平成二十八年東京都議会会議録第七号

平成二十八年六月一日(水曜日)
 出席議員 百二十三名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番菅野 弘一君
四番川松真一朗君
五番山内  晃君
六番栗山よしじ君
七番堀  宏道君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番やながせ裕文君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番中山ひろゆき君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番松田やすまさ君
二十一番河野ゆうき君
二十二番ほっち易隆君
二十三番舟坂ちかお君
二十四番島崎 義司君
二十五番鈴木 錦治君
二十七番宮瀬 英治君
二十八番田中 朝子君
二十九番上田 令子君
三十番山内れい子君
三十一番西沢けいた君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番神野 次郎君
四十一番木村 基成君
四十二番北久保眞道君
四十三番高椙 健一君
四十四番栗山 欽行君
四十五番大場やすのぶ君
四十六番近藤  充君
四十七番桜井 浩之君
四十八番山崎 一輝君
五十番石川 良一君
五十一番両角みのる君
五十二番西崎 光子君
五十三番あさの克彦君
五十四番新井ともはる君
五十五番中村ひろし君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番東村 邦浩君
六十四番崎山 知尚君
六十五番鈴木 章浩君
六十六番清水 孝治君
六十七番小松 大祐君
六十八番柴崎 幹男君
六十九番和泉 武彦君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番鈴木 隆道君
七十二番早坂 義弘君
七十三番高木 けい君
七十五番野上ゆきえ君
七十六番島田 幸成君
七十七番今村 るか君
七十八番大西さとる君
七十九番小山くにひこ君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番高橋 信博君
八十八番中屋 文孝君
八十九番三宅 正彦君
九十番小宮あんり君
九十一番田中たけし君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番山田 忠昭君
九十六番林田  武君
九十七番こいそ 明君
九十八番田島 和明君
九十九番古賀 俊昭君
百番斉藤あつし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番長橋 桂一君
百九番中嶋 義雄君
百十番立石 晴康君
百十一番神林  茂君
百十二番秋田 一郎君
百十三番宇田川聡史君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番高島なおき君
百二十番野村 有信君
百二十一番吉野 利明君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 なし
 欠員
    二十六番  三十二番  四十九番  七十四番

 出席説明員
知事舛添 要一君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長中井 敬三君
政策企画局長川澄 俊文君
総務局長中西  充君
財務局長長谷川 明君
主税局長小林  清君
生活文化局長多羅尾光睦君
警視総監高橋 清孝君
オリンピック・パラリンピック準備局長塩見 清仁君
都市整備局長邊見 隆士君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長山本  隆君
建設局長佐野 克彦君
港湾局長武市  敬君
会計管理局長塚本 直之君
交通局長山手  斉君
消防総監高橋  淳君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長真田 正義君
中央卸売市場長岸本 良一君
選挙管理委員会事務局長安藤 弘志君
人事委員会事務局長藤田 裕司君
労働委員会事務局長櫻井  務君
監査事務局長猪熊 純子君
収用委員会事務局長目黒 克昭君

六月一日議事日程第一号
第一 第百二十八号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百二十九号議案
東京都人権プラザ条例の一部を改正する条例
第三 第百三十号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四 第百三十一号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百三十二号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第六 第百三十三号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第七 第百三十四号議案
東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八 第百三十五号議案
東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
第九 第百三十六号議案
東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
第十 第百三十七号議案
都立臨海地区特別支援学校(仮称) (二十八)新築工事請負契約
第十一 第百三十八号議案
都立板橋高等学校(二十八)改築工事請負契約
第十二 第百三十九号議案
警視庁下谷警察署庁舎(二十八)改築工事請負契約
第十三 第百四十号議案
都営住宅二十八CH―一〇一東(葛飾区東新小岩一丁目・建設局施設)工事請負契約
第十四 第百四十一号議案
都営住宅二十七H―一〇三東(荒川区町屋五丁目)工事その二請負契約
第十五 第百四十二号議案
都営住宅二十七H―一一九東(江東区豊洲四丁目)工事請負契約
第十六 第百四十三号議案
平成二十八年度岡田港船客待合所及び津波避難施設新築その他工事請負契約
第十七 第百四十四号議案
平成二十八年度南北線中防内側陸上トンネル整備工事請負契約
第十八 第百四十五号議案
平成二十八年度新砂水門(再整備)門扉製作据付工事請負契約
第十九 第百四十六号議案
今井水門耐震補強工事(その二)請負契約
第二十 第百四十七号議案
平成二十八年度辰巳排水機場(再整備)建設工事(その一)請負契約
第二十一 第百四十八号議案
公立大学法人首都大学東京中期目標について
第二十二 第百四十九号議案
土地及び建物の買入れについて
第二十三 第百五十号議案
ヘリコプターの買入れについて
第二十四 諮問第二号
地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第二十五 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について

   午後一時開会・開議

○議長(川井しげお君) ただいまから平成二十八年第二回東京都議会定例会を開会いたします。

○議長(川井しげお君) この際、開議に先立ちまして、このたびの熊本地震により亡くなられた方々のご冥福を祈るため、黙祷をささげたいと存じます。

○議会局長(影山竹夫君) 全員ご起立願います。
   〔全員起立〕

○議会局長(影山竹夫君) 黙祷をお願いします。
   〔黙祷〕

○議会局長(影山竹夫君) 黙祷を終わります。ご着席願います。

○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   十三番  中山ひろゆき君 及び
   七十一番 鈴木 隆道君
を指名いたします。

○議長(川井しげお君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(新美大作君) 平成二十八年五月二十五日付東京都告示第千二十五号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案二十四件の送付並びに地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づく専決処分一件の報告及び承認についての依頼がありました。
 次に、平成二十八年第一回定例会の会議において同意を得た公安委員会委員、固定資産評価審査委員会委員及び公害審査会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき通知がありました。
 次に、平成二十七年度東京都一般会計予算外三件の明許繰越について、平成二十七年度東京都一般会計予算外一件の事故繰越について及び平成二十七年度東京都中央卸売市場会計予算外八件の繰り越しについて、それぞれ報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
(別冊参照)

○議長(川井しげお君) この際、報告いたします。
 このたびの熊本地震により被災された方々に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。
 本議会は、熊本県及び大分県の県議会議長並びに知事に対し、見舞状を添えて、全議員の拠出による見舞金を贈呈いたしました。

○議長(川井しげお君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第一回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(八ページ)に掲載〕

○議長(川井しげお君) 次に、閉会中の議員の辞職について申し上げます。
 去る四月十一日付をもって、大田区選出田中健君より、議員を辞職したい旨、届け出がありました。
 本件は、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、議長において、同日付をもって辞職を許可いたしました。

○議長(川井しげお君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君、都市整備局長邊見隆士君、交通局長山手斉君。
   〔理事者挨拶〕

○議長(川井しげお君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(川井しげお君) 次に、閉会中の常任委員の所属変更について申し上げます。
 去る五月十二日付をもって、斉藤あつし君より、文教委員から環境・建設委員へ、また、五月二十七日付をもって、小山くにひこ君より、総務委員から厚生委員へ、西沢けいた君より、厚生委員から総務委員へ、それぞれ常任委員の所属変更の申し出がありましたので、委員会条例第五条第三項ただし書きの規定により、議長において、それぞれ同日付をもってこれを許可いたしました。

○議長(川井しげお君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から六月十五日までの十五日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十五日間と決定いたしました。

○議長(川井しげお君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 舛添要一君。
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 平成二十八年第二回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 去る三月六日、名誉都民である多湖輝さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 このたび海外出張経費、公用車利用、そして政治資金などの問題につきまして、都民の皆様、都議会の皆様に多大なるご迷惑をおかけしておりますことを心から深くおわび申し上げたいと思います。
 今回、都民の皆様から多くのご批判をいただきましたことは、全て私の不徳のいたすところであります。ご批判の内容を真摯に受けとめ、改めてまいります。
 海外出張につきましては、航空機のファーストクラス、宿泊施設のいわゆるスイートルームは使用しないこととし、全体の経費について厳しく見直しを行ってまいります。随行職員も役割をしっかりと見きわめ、最小限の体制といたします。公用車の利用につきましては、厳格な運用を徹底して、都民の皆様の疑惑を招くことのないようにしてまいります。
 また、ご指摘をいただいています、主に知事就任前の政治資金の使途にかかわる問題につきましては、現在、政治資金規正法に精通した元検事の弁護士により、支出内容を厳しく調査していただいております。この結果は、本議会での審議に間に合うよう公表し、ご説明申し上げたいと思います。ご迷惑をおかけし、まことに申しわけございません。
 今回お寄せいただきましたご批判は、しっかりと心に刻んでまいります。心から深く反省し、まずは早急に十分な説明を申し上げられるように努めてまいります。
 このたびは大変申しわけございませんでした。
 四月、熊本地方を震源とします激しい地震が発生し、大きな被害をもたらしました。亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。都はこれまで、警視庁、東京消防庁の各部隊の派遣を初め、医療救護班やインフラ復旧支援隊の派遣、毛布、簡易トイレの搬送など、現地が必要とする支援を着実に展開してまいりました。引き続き、復興をしっかりと支えてまいります。
 今回の地震では、前震、本震と非常に強い揺れが相次ぎ、その後も異例の頻度で余震が続きました。こうした極めて活発な地震活動は、被災状況をさらに厳しいものとしております。都におきましても、都民、国民、そして東京を訪れる人々の安全・安心を守るため、不断の取り組みを進め、災害への備えをさらに固めてまいります。
 先月、福島県を訪問し、浪江町など被災地の現状をこの目で見てまいりました。内堀知事との会談では、都として復興に引き続き協力していく旨、改めてお伝えいたしました。福島県では、再生可能エネルギーを復興の柱の一つと位置づけております。そこで今回、福島の再生可能エネルギーを活用しましたCO2フリー水素の製造、利用を目指し、共同で調査研究を進める協定を締結いたしました。新たな技術開発や関連産業の振興など、被災地のニーズを踏まえた取り組みを進めてまいります。先週には、九都県市首脳会議で再び福島を訪れ、復興、創生に向けた共同宣言を採択いたしました。今後も九都県市で連携し、国の取り組みも一層加速するよう働きかけながら、力強く支援してまいります。
 さて、リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックまで、あと二カ月となりました。アスリートが極限にまで高めた肉体と精神の躍動が、世界に感動を与えてくれることを期待しております。そして、被災地の方々を勇気づける大会となることを心から願いたいと思います。
 東京でも、リオ大会の機運を高めるべく、開催百日前には、都庁舎と駒沢公園オリンピック記念塔を、ブラジルのナショナルカラーであります緑と黄色でライトアップいたしました。大会期間中は、ライブサイトを区部、多摩に加え、東北の被災三県に設置し、大会を応援してまいります。
 大会の熱気あふれるリオの地では、次回開催都市東京をアピールし、二〇二〇年大会への期待につなげてまいります。ジャパンハウスの設置や、日本の文化を堪能できるイベントの開催など、さまざまな工夫で世界と日本の出会いを演出いたします。リオから大会旗を受け継ぐハンドオーバーセレモニーにおいても、東京を強く印象づけてまいります。二〇二〇年大会が、多くのお客様を迎える中で成功をおさめるため、この機を捉え、東京と日本の魅力を世界に広めてまいります。
 先般、二〇二〇年大会のエンブレムが決定いたしました。市松模様をアレンジした、日本の伝統が光る藍色のデザインには、大会に向け、日本人の心を束ねる力があると思います。また、今回開催する二〇一九年ラグビーワールドカップのテストマッチでは、全国の開催都市のPRブースを設置するなど、二〇一九年大会の成功に向けた連携を強めてまいります。二つの世界的なイベントを成功させるため、オールジャパンで着実に歩んでまいります。
 そして、二〇二〇年大会の成功の先に、東京の明るい未来を築き上げる。これは、後の世代の人々に対して私たちが負っている大きな責任であります。この責任を果たすため、ゆとりある成熟社会を未来に残していきたいと思います。
 誰もが生き生きと活躍し、常に活力に満ちながら富とゆとりを生み出す社会。そこでは、暮らしの中のゆとりが生活の質を向上させ、また新たな活力につながってまいります。そうした好循環が支える成熟社会を、二〇二〇年大会を跳躍台として実現してまいります。リオから受け継ぐ大会旗は、まさに大会の成功と、その先の未来に負う大きな責任の象徴であります。強い決意と覚悟で、東京の発展に尽くしてまいります。
 真に豊かな成熟社会を実現するため、大会成功への道筋を確かに歩み、東京をさらなる高みへと飛躍させてまいります。
 選手村につきましては、建設予定地において道路などの都市基盤の整備に着手し、完成に向けた第一歩を踏み出しました。来月には、住宅棟などを整備する民間事業者を選定いたします。また、大会後を見据え、水素エネルギーや次世代型燃料電池など最新の環境技術を駆使したまちづくりの検討も進めます。官民が一体となった強固な推進体制を構築し、着実に取り組んでまいります。
 競技会場につきましても、後利用に関する計画の中間のまとめを発表いたしました。アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることはもとより、都民に長く愛され、活用されるようなレガシーとしていくために、さらに計画を練り上げてまいります。
 二〇二〇年大会を文化の祭典としても成功させるため、文化都市東京の魅力を磨き上げてまいります。
 リオ大会後にスタートする文化プログラムでは、伝統芸能から現代美術まで、東京の奥深い芸術文化を生かしたパフォーマンスなどを展開してまいります。プログラムへの関心を高めるための助成事業も開始いたします。
 また、今回、国立西洋美術館を含むル・コルビュジエの建築作品の世界遺産登録が勧告され、都内初の世界文化遺産の誕生も目前であります。ますます高まる東京の文化の魅力を、国内外に広く発信してまいります。
 ホール、劇場の不足への懸念につきましては、先日、緊急の取り組みを発表いたしました。今後は、新たに調査部会を設け、ホール、劇場の長期的なあり方も検討してまいります。
 パラリンピックを控えた今こそ、障害者理解を進め、真の共生社会を実現してまいります。
 先月、銀座中央通りで、パラリンピック競技の迫力を体感できるイベント、NO LIMITS SPECIALを開催し、トップアスリートが見せる力強いわざの数々が、二万人を超える観衆を魅了いたしました。今年度からは、都内全ての公立学校でオリンピック・パラリンピック教育を開始しており、体験活動を重視した取り組みで、ボランティアマインドや多様性を認め合う心を育んでまいります。
 きょう午前には、都内の小学校におきまして、ロンドン・パラリンピックの統合ディレクターを務められましたクリス・ホームズ卿から、パラリンピックの感動を子供たちにじかに伝えていただきました。学び、体験し、そして関心を高めてもらうことを通じて、パラリンピック大会成功への機運を醸成し、障害者理解の促進を図ってまいります。
 誰もが意欲と能力を存分に発揮し、生産性を向上させ、ワークライフバランスをしっかりと実践する。そこから生まれる活力とゆとりこそが、東京をさらに進化させていきます。そうした認識のもと、全ての都民が安心して活躍できる社会をつくり上げてまいります。
 先月、政府が示しました、ニッポン一億総活躍プランにおきましては、待機児童対策として、保育の受け皿整備や保育士の処遇改善など、現在都が進めている施策が盛り込まれました。引き続き、国や区市町村と連携しながら取り組みを進めてまいります。
 また、新たに副知事をトップとした検討チームを設け、保育サービスの整備目標の引き上げや、さらなる施策の充実も検討してまいります。加えて、国家戦略特区の活用による公園への保育所設置では、今後の計画も含めますと、約千人の定員を確保することになります。こうした取り組みもさらに拡大してまいります。
 高齢化社会への対応では、先般、地域包括ケアシステムのあり方について最終報告が取りまとめられました。介護サービス基盤の整備を初め、認知症対策、介護人材の確保、定着支援など幅広い施策を展開し、高齢期を迎えても、住みなれた地域で安心して生活できる体制を整えてまいります。それは、将来への不安を取り除き、都民一人一人の生き生きとした活躍を引き出すことにもなると思います。高齢社会の課題に正面から取り組み、成熟社会における持続的な活力を生み出してまいります。
 女性の活躍も、さまざまな観点から推し進めてまいります。昨年度公表しました、自治体初の女性活躍推進白書では、全ての女性が輝く社会を目指した取り組みの方向性を提言いたしました。これを実現していくため、先週、シンポジウムを開催し、私もパネリストとして議論に参加したところであります。
 今年度末には女性活躍推進計画を策定し、具体的な施策を打ち出します。すぐに着手できるものは、計画策定を待つことなく、リーディングプロジェクトとして先行実施いたします。
 また、家事の負担を軽減することは、女性の活躍を推進する一つの有効な手段であります。家事支援サービスの担い手の拡大に向け、主婦や高齢者が持つ経験とスキルを生かしてまいります。さらに、特区による外国人の人材活用につきましても、先行する神奈川県や大阪市の事例を参考にしながら、検討していきたいと思います。
 貧困の連鎖や格差の拡大も食いとめなければなりません。
 非正規雇用対策では、都は昨年度、目標を超えます五千百六十一人の正規雇用化を実現いたしました。今年度からは、社内での正規雇用転換を後押しする助成制度を大幅に拡充しております。こうした支援サービスをワンストップで企業へ提供するための窓口も、国と連携して開設いたしました。企業の取り組みを加速し、さらなる正規雇用化を目指してまいります。
 望まぬ非正規雇用へとつながりかねない不登校、中途退学にも対処してまいります。これらの背景には、学校での状況や家庭環境などさまざまな課題が挙げられ、教育、福祉、労働といった幅広い分野における対応が求められます。そこで、スクールソーシャルワーカー等から成るチームを設置し、関係機関と連携した支援を展開してまいります。さらに、不登校の児童生徒を支援する教育支援センターの機能強化につきまして、新たに有識者会議を立ち上げ、検討を開始しております。これらを通じて、学校への復帰や将来の社会的自立に向けた支援を強化してまいります。
 続きまして、都民の安全・安心の確保について申し上げます。
 昨年度末、都の災害対策の土台となります首都直下地震等対処要領、耐震改修促進計画、防災都市づくり推進計画を改定いたしました。被害軽減のポイントとなる初動対応の強化を図るほか、災害に強いまちづくりをより迅速に進めてまいります。防災ブック「東京防災」の活用や、年四回の防災訓練などを通じて、自助、共助の力を確実に高め、ハード、ソフトの両面から東京の災害対応力を向上させてまいります。
 テロ対策も引き続き強化してまいります。昨年のパリ、ことしのジャカルタやブリュッセルなど、首都を狙う卑劣なテロが相次いでおり、東京においても予断を許しません。先般、羽田空港で視察した警視庁のテロ対処部隊は、二十四時間体制で警備に当たりまして、銃器対策や爆発物処理など実践的な訓練も重ねております。先日の伊勢志摩サミットの際は、都内でも警戒態勢を強化いたしました。警戒活動や訓練を通じて得られた知見を生かし、テロの抑止力を高めてまいります。
 サイバー空間の安全も確保しなければなりません。警視庁に設置したサイバーセキュリティー対策本部では、サイバー攻撃等の最新手口の分析や人材育成などにより、対応力を強化しております。また、官民一体で立ち上げた東京中小企業サイバーセキュリティー支援ネットワークによる取り組みを通じて、人材や資金面での制約から対策が不十分になりがちな中小企業への支援も着実に進めてまいります。
 感染症につきましては、ジカ熱への不安が高まっております。蚊の病原体保有調査では、デング熱などに加え、ジカ熱のウイルスも対象といたしました。暑い夏を控え、対策を万全に講じてまいります。
 日本の未来を牽引する、常に活気あふれる都市であり続けるため、持続的な経済成長に向けた施策も充実させてまいります。
 昨年、東京は、千百八十九万人の外国人旅行者をお迎えいたしました。さらなる誘致に向け、世界中の注目が集まるリオデジャネイロにおきまして、&TOKYOを活用した東京ブランドのPRを展開いたします。世界中からランナーが参加する東京マラソンも、神田、日本橋、両国を駆け抜け、東京駅をバックにフィニッシュする、歴史と文化をよりアピールできるコースに変更いたしました。さまざまな機会を捉えて、観光都市としての魅力を強く印象づけてまいります。
 観光産業振興アクションプログラム二〇一七については、先日、素案を公表いたしました。今後の取り組みの方向性として、水辺のにぎわい創出や多摩・島しょ地域の自然の活用などを提示しております。先週には、区部唯一の蔵元であり、その立地の特性を生かして地元の観光振興に取り組む酒造会社を視察いたしました。こうした地域の活動も参考にしながら、有識者とさらに議論を重ね、十一月を目途に公表する中間のまとめにおいて、素案の内容を具体化してまいります。
 舟運の活性化も進めてまいります。ロンドンやニューヨークの例を見ましても、舟運で都市の活力を高めるには、人々を引きつける工夫や利便性の向上が不可欠であります。昨日決定しました舟運活性化パートナーが持つ民間のノウハウを活用し、多くの人々に親しんでもらえる環境整備を図ってまいります。
 舟運は、通勤通学の足や災害時の救出救助、物資運搬の手段としても活用が可能であります。国の事業とも連携して、互いの取り組みを進化させながら、水の都東京にふさわしい観光交通手段として定着させてまいります。
 伝統のわざから最先端のテクノロジーまで、東京が誇るすぐれた技術は大いなる可能性を秘めております。
 東京の伝統工芸の新たな価値の創造を目指す東京手仕事プロジェクトでは、職人の歴史あるわざとデザイナーの感性が融合した商品が数多く生まれております。こうした商品を通じて、卓越した技術を世界へ広く発信し、新たな市場を切り開いてまいります。
 先端技術につきましては、先般、中小企業のロボット開発の支援拠点となります東京ロボット産業支援プラザを開設いたしました。現地の視察では、相手の動くペースに合わせて案内を行うロボットの高い性能に触れまして、この分野の将来性を確信いたしました。また、都心と臨海部を結ぶBRTには、滑らかな加速、減速や停留所へのすき間のない停車など、安全で快適な運転をサポートする自動走行技術の導入を目指してまいります。その実現に向けた相互協力に関する覚書を、内閣府や民間事業者と締結いたしました。
 ロボットや自動運転といった最新の技術は、介護現場の負担軽減や買い物弱者対策など、少子高齢化が直面する課題にも幅広く応用が可能であります。明るい未来を支える技術の開発をしっかりと後押ししてまいります。
 東京を国際ビジネスの拠点としてさらに活性化させてまいります。
 先月、国家戦略特区の区域会議で、都が提案しました六つの都市再生プロジェクトが了承されました。国際金融センター構想の中核となります大手町から兜町にかけて、今後、金融機能のさらなる集積が図られます。さらに、外国の金融系企業をサポートする金融コンシェルジュサービスを展開するほか、十二月を目途に、国際的な金融会議を開催する準備も進めております。監査監督機関国際フォーラムの常設事務局が東京に設置されることも決まりました。高度な人材や情報を海外から呼び込み、金融分野における東京のプレゼンスを向上させてまいります。
 今回の区域会議により、特区を活用した都内の都市再生プロジェクトは合計で二十八となり、その経済効果は十兆円を超えると見込まれております。今後も拡大し、民間事業者や地元の人々の知恵と工夫も生かした、機能的かつ魅力的なまちづくりを進めてまいります。
 また、医療分野におきましても、都内の三つの病院における革新的医療機器の早期開発に向けた計画が了承されました。ライフサイエンス産業のさらなる発展につなげていきたいと思います。そして、金融機関やライフサイエンス関連企業が集まる東京駅周辺エリアを、国際ビジネスの最前線、東京グローバルビジネスフロントと位置づけ、世界で一番ビジネスのしやすいショーケースに進化させてまいります。
 東京の成長を支える都市づくりにおいて、羽田空港の機能強化は極めて重要であります。発着枠の拡大を目指した飛行経路の見直しについて、国は夏までに環境影響に配慮した方策を策定することとしております。都は引き続き、地元が懸念する騒音や安全性について十分対応することを要請するとともに、機能強化に向けた協議が円滑に進むよう積極的に協力してまいります。
 四月には、二〇三〇年ごろを念頭に置いた、東京圏の都市鉄道のあり方について、国の指針が公表されました。整備を優先的に検討すべきとして都が提案しました五つの路線は全て、国際競争力の強化、あるいは地域の鉄道網の充実に資するプロジェクトとして位置づけられております。今後、この内容を踏まえ、国や区市町、鉄道事業者など関係者と連携し、鉄道ネットワークの充実に取り組んでまいりたいと思います。
 都市づくりに必要なのは、時代の大きな流れを捉え、二十年先、三十年先を見詰める目を持つことであります。先月には、二〇四〇年代の東京の都市像とその実現に向けた道筋について、都市計画審議会の調査特別委員会から中間のまとめが公表されました。秋に予定されております答申を待ち、グランドデザインの検討にも反映していくことで、明るい未来への展望を示してまいります。
 持続可能な発展に向け、地球環境に配慮した都市経営は、今や世界の大都市に課せられた責務であります。
 昨年度末に策定した新たな環境基本計画では、温室効果ガスの排出量削減や再生可能エネルギーの利用割合について、国を上回る高い目標を掲げました。
 達成のための一つの鍵となるのは、水素エネルギーであります。燃料電池自動車の普及や水素ステーションの整備を強力に後押ししてまいります。来月には、水素への理解を深める情報発信施設、東京スイソミルもオープンいたします。大会後の選手村に導入する家庭用燃料電池など、活用の機会も広げながら、水素を都民の身近なエネルギーとして定着させていきたいと思います。
 地球規模の環境問題の解決は、国際的な連携なくしては実現できません。都はC40、イクレイ、コンパクト・オブ・メイヤーズなど、環境問題にともに挑む国際的ネットワークに参加しております。先月には、イクレイが創設した、大気汚染に取り組む東アジア・クリーン・エア・シティーにも加盟いたしました。C40は、低炭素都市の実現のモデルとなる開発を認証するプログラムを実施しており、JRの品川車両基地跡地開発が、日本で初めてこれに参加しております。今後、都も技術的な協力を行ってまいります。
 また、気候変動対策と国際金融の関係に着目した新たな取り組みにつきましても、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏と意見交換を行ってまいりました。国際的なつながりの中で、互いの経験やノウハウを共有し、先駆的な施策を展開することで、環境問題の解決に向けてリーダーシップを発揮してまいります。
 東京が将来にわたり世界と伍して発展を続けるためには、次代を担う若者の国際化も喫緊の課題であります。先般、ミューリエル・バウザー・ワシントンDC市長と、相互の学生交流を進めることで意見が一致いたしました。本定例会に提案しております公立大学法人首都大学東京に係る中期目標でも、グローバル人材の育成を柱の一つに掲げております。国際感覚や幅広い教養を備え、変化の激しい時代を柔軟に生き抜くことができる力を育ててまいります。
 また、今月開催します総合教育会議では、二〇四〇年代を見据えた教育のあり方について、教育委員会と意見交換を行います。未来の東京を支え、牽引する人材の育成に向けて、さまざまな観点から議論を深めていきたいと思います。
 これまで、明るい未来に向かって東京を飛躍させるための施策につきまして、申し述べてまいりました。私の使命は、これらの一つ一つを結実させ、都民の皆様に、東京に暮らしてよかったと実感していただくことであります。生き生きとした暮らしの中から生まれる活力を原動力に……
   〔発言する者あり〕

○議長(川井しげお君) 静粛にしてください。

○知事(舛添要一君) 子や孫の世代においても発展を続ける東京を実現したいと思います。
 最後に、改めまして、私のこのたびの問題につきまして深くおわびを申し上げます。
 都政を託していただいた都民の皆様、ともに都政を担う都議会の皆様の信頼を損なうこととなりましたことは、まことにざんきの念にたえません。真摯に反省し、問題にしっかりと対応してまいります。信頼の回復は一朝一夕にできるものではないことは十分承知しておりますが、一歩一歩、地道に都政の発展に努力し、都民の皆様にお応えしていきたいと思います。
 多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを重ねて心からおわびを申し上げます。このたびはまことに申しわけございませんでした。
   〔発言する者あり〕

○議長(川井しげお君) 静粛にしてください。退室を命じる場合がございますので、よろしくお願いします。

○知事(舛添要一君) なお、本定例会には、これまで申し上げたものも含め、条例案九件、契約案十一件など、合わせて二十五件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして私の所信表明を終わります。

○議長(川井しげお君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二日から六日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二日から六日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、六月七日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時三十二分散会


文書質問趣意書及び答弁書

28財主議第123号
平成28年5月24日
東京都議会議長
川井しげお殿
東京都知事
舛添 要一

文書質問に対する答弁書の送付について

 平成28年第一回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

塩村あやか議員
おときた駿議員
宮瀬英治議員
上田令子議員
尾崎あや子議員
中村ひろし議員
小竹ひろ子議員
今村るか議員
畔上三和子議員
大山とも子議員
吉田信夫議員

平成28年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 塩村あやか

質問事項
一 警備犬について
二 動物愛護施策について
三 第五福竜丸展示館について
四 都議会だよりについて
五 職員の職務について

一 警備犬について
1 警備犬と女性ハンドラーについて
2020年東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、国際テロの脅威は現実のものとなってきており、開催会場や空港、駅ターミナルなどの警備や不審物検索に従事する警備犬の任務はますます重要なものとなってきています。
しかしながら、まだ警視庁のハンドラーは男性が多く、女性の更衣室や女性トイレ、授乳室などの警備には躊躇してしまうところです。そこで、女性ハンドラーの人員・任務を拡充することにより、女性でなければ立ち入れない上記場所などの検索と警備が、スマートかつ、ソフトに拡充されるはずです。
警備犬女性ハンドラーの拡充をすべきですが、警視庁の見解を伺います。
2 マリノア犬の警備犬への登用について
マリノア犬は諸外国で警察犬・軍用犬として活躍をしており、ジャーマンシェパードよりも優秀と評価されています。2011年にはアメリカ軍特殊部隊の「ネイビーシールズ」がこのマリノア犬と伴って「ウサマ・ビン・ラディン」の隠れ場所を突き止めるという成果を上げています。
厳しい警備情勢を万全の体制で乗り切るためにも、優秀でタフなマリノア犬をぜひ警備犬として登用していくべきだと考えますが、警視庁の見解をお伺いいたします。
3 ラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の警備犬を使った民間協力について
マリノア犬はまだ日本では数が多くない状態ですが、すでにスポーツの国際大会に向けてマリノア犬の訓練を積んだりと準備をしている民間団体もあります。そうした団体にも協力を仰ぎ、スポーツの国際大会において連携をして選手村や競技会場の警備に当たることが理想ですが、見解を伺います。

