平成二十八年東京都議会会議録第四号

○議長(川井しげお君) 九十九番古賀俊昭君。
   〔九十九番古賀俊昭君登壇〕

○九十九番(古賀俊昭君) 初めに、いわゆる日本国憲法と平和安全法制について知事に質問いたします。
 昨年九月十九日、参議院本会議で賛成百四十八票、反対九十票で可決成立した平和安全法制は、中共の強引な南シナ海進出や、北朝鮮の国際的合意違反の核、ミサイル開発等の、我が国周辺の安全保障環境の緊迫化に対応するため、一昨年七月の閣議決定を受けて、昨年、通常国会に提出されたものであります。
 衆参両院での審議時間はともに百時間を超えており、強行採決の批判は当たりません。
 今回の法制は、極めて抑制的に集団的自衛権の行使を認めたものであり、他国防衛を目的とする集団的自衛権一般を認めたものではありません。
 あくまでも我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が、根底から覆される明白な危険がある場合に限定されています。
 この平和安全法制に対して、欧米や、アジア等の国々から、支持の声が多く寄せられていますが、共産党や民主党などの一部野党は、戦争法、立憲主義の破壊、違憲立法などと、今なお国民の不安をあおっていますが、知事の見解はいかがでしょうか。
 また、平和安全法制は、徴兵制に道などとの一部野党の国民を欺く批判に対し、政府は、憲法第十八条で許されていないとかわしましたが、私は個人的に違和感があります。
 同条は、何人もいかなる奴隷的拘束も受けない、また、犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられないが根拠となると、宣誓を行い、国防の最前線に立つ自衛官の名誉感情を著しく損なうのではないかと考えますが、知事の所見をお聞かせ願えればと存じます。
 さて、ことしの夏の国政選挙では、去る十九日に五野党党首が、安保法制の廃止や国政選挙で最大限の協力を合意しており、憲法改正とともに、平和安全法制は大きな争点になると思われます。
 日本共産党は、平和安全法制を、憲法を踏みにじった違憲立法といい募って、護憲政党であるかのごとく装っていますが、そもそも、日本国憲法制定時に、終始一貫徹底的に反対しました。
 そして、その反対の理由の一つに、第九条を一個の空文にすぎないとして挙げています。もちろん採決では日本共産党の全議員六名が反対しました。
 正確を期すために、衆議院会議録を追ってみます。
 有名な吉田首相と野坂参三共産党代表の対決、これは昭和二十一年、衆議院の委員会、六月二十八日の会議録です。
 野坂参三議員は、戦争には、二つの種類の戦争がある、一つは正しくない不正の戦争である、他国征服、侵略の戦争である、侵略された国が自国を守るための戦争は、我々は正しい戦争といって差し支えないと思う、憲法草案に戦争一般放棄という形でなしに、我々はこれを侵略戦争の放棄、こうするのがもっと的確ではないかと。
 つまり、戦争にはいい戦争と悪い戦争がある。いい戦争は認めろというのが、この共産党代表の吉田首相との議論の論点であります。
 さらに、野坂参三議員は、採決に当たって、日本共産党を代表して反対討論を行いました。もちろん、日本国憲法制定に反対をする討論です。私は日本共産党を代表しまして、反対の意見を述べたい。
 いろいろ理由はたくさん挙げていますが、きょうは安保法制のことでありますので、その部分だけ紹介をしておきます。
 参議院は要らないとか、天皇制のこととか、いろいろ挙げて反対をしているんですけれども、そこはきょうは読みません。
 当草案は戦争一般の放棄を規定しております。これに対して共産党は、他国との戦争の放棄のみを規定することを要求しました。一個の空文にすぎないという言葉がこの中に出てきます。
 つまり空の文章だということですね、憲法九条。
 さらに、要するに当憲法第二章、これが第九条です。第二章は、我が国の自衛権を放棄して、放棄して、民族の独立を危うくする危険がある、それゆえに我が党は、民族独立のために、この憲法に反対しなければならない、我が民族の独立を保障しない憲法である、ゆえに我々はこの草案が当議会を通過することに反対しなければならない、しかし、我々の数は少数であります、この草案がここに可決されることは明らかであります、それゆえ我々は当憲法が可決された後においても、将来、当憲法の修正について努力する権利を留保して、私の反対演説を終わる次第であります。
 つまり日本共産党は、自主憲法制定を党是とする、疑う余地のない改憲政党であるということです。自衛戦争を認めない、この現日本国憲法は、憲法とは認められないとの立場が、共産党の原点であるわけです。
 舛添知事は、自民党国会議員当時、自民党の日本国憲法改正草案の作成立案にもかかわり、憲法制定当時の事情にも通じておられると思いますが、日本共産党が独自に、昭和二十一年六月に公表した日本人民共和国憲法草案を持ちながら、しかも、憲法第九条を明確に否定して──憲法第九条を明確に否定したにもかかわらず、現在、九条を守ろうを最大の武器にして、党勢拡大に利用している、この落差と変節に、変節ぶりについて、知事はいかにお考えか、ご所見をお聞かせください。
 十八歳選挙権について伺います。
 本年六月十九日、選挙年齢を十八歳以上に引き下げる改正公職選挙法が施行され……
   〔発言する者あり〕

