平成二十八年東京都議会会議録第三号

○議長(川井しげお君) 十九番伊藤こういち君。
   〔十九番伊藤こういち君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○十九番(伊藤こういち君) 東日本大震災から間もなく五年、そして阪神・淡路大震災から二十一年がたちました。被災地から次世代へのメッセージとして、その教訓を忘れてはならず、今後の東京の災害対策をこれまで以上に加速させなければなりません。
 いつか必ず来る首都直下地震に備え、私は、発災直前と直後における情報の重要性と、その対策強化を繰り返し求めてきました。
 まず、発災直前の情報として、気象庁が発する現行の緊急地震速報は画期的なシステムですが、直下型地震では、震源地が近く警報が間に合いません。つまり、マグニチュード七クラスと想定される首都直下地震が突然東京を襲うことになると私は指摘をしてきました。
 それは、大きな揺れが来る前の一秒でも二秒でも猶予があれば、直ちに身構えたり、屋内外の安全エリアに避難したり、命を守れる可能性があるからです。
 首都直下地震の危機が迫る中、大きな揺れが来ることを知らせる首都直下緊急地震速報の実現に向けて、都は引き続き不断の努力を続け、調査研究を進めるとともに、国に対し、警報の迅速性、正確性を求めていくべきです。見解を求めます。
 また、発災直後の情報収集も重要です。大地震発災直後の市街地では、建物や電柱の倒壊、道路の寸断などにより、緊急車両が通行できない状況が想定されることから、私は、悪路にも強いオフロードバイクの活用を提案してきました。
 都は、我が党の要請に応え、昨年九月の東京都総合防災訓練において、オフロードバイクの実効性と活用について検証を行いました。
 そこで、その訓練での検証結果と、この検証を踏まえた災害時のオフロードバイク導入の検討状況について伺います。
 次に、災害時における心のケアについて質問します。
 阪神・淡路大震災を教訓に、災害時の心のケアの重要性が示され、都は、中越地震、東日本大震災、また伊豆大島の土砂災害の際にも、被災住民などへのこころのケアチームを派遣し、支援してきました。
 とりわけ東日本大震災では、我が党が現地調査し要請した、岩手県陸前高田市沿岸の高台に取り残された集落まで、都のこころのケアチームが活動を展開。そして、きめ細かに、中長期的に被災者の心のケアに当たったことは、高く評価しています。
 切迫性が高まる首都直下地震により東京が被災した際には、都民の心の健康を守る観点から、心のケア対策の強化は極めて重要です。
 私は、これまで都が現場で積み上げてきた経験を生かした災害時の心のケア対策を、全国のモデルとなる災害派遣精神医療チーム、いわゆる東京版DPATとして体制を構築し、その取り組みと活動を本格化すべきと考えます。見解を求めます。
 都も都民も、これまでの大災害の記憶を風化させてはなりません。そして私は、首都東京の確固たる防災対策の強化により、一人でも多くの都民、国民の命を守ることが都政の最大の使命であると考えますが、改めて知事の決意を伺います。
 次に、虐待などで傷つけられた子供の心のケアについて質問します。
 これまで我が党は、家庭的養護の推進とともに、それを支える児童相談所の体制強化を求めてきました。それは、児童相談所の安定した運営体制が子供たちを守ることに直結するからです。これに応え、都は今年度も児童福祉司を増員しました。
 一方、毎日のように児童虐待のニュース報道があること自体、異常なことであり、虐待相談の対応件数が急増している現状があります。児童虐待の深刻化が著しい中、傷ついた児童への心理的なケアや保護者に対するカウンセリングなど、専門職による支援の重要性がますます高まっています。それを担っているのが児童心理司であります。
 そこで、都は、児童福祉司の増員とあわせて、児童心理司の体制強化と人材育成に取り組むべきです。見解を求めます。
 次に、障害者等への支援について質問します。
 この四月から施行される障害者差別解消法は、国の行政機関や地方公共団体及び民間事業者に対し、障害者への合理的配慮を義務づけています。
 私はこれまで、視覚障害者に対し、読み書き支援が必要であることを一貫して求めてきました。
