平成二十八年東京都議会会議録第三号

○副議長(小磯善彦君) 八十七番高橋信博君。
   〔八十七番高橋信博君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○八十七番(高橋信博君) 初めに、知事による集会広聴について伺います。
 先日、舛添都政になってから三回目となる、舛添知事と語ろうが開催されました。このイベントは、知事による集会広聴事業として、昭和二十六年度から、歴代の知事の意向や個性を反映した形式や場所で開催されてきたと聞いております。
 私は、平成二十六年十月に小金井市で開催されました第一回目に参加いたしましたが、当日は語学ボランティアの育成など、二〇二〇年大会に向けた地域を挙げての外国人のおもてなしについて、知事自身が直接会場参加者へ問いかけたり、寸劇に参加したりするなど、これまでと違った形で行われていることを目にいたしました。イベントの終わりには、参加した方々から、自分も英語で簡単な道案内をできると思うようになったという声が多く聞かれるなど、おもてなしの心が参加者に伝わったことを実感いたしました。
 知事が直接都民と意見交換することは、都民にとって都政をもっと身近に感じることができ、大変意義あることです。
 そこで、この舛添知事と語ろうについて、知事はどのような考えで取り組んでいくのかについて所見を伺います。
 次に、皇居外苑堀の水質改善について伺います。
 皇居は、まさしく首都東京の顔であり、その周囲を囲む皇居外苑堀は、東京を代表する水辺空間であります。観光都市東京をアピールし、訪日外国人を含め、より多くの観光客に東京に来ていただくためにも、皇居とそのお堀を含めた空間が、より魅力のある場所でなくてはなりません。
 ところが、皇居外苑のお堀は夏場にはアオコが発生するなど、その水質がこれまで問題となってきました。都心に残された貴重な水辺空間である皇居外苑のお堀が水質の悪さで話題になる現状については、悲しい思いを禁じ得ません。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、皇居外苑堀のさらなる水質改善を目指すべきと考えますが、都の見解について伺います。
 次に、都市農業について伺います。
 まず、都市農地の保全についてです。
 都内の農業者にとって、農産物価格の低迷や生産コストの上昇など、厳しい経営環境が続いている中で、先月の降雪による被害に対し、都には、我が党の要望を受けて迅速に対応していただきました。被災農家が一日も早く復旧されることを願っております。
 さて、都市農地は、新鮮で安全・安心な農産物の生産に加え、防災やレクリエーションの場の提供などさまざまな機能を担っており、都民の暮らしにも大きく貢献しております。
 私の地元小平市内の農地では、その約五割が災害時の避難場所などとして活用できる防災協力農地に指定されています。特に、防災兼用農業用井戸については、多くの農業者から、積極的に整備していきたいとの要望も上がっております。
 しかし、こうした農地が持つ多面的な機能については、市民に十分浸透しているとはいえない状況であり、引き続き井戸等の整備を推進するとともに、今後は、防災協力農地を活用した避難訓練の実施などを通じて、都市農地の役割を理解していただくことが重要でございます。
 また、都民は、より質の高い生活環境を求め、都市の中にも農地を残したいとの意識が強まっています。最近では、宅地を農地に戻したいといった農業者の声も聞かれます。今後は、こうしたニーズにも対応し、限られた農地をしっかりと守っていかなければなりません。
 貴重な財産である都市農地を保全していくため、都は区市町が行うさまざまな取り組みを一層支援していくことが必要と考えますが、所見を伺います。
 東京の農業を発展させていくためには、農地保全に加え、担い手の確保、育成も大変重要です。
 東京の農業従事者は、この十年で二割以上も減少しており、その平均年齢も六十四歳と高齢化が進んでいます。こうした中で、毎年、農家の後継者が、Uターンや新規学卒により少ないながらも就農していますが、安定収入や農業の技術習得などの課題もあり、担い手は不足しているのが現状です。
