平成二十八年東京都議会会議録第八号

   午後一時開議

○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川井しげお君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 常任委員の所属変更の件を本日の日程に追加いたします。

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議することに決定いたしました。

○議長(川井しげお君) 追加日程第一、常任委員の所属変更の件を議題といたします。
 徳留道信君より、総務委員から都市整備委員へ、曽根はじめ君より、都市整備委員から総務委員へ、それぞれ常任委員の所属変更の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件は、申し出のとおり委員会の所属を変更することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、申し出のとおり委員会の所属を変更することに決定をいたしました。

○議長(川井しげお君) これより質問に入ります。
 百十一番神林茂君。
   〔百十一番神林茂君登壇〕

○百十一番(神林茂君) 平成二十八年第二回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 知事、私は怒っています。私だけじゃありません。都民の皆さんも、この議場にいる全ての議員も、職員の皆さんも、皆、知事が感じている以上に怒っています。
 何よりも余りにせこい、せこ過ぎます。これが日本の首都、オリンピック・パラリンピックを契機に世界に飛躍しようという世界有数の大都市東京の知事のやることかと啞然としてしまうありさまでございます。
 なるほど、確かにマスコミ報道に対しては、知事にもいい分はあるでしょう。昨日発表された第三者委員会の説明も、客観性が保たれ、詳細にわたっているかもしれません。違法性もないのかもしれません。
 しかし、違法性がなければ、それでいいのか。これで説明責任が果たせたとは、私は到底思えません。十分だとは全く思っていません。
 現に報告書においては、宿泊費に関して六件、飲食費に関して十四件で是正措置が必要と指摘され、そのほかにも、政治資金の支出として不適切とされたものが多数上っております。仮に違法でなくとも、政治家として備えるべき道徳観、倫理観は一体どうなっていたのか、まことに恥ずかしい限りでございます。
 私ども都議会自民党は、今回マスコミが追及するはるか前から、一年余りにわたって、定例会ごとに知事の基本姿勢、海外出張などについて強く問いただしてまいりました。疑義を呈してまいりました。にもかかわらず、我が党の指摘を一切聞き入れることなく今日に至ってしまった。
 知事、都庁には現時点で怒りや抗議の電話やメールが、既に約二万五千件余り届いていることをご存じですか。都庁だけではありません。都議会自民党にも、私のところにも、都民の皆さんだけではなく、日本全国からお怒りや抗議の声が毎日たくさん寄せられております。
 知事は、抗議メールを一つでも読んだことがありますか。怒りの電話に一本でも直接対応したことがありますか。知事は、多くの都民、国民の皆さんの不信、失望を招いているのです。東京都に対する、都政に対する信頼を著しく失っているのです。知事はそのことをご存じですか。
 知事の発言にもあるとおり、まさしく信頼や信用というものは一朝一夕でできるものではありません。長い年月とたゆまぬ努力によって初めて培われるものです。何よりも一度失った信頼を取り戻すのは、並大抵のことではありません。それを考えると、今回失ったものは余りにも大きいといわざるを得ません。
 また、先ほど述べたように、都庁には多くの怒りの声が全国から殺到し、既に業務に支障を来しています。それゆえ、職員の皆さんも、本来やるべき仕事ができないでいるとも聞いております。
 来月には、リオデジャネイロでいよいよ夏のオリンピック、そしてパラリンピックも始まります。実際に大会運営のノウハウを学ぶ最初で最後の極めて貴重なチャンスです。
 また、防災対策など喫緊に対処しなければならない問題も山積しています。にもかかわらず、少なくない数の職員がその職務に専念できないでいる。まさに異常状態です。
 そして、この事態を招いたのは、舛添知事、あなたご自身、ほかならないあなたでございます。そして、この状況を打開できるのも知事ご自身しかいません。
 そのことを強く指摘して、舛添知事をめぐる政治資金、公用車使用にかかわる公私の混同、海外出張など一連の問題について一つ一つ伺ってまいります。
 先ほど申し上げたとおり、都政には待ったなしの重要課題が山積している状況であります。しかし、新年度のスタートダッシュを切るべきこの大事な時期に、知事をめぐる一連の問題が原因で都政が大きく停滞しております。
 先週の所信表明では、知事から謝罪と反省の言葉こそあったものの、その内容は説明責任を果たしたとは到底いえない、極めて不十分なものでありました。
 それゆえ、都議会自民党は、今日の代表質問で、疑念について確認し、納得いく説明を求めるため、知事に直接ただしていきます。知事には、我々の質問に正確かつ誠実に答えることで、都民の代表である都議会への説明責任を果たすことを求めます。
 初めに、最も疑問点の多い政治資金関係の問題から始めます。
 まず、昨日発表された第三者による調査について伺います。
 この調査を行った弁護士の説明によれば、知事及び秘書らから関係資料の提出を受けた上、知事や秘書及び関係者らのヒアリングを行うとともに、必要に応じてみずから資料を入手するなどして調査を行ったとあります。
 しかし、今回の一連の報道の中で、知事にとって不利益な発言をしている元会計責任者や、領収証を発行している店などと弁護士は接触したのかは不明であります。
 仮に接触していない場合、本調査は果たして客観的に信頼性を保てるとお考えか、知事の所見を伺います。
 次に、千葉県木更津市所在のホテルの宿泊料を政治資金収支報告書に計上していた問題について伺います。まさに公私混同の象徴ともいうべき事案であります。
 まず、昨日の会見では明らかにされなかった事項でありますが、改めて、平成二十六年正月にこのホテルで会議を行ったメンバーの氏名をお答えください。
 知事は記者会見で、ホテルでの会議は相当やったと発言しております。正月の何日何時から会議をスタートし、何時に終了したのでしょうか。
 このホテルは通常、チェックインが十五時と伺っております。さらには、夕食は別室で提供する仕組みになっているとの報道もされております。一方で、知事ご自身が温水プールにも行ったと発言しており、だとすると、会議を昼間に相当時間行うのが可能だなどと、都民の誰もがとても思えない話であります。
 仮に会議を行っていたとしても、家族旅行の蛇足で多少の政治的な打ち合わせをしたら、それが税金を使って行う政治活動に変わるはずがありません。これこそ公私混同のきわみであります。そもそも会議をやるなら、都内でも幾らでもできるはずではありませんか。これでは、家族旅行の代金を浮かすために政治資金を活用しようとしているといわれても仕方ありません。余りにせこい話であります。
 このことについて、知事の見解を伺います。
 次に、書籍の購入について伺います。
 知事は、平成二十三年十月に児童書などを購入し、その中にはコミックやクイズ本が含まれていることが領収書により判明しております。知事は再三、クイズ番組に出演され、クイズ本の購入はタレント活動のためとの指摘もありました。
 一方で、報告書からは、むしろ、ご家族との福岡県出張で、家族のために購入をしたと見られてもやむを得ないとまとめられていました。いずれにしても、政治活動のためとは思えません。
 書籍の内容を見ると、さらに驚きが増します。「楽しい金魚の飼い方」、ミステリー小説、「ピザ釜・パン釜の作り方」、「江戸流そば打ち」、「クレヨンしんちゃん」、こんなものが政治活動なわけがありません。報告書を見ても、年々公私混同の度合いがひどくなっているのではないでしょうか。
 知事ご自身も昨日お話しされていましたが、自民党に所属していた時代には、内規や内部チェックにより、適切に政治資金を扱っていたと思います。一体いつからこういうことになってしまったのか。新党改革を立ち上げ、自分がトップとなってだんだんとルーズになっていく。お山の大将の姿がここに見てとれます。
 明らかに政治とかけ離れた不適切な混同ぶりが明らかになった今、公私混同だったとまずはみずからが認めない限り、信頼回復などいつまでたっても不可能であります。
 こうした指摘に対して、知事ご自身がどう考えるか伺います。
 次に、絵画などの購入について伺います。
 知事は、著書の中で、まだ有名でない画家の絵を購入し、今後価値が上がっていくのを期待していると述べております。こうした記述を踏まえると、絵画や書の購入目的は財テク目的だと思わざるを得ないとの指摘もされております。
 私物化との批判に対して、そうでない、海外との友好関係に活用しているともいっていますが、仮にそうだとしても、自身の私物と政治資金で購入したものを明確に区別して管理しているのか、疑義があります。
 こうしたことについて見解を伺います。
 また、記者会見では、例えば東京都の病院とか福祉施設などで活用していただけるところがあれば、ぜひお願いをしたいなどと述べています。しかし、何も美術品に期待して知事を選んだ都民はいないと思います。
 さらに、政治団体を解散する際には美術館などに寄附したいとの発言もありましたが、あくまで政治団体を解散するときにはという留保つきであります。喉元過ぎればとならない保証もありません。
 この件について、改めて知事の説明を求めます。
 次に、元会計責任者について伺いたいと思います。
 知事は五月十三日の記者会見で、会計責任者のミスが原因と発言しております。
 一方、当時の会計責任者はマスコミに対し、私は率直にいいましたよ、先生やめた方がいいんじゃないですかと発言した映像が流されていました。これは知事の説明と異なっています。一体どちらが本当のことをいっているのでしょうか。みずからのずさんな資金管理、公私混同を会計責任者に押しつけたのだとすれば、とんでもない話でございます。
 この発言の食い違いについて明快な答弁を求めます。
 続いて、公用車の使用について伺ってまいります。
 都民の疑念は、知事が毎週のように公用車を使用して湯河原に行っていたことが報じられ、一気に燃え広がりました。立場を利用し、私ごとのために血税を使っているのではないか。一連の疑惑の本質を象徴するのが、まさに湯河原であります。
 しかも、他県にまで行って割引品をわざわざ買う、血税を大いに使って自分の払いを少しでもけちる、そういった実にせこい話までがありました。
 先般、知事は唐突に、湯河原に行く際は原則、公用車を使用しないと表明しました。それまでの、都のルールどおり、動く知事室といった強弁は一体何だったのか。世論は、この泥縄式な対応を、嘲笑をもって迎えました。
 知事は、自分がどのように人の目に映っているのか、そうした想像力がいささか足りないのではないでしょうか。他人のことを考えられずに、都知事の職は決して務まらないと思います。
 公用車を使用して一年強の間に、実に四十九回もの頻度で湯河原に行っていたこともさることながら、世田谷に立ち寄ると称して長時間滞在していたことについて、あくまでもルールどおりといい張るのでしょうか。知事の見解を伺います。
 聡明な知事であれば、当然、公用車を使用する上での意義や規定についてご存じだと考えます。事務方からの説明もされていたはずです。にもかかわらず、金曜日の午後からは、毎週のように湯河原に行くことを不適切だとは考えなかったのでしょうか。
 その間、東京から遠く離れた湯河原に滞在することに、一千三百五十万都民の生命と財産を守る都政の最高責任者として、危機管理上の責務を全うしていると考えていたのでしょうか、伺います。
 知事は、湯河原の遠さを指摘された際に、殊さらに奥多摩との比較を持ち出しました。このことは奥多摩地域にとって、遠い地域であるという、ひどいマイナスイメージを抱かせるものでありました。奥多摩地域の方々は、自分たちの知事が自分の立場を守るために地域のイメージを悪化させるなど想像もしていなかったでしょう。まさに裏切られた形です。断じて許されることではありません。
 昨日の会見では、湯河原の別荘を売るという話も持ち出しましたが、売ったお金で別の湯治場に引っ越すのではないかとの疑いすら出てきます。
 そこで、この件について二点伺います。
 まず、知事の一連の問題への対応についてです。
 昨日の会見において、知事は、皆様方に無用のご心配をおかけすることを大変危惧しているとして、湯河原の施設は第三者に売却するということで、みずからのけじめをつけたいと思うと表明しました。何とも摩訶不思議なロジックです。
 これまで我が会派は、言葉尻をとって問題をただすことは極力してまいりませんでした。木を見て森を見ずという狭小な議論は避けるためです。ただ、知事の言葉の端々に違和感を覚えるのです。あるいは、この端々が問題の本質をいい当てているのではないでしょうか。