 それは、私たちは日常、事物の現象や情報を得る手段として、八割を視覚に頼っているとされていますが、視覚障害者は、必要な情報を十分に得られなかったり、書くことが困難なため、不利益をこうむっている実態があるからです。
 今、こうした視覚に障害がある方々は、障害者差別解消法のもと、合理的配慮として、代読、代筆による情報支援サービスの向上を強く望んでいます。
 そこでまず、都は、窓口担当職員等が読み書き支援を初め、合理的配慮として、専門性の高い意思疎通支援ができるよう、その技能を習得するための研修に早急に取り組むべきです。見解を求めます。
 また、二〇二〇東京大会に向け、読み書き支援を初め、多様な障害に適切に対応できるボランティアの育成とともに、障害者もボランティアとして活躍できる仕組みを構築していくべきです。見解を求めます。
 一方、弱視者や高齢者の方々からは、行政等が発信するさまざまな情報が、文字が小さいため読み取れず、場合によっては、重要なお知らせなど必要な情報を得るのに大変に苦労するという声が寄せられています。
 そこで、都は率先して、全庁を挙げて大活字での情報発信にも取り組むとともに、区市町村を初め社会全体へその必要性を周知していくべきです。見解を求めます。
 また、都は、我が党が求めてきた視覚障害者のための大活字本やDAISY図書、点字、音声などのさまざまな情報提供手段を確保し、これまで以上に情報バリアフリーを推進すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、ヘルプカードについて質問します。
 私は、障害がある人や支援を必要とする人たちが社会参加する中で困難に直面したときに支援の手助けとなるよう、広域行政を担う都が標準様式を定めたヘルプカードを作成し、普及すべきと求めてきました。
 そして、都は平成二十四年から、ヘルプカードの発行主体である区市町村を支援する事業を実施し、必要とする方々のもとに届きました。
 また、このヘルプカードの活用は、東京にとどまらず、全国へ広がりつつあります。これにより周囲の人に助けられたという事例も聞いていますが、一方では、いまだ周知が不十分で、支援を求めたものの理解されなかったという事例も多数聞いております。
 そこで都は、広く都民に対し障害者への一層の理解促進に取り組むため、極めて有効なツールであるヘルプカードについて、これまで以上に周知に力を注ぐべきであります。
 また、東京都発のヘルプカードを首都圏、全国に向けてさらに拡充していけるよう、都は、国や他の自治体へも働きかけ、より広域的な障害者等への理解、支援促進に取り組むべきです。あわせて見解を求めます。
 次に、障害者アートの振興について質問します。
 私は、昨年、しながわ水族館で開催されたアール・ブリュット作品展を鑑賞し、障害者の豊かな感性が作品にダイナミックに、また繊細に表現されていることに大変に感銘を受けました。そして、アール・ブリュット作品のすばらしさについて、より多くの都民が作品に触れ、理解を深めていく機会の充実が大切であると感じました。
 そのためには、作品展示の場が重要です。区市町村や公立施設、商店街など地域の身近な場所での展開はもとより、例えば都庁舎も展示の場として活用すべきです。
 また、若者が多く、現代アートやサブカルチャーなど新しい文化が集積する都心の主要駅周辺などを発信の拠点としていくことも効果的であると考えます。あわせて、展示の内容をより充実させるためにも、作家や作品の発掘を進めていくことも必要です。
 こうした考えを生かした取り組みを都が率先して進めるべきです。見解を求めます。
 最後に、舟運の活性化と観光振興について質問します。
 私の地元品川にあった品川宿は、江戸から出る諸街道のうち、最も重要視された東海道の一番目の宿場町として栄え、五十三次で有名な東海道に沿って海辺があった地域です。昭和初期から、海辺は埋め立てにより陸地になる中でも、同時に運河が形成され、引き続き水辺の空間は地域住民の生活に密着してきました。その京浜運河周辺エリアには、江戸の面影が残る魅力ある場所が多数存在しています。
 また、勝島運河には、幕末の志士、坂本龍馬が若かりしころ、ペリー提督率いる黒船の来航に備えて、毎日海辺へ通い、監視、警護していたという史実も残っております。
