平成二十八年東京都議会会議録第四号

○議長(川井しげお君) 五十三番あさの克彦君。
   〔五十三番あさの克彦君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○五十三番(あさの克彦君) 私は、組織や個人の能力を引き出すのは、士気、モチベーションだと思っております。今の時代のように、役所が完璧を求められ、できて当たり前、失敗には責任が伴うのでは、できることだけをこなし、チャレンジすることを敬遠するのではないでしょうか。
 故田中角栄元総理は大蔵大臣時代、できることはやる、できないことはやらない、しかし、全ての責任はわしがとると述べたといわれます。無謀だと思える目標を設定した方が知恵も出るし、達成感が違うと述べた県知事もいます。それぞれに士気を上げ、組織の能力を引き出そうとする姿勢が見えます。信賞必罰もいいのですが、失敗イコール罰せられるでは萎縮を生んでしまうのではないでしょうか。
 首都東京のトップとしての知事の都政運営に対する姿勢を伺います。
 知事は折に触れ、情報公開を徹底する旨の発言をされており、昨年十一月の記者会見でも、附属機関などについて、徹底して会議日程は出しなさい、開催日時は事前告示を徹底しなさいと指示を出したと述べています。昨年の第二回定例会で私が申し上げたことと一緒であり、今後、さらなる徹底を求めておきます。
 都政情報の公開は積極的に、明確な根拠により非公開とするときでも、必要最小限にとどめるという意識で各局が取り組んでいくことを期待しておりますが、各局ごとに抱えている事情も違うでしょう。
 そこで、東京都が持つさまざまな情報をできるだけ取得しやすくするために、知事にははっきりと都政情報を原則公開とする旨を述べていただきたいと思います。知事の見解を伺います。
 また、その会見の際にはプライバシーや企業秘密など、情報保護の要請と両立すれば、会議はできる限り開かれたものにすべきと述べています。私もそう思います。そして、議事録もできる限り公開されるべきと考えます。
 昨年末から、既に選定が確定している指定管理者について、その選定委員会の議事録を閲覧しようと試みました。指定管理者を選定した局のうち、議事録を見ることができたのは一部の局であり、概要を示してあるので出せないという局もありました。見られた議事録からは、概要にはないさまざまな意見や要望、何より公平に真剣に選定を行う様子が読み取れます。
 企業秘密の部分や委員の個名などを隠せば議事録も公開できるはずです。一部に保護すべき情報があれば全ての記録が非公開というのは、都民が求め、知事が指示する、できる限り開かれたものでしょうか。積極的に公開する姿勢とは、そのようなものではないはずです。まして、公開請求があれば公開するというのは消極的な姿勢にほかなりません。
 選定委員や応募業者から、あらかじめ了承を取りつける必要もあるでしょうから、今回の選定委員会議事録については仕方ないにせよ、今後の選定に関しては議事録を公開すべきと考えます。都の見解を伺います。
 また、情報公開は保存とセットです。指定管理者契約のように、長期にわたるものは選定に関する資料を少なくとも次の選定まで公文書として保存すべきです。都の見解を伺います。
 東京を海外に向けてPRする方法はあまたありますが、世界各国で上映される映画のロケを受け入れることもその一つだと思います。しかし、ハリウッドでは、東京は撮影が許可されづらい都市といわれているとも聞きます。非常に残念です。
 そこで、知事は都市外交も積極的に行われておりますので、例えばハリウッドにおいて、制作会社や監督に対して協力する姿勢を示してみてはいかがでしょうか。
 過去、我が党の門脇議員の質問に答える形で、この本会議場で警視総監に東京マラソンの参加定員増加を陳情した知事もいたのです。知事の姿勢次第で、さまざまな機関の協力を取りつけ、誰もが知る映画の舞台が東京になることも夢ではありません。
 撮影受け入れには東京ロケーションボックスも尽力しておりますが、その調整能力には限界があります。知事みずから、ぜひ大規模な映画撮影に協力する姿勢を示していただきたいと考えます。知事の見解を伺います。
 映画だけでなく、アニメでも東京をPRできます。そして、世界からアニメ作品を集める祭典、東京アニメアワードフェスティバル二〇一六が間もなく開催されます。ことしで三回目となる祭典は、アカデミー賞ノミネート作品も出展されるほどのものになったと伺いました。
 しかし、残念ながら、ことしの祭典では、実行委員会内部において昨年から問題が発生しているようです。この内部のいざこざについて、この場でどうこう申し上げるつもりはありませんが、多数の応募作品が、さきに述べたいざこざの影響で審査対象からこぼれそうだと伺いました。応募者側には何の過失もないのにです。
 応募された世界中のクリエーターは、いわば善意の第三者であり、運営のいざこざが原因で、審査どころか参加すらさせてもらえないのでは、積み上げてきた信用は一瞬で失墜します。共催に名を連ね、開催費用の半分以上を出資する東京都のイメージも悪化してしまいます。
 さきのハリウッドでのうわさも、過去、東京で撮影を行った著名な映画監督が、十分な協力体制が得られずに、二度と東京では撮りたくないといったのがもととなっているともいわれます。日常的に会える相手ではないからこそ、一期一会の精神で心を尽くすべきだと考えます。
 文化振興に力を入れるならなおのこと、この東京アニメアワードフェスティバル二〇一六に寄せられた多数の作品に敬意を払い、主催者とともに真摯な対応をしなければならないと考えます。都の見解を伺います。