 無用の心配とは何か。都民は無用な心配をしているのでしょうか。そして、危惧をしているとは何か。あなたは、何か自分の外で起こっていることを第三者の目で見るかのごとく様子を眺めているのでないか。現実から逃避しているのではないかとも思えるのです。この現実逃避から生まれたけじめが湯河原の売却ではないでしょうか。
 いいですか、知事、今回の件は、公私混同にその本質的な問題が所在するのです。あなたは、一朝一夕に信頼が回復できるとは思っていませんけれども、一歩一歩着実に仕事をして、都民のためにいい成果を上げたいといっていたはずではないか。それにもかかわらず、それを知事は、仕事つまり公ではなく、私である自分の事務所の売却をもってけじめをつけるという。問題の所在が公私混同なら、問題の解決もまた公私混同であると断じざるを得ません。
 そこで伺います。知事は、公という部分でどのような覚悟をお持ちなのでしょうか。
 一方で、東京都知事という重責を担う者が一旦口にしたからには、それをほごにすることはあり得ません。湯河原の別荘を本当に売るのか、知事の答弁を求めます。
 さて、たとえ湯河原の別荘を手放したとしても、道義、道徳を前提にした曖昧なルールでは、次なる問題が出ることは想像にかたくありません。
 都民の理解が得られるよう、公用車の使用について、この問題を引き起こした舛添知事の責任において厳しく見直すべきです。
 そこで、見直しの方向性について知事の責任ある答弁を求めます。
 次に、美術館や博物館の視察について伺います。
 既に報じられているとおり、知事の美術館や博物館の視察は他の施設と比較して突出しています。知事は就任早々、現場第一を表明しました。確かに就任当初こそ、精力的に視察を行っていたと思います。しかし、ここでもどんどんルーズになっていったのではないか。現場第一は一体何だったのか。
 知事は既に、美術館の視察について、バランスを欠いていたと反省を述べていますが、やはりこれは単に知事の趣味の視察ではないかと世間は見ており、我々のところにもそういう声が寄せられております。オリンピック・パラリンピックの文化プログラムなども視察目的として挙げておりますが、みずからの行動の隠れみのに文化プログラムを使っているとすれば、言語道断であります。
 こうしたことに対する知事の見解を伺います。
 続いて、都市外交についてたださなければなりません。
 これまでも我々は、知事の都市外交の手法、都市外交に偏ったバランスの悪さに疑問を感じ、都政における優先順位のつけ方をきちんと考えるべきだと再三申し述べてまいりました。
 我々は、都市外交を否定しているのではありません。二〇二〇年に向け、他の都市との交流を深めることは重要なことであります。しかし、そのために、高額な経費をかけて知事自身が何度も出張する必要があるのか。我々としては、正直、その必要性に疑問を感じる出張もあります。
 知事は所信表明で、ファーストクラス、スイートルームを使わないと述べ、海外出張経費節減の検討も進めておりますが、そうした小手先の話ではありません。
 これまでの批判を踏まえ、海外出張そのものを都市外交の中でどのように考えていくのか、知事の考えを伺います。
 知事も昨日の会見で触れていましたが、知事の昔の著書にある言葉は、今の態度と真反対の主張であります。「舛添要一 三十九の毒舌」では、せっかく大臣になったんだからファーストクラスで海外というさもしい根性が気に食わないといい、「日本新生計画」では、運転手つきの公用車は不要という。「内閣総理大臣」という著書では、政治の世界において金を使うことそれ自体が悪ではない、政治によって蓄財し、それを私利私欲のために使うから悪なのであるとも述べています。悪い冗談としか思えません。
 厳しく人を糾弾しながら、自分の利益にきゅうきゅうとする姿勢は恥ずべきものだと考えます。この点について知事の見解を伺います。
 以上、個々の疑念について答弁を求めてまいりましたが、この際、舛添知事には、胸に手を当て、みずからの二年四カ月の都政のかじ取りを振り返っていただきたいと思います。
 都知事の役割は、政策を磨き、都政を輝かせることで、都民の生活を明るくすることであるはずです。
 しかし、舛添知事がそのことを旨としていたのは、就任してからのごく初期のころだけだったように思います。その後の舛添知事は、自身のメディアへの露出にこだわり、自分が輝くことばかりを考えていたのではないでしょうか。
 我が会派は、特定の分野に偏った都政のバランスの悪さ、あるいは新国立競技場整備計画の白紙撤回やエンブレム使用中止に関して、一人の評論家もしくは市井の一学者のような批判に終始した姿勢などに対して、都議会の場で幾度となく知事に苦言を呈してまいりました。忠告に謙虚に耳をかし、態度を改めていれば、今日のような事態にはならなかったのかもしれません。
 残念ながら、周囲を見回しても、舛添知事をかばう方は大変少ない。東京都知事は一国に匹敵する規模の予算を差配し、十六万人の職員の頂点に立つ大きな力を持っております。権力は魔物と申しますが、あなたの周囲の忠告に耳をかそうとしなかった姿勢、知事自身のおごり、慢心が今回の事態を招いた原因の一つであることを肝に銘じるべきであります。
 政をなすは人にあり。政治を行う根本はそれを行う人物いかんであるという意味の中国の古典、中庸の一節であります。今問われているのは、この言葉どおり、都政を担うにふさわしい人物かどうかという、あなた自身の知事としての資質なのであります。
 先週の所信表明では、知事が議会でみずから言葉を発する大事な場面において、下を見てとうとうと、あたかも原稿を読み上げるかのような態度でありました。この姿を見て、都民は再び激しい憤りを感じたのであります。
 都政への信頼を失墜させた原因をどう考えるのか、知事ご自身の言葉で、心からの答弁を求めます。
 次に、都政全般について伺います。
 四月、熊本県地方を震源とする激しい地震が発生しました。この地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
 今回の地震は、震度七など強い揺れの連続で被災地に大きな人的、物的被害をもたらしただけでなく、千六百回を超える余震の継続などにより、被災者の方の精神的にも大きな負担となっています。
 熊本地震の揺れが終息し応急対策の時期を脱しても、被災者の方々はつらく長い生活再建への道を一歩ずつ進まなければなりません。心身の健康、住まいの確保、就労など、現地のニーズには今後も丁寧な対応が求められています。
 これまでも、被災県の取り組みと、都を含む全国自治体や国などの積極的な支援で応急対応が進められてきましたが、今後とも、引き続き必要な支援を続けるとともに、復興が本格化していくという視点からは、観光などの産業復興に向けた支援など、地元ニーズを踏まえて、都が貢献できる分野も多いと考えられます。
 熊本地震における都の被災地支援は、こうした復旧、復興までを見据え、取り組んでいくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、ボランティア活動について伺います。
 熊本地震における被災地支援では、今後もボランティアによる息の長い活動が必要です。
 都民の中には、熊本が遠隔地であることなどを理由に、今までボランティア活動に参加できなかった方もいたと思われますが、今後、夏休みなどを利用して活動してみようと希望する都民が出てくることも想定されます。
 こうした都民が効果的に活動できるようにするためには、都民がテレビや新聞などの報道だけに頼ることのないよう、都が現地のニーズをしっかりと把握して、正確な情報を伝えていく必要があります。
 例えば、ゴールデンウイーク期間中は、現地の受け入れ数を上回るボランティアが集まり、活動できなかった人たちがいたと聞いています。
 現地に行って何か支援したいという気持ちはわかりますが、せっかく現地に行っても活動ができなければ善意が生かされませんし、現地に行かなくても東京でできる支援もあります。こうしたことを含めて、都民に向けて正確な情報を発信することが都の重要な役割となります。
 そこで、今後、都は熊本地震に関するボランティアを希望する都民が効果的に活動できるよう、どのように取り組むのか伺います。
 また、今回、都に強く問われるのは、熊本地震をみずからのことと受けとめ、首都直下地震などに備えた東京の防災と発災時の首都機能維持のために、今後どう取り組んでいくかということです。
 熊本地震では、震度七の地震が連続発生するなど予測されなかった現象が生じ、自宅に戻った方が被害に遭う事態や、いわゆる車中泊の影響などで災害関連死の方が発生するなど、被害も拡大していると考えられます。
 また、被災地では、集積場所に滞留した支援物資の避難所への未着、避難者の早期帰宅に必要な住宅応急危険度判定員の充足状況、軟弱地盤上や昭和五十六年以前の旧耐震基準の建物が多数倒壊など、原因の精査などが必要な多くの課題が浮き彫りになりました。
 これまで都は、阪神・淡路大震災、東日本大震災など、大規模自然災害の特徴を捉え、科学的見地も踏まえた防災対策の向上に努めつつ、世界一の防災都市東京の実現を目指す我が党の提言に応え、取り組みを進めてきました。
 オリンピック・パラリンピックを控え、都は、今回の熊本地震の教訓を検証し、みずからの防災対策の実効性を一層高めていくべきと考えますが、今後の取り組みについて、都の見解を伺います。
 熊本地震の支援を通じての教訓などは多々あると思いますが、特に課題として検証すべき点について幾つかお尋ねしたいと思います。
 まず、被災地では、阿蘇大橋地区での斜面崩壊により国道が通行どめになるなど、道路被害の記憶も生々しく、避難所への支援物資の輸送の停滞が大きな関心を集めましたが、首都直下地震の場合、同様の事態は、規模、危険性ともさらに大きなものとなることが懸念されます。
 この点、東京で大規模災害が発生した場合に想定される多数の避難者の方々の命を守っていくためにも、物資の避難所などへの輸送を迅速に行える多様なルートを、都や国、区市町村、関係機関などが一体となって早急に確保することや、輸送の手だてを円滑に講ずることの重要性が改めて認識されました。
 都は、本年の三月に緊急輸送ルート確保の基本方針を取りまとめましたが、熊本地震での道路被害や物資輸送の状況を受け、支援物資の円滑な輸送に向け、方針の運用など、どのように対応していくのか、所見を伺います。
 現時点においても余震が続く熊本地震では、広範囲にわたり、さまざまな施設が甚大な被害を受け、河川の堤防においても、堤体の沈下や亀裂が入るなどの被害が数百カ所に及びました。出水期を迎え、堤防機能の損傷による二次災害を防ぐため、鋭意復旧作業が進められております。これらの復旧作業について、都建設局からも職員を派遣し、支援を実施しているところであります。
 昨年九月には鬼怒川の堤防決壊を目の当たりにし、避難の難しさや排水作業の困難さなど、水害の恐ろしさを改めて痛感いたしました。
 災害発生の要因は多種多様であり、地震の後の大雨など複合的な要素も考慮し、防災、減災の根幹となる施設整備について、さらに万全を期していかなければなりません。
 都市機能が集積する東京における河川事業の重要性は論をまちませんが、中でも地盤の高さが海水面より低い、いわゆる東部低地帯における水害対策は喫緊の課題であります。
 耐震対策などの堤防の強化はもとより、万が一浸水した際の避難場所としても機能するスーパー堤防の整備など、災害時の安全の確保なども考慮した河川施設の整備を進めていく必要があります。
 東部の低地帯における河川施設の整備について都の取り組みを伺います。
 次に、重要施設の給水確保について伺います。
 熊本地震において、都は、漏水の復旧支援などに当たりましたが、被害が甚大であり、漏水箇所の特定と個別の給水状況の把握が非常に困難であったと聞いています。
 都では現在、首都中枢機関や医療機関、避難所となる中学校など重要施設を優先して供給ルートの耐震継ぎ手化を進めていますが、大地震時に施設周辺の耐震継ぎ手化していない場所で漏水があれば、必要な施設で水圧が足りず、給水に支障を来すと考えます。
 特に首都東京では、九百を超える重要施設が広範囲に所在し、全ての給水状況の確認には多くの時間がかかることが想定されます。
 医療におけるトリアージのように、水道においても、発災直後に給水状況の異常を迅速に把握して出動対象を絞り込むなど、早期に給水を確保するための取り組みを一つずつ進めていくことが必要です。
 そこで、発災初期における重要施設の給水確保に向けた今後の取り組みについて伺います。
 次に、災害に伴って発生する廃棄物の処理について伺います。
 このたびの熊本地震では、一万棟近くの家屋が全半壊する大きな被害が発生しました。今後、これらの被害家屋の解体が進むにつれて、百万トンを超える瓦れきの発生が見込まれています。
 都は、東日本大震災や伊豆大島土砂災害で発生した瓦れき処理に積極的に取り組み、知見を積み重ねてきました。また、先月から熊本県の要請に基づき職員を派遣し、県の災害廃棄物処理に関する実行計画の策定支援を行っていると聞いています。これまでの被災地での経験とノウハウを有する都が、いち早く支援を行っていくことは、我が党としても力強く思っています。
