平成二十八年東京都議会会議録第三号

   午後三時十五分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二番石毛しげる君。
   〔百二番石毛しげる君登壇〕

○百二番(石毛しげる君) 初めに、東京ブランディング戦略について、アフリカ、アジアを例に挙げてお伺いしたいと思います。
 まず、アフリカです。
 今まで私は、コンゴ、ナイジェリアなど諸国を訪れ、現地の学校づくりなど、かかわってまいりました。そこで出会った人たちに、このオリンピックバッジを配ったときのことですが、部族によっては衣服をまとわない人もいて、このバッジを耳につけたり鼻につけたり、アフリカならではのセンス、おしゃれに感動した次第であります。
 しかし、それ以上に私がびっくりしたのは、日本という国や東京という都市の名前さえ知らず、それは食べ物かといわれたことです。私たちも同様に、アフリカ五十四カ国ある国名やその首都を知らないことがあります。
 二十一世紀は、アフリカの時代といわれております。昨年、国連の人口予測では、アフリカ人口は世界人口の一六・一%、六人に一人の割合です。二一〇〇年には五人に二人がアフリカ人。このころには日本の人口八千三百万人に対して、ナイジェリア七億五千万人を筆頭に、アフリカで人口二億を超える国は七カ国に達します。
 今の人口割合の話をこの議場で例えるならば、百二十七人の議員に対して五十一人、ちょうど塩村さんからずっと野村先生にいったここ、こっち側がアフリカ人、残りをヨーロッパやアジア、北米、南米、オセアニアで割る、そんなイメージであります。どこかの一強多弱の様相であります。このようにアフリカ人口がふえるということであります。
 私は、二〇一一年二月の一般質問において、アフリカのコンゴのような必要とされる地に、水道技術の育成のため積極的支援をお願いしたところであります。現在、東京都水道局は、アフリカから毎年四十人前後の研修生を受け入れています。
 次に、アジアですが、昨年五月、都議会民主党で台湾の台北市を訪れた際に、柯文哲市長から、東京都水道局の協力で漏水率が二六・九%から一六・七%に改善されたことに大変感謝されていました。
 また、日本の金沢市が台湾の人々の間で観光地として人気とのことです。その理由を聞いたところ、台湾の教科書に載っている台湾のダムを建設した日本人、故八田與一氏の故郷だからだそうです。今も台湾の人々から敬愛されていることがうかがわれます。
 このように、インフラ整備の貢献は現地の人々の生活を豊かにし、良好な関係を築くことにつながります。
 さて、ご承知のように、東京都水道局は国際水協会の賞を連続受賞しております。二〇一八年九月には、日本で初のIWA、国際水協会世界会議が東京ビッグサイトで開催されます。
 私は、これから人口がふえるアフリカ大地や過疎地などの途上国に、安心・安全の東京水道局の技術によって普及することを切望いたします。途上国における水道事業の国際貢献について、知事の見解を伺います。
 喉が潤ったところで、次の質問に入ります。
 次に、外国人患者の受け入れについてお伺いします。
 まず、救急対応です。
 平成二十四年救急搬送された外国人数は六千七百七十七人、平成二十六年には八千四百八十二人と増加の一途をたどっております。
 東京都長期ビジョンによれば、東京消防庁は、平成二十八年度中にも、都心部十四署三十六隊に英語対応救急隊員を配置する計画です。また、総務省消防庁では、救急隊員の業務用スマートフォンに導入する多言語音声翻訳アプリの開発に乗り出しており、平成三十一年から、英、中、韓の三カ国語と日本語との翻訳を始めるとも報じられております。
 しかし、日本には、英語、中国語、韓国語圏以外の地域から日本にやってくる観光客も多く、特に私が心配しているのは、イスラム、つまりムスリムの女性への対応です。一般的にムスリムの女性は、夫以外の男性に肌を見せたり、さわらせたりするのはタブーとなっております。こうした方からの救急要請において、患者の生命を救うことを最優先に対応することはもちろんですが、宗教や文化、慣習を尊重し、できる限り配慮する必要があると考えます。
 ムスリムの言語は、主にアラビア語やインドネシア語が多いため、先ほどの三カ国語による対応だけでは十分ではありません。つまり、患者の症状や既往症などの情報を得るにも、現場での救急隊員とコミュニケーションがとれなければ対処のしようがなく、いたずらに時間が過ぎていきます。
 そこで、多様な宗教や文化等について理解を深めるとともに、英語対応救急隊の多言語化に取り組み、外国人旅行者の救急対応に万全を期すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、医療機関における外国人患者の受け入れ体制の充実について伺います。
