○議長(川井しげお君) 十六番斉藤やすひろ君。
〔十六番斉藤やすひろ君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○十六番(斉藤やすひろ君) 初めに、舛添知事の政治姿勢について質問します。
まず、知事は、第三者の弁護士によって、違法とはいえないとの調査結果を、あたかも錦の御旗のように掲げておりますが、繰り返しになりますが、この弁護士は、あくまでも知事が雇った弁護人にすぎません。
そもそも、知事が第三者と呼ぶ佐々木善三弁護士は、猪瀬直樹前知事が徳洲会から現金五千万円を受領した事件で弁護を担当し、刑事処分を略式起訴にとどめた敏腕弁護士であります。誰に対して、何に対して厳しい目を持つ第三者なのでしょうか。
知事は、この弁護士を猪瀬前知事から紹介でもされたのでしょうか。仮に、紹介されたのでないにしても、一連の疑惑問題を担当しているという状況を見れば、佐々木善三弁護士は、客観性ある調査ができる弁護士とは思えないわけであります。
知事は、この弁護士に、自分を守るために調査を依頼したのではないですか、見解を求めます。
次に、政党交付金による借入金の返済疑惑についてであります。
政党交付金は、政党助成法第十四条において、借入金の返済に充ててはならないと規定されています。
昨日の我が党の代表質問で知事は、先月、五月二十日、新党改革の荒井広幸代表が、改めて借入金に政党交付金を一切使用していない旨のコメントを出しているところでございますと答弁されました。
しかし、平成二十二年に、みずほ銀行から二億五千万円の借り入れをしたときの新党改革の代表は舛添要一知事であり、借入金を返済したときの代表もまた舛添要一知事であります。現在の荒井代表がコメントを出しても、何の説得力もありません。
この借入金は、平成二十二年に二億五千万円借り入れた後、同年中に一億五千万円返済をし、残額の一億円を元金均等返済にしています。その際に、政党交付金を比例第四支部とグローバルネットワーク研究会に迂回させて、再び新党改革に戻し、みずほ銀行に返済をしているのです。
一例を挙げると、平成二十三年十月二十日、政党交付金として新党改革は、二千九百八十五万二千五百円を受け入れ、その日のうちに一千二十五万円を比例第四支部に入金、その翌日に、グローバルネットワーク研究会に六百万円入金しています。そして、十一月九日には、グローバルネットワーク研究会から新党改革に二百五十万円を寄附し、十一月十日には、みずほ銀行に三百五十万円返済をしています。
お金に色はありませんから、比例第四支部やグローバルネットワーク研究会を利用した巧みな迂回返済だと考えられます。違法とはいえませんが、まさに脱法行為そのものであります。
他人が作成した答弁を読むのではなく、自身、知事の言葉で説明を求めます。
今回の調査について知事は、私自身が自民党に所属したころは、政党助成金につきまして、党の内規に基づき厳しいチェックがなされておりました。しかしながら、新党改革を結成した後は、自民党のような政党助成金の内部チェックシステムがなく、また、自分が党の代表であると、そういう慢心もあったと思っておりますと、繰り返し繰り返し釈明しております。
しかし、そもそも知事が、あなたが自民党を離党した際は、民主党政権下で、当時の鳩山首相と小沢幹事長の政治と金の問題について、自民党の対応が甘いことを理由に離党し、新党改革を立ち上げておられます。その代表になったから慢心が起こったというのであれば、全くの論理矛盾であり、論理破綻ではありませんか。
知事は、二〇一四年の著書「母と子は必ず、わかり合える」の中で、都知事選への出馬をするときの決意を次のように述べております。
私自身は、私利私欲を離れて、公、パブリックのために尽くすという気持ちになる、つまり、無私という境地に達しない限り政治家になるべきではないという信念を抱いていましたし、今もそれは変わりません、その覚悟がない限り、金権腐敗の政治家に堕落する危険性が常につきまとうからです、無私の精神で東京都民のために全力を尽くすという気持ちを固めることができたとき、都知事選に打って出る決心をしたのですと。
この決心は今、一体どこへ行ったのでありましょうか。新党改革時代、そして都知事になってからも一貫していえることは、政治と金に執着した哀れな姿なのであります。
知事、出処進退はご自身が決めるべきものであります。
一昨日の記者会見、昨日の代表質問により、都民の怒りの声はさらに高まり、知事の辞職を求める声は、ますます広がりを見せております。にもかかわらず、いかなる理由で知事にとどまろうとされるのか、明快なる答弁を求めます。
特別支援学校の医療的ケアについて質問をします。
近年の医療技術の進歩や在宅医療の普及を背景に、特別支援学校では医療的ケアを必要とする児童生徒が増加しています。それに伴い、医療的ケアの種類や程度により、学校での引き継ぎ期間が長期間必要になるなど、保護者の付き添いが重い負担になっています。
都教育委員会では、国に先駆けて、肢体不自由特別支援学校に非常勤看護師を配置しました。また、平成二十四年度の法改正により、医師や看護師との連携のもとで、特別支援学校の教員も、法令に基づき一定の研修を受け、たんの吸引などが行えるようになりました。