二 動物愛護施策について
1 幼い犬猫を生まれた環境から8週間引き離さない「8週齢規制」について
これまでも本会議や厚生委員会、動物愛護管理審議会において様々な動物愛護施策について質問を重ねてきました。その中で「犬猫の生後8週間は親子を一緒に飼養する(いわゆる8週齢規制)」については当時の担当課長は「憲法違反」だと主張をし、翌日の審議会で座長も突然全く同じ主張を始めました。この不自然な動きについては苦言を呈するに止めますが、看過できないことがあります。
国の法律では8週齢規制については附則がつき、5年間の経過措置が激変緩和として設けられています。しかしながら、その5年経過後に移行できるか不確実であるうえ、業界団体などから反対の動きも出てきました。私は「上乗せ規制や、横だし規制」などあらゆる方策を含めても条例制定できないのかと伺ったところ「憲法違反」との返事は変わりませんでした。しかし、札幌市の3月議会において、「8週齢規制」を努力義務に含む条例が可決をされました。しかも、先駆けて国の「犬猫の殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟(会長・尾辻秀久参議院議員)より、条例成立を応援する声明文が札幌市議会に送られました。内容は「他の自治体に先駆けた取組み」と評価し、「全ての愛護動物が守られる条例が成立されますよう、永田町からエールを送らせていただきます」というものです。
審議会の前日に担当課長が上乗せや横だしを含めて「憲法違反」だと主張をしたのは、東京都の見解なのか、担当課長の個人的な見解なのか伺います。
2 また、札幌市と同様の条例の制定は、東京都でも可能なのか不可能なのか伺います。
3 2年も前に率先をして制定をすべきだと私は主張をしてきた8週齢規制ですが、札幌市の後塵を拝して2番目になったとしても、ペットショップ(第一種動物取扱業)を日本一多く抱える東京都が制定をすることは、犬猫など愛玩動物として人間都合で大量生産・大量(闇)処分される動物の命を大切にする為にも、意義があるか、ないか伺います。
4 前定例会の文書質問にて、警視庁に「メディア・新聞等で取り上げられたような社会的反響の大きい重大・悪質な、環境省が示した動物虐待にあたるペット業者がいる場合、警視庁は「動物の愛護及び管理に関する法律」違反に関して、東京都に何らかの協力要請をするのか伺いました。答弁は「連携して対応することとしている」とのことでした。また、平成26年11月以降、答弁日まででこのようなケースで警視庁が協力要請をしたものは「3件」との答弁でした。日本中の動物愛護関係者が「ここまでひどい例はない」と顔をしかめ、行政処分までもネットを中心に大炎上をし、新聞社も取り上げ、行政処分時にはNHKの7時のニュースを含む、ほぼ全てのテレビ局がストレートニュースで報道した程の案件のペットショップ・パピオンですが、警視庁からの協力要請はあったのか伺います。また、その申し出にどのような対応をしたのか伺います。
5 動物愛護相談センターについて
動物愛護相談センターの老朽化が著しい状態です。多くの自治体が東京都よりも築年数が浅くても「殺処分機を置かない」「ティアハイム型」など、各自コンセプトを打ち出したりしながら、新しい動物愛護管理センターの建設を推進しています。都はこれまでの私の要望に対し、東京都の動物愛護相談センターについて「譲渡の拡大に向けた施設への転換について検討していくこととしている」と答弁をしました。その後の進捗をうかがいます。
6 また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに諸外国に恥ずかしくない状態になるような施策が決定されるのかどうか伺います。

三 第五福竜丸展示館について
1 都立第五福竜丸展示館について
江東区にある都立第五福竜丸展示館は、原水爆を通じ核の恐ろしさを伝え続けている、貴重な展示館です。第五福竜丸は、ビキニ環礁での被ばく後にも漁船として使用されていました。1967年に廃船処分となり、解体業者に払い下げられ、船体はゴミの処分場であった「夢の島」の埋立地に放置されました。これを知った市民のあいだから保存の声があがり、船体に残った水をすくい出したり、嵐の夜には市民が見守ったりして保存活動がスタートし、展示館となりました。
視察に伺ったところ、大変に素晴らしいガイドで当時の状況や、被ばくされた乗組員の方とご家族の置かれた状況などが目に浮かぶようで、深く理解することができました。
しかし、英語展示などがまだまだ少ない状態です。ぜひ増加をしている海外の観光客の方にも知って欲しいと思っても、言葉の壁が立ちはだかっています。パンフレットも日本語のみで経費が掛けられない様子が手に取るように分かります。施設は清潔に管理されていますが、パネルなども日本語のみの物が多い上、とても質素です。また、床は隆起していたり陥没していたりという状態です。今後、都立第五福竜丸展示館の意義と、職員の素晴らしい案内を広く伝えるため、施設を充実させるべきだと考えますが見解を伺います。
2 被ばくマグロの碑について
関連して、被ばくマグロの碑について伺います。当時、築地市場に入荷したマグロが「原爆マグロ」と呼ばれました。放射能に汚染された鮮魚はおよそ460トンにもなり、築地に入荷されたものは2トンと言われており、すぐに地中に埋められました。その廃棄された魚と同じ重さ2トンの石碑はいま、都立第五福竜丸展示館にひっそりと佇んでいます。「石碑をただの石ころにするのか、後世への希望にするのかは未来を生きるみなさん次第。築地に設置をし、核の惨劇をなくす一歩を進めて欲しい」と第五福竜丸で被ばくをした乗組員は取材に答えています。記憶は風化しますが、碑がある限り悲劇は風化せず語り継がれていくはずです。大規模な整備が行われる機会に、築地に石碑を移転することを検討すべきだと考えますが見解を伺います。

四 都議会だよりについて
1 「都議会だより」の写真掲載について
文書質問、一般質問は各議員の権利だと考えます。しかしながら現在都議会だよりには、一人会派の議員が一般質問をした際のみ、写真掲載がされません。
二人以上の人数がいる会派の写真は掲載されます。調査の結果、こうした差別的扱いをする都道府県は東京都のみです。会派により写真の掲載に差をつける都道府県議会は東京の他にはありませんでした。議会運営委員会で言ってくれと言われたことがありますが、一人会派は議会運営委員会に入っていないので、伝えることもできません。
2020年を迎えるにあたり、注目されているのは多様性を尊重する社会であり、知事もそのように発言をされています。世界一の都市東京の議会たよりが、一人会派の写真を掲載せず、差別と取れる扱いをしていることは問題であると考えます。一般質問は議員に紐づいた権利であり、会派の問題ではありません。都議会だよりは議員の支出で作成されているのではなく、都民の税金により割り振られた議会局予算で制作されているものです。なぜ、このような扱いになっているのかを伺います。
2 今後、議員一人ひとりに紐づいた最低限の権利である一般質問時の写真などについては、できるだけ世間の常識や他議会とも併せていくべきだと考えますが、見解を伺います。

五 職員の職務について
1 職員の職務姿勢についてお伺いをいたします。最近議員からの質問や要望について誠実に対応をしない傾向が散見され報道されています。その根本原因として、都庁の体質があげられると感じます。不都合なことは表に出さないようにし、表面化しなければいいという風潮です。人間誰しも間違うことはあります。
しかし、間違った場合、特に被害などが出た場合には隠蔽ではなく誠実に対応するのが職員の基本ではないでしょうか。疑問に感じることが発生をし、職員に説明を求めた時に回答をしない時もあります。職務上回答できないような内容ではなく、回答しないことによって時間だけが経過をし、文書で回答を求めても「回答をしません」とだけ上の部長が伝えてきます。個人情報に係ることが外部機関などに漏洩をしていたりしました。職員のパソコンから印刷された議員の住所などの連絡先が、クローズ情報になって数年経ってから外部の手に渡っていました。先方の回答によると「某局からもらったもの」とのことでした。こうしたことには誠実に対応をすべきだと考えます。回答の義務があるはずですが放置されたままです。こうしたことが許されるような東京都なのでしょうか。
職員は分かることを正直に、誠実な対応をするべきだと思いますが、知事の所見を伺います。
2 パワーハラスメントについて
すべての職員が安全かつ健康に働ける職場であるために、時代に合った職場環境の改善は必要不可欠であると考えます。昨今、セクハラについてはどの職場も厳しくなりました。また、パワーハラスメントについても社会的な関心が高まっています。職場におけるパワーハラスメントは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。」と言われています。いわゆる、いじめ・いやがらせのことです。
これは上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれるとのことです。
民事上の個別労働紛争件数に占める割合も平成16年度の9%から、平成24年度には26%と物凄い勢いで増加をしており、都道府県の労働局などに設置された労働相談コーナーに寄せられる相談でも平成24年にトップになったとのことで対応が急がれ、進んできたところです。
ここで東京都、ですが、ある事案からパワーハラスメントに関する相談体制が整っていないことが問題であると気づき、一昨年に東京都に指摘させて頂きました。結果、都は昨年七月に、パワーハラスメントの相談体制を改めて整備し、各局対応に加え、相談窓口の明確化や相談員の育成など、全庁的な取り組みとして対応が強化されました。
しかしながら、パワハラについて「禁止事項」と明記がされていないために、相談窓口は設置されましたが、結局のところパワハラが禁止、悪いという判断ができない状態だと聞いています。相談だけでは一度発生をしてしまえば、解決できない状態になってしまうのは、相談件数が1位ということをみても明らかです。
「国の定義が決まっていないからできない」、と聞いていますがこうしたことこそ東京都から何かしらアクションを起こしていくことが重要だと考えます。見解を伺います。

平成28年第一回都議会定例会
塩村あやか議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 警備犬について
  1 女性ハンドラーの人員・任務を拡充することにより、女性でなければ立ち入れない場所などの検索と警備が、スマートかつ、ソフトに拡充される。警備犬女性ハンドラーの拡充をすべきだが、見解を伺う。

回答
 警視庁では、平成13年以降、警備犬の担当者として女性警察官を登用していますが、今後も、その適性を有する女性警察官の積極的な登用を図っていきます。

質問事項
 一の2 マリノア犬は諸外国で警察犬・軍用犬として活躍をしており、厳しい警備情勢を万全の体制で乗り切るためにも、優秀でタフなマリノア犬を警備犬として登用すべきだが、見解を伺う。

回答
 警視庁が警備犬として運用しているジャーマン・シェパードとラブラドール・レトリバーについては、これらの犬種の特性を踏まえ、長年にわたり積み重ねてきた知識と経験に基づいた訓練を実施し、警戒活動や救出救助活動に当たってきました。
 マリノア犬を含む諸外国の警察等で運用されている犬種については、今後の警備情勢の変化に備え、その特性等を研究していきます。

質問事項
 一の3 スポーツの国際大会に向けてマリノア犬の訓練を頼んだりと準備をしている民間団体もある。そうした団体にも協力を仰ぎ、スポーツの国際大会において連携をして選手村や競技会場の警備に当たることが理想だが、見解を伺う。

回答
 警備犬については、国際スポーツ大会等の警備で、爆発物の探知などにおいて、重要な役割を担ってきました。
 ラグビーワールドカップ2019や、東京2020大会についても、競技会場などの警備を担うそれぞれの組織委員会が、警備犬の活用も視野に入れ効果的な警備対策を検討していくものと認識しています。
 都としても、各大会における安全・安心の確保に向け、組織委員会が適切に役割を果たせるよう協力していきます。

質問事項
 二 動物愛護施策について
  1 動物愛護管理審議会において、審議会前日に「犬猫の生後8週間は親子を一緒に飼養する(いわゆる8週齢規制)」については当時の担当課長は「憲法違反」だと主張をし、「上乗せ規制や、横だし規制」などあらゆる方策を含めても条例制定できないのかと伺ったところ「憲法違反」との返事は変わらなかった。審議会の前日に担当課長が上乗せや横だしを含めて「憲法違反」だと主張をしたのは、都の見解なのか、担当課長の個人的な見解なのか伺う。

回答
 現行の法体系において、法律を上回る期間の制限を条例で定めることはできないと、都は認識しています。
 地方公共団体が、法律で定める期間を上回り、幼齢の犬又は猫の販売をしないことを努力義務とすることなどは可能です。

質問事項
 二の2 札幌市の3月議会において、「8週齢規制」を努力義務に含む条例が可決されたが、札幌市と同様の条例の制定は、都でも可能なのか不可能なのか伺う。

回答
 札幌市動物の愛護及び管理に関する条例は、「犬及び猫にあっては、生後8週間は親子を共に飼養してから譲渡するよう努めること」と努力義務を規定しています。
 このような条例については、都においても制定が可能です。

質問事項
 二の3 8週齢規制について、ペットショップ(第一種動物取扱業)を日本一多く抱える都が制定をすることは、意義があるかないか伺う。

回答
 幼齢の犬又は猫に係る販売等の制限について、国は、早期の親等からの引き離しが問題であるものの、どの程度の日数が最低限必要であるかは、十分に解明されていない部分があり、一方、規制の遵守のためには生年月日の証明等、販売規制の担保措置についても充実させる必要があるとしています。
 今後、国は、親等から引き離す理想的な時期について調査、検証し、それに基づき日数を定めることとしており、平成28年通常国会の衆議院環境委員会では、環境大臣が「検討後、速やかに施行に移れるようにしたい。」と答弁しています。
 こうした国の動きを踏まえると、都として独自に規制する状況ではないと認識しており、今後も、国の動向を注視していきます。

質問事項
 二の4 前定例会の文書質問にて、警視庁に、社会的反響の大きい重大・悪質な動物虐待にあたるペット業者がいる場合、都に何らかの協力要請をするのかと伺ったところ、連携して対応することとしている、との回答があった。ほぼ全てのテレビ局がストレートニュースで報道した程の案件のペットショップ・パピオンだが、警視庁からの協力要請はあったのか伺う。また、その申し出にどのような対応をしたのか伺う。

回答
 警視庁から情報提供の協力要請があり、当該事案に関して行政指導の有無等について情報を提供しました。

質問事項
 二の5 動物愛護相談センターの老朽化が著しい状態だが、都の動物愛護相談センターについて「譲渡の拡大に向けた施設への転換について検討していくこととしている」と答弁をしたが、その後の進捗を伺う。

回答
 平成28年度から、国や他県の取組も踏まえながら、これからの動物愛護相談センターに求められる機能やその在り方について、様々な観点から調査・検討を開始する予定です。

質問事項
 二の6 2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに諸外国に恥ずかしくない状態になるような施策が決定されるのかどうか伺う。

回答
 都は、動物の愛護及び管理に関する法律第6条及び東京都動物の愛護及び管理に関する条例第2条に基づき、平成26年度から平成35年度までの10年間を計画期間として、東京都動物愛護管理推進計画を平成26年3月に改定しています。
 本計画では、動物の適正飼養の啓発と徹底、事業者等による動物の適正な取扱いの推進、動物の致死処分数の更なる減少を目指した取組の推進、災害対策をはじめとする危機管理への的確な対応を柱に位置付け、都民、事業者、ボランティア・関係団体、区市町村、都がそれぞれの役割に主体的に取り組み、一層の連携・協働により効果的に施策を展開し、人と動物との調和のとれた共生社会の実現を目指すとしています。
 国は、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針について、状況の変化に適時的確に対応するため、平成30年度を目途にその見直しを行うこととしており、都においても計画の中間年度を目途に見直しを行う予定です。

質問事項
 三 第五福竜丸展示館について
  1 江東区にある都立第五福竜丸展示館は、原水爆を通じ核の恐ろしさを伝え続けている貴重な展示館であり、今後、都立第五福竜丸展示館の意義と、職員の素晴らしい案内を広く伝えるため、施設を充実すべきだが見解を伺う。

回答
 第五福竜丸展示館では、第五福竜丸の被災の状況などを紹介するパネル展示やガイドによる解説を行っています。さらに、海外からの来館者に対しては、英語による展示の紹介や英語のパンフレットも用意しています。
 また、東京2020大会に向けて、平成27年度に夢の島公園内の建物の現況調査を実施しており、この結果を踏まえ適切に対応していきます。

質問事項
 三の2 当時、放射能に汚染された鮮魚で築地に入荷されたものは2トンと言われており、その廃棄された魚と同じ重さ2トンの石碑はいま、都立第五福竜丸展示館にひっそりと佇んでいる。大規模整備が行われる機会に、築地に石碑を移転することを検討すべきだが見解を伺う。

回答
 現在、夢の島公園内に設置されている、築地市場に入荷した被爆マグロの石碑については、移設するか否かを含め、今後、築地市場跡地の利活用のあり方を定めていく中で、検討を行う必要があると考えています。

質問事項
 四 都議会だよりについて
  1 文書質問、一般質問は各議員の権利だと考えるが、現在都議会だよりには、一人会派の議員が一般質問をした際のみ、写真掲載がされず、2人以上の人数がいる会派の写真は掲載される。都議会だよりは、議員の支出ではなく、都民の税金により割り振られた議会局予算で制作されるものだが、なぜこのような取扱いになっているのか伺う。

質問事項
 四の2 今後、議員一人ひとりに紐づいた最低限の権利である一般質問時の写真などについては、できるだけ世間の常識や他議会とも併せていくべきだが、見解を伺う。

質問事項
 五 職員の職務について
  1 最近議員からの質問や要望について誠実に対応しない傾向が散見され報道されている。その根本原因として、都庁の体質があげられる。職員は分かることを正直に、誠実な対応をするべきだが、所見を伺う。

回答
 職員の職務執行については、職員一人ひとりが全体の奉仕者であることを自覚して、真摯・誠実に対応していきます。

質問事項
 五の2 都は昨年7月に、パワーハラスメントの相談体制を改めて整備し、各局対応に加え、相談窓口の明確化や相談員の育成など、全庁的な取組として対応を強化したが、パワハラについて「禁止事項」と明記がなく、パワハラが禁止、悪いという判断ができない状態だと聞いている。「国の定義が決まっていないからできない」と聞いているが、こうしたことこそ都からアクションを起こすことが重要だが、見解を伺う。

回答
 パワー・ハラスメントは、セクシュアル・ハラスメントと異なり、法令上の定義もなく、一律に規定することが困難なことから、具体的な事例に即して意識啓発を行うことが防止対策上、重要と認識しています。
 このため、都は、平成27年6月に通知を発出し、国の有識者会議の提言も参考として、パワー・ハラスメントとなり得る言動例など職員として留意すべき事項を示すとともに、職員一人ひとりがパワー・ハラスメントの防止に全力で取り組む必要があることを文書により周知しています。
 さらに、平成27年7月に相談窓口を整備し、9月には新たに管理監督者向け講習会を開催するなどパワー・ハラスメント防止対策を強化しています。
 今後もこうした取組を通じて良好な職場環境を確保していきます。

平成28年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 おときた駿

質問事項
一 医療的ケアが必要な障害児に対するスクールバスでの対応について
二 東京アニメアワードフェスティバル2016について
三 都立入試(理科)における出題と訂正について
四 韓国人学校への都有地の貸出について
五 区立中学校校長の修学旅行に関する対応について

一 医療的ケアが必要な障害児に対するスクールバスでの対応について
近年の新生児医療の発達により、都市部を中心にNICU(新生児集中治療室)が増設された結果、超未熟児や先天的な疾病を持つ子どもなど、以前なら出産直後に亡くなっていたケースであっても助かることが多くなっています。その結果、医療的ケアを必要とする子ども(以下医療的ケア児)の数は増加傾向にあります。
ここで問題となってくるのが、医療的ケア児の義務教育の保障です。医療的ケア児のほとんどは特別支援学校に入学します。その通学手段として「スクールバス」を利用したいのですが、医療的ケアの実施に安全性が担保できない等を理由に乗車することが困難な状況にあります。
特別支援学校によっては、学校長の方針によりスクールバスでの通学が可能なこともありますが、それでも「親と学校看護師の引き継ぎ期間」を3ヶ月近く求められ、その間親は同伴せざるを得ないケースが生じています。長期間の休職が出来る会社は少ないため、これによって親(特に母親)が就労を断念し、経済環境が悪化することもあるようです。
一方で、特別支援学校への通学が困難な障害児たちが利用できる制度として「訪問教育」があるものの、この訪問教育の実施状況は全国の平均で「週2.75回・180分/回」、東京では、「週3回・120分/回」というデータが算出されています(国立特別支援教育総合研究所ジャーナル第2号2013年3月より)。つまり義務教育にも関わらず、週5回の授業が受けられないという状況になっており、通学が可能かそうでないかで、障害児が受ける「教育の差」が大きく変わることは明らかとなっています。
そこで、以下の4点についてお伺いいたします。
1 都内の特別支援学校における、医療的ケア児への通学支援状況(スクールバスが利用できる学校がどれくらいあるか、バスに看護師を配置しているケースがどの程度あるか等)をご教示ください。
2 都内の特別支援学校における、訪問教育の実施状況(利用者数、週あたりの実施回数や時間の平均値)をお示しください。
3 現在は医療的ケア児のスクールバス利用不可としている特別支援学校に対して、積極的に利用できる状況となるように都が促していく、具体的にはスクールバスへの看護師配置支援等を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
4 また、すでに看護師が配置されているスクールバスについて、現在は3ヶ月とも言われている引き継ぎ期間を短縮する、保護者ではなくかかりつけの訪問看護師からの引き継ぎも可能とするなど、保護者負担を減らすように改善すべきと考えますが、見解を伺います。

二 東京アニメアワードフェスティバル2016について
去る平成28年3月18日から21日の日程で、東京都も共催者として名を連ね5千万円を出資する「東京アニメアワードフェスティバル2016(以下TAAF)」が開催されました。しかしながら、こちらのイベントは昨秋に突然ディレクターが解任される、組織内の騒動によってコンペ応募作品の多数が審査不能となっている可能性があるなど、多くの問題が発生・指摘されてきました。
特に、クリエイティブ作品の応募プラットフォームとして国際的にも実績と信頼のあるショートフィルムデポット(以下SFD)と、TAAFの主催団体である日本動画協会が係争状態になったことは致命的であり、このまま放置すれば日本アニメはもちろんのこと、その共催に名をつらねる東京都や各種団体の不名誉にもなりかねない事態となっていました。
それにも関わらず、共催という立場である東京都は、私が年初にこの問題について説明を伺った時は「問題が発生しているとは認識していない」の一点ばりで、平成28年第1回定例会におけるあさの克彦議員からの質問に対しても、「ことし三月の同フェスティバルの実施に向けまして、現在、都は実行委員会等と協力して広報等の準備を進めております。フェスティバルの開催により、できる限り数多くのすぐれた作品を審査し表彰すること等により、これからのアニメの制作を担う人材の意欲を高める機会の確保に結びつけてまいります。」と、発生している問題については一切触れることなく、順調に準備が進んでいるかのように答弁しています。
加えて、都が協力している「実行委員会」の主体である日本動画協会については、公式ホームページ上に「江口美都絵氏(東京アニメアワードフェスティバル・元フェスティバルディレクター)に対する刑事告訴・民事裁判に関する御報告」と題する非常に攻撃的な文章を掲載するなど、行政が出資をする公益団体としては不適切な対応を取っていると言わざるを得ません。私から都が関わるTAAFの件についてお話を伺いたい旨を依頼した連絡についても、3月22日の時点まで一切のご返信をいただくことができず、その姿勢にも大きな疑問が残ります。
以上を背景として、4点について伺います。
1 都は「問題は発生していない」との姿勢を貫いてきたものと理解しておりますが、結果としてSFDは日本動画協会とのチャネルを開いていないことを明言し、多くの応募作品が審査をされないままイベントが終了いたしました。この結果について、都は問題として認識されているか否か、明確にお答えください。
2 都は共催団体・出資団体として早期から問題意識を持ち、解決のための努力を行うべきであったと考えますが、今回の結果に都はどのように責任を負い、また関係者からの信頼を回復するために今後どのような対処をされていくのか、見解をお聞かせください。
3 次年度(平成28年度)予算案に盛り込まれている、TAAF2017に出資予定の予算額をお示しください。
4 少なくとも今回の問題が完全に解決されるまでは、日本動画協会が運営するイベントに対しては一切出資するべきではなく、次年度のTAAFは別の形で開催することも検討するべきと考えますが、見解を伺います。

三 都立入試(理科)における出題と訂正について
平成28年度都立高校入学者選抜学力検査問題理科の大問3における金星の位置を求める問題で、答えが一つに絞り込めない、「イ」と「ウ」の両方になる可能性がある旨がメディアや有識者から指摘されました。これに対して東京都教育委員会が公式ホームページ上で「平成28年度東京都立高等学校入学者選抜学力検査問題(理科)に関する見解について」を発表し、そこで示された平面化した地球の外周から金星に向かって補助線を引くという方法に更なる問題があったことから、天文教育普及研究会から公式に抗議の意見書が提出されるまでの事態になっています。
これを受けて東京都教育委員会(以下都教委)は公式ホームページ上で発表した見解を修正し、補助線を引いた図を撤回したものの、採点上の措置は行わないとしています。
以上を背景に、3点についてお伺いいたします。
1 奇しくも都教委自身が誤った解法を見解として示した通り、この問題は正しい学術的な知識に基づいて作成されておらず、問題の受け取り方次第では回答が複数になる可能性が排除できません。それでもなお、採点上の措置を行わない理由を改めて伺います。
2 発表された「見解」のページには現在、「天体に向けて観察者の視線を実際に線として引くことは、これらの線により金星の位置を特定するとの誤解を与えるため、線を削除しました。」との簡潔な説明が掲載されているのみで、当初の「見解」が大々的にピックアップとして取り上げられた対応と較べても、充分な説明と周知が行われているように思えません。再発防止のためにもなぜこのような見解に至ったのか説明を尽くし、また将来的に過去問を掲載するときにはこうした経緯がわかるように注意書きを添えるなどの対応が必要と考えますが、今後の対応をお伺いいたします。
3 関連して、平成26年度都立高校入学者選抜学力検査問題理科においても出題ミスがあり、この際はすべての回答に加点される措置が行われました。にも関わらず、過去問の掲載されたページを見ますと、回答には「エ」との記載があるのみで、そのような問題や措置があったことは一見するとまったくわかりません。都立入試の問題は他県などにも影響力が大きいことから、過去問のページにも何らかの説明を掲載すべきと考えますが、見解を伺います。

四 韓国人学校への都有地の貸出について
先般(平成28年3月中旬)の報道・記者会見によって舛添知事が、新宿にある都有地を韓国政府に有償貸与し、韓国人学校の設立支援を検討していることが明らかになりました。都内に住む韓国人たちへの支援や、都市外交や韓国政府と良好な関係を築くことを否定するつもりはまったくありませんが、現状の都内は保育所・特養・特別支援学校などあらゆる施設の土地が不足している状態であり、こうした状況下で韓国政府への都有地貸与が適切なものであるかどうかは、慎重に精査されなければなりません。
そこで、以下の3点についてお伺い致します。
1 韓国人学校への入学を希望しながら、入学が叶わなかったとされている生徒たちは都内にどれだけいると把握されているのでしょうか。経年変化で直近5年分をお示しください。
2 都有地を有償貸与することで、都が得られる利益(賃料)はどの程度になるのでしょうか。ご教示ください。
3 韓国人学校のニーズが明確にあるのであればその建設意義は認められる一方で、なぜ韓国人学校なのか、福祉施設や特別支援学校などより優先させる理由は何かなど、都民感情や疑問を納得させることは容易ではないと考えられます。都有地を分割して福祉施設を併設する、あるいは同一敷地内に高層の建物を建設してシェアするなどの、折衷案を検討する可能性はないのでしょうか。見解を伺います。

五 区立中学校校長の修学旅行に関する対応について
平成27年5月に行われた世田谷区立三宿中学校の修学旅行において、校長の判断で教育実習生を同行させ、その教育実習生の旅費・宿泊費を保護者から集めた「教材費」の中から支出するという事態が発生しました。そもそも教育実習生を修学旅行という宿泊行事に同行させることが極めて異例のケースであり、保護者の中から不適切である旨の訴えがあったにも関わらず、校長はこの支出を適切として返還に応じていません。
この問題は平成28年3月22日に世田谷区議会予算特別委員会でも取り上げられましたが、世田谷区の教育指導課長・教育長は「校長の権限で、教材費から、実習生の旅費、宿泊費を支出できる」と答える一方で、「保護者が実習生の旅費・交通費は私が負担すべきお金ではないので、払いませんと言った場合、保護者へは支払いを求めない」という矛盾した答弁を行っています。
そこで、区立校長などの人事権を持っている東京都教育委員会(以下都教委)に3点をお伺いいたします。
1 教育実習生を、保護者から集めた「教材費」から旅費・宿泊費を支出して修学旅行に同行させた校長の判断は不適切なものと思われますが、都教委の見解をお聞かせください。
2 世間一般で考えるところの「教材費」と、教育実習生の旅費・宿泊費への支出は明らかに使用用途が乖離しています。それにも関わらず、校長の裁量で「教材費」からの支出を柔軟に認めている世田谷区の姿勢には疑問が残りますが、都教委の見解をお伺いいたします。
3 「保護者が実習生の旅費・交通費は私が負担すべきお金ではないので、払いませんと言った場合、保護者へは支払いを求めない」という世田谷区の答弁の通り、保護者が校長に対して返還を求め、それでもなお校長が返還に応じなかった場合、人事権を持つ都教委として校長になんらかの措置をとることはあるのでしょうか。見解を伺います。

平成28年第一回都議会定例会
おときた駿議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 医療的ケアが必要な障害児に対するスクールバスでの対応について
  1 都内の特別支援学校における、医療的ケア児への通学支援状況(スクールバスが利用できる学校がどれくらいあるか、バスに看護師を配置しているケースがどの程度あるか等)について伺う。

回答
 平成27年度において、肢体不自由特別支援学校に通学している医療的ケアの必要な児童・生徒は532人です。
 医療的ケアの必要な児童・生徒であっても、校長が主治医及び学校医から専門的所見を聞き、スクールバス乗車中には医療的ケアを行う必要がなく、総合的に判断して安全が確保できることを確認した場合には乗車を認めており、平成27年度は、284人の児童・生徒がスクールバスを利用しています。
 その場合、スクールバス内で医療的ケアを行うことを想定していないことから、看護師は配置していません。

質問事項
 一の2 都内の特別支援学校における、訪問教育の実施状況(利用者数、週あたりの実施回数や時間の平均値)について伺う。

回答
 東京都教育委員会は、治療上又は健康上の理由から通学して教育を受けることが困難な児童・生徒に対して、自宅や病院、福祉施設に、都立肢体不自由特別支援学校の教員を派遣し、一人一人に応じた訪問教育を行っています。
 平成26年5月1日現在の訪問教育対象の児童・生徒数は229人で、これらの児童・生徒に対する平成26年度の指導実績は、年間を通じ週平均2.7回でした。
 なお、訪問教育による指導時間については、1回2時間を標準としていますが、訪問日当日の児童・生徒の治療や健康の状況により日常的に変動する場合もあります。

質問事項
 一の3 現在は医療的ケア児のスクールバス利用不可としている特別支援学校に対して、積極的に利用できる状況となるように都が促していく、具体的にはスクールバスヘの看護師配置支援等を進めるべきだが、見解を伺う。

回答
 特別支援学校における医療的ケアは、児童・生徒一人一人の障害の程度や状態に応じて行う必要があるとともに、衛生管理の徹底を図り、安全かつ、適切に実施する必要があります。
 スクールバスの車内においては、児童・生徒の安全確保を第一に優先すべきです。また、都内の道路事情を考えるとバスの駐停車は困難な場合が多いこと、さらに、同乗する他の児童・生徒にとっては乗車時間が長くなるなど負担が増すことから、都教育委員会は医療的ケアの実施を考えていません。

質問事項
 一の4 すでに看護師が配置されているスクールバスについて、現在は3か月とも言われている引き継ぎ期間を短縮する、保護者ではなくかかりつけの訪問看護師からの引き継ぎも可能とするなど、保護者負担を減らすように改善すべきだが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会では、スクールバスの車内における医療的ケアを実施していないことから看護師を配置していません。
 したがって、スクールバス内での引継行為は発生しません。