 救急患者のほかにも、都内の医療機関を受診する外国人患者数も年々増加傾向です。特に、言葉が通じない日本で事故、病気、けがによるトラブルは、誰しもが不安です。世界各国から東京を訪れる外国人の誰もが、医療サービスを安全に、かつ安心して受けられるよう、医療機関において、言葉が通じない外国人患者に対してコミュニケーションの強化など適切な対応や、診断、治療をスムーズに行える体制整備が重要です。
 こうした医療機関における外国人患者受け入れ体制の整備を進めるには、病院機能評価などにより医療の質を評価している病院に対して、多言語による診療案内や、異文化、宗教に配慮した対応など、体制を第三者的に評価する制度を活用するのも一つの有効な方策であり、それを都が支援していくべきと考えます。
 そこで、外国人患者受け入れにかかわる第三者認証の取得支援についてお伺いします。
 次に、安らかな最期に向けた支援を行うみとりについてお伺いします。
 私の兄が亡くなって、この一月で一年になります。平成二十七年、都議会第一回定例会の代表質問で、その兄をみとる体験をもとに、地域包括ケアの最後に待ち受けるみとり、介護と医療の連携による在宅療養体制の整備について質問し、都からは、住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けたいという高齢者のニーズに応えるため、体制整備を推進するとの答弁をいただきました。
 超高齢時代、旅立ちのときを安心して住みなれた地域で迎えるためにも、みとりまでを含めて医療と介護が連携し、在宅での体制を整備していくべきと考えます。知事の見解を伺います。
 また、穏やかな旅立ちを迎えるために、地域での在宅療養体制の整備とあわせて、都民一人一人が自分らしく生きていくことや、旅立つことについてあらかじめ考えておくことが重要です。今や、エンディングノートや終活といった言葉に象徴されるように、みとりという言葉は、決して後ろ向きな言葉ではありません。
 都民に対して、みとりに関する理解を促進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 ついの住みかとして特別養護老人ホームなどを選んだ方も、現状では、多くのホームで救急搬送、病院での死亡宣告となることが多く、本人、家族が穏やかな最期を望んでも、かなわないのが現状です。施設における最期も、家族や家族にかわる人にみとられ、その人らしく旅立つことができるようにしていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 結びに、来るべきアフリカの時代に向けて、東京都がインフラだけではなく、教育、福祉、医療、文化などで貢献できたとするならば、アフリカから多くの観光客が、東京にはもちろんですが、九州、それも北九州の舛添知事の故郷にも訪れるかもしれませんね。
 私は、都知事が就任以来、種まきをしてこられた都市外交の苗が、東京ブランドという光輝く、世界の誰もが憧れる、そんな美しい花を咲かせてくれることを確信いたします。
 質問を閉じます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 石毛しげる議員の一般質問にお答えをいたします。
 大変アフリカにお詳しいので、いろんなこともきょう学ばせていただきまして、ありがとうございます。その中で、途上国における水道事業の国際貢献についてご質問ございました。
 世界では、ご承知のとおり、いまだ六億人を超える人々が安全な水を手にできておりませんで、多くの子供たちが命を落としているのが現状でありまして、人々の健康で文化的な生活には、安全な水が不可欠でございます。
 東京は、長い歴史をかけまして世界一の水道システムを築き上げておりまして、水質管理、先ほど台北の例が出ましたけど、漏水防止などのすぐれた技術やノウハウに対して、途上国から高いニーズがございます。
 今後とも、こうしたニーズを踏まえまして、途上国などからの研修生の受け入れ、講師の派遣、人材育成から技術協力などに至るまで、幅広く支援をしてまいります。
 Tokyo Tech Bookという我々がつくった、東京都が持っている技術、英語と日本語で書いてありますけれども、これを必ず外国から来られる方にお渡しして、我々が支援できるものは支援していくと、こういうことを行っております。これがグローバル都市東京の使命でもありますし、日本の友好国をふやすことにつながると思っております。