 この逸話は、歴史研究家の小美濃清明氏と地元有志の品川龍馬会の方々が発掘し、昨年、龍馬生誕百八十年を記念して、浜川砲台と当時の三十ポンド六貫目ホーイッスル砲も実寸大で復元され、坂本龍馬像とともに、まちのにぎわいに寄与しています。
 都は、観光振興の観点から水辺の活用を図るとし、羽田から臨海地域への新たな舟運ルートを検討するとしています。
 このルートの検討には、地元区と連携を図りながら、運河等を含め幅広く検討すべきと考えますが、見解を求めます。
 また、その周辺エリアにあるさまざまな歴史的遺産や新たな観光資源をうまく組み合わせ、にぎわいを創出する取り組みを着実に進めていくべきです。見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 伊藤こういち議員の一般質問にお答えをいたします。
 防災対策についてですけれども、発生から五年を迎えます東日本大震災では、都内におきましても、三百五十万人を超える帰宅困難者の発生や交通ネットワークの麻痺など、都市としての防災上の課題が明らかになりました。
 首都直下型地震の切迫性が指摘される中で、過去の大震災の記憶を風化させずに、こういう教訓を生かしまして、大規模災害への備えを万全とすることは、都民の生命と財産を守る都知事としての私の使命でございます。
 こうした強い思いのもとに、この間、地域防災計画や防災プランを通じて、災害に強い都市づくりを着実に進めてまいりました。
 また、この被害を最小限に食いとめるためには、行政だけでなくて、都民や企業の方々にも、これは積極的に防災力の向上を図ってもらわないといけないと思っております。
 そこで、私が就任前は年に一度しかやっていなかったのを、春、夏、秋、冬、年四回の住民参加型訓練を実施いたしますとともに、大変好評な「東京防災」、これを各家庭に配布しまして、自助、共助の防災意識も喚起していただくと、そういう取り組みを積極的に進めてございます。
 こうした取り組みをこれからも推進しますとともに、二〇二〇年東京大会の開催を見据えまして、多様な主体と連携を図りながら、自助、共助、公助と、このそれぞれの力を結集させまして、世界一安全・安心な都市の実現に向けて全力を尽くしてまいります。
 そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 羽田から臨海地域への舟運ルートについてでございますが、都は、舟運に関する都民のニーズなどを把握するため、昨年、羽田と浅草とを結ぶ航路等を設定して試験的な運航を行いました。
 その際、乗船した都民などを対象に実施した意向調査では、運河沿いの水辺の景色や臨海部の夜景を評価する意見のほか、日本橋やお台場などへの運航を望む声もございました。
 来年度からは、定期航路の実現に向けまして社会実験を行う予定であり、試験運航で得られた意向調査の結果や舟運事業者の意見などを踏まえまして、地元区とも連携し、観光振興の点も含め、多くの利用者が見込めるルートの設定などについて検討を進めてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急地震速報の性能の向上についてでございます。
 首都直下地震のような震源に近い地震には、技術的に緊急地震速報が揺れの到達に間に合わないため、都は、平成二十六年度から、気象庁に対し速報の迅速性や精度の改善を求める提案要求を行い、協議なども実施してまいりました。
 この結果、気象庁は、大深度に設けられていた十五カ所の地震計を新たに利用し、首都直下地震に対して最大一秒程度早く速報を出せる体制を平成二十七年三月末に構築しました。また、新たな予測手法のPLUM法と従来手法を組み合わせたハイブリッド法が二十九年度中に運用開始予定であり、より高精度に速報を出すことが可能となります。
 都は、今後も気象庁との連携を一層密にし、研究開発への協力を進めることにより、東京の防災力向上を図ってまいります。
 次に、オフロードバイクの導入、活用についてでございます。
 昨年九月の総合防災訓練の会場において、関係局とともにオフロードバイクの走行実験を行い、災害時の情報収集などの活用について検証を行いました。