 都の無料Wi-Fiスポットは、現在、最速規格であり、メールアドレスの登録だけで接続できる便利なものであることは評価いたします。しかし、世界一の都市を目指す東京にしては、設置目標が少ないと思います。
 例えば、ニューヨークでは、今後十二年間で市内に七千五百カ所の超高速スポットを整備する計画が始まりました。約二億ドルともいわれる整備費や維持費もスポットに表示される広告収入で賄うなど、事業としても優秀であります。ビジネスや都市生活を考えても、市内を網羅するように配備される高速Wi-Fiスポットは、次世代の生活を念頭に置いた取り組みであると思います。
 開発中の眼鏡型や時計型の端末、イヤホン、音声案内など、常時インターネットに接続できることで受けられるサービスは、今後ますます拡大していくでしょう。通信は道路のようなインフラとして無料が当たり前で、より上質な通信サービスは有料で受ける、そんな時代が来ることを確信していると思うのです。
 それに比べ、東京の取り組みは現状の世界への対応にとどまっている印象が拭えません。
 都が整備する高速Wi-Fiスポットの設置目標を少なくとも数千台にするなど、未来の東京に求められるサービスを念頭に置きながら、外国人旅行者の利便性を上げていく取り組みが必要であると考えます。見解を伺います。
 都が発注して行う舗装切断を伴う道路工事は、道路補修など、年間数百キロメートル以上になります。そして、そのアスファルト切断作業時に発生する排水には、アスファルトが原油由来であることから、油分を含むことは明らかです。平成二十四年の国の通知により、この排水は回収して産業廃棄物として処理し、マニフェストの写しを提出することになっております。
 また、このときの産廃分類上の取り扱いは、昭和五十一年の環境庁通達である、油分を含むでい状物の取扱いについてに従うことになります。
 一方、平成二十四年の沖縄県による舗装切断排水の分析では、特定有害物質である鉛やヒ素も基準値を超えて検出されています。
 都は、この排水の成分、内容物を把握した上で、処理が適正かどうかの指導監督を行うべきと考えます。所見を伺います。
 また、埼玉県では設計単価の参考にするため、油分を含む汚泥と明記して見積もりをとっております。発注者として舗装切断時排水の処理について、油分を含むことを前提として積算すべきと考えます。道路補修における都の取り組みについて伺います。
 知事は施政方針の中で、昨今問題となっている空き家も都市のストックとして有効に活用できればと述べられました。空き家が問題となっていることを認識されているのであれば、その有効活用はもちろん、まずは空き家があふれないようにすべきと考えます。
 我が党の代表質問でも申し上げたとおり、都内住宅ストックが世帯数を上回っている現状にもかかわらず、都営住宅の応募倍率は高いままです。この現状を踏まえると、住宅困窮者への対応について、都はハードの整備だけに固執せず、民間を活用するソフトの充実も同時に進めていくことが必要であると考えます。
 空き家となっている住居を住居として活用するためにも、借り上げ公営住宅などの現行制度の活用、新たな家賃助成制度の創設などに取り組むべきではないでしょうか。
 まずは、将来に向けて、前述したような施策の具体的な検討を始めるべきと考えます。見解を伺いまして私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) あさの克彦議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、都政運営でございますけれども、東京都は二〇二〇年大会の成功に向けた準備、それから福祉先進都市の実現、安全・安心の確保など、さまざまな課題を抱えております。これに対応していくためには、全職員がチャレンジ精神を発揮することが不可欠であることは論をまたないと思っています。
 そこで、私は事あるごとに、職員にそういう意味で頑張れということをいっておりまして、年初の職員への挨拶でも、昨年は、新しいことに挑戦すれば失敗もあると、都合の悪いことを見て見ぬふりをする方が罪は重いというような述べ方をしております。特に若い職員に対して果敢な挑戦を求めております。
 この二年間、職員とさまざまに議論を交わしてまいりましたけれども、引き続き風通しのいい組織の構築に努めて、職員のチャレンジ精神を引き出してまいりたいと思っております。
 情報公開についてご質問ございました。都政に関して都民に説明する責任を全うして、公正で透明な都政を推進するためには、情報公開が必要だと考えております。
 都は、情報公開条例に基づいて、長期ビジョンなどの基本的計画や主要事業の進行状況などについて公表を義務づけるとともに、既に多くの情報をホームページなどで提供しております。ホームページも少し見やすくするように、できるだけ情報提供するように指示をして、今、日々改善をしているところでございます。
 都政を前に進めるためには、都政にかかわる情報を広く公開して、これを都民と共有する必要があると思っておりますので、今後とも、積極的に情報公開を進めてまいりたいと思っております。
 映画の撮影による観光振興について、大変いいアイデアをいただきました。そういえば東京を舞台にした世界的な映画というのは余りないなというようなことなので、ぜひこれは、あさの議員のお知恵も拝借して、いい方向に向かいたいと思っておりますけれども、例えば下町の風情あるまち並み、雷門の前に立って右側を見ますとスカイツリーがありますね。こういう伝統と現代、これがミックスしている。
