平成二十八年東京都議会会議録第九号

○副議長(小磯善彦君) 五十番石川良一君。
   〔五十番石川良一君登壇〕

○五十番(石川良一君) 知事の政治姿勢について伺います。
 当然のことでありますけれども、国民は、公権力を行使できる地位にある者が権力を行使して私腹を肥やすことはもちろんのこと、特定の人や団体に利益誘導を図る行為や、公私混同を忌み嫌います。ましてや東京都は、スウェーデンやインドネシア一国にも匹敵する予算を持っています。絶大なる権限を持ち、知事という地位にある者に対しては、法を犯すことはもちろんのこと、疑惑さえ持たれることのない高潔さが求められるわけであります。
 とりわけ前知事は、徳洲会グループからの五千万円の金銭を受け取った問題で厳しい批判を受け、辞職するに至ったことからも、都民から政治と金の問題には特に厳しい視線を投げかけられているわけであります。
 舛添知事も、かつて自身の著書の中で、夢と希望にあふれる国づくりの第一歩は政治改革である、金絡みのあらゆる癒着を断ち切る、これなくして日本が夢と希望を持てる国に生まれ変わることはあり得ないと記しています。
 まさに今、オリンピック・パラリンピック開催という夢に向かっていくときであります。知事自身に向けられた不信を払拭しない限り、オリンピック・パラリンピックという希望を語る資格がないということを断言をしておきたいと思います。
 知事が二〇一三年、二〇一四年、正月に木更津市のホテルに家族で宿泊した際、そのホテル代を政治団体が政治資金から会議費として支出しました。二〇一三年は衆議院議員選挙の結果についての相談であり、二〇一四年は知事選挙の対応で会議を行っていたと説明をしています。相談をした人物は同じ人であり、二〇一三年には数時間、二〇一四年には一時間程度面談したとしております。しかし、知事は五月の記者会見では、事務所関係者らと会議をしていたといっていたわけであります。
 木更津のホテルで家族と宿泊中、行ったという会議の内容、参加者、会議時間等について、記憶力のよい知事がなぜ最初から出版社の社長一人であることを、自分の口から率直に話をしなかったのか、その理由を伺います。
 また、知事が説明責任を果たす気があるなら、千葉のホテルで相談した人物を知事自身が明らかにしなければならず、そうでないと誰も知事の言葉を信じることはできません。改めて、誰だったのか、名前を明らかにしてください。
 政治家は、政治とお金にまつわる倫理性を常に高めていく努力が必要といえます。今回知事が公用車で通っていた湯河原の別荘の土地、建物の登記簿上の所有者は、株式会社舛添政治経済研究所で、夫人が代表取締役を務め、残る取締役は知事本人のみとなっております。
 昨日、この別荘を売却するという表明がありました。会社の所在地も世田谷区の自宅となっております。報道によると、世田谷の自宅も知事本人が三億円で購入をしたとのことで、その後、夫人代表の舛添研究所名義となり、今また知事の名義となっております。
 また新党改革の代表時代、みずからが代表を務める政党支部と関連する政治団体、グローバルネットワーク研究会、泰山会が家賃として舛添政治経済研究所に月額四十四万二千五百円、年通算で三千七百万円が支払われております。しかも、政党支部の収入の大半は税金である政党交付金で賄われており、国民の血税が家賃としてファミリー企業に還流しているというわけであります。
 資産公開は、政治家とお金にかかわる倫理性を高めることに主眼があるわけで、知事のわかりにくい資産のあり方を、家族も含め、みずからより明確にしていく必要があると考えます。
 東京都知事の資産公開については、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律に準じて条例化をしております。この条例の目的は、都知事の資産の状況を都民の不断の監視と批判のもとに置くため、資産を公開し、政治倫理の確立を期すと理解することができます。
 私も稲城市長を五期二十年務めましたが、市長一期目のときに、稲城市でお金と政治にまつわる疑惑があったわけではありませんが、まさに政治倫理を高めるため、まだ国の資産公開に関する法律ができる前であるにもかかわらず、東日本で最初に資産公開条例を制定しました。しかも、条例の内容は、配偶者や扶養子女も対象とし、普通預金も含めた資産をも対象としたわけであります。また五人の委員から成る資産報告審査会を設置し、厳正な審査を行い、制度の趣旨を徹底させました。
 知事や市長などの首長は、権限も強く、また政治とお金について家族を含め疑いを持たれることのないよう、決然とした態度で臨めるようにするのは当然のことであります。
 知事の公私混同問題が噴出しているからこそ、配偶者や知事自身の普通預金も含めた徹底した資産公開をこの際行うべきと考えますが、いかがですか。
 次に、基地問題について伺います。
 一昨年二月、多摩地域経済団体横田飛行場民間利用促進協議会が発足をしました。設立趣旨は、横田飛行場への民間航空機利用を、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催時までに実現するよう、地元多摩地域の経済団体等が連携し、実現を図るとしております。
 そして、昨年には、ラグビーワールドカップの開会式や開幕戦が東京スタジアムで行われることも決定をいたしました。また、イングランド大会は、世界のVIPや富裕層がプライベートジェットでロンドンを訪れております。今回、ラグビーワールドカップからオリンピック・パラリンピックにつなぎながら、横田基地を民間航空機が利用できる空港とするまたとない機会といえます。
 知事は、マスコミとのインタビューで、本年二月に、横田基地の軍民共用化について、五輪の機会しかないと述べております。都として具体的にどう取り組むのかお伺いいたします。