しかし、肢体不自由特別支援学校では、安全かつ適切に医療的ケアを実施するためには、医療的ケアを実施できる教職員の人数の確保と、その力量の向上を図ることが課題となっています。
そこで、都立肢体不自由特別支援学校での医療的ケアの実施体制の拡充について伺います。
さらに、肢体不自由特別支援学校以外の特別支援学校も医療的ケアが必要な生徒がおります。
先日、視覚障害のある生徒が、二泊三日の移動教室に参加を希望しておられましたが、別の障害で気管切開をしており、たんの吸引ができる介助者を保護者が負担してつけなければ、参加は認められないといわれてしまいました。保護者がヘルパー代を負担し、付き添わせ、やっとの思いで参加させることができました。
このようなご家族の経済的な負担を解消し、安心して移動教室に参加できるよう、都は制度改正を検討すべきだと要望しておきます。
次に、都立知的障害特別支援学校における自立と社会参加に向けた取り組みについて伺います。
我が党はこれまでも、特別支援学校における就労支援のさらなる充実を求めてまいりました。
これに対し、都教育委員会は、生徒全員が企業就労を目指す学校の設置や職業教育の改善に取り組んできており、平成二十六年度の知的障害特別支援学校高等部卒業生の就職率は四四%となり、全国の三一%と比較して高い成果を上げております。
一方、半数以上の生徒が作業所などを進路先としています。このような作業所などで、卒業生が役割を通じて自身の能力を発揮し、喜びや達成感を得ながら、あるいはスキルアップをして企業就労移行に挑戦したりしながら、生き生きと生活していけるようになることが重要であります。
そのための取り組みの一つとして、生徒一人一人が特別支援学校において受けてきた具体的な配慮を、確実に作業所などへ伝えていくことが大切であると考えます。都教育委員会の見解を伺います。
次に、難病者施策について質問します。
昨年一月、いわゆる難病法の施行により難病の対象が拡大され、今後ますます重要になると思われるのが、患者の療養生活を支える仕組み、特に就労支援の充実です。難病といっても病態はさまざまであり、就労形態や通院への配慮さえあれば、十分就労を続けられる患者の方々もおられます。
我が党の主張を受け、都は、東京都難病相談・支援センターの機能を強化し、平成二十七年度から難病就労支援コーディネーターを配置し、就労に関する相談支援などを実施し、一定の成果を上げています。しかし、患者の療養状況に応じた就労のためには、さらなる支援が必要です。
そこで、今後は、ハローワークとの連携をより推進するなど、センターにおける就労支援の取り組みをより一層強化していくべきです。
さらに、雇用主に対しては、難病と就労との両立の理解促進を図るとともに、難病に理解のある雇用主に対しましては、難病患者を雇用する場面で支援を行っていくことが必要と考えます。あわせて見解を伺います。
また、我が党はかねてより、現在の広尾の難病相談・支援センターだけでなく、多摩地域の難病患者がアクセスしやすいような環境整備を求めてまいりました。
本年二月発表の多摩メディカルキャンパスの報告書によれば、都は、キャンパス内に難病総合医療センターを整備する取り組みを進めているようであります。ぜひとも、このセンター内に、多摩地域の難病相談・支援センターともいえる機能を盛り込むべきです。改めて要望しておきます。
最後に、近年、重要になっております小児精神医療について述べます。
小児期に、自閉症や注意欠陥多動性障害を初めとするさまざまな心の病を発症することが明らかとなり、治療を必要とする患者の数は増加の一途をたどっています。
発達期の心の病に対しましては、成人期と異なる専門的医療が不可欠とされていますが、小児精神医学を専門とする医師や医療機関は限られております。初診時の待ち時間の長さなどが指摘されているところです。
また、子供の心を取り巻く課題に対応するためには、医療だけでなく、保健所、児童相談所、教育機関などさまざまな関係機関が連携して子供を支援する体制の構築を図る必要があり、加えて、臨床の現場と研究、教育機関との連携強化を進めることも重要です。
そこで、子供たちの健やかな成長のために、関係機関が連携したネットワークの構築を検討すべきと申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
○知事(舛添要一君) 斉藤やすひろ議員の一般質問にお答えをいたします。
まず、今回の調査についてでございますが、調査を依頼した弁護士の先生方は、調査を受けるまで全く面識のなかった方たちでありまして、厳しい捜査の経験の元検事の人たちでございます。
今回の調査におきましては、弁護士からの要請に基づき、私や秘書らから関係資料を提出し、私や秘書及び関係者がヒアリングに応じるとともに、必要に応じて弁護士の先生方がみずから資料を入手することで、調査を行っていただきました。第三者の目線からの厳格な調査を行っていただいており、信頼性は確保できていると考えております。
不適切というご指摘を数多く受けたことに対しましては、心から深く反省いたしますとともに、失われた信頼の回復に努力してまいりたいと思っております。