 それから、多摩とか島しょ部、これもすばらしい自然がございます。これを映画の中で広く発信してもらうというのは非常に必要だというふうに思っていますので、努力をしたいと思います。
 それから、ご指摘ありました東京ロケーションボックス、彼らが一生懸命コーディネーターとしてやってくれるわけなので、撮影に適した場所とか、こういう手続でできるよというようなことで、東京ロケーションボックスに対しても、さまざまな円滑なサポートを行っておりますけれども、非常にいいアイデアをいただきましたので、今後とも、映画を通じて東京の魅力を世界に発信するというのは、真剣に考えてまいりたいと思っております。
 そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 住宅困窮者への住宅確保策についてでございますが、家賃補助につきましては、国や都の審議会におきまして、典型的な所得再分配政策であることなどから、国での検討が必要であるとされており、都独自の実施は考えておりません。
 また、都営住宅は市場動向に左右されない安定的な供給が必要なため、借り上げによらず、計画的に建てかえを進めております。
 民間住宅につきましては、区市町村が行う空き家の改修助成や、居住支援協議会の設立などへの支援を通じて、都民の居住の安定確保に活用してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、指定管理者選定委員会の議事録の公開についてでございます。
 選定委員会は、公の施設の管理運営を担う指定管理者の候補者を、公正かつ専門的な審査により選定することを目的に設置するものでございます。
 そのため、選定委員の過半数を外部委員とするとともに、審査項目ごとの配点や各応募事業者の得点状況、議事内容などについて公表しております。
 議事内容につきましては、事業運営ノウハウを初め保護すべき情報が含まれているため、全ての選定委員会において議事の要旨を公表しており、都民からの請求があれば、応募事業者の経営上の秘密に配慮しつつ、公文書開示制度に基づき、議事録を開示することを全庁の方針としております。
 今後とも、企業秘密の保護等に配慮しつつ、情報公開の徹底に努めてまいります。
 次に、指定管理者の選定に関する文書の保存についてでございます。
 都における文書の保存期間は、文書管理規則に基づき、法令等の定め、重要度、利用度、資料価値等を考慮し、全庁的な基準を定めており、この基準に基づき各局が具体的な保存期間を定めております。
 指定管理者の選定に関する文書についても、指定の期間や施設ごとの特性などを踏まえ、各局が個別に保存期間を設定しております。
 指定管理者の選定につきましては、このたび、特に主要な政策と連動する施設等の指定期間の長期化を図ったことから、選定に関する文書が次期選定まで適切に保存されるよう、各局と協議してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京アニメアワードフェスティバルについてでございますが、都はアニメを通じ東京の魅力を発信し観光振興に役立てるため、東京アニメアワードフェスティバルを実行委員会等とともに開催しております。
 ことし三月の同フェスティバルの実施に向けまして、現在、都は実行委員会等と協力して広報等の準備を進めております。
 フェスティバルの開催により、できる限り数多くのすぐれた作品を審査し表彰すること等により、これからのアニメの制作を担う人材の意欲を高める機会の確保に結びつけてまいります。
 次に、無料Wi-Fiの整備についてでございますが、外国人旅行者が都内で観光情報を速やかに入手する環境の整備は必要でございます。
 このため、都は、外国人旅行者が多く訪れる地域を対象として重点的に無料Wi-Fiを整備する方針を既に定め、それに基づき取り組みも進めております。
 今後とも、海外からの観光客の受け入れの体制を充実してまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 舗装の切断作業時に発生する排水の処理についてでございますが、都では、平成二十四年の国土交通省及び環境省の通知に従いまして、廃棄物処理法に基づき、適正な処理を図るよう関係局に周知いたしております。
 当該排水は産業廃棄物に該当するため、排出事業者である工事の受注者に適正な処理を行う責任があり、みずからその性状に応じた適正な処理を行わなければなりません。
 今後とも、関係法令に基づき、舗装切断作業時に発生する廃棄物を含む産業廃棄物の適正処理に向けて、適正な指導監督を実施してまいります。
   〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 舗装切断時に生じる排水処理の積算についてでございますが、建設局では、平成二十四年の国土交通省の通知に基づき、切断時に生じる排水は、吸引により回収し、産業廃棄物として処理することを特記仕様書に明記するとともに、処理費用につきましては、油分を含むことを前提に必要な額を計上しております。
 なお、工事完了時には、産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェストによりまして、運搬、処理が適正に行われていることを確認しております。

○副議長(小磯善彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時休憩

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