 近い将来、発生が予想される首都直下地震における災害廃棄物の処理についても、広域的な対応が欠かせず、都も区市町村と民間事業者と連携して、万全な処理体制をつくり上げることが必要です。
 このような観点から、今年度策定予定の東京都災害廃棄物処理計画では、過去の災害から得られた知見をできる限り生かして、実効性のあるものにしていくことが重要であると考えますが、所見を伺います。
 次に、都市政策について伺います。
 まず、鉄道ネットワークの充実について伺います。
 鉄道は、活発な都市活動と豊かで快適な都民生活を支える最も基幹的なインフラです。我が党が掲げる東京を世界で一番の都市にを実現させるためには、将来の都市像を見据えて、戦略的に整備を進めていくことが必要です。
 本年四月に交通政策審議会から、東京圏における今後の都市鉄道のあり方についての答申が出され、激化する国際競争に向けた空港アクセスの強化や地域の成長に応じた鉄道網の充実などが示されました。
 答申を受け、東京の鉄道網の一層の充実に向けた都の見解を伺います。
 次に、第四次事業化計画優先整備路線の整備について伺います。
 本年三月に公表された東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)において、今後十年間で優先的に整備すべき路線が示されました。
 都市計画道路は、渋滞の解消や都市の防災性の向上など、さまざまな効果が期待される重要な都市基盤です。優先整備路線の総延長二百二十六キロメートルのうち、都施行路線は約六五%を占め、その多くは首都東京の骨格を形成する幹線道路であることから、都は着実に整備を進めることが重要です。
 あわせて、都民に道路整備に対する理解を深めてもらうため、本年第一回定例会の我が党の代表質問において都市基盤整備のストック効果について伺ったように、道路の必要性や整備効果などをわかりやすく説明する取り組みも必要です。
 そこで、第四次事業化計画優先整備路線の整備について都の方針を伺います。
 次に、踏切対策について伺います。
 国の調査によると、交通渋滞の大きな原因となっているあかずの踏切は、全国で約六百カ所あります。また、踏切事故は、平均すると全国で一日に一件発生し、四日に一人が死亡しており、その八割を歩行者が占めています。
 このため、国は、道路交通の円滑化と安全性向上の観点から、本年三月に踏切道改良促進法の一部を改正しました。
 今回の改正では、あかずの踏切や歩道が狭隘な踏切などについて、道路管理者と鉄道事業者で改良方法が既に合意されているものに加え、合意されていなくても、改良すべき踏切として国が指定できるようになりました。
 四月には改正法に基づき、全国で五十八カ所、そのうち都内で二十七カ所が改良すべき踏切に初めて指定されました。都内には、この二十七カ所を含め、千を超える踏切があり、そのうち二百カ所以上は、あかずの踏切です。
 踏切対策は、スムーズで安全な道路交通の実現のために極めて重要な取り組みです。
 そこで、今後の都の踏切対策について伺います。
 次に、都営住宅の建てかえに伴う創出用地を活用したまちづくりについて伺います。
 都内には、高度経済成長期に拡大していった住宅市街地が、周辺区部や多摩地域などに広がっています。こうした地域には、戸数が一千戸を超えるような大規模な都営団地が数多く存在していますが、建設から半世紀近くが経過し、建物の老朽化が顕在化しています。
 我が党は、かねてより、こうした大規模都営団地の建てかえを進めるとともに、創出される用地をまちづくりに効果的に活用することで、地域の活性化、さらには東京全体の活力や魅力の向上を図っていくべきであると主張してまいりました。
 現在、例えば葛飾区の高砂団地や北区の桐ヶ丘団地では、建てかえが順次進められた結果、それぞれ数ヘクタールに及ぶ規模のまとまった用地が創出され始めており、まちづくりを大きく進める絶好の機会を迎えています。
 大規模都営団地における創出用地を活用したまちづくりについて見解を伺います。
 次に、行財政運営について伺います。
 まず、都有建築物の整備について伺います。
 二〇二〇年大会の開催に向けて、都は組織委員会などとともに、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインを策定中です。これは、障害の有無にかかわらず、全ての人々が大会に参加するためのハード、ソフト両面のバリアフリー化のガイドラインです。
 もとよりこのガイドラインは、二〇二〇年大会の競技会場や選手村などに求める水準を示し、全ての施設に一律に適用するものではありません。しかし、本年一月に示された暫定基準を見ると、国際的に通用するユニバーサルデザインの視点が盛り込まれており、障害者だけでなく、高齢者や子供にも優しい、誰もが安全に移動でき、安心して過ごせる、世界で一番の都市東京の実現に向けた、福祉のまちづくりの次なる道しるべとなるものであります。
 まず隗より始めよ。我が党は、整備中の競技会場はもとより、今後整備する他の都有建築物の整備に当たっても、さらなるレベルアップを目指し、このアクセシビリティ・ガイドラインの内容を取り入れていくべきと考えますが、所見を伺います。
 近年、ICTの進展は目覚ましく、あらゆる場面で、その利活用が進んでいます。特に、鉄道や商業施設において簡単に支払いができるSuicaやPASMOなどに代表される電子マネーは、今日広く使われ、急増する外国人旅行者でも、その利用がふえています。
 一方、電子マネーの公金収納は制度的な課題があり、都を初め、他の道府県においても導入が進んでいないと聞いています。多くの人が訪れる都の動物園の入場料など、少額、現金での支払いにおいて、電子マネーを活用していくことができるのではないでしょうか。
 そこで、外国人旅行者のみならず、都民の利便性向上のため、都は、早期に課題解決を図り、電子マネーによる公金収納を推進し、広く利用できるようにすべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、環境エネルギー政策について伺います。
 世界は今、気候変動を初め、大気、水の汚染や資源制約などの重大な環境問題に直面しています。こうした環境問題の解決を図り、持続的に発展成長する世界を目指すためには、世界人口の半数以上が集中するといわれている都市がその役割を踏まえ、先導的に取り組む必要があります。
 こうした中、都が先般策定した環境基本計画では、新たな温室効果ガスの削減目標、快適な大気環境の確保や生物多様性の保全など、目指すべき東京の将来像が描かれました。
 今後、ここで掲げた施策を着実に推進し、東京二〇二〇年大会とその先を見据え、都民が質の高い生活環境を享受し、実感できる都市の創造が重要です。
 我が党はこれまで、気候変動対策やエネルギー施策に関して具体的に提案してきましたが、良質な大気や水環境の創出、誰もが潤いや安らぎを感じられる緑の創出などの面でもレガシーを残していくべきです。
 我々世代が、次代を担う子供たちに残せるものは、澄んだきれいな空気、美しい水質や水辺環境、豊かな緑などの財産なのではないでしょうか。
 今後、都としても、世界で一番の環境都市を実現するためにどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、次世代自動車の普及について伺います。
 都は、三月に策定した新たな環境基本計画において、都内の温室効果ガスを二〇三〇年までに二〇〇〇年比三〇%削減という、国を上回る目標を設定しました。
 これは、二〇一三年と比べ、都内の温室効果ガスを二千七百万トン、体積に換算すると東京ドーム一万二千個分を削減しなければならないことになります。
 この目標達成に向けて、燃料電池自動車の導入支援に取り組んでいますが、あわせて、技術開発や市場化が先行している電気自動車やプラグインハイブリッド車という次世代自動車についても、一層の普及拡大が必要であると考えます。
 しかし、ハイブリッド車を含めた次世代自動車の普及割合は一割前後であるのが実情です。
 そのため、次世代自動車を普及させていくためには、さらなる充電インフラの整備を進めていくとともに、次世代自動車の魅力や利便性の理解促進を図るなど、より一層、これまでの取り組みを充実強化していくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 先ほども美しい水質や豊かな緑など、次世代に引き継ぐレガシーについて述べました。
 東京には、都民共有の財産である多摩地域の森林があります。この森は、古く、先人たちの知恵と努力により、五十年、百年という単位で守り育てられてきました。
 しかし、こうした努力をいっときでも怠れば、これまでの努力を無に帰してしまいます。
 こうしたことから、都では良好な森林を守るべく、間伐などさまざまな事業を行っています。
 同じ多摩川上流域にある水道水源林では、荒廃した山林を水道局が百年以上の年月をかけて緑豊かな森へ再生してきた結果、小河内貯水池は、土砂の堆積が極めて少なく、良好な状態で維持されています。
 しかしながら、小河内貯水池に影響を及ぼす民有林の荒廃が懸念されることから、我が党では、民有林の購入や森林管理について長期的視点に立った対策や住民などの参加による森づくりが必要であると指摘したところです。
 都民の貴重な水と緑を育む水道水源林を健全な状態で次の世代につなげていくためにも、計画的な森づくりを推進すべきと考えます。
 そこで、今後の森づくりの推進に向けた具体的な道しるべの作成について見解を伺います。
 次に、福祉医療政策について伺います。
 まず、社会福祉法人制度改正への対応について伺います。
 本年三月に社会福祉法人制度の見直しを内容とする改正社会福祉法が成立しました。
 社会福祉法人は、来年四月の法施行に向け、ガバナンスや財務規律の強化など、新制度への対応を着実に進めていく必要があります。
 都内には、複数の特別養護老人ホームなどを運営する法人もある一方、保育所一施設のみを運営する法人があるなど、規模や事業内容はさまざまです。そのため、法人の実情を踏まえ、丁寧に対応していく必要があります。
 都内の約千の法人全てが新制度の内容を理解した上で、円滑に準備を進めていくために、今回の社会福祉法人制度の改正に都はどのように対応していくのか、見解を伺います。
 次に、保育サービスの充実について伺います。
 昨年四月に子ども・子育て支援新制度が始まり、保育の申込者が急増している中、全国で待機児童数が五年ぶりに増加したことなどを受け、国は、緊急対策やニッポン一億総活躍プランを策定し、さまざまな施策を打ち出しました。
 我が党はこれまでも、待機児童解消に向け、さまざまな保育サービスを、質を確保しつつ大幅に拡充するよう繰り返し求めてきました。
 都は、さきの定例会で我が党の質問に対し、区市町村の実態把握に努め、待機児童解消に向けた取り組みを全力で進めるとともに、長期ビジョンに掲げた保育サービスの整備目標についても、本年四月の待機児童の状況を踏まえながら、さらなる拡充を検討すると答弁しました。
 今般、副知事をトップとした検討チームを設置するとのことですが、区市町村の状況と国の動きも踏まえ、都として、待機児童解消に向けてどのように取り組みを進めていくのか伺います。
 次に、特別養護老人ホームなどの介護サービス基盤の整備についてです。
 都は、整備率が低い地域における補助単価の加算や都有地の減額貸付など、独自の支援策を講じて新規施設の整備を促進していますが、あわせて、生活環境の向上や安全確保の観点から、老朽化が著しい施設の建てかえも進めていく必要があります。
 地価の高い都内では、建てかえのための仮移転先を確保することが極めて困難であり、都は、清瀬小児病院跡地を活用し、事業者が交代で使用できる代替施設の整備を進めています。こうした取り組みは、区部においても必要です。
 東京都健康長寿医療センターがある板橋キャンパスでは、現在、旧建物の解体工事が進んでいます。
 そこで、その跡地については、老朽化施設の建てかえ促進を初めとした福祉施策に有効に活用すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、多摩メディカルキャンパスについて伺います。
 都では、診療基盤の整備や医療従事者の確保対策などの診療支援を行い、医療の充実を図ってきました。しかしながら、人口十万人当たりの医師数を見ると、多摩地域は区部の約六割であり、全国と比べても、平均を下回る状況にあります。
 今後、高齢化が一層進行した社会においては、患者が、身近な地域で質の高い医療や総合的な療養生活の支援を受けられる環境が重要となります。
 こうした認識のもと、我が党は以前より、都立、公社病院において、地域の関係機関との協働を推進するとともに、地域の医療人材の確保と質の向上に寄与するよう提言してきたところであります。
 多摩メディカルキャンパスにおいては、今後、さらなる機能充実を図っていくとしていますが、医療人材の確保が厳しい多摩地域の現状を踏まえ、多摩地域の医療拠点として、東京医師アカデミーを活用した医師育成に関する連携を進めていくべきであると考えます。
