平成二十八年東京都議会会議録第九号

○副議長(小磯善彦君) 五十二番西崎光子さん。
   〔五十二番西崎光子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○五十二番(西崎光子君) 舛添知事の一連の問題については、これまで多くの議員からただされたにもかかわらず、知事から納得のいく説明はありませんでした。
 反省しています、生まれ変わってという、通り一遍の言葉では、信頼は回復できません。議会から求められた情報の開示には応えず、具体的な改革案はみずから示さず、知事はどう生まれ変わるというのでしょうか。
 自分の政治資金について公私混同する人に、十三兆円という巨額な予算を持つ都政のトップリーダーは務まるはずがありません。
 都民や都議会への説明責任が果たせないのなら、都民の八割が辞任した方がよいといっているこのことを重く受けとめ、知事みずから辞職すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 これまでの知事の海外出張費用は、一件を除いて条例に規定されている金額内では行われておらず、一番高いときは規定の五倍近くになっています。ほかの自治体の知事は、既定の金額内になるよう旅行会社に指定しているところもあり、そのトップの見識が問われています。
 批判を受けて、知事は、ファーストクラスやスイートルームを使用しないと表明し、具体的には検討会を立ち上げ、六月末に結果を公表する予定です。
 そこで伺いますが、海外出張費を検証するための庁内職員による検討会では、どのような項目で、どのような視点で見直すのか、都の見解を伺います。
 また、知事の旅費については、規定の金額を超える場合には人事委員会と協議をしているようですが、これまで人事委員会においてどのような手続が行われたのか伺います。
 熊本地震には、多くの自治体から支援が寄せられましたが、特に東日本大震災や関東・東北豪雨の被災自治体の首長は、自分たちが被災した経験から、その対応は真摯なものであったと聞いています。
 知事は、このときワシントン、ニューヨークを視察中。ワシントンといえば、世界に発信できる拡声器効果がある場所といわれているにもかかわらず、インターネットに流れた映像は、先ほど島田議員が紹介したように、オープンカーで満面の笑みを浮かべた知事の姿でした。
 これを見た市民からは、不謹慎、予定を繰り上げて東京に戻り指示を出すべきといった批判の声が流れてきました。
 また、東日本大震災の被災地には、たった一回日帰りで福島に行っただけです。
 東京が大災害に見舞われたときには、全国の自治体からの支援や協力関係が重要になると考えますが、知事の災害に対する危機管理が鈍いといわざるを得ません。
 国内の災害に対して率先して支援に動くべきと考えますが、知事は出張先でどのような対応をとられたのか伺います。
 福島原発事故から五年。政府と福島県は、来年三月をめどに帰宅困難区域を除く全ての避難指示を解除し、賠償を打ち切ろうとしています。しかし、この事故を引き起こした国と東京電力は、被害の全てを償う責任があります。
 これまで避難者たちは、事故後の生活をなれない土地で何とか築いてきましたが、多くの避難者は、原発の安全性や被曝への不安などの理由から、戻らない、まだ判断がつかないとしています。
 そのやさき、来年の三月限りで住宅の無償提供が打ち切られようとしており、このことは、経済的困窮を引き起こし、多くの人々の生活基盤を失わせることになります。
 東京には、福島県からの避難者は二千六百人。今回避難解除の対象者は、千四百人となっています。強引に選択を迫られていると不安を募らせ、経済的にも困難な状況に陥ることが懸念されます。
 埼玉県や新潟県などでは独自支援策にも取り組んでおり、都としても福島原発の電気の恩恵を浴していた立場から、誠意を持って避難者と話し合い、本人の意思を尊重し、引き続き居住できるような都独自の支援策が必要と考えますが、見解を伺います。
 熊本地震では、情報提供のおくれや人手不足により、福祉避難所がなかなか機能せず、多くの課題が明らかになりました。また、一般の避難所でも、水不足で哺乳瓶の洗浄、消毒ができず、乳幼児にミルクを上げることができないため、子育て中の母親らが日本で製造されていない乳幼児用液体ミルクを輸入し、被災地への配布を求める要望書を内閣府に提出しました。
 生活者ネットワークは、予算特別委員会で小松久子議員がこの問題をいち早く取り上げています。
 熊本地震では、妊産婦が避難所で生活できず、車で寝泊まりするなど、避難所運営においてさまざまな課題がありましたが、女性や乳幼児、妊産婦等に配慮した避難所運営にかかわる都の取り組みについて伺います。