 また、農家以外からの就農相談も毎年百件以上あると聞いておりますが、こうした就農希望者は、実践的な栽培技術を学ぶ機会が少ないことや、制度上農地が貸借しにくい現実があることから、その多くは就農に結びついておりません。
 東京農業の将来を考えた場合、農家の後継者の育成に加えて、今後は、農外からの就農希望者への支援の充実を図っていく必要があると考えますが、都の所見を伺います。
 一方で、Uターンや新規学卒により就農した農業後継者や、農地を借りて就農した新規就農者は、市場や農協への出荷に加え、農業生産の効率化や販売先の多角化等、さまざまな創意工夫に取り組んでおります。そうした中で、農業者の切実な願いは、一人でも多くの都民に都内産農産物のよさを知ってもらい、消費を拡大していくことではないでしょうか。東京の農業をさらに発展させていくためには、こうした農業の担い手が将来に明るい希望を持って農業経営に取り組むことが何より大切です。
 二〇二〇年の東京大会を四年後に控え、東京を訪れる観光客は、今後一層の増加が見込まれるとともに、世界文化遺産に和食が登録され、世界的な日本食ブームが巻き起こっている中で、都内産農産物を国内外の多くの人に味わってもらうチャンスが到来しております。
 今後、消費者の身近で生産された新鮮で安全・安心な都内産農産物の一層の消費拡大を図るためには、農産物のブランド化などに加え、二〇二〇年東京大会の大会施設や選手村、プレスセンター等で食材を提供することが必要だと考えます。
 そのためには、今から準備できることを着実に進めることが肝要だと思いますが、都はどのような取り組みを行っていくのか、見解を伺います。
 次に、観光ボランティアについて伺います。
 東京には、歴史、文化、自然など、多彩な魅力にあふれる数多くの観光スポットがあります。海外から東京を訪れた旅行者がこうしたスポットを初めて訪れる際に、英語や自分の国の言葉で目的地までの道案内や必要な観光情報を提供のできる観光ボランティアは、大変ありがたい存在だと思います。
 私の地元を含めた多摩地域は、豊かな自然に加え、歴史や文化に根差した史跡などさまざまな観光スポットが広い地域に点々とあることから、旅行者が一人でそれらを見て回るのは大変です。こうした観光名所を地域に精通した観光ボランティアが案内してくれれば、旅行者にとっての旅の快適さは一層高まるものと思います。
 都は、ボランティアを活用した観光案内サービスを実施していますが、多摩地域でもこうした取り組みを積極的に進めていくべきです。
 観光案内を行うボランティアのコースについて、多摩地域も含めて、内容の充実をしっかりと行うことが重要と考えますが、都としての来年度の取り組みについて伺います。
 次に、島しょ振興について伺います。
 超高速ブロードバンドは、全国の整備率が九九・九八%に達する基本インフラですが、都内区市町村のうち、伊豆諸島の利島村、新島村、神津島村、御蔵島村及び青ヶ島村の五村は、いまだに整備されておりません。このため、我が党はかねてより、五村の超高速ブロードバンドの早期整備実現を都に対して強く要望してきました。
 また、我が党は、国の財政支援を求める緊急要望など、国に対する働きかけを精力的に行った結果、このたび国の平成二十七年度補正予算において補助財源が確保されました。島しょ五村における超高速ブロードバンド整備がいよいよ実現する運びになったことを高く評価するとともに、今後の着実な推進を求めるものであります。
 そこで、整備事業の概要及び今後の整備の考え方について伺います。
 最後に、私の地元である小平市周辺の都市計画道路の整備について伺います。
 西武新宿線の小平駅は、小平市民のみならず、隣接する東久留米市や東村山市にお住まいの方々も含め、多くの方が利用する駅です。しかしながら、南口は駅前広場が整備されていますが、北口はアクセス道路や駅前広場が整備されていないため、路線バスなどの公共交通機関も運行できず、交通の結節点としての機能が十分に果たせていません。
 その北口において再開発事業の機運が高まり、ついに昨年九月に準備組合が設立されました。再開発事業において駅前広場を整備することになり、地域の活性化に向けて大きな一歩を踏み出しました。地元は期待感で満ちあふれております。
 駅前広場整備や再開発事業に合わせ、小平駅北口へのアクセス道路である小平三・四・一九号線と東村山三・四・二一号線の整備が重要であります。しかしながら、両路線は、今年度までの第三次事業化計画において、小平市及び東久留米市施行の優先整備路線となっているものの、事業化がされておりません。