 具体的にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、産業政策についてでございます。
 安倍政権は、戦後最大の名目GDP六百兆円の実現を目指していますが、海外経済の弱さなどの不安要素もある中、日本経済を確実に成長軌道に乗せるため、あらゆる手だてを講じる必要があります。
 都としても、国と歩調を合わせ、率先した取り組みを進めるべきです。
 その最たるものが、二〇二〇年大会の開催効果を日本各地に波及させ、持続的な発展につなげていくことにあると我が党はかねてより主張してきました。
 都は、日本全体の経済活性化を図る取り組みの一つとして、この四月、大会などを契機とする官民の入札、調達情報を一元的に集約し、中小企業の受注機会の拡大を図るポータルサイト、ビジネスチャンス・ナビ二〇二〇を稼働させました。
 中小企業には、このサイトの利用を通じて、今後見込まれるビジネスチャンスをつかみ、収益の拡大につなげていただきたいと思います。また、このサイトは、中小企業支援だけでなく、中長期に見れば、広い意味では社会経済の安定といった面でも意義があります。
 企業は、新たなビジネスパートナーとのマッチングや交渉などを通じて、すぐれた技術やサービスを生み出し、製品などの品質向上を図ることが可能となります。このことは、品質を重視した企業間の取引を活性化させ、都が取り組んでいる公共調達における品質確保の面でも効果が期待できます。
 さらにいえば、サイトは自然災害などでサプライチェーンが断たれた際の取引企業の確保といった事業継続や危機管理の面でも有効といえます。
 多くの企業がこのサイトを利用することで、収益を上げ、成長することが可能となり、また、社会経済の安定にも資することから、サイトの利用促進を戦略的に進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 人口減少社会の到来やグローバル化の進展など、社会経済環境への対応も喫緊の課題です。このような環境で都内中小企業が成長を続けていくためには、従業員一人一人の能力を高め、生産性の向上を図ることが必要不可欠です。
 従業員の能力向上を図るには、業種ごとに実情が大きく異なることから、個々の現場を熟知した事業主や団体などがみずから行う職業訓練が有効です。
 とりわけ、技能者の育成が急務とされる建設業界の中小企業では、職業訓練により実践的な人材育成を行っているケースが見受けられます。
 しかし、厳しい経営を強いられている中小企業にとって、こうした職業訓練に要する経費を支払い続けることは大きな負担となります。
 将来を担う人材育成に懸命に努力している中小企業が主体的に取り組みを進められるよう、都としてさらなる支援の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 国は、産業として裾野の広い観光分野を一億総活躍の場とすることを目指しており、訪日外国人旅行者数を二〇二〇年には四千万人、二〇三〇年には六千万人まで引き上げる新たな目標を示しました。
 都も先月、観光産業の飛躍に向けたアクションプログラムの素案を取りまとめ、具体的な方向性を示したことは評価します。素案では、消費拡大や観光資源の開発などを示していますが、その実現に当たっては、これまで我が党が主張してきたようなさまざまな工夫や対応が重要になると考えます。
 例えば、海外からの旅行者の旺盛な消費をしっかりと捉えるためには、経営のノウハウを習得し、仕事の進め方の効率を高め、その担い手を確保することが大切です。
 また、すぐれた観光資源を生み出すには、自然、文化やインフラなどを幅広く活用する発想が不可欠です。
 アクションプログラムの成案策定に当たり、都はどのような部分に重点を置いて取り組みを進めるのか、所見を伺います。
 成長戦略を実現するためには、インバウンド消費の一層の拡大が必要であり、その方策の一つとして、クルーズ客船の誘致による外国人旅行者の取り込みが極めて有効です。
 クルーズ客船の誘致には、外国の船会社に対し、東京の優位性を戦略的にアピールしていくことはもとより、何よりもしっかりとした受け入れ体制を整えることが不可欠であります。
 現在、都は、世界最大のクルーズ客船にも対応可能な新客船ふ頭の整備を進めています。増加するクルーズ需要にしっかりと対応でき、港の魅力を満喫できる観光スポットともなり得る施設としていく必要があります。
 世界の主要港と比較しても遜色のない首都東京にふさわしい客船ふ頭としていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、安全・安心への取り組みについて伺います。
 都内では、昨年も一万一千件を超える自転車事故が発生しており、安全確保のためには、まちづくりの観点からの取り組みに加え、利用者の交通ルール、マナーの向上を図ることが重要であり、我が党はさきの定例会の代表質問で、安全利用のための新たな対策の検討が急務であるとただしたところです。
 都が本年四月に改定した自転車安全利用推進計画では、交通事故に直結しやすい違反行為などに対し、街頭で直接、啓発や指導を行う指導員制度の導入など、新たな安全対策が打ち出されました。
 現状では、死亡事故時に自転車利用者側に何らかの違反があった割合は約六割に上るなど、深刻な状況であります。
 不幸な事故を一件でも多く減らしていくためには、計画に盛り込まれた事故削減に効果の高い取り組みをいかに実施するかが問われることになります。
 今後、必要に応じ、自転車安全利用条例を改正し、重点的に講ずべき対策を条例にしっかりと位置づけるなど、事故削減に向けて、安全利用を促進する取り組みを実効性を持って展開すべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、教育政策について伺います。
 最初に、特別支援教育について伺います。
 我々が目指す世界で一番の都市東京は、世界で一番障害者に優しい都市であるべきです。
 東京パラリンピック大会開催決定を契機に、特別支援学校と小中学校の障害者スポーツの体験交流が始まりました。
 障害の有無にかかわらず、ともに生きることが当たり前と考える社会の実現に向け、さらなる施策の充実が必要です。
 都教育委員会は、障害のある子供たちが障害のない子供とともに活躍できる社会に向けて新たな計画を策定するべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、知的障害特別支援学校における施設整備について伺います。
 施設整備には長い時間を要するため、教室不足の改善を求める声が保護者などから多数寄せられており、教育環境の充実は引き続き喫緊の課題です。
 子供たちのためには、学校の新築や増改築など、抜本的な解決策を計画的に進めることに加え、速やかな対応も必要です。
 都教育委員会は、あらゆる方策を講じて、これまで以上に積極的に教育環境を充実させていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、都立高校における主権者教育について伺います。
 本年七月には、十八歳以上の高校生が初めて投票を行います。権利を得ることは、同時に果たすべき義務を負うことでもあります。
 我が党は、子供たちが良識ある公民として必要な能力と態度を身につけられるよう、先哲の思想や民主主義の基本原理を学ぶことが重要だと考えています。
 そのためには、議会制民主主義や先人が努力を積み重ねてきた歴史を理解した上で、公職選挙法の趣旨や選挙制度について学習することが望ましいと思います。これらを通し、社会の一員として果たすべき義務と権利について学んでいくべきです。
 今後、都立高校生が真の民主的な主権者として権利を行使し、義務を果たせるよう、都教育委員会はどう取り組むのか伺います。
 オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックの開催まであと二カ月となりました。東京にとっては、このビッグイベントを実地で学べる最後の機会ともなります。
 現地では各競技の運営はもちろん、ボランティアやバリアフリーの状況、選手や観客の輸送、安全対策など、大会を開催する都市で担うべき役割や課題をしっかりと見て回り、次の東京大会に生かしていかなくてはなりません。
 また、東京を訪れる多様な人々が、安全かつ快適に東京での滞在を楽しめたらすばらしいことだと思います。
 そのためには、大会に向け、施設のバリアフリー化や多言語対応など、ハード、ソフト両面においてさまざまな取り組みを精力的に進めていく必要があります。
 加えて、お迎えする開催都市である我々の盛り上がりが、都民、国民の笑顔こそが、世界中から訪れる方々を幸せな気持ちにするのではないでしょうか。
 新しいエンブレムやリオから持ち帰った五輪旗などを積極的に活用し、区市町村がお祭りやイベントを自主的に企画して盛り上がっていけば、それは地域社会全体の活性化にもつながっていきます。
 こうした観点から、都民、国民自身が大会に参加し、心から楽しむ機運を醸成していくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピックに向けたハード面の整備について伺います。
 まず、道路整備について伺います。
 開催まであと四年余りとなった二〇二〇年大会を成功させるためには、安全で円滑な移動を可能とする輸送環境の実現が不可欠です。
 そのためには、世界有数の公共交通ネットワークの活用や効率的な輸送システムの構築などのインフラ整備が重要です。
 中でも都市計画道路は、東京の最大の弱点である交通渋滞を解消し、都市機能の向上を図るとともに、災害時に都民の生命、財産を守る極めて重要な都市基盤です。
 二〇二〇年大会開催時には、多くの人や車が行き来する競技会場や選手村などの大会関連施設間を結ぶ環状第二号線などの都市計画道路を着実に整備する必要があります。
 そこで、二〇二〇年大会の円滑な運営に資する都市計画道路の整備について伺います。
 次に、競技施設について伺います。
 都が整備する恒久施設は、大会後も多くの都民、国民が集い、訪れる施設となり、実りあるレガシーとして次世代に引き継いでいかなくてはなりません。
 ロンドンでは、競技施設が集まるオリンピックパークが今でも活況を呈するなど、にぎわいをもたらしていると聞いています。
 競技施設の整備もいよいよ本格化していく中、都は先月、新たに整備する競技施設のうち四施設の運営計画の中間のまとめを公表しました。これらの施設は、大会後も多くの都民に利用されることはもちろん、東京の新たなにぎわいと活気を生み出す拠点としていくことが重要です。
 そこで、競技施設を大会後にどのように有効活用し、東京のにぎわい創出につなげていくのか、所見を伺います。
 次に、文化プログラムの展開について伺います。
 二カ月後に迫ったリオ大会で実施する東京の文化発信事業をぜひとも成功させなければなりませんが、忘れてならないのは、大会終了後、いよいよ二〇二〇年東京大会に向けた文化プログラムが本格的に開始されるということです。
 今後、四年間に行われる文化プログラムを通じて、東京、日本の多彩な文化の魅力を都内のみならず、全国各地に発信していくことにより、二〇二〇年大会に向けた機運を盛り上げていく必要があります。
 それと同時に、東京、日本のすばらしい文化を次世代に継承し、しっかりと根づかせ、未来を担う若者たちを文化の力で育んでいくことが重要です。
 とりわけ、ことしは四年間の文化プログラムのキックオフとなる年であり、この秋からの取り組みが今後の文化プログラムの成否を左右するといっても過言ではありません。
 リオ大会の盛り上がりを引き継ぎ、時期をあけることなく、秋から集中的な事業展開を図り、後世のレガシーにつながる文化プログラムの始まりを強く印象づける必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、改めて知事に申し上げます。
 知事選出馬前のことをまだ覚えていますか。私たち都議会自民党との政策協議の際、一緒に力を合わせて、東京を世界で一番の都市にしよう、世界中のどの都市よりも住みやすい、そんなまちをつくろう、そう約束したことを覚えていますか。
 二元代表制である知事と我々議会がともに汗を流し、力を合わせ、世界で一番の都市の実現に向けて進んでいくはずでした。
 しかし、その約束は見事に裏切られてしまいました。
 都民、国民の皆さんだって同じだと思います。テレビでの舌鋒鋭い話を聞いて、厚生労働大臣としての活躍を見て、この人なら東京都をよくしてくれるだろう、そう思ったからこそ、二百十万人もの多くの都民の皆さんが舛添要一という名前を書いてくれたのではないでしょうか。
 知事、都民の皆さんも私たちも皆、あなたに期待をしていました。けれど、その期待は見事に裏切られてしまいました。
 都政を預かる最高責任者として、都政への信頼を失墜させ、停滞させた過ちは、はかり知れないほど大きな大きな罪であります。
 仮に法的にはクリアできたとしても、公私混同、せこいといったそしりを拭い去ることはできません。
 また、非を認めたことに対して、ただ、本人の不徳のいたすところ、今後、一つずつの行為をもって改めるだけでは、都民も私たちも、説明責任を果たしたとは思いません。全く納得いたしません。
