどん広げることで、大きなムーブメントを起こしていきたいと思います。
 私は、三年前に自宅で母をみとるという経験をいたしました。みずからの体験も踏まえ、年をとっても、住みなれた我が家や顔なじみの多い地域の中で暮らしたいという気持ちに応えられる東京にしていきたいと存じます。介護サービス基盤の整備や介護人材の確保、定着に知恵を絞るとともに、地域で適切な医療が受けられる体制を確保するなど、地域包括ケアシステムを充実させてまいります。
 さらに、超高齢社会を見据えながら、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現を目指してまいります。
 また、かねてより企業的経営手法を取り入れた障害者就労の場であるソーシャルファームをふやし、働く障害者の方々のモチベーションを高めたいと活動してまいりました。都も先日、都庁内に、障害者の方々がつくった製品を販売するショップを開設したところであります。経営のプロの力をかり、おしゃれな店舗で魅力的な製品の数々を販売しており、多くの皆様に製品のよさを知っていただきたいと思います。障害のある方を社会全体で支えるだけでなく、意欲や能力のある方々の自立への思いも、しっかりとバックアップしてまいります。
 私が目指すサステーナブルな東京をつくるためには、将来を担う人材の育成も欠かせません。人生をみずから切り開く力を身につけ、激動する世界にも目を向けて活躍できる人材や、東京、ひいては日本の成長を支えるイノベーションを生み出す人材を育成していくことが必要であります。そのためには、英語など外国語力の強化や留学支援により、子供たちの内向き志向を打ち破り、世界に挑戦する気概を育むことや、科学技術立国を支える理数教育の充実を図らなければなりません。子供と常に向き合う教育の力を高める取り組みも重要でありましょう。
 未来の東京にはどのような人材が求められるのか。こうした観点から、これからの教育のあり方について総合教育会議において教育委員会と議論し、新たな教育施策大綱を策定してまいります。
 また、家庭の経済状況が子供たちの将来の希望を閉ざすことがあってはなりません。都独自の給付型奨学金について検討を進めるなど、子供たちの学びたいという気持ちにしっかりと応えてまいります。
 優しさにあふれるダイバーシティーの観点から、ペット殺処分ゼロの実現も、メルクマールの一つだと考えております。ペットは家族の一員から社会の一員へという意識をもっと広めたいと思います。命を大切にし、自他を尊重する健全な心を子供のころから育む取り組みなども進めながら、早期の実現を目指してまいります。
 安全・安心は都民の希望と活力の大前提でございます。都民の生活、命、財産がしっかりと守られ、その安心感が東京の活気とにぎわいを生み出す。そして、一人一人が活気あふれるまちに愛着と誇りを感じ、みずから率先して地域の安全・安心を守っていく。これこそが、目指すべきセーフシティーの姿であります。
 私は、阪神・淡路大震災を経験いたしました。倒壊した建物や電柱が救急車両の通行を妨げ、火災による被害も瞬く間に広がったことは、皆さんもご存じのとおりであります。
 この東京においても、耐震化、不燃化は喫緊の課題であります。救援、復旧活動に不可欠な緊急輸送道路の通行を確保するため、沿道の建築物の耐震化を後押ししてまいります。また、延焼を防ぐため、木造住宅密集地域にある家屋の不燃化建てかえと、暮らしに密着した生活道路の拡幅工事を、同時並行で支援してまいります。
 あわせて強力に進めるべきは、道路の無電柱化であります。その意義や効果を都民の皆様に広くご理解いただき、推進に向けた大きなうねりを起こしてまいります。そして、事業者間の競争やイノベーションにつなげることで、課題であるコスト削減を図ってまいります。
 大きなハードの整備に加え、被災者の目線に合わせた備えが、実は、いざというときの安心を支えてくれるものであります。例えば、乳児用の液体ミルク。水やお湯がなくても飲めるため、特に母乳による授乳が困難な災害時などには重宝いたします。現行の国の規定を含めて課題を整理し、きめ細かい災害対策を実施してまいりたいと思います。
 災害が起こったときには、地域で助け合う共助の取り組みが命を守る上で大きなポイントとなります。安全・安心をさらに強固にする鍵は地域のきずなが握っているのです。そして、活気ある地域ほど、こうしたきずなは強くなります。東京の隅々に広がる町会、自治会、消防団、商店街等を活性化することで、にぎわいあふれ、安全・安心な地域社会をつくり上げてまいります。
 さらに、活気ある東京に欠かすことができないのが、東京の人口の三分の一、面積では三分の二を占める多摩・島しょ地域の発展であります。精力的に現地を訪れ、市町村の皆様としっかり手を取り合って、オール東京で誰もが暮らしやすいまちづくりに取り組んでまいります。
 多摩地域には、高い技術力を持つ中小企業や大学、研究機関が集積し、圏央道により首都圏一帯と強いつながりを有するという強みがございます。今後、多摩の自然を守りつつ、南北、東西を結ぶ骨格幹線道路や三環状道路の整備を行い、こうした強みをさらに増すことで、新たな産業やサービスの創出等に生かし、多摩地域の持続的な発展につなげてまいります。
 そのほかにも、多摩・島しょのきらりと光る宝物はたくさんございます。それを眠らせておくのはもったいない。木材生産やCO2の吸収、憩いの創出といった多面的な機能を持つ山間部の森林をしっかり守ることで、林業の振興を図り、東京の森林や多摩産材の魅力を広く発信してまいります。
 また、先月の特区の区域会議では、島の貴重な原酒を観光振興につなげる島焼酎特区の実現を国に提案をいたしました。こうした区部との違いを強みと位置づけ、それを新たな発想で地域振興に生かしていく取り組みを、市町村と連携しながら全力で進めてまいります。
 多摩・島しょ地域の特性を踏まえた災害対策も忘れてはなりません。土砂災害については、斜面の崩壊対策、警戒区域指定による避難体制の整備など、ハード、ソフトの両面から取り組んでまいります。また、土砂崩れや大雪で道路が寸断されることによる地域の孤立化を防ぐため、ダブルルートの確保も進めてまいります。
 津波のおそれのある島しょ地域では、津波到達までに避難が困難な港における避難施設の整備や、安全な場所への誘導標識の設置などを推進いたします。地域の特性に応じた防災力を高める取り組みにより、命を守る強なまちづくりを進めてまいります。
 人口や経済成長が右肩上がりであった時代が終えんを迎えた中にあって、日本の成長のエンジンであり続けるサステーナブルな東京を実現する。そのためには、IoT、AI、フィンテックなど、今後の成長分野の発展に向けたタイムリーな成長戦略を果敢に展開していかなければなりません。
 少資源国である日本は、二度のオイルショック、さらには高度経済成長がもたらした公害問題といった負の経験もばねにしながら、環境、省エネルギー技術を研ぎ澄ましてまいりました。
 今や、地球温暖化対策が大都市の責務となり、環境対策が新たなビジネスチャンスや企業の社会的評価につながる時代であります。二〇二〇年の東京大会を契機とし、低炭素社会の実現に向けた環境技術のさらなるイノベーションや、食品ロス対策を含めた環境配慮型ビジネスモデルへの意識改革を促してまいります。
 リノベーションによる都市の効率化、省エネ化、再生可能エネルギー、自立分散型電源の導入拡大や水素社会の実現によるエネルギーの多様化、分散化、ヒートアイランド対策なども進めてまいります。水と緑を守り、快適で環境に優しいまちづくりを通じて、東京をさらなる成長へと導きたいと思います。
 一方で、LED照明の使用拡大や、断熱性が高く、燃料電池や蓄電池等を備えたエコハウスの普及など、省エネ、創エネに向けた都民一人一人の取り組みも支援してまいります。身近な取り組みを積極的にPRをして、具体的な効果を実感してもらうことで、都民の皆様の共感を広めていきたいと思います。技術革新、意識改革、そして都民の皆様の共感、このセットを戦略、戦術として、東京大会をスプリングボードに、都民生活や企業活動の新たな常識をつくり出す。日本の伝統的な美徳である、もったいない精神にあふれ、クリーンで低炭素、そして持続可能な成長を実現する環境先進都市東京を創出してまいります。
 かつて私が経済キャスターを務めていた当時、ロンドン、ニューヨークと並び、東京は世界の金融の中心でありました。それが今や、アジアの諸都市にその座を奪われております。もう一度、アジアナンバーワンの地位を取り戻さなければなりません。金融活性化に向けた取り組みをさらに強化し、国際金融都市東京の実現に向けた動きをスピードアップさせてまいります。
 例えば、フィンテック分野を初めとする海外の金融系企業を誘致するため、特区を徹底的に活用し、金融ビジネス交流拠点の整備を迅速に進めてまいります。来年度には、外国人の企業設立手続や生活面を支援する、英語でのワンストップサービスもいよいよ開始します。教育環境整備に向けたインターナショナルスクールの誘致も促し、二〇二〇年までに、金融機関が集まる大手町から兜町地区を、海外の高度金融人材が集積するショーケースへと大改革してまいります。
 東京には、まだまだ生かし切れていない宝物はたくさん埋もれております。東京の風土と歴史の中で育まれてきた伝統工芸品について、長い歴史に裏打ちされたたくみのわざを継承しながら、今日の消費者の感覚に合った商品も生み出していく。あるいは、新鮮で安全・安心な農畜産物を生産している東京の都市農業において、コマツナや練馬大根、トウキョウXなどに続き、京野菜のようにブランド化を推進していく。このように、東京の新たな一面を掘り起こして、付加価値をつけて発信することで、世界の中の東京の魅力をますます高めたいと思います。
 東京大会を控え、世界の注目を集める今だからこそ、絶好のチャンスであります。東京のブランディングを成長戦略の一つと位置づけ、インバウンドの増加に向け、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 そして、そのインバウンドを継続的に増加させていくためには、外国人観光客に快適に過ごしてもらうための環境整備も不可欠であります。さまざまな旅行者のニーズに対応して、ITもフル活用して、観光案内所の整備、駅、まち中での多言語対応の充実や、トイレの洋式化など、細やかな気配りも忘れずに進めてまいります。
 国際都市東京にふさわしい玄関口としての羽田空港及び東京港の機能強化も重要な課題であります。世界から人、物、金、情報が集まり続ける拠点となるよう、国とも連携しながら、国際線の需要増加や国際的な船舶大型化等へ適切に対応してまいります。二〇二〇年以降も見据えて、陸海空の交通、物流ネットワークを一層充実させ、東京の持続的な成長を支える交通インフラを強化してまいります。
 また、東京、日本の産業を支える中小企業の技術革新や、起業、創業を促進し、新産業の創出につなげるとともに、すぐれた技術の次代への承継を支援してまいります。海外販路開拓の支援など、世界への飛躍も意識しながら、中小企業のさらなる発展に取り組んでまいります。
 これまで、新しい東京をつくり上げるための施策の考え方について申し述べてまいりました。今後、政策の具体化に向けた検討を進め、都議会の皆様とも議論を重ねて、二〇二〇年に向けた実行プランを年内を目途に策定し、来年度の予算案にも盛り込んでいきたいと考えております。
 これまでの延長線ではない、その延長線を超えた新たな発想を取り入れながら、目指すべき東京の明るい将来像に向けた大義ある政策を、都民の皆様の共感を呼ぶ形で積極的に立案をしてまいります。さらに、二〇二〇年以降の東京の未来像、ビヨンド二〇二〇、これも描いていかなければなりません。
 さて、この夏、リオデジャネイロの地では日本選手が大いに活躍をし、オリンピックでは史上最多四十一個、パラリンピックでは二十四個のメダルを獲得するなど、列島中が感動と興奮で満ちあふれました。
 私も、次回開催都市の長としてリオに赴き、全世界が見守る中で、大会旗をエドゥアルド・パエス・リオデジャネイロ市長から受け継いでまいりました。二つの大会旗がそろい、いよいよ次は東京であるという責任の重さとともに、すばらしい大会へと盛り上げるためのわくわく感を今かみしめております。まずは小笠原村を皮切りとして、都内全ての区市町村や被災三県を初めとする全国各地を大会旗がめぐるフラッグツアーを展開し、オールジャパンでこのわくわく感を分かち合いたいと思います。
 リオでは、競技会場や治安対策、交通インフラ等を視察してまいりました。ある仮設施設の資材は、大会後、小学校の建設に再利用されるということで、まさにリデュース、リユース、リサイクル、3Rの体現であります。こうした事例も参考にしながら、東京大会の運営には、もったいないの思想を取り入れ、この言葉を、東京、日本を象徴する言葉として世界に広めていきたいと思います。
 また、実際に競技を観戦し、オリンピック・パラリンピックの感動の源泉は、アスリートの圧倒的なパフォーマンスによるということを痛感いたしました。アスリートファーストを旨とし、競技に集中できる環境と、東京全体の盛り上がりがアスリートの力強いわざの数々を後押しする大会となるよう、準備を進めてまいりたいと思います。
 大会の安全・安心も、確実に確保しなければなりません。リオ大会ではテロのような事態は起こらず、これは称賛に値するものと存じます。一方で、先日もニューヨークの中心部などにおいて爆発事件が発生しました。国際テロ組織の影響が報じられるなど、国際テロ情勢は厳しさを増しております。
 引き続き、国と十分に連携をしながら、テロ対策を初め、サイバー空間の脅威への対処、治安基盤の充実化等に万全を期してまいります。
 一九六四年の東京オリンピック・パラリンピックは、高度成長期の日本を世界に発信する大会でございました。実は私は小学校の白黒テレビで、エチオピアのアベベ選手が両手をこう高らかに上げて、マラソン競技で金メダルを獲得した姿、今も忘れることができません。当時の日本は、人口も、そして経済も右肩上がり。為替は一ドル三百六十円の時代でありました。首都高速道路、新幹線など、現在の東京のインフラ基盤は世界銀行からの借款によるものでありまして、一九九〇年にその返済を完了したということで、ますます時代の流れを感じざるを得ないと思います。
 二〇二〇年の大会は、単なる一九六四アゲインではなくて、成熟都市であり、世界の最先端都市であるTOKYOを世界にアピールする大会にしなければなりません。ハード面のレガシーだけでなく、ソフト面のレガシーを構築いたします。東京とTOKYOを世界にお見せし、東京、日本はもとより、世界中の誰もが記憶に残る、そんな大会にしたいと思っています。
 リオでの視察の成果も踏まえ、私は東京大会を何としても成功させる決意であります。施設整備や開催経費などさまざまな課題については、国や組織委員会と緊密な連携を図り、説明責任を果たしながら解決方法を見出すことで、都民の皆様、納税者の皆様のご理解を得たいと思います。
 明日二十九日には、都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームが、各競技の予定会場を、東京大会以降の活用予想を含めて分析した結果を公表することとしております。大会レガシーが負の遺産にならないための客観的な分析であります。
 また、二〇一九年に日本で開催されるラグビーワールドカップの熱狂は、東京大会への機運をますます高めることでありましょう。都民の皆様の心からの応援を力強い後押しとして、この二つの大会を必ずや成功に導きたいと思います。
 それらの歩みの中、環境、まちづくり、産業、観光、スポーツ、文化等、あらゆる分野で東京を進化させ、都民生活の質の向上と持続的な成長を実現していく。そのようなハードとソフトのレガシーを残してこそ、私たちにとって大会の真の成功といえるのであります。
 復興五輪であることの原点にも立ち返らなければなりません。被災地の復興なくして、大会の成功はあり得ないのであります。被災地の歩みを力強く発信できるよう、さまざまな工夫をしていきたいと思います。
 そして私は、パラリンピックの成功なくしても、大会の成功はないと考えております。パラリンピックの盛り上がりこそが、多様性を認め合い、あらゆる違いを超えてつながり合うという、オリンピック・パラリンピックの精神を広めるのです。高齢者や障害者に優しいユニバーサルデザインのまちづくりも推し進め、ダイバーシティー実現に大きく近づいていきたいと思います。
 また、IOCが唱えるスモークフリーの精神は、重要なものと考えます。受動喫煙防止対策については、国が検討を進めておりますが、都においても、ホストシティーとしての責任や都民の健康増進の観点からも対策を進めてまいります。
 続いて、本定例会に提案している主な議案等について申し述べます。
 八ッ場ダムの整備については、先月、国が公表した事業費増額に同意する議案を提案しております。この夏の水源の状況を鑑みても、首都圏の治水、利水の安全度向上に極めて重要なダムであり、一都五県での検証も踏まえ、これに同意するものであります。
 また、このたび名誉都民の候補者として、大村智さん、小澤征爾さん、三宅義信さんの三名の方々を選定させていただきました。
 大村智さんは、産学連携で開発した薬が、年三億人の開発途上国の熱帯病患者を失明等から救うなど、微生物創薬発展に貢献してこられました。
 小澤征爾さんは、日本人として初めてウイーン国立歌劇場の音楽監督を務めるなど、世界の音楽界の第一線で長く活躍を続けてこられました。
 三宅義信さんは、ウエートリフティングで、前回の東京オリンピックを初め金メダルを二度獲得し、後進の育成にも尽力してこられました。
 お三方は、多くの都民が敬愛し、誇りとするにふさわしい方々として、選考委員会でお選びいただいた方々であります。都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いを申し上げます。
 私は、今改めて、東京市第七代市長を務め、その後、関東大震災から帝都東京を復興させた後藤新平の残した自治三訣を心に刻みます。人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして報いを求めぬよう。
 公僕という言葉は、狭義の公務員のことではありません。公僕の精神は、都庁に勤める全ての者に、都議会議員の皆様に、もちろん知事である私にも求められるものであります。改めて申し上げるまでもなく、都知事も都議会議員も、都民によって、選挙によって選ばれ、税金で資金を預かり、税金を活用していく以上、公僕の精神が求められております。常に都益、都民の利益を重んじ、有効に活用するワイズスペンディングの姿勢が求められております。
 公の意識を持たない者が、個の利害のために、公益をねじ曲げることがあってはなりません。私利私欲を満たすことがあってはなりません。
 私たちは、今改めて後藤新平に問われている気がします。あなたは、人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして報いを求めぬよう、それに努めているかと。後藤新平が苦労してつくった東京の骨格に、あふれんばかりのぜい肉をつけてしまった巨大な肥満都市東京を叱っている、そんな気がいたします。
 いま一度、しっかりとした骨格をつくり、五十年、百年後の東京を構想しなければなりません。自分の生きている間さえよければいいというものではありません。今の都民のために、そしていまだ見ぬ百年後の都民のために働かなくてはいけない。そう決意をいたしております。
 そして、これからもっと東京はよくなると、都民が希望を持てる都政を展開する。そして、日本の未来を明るく照らす新しい東京を、都民の皆様、都議会の皆様とともにつくり上げていきたいと思います。改めまして、皆様のご協力をお願い申し上げます。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案一件、条例案十一件など、合わせて三十件の議案を提案いたしているところでございます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
 以上をもちまして私の所信表明を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(川井しげお君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(山内晃君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第四までを先議されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りをいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第四までを先議することに決定をいたしました。

○議長(川井しげお君) 追加日程第一から第三まで、東京都名誉都民の選定の同意について三件を一括して議題といたします。
   〔松丸議事部長朗読〕
一、東京都名誉都民の選定の同意について三件

二八財主議第三〇六号
平成二十八年九月二十八日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 川井しげお殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     大村  智

      略歴
現住所 東京都世田谷区
大村  智
昭和十年七月十二日生
昭和十年   山梨県北巨摩郡神山村(現山梨県韮崎市)生まれ
昭和三十三年 山梨大学学芸学部卒業
同年     東京都立墨田工業高等学校教諭
昭和四十年  社団法人北里研究所入所
昭和五十年  北里大学薬学部教授
平成二年   社団法人北里研究所所長
平成十九年  北里大学名誉教授
平成二十五年 北里大学特別栄誉教授
平成二十七年 文化勲章
同年     ノーベル生理学・医学賞
同年     東京都栄誉賞