 現在、策定中の第四次事業化計画の案においても、改めて優先整備路線に位置づけられています。
 小平市と東久留米市の両市に係る路線であることや、路線の一部が都立の小平霊園と重複していることから、早期整備に向け、都としても積極的に支援していくべきと考えますが、見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 高橋信博議員の一般質問にお答えします。
 知事と語ろうということについてでございますけれども、初回は、先ほど高橋議員がご説明していただきましたように、地域を挙げてどう外国人をおもてなしするかと、そういうテーマで行いました。
 ことしは、二月十日に世界一安全・安心なまち東京を目指して、今、都民の関心が高まっています防災ということをテーマに大田区で開催をいたしました。もう整理券を出さないといけないぐらいたくさん来ていただきまして、防災ブック「東京防災」を活用して、実際に私もこの防災グッズの製作を実演したり、専門家との意見交換を行いました。会場の皆さんと一緒に、そういう取り組みをやりまして、その場所に高校生も来ておりまして、みんなでこれは地域防災活動をやろうということで、いい催しができたというふうに思っております。
 こういうように、私自身が一番大事な都政の課題について、直接都民と議論して、その声を聞いて都政に反映させる、こういう方針でやっておりますけれども、今回、新たな取り組みとしまして、都が提供するテレビ番組で、実は収録をいたしまして、後日中継するという、放映するということで、その場におられた、来られた方以外の都民の皆様にも、その様子を発信していきたいと、そういうように考えております。
 今後とも、この舛添知事と語ろうという催しを通じまして、多様な都民とのコミュニケーションを図っていって、都政をわかりやすく伝えるとともに、皆様方の声を政策に反映していきたいと思っております。
 そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長がお答えをいたします。
   〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 小平駅北口へのアクセス道路整備についてでございますが、この道路は、西武新宿線の小平駅と西武池袋線の東久留米駅をつなぎ、北多摩地域の拠点間の連携などに資する重要な路線として計画されております。小平駅北口から東久留米市との市境までの区間は小平市が、その北側の区間は東久留米市が整備することとなっております。
 このうち東久留米市市内の計画区間につきましては、一部が小平霊園の区域と重複しており、これまで都は、都市計画道路と霊園双方の機能確保などについて関係者間で調整を重ねてまいりました。
 来年度は、東久留米市におきまして、この区間の事業手法など具体的な検討を行っていくと聞いてございます。都は引き続き、小平駅北口で再開発準備組合が検討を進めております駅前広場の整備を含むまちづくりの動向を踏まえまして、アクセス道路の事業化に向けて技術的支援を行ってまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 皇居外苑堀の水質改善についてでございますが、皇居は周囲をお堀で囲まれ、風格ある景観を形づくるとともに、豊かな緑と水が人々に潤いと安らぎをもたらしており、東京の名所の一つとなっております。
 このため、都は、皇居外苑堀の水質改善を図るため、平成二十五年に国に対し要望書を提出しております。
 皇居外苑堀を所管する環境省は、水質改善計画を策定し、これまでも浄化施設を設置するなど、各種の取り組みを実施しておりますが、今年度中には新たな計画を策定し、さらに取り組みを強化すると聞いております。
 都としても、二〇二〇年大会開催という機会を捉え、皇居外苑堀の水質改善を着実に進めるよう、国との情報交換をより密にするとともに、引き続き積極的な働きかけを行ってまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都市農地の保全についてでございますが、都市農地は、農産物の供給に加え、防災や環境保全等の機能を有する都民の貴重な財産でございまして、その保全に向けた取り組みを積極的に推進していくことが求められております。