 その結果、オフロードバイクは、道路の一部閉塞など限られた場面では有効ではございますが、自動二輪免許を保有する職員が少ない中、相当の運転技術や経験が必要であるなどの課題もあることから、現状の体制では導入は難しいとの判断に至りました。
 一方で、災害時のオフロードバイクの有用性については確認できたことから、都といたしましては、自動二輪業界の協力を得て、その傘下にあり、約七百名の会員を有する災害ボランティアバイクネットワーク関東との協定締結を早期に行い、災害時の情報収集体制の一層の強化を図ってまいります。
 次に、障害者差別解消法に係る職員研修についてでございます。
 都では、全体の奉仕者としての高い倫理観や使命感とともに、職員の基本的素養である人権意識を醸成するため、毎年度、さまざまな人権課題を扱う研修を行ってまいりました。
 今般、法は改めて、障害者の態様に応じた合理的配慮の提供等を求めていることから、都は現在、職員対応要領を定め、代筆、代読、拡大文字の使用等の配慮事例を示した東京都障害者差別解消法ハンドブックを作成しております。
 今後は、このハンドブック等を研修に活用し、障害の特性に応じたさまざまな対応について職員の理解を深めてまいります。また、各局研修の講師養成などについても専門性の充実を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、職員が相手の立場に立った温かみのある配慮ができるよう促し、窓口等での実践的な対応力を向上させてまいります。
 最後に、障害者等に配慮した印刷物の作成についてでございます。
 都が作成、配布する印刷物は、その内容を広く都民の皆様にお知らせするため、これまでも読み手への配慮に努めてまいりました。
 その一方で、都の印刷物取扱規程は文字サイズの基準が画一的であり、この基準に基づいて作成されたパンフレットでは、高齢者や視覚障害者の方々にとって文字が小さく読みづらいとのご意見が寄せられることもあります。
 このため、障害者差別解消法の施行を踏まえ、今年度中に規程を改正し、作成目的に応じた文字サイズの選択を可能にするなど、柔軟な対応ができることを明確化いたします。さらに、活字やレイアウトの留意事項を各局に示し、これまで以上に読み手に配慮した取り扱いを実施してまいります。
 今後、こうした取り組みを区市町村にも周知することで、適切な情報提供を浸透させてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、災害時における心のケアについてでありますが、被災者の心の不調は発災直後に限らず、時間が経過してからPTSD等の症状があらわれることもあるため、中長期にわたって支援を行うことが重要でございます。
 都はこれまで、東日本大震災や大島土砂災害等の大規模災害時に、被災地にこころのケアチームを派遣し、健康調査や巡回相談など継続的な支援を行ってまいりました。
 こうした経験を踏まえ、来年度は、民間病院等と連携して、発災時に、精神科医師、看護師、心理職等の専門職でケアチームを構成して、機動的に活動できる体制を構築するとともに、被災者特有の症状への対処方法等を盛り込んだマニュアルを作成し、研修を実施いたします。
 今後とも、首都直下地震などの大規模災害に備え、心のケアの提供体制の整備を積極的に進めてまいります。
 次に、児童心理司の体制強化についてでありますが、児童心理司は、子供や保護者等にアセスメントや心理ケア等を行っており、虐待の初期対応から、保護、家族の再統合に至る各段階で支援を行っております。
 近年、虐待相談件数の増加や家庭の抱える問題の複雑化、虐待の深刻化などにより、その業務は増加し、担う役割も、より重要になっております。
 そのため都は、児童心理司を平成十七年度の四十一名から現在の七十八名にまで増員しており、来年度はさらに十三名増員するほか、人材育成等を担う児童心理の専門課長や児童心理司OB四名を新たに配置いたします。さらに、児童福祉司も十八名増員し、二百二十七名の体制とする予定であり、今後とも、児童相談所の体制を一層強化してまいります。
 次に、視覚障害者の情報バリアフリーについてでありますが、視覚障害者に対する情報提供に当たっては、全盲の方や弱視の方など障害の程度に応じて、点字、音声、大活字本など、さまざまな提供手段を確保する必要がございます。