質問事項
 二 東京アニメアワードフェスティバル2016について
  1 SFDは日本動画協会とのチャネルを開いていないことを明言し、多くの応募作品が審査をされないままイベントが終了した結果について、都は問題として認識されているか否か、伺う。

回答
 都は共催者として、こうした事態に至ったことは遺憾なことだと認識しています。

質問事項
 二の2 都は共催団体・出資団体として早期から問題意識を持ち、解決のための努力を行うべきであったが、今回の結果に都はどのように責任を負い、また関係者からの信頼を回復するために今後どのような対処をするのか、見解を伺う。

回答
 これまで都は、主催者に対し適切な業務運営に向け、必要に応じ働きかけを行っており、引き続きそうした対応によりフェスティバルの円滑な開催を図っていきます。

質問事項
 二の3 平成28年度予算案に盛り込まれている、TAAF2017に出資予定の予算額について伺う。

回答
 東京アニメアワードフェスティバル2017の支出予定額は6,375万円です。

質問事項
 二の4 少なくとも今回の問題が完全に解決されるまでは、日本動画協会が運営するイベントに対しては一切出資するべきではなく、次年度のTAAFは別の形で開催することも検討するべきだが、見解を伺う。

回答
 東京アニメアワードフェスティバルは、準備が順調に進み円滑に開催されることが重要だと考えています。
 これまでも主催者に対しては、適切な業務運営に向け、必要に応じ働きかけを行っており、引き続きそうした対応によりフェスティバルの円滑な開催を図ります。

質問事項
 三 都立入試(理科)における出題と訂正について
  1 平成28年度都立高校入学者選抜学力検査問題理科における金星の位置を求める問題は、正しい学術的な知織に基づいて作成されておらず、問題の受け取り方次第では回答が複数になる可能性が排除できないが、それでもなお、採点上の措置を行わない理由を伺う。

回答
 都立高等学校入学者選抜における学力検査問題は、中学校用教科書に示された内容や中学生の学習実態等を踏まえて作成しており、受検者自身が身に付けてきた知識等を基に解答するものとなっています。
 今回の理科の問題についても、観察結果を踏まえて考えることで解答を一つに絞ることができるものです。また、図などが天文学的に正確でないことについては、問題文中に「模式的に表したもの」と明記しています。
 以上のことから、入学者選抜の検査問題としては成立しているため、採点上の措置は行わないこととしています。

質問事項
 三の2 都教委は公式ホームページ上で発表した見解を修正したが、簡潔な説明が掲載されているのみで、充分な説明と周知が行われているように思えない。再発防止のためにもなぜこのような見解に至ったのか説明を尽くし、また将来的に過去問を掲載するときにはこうした経緯がわかるように注意書きを添えるなどの対応が必要だが、今後の対応を伺う。

回答
 都教育委員会は、今回の理科の問題に関し、都立高等学校入学者選抜の学力検査問題に対する解き方や考え方を補足するとともに、これを広く周知するため、ホームページに見解を掲載しました。
 この見解に対して様々な意見が寄せられたことから、より分かりやすい説明が必要と考え、有識者からの意見も踏まえて一部内容を修正したものです。
 また、都教育委員会では、これまでの入学者選抜における学力検査問題や正答等をホームページに掲載していますが、今回示した見解についても併せて確認できるよう、対応しています。
 今後とも、学力検査問題の質の向上に努めていきます。

質問事項
 三の3 平成26年度都立高校入学者選抜学力検査問題理科においても出題ミスがあり、この際はすべての回答に加点される措置が行われたにも関わらず、過去問の掲載されたページを見ると、そのような問題や措置があったことはまったくわからない。都立入試の問題は他県などにも影響力が大きいことから、過去問のページにも何らかの説明を掲載すべきだが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会では、都立高等学校入学者選抜における各学校の応募状況や受検状況、学力検査問題及び正答等を、ホームページを通じて広く都民に周知しています。
 学力検査実施に際して行った措置等の情報についても、当該年度の学力検査問題等の掲載ページに、その内容が分かるよう平成28年3月23日から明示しています。

質問事項
 四 韓国人学校への都有地の貸出について
  1 韓国人学校への入学を希望しながら、入学が叶わなかったとされている生徒たちは都内にどれだけいると把握しているのか、経年変化で直近5年分について伺う。

回答
 入学者選抜については、各学校において自主的に行われるものであり、都は外国人学校を含む各種学校に対し、入学希望者数の報告は求めていません。
 なお、都は学校教育法に基づき、各種学校の収容定員について認可しています。

質問事項
 四の2 都有地を有償貸与することで、都が得られる利益(賃料)はどの程度になるのか、伺う。

回答
 東京韓国学校への都有地の利用については、今後大韓民国政府と具体的な利用方法や条件について協議を行っていくこととしています。
 価格については、条例、規則等に定められた手続により算定された適正な時価を基に設定されます。

質問事項
 四の3 韓国人学校のニーズが明確にあるのであれば、建設意義は認められる一方で、なぜ韓国人学校なのか、福祉施設や特別支援学校などより優先させる理由は何かなど、都民感情や疑問を納得させることは容易ではない。都有地を分割して福祉施設を併設する、あるいは同一敷地内に高層の建物を建設してシェアするなどの、折衷案を検討する可能性はないのか、見解を伺う。

回答
 大韓民国政府は、早期の開校のために校舎がある用地を要望し、その条件に合致した旧都立市ヶ谷商業高等学校について現状を踏まえて、大韓民国政府より都に対して利用したいとの要請があり、具体的な協議に入ることとしました。
 新宿区からは東京韓国学校と福祉施設の併設等についての要望は聞いていません。

質問事項
 五 区立中学校校長の修学旅行に関する対応について
  1 教育実習生を、保護者から集めた「教材費」から旅費・宿泊費を支出して修学旅行に同行させた校長の判断は不適切だが、見解を伺う。

回答
 区市町村立学校において、保護者から徴収する教材費などの徴収金の管理及び執行は、区市町村教育委員会が定める学校徴収金に関する規定等に基づき行われるものと考えます。
 質問の内容については、当該区教育委員会が判断するものと考えます。

質問事項
 五の2 世間一般で考えるところの「教材費」と、教育実習生の旅費・宿泊費への支出は明らかに使用用途が乖離しているにも関わらず、校長の裁量で「教材費」からの支出を柔軟に認めている世田谷区の姿勢には疑問が残るが、見解を伺う。

回答
 世田谷区の公立学校における保護者から徴収する教材費などの徴収金の管理及び執行については、世田谷区教育委員会が定める「学校徴収金等取扱い要綱」等に基づき行われるものと考えます。

質問事項
 五の3 保護者が校長に対して旅費・交通費の返還を求め、それでもなお校長が返還に応じなかった場合、人事権を持つ都教委として校長になんらかの措置をとることはあるのか、見解を伺う。

回答
 世田谷区教育委員会が定める「学校徴収金等取扱い要綱」等に基づき、当該区教育委員会において適切に対応するべきものと考えます。

平成28年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 宮瀬英治

質問事項
一 都職員等について
二 子どもの貧困について
三 都市外交について
四 災害時対応について
五 修学旅行の経費について

一 都職員等について
日本国憲法第15条において「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と明記され公務員には高い倫理観が求められるのは言うまでもない。ましてや公務員自身が不当に利益を得たり、欲望をかなえようとすることは言語道断である。
しかし平成27年度人事院「公務員倫理に関するアンケート」によると、国民が国家公務員の不祥事で非常に問題があると思う事項に、痴漢、暴行、飲酒運転といった公務外非行や天下り問題が上位に列挙され、経年調査からも明らかなように国民の不満は依然解消に至ってはいない。
そこで以下伺う。
1 東京都においても連日、都職員や教員による公務外非行および逮捕が報道されており、都民の信頼を損なうものと言わざるをえないが、直近5年間のその件数推移を伺う。
2 その推移を東京都としてどのように認識しているのか、また今までどのような対策を講じてきたのか見解を伺う。
3 対策を講じてきたにもかかわらず非行がなくならないことに対し、都は強い危機感を持たねば都民の信頼を得られないことは言うまでもないと考えられる。さらに具体的かつ強力な施策を強化すべきと考えるが所見を伺う。
次に水道局所管の検針および徴収業務について伺う。検針および徴収業務において、平成16年度から現在にいたるまで、区部においては4者、多摩においては7者と契約をしている。一方で主要3者においてはそれぞれ平均35年間もの間、1年間を除き随意契約が行われ、都の検針および徴収業務は結果的には該当三社による独占状態であるといっても過言ではない。
そこで以下伺う。
4 昭和55年、56年、58年よりそれぞれ3者がほぼ35年にわたり継続して都と随意契約を行っているが、都庁を退職した元幹部職員がその3者に再就職した実績があるのか、さらには再就職先のポストやその人数について伺う。
5 都と長年、随意契約がある当該3者に、都の幹部職員が再就職する、いわゆる天下りが行われていると指摘されても致し方ないと考えられる。都の見解を伺うとともに今後は一定の制限を設けるべきと考えるが所見を伺う。
6 再就職については、都の権限を背景に再就職を押し付けているのではないか、また再就職した都職員による営業活動によって都政の公正性が損なわれているのではないか、といった疑念を払拭する必要があると考えるが所見を伺う。
7 幹部職員の再就職については、再就職情報を一元管理し、幹部職員全員の再就職情報を公表する人材バンクを都は整備した。幹部職員による外郭団体、監理団体、利害関係企業等への再就職に関しては、可視化されるとともに一定の規制が必要と考えるが、現在の状況と今後の取り組みについて伺う。
8 過去3カ年の都における課長級以上の職員の再就職数と、そのうち監理団体および報告団体等に再就職した者の割合を伺う。
9 包括外部監査では、例年、都政において合理的な理由がない特命随意契約への指摘がなされ、一部事業においても定量的な計画設定や目標に応じた評価の指標基準の不備さらにはPDCAサイクルによる経営管理体制の欠落が指摘されました。都税を投入している事業であるからこそ、一層の経済性、効率性、有効性が求められます。325事業の見直しから得られた普遍的な事項や知見を標準化しすべての事業が実施して終わりとならない全庁的、抜本的な対策や仕組みの構築を求めます。所見を伺います。

二 子どもの貧困について
都は貧困の連鎖を断ち切る取り組みとして、来年度から、680億円を計上、子どもの居場所創設や地域未来塾の創設など区市町村を支援するとしている。そこで以下、伺う。
1 子どもの貧困といっても様々です。都では子どもの貧困をどのように定義しているのか。またその総数および推移をどう捉えているのか伺う。
2 平成28年度の680億円分の施策によって全体で何人の子どもたちに支援の手が届くのか、またどのように施策の効果検証を行うのか伺う。
3 一方で意欲はありながらもその居場所にたどり着けない子どもはどうするのか、また様々な状況により意欲すら持てない子どもにどう向き合うのか伺う。
4 単なる居場所作りや一部の子どもたちで終わってしまっては子どもの貧困全体を解決するに至らない。子どもの貧困は、子どもが育つ世帯の貧困である。都独自の給付金制度の拡大や給付の月額支給等の経済的な支援を拡充すべきと考えるが所見を伺う。
5 経済的な支援はもとより貧困世帯への丁寧なソーシャルワークやアウトリーチ活動が重要と考える。あらゆる機会を捉えて親・子どもへのサポート体制を強化すべきと考える。また貧困世帯は行政のサポートをうけられることを知らなかったり、ネットカフェに寝泊りをしたり、また外見ではわからないことも多く子どもの貧困は発見することが難しい。貧困に苦しむすべての子どもを助けるためには、子どもの通う学校現場など子どもと接点がある機関等との連携強化が必要と考えるが所見を伺う。
6 今後さらに子どもの貧困対策が対症療法に終わらない、根本的な解決のための取り組みをすべきと考えるが所見を伺う。

三 都市外交について
1 平成27年のパリ・ロンドン出張は、出張費用が5千万円と高額であった。都市外交に多額の税金を使うからには、出張経費の内訳の公開といった透明性の確保に加え、効果の検証・都民への還元は必須である。また、今後は都民の理解を得るためにも経費削減に努めるとともに説明責任を果たすべきであるが所見を伺う。
2 先日、東京を訪れたロンドンやパリ市長にはビジネス開発局長や多くの企業の幹部も同行し自都市の経済発展に寄与していると聞くが、どのようなメンバーが来ているのか伺う。
3 知事の海外出張の同行メンバー構成に都庁でビジネスを司る、産業労働局の職員や民間企業は過去一人も同行していない。同行すべきと考えるが所見を伺う。
4 さらには今後経済発展が見込める東南アジアには一度も訪問していないなど訪問国に偏りがあるのも課題であり、今後は中小企業支援の公社のタイ事務所をはじめ東南アジア諸国を訪問すべきと考えるが所見を伺う。
5 「単なる文化交流」や「官と官による交流」に終わることなく、官から民へ、経済プロジェクト展開など都内企業へも貢献できるビジネス面での相互発展も視野に入れるべきと考えるが所見を伺う。

四 災害時対応について
まず災害時備蓄について伺う。
1 その保管場所である災害のための備蓄倉庫は、都内に21箇所あるものの、その所在地は城南城東地域に集中しており、例えば城北地域や多摩東部地域には備蓄倉庫が一つもないことから、配置の過度な偏りが感じられる。備蓄倉庫の現状について伺う。
2 災害被害の程度によっては、高速道路を始め発災時の物資の輸送が機能不全になる恐れがある。災害はどこで発生するかわからない。また城東城南地域にある倉庫自体が被災するケースも十分想定される。発災時に出来るだけ早く、また的確に備蓄物資を被災地域に届けられるように、備蓄倉庫の確保はもちろん、備蓄倉庫の地理的配置や輸送体制について検討すべきと考えるが所見を伺う。
3 災害拠点病院には水、医薬品、非常用発電のための燃料をそれぞれ3日分備蓄することがうたわれている。医薬品の備蓄に関しては病院の門前薬局から薬を病院に提供してもらう仕組みを望む現場の声が6割にいたるが、所見を伺う。
災害時の都立公園の役割についてうかがう。
災害時の電力確保は最重要課題である。とりわけ新たな燃料確保は、いずれも国、他自治体、民間といった他者依存、また災害規模や道路状況など周辺環境によって左右され、都での維持管理、責任が持てません。その中で都立公園の活用は重要である。
4 都立公園の非常用発電のための燃料確保は重要である。所見を伺う。さらにはその防災公園の非常用燃料を場合によっては、緊急性の高い機関や車両に提供することも検討すべきと考えるが所見を伺う。
5 また燃料提供のみならず都立公園自体の防災機能をさらに強化すべきと考えるが所見を伺う。とりわけ城北中央公園についても伺う。
五 修学旅行の経費について
昨年5月の世田谷区立三宿中学校の修学旅行に、教育実習生(女性、大学院生)が同行したが、その教育実習生の旅費・宿泊費(46,744円)を校長が、保護者の「教材費」から勝手に支出していたとの声が一部保護者からあがっている。保護者からは「お金を返して欲しい」「横領では」の声があがるも、支出は適切と返還していない状況である。都としてこの状況をどう認識しているのか、また、早急に改善すべきと考えるが、所見を伺う。

平成28年第一回都議会定例会
宮瀬英治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 都職員等について
  1 都においても職員や教員による公務外非行および逮捕が報道されており、都民の信頼を損なうものと言わざるをえないが、直近5年間のその件数推移を伺う。

回答
 公務外非行での懲戒処分は、主に交通事故や万引き、痴漢などのわいせつ事件等によるものです。
 知事部局における直近5年間の公務外非行による処分件数は、平成22年度は11件、平成23年度は8件、平成24年度は19件、平成25年度は11件、平成26年度は16件です。
 また、教職員における直近5年間の公務外非行による処分件数は、平成22年度は38件、平成23年度は27件、平成24年度は20件、平成25年度は20件、平成26年度は34件です。

質問事項
 一の2 その推移を都としてどのように認識しているのか、また今までどのような対策を講じてきたのか見解を伺う。

回答
 職員は都民の負託にこたえるため、公務員としての高い使命感と倫理観を持って職務に精励する責務を負っており、非行はあってはならないことです。
そのため、非行防止に向けて、服務監察による指導助言のほか、全職員を対象とした研修の実施など、職員に非行を身近な問題として強く自覚させる取組も行っています。
さらに、毎年11月を全庁的な汚職等非行防止月間と定め、職場単位での話し合いや、個人によるチェックリストの実施など、全庁を挙げて不正を防止する職場づくりや職員個人の意識啓発に取り組んでいます。
 非行が発生した場合には、本人への事情聴取も含めた事実確認を詳細に行った上で、厳正な処分を行い、原則として全ての処分内容を公表しています。

質問事項
 一の3 また対策を講じてきたにもかかわらず非行がなくならないことに対し、都は強い危機感を持たねば都民の信頼を得られないことは言うまでもない。さらに具体的かつ強力な施策を強化すべきだが所見を伺う。

回答
 これまで、職員の非行を防止するため、様々な取組を実施してきましたが、平成28年度はさらに、社会情勢の変化や職員の非行の現状を踏まえ、懲戒処分の指針を改正し、非行の未然防止を一層進めるとともに、より公正かつ厳正に対応していくこととしました。
 今後とも、法令遵守等、全体の奉仕者としての意識を徹底する取組を着実に推進するとともに、非行が発生した場合には厳正な処分を行うことにより、非行の未然防止に努めていきます。

質問事項
 一の4 水道局所管の検針および徴収業務について、平成16年度から現在にいたるまで、区部においては4者、多摩においては7者と契約をしているが、主要3者においてはそれぞれ平均35年間もの間、1年間を除き随意契約が行われている。都庁を退職した元幹部職員がその3者に再就職した実績があるのか、さらには再就職先のポストやその人数について伺う。

回答
 都を退職した幹部職員の再就職に関して、透明性と公正性を確保するために整備した「都庁版人材バンク」による再就職先状況を公表した平成22年度以降、株式会社宅配には2名再就職しており、役職はいずれも執行役員です。ヴェオリア・ジェネッツ株式会社には1名再就職しており、役職は東京支店顧問です。第一環境株式会社には再就職した元幹部職員はいません。

質問事項
 一の5 都と長年、随意契約がある当該3者に、都の幹部職員が再就職する、いわゆる天下りが行われていると指摘されても致し方ない。都の見解を伺うとともに今後は一定の制限を設けるべきだが所見を伺う。

回答
 都を退職した幹部職員の再就職について、在職中に培った知識や経験を退職後に社会の様々な分野で活用することは、社会の要請に応えるものでもあり、有意義なことと認識しています。
 また、幹部職員の再就職に関しては、透明性と公正性を確保するため、「都庁版人材バンク」を整備し、民間企業等の求めに応じて求人内容にふさわしい人材情報を提供しています。その後の選考や採用については、民間企業等の判断において実施されており、「東京都職員の再就職に関する取扱基準」に基づき、適正に運用しています。今後は「東京都職員の退職管理に関する条例」に基づき、外部有識者で構成する退職管理委員会も活用しながら、退職管理の透明性・納得性を一層向上させる取組を進めていきます。

質問事項
 一の6 当該3者への再就職については、都の権限を背景に再就職を押し付けているのではないか、また都職員による営業活動によって都政の公正性が損なわれているのではないか、といった疑念を払拭すべきだが所見を伺う。

回答
 都は、職員の再就職について、透明性と公正性を確保するため「都庁版人材バンク」を整備し、民間企業等の求めに応じて求人内容にふさわしい人材情報を提供しており、その後の選考や採用については、民間企業等の判断において実施されています。
 また、再就職に当たっては、「東京都職員の再就職に関する取扱基準」に基づき、企業からは求人申込書兼誓約書を徴収するほか、職員本人からも再就職状況報告書を徴収して、在職時の職務に関連した都への営業活動を行わないことを書面で確認しています。
 さらに、平成26年の地方公務員法改正により、平成28年4月から元職員による働きかけ規制等が導入されたことを契機に、「東京都職員の退職管理に関する条例」を新設し、幹部職員を対象に退職時の職務に関する利害関係企業等への求職活動を原則禁止するなど、退職管理の透明性・納得性の一層の向上を図りました。

質問事項
 一の7 幹部職員の再就職については、再就職情報を一元管理し、幹部職員全員の再就職情報を公表する人材バンクを都は整備した。幹部職員による外郭団体、監理団体、利害関係企業等への再就職に関しては、可視化されるとともに一定の規制が必要だが、現在の状況と今後の取組について見解を伺う。

回答
 都を退職した幹部職員が、定年又はその直前まで勤務して培った知識や経験を、社会の様々な分野で活用することは、社会の要請に応えるものでもあり、有意義なことと認識しています。
 一方、再就職について、公正な都政運営に疑念を持たれることのないよう、法による規制が導入される前から、平成22年に都独自に人材バンクを整備し、再就職状況の公表に加え、民間企業等からの求人票の徴収及び都に対する営業活動の自粛等の取組を、適切に行っています。
 さらに、平成26年の地方公務員法改正により、平成28年4月から元職員による働きかけ規制等が導入されたことを契機に、新たな取組も盛り込んだ条例を新設し、退職管理の透明性・納得性の一層の向上を図りました。
 具体的には、幹部職員を対象に退職時の職務に関する利害関係企業等への求職活動を原則禁止したほか、外部有識者による退職管理委員会の新設、再就職情報の届出義務の一般職員への拡大等を実施しています。

質問事項
 一の8 過去3ヵ年の都における課長級以上の職員の再就職数と、そのうち監理団体及び報告団体等に再就職した者の割合を伺う。

回答
 都は、毎年度、管理職の再就職状況を公表しています。
 再就職者数は、平成25年度が104名、平成26年度が106名、平成27年度が89名です。
 これらのうち監理団体及び報告団体等に再就職した者の割合は、平成25年度が46パーセント、平成26年度が46パーセント、平成27年度が42パーセントとなっています。

質問事項
 一の9 325事業の見直しから得られた普遍的な事項や知見を標準化し、すべての事業が実施して終わりとならない全庁的、抜本的な対策や仕組みの構築を求めるが、所見を伺う。

回答
 都は、予算編成の一環として、全ての事業を対象とした事業評価を実施しており、評価結果を公表することで、分析手法を広く庁内で共有し、さらなる事業の見直しへとつなげています。
 平成27年度は536件の評価結果を公表していますが、こうした取組により、事業評価は、現場の視点に基づく自主的、自発的なマネジメントサイクルとして都庁全体に定着しています。
 引き続き、関係部局との連携を密にし、都の自己改革の取組として、事業評価の活用を図っていきます。

質問事項
 二 子どもの貧困について
  1 子どもの貧困といっても様々だが、都では子どもの貧困をどのように定義しているのか。またその総数および推移をどう捉えているのか伺う。

回答
 国は、子供の貧困に関する指標として、子供の貧困率を挙げており、これは17歳以下の子供全体に占める等価可処分所得の中央値の半分の額に満たない子供の割合、いわゆる相対的貧困率を指します。
 国民生活基礎調査によると、我が国の子供の相対的貧困率は平成15年が13.7パーセント、平成18年が14.2パーセント、平成21年が15.7パーセント、平成24年が16.3パーセントとなっています。
 都道府県別の子供の相対的貧困率は示されていません。

質問事項
 二の2 平成28年度の680億円分の施策によって全体で何人の子どもたちに支援の手が届くのか、またどのように施策の効果検証を行うのか伺う。

回答
 都は、学識経験者、保育園・幼稚園の事業者、区市町村の代表者などで構成する東京都子供・子育て会議での議論や子育て家庭の生活実態等も踏まえ、平成27年3月に東京都子供・子育て支援総合計画を策定しました。
 計画には、ひとり親家庭や社会的養護を必要とする子供など、支援を必要とする全ての子供や家庭への支援を目標に位置付け、就業支援や子供の学習支援について具体的な目標や施策の方向性を定めており、現在、関係各局が連携して、福祉・医療・雇用・住宅・教育など様々な分野で、取組を進めています。
 施策の効果検証については、東京都子供・子育て会議の意見も踏まえ、評価指標を設定し、その指標により分析した結果を、平成32年度からの次期計画に反映させる予定です。

質問事項
 二の3 意欲はありながらもその居場所にたどり着けない子どもはどうするのか、また様々な状況により意欲すら持てない子どもにどう向き合うのか伺う。

回答
 平成27年度は、27の区市で生活困窮者自立支援法に基づく子供の学習支援が行われており、併せて居場所の提供や親への養育支援などを行う取組も始まっています。
 こうした取組を更に進めるため、都は平成28年度から、民間団体等と連携して、学習支援と食事の提供などを一体的に行う居場所づくりに取り組む区市町村を支援する、子供の居場所創設事業を開始します。
 子供の居場所では、支援が必要な子供と保護者に対し、その家庭の状況に応じて、福祉事務所や保健センター、子供家庭支援センター、児童相談所、学校など、様々な地域の関係機関と情報を共有し、連携して支援を行うこととしています。
 また、より多くの家庭に活用されるよう、子供に身近な学校や学童クラブ、児童館などのほか、要支援家庭への支援に当たる子供家庭支援センターや福祉事務所等、連携する関係機関の協力も得て、周知に努めていきます。

質問事項
 二の4 子どもの貧困は、子どもが育つ世帯の貧困である。都独自の給付金制度の拡大や給付の月額支給等の経済的な支援を拡充すべきだが所見を伺う。

回答
 子育て世帯への経済的支援としては、全ての子育て家庭に対する児童手当制度のほか、所得が一定以下のひとり親家庭に対する児童扶養手当制度があります。
 児童手当は、所得制限未満の場合、児童一人につき、3歳未満は月額15,000円、3歳以上小学校修了前は第2子までは10,000円、第3子以降は15,000円、中学生は10,000円が支給され、所得制限以上の場合は一人5,000円が支給されます。
 児童扶養手当は所得に応じて支給額が決まっており、全額支給される場合、第1子は月額42,330円が支給され、第2子は5,000円、第3子以降は一人3,000円が加算されます。
 なお、第2子以降の加算額を引き上げる児童扶養手当法の一部改正法案が国会で可決され、平成28年8月から施行される予定です。
 支給月は、児童手当は2月、6月、10月、児童扶養手当は4月、8月、12月であり、両手当を合わせると、受給者に対し、隔月に手当が支給されています。
 これらの手当を含む所得保障の在り方については、経済政策や社会政策の一環として、基本的に国の責任で対応すべきものであると認識しています。
 なお、都は独自に所得が一定以下のひとり親家庭等に対する児童育成手当制度を実施しており、育成手当は児童一人につき月額13,500円を支給しています。

質問事項
 二の5 貧困に苦しむすべての子どもを助けるためには、子どもの通う学校現場など子どもと接点がある機関等との連携を強化すべきだが、所見を伺う。

回答
 区市町村では、妊娠届の受理や乳幼児健診等の様々な機会を通じて、支援を要する家庭の早期発見に努め、必要なサービスや支援につなげています。
 都は、こうした取組を包括補助により支援しているほか、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、継続した支援を行う区市町村を「ゆりかご・とうきょう事業」により支援しています。
 また、都内全ての区市町村は、子供家庭支援センター、児童相談所、学校、警察、保健所等の地域の関係機関で構成するネットワークを構築しており、支援が必要な子供と保護者に対しては、その家庭の状況に応じて、今後とも各関係機関が情報の共有を図りながら、連携して支援を行っていきます。

質問事項
 二の6 今後さらに子どもの貧困対策が対症療法に終わらない、根本的な解決のための取組をすべきだが所見を伺う。

回答
 都は、子供・子育て支援総合計画やひとり親家庭自立支援計画等を策定し、低所得世帯や社会的養護を必要とする子供なども含め、支援を必要とする子供や家庭を支援するため、福祉、教育、就労など、様々な分野において施策を展開しています。
 平成28年度は、これまでの施策の効果や状況を改めて検証し、その内容の充実を図ることを目的に、首都大学東京と連携して子供の貧困に関する調査研究を実施します。
 今後、調査研究結果も活用しながら、平成28年2月に「子供・子育て施策推進本部」の下に設置した、庁内各局で構成する「子供の貧困対策推進連携部会」において、施策の拡充策を検討していきます。

質問事項
 三 都市外交について
  1 平成27年のパリ・ロンドン出張は出張費用が5千万円と高額であった。都市外交に多額の税金を使うからには、出張経費の内訳の公開といった透明性の確保に加え、効果の検証・都民への還元は必須である。また、今後は都民の理解を得るためにも経費削減に努めるとともに説明責任を果たすべきであるが所見を伺う。

回答
 東京都の公式ホームページに、平成27年のパリ・ロンドン出張について、経費の詳細及び都政運営に反映している成果を公表しています。
 今後とも、出張に当たっては経費の節減に努めるとともに、経費の詳細及び成果を公表することで、都民の理解の促進に努めていきます。

質問事項
 三の2 先日、東京を訪れたロンドンやパリ市長にはビジネス開発局長や多くの企業の幹部も同行し自都市の経済発展に寄与していると聞くが、どのようなメンバーが来ているのか伺う。

回答
 ロンドン市長が東京を訪問した際には、ロンドン&パートナーズの国際ビジネス開発部長が同行していました。また、パリ市長が東京を訪問した際には、都市づくりや経済成長担当の副市長が同行していました。いずれも訪日中に日本企業を訪問したことは承知していますが、企業の幹部が同行していたかは把握していません。

質問事項
 三の3 知事の海外出張の同行メンバー構成に都庁でビジネスを司る、産業労働局の職員や民間企業は過去一人も同行していない。同行すべきだが所見を伺う。

回答
 これまでも、知事の海外出張の目的に沿って、政策分野を所管する各局の職員が同行しています。今後とも、適切に対処していきます。

質問事項
 三の4 今後経済発展が見込める東南アジアには一度も訪問していないなど訪問国に偏りがあるのも課題であり、今後は中小企業支援の公社のタイ事務所をはじめ東南アジア諸国を訪問すべきだが所見を伺う。

回答
 知事の海外訪問は、相手都市の意向や都にとっての有用性を総合的に判断した上で、訪問すべき都市を選定して行っています。
 今後とも、姉妹友好都市をはじめ、戦略的に協力関係を構築すべき都市を選定し、訪問していきます。

質問事項
 三の5 「単なる文化交流」や「官と官による交流」に終わることなく、官から民へ、経済プロジェクト展開など都内企業へも貢献できるビジネス面での相互発展も視野に入れるべきだが、所見を伺う。

回答
 都市外交は、相手都市との友好交流に留まらず、東京の発展に資する施策を効果的に実現する手段として展開しています。経済の海外プロモーションと組み合わせた知事の海外都市訪問などについても、既に東京都都市外交基本戦略の中で、都民生活の向上を図る取組の一つとして位置付けています。
 今後とも効果的な手法等を含めて検討していきます。

質問事項
 四 災害時対応について
  1 災害のための備蓄倉庫は、都内に21箇所あるものの、その所在地は城南城東地域に集中しており、例えば城北地域や多摩東部地域には備蓄倉庫が一つもなく、配置の過度な偏りが感じられる。備蓄倉庫の現状について伺う。