 都政が失った都民からの信頼を回復するためには、膨大な労力と時間がかかると思います。これから恐らく東京都は、大変な困難を乗り越えていかなければならないんだと思います。
 それにはまず、知事ご自身が疑惑の真実に対して、誠意と真実をもって答えてもらわなければなりません。そして、みずからの戒めで、みずからの意思として、身を切る決断をすることが最低限必要です。
 都議会自民党は、知事に対して、再三にわたって警告を発してまいりました。その都度ごとに裏切られてしまいました。舛添知事が変わらないのであれば、我々は、いつでも警告にかわる措置を講ずる用意があります。
 知事の真摯なる対応を強く求めます。
 なお、答弁によっては再質問を留保して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 神林茂議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、今回の調査の信頼性についてでございますが、調査の方法につきましては、第三者であります弁護士の先生方にお任せをしております。先生方とは、調査を受けるまで面識のなかった方々でありまして、厳しい捜査と経験の元検事の人たちでございます。
 今回の調査におきましては、弁護士からの要請に基づき、私や秘書らから関係資料を提出し、私や秘書及び関係者がヒアリングに応じるとともに、必要に応じて、弁護士の先生方がみずから資料を入手することで調査を行っていただきました。第三者の目線からの厳格な調査を行っていただいており、信頼性は確保できていると考えてございます。
 次に、木更津市所在のホテルにおいて、平成二十六年正月に行われました会議メンバーについての氏名についてでございますが、この会議では、つき合いが長く、かねてより相談相手としていた出版会社社長を客室に招き、翌月に実施されます都知事選への出馬について相談をいたしました。
 相手の氏名につきましては、大変恐縮ではございますけれども、先方の立場もあることからお答えできないことをご容赦、お願いしたいと思います。
 次に、ホテル、宿泊料を政治資金で支出したことについてでございますが、平成二十六年正月の段階は、翌月に実施される都知事選に出馬すべきか否かを検討してございまして、その決断を迫られておりました。
 一方、かねてより、正月旅行を家族に約束していたこともありまして、旅行先で政治的な打ち合わせをすることになりました。
 しかし、もともとは家族旅行ではないかとの弁護士さんからの厳しいご指摘はもっともでございまして、その場を打ち合わせに利用したからといって、政治資金に計上したことは、他人の目がなく、ルーズになっていたと反省をいたしております。
 都民の皆様から叱責をいただき、また、都議会からも厳しい指摘をいただいたことには、真摯に反省をいたしております。
 今後、同様な状況があります場合には、誤解を招かぬよう、別途会議室などを借りるなどいたしまして、対応を図ってまいりたいと思っております。
 続きまして、公私混同との指摘でございますが、私が自民党に所属していたころは、政党助成金については、党独自の内規に基づき、厳しいチェックがなされてございました。しかし、私が自民党を離党し、新党改革を結成した後は、政党助成金以外の政治資金が少ない状況の中で、自民党のような政党助成金の内部チェックシステムがございませんでした。また、自分が党の代表であるという慢心もあったと反省しております。
 今回、多くの方から、他人には厳しいが自分には甘いのではないか、身銭を切っていないではないか、そして、公私混同だと、そういう厳しい批判を受けてございます。このことにつきましては、心から反省を申し上げます。
 加えまして、昨日発表いたしました湯河原の施設の売却等のけじめにつきましては、これを現実に履行する過程で、今回調査していただいた弁護士にしっかりと監督を受けていきたいと思っております。
 また、今後は、政治団体の会計責任者を事務所関係以外の人物で、政治資金にも詳しい人にお願いしたいと思っております。
 続きまして、絵画等を私物化しているという批判でございますが、新党改革支部とグローバルネットワーク研究会が所有していた絵画、版画等は、現在、私の政治団体であります泰山会が所有してございます。
 それらの絵画などは、都庁の知事執務室、応接室、廊下などに展示し、外国の要人との話題づくりに活用するなど、私自身の私物と政治資金で購入したものは区別して管理をしてございます。
 昨日の調査報告でも、美術品などにつきましては、調査の弁護士さんから、公私の区別を明確にせよとの勧告がございました。私といたしましては、政治団体を解散するときには、これらを必要としてくれるところに寄附する意思を持っております。
 また、現在できることといたしましては、美術品は、知事室、応接室、廊下などにもたくさん展示しておりますが、ほかにも展示していただけるところがございますれば、都の病院や福祉施設などでも活用していただくことも考えていただければと思っております。
 絵画などを美術館などに寄附することについてでございますが、今回の調査報告において、絵画等の所有関係を明確にするとともに、私物化したとの批判を招かないような措置を講ずるべきとのご指摘もいただきました。
 私としても、これらの美術品を財テク目的で購入したつもりではありませんけれども、そのことを明らかにするためにも、私の政治活動のツールとして利用が終わる、つまり、私が政治団体を解散するときには、これらの美術品を必要としてくれる美術館に寄附したいと思っております。
 また、直ちにできることといたしましては、病院や福祉施設などで美術品を展示していただけるところがありましたら、そのような場所でぜひ活用していただきたいということを申し上げたものでございます。
 次に、元会計責任者との発言の食い違いについてでございますけれども、私は、元会計責任者とそのような会話をした記憶はございません。元会計責任者の発言は、日々の事務作業の中で、私とさまざまなやりとりを行いながら会計処理を行っていたことを指しているのだと考えております。この発言が、今般指摘されている具体的な事項を指しての発言ではないと考えております。
 続きまして、湯河原に行く際の立ち寄りでございます。
 湯河原の事務所に行く際には、世田谷の事務所にかなりの頻度で立ち寄っていたのは事実でございます。これは、週末に資料を読み込むなど、その週のまとめと、翌週の公務のための準備を行っていたことから、湯河原の事務所に行く際には、資料を整理し必要なものを持っていくために、一旦、世田谷の事務所に立ち寄ったものでございます。
 その時点では、こうした立ち寄りは、都の公用車使用のルールに反していないとの認識でございました。しかしながら、都民の皆様からは、ルールに反しているのではないかとご批判をいただいております。また、昨日の調査報告書におきましても、公用車の使用ルールに抵触する可能性を言及されております。このような懸念を持たれること自体、私の不徳のいたすところと深く反省しているところでございます。
 湯河原での滞在と都政の最高責任者としての責務についてでございますが、湯河原での滞在につきましては、衛星携帯電話による連絡手段やヘリなどによる移動手段など、大規模災害時にも対応できる万全の危機管理体制を確保しているとの認識のもと、行いました。
 しかしながら、都知事である私が都外にあります湯河原の事務所に頻繁に滞在を繰り返していたことにつきましては、危機管理意識が極めて甘かったとの批判は当然でございます。都民の皆様に多大なるご心配をおかけいたしました。私としては、深く反省をしております。
 今後は、都知事として、危機管理という観点も十分踏まえ、自分の行動を律してまいりたいと考えております。
 公の部分における覚悟についてご質問がございました。
 私の使命は、都民の皆様に、東京に暮らしてよかったと実感していただくことでございます。何としてもそれを実現することこそが、私の公の覚悟にほかなりません。
 その実現に向けまして、都議会の皆様との真摯な議論が不可欠でございます。その第一歩として、まずは一連の問題について説明責任を十分に果たしてまいります。
 なお、事務所の売却は、今すぐお見せできるけじめの一つとしてお示ししたものでございまして、このことだけで直ちに皆様からの理解が得られるとは決して考えておりません。不退転の決意を持って信頼回復に向けまして、都民の皆様のために仕事に邁進していく覚悟でございます。
 湯河原の事務所の売却についてでございますが、一連の問題の中で私が深く反省すべきは、湯河原の事務所への移動に公用車を頻繁に使用したことでありました。
 私は今回、この件につきまして、みずからのけじめをつけるために、施設を所有する会社であります舛添政治経済研究所とも相談し、湯河原の事務所を売却することにいたしました。できるだけ早く施設を買っていただく方を探したいと考えております。
 公用車の使用の見直しの方向についてでございますが、都民の皆様からのご批判を真摯に受けとめまして、今後は疑念を抱かれることのないように、第三者の弁護士による調査報告書の内容も踏まえまして、厳格な運用を図ってまいります。
 具体的には、まず、移動元、また移動先が公務場所であるという基本的なルールを徹底いたします。また、公用車を使用する場合は、行き先や用件などを明らかにすることで、都民への説明責任を果たしていく考えでございます。さらに、途中で用務のために立ち寄る場合についても短時間にとどめるなど、より厳格に取り扱うようにしたいと思っております。
 続きまして、私的な美術鑑賞ではないかとのご指摘でございますけれども、美術館や博物館の視察については、二〇二〇年大会の文化プログラムの成功に向けまして集中的に行ってきたものでございますが、ご指摘のとおり、ほかの施設に比べ美術館や博物館への視察の割合が高く、バランスを欠いていたことは反省しており、改善していきたいと考えております。
 今後は、今般の私の視察への批判や第三者の弁護士による調査報告書の内容も十分踏まえまして、視察対象のバランスにも配慮するとともに、多摩・島しょなど東京全体の地域性も考えながら、視察のスケジュールを組み立てていきたいと考えております。
 都市外交についてでございます。私は、就任以来、二〇二〇年大会の成功とその先の東京の発展に向けまして、海外諸都市との強固な友好協力関係を築くことが重要だと考えて、まずは、みずからトップ同士の関係を築くため、姉妹友好都市等を訪問してまいりました。
 しかし、都民の皆様を初め、私の出張経費に対する厳しい批判を数多くいただき、改めて自分の行動を振り返ったところでございます。
 小手先という厳しいお言葉もいただきましたが、私自身の経費の節減のみならず、今後は、実務レベルでの交流の促進や、都内に多数所在する在京大使館等のさらなる関係強化など、さまざまな取り組みを組み合わせ、最小限の費用で都市外交の効果を上げていきたいと考えております。
 私自身の出張につきましては、都市外交の一手段にすぎないとの認識のもと、知事でなければ果たせない役割がある場合など、出張の必要性を厳しく精査することで、バランスのとれた都政運営を心がけていきたいと思っております。
 私の著作等の発言とみずからの姿勢についてご質問がございました。
 ご指摘のとおり、私はこれまでの著書の中で、大臣のファーストクラス利用をやゆしたり、運転手つきの公用車の必要性を否定したりしてまいりました。
 今、私自身がファーストクラスや公用車の利用について批判を受けているのは、その必要性や妥当性が問われることもさることながら、こうした過去の発言と現在の行動が不一致ではないかと信頼を損ねていることも大きな原因であると考えております。
 天に唾するようなことであったと、まさに汗顔の至りでございまして、今後の自分を厳しく戒めていかなければならないと深く反省しているところでございます。
 他人には厳しいが自分には甘いのではないかと、厳しいご批判があることを胸に刻み、人として、また政治家として再び信頼をいただけるよう、みずからを厳しく戒めてまいります。
 都政への信頼を失墜させた原因についてご指摘がございました。
 この二年四カ月の間、東京の発展や都民生活の向上に向け、都議会の皆様とさまざまな議論を交わしてまいりました。その中で、私におごりや慢心が見られたとの厳しいご指摘は真摯に受けとめたいと思っております。
 都政への信頼を失墜させた一因は、都民の皆様、都議会の皆様と真摯に向き合い、その声に誠実に耳を傾けることがいつしか十分でなくなった私の姿勢にあると猛省をしてございます。
 私は、就任直後の庁議におきまして、職員一人一人が天に恥じない仕事をし、都政への信頼を回復させるため、私みずからがその努力の先頭に立つとの決意を表明いたしました。いま一度その決意を胸に刻み、それを言葉だけでなく姿勢で示し続けるよう、生まれ変わったつもりで心を入れかえてまいりたいと思っております。
 これまで、一連の問題に関する個々の質問にお答えを申し上げてまいりました。まずは、このように説明責任を丁寧に果たしていくことを、都民、都議会の皆様と再び真摯に向き合わせていただく第一歩としたいと思っております。
   〔発言する者多し〕