      事績
大村  智
 昭和十年七月十二日生
昭和十年七月十二日、山梨県北巨摩郡神山村(現山梨県韮崎市)に生まれる。
昭和三十三年、山梨大学学芸学部(現教育学部)卒業後、東京都立墨田工業高等学校定時制課程の教諭に就く。昭和三十五年、東京理科大学大学院に入学し、高等学校教諭として勤めつつ、研究者の道を目指す。
昭和四十年、社団法人北里研究所(現学校法人北里研究所)に入所する。昭和四十八年、同研究所抗生物質研究室室長、昭和五十年、北里大学薬学部教授に就任する。
昭和五十六年、製薬会社との共同研究により、氏が静岡県伊東市の土の中から発見した放線菌を基に、動物の寄生虫に劇的な効果を発揮する治療薬「イベルメクチン」が実用化され、ヒト用の抗寄生虫薬へと更に研究が進められた。昭和六十三年からは、世界保健機関などによる熱帯病撲滅プログラムに対して、抗寄生虫薬の一つ「メクチザン」が無償供与されている。
平成二年、社団法人北里研究所所長、平成十九年、北里大学名誉教授、平成二十五年、特別栄誉教授に就任する。
平成二十七年、文化勲章を受章。同年、ノーベル生理学・医学賞及び東京都栄誉賞を受賞する。
氏は、微生物が作り出す有用な化合物を次々に発見し、微生物創薬の発展に貢献してきた。特に、産業界との連携により研究・開発した抗寄生虫薬は、開発途上国の熱帯病患者に無償供与され、年間約三億人を失明などから救っている。
また、現在も北里大学特別栄誉教授として、人材育成及び科学技術振興に取り組んでいる。
以上のような氏の功績は多大であり、公共の福祉を増進し、学術の進展に寄与する姿は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

二八財主議第三〇七号
平成二十八年九月二十八日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 川井しげお殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     小澤 征爾

      略歴
現住所 東京都世田谷区
小澤 征爾
昭和十年九月一日生
昭和十年   満州国奉天市(現中華人民共和国瀋陽市)生まれ
昭和三十四年 ブザンソン国際指揮者コンクール優勝
昭和四十八年 ボストン交響楽団音楽監督
平成四年   サイトウ・キネン・フェスティバル松本総監督
平成十二年  小澤征爾音楽塾開始
平成十四年  ウィーン国立歌劇場音楽監督
平成二十年  文化勲章
平成二十二年 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団名誉団員
平成二十七年 ケネディ・センター名誉賞
平成二十八年 第五十八回グラミー賞(最優秀オペラ録音部門)

      事績
小澤 征爾
昭和十年九月一日生
昭和十年九月一日、満州国奉天市(現中華人民共和国瀋陽市)に生まれる。小学生の時からピアノを学ぶ。桐朋学園で齋藤秀雄に指揮を師事する。
昭和三十四年、ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝する。
昭和四十八年、ボストン交響楽団の音楽監督に就任。二十九年の長期にわたり活躍する。
昭和五十九年、齋藤秀雄メモリアル・コンサートを開催。平成四年には、それを発展させた、サイトウ・キネン・フェスティバル松本(現セイジ・オザワ 松本フェスティバル)の総監督に就任する。
平成十二年、若手音楽家の育成を目的に、小澤征爾音楽塾を開始する。
平成十四年、ウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任する。
平成二十年、文化勲章を受章する。
平成二十二年、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団名誉団員の称号を贈られる。
平成二十七年、ケネディ・センター名誉賞を受賞する。
平成二十八年、平成二十五年のサイトウ・キネン・フェスティバル松本で指揮した歌劇「こどもと魔法」を収めたアルバムで、第五十八回グラミー賞(最優秀オペラ録音部門)を受賞する。
氏は、日本人として初めて、ボストン交響楽団、ウィーン国立歌劇場の音楽監督を務め、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるニューイヤーコンサートを指揮するなど、世界の音楽界に多大な影響を与えてきた。
長きにわたり第一線で活躍を続けるとともに、若手音楽家の育成にも尽力する姿は、人々に感動を与え、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

二八財主議第三〇八号
平成二十八年九月二十八日
 東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 川井しげお殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     三宅 義信

      略歴
現住所 東京都練馬区
三宅 義信
昭和十四年十一月二十四日生
昭和十四年 宮城県柴田郡村田町生まれ
昭和三十五年 第十七回オリンピック競技大会(ローマ)ウエイトリフティング競技バンタム級銀メダル
昭和三十七年 自衛隊体育学校入校
昭和三十九年 第十八回オリンピック競技大会(東京)フェザー級金メダル
昭和四十三年 第十九回オリンピック競技大会(メキシコシティー)フェザー級金メダル
昭和四十七年 第二十回オリンピック競技大会(ミュンヘン)フェザー級四位
昭和五十九年 第二十三回オリンピック競技大会(ロサンゼルス)日本代表監督
平成五年   自衛隊体育学校長
平成九年   紫綬褒章
平成二十三年 瑞宝小綬章
平成二十八年 東京都ウエイトリフティング協会会長

      事績
三宅 義信
 昭和十四年十一月二十四日生
昭和十四年十一月二十四日、宮城県柴田郡村田町に生まれる。
高等学校在学時からウエイトリフティングを始める。
昭和三十五年、第十七回オリンピック競技大会(ローマ)バンタム級で銀メダルを獲得する。
昭和三十七年、自衛隊体育学校に入校し、トレーニングを積む。
昭和三十九年、第十八回オリンピック競技大会(東京)フェザー級で金メダルを獲得する。
昭和四十三年、第十九回オリンピック競技大会(メキシコシティー)フェザー級で金メダルを再度獲得し、銅メダルを獲得した弟の義行氏と共に表彰台に上がる。
昭和四十七年、第二十回オリンピック競技大会(ミュンヘン)フェザー級で四位に入賞する。
昭和五十九年、第二十三回オリンピック競技大会(ロサンゼルス)日本代表監督に就任する。
平成五年、自衛隊体育学校長に就任する。
平成九年、紫綬褒章を受章する。
平成二十三年、瑞宝小綬章を受章する。
平成二十八年、東京都ウエイトリフティング協会会長に就任する。
氏は、第十八回オリンピック競技大会(東京)及び第十九回オリンピック競技大会(メキシコシティー)で金メダルを獲得し、日本のウエイトリフティング界の発展に貢献してきた。
 引退後も、自衛隊体育学校ウエイトリフティング班監督や第二十三回オリンピック競技大会(ロサンゼルス)日本代表監督を務めるなど選手の育成にも尽力してきた。
 選手としての功績はもとより、指導者としても多大な貢献を果たす姿は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

○議長(川井しげお君) お諮りをいたします。
 本件は、いずれも知事の選定に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の選定に同意することに決定をいたしました。

○議長(川井しげお君) 追加日程第四、議員提出議案第十五号、北朝鮮による核実験及びミサイル発射に対する抗議決議を議題といたします。
 案文は、お手元に配布をいたしてあります。
 朗読は省略をいたします。

議員提出議案第十五号
   北朝鮮による核実験及びミサイル発射に対する抗議決議
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条第一項の規定により提出します。
  平成二十八年九月二十八日
(提出者)
小林 健二  加藤 雅之  大門さちえ
和泉ひろし  山森 寛之  前田 和茂
菅野 弘一  大津ひろ子  塩村あやか
やながせ裕文 おときた駿  宮瀬 英治
西沢けいた  米倉 春奈  白石たみお
斉藤やすひろ 栗林のり子  遠藤  守
伊藤こういち 川松真一朗  栗山よしじ
小松 大祐  堀  宏道  松田やすまさ
柴崎 幹男  舟坂ちかお  小松 久子
山内れい子  上田 令子  田中 朝子
中山ひろゆき あさの克彦  里吉 ゆみ
和泉なおみ  尾崎あや子  大松あきら
吉倉 正美  まつば多美子 高倉 良生
清水 孝治  鈴木 錦治  神野 次郎
木村 基成  北久保眞道  高椙 健一
栗山 欽行  大場やすのぶ 和泉 武彦
近藤  充  西崎 光子  両角みのる
石川 良一  新井ともはる 中村ひろし
島田 幸成  徳留 道信  河野ゆりえ
小竹ひろ子  上野 和彦  野上 純子
中山 信行  谷村 孝彦  藤井  一
小宮あんり  鈴木 章浩  ほっち易隆
山内  晃  河野ゆうき  島崎 義司
きたしろ勝彦 田中たけし  鈴木 隆道
神林  茂  早坂 義弘  秋田 一郎
野上ゆきえ  今村 るか  斉藤あつし
小山くにひこ 畔上三和子  大島よしえ
松村 友昭  鈴木貫太郎  ともとし春久
木内 良明  長橋 桂一  中屋 文孝
鈴木あきまさ 桜井 浩之  山崎 一輝
三宅 正彦  山加 朱美  高橋かずみ
山田 忠昭  林田  武  こいそ 明
田島 和明  古賀 俊昭  立石 晴康
大西さとる  尾崎 大介  石毛しげる
植木こうじ  かち佳代子  曽根はじめ
小磯 善彦  橘  正剛  東村 邦浩
中嶋 義雄  宇田川聡史  高橋 信博
崎山 知尚  高木 けい  相川  博
吉原  修  野島 善司  三宅 茂樹
川井しげお  野村 有信  高島なおき
吉野 利明  内田  茂  酒井 大史
山下 太郎  清水ひで子  大山とも子
吉田 信夫
東京都議会議長 川井しげお殿

北朝鮮による核実験及びミサイル発射に対する抗議決議
北朝鮮は、累次にわたり弾道ミサイルを発射するとともに、本年一月に続き、九月九日には五回目の核実験を強行した。
北朝鮮の核実験実施は、国連安保理決議や六者会合共同声明、日朝平壌宣言に対する重ねての明白な違反であり、北東アジア及び国際社会の平和と安全を著しく脅かすものとして、断じて容認することはできない。
今回の暴挙は、国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であり、核兵器による惨禍を唯一経験し、核廃絶を強く願う国民、都民の思いを踏みにじるものである。
よって、東京都議会は、北朝鮮の核実験及びミサイル発射に対し、重ねて厳重に抗議し、いかなる核実験やミサイル発射も実施しないよう強く求める。
政府においては、国際社会と緊密に連携を図り、国民の安全・安心の確保に万全を期すとともに、核・ミサイル・拉致問題の早急な解決に向けて、これまで以上に強力な外交を展開するよう求めるものである。
 以上、決議する。
  平成二十八年九月二十八日
東京都議会

○六十七番(山内晃君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第十五号については、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りをいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第十五号は、原案のとおり可決されました。

○六十七番(山内晃君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十九日から十月三日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りをいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十九日から十月三日まで五日間、議案調査のため休会することに決定をいたしました。
 なお、次回の会議は、十月四日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会をいたします。
   午後二時三分散会


文書質問趣意書及び答弁書

28財主議第289号
平成28年9月13日
東京都議会議長
 川井しげお殿
        東京都知事
小池 百合子

文書質問に対する答弁書の送付について

 平成28年第二回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

塩村あやか議員
宮瀬英治議員
上田令子議員
尾崎あや子議員
両角みのる議員
植木こうじ議員
清水ひで子議員

平成28年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 塩村あやか

質問事項
一 ストーカー対策について
二 施設の更新や改築・新築について
三 都立動物園について

一 ストーカー対策について
昨今は「会いにいけるアイドル」など身近さを売りにするアイドルに人気が集中をする傾向があり、マネージャーも現場しかつかないような、10代や20代の庶民派のタレントが被害にあう可能性が高いことからも、ストーカーやつきまといについての警視庁の対策が急がれます。
本年5月にアイドル活動をしていた女性が男性支援者に刺されて重体になるという事件が発生しました。女性は身の危険を感じており、実家のある京都でも警察に相談をしていましたが、女性の住む地域を管轄する武蔵野署が一般相談として受理をしており、ストーカー相談になっていなかったことが一番の原因であると言われています。
問題はストーカー規制規正法の定義にSNSなどが含まれていないことが今回の事件の根本的な原因であり、これまで私自身の経験も踏まえて改正が必要だと警視庁に相談をしてきました。
今回の事件を受け、本年の5月の国会での質疑でも取り上げられていることから、改正が進むと予想されますが、ストーカーやつきまといについてのルールについてはまだまだ不明瞭な点が多くあり、多くの人たちが困っているのが現実です。
1 まず、「つきまとい」と「ストーカー」の違いを伺います。また、違いにより警視庁の対応がどう異なるのかも併せて伺います。
2 ストーカーやつきまといは、好意だけに留まりません。怖がらせるようなメールを被害者やその周囲の人に送りつけたり、電話をしたり、住居に押しかけたり、周辺で理由をつけて叫んだりなど多岐にわたりますが、ストーカーの定義に恋愛感情が含まれていないと警察が動かないという実態もあります。被害者を出来るだけ早期に日常生活に戻すためにも、恋愛感情を伴わないつきまといも「ストーカー」に含めて対応をすることが望まれますが、現行法では何が障害となり警察での対応が鈍くなっているのかお伺いをします。
3 関連をして脅迫についてお伺いをいたします。現行法では刃物を送りつけるなどは脅迫罪にあたり捜査の対象になりますが、刃物に見立てた定規などを故意に送りつけて被害者に恐怖を与えても捜査の対象にはならないとのことです。
しかし、こうしたことは明らかな脅迫であり、前後でストーカーやつきまとい被害に遭っていることが明白な場合、万が一に備えて警視庁でも捜査をし早期の被害の封じ込めをするべきだと思いますが、見解を伺います。
4 つきまといは現実世界だけに留まりません。ネットの世界やツイッターやフェイスブックで執拗につきまとい、誹誘中傷を執拗に繰り返したり行動の監視をしたりすることも問題となっています。こうした迷惑行為を繰り返す場合、事業者に連絡をしても対応がされないことが多々ある状態です。海外では自身で発信した情報や写真も「忘れられる権利」が認められていますが、日本では事実無根の誹誘中傷すら対応できる法がありません。
そこで実態を把握するためにうかがいますが、こうしたネットにおけるストーカー行為に関して、昨今の情勢等を鑑み、相談受理段階においてストーカーの手法、手段等についてはっきりと分類して対処していくべきだと考えますが、ご見解を伺います。
5 上記に記したことからも、ストーカーは恋愛に限ることではないということは明白ですが、ストーカー規正規制法では「恋愛感情」や「好意」に限っています。しかしながら、英語のstalkingは日本語にすると「自分が一方的に関心を抱いた相手にしつこくつきまとうこと」であり、恋愛感情や好意に限っていません。こうしたことからも、多様化するストーキングに対応をするためにストーカーの定義を日本も変えることが必要であり、今後国と前向きに協議をしていくべきと考えますが見解を伺います。

二 施設の更新や改築・新築について
1 東京都は施設の新築や改築などの更新を必要に応じて行っていますが、それらはどのような手順を踏んで進んでいくのかを伺います。
2 また、改築や新築を行う場合の基準や、各局より打診・提出された案件について了承を行うタイミングを伺います。

三 都立動物園について
1 今年5月に井の頭自然文化園の象のはな子が69歳69歳で死去しました。戦後にタイより贈られ、多くの子供や家族連れを楽しませてきたはな子ですが、戦後60年60年以上が経過し世界の動物園の動物たちの飼育環境も変化をしてきました。昨今先進国では、できるだけその動物たちが本来生活をしている自然環境に近い形で飼育するよう心がけられています。
しかしながら、はな子はコンクリートの狭い象舎で飼育をされており、これまでに幾度も国内外の動物愛護団体などから批判を受けてきました。
動物愛護団体の中には動物園自体が動物虐待で無くすべきだと主張をする団体もあるようですが、動物たちの習性や特性を知る機会が全くなくなってしまうことは逆に、動物たちを通じて「動物との共生」や「環境問題」「種の保存」ということを知り、考えるきっかけを欠いてしまうことになることからも、最大限の配慮を施し飼育をするべきだと考えます。
多くの動物園で「環境エンリッチメント」という、環境に刺激や変化を持たせて、動物が生きがいを持って暮らせる工夫をしています。このシステムを都立の動物園では完璧に導入が済んでいるのかを伺います。
2 また、それらが正しく実施されているかをチェックする 「SPIDERモデル」というものが提唱され、先進的な動物園では採用されているそうです。SPIDERとは、「目標設定(S)」「計画(P)」「実行(I)」「記録(D)」「評価(E)」「見直し(R)」の頭文字をとったもので、目標を決め、計画を立て、実施後には記録を取り、その評価をおこない、訂正をする方法とのことです。これらを全ての都立動物園に導入することが望ましいと考えますが、見解を伺います。
3 また、導入しているのであれば、それらの結果や得られた成果を伺います。
4 展示されている動物が本来住んでいる自然環境に近い形で飼育されることが一番であると主張をしましたが、現状都立動物園で自然に近い環境が整っていない動物はどのくらいいるのか、また、整っていない場合の動物たちの環境をどのように、いつ改善するのかを伺います。
5 また、先の定例会で井の頭自然文化園の周年行事に、新たな取組みをする旨の質問と答弁がありましたが、もしも動物を新たに目玉にするのであれば、動物福祉に配慮をし、2020年の東京五輪を迎えるにふさわしい形にしなくてはいけません。たとえばその動物が生息している地域など自然に近い飼育環境にする、群れを作る習性があるならばそれらの点などに配慮をする、などです。見解を伺うとともに、要望をしておきます。

平成28年第二回都議会定例会
塩村あやか議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 ストーカー対策について
1 「つきまとい」と「ストーカー」の違いについて伺う。また、違いにより警視庁の対応がどう異なるのか併せて伺う。

回答
 ストーカー行為等の規制等に関する法律では、両者は、以下のように整理されています。
 つきまとい等とは、同法第2条第1項に規定されている8類型の行為のいずれかに該当するものであり、ストーカー行為とは、同一の者に対して、つきまとい等を反復して行うものです。
 警視庁では、事案に応じて、警告、禁止命令、検挙等の措置を執っています。

質問事項
一の2 恋愛感情を伴わないつきまといも「ストーカー」に含めて対応することが望まれるが、現行法では何が障害となり警察での対応が鈍くなっているのか伺う。

回答
 恋愛感情を伴わないつきまといのうち、専ら、ねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的で行われるつきまとい行為については、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例で禁止されています。
 また、恋愛感情が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で行われるものは、ストーカー行為等の規制等に関する法律のつきまとい等に含まれます。
 警視庁では、こうした行為についても、恋愛感情を伴うつきまといと同様に、被害者等の安全確保を最優先とした事態対処に努めています。

質問事項
一の3 現行法では、刃物に見立てた定規などを故意に送りつけて被害者に恐怖を与えても捜査の対象にならないが、こうしたことは明らかな脅迫であり、前後でストーカーやつきまといによる被害が明白な場合、警視庁でも捜査をし、早期の被害封じ込めをすべきだが、見解を伺う。

回答
 ストーカー行為については、反復して行われた個々の行為の犯罪構成要件だけでなく、被害者と加害者の関係、被害者が不安を覚えている状況等を総合的に考慮し、各種法令を適用して加害者を検挙するなど、被害の発生、拡大防止に取り組んでいます。

質問事項
一の4 ネットやツイッターなどで執拗につきまとい、誹謗中傷や行動の監視などが問題となっている。こうしたネットにおけるストーカー行為に関して、昨今の情勢等を鑑み、相談受理段階においてストーカーの手法、手段、手法等についてはっきりと分類して対処すべきだが見解を伺う。

回答
 ツイッター等を利用して行われるストーカー行為の相談の受理に際しては、相談者やその親族等の関係者から幅広く事情を聴取するとともに関係資料を確認し、事案の危険性、切迫性を迅速、的確に見極め、被害者等の安全を確保するなど、適切な対応に努めています。

質問事項
一の5 多様化するストーキングに対応をするためにストーカーの定義を日本も変えるべきであり、今後国と前向きに協議すべきだが、見解を伺う。

回答
 多様化するストーカーへの対処については、国において、検討が進められているものと承知していますが、警視庁では、ストーカー行為に対し、事案に応じて、ストーカー行為等の規制等に関する法律だけでなく、あらゆる法令を駆使した事態対処に努めています。

質問事項
 二 施設の更新や改築・新築の計画について
1 都は、施設の新築や改築などの更新を必要に応じて行っているが、それらはどのような手順を踏んで進んでいくのか伺う。

回答
 施設の新築や改築に当あたっては、その所管局において、現状を把握することで、整備条件を検討の上、施設整備の構想や計画を策定します。その後、庁内関係者との協議や必要な行政上の手続きなどを経て、設計や工事などを進めています。ることとなり、これには、規模など整備条件にもよりますが、一般的に設計には概ね3年から4年、工事には更に3年から5年程度を要します。

質問事項
二の2 改築や新築を行う基準や、各局より打診・提出された案件の了承を行うタイミングについて伺う。

回答
 都では、施設の計画的な維持更新を進めることとしており、具体的には、施設の所管局において、行政ニーズや事業動向、施設の劣化状況などの観点から、改築や新築の必要性を判断しています。
 改築や新築の必要性がある場合は、施設の所管局において、施設整備の構想や計画を策定し、庁内関係者との協議や必要な行政上の手続きなどを経て、設計や工事などを進めることとなります。

質問事項
 三 都立動物園について
1 多くの動物園で「環境エンリッチメント」という、環境に刺激や変化を持たせて、動物が生きがいを持って暮らせる工夫をしているが、このシステムを都立動物園では完璧完壁に導入が済んでいるのか伺う。