 旧立川政府倉庫は、知事が就任直後に視察し、多摩地域の備蓄倉庫として、突然、都が国から購入することにしました。築二十五年以上たち、二万二千平米もある旧立川政府倉庫は立川断層沿いにあります。
 生活者ネットワークは、活断層である立川断層の近隣には公共施設をつくるべきではないとこれまで主張してきました。四月に熊本を襲った大地震は、活断層による数回の揺れによって新耐震基準の建物でも甚大な被害を受けており、新耐震基準でもリスクはあります。巨大な旧立川政府倉庫を備蓄倉庫として国から買い入れる必要があるのか疑問です。
 今回、当初予算の七十六億円よりも三割安い五十二・六億円が購入価格として示されました。立川断層があることが価格が安くなった要因の一つではないかと考えますが、震災が起こって使えなくなるのでは意味がありません。
 この倉庫の予算額と予定価格の差について伺います。
 二〇二〇年東京大会は、新国立競技場、大会エンブレムの白紙撤回と大騒動が相次ぎ、無駄にお金が使われただけではなく、今後、都の負担がどれだけ膨れ上がるのか予想もつかない事態となっています。
 さらに今回、招致をめぐって、海外コンサルタント料約二億三千万円の疑惑が大きく報道で取り上げられています。招致委員会が結んだ、問題の海外コンサルタントとの契約に関する経緯や内容など不明な点が多くあります。JOCは調査を開始したとのことですが、東京都も開催都市として、大会招致の疑惑を追及し、きちんと明らかにしていく責任があります。
 東京都と招致委員会は、役割分担をしながら招致活動を行ってきたと聞いていますが、その役割分担の中で、問題とされている契約を含め、都はどのような国際招致活動を行い、委託契約の相手方をどのように選定したのか伺います。
 最後に、羽田空港の飛行経路の変更についてです。
 提案されている新たな経路は、港、渋谷、品川区など都心の上空を、スカイツリーよりも低い六百十メートル以下の高度で飛行するルートです。氷やゴムの破片が航空機から落下する事故は、着陸前に車輪を出すいわゆる足出し時に多発するため、成田空港では、海上で行うよう国交省が勧告を出していますが、新ルートでは、住宅密集地の上空での足出しが避けられません。騒音や、民家の頭上で事故が起きる危険性などに対する懸念からも、計画見直しを求める声が各地から上がっているのは当然といえます。
 このような都民の声を都としてもしっかりと受けとめ、騒音や落下物への不安を解消するとともに、丁寧な説明を行うよう国に働きかけるべきと考えますが、都の所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 西崎光子議員の一般質問にお答えをいたします。
 都民の意見に対する受けとめについてご指摘がございました。
 多くの都民の皆様から厳しいご批判をいただいていることは、真摯に受けとめております。今回の調査結果をもって、直ちに皆様の理解を得られるとは決して考えてはおりません。この結果を踏まえて、問題にしっかりと対応して地道に都政の発展に尽くしていくことで、信頼回復に努めていきたいと考えております。
 米国出張中に熊本地震が発生しまして、発生直後に事実を把握し、その後、都庁からのメールや電話などによりまして、逐次報告を受けました。そして、宿泊部屋や移動中の車中などでも協議を行いまして、対応について指示を行ったところでございます。
 また、都庁におきましては、休日を含め、副知事以下を参集させ、情報の共有と速やかな対応をするように徹底したところでございます。
 海外に出張中でありましても、日本国内での大きな災害が発生した場合、都として十分な体制をとっておりまして、知事として被災地へのお見舞いの気持ちも発信していたところでございますが、桜祭りパレードの映像が多く報道され、不快に感じられた方が多くいたということにつきましては、真摯に受けとめたいと考えております。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 海外出張経費についてですが、検討会においては、これまでの海外出張を検証し、出張人数や経費削減はもちろん、経費の公開方法などについてまで広範に検討を進めているところでございます。
 ファーストクラスや、いわゆるスイートルームについては、既に知事が利用しないと表明しておりますが、そのほかの検討項目につきましても、前例にとらわれず、徹底した見直しを進めることとしております。
   〔人事委員会事務局長藤田裕司君登壇〕

