平成二十八年東京都議会会議録第九号

○議長(川井しげお君) 八十一番大島よしえさん。
   〔八十一番大島よしえ君登壇〕

○八十一番(大島よしえ君) 舛添知事の一連の公私混同問題について質問します。
 一昨日の調査報告書の発表と、昨日の代表質問での答弁を聞いた都民から、こんな人が東京都の知事であるなんて世界に向けて恥ずかしい、倫理観欠如の舛添知事を都民、国民は許さない、年金暮らしの人は一食二百円以内で暮らしている、都民の怒りを知れなどなど多くの声が寄せられ、都民の怒りはますます強まっています。
 昨日の我が党の代表質問に対する知事の答弁には、都民の誰もが納得せず、知事が事実を明らかにし、潔く辞職することを求めています。
 そこで、知事に改めて伺います。
 我が党は、代表質問で、二〇一三年と一四年の正月、千葉県のホテルに知事が家族と宿泊した費用を会議費として政治資金収支報告書に記載した問題をただしました。
 知事は、五月の記者会見で、事務所関係者らとの会議だと説明したのに、弁護士の報告書では、出版会社社長に相談した面談だったとされ、矛盾することを我が党はただしました。
 しかし、知事は、会社社長という人物は、事務所とおつき合いがある方々という広範な趣旨で事務所関係者と述べたといい繕い、さらに会社社長との面談、そして具体的には、それは会議という表現であってもよかったなどと答弁しました。
 知事、いいかげん、見苦しいいい逃れはやめてください。
 改めて伺いますが、知事は、この家族旅行の費用を政治資金収支報告書に会議費として記載したことは適切だったと今でも認識しているのですか、お答えください。
 知事が幾ら会議は存在したといい張っても、知事が依頼した弁護士でさえ、その社長なる人物からヒアリングしておらず、実在するかどうかも疑わしいという声が多くの都民から上がってきているではありませんか。
 知事、この二回の政治資金収支報告書が虚偽記載でないというのなら、その人物が実在し、ホテルに訪ねてきた、客室で面談したという何らかの証拠を示すべきではありませんか。そうでなければ、いつまでたってもホテルでの会議なるものは、知事の苦し紛れのつくり話という都民の疑念を消すことはできません。知事、明確に答えてください。
 我が党は、情報開示請求でホテルの領収書を入手しました。パネルにしました。
 二〇一三年一月三日と二〇一四年一月二日、二枚の領収書です。総額だけの領収書で、使途のただし書きなどはありません。私はホテルに確認しましたが、通常、支出の明細と同じ紙に領収書がついているそうです。政治資金規正法十一条は、支出目的を明記した領収書等の提出を求めています。なぜ明細がついていないのですか。わざわざ切り離したのですか。知事、お答えください。
 次に、都民からも批判の声が上がっている美術館に偏重した視察についてです。
 知事が公務として行った年間五十五回の視察のうち、美術館は三十九回にも上っていながら、保育園や介護施設などは一度も、一カ所もないという実態に、都民からの厳しい批判の声が上がっています。発表された調査報告書でも、さすがに偏重の是正が提起されました。
 日本共産党は、知事の日程予定表を分析し、美術館に偏重した視察の実態を記者会見で明らかにしましたが、明らかに特定の分野、自分の趣味や関心に偏重した視察といわざるを得ません。
 例えば、知事は、美術館視察の理由に、オリンピックの文化プログラムを挙げていますが、美術館は三十九回視察しながら、他の音楽、舞踊分野などの視察は一度もありません。
 他方、美術館では、相手から招待されるからという理由で、一年間に複数回訪問している美術館は、都立施設を除いても十一館。しかも、浮世絵専門美術館には三回も訪問し、時には一日に同じ作家の浮世絵展をはしごで視察しています。
 このような視察先の選定は、知事の個人的な趣味や関心の反映が明らかに見てとれます。こうした傾向は、公正、公平な行政執行が求められる知事の立場が厳しく問われるものといわざるを得ません。いかがですか。
 さらに、知事は、美術館視察で、オリンピックに向け時間延長や多言語化への対応、共通チケットの発行を要請し、懇談すると記者会見で説明しましたが、私たちの調査では、要請や懇談もなく、鑑賞だけだった視察が確認できるだけで八回ありました。三回視察したある美術館は、三回とも協力要請はなかったと話しています。このように、到底オリンピックのための仕事というより、鑑賞が主目的の視察があったのではありませんか。
 そうした公務性が疑問視せざるを得ない視察も、生活文化局が訪問先に受け入れを要請し、事前の準備や当日の受け入れ体制をとるなど、都の職員が複数動員され、公用車が使用されています。
 しかも、視察先は局が提案するのではなく、全て知事の指示で決定されています。知事の趣味や関心のために職員が動員されてきたことを知事は当然だと考えているのですか。
 しかも、知事は、美術館の視察について、ある公務地点から次の公務の地点に行く間に、かなり押し込んでもらったと話していましたが、知事の日程予定表と庁有車の運転記録を突き合わせると、午前中は美術館視察のみだった日は五回、午後五時前に美術館に行き、そのまま帰宅する日が十一回、さらに一時間半で二つの美術館をはしごしている日もあります。到底全てが忙しい公務の間に視察したとはいえないのではありませんか。
 こうした視察でも、知事の公私混同ぶりは厳しくたださなければなりません。
 公用車の私的使用問題について伺います。