○議長(川井しげお君) 静粛にしてください。

○知事(舛添要一君) このたびは多大なるご迷惑をおかけし、まことに申しわけないと思っております。皆様のご理解をいただけますよう、謙虚に努力をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新たな特別支援教育推進計画についてでありますが、障害の有無にかかわらず、互いに認め合い、尊重し合う社会を実現するためには、障害のある子供たちが多様な形で社会に参画できるよう、その力を育むことが重要でございます。
 このため、子供たちの将来の自立と社会参加を見据えて、より積極的かつ主体的に社会に参画していく姿勢を育てる観点に立って、今後十年を計画期間とする新計画を年度内に策定してまいります。
 こうした考え方のもと、子供たちの可能性を最大限に伸ばすため、特別支援学校における職業教育を充実するとともに、スポーツ教育や芸術文化教育の推進といった取り組みを進めてまいります。
 さらに、発達障害教育の推進や共生社会への理解促進など幅広い施策を盛り込み、東京の特別支援教育を一層充実させてまいります。
 次に、知的障害特別支援学校の教育環境についてでございますが、都教育委員会は、特別支援教育推進計画に基づき平成三十二年度までを計画継続期間として、特別支援学校の再編整備を推進するなど教育環境の充実に努めてまいりました。
 知的障害のある児童生徒数については、直近の教育人口等推計を踏まえますと、平成三十二年度以降も増加する可能性が高いことから、さらなる環境整備に取り組んでいく必要がございます。
 今後、知的障害特別支援学校の在籍者に関する最新の将来推計を行った上で、学校の新築や増改築を初めとして、多様な方法を用いた迅速で効果的な対応策を検討してまいります。
 こうした内容を新たに策定する計画にしっかりと位置づけ、教育環境の充実に全力で取り組んでまいります。
 最後に、都立高校生に対する主権者教育についてでありますが、高校生が自国を愛する心や公共の精神を持ち、社会の問題をみずからの課題と捉え、主権者として多面的、多角的に考察し、判断できるようにすることは重要でございます。
 これまで都教育委員会は、公職選挙法の改正による選挙権年齢引き下げに伴い、管理職及び地歴、公民科教員対象の説明会を速やかに行うとともに、民主主義の本質に関するリーフレットを作成し、全都立高校生に配布するなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 今後、リーフレットの継続的な配布や、複数の全国一般紙を全ての都立高校の図書室へ設置するなどの準備を進め、政治的中立性を確保するとともに、権利と義務の関係や民主主義に関する理解を深める学習活動など、政治的教養を育む主権者教育を一層充実させてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 防災対策についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、熊本地震における都の支援についてでございますが、都は、本震が発生した四月十六日、熊本地震情報連絡会議を設置し、全庁的な情報共有と被災地への人的、物的支援を迅速かつ継続的に実施できる体制を構築いたしました。
 同時に、現地に職員を派遣することで、現地ニーズの的確な把握に努め、関係機関とも連携し、救出救助、災害応急復旧など、これまで延べ一千三百人を超える職員を派遣し、被災地の支援に積極的に取り組んでまいりました。
 また、毛布や給水袋などの支援物資を迅速に搬送したほか、被災者の都営住宅や都立学校等への受け入れ、都税の納期限延長など、全庁的に幅広い支援を行っております。
 今後も、観光などの産業復興なども含め、現地のニーズを的確に把握し、引き続き、関係機関とも連携を図りながら、迅速な支援を行ってまいります。
 次に、今回の地震を踏まえた都の取り組みについてでございます。
 熊本での強い地震の連続や余震の継続はこれまで経験がないものであり、地震の原因や被害との因果関係等の解明が、都の防災対策にも極めて重要と考えております。
 都といたしましては、今後、被害の分布や程度など必要な情報収集を行い、国が実施することとしている日奈久断層帯調査等の動向を注視するとともに、専門家の知見等を求めるなど検証作業を進めてまいります。
 また、今回の支援の経験から得られた教訓等を取りまとめ、支援物資の輸送や他の自治体、国との連携など、発災時に、より迅速かつ的確な対応が可能となるよう、都の取り組みに反映させてまいります。
 こうした対応を通じて、首都直下地震等に備えた都の防災対策を、より実効性の高いものとしてまいります。
 最後に、大規模災害時の緊急輸送についてでございます。
 熊本地震では、支援物資が滞留し、避難所まで届かないという事態が発生いたしましたが、道路被害による渋滞に加え、要員不足など運用面の制約も影響したと仄聞しており、実態等の把握が必要と考えております。
 都といたしましては、こうした事態も念頭に、発災時における円滑な物資の輸送経路を確保するため、本年三月に定めた発災時における緊急輸送ルート確保に向けた基本方針に基づき、国、都、各施設管理者など関係者間の連携等を具体化させてまいります。
 また、支援物資の輸送についても、東京で発災した場合の物資の具体的な流れを念頭に、トラックや人員の確保等の円滑な運用を改めて検証するなど、実効性の向上を図ってまいります。
   〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