回答
 動物園における動物の飼育展示に当あたっては、環境エンリッチメントという考えに基づき、野生動物本来の行動や生態を引き出し、再現することが重要です。
 このため、都立動物園では、指定管理者の事業計画書に基づき、野生での動物の生態などの情報収集を行い、餌や飼育施設等について様々な工夫を行うなど、環境エンリッチメントに取り組んでいます。

質問事項
三の2 それらが正しく実施されているかをチェックする「SPIDERモデル」が提唱され、先進的な動物園では採用されており、全ての都立動物園に導入すべきだが、見解を伺う。

回答
 都立動物園では、環境エンリッチメントを進めるために、動物の生理特性や習性、性質等の生態に関する情報収集を行うとともに、個々の飼育動物について健康状態等を把握した上で、動物の飼育環境を改善するための計画を立案、実施し、その結果を検証してフィードバックする取組みを続けています。
 さらに、展示の改善に外部有識者の評価や助言を反映させる仕組みの導入も検討しています。

質問事項
三の3 「SPIDERモデル」を導入しているのであれば、それらの結果や得られた成果について伺う。

回答
 環境エンリッチメントの成果としては、例えば、恩賜上野動物園におけるニシゴリラ飼育の場合は、個体同士の相性を確認しながら、群れ行動を誘導するとともに、餌の種類や与え方を工夫し、餌を探すために大半の時間を費やす野生での生活を再現することにより、繫殖に成功しました。

質問事項
三の4 展示されている動物が本来住んでいる自然環境に近い形で飼育されることが一番だが、現状都立動物園で自然に近い環境が整っていない動物はどのくらいいるのか、また、整っていない場合の動物たちの環境をいつ改善するのか伺う。

回答
 都立動物園では、これまでも動物の飼育に当たり、野生での生態などの情報収集を行い、餌や飼育施設等について様々な工夫を行ってきました。
 引き続き、飼育下では気候や飼育施設の規模等の制約がありますが、よりよい飼育環境づくりに努めていきます。都立動物園における飼育下では、気候や飼育施設の規模等の制約がありますが、全ての飼育動物について、可能な限り良好な飼育環境を整えています。
 また、餌や飼育施設等について様々な工夫を行うなど、常に飼育環境の改善に努めています。

質問事項
三の5 先の定例会で井の頭自然文化園の周年行事に、新たな取組をする旨の答弁があったが、もしも動物を新たに目玉にするのであれば、動物福祉に配慮し、2020年の東京五輪を迎えるにふさわしい形にすべきだが、見解を伺う。手法等についてはっきり分類して対処すべきだが見解を伺う。

回答
 井の頭自然文化園の今後の取組については、地元市等の意見も聞きながら検討していきます。
 なお、引き続き、動物の飼育に当たっては、東京2020年大会に向けてはもちろん、引き続き工夫を重ねながら、飼育下で可能な限り、よりよい飼育環境づくりに取り組んでいきます。

平成28年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 宮瀬英治

質問事項
一 水再生センターの上部利用について
二 都立公園について
三 地域防災力向上について
四 AEDについて
五 噴火について

一 水再生センターの上部利用について
1 水再生センターの上部利用について、都は貸し出しを行っているとはいえ、あくまで都有地であり、随時、その取り組みが有効活用されているか、都も把握する必要があると考える。そこで、水再生センターの上部利用形態について、現在の状況に対する満足度や活用、利用率を都はどのように認識しているのか伺う。
2 また下水道施設の上部利用は、下水道に対する理解の向上とPRにも資することから、下水道局では、独自の取り組みとして、可能な範囲で区市から利用状況などを聞き取っているとの答弁が公営企業委員会であったが、その内容について伺う。
3 また、上部利用されている二十カヵ所の利用率や満足率を都は最終的に把握したのか、その内容および状況について伺う。
4 私の地元の板橋区では、水再生センターの上部を少年サッカーのグラウンド等にも貸してほしいといった声が後を立たない。現在の利用状況の詳細を伺う。また区の意見も聞きながらサッカーのグランドに使うことも検討すべきと考えるが所見を伺う。

二 都立公園について
1 都立公園については、満足度や利用率についてどう認識しているのか伺う。また、それを受け都は、どのように満足度の向上や利用率の改善につなげているのか伺う。
12 また、都立城北中央公園の利用について、。公園全体の利用率や満足度について都はどのように認識しているのか、とりわけ陸上競技場の利用率、満足度について伺う。
さらには上記のように陸上競技場の中央部を少年サッカー場等に使うことも検討すべきと思うが所見を伺う。
2 都立公園については満足度や利用率についてどう認識しているのか伺う。
またそれをうけ都はどのように満足度の向上や利用率の改善につなげているのか伺う。

三 地域防災力向上について
1 現在、地元の町会や区市町村と連携しながら防災訓練を実施している。消火器による消火訓練やAED講習など、もちろん基礎的な個別訓練も必要ではあるが、例年同じ訓練を実施している地域も見受けられる。そこで今後は、消防署から働きかけを行い、町会等と連携し、実践的な訓練を実施していくべきと考えるが、所見を伺う。
2 また、都民に習得していただきたい消火器による初期消火や応急救護などの技能については、基礎的な訓練を反復して実施し、また、より実践的な救出・救助訓練やスタンドパイプを活用した「まちかど防災訓練」など、地域特性に応じた防火防災訓練指導を行っているとのことであるが、その影響範囲や効果について伺う。
3 防災訓練実施の取組は、地域によって差が生じているのが実態である。たとえば意識の高い地域では毎年その訓練の質を向上させるために訓練内容を毎年見直している所もあれば、一方、10年以上、同じ訓練を毎回ほぼ同じ人たちだけ実施するといった固定化している傾向にある地域も実際は見受けられる。そこで今後、区市町村、町会等と連携し、都内全域で訓練実施の差を解消し、住民の防火防災力の向上を図っていくべきだが所見を伺う。
4 区市町村及び消防団と連携して、町会や学校をはじめ様々な地域コミュニティに働きかけることにより、引き続き訓練を実施していない地域の解消に取り組んでいくとあるがその状況やどのように効果を計り全体として改善したのか伺う。

四 AEDについて
1 特別区消防団の救助活動用資機材の整備状況と今後の取り組みについて
東京消防庁では、特別区消防団運営委員会の答申などを踏まえ、これまで携帯型油圧救助器具、チェーンソー、万能おの等を順次整備しているが、さらにはAEDの迅速な配備要求もあがっている。早急にAEDを配備するべきと考えるが所見を伺う。
2 国の方針、他市の実績、財源、コンビニ業界、都民ニーズなど周辺状況の変化に伴い、都においても、コンビニエンスストアなど夜間に使用可能な場所へのAED配備を検討するなど、AEDの普及促進を図るべきと考えるが、所見を伺う。
3 また今後、財団の登録情報も活用しながら、夜間も含め、使用可能な時間帯等を把握し、区市町村と連携して都民に情報提供を行っていくとの答弁があったが進捗を伺う。

五 噴火について
1 大規模地震災害が発生した場合、数年以内に巨大噴火発生のリスクが高まることが指摘されている。東日本大震災をうけ富士山の噴火リスクについても都はその深刻さを正面から受け止めなければならない。都は富士山の噴火についてどのようにとらえ、またリスクをどのように認識しているのか伺う。
2 またそのような認識のもとリスクに対して都はどのような対策をとっているのか伺う。富士山噴火に備えそのための訓練をすべきと考えるが所見をうかがう。

平成28年第二回都議会定例会
宮瀬英治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 水再生センターの上部利用について
1 水再生センターの上部利用について、随時、その取組が有効活用されているか、都も把握すべきだが、現在の状況に対する満足度や活用、利用率を都はどのように認識しているのか伺う。

回答
 水再生センターの施設の多くは地下にあり、その上部は公園や運動場などに活用されています。こうした水再生センターの上部利用は、資産を有効活用し、都市の貴重なオープンスペースを生み出すことで、まちづくりに貢献する取組です。
 上部利用に当たっては、地元区・市等が住民要望等を踏まえて利用形態を決定し、下水道局に要望します。これを受け、局は、下水道施設の構造や維持管理上、問題がないことを確認した上で使用許可を行い、地元区・市等が施設を建設し、住民の皆様に御ご利用いただいています。
 したがって、下水道局としては、満足度や活用、利用率について、必要に応じて地元区・市等が把握するものと認識しています。

質問事項
一の2 下水道施設の上部利用は、下水道局では、独自の取組として、可能な範囲で区市から利用状況などを聞き取っているとの答弁が公営企業委員会であったが、その内容について伺う。

回答
 下水道局では、上部利用に関する地元区・市等との情報共有を目的として、平成26年度及び27年度に利用状況について情報収集を行いました。
情報収集の内容は、公園やスポーツ施設の名称、開園時間、休業日、年間利用者数やイベント実施状況等です。
 なお、地元区・市等によると、年間利用者数については、テニスコートや野球場等は利用申請書等から人数を把握していますが、自由に出入りが可能な公園等は、利用者数の把握はしていない施設がほとんどであるとのことです。

質問事項
一の3 上部利用されている20カ所の利用率や満足率を都は最終的に把握したのか、その内容および状況について伺う。

回答
 上部利用されている施設の利用率や満足度については、区・市等が調査を実施している場合には、可能な範囲で下水道局としても把握しています。
 上部利用施設の多くは公園であるため、利用率の把握は困難です。
 平成27年度は、板橋区にある新河岸水再生センター上部の陸上競技場の利用率について、区から情報提供を受けています。
 なお、満足度については把握していません。

質問事項
一の4 板橋区では、水再生センターの上部を少年サッカーのグラウンド等にも貸してほしいといった声が後を立たないが、現在の利用状況の詳細を伺う。また区の意見も聞きながらサッカーグラウンドに使うことも検討すべきだが見解を伺う。

回答
 板橋区にある新河岸水再生センターの上部は、テニス場と陸上競技場として利用されています。
区によると、平成27年度においては、テニス場の団体利用者は約6万人で、ほぼ全ての開場時間で利用されています。
 また、陸上競技場は、区内唯一の第四種公認競技場として、各種競技大会や体育祭など、多くの場面で活用されており、団体利用者は約12万人、利用率(利用時間/利用可能時間)は約5割とのことですが、このほかに個人利用としても活用されています。
 なお、上部利用施設は、板橋区が利用形態を検討し、建設・活用しており、今後の利用方法についても、区において検討していくものと認識しています。
 今後、板橋区から利用形態の変更について申請を受けた場合、適切に対応していきます。

質問事項
 二 都立公園について
1 都立城北中央公園の利用について、公園全体の利用率や満足度を都はどのように認識しているのか、とりわけ陸上競技場の利用率、満足度について伺う。さらには、陸上競技場の中央部を少年サッカー場等に使うことも検討すべきだが見解を伺う。都立公園について、満足度や利用率についてどのように認識しているのか伺う。またそれをうけ、都はどのように満足度の向上や利用率の改善につなげているのか伺う。

回答
 平成27年度の利用者アンケート調査の結果、70の開放公園について、9割以上が公園を利用して総合的に満足、又はやや満足と回答しており、利用者の満足度は高いと認識しています。
 この調査結果は、日常の維持管理等に活用するとともに、毎年度実施している指定管理者の管理運営状況評価にも利用するなど、更なる満足度の向上に役立てています。
 また、様々な形でのPRや、公園ごとの特色を生活かしたイベントの実施など、より多くの方に都立公園を利用していただくための取組も行っています。

質問事項
二の2 都立公園について、満足度や利用率についてどのように認識しているのか伺う。またそれをうけ、都はどのように満足度の向上や利用率の改善につなげているのか伺う。城北中央公園の利用について、公園全体の利用率や満足度を都はどのように認識しているのか、とりわけ陸上競技場の利用率、満足度について伺う。

回答
 城北中央公園の平成27年度の利用者アンケート調査の結果は、約9割が公園を利用して総合的に満足と回答しており、利用者の満足度は高いと認識しています。
 また、幅広い利用者層や利用目的に応じたサービスを提供するため、ランニング・ウォーキング教室や野球教室等を開催しています。
 陸上競技場については、競技会や学校の運動会などで年間20日程度貸切りで使用されています。貸切りでの使用がないときも、ジョギングや学生の競技の練習のほか、保育園や幼稚園、親子連れの来園者などに広場として使用されています。

質問事項
 三 地域防災力向上について
1 消火器による消火訓練やAED講習など、基礎的な個別訓練も必要だが、例年同じ訓練を実施している地域も見受けられる。今後は、消防署から働きかけを行い、町会等と連携し、実践的な訓練を実施すべきだが、見解を伺う。

回答
 東京消防庁では、都民に対して、救出・救助訓練やスタンドパイプを活用した「まちかど防災訓練」など、地域特性に応じた実践的な防火防災訓練指導を行っています。
 今後とも、町会等に積極的に働き掛けかけ、これらの防火防災訓練を推進し、自助・共助による地域防災力の向上を図っていきます。

質問事項
三の2 都民に習得してもらいたい技能は、基礎的な訓練を反復して実施し、また、より実践的な救出・救助訓練など、地域特性に応じた防火防災訓練指導を行っているとのことだが、その影響範囲や効果について伺う。

回答
 地域特性に応じた防火防災訓練指導を推進した結果、平成27年度の防火防災訓練参加人員は約229万人となり、前年度と比べて約38万人増加しました。
 こうした取組により、火災発生時、地域住民が消防隊の到着前にスタンドパイプを使って消火活動を行うなど、住民の活動能力の向上が図られています。

質問事項
三の3 防災訓練実施の取組は、地域によって差が生じているが、今後、区市町村、町会等と連携し、都内全域で訓練実施の差を解消し、住民の防火防災力の向上を図るべきだが見解を伺う。

回答
 区市町村及び消防団と連携して、町会や学校をはじめ様々な地域コミュニティーに働き掛けかけることにより、引き続き、訓練を実施していない地域の解消に取り組んでいきます。

質問事項
三の4 区市町村及び消防団と連携して、引き続き訓練を実施していない地域の解消に取り組んでいくとあるが、その状況やどのように効果を計り全体として改善したのか伺う。

回答
 区市町村及び消防団と連携して、町会や学校をはじめとする様々な地域コミュニティーを通じて、防火防災訓練の未実施地域に働き掛けかけたことにより、訓練参加者が、前年度と比べて約38万人増加しました。
 引き続き、訓練を実施していない地域の解消に努めていきます。

質問事項
 四 AEDについて
1 東京消防庁では、特別区消防団運営委員会の答申などを踏まえ、これまで携帯型油圧救助器具、チェーンソー、万能おの等を順次整備しているが、さらにはAEDの迅速な配備要求もあがっており、早急にAEDを配備すべきだが見解を伺う。

回答
 特別区消防団の装備資機材については、消防団の災害対応力や活動時の安全性の向上を図るため、各区の消防団運営委員会の答申等を踏まえ、順次整備しています。
 今後とも、消防団の活動力のより一層の強化を図るため、消防団運営委員会の審議状況を踏まえながら、AEDも含め、消防団活動に必要な装備資機材の整備について検討を進めていきます。

質問事項
四の2 国の方針、他市の実績、財源、コンビニ業界、都民ニーズなど周辺状況の変化に伴い、都においても、コンビニエンスストアなど夜間に使用可能な場所へのAED配備を検討するなど、AEDの普及促進を図るべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、これまで、AEDが有効に使用されるよう、都民に対し、使用方法等に関する講習会を実施してきました。
また、必要なときに使用できるよう、設置場所を示すマップを作成する区市町村を包括補助で支援してきました。
平成27年6月からは、救急医療に関する普及啓発等を行う日本救急医療財団が、都内全域を含む全国のAEDマップを公開しており、平成28年7月からは今後、設置場所に加えて使用可能な時間帯などの情報も提供追加することとしています。
 都は、このマップに必要な情報を登録するよう区市町村や民間事業者に現在働き掛けかけており、今後とも財団の登録情報も活用しながら、夜間も含め使用可能な時間帯等を把握し、区市町村と連携して、都民に情報提供を行っていきます。

質問事項
四の3 今後、財団の登録情報も活用しながら、夜間も含め、使用可能な時間帯等を把握し、区市町村と連携して都民に情報提供を行っていくとの答弁があったが、進捗を伺う。

回答
 都は、AEDの設置登録情報の有効活用等を図るため、平成27年10月に、区市町村に対して、また、同年11月には、鉄道、バス、百貨店、ホテルなどの関係団体に対して、設置情報の登録や更新等を依頼しました。
 また、平成28年2月に開催された、応急手当を広く都民に普及する東京都応急手当普及推進協議会運営連絡会の中でも、これらの団体に対し、AEDの設置情報の登録・更新を重ねて依頼しました。
 現在、区市町村におけるAEDマップへの登録・更新や都民への情報提供の状況を確認しており、取組が進んでいない区市町村に対しては、個別に働き掛けかけるなど、都民への情報提供が一層進むよう、取り組んでいます。

質問事項
 五 噴火について
1 大規模災害が発生した場合、数年以内に巨大噴火発生のリスクが高まることが指摘されている。東日本大震災をうけ、都は富士山の噴火についてどのようにとらえ、またリスクをどのように認識しているのか伺う。

回答
 東京には、日本にある110の活火山のうち、約2割に当たる21の活火山が東京都の島しょ部にあることから、火山防災は都にとって重要な課題です。
 富士山噴火については、国の「富士山火山広域防災対策基本方針」によれば、南関東一円に降灰の影響が及ぶとされ、都においても数センチ程度の降灰が見込まれることから、対策が必要な防災上のリスクと認識しています。

質問事項
五の2 そのような認織のもとリスクに対して、都はどのような対策をとっているのか伺う。富士山噴火に備え、そのための訓練をすべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、平成21年に東京都地域防災計画を修正し、富士山降灰対策として、区市町村や道路管理者、ライフライン事業者等の役割を明確にしました。
 また、噴火の影響が都を越えて広範囲に及ぶため、都は、九都県市首脳会議を通じて、国に対し降灰対策の指針を示すことなどを要望しています。
 国は、降灰による社会インフラ等への影響調査に着手し、今後対応策について検討するとしており、都としては、引き続き国に対し降灰対策を求めていきます。
 毎年、警察、消防、自衛隊など、多数の関係機関が参加して総合防災訓練を実施しており、こうした経験が、噴火の際の対応にも生かされるものと考えていおります。
 今後とも、富士山噴火に備え、適切に対応していきます。

平成28年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 上田令子

質問事項
一 知事会見のあり方について
二 生産緑地について
三 マイナス金利下における公金管理ポリシーについて
四 地域主権型道州制について
五 都バスの筆談筆記具と多言語対応について
六 介護者の交通局と福祉保健局のパスのあり方について
七 特別支援学校や障がい児施設の担任・担当変更について
八 産業医について
九 東京都特定機能病院・東京都指定二次救急医療における都の監督・監査・指導の役割について
十 精神保健指定医について
十一 妊産婦自殺と自殺対策の結果確認について
十二 不審死の解剖率について
十三 出産・子育て応援事業(ゆりかご・とうきょう事業)について
十四 児童相談所について
十五 離婚家庭養育費不払いに対する対応、相談体制と実績について
十六 東京都総合教育会議について
十七 消防署における、消防指導の接遇、住民対応の在り方について

一 知事会見のあり方について
1 舛添知事就任以降の知事の定例記者会見について、曜日別に実施状況をご説明ください。
2 舛添知事就任以降、火曜日にも定例記者会見が実施されるようになったが、その理由と今年度の月別実施状況について、ご説明ください。
3 定例記者会見の終了時刻について、誰がどのように決定し、どのように記者に周知しているのか、ご説明ください。
4 舛添知事就任以降、定例記者会見が中止された回数を主な事由別に、ご説明ください。
5 舛添知事就任以降、臨時の知事記者会見の年度別実施回数を主な事由別に、ご説明ください。
6 インターネットメディアの知事会見の参加の考え方と参加実績をご説明ください。
7 記者クラブ主催の記者会見のほか、知事が都庁内や視察先等で記者からのインタビュー(いわゆるぶら下がり取材)に応じることがあるが、この時にどのような職員体制で応じ、どのように記録を残しているか、ご説明ください。
8 舛添知事就任以降の個別の報道機関とのインタビューの実施実績について、年度別・テーマ別に、ご説明ください。