○議長(川井しげお君) 静粛にしてください。

○九十九番(古賀俊昭君) この夏、参議院議員選挙から、新たに二百四十万人が有権者となります。国や自治体のあり方を最終的に決定する権利を持つことになりますが、同時に、新たな国民としての義務と責任が生じるものと考えますが、知事の見解はいかがでしょうか。
 十八歳投票が国際的流れでありますけれども、その背景には、例えばアメリカでは、かつてのベトナム戦争当時、十八歳から徴兵されるのだから選挙権が与えられるのは当然ではないかとの議論が起きて採用されました。つまり、権利と義務は表裏一体であり、義務があって選挙権があるのです。世界の多くの国の憲法でも、最大の義務として自国を守る義務を定めています。これが普遍的世界標準であります。オーストリアやスイスは中立国として知られていますが、選挙権は、それぞれ十六歳、十八歳で、徴兵制、国民皆兵で、国民に祖国防衛の義務を課しています。自国を愛し、自国を支える責任の自覚を促し、考えさせることこそが、今、急がれる主権者教育の核心でなければならないと考えますが、教育長の見解を問うものです。
 次に、皇居のお堀の汚濁対策としての下水道事業について伺います。
 東京が首都たるゆえんは皇居であり、そのお庭に当たるお堀の汚濁は、大雨が降った際に、下水道の雨水はけ口から雨天時下水、つまり汚水まじりの雨水がお堀に流入することによるもので、深刻な都政の課題となってきました。
 江戸城のたたずまいを残す内堀や、美しい水と緑の日本的景観が魅力の外堀は、四年後の五輪開催のみならず、多くの外国人にも堪能してほしい日本の原風景の一つです。そのためには、下水道事業を急がなければなりません。
 平成二十六年の第二回定例会でお堀の水質について質問した際に、内堀では、平成二十七年度中に隅田川への切りかえ工事が完了し、外堀でも、はけ口への対策である大規模貯水施設の早期着工を目指すとの答弁がありました。
 そこで、お堀の水質改善について、その後の下水道事業の進捗状況を伺います。
 次いで、花粉症発生源対策について伺います。
 都は去る二月十五日、花粉の飛散が始まったと発表し、都民三・五人に一人が患っている我ら花粉症患者は、ことしも憂鬱な春を迎えました。
 日本の森は、戦中戦後の無秩序な伐採により荒廃したために、後に森林の再生を図る緑化運動を国を挙げて進めて植林を行ったものの、その後のTPPの先行実施といえる昭和三十九年までの木材の完全自由化によって需要は外材に奪われてしまいました。
 かつての九〇%木材自給率は、平成二十六年には二九%に低落し、豊かな水を育むなどの環境保全や土砂災害防止の森林機能が失われたと同時に、放置された森林が花粉の発生源なのです。
 花粉を削減させる取り組みは、ひっきょう、流通網を含む林業再生を一歩一歩進めていくことが重要です。
 私が代表を務めさせていただく東京都議会花粉症対策推進議員連盟も後押しする、東京都が平成十八年度から開始した杉林の伐採と花粉の少ない杉苗木を植える事業も、ことしでちょうど十年の節目を迎えますが、花粉症発生源対策の今後の対応を伺います。
 多摩地域の森林は、木材としての利用可能な五十年以上の木が五割を超す一方、若い木はほとんどありません。杉は、植えてから三十年を超すと花粉を多く飛ばし、二酸化炭素の吸収が低下することから、東京の森林の再生には、伐採、利用、植栽、保育の好循環をつくり、若木に更新する必要があります。そのためには、切った木である多摩産材の利用拡大を図らなければなりません。
 私の地元の日野市でも、平成二十三年度から、集会施設や体験施設を多摩産材で建築し、多くの市民から木のよさについて好評を得ています。こうした公共施設で多摩産材を使うことは、単に木の使用量をふやすということだけではなく、多摩産材の利用拡大を図る効果も大きいと思います。
 多くの都民が利用する公共施設での多摩産材の利用拡大に向けた今後の取り組みについて伺います。
 最後に、道路、橋梁の整備について伺います。
 多摩地域の利便性を高め、防災性を向上させるためには、道路網の整備が欠かせません。
 とりわけ橋梁は、河川などで分断された地域をつなぎ、人や物の流れを支え、災害時には避難路となる極めて重要な施設です。
 多摩川にかかり日野市と立川市を結ぶ日野橋の整備について、これまでも都議会の場で毎年取り上げ、平成二十七年度は、かけかえに向けての調査や設計などを進めていくとの答弁がありました。
 日野橋は長年地域に親しまれてきたことから、私の地元でも、早期かけかえに市民の関心が高まっています。
 そこで、今年度、平成二十七年度の取り組み状況と今後の予定をお伺いして、私の一般質問を終わります。(拍手)
   〔離席する者あり〕
   〔発言する者多し〕