○生活文化局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、熊本地震におけるボランティアについてですが、東京には、都民を初め企業、大学など、ボランティアの担い手が数多く存在しますが、都民等が現地で円滑に活動するには、熊本が遠隔地であることや日々変化する現地のニーズを踏まえることが重要でございます。
 そこで、先月末、職員を派遣するなど現地と直結したパイプづくりを強化し、活動ニーズや宿泊施設の状況など都民の現地での活動に役立つ情報の提供を充実するほか、募金や寄附活動など都内でもできる取り組みも紹介してまいります。
 また、今後、参加機運が高まる夏休みに向け、大学生などの若者を中心に、活動する上での安全確保やコミュニケーションなどの心得を伝える説明会を開催いたします。
 これらにより、ボランティアを希望する都民が効果的に活動できるよう支援してまいります。
 次に、文化プログラムの展開についてですが、二〇二〇年大会を文化の面でも盛り上げ、大会の成功につなげていくには、この秋からさまざまな事業を切れ目なく展開し、滑り出しを印象づけることが必要と認識しております。
 そのため、リオ大会終了直後から十一月にかけて、毎週末にさまざまな文化プログラムを集中的に実施してまいります。
 具体的には、まち中で本格的な伝統文化を気軽に楽しめる新たなフェスティバルを開催するほか、東京キャラバンを都内及び被災地においても実施してまいります。さらに、東京大茶会などの既存イベントについても充実を図り、年度末までに百を超える事業を実施いたします。
 こうした展開を通じ、二〇二〇年大会を超えて東京、日本の文化が次世代へ継承されるよう、国や地方、組織委員会等と連携し、都が文化プログラムを牽引してまいります。
   〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、水害への備えについてでございますが、都と国が管理する河川で囲まれた東部低地帯におきましては、両者が連携し、地震や豪雨など、さまざまなリスクに対応するため、河川施設の整備を推進していくことが重要でございます。
 都は、最大級の地震が発生した際にも施設の機能を保持するよう、直接、高潮や津波の影響を受ける堤防や水門などの耐震対策を、平成三十一年度の完了に向け実施しております。
 また、国は、荒川や江戸川などにおきまして、耐震対策とともに、洪水による決壊を防ぎ、浸水の際の避難場所としても利用できるスーパー堤防整備を進めております。このうち、江戸川の篠崎公園地区では、ことし四月に、都立公園の高台化等と一体整備を進めるための協定を、都、国、区の三者で締結いたしました。
 今後とも、河川整備を強力に推進し、水害への備えに全力で取り組んでまいります。
 次に、優先整備路線についてでございますが、東京の道路整備は、交通渋滞の解消により国際競争力を強化し、都市の防災性や安全性の向上を図るためにも必要不可欠でございます。
 第四次事業化計画では、骨格幹線道路につきまして約九割の完成を目指すとともに、地域の防災性や安全性の向上を図るため、都県境の道路や地域幹線道路の整備を推進いたします。
 事業化に際しましては、鉄道や河川との交差、自然環境への配慮など、課題のある路線もあり、これまで培ってきた経験や最新の技術を活用し解決してまいります。
 また、都民の理解を得るため、移動時間の短縮や生活道路への流入減少などのストック効果の発信を初め、橋梁等を観光資源として捉えたインフラツーリズムなど、積極的なPRを行ってまいります。
 今後とも、世界一の都市東京の実現に向け財源確保に努め、道路整備に全力で取り組んでまいります。
 次に、都の踏切対策についてでございますが、交通渋滞の解消や歩行者の安全確保などの観点から踏切対策は極めて重要であり、都では、複数の踏切を同時に除却する連続立体交差事業と個別の踏切における安全対策に取り組んでおります。
 連続立体交差事業では、これまでに四十三カ所で三百九十五の踏切を除却してまいりました。現在は六路線八カ所で事業を実施しており、三路線四カ所で準備を進めております。
 また、個別対策では、事故の危険性が高い踏切がある都道につきまして、踏切内のカラー舗装や歩道拡幅などをおおむね完了しております。
 踏切道改良促進法の一部改正に基づき、今回、国が指定した二十七カ所の踏切のうち、二十五カ所は京王京王線の連続立体交差事業による除却が、残る二カ所は踏切内の歩道拡幅が既に予定されております。
 今後とも、鉄道事業者や地元自治体と連携しながら、踏切対策に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、二〇二〇年大会に資する道路整備についてでございますが、首都高速中央環状品川線が開通し、新宿―羽田空港間の所要時間が約四十分から十九分に短縮されるなど、高速道路の交通分散によりまして顕著な事業効果があらわれており、大会開催時には円滑な輸送に寄与いたします。
 一方、一般道路である環状第二号線は選手村と競技会場を結ぶ大動脈であり、豊洲市場等の新たな交通需要にも対応するため、年内に暫定開通させるとともに、二〇二〇年早期の全線開通を目指してまいります。
 また、メーンスタジアム等へのアクセスルートにもなる環状第五の一号線は、明治通りなど新宿駅周辺の交通渋滞を緩和させる重要路線でございます。区部と多摩地域を結ぶ放射第五号線などとともに、大会までの開通に向けて整備を推進いたします。
 引き続き、大会とその先を見据えた道路整備に全力で取り組んでまいります。
   〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、重要施設への給水確保の取り組みについてでありますが、都内には、首都中枢機関など多数の重要施設があり、首都機能の維持には、発災直後の迅速な初動対応により、これら施設への早期の給水確保が必要となります。
 そこで、九百を超える重要施設の給水状況を速やかに把握することで、優先的に調査、復旧する施設を迅速に絞り込み、職員が直ちに出動する仕組みを構築いたします。
 具体的には、水圧データを送信する機器を全ての重要施設に設置いたしまして、出動拠点となる局事業所で水圧を監視し、異常のある施設に優先して出動することにより、給水を回復するまでの時間を大幅に短縮させます。
 こうした新たな取り組みを、まずは平成二十九年度までに首都中枢機関へ導入し、その後、他の重要施設へ順次展開することで、応急対策のさらなる充実を図ってまいります。
 次に、水源林における計画的な森づくりについてでありますが、森林の管理は長期的な視点に立ち、水源涵養機能への影響など、優先度を考慮した計画的取り組みが重要であります。
 そこで、貯水池への土砂流出が懸念される民有林約二千ヘクタールの荒廃状況等を今年度早急に調査いたしまして、有識者の意見を踏まえた購入計画を策定し、これに基づき、地権者への積極的な働きかけを開始してまいります。
 また、民間資本による協賛金制度や大学等との調査研究、森林保全活動などの具体的な手法を検討し、次年度から試行いたします。
 こうしたさまざまな取り組みを第十一次水道水源林管理計画に反映した上で、具体的な内容を明らかにした、みんなでつくる水源の森実施計画を今年度に策定いたします。
 これによりまして、多様な主体との連携のもと、将来にわたり都民の貴重な財産である水源を守り続けてまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害廃棄物の処理についてでございますが、今年度策定いたします東京都災害廃棄物処理計画では、東日本大震災や伊豆大島土砂災害など、過去の大規模災害における知見や、これから本格化する熊本地震の災害廃棄物処理の新たな経験を十分に反映していきたいと考えております。
 計画の策定に際しましては、都と区市町村の役割分担や自治体間の広域的な相互補完、廃棄物処理業者との連携などについて関係団体などと意見交換を重ね、具体的な検討を進めてまいります。
 今後とも、首都直下型地震など、都に大きな被害が想定される災害に備えて、災害廃棄物への対応を整備し、万全を期してまいります。
 次に、世界一の環境先進都市の実現についてでございますが、良好な大気や水、緑を確実に次の世代に引き継いでいくことは重要な課題でございます。
 このため、都は、環境基本計画において、全測定局におけるPM二・五の環境基準や海域における環境基準の達成、生物多様性の保全や新たな緑の創出などを目標として示しました。
 今後、次世代自動車の普及拡大に加え、VOC対策を推進し、大気環境の一層の改善に取り組んでまいります。
 また、下水の高度処理を進めるなど、関係各局、近隣県市と連携し、東京湾の水質対策を進めるとともに、七月に開始する新たな花と緑の東京募金を活用いたしまして、花と緑の都市空間を創出してまいります。
 さらに、自然環境の保護と利用のバランスを図るための自然公園ビジョンを今年度策定いたします。
 これらの取り組みを通じまして、二〇二〇年大会のレガシーを残し、世界一の環境先進都市東京を実現してまいります。
 最後に、次世代自動車の普及についてでございますが、電気自動車やプラグインハイブリッド車は、CO2排出量の大幅な削減だけでなく、大気環境の改善や走行時の騒音低減などにも効果があり、都はその普及拡大に向け、導入補助や自動車税の減免措置等を実施しております。
 また、二百台以上の自動車を使用する事業者に対しましては、環境性能の高い自動車の導入を義務づけており、今年度からは、次世代自動車等の導入率を二〇二〇年度末までに一五%以上とするよう引き上げをいたしました。
 今後とも、業界団体とも連携し、目標の達成に取り組んでまいります。
 さらに、都民の約六割が住む集合住宅への充電設備の普及に向けた検討を進めるとともに、イベントの開催などを通しまして、都市型のライフスタイルに合った次世代自動車の魅力や利便性をユーザーにPRしてまいります。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、鉄道ネットワークの充実についてでございますが、人口減少社会においても、人や物の交流を活発化して、将来にわたり東京が持続的に発展するには、東京の強みである鉄道網のさらなる充実が不可欠でございます。
 今回の答申では、国際競争力の強化や質の高い鉄道サービスの実現に向けたプロジェクトが示され、都が整備について優先的に検討すべきとした五路線を含め、要望した十九路線全てが位置づけられるなど、都の考えがおおむね反映されたものとなってございます。
 一方、答申にも示されておりますとおり、各路線には採算性や事業主体の確立、費用負担のあり方についての合意形成など、それぞれ課題がございます。
 今後、鉄道事業者など、関係者とともに課題の解決に努め、鉄道ネットワークのさらなる充実に取り組んでまいります。
 次に、創出用地を活用したまちづくりについてでございます。
 都営住宅の建てかえによる創出用地は、都民共有の貴重な財産であり、まちづくりに効果的に活用し、都の政策目的の実現や地域の課題解決を図ることが重要でございます。
 お話の高砂団地や桐ヶ丘団地では、計画的な建てかえを進めた結果、それぞれ約五ヘクタールもの、まとまった規模の用地が創出され始めてございます。
 これらの用地を公園、福祉施設等の整備に活用することに加え、駅前広場などの交通結節機能の強化、地元区が検討を進める鉄道車庫の再編、文化、商業機能の導入など広域的な課題の解決や、身近な暮らしを支える地域構造への再編に活用してまいります。
 今後も、各所で創出される用地を積極的に活用し、東京の魅力や活力を高めるまちづくりを展開してまいります。
   〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 都有建築物のバリアフリー化についてでございますが、二〇二〇年大会を契機に、東京をバリアフリー化がさらに進んだ都市としていくためには、大会施設整備の考え方を都有建築物の整備に可能な限り取り入れ、これまで以上に、全ての人に優しい施設づくりを進めることが重要でございます。
 都では、平成十八年度に都有建築物のユニバーサルデザイン導入ガイドラインを策定し、配慮する項目等を適宜充実させて、福祉のまちづくり条例等に基づいた施設整備を行ってまいりました。
 今後は、不特定多数の利用する施設などについて、二〇二〇年大会のアクセシビリティ・ガイドラインを踏まえながら、施設の特性に応じた整備に努め、ユニバーサルデザインのより一層の普及に貢献してまいります。
   〔会計管理局長塚本直之君登壇〕