 都はこれまで、都市農地保全支援プロジェクトにより、区市町に対し農地の防災機能を高める防災兼用農業用井戸や、周辺環境に配慮した農薬飛散防止施設等の整備支援を行ってまいりました。
 来年度は、本事業につきまして実施規模を拡大するとともに、防災活用を目的に宅地を農地に戻すための整備や井戸等を活用した消火訓練なども新たに支援対象とし、地域ニーズにきめ細かく応えた支援の充実を図ってまいります。
 今後とも、区市町と十分に連携をとり、ハード、ソフトの両面から都市農地保全の取り組みを一層推進してまいります。
 次に、新規就農者の確保、育成についてでございますが、農地を保全し、農業の安定的な継続を図るためには、農家の後継者はもとより、農外からの就農者を新たな担い手として確保、育成していくことが重要でございます。
 都はこれまで、就農相談や技術セミナー等を実施してまいりましたが、新規就農に当たりましては、農地の確保に加え、農業機械の導入や施設整備等の重いコスト負担、栽培技術や経営ノウハウを学ぶ場の不足といった課題がございます。
 そこで、来年度から、施設整備事業を拡充し、意欲ある新規就農者を支援対象に加えるほか、農業機械類の導入も可能といたします。また、先進農家から栽培技術や経営手法等の成功例を習得する実践的な研修制度を創設いたします。
 今後も、農地の有効活用等を進める農業団体と連携し、多様な担い手の確保、育成に努めてまいります。
 次に、都内産農産物の消費拡大についてでございますが、二〇二〇年大会は、都内産農産物の魅力を国内外へ発信し、消費拡大を図る絶好の機会でございます。
 大会での食材の利活用につきましては、ロンドン大会以降、持続可能性に関する国際認証等の取得が求められておりますが、農業者は都内販売を主としており、認証への認知度が低く、コスト負担等の理由からも取得が進んでおりません。
 そこで、都は来年度、新たに農林水産振興財団に基金を設置し、意欲ある農業者を対象に国際認証等の取得支援に向けた取り組みを開始いたします。
 具体的には、認証の意義や仕組み等に関する説明会を開催するとともに、コンサルタントによる取得のための助言や取得費用と二〇二〇年までの維持経費の補助を行ってまいります。生産拡大やブランド化に加え認証取得を促進することで、今後一層の消費拡大を図ってまいります。
 最後に、ボランティアによる観光案内についてでございますが、海外から東京を訪れる旅行者に対し、観光情報に詳しいボランティアが良質な案内サービスを提供できる観光ルートを数多く用意することは重要でございます。
 これまで都は、東京の有名な観光スポットをめぐる十のルートを選んで、ボランティアが正確で詳しい情報に基づき案内するサービスの提供を行ってまいりました。
 来年度は、観光ガイドの対象となるコースやスポットの調査を行い、案内サービスの充実に役立ててまいります。
 具体的には、多摩地域や水辺エリアにおける案内コースの充実を図るために、観光資源や交通手段の状況等の情報を収集し、新たな案内ルートの設定に向けた検討を行ってまいります。こうした取り組みにより、外国人旅行者へのボランティアによる案内サービスの充実を図ってまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 島しょ五村における超高速ブロードバンド整備についてでございますが、離島の情報通信基盤整備につきましては、国に一定の責任があることから、都は、五村と緊密に連携した取り組みを行い、今年度補正予算による国の財政支援を実現することができました。
 伊豆諸島では、冬の季節風により、一カ年で整備可能なのは、一島から二島程度であるため、都は整備工程を四分割した段階的整備を行うこととし、平成二十八年度は、御蔵島及び神津島の二島に海底光ファイバーケーブルを整備いたします。
 残る四島につきましても、引き続き支援を国に強く要望して、継続的な国費補助の確保を図るとともに、平成二十九年度以降の早期かつ確実な整備を推進してまいります。

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