○人事委員会事務局長(藤田裕司君) 知事の旅費の増額協議に係る手続についてでございますが、人事委員会の意思決定は、地方公務員法及び人事委員会規則の定めに基づき、三人の委員により審議し、その合議によって行いますほか、人事委員会で一定の考え方が示された事案などにつきましては、案件に応じて委員会の事務を補助執行する事務局長等を決定権者としております。
 こうした仕組みのもと、お尋ねの知事の旅費の増額協議につきましては、知事は地方公務員法の適用を受けない特別職でありますが、手続の万全を期したいとの任命権者からの要請に基づきまして、従前より、公務の円滑な遂行の必要性など増額の理由が適切であるか否かを確認し、事務局長決定で処理しているところでございます。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、福島県からの避難者への居住支援についてでございます。
 都はこれまでも、福島県からの避難者等を対象に、都営住宅の募集において、入居要件の緩和や、当せん率が一般の五倍となる優遇措置を実施するとともに、東京都住宅供給公社の一般賃貸住宅への紹介やあっせん等を行ってきております。
 また昨年度、飯田橋に設置した相談拠点の活用や福島県とともに行っている戸別訪問により、避難者からの相談にきめ細かく対応してございます。
 引き続き、生活状況や意向などを聞きながら、福島県と連携を図り、支援を行ってまいります。
 次に、羽田空港の飛行経路の変更についてでございます。
 二〇二〇年大会やその後の航空需要に応え、国際便の就航をふやしていくためにも、羽田空港の容量拡大は必要不可欠でございます。
 国は昨年度、都内十六カ所で延べ七十日間にわたり説明会を開催し、住民からは騒音や落下物への懸念も含め、さまざまな意見や要望がございました。
 都は、こうした状況なども踏まえ、引き続き国に対して、地元への丁寧な説明と、騒音の影響を軽減する方策や、徹底した安全管理に取り組むこと等を要望してまいります。
 今後とも、都民の理解が深まるよう、積極的に取り組み、国際的な拠点空港としての羽田空港のさらなる機能強化を図ってまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 女性や乳幼児、妊産婦に配慮した避難所運営についてのご質問にお答えをいたします。
 東京都地域防災計画の修正を踏まえまして、都は、女性や要配慮者の視点を取り入れて、区市町村のための避難所管理運営の指針を平成二十五年二月に改定をいたしました。
 その中には、区市町村が取り組むべき具体的な事項として、女性専用の更衣室や授乳室の確保、避難所管理責任者への女性の配置などを盛り込んでおります。
 今後、熊本地震の経験から得られた教訓も踏まえ、区市町村が女性や乳幼児、妊産婦等に配慮した避難所運営を行えるよう、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を働きかけてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 旧立川政府倉庫の価格についてでございますが、予算額は、公示価格や国有財産台帳の価格を参考に推計したものでございます。
 一方、予定価格は、土地の形状など当該不動産の具体的な状況等を踏まえ、都と国それぞれで実施いたしました不動産鑑定士による鑑定評価の結果のうち、より低廉な国の評価額を採用したものでございます。
 なお、同倉庫は、いわゆる新耐震基準を上回る基準として都が定めております構造設計指針に適合した高い耐震性能を有してございます。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 二〇二〇年大会東京招致についてでございますが、都と招致委員会は、行政と民間という団体の特徴を生かしながら役割分担を行いまして、招致活動に取り組んでおりました。
 国際招致活動のうち、いわゆるロビー活動などについては招致委員会が担当しておりました。したがって、報道されております契約には都は一切関与せず、公費も支出しておりません。
 一方、都は開催都市として、ロンドン大会におけるジャパンハウスの運営やIOCの公式イベントでのプレゼンテーションなどを担当しておりました。
 この都が担当していた業務の委託契約につきましては、契約内容に応じまして、複数業者に企画内容を競わせる企画提案方式を採用するなど、都の契約手続に沿って適切に行っております。

○議長(川井しげお君) 以上をもって質問は終わりました。

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