 このため都は、視覚障害者用図書の制作、貸し出しや、点字録音刊行物の作成、配布のほか、点訳や朗読に関する指導者を養成する事業等を実施しております。
 また、区市町村が行う点字図書等の日常生活用具の給付や、点字、声の広報等の発行について財政支援を行っております。
 今後とも、区市町村に対し、大活字本等、給付する日常生活用具の種目拡大を働きかけるなど、視覚障害者が、必要な情報を多様な手段により容易に入手できるよう、情報バリアフリーの取り組みを進めてまいります。
 最後に、ヘルプカードの普及促進についてでありますが、都はこれまで、ヘルプカードの作成や活用等に取り組む区市町村を包括補助により支援してまいりました。
 来年度は、障害者理解促進のための特設サイト、ハートシティ東京を初め、デジタルサイネージ、映画広告などの多様な媒体を活用して広報を行うなど、効果的な普及啓発を実施いたします。
 また、カードの作成、使用方法等を定めたガイドラインを他の自治体に周知し活用を促すとともに、国に対し、障害及び障害者に関する啓発、周知のためのカードやマークの普及を提案要求するなど、広域的な普及に取り組んでまいります。
 今後とも、こうした取り組みにより、ヘルプカードの一層の普及を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二〇二〇年大会のボランティアについてでございますが、先月開催いたしましたシンポジウムでは、パラリンピアンの視点から見た障害者への接遇のあり方などを広く都民に紹介いたしました。
 大会において、さまざまな障害のある方々に対応できるボランティアを育成していくに当たりましては、こうした障害者からの視点に立つことが何よりも重要でございます。
 また、障害のある方自身が、ボランティアに参加しやすい環境をつくることも大変意義がございます。これにつきましては、東京マラソンやスポーツ祭東京での活躍事例が既にございますが、より幅広く可能性を探るため、来年度はさらに、ロンドン大会やリオ大会などの実例を調査いたします。
 こうした取り組みや東京都ボランティア活動推進協議会での議論などを踏まえ、この秋を目途に、ボランティアの育成や障害者のボランティアの参画を含めました都市ボランティアの運営体制等に関する戦略を策定してまいります。
   〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

○生活文化局長(多羅尾光睦君) アール・ブリュットの振興についてですが、アール・ブリュットは、新たなアートとしての魅力や多文化理解の促進につながる力を持っており、パラリンピックを契機に、そのすばらしさを多くの方々に伝えていくことは重要でございます。
 アール・ブリュットの魅力を社会に浸透させるため、都立文化施設や普及を推進する団体等のネットワークを活用し、お話の都庁舎なども含む、にぎわいのある場所での展覧会の開催等、効果的な普及施策を展開してまいります。また、埋もれた才能や作品の発掘に向けて、制作者を直接訪れて実態を把握するとともに、福祉施設等とも連携を深めていきます。
 今後、アートや福祉等のさまざまな分野における専門家の意見を踏まえ、こうした振興施策のさらなる具体化を進めてまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 水辺を活用した観光振興についてでございますが、東京の水辺を観光振興に役立てるため、運河や河川の周辺のエリアににぎわいを生み出し、周辺の歴史的建造物なども生かしながら舟運の利用等に結びつける取り組みは重要でございます。
 これまで都は、地元自治体が水辺の魅力等を生かし観光客の誘致を行う経費に対して助成を行ってまいりました。
 来年度は、観光関連団体など地域が主体となり、水辺の周囲に集客を図るためのイベントや運河の付近ににぎわいをつくり出すハード整備等の経費に対して助成を行ってまいります。
 こうした取り組みにより、水辺の魅力を生かした観光振興を図ってまいります。

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