 かつて石原知事は、国が動かなければ、みずからが行動を起こして政策課題に挑戦をし、ディーゼル車の排ガス規制なども実現をいたしました。また、米軍基地問題についても、日米安保にかかわる外交、防衛問題であることを承知の上で、敗戦による米軍の占領が続いているともいえる東京の基地のありようを変えるために努力をし、一部空域の返還も実現をいたしました。
 それに比べて、舛添知事の具体的行動が見えないわけであります。基地の軍民共用化については、西多摩の関係する自治体と意見交換し、また西多摩の振興策も具体的に示し、理解を求め、足元を固めて、政府や米側に働きかける必要があると考えます。
 現在、二〇四〇年代を見据えた都市像について、都市づくりのグランドデザインの議論が都市計画審議会の中で有識者によって始まっておりますけれども、例えばこのような長期的な視点での検討においても、この基地問題は重要なテーマの一つと考えられます。
 そこで都は、長期的に基地問題についてどう取り組んでいくのか伺います。
 グランドデザインの中では、しっかりと東京の基地の未来像を描いていくことを求めておきたいと思います。
 最後に、多摩ニュータウン長峰地区のまちづくりについて伺います。
 多摩ニュータウン稲城地区は、昭和六十三年に入居が始まり、計画的で都市美を備えたまちづくりが進んできました。稲城市域は三つの住区に分かれ、それぞれの地域に住民の皆さんの生活の利便上必要な施設を誘致しながら、まちづくりが進んできました。また、稲城市には、東京都からも部長級の職員の派遣を得ながら、UR都市再生機構と連携を図りながらまちづくりを進めてきました。
 今回、長峰地区では、入居当初より都市センター、住区サービス、病院等のための用地活用とうたわれており、稲城市の都市計画マスタープランでも、地域支援機能集積地、近隣利便施設地区に指定された用地として、最後に残された四千七百平米の土地があるわけであります。
 ところが、ガス工事の工事用車両基地を建設する企業に、URがこの土地全てを売り払ってしまったわけであります。住民からすれば、商業などの施設が進出する用地とURから入居の際、説明も受けており、まさに青天のへきれきだったわけであります。
 今回、長峰地区の住民代表から、都においてURに対して、近隣利便施設の提供等を求める陳情も出されております。
 そこで、現在の状況について伺います。
 稲城市のニュータウンづくりは、短期間でまちづくりを進めることによって起こる急激な少子化や高齢化、商店街の衰退の弊害を避けるために、時間をかけて進めてきたわけであります。これからの時代の変化に対応できるリザーブ用地を確保していくことも重要です。長峰地域住民が望む、商業施設やこれからの時代に必要となる高齢者施策のための土地利用が可能になるよう、都も、多摩ニュータウンの事業者として大所高所から支援をしていただくことを求めておきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 石川良一議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、千葉のホテルでの打ち合わせについてでございますが、平成二十五年一月に行いました打ち合わせについては、つき合いが長く、かねてより相談相手としておりました元新聞記者の出版会社社長をホテルの客室に招き、前月に行われました衆議院選挙で結果を出せなかったことを踏まえまして、政治家としての今後について相談をしたものでございます。また、翌年一月の打ち合わせにつきましては、翌月に実施された都知事選挙への出馬について決断を迫られていたことから、同じく出版会社社長にホテルに来ていただき、相談したものでございます。
 最初から自分の口で率直に話さなかったではないかというご指摘につきましては、真摯に受けとめ、深く反省しているところでございます。また、この社長の氏名等につきましては、大変恐縮でございますが、先方との関係でお答えできないことをご容赦願いたいと思います。
 資産公開についてご質問がございました。知事の資産公開は、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開に関する法律に基づいて条例を定め、国の制度に準じた運営を行っているものでございます。ご提案のような件につきましては、国の動向も踏まえて対応してまいりたいと考えております。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、横田基地の軍民共用化に向けた取り組みについてでございますが、横田基地の共用化は、首都圏西部地域の航空利便性の向上や、多摩地域の活性化などに資するものでございます。また、二〇二〇年大会の開催時には、海外からの来訪者の増加も見込まれます。
 この問題は、外交、安全保障にかかわることから、国と連携していくことが不可欠でありまして、今後とも、提案要求活動などの機会を捉え、国に働きかけてまいります。
 次に、基地問題への取り組みについてでございます。
 米軍基地は、日米安全保障体制の一翼を担うものでございますが、日米地位協定では、必要でなくなった場合は我が国に返還しなければならず、そのために必要性を絶えず検討する旨が定められてございます。
 都は、国に対し、都民の生活環境を改善し、地域のまちづくりを推進する観点から、基地の返還の可能性が検討され、整理、縮小、返還が促進されるよう働きかけを行っており、この取り組みを今後も継続してまいります。
 最後に、稲城市長峰地区の開発についてでございますが、事業者は、近隣住民に対し建設計画に関する説明会を四月に行っており、現在、近隣利便施設の設置等について、住民との話し合いを継続的に行っているところでございます。

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