二 生産緑地について
 東京都へ監査請求も提出し、平成22年より耕作放棄を指摘をしてきた江戸川区内の生産緑地(緑地番号95番、98番、100番)において未だ改められていない状況です。ことに98番は、もともとはテニスコートであった土地を平成4年に生産緑地指定し、その後耕作をせぬまま放置されたうえ、平成22年当時は生産緑地番号を記した設置を義務付けられている標識も撤去していました。当時江戸川区議会議員であった私は、区議会にて多田正見区長を質し、異例の農業再開指導が土地所有者へなされました。ことに98番は、あまりに悪質であることから平成232年3月23日付で東京都へ「江戸川区における肥培管理されていない生産緑地地区に対する固定資産税等宅農地並み課税の件」の監査請求を提出しました。その後、土地所有者はNPO等に委託したようですが、改めて本年5月に確認したところ、目に余る状況が確認されました。写真を撮影し、東京都産業労働局農林水産部農業振興課を通じてより江戸川区農業委員会事務局都市開発部都市計画課にに情報提供注意喚起を促したところです。同一土地所有者における生産緑地法に抵触しかねない生産緑地の耕作放棄につき以下を伺います。
1 過去五年間で都内の類似事例の有無をお示し下さい。
2 同一土地所有者の全生産緑地の耕作状況をお示し下さい。
3 2に関しての江戸川区と東京都の指導監督状況とこれまで放置していた行政責任の考え方をお示し下さい。
4 同一土地所有者の耕作放棄生産緑地を近隣不動産鑑定評価を指標とした宅地並課税とした場合の税額積算をお示し下さい。
5 生産緑地制度については、指定されるとをすると固定資産税がを軽減されるできることものでありを知り、宅地並課税で営農している農家(表現確認)への生産緑地制度並びに緑地指定を推奨する周知状況をお示し下さい。推奨していく必要がある。農家に対する生産緑地制度並びに地区指定の周知状況を伺う。
6 都内の生産緑地耕作放棄地の転用事例をお示し下さい。

三 マイナス金利下における公金管理ポリシーについて
1 日銀は、2016年1月29日、日本で初めてマイナス金利政策の導入を発表し、2月16日から導入しました。そのことによって、東京都の公金運用に変化がありました。公金運用には、公金管理の三原則を確保すると公金管理ポリシーにも記載してありますが、マイナス金利になったことで公金運用に変化はあったかお示し下さい。
2 平成27年第3回定例会において、私は「都による公金管理ポリシーについて」の質疑で公金に毀損が生じた時の責任の所在と毀損した損失部分についての補填方法などを確認したところ、「公金運用の責任は、知事及び会計管理者が負っており、善管注意義務を果たさなければならない。公金を毀損した場合の損失部分の補填方法などについて、法的な定めはありません。」とのことでした。しかし将来リーマン・ショック級のような大きな経済変動などが発生した時においても責任の所在は知事及び会計管理者が負っていると確認済みですが、それは善管注意義務に留まっており、仮に公金が毀損し、損失した部分の補填方法などについては法的な定めがないことになります。都が管理する基金などの公金は約4.7兆円になりますが、この部分の具体的な対応を定めることはあるかお示し下さい。

四 地域主権型道州制について
1 私は地域主権型道州制を政策とし、実現を目指しております。東京都総務局行政改革推進部のホームページに地方分権改革について次のようなことが書かれております。「地方分権改革は、国と地方の役割分担を見直し、地方自治体が地域の実情に応じて、自らの判断と責任において主体的に施策を展開し、地方が持てる力を発揮できるようにすることにより、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するための取組です。」この点について東京都は、国、東京都、区部、多摩地域地区、島嶼部のそれぞれの役割や権限について、どのように捉え、どのような基準、ルールで役割や権限を分担すべきと考えているか、お示し下さい。
2 東京都は地方分権改革について、平成26年から導入された「提案募集方式」を導入に応募しているとのことですが、導入してから、どのような提案をしがあり、地方分権改革にどのような成果があったのかお示し下さい。

五 都バスの筆談筆記具と多言語対応について
1 都営バスにおける筆談記具の設置状況と利用実績について、直近のものをご説明ください。
2 車内において、英語、中国語、韓国語で筆談記具の設置を案内しているが、外国語で筆談記具の使用を想定していますか。外国語で使用されたときの対応について、ご説明ください。

六 介護者の交通局と福祉保健局のパスのあり方について
1 現在都営交通を利用する場合と、民間民営バス等を利用する場合の介護者の扱いはどのようになっているのかお示し下さい。
2 かつて、都営交通(交通局)の介護者の運賃割引を示した無料乗車券介護者バスでJRや他の公共交通機関を利用しようとして混乱があったことから、都営交通では障がい者の介護者のパス当該乗車券は発行しないこととなったということですが、現状はどのような運用がなされているのかお示し下さい。
3 一方、現在民間バス等には福祉保健局より介護者パスが発行されていますが障がい者と同乗する介護者が民営バスで割引を受けるためには、福祉保健局より民営バス乗車割引証が発行されていますが、利用の際の手続きについて、交通局の見解と齟齬はないのか、民間バスの介護者パス民営バス乗車割引証で都バスに乗ってしまうなどの混乱など発生していないのか事例を挙げて現状をお示し下さい。
4 1から3を受け、今後障がい者並びに介護者の都営地下鉄改札、都バス料金機を通過する際の提示負担を軽減するため簡便化を検討してはどうかと考えますが、障がい者と介護者の立場に立った現状認識と課題認識についてお示しください。

七 特別支援学校や障がい児施設の担任・担当変更偏向について
特別支援学校において、この3年間で3名年度末以外で担任変更となったクラスがあると仄聞しております。子どもは知的障害であっても、感受性は豊かであるので、変化にも弱い面があります。環境変化に過敏敏感な子どもは、パニックが出たりして、慣れるまでまた一から始めなくてはならず、現場と保護者何より子どもへ負担が強いられます。この様な状況は、都立療育センターでも見受けられ、PT訓練士が、相次いで担当変更になっていることへ困惑する「担任・担当が代わるたびに一から説明しなくてはならない」等の声が私のところに寄せられています。ついては以下についてお答えください。
1 特別支援学校において、年度の途中で欠員となった教員の代わりに後補充を行った人数をおける学期末以外の担任変更となったクラス数を過去3年分お示しくだ下さい。
2 障がい児に対して、担任・担当変更に関して通常学校よりも特別な配慮が必要と思いますが、担任・担当が変更になる場合の対応について、特に学期末以外の場合の詳細説明はどのように行われているのかお示し下さい。
3 担任・担当変更により何度も説明しないで済み、保護者を疲弊させないためにも引継ぎが確実になされるべきと考えていますが、現状と課題についてお答え下さい。

八 産業医制度について
メンタルヘルスケアの一環として、産業医制度を設置する企業が増加しています。早期のサポートが重要なことであり、評価できるものの、安易な精神医療の介入、多量多剤処方などによる体調悪化・副作用・合併症の問題も指摘されているところです。労働基準法第89条第3項にて、「企業は就業規則内で解雇に関する条件」を記載するよう平成16年に改正され、その中で各会社の規則によって解雇をすることが可能になっています。副作用による体調悪化で出社も適わず、数年経過すると、会社によっては解雇されてしまいかねません。
このような仕組みにあっては、労働者や就労者の健康を守るのか、報酬を支払う企業側の意向を尊重するのか産業医の倫理観と利益相反も問われる環境となってはいないか懸念するものです。残念なことに東京都においても都立小児総合医療センターの顧問医の利益相反手続き違反が私の指摘で明らかとなり、I医師はセンターを去ることとなりました。政府においては、次期国会で閣法に「臨床研究の適正化に関する法律案」が提出予定であり、利益相反マネジメントの法制化の動きが出ております。ついては以下についてお答えください。
1 医療法人産業医並びに企業側に対する利益相反マネジメントの指導・監督の状況と実態、把握についてお示し下さい。
2 就労者による、産業医に関する東京都への相談体制と、相談状況・苦情事例等内訳がわかるもの過去3年分をお示し下さい。
3 民間企業においてはストレスチェックを実施し、対象者に対しては産業医との面談を実施する一方、都職員に対してストレスチェック義務化後実施をしたのか、しないのかをお示し下さい。また実施したのであれば、職員のメンタルヘルス担当の部署はどこで、どのような形で実施され、就労制限・配慮、要休業の判断が何人該当しているのか、しないのであればその理由も併せてお示し下さい。

九 東京都特定機能病院・東京都指定二次救急医療における都の監督・監査・指導の役割について
今年に入り都内の二次救急医療病院にて、急激な腹痛に見舞われた方が、救急搬送された患者が歩いて帰され、帰宅後も痛みは悪化、他の病院に行ったところ、劇症化しつつある盲腸であることがわかりすぐに手術のできる他の二次救急指定病院に転送され、一命を取り留める事案がありました。その際、患者の声相談窓口のご案内を紹介した次第です。
また、去る6月9日に、東京都特定機能病院である、順天堂大学附属付属順天堂医院にて点滴中断後容体が急変した事案があった。を受けて、去る6月9日に東京都が立ち入り検査を実施しました。順天堂大学附付属順天堂医院長は6月3日の週刊誌報道により、反社会的勢力との関係も指摘をされていた矢先でした。死亡事故を多発した群馬大の問題もあり、診療報酬への加算補助等、東京都から税金の投入がなされている指定より高度で安全な医療を担うべき特定機能病院につき以下に付きお答えください。
1 患者の声相談窓口の対応状況と、過去3年の相談事案(代表的なもの)、今回のような医療訴訟に及ぶような深刻な相談にはどのように対応をしているのかお示し下さい。
2 順天堂大学附属付属順天堂医院への、この事案の発生時から先の立入検査にいたる詳細を時系列でお答えください。
3 福祉保健局で医師免許を持っている全職員の担当部局部署、担当課一覧をお示し下さい。における所属ごとの医師職種の職員数についてお示し下さい。
4 各指定特定機能病院における、平時の事故防止における指導・監督体制と、医療過誤が発生した場合の体制と、事故・事件発生時の東京都の役割についてお答えください。
5 東京女子医大と今回の順天堂医院等不祥事の相次ぐ都内の指定特定機能病院における医師の倫理・利益相反マネジメントを踏まえた、都の指導監督のありかた方についてお答えください。

十 精神保健指定医について
昨年の聖マリアンナ医科大学の精神保健指定医不正取得による、前代未聞の大量処分がなされ、耳目が集まっているなか、都立病院勤務の医師が精神保健指定医の資格の更新を失念し、平成26年4月1日から同年12月15日までの間、資格が失効した状態で精神保健指定医の職務を行っていたことが発覚し本年2月、当該医師は懲戒処分となりました。この件について、以下お答えください。
1 厚生労働省からの更新手続き通知について、どのくらい前にどのような形で届くかお示し下さい。
2 再診察について、失効中の診察診療は精神保健指定にかかる認定部分が法律上認められないことから、他の精神保健指定医を含め院内で再検証、再認定し、結果的に当該患者に問題なしとのことでした。合計218件ということですが、カルテのみか再診察なのかすべての案件についてどうであったかお示し下さい。
3 当該医師の現状について、対象の医師が指定医の資格を再取得したのかどうかお示し下さい。
4 関係各機関への通知について、この件に関し厚労省等関係省庁や機関に報告するなどの義務はあるのか。あったとしたら実施したかどうか時系列でお答えください。
5 保険点数にかかる返金処理について、精神保健指定医であれば、初診時の通院在宅精神療法や入院精神療法において保険点数が高く取れることに気づきました。もしもそれを指定医として算定していたのであれば、その差額を返金しないとならないのではないでしょうか。この点をどう対処されたのか返金処理をされたのかどうかについてご説明ください。
6 更新手続きについて、例えば住民票を移動しないまま転居して手元に郵送されず失念したということも考えられますが、当該医師の手元に更新手続きが掲載された研修案内が届いていたのかどうか、なぜ失念したのかその状況につきお答えください。
7 診断(認定)について、当該医師が指示した強制入院、身体的拘束、隔離はそれぞれ何件あったのか、特にその対象が未成年であった事例はどれだけあったのかお答えください。
8 再発防止について、この件を受けて東京都がどのような調査を行い、更新手続きも含めた再発防止策をどのように講じたのかお答えください。

十一 妊産婦自殺と自殺対策の結果確認について
1 東京都監察医務院と順天堂大が報告した東京都監察医務院の取り扱った事例によるとの調査によって、2005年から2014年に自殺した妊娠中から産後1年までの女性は63人。うち妊婦は23人、出産後の女性は40人であり、うつ病や産後うつなどの精神疾患と診断されていたのは妊婦の4割、産婦の6割とされています。自殺者の大半が未治療の妊産婦だったというのなら理解できますが、精神科や専門機関につながりながら自殺に至ったケースがかなりの割合を占めている点が気になります。つまり、専門家ですら防げない深刻な問題であるのか、あるいはむしろ専門機関での不適切治療が逆に自殺を引き起こしているのかきちんと評価すべきです。そこで、精神科で治療を受けながらも自殺に至ったケースについて、以下伺います。
ア 妊産婦の自殺で、死因が向精神薬の大量服用だったケースは何件かお示し下さい。
イ 処方されていた向精神薬の種類や量の分析はしているのか、していないのか。しているのであればどのような分析結果が出ているのかお示し下さい。
ウ 妊娠や出産を契機に精神科を初めて受診したケースはうち何件かお示し下さい。
2 3月の「自殺対策月間」について、東京都や福祉保健局が後援などの形も含め、様々な自殺対策のイベントが行われました。以下お伺いいたします。
ア 東京都、東京都福祉保健局などが主催、協賛、後援をしたイベントはそれぞれ何件で、予算はどの程度当てられているのかお示し下さい。また、イベントの内容詳細、パネリストや講師についても併せてお示し下さい。
イ イベントを実施した上で、実際に自殺者が減少していなければ、イベントの効果は低いものと考えられます。そこで、イベントを実施した前後3ヶ月の自殺者数の推移をお示し下さい。
ウ 自殺者の居住地域によって自殺形態が異なってきますが、自殺者の分析をしているのか、いないのかお示し下さい。しているのであれば、年代や性別の他、職業、自殺形態の件数もお示し下さい。
エ ゲートキーパー養成研修について、都が実施する研修は「公益財団法人東京都福祉保健財団」が運営をしているが、過去5年で何回実施し、何人が受講しているのかお示し下さい。また養成研修を受講した年代、性別、職業についてもお示し下さい。特にかかりつけ医である内科医、歯科医、理髪店従業員の人数については別途お示し下さい。
オ ゲートキーパーによって自殺を防止できた件数、具体的事例をお示し下さい。

十二 不審死の解剖率について
東京都監察医務院は、特別区内において死因がわからず急に亡くなられた方々や事故などで亡くなられた方々のご遺体を検案・解剖し、死因を明らかにしています。また、これらの過程で得られた貴重な情報は、公衆衛生、医学、司法などの領域で役立てられているほか、都民への公開講座を定期的に開催し、医学の普及・発展に大きな役割を担っています。また、監察医の養成をはじめ検視に携わる者、関係機関職員等への実習・研修も行っています。
1 東京都監察医務院における検案・解剖の実施状況について、ご説明ください。
2 東京都監察医務院における検案・解剖死体検案書(死亡診断書)の交付に必要な費用について、ご説明ください。
3 特別区外における東京都監察医務院で扱うような検案・解剖の実施の状況、直近の実績を、ご説明ください。
4 特別区外における検案・解剖死体検案書(死亡診断書)の交付に必要な費用について、ご説明ください。
5 東京都監察医務院における実習・研修等の実施状況と対象者、直近の内容と実績について、ご説明ください。

十三 出産・子育て応援事業(ゆりかご・とうきょう事業)について
平成27年度から開始した同事業につき、各自治体における取組・成果とそれを受けた現状の、妊娠時から就学するまでをサポートする「東京版ネウボラ」の考え方と、平成27年度から開始したゆりかご・とうきょう事業の各自治体における現状の取組・成果について伺う。についてお答えください。

十四 児童相談所について
平成28年5月27日に改正児童福祉法により東京23区に悲願の児童相談所設置に一歩進みました。虐待通報件数が増加し、ことに特別区では自治体・住民ともに機動的な対応を求める需要が上がっている中、東京都における児童相談所のありかたにつき以下をお尋ねいたします。
1 東京都が移管について、未だ時期尚早と判断している具体的な項目・課題をお答えください。特別区が児童相談所を設置するに当たり、都として具体的にどのような課題があると認識しているのかお答えください。
2 1について、例えば一時保護所の整備など、すでに東京都が所有している施設を各自治体と共有する、児童福祉司士の専門人材育成の連携、児童養護施設への入所調整の役割分担をするなど、特別区へ補助等のサポートをしていく方向性はないかお答えください。また、子どもへの対応、相談など可能な部分から順次業務移管をする等、検討していないかも併せて具体的にお答え下さい。
3 子ども児童相談所・子ども家庭支援センター等が虐待通報により対応した場合、過去に児童相談所事案となっていた家庭であったにも関わらず到着した職員が情報を把握していなかった事例がありました。以下を伺います。
ア 児童相談所と各自治体の関係機関において、過去事例と子どもと保護者情報の把握と情報共有をどうしているか現状とこれまでの情報共有がなされなかった失敗事例とそれを受けた改善点。
イ 都と区市の取組により都民より迅速な虐待通報通告がなされるようになった一方で、誤解や嫌がらせによる通報も散見されています。こうした場合の対応と対策についてお答えください。
ウ 児童相談所はその名の通り子育て相談をする開かれた場なのですがア、イのようなこともあり「相談をしたら、育児方針でワクチンを拒否したら、子どもを連れていかれるのではないか?」と考える保護者も少なくありません。このようなことから本来の児童「相談」所が活用されていない側面があります。改めて保護者に寄り添う受け入れ態勢を望み、担当者の裁量権で全て決まるような恐怖感を与えていないか、保護者の希望で担当者の変更及び担当者対応の相談をできないのかお答え下さい。

十五 離婚家庭養育費不払いに対する対応、相談体制と実績について
裁判などで確定した養育費や賠償金の不払いが横行していることから、法務省は、民事執行法を改正し、支払い義務を負った債務者の預貯金口座を、裁判所を通じて特定できる新たな制度を導入する方針を6月7日に固めました。日本は先進国で最も父親、離婚した妻への養育費を払っておらず、この状況が子どもの貧困を助長しています。ついては、養育費不払いに関する東京都の相談体制・事業の現状と課題、庁内、区市町村、法的サポート等関係機関との連携体制、法改正に伴い変更となることをお答えください。

十六 東京都総合教育会議について
本年6月9日開催を予定していたの本年度第1回総合教育会議は、急遽、延期になりました。ついては、以下伺います。
1 延期の理由をお示しください。また、延期は知事から求めたのか、教育委員会から求めたのか、お答えください。
2 延期は、いつ誰によって決定されたのでしょうか。
3 延期について、各教育委員にはいつどのように通知されたのでしょうか。
4 延期の決定はいつ告示され、報道機関に知らされ、ホームページに掲載されたのでしょうか。また、その際に延期の理由は示されていたのでしょうか。
5 今回の議題と各々について延期に伴う影響を具体的にご説明ください。知事と教育委員会との意思疎通に影響が無いのかもお答えください。
6 開催の予定の時間帯に、前後概ね2時間を含めて、知事はどこで誰と何をされていたのか、具体的に時系列でご説明ください。

十七 消防署における、消防指導の接遇、住民対応の在り方について
消防庁・消防署における、都民による各種申請・手続きそれに伴う指導にあたりついて、担当者で対応が変わらないよう、誠意ある接遇が肝要と考えます。例えば、児童施設等防火設備は非常に厳しく規定されており、改築・追加工事を迫られる場合などは、都民は不明なことも多く懇切丁寧な対応が求められます。都民に対しての接遇のあり方と署員教育の現状についてお答えください。

平成28年第二回都議会定例会
上田令子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 知事会見のあり方について
1 舛添知事就任以降の知事の定例記者会見について、曜日別の実施状況を伺う。

回答
 都庁記者クラブ主催の定例記者会見について、舛添知事が就任した平成26年2月から辞職した平成28年6月までの曜日別実施状況は、火曜日は47回、木曜日は8回、金曜日は88回で、合計143回です。
 以上については、東京都のホームページで公表しています。

質問事項
一の2 舛添知事就任以降、火曜日にも定例記者会見が実施されるようになったが、その理由と今年度の月別実施状況について伺う。

回答
 都庁記者クラブ主催の定例記者会見については、平成26年9月から平成28年3月までの間、週2回、原則、火曜日・金曜日に開催されました。
 その理由は、「東京を世界一の都市にする」という知事の公約実現に向け、大きく都政が動いている中、時宜を逸することなく知事から情報発信を行うことでパブリシティ効果を高め、都の重要施策に対する都民の理解、協力を得るためです。
 定例記者会見の今年度の月別実施状況は、4月は4回、5月は3回、6月は2回で、合計9回です。