続きまして、新党改革への政党助成金を借入金の返済に充当させたのではないかというご疑問でございますけれども、この点については、既に現在の新党改革の代表者が説明しているところでございますが、具体的に申し上げますと、二〇一〇年に銀行から二億五千万を借り入れました。そのうち、一億六千三百四十四万円余りは使用しませんでしたので、その分は二〇一〇年に一億五千万円、千三百四十四万円余りは二〇一一年に返済をいたしております。そのほかにつきましては、利息金も含めまして、舛添そして荒井により、立法事務費、支持者各位からの会費や寄附金などの浄財、そして歳費より返済し、二〇一二年に完済をいたしております。新党改革への政党助成金を借入金の返済に充当させたということは、これはございませんし、迂回をさせてもおりません。
飲食費及び宿泊費についてでございますが――失礼しました。
最後に、いかなる理由で知事にとどまろうとするのかという厳しいご質問を、出処進退についていただきました。(傍聴席にて発言する者あり)今の私は、多くの都民の皆様からのご批判を受けまして、都知事として厳しい状況にあることは自覚を申し上げております。まずは、一昨日公表いたしました調査結果をもとに、反省の気持ちをしっかりと胸に刻みまして、地道に、そして都民の皆様、都議会の皆様の理解を得ていきたいと考えてございます。
〔傍聴席にて発言する者あり〕
○副議長(小磯善彦君) 傍聴席は静かにしてください。従わなければ、退室を命じます。
〔教育長中井敬三君登壇〕
○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、肢体不自由特別支援学校での医療的ケアについてでございますが、医療的ケアを必要とする児童生徒が安心して学校生活を送るためには、看護師、教員、学校介護職員及び保護者が相互に連携協力して、安全に医療的ケアを実施できる体制を確保することが重要であります。
このため、都教育委員会は、医療的ケアの研修について、平成二十五年度から、教員に加え学校介護職員も対象とし育成することで、校内において一人の児童生徒に対する医療的ケア実施者の複数確保に努めてまいりました。
今後は、育成研修の回数と専門的な研修の受講人数をふやすことにより、医療的ケア実施者の増加と知識、技能の向上を図り、量と質の両面から実施体制を拡充してまいります。
次に、福祉作業所等と特別支援学校の連携についてでありますが、生徒が、進路先である作業所等で、達成感を得ながら生き生きと生活していくためには、一人一人に対する有効な支援内容や方法について、特別支援学校と作業所等との間で十分に共通理解を図ることが重要でございます。
そのため、都教育委員会は、都立特別支援学校に対して、生徒の実態や支援内容等を書面にまとめ、進路先となった作業所等に送付するなど、支援情報を共有する取り組みを推進するよう指導してまいりました。
今後は、作業所等への進路が決まった生徒について、進路先の職員を直接学校に招き、授業や学校行事等において効果的に行われている支援を紹介するなど、生徒一人一人に応じた支援内容や方法を、より詳細、確実に伝える取り組みを推進してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
○福祉保健局長(梶原洋君) 難病患者への就労支援についてのご質問にお答えをいたします。
都はこれまで、難病相談・支援センターにおきまして、医療相談や患者家族の交流会などを実施いたしますとともに、ハローワークと連携し、就労に関する相談会を実施してまいりました。
また、昨年度から、難病と就労支援に係る知識を有するコーディネーターをセンターに配置し、就労への助言、相談を行いますほか、多摩地域のハローワークに同行して、患者の就労相談時に、病態や就労に当たっての留意点等を説明するなどの支援を開始しておりまして、今年度は、都内全域のハローワークに同行できるよう、コーディネーターを増員し、体制を整備することとしております。
現在、都は、学識経験者や支援機関の代表者等で構成する特殊疾病対策協議会におきまして、就労支援を含めた難病対策の方向性を検討しており、今後、その結果も踏まえ、関係機関と連携して就労支援の一層の充実を図ってまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕
○産業労働局長(山本隆君) 難病患者の雇用の促進についてでございますが、難病の方が疾患管理を行いながら働いていくためには、職場の理解や事業主への支援が重要でございます。
これまで都は、障害者雇用についての啓発資料や職場定着支援のための助成金において、難病患者を対象として追加するなどの取り組みを行ってまいりました。
今年度は、障害者や難病患者の職場定着やさらなる活躍を推進するため、職場での支援者を養成する事業や安定雇用と処遇改善を行う事業主への奨励金を創設いたしました。また、七月に開催する障害者雇用支援フェアにおきまして、難病相談・支援センターのコーナーを新たに設け、企業の理解を進めるためのセミナーを開催いたします。
これらの取り組みを通じまして、難病患者の雇用の促進を図ってまいります。
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