 昨日の代表質問で、世田谷区の自宅から湯河原の別荘及び別荘から世田谷の自宅への帰宅の際に公用車に家族を乗せたことは一度もないかとただしたところ、知事はない旨の答弁をしました。
 そこで、改めて伺いますが、知事就任以来、公用車に家族を一度も乗せたことはないのか否か、明確な答弁を求めます。
 次に、都政の緊急課題の一つである住宅問題について質問します。
 非正規雇用や不安定就業者がふえる中で、賃貸住宅の家賃すら満足に支払えない若者が急増し、ネットカフェ、違法貸しルームなど、住まいとも呼べない劣悪な施設に居住せざるを得ない住まいの貧困が社会問題となっています。
 ある三十代前半の女性は、大学を卒業し、IT関連会社に正社員として就職しましたが、職場でのハラスメントに悩み退職。業務委託の家庭教師と派遣の販売の仕事に転職しましたが、仕事が減って収入が減少し、アパートに住むことができなくなり、シェアハウスに転居。月収十三万円、家賃四万二千円、残り八万円ほどで税金、保険料を支払うと生活は本当に厳しいと語っています。
 今日、低賃金、不安定雇用が増加する中、若い世代は、良質で低家賃の住居を確保できず、脱法ハウスといわれる劣悪な住居に入居したり、親の家から独立できず、世帯内単身者となる例がふえています。都の子供・若者計画でも、子供、若者を取り巻く環境は、時代の急速な変動とともに、目まぐるしく変化していることを述べています。
 こうした社会的自立に困難を抱える若者の実態を都はどのように認識していますか。
 住宅セーフティーネットの中核と位置づけられているのが公営住宅、都営住宅です。低所得者に公平かつ的確に供給しなければなりません。
 しかし、都は、都営住宅の新規建設を十七年間拒否し続けたため、空き家住宅の応募倍率は、世帯向けで平均二十六・二倍、優遇抽せんを除く一般は最高で三千百七十七倍、単身向けで平均五十七・一倍、最高三百五十三倍という高倍率で、何度申し込んでも当たらない、生きているうちに入居できるかと怒りと諦めの声が寄せられています。このような状況を都はどのように認識していますか。
 また、低所得で入居資格を持つ人の大多数が応募しても入居できない現状で、若年単身者の入居も視野に入れ、都営住宅の新規建設を再開することや建てかえ住宅の戸数をふやすことが重要ですが、いかがですか。
 住生活基本法にある住生活の安定の確保のための施策の推進にとって、住居費負担軽減は最大の課題です。国交省は、家賃補助制度については、対象世帯、民間家賃への影響、財政負担等の課題があり、慎重な検討が必要という考えを示しましたが、否定しませんでした。家賃補助制度の課題について、都はどのように考えていますか。
 国の社会資本整備審議会住宅宅地分科会では、臨時委員から、民間住宅の空き家や空き室のストックを適正に改修し、自立高齢者、子育て世代、若年世帯等への家賃補助による準公営住宅構想の実現化が提案され、空き家を改修し提供することが前提なら、公営住宅を新たにつくるよりコストがかからないといった意見も出されています。
 都は、問題となっている空き家も、都市のストックとして有効に活用できれば、地域の活性化に役立てることができるという見解を示しています。空き家を活用した新たな制度を検討する考えはありませんか。
 都民が人間らしく住み続けられる住居と環境を求める権利は、都民の基本的人権です。今住宅問題は、低家賃で良質な住宅の確保や空き家問題、マンション問題、住宅産業問題など、都政の重要な柱となっています。今後、住宅政策の執行体制を強化するために住宅局を専管部局として確立すべきではないですか。
 以上、答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 大島よしえ議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、政治資金収支報告書への記載についてご質問がございました。
 お話のホテルにおいて行った会議は、私にとりまして、旅行先といえども、政治的に極めて重要な意味を持つことでありましたことから、その認識に基づき、政治資金収支報告書に記載した次第でございます。
 しかしながら、昨日来、この議場での大変厳しいご指摘、都民の皆様からのご叱責、また弁護士の調査報告書によりまして、私が安易に全体の経費を政治資金として支出したことは、今となっては常識から外れていたというほかはなく、不適切であったと認識をいたしております。深く反省し、おわびを申し上げたいと思います。
 ホテル、客室での会議についてでございますが、お話の千葉県のホテルの会議につきましては、当初、私は事務所関係者により調査を行ったところでございます。しかし、身内の調査との批判を受けまして、第三者の目で厳しく調査していただいたことは、これまでご説明させていただいているとおりでございます。
 その元検事の弁護士の方々による厳しい調査の結果、客室での会議、調査報告書は面談という表現になっておりますけれども、その面談が行われた事実の認定はなされたと認識をいたしております。
 一昨日の会見におきましても、当該弁護士から事実認定については十分尽くしたとのコメントもいただいております。都民の皆様のご批判につきましては、私の不徳のいたすところでありまして、深く反省をいたしております。
 ホテルに宿泊した際の領収書についてご質問がございました。