回答
 東京都地域防災計画では、発災後3日間は原則として地域内備蓄で対応するものとしており、区市町村は避難所やその近隣で物資の備蓄を行うとともに、都は広域的な見地から、区市町村の備蓄物資を補完するため、備蓄を行っています。
 都は、現在、直営倉庫を10か所、他の機関の建物の一部等を活用する兼用倉庫を11か所、合わせて21か所の備蓄倉庫を設置し、食料、毛布、敷物、紙おむつ、生理用品等を備蓄しています。
また、都内全区市町村と寄託契約を締結し、都が購入した物資を区市町村が設置する備蓄倉庫679か所に備蓄するとともに、一般社団法人日本即席食品工業協会と協定を締結し、近県に所在する5か所の倉庫にランニングストックとして食料を確保しています。

質問事項
 四の2 発災時に出来るだけ早く、また的確に備蓄物資を被災地域に届けられるように、備蓄倉庫の確保はもちろん、備蓄倉庫の地理的配置や輸送体制について検討すべきだが、所見を伺う。

回答
 都は現在、備蓄倉庫を21か所設置しており、平成28年度は、多摩地域をはじめ、東京全体の防災力を向上させるため、新たに旧立川政府倉庫を取得し、備蓄物資の充実にも活用していくこととしています。
 備蓄物資の輸送については、発災時、区市町村からの要請に基づき、区市町村が指定する91か所の地域内輸送拠点に迅速に物資を輸送する体制を構築しており、物資の輸送に係るトラックの提供や荷役作業等については、一般社団法人東京都トラック協会と協定等を締結しています。
 また、発災時の備蓄物資の輸送体制の充実・強化を図るため、都は、トラック協会や区市等と輸送訓練を繰り返し実施し、輸送体制の検証を行いながら、適宜見直しています。

質問事項
 四の3 災害拠点病院には水、医薬品、非常用発電のための燃料をそれぞれ3日分備蓄することがうたわれているが、医薬品の備蓄に関しては病院の門前薬局から薬を提供してもらう仕組みを望む現場の声が6割にいたるが、所見を伺う。

回答
 都は、災害時の医療を確保するため、災害拠点病院に対して、国の指定要件に基づき、3日分程度の食料、飲料水、医薬品等の備蓄や、自家発電機の保有と燃料の確保を求めています。
 また、東日本大震災の教訓や東京都災害医療協議会における検討などを踏まえ、平成24年に修正した東京都地域防災計画では、災害拠点病院が使用する医薬品等について、原則として平時と同様に、各医療機関が卸売販売業者から購入し、供給が適切に開始されるまでは備蓄している医薬品を使用することとしています。
 都は、要請のあった医療機関等に必要な医薬品が供給されるよう、卸売販売業者団体と災害協定を締結しており、搬送手段を確保するため、卸売販売業者に対し、緊急通行車両等事前届出済証を交付しています。
 今後とも、災害時において必要な医薬品を確保するため、卸売販売業者団体等と連携協力していきます。

質問事項
 四の4 都立公園の非常用発電のための燃料確保は重要だが、所見を伺う。さらにはその防災公園の非常用燃料を場合によっては、緊急性の高い機関や車両に提供することも検討すべきだが所見を伺う。

回答
 都立公園は、防災計画上、震災時の避難場所や救出救助活動拠点等に位置付けられており、その防災機能を発揮するため、非常用発電の燃料確保は重要です。
 このため、発災時に停電となっても、非常用発電を7日間電源供給できる燃料確保を進めています。
 この燃料は、都立公園の非常用発電のために確保するもので、その他施設等への提供については考えていません。

質問事項
 四の5 燃料提供のみならず、都立公園自体の防災機能をさらに強化すべきだが、所見を伺う。とりわけ城北中央公園について伺う。

回答
 都はこれまで、全ての防災公園において、入口や主要園路の拡幅、臨時ヘリポートとなる広場、防災トイレ等を整備し、防災機能を高めてきました。
 今後は、さらに防災機能の強化を図るため、61全ての防災公園が、停電時でも安全な避難場所や救出救助活動拠点として機能を発揮するよう、主要な公園灯や管理所等の施設に、非常用発電、ソーラーパネル等により多重に電源を確保するとともに、避難者等へ情報を提供するデジタルサイネージ等を整備していきます。
 なお、城北中央公園は、こうした防災機能の強化に向け、平成27年度に基本設計を行っており、平成28年度には実施設計を進めていきます。

質問事項
 五 修学旅行の経費について
昨年5月の世田谷区立三宿中学校の修学旅行に、教育実習生が同行したが、その教育実習生の旅費・宿泊費を校長が、保護者の「教材費」から支出していたとの声が一部保護者からあがっている。保護者からは「お金を返して欲しい」「横領では」の声があがるも、支出は適切と返還していない状況であり、都としてこの状況をどう認識しているのか、また、早急に改善すべきだが、所見を伺う。

回答
 世田谷区の公立学校における保護者から徴収する教材費などの徴収金の管理及び執行については、世田谷区教育委員会が定める「学校徴収金等取扱い要綱」等に基づき行われるものと考えます。
 質問の内容については、当該区教育委員会が判断するものと考えます。

平成28年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 上田令子

質問事項
一 知事の総合調整権について
二 2020年東京オリンピック・パラリンピック大会について
三 教育政策、子ども・若者政策について
四 障がい者政策について
五 東京都のひきこもり、自殺対策について
六 公務員の告発・通報義務について
七 文化政策について
八 東京都の広報広聴について
九 六価クロム漏出事案について
十 都の政策の経済波及効果について
十一 固定資産台帳について
十二 東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)について

一 知事の総合調整権について
地方自治法(以下「法」という。)第147条は「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体を統轄し、これを代表する。」と、法第148条は「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の事務を管理し及びこれを執行する。」と規定し、東京都における知事の代表性と、知事が都における事務の管理・執行の最高責任者たること定めています。一方、第180条の4は、普通地方公共団体の執行機関の組織および運営に関して、長のかかる総合調整権を定めています。
一般に、同条の規定する長の総合調整権は、委員会もしくは委員の事務局等の組織、職員の定数または職員の身分取扱についての内部管理事務にのみ及ぶのであって、委員会または委員が法令に基づいて行使する権限の内容にまで立ち入るものではなく、委員会または委員が、その設置の趣旨に基づき、独立して権限を行使することは当然であり、長の総合調整権は、単に内部管理事務の合理化と他の執行機関との間の権衡の保持のため、認められるものにすぎず、本条による長の総合調整のための勧告は、「各執行機関を通じて組織及び運営の合理化を図り、その相互の間に権衡を保持するため」に必要な限度において行われ、長は、各執行機関の事務局等の組織および職員の定数または職員の身分取扱に関する一般的な基準について勧告することができるが、各執行機関の職員の個別的な身分取扱に関しては勧告できない、と解されています。
1 舛添要一知事は、知事の総合調整権についてこのような消極的な解釈に立って都政運営を進めるのでしょうか。見解とその理由を伺います。
2 知事の総合調整権が行使され得る例と、行使される基準・指針をお示しください。
3 委員会等の委員の任命にあたり、知事の総合調整権についてどのように説明し、理解を求めているのか、また、理解が得られなかった場合の対応について、お示しください。
4 職員給与等の人事委員会勧告と知事の総合調整権について、ご説明ください。同勧告を履行しない場合、知事の総合調整権に基づくのか、ご説明ください。
5 総務局は都全体の人事事務の一貫性を保つため、知事部局以外の委員会等の他の任命権者に対しても各種の総合調整を行っていますが、委員会等の事務局人事について、知事の総合調整権の行使の考え方につき、例を示してご説明ください。
6 職員の労働条件や待遇、福利・支援についても、都全体の人事事務の一貫性を保つ必要があると考えるが、知事の総合調整権の行使の考え方につき、例を示してご説明ください。
7 知事部局以外の委員会等における服務事故やメンタルヘルス対策について、知事の総合調整権の行使の考え方につき、例を示してご説明ください。
8 知事の総合調整権の行使のための補佐・助言体制と知事補佐官がそれにどのような機能を持っているか、具体的にご説明ください。

二 2020年東京オリンピック・パラリンピック大会について
1 新国立競技場の負担変動について
新国立競技場の座席について日本の木でつくるべきだと、ある国政政党が声を大にしてきております。この提案が実現すると考えると約20億円の費用増加だとの意見もありますが、こういった突発的な変更による負担増加に対しても、同様の負担割合で東京都から負担を行っていくのか、お答えください。
2 レガシー委員会について
ア レガシー委員会の構成について、東京都のHPにて「レガシー委員会」を検索しても、知事に関する活動報告として挙がっているものの、委員会自体の情報がなかなか掴めません。改めて、知事が指名された歴代の局長を含め、本委員会の役員の構成と委員会の活動実績についてお示しください。
イ レガシー創造の情報公開についてお伺いいたします。HPにて、「知事の活動」のページの一つとしてレガシー委員会の活動が紹介される際には、〔1〕△月△日の委員会に知事が出席しました。〔2〕知事が~と挨拶しました。〔3〕今回のテーマは○○です。と言った紹介しかされません。例えば、平成27年のレガシー委員会の活動報告は、「知事の活動」のページが2つのみ。内容に関しては「次世代交通について(水素・安全・安心がもたらす技術)」「ボランティアの育成」というテ一マ紹介だけであり、あくまでも知事の活動紹介の補足に過ぎません。後世に語り継がれる誇れるレガシーを、ということであれば、ぜひそのレガシーを創造していく過程も公表し、語り継がれるべきだと思いますが、公表される予定は有るのか、ないのであれば、なぜ出来ないのかも含め具体的にお答えください。
ウ 委員会の体制と今後の予定について、以前の長野オリンピックでは、莫大な予算の元に招致・大会運営を行い、その結果として住民に多額の負債と環境破壊を残しております。外国の目線だけを気にかけ、施設の乱立や、環境破壊といった負の遺産を残さないように議論することもレガシー委員会の責務だと考えておりますが、こういった負の遺産にさせないために、レガシー委員会ではどのような議論の場、対策を予定しているのか、お示しください。
3 財政負担について
ア 財政負担については以前より、本大会予算に関する認識の甘さと、説明責任がなされていないことにつき、指摘をしてまいりましたが、「仮設施設工事費用を都が負担する」という見過ごせない報道がなされております。仮設施設工事は組織委員会、という計画を捻じ曲げてまで東京都が負担する理由として、「仮設施設を大会終了後も一定期間利用するから」というのでは、あまりにも抽象的であり、無限に都の負担額が増加しかねません。負担増加見込みの理由について、都民が納得するようなご説明をお願いします。
イ 目玉の競技場案は白紙、予定を超えた都の負担割合、都有地は無償で貸与し、国の負担分は肩代わりと、もはや招致時の計画の原型を留めておりませんが、一部の仮設競技場については、設立費用の肩代わりをした上で大会後10年間、競技場としてではなくビッグサイトの補完展示場として使用する話も出てきました。約1万平方メートルの展示場を予定するとのことですが、東京ビッグサイト最寄り駅の反対側まで、徒歩約20分をかけて、ビッグサイトの約1/10の展示面積まで足を運ぶには相当魅力的な展示方法・内容が求められます。こちらの展示方法・内容に計画があれば、お聞かせください。
4 東京オリンピック・パラリンピック関係の経済波及効果について
ア 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催準備にあたり、関連予算が配分されているが、大会全体の経済波及効果はどの程度想定しているのかお聞かせください。また、その測定方法があればお願いします。
イ 東京オリンピック・パラリンピックの終了後、東京都が整備する新規恒久施設の維持・管理にかかる経費(ランニングコスト)について、どの程度の負担をするのかお聞かせください。
ウ 東京都が維持・管理にかかる経費(ランニングコスト)を負担するならば、その回収方法について、具体的な方法があればお聞かせください。
エ 東京オリンピック・パラリンピックの終了後、東京都が整備する新規恒久施設の具体的な活用についてお聞かせください。
オ 東京オリンピック・パラリンピックの終了後、東京都が整備する新規恒久施設の維持・管理にかかる経費(ランニングコスト)や施設利用の主体者、活用の方法は、どのように決定されるのか、お示しください。

三 教育政策、子ども・若者政策について
1 学校教育での東京ベーシック・ドリルの取組については、小学校を中心に活用されております。ホームページへのアクセス数等にみられる活用状況及びドリルを電子化するメリットと課題についてお示しください。
2 一昨年東京都いじめ防止対策推進条例が制定されました。その後の都内公立学校におけるいじめの発生状況と課題解決に向けた都教委の取組や実績についてお示しください。
3 都立高校入試に際し、マークシート方式を導入して実施した今回の入試の結果と、今後どのように成果や課題を検証していくのかお示しください。
4 要保護児童、児童虐待、子どもの貧困対策について
ア 居場所事業等における虐待発覚対応について、居場所やこども食堂などを利用する子どもたちの中で、虐待が疑われるものが居た時、どのように子ども家庭支援センターや児童相談所に繋げ、支援するのかお示しください。
イ グループホームの是非について、家庭的養護の割合を概ね6割となるよう進めていくなかで、社会福祉法人によるグループホームの設置は進めるべきでないと考えますが、相変わらず推進するのかお示しください。
5 児童相談所移管について
昨年10月、西東京市の中2男子生徒を虐待し「自殺迫り残酷」と継父に懲役6年が下されました。また、今月相模原市においても同様の両親による虐待による中2男子生徒の自殺報道がなされました。国においてもこのような状況を受けて、児童福祉のあり方について議論する厚生労働省の専門委員会にて法改正による特別区と人口20万人以上の中核市への移管の検討もされております。改めて、まずは強く特別区への児童相談所機能の移管を求めるものであり、ついては以下につきお伺いいたします。
ア 移管の現状について、現在の児童相談所にかかる都区の検討状況並びに東京都の移管にかかる現在の見解をお示しください。
イ 西東京市等子どもの命が奪われる事案を受けて現状のままで良いのか、善後策、再発防止、人員体制について講じた対策をお答えください。
ウ 特別区への移管を見送る理由について、改めてどのような問題意識を持ち特別区への移管を拒むのか、拒みながらも深刻な事案が後を絶たない東京都の児童相談所事業につき、どのように都民に説明するのかお示しください。

四 障がい者政策について
1 障がい者支援政策について
職員採用における合理的配慮について障害者の都庁への採用の配慮への資料をいただきました。引き続き、進めていただきたいと思います。また、採用後も合理的配慮が求められますが、新年度に向け対応状況をお示しください。
2 精神障がい者施策について
ア 平成28年度の診療報酬改定が決定され、精神科デイケアを1年以上利用する当事者に対し、診療報酬上の評価を見直し(適正化)、就労・就学や、就労系サービスや自立訓練(生活訓練)など、日中の活動の場を提供する障害福祉サービスの利用などを含め、より自立した生活への移行を促すと盛り込まれました。そこで、都立松沢病院、都立小児総合医療センターなど精神科デイケアを有する都立病院で、1年以上デイケアを利用している当事者は入院患者、外来患者それぞれ何人居り、地域移行をどのように働きかけていくのかお示しください。
イ 今回の改定では、デイ・ナイトケアについても同様に見直すとしております。昨年マスコミ報道もされました榎本クリニックに対し、土日以外はデイ・ナイトケアへ通っている実態も明らかとなりました。そこで榎本クリニックについて、主治医が患者の地域移行促進としつつ、実際はデイ・ナイトケアの診療報酬目的で週3回を超えるデイ・ナイトケアが必要と意見等が乱発された場合、どのような対応を取るのか、取らないのか、検討しているのかについてお示しください。

五 東京都のひきこもり、自殺対策について
1 ひきこもり対策について
ア ひきこもり対策をすすめる上で、性別や年代などによって対策は変わってきます。都では平成21年度に「ひきこもり等に関する年齢層別未然防止対策調査検討報告書」を発表後、実態調査を行っているのかお示しください。また、地域、年代、性別、精神疾患の有無で対応が異なることから、相談員やスタッフには医師、看護師、精神保健福祉士、社会福祉士、カウンセラーなどの専門職をどの程度配置しているのかお示しください。
イ 「東京都ひきこもりサポートネット」によるメール、電話、訪問相談を実施しております。この内、電話は1日1回30分まで、訪問は年間5回までとあります。どのような根拠で回数を設定しているのかお示しください。また回数を設定したことにより、設定前と比べどのような効果があったか無かったかについてもお示しください。
ウ 電話相談を利用した方から、「他の方の電話の内容が聞こえる」との声が寄せられました。個人情報のため、秘密保護は厳守する必要があります。そこで、相談員は利用者の情報管理についてどのように担保しているのかお示しください。また相談員の増員、異動の際は、どのような選考や研修を行っているかも合わせてお示しください。
エ メール、電話や訪問の相談はひきこもり当事者の会話訓練の一方で、ひきこもり脱出の事例の中には話す人数を増やしていく事例が多数見受けられます。民間団体等を活用するにも、費用負担が出来ないひきこもり当事者に対しては、どのような支援を用意しているのか、またそれに対する効果等についてもお示しください。
2 自殺対策について
ア 今年4月より、自殺対策基本法が大幅改正されます。東京都でも自殺対策の取組方針は策定されておりますが、今後各都道府県に「地域自殺対策推進センター(仮称)」の設置をする際、東京都では3つの精神保健福祉センター内に設置するのか、それ以外に設置するのかお示しください。また、市区町村の司令塔になっていく「地域自殺対策推進センター(仮称)」ですが、どのように市区町村との連携や現行体制との整合性を取っていくのかお示しください。
イ 改正法の第17条には、心の健康保持に係る教育・啓発の推進等と言うことで、学校現場での児童生徒に対するSOSの出し方、心の健康保持に係る教育実施が規定されます。一方で、不登校やひきこもりになり、その上地域からも孤立する片親のもとで暮らす児童生徒には、学校へ行くこともままならず訪問する以外に方法はありません。訪問で会えない以上電話相談等の情報周知も厳しいことから、都としてこのような親も子どもも地域から孤立しているケースの児童生徒の実態把握を行っているのか否か、またどのような対策を講じているのかお示しください。

六 公務員の告発・通報義務について
1 刑事訴訟法第239条第2項の公務員の告発義務や虐待通報義務について、先の予算特別委員会に提出された資料によれば、昨年の国勢調査での調査員・指導員からの告発や通報はゼロとのことでした。告発・通報義務についての周知と運用についてどのように行われたのか、ご説明ください。
2 調査員・指導員からの告発や通報についての相談が、都や区市町村に寄せられているか、把握の状況をご説明ください。
3 刑事訴訟法第239条第2項の公務員の告発義務や虐待通報義務等の法令順守への取組みについて、全庁職員への周知の状況についてもお示しください。
4 公務員の告発義務や虐待通報義務について、職員が履行する場合の庁内手続き(決裁等)について、具体的な流れをご説明ください。
5 公務員の告発義務や虐待通報義務について、職員が履行している状況について、把握はしていますか。把握の状況をご説明ください。
6 公務員の告発義務や虐待通報義務について、職員が履行する場合の相談・支援のあり方、現状につき、ご説明ください。
7 職員が同僚・上司の行為について法令違反を認識し、告発義務や虐待通報義務が履行された例があるのか、またその場合の体制につき、ご説明ください。
8 非常勤職員の法令違反により、告発義務や虐待通報義務が履行された例があるのか、またその場合の体制につき、ご説明ください。
9 民間事業者等の法令違反により、告発義務や虐待通報義務が履行された例があるのか、またその場合の体制につき、ご説明ください。
10 民間事業者等の法令違反により、告発義務や虐待通報義務が履行される場合、どの程度の証拠による確信が必要なのか、具体的にご説明ください。
11 法令違反による告訴・告発と都が権限を有する行政処分との関係について、どのような運用がされているのか、ご説明ください。
12 職員が法令違反を認識しても、告発・通報しなかった例があれば、ご説明ください。

七 文化政策について
1 東京都交響楽団について
ア 今定例会で、平成27年度包括外部監査の結果が報告されました。その結果報告によると、都響団員に対し、楽器購入資金貸付金について1回の貸付が最大500万円であり、同一団員に複数貸付の実施により高額となり、回収不能は起きていないものの、適切な限度額設定を求める規定が必要であるとのことです。そこで、団員の内何人がこの貸付を利用し、総額でいくら貸し付けているのか、また低利とありますが、どのような利率になっているのかお示しください。
イ この融資はあくまで都響在籍中のみとなっているため、貸付額が高額になると、退団の際一括返済が必要となります。貸付規程に明記のない理事長の承認を得る貸付の基準、金額、利子、貸付総額をお示しください。
ウ 弦楽器に際しては、弓の規定がございますが、弦の規定がございません。また管楽器、打楽器に関してもリードやリガチャー、マウスピース、マレットがなければ演奏できませんし、ピアノやハープは調律をしなくてはならないことから、楽器購入以外に関して貸付は行っていないか、またこれらの費用についてはどのような規定となっているかお示しください。
エ 都響は都響本体以外に、団友会のオーケストラも有しております。団友会に関しては、都響の元団員などとされておりますが、団友会に対しての支援内容をお示しください。
オ 都響演奏会に際してのアンケートについては、従前より質問させていただいておりますが、受付で指摘をする以外に常設していないことを確認させていただいております。これに関しては、民間団体で実施している満足度や曲目の内容に関するアンケートを実施するつもりは無いのか、あるのであればどのような形で実施するのかお示しください。
2 文化資産の購入について
平成27年度包括外部監査の結果報告によると東京都歴史文化財団が東海道五十三次を9400万円で購入したことに際し、本来都が購入すべきとも考えられる固定資産であると記載されております。何故都が購入しなかったのかお示しください。また、都や東京都歴史文化財団で購入計画のある文化資産についても、予算規模も合わせてお示しください。
3 先端技術とアートとの融合について
昨今は医療や介護の中でもロボットや最先端技術を用いる例も増えてまいりました。東京文化ビジョンの文化戦略7にも教育機関や企業と協力して、創造産業の人材育成の活性化の促進とありますが、その育成対象及び進め方について見解をお示し下さい。

八 東京都の広報広聴について
都の広報番組に対し、14億円支出しているにもかかわらず、8割超の都民が知らないと回答。監査報告でも撤退を含む、抜本的な改革が必要であるとの指摘がなされました。一方全国で唯一テレビ局のない茨城県では動画配信サイトを利用し、在京局でのテレビCM、県の広報番組も含め様々なコンテンツを用いている例もございます。テレビ離れが進んでいることも合わせ、ネット配信や費用対効果の高い番組に集約するべきと考えますが、撤退する予定はないのか、あるのであればどのような時期、基準で撤退を選ぶのかお示しください。

九 六価クロム漏出事案について
地元江戸川区の大島・小松川公園付近の区道で、環境基準の1000倍の六価クロムが検出されました。付近は大規模住宅が隣在し子どもたちも多く、都が購入し整備した公園であることから、早急に除染の必要があります。除染の現時点での対応と今後の計画についてお示しください。
十 都の政策の経済波及効果について
1 先の予算特別委員会にあたり、「都が支出した公務員人件費、公共事業費、教育費の乗数効果想定(過去10年分)」の資料請求をしました。改めてお伺いしますが、都が支出するこれらの費用に関して、乗数効果の測定や経済波及効果について行っているかお示しください。
2 先の予算特別委員会にあたり、上の資料請求をしたところ、担当部署からの説明では乗数効果の測定や経済波及を考えて行っていないとの説明がありました。また、改めてお伺いしますが、税金を使って各事業へ投資をする際に乗数を測定しない、経済波及効果を考えないその理由をお聞かせください。また、乗数効果の測定を利用しないで、各事業への投資に対する業績測定の方法についてお聞かせください。

十一 固定資産台帳について
1 固定資産台帳の作成の目的について、お示しください。
2 固定資産台帳の整備の完了見通しについてお示しください。
3 固定資産台帳の現時点の整備状況及び完了までの具体的な施策についてお示しください。
4 固定資産台帳の整備にあたり他自治体及び総務省との連携状況についてお示しください。
5 固定資産台帳の整備にあたり東京都基準と総務省基準に違いはあるか。違いがあるとすれば、どのような違いかお示しください。
6 固定資産台帳の活用について、具体的にどのようなことを想定しているかお示しください。
7 固定資産台帳の管理・運用によって、活用及び売却可能な固定資産の洗い出しは可能かお示しください。
8 固定資産台帳の整備のみならず、整備後の管理や複式簿記の導入、財務書類の作成・分析、活用が必要になると考えられますが、それらを担う継続的な人材育成について考えているかお示しください。

十二 東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)について
「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」(以下、「四次計画」という。)について、うかがいます。私は予てより、都市整備事業を進めるに当たって、地域住民には、適正、公平な補償を実施し、権利者の生活再建に配慮し、移転先のあっせんや入居に係るきめ細やかな相談対応など丁寧な対応を実施とのことで、その経験値と知見を生かし、都市整備局事業のよき前例として今後の類似事業への反映、活用を望んで参りました。ところが、四次計画においては、案が公開されるや否や、 一部対象地域より強烈な反対の声が上がり、住民団体が結成され、都議会にも陳情が提出されました。計画実施に支障とならないか、危惧するところであり、以下伺います。
1 四次計画の策定経過について
ア 四次計画の策定にあたり、都市整備局と建設局の連携・役割分担の考え方につき、ご説明ください。
イ 都が四次計画において優先整備路線を選定するにあたり、沿線自治体からはどのような要請等がされていますか。特に小金井市からは要請等はありましたか。
ウ パブリックコメントの実施結果の概要とその成果の反映につき、ご説明ください。
エ 四次計画の策定の今後の流れと沿線自治体、関係住民・事業者等の意見の聴取・反映をいかに進め、実現性を担保していくのか、具体的な手順を示して、ご説明ください。
2 小金井3・4・1及び小金井3・4・11に関する国や都、沿線自治体の施策との整合性について
ア 小金井3・4・11につながる地形的特質や歴史文化資源を有する国分寺3・4・1では、当該路線の廃止、見直しの検討を進めていると聞くが、二次計画以降の経過につき、ご説明ください。
イ 例えば、「小金井市都市計画マスタープラン」において国分寺崖線を通過する路線について「一定区間での路線変更などの可能性を検討」と記載されているが、沿線自治体の従前からの施策との整合性を都としていかに調査・意見聴取し、遺漏なきよう図っているのでしょうか。
ウ 国の自然再生事業、都市整備局の東京都景観計画の景観基軸の指定等に代表される従前からの施策との整合性を都としていかに調査・意見聴取し、遺漏なきよう図っているのでしょうか。
エ 優先整備路線とする緊急性・有用性につき、いかなる要素を勘案し、いかなる基準で判断するのか、具体的な尺度をもって、ご説明ください。

平成28年第一回都議会定例会
上田令子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 知事の総合調整権について
  1 地方自治法第180条の4は、普通地方公共団体の執行機関の組織及び運営に関して、長のかかる総合調整権を定めている。知事は、知事の総合調整権について一般に解されているような消極的な解釈に立って都政運営を進めるのか、見解とその理由を伺う。

回答
 普通地方公共団体においては、その執行機関として、普通地方公共団体の長のほか、法律の定めるところにより、委員会又は委員を置くこととされています。
 これらの委員会等は、それぞれ独自の執行権限を持ち、その担任する事務を自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負っています。
 こうした同一地方公共団体の執行機関の組織及び運営に関し、その合理化を図り、相互の間に権衡を保つため、地方自治法において知事の総合調整権を定めています。
 知事の総合調整権は、あくまでも組織等内部管理事務的なものに関するものであり、各執行機関たる委員会等が法令に基づいて行使する権限の内容にまで立ち入り、これに干渉を加えるものではないとされています。

質問事項
 一の2 知事の総合調整権が行使され得る例と、行使される基準・指針について伺う。

回答
 教育庁等行政委員会事務局における組織設置などについて、各執行機関の組織及び運営の合理化を図り、相互の間に権衡を保つため、総合調整権に基づき、協議を実施しています。

質問事項
 一の3 委員会等の委員の任命にあたり、知事の総合調整権についてどのように説明し、理解を求めているのか伺う。また、理解が得られなかった場合の対応について伺う。

回答
 独自の執行権限を有する委員会等の委員への就任に当たっては、あらかじめ当該委員会等の位置付けや職務内容を丁寧に説明しており、各委員には、その職責等を十分理解をいただいているものと認識しています。

質問事項
 一の4 職員給与等の人事委員会勧告と知事の総合調整権について、見解を伺う。同勧告を履行しない場合、知事の総合調整権に基づくものか、見解を伺う。

回答
 人事委員会勧告は、独立した機関である人事委員会が、地方公務員法第8条第1項、第14条第2項及び第26条に基づく権限行使として、議会及び知事の双方に対して行うものです。
 このような趣旨から、勧告を受けた議会及び知事は、最大限これを尊重する政治的義務を負うものと解されています。

質問事項
 一の5 総務局は都全体の人事事務の一貫性を保つため、知事部局以外の委員会等の他の任命権者に対しても各種の総合調整を行っているが、委員会等の事務局人事について、知事の総合調整権の行使の考え方につき、例を示しての説明を伺う。

回答
 事務局内の人事は、独自の任命権を有する委員会等が、それぞれの任命権に基づき行っています。
 なお、任用基準をはじめ、昇任選考や昇給決定の基準の設定など、都庁全体で統一的に対応すべき制度については、知事が他の任命権者と調整を行い、人事事務の一貫性を保つよう努めています。

質問事項
 一の6 職員の労働条件や待遇、福利・支援について、都全体の人事事務の一貫性を保つべきだが、知事の総合調整権の行使の考え方につき、例を示しての説明を伺う。

回答
 基本的な労働条件である給料や勤務時間・休暇のほか、例えば、人事考課制度や勤勉手当の成績率制度など、都庁全体で統一的に対応すべき人事給与制度については、知事が行政委員会や公営企業など他の任命権者と調整を行い、人事事務の一貫性を保つよう努めています。

質問事項
 一の7 知事部局以外の委員会等における服務事故やメンタルヘルス対策について、知事の総合調整権の行使の考え方につき、例を示しての説明を伺う。

回答
 服務事故への対応やメンタルヘルス対策については、各任命権者において、その職務の特性に応じた基準・ルール等を定め、それぞれの権限で実施しています。

質問事項
 一の8 知事の総合調整権の行使のための補佐・助言体制と知事補佐官がそれにどのような機能を持っているか、具体的に伺う。

回答
 知事補佐担当は、知事のトップマネジメントを強化することを目的として設置され、知事の意向を正確かつ迅速に関係部局に伝える役割を担うとともに、関係部局との調整を行っています。
 なお、委員会等に対しては、知事の総合調整権の範囲内において、知事補佐担当としての役割を担うこととなります。

質問事項
 二 2020年東京オリンピック・パラリンピック大会について
  1 新国立競技場の座席について日本の木でつくる提案が実現すると考えると約20億円の費用増加だとの意見もあるが、こういった突発的な変更による負担増加に対しても、同様の負担割合で東京都から負担を行っていくのか、伺う。

回答
 新国立競技場の整備費については、その整備計画において対象経費の上限が1,550億円とされています。また、整備に要する財政負担については、国とスポーツ振興くじと東京都で、2対1対1で分担することとされており、賃金又は物価等の変動が生じた場合及び消費税率10パーセントが適用される場合には、経費の不足分をこの割合で負担することとなっています。これらは、いずれも「新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議」で決定されており、これ以外の要因で都の負担が増加することはないものと認識しています。