質問事項
一の3 定例記者会見の終了時刻について、誰がどのように決定し、どのように記者に周知しているのか伺う。

回答
 定例記者会見は、都庁記者クラブが主催し、当該クラブから知事が招かれて開催されるものです。
 会見の終了時刻については、特段定めはありません。

質問事項
一の4 舛添知事就任以降、定例記者会見の中止について、主な事由別に回数を伺う。

回答
 公務により、知事が定例記者会見に出席できない場合は、原則、事前に都庁記者クラブと協議し、了承を得ています。
 当日、定例記者会見を急きょ中止したことはありません。

質問事項
一の5 舛添知事就任以降、臨時の知事記者会見について、主な事由別に年度別実施回数を伺う。

回答
 都が主催する臨時の知事記者会見を実施した回数は、4回です。
 年度別内訳は、平成25年度は「就任会見」及び就任直後の「平成26年度予算案の発表」の2回、平成26年度は「北京出張の発表」の1回、平成27年度は0回、平成28年度は「政治資金等の調査報告」の1回です。

質問事項
一の6 インターネットメディアの知事会見の参加の考え方と参加実績を伺う。

回答
 知事の記者会見には、定例的に行われるものと臨時に行われるものがあります。
 まず、定例記者会見についてですが、これは都庁記者クラブが主催しています。都庁記者クラブ加盟社以外の報道機関は、いわゆるインターネットメディアを含め、事前に都庁記者クラブ幹事社の許可を得て、会見に出席しています。
 次に、臨時の知事記者会見についてですが、これは都が主催しています。報道機関は、都庁記者クラブ加盟の有無にかかわらず、事前に受付をすることで会見に出席しています。

質問事項
一の7 記者クラブ主催の記者会見のほか、知事が都庁内や視察先等で記者からのインタビューに応じることがあるが、どのような職員体制で応じ、どのように記録を残しているのか伺う。

回答
 知事が視察先等でインタビューに応じる場合には、視察等を所管する局が対応しています。その際に、必要に応じてインタビューの内容の記録を残しています。

質問事項
一の8 舛添知事就任以降の個別の報道機関とのインタビューの実施実績について、年度別に伺う。

回答
 舛添知事就任以降の個別の報道機関とのインタビューの実施実績については、平成26年度は83件、平成27年度は56件、平成28年度は1件です。

質問事項
 二 生産緑地について
1 過去5年間で都内において、江戸川区の同一土地所有者における生産緑地法に抵触しかねない生産緑地の耕作放棄の事例と、類似事例の有無について伺う。

回答
 生産緑地地区については、区市の農業委員会が農地利用状況調査及び農家への指導等を行っています。

質問事項
二の2 同一土地所有者の全生産緑地の耕作状況を伺う。

回答
 生産緑地地区については、区市の農業委員会が農地利用状況調査及び農家への指導等を行っています。

質問事項
二の3 前問に関しての江戸川区と東京都の指導監督状況とこれまで放置していた行政責任の考え方を伺う。

回答
 生産緑地地区は、区市がそれぞれの都市計画に基づき定めており、農業者は、当該生産緑地を農地として管理しなければなりません。
 区市の農業委員会等は農地の農業上の利用の確保の観点から、農業者への指導を行っています。

質問事項
二の4 同一土地所有者の生産緑地を近隣不動産鑑定評価を指標とした宅地並課税とした場合の税額積算を伺う。

回答
 特定の生産緑地の税額算定については、個々の納税者の税務情報に該当するため、お答えできません。

質問事項
二の5 生産緑地制度については、指定されると固定資産税が軽減されるものであり、推奨していく必要がある。農家に対する生産緑地制度並びに地区指定の周知状況を伺う。

回答
 生産緑地制度や地区指定については、都市農地の保全を推進する観点から、農業委員会等を通じて農業者へ周知しています。

質問事項
二の6 都内の生産緑地の転用事例を伺う。

回答
 生産緑地の転用については、生産緑地法に基づき、転用しようとする者が、当該区市長へ通知等を行うこととなっており、都は、個々の事例については承知していません。

質問事項
 三 マイナス金利下における公金管理ポリシーについて
1 日銀は、日本で初めてマイナス金利政策の導入を発表し、2月16日から導入した。公金運用には、公金管理の三原則を確保すると公金管理ポリシーにも記載してあるが、マイナス金利になったことで公金運用に変化はあったのか伺う。

回答
 10年国債の利回りがマイナスとなるなど、厳しい金融環境であっても、運用先の分散や金融機関の経営状況を注視するなどリスク管理を徹底し、引き続き、公金管理の原則である安全性及び流動性を確保した上で、柔軟かつ効率的な運用・保管を実施することに努めていきます。

質問事項
三の2 公金運用の責任は、知事及び会計管理者が負っており、善管注意義務を果たさなければならないが、公金を毀損した場合の損失部分の補填方法などについて、法的な定めはない。この部分の具体的な対応を定めることはあるのか伺う。

回答
 都は「公金管理ポリシー」の中で、都民から預かった公金を管理する者の責任として、「法令遵守」「忠実義務」「善管注意義務」を定めています。公金管理に当たっては、法令を守り、都民の利益を第一に考え、運用先の健全性や信用力についての日常監視を実施するとともに、金融分野の専門家で構成するアドバイザリーボードの意見も活用するなど公金に毀損が生じることがないよう細心の注意を払っています。
 また、地方自治法によって、公金管理は、最も安全かつ有利な方法で行うと規定され、公金を毀損させないことが前提となっており、都としては、損失部分の補塡方法などについて定める予定はありません。

質問事項
 四 地域主権型道州制について
1 都は、国、都、区部、多摩地域、島嶼部のそれぞれの役割や権限について、どのように捉え、どのような基準、ルールで役割や権限を分担すべきと考えているのか、伺う。

回答
 地方分権改革は、地域の実情に応じて、地方公共団体が自らの判断と責任において、自主的・自立的な行財政運営を行い、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現する取組です。
 このような取組を進めていくためには、国と地方の適切かつ明確な役割分担に基づき、国から地方へ権限等を移譲していくことが重要です。
 こうした観点から、住民に身近な行政はできる限り地方に委ねることを基本とし、地方が担う事務・権限については、都と区市町村が、地域特性を十分に踏まえつつ適切に分担していくべきと考えます。

質問事項
四の2 都は地方分権改革について、平成26年から導入された「提案募集方式」に応募しているが、どのような提案をし、地方分権改革にどのような成果があったのか伺う。

回答
 地方分権改革において、国は、個々の地方公共団体等から地方分権に関する提案を広く募集し、その実現に向け、内閣府が関係府省と協議し、対応方針を閣議決定する「提案募集方式」を平成26年に導入しました。
 都は、制度導入以降、毎年提案しており、平成27年は「災害時における放置車両移動権限の付与」及び「個人住民税の区市町村から都道府県への徴収引継対象の拡大」に関する提案を行いました。
 いずれの提案も、災害対策基本法や地方税法の改正が「対応方針」に盛り込まれ、都道府県の権限拡大が図られるなど、地方の懸案や課題の解決に資する全国的な制度改正が実現しました。

質問事項
 五 都バスの筆談具と多言語対応について
1 都営バスにおける直近の筆談具の設置状況と利用実績について伺う。

回答
 都営バスでは平成19年度から全車両に筆談具を設置しており、聴覚に障害のあるお客様から、目的地の最寄り停留所を尋ねられた際に乗務員が筆談具に記入して案内する等、必要に応じて適宜利用しています。

質問事項
五の2 車内において、筆談具の設置を案内しているが、外国語で筆談具の使用を想定しているのか。外国語で使用されたときの対応について伺う。

回答
 筆談具は、主に聴覚に障害のあるお客様との対話における活用を想定しています。
 外国人のお客様対応については、運賃の支払方法や行き先等をイラスト及び日本語・英語・中国語・ハングルの四か国語で表示した「指差し案内ボード」を全車両に設置し、活用しています。

質問事項
 六 介護者の交通局と福祉保健局のパスのあり方について
1 都営交通を利用する場合と、民営バス等を利用する場合の介護者の扱いはどのようになっているのか伺う。

回答
 介護者の運賃割引については、都営交通では、身体障害者手帳等の提示により、割引運賃を適用しています。
 都内民営バスでは、介護者割引が適用である旨記載された民営バス乗車割引証の交付を受けた上で、当該割引証と身体障害者手帳等の提示により、割引運賃を適用しています。

質問事項
六の2 都営交通の介護者の運賃割引を示した無料乗車券でJRや他の公共交通機関を利用しようとして混乱があったことから、都営交通では障がい者の当該乗車券は発行しないこととなったが、現状はどのような運用がなされているのか伺う。

回答
 現在、都営交通では、身体障害者手帳等の提示により、介護者の割引運賃を適用しています。

質問事項
六の3 障がい者と同乗する介護者が民営バスで割引を受けるためには、福祉保健局より民営バス乗車割引証が発行されているが、利用の際の手続きについて、交通局の見解と齟齬はないのか、民営バス乗車割引証で都バスに乗ってしまうなどの混乱など発生していないのか、事例と現状を伺う。

回答
 福祉保健局では、民営バス乗車割引証により、障害者と同乗する介護者が民営バスで運賃の割引を受ける際には、身体障害者手帳等を提示することとしています。交通局においても同様であり、介護者割引を受ける際には、身体障害者手帳等を提示するため、混乱は生じていません。

質問事項
六の4 前問までを受け、今後障がい者並びに介護者の都営地下鉄改札、都バス料金機を通過する際の提示負担を軽減するため簡便化を検討すべきだが、障がい者と介護者の立場に立った現状認識と課題認識について伺う。

回答
 現在、介護者の運賃割引を適用する際には、各鉄道事業者やバス事業者が身体障害者手帳等の提示を求めていることから、お客様の混乱を招かないために、都営交通も同様に取り扱うことが適当であると考えています。

質問事項
 七 特別支援学校や障がい児施設の担任・担当変更について
1 特別支援学校において、年度の途中で代わりに後補充を行った人数の過去3年分について伺う。

回答
 教員が、妊娠出産休暇などにより欠員となった場合に後補充を行った臨時的任用教員等の延べ人数は、平成25年度は607人、平成26年度は581人、平成27年度は622人となっています。

質問事項
七の2 障がい児に対して、担任・担当変更に関して通常学校よりも特別な配慮が必要だが、担任・担当が変更になる場合の対応について、特に学期末以外の場合の詳細説明はどのように行われているのか伺う。

回答
 担任や校務分掌の決定は校長の権限であり、校長は、妊娠出産休暇などにより年度途中で担任・担当を変更する場合には、保護者会などを通じて、変更理由や新たな教員の紹介を行うとともに、学年主任が中心となって教員間の引継ぎを組織的に確実に行うことなどについて、丁寧に説明しています。

質問事項
七の3 担任・担当変更により何度も説明しないで済み、保護者を疲弊させないためにも引継ぎが確実になされるべきだが、現状と課題について伺う。

回答
 特別支援学校において、年度途中に担任を変更する必要がある場合、校長は、旧担任から新担任に対して、個別指導計画や個別の教育支援計画等の資料を用いた引継ぎや、新担任に保護者と面談する機会を設けさせるなど、きめ細かな対応を行っています。
 また、都立の療育センターにおいては、障害児へのリハビリテーションを担当する職員に変更がある場合には、個別の通所支援計画やリハビリテーション実施計画等で確実に引継ぎを行うとともに、面談を通して支援方法等を丁寧に説明するなど、保護者との十分な意思疎通を図っています。

質問事項
 八 産業医について
1 産業医並びに企業側に対する利益相反の指導・監督の状況と実態、把握について伺う。

回答
 産業医は、常時50人以上の労働者を使用する事業場において、事業者が医師の中から選任し、労働基準監督署長に報告することとされており、その職務としては、労働者の健康管理や作業環境の維持管理、健康教育、健康相談等が定められています。
 産業医の業務に関しては、医療法に基づく検査・指導の対象とはなっていません。

質問事項
八の2 就労者による、産業医に関する東京都への相談体制と、相談状況・苦情事例等内訳がわかるもの過去3年分について伺う。

回答
 都では、労働相談情報センターにおいて、職場でのトラブルなど労働問題全般について労使双方から相談に応じています。
 産業医に関する相談・苦情については、過去3年において確認されていません。

質問事項
八の3 都職員に対してストレスチェック義務化後、実施の有無を伺う。また実施したのであれば、職員のメンタルヘルス担当の部署はどこで、どのような形で実施され、就労制限・配慮、要休業の判断が何人該当しているのか、していないのであればその理由も併せて伺う。

回答
 ストレスチェックについては、平成27年12月1日の法施行後1年以内に実施することとされています。
 都は法の趣旨に沿って、各任命権者で準備を行い、夏以降、順次ストレスチェックを進めています。

質問事項
 九 東京都特定機能病院・東京都指定二次救急医療における都の監督・監査・指導の役割について
1 患者の声相談窓口の対応状況と、過去3年の代表的な相談事案、医療訴訟に及ぶような深刻な相談にはどのように対応をしているのか伺う。

回答
 平成27年度の患者の声相談窓口での特定機能病院に関する対応件数は703件となっています。
 過去3年の相談事案として代表的なものは、治療の内容、医療機関従事者の接遇、健康療養に関することなど、となっています。
 患者の声相談窓口は、医療行為における過失や因果関係の有無、責任の所在を判断・決定するのではなく、患者・住民と医療従事者や医療提供施設の間にあって、中立的な立場から問題解決に向けた双方の取組を支援するよう努めています。
 医療訴訟に及ぶような患者からの相談には、日本司法支援センター「法テラス」などを紹介しています。

質問事項
九の2 東京都特定機能病院である、順天堂大学附属順天堂医院にて点滴中断後容体が急変した事案があった。6月9日に東京都が立ち入り検査を実施したが、この事案の発生時から先の立入検査にいたる詳細を時系列により伺う。

回答
 平成27年6月に発生した本事案については、同年7月に順天堂大学附属順天堂医院から書面で事故の概要と再発防止策の報告を受け、その内容を確認しています。
 また、定例で行った同年8月の立入検査の中でも、再発防止策の取組状況の確認を行いました。
 同医療機関に対しては、平成28年6月にも立入検査を行っていますが、その中でも、当該医療事故に対する改善策・再発防止策が継続して実施されているかどうかを確認しています。

質問事項
九の3 福祉保健局における所属ごとの医師職種の職員数について伺う。

回答
 福祉保健局における所属ごとの医師職種の職員数は次のとおりです。
(平成28年8月1日現在)
所属・職 職員数(人)
技監 1
指導監査部(指導第三課) 1
医療政策部 35
 医療改革推進担当部長 1
 救急災害医療課 1
 医療安全課 2
 医療人材課 31
保健政策部 8
 部長 1
 保健政策課 1
 健康推進課 3
 疾病対策課 3
少子社会対策部(家庭支援課) 1
障害者施策推進部 4
 障害者医療担当部長 1
 精神保健医療課 3
健康安全部3
 感染症危機管理担当部長 1
 感染症対策課 2
監察医務院 12
西多摩保健所 2
南多摩保健所 3
多摩立川保健所 4
多摩府中保健所 4
多摩小平保健所 3
島しょ保健所 4
東村山ナーシングホーム 1
児童相談センター 6
女性相談センター 1
心身障害者福祉センター 2
北療育医療センター 16
多摩療育園 3
府中療育センター 16
中部総合精神保健福祉センター 8
多摩総合精神保健福祉センター 5
精神保健福祉センター 4
健康安全研究センター 4
派遣
 公益財団法人東京都医学総合研究所 9
 社会福祉法人東京都社会福祉事業団3
  東村山福祉園 2
  千葉福祉園 1
福祉保健局計 163

質問事項
九の4 特定機能病院における、平時の事故防止における指導・監督体制と、医療過誤が発生した場合の体制と、事故・事件発生時の東京都の役割について伺う。

回答
 都は、医療法第25条第1項に基づき、特定機能病院に対して、年1回、厚生労働省と連携して立入検査を行い、専任の医療安全管理者の配置、医療安全管理部門の設置など、安全管理体制について確認を行っています。
 また、全ての病院管理者に対して、医療機関における医療事故等のうち、死亡等の重大事例、管理上問題となる事例などが発生した場合には、都への報告を求めています。
 医療機関から医療事故等の報告があった場合には、再発防止策の指導を行い、医療を安全に提供する上で管理上重大な問題があると疑われる場合には、臨時の立入検査を実施し、病院の適正な管理運営の確保に努めています。

質問事項
九の5 東京女子医大と今回の順天堂医院等不祥事の相次ぐ都内の特定機能病院における医師の倫理・利益相反マネジメントを踏まえた、都の指導監督のありかたについて伺う。

回答
 都は、医療法第25条第1項に基づき、特定機能病院に対して、年1回、厚生労働省と連携して立入検査を行っています。その際は、安全管理体制のほか、医療法及び関係法令により規定された人員及び構造設備を有し、かつ、カルテなどの帳票・記録の保管や医療機器の保守点検など適正な管理を行っているかを検査し、不適合があるときは、管理者に対して改善のために必要な指導を行っています。
 また、特定機能病院の開設者は、医療法第12条の3に基づき、高度の医療の提供の実績、高度の医療技術の開発及び評価の実績など、業務に関する報告書を厚生労働大臣に提出することとされています。その報告書により、倫理審査委員会の開催状況、利益相反を管理するための措置、臨床研究の倫理に関する講習の実施等について、年1回、厚生労働省が確認しています。

質問事項
 十 精神保健指定医について
1 厚生労働省からの更新手続き通知について、どのくらい前にどのような形で届くのか伺う。

回答
 年度末で資格を失効する医師に対しては、例年5月頃に、更新手続が記載された研修案内が郵送により、届出のある住所に対して送付されています。

質問事項
十の2 診察について、失効中の診察は精神保健指定にかかる認定部分が法律上認められないため、院内で再検証、再認定し、結果的に当該患者に問題なしとのことだが、合計218件について、カルテのみか再診察なのかすべての案件についてどうであったか伺う。

回答
 精神保健指定医の資格失効後に従事した指定医業務については、厚生労働省から指示された業務はもちろん、指示がなかった業務に関しても、患者の自由や身体に影響を与えるものについては、患者の利益を確保する観点から全て検証を行いました。
 まず、厚生労働省から福祉保健局を通じて診療録等によって確認するよう指示されたものについては、当該指示に基づき他の精神保健指定医が分担して専門的な見地から診療録等を閲読・分析した上で、院内の幹部医師や看護師等の幹部職員を交えた事例検証会で改めて確認し、診療内容は適切であると確認しました。
 また、入院中の患者については、厚生労働省から福祉保健局を通じて患者を診察するよう指示があったため、他の精神保健指定医が診療記録を確認の上、診察し、診療内容が適切であることを確認しました。
 これらの検証結果は、福祉保健局を経て厚生労働省に報告し、適切なものであると確認されました。
 次に、厚生労働省からの指示のなかった隔離、拘束についても、患者の利益を確保する観点から、指示を受けたものと同様の手続で都独自に調査し、診療内容が適切であったことを確認しました。

質問事項
十の3 当該医師の現状について、対象の医師が指定医の資格を再取得したのかどうか伺う。

回答
 平成28年4月1日付で再取得しました。

質問事項
十の4 関係各機関への通知について、この件に関し厚労省等関係省庁や機関に報告するなどの義務はあるのか。あった場合、実施したのかどうか時系列により伺う。

回答
 精神保健指定医資格失効後に行った指定医業務について、関係各機関への報告等は法律上の義務ではありませんが、事の重大性に鑑み事案発覚後、病院から福祉保健局に報告しました。

質問事項
十の5 保険点数にかかる返金処理について、精神保健指定医であれば、初診時の通院在宅精神療法や入院精神療法において保険点数が高く取れる。もしもそれを指定医として算定していたのであれば、その差額を返金しなければならないが、この点をどう対処したのか、返金処理をしたのか伺う。

回答
 初診時の通院・在宅精神療法については、診療報酬の規定により、当該医師は、「精神保健指定医に準ずる医師」という基準に該当するため、現行の点数の算定で問題ありません。
 入院精神療法については、精神保健指定医が行った場合として算定しており、差額が生じたため、返還処理を行っています。

質問事項
十の6 当該医師の手元に更新手続きが掲載された研修案内が届いていたのかどうか、なぜ失念したのか、その状況について伺う。

回答
 更新のための研修案内は、指定医として国に登録した住所に通知されます。住所変更をした場合は、別途、福祉保健局を通じて国に変更届を提出する必要がありますが、これを失念したため研修案内が届きませんでした。