 第三者調査で収支報告書に添付されております領収書を確認していただいておりますけれども、ご質問の千葉県のホテルの領収書には、ただし書きを記載する欄がそもそもございません。明細については、私に定かな記憶がございませんので答弁を差し控えさせていただきますが、いずれにしましても、本件につきましては是正が必要な支出という指摘をいただいたところでありまして、今後適切に対応してまいりたいと思っております。
 視察先の美術館についてでございます。
 視察先の選定は個人的な趣味ではないかというご指摘をいただきました。二〇二〇大会の文化プログラムの成功に向けまして集中的に行ってきたものでございますが、ご指摘のとおり、ほかの施設に比べ、美術館や博物館の視察の割合が高く、バランスを欠いていたということは反省しておりまして、改善をしてまいりたいと思っております。
 今後は、今般の私の視察への批判や第三者の弁護士による調査報告書の内容も十分踏まえまして、視察対象のバランスも配慮するなど、多摩・島しょ地域など、東京全体の地域性も考えながら、視察のスケジュールを組み立てていきたいと考えております。
 鑑賞が主なる目的ではなかったかというご指摘でございますが、文化プログラムの構築のために、私自身が多様な企画に触れて、発想を豊かにして、さまざまなアイデアを出していくことも大切であると考えております。今後は、疑念を持たれないよう、しっかりとバランスを持ってやっていきたいと思います。
 職員の動員を当然だと考えているんではないかという厳しいご指摘をいただきました。美術館、博物館の視察につきましては、先ほど申し上げましたように、二〇二〇年大会の文化プログラムの成功に向けまして集中的に行ってきたものでございますけれども、視察先につきましてバランスを欠き、結果として、所管する職員に負担をかけてしまった側面がございます。今後は、視察対象のバランスに配慮しながら、視察のスケジュールを組み立ててまいりたいと思っております。
 忙しい公務の間の視察とはいえないのではないかとのご指摘でございますが、さまざまなスケジュールの状況を勘案しながら、効率的な視察を行えるように工夫をしてきたつもりでございます。先日もそのような認識のもとでお話をさせていただきました。ただし、今後は、今般の私の視察への批判や第三者の弁護士によります調査報告書の内容も十分踏まえまして、視察対象のバランスにも配慮するとともに、東京全体の地域性も考えながら視察のスケジュールを組み立ててまいりたいと思っております。
 公用車の家族の同乗についてでございますけれども、これまで園遊会、在京大使主催の懇談会、音楽鑑賞などの文化的行事や夕食会などに家族を伴って出席する際に家族を公用車に同乗させたことはございます。これらは、いずれも私が都知事として招待を受け、同時に家族も招待されたと認識したものでございます。
   〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 社会的自立に困難を抱える若者についてですが、少子高齢化、情報化、国際化などの進展により、子供、若者を取り巻く環境は大きく変化し、社会的自立に困難を有する子供、若者の持つ背景は、これまで以上に複雑なものとなっており、その抱える問題は深刻化しております。
 都はこれまでも、福祉、教育、雇用等の各分野の施策において、子供、若者へのさまざまな支援を行ってまいりましたが、さらに、昨年八月には、東京都子供・若者計画を策定し、関連分野における施策を総合的に推進しているところでございます。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都営住宅の公平かつ的確な供給についてでございます。
 都営住宅の募集に当たっては公募を原則としており、これに加え、高齢者や子育て世帯などに対して優先入居を実施するなど、真に住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給するよう努めてございます。
 今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅について、既存ストックの有効活用を図って、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
 次に、家賃補助についてでございます。
 家賃補助制度については、国も、対象世帯、民間家賃への影響、財政負担等の課題を指摘しており、また国の生活保護制度との関係など、多くの課題があると考えてございます。
 最後に、空き家を活用した新たな制度についてでございますが、国は、民間賃貸住宅を活用した新たな仕組みの構築も含めた住宅セーフティーネット機能の強化についての検討を、本年四月から始めたところでありまして、都としては、こうした国の動向を注視してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 住宅政策の執行体制についてでございますが、住宅部門については、都市整備局として再編以降、担当理事を設置するなど、必要な体制強化を図ってまいりました。
 現在、局内のまちづくり部門はもとより、福祉分野などの関係局とも、より密接に連携することで、直面する重要かつ困難な課題の解決に効果的に取り組んでおります。
 今後とも、その時々の行政課題に応じて必要な検証を行いつつ、最適な執行体制の確保に努めてまいります。

○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十七分休憩

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