質問事項
 二の2 レガシー委員会について
    ア レガシー委員会の構成について、知事が指名した歴代の局長を含め、本委員会の役員の構成と委員会の活動実績について伺う。

回答
 東京オリンピック・パラリンピックレガシー委員会は、知事を委員長とし、副知事、関係局長で構成しています。
 これまでの委員会において、知事が指名したことのある関係局長は、政策企画局長、オリンピック・パラリンピック準備局長など15局長です。
 委員会は、これまで22回開催しており、うち民間等有識者からのヒアリングを3回実施しました。

質問事項
 二の2のイ 東京都のHPにて、「知事の活動」のページの一つとしてレガシー委員会の活動が紹介される際、内容に関してはテーマ紹介だけであり、知事の活動紹介の補足に過ぎない。レガシーを創造していく過程も公表し、語り継がれるべきだが、公表される予定は有るのか、ないのであれば、なぜ出来ないのかも含め具体的な見解を伺う。

回答
 レガシー委員会は、各局が検討・作成を進めている公表前の計画等について、庁内内部で自由闊達に議論・検討する場です。
 委員会での議論・検討においては、レガシーを創造していく過程の様々な意見やアイディア等が含まれ、仮に公開した場合、庁内外に対して誤解を生じさせるなどの影響を与えることが懸念されることから、非公開としています。
 なお、東京2020大会後のレガシーを見据えた都の取組について、レガシー委員会での議論・検討を踏まえ、議会での議論や都民の意見を反映した上で、「2020年に向けた東京都の取組」として、平成27年12月に公表しています。

質問事項
 二の2のウ 外国の目線だけを気にかけ、施設の乱立や、環境破壊といった負の遺産を残さないように議論することもレガシー委員会の責務だが、こういった負の遺産にさせないために、レガシー委員会ではどのような議論の場、対策を予定しているのか、伺う。

回答
 これまでも、レガシー委員会では、大会後に負の遺産を残さないなどの視点で、議論・検討をしています。
 レガシー委員会での議論・検討を踏まえ、議会での議論や都民の意見を反映した上で、東京2020大会後のレガシーを見据えた都の取組を明らかにした「2020年に向けた東京都の取組」を、平成27年12月に公表しました。
 なお、現時点において、レガシー委員会の開催予定はありません。

質問事項
 二の3 財政負担について
    ア 仮設施設工事は組織委員会、という計画を捻じ曲げてまで東京都が負担する理由として、「仮設施設を大会終了後も一定期間利用するから」というのでは、あまりにも抽象的であり、無限に都の負担額が増加しかねない。負担増加見込みの理由について、都民が納得するような説明を伺う。

回答
 東京2020大会は、テロの脅威の増大、資材や人件費の高騰など、大会を取り巻く環境が大きく変化し、数多くの課題に直面してきています。
 これらに対応するべく、都、国、組織委員会が責任を持ってしっかりと役割を果たしていけるよう、今後、三者で調整していきます。
 大会経費については、不断に精査するとともに、都民、国民に丁寧に説明しながら、必要な事業を実施していきます。

質問事項
 二の3のイ 一部の仮設競技場については、設立費用の肩代わりをした上で大会後10年間、競技場としてではなくビッグサイトの補完展示場として使用する話も出てきた。こちらの展示方法・内容の計画があれば、伺う。

回答
 東京ビッグサイトの稼働率が高く、新規に受け入れることが困難であった中小規模の展示会を中心とした利用を図るとともに、展示会主催者からの開催規模を拡大したいとの要望を踏まえ、既存の展示場との一体的な運用による大規模な展示会も開催していきます。

質問事項
 二の4 東京オリンピック・パラリンピック関係の経済波及効果について
    ア 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催準備にあたり、関連予算が配分されているが、大会全体の経済波及効果はどの程度想定しているのか伺う。また、その測定方法があれば、伺う。

回答
 東京2020大会の経済波及効果については、大会招致決定前の平成24年6月に東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会とスポーツ振興局(当時)が公表した試算において、全国で約3兆円と推計しています。
 算定方法については、大会運営費、競技会場などの施設整備費、観客や家計の消費支出など、平成25年から平成32年までの大会開催に直接関係する需要増加額を算定し、都の産業連関表を用いて波及効果を試算したものです。

質問事項
 二の4のイ 東京オリンピック・パラリンピックの終了後、東京都が整備する新規恒久施設の維持・管理にかかる経費(ランニングコスト)について、どの程度の負担をするのか伺う。

回答
 都は、新規恒久施設を大会後も末永く有効活用される施設としていくため、平成28年度末を目途に民間の知恵とノウハウを取り入れた施設運営計画を策定していきます。
 施設の維持管理費やその負担のあり方については、各施設の施設運営計画等を通じて、検討していきます。

質問事項
 二の4のウ 東京都が維持・管理にかかる経費(ランニングコスト)を負担するならば、その回収方法について、具体的な方法があれば伺う。

回答
 利用料金など、各施設の収入については、各施設の施設運営計画等を通じて、民間の知恵やノウハウを活かし、検討していきます。

質問事項
 二の4のエ 東京オリンピック・パラリンピックの終了後、東京都が整備する新規恒久施設の具体的な活用について伺う。

回答
 新規恒久施設については、後利用の方向性として、競技スポーツの拠点とするだけでなく、都民のスポーツ利用や文化・レジャー活動、集客イベントなど多目的な活用を図ることとしています。
 都は、平成28年度末を目途に、施設運営計画の策定を進めており、現在、公募により選定した民間支援事業者と協力して、各施設の具体的な活用策などを検討しています。

質問事項
 二の4のオ 東京オリンピック・パラリンピックの終了後、東京都が整備する新規恒久施設の維持・管理にかかる経費(ランニングコスト)や施設利用の主体者、活用の方法は、どのように決定されるのか、伺う。

回答
 都が整備する新規恒久施設の後利用にかかる維持管理経費、運営の主体、活用方法などについては、平成28年度末を目途に策定する施設運営計画等を踏まえ、民間の知恵やノウハウを活かし、各施設を都民の利用に供する時までに、都が決定していきます。

質問事項
 三 教育政策、子ども・若者政策について
  1 学校教育での東京ベーシック・ドリルの取組については、小学校を中心に活用されており、ホームページヘのアクセス数等にみられる活用状況及びドリルを電子化するメリットと課題について、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、児童・生徒に基礎的・基本的な知識や技能の確実な定着を図ることを目的として、平成25年度に東京ベーシック・ドリルを作成しました。このドリルを掲載している都教育委員会のホームページへのアクセス数は、平成26年9月から平成27年8月までの1年間で218万回を超えています。
 今後行うドリルの電子化により、児童・生徒が取り組んだ問題は、直ちに採点され、間違った場合には、児童・生徒は、つまずいている内容に立ち戻って学び直すことが容易にできます。また、教員にとっては、児童・生徒一人一人の取組状況や達成状況が教員のコンピュータ等に集約され、きめ細かい指導へとつなげることができます。
 こうした、電子化による利点などについて各学校に周知し、より一層の活用に努めていきます。

質問事項
 三の2 一昨年東京都いじめ防止対策推進条例が制定されたが、その後の都内公立学校におけるいじめの発生状況と課題解決に向けた都教委の取組や実績について伺う。

回答
 文部科学省の調査では、平成26年度の都内公立学校におけるいじめの認知件数の合計は、8,397件となっており、前年度より1,261件減少しました。
 これらのいじめの多くは、学校の対応により解消されていますが、一方で、いじめに対する認識や対応について、教員間で差があるなどの課題が明らかとなりました。
 そのため、都教育委員会は、附属機関である「いじめ問題対策委員会」における検討を踏まえ、学校の基本方針に基づいた指導や対応に関して、一人一人の教員が自己点検を行うためのチェックリストや、「学校いじめ対策委員会」が行うべき取組例を示した資料を各学校に配布するなど、校内研修の充実と教員の意識啓発を図っています。

質問事項
 三の3 都立高校入試に際し、マークシート方式を導入して実施した今回の入試の結果と、今後どのように成果や課題を検証していくのか伺う。

回答
 都教育委員会では、平成27年度に実施した都立高校の入学者選抜から、一部の学校を除きマークシート方式を導入しました。
 導入に当たっては、マークを塗り間違うなど、受検生が戸惑うことのないよう、事前にリーフレットや解答用紙のサンプルを中学校に配布しました。あわせて、高校に対して機器の使用方法等を十分に周知するとともに、各校で機器の使用に関する研修を実施しました。こうしたことにより、全ての高校で学力検査及び採点・点検業務を混乱なく行うことができました。
 現在、高校及び中学校の校長並びに実際に受検した生徒を対象にアンケート調査を行うとともに、採点・点検を担当した教員を対象とする意見交換会等の結果を踏まえ、マークシート方式の導入による成果等を検証しています。

質問事項
 三の4 要保護児童、児童虐待、子どもの貧困対策について
    ア 居場所事業等における虐待発覚対応について、居場所やこども食堂などを利用する子どもたちの中で、虐待が疑われるものが居た時、どのように子ども家庭支援センターや児童相談所に繋げ、支援するのか伺う。

回答
 平成27年度は、27の区市で生活困窮者自立支援法に基づく子供の学習支援が行われており、併せて居場所の提供や親への養育支援などの取組も始まっています。
 こうした取組を更に進めるため、都は平成28年度から、民間団体等と連携して、学習支援と食事の提供などを一体的に行う居場所づくりに取り組む区市町村を支援する、子供の居場所創設事業を開始します。
 この事業では、社会福祉士や児童福祉の実務経験者など、専門的な知識を持つ職員の配置を義務付けており、利用している子供に虐待が疑われる場合には、職員が子供家庭支援センターや児童相談所等の関係機関と連携して対応していきます。
 なお、児童虐待防止法では、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに児童相談所等に通告することが規定されています。

質問事項
 三の4のイ グループホームの是非について、家庭的養護の割合を概ね6割となるよう進めていくなかで、社会福祉法人によるグループホームの設置は進めるべきでないが、相変わらず推進するのか伺う。

回答
 グループホームは、児童養護施設に入所している児童のうち、6人程度の児童を施設から独立した家屋で、家庭的な環境の下で養育する制度であり、児童が施設のケアを受けながら、地域と関わりを持って生活体験ができる貴重な場です。
 都の社会的養護施策推進計画では、社会的養護の下にある児童が、できる限り家庭的な環境で養育されるよう、養育家庭、ファミリーホーム、グループホームなどの家庭的養護全体で6割とする目標を設定し、一人一人の状況に合わせて適切な措置委託先を判断することとしています。
 都はこれまで、グループホームに対し、開設準備経費や家賃の助成、補助職員の増配置など、独自の支援を行っており、平成28年度は更に支援を拡充し設置を促進していきます。

質問事項
 三の5 児童相談所移管について
    ア 移管の現状について、現在の児童相談所にかかる都区の検討状況並びに東京都の移管にかかる現在の見解を伺う。

回答
 児童相談所は、虐待、非行、障害など、18歳未満の子供に関するあらゆる相談に対応しており、調査、診断、一時保護等の法的対応、家族再統合等の専門的な業務のほか、一時保護所や施設への入所についての広域的業務等を担っています。
 特別区は人口規模も様々であり、仮に、全ての区へ移管するとなれば、各区で、一時保護所の整備や専門人材の確保、育成等が必要となるほか、施設等への入所調整には、区相互、都と区との間で連携、協力が必要となるなど多くの課題があります。
 今後は、法改正の動向や、それを踏まえた区の対応を見極めつつ、引き続き、子供達の安全や安心をいかに確保していくかという観点を最優先に、児童相談行政のあり方などについて特別区と真摯に幅広い議論を行っていきます。

質問事項
 三の5のイ 西東京市等子どもの命が奪われる事案を受けて現状のままで良いのか、善後策、再発防止、人員体制について講じた対策を伺う。

回答
 都はこれまで、深刻化する児童虐待に的確に対応するため、児童福祉司や児童心理司の増員、虐待対策班の設置など、児童相談所の体制強化に取り組むとともに、区市町村に対しては、虐待対応力の強化を図るため、子供家庭支援センターへの専門職の配置を支援するなど、様々な取組を行ってきました。
 また、重大な虐待事例について検証を行うため、児童福祉審議会の下に児童虐待死亡事例等検証部会を設置し、東京都、区市町村及び関係機関に対して、再発防止に向けた具体的な取組について提言をいただいており、児童相談所と子供家庭支援センターとのより一層の緊密な連携を図るためのガイドラインの策定など、児童虐待の対応力を強化してきました。
 平成28年度は、さらに、児童福祉司を18名、児童心理司を13名増員するとともに、専門課長や児童福祉司等のOBも増員し、児童相談所の体制を一層強化しています。

質問事項
 三の5のウ 特別区への移管を見送る理由について、改めてどのような問題意識を持ち特別区への移管を拒むのか、拒みながらも深刻な事案が後を絶たない東京都の児童相談所事業につき、どのように都民に説明するのか伺う。

回答
 児童相談所は、虐待、非行、障害など、18歳未満の子供に関するあらゆる相談に対応しており、調査、診断、一時保護等の法的対応、家族再統合等の専門的な業務のほか、一時保護所や施設への入所についての広域的業務等を担っています。
 区市町村は、第一義的な児童家庭相談窓口として、子供家庭支援センター等において、相談対応や子育て支援サービスの提供など、児童や家庭への適切な支援を行っています。
 今後とも、児童相談所と区市町村が、それぞれの役割の下に機能を発揮して、緊密に連携を図りながら相談対応力を強化していきます。

質問事項
 四 障がい者政策について
  1 障害者の都庁への採用後も合理的配慮が求められるが、新年度に向け対応状況を伺う。

回答
 都は、障害のある職員に対して、これまでも個々の障害特性に応じた配慮を、各職場の判断で実施してきました。
 改正障害者雇用促進法に定める合理的配慮への対応についても、運用通知と対応事例集を作成し、庁内に周知するとともに、職員の意向を適切に把握するための相談体制を整備しました。
 こうした取組を通じて、障害のある職員が、これまで以上に、安心して働ける職場環境を確保していきます。

質問事項
 四の2 精神障がい者施策について
    ア 平成28年度の診療報酬改定が決定され、精神科デイケアを1年以上利用する当事者に対し、より自立した生活への移行を促すと盛り込まれたが、都立松沢病院、都立小児総合医療センターなど精神科デイケアを有する都立病院で、1年以上デイケアを利用している当事者は入院患者、外来患者それぞれ何人居り、地域移行をどのように働きかけていくのか伺う。

回答
 都立病院において、1年以上継続して精神科デイ・ケアを利用している患者は、平成28年1月1日時点で外来患者のみで117人です。
 地域移行のためのデイ・ケアでは、人間関係や社会生活のスキルの習得支援、地域活動支援センターや就労支援センター等の活用支援、進学相談等を行いながら、患者が地域において自立した生活ができるよう支援しています。

質問事項
 四の2のイ 今回の改定では、デイ・ナイトケアについても同様に見直すとしているが、榎本クリニックについて、主治医が患者の地域移行促進としつつ、実際はデイ・ナイトケアの診療報酬目的で週3回を超えるデイ・ナイトケアが必要と意見等が乱発された場合、どのような対応を取るのか、取らないのか、検討しているのかについて伺う。

回答
 平成28年度の診療報酬改定では、1年を超えて精神科デイ・ケアや精神科デイ・ナイト・ケア等を利用する患者の診療報酬について、週5日を算定の限度とすることに加え、「週3日を超えて算定する場合にあっては、患者の意向を踏まえ、必要性が特に認められる場合に限る。」という規定が盛り込まれました。
 算定に当たっては、医師が医学的に必要と判断すること、精神保健福祉士等が聴取した患者の意向に沿った診療計画に基づいて実施されること、当該医療機関において精神科デイ・ケア等を月に14回以上実施した患者の割合が8割未満であること又は実施期間の平均が12か月未満であることを、全て満たすこととされています。
 さらに、実施期間が3年を超える患者について、週4日目以降の報酬が9割に減額されるなど、今回の改定は、精神科デイ・ケア等の回数や期間を見直し、適正化することを目的としています。

質問事項
 五 東京都のひきこもり、自殺対策について
  1 ひきこもり対策について
   ア 都では平成21年度に「ひきこもり等に関する年齢層別未然防止対策調査検討報告書」を発表後、実態調査を行っているのか伺う。また、地域、年代、性別、精神疾患の有無で対応が異なることから、相談員やスタッフには医師、看護師、精神保健福祉士、社会福祉士、カウンセラーなどの専門職をどの程度配置しているのか伺う。

回答
 平成21年度以降、実態調査は実施していません。
 「東京都ひきこもりサポートネット」事業では、臨床心理士等の有資格者を20人程度活用しています。
 また、困難な事例への対応については、医師の助言や指導を得られる体制を確保しています。

質問事項
 五の1のイ 「東京都ひきこもりサポートネット」によるメール、電話、訪問相談を実施しているが、どのような根拠で回数を設定しているのか伺う。また回数を設定したことにより、設定前と比べどのような効果があったか無かったか伺う。

回答
 「東京都ひきこもりサポートネット」事業では、電子メールと電話による相談回数には、制限を設けていません。
 訪問相談については、平成26年度の事業開始以来、概ね5回の訪問を通じて必要な支援を見立て、支援機関につないでいます。
 個々の事例にもよりますが、概ね月1回のペースで訪問を行い、必要に応じて、電話連絡により支援しています。

質問事項
 五の1のウ 相談員は利用者の情報管理についてどのように担保しているのか伺う。また相談員の増員、異動の際は、どのような選考や研修を行っているかも合わせて伺う。

回答
 「東京都ひきこもりサポートネット」事業の委託に当たっては、相談者に係る情報を保管するデータベースを構築し、適切に管理すべきことを定めるとともに、目的外使用の禁止、外部からの不正なアクセスや個人情報の紛失等の危機に対する安全対策等について、仕様書上規定することで、事故の防止を図っています。
 また、新たな相談員が必要な場合は、事業の委託先において、相談業務の経験者や心理学を履修した者等を任命し、相談技法や個人情報管理等に係る専門研修を実施するほか、日常の相談業務を通じたOJTを図っています。

質問事項
 五の1のエ 民間団体等を活用するにも、費用負担が出来ないひきこもり当事者に対しては、どのような支援を用意しているのか、またそれに対する効果等についても伺う。

回答
 ひきこもり等の状態にある若者が抱える課題は様々であり、個々の事例に即した、きめ細かな対応が必要です。
 「東京都ひきこもりサポートネット」事業で相談を受けた場合は、本人や家族のニーズに即した支援を行うため、地域若者サポートステーション等の就労支援機関や、福祉、保健、教育等の関連する公的専門機関にもつないでおり、この結果、社会的自立に向けて進んでいる事例もあります。

質問事項
 五の2 自殺対策について
    ア 今年4月より、自殺対策基本法が大幅改正され、都でも自殺対策の取組方針は策定されているが、今後「地域自殺対策推進センター(仮称)」の設置をする際、都では3つの精神保健福祉センター内か、それ以外に設置するのか伺う。また、市区町村の司令塔になる同センターだが、どのように市区町村との連携や現行体制との整合性を取るのか伺う。

回答
 国は、平成28年度から、都道府県が市町村等を直接的かつ継続的に支援する体制を強化するため、自殺対策連携推進員等の配置や、連絡調整会議の開催、人材育成及び情報提供などの役割を担う地域自殺対策推進センターを設置した場合に、補助を行うこととしています。
 現在、都では、「東京における自殺総合対策の基本的な取組方針」に基づき、関係機関や民間団体の協力を得て「こころといのちの相談・支援 東京ネットワーク」を構築し、自殺対策に係るネットワーク会議や遺族支援対策などを実施するとともに、「東京都自殺相談ダイヤル」による自殺専門の電話相談、ゲートキーパー養成事業による地域の人材育成など、区市町村や関係機関と連携し、総合的な自殺対策に取り組んでいます。

質問事項
 五の2のイ 不登校やひきこもりになり、その上地域からも孤立する片親のもとで暮らす児童生徒には、訪問する以外に方法はないが、訪問で会えない以上電話相談等の情報周知も厳しいことから、都としてこのような親も子どもも地域から孤立しているケースの児童生徒の実態把握を行っているのか否か、またどのような対策を講じているのか伺う。

回答
 学校では、不登校やひきこもりが懸念される児童・生徒の対応について、学級担任や養護教諭が家庭訪問や面接を行い、児童・生徒や保護者と関わる中で実態を把握し、不安や悩みの解消を図るとともに、個別の学習指導等に当たっています。
 また、平成28年度に都教育委員会は、区市町村において学校や福祉等関係機関との支援ネットワークを構築し、スクールソーシャルワーカー等を活用した支援チームにより、家庭への訪問支援等を行うモデル事業を実施します。

質問事項
 六 公務員の告発・通報義務について
  1 刑事訴訟法第239条第2項の公務員の告発義務や虐待通報義務について、昨年の国勢調査での調査員・指導員からの告発や通報はゼロとのことだが、告発・通報義務についての周知と運用についてどのように行われたのか、伺う。

回答
 調査員及び指導員への調査活動等に関する説明・指導は、国の事務要領に基づき、都が実施した事務打合せ会を受け、区市町村が調査員及び指導員の事務打合せ会で行いました。
 区市町村が実施した事務打合せ会において、国勢調査令、国家公務員法を始め告発・通報義務に関する規定も含めて取りまとめた資料を調査員及び指導員に配布しました。

質問事項
 六の2 調査員・指導員からの告発や通報についての相談が、都や区市町村に寄せられているか、把握の状況を伺う。

回答
 都において、調査員・指導員からの告発や通報についての相談は入っていません。また、区市町村から都に対して、そのような相談に関する連絡は入っていません。

質問事項
 六の3 刑事訴訟法第239条第2項の公務員の告発義務や虐待通報義務等の法令順守への取組について、全庁職員への周知の状況を伺う。

回答
 地方公務員法第32条では、職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従わなければならないと定めています。
 都では、採用直後の段階から、法令等に従う義務について研修を行うなど、その周知に努めています。

質問事項
 六の4 公務員の告発義務や虐待通報義務について、職員が履行する場合の庁内手続き(決裁等)について、具体的な流れを伺う。

回答
 刑事訴訟法第239条第2項では、公務員は、その職務に際して犯罪があると思料するときは、捜査機関に対し告発しなければならないと定めています。
 告発義務は、個々の公務員に課されたものであり、個人の判断と責任において行うものであるため、組織が関与することは想定されていません。
 また、障害者虐待防止法第7条等は、虐待を受けたと思われる障害者等を発見した者は、速やかに、これを区市町村等に通報しなければならないと定めています。
 通報義務は、虐待を発見した国民全てに課されたものであり、通報者保護の観点から匿名で行うことも可能であるため、組織が関与することは想定されていません。

質問事項
 六の5 公務員の告発義務や虐待通報義務について、職員が履行している状況について、把握はしているのか。把握の状況を伺う。

回答
 公務員の告発義務は、個々の公務員に課されたものであり、組織が関与することは想定されていないことから、職員の履行状況は把握していません。
 また、障害者虐待等の通報義務は、虐待を発見した国民全てに課されたものであり、通報者保護の観点から匿名で行うことも可能であるため、職員の履行状況は把握していません。

質問事項
 六の6 公務員の告発義務や虐待通報義務について、職員が履行する場合の相談・支援のあり方、現状につき、伺う。

回答
 公務員の告発義務は、個々の公務員に課されたものであり、組織が関与することは想定されていませんが、実際に職員が告発するに当たっては、自らの判断で、身近な上司や同僚に相談することもあり得るものと認識しています。
 また、障害者虐待等の通報義務は、虐待を発見した国民全てに課されたものであり、組織が関与することは想定されていませんが、実際に職員が通報するに当たっては、自らの判断で、身近な上司や同僚に相談することもあり得るものと認識しています。

質問事項
 六の7 職員が同僚・上司の行為について法令違反を認織し、告発義務や虐待通報義務が履行された例があるのか、またその場合の体制につき、伺う。

回答
 告発は、個々の職員の判断と責任において行うものであり、組織が関与するものではないため、職員の履行状況は把握していません。
 また、障害者虐待等の通報は、通報者保護の観点から匿名で行うことも可能であるため、職員の履行状況は把握していません。
 なお、職員が法令違反等の疑いのある行為を発見した場合には、公益通報制度やサポートダイヤルにより対応できる仕組みを整えており、適切に運用されていると認識しています。

質問事項
 六の8 非常勤職員の法令違反により、告発義務や虐待通報義務が履行された例があるのか、またその場合の体制につき、伺う。

回答
 告発は、個々の職員の判断と責任において行うものであり、組織が関与するものではないため、職員の履行状況は把握していません。
 また、障害者虐待等の通報は、通報者保護の観点から匿名で行うことも可能であるため、職員の履行状況は把握していません。
 なお、職員が法令違反等の疑いのある行為を発見した場合には、公益通報制度やサポートダイヤルにより対応できる仕組みを整えており、適切に運用されていると認識しています。

質問事項
 六の9 民間事業者等の法令違反により、告発義務や虐待通報義務が履行された例があるのか、またその場合の体制につき、伺う。

回答
 告発は、個々の職員の判断と責任において行うものであり、組織が関与するものではないため、職員の履行状況は把握していません。
 また、障害者虐待等の通報は、通報者保護の観点から匿名で行うことも可能であるため、職員の履行状況は把握していません。

質問事項
 六の10 民間事業者等の法令違反により、告発義務や虐待通報義務が履行される場合、どの程度の証拠による確信が必要なのか、具体的に伺う。

回答
 法の解釈によれば、職員が実際に告発する場合には、犯罪の重大性、犯罪があると思料することの相当性、行政運営に与える影響等を総合的かつ慎重に検討して判断する必要があるとされています。
 また、障害者虐待等の通報義務について、国の「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」では、明らかに虐待を受けた場面を目撃した場合だけでなく、虐待を受けたのではないかと疑いを持った場合は、事実が確認できなくても通報する義務があるとされています。

質問事項
 六の11 法令違反による告訴・告発と都が権限を有する行政処分との関係について、どのような運用がされているのか、伺う。

回答
 告訴、告発は、個々の職員が犯罪事実を捜査機関等に対して申告し、その追訴を求める意思表示です。
 行政処分とは、許認可や免許など、行政庁が行う行為のうち、直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められている行為です。
 このように、告訴、告発と行政処分は目的が異なっており、それぞれの趣旨に沿って、適切に運用すべきものと認識しています。

質問事項
 六の12 職員が法令違反を認識しても、告発・通報しなかった例があれば、伺う。

回答
 職員は、法令等を遵守し、責任を持って職務を遂行しており、告発・通報義務についても、適切に対応しているものと認識しています。

質問事項
 七 文化政策について
  1 東京都交響楽団について
   ア 都響団員に対し、楽器購入資金貸付金について1回の貸付が最大500万円であり、適切な限度額設定を求める規定が必要であるとのことだが、団員の内何人がこの貸付を利用し、総額でいくら貸し付けているのか、また低利とあるが、どのような利率になっているのか伺う。

回答
 東京都交響楽団では、演奏の質の向上に資することを目的に、「公益財団法人東京都交響楽団楽器購入資金貸付規程」に基づき、楽員に対して楽器の購入に必要な資金を貸し付けています。
 平成28年3月31日現在、14人の楽員に対して貸付を実施しており、貸付金総額は約3,000万円です。
 また、利率については、「公益財団法人東京都交響楽団楽器購入資金貸付規程実施細目」に基づき、貸付を行った時点における東京都職員共済組合一般貸付金普通貸付の貸付利率を適用しており、現在貸付を行っている楽員に適用している利率は、年利2.260パーセントから2.712パーセントです。

質問事項
 七の1のイ この融資はあくまで都響在籍中のみとなっており、貸付額が高額になると、退団の際一括返済が必要となる。貸付け規定に明記のない理事長の承認を得る貸付の基準、金額、利子、貸付総額を伺う。

回答
 楽器購入資金貸付については、「楽器購入資金貸付規程」において楽器ごとの貸付限度額を定めていますが、理事長が特に必要と認める場合は、楽器購入額や、購入による楽団にとってのメリットなどを事案ごとに検討し、貸付の可否及び貸付額などを決定しています。
 この場合の利率についても、「楽器購入資金貸付規程実施細目」に基づき東京都職員共済組合一般貸付金普通貸付の貸付利率を適用しており、現在貸付を行っている楽員に適用している利率は、年利2.260パーセントから2.660パーセントです。貸付総額は、平成28年3月31日現在、約390万円です。

質問事項
 七の1のウ 弦楽器に際しては、弓の規定はあるが、弦の規定はなく、管楽器、打楽器のリードやリガチャー、マウスピース、マレット、ピアノやハープの調律が必要であるが、楽器購入以外に関して貸付は行っていないか、またこれらの費用についてはどのような規定となっているか伺う。

回答
 楽器の調律費や弦やリードなどの消耗品費等については、「公益財団法人東京都交響楽団財務規程」等に基づき、楽団が負担しています。

質問事項
 七の1のエ 都響は都響本体以外に、団友会のオーケストラも有しているが、団友会に対しての支援内容を伺う。

回答
 東京都交響楽団は、楽団の発展等に寄与したことについて感謝の意を表するため、「公益財団法人東京都交響楽団団友に関する要綱」を定め、定年退職した楽員・職員等に対し、団友の称号を贈呈しています。
 団友会は、この団友を中心として自主的に会を構成し活動しているものです。東京都交響楽団が会の活動等に関し、支援をしている実績はありません。

質問事項
 七の1のオ 都響演奏会に際してのアンケートについて、受付で指摘をする以外に常設していないが、民間団体で実施している満足度や曲目の内容に関するアンケートを実施するつもりは無いのか、あるのであればどのような形で実施するのか伺う。

回答
 東京都交響楽団では、お客様が自由に意見や要望等を記述することができるアンケート用紙及び回収箱を演奏会会場に常備しており、これまで、アンケート内容等を踏まえながら、プログラムの編成に当たってきました。
 引き続き、お客様の意見や要望等を伺う機会を設けていきます。

質問事項
 七の2 平成27年度包括外部監査の結果報告によると、東京都歴史文化財団が東海道五十三次を購入したことに際し、本来都が購入すべきとも考えられる固定資産であると記載されているが、何故都が購入しなかったのか伺う。また、都や東京都歴史文化財団で購入計画のある文化資産について、予算規模も合わせて伺う。

回答
 都における美術館・博物館資料の購入については、毎年度予算措置を行い、収蔵委員会による審議の後、都において収蔵を決定し実施していますが、東海道五拾三次については、平成20年度当時の都予算では購入できないものでした。江戸東京博物館の指定管理者であり都の文化振興施策を補完する監理団体でもある東京都歴史文化財団が、歴史的資料の調査研究を行う中で、当該資料の海外流出を防ぐ観点や緊急性を考慮するとともに、江戸東京博物館の魅力向上にも欠かせないものであるため、主体的に購入したものです。その後、本資料は都の収蔵委員会の審議を経て江戸東京博物館内で適切に管理し、企画展等で積極的に活用しています。
 都は、美術館・博物館の収蔵品購入予算として毎年度1億5,000万円を措置していますが、平成28年度にはこれに加えて海外等への発信力強化のために1億円の予算を計上しました。今後も、収蔵委員会の審議を踏まえ、都において収蔵品を決定し購入していきます。