質問事項
十の7 診断(認定) について、当該医師が指示した強制入院、身体的拘束、隔離はそれぞれ何件あったのか、特にその対象が未成年であった事例はどれだけあったのか伺う。

回答
 当該医師が指示した各件数は、強制入院(緊急措置入院)が21件(うち未成年1件)、身体拘束が65件(うち未成年0件)、隔離が63件(うち未成年2件)でした。

質問事項
十の8 再発防止について、この件を受けて東京都がどのような調査を行い、更新手続きも含めた再発防止策をどのように講じたのか伺う。

回答
 この件を受け、各都立病院では精神保健指定医の指定医証を確認しました。
 また、今後の再発防止に向け、指定医等の資格変更・更新に係る医師等への周知及び事務局における確認を徹底するよう指示しました。

質問事項
 十一 妊産婦自殺と自殺対策の結果確認について
1 精神科で治療を受けながらも自殺に至ったケースについて
ア 妊産婦の自殺で、死因が向精神薬の大量服用だったケースは何件だったのか伺う。

回答
 平成17年から平成26年までの東京都特別区内での妊産褥(じょく)婦(産後1年未満)の自殺は63件ありますが、自殺の手段が向精神薬の大量服用だったケースはありません。

質問事項
十一の1のイ 処方されていた向精神薬の種類や量の分析はしているのか、していないのか。しているのであればどのような分析結果が出ているのか伺う。

回答
 監察医務院では、検案だけで死因が判明しない場合に解剖を行い、薬物に関する検査も実施します。
 当該63件については、検案のみで死因が決定したため、解剖の場合に実施する薬物に関する詳細な分析は行っていません。

質問事項
十一の1のウ 妊娠や出産を契機に精神科を初めて受診したケースはうち何件か伺う。

回答
 受診歴については確認していますが、初診の時期については確認していません。

質問事項
十一の2 自殺対策のイベントについて
ア 都、福祉保健局などが主催、協賛、後援をしたイベントはそれぞれ何件で、予算はどの程度当てられているのか伺う。また、イベントの内容詳細、パネリストや講師についても併せて伺う。

回答
 平成27年度における都が主催したイベントは2件で、予算額は2,059千円です。主な内容は、「自殺防止!東京キャンペーン」として特別電話相談や若年層向けの相談会、講演会などを実施しています。講演会では、自殺予防総合対策センターの方やNPO法人の理事などを招き、若者の自殺予防やうつ予防などの講義をしていただくとともに、大学生によるワークショップを初めて開催しました。
 都が共催したイベントはシンポジウムや講演会などの5件で、補助交付額は1,595千円です。
 後援したイベントは研修会等の2件となっており、都からの支出はありません。

質問事項
十一の2のイ イベントを実施した上で、実際に自殺者が減少していなければ、イベントの効果は低いものと考えられるが、イベントを実施した前後3ヶ月の自殺者数の推移を伺う。

回答
 都では、平成19年度から、自殺問題への認識や社会的取組の必要性について、広く都民の理解を促進するため、9月と3月を自殺対策強化月間として「自殺防止!東京キャンペーン」を実施してきました。
 イベント前後3か月の自殺者数は、平成26年8月が224人、同年9月が232人、同年10月が234人、平成27年2月が158人、同年3月が250人、同年4月が180人、同年8月が219人、同年9月が212人、同年10月が211人となっています。

質問事項
十一の2のウ 自殺者の居住地域によって自殺形態が異なるが、自殺者の分析をしているのか、いないのか伺う。しているのであれば、年代や性別の他、職業、自殺形態の件数も伺う。

回答
 内閣府が公表した地域における自殺基礎資料によると、平成26年都内居住者自殺者数は男性1,688人、女性897人で合計2,585人となっており、年代別では、男性は40歳代、50歳代、30歳代の順に、女性は30歳代、40歳代、50歳代の順に多くなっています。
 職業別では、無職者が1,500人と最も多く、次いで被雇用者が711人となっています。
 また、自殺形態別では、首つりによる自殺が1,575人と全体の60パーセント以上を占めており、次いで飛び降りによる自殺が421人となっています。いずれも、男女同様の傾向にあります。

質問事項
十一の2のエ ゲートキーパー養成研修について、都が実施する研修は「公益財団法人東京都福祉保健財団」が運営をしているが、過去5年で何回実施し、何人が受講したのか伺う。また、養成研修を受講した年代、性別、職業についても伺う。特にかかりつけ医である内科医、歯科医、理髪店従業員の人数については別途伺う。

回答
 現在、都は、区市町村や民間団体が実施するゲートキーパー養成研修に対し交付金等で支援しています。
 平成26年度までは、公益財団法人東京都福祉保健財団に委託して研修を実施し、平成22年度から平成26年度までの5年間の実績は、開催回数28回、受講者数は1,721人となっています。受講者の職種は、保健師が最も多く、次いで相談員、社会福祉士、事務等の順になっています。
 医師については、都から東京都医師会に委託して実施する「うつ診療レベルアップ研修」で1,936人が受講しました。
 これらの研修における受講者の年代、性別の内訳及び内科医、歯科医、理髪店従業員の人数については把握していません。

質問事項
十一の2のオ ゲートキーパーによって自殺を防止できた件数、具体的事例を伺う。

回答
 ゲートキーパーによる自殺防止件数は把握していません。
 ゲートキーパー養成研修の受講者からは、電話相談の場面での声かけのタイミングやメンタル面の悩みを抱えている方への対応に活用できたなどの意見を頂いています。
 また、精神障害者の支援をしているヘルパーから、サポート側に知識があったため、入院に結び付けて自殺を未然に防ぐことができたとの声も頂いています。

質問事項
 十二 不審死の解剖率について
1 東京都監察医務院における検案・解剖の実施状況について伺う。

回答
 監察医務院における、平成27年度の検案数は13,049件、解剖件数は、2,227件となっています。

質問事項
十二の2 東京都監察医務院における検案・解剖死体検案書(死亡診断書)の交付に必要な費用について伺う。

回答
 死体検案書は、遺族に対して無料で1通交付しています。
 遺族の求めに応じて交付する2通目以降の死体検案書は、1通1,500円、謄本の場合、1通900円となっています。

質問事項
十二の3 特別区外における東京都監察医務院で扱うような検案・解剖の実施の状況、直近の実績を伺う。

回答
 多摩・島しょ地域は、監察医を置くべき地域として政令で定められていません。
 そのため、検案業務は立川警察署管内以外の地域を東京都医師会に委託し、立川警察署管内は監察医務院が実施しています。
 また、解剖業務は東京慈恵会医科大学と杏林大学に委託して実施しています。
 平成27年度の多摩・島しょ地域における死体検案数は5,577件、解剖件数は909件となっています。

質問事項
十二の4 特別区外における検案・解剖死体検案書(死亡診断書)の交付に必要な費用について伺う。

回答
 死体検案書は、検案を実施した医師が、遺族に対して無料で1通交付しています。
 遺族の求めに応じて交付する2通目以降の死体検案書の費用については、交付する医師が定めています。

質問事項
十二の5 東京都監察医務院における実習・研修等の実施状況と対象者、直近の内容と実績について伺う。

回答
 監察医務院が、大学や医療機関からの申込みに基づき実施した、平成27年度の検案の同行や解剖の見学などの実習・研修等は、医学生・大学院生等32名、延べ日数251日となっています。

質問事項
 十三 出産・子育て応援事業(ゆりかご・とうきょう事業)について
 妊娠時から就学するまでをサポートする「東京版ネウボラ」の考え方と、平成27年度から開始したゆりかご・とうきょう事業の各自治体における現状の取組・成果について伺う。

回答
 都民が安心して子供を産み育てられるようにするためには、地域において妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援体制を整備することが必要です。
 平成27年度に開始した「ゆりかご・とうきょう事業」は、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、継続した支援体制の整備を進める区市町村を支援する事業であり、平成27年度は13区市町村(9区1市2町1村)が実施しました。平成28年度は41の区市町村での実施を見込んでいます。
 本事業を実施している自治体では、全ての妊婦を対象に保健師等の専門職が面接を行い、各家庭の状況を把握した上で、必要に応じて支援プランを作成し、継続的に支援しています。
 自治体によっては、産前・産後と複数回、育児パッケージを渡すことによって、家庭の状況を把握する機会を増やすなど、独自の工夫をしながら取り組んでいるところもあります。

質問事項
 十四 児童相談所について
1 平成28年5月27日に改正児童福祉法により、東京23区の児童相談所設置に一歩進んだが、特別区が児童相談所を設置するに当たり、都として具体的にどのような課題があると認識しているのか伺う。

回答
 児童相談所は、虐待、非行、障害など、18歳未満の子供に関するあらゆる相談に対応しており、調査、診断、一時保護等の法的対応、家族再統合等の専門的な業務のほか、一時保護所や施設への入所についての広域的業務等を担っています。
 特別区が児童相談所を設置する場合には、区において、一時保護所の整備や、児童福祉司などの専門人材の確保、育成等が必要となります。また、都内外の児童養護施設等への入所調整には、新たに、都と特別区及び特別区相互間での連携、協力が必要となるなど、多くの課題があると認識しています。

質問事項
十四の2 前問について、特別区へ補助等のサポートをしていく方向性はないのか伺う。また、子どもへの対応、相談など可能な部分から順次業務移管をする等、検討していないかも併せて具体的に伺う。

回答
 児童福祉法の改正により、市と同様に特別区も、政令指定を受け、児童相談所を設置できることとなりました。
 現在の特別区は、人口規模も約5万人の区から80万人を超える区まで様々であり、まずは、設置を希望する区において、施設整備や人材確保などの課題の解決に向けて具体的に検討する必要があります。
 今後、各区の動向を見極めつつ、子供達の安全や安心をいかに確保していくかという観点を最優先に、都としての対応を検討していきます。

質問事項
十四の3 児童相談所・子ども家庭支援センター等における虐待通報について
ア 児童相談所と各自治体の関係機関において、過去事例と子どもと保護者情報の把握と情報共有の現状、これまでの情報共有がなされなかった失敗事例とそれを受けた改善点について伺う。

回答
 現在、都内全ての区市町村は、子供家庭支援センター、児童相談所、学校、警察、保健所等の地域の関係機関で構成するネットワークを構築し、各関係機関が情報の共有を図りながら、援助方針等を確認し、児童や家庭への支援を実施しています。
 また、重大な虐待事例について検証を行うため、児童福祉審議会の下に児童虐待死亡事例等検証部会を設置し、東京都及び区市町村等に対して、関係機関間の情報共有の在り方など、再発防止に向けた具体的な取組について提言を頂いています。
 こうした提言を踏まえ、都はこれまで、児童相談所と子供家庭支援センターの連絡調整のルールの改定や、より一層の緊密な連携を図るためのガイドラインの策定など、児童虐待の対応力を強化してきました。

質問事項
十四の3のイ 都と区市の取組により都民より迅速な虐待通告がなされるようになった一方で、誤解や嫌がらせによる通報も散見されているが、こうした場合の対応と対策について伺う。

回答
 児童相談所及び子供家庭支援センターでは、児童虐待の連絡を受けた場合には、迅速に児童の安全確認を実施しています。
 児童相談所における相談援助活動は、子供や保護者等の人権に十分配慮しながら行うとともに、常に子供の最善の利益を図ることを最優先に行っています。

質問事項
十四の3のウ 児童相談所は子育て相談をする開かれた場だが、本来の児童「相談」所が活用されていない側面がある。改めて保護者に寄り添う受入態勢を望み、担当者の裁量権で全て決まるような恐怖感を与えていないか、保護者の希望で担当者の変更及び担当者対応の相談をできないのか伺う。

回答
 児童相談所は、養護、障害、非行、育成など、18歳未満の子供に関するあらゆる相談に対応しています。
 相談に当たっては、子供や保護者等の意向を尊重し、十分な説明をして納得が得られるよう努めており、プライバシー保護への留意など、子供や保護者等の人権に十分配慮しながら行うとともに、常に子供の最善の利益を図ることを最優先に行っています。
 相談があった場合には、児童相談所長をはじめ、関係職員が協議した上で組織として対応方針の判断を行うとともに、その後の情報収集や関係機関との連携、援助方針の決定などについても、同様に組織的に対応しています。

質問事項
 十五 離婚家庭養育費不払いに対する対応、相談体制と実績について
法務省は、民事執行法を改正し、支払い義務を負った債務者の預貯金口座を、裁判所を通じて特定できる新たな制度を導入する方針を固めたが、養育費不払いに関する東京都の相談体制・事業の現状と課題、庁内、区市町村、法的サポート等関係機関との連携体制、法改正に伴う変更について伺う。

回答
 平成24年度東京都福祉保健基礎調査によると、養育費を受けたことがないひとり親世帯の割合は約57パーセントであり、そのうち約87パーセントは養育費の取決めをしていません。一方、養育費を受けているひとり親世帯の約92パーセントは、養育費の取決めをしています。
 都は、養育費が適切に支払われるよう、東京都ひとり親家庭支援センターにおいて、養育費相談を実施し、取決め、支払履行、強制執行などの相談に応じるとともに、裁判所等への同行支援も行っており、必要に応じて、国の養育費相談支援センターや法テラス等とも連携しています。
 また、ひとり親世帯の地域の相談窓口である区市町村と連携し、必要な方が養育費相談を活用できるよう、リーフレットやカードを配布し、周知を図っています。
 なお、民事執行法の改正等については、現時点では未定です。

質問事項
 十六 東京都総合教育会議について
1 本年6月9日開催を予定していた本年度第1回総合教育会議は、急遽延期になったが、延期の理由を伺う。また、延期は知事から求めたのか、教育委員会から求めたのか伺う。

回答
 平成28年度第1回東京都総合教育会議については、東京都議会への対応を最優先するなど、諸般の事情により、知事が開催延期を決定しました。

質問事項
十六の2 延期は、いつ誰によって決定されたのか伺う。

回答
 開催延期については、平成28年6月8日に知事が決定しました。

質問事項
十六の3 延期について、各教育委員にはいつどのように通知されたのか伺う。

回答
 各教育委員に対しては、平成28年6月8日に開催延期を決定した後、事務局から速やかに電話により連絡を行いました。

質問事項
十六の4 延期の決定はいつ告示され、報道機関に知らされ、ホームページに掲載されたのか伺う。また、その際に延期の理由は示されていたのか伺う。

回答
 開催延期については、平成28年6月8日正午以降、速やかに報道機関に対して情報を提供するとともに、東京都教育委員会のホームページに掲載しました。延期の理由は、示していません。

質問事項
十六の5 今回の議題と各々について延期に伴う影響を具体的に伺う。知事と教育委員会との意思疎通に影響が無いのかも伺う。

回答
 今回の議題は「2040年代を見据えた今後の教育の在り方」であり、延期による具体的な影響は特に出ていません。

質問事項
十六の6 開催の予定の時間帯に、前後概ね2時間を含めて、知事はどこで誰と何をされていたのか、具体的に時系列にて伺う。

回答
 東京都総合教育会議が行われる予定であった平成28年6月9日の時間帯には、局務報告を受けるなど執務室で執務を行っていました。

質問事項
 十七 消防署における、消防指導の接遇、住民対応の在り方について
消防署における、都民による各種申請・手続きそれに伴う指導にあたり、担当者で対応が変わらないよう、誠意ある接遇が肝要だが、都民に対しての接遇のあり方と署員教育の現状について伺う。

回答
 各種申請・手続等については、東京消防庁として統一的に対応するため、事務処理手引書等を整備しているほか、定期的に担当者の研修等を行っています。
 また、都民に対する接遇については、東京消防庁職員の服務に関する規程に「職員は、応接に際して、礼を失することなく、親切、丁寧、迅速を旨としなければならない」ことを定めており、消防学校等において職員教育を行っているほか、職務遂行時においても監督者による部下指導を行っています。
 今後とも、都民等への接遇に配意し、適切な職務遂行に努めていきます。

平成28年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 東京都東村山市キャンパス内の絶滅危惧種「キンラン」「ギンラン」について
二 人工透析の医療費助成について

一 東京都東村山市キャンパス内の絶滅危惧種「キンラン」「ギンラン」について
東村山市青葉町には、都立ナーシングホームや老人ホーム、多摩北部医療センターなどがあり市民の命を守る大きな役割を果たしています。また、キャンパス内は武蔵野の緑豊かなところで、多くの市民から「いいところだ」「緑を守っていきたい」と声があげられています。
2005年11月、都市計画道路「東村山3・4・11号線」の建設が決まり東村山キャンパスの真ん中を縦断することになりました。職員や住民のなかに施設内にある貴重な植物を保護しようという取り組みが広がりました。
工事前の調査で、専門家による希少植物が発見されました。絶滅危惧種である「キンラン」「ギンラン」を守ってほしいとの市民の要望に東京都が動き、移植を行いました。
1 東京都は「キンラン」「ギンラン」などの移植後、調査をしていると聞きましたがどのような調査を行い、その結果について伺います。
2 都の行っている調査は5年で終了と聞いていますが、今後はどうなるのですか。キンラン、ギンランを守ろうと観測会などに取り組んでいる市民団体や住民の方からは、都市計画道路「東村山3・4・11号線」が2013年に開通して「排気ガスなどの影響が心配だ。調査は継続してほしい」と強い要望が出されています。専門家の意見も聞きながら調査の継続を求めますが、いかがですか。
3 東村山キャンパス内の草刈など緑の整備費にはどのくらいの予算が計上されているのですか。この間の実績と今年度の予算の額について伺います。
4 絶滅危惧種である「キンラン」「ギンラン」の保護や新しく芽を出すためには、落ち葉の処理が重要だとの専門家の意見もあります。落ち葉の処理は現在、どのように行っていますか。
5 東京都東村山キャンパスには、以前は東京都の医療施設がありましたが、都立から公社病院や民間の老人ホームに変わり、今では都立ナーシングホームだけになってしまっています。そのナーシングホームも都は廃止を計画しています。
市民団体や住民のみなさんから「ナーシングホーム」がなくなったら、『「キンラン』」『「ギンラン』」の保護のための取り組みや緑の整備はどうなってしまうのか」「担当の部署はどうなるのか」との心配も出ています。絶滅危惧種の保護、豊かな緑を守ることは大変重要なことです。今後の都の対応について伺います。
6 絶滅危惧種のキンラン・ギンランは移植が難しいといわれており、東村山キャンパス内の移植については他県の団体や専門家からも「すばらしい」と評価されています。取り組みを知らせるような掲示板やキンラン・ギンランを説明する掲示板をつくり、多くの都民に知らせることで、東京都の新たな観光にもなると思いますが、いかがですか。

二 人工透析の医療費助成について
他県に住んでいた高齢の方が、親戚の住む東京の高齢者施設に入所し、人工透析(週3回)を行っています。東京都の医療費助成(マル都)を受けることができ「助かっている」ということです。
しかし、後期高齢者の保険証であるために都内の高齢者施設に入所しても保険証は以前住んでいた住所からは移動できません。そこで、親族の方が東京都の医療費助成(マル都)を受けるため、毎月還付の申請をしなければなりません。
1 東京の高齢者施設に入所し、後期高齢者の保険証が移動できない人の場合、人工透析にかかる医療費について東京都の医療費助成(マル都)を受ける場合、手続きはどうなっていますか。
2 保険証が他県にある場合、毎月申請が必要な根拠は何ですか。同じ人が申請する場合、書類の簡素化なども含め制度の改善を求めますが、いかがですか。
3 東京都の医療費助成(マル都)の制度について、説明のパンフレットがありますが、その中に後期高齢者の保険証が他県の場合にどうなるのかという説明がありません。また、私の所に相談にきた人は「地元自治体の担当者や病院の窓口の担当者も知らなかった」と言っています。
相談窓口となる区市町村や病院などに制度の周知を強めること、都の発行しているパンフレットなどにも記載して知らせることを要望しますが、いかがですか。
4 契約医療機関は23区と多摩でいくつあるのですか。だれでもわかるように都のホームページから検索できるように要望しますが、いかがですか。
5 根本的な解決策は、都民であればどこに保険証があっても、窓口で支払いをせずに済むようにすることです。都として検討すべきではありませんか。

平成28年第二回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 東京都東村山キャンパス内の絶滅危倶種「キンラン」「ギンラン」」について
1 東京都は「キンラン」「ギンラン」などの移植後、調査をしていると聞いたがどのような調査を行い、その結果について伺う。

回答
 都市計画道路の整備に伴い、計画地内の絶滅危惧種等の植物を保全するため、平成19年度から平成23年度まで東村山キャンパス内の雑木林で移植等の保全対策を実施するとともに、その効果を確認するため、平成20年度から平成24年度までの5年間、年1回のモニタリング調査を行いました。
 その結果、雑木林内で「キンラン」「ギンラン」が良好に生育していることが確認されました。