○議長(川井しげお君) 静かにしてください。静粛にしてください。
 会議を続行します。
   〔知事舛添要一君登壇〕
   〔発言する者多し〕

○議長(川井しげお君) 自席にお戻りください。自席にお戻りください。
   〔発言する者多し〕

○議長(川井しげお君) 自席にお戻りください。静粛に。静粛にしてください。
   〔発言する者多し〕

○議長(川井しげお君) あなた方だって、既に国会のことどんどんやっているじゃないか。
   〔発言する者多し〕

○議長(川井しげお君) 答弁お願いします。

○知事(舛添要一君) 古賀俊昭議員の一般質問にお答えします。
   〔発言する者多し〕

○議長(川井しげお君) 静粛にしてください。

○知事(舛添要一君) 古賀俊昭議員の一般質問にお答えいたします。
 憲法について、さまざまな議論がございましたけれども……
   〔発言する者多し〕

○議長(川井しげお君) 静粛にしてください。答弁が聞こえません。
   〔発言する者多し〕

○議長(川井しげお君) とにかく席に着いてください、席に。いいから席に着いてください。
   〔発言する者多し〕

○議長(川井しげお君) 席に着いてください。静粛にしてください。
 議事を進めます。

○知事(舛添要一君) 古賀俊昭議員の一般質問にお答えをいたします。
 憲法について、さまざまなご質問ございました。
 まず、平和安全法制の評価とそれへの批判についてでございますが、集団的自衛権に関しましては、個々人が自然権として自衛の権利を持っていますように、国家もまた自然権として個別的及び集団的自衛権を持っております。国連憲章には、この両方の権利が明記をされております。
 私は、平和とは、ただ望めば手に入るような簡単なものではないと思っております。
 安全保障は国の根幹にかかわる問題でありまして、国民の代表者である国会議員の皆さんが、国会の場でしっかりと議論すべきものでございます。北朝鮮の核実験やミサイル発射など、許すことのできない暴挙も相次いでおります。日本を取り巻く国際情勢、安全保障情勢も十分に踏まえて、現実に立脚した議論がなされることを期待しております。
 続きまして、徴兵制と憲法第十八条についてでありますけれども、政府は、徴兵制が本人の意思に反して強制されるものであること、その強制というこの要素を捉えまして憲法第十八条に抵触すると、そういう見解を示したものだと理解しております。
 そもそも、自衛隊は徴兵制ではありません。志願制のプロフェッショナルな組織であります。自衛隊の方々は、みずからの意思で日本を守るという強い使命感、責任感のもと、日々の職務を遂行しておりまして、災害発生時を含め、極めて重要な任務を担っていると考えております。
 続きまして、憲法に対する態度についてでございますけれども、個々の政党に対する評価は差し控えさせていただきます。私自身は、国際情勢や社会情勢に合わせて憲法を改正していくことは、世界的に見ても当然のことだと考えております。
 国政選挙におきましても、国民的な議論が幅広く展開され、それを受けまして、国権の最高機関である国会の場で憲法改正が取り扱われるべきものだと考えております。国民的な議論が憲法改正について幅広く展開されることを期待しておる次第でございます。
 続きまして、選挙権年齢の引き下げによる新たな有権者についてでありますけれども、今回の法改正は、現行憲法において初めてでありまして、七十年ぶりとなる選挙権年齢の引き下げであります。新たに選挙権を得る十八歳以上の方々は、日本の将来の決定権を最も長く委ねられることになります。
 若者たちは、選挙権の重みを十分に踏まえて、政治や社会のあり方などに関心を持ってみずから学ぶとともに、東京と日本の将来のために積極的に社会にかかわってほしいと思っております。そして、将来を担う若い世代が、責任と自覚のもとに、選挙を通じて社会に参画していくことは、大いに意義のあることだと考えております。
 一方、有権者として正しくその権利を行使するためには、公職選挙法上のルールなどを理解することが重要であります。教育現場での主権者教育等も充実させていく必要があります。
 東京都としましては、今後とも、都選挙管理委員会や都教育委員会など関係機関が連携しながら、的確な対応を行っていく決意でございます。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 主権者教育についてでございますが、学校では、全ての生徒に、伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛する心を育てるとともに、権利と義務、自由と責任の関係を正しく認識させ、国民主権を担う公民として必要な基礎的教養を育成することが重要であります。