質問事項
 七の3 東京文化ビジョンの文化戦略7に教育機関や企業と協力して、創造産業の人材育成の活性化の促進とあるが、その育成対象及び進め方について見解を伺う。

回答
 東京文化ビジョンでは、アニメ、ゲーム、デザイン、ファッション、映像といったクリエイティブ産業に従事するクリエイターの人材育成の活性化を施策の方向性の一つとして挙げています。
 この分野の人材育成には、先端技術を活用する高度な知識やノウハウが求められるため、クリエイティブ分野に係る企業のほか、専門教育機関等とも連携しながら進めていく必要があります。

質問事項
 八 東京都の広報広聴について
都の広報番組に対し、監査報告で撤退を含む、抜本的な改革が必要であるとの指摘がなされた。テレビ離れが進んでいることも合わせ、ネット配信や費用対効果の高い番組に集約すべきだが、撤退する予定はないのか、あるのであればどのような時期、基準で撤退を選ぶのか伺う。

回答
 テレビは最も身近で高い訴求力を持つ媒体であり、視聴者層の年代などに応じて都政情報を分かりやすく発信することが可能であると考えています。
 テレビ番組については、視聴率を向上すべくこれまでも見直しに取り組んでおり、さらに、平成28年4月からは放送時間や出演者等の見直しを行っています。
 なお、YouTube東京都公式チャンネルでの番組のネット配信や、東京都公式ツイッター等のSNSによる番組情報の発信など、様々な媒体を活用し、都民の目に触れる機会が増えるよう番組の周知を図っています。

質問事項
 九 六価クロム漏出事案について
江戸川区の大島・小松川公園付近の区道で、環境基準の1000倍の六価クロムが検出された。付近は大規模住宅が隣在し子どもたちも多く、都が購入し整備した公園であることから、早急に除染すべきだが、除染の現時点での対応と今後の計画について伺う。

回答
 本事案については、道路管理者である江戸川区が、人の健康への影響がないよう、路面及び集水ますの清掃を実施しています。
 今後とも、引き続き、関係者の役割分担のもと、連携を図りながら適切に対応していきます。
 なお、環境局では当該地域の大気モニタリングを実施しており、大気中の粉じんから六価クロムが検出されていないことを確認しています。

質問事項
 十 都の政策の経済波及効果について
1 先の予算特別委員会にて、「都が支出した公務員人件費、公共事業費、教育費の乗数効果想定(過去10年分)」の資料請求をした。改めて伺うが、都が支出するこれらの費用に関して、乗数効果の測定や経済波及効果について行っているか伺う。

回答
 都の政策の経済波及効果については、公務員人件費、公共事業費及び教育費などの総額に対応する形での測定は行っていませんが、例えば、国際コンベンションの開催など、都民の理解を深め、事業を推進するために必要と考えられる場合などに、個々の事業ごとに測定を行い、公表しています。

質問事項
 十の2 先の予算特別委員会にて、前問の資料請求をしたところ、担当部署からの説明では乗数効果の測定や経済波及を考えて行っていないとのことだが、改めて伺うが、税金を使って各事業へ投資をする際に乗数を測定しない、経済波及効果を考えないその理由を伺う。また、乗数効果の測定を利用せず、各事業への投資に対する業績測定の方法について伺う。

回答
 都の事業は、様々な行政目的に応じて実施するものであり、教育や福祉など乗数効果や経済波及効果を一義的な目的としているものばかりではないため、個々の事業の性質を踏まえて、経済波及効果の測定を実施しています。
 各事業への予算配分に当たっての効果等を測定する手法としては、予算編成の一環で行う事業評価の取組が挙げられます。
 具体的には、都が行う全ての事業に対し、それぞれの行政目的に応じて、必要性・効率性といった観点から、事業の成果や決算状況などの検証を行い、見直し・再構築や拡大・充実など、各事業の方向性を定め、次年度の予算に的確に反映させています。

質問事項
 十一 固定資産台帳について
  1 固定資産台帳の作成目的について伺う。

回答
 固定資産について、取得価額、耐用年数等のデータを網羅的に把握することで、財務諸表作成の基礎データとなるとともに、保有する固定資産の適切な管理及び有効活用に役立つものです。

質問事項
 十一の2 固定資産台帳の整備の完了見通しについて伺う。

回答
 都では、本格的な複式簿記・発生主義会計による新公会計制度を導入しており、固定資産を管理する財産情報システムや物品管理システム等に事業情報等のデータを搭載し、平成18年度から、固定資産台帳の役割を持たせ、運用しています。

質問事項
 十一の3 固定資産台帳の現時点の整備状況及び完了までの具体的な施策について伺う。

回答
 都では、本格的な複式簿記・発生主義会計による新公会計制度を導入しており、固定資産を管理する財産情報システムや物品管理システム等に事業情報等のデータを搭載し、平成18年度から、固定資産台帳の役割を持たせ、運用しています。

質問事項
 十一の4 固定資産台帳の整備にあたり他自治体及び総務省との連携状況について伺う。

回答
 固定資産台帳の整備に当たっては、特に他自治体や総務省と連携はしていません。

質問事項
 十一の5 固定資産台帳の整備にあたり東京都基準と総務省基準に違いはあるか。違いがあるとすれば、どのような違いか伺う。

回答
 耐用年数や昭和59年度以前に取得した有形固定資産の評価等に違いがありますが、総務省基準において、既に固定資産台帳を整備済みの団体においては、各団体で設定した耐用年数や評価額によることも認められています。

質問事項
 十一の6 固定資産台帳の活用について、具体的にどのようなことを想定しているのか伺う。

回答
 固定資産台帳は、財務諸表作成の基礎データとなるものであり、作成された財務諸表も活用しながら、年次財務報告書などによる説明責任の向上などの取組を進めています。

質問事項
 十一の7 固定資産台帳の管理・運用によって、活用及び売却可能な固定資産の洗い出しは可能か伺う。

回答
 都では、財産情報システムや物品管理システム等に財務諸表作成に必要となるデータを搭載して固定資産台帳の役割を持たせています。固定資産の貸付や売却なども含む利活用に当たっては、これらのシステムのデータも参照しています。

質問事項
 十一の8 固定資産台帳の整備のみならず、整備後の管理や複式簿記の導入、財務書類の作成・分析、活用が必要になるが、それらを担う継続的な人材育成について考えているか伺う。

回答
 都では、平成18年度より本格的な複式簿記・発生主義会計を導入し、10年を経過しています。この間、定期的な会計実務研修や財務諸表作成についての説明会等を実施し、継続的に人材育成に資する施策を実施しています。

質問事項
 十二 東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)について
  1 四次計画の策定経過について
   ア 四次計画の策定にあたり、都市整備局と建設局の連携・役割分担の考え方につき、伺う。

回答
 今回の整備方針は、東京都と特別区及び26市2町で、策定検討会議などを通して調査検討を進め、共同で策定しました。
 都市整備局は、策定主体として会議の事務局などを務め、建設局は、都施行路線の事業者として検討に参画しています。

質問事項
 十二の1のイ 都が四次計画において優先整備路線を選定するにあたり、沿線自治体からはどのような要請等がされているのか。特に小金井市からは要請等はあったのか伺う。

回答
 今回の整備方針は、東京都と特別区及び26市2町で、策定検討会議などを通して調査検討を進め、共同で策定しました。
 優先整備路線についても、策定検討会議の場などで、小金井市を含む区市町と意見交換を行いながら選定しています。

質問事項
 十二の1のウ パブリックコメントの実施結果の概要とその成果の反映につき、伺う。

回答
 パブリックコメントでは、将来都市計画道路ネットワークの検証方法や個別路線の在り方に関することなど、2,862通の意見が寄せられ、それらを踏まえて整備方針を策定しました。
 なお、御意見、御提案に対する考え方や対応については、「パブリックコメントの結果の概要」として平成28年3月30日に公表しています。

質問事項
 十二の1のエ 四次計画の策定の今後の流れと沿線自治体、関係住民・事業者等の意見の聴取・反映をいかに進め、実現性を担保していくのか、具体的な手順を伺う。

回答
 今回の整備方針は、東京都と特別区及び26市2町で、策定検討会議などを通して調査検討を進め、共同で策定しました。
 また、パブリックコメントやオープンハウスを通じて、地域の住民に加え、広く都民や企業の声も聞き、それらを踏まえて整備方針を策定しました。
 今後とも、各施行主体において設計や必要な調査等を行い、地元説明を実施するなど、事業化に向けて適切に取り組んでいきます。

質問事項
 十二の2 小金井3・4・1及び小金井3・4・11に関する国や都、沿線自治体の施策との整合性について
     ア 小金井3・4・11につながる国分寺3・4・1では、当該路線の廃止、見直しの検討を進めていると聞くが、二次計画以降の経過について伺う。

回答
 国分寺3・4・1号線は、「多摩地域都市計画道路の第二次事業化計画」において位置付けはありません。
 「多摩地域における都市計画道路の整備方針(第三次事業化計画)」においては、本路線のうち府中街道から国分寺街道付近までの区間で、計画線上に国指定史跡があり、また、史跡の復元等に当たり検討が必要なことから「要検討路線」に位置付け、これまで国分寺市とともに検討を行ってきました。
 今回の整備方針では「計画内容再検討路線(区間)」に位置付け、国分寺市が検討主体となり、地区計画等の活用も視野に、引き続き検討を進めていくこととしています。

質問事項
 十二の2のイ 沿線自治体の従前からの施策との整合性を都としていかに調査・意見聴取し、遺漏なきよう図っているのか伺う。

回答
 今回の整備方針については、東京都と特別区及び小金井市を含む26市2町で、策定検討会議などを通して調査検討を進め、共同で策定しています。

質問事項
 十二の2のウ 国の自然再生事業、都市整備局の東京都景観計画の景観基軸の指定等に代表される従前からの施策との整合性を都としていかに調査・意見聴取し、遺漏なきよう図っているのか伺う。

回答
 自然再生推進法に基づく自然再生事業の実施に当たっては、国土の保全や都市計画など、公益との調整に留意して実施されなければならないとされています。
 また、東京都景観計画において、景観基本軸は、東京全体の景観構造の主要な骨格となり、景観形成上特に重要である崖(がい)線などを指定しています。
 道路などの公共施設については、同景観計画において、機能性や安全性の確保を前提として、積極的に地域の景観形成に資するよう、整備していくこととしています。
 自然再生事業や景観計画における景観基本軸は、必要な道路の整備を妨げるものではなく、小金井3・4・1号線、小金井3・4・11号線の2路線についても、景観や環境に配慮しながら整備形態等について適切に対応していきます。

質問事項
 十二の2のエ 優先整備路線とする緊急性・有用性につき、いかなる要素を勘案し、いかなる基準で判断するのか具体的な説明を伺う。

回答
 優先整備路線は、将来都市計画道路ネットワークの検証において必要性が確認された路線の中から、学識経験者の意見も踏まえ、「自動車交通の円滑化」や「地域の安全性の向上」など6つの選定項目を設定し、これら選定項目に照らした上で選定をしています。
 小金井3・4・1号線については、ハケの道など、周辺の生活道路に通過交通が侵入しており、地域の安全性の向上を図るため、優先整備路線に選定しました。
 また、小金井3・4・11号線については、小金井街道や新小金井街道等で渋滞が発生しているとともに、広域避難場所である武蔵野公園などへの避難路も十分に確保されていないことから、交通の分散による自動車交通の円滑化や広域避難場所へのアクセス向上を図るため、優先整備路線に選定しました。

平成28年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 豊洲新市場の整備について

一 豊洲新市場の整備について
豊洲新市場用地の土壌汚染調査は、有楽町層までの土壌汚染のボーリング調査をした地点は、延べで見ても敷地全体を10メーターメッシュで区切った約4000所の3分の1にすぎません。調査した汚染物質ごとの調査地点の割合ではシアンは4分の1、ベンゼンは7分の1、砒素は25分の1にすぎません。
どの物質についても、垂直方向での汚染状況がつかめていない地点は、全体の4分の3にもなります。しかし、東京都は、この調査で基準以上の土壌汚染が見つかった10メートル四方のブロックの土壌を除去することで、「操業由来の汚染土壌は全て掘削除去したから操業由来の土壌汚染は除去された」と説明してきました。
1 昨年8月には、市民団体の方々が、環境省とのやりとりを繰り返しながら都が発表してきた土壌汚染状況調査報告書等を検証した結果、土壌汚染対策法(以下土対法)にもとづき本来、帯水層底面でのベンゼンの汚染状況を調査すべき地点として、環境省令で定められた333区画が調査地点から省かれていたことが明らかになりました。
この事実について昨年10月2日の経済港湾委員会でわが党が質したところ、東京都中央卸売市場当局(以下市場当局)は事実を認めました。市場当局は、いつ、どのようにして、法にもとづく帯水層底面での調査をしていないことを認識するに至ったのですか。
2 市場当局は改正土対法が施行された以降の2010年12月に、土対法、条例にもとづく届け出に必要な関係資料の作成に関する業務を委託しています。この委託契約にもとづき、土壌汚染状況調査報告書などを国の指定調査機関である応用地質株式会社が作成しました。
この業務の遂行にあたって、市場当局は受託者にたいして「関係諸法令・諸条例を遵守すること」を契約の条件にしています。市場当局は、契約中に受託者の法令遵守状況についてどのような点検をしたのですか。契約にもとづく成果物が納品された際に、法を遵守したものかどうか、どのような点検をしたのですか。それぞれの結果について、どう認識したのですか。
3 この委託契約は、本来なら土対法に基づき必要となる手続き書類の作成ですから、土対法を熟知した国の指定調査機関と協議し、指定調査機関の指摘、判断を尊重して進めるのが筋だったのではありませんか。そうされなかった理由には、どのような経過があったのですか。
4 市場当局は、本業務の委託にあたって、「不透水層直上まで土壌汚染が確認されている区画(約400区画)」と限定して発注仕様書を作成しました。しかし、土対法にもとづく帯水層底面まで土壌汚染されている可能性があると判断される区画は、市場当局も認めているように、ベンゼンについては、東京ガスなどによる過去の調査等を含めて判断すれば、 それ以外にも300余箇所があります。
市場当局は形質変更時要届出区域を確定する申請手続きをするにあたって、土対法に従えば、追加の調査が必要とされる地点があるという認識はなかったのですか。
5 国の指定調査機関に委託する業務仕様を決めるにあたって、「不透水層直上まで土壌汚染が確認されている区画(約400区画)」と限定したことについて、いつ、どこで、だれが、どのようにして決められたのですか。土対法との関係は、どう整理し、どう判断されましたか。
6 発注仕様書では、受託者が委託業務をすすめる上で「監督員と協議」、「監督員の指示により業務実施に必要な業務計画書を作成」することとなっています。市場当局は、土対法を熟知した国の指定調査機関にたいして、どのような理由から、「監督員と協議」「監督員の指示」のもとで業務がおこなわれるような仕様書にしたのですか。
7 国の指定調査機関にたいして、法令遵守をチェックできるほど、市場当局は改正土対法を熟知していたことを証明できるものはあるのですか。お示しください。
8 仕様書の作成にあたって環境省、東京都環境局、専門家会議、技術会議の専門家などが関与しているのですか。
9 この発注仕様書の中で、留意事項として、環境確保条例、土対法にもとづく手続きとして、それぞれ別紙を添付して「このフローを十分理解した上で業務をおこなうこと」としています。この留意事項、資料の添付は、環境省、東京都環境局から何らかの指摘によるものですか。市場当局として、どのような経過から、別紙を添付するに至ったのですか。
10 発注仕様書によれば、受託者は市場当局と適宜打ち合わせをして、委託業務を行なうことになっています。受託した応用地質株式会社は、土対法を熟知した国の指定調査機関であるはずですが、こうした打ち合わせの中で、土対法によって必要とされる帯水層底面までの調査として、ベンゼンについては追加で300余箇所が必要とされることについての指摘は、なかったのですか、あったのですか。必要とされる書類、調査などについて、土対法等の法令を遵守する上で、受託企業との協議は、いつ、どこで、どのように行なわれたのですか。それが、土対法等を遵守したものだと、しっかりと裏付けられるものがあるのですか。
11 2011年8月、応用地質株式会社が作成した土壌汚染状況調査報告書は、東京都環境局に提出されました。これに基づいて、土壌汚染された区域を指定し、その後の対策結果をもとに、区域指定の解除の手続きが行なわれてきました。
環境局はこの土壌汚染状況調査報告書を受け付けるに際して、どのようにするのか、2011年10月19日の決算特別委員会で、土対法にもとづいて汚染の恐れの把握、資料採取をおこなう区画の選定、実施、評価などが「適切に行なわれているかどうか審査している」と答弁しています。
環境局として、適切に行なわれているかどうか審査したことを裏付けるものを示してください。
12 一方、上述のように昨年8月に市民団体が、2011年8月に市場当局が形質変更時要届出区域を確定するための手続き、その際に提出した応用地質株式会社が作成した土壌汚染状況調査報告書などについて、環境省とのやりとりを繰り返した上で土対法に違反していると指摘しています。東京都環境局は、このことについて、どのように受け止めているのですか。
13 都知事に伺います。
豊洲新市場の土壌汚染調査、汚染区域の指定申請書類の作成は、地主の都知事名で行なわれました。その申請手続きの受け付け、審査をした審査機関は、その責任者が都知事です。それぞれにおける、法令違反の指摘について、知事はどのように認識していますか。
14 豊洲新市場については、このままでは、土対法上は、汚染除去の措置をしたとは認められず、形質変更時要届出区域となります。これでは、生鮮食料品を扱う卸売市場用地として不適切となりますが、どうですか。中央卸売市場開設の許認可権をもつ、農林水産省とは、どのような協議をし、どのような見解を得ていると認識しているのですか。
次に、豊洲新市場の施設計画についてです。
15 3月15日の委員会の答弁で、6街区の仲卸売場1階では、荷の搬送車両として想定しているのはターレ以外の乗入れはないのですか。3階の積込み場では、ターレ、フォークリフトの乗入れは想定していますか。4階の小口買い出し人積込み場では、ターレ、フォークリフトの乗入れは想定していますか。
16 1階仲卸売場、3階・4階積み込み場について、3月15日の委員会で、「通路には何も物を置くことのない通路部分」があると答弁しています。何も物を置くことのない通路部分は、それぞれ何平方メートルあるのですか。
17 1階仲卸売場ですが、仲卸売場店舗の広さを当初予定の通路側に1.2メートル延ばしました。延ばした時に、この部分に置かれる荷物は、具体的に、どのようなものが、どんな重量で、どのように置かれると想定をしましたか。もともとは、この部分は通路で設計されているのではありませんか。
18 3月15日の委員会で、「通路には何も物を置くことのない通路部分」があると答弁していますが、この仲卸売場店舗部分を通路側に1.2メートル延ばした部分には、荷を置くことは想定されて、実施設計されているのですか。
19 3月15日の委員会で、フォークリフトに乗せる荷について「パレットによる搬送として60センチ程度の箱で、1個あたり15キログラム」「全体で300キログラム/平米」と答弁しています。これ以上の荷を積んだフォークリフトが各売場を走行する場合は、どのような問題が生じると認識していますか。1階仲卸売場、3階積込み場、4階の小口買い出し人積込み場、4階の荷捌きスペース、それぞれについて答弁を求めます。
20 3月15日の委員会では、仲卸売場でのフォークリフトの総重量については、積載荷重について「約1トン強を積載していると想定」と答弁しています。仮に、この場合のフォークリフトの総重量は4トンから5トンになります。こうしたフォークリフトは、どこを通ることを想定しているのですか。具体的にお答えください。
21 ターレ、フォークリフト、トラック等の車両については、3月15日の委員会で「急激な荷重の変動を生じさせるような高速移動」を想定していないとの答弁がありました。しかし、実際の築地市場を見てもわかるように、これらの車両と人がひっきりなしに移動する各売場では、急激な減速、加速は日常茶飯事ではありませんか。各車両について築地市場のような乗り方を各売場でおこなった場合には、どのような問題が生じると認識していますか。それぞれの売場ごとにお示しください。
22 そもそも、卸売市場の売場で利用車両の「急激な荷重の変動を生じさせるような高速移動」を想定しないということが成り立つという市場当局の根拠を示してください。また、各車両について、そうした乗り方を前提としていることを、市場当局はいつ、どのように各業者・業界に案内をしたのですか。各業者・業界が了解している根拠を示してください。それぞれ、具体的にお答えください。

平成28年第一回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 豊洲新市場の整備について
  1 昨年8月には、本来、帯水層底面でのベンゼンの汚染状況を調査すべき地点として、環境省令で定められた333区画が調査地点から省かれていたことが明らかになった。この事実について、東京都中央卸売市場当局は事実を認めたが、市場当局は、いつ、どのようにして、法にもとづく帯水層底面での調査をしていないことを認識するに至ったのか、見解を伺う。

回答
 平成22年2月に公布された土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令において、帯水層底面の土壌の確認について規定されたものと認識しています。

質問事項
 一の2 市場当局は改正土対法が施行された以降の2010年12月に、土対法、条例にもとづく届け出に必要な関係資料の作成に関する業務を委託している。市場当局は、契約中に受託者の法令遵守状況についてどのような点検をしたのか。契約にもとづく成果物が納品された際に、法を遵守したものかどうか、どのような点検をしたのか。それぞれの結果について、どう認識したのか、見解を伺う。

回答
 本委託は、都が実施した調査の取りまとめを第三者である「指定調査機関」に委託し、同調査機関は、調査内容を確認し、「土壌汚染状況調査報告書」として適切に取りまとめを行ったものと認識しています。

質問事項
 一の3 この委託契約は、本来なら土対法に基づき必要となる手続き書類の作成であり、土対法を熟知した国の指定調査機関と協議し、指定調査機関の指摘、判断を尊重して進めるのが筋だったのではないか。そうされなかった理由には、どのような経過があったのか、見解を伺う。

回答
 都が実施した調査の内容を指定調査機関が公正な立場から確認し、「土壌汚染状況調査報告書」として取りまとめたものと認識しています。

質問事項
 一の4 市場当局は、「不透水層直上まで土壌汚染が確認されている区画(約400区画)」と限定して発注仕様書を作成したが、帯水層底面まで土壌汚染されている可能性があると判断される区画は、ベンゼンについてはそれ以外にも300余箇所がある。市場当局は形質変更時要届出区域を確定する申請手続きをするにあたって、追加の調査が必要とされる地点があるという認識はなかったのか、見解を伺う。

回答
 区域の指定にあたっては、指定調査機関が、全ての区画を対象に都が実施した調査の内容を確認し、「土壌汚染状況調査報告書」として取りまとめています。
 都はこの報告書により区域指定の申請を行っており、その後、土壌汚染対策法に基づき、法の所管部署において、汚染区画の区域指定がなされたものです。
 なお、「不透水層直上まで汚染が確認されている区画(約400区画)」は、区域指定された後の土壌汚染対策工事で、掘削深度を確定するための土壌ボーリング調査(底面管理)の区画数を示したものです。

質問事項
 一の5 国の指定調査機関に委託する業務仕様を決めるにあたって、「不透水層直上まで土壌汚染が確認されている区画(約400区画)」と限定したことについて、いつ、どこで、だれが、どのようにして決められたのか。土対法との関係は、どう整理し、どう判断したのか、見解を伺う。

回答
 指定調査機関は、全ての区画を対象に都が実施した調査の内容を確認し、「土壌汚染状況調査報告書」として取りまとめています。
 都はこの報告書により区域指定の申請を行っており、その後、土壌汚染対策法に基づき、法の所管部署において、汚染区画の区域指定がなされたものです。

質問事項
 一の6 市場当局は、土対法を熟知した国の指定調査機関に対して、どのような理由から、「監督員と協議」「監督員の指示」のもとで業務がおこなわれるような仕様書にしたのか、見解を伺う。

回答
 委託業務を進めて行く上で必要な事項として、仕様書に記載したものです。

質問事項
 一の7 国の指定調査機関に対して、法令遵守をチェックできるほど、市場当局は改正土対法を熟知していたことを証明できるものはあるのか、根拠を伺う。

回答
 土壌汚染対策法に基づく手続き等については、法を解説した「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(暫定版)」や土壌汚染対策法の施行通知等に基づき、適切に処理しています。

質問事項
 一の8 仕様書の作成にあたって環境省、東京都環境局、専門家会議、技術会議の専門家などが関与しているのか、伺う。

回答
 仕様書は委託を進める上で必要となる内容を記載したものであり、作成は都が行うものです。

質問事項
 一の9 この発注仕様書の中で、留意事項として、環境確保条例、土対法にもとづく手続きとして、それぞれ別紙を添付して「このフローを十分理解した上で業務をおこなうこと」としている。この留意事項、資料の添付は、環境省、東京都環境局から何らかの指摘によるものか。市場当局として、どのような経過から、別紙を添付するに至ったのか、見解を伺う。

回答
 別紙は、一般的な土壌汚染対策法及び環境確保条例に基づく手続きを示したものです。

質問事項
 一の10 受託した応用地質株式会社との打ち合わせの中で、ベンゼンについては追加で300余箇所が必要とされることについての指摘はなかったのか。必要とされる書類、調査などについて、土対法等の法令を遵守する上で、受託企業との協議は、いつ、どこで、どのように行なわれたのか。それが、土対法等を遵守したものだと、しっかりと裏付けられるものがあるのか、伺う。

回答
 受託した応用地質株式会社は、指定調査機関として、適切に都が実施した調査の内容を確認し、「土壌汚染状況調査報告書」として取りまとめを行ったものと認識しています。

質問事項
 一の11 環境局は土壌汚染状況調査報告書を受け付けるに際して、どのようにするのか。2011年10月19日の決算特別委員会で、土対法にもとづいて汚染の恐れの把握、資料採取をおこなう区画の選定、実施、評価などが「適切に行なわれているかどうか審査している」と答弁しているが、環境局として、適切に行なわれているかどうか審査したことを裏付けるものについて伺う。

回答
 調査対象地の汚染のおそれの把握、試料採取等を行う区画の選定、試料採取等の実施及び調査結果の評価などが適切に行われているかどうかを土壌汚染対策法の規定に従い審査しています。

質問事項
 一の12 昨年8月に市民団体が、2011年8月に市場当局が形質変更時要届出区域を確定するための手続き、その際に提出した応用地質株式会社が作成した土壌汚染状況調査報告書などについて、環境省とのやりとりを繰り返した上で土対法に違反していると指摘している。東京都環境局は、このことについて、どのように受け止めているのか、見解を伺う。

回答
 平成23年8月に中央卸売市場が行った区域の指定の申請に係る手続については、法令に基づき適切に行われています。

質問事項
 一の13 豊洲新市場の土壌汚染調査、汚染区域の指定申請書類の作成は、地主の都知事名で行なわれたが、その申請手続きの受け付け、審査をした審査機関は、その責任者が都知事である。それぞれにおける、法令違反の指摘について、知事はどのように認識しているのか、見解を伺う。

回答
 いずれの手続についても法令に基づき適切に処理しています。

質問事項
 一の14 豊洲新市場については、このままでは、土対法上は、汚染除去の措置をしたとは認められず、形質変更時要届出区域となる。これでは、生鮮食料品を扱う卸売市場用地として不適切であるが、いかがか。中央卸売市場開設の許認可権をもつ、農林水産省とは、どのような協議をし、どのような見解を得ていると認識しているのか、見解を伺う。

回答
 土壌汚染対策法の「形質変更時要届出区域」は、土壌汚染の摂取経路がなく健康被害の生じるおそれがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域です。
 豊洲市場用地では、我が国を代表する学識経験者により科学的知見から、生鮮食料品を取り扱う市場として、食の安全・安心を十分に確保するものとして提言を受けた万全な対策を実施し、市場用地の安全性を確保しています。
 農林水産省には、土壌汚染対策の内容等について、適宜、報告を行っています。

質問事項
 一の15 豊洲新市場の施設計画について、3月15日の委員会の答弁で、6街区の仲卸売場1階では、荷の搬送車両として想定しているのはターレ以外の乗入れはないのか。3階の積込み場では、ターレ、フォークリフトの乗入れは想定しているのか。4階の小口買い出し人積込み場では、ターレ、フォークリフトの乗入れは想定しているのか、見解を伺う。

回答
 水産仲卸売場棟1階の仲卸売場、3階の積込場、4階の小口買出人積込場では、荷の搬送車両としてターレとフォークリフトの乗入れを想定して設計しています。

質問事項
 一の16 1階仲卸売場、3階・4階積込み場について、3月15日の委員会で、「通路には何も物を置くことのない通路部分」があると答弁しているが、何も物を置くことのない通路部分は、それぞれ何平方メートルあるのか、伺う。

回答
 水産仲卸売場棟1階の仲卸売場は、床面積のおよそ4割が通路となっています。
 3階の積込場は、床面積のおよそ半分が通路となっています。
 4階の小口買出人積込場は、床面積のおよそ半分が通路となっています。

質問事項
 一の17 1階仲卸売場について、仲卸売場店舗の広さを当初予定の通路側に1.2メートル延ばしたが、この時に、この部分に置かれる荷物は、具体的に、どのようなものが、どんな重量で、どのように置かれると想定をしたのか。もともとは、この部分は通路で設計されているのではないのか、見解を伺う。

回答
 床の積載荷重については、卸売市場の運営実態を踏まえ、設計事務所の専門家の協力を得て設計しており、通路も含めて仲卸売場の床として設計しています。

質問事項
 一の18 3月15日の委員会で、「通路には何も物を置くことのない通路部分」があると答弁しているが、この仲卸売場店舗部分を通路側に1.2メートル延ばした部分には、荷を置くことは想定されて、実施設計されているのか、見解を伺う。

回答
 床の積載荷重については、卸売市場の運営実態を踏まえ、設計事務所の専門家の協力を得て設計しており、通路も含めて仲卸売場の床として設計しています。

質問事項
 一の19 3月15日の委員会で、フォークリフトに乗せる荷について「パレットによる搬送として60センチ程度の箱で、1個あたり15キログラム」「全体で300キログラム/平米」と答弁しているが、これ以上の荷を積んだフォークリフトが各売場を走行する場合は、どのような問題が生じると認識しているのか。1階仲卸売場、3階積込み場、4階の小口買い出し人積込み場、4階の荷捌きスペース、それぞれについて見解を伺う。

回答
 水産仲卸売場棟の設計に当たっては、築地市場において1.1メートル四方のパレットを使用した荷の移動が多い実態を踏まえ、フォークリフトで運ぶ荷の重さを約1トン強と想定しており、1階の仲卸売場、3階の積込場、4階の小口買出人積込場、4階の荷捌きスペースについて、荷を積んだフォークリフトが乗り入れても、いずれも問題は生じません。

質問事項
 一の20 3月15日の委員会では、仲卸売場でのフォークリフトの総重量については、積載荷重について「約1トン強を積載していると想定」と答弁している。仮に、この場合のフォークリフトの総重量は4トンから5トンになるが、こうしたフォークリフトは、どこを通ることを想定しているのか、具体的に見解を伺う。