質問事項
一の2 都の行っている調査は5年で終了と聞いているが、キンラン、ギンランを守ろうと観測会などに取り組んでいる市民団体や住民の方からは「調査は継続してほしい」と強い要望が出されている。専門家の意見も聞きながら調査の継続を求めるが、見解を伺う。

回答
 雑木林における植物の生育環境を維持する管理方法の参考とするため、平成25年度に、雑木林全体の植物保全状況等の調査を、また、平成26年度には、動物を含めたキャンパス全体の自然環境等の調査を環境アセスメント関係の調査会社に委託して行いました。
 これらの調査では、雑木林については「キンラン」「ギンラン」が生育する良好な環境が保たれており、「キンラン」「ギンラン」をはじめとした希少植物については、「継続して下草刈り・落ち葉かきを実施することにより、生育個体数は増加すると考えられる」とされています。
 調査結果を踏まえ、都は雑木林の管理を適切に実施していきます。

質問事項
一の3 東村山キャンパス内の草刈など緑の整備費にはどのくらいの予算が計上されているのか。この間の実績と今年度の予算の額について伺う。

回答
 平成28年度予算では、植栽管理、害虫駆除、構内通路や庭園の清掃等、キャンパス全体の環境整備の経費として、13,559千円を計上しています。この予算の中で、雑木林の笹刈りや落ち葉清掃等を実施しています。
 雑木林の笹刈りや落ち葉清掃等の業務委託の契約金額は、平成26年度が737,640円、平成27年度が665,280円です。

質問事項
一の4 絶滅危倶種である「キンラン」「ギンラン」の保護や新しく芽を出すためには、落ち葉の処理が重要だとの専門家の意見もあるが、落ち葉の処理は現在、どのように行っているか伺う。

回答
 「キンラン」「ギンラン」が生育する雑木林内の落ち葉の処理は、造園業者に委託し、落ち葉の堆積状況に応じてエリアを分け、適切に実施しています。

質問事項
一の5 都立ナーシングホームも都は廃止を計画しているが、市民団体や住民から「『「キンラン』『」「ギンラン」』の保護保謹のための取り組みや緑の整備はどうなってしまうのか」「担当の部署はどうなるのか」との心配も出ている。絶滅危倶種の保護、豊かな緑を守ることは大変重要なことだが、今後の都の対応について伺う。

回答
 東村山キャンパスは都有地であり、東村山ナーシングホーム廃止後においても、引き続き、雑木林をはじめとするキャンパス内の自然環境を適切に維持していきます。

質問事項
一の6 絶滅危倶種のキンラン・ギンランは移植が難しいといわれており、東村山キャンパス内の移植については他県の団体や専門家からも「すばらしい」と評価されている。多くの都民に知らせることで、東京都の新たな観光にもなると思うが、見解を伺う。

回答
 「キンラン」「ギンラン」の移植は、道路整備に伴い絶滅危惧種等の植物を保全するために行ったものです。
 東村山キャンパスは、高齢者施設や病院の用地であり、「キンラン」「ギンラン」の存在を広く周知することは考えていません。

質問事項
 二 人工透析の医療費助成について
1 東京の高齢者施設に入所し、後期高齢者の保険証が移動できない人の場合、人工透析にかかる医療費について東京都の医療費助成(マル都)を受ける場合、手続きはどうなっているか伺う。

回答
 都が独自に実施している人工透析に係る医療費助成制度では、患者が、区市町村を通じて都に申請を行い、認定を受けると都から医療券が交付され、医療費の助成を受けることができるようになります。
 助成を受けられる患者の要件は、東京都難病患者等に係る医療費等の助成に関する規則において、東京都の区域内に住所を有し、かつ、医療保険に加入している者であること等としており、これらの要件を満たしていれば、加入する医療保険が、都内であるか都外であるかを問わず、医療費助成の認定を行っています。

質問事項
二の2 保険証が他県にある場合、毎月申請が必要な根拠は何か。同じ人が申請する場合、書類の簡素化なども含め制度の改善を求めるが、見解を伺う。

回答
 人工透析に係る医療費助成は、加入する医療保険が都内であるか都外であるかにかかわらず、医療費助成の認定を受けた患者が、都と契約を締結した医療機関等に医療券を提示することで、窓口で支払う医療費が軽減されるため、患者が毎月申請を行う必要はありません。
 都と契約を締結していない医療機関等の場合には、患者が一旦医療費を支払った後、都に医療費を請求することで、都からの助成を受けることができ、複数の月の医療費をまとめて請求することも可能となっています。

質問事項
二の3 東京都の医療費助成(マル都)の制度について、説明のパンフレットの中に後期高齢者の保険証が他県の場合にどうなるのかという説明がなく、相談にきた人は「地元自治体の担当者や病院の窓口の担当者も知らなかった」と言っている。相談窓口となる区市町村や病院などに制度の周知を強めること、都の発行しているパンフレットなどにも記載して知らせることを要望するが、見解を伺う。

回答
 都は、区市町村や医療機関に対し、毎年担当者向けの説明会を開催するなど、人工透析に係る医療費助成制度の周知を図っています。
 また、医療機関等向けのホームページで、都に助成対象医療費を請求する方法を案内するほか、都と個別に契約する医療機関等には「マル都医療費の請求について」という資料を配布し、説明しています。
 さらに、都民等から問合せがあった場合は、医療券の使用方法等を丁寧に案内しています。

質問事項
二の4 契約医療機関は23区と多摩でいくつあるのか。だれでもわかるように都のホームページから検索できるように要望するが、見解を伺う。

回答
 都が実施する医療費助成の取扱いについては、東京都医師会等と団体契約を締結するとともに、団体に加入していない医療機関等と個別に契約を締結しています。これらの契約は、人工透析の医療費助成を含む難病医療費等助成や心身障害者医療費助成などを一括して締結しており、常時申請が可能となっていることから、人工透析の医療費助成を取り扱う医療機関のみを取りまとめた統計はありません。
 都は、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」において人工透析治療が可能な医療機関を案内し、また個別の医療機関が契約医療機関となっているかなど、都民等から問合せがあった場合は、適切に対応しています。

質問事項
二の5 根本的な解決策は、都民であればどこに保険証があっても、窓口で支払いをせずに済むようにすることであり、都として検討すべきだが、見解を伺う。

回答
 人工透析に係る医療費助成は、加入する医療保険が都内であるか都外であるかにかかわらず、都から認定を受けた患者であれば、都と契約を締結した医療機関等に医療券を提示することで、窓口で支払う医療費が軽減されることとなっています。

平成28年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 両角みのる

質問事項
一 オリンピック・パラリンピックについて
二 子育て支援について
三 いわゆる「舛添問題」について

一 オリンピック・パラリンピックについて
1 東京都の経費について
ア 大会施設については東京都が恒久施設を、組織委員会が仮設施設を整備する役割分担となっているが、有明体操競技場については大会後に展示場として活用する方針としてその整備費が生活文化産業労働局予算として計上されている。そこで、平成28年度予算での全局でのオリンピック・パラリンピック関連費用はどのようになっているのか、総計額を伺う。
イ 2020年大会に向けての経費が大幅に増えることが予想されるなかで、東京都が大会に掛ける経費の全体像を誰もがわかりやすく捉えられる会計処理が必要と考えるが、都オリンピック・パラリンピック関連経費会計の一本化についての見解を伺う。
2 国と都と組織委員会の役割分担について
本年3月、大会組織委員会委員会長、担当大臣、東京都知事の3者による会談がもたれ、都、国、組織委員会の役割分担を協議することが合意されたが今後の協議スケジュールを伺う。また、一定の歯止めをかけないことには東京都の負担額は青天井に増えてしまうと思うが今後の協議に当たり経費負担に関する東京都の姿勢を伺う。
3 いわゆる招致に関わるコンサルタント料支払いについて
ア 招致委員会が海外海岸コンサルタント会社に対し、約2億3千万円を支払ったとする報道がなされているが、この問題について都はどのように状況を把握しているのか伺う。
イ また、今後、この問題の展開によって都への影響はどのような部分で出てくる可能性があると分析しているのかを伺う。

二 子育て支援について
1 都内待機児童の解消状況について
保育園待機児童が再度大きくクローズアップされているが、特に都市部での待機児童解消は喫緊の課題である。舛添知事も待機児童解消を公約の柱として知事に就任したが、舛添知事就任後の待機児童の状況を伺う。
2 都有地を活用した施設整備について
ア 待機児童解消のために各自治体では保育園の新増設が行なわれているが、最近、保育園建設にあたって周辺住民の理解を得られず、計画が頓挫するような事例も報告されている。
そこで、舛添知事就任後の都有地を活用した保育園整備の実績並びに、そのうち、周辺住民と問題が起きた事例について伺う。
イ 都有地を活用したとしても、保育園整備は地元自治体や法人が中心となって行なうものである。しかし、都有地を活用するにあたっては、都と地元自治体が、周辺の住環境等も含めて事前に適地かどうかを選定すべきである。その意味で土地を提供する都にも責任の一端があると考えるが、保育園整備にあたって都有地を活用する場合の都の責任と対応方針を伺う。
3 東京子育て応援事業について
ア 東京子育て応援基金を活用した事業として平成27年度に事業実施を予定していた「京王ママスクエア事業」は平成28年3月末までに事業実施をすることで1千万円の助成が決定されたが、その後、年度末に事業が打ち切られたと聞く。
そこで、この事業を採択した経緯、途中経過、及び最終的な事業打ち切りに至った理由及び手続きについて伺う。
イ 事業としてふさわしいとされ採択されたものが、打ち切られるということは、採択時点で何らかの問題があったのではないかと考えるが、事業決定にあたっての反省点及び今後の改善について伺う。

三 いわゆる「舛添問題」について
高額海外出張費問題に端を発した、いわゆる「舛添問題」は都政に大きな影を落としている。そこで、都政への影響について以下伺う。
1 土日の知事公務の出席について
政治家が土日に地域行事などに参加することは、現場を知り、住民の声を聞くことのできる大切な機会と思うが、舛添知事は、毎週末のほとんどを湯河原で過ごしていたことが明らかになった。
そこで、平成27年度、知事あてに公務としてどれほどの出席依頼があり、そのうちどれほどの公務に知事自身が出席したのか、出席しなかった場合の対応はどうしたのか、知事の土日の公務状況を伺う。
2 苦情対応について
ア 「舛添問題」が発覚して以来、都庁には昼夜を問わず苦情が殺到しており、本年6月現在で2万5千件もの苦情が寄せられたと報道されているが、この苦情数の把握はどのようになされているのか、内訳も含めて伺う。
イ 都民からの苦情は、公聴担当部署以外のあらゆるセクションに渡っているのではないかと思うが、公聴部署以外への苦情の状況と、それが及ぼす職務への影響がどのようなものか伺う。
3 国や他自治体等との交渉力の低下について
東京都は地方財源をめぐる税制改正論議や2020年オリンピック・パラリンピック大会をめぐる国や組織委員会との経費負担の問題など、政治家としての知事の発信力・調整力が極めて重要な役割を果たす都政課題を抱えている。
しかし、都民から知事が信を失っている状況では、政治家としての知事の機能は果たすことは叶わない。そこで、上記のような政治家としての知事の機能低下が都の仕事にどのような影響を与えているのか、その実態を伺う。

平成28年第二回都議会定例会
両角みのる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 オリンピック・パラリンピックについて
1 東京都の経費について
ア 平成28年度予算での全局でのオリンピック・パラリンピック関連費用はどのようになっているのか、総計額を伺う。

回答
 オリンピック・パラリンピックに向けての事業は多岐にわたり、どこまでの範囲をオリンピックに関係するものと捉えるかによって経費も大きく変わるものです。
 なお、平成28年度予算概要では、オリンピック・パラリンピック競技施設等の整備532億円、オリンピック・パラリンピックの開催準備90億円を合わせた621億円を、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向けた準備」として示しています。

質問事項
一の1のイ 2020年大会に向けての経費が大幅に増えることが予想されるなかで、東京都が大会に掛ける経費の全体像を誰もがわかりやすく捉えられる会計処理が必要だが、都オリンピック・パラリンピック関連経費会計の一本化についての見解を伺う。

回答
 大会の準備に当たっては、大会を取り巻く環境が大きく変化し、数多くの課題が顕在化してきている中、多岐にわたる膨大な業務に対応していく必要があります。したが従って、大会経費といっても、その範囲のとり方によって大きく規模が変わってきます。
 そのため、大会の成功に向けて、どのような事業がどの程度必要なのか、経費も含め検討していきます。

質問事項
一の2 本年3月、都、国、組織委員会の役割分担を協議することが合意されたが今後の協議スケジュールを伺う。また、一定の歯止めをかけないことには東京都の負担額は青天井に増えてしまうが今後の協議に当たり経費負担に関する東京都の姿勢を伺う。

回答
 平成28年3月末の森大会組織委員会会長、遠藤東京オリンピック・パラリンピック担当大臣と知事との会談の場で、大会準備全般にわたり、都、組織委員会、国の三者で実務的に検討することを決め、協議に入ったところです。
 各々が責任を持ってしっかりと役割を果たしていけるよう、三者で適切に調整し、追加種目の決定やリオデジャネイロ大会の状況も踏まえ、本格化する準備に万全を期していきます。
 大会経費については、不断に精査するとともに、必要な事業は実施していきます。

質問事項
一の3 いわゆる招致に関わるコンサルタント料支払いについて
ア 招致委員会が海外コンサルタント会社に対し、約2億3千万円を支払ったとする報道がなされているが、この問題について都はどのように状況を把握しているのか伺う。

回答
 都と招致委員会は、行政と民間という団体の特徴を生かしながら役割分担をして、国際招致活動を行ってきました。
 都は、開催都市として、ロンドン大会におけるジャパンハウスの運営やIOCの公式イベントでのプレゼンテーションなどを担当していました。
 一方、いわゆるロビー活動などについては招致委員会が担当しており、報道されている海外コンサルタントへの支払いには、都は一切関与しておらず、公費も支出していません。
 当該の支払いについては、平成28年5月13日に、招致委員会の竹田元理事長が、正式な業務委託に基づく対価の支払いであり、何なんら疑惑をもたれるようなものではない旨のステートメントを出しており、現在、JOCが設置した外部の弁護士、公認会計士による調査チームにより検証中であると承知しています。

質問事項
一の3のイ 今後、この問題の展開によって都への影響はどのような部分で出てくる可能性があると分析しているのかを伺う。

回答
 IOCが定める「オリンピック競技大会開催全希望都市に適用される行動規範」では、立候補都市側がオリンピック関係者等に対し贈与を行うことを禁止しています。
 当該支払いについては、招致委員会の竹田元理事長が、正式な業務委託に基づく対価の支払いであり、何なんら疑惑をもたれるようなものではない旨のステートメントを出しており、この行動規範には抵触せず、開催都市である都への影響はないものと考えています。

質問事項
 二 子育て支援について
1 特に都市部での待機児童解消は喫緊の課題であり、舛添知事も待機児童解消を公約の柱として知事に就任したが、舛添知事就任後の待機児童の状況を伺う。

回答
 舛添前知事の都知事就任後の都内の保育サービス利用児童数は、平成26年4月1日時点が234,911人(前年比11,577人増)、平成27年4月1日時点が247,513人(前年比12,602人増)、平成28年4月1日時点がは261,705人(前年比14,192000人以上の増)となっていますなる見込みです。
 一方、都内の待機児童数は、平成26年4月1日時点が8,672人、平成27年4月1日時点が7,814人、平成28年4月1日時点がは8,466000人を超える見込みです。となっています。

質問事項
二の2 都有地を活用した施設整備について
ア 最近、保育園建設にあたって周辺住民の理解を得られず、計画が頓挫するような事例も報告されているが、舛添知事就任後の都有地を活用した保育園整備の実績並びに、そのうち、周辺住民と問題が起きた事例について伺う。

回答
 都有地を活用した保育所の整備に当たっては、事業者を公募する前及び事業者決定後に、都と保育の実施主体である区市町村等が住民説明会により近隣住民へ丁寧に説明を行っています。
 舛添前知事の都知事就任後、都有地を活用して開設した保育所は現時点で6か所であり、いずれも近隣住民の理解を得て予定どおり開設しています。

質問事項
二の2のイ 都有地を活用するにあたっては、都と地元自治体が、周辺の住環境等も含めて事前に適地かどうかを選定すべきであり、土地を提供する都にも責任の一端があるが、保育園整備にあたって都有地を活用する場合の都の責任と対応方針を伺う。

回答
 都は、福祉インフラの整備を促進するため、未利用の都有地について、土地の面積、形状、境界確認の状況等の情報を、所在地の区市町村に対して提供しています。
 これを受けて、区市町村は、当該都有地における児童分野、高齢分野又は障害分野のいずれかの施設整備について、地域の実情を踏まえて検討します。
 都は、区市町村から当該都有地で施設整備すると回答があった場合、貸付けを決定し、保育所の整備に当たっては、事業者の公募前及び事業者決定後に、都と保育の実施主体である区市町村等が協力して近隣住民へ説明を行っており、今後も連携して対応していきます。

質問事項
二の3 東京子育て応援事業について
ア 東京子育て応援基金を活用した事業として「京王ママスクエア事業」を採択した経緯、途中経過、及び最終的な事業打ち切りに至った理由及び手続きについて伺う。

回答
 平成27年度の東京子育て応援事業については、実施主体である東京都福祉保健財団が、平成27年6月4日及び同月8日に公募説明会を実施し、同年7月3日まで申請受付を行いました。その後、同年8月21日に開催した有識者や都の職員により構成される審査会において、事業者からの企画説明を受けた上で審査を実施し、同年8月26日に助成対象事業を決定しました。
 助成対象事業者に対しては、同年9月から同年12月まで個別ヒアリングを2回実施し、事業の進捗状況を確認したところ、「京王ママスクエア事業」は事業の遅れが確認されたため、平成28年1月29日に追加でヒアリングを行い、事業を着実に遂行するよう指導しました。
 最終的に同年3月31日に、事業者から、店舗設計や開業時期等について再検討するため平成27年度については事業を中止するとの文書が提出され、同日、東京子育て応援事業助成金交付要綱に基づき、助成金の交付決定を取り消しました。

質問事項
二の3のイ 事業としてふさわしいとされ採択されたものが、打ち切られるということは、採択時点で何らかの問題があったのではないかと考えるが、事業決定にあたっての反省点及び今後の改善について伺う。

回答
 東京子育て応援事業の助成対象事業は、東京都福祉保健財団が審査要領に基づき、事業の先駆性・先進性、実現可能性、実行体制の確保等について、審査会での総合的な審査を経て選定しています。平成27年度は、67事業の申請があり、16事業を選定しました。
 平成28年度の実施に当たっては、平成27年度に、助成金交付決定後の着手が遅れた事業があったことを踏まえ、事業者の計画策定や事業実施の期間を十分に確保するため、公募説明会を3か月前倒しして開催しました。
 今後とも、審査要領に基づき適切に審査し、選定するとともに、助成金交付決定後は、東京子育て応援事業助成金交付要綱に基づき、事業の実施状況等について報告を求め、必要に応じて事業者に指導を行うこととしています。

質問事項
 三 いわゆる「舛添問題」について
1 平成27年度、知事あてに公務としてどれほどの出席依頼があり、そのうちどれほどの公務に知事自身が出席したのか、出席しなかった場合の対応はどうしたのか、知事の土日の公務状況を伺う。

回答
 外部からの行事等への出席依頼については、それぞれの内容から判断し、知事が出席するほか、代理として副知事が出席するなど、様々な対応を取っています。
 平成27年度の土日における知事の公務件数は16件です。知事が公務として出席する行事等は、都主催のものから外部のものまで幅広く及んでいます。
 外部の行事等への出席依頼は、知事が直接口頭で受けるもの、都庁や事務所に書簡で届くものなど、その形式は多岐に渡っています。また、書簡については、文面から、明確な出席依頼であるのか行事開催の案内にとどまるものなのか判断がつかないものもあります。そのため、出席依頼としての件数は集計していません。
なお、知事が出席しない場合は、代理として副知事が出席するなど、様々な対応をとっています。
平成27年度に知事が出席した行事等の総数は306件であり、そのうち土日に出席したものは15件です。

質問事項
三の2 苦情対応について
ア 「舛添問題」が発覚して以来、都庁には昼夜を問わず苦情が殺到しており、6月現在で2万5千件もの苦情が寄せられたと報道されているが、この苦情数の把握はどのようになされているのか、内訳も含めて伺う。