 二〇二〇年東京大会の二年前の二〇一八年に、IWA、世界の水の会議が東京で開かれます。途上国の水道事情の改善にぜひ積極的に貢献するとともに、東京から、さまざまな東京の魅力、特に水について発信をしていきたいと思っております。
 続きまして、医療と介護が連携しました在宅療養体制の整備ですけれども、多くの高齢者は、医療や介護が必要になっても、自宅で家族や友人などに囲まれて、最期のときを自分らしく迎えたいと思っておられると思います。
 お兄様の介護のご経験からいろいろお話しになりましたけれども、そのためには医療と介護が連携しないといけないし、最期まで在宅でみとりができる体制の整備が必要だと考えております。
 都は、地域における医療と介護の連携の仕組みづくりとか、それを担う人材の育成、それから二十四時間訪問診療を行える体制づくりなどに取り組んでまいりました。
 来年度は新たに、住宅や施設など住みなれた暮らしの場でのみとりを支援するために、看護師、介護福祉士などへの研修、それから環境整備のための支援を実施いたします。
 今後、こうした取り組みを一層進めまして、高齢者が住みなれた地域で安心して療養生活を送って人生の最期を迎えることができる、そういう環境の整備を整えてまいりたいというふうに思っております。
 そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
   〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 外国人旅行者への救急対応についてでありますが、東京消防庁管内において救急搬送される外国人傷病者数は増加傾向にあり、当庁では、三カ国語に対応するコミュニケーション支援ボード、十一カ国語に対応するコミュニケーションマニュアルを全救急隊に配置し、救急現場において活用しております。
 また、米国の消防機関に職員を派遣し、英会話能力の向上に加え、多種多様な生活習慣等に応じた接遇技術の習得や海外の文化等の理解を深める研修を実施しております。
 今後とも、派遣者が研修で得た経験や知識を全救急隊に浸透させるとともに、効果的なコミュニケーションツールを検討するなど、外国人傷病者への対応に万全を期してまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、外国人患者の受け入れに係る第三者認証についてでありますが、外国人が安心して医療機関を受診できる環境を整備するため、国は平成二十四年七月に、外国人患者受け入れ医療機関認証制度、JMIPを創設し、現在、全国で十三の医療機関、都内では一つの医療機関が認証されております。
 この制度は、医療機関における診療案内や診察の多言語対応、患者の宗教、習慣の違いを考慮した対応、院内スタッフへの教育、研修体制など、外国人患者の受け入れに関する項目を、受け入れ対応、患者サービスなどの五つの分類で評価するものでございます。
 都では来年度から、認証取得に取り組む医療機関に対する独自の補助を開始し、外国人患者の受け入れ体制の充実を図る医療機関を支援してまいります。
 次に、みとりに関する都民への普及啓発についてでありますが、誰もが住みなれた地域でその人らしく暮らし、本人や家族の希望に沿った最期を迎えられるようにするためには、地域における在宅療養体制を整備するとともに、都民一人一人が、みずからや家族のみとりについて、日ごろから考えておくことが重要でございます。
 そのため、都は、自分自身が人生の最終段階をどこでどのように過ごしたいかを考え、家族など周囲の人と話し合うとともに、家族の希望についてもあらかじめ理解しておくことの重要性などをまとめたリーフレットを来年度作成いたします。
 作成に当たりましては、有識者などから幅広く意見を聞くこととしており、講演会やホームページなどを通じて都民に周知を図っていく予定でございます。
 最後に、介護施設等におけるみとりについてでありますが、特別養護老人ホーム等の介護施設も暮らしの場の一つでございまして、みとりへの対応も含め、本人や家族の希望に応じて、顔なじみの職員や他の入居者とともに最期まで暮らし続けられる環境を整備することが求められております。
 このため、平成二十七年度の介護報酬改定では、みとり期の対応強化に向け、本人、家族の意向に基づくその人らしさを尊重したケアを実現する観点から、みとり介護加算が拡充をされました。
 また、都は来年度から、みとりに対応できる個室や家族の宿泊、休憩用の居室など、みとり環境を整備するための施設改修に対し、独自の補助を開始いたします。
 今後とも、本人や家族の願う形で人生の最期を迎えられるよう、介護施設等におけるみとりを支援してまいります。

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