回答
 水産仲卸売場は、フォークリフトが物流通路に乗り入れることも想定して設計しています。

質問事項
 一の21 ターレ、フォークリフト、トラック等の車両については、3月15日の委員会で「急激な荷重の変動を生じさせるような高速移動」を想定していないとの答弁があった。しかし、実際の築地市場を見てもわかるように、これらの車両と人がひっきりなしに移動する各売場では、急激な減速、加速は日常茶飯事ではないか。各車両について築地市場のような乗り方を各売場でおこなった場合には、どのような問題が生じると認識しているのか。それぞれの売場ごとに見解を伺う。

回答
 売場については、通常の市場業務に支障のない強度を備えた建物として設計しており、ターレ等の小型搬送車両の乗入れについても、各売場とも構造上の問題は生じません。

質問事項
 一の22 そもそも、卸売市場の売場で利用車両の「急激な荷重の変動を生じさせるような高速移動」を想定しないということが成り立つという市場当局の根拠について伺う。また、各車両について、そうした乗り方を前提としていることを、市場当局はいつ、どのように各業者・業界に案内をしたのか。各業者・業界が了解している根拠について、それぞれ、具体的に伺う。

回答
 床の積載荷重については、卸売市場の運営実態を踏まえ、都が開設者として設計事務所の専門家の協力を得て設計しました。

平成28年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
一 子ども・子育て支援について
二 高齢者施策について

一 子ども・子育て支援について
1 保育園の待機児童について大きな問題になっていますが、学童クラブについても待機児童の問題が深刻になっています。経済状況から共働きの世帯が増えるなどさまざまな要因があり、子どもの放課後の安全・安心を求め学童への入所希望が増えているとも言われています。「小1の壁」と言われ、3月末まで保育園に預けていたのが、4月になると突然、預けるところがなくなってしまうとの不安を解消することが必要です。国も2014年7月に文部科学省と厚生労働省が連携して「放課後子ども総合プラン」を策定し児童が放課後等を安全・安心に過ごすことができる居場所の整備を進めています。近年、学童クラブへの入所の希望が増え、入所できない方も増えている傾向にあるといいます。まず、都内市区町村における、最近5年間の学童クラブの登録児童数と待機児童数の推移について伺います。
2 国のプランでは2019年度末までに放課後児童クラブを新たに約30万人分整備するとしています。都も東京都長期ビジョンにおいて学童クラブ登録児童数を2014年5月の89,327人から2019年度末までに1万2千人増加させるとの目標を設定しました。都は、早急に待機児童の解消を図る必要があると考えます。目標達成に向けた取り組みについて伺います。また、現時点で待機児童がいるのであれば計画を前倒しにして取り組む必要があると考えますが、あわせて見解を伺います。
3 以前にも増して学童クラブへの要望が強まっているのは、犯罪や交通事故などに子どもたちが巻き込まれることへの不安があるとも言われています。かつては、学校から離れた場所にあったものが、近年では校内に設置されることも増え、国の総合プランでも小学校の余裕教室等の活用が望ましいとされるに至っています。安全面からも予算面からも待機児童解消のために新たに学童クラブの設置を進めるためには学校の活用がなければ実現しません。国の総合プランでは都道府県に教育委員会と福祉部局が構成する推進委員会を設置して促進するよう定められていますが、都はどのような推進体制で取り組んでいるのか伺います。福祉保健局からも教育委員会に積極的にはたらきかけ、学童クラブの設置が円滑に進むようにすべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
4 放課後の子どもの居場所については障がいのある児童については、より深刻とも言われています。障がい児の学童クラブの入所状況について伺います。今後、障がい児の学童クラブへの入所希望も増えると思われますが対応策についてもあわせて伺います。

二 高齢者施策について
1 介護福祉従事者の賃金が低く、介護分野の人手不足は深刻さを増し、サービスの休止や事業所の廃止に追い込まれる事例も出てきています。私は、2015年9月の都議会一般質問で介護人材介護職員の処遇改善について質問しましたが、超高齢社会に向けて介護人材の確保は重要な問題のため何点か質問します。
介護事業者が介護職員処遇改善加算を受けるには介護職員処遇改善計画書の提出が必要になります。行政から事業者に加算する場合に、それが実際に働く人に支払われることが重要です。事業者から提出された計画書が確実に履行されるよう、都は監督することが必要ですが、取り組みを伺います。
2 介護人材不足の問題は、賃金だけではなく、長時間残業、夜勤、有給休暇の取得が困難であったりと、待遇全般に及ぶとも言われています。残業の適切な管理や正当な残業手当の支給などが当然ながら守られなければなりません。賃金だけではなく、仕事がきついことも人材不足の原因でありますが、労働環境の改善に向けて都は事業者にどのような指導をしているのか伺います。また、介護現場で働く人の声を行政が受け止め、政策に反映される仕組みが必要だと考えますがあわせて見解を伺います。
3 介護人材不足の深刻さが続くと、介護従事者へのさらなる経済的支援が必要となります。都は、2016年度予算において「介護職員宿舎借り上げ支援事業」として1億9,800万円を計上しています。介護者の待遇改善に資するものとして評価します。この事業は空き家の利活用をするとのことですが、具体的にはどのように進めていくのか、また、この事業により何人の介護従事者の確保を目指しているのか伺います。
さらに、介護職員の保険料や税の減免等の特例措置や、介護について学ぶ学生についての奨学金の利子の支給などさまざまな支援策も考えられます。介護従事者の確保のため、こうした施策などの経済的支援への対応について見解を伺います。
4 次に、深刻な問題になっている認知症について伺います。都は、長期ビジョンにおいて2025年度末において認知症高齢者グループホームを2万人分整備するとしています。現在、都内におけるグループホームの定員、そして、2025年度に目標数を整備した場合に入所待機の状況をどのように予測しているのか伺います。
5 高齢者施設の申し込みは保育園と違い、必ずしも行政を通すものだけではないので重複の申し込みや申請中に亡くなる場合もあるなど、実数の把握が難しいとされます。そのことは、一方では施設に空きがあり、一方では施設を探している人がいるというように、ミスマッチがおきていないともいえず、資源の有効活用という点ではうまくマッチングすることが必要です。認知症グループホームは規模も小さく長期入所の方も多いので随時募集しているわけでもなく、また、特別養護老人ホームに比べると一般への認知度も高いとは言えません。入所を希望する方が利用者の状況に合う施設を見つけるため、同時に、施設がより有効に活用されるような取り組みや仕組みが必要と考えますが見解を伺います。
6 一昨年8月に目黒区にある東京都若年性認知症総合支援センターを訪問しました。18歳から64歳までに発症する認知症性疾患の方は全国で4万人、そのうち都では4千人と推計しています。高齢者の認知症も深刻ですが、定年退職前の年代で認知症になると収入が途絶え経済的問題も深刻です。また、精神的な衝撃も大きいとも言われています。都は2012年からセンターを開設、若年性認知症支援コーディネーターが電話や来所により相談に対応しています。若年性の認知症の問題は深刻になりつつありますが、市区町村の地域包括支援センターでは、そもそも多くの案件を対応しており余裕がないだけではなく、高齢者に比べれば若年性認知症の方は人数が少ないため専門的な対応が十分できないとも言われています。そこで、東京都若年性認知症総合支援センターは市区町村とどのように連携して対応していくのか伺います。また、2016年度予算では多摩地域に2箇所目となる拠点を設置するとのことですが、その内容を伺います。

平成28年第一回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 子ども・子育て支援について
  1 都内市区町村における、最近5年間の学童クラブの登録児童数と待機児童数の推移について伺う。

回答
 放課後の子供の居場所は、保護者が労働等により昼間家庭にいない子供を対象とした学童クラブと、全ての子供を対象とした放課後子供教室等があります。
 区市町村における学童クラブの運営形態は、放課後子供教室と一体的に又は連携して実施するなど、多様です。
 最近5年間の学童クラブの登録児童数と登録できなかった児童数は次のとおりです。
 平成23年の登録児童数は84,627人、登録できなかった児童数は1,511人、平成24年の登録児童数は84,992人、登録できなかった児童数は1,404人、平成25年の登録児童数は86,835人、登録できなかった児童数は1,753人、平成26年の登録児童数は89,327人、登録できなかった児童数は1,717人、平成27年の登録児童数は98,216人、登録できなかった児童数は3,140人です(いずれも5月1日時点)。

質問事項
 一の2 都も東京都長期ビジョンにおいて学童クラブ登録児童数を2014 年5月の89,327人から2019年度末までに1万2千人増加させるとの目標を設定した。都は、早急に待機児童の解消を図る必要があるが、目標達成に向けた取組について伺う。また、現時点で待機児童がいるのであれば計画を前倒しにして取り組む必要があるが、あわせて見解を伺う。

回答
 東京都長期ビジョンでは、学童クラブの登録児童数を5年間で12,000人増やすことを目標に掲げており、平成26年から平成27年の1年間で、登録児童数は8,889人増加しています。
 平成28年度は、学童クラブを設置する際に必要な土地の借料や受入児童数を増やすための移転費用の支援を開始しており、今後とも、学童クラブの整備に取り組む区市町村を支援していきます。

質問事項
 一の3 待機児童解消のために新たに学童クラブの設置を進めるためには学校の活用がなければ実現しない。国の総合プランでは都道府県に教育委員会と福祉部局が構成する推進委員会を設置して促進するよう定められているが、都はどのような推進体制で取り組んでいるのか伺う。福祉保健局からも教育委員会に積極的にはたらきかけ、学童クラブの設置が円滑に進むようにすべきだが、あわせて見解を伺う。

回答
 都は、「放課後子ども総合プラン」に基づき、都内における放課後対策の総合的な在り方を検討するため、「東京都放課後子供総合プラン推進委員会」を設置しています。
 同委員会は、教育庁、福祉保健局、学童クラブや放課後子供教室の関係者で構成されており、学童クラブと放課後子供教室の円滑な連携等について協議しています。

質問事項
 一の4 障がい児の学童クラブの入所状況について伺う。今後、障がい児の学童クラブへの入所希望も増えると思うが、対応策についてあわせて伺う。

回答
 障害児の学童クラブの登録児童数は、平成27年5月1日現在3,374人、登録できなかった児童数は50人です。
 都は、学童クラブにおいて、障害を持った児童の受入れを促進していくために、必要な施設の改修や設備の整備、備品の購入等を支援するほか、専門的知識等を有する職員の配置に要する経費を支援しています。
 また、障害児の受入人数にかかわらず1名に限られていた専門的知識を有する職員の配置を、平成27年度から、5人以上の障害児を受け入れる場合には、更に職員を1名追加して配置できるよう支援しています。

質問事項
 二 高齢者施策について
  1 介護事業者が介護職員処遇改善加算を受けるには介護職員処遇改善計画書の提出が必要になる。行政から事業者に加算する場合に、それが実際に働く人に支払われることが重要であり、事業者から提出された計画書が確実に履行されるよう、都は監督することが必要だが、取組を伺う。

回答
 介護職員処遇改善加算を取得する事業者は、事業年度ごとに処遇改善に関する実績を都へ報告することが義務付けられています。
 都は、事業者から提出された実績報告書により、事業者が実施した賃金改善の総額が受領した当該加算の総額を上回っていることや、賃金改善の方法などについて確認しています。

質問事項
 二の2 介護人材不足の問題は、賃金だけではなく、仕事がきついことも人材不足の原因だが、労働環境の改善に向けて都は事業者にどのような指導をしているのか伺う。また、介護現場で働く人の声を行政が受け止め、政策に反映される仕組みが必要だが、あわせて見解を伺う。

回答
 都は、指定居宅サービス事業所等を新たに開設する事業者や指定の更新時期を迎える事業者を対象とした研修会の中で、遵守すべき労働関係法令について理解を深める機会を設けるとともに、事業者への指導検査において、就業規則等について労働基準監督署へ必要な届出がされているか等の確認を行っています。
 また、都は、東京都高齢者保健福祉計画等の進行管理などを行うため、学識経験者や介護支援専門員、介護サービスの関係団体が参画する東京都高齢者保健福祉施策推進委員会を設置しています。高齢者施策の立案・実施に当たっては、この委員会の意見も踏まえながら進めています。

質問事項
 二の3 都は、2016年度予算において「介護職員宿舎借り上げ支援事業」として1億9,800万円を計上しており、この事業は空き家の利活用をするとのことだが、具体的にはどのように進めていくのか、また、この事業により何人の介護従事者の確保を目指しているのか伺う。さらに、介護職員の保険料や税の減免等の特例措置や、介護について学ぶ学生についての奨学金の利子の支給などさまざまな支援策も考えられるが、こうした施策などの経済的支援への対応について見解を伺う。

回答
 介護職員宿舎借り上げ支援事業は、住宅費負担の軽減等による働きやすい職場環境の確保と、災害時における福祉避難所の運営体制の強化を目的としています。
 この事業では、福祉避難所の指定を受けた施設等の運営事業者が施設周辺で空き家等を職員宿舎として借り上げる場合に支援することとしており、平成28年度予算では、212戸分を計上しています。
 また、介護職員を確保するため、介護福祉士等の資格取得を目指す養成施設の学生を対象に修学資金を貸与しており、資格取得後、都内の指定施設等で介護業務等に5年間継続して従事した場合には返還を免除しています。

質問事項
 二の4 都は、長期ビジョンにおいて2025年度末において認知症高齢者グループホームを2万人分整備するとしているが、都内におけるグループホームの定員、そして、2025年度に目標数を整備した場合に入所待機の状況をどのように予測しているのか伺う。

回答
 都内の認知症高齢者グループホームの定員は、平成28年4月1日現在、9,896人です。
 平成37年度末までの整備目標は、保険者である区市町村が地域のニーズを踏まえて算定したサービス見込量に基づき設定しています。

質問事項
 二の5 認知症グループホームは規模も小さく長期入所の方も多いので随時募集しているわけでもなく、また、特別養護老人ホームに比べると一般への認知度も高いとは言えない。入所を希望する方が利用者の状況に合う施設を見つけるため、同時に、施設がより有効に活用されるような取組や仕組みが必要だが見解を伺う。

回答
 認知症高齢者グループホームは、原則として入居者が施設所在地の区市町村の住民に限定される地域密着型サービスであり、その利用に関する相談等は、区市町村において対応しています。

質問事項
 二の6 若年性の認知症の問題は深刻になりつつあるが、市区町村の地域包括支援センターでは、そもそも多くの案件を対応しており余裕がないだけではなく、高齢者に比べれば若年性認知症の方は人数が少ないため専門的な対応が十分できないとも言われている。そこで、東京都若年性認知症総合支援センターは市区町村とどのように連携して対応していくのか伺う。また、2016年度予算では多摩地域に2箇所目となる拠点を設置するとのことだが、その内容を伺う。

回答
 若年性認知症総合支援センターでは、地域包括支援センターをはじめとする地域の関係機関と連携しながら、医療や介護、就労の継続などの相談内容に応じたきめ細かい支援を実施しています。
 平成28年5月には、センターのこれまでの相談・支援事例を分析してノウハウを取りまとめた相談対応マニュアルを作成し、区市町村に提供しました。
 また、平成28年度多摩地域に新たに設置するセンターにおいても、これまでのセンターと同様の支援を行うこととしており、今後、公募等の手続を経て、運営事業者を決定する予定です。

平成28年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 小竹ひろ子

質問事項
一 都有施設等の都市ガス経年管の耐震化について

一 都有施設等の都市ガス経年管の耐震化について
昨年4月に開催された、経済産業省の産業構造審議会保安分科会、ガス安全小委員会(第10回)では、2013年度(平成25年度)導管改修(経年管対策)実施状況について報告され、経年管の改修促進について議論が行われました。
1980年頃までに埋設されたガス管には、亜鉛メッキ鋼管(通称白ガス管、以下白ガス管)が使用されていました。白ガス管は土の種類や水分等の埋設環境により異なりますが、長い時間土の中に埋設されていると腐食することがあり、進行すればガス漏れの危険が生じます。
首都直下型地震の接近が指摘される下で、安全で安心な町を作るために、危険物の除去は欠かせません。腐食した白ガス管を取り除くことは、生命を守る上でも重要な問題です。
川崎市では、2013年9月に耐火構造4階建のマンションで、劣化した白ガス管から都市ガスが漏れ、3階に滞留・爆発し死傷者が出ています。発火源の特定は出来なかったものの、腐食した要因は、腐食促進イオンを含む水が砲金コックと白ガス管のネジ接合部分に滞留したことによって、腐食が進行したものとされ、特異な腐食であると、川崎市中原消防署は推察されるとしています。
しかし特異なものとはいえ、土の中に埋設されたものだけでなく、コンクリート建物内でも腐食が起こりうることが、川崎の事故は示しています。
ガス安全高度化計画では、2015年までに対策完了を目指していました。
ガス管には、本支管・供給管、灯外内管に分けられ、前二者はガス事業者の責任で改修を進めており、灯外内管については私有財産ということで、持主の責任で改修することから改修が進まず、2003年には、約38万本の白ガス管等が残っていました。国の周知活動やガス事業者等の働きかけにより、灯外内管の改修が進み、2013年度末には、8万9千本の残存状況になったと報告されています。
ガス安全高度化計画では公的機関の施設については、2020年度に向けて可能な限り灯外内管の改修完了に努めるとしています。
そして、2013年度末の公的施設別の残存量、8,300本の都道府県別リストが発表されました。
1 東京都は49の白ガス管が残っているとされており、その内訳として学校16、病院6、庁舎・公民館等2、警察・消防署5、その他17などになっていますが、それぞれの所管する局に伺います。該当する都有施設はどこどこか、そして改修されたもの、今後の改修計画について伺います。
2 経済産業省は文部科学省と共同で、公立学校施設における「埋設ガス管等の耐震化の推進について(依頼)」を、2014年10月と2015年12月に出しています。これに対し都教育委員会は、どのように認識しどのような対応でのぞみ改修のための対策を、どのように立てているのですか。
3 小中学校及び高等学校・特別支援学校の児童・生徒の生命に関わる問題であり、早急な対応を求められます。
小中学校について災害時の避難場所になることなどからも区市町村まかせにせず、都として積極的に改修のための支援をすべきですが、どうですか。
4 文部科学省は私立学校施設に対しても、埋設管等の耐震化の推進についての通知を出しています。この通知を受けて都はどう認識し、実態をどこまでつかみ、対策を立てているのか、伺います。
5 生徒の生命にかかわる問題です。国の改修補助金は2015年度末になっており、工事費の1/4補助になっています。都の私学助成設備改修の補助対象に入れて、早期に改修をはかるよう働きかけるべきと考えますが、どうですか。
6 経済産業省は、民間の病院に対し、また児童福祉施設に対し厚生労働省とともに、文科省と同様の通知を出しています。都としてどう認識し、対象の施設の調査と対策が、どのようになっているのか、それぞれ伺います。
7 公立の病院・児童福祉施設だけでなく、民間の病院・児童福祉施設もあり、病院は平常時のみならず、特に災害の時には治療の拠点になる施設であり、その機能を発揮するためには、白ガス管の改修及び施設の耐震化は欠かせません。民間病院や児童福祉施設の白ガス管改修のための財政支援を求めますが、どうですか。
8 経済産業省は、民間マンションに対しても埋設ガス管の耐震化推進について、通知が出されています。そのことに対する認識とともに、実態をどこまで把握しているのですか、また、改修を促進するための対策は、どうなっているのですか。
9 都営住宅は1970年代以前のものもあり、建物内の点検とともに埋設管を改修することが、必要だと思いますが、どうですか。
国の「マンションにおける埋設ガス管等の耐震化の推移について」の通知には、「マンションの敷地内に埋設されている30年程度経過した古いガス管は、鋼製のものが大部分を占めており、年数の経過や土壌環境等に伴い腐食が進行していると推測しています。このような腐食したガス管が強い地震を受けた場合、継手部分『ネジ継手』が緩んだり、その他の腐食した部分が折れたりして火災や爆発が生じる恐れがあります」とあります。
多数の人が住むマンションのガス管の改修は緊急の課題です。
10 民間マンションの埋設管に対する、経済産業省の「ガス導管劣化検査等支援事業」の助成は、2015年度末までとなっています。都として民間マンションの白ガス管改修助成及び耐震化の支援を行い、改修を促進すべきと考えますが、どうですか。
11 総務省や警察庁からも、同様の通知が出されています。総務省は自治体の庁舎や消防署、公立大学等へ、警察庁からは警察署や派出所へ改修を求めています。通知をどう認識し対策をどう立てているのですか、それぞれの所管局に伺います。
経済産業省では、民間施設についても引続いて、関係省庁や関係機関・ガス事業者と協働して、地域別の残存量を公表し改善を求めていくとしています。中央防災会議の被害想定には、高層ビルや地下街等、超過密都市東京、独特の状況と共にライフライン等についても想定は明らかになっていません。
都市ガスはマイコンメーターが供給を遮断すると言われていますが、ガス管内に残っているガス漏れの原因の一つに白ガス管はなります。昨年都民に配布された「東京防災」にも全く触れられていません。
事故を未然に防止するためにも、白ガス管の改修は欠かせません。
都として、東京ガス等事業者に都内の白ガス管の残存量を確認し、民間施設の白ガス管改修のための支援策をとること、都として所管する担当部署を設けることを求めておきます。

平成28年第一回都議会定例会
小竹ひろ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 都有施設等の都市ガス経年管の耐震化について
  1 東京都は49の白ガス管が残っているとされており、その内訳として学校16、病院6、庁舎・公民館等2、警察・消防署5、その他17などとなっているが、それぞれの所管する局に伺う。該当する都有施設はどこか、また、改修されたもの、今後の改修計画について伺う。

回答(病院経営本部)
 平成28年3月末時点では、都立・公社共に病院施設に該当はありません。
 なお、その他施設として都立駒込病院看護職務住宅に1本のみ残存していることを確認しています。
 当該施設については、既に用途廃止を決定し、居住者の移転が完了次第、白ガス管の使用を停止します。

回答(港湾局)
 港湾局が所管する東京港建設事務所の敷地内に、白ガス管が残存しています。
 この白ガス管については、当該事務所の庁舎補修工事に併せ、平成28年度中に処理する予定です。

回答(水道局)
 水道局における該当施設は、金町公舎、亀戸給水所管理棟及び深大寺浄水所管理棟の3施設です。
 これらの施設については、既に白ガス管の使用を停止し、又は改修に着手しています。

回答(教育庁)
 学校16校のうち、都有施設は青梅総合高等学校1校であり、他は区市町村立の学校となっています。
 青梅総合高等学校については、平成27年度に改修を実施済みです。

回答(警視庁)
 警視庁における該当施設は、築地警察署中央市場交番、中央警察署八重洲通り交番、愛宕警察署東新橋交番、蔵前警察署浅草橋地域安全センター及び目白警察署長崎地域安全センターの5施設であり、いずれも平成28年度中に改修する予定です。

質問事項
 一の2 経済産業省は文部科学省と共同で、公立学校施設における「埋設ガス管等の耐震化の推進について(依頼)」を、2014年10月と2015年12月に出している。これに対し都教育委員会は、どのように認識しどのような対応でのぞみ改修のための対策を、どのように立てているのか、見解を伺う。

回答
 都教育委員会では、都立学校における対策を既に完了しています。
 区市町村立小・中学校の施設整備については、設置者である区市町村の権限と責任において実施されるものです。
 都教育委員会では、文部科学省と経済産業省の通知を受け、区市町村教育委員会に対し、埋設ガス管の耐震化を計画的に行うよう通知しています。

質問事項
 一の3 小中学校について災害時の避難場所になることなどからも区市町村まかせにせず、都として積極的に改修のための支援をすべきだが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会では、区市町村立小・中学校の埋設ガス管の改修について、平成25年度から開始した、都独自の非構造部材耐震化支援事業の補助対象としています。

質問事項
 一の4 文部科学省は私立学校施設に対しても、埋設管等の耐震化の推進についての通知を出している。この通知を受けて都はどう認識し、実態をどこまでつかみ、対策を立てているのか、伺う。

回答
 地震等の災害から児童生徒の安全を守るためには、私立学校の設置者である学校法人が、学校施設の安全を確保することが基本となります。
 建物敷地内の埋設ガス管については、ガス事業者が、私立学校を含む各敷地の所有者に対して、交換が必要な場合には、個別に対応を求めています。
 都は、文部科学省及び経済産業省の連名の通知を受けて、平成27年3月25日付けで、経済産業省の「ガス導管劣化検査等支援事業」の活用等、埋設ガス管等の耐震化の推進について、都内全ての私立学校に周知を行っています。

質問事項
 一の5 国の改修補助金は2015年度末になっており、工事費の1/4補助になっている。都の私学助成設備改修の補助対象に入れて、早期に改修をはかるよう働きかけるべきだが、見解を伺う。

回答
 私立学校敷地内の埋設ガス管の耐震化については、私立学校の設置者である学校法人が、対応することが基本と考えます。

質問事項
 一の6 経済産業省は、民間の病院に対し、また児童福祉施設に対し厚生労働省とともに、文科省と同様の通知を出しているが、都としてどう認識し、対象の施設の調査と対策が、どのようになっているのか、それぞれ伺う。

回答
 埋設ガス管の耐震化に関して、民間病院については、平成26年2月に、経済産業省から日本医師会ほか関係団体に「民間医療施設における埋設ガス管等の耐震化の推進について」が通知されており、日本医師会から東京都医師会を通じて地区医師会宛て周知されています。
 また、児童福祉施設等については、平成27年2月及び平成28年3月に、厚生労働省、経済産業省の連名で、「児童福祉施設等における埋設ガス管等の耐震化の推進について」が通知されており、都は、区市町村や児童養護施設等に周知を図っています。
 埋設ガス管の改修等は、民間事業者や区市町村等の施設設置者が行うものであり、耐震化のために改修が必要なガス管については、ガス事業者が把握し、個別に施設設置者に連絡を行っています。

質問事項
 一の7 公立の病院・児童福祉施設だけでなく、民間の病院・児童福祉施設もあり、病院は平常時のみならず、特に災害の時には治療の拠点になる施設であり、その機能を発揮するためには、白ガス管の改修及び施設の耐震化は欠かせない。民間病院や児童福祉施設の白ガス管改修のための財政支援を求めるが、見解を伺う。

回答
 耐震化が必要な埋設ガス管の改修については、民間病院が、病棟部門の新築建替工事と一体的に行う場合、補助の対象となります。
 また、児童福祉施設においては、新築建替や大規模改修等と一体的に行う場合に、補助の対象となります。

質問事項
 一の8 経済産業省は、民間マンションに対しても埋設ガス管の耐震化推進について、通知が出されているが、そのことに対する認識とともに、実態をどこまで把握しているのか、また、改修を促進するための対策は、どうなっているのか、見解を伺う。

回答
 平成27年3月に、経済産業省から公益財団法人マンション管理センター宛てに、「マンションにおける埋設ガス管等の耐震化の推進について(依頼)」が出されており、同センターは、依頼を踏まえた記事を機関誌に掲載し、耐震化の必要性や補助事業を周知しています。
 加えて、改修が必要な埋設ガス管については、ガス事業者が、個別にマンション管理組合等に連絡しています。
 また、経済産業省の資料によると、「一般集合住宅(うち鉄筋系建物)」の区分において、経年管の残存件数は、平成26年度末で、全国に約21,000件あるとされています。

質問事項
 一の9 都営住宅は1970年代以前のものもあり、建物内の点検とともに埋設管を改修することが必要だが、見解を伺う。

回答
 都営住宅の埋設白ガス管については、全て耐食性、耐震性に優れたポリエチレン管などに改修済みです。
 また、都営住宅を含め建物内については、ガス事業法等に基づいて、ガス事業者がガス配管の漏えい検査などの点検を定期的に行い、必要に応じて適切な措置を講ずることとなっています。

質問事項
 一の10 民間マンションの埋設管に対する、経済産業省の「ガス導管劣化検査等支援事業」の助成は、2015年度末までとなっている。都として民間マンションの白ガス管改修助成及び耐震化の支援を行い、改修を促進すべきだが、見解を伺う。

回答
 マンションは私有財産であり、その維持管理は、管理組合が自らの責任と努力とで取り組むことが基本です。
 なお、都は、住宅金融支援機構の融資を受けて、マンションの共用部分を計画的に改良・修繕する管理組合に対し、1パーセント低利になるように利子補給する「マンション改良工事助成制度」を設けています。

質問事項
 一の11 総務省や警察庁からも、同様の通知が出されており、総務省は自治体の庁舎や消防署、公立大学等へ、警察庁からは警察署や派出所へ改修を求めているが、通知をどう認識し対策をどう立てているのか、それぞれの所管局に見解を伺う。

回答(総務局)
 公立大学法人首都大学東京が管理している施設の土中には、白ガス管は埋設されていません。また、公立大学に対し改修を求める国からの通知文書は、該当の大学にのみ送付されており、公立大学法人首都大学東京は収受していません。

回答(警視庁)
 警視庁では、通知の趣旨に則り、ガス事業者と協議を行い、改修計画を策定しています。

平成28年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 今村るか

質問事項
一 アイヌ民族とアイヌ文化について

一 アイヌ民族とアイヌ文化について
わが国では「北海道旧土人保護法」が1997年「アイヌ文化振興法」成立をもって廃止された。
法の趣旨をふまえ、アイヌ語やアイヌ文化・芸能などの取り組みが行われるようになったが限定的である。
その後2008年国会で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択された。
2020年オリンピック・パラリンピック東京大会を開催する都市として、自国の文化や民族などを尊重し共生する姿勢を世界に発信することは重要である。
そこで以下について都の取り組みを伺う。
1 東京都はアイヌの方々を先住民族として認識しているのか伺う。
2 首都圏に一万人以上、アイヌの方々が生活されているとも言われるが、東京都に生活している方々の調査はどう行い、把握しているのか、その人数についても併せて伺う。
3 アイヌの方々に対する都の人権擁護の取り組みを伺う。
4 公立小中学校及び都立高等学校における人権教育や多様な文化の理解など、アイヌにかかわる取り組みを伺う。
5 都は広域自治体として、市区町村の取り組みを促すことが求められる。取り組みを伺う。
6 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会開催に向け、アイヌ民族、アイヌ文化はどのように関わることとなるのか伺う。
7 「文化プログラム」などにおいてアイヌ民族、アイヌ文化はどのように関わりあうのか、どのような検討がなされるのか伺う。

平成28年第一回都議会定例会
今村るか議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 アイヌ民族とアイヌ文化について
  1 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会を開催する都市として、自国の文化や民族などを尊重し共生する姿勢を世界に発信することは重要である。東京都はアイヌの方々を先住民族として認識しているのか、見解を伺う。

回答
 国は現在、アイヌの人々が日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族であるとの認識の下に、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重され、地位の向上が図られる社会の実現を目指し、アイヌ文化の振興やアイヌの伝統等の知識の普及・啓発、アイヌの人々の生活の向上を図るための施策を推進しています。
 都としても、こうした国の認識の下、「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」及び「東京都人権施策推進指針」に基づき、先住民族であるアイヌの人々の歴史や文化について、広く都民の皆様の理解と認識が深められるよう、普及啓発に努めています。

質問事項
 一の2 首都圏に1万人以上、アイヌの方々が生活されているとも言われるが、東京都に生活している方々の調査はどう行い、把握しているのか、その人数についても併せて伺う。