回答
 今回の問題においては、御意見を、海外出張、公用車の使用及び、政治資金関係の3つに分類し、把握に努めました。
 具体的には、政策企画局総務部と生活文化局広報広聴部都民の声課に寄せられた件数に加え、案件に応じて、政策企画局外務部、財務局及び、選挙管理委員会事務局に寄せられた件数を、政策企画局にて取りまとめています。

質問事項
三の2のイ 都民からの苦惰苦情は、公聴担当部署以外のあらゆるセクションに渡っているのではないかと思うが、公聴部署以外への苦情の状況と、それが及ぼす職務への影響がどのようなものか伺う。

回答
 都民からの御意見は、広聴担当部署に限らず、その内容を所管する部署においてもお伺いした上で、必要に応じて関係部署へ周知し、都民サービスの向上に役立てています。
 こうしたご意見を伺うことは、本来職務の一環であり、各部署において適切に対応しました。 広聴担当部署以外についての件数は把握していませんが、都民からの御意見は、広聴担当部署に限らず、その内容を所管する部署においても伺った上で、必要に応じて関係部署へ周知し、都民サービスの向上に役立てています。
 こうした御意見を伺うことは、本来職務の一環であり、各部署において適切に対応しました。

質問事項
三の3 東京都は、政治家としての知事の発信力・調整力が極めて重要な役割を果たす都政課題を抱えているが、政治家としての知事の機能低下が都の仕事にどのような影響を与えているのか、その実態を伺う。

回答
 都政運営において、知事の発信力や調整力が果たす役割は、大きなものであると認識しています。
 一方で、知事不在時を含め、どのような状況にあっても、都民生活の更なる向上を図るため、全庁一丸となって取り組んでいます。

平成28年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 植木こうじ

質問事項
一 西武新宿線の連続立体交差事業について
野方駅から井荻駅間も地下化で

一 西武新宿線の連続立体交差事業について
野方駅から井荻駅間も地下化で
1 中野区民の願いは西武線の地下化
西武新宿線の踏み切り渋滞解消のため、中井駅から野方駅までの地下化工事に加えて、野方駅から井荻駅、東伏見駅間の連続立体交差事業を社会資本総合整備計画に位置づけ、国の交付金を活用して着手することが決まりました。中野区では秋に野方駅から井荻駅間の事業促進のための期成同盟の決起集会が予定されている。
この間、一貫して区民は鉄道の地下化を望んできた。
私自身も、1985年(昭和60年)から鷺ノ宮駅前で、「1時間の内、最大55分も閉まっている西武新宿線の踏み切り渋滞の解消を」「高架式は北側部分の道路整備のために住民の立ち退きなど影響が大きい、地下方式を」と訴えていました。
西武鉄道株式会社も1987年に地下化は事業費はかかるが住民の協力も得て運賃に10円上乗せすることで地下方式に決め、急行・快速を地下に走らせる複々線化の事業計画の認定を受けてきたのです。
ところが、地下化工事の住民説明会も済んで一部工事着手し始めたにもかかわらず、1995年(平成7年)、西武鉄道株式会社は突然、計画の延期、事実上の中止を申し出てきたのです。中野区は、西武への申し入れや区長と私を含めた中野区選出の都議会議員4人で都知事宛に、地下化工事の継続を求める要望書を提出したが、結局、西武鉄道の都合が優先されて計画は中止されてしまいました。
その後、2001年(H13年)に都と西武鉄道による「西武新宿線検討会」が設置され高架案や地下案、道路の立体交差であるアンダー方式(掘割方式)など4案が出されたが、道路の立体交差や鉄道の高架化は住民の反対で採用されませんでした。
2003年(H15年)に、中野区町会連合会が区民の切実な声である区内全線地下化を求める6万9千名の署名をつけて「中野区内の西武鉄道新宿線の踏み切り渋滞解消促進に関する請願」が都議会で趣旨採択され、翌2004年には町会、商店会、PTA、区議会、区、区民団体が共同で「西武新宿線踏み切り渋滞解消促進期成同盟」結成大会を開催しました。
ここでも、「区内全線地下化の早期実現をめざす取組みが必要である」という宣言文を採択したように、地下化を願う区民の声は重いものがある。こうした区民の思いをどのように受け止めているか、見解を伺います。
2 連続立体交差事業を進めるにあたり、周辺住民への負担を最小限に抑える計画に
ア 都は野方駅から井荻駅間の連続立体交差について高架式か地下式かなどの構造形式の選定にあたって、地形的条件、踏切の除却数などの計画的条件、事業費などの事業的条件の三つの条件で「比較検討」を行うとしています。
しかし、この三つの条件では中野区民の地下化を求める重い願いが反映されないことになりかねません、。「比較検討」にあたっては中野区民の地下化を求める重い願いを位置付けるべきと思うが見解を伺います。
イ もともと、公共事業の計画をすすめるにあたり、住民への負担を最小限に抑えるべきとなっているはずです。鉄道を高架にする場合と地下にする場合とで、住民の立ち退き範囲や、騒音の影響など周辺住民への影響がどうなるかを抜きに考えるわけにはいきません。「周辺住民への影響などの条件」を「比較検討」に加えるべきだと思うが、それぞれ見解を伺います。
3 具体的な検討について
ア また、野方駅から井荻駅間の連続立体交差事業の具体化に当たり「比較検討」を始め、今後、事業化にいたるまでにどのような手順をへるのか、また、住民の意見の反映はどのようにして行うのか、示してください。
イ 連続立体交差事業を高架式にした場合は、高さ9mの高架橋北側部分の日影にたいして側道を整備するとなっていて、地域によって6メートルから10メートルの道路整備を行うため多くの住民宅などの立ち退きが発生することは明らかです。
地下化方式を採用している中井駅から野方駅間でさえ線形の変更の影響もあり69棟の立ち退きが余儀なくされていると聞いている。野方駅から井荻駅間を高架式にすればさらに多くの立ち退きが予想される。6メートルの側道でも住宅地図でみると中野区内だけでも約200棟の住宅、マンション、アパートなどが立ち退き対象になる可能性があり、8mや10mの側道の場合はもっと多くの建物に影響が出る可能性があります。
実際の計画が明確になっていないが、現時点では約何棟の立ち退きが予想されるか伺います。
ウ 小田急線では高架化による騒音問題で住民との裁判が争われましたが、西武新宿線の場合の騒音測定地点と騒音基準についてはどのようになっているか示すこと。
エ 連続立体交差事業というと多くは鉄道の高架化が思い浮かび、住民は良い印象をもっていません。高架下にある駅舎部分の改札口や駅前店舗などは事業者によってきれいに整備されるが、その他は、自転車駐輪場、駐車場が大半で薄暗くて、死角も多く印象が悪い。
西武鉄道では池袋線が鉄道を高架にしていますが、駅舎や駅前店舗を除いて、高架下の利用内容と割合はどのようになっていますか。
オ 小田急線では鉄道の地下化で生じる地上部について世田谷区では事業認可された翌年から「上部利用方針」を策定し、区民の意見交換会、アンケート、上部利用ワークショップ、シンポジウムなどを開催するなど時間をかけて住民参加で意見集約を行っています。ポケットパークや広場、防災空間など緑地の要望など多面的な利用計画が検討されています。そのコンセプトは「安全・安心の街づくり」「歩行者主体の街づくり」「地域が一体となる街づくり」としているそうです。
鉄道を地下化にすれば鉄道の跡地利用は地域住民にとっても、鉄道会社にとっても夢のある計画を描くことができると思いますが、跡地利用の実例をお示しください。また、都としても、中井駅から野方駅の鉄道跡地について西武鉄道、地元区と協力して新しい魅力ある街づくり、防災空間の整備の立場からモデルケースを策定すべきではないか、見解を伺います。
4 ホームドアなど安全対策
ア 西武新宿線では、全線でホームドアを設置しているのは高田馬場だけであり、現在地下化工事を進めている中井駅から野方駅間の新駅でもホームドアの設置は、現在、計画していないとのことです。
設置しない原因には車両が3ドアと4ドアが混在していることを挙げていますが国交省の実証実験など新しい技術開発が進行しています。また、10万人以上の利用者がいる駅が優先されることや鉄道会社の財政上の優先度も勿論あります。
それだけに安全対策をすすめるために、都施行の連続立体交差事業の一環として事業を行う場合などは安全を優先してホームドアの設置のために支援を行うことも検討課題にすべきではないか、見解を伺います。
イ また、西武鉄道が要望した場合に、ホームドア整備促進事業の対象になりうるか、伺います。
5 地域のまちづくりとの関係は
鉄道の連続立体交差事業を行う場合、地元区に事業効果を上げるようにと駅前広場や関連街路を整備するよう求めていますが、周辺商店街や住宅への影響や住民間の利害関係も大きく合意形成に時間がかかるなど多くの課題があります。こうした鉄道連続立体交差事業との地域の街づくりを義務付ける法的根拠はどのようなものがあるかお示しください。

平成28年第二回都議会定例会
植木こうじ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 西武新宿線の連続立体交差事業について
1 西武新宿線の踏み切り渋滞解消のため、中井駅から野方駅までの地下化工事に加えて、野方駅から井荻駅、東伏見駅間の連続立体交差事業を社会資本総合整備計画に位置づけ、国の交付金を活用して着手することが決まった。地下化を願う中野区民の声は重いものがあるが、こうした区民の思いをどのように受け止めているか、見解を伺う。

回答
 西武新宿線野方駅から井荻駅間は、遮断時間の長い踏切や自動車交通量の多い踏切があり、都市計画道路と3か所交差しているなど、踏切対策を進める必要性が高い区間です。このため、社会資本総合整備計画に位置付け、現在、事業化に向けた取組を進めています。
 鉄道の高架化や地下化などの構造形式については、鉄道周辺の地形などの地形的条件、除却する踏切の数などの計画的条件、事業費などの事業的条件の3三つの条件から総合的に判断して選定しています。

質問事項
一の2 連続立体交差事業を進めるにあたり、周辺住民への負担を最小限に抑える計画について
ア 都は野方駅から井荻駅間の連続立体交差について高架式か地下式かなどの構造形式の選定にあたって、地形的条件、踏切の除却数などの計画的条件、事業費などの事業的条件の3つの条件で「比較検討」を行うとしている。「比較検討」」にあたっては中野区民の地下化を求める重い願いを位置付けるべきだが、見解を伺う。

回答
 鉄道の高架化や地下化などの構造形式の比較検討に当たっては、鉄道周辺の地形などの地形的条件、除却する踏切の数などの計画的条件、事業費などの事業的条件の3三つの条件から総合的に判断して構造形式を選定しています。
 なお、西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟等、地域によるこれまでの活動については承知しています。

質問事項
一の2のイ 鉄道を高架にする場合と地下にする場合とで、住民の立ち退き範囲や、騒音の影響など周辺住民への影響がどうなるかを抜きに考えるわけにはいかない。「周辺住民への影響などの条件」を「比較検討」に加えるべきだが、それぞれ見解を伺う。

回答
 鉄道の高架化や地下化などの構造形式の比較検討に当たっては、鉄道周辺の地形などの地形的条件、除却する踏切の数などの計画的条件、事業費などの事業的条件の3三つの条件から総合的に判断して構造形式を選定しています。
 なお、事業の実施が周辺環境に与える影響については、選定した構造形式を踏まえ、東京都環境影響評価条例に基づき、適切に対応することとしています。

質問事項
一の3 具体的な検討について
ア 野方駅から井荻駅間の連続立体交差事業の具体化に当たり「比較検討」を始め、今後、事業化にいたるまでにどのような手順をへるのか、また、住民の意見の反映はどのようにして行うのか、伺う。

回答
 都市計画の決定に当たっては、鉄道の構造形式のほか、区間や区域等について検討の上、都市計画素案を作成しています。作成した素案について説明会を実施した後、都市計画法に基づき、都市計画案の縦覧を行うとともに、意見書の提出の機会を設けています。
 併せてあわせて、東京都環境影響評価条例に基づき、評価書案の縦覧、説明会の開催、意見書の提出等の機会を設けています。
 これらの手続を進めた上で、都市計画を決定し、都市計画事業認可を取得し、事業に着手します。

質問事項
一の3のイ 野方駅から井荻駅間を高架式にすれば多くの立ち退きが予想されるが、現時点では約何棟の立ち退きが予想されるか伺う。

回答
 現在、事業範囲や構造形式等を検討している段階であり、現時点では、立ち退きの棟数については把握できません。

質問事項
一の3のウ 小田急線では高架化による騒音問題で住民との裁判が争われたが、西武新宿線の場合の騒音測定地点と騒音基準についてはどのようになっているか伺う。

回答
 東京都環境影響評価条例により一定規模以上の連続立体交差事業を実施する場合には、環境省が定めた「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針について」に基づき、列車の走行に伴う騒音の予測・評価を行うこととなっています。
 この騒音対策の指針において、連続立体交差事業は大規模改良線に該当し、測定点は近接軌道中心線からの水平距離が12.5メートル、高さは地上1.2メートルの地点とされており、騒音レベルは改良前より改善することとされています。

質問事項
一の3のエ 西武鉄道では池袋線が鉄道を高架にしているが、駅舎や駅前店舗を除いて、高架下の利用内容と割合はどのようになっているか伺う。

回答
 西武池袋線(練馬高野台駅から大泉学園駅間)連続立体交差事業に伴う高架下利用可能面積の割合は、公共利用分が約15パーセント、鉄道利用分が約85パーセントとなっています。利用内容は、駐輪場や図書館貸出窓口、商業施設や保育所等であり、様々さまざまな地域のニーズに沿った利用がなされています。

質問事項
一の3のオ 小田急線では鉄道の地下化で生じる地上部について「上部利用方針」を策定し、住民参加で意見集約を行い、多面的な利用計画が検討されており、鉄道を地下化にすれば鉄道の跡地利用は地域住民にとっても、鉄道会社にとっても夢のある計画を描くことができるが、跡地利用の実例を伺う。
 また、都としても、中井駅から野方駅の鉄道跡地について西武鉄道、地元区と協力して新しい魅力ある街づくり、防災空間の整備の立場からモデルケースを策定すべきだが、見解を伺う。

回答
 東急目蒲線(目黒駅から洗足駅間)連続立体交差事業では、鉄道を地下化した跡地利用として、商業施設、駐輪場、緑道等が整備されています。
 都はこれまでも、連続立体交差事業の実施に当あたり、地元区市及び鉄道事業者とともに、高架下または地上部利用検討会を設置し、地元要望や多様なニーズを踏まえた利用計画を策定してきました。
 西武新宿線(中井駅から野方駅間)連続立体交差事業についても、同様に取り組んでいきます。

質問事項
一の4 ホームドアなどの安全対策について
ア 西武新宿線では、地下化工事を進めている中井駅から野方駅間の新駅でもホームドアの設置は、現在、計画していないとのことである。都施行の連続立体交差事業の一環として事業を行う場合などは安全を優先してホームドアの設置のために支援を行うことも検討課題にすべきだが、見解を伺う。

回答
 駅における安全対策は、鉄道事業者が自ら取り組むことが基本であり、都は、事業者に対してホームドア整備を進めるよう、積極的に働き掛けかけています。
 引き続き、国や区と連携して、鉄道事業者のホームドア整備促進に向け取り組んでいきます。

質問事項
一の4のイ 西武鉄道が要望した場合に、ホームドア整備促進事業の対象になりうるか、伺う。

回答
 ホームドア整備促進事業は、JR及び私鉄駅について、一駅当たりの事故発生件数の多い、利用者数、10万人以上のJR及び私鉄駅駅を対象として、鉄道事業者と協議が調った区市に対し、補助を実施しています。

質問事項
一の5 鉄道の連続立体交差事業を行う場合、地元区に事業効果を上げるようにと駅前広場や関連街路を整備するよう求めているが、鉄道連続立体交差事業と地域の街づくりを義務付ける法的根拠はどのようなものがあるか伺う。

回答
 連続立体交差事業と地域のまちづくりについて、同時実施を義務付ける法律の規定はありません。
 連続立体交差事業は、交通渋滞や踏切事故の解消とともに、鉄道により分断されている市街地の一体性を高めることから、地域のまちづくりと併せて進めていくことが重要です。

平成28年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 清水ひで子

質問事項
一 難病患者への支援体制づくりについて

一 難病患者への支援体制づくりについて
難病の患者に対する医療等に関する法律が施行され、国の難病医療費助成の対象疾病は以前の56疾病から現在は306疾病に拡大されました。また、障害者総合支援法により新たに難病患者も障害者福祉の対象になるようになりました。相談支援をはじめとした患者支援の充実がいっそう求められています。
私は先日、渋谷区にある東京都難病相談・支援センターを訪問し、お話を伺いました。センターでは電話や面接による相談の他、難病に関する資料の提供や、ベッド・車いすなどの日常生活用具の展示、患者の自主的な活動の場の提供など様々な支援を行っていました。日常生活用具は実際に見て触ってみることでどのようなものかよく分かるなど、難病の方ができるだけセンターを訪問して利用できるようにすることが重要だと感じました。
東京都の難病相談・支援センターは渋谷区の1か所ですが、千葉県では二次保健医療圏ごとにセンターを設置するとともに、それを支援する総合難病相談・支援センターを設置し、身近な地域で支援を受けられるようにしています。2015年度の相談件数は8117件に上るとのことです。
千葉県は病院に委託して難病相談・支援センターの事業を行っており、東京都とは患者団体に委託しているという違いはありますが、身近な地域で支援を受けられることの重要性は共通していると思います。
現在東京都の新たな難病対策について検討している東京都疾病対策協議会の在宅療養・医療連携支援対策部会でも、「難病相談支援センターは、地域で生活する難病患者等の日常生活における相談・支援を行う施設であるため、もう少し身近な存在であるべきかと思う。地域に密着した相談支援ができるような存在となるよう更なる拠点が必要ではないか。」という意見が出されています。
1 難病の当事者がより身近な地域で支援を受けられるよう、多摩地域にも難病相談・支援センターを設置すべきではありませんか。
2 今年2月に出された「多摩メディカル・キャンパスあり方検討会報告書」では、都立神経病院を改築し、難病総合医療センターとして再構築するとともに、「東京都難病相談・支援センターとの連携を推進し、患者、家族等への相談支援体制を強化するとともに、難病患者等の社会生活に関する情報などを積極的に発信し、都の社会福祉施策の推進に貢献するための拠点機能の整備について検討する。」としています。医療への支援はもちろんのこととして、福祉、就労、社会生活などの幅広い支援を受けられる場を作ることを、多摩地域の難病相談支援センターとすることも含めて検討するべきだと考えますが、いかがですか。
難病の患者に対する医療等に関する法律では、難病の患者や家族、難病支援の関係機関、関係団体、難病の患者に対する医療、福祉、教育、雇用に関連する職務の従事者等から構成される難病対策地域協議会の設置が都道府県等の努力義務となりました。国の「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」でも、「都道府県、保健所を設置する市及び特別区は、難病の患者への支援体制の整備を図るため、早期に難病対策地域協議会を設置するよう努める」とされています。
関係者が情報を共有し、連携して支援体制を作っていく上で難病対策地域協議会の設置は重要だと思います。東京都難病団体連絡協議会からも設置を求める要望が出されています。
3 東京都として難病対策地域協議会を設置し、当事者の声が十分反映されるよう、患者会をメンバーに加えるべきと考えますが、見解を伺います。

平成28年第二回都議会定例会
清水ひで子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 難病患者への支援体制づくりについて
1 難病病の当事者がより身近な地域で支援を受けられるよう、多摩地域にも難病相談・支援センターを設置すべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、難病患者の日常生活や就労に関する相談・支援を行う拠点として、東京都難病相談・支援センターを設置し、保健師等による療養相談や患者家族交流会等を実施するとともに、ハローワークと連携した就労に関する相談会等を実施しています。
 難病対策の今後の方向性については、現在、学識経験者や支援機関の代表者等で構成する特殊疾病対策協議会において検討しています。

質問事項
一の2 医療への支援はもちろんのこと、福祉、就労、社会生活などの幅広い支援を受けられる場を作ることを、多摩地域の難病相談・支援センターとすることも含めて検討するべきだが、見解を伺う。

回答
 難病総合医療センターの医療機能については、「多摩メディカル・キャンパスあり方検討会報告書」に基づき、現在検討を進めています。
 難病総合医療センターにおける患者、家族等への相談支援体制については、特殊疾病対策協議会の検討状況も注視しながら、今後検討していきます。

質問事項
一の3 都として難病対策地域協議会を設置し、当事者の声が十分反映されるよう、患者会をメンバーに加えるべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、難病の患者に対する医療等に関する法律に基づき、支援機関や患者団体の代表者等で構成する難病対策地域協議会の設置を予定しています。

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