○会計管理局長(塚本直之君) 電子マネーによる公金の収納についてでありますが、都はこれまでも、コンビニエンスストアでの収納など、その方法を拡大してまいりましたが、電子マネーは地方自治法上の取り扱いが不明確であり、現状、導入は進んでおりません。
 公金収納に当たっては、社会情勢の変化に対応し、都民の利便性向上や収納効率化などの観点から、その多様化に取り組むことが重要でございます。
 このため、電子マネーにつきましても、近年の普及状況に鑑み、少額の支払いである入場料や物品販売などにおいて収納スキームを構築してまいります。
 具体的には、平成二十九年度中の導入に向け、国と法令上の課題解決に向けた調整を行い、今年度中に会計処理などの実務的な指針を整備いたします。
 今後とも、関係各局と連携しながら、早期に電子マネーによる公金の収納ができるよう取り組みを推進してまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、社会福祉法人制度改正への対応についてでありますが、今回の改正では、全ての法人への評議員会の設置、一定規模以上の法人への会計監査人の導入、余裕財産を活用した地域福祉サービスへの再投下計画の作成などが義務づけられました。
 今後、国は、制度運用の詳細を政省令や通知などで示す予定でございまして、都は、関係者の意見を十分踏まえ、早期に詳細を明らかにするよう国に提案要求してまいります。
 また、都内法人が新制度へ円滑に移行できるよう、学識経験者や法人代表者等から成る社会福祉法人専門家会議のこれまでの議論を踏まえ、今後、都内全ての法人を対象にした説明会を開催し、制度改正の内容をわかりやすくまとめたパンフレットも作成いたします。
 さらに、業務運営等が適正かどうか法人みずから確認できる点検シートや決算書確認シートも作成し、法人の取り組みを支援してまいります。
 次に、待機児童解消に向けた取り組みについてでありますが、本年四月の保育サービスの利用状況は、現在集計中ではございますが、利用児童数は、整備目標の一万二千人を上回り、一万四千人以上ふえる一方、出生数の増加や人口の流入、共働き世帯の増加などにより、待機児童数は昨年を上回り、八千人を超えると見込まれております。
 こうした状況を踏まえまして、都は現在、待機児童数の多い区市町村を中心に、保育ニーズや整備方針などの調査やヒアリングを実施し、改めて実態の把握や現状の分析を行っております。
 副知事をトップとした関係各局から成る検討チームでは、区市町村の状況や国の施策などを踏まえ、整備促進策、人材確保策、利用者支援策等を柱に検討を行うこととしておりまして、夏までに新たな対策を取りまとめ、整備目標についても引き上げてまいります。
 最後に、板橋キャンパスの旧建物解体後の跡地活用についてでありますが、お話のように、老朽化した特別養護老人ホームなど福祉施設の建てかえに当たりましては、代替となる土地や建物の確保が課題となっております。
 そのため、都は現在、清瀬小児病院の跡地を活用した代替施設の整備を進めており、板橋キャンパスの一部につきましても、特別養護老人ホームの建てかえのための代替施設整備の用地として活用する考えでございます。
 板橋キャンパスにつきましては、平成二十年に策定した再編整備基本計画の考え方を踏まえ、地元区の意見等も聞きながら、これまで活用策を検討してきており、その他のスペースにつきましても、地元区のニーズを踏まえた福祉インフラの整備、都の災害備蓄倉庫や地域の防災機能の強化のための用地等として有効に活用する方針でございます。
   〔病院経営本部長真田正義君登壇〕

○病院経営本部長(真田正義君) 多摩地域における東京医師アカデミーを活用した医師育成に関する連携についてでございますが、これまで都では、東京医師アカデミーを創設し、都立、公社病院の医師の育成及び確保を行ってまいりました。
 今後は、こうした取り組みに加え、多摩メディカルキャンパスにおいて、多摩地域の公的病院との連携による医師の育成にも取り組んでまいります。
 具体的には、人材確保が難しい多摩地域の公的病院のニーズに応じ、都立病院と公的病院との相互臨床研修による研修医の派遣を行ってまいります。
 また、医師アカデミー修了生の公的病院への就業支援を行うため、関係機関との調整を進めてまいります。
 これらの取り組みを進め、地域の医療機関との連携をより一層強化し、多摩地域全体の医療水準の向上に努めてまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、ビジネスチャンス・ナビの利用促進についてでございますが、中小企業の受注機会の拡大に加え、社会経済の安定にも資する本サイトが有効に機能するためには、より多くの企業が登録し、利用していただくことが必要でございます。
 このため、都は、サイトを通じた発注が期待できる大企業等への個別訪問を行うとともに、受注を目指す中小企業に対しては、業界団体の総会等に出向き、直接登録を呼びかけております。また、金融機関と連携し、支店網を活用した取引先企業へのPR活動を展開しております。
 今後、さらに都の入札におきまして、サイトの登録に対するインセンティブを付与するなど、利用を促進するための方策を検討してまいります。
 こうしたさまざまな取り組みにより、都内を初め全国の企業の利用登録や発注案件の掲載を戦略的に働きかけてまいります。
 次に、中小企業が行う職業訓練についてでございますが、都は、事業主や団体等が従業員を対象として行っている職業訓練のうち、国の基準に適合するものを認定職業訓練として認定し、運営費及び施設設備費を補助してまいりました。
 東京の産業の持続的な成長を支えるためには、事業主がみずから実施する職業訓練を支援し、企業の負担にも配慮しつつ、中小企業における人材育成を促進することが重要でございます。
 そこでまず、今年度は、建設分野等の職業訓練に対する国の支援拡充措置を活用いたしまして、運営に要する経費の助成率を二分の一から三分の二に引き上げます。
 今後とも、中小企業の人材育成を促進するため、認定職業訓練の一層の充実に向けた取り組みを推進してまいります。
 最後に、観光のアクションプログラムについてでございますが、アクションプログラムは、観光を取り巻く状況の急速な変化等に適切に対応するため策定をするものであり、今回の素案では、総合的で体系立った政策の展開に向け、取り組みの方向性を示しております。
 この中で、特に観光消費の拡大に向け、旅館など観光事業者の経営力や生産性の向上の支援、人材の育成等を重視して対応を進めてまいります。
 また、地域の観光振興の充実のため、多摩・島しょの自然や農林水産業のほか、都内各地の文化やインフラを活用した旅行者誘致にも重点を置いて取り組んでまいります。
 さらに、水辺空間で光を用いて、ナイトライフの充実に役立つ観光資源の開発の検討も積極的に進めてまいります。
 今後、民間事業者や地域、有識者などの幅広いご意見をいただきながら、年度末までにプログラムを策定いたします。
   〔港湾局長武市敬君登壇〕

○港湾局長(武市敬君) 新客船ふ頭の整備についてでございますが、クルーズ客船の寄港は、国際観光都市東京の地位向上や乗客の消費による大きな経済効果などが見込まれるため、積極的な客船誘致が必要でございます。
 そのため、二〇二〇年までに、世界最大のクルーズ客船にも対応可能な、首都東京の新たな玄関口としてふさわしい客船ふ頭を整備いたします。
 その後、引き続き、岸壁の延伸や客船ターミナルの拡張、駐車場の拡充等を行い、外国の主要港と同様、二隻の客船が同時に着岸し、乗船客のみならず、多くの人々が集い、にぎわう拠点の整備を目指してまいります。
 こうした取り組みを、海外でのコンベンションへの参加などにより、国内外に広くアピールすることで、クルーズ客船の誘致につなげてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 自転車の安全利用対策についてでございますが、都は、自転車利用の広がりや事故の現状等を踏まえ、交通ルール、マナーの徹底など安全対策の強化を図るため、本年四月、自転車安全利用推進計画を改定し、指導員による街頭での啓発、指導やヘルメット着用の一層の促進など、新たな取り組みを盛り込んでおります。
 改定計画の中には、自転車安全利用条例に規定することで、より効果的に実施できると考えられるものもあるため、学識経験者の意見を伺うなど、条例改正に向けた準備を進めることとしております。
 本年五月からは、指導員を江東区にて試験的に導入するなど、改定計画に基づく新たな安全対策も着実に実施しており、今後も引き続き、自転車がより安全に利用される社会の実現に向けた施策を展開してまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、二〇二〇年大会に向けた機運醸成についてでございますが、先日、銀座で開催いたしましたパラリンピック競技を体感できるイベントでは、来場者が二万人を超え、大盛況でございました。
 大会四年前イベントを皮切りに、リオ大会期間中のライブサイトや都営大江戸線駅構内でのパラリンピック競技を体感できる企画展示、大会後のフラッグツアーで全区市町村を巡回するなど、取り組みをさらに加速してまいります。
 また、大会の祝祭の雰囲気を演出するため、エンブレムを活用したシティー装飾や、区市町村と連携し、小中学生が作成したポスターの都内各所への展示等を行ってまいります。
 さらに、都市ボランティアには、語学力や観光知識を有する方、障害のある方など、さまざまな方の参加を促してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、都民一人一人が大会成功の担い手となり、二〇二〇年大会を皆で盛り上げてまいります。
 次に、大会後の競技施設の有効活用についてでございます。
 都はこれまで、外部有識者や民間事業者、競技団体、地元自治体などさまざまな意見を聞きながら、新規恒久施設の後利用について検討を進めてまいりました。
 先月発表した施設運営計画の中間のまとめでは、施設が多くの都民に利用されるよう、スポーツはもとより、文化、レジャー、教育など幅広く活用していくこととしております。
 また、施設に隣接する公園を初めとした地域資源や周辺のまちづくりと連携を進め、さまざまな人々が集い、交流が生まれる、にぎわいの拠点としてまいります。
 今後、広く都民の意見を聞くとともに、都議会での議論も踏まえまして、関係各局とも連携を図りながら、今年度末を目途に施設運営計画の最終的な取りまとめを行い、大会後の施設運営に万全を期してまいります。
   〔百十一番神林茂君登壇〕

○百十一番(神林茂君) 答弁を聞いていまして、知事のただいまの答弁、説明責任を果たしたといえるんでしょうか。誰もが納得していないと思います。
 その中で、まるで答えになっていないものも一つありました。木更津市のホテルで会議を行ったメンバーの氏名についてであります。
 議会に対しても答えられないというのですか。本当に残念ですよね。仮に、会見であったように、元新聞記者の出版会社社長なる者がホテルにやってきて、仮にですよ、仮に形ばかりの会議をホテルで行ったとしても、家族旅行がメーンなのは誰が見ても明らかではないか。そもそも、そこに政治資金を充てるような感覚自体が、庶民感覚から全く乖離しているという状態で、まさにせこい、公私混同といわざるを得ないゆえんでございます。
 一般人の良識で誰が見てもわかることが、第三者の弁護士に指摘をされなければ正せないのでは話になりません。そうした点も踏まえて、今回の一連の問題に政治家としてどう考えるのか、ご自身の言葉で再度答弁を求めます。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) ただいま、一連の問題への考え方についてご質問がございました。
 ご指摘のように、今回の調査によりまして、政治資金の使い道につきまして、公私を混同した不適切なものが明るみとなりました。まことに恥ずかしい限りでございます。
 政治資金は、いうまでもなく、皆様方から頂戴した浄財を原資としておりまして、政治家は、これを皆様方の生活の向上につながる形で使わなければなりません。それにもかかわらず、このような事態を招いたことは、ひとえに私の不徳のいたすところでございまして、深く反省をしております。
 法的側面のみならず、道義的な観点からもご判断をいただいた今回の調査結果を真摯に受けとめまして、都民、そして都議会の皆様のご理解をいただけますように、そして政治家として再び皆様の信頼をいただけますように、ご指摘をいただいたさまざまな問題点にしっかりと対応してまいりたいと考えてございます。

○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時九分休憩

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