回答
 都は、昭和49年度及び昭和63年度に「東京在住ウタリ実態調査」を実施しました。当調査では、個人的な知り合いをたどりながら対象者を把握するいわゆる機縁法を採用しました。昭和63年度の調査によると、アイヌの人々は都内に2,700人在住していると推定されています。

質問事項
 一の3 アイヌの方々に対する都の人権擁護の取組を伺う。

回答
 都は、「東京都人権施策推進指針」に基づき、アイヌの人々について広く都民の皆様の理解と認識を深めるとともに、偏見や差別の解消を目指して、啓発冊子やリーフレットの発行、各種イベントにおけるアイヌ民族舞踊の紹介など、アイヌの歴史や文化の啓発に努め、相談等も行っています。

質問事項
 一の4 公立小中学校及び都立高等学校における人権教育や多様な文化の理解など、アイヌにかかわる取組を伺う。

回答
 都教育委員会は、「東京都人権施策推進指針」等に基づき、様々な人権課題に関わる偏見や差別をなくすため、人権教育を推進しています。
 学校では、小学校や中学校の社会科、高等学校の日本史等において、アイヌの人々が北海道等で古くから生活している先住民族であり、独自の文化を持っていることなど、アイヌの人々に対する正しい理解と認識を深めることができるよう指導を行っています。
 特に、人権尊重教育推進校の中には、児童・生徒がアイヌ文化等について体験的に学ぶことができるよう、アイヌ文化交流センター等と連携した取組を行っている学校もあります。
 都教育委員会は、こうした取組を人権教育の実践的な手引である「人権教育プログラム」に掲載し、都内公立学校の全教員に配布しています。
 また、教員を対象として、アイヌの人々の歴史や文化などに関する理解を深めるための人権教育の研修会を行っています。
 これらの取組により、学校における指導の一層の充実を図っています。

質問事項
 一の5 都は広域自治体として、市区町村の取組を促すことが求められるが、その取組を伺う。

回答
 アイヌの人々の歴史や文化、言語や生活様式等について、広く都民の皆様の理解と認識が深められるよう、都は、啓発冊子やリーフレットを作成し、市区町村へ提供しています。

質問事項
 一の6 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会開催に向け、アイヌ民族、アイヌ文化はどのように関わることとなるのか、見解を伺う。

回答
 組織委員会は、大会ビジョンの3つの基本コンセプトの一つとして「多様性と調和」を掲げ、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的及びその他の考え方、国籍、社会的起源、資産、家系、障害の有無など、あらゆる面で異なる人類が、これらの違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことが、オリンピック・パラリンピックの精神であるとうたっています。
 こうした認識を踏まえ、都は、大会開催に向けて、国籍、文化の違いなどに関わらず、アイヌの人々を含む、あらゆる人々がお互いの人権を尊重しあい、ともに力を合わせて生活する共生社会の実現に向けて取り組んでいきます。

質問事項
 一の7 「文化プログラム」などにおいてアイヌ民族、アイヌ文化はどのように関わりあうのか、どのような検討がなされるのか、見解を伺う。

回答
 文化プログラムの展開は、各地で古くから培われてきた地域性豊かな芸術文化を発信していくための、良い機会となります。
 平成27年10月、文化プログラムを先導するリーディングプロジェクトとして実施した東京キャラバンでは、アイヌ舞踊と東北の伝統芸能である獅子踊りや琉球舞踊が共演するなど、芸術文化の多様性を表現しました。
 今後とも、文化プログラムを通じて、東京・日本の芸術文化の魅力を伝えていきます。

平成28年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 畔上三和子

質問事項
一 特別支援学校の体育・スポーツ振興について

一 特別支援学校の体育・スポーツ振興について
障害者スポーツ振興の上で、12000人もの生徒が学ぶ特別支援学校での障害者スポーツのより一層の強化が求められています。
1 長期ビジョンでは、特別支援学校を重視し、スポーツ教育・部活の充実、地域の障害者スポーツの拠点とすることを打ち出しています。大切な提案と思いますが、そのために具体的にどのように取り組むのですか。
2 拠点校だけでなく、特別支援学校のすべての子ども達の体育・スポーツ教育推進に努めていただくために力を入れていただきたいと思います。とりわけ特別支援学校は、現在、複数の障害種が併置される学校が増えていますが、体育館やプールは1つしかないため、廊下で体操をやらざるをえない学校もあります。プールも加温設備があれば、気温や水温等の条件を整えやすく、入る日数を増やすことができますが、加温設備のある学校は、特別支援学校56校中3校しかありません。
年に、2回から3回しか入れなかったなどプールの使用回数が少ないのが現状だと聞いています。特別支援学校の体育・スポーツ施設の現状をどう認識していますか。
たとえば、江東特支のプールです。江東特別支援学校は、1979年に校舎ができたようですが、その当時の高校生は24人、今は142人です。来年度から高等部単独の学校となりますが、現状ではプールの広さは10メートルm×15メートル、水深は、82センチメートルから132センチメートルと浅く、高等部の生徒には適切ではありません。
またプールの屋根は開閉式ですが、すでにさび付いていて危険で天井窓は開けられない、ボルトが落ちたこともある、だから暑い夏、壁の小窓をあけるしかないという、そもそも改修が必要な状態です。
生徒が増え、高等部単独校になることを契機に、もちろん、トイレや教室などの改修も当然必要ですが、プールも高等部仕様に改修すべきです。
3 江東特別支援学校が高等部の単独校になりますが、どのような改修を行うのですか。
学校の体育・スポーツ備品の拡充整備も重要です。
例えばボッチャも学校でやろうと思ったら10万円から20万円の備品購入費が必要だといわれています。トランポリン等の備品更新なども大変だと伺っています。
4 障害者スポーツの拠点として特別支援学校を位置づけており、障害のある子どもや青年が、社会で体育・スポーツを発展させる主体者としての力量を保障できるのか、そうした環境整備ができているのか、まずそうした観点で、特別支援学校の施設や備品の点検をし、現場の声をよく聞いて、体育・スポーツ環境の整備を進めていただきたいと思いますが、いかがですか。

平成28年第一回都議会定例会
畔上三和子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 特別支援学校の体育・スポーツ振興について
  1 長期ビジョンでは、特別支援学校を重視し、スポーツ教育・部活の充実、地域の障害者スポーツの拠点とすることを打ち出している。大切な提案だが、そのために具体的にどのように取り組むのか、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、平成28年度、都立特別支援学校20校をスポーツ教育推進校に指定しました。スポーツ教育推進校では、専門の指導員を招へいするなど、ボッチャやブラインドサッカー等、これまでに児童・生徒が取り組む機会の少なかった種目を、授業や部活動等に取り入れていきます。
 また、都立特別支援学校を地域における障害者スポーツの拠点の1つとするため、オリンピック・パラリンピック準備局が実施する都立学校活用促進モデル事業と連携し、モデル校となる5校の都立特別支援学校において、障害者スポーツ団体が利用しやすくなるよう、必要な整備を行っていきます。

質問事項
 一の2 複数の障害種別を併置する学校が増えているが、併置校でも体育館は1つしかなく、プールも加温設備が整備されている学校は多くはない。特別支援学校の体育・スポーツ施設の現状をどう認識しているのか、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、これまでも、特別支援学校の障害種別や立地条件等に応じて学校体育施設の整備を行っています。
 特に複数の障害種別教育部門を設置する学校においては、学校の規模等を考慮しながら、必要に応じて体育館を複数設置しています。プールについては、障害種別や立地条件等に応じて屋内に設置し、必要な場合には、加温設備を整備しています。あわせて、指導計画の工夫や学習集団の弾力的な編成を行うなど、体育館やプールの有効活用を図り、円滑かつ適正な体育指導を実施しています。
 引き続き、各学校の実情を踏まえて、適切に教育環境の整備を行っていきます。

質問事項
 一の3 江東特別支援学校については、高等部単独校になることを契機に、トイレや教室などの改修も当然必要で、プールも高等部仕様に改修すべきだが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、これまで高等部単独校となった特別支援学校については、小学部及び中学部用の流しなど衛生設備の高さ等を変更するほか、プレイルームを高等部用の実習室に改修するなど、可能な限り学校の要望を踏まえ、高等部の生徒の教育活動の充実が図られるよう施設整備を行っています。
 江東特別支援学校についても、これまでと同様に、円滑な学習活動に必要な教室などの整備を行っていく予定です。
 なお、同校のプール槽を深くする改修は校舎の構造上困難ですが、老朽化したプール屋根などの改修に必要な現地調査を既に行っています。

質問事項
 一の4 障害のある子どもや青年が、社会で体育・スポーツを発展させる主体者としての力量を保障できるのか、そうした環境整備ができているのか、まずそうした観点で、特別支援学校の施設や備品の点検をし、現場の声をよく聞いて、体育・スポーツ環境の整備を進めてほしいが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、これまでも体育活動に供する備品を各学校が自らの判断で購入できるよう、予算を配付しています。
 また、平成28年度から実施する障害者スポーツ拠点事業においても、スポーツ用具の購入に係る経費について措置しています。

平成28年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 大山とも子

質問事項
一 旧都立市ヶ谷商業高等学校跡地について

一 旧都立市ヶ谷商業高等学校跡地について
3月16日に突然、旧都立市ヶ谷商業高校を東京韓国学校の用地として提供する旨の発表がありました。現在、区立小学校の建替え用地として区が借用し、その後は、保育園の待機児が区内でも多い地域であるため、その活用が期待されていただけに、多くの方々が驚いています。
私たちは、東京韓国学校の児童生徒が多く、学校自体が手狭になっていることは知っていますし、子どもたちの教育条件を整えることに協力することは、重要なことだと考えています。
しかし、決め方が不明瞭であるため、ただしておくものです。
1 報道では、舛添知事が2014年7月の韓国訪問時に朴槿恵大統領から協力要請を受けた、となっています。具体的にどのような協力要請を受け、舛添知事はなんと答えたのですか。
2 旧都立市ヶ谷商業高校の跡地を東京韓国学校の用地として提供することになった具体的な経緯を時系列で明らかにしてください。
3 新宿区内には、活用可能な都有地が少なく、旧都立市ヶ谷商業高校跡地は貴重な都有地であり、とりわけ保育園の待機児が多い地域であるだけに、認可保育園や特養ホームなどの整備が期待されていました。
わが党区議会議員が、特別支援学校の整備について、都立心身障害者福祉センター移転後の跡地に変更した直後の2015年6月定例会の代表質問で、「旧市ヶ谷商業高校跡地は最も保育ニーズが高い牛込箪笥地域に位置し、保育園を設置する場所としては最適と考えます。また、牛込第一中学校に隣接し、将来的にもさまざまな活用ができる場所であり、区は直ちに東京都に対し、取得の意向を示すべきと考えますが、いかがでしょうか。」と質問したことに対し、吉住新宿区長は「東京都にも打診していますが、平成29年3月まで区が借用しており、その後の活用については、今後検討するので、現段階では要望を受けられないとの回答を得ています。」と答弁しています。また、同年11月の第4回定例会でも、わが党の代表質問に対し、「旧市ヶ谷商業高校跡の都有地については、以前から都にも打診していますが、平成29年3月まで区が借用しており、その後の活用については平成29年4月以降に検討するので、現段階では要望を受けられないとの回答は変わっておりません。」と答弁しています。
小学校の建替えのために借用している期間の終了まで2年を切った時期に、切実な保育園整備などの計画を検討するために、区が要望し協議を求めることは当然です。にもかかわらず、都はなぜ、その要望を受けなかったのですか。
福祉インフラ整備を積極的に進めることを全庁的に位置付け、地元自治体からの問い合わせには、ていねいに対応するとしていながら、実際には違うではありませんか。
4 特別支援学校の障害者センター跡地への変更は、旧市ヶ谷商業高校周辺の道路が狭あいで、道路幅が4m未満で工事車両が通るに当たっては、近隣の土地を隅切りで通らせてもらわないとならないことが発生する等、通常の工事に比較しても困難だということでした。韓国学校がつかう場合はこのような困難はないのですか。
5 新宿区内には、国家公務員宿舎跡地など、国が活用を促進している土地は多くあります。東京韓国学校の用地として、国有地等が活用できないか、国と協議はしたのですか。今後、国有地も含めて検討することもできるのではありませんか。

平成28年第一回都議会定例会
大山とも子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 旧都立市ヶ谷商業高等学校跡地について
  1 報道では、舛添知事が2014年7月の韓国訪問時に朴僅恵大統領から協力要請を受けたとなっているが、具体的にどのような協力要請を受け、舛添知事はなんと答えたのか、伺う。

回答
 平成26年7月25日の会談において、朴大統領から、韓国人学校が手狭になっているので対応について協力をお願いしたいとの話があり、知事から、都としてできる限り対応する旨、回答しました。

質問事項
 一の2 旧都立市ヶ谷商業高校の跡地を東京韓国学校の用地として提供することになった具体的な経緯を時系列で伺う。

回答
 平成26年7月の知事訪韓時に、朴大韓民国大統領から東京韓国学校について協力要請を受けました。
 その後、大韓民国政府より平成27年11月に旧都立市ヶ谷商業高等学校を利用したいとの要請を受け、都から平成28年3月に具体的な協議を行う旨を大韓民国政府へ通知しました。

質問事項
 一の3 新宿区長は2015年の定例会で「旧市ヶ谷商業高校跡の都有地については、以前から都にも打診しているが、平成29年3月まで区が借用しており、その後の活用については現段階では要望を受けられないと回答を得ている」と答弁している。都はなぜ、その要望を受けなかったのか見解を伺う。

回答
 新宿区からは平成29年4月以降の利用方針について、平成27年5月に都に電話で照会があり、跡地利用については都として今後検討すると回答しています。
 都は区からは特段の要望を聞いていません。

質問事項
 一の4 旧市ヶ谷商業高校周辺の道路は狭あいで、工事車両が通るに当たっては、近隣の土地を隅切りで通らせてもらわないとならないことが発生する等、通常の工事に比較しても困難だということだが、韓国学校が使う場合に困難はないのか、見解を伺う。

回答
 大韓民国政府は、早期の開校のために校舎がある用地を要望し、その条件に合致した旧都立市ヶ谷商業高等学校について現状を踏まえて、大韓民国政府より都に対して利用したいとの要請があり、具体的な協議に入ることとしました。
 具体的な計画については大韓民国政府で検討し、今後協議することとしています。

質問事項
 一の5 新宿区内には、国家公務員宿舎跡地など、国が活用を促進している土地は多くあるが、東京韓国学校の用地として、国有地等が活用できないか、国と協議はしたのか。今後、国有地も含めて検討することもできるのではないか、見解を伺う。

回答
 大韓民国政府は、早期の開校のために校舎がある用地を要望し、その条件に合致した旧都立市ヶ谷商業高等学校について現状を踏まえて、大韓民国政府より都に対して利用したいとの要請があり、具体的な協議に入ることとしました。
 都が東京韓国学校の用地について大韓民国政府に代わり国と協議することは考えていません。

平成28年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 吉田信夫

質問事項
一 新宿区霞ヶ丘町付近土地区画整理事業について
二 西武新宿線連続立体交差事業について
三 島嶼地域にたいするオリンピック・パラリンピックの取組について

一 新宿区霞ヶ丘町付近土地区画整理事業について
東京都都市整備局は、昨年12月15日、「(仮称)新宿区霞ヶ丘町付近土地区画整理事業の実施について」を発表しましたが、この事業について不可解な点がありますので、以下伺います。
1 本区画整理事業について、都市整備局は事業目的の一つとして「歩行者ネットワークの一環となる空間を確保」をあげていますが、具体的にどのような換地を計画しているのですか。外苑ハウスが所有する通路部分の土地を歩行者ネットワークの空間としようとするのですか。
2 外苑ハウスの通路部分は、日本体育協会などが新会館を建設する計画であることが今年2月の住民説明会で示されました。都は、この計画を承知していたのですか。この計画は、日本体育協会からいつ都に伝えられたのですか。
3 区画整理事業案を公表した昨年12月15日は、東京都都市整備局が日本体育協会などが所有する岸体育会館の敷地を代々木公園の優先整備区域に指定したことを公表した日でもあります。優先整備区域に指定することは、都が岸体育会館にたいし事実上立退き、買収の意思を示したものと判断されます。この区域指定は、いつ決定されたのですか。区画整理事業案発表の時点で、日本体育協会の新館建設計画は承知していたと考えられます。いかがですか。
4 区画整理事業のもう一つの目的に、「都市公園用地の確保」がありますが、都営霞ヶ丘アパートを廃止し明治公園とすることは、区画整理事業を行わなくても可能です。「都市公園用地の確保」とは具体的に何ですか。
また、区画整理地域内の都立明治公園・通称こもれびテラスは廃止するとの説明をうけていますが、なぜ廃止するのですか。
歩行者ネットワークの確保が目的であっても、公園を廃止する理由にならないと思いますが、いかがですか。
5 日本体育協会などがおこなった2月の新会館建設説明会で配布した資料では、こもれびテラスも新会館建設の計画地として計画線の中に入っています。この計画は都も承知しているのですか。なぜこうした計画になっているのですか。こもれびテラスの土地を日本体育協会などに譲渡する計画なのですか。
6 都市整備局が、岸体育会館の土地を代々木公園の優先整備区域に昨年12月に急きょ指定したことも不可解です。2011年12月に改定した「都市計画公園・緑地の整備方針」は2020年までの10年間の整備対象公園を示したものですが、代々木公園の拡張はまったく記されていません。また、「整備方針」改定から4年が経過しますが、追加の指定もありません。それがなぜ、昨年12月、この地域だけを優先整備区域に急きょ指定したのですか。その理由を明らかにしてください。
7 指定に先立ち、日本体育協会側から都市整備局にたいする相談や要請などの経過及び都の対応について時期を含め明らかにしてください。

二 西武新宿線連続立体交差事業について
都内の鉄道各線で連続立体交差事業がすすめられるもとで、西武新宿線では一部区間をのぞき全体として事業化がおくれていました。東京都は、西武新宿線野方-井荻間、井荻-東伏見間について、今年度中に社会資本総合整備計画に位置づけると発表しましたが、多くの住民は、今後どのように事業が進むのか注目し、また事業化による地域への影響について情報を求めており、以下伺います。
1 そもそも、西武新宿線の両区間について社会資本総合整備計画に位置づけるとは、どのようなことで、連続立体交差事業のうえでどのような段階なのか、今後のスケジュール及び事業化まで何年程度を要するのか明らかにしてください。
2 連続立体交差事業にあたっては、地元区及び駅周辺地域にどのような努力が課されるのでしょうか。駅前広場やアクセス道路の整備が求められていますが、こうした整備が求められると、周辺の商店や住宅への影響が懸念されますが、いかがですか。
3 周辺住民にとって最大の関心事は、構造が地下構造か高架構造かにあります。連続立体交差事業の工程表では、社会資本総合整備計画の位置づけのあとは、「比較設計」を行い、その後「都市計画素案の作成」となっています。構造案を比較検討するうえでの主な判断要素とはどのようなことですか。また、構造案、都市計画素案は、どのように決定するのですか。住民の意見はどのように反映され、留意されるのですか。
4 事業費は、国47%、都27%、区が約11%と伝えられていますが、区にとって軽い負担ではありません。これまでの連続立体交差事業の実績では、高架構造と地下構造のそれぞれについて、1キロメートル当たり平均事業費はどの程度でしたか。区の負担にたいし、東京都都市計画交付金の活用など、都としての支援はどうなっていますか。

三 島嶼地域にたいするオリンピック・パラリンピックの取組について
島嶼地域の町村にたいする2020年オリンピック・パラリンピック東京大会にむけた東京都の取組について伺います。
オリンピック・パラリンピック東京大会は、都民の理解と協力のもとで開催されるとともに、大会を機に、都民のスポーツ参加の促進や、地域の生活・環境の向上、観光をはじめ地域産業の発展に資するものであるべきと思います。
1 しかし島嶼地域は、地理的制約から、オリンピック・パラリンピックの競技は予定されておらず、事前キャンプの誘致も困難という状況にあります。そうした島嶼地域でも、オリンピック・パラリンピック開催都市の一員として積極的に取組めるよう、東京都の特別の支援や配慮が求められていると思いますが、いかがですか。
2 島嶼地域の住民が、オリンピック・パラリンピック大会を開催都市の一員としてとらえていくうえで、聖火リレーに参加できるかどうかは重要だと思います。1964年大会では島嶼地域で聖火リレーは行われませんでしたが、多くの島民は、2020大会にはぜひ島嶼地域でも聖火リレーの実施をと願っています。こうした願いに応えるよう最大限の努力が求められていると思いますが、いかがですか。
3 島民は、2020年大会を通じて、あしたばなど島嶼地域固有の農産物や魚介類などが、選手村等で使用され、大会を通じて国内外で知名度が向上し、販売促進の契機になることを願っています。そのためには、大会組織委員会が近く策定する調達基準をクリアすることが求められます。
東京都は、東京産農産物が調達の認証を取得できるよう、取得費などの支援をしようとしていますが、財政的支援はもちろん、きめ細かな支援を求めるものです。とりわけ、系統的な情報提供が重要と思いますが、いかがですか。

平成28年第一回都議会定例会
吉田信夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 新宿区霞ヶ丘町付近土地区画整理事業について
  1 本区画整理事業について、都市整備局は事業目的の一つとして「歩行者ネットワークの一環となる空間を確保」をあげているが、具体的にどのような換地を計画しているのか。外苑ハウスが所有する通路部分の土地を歩行者ネットワークの空間としようとするのか、見解を伺う。

回答
 平成25年6月に策定した神宮外苑地区地区計画の方針において、スポーツクラスターとして、集客力の高い、にぎわいと活力あるまちへの再生を図ることとしています。
 土地区画整理事業は、この地区計画の方針に基づき、歩行者ネットワークの一環となる空間を確保することなどを目的として実施するものであり、具体的な換地については、今後、外苑ハウスの通路部分の土地を含め検討を進める予定です。

質問事項
 一の2 外苑ハウスの通路部分は、日本体育協会などが新会館を建設する計画であることが今年2月の住民説明会で示されたが、都は、この計画を承知していたのか。この計画は日本体育協会からいつ都に伝えられたのか伺う。

回答
 平成27年12月22日、日本体育協会から都に対し、岸記念体育会館の神宮外苑地区への移転要望が出されました。
 平成25年6月に都が策定した神宮外苑地区地区計画の方針に沿ったものであり、都は平成28年1月7日、同協会が検討を進めることを了承しました。
 住民説明会で示された計画に係る図面等は、平成28年2月18日に、都に提出されました。

質問事項
 一の3 岸体育会館の敷地を代々木公園の優先整備区域に指定することは、都が岸体育会館に対し事実上立退き、買収の意思を示したものと判断されるが、この区域指定はいつ決定されたのか。区画整理事業案発表の時点で、日本体育協会の新館建設計画は承知していたと考えられるが、見解を伺う。

回答
 現在の岸記念体育会館の敷地について、東京2020大会におけるハンドボールなどの競技会場となる国立代々木競技場に近接することから、大会運営に活用できるよう公園の早期事業化を図るため、都は、平成27年12月1日、優先整備区域に設定しました。
 また、同月15日、神宮外苑地区の将来像を実現するために必要な歩行者ネットワークの確保などを行うため、新宿区霞ヶ丘町付近における土地区画整理事業の実施を公表しました。
 同月22日、日本体育協会から都に対し、岸記念体育会館の神宮外苑地区への移転要望が出されました。
 平成25年6月に都が策定した神宮外苑地区地区計画の方針に沿ったものであり、都は平成28年1月7日、同協会が検討を進めることを了承しました。

質問事項
 一の4 区画整理事業のもう一つの目的に、「都市公園用地の確保」があるが、「都市公園用地の確保」とは具体的に何か伺う。また、区画整理地域内の都立明治公園・通称こもれびテラスは廃止するとの説明をうけているが、なぜ廃止するのか。歩行者ネットワークの確保が目的であっても、公園を廃止する理由にならないが、見解を伺う。

回答
 都は、平成25年6月に神宮外苑地区地区計画の決定に合わせて、公園区域を再編し、バリアフリーに対応した歩行者動線やたまり空間の確保等を図るため、東京都市計画公園明治公園の変更を行いました。
 霞ヶ丘町付近における土地区画整理事業では、都市計画公園の区域に追加された都営霞ヶ丘アパート敷地の部分を、東京都立明治公園のための一部用地として確保することとしています。
 こもれびテラスの区域については、この公園区域の再編により廃止することとしています。

質問事項
 一の5 日本体育協会などが行った説明会で配布した資料では、こもれびテラスも新会館建設の計画地として計画線の中に入っているが、この計画は都も承知しているのか、なぜこうした計画になっているのか。こもれびテラスの土地を日本体育協会などに譲渡する計画なのか、伺う。

回答
 こもれびテラスの区域は、公園区域の再編により廃止することとしています。
 平成27年12月22日、日本体育協会から都に対し、岸記念体育会館の神宮外苑地区への移転要望が出されました。
 都は平成28年1月7日、こもれびテラスを含む区域を同協会に示し、移転の検討を進めることを了承しました。
 この土地の取扱いについては、都の条例、規則等に定められた手続に基づき、今後、適切に対応することとしています。

質問事項
 一の6 2011年12月に改定した「都市計画公園・緑地の整備方針」には代々木公園の拡張はまったく記されておらず、追加の指定もないが、なぜ、昨年12月、この地域だけを優先整備区域に急きょ指定したのか、その理由を伺う。

回答
 平成25年9月に東京2020大会の開催が決定されました。
 この競技大会において、ハンドボールなどの競技会場となる国立代々木競技場に近接する岸記念体育会館の敷地を含む街区について、都は、平成27年12月1日、大会運営に活用できるよう公園の早期事業化を図るため、優先整備区域に設定しました。

質問事項
 一の7 指定に先立ち、日本体育協会側から都市整備局に対する相談や要請などの経過及び都の対応について時期を含め、伺う。

回答
 都は、平成27年12月1日に優先整備区域を設定しました。
 同月22日、日本体育協会から都に対し、岸記念体育会館の神宮外苑地区への移転要望が出されました。
 この要望を受け、都は平成28年1月7日、同協会が検討を進めることを了承しました。

質問事項
 二 西武新宿線連続立体交差事業について
  1 西武新宿線の両区間について社会資本総合整備計画に位置づけるとは、どのようなことで、連続立体交差事業のうえでどのような段階なのか、今後のスケジュール及び事業化まで何年程度を要するのか、伺う。

回答
 社会資本総合整備計画に位置付けることにより、国の交付金を活用して事業を実施することが出来るようになります。
 西武新宿線の両区間を事業化するため本計画に位置付けた段階であり、現時点で具体的なスケジュールは定まっていません。

質問事項
 二の2 連続立体交差事業にあたっては、地元区及び駅周辺地域にどのような努力が課されるのか。駅前広場やアクセス道路の整備が求められており、こうした整備が求められると、周辺の商店や住宅への影響が懸念されるが、見解を伺う。

回答
 連続立体交差事業とあわせ、地元区が駅前広場や関連する街路など、まちづくりに着実に取り組むことが、道路と鉄道の交通結節機能の強化や沿線地域の利便性と安全性の向上など、本事業の効果を高めるために重要です。
 今後、連続立体交差事業と一体的な沿線まちづくりの実現に向け、沿線区と連携していきます。

質問事項
 二の3 連続立体交差事業の工程表では、社会資本総合整備計画の位置づけのあとは、「比較設計」を行い、その後「都市計画素案の作成」となっているが、構造案を比較検討するうえでの主な判断要素とはどのようなことか。また、構造案、都市計画素案は、どのように決定するのか。住民の意見はどのように反映され、留意されるのか、見解を伺う。

回答
 鉄道の構造形式の選定に当たっては、地形的条件、踏切の除却数などの計画的条件、事業費などの事業的条件の3つの条件から、高架式や地下式などの案について比較検討を行っています。
 構造形式のほか、都市計画として定める区間や区域等について検討した上で、都市計画素案を作成しています。
 作成した素案について説明会を実施した後、都市計画法の手続に基づき、都市計画案の縦覧を行うとともに、意見書の提出の機会を設け、都市計画審議会の議を経て、都市計画を決定しています。

質問事項
 二の4 これまでの連続立体交差事業の実績では、高架構造と地下構造のそれぞれについて、1キロメートル当たり平均事業費はどの程度であったか。区の負担に対し、東京都都市計画交付金の活用など、都としての支援はどうなっているのか、見解を伺う。

回答
 高架式と地下式の事業費については、平成27年度に施行中の連続立体交差事業の事例では、平均で、1キロメートルあたり、高架式が約220億円、地下式が約330億円となっています。また、区の負担金への支援については、連続立体交差事業における区の負担金額の一定割合を特別区都市計画交付金の交付対象としています。

質問事項
 三 島嶼地域にたいするオリンピック・パラリンピックの取組について
  1 島嶼地域は、地理的制約から、オリンピック・パラリンピックの競技は予定されておらず、事前キャンプの誘致も困難という状況にあるが、そうした地域でも、開催都市の一員として積極的に取り組めるよう、都の特別の支援や配慮が求められているが、見解を伺う。

回答
 オリンピック・パラリンピックに向けて、都内全域で開催気運を醸成するとともに、大会後にスポーツ振興などの地域レガシーを残すためには、都民に身近な区市町村での主体的な取組が重要です。
 このため、都では、平成27年度から、区市町村が東京2020大会の開催決定を契機として主体的に実施するスポーツ振興や地域の活性化につながる事業を支援するための補助事業を行っています。
 また、市町村が地域で主体的に気運醸成等の事業を展開するため、東京自治会館を活用して、オリンピック・パラリンピックの魅力を伝える写真や映像を紹介し、島しょ町村も含め、コンテンツ等の貸出を行っていきます。
 今後、これらの取組を通じて東京2020大会に向けた島しょ町村の気運醸成等の取組を支援していきます。

質問事項
 三の2 多くの島民は、2020大会にはぜひ島嶼地域でも聖火リレーの実施をと願っており、こうした願いに応えるよう最大限の努力が求められているが、見解を伺う。

回答
 聖火リレーについて、大会開催基本計画では、聖火リレーに参加したランナー、観衆、地域住民、それに関わる多くの人々がベストパフォーマンスを発揮できるようサポートし、大会に向けた気運を高めることを目標に掲げています。
 また、日本の観光名所や歴史、文化が感じられるルートを選定するとしており、組織委員会が関係機関と協力し、大会開催1年前を目途にルート決定する予定です。今後、都内のルート設定については、都内全域の盛り上がりを高めていけるよう、組織委員会と密接に連携し、検討していきます。

質問事項
 三の3 あしたばなど島嶼地域固有の農産物や魚介類などが、選手村等で使用され、大会を通じて国内外で知名度が向上し、販売促進の契機になるためには、大会組織委員会が近く策定する調達基準をクリアすることが求められるが、都は、東京産農産物が調達の認証を取得できるよう、財政的支援はもちろん、きめ細かな支援を求める。とりわけ、系統的な情報提供が重要だが、見解を伺う。

回答
 都は、農業者の国際認証等の取得を支援するため、平成28年度予算で農林水産振興財団に基金を設置し、コンサルタントによる助言や、取得費用と2020年までの維持経費の補助を行うとともに、認証の仕組み等に関する説明会を開催していきます。

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