 そのため、都立高校では、公民科や総合的な学習の時間などで、民主政治の推進や選挙の意義等について指導するとともに、都教育委員会が作成した主権者教育の充実に向けた資料等を活用して、生徒に良識ある公民として必要な能力と態度を育成してまいりました。
 今後は、都立高校生が自国を愛する心や公共の精神を持ち、社会の問題をみずからの課題として捉え、公正公平な立場から判断して行動できるよう主権者教育を一層推進し、国家社会を支える人材を育成してまいります。
   〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) お堀の水質改善についてでございますが、内堀では、最大径八メートル、延長約四・五キロメートルの貯留機能も持つ第二溜池幹線に、内堀へ放流されている汚水まじりの雨水を集める下水道管の接続が、ことし三月に完了予定でございます。
 これにより長年にわたる対策工事が完了し、放流先が内堀から流れのある隅田川に切りかわることで、四月から内堀への下水の流入が完全になくなります。
 外堀では、内径三メートル、延長約二キロメートルの大規模な貯留管を外堀通りの地下に築造し、降雨初期の特に汚れた下水を貯留し晴天時に処理いたします。効果の早期発現のため、外堀への流入量の約六割を占める最大のはけ口から先行して取水することとし、既にトンネル工事に必要な立て坑工事に着手しております。
 引き続き、JR中央線側でも同様に貯留管の整備を進め、外堀の水質改善に貢献してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二件のご質問にお答えをいたします。
 まず、スギ花粉発生源対策についてでございますが、花粉発生源対策として、杉林の伐採更新に取り組むことは、健全な森づくりを進める観点からも重要でございます。
 都ではこれまで、少花粉杉の生産に関する研究や、その苗木を活用した杉林の植えかえ、伐採等に不可欠な林道等の基盤整備に積極的に取り組むとともに、都民や企業が植栽、保育に参画する運動を展開してまいりました。
 さらに、こうした取り組みに加え、民間による伐採更新を促進するため、低コスト林業技術の普及や伐採現場から市場への木材搬出の支援を行うとともに、林業の担い手を確保するとうきょう林業サポート隊の拡充を図ってまいります。
 これらの対策を総合的に講じることにより、長期的な視点に立って、杉林の伐採更新を計画的に進め、花粉の削減と健全な森づくりを着実に進めてまいります。
 次に、公共施設での多摩産材利用拡大についてでございますが、公共施設での多摩産材の利用は、多くの都民が目にするほか、実際に木に触れることができるなど、認知度向上に向けて高い効果が期待できます。
 都ではこれまで、学校や都営住宅の内装等に多摩産材を積極的に活用するとともに、集会施設など、多摩産材を使用した公共施設を整備する区市町村への助成を行ってまいりました。また、幼稚園や保育園の内装木質化や遊具導入等に対する支援を実施しております。
 来年度は、こうした取り組みをさらに拡充するとともに、新たに都の文化施設等のロビーや窓口カウンターなど、不特定多数の都民が訪れる場所で積極的に多摩産材を導入するなど、公共施設における一層の利用拡大に取り組んでまいります。
   〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 日野橋のかけかえについてでございますが、日野橋は多摩川を渡る甲州街道の要衝であり、多摩地域において防災上重要な役割を担う都市施設でございます。
 この橋は、大正十五年に初めてかけられ、ことしで九十年の節目を迎えますが、老朽化が進み、歩道も狭いことから、かけかえにより耐震性の向上を図るとともに、歩道を拡幅し、安全で快適な歩行空間を確保いたします。
 今年度は、測量調査や橋梁形式の概略検討などを実施し、河川管理者との協議を開始いたしました。
 平成二十八年度は、河川内の動植物について現地調査を始めるとともに、豪雨時の河川の安全確保に配慮した橋脚の配置など、橋梁構造の比較検討を進めてまいります。
 今後とも、関係機関との協議や調査、設計業務などを計画的に進め、事業化に向けて全力で取り組んでまいります。

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