平成二十八年東京都議会会議録第二号

平成二十八年二月二十三日(火曜日)
 出席議員 百二十三名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番菅野 弘一君
四番川松真一朗君
五番山内  晃君
六番栗山よしじ君
七番堀  宏道君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番やながせ裕文君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番中山ひろゆき君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番松田やすまさ君
二十一番河野ゆうき君
二十二番ほっち易隆君
二十三番舟坂ちかお君
二十四番島崎 義司君
二十五番鈴木 錦治君
二十七番宮瀬 英治君
二十八番田中 朝子君
二十九番上田 令子君
三十番山内れい子君
三十一番西沢けいた君
三十二番田中  健君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番神野 次郎君
四十一番木村 基成君
四十二番北久保眞道君
四十三番高椙 健一君
四十四番栗山 欽行君
四十五番大場やすのぶ君
四十六番近藤  充君
四十七番桜井 浩之君
四十八番山崎 一輝君
五十番石川 良一君
五十一番両角みのる君
五十二番西崎 光子君
五十三番あさの克彦君
五十四番新井ともはる君
五十五番中村ひろし君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番東村 邦浩君
六十四番崎山 知尚君
六十五番鈴木 章浩君
六十六番清水 孝治君
六十七番小松 大祐君
六十八番柴崎 幹男君
六十九番和泉 武彦君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番鈴木 隆道君
七十二番早坂 義弘君
七十三番高木 けい君
七十五番野上ゆきえ君
七十六番島田 幸成君
七十七番今村 るか君
七十八番大西さとる君
七十九番小山くにひこ君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番高橋 信博君
八十八番中屋 文孝君
八十九番三宅 正彦君
九十番小宮あんり君
九十一番田中たけし君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番山田 忠昭君
九十六番林田  武君
九十七番こいそ 明君
九十八番田島 和明君
九十九番古賀 俊昭君
百番斉藤あつし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番長橋 桂一君
百九番中嶋 義雄君
百十番立石 晴康君
百十一番神林  茂君
百十二番秋田 一郎君
百十三番宇田川聡史君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番高島なおき君
百二十番野村 有信君
百二十一番吉野 利明君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
百二十二番 内田  茂君
 欠員
    二十六番  四十九番  七十四番

 出席説明員
知事舛添 要一君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務安井 順一君
政策企画局長川澄 俊文君
総務局長中西  充君
財務局長長谷川 明君
主税局長小林  清君
警視総監高橋 清孝君
生活文化局長多羅尾光睦君
オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋 正宏君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長山本  隆君
建設局長佐野 克彦君
港湾局長武市  敬君
会計管理局長塚本 直之君
交通局長塩見 清仁君
消防総監高橋  淳君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長真田 正義君
中央卸売市場長岸本 良一君
選挙管理委員会事務局長安藤 弘志君
人事委員会事務局長藤田 裕司君
労働委員会事務局長櫻井  務君
監査事務局長猪熊 純子君
収用委員会事務局長目黒 克昭君

二月二十三日議事日程第二号
第一 第一号議案
平成二十八年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成二十八年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成二十八年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成二十八年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成二十八年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成二十八年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成二十八年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成二十八年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成二十八年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成二十八年度東京都と場会計予算
第十一 第十一号議案
平成二十八年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二 第十二号議案
平成二十八年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
平成二十八年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
平成二十八年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
平成二十八年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
平成二十八年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十七 第十七号議案
平成二十八年度東京都病院会計予算
第十八 第十八号議案
平成二十八年度東京都中央卸売市場会計予算
第十九 第十九号議案
平成二十八年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十 第二十号議案
平成二十八年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成二十八年度東京都港湾事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成二十八年度東京都交通事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成二十八年度東京都高速電車事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成二十八年度東京都電気事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成二十八年度東京都水道事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成二十八年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成二十八年度東京都下水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第二十九号議案
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第三十号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの都道府県知事保存本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
東京都スポーツ・文化振興交流基金条例を廃止する条例
第四十三 第四十三号議案
東京都消費生活総合センター条例
第四十四 第四十四号議案
東京都私立学校教育助成条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
東京都障害者スポーツ振興基金条例
第四十六 第四十六号議案
東京都体育施設条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
東京都いじめ防止対策推進条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
東京都建築審査会条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
東京都文教地区建築条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
東京都国民健康保険財政安定化基金条例
第六十一 第六十一号議案
東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
東京都軽費老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
東京都指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
東京都養護老人ホーム条例を廃止する条例
第六十七 第六十七号議案
東京都認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
東京都立多摩療育園条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
東京都森林整備加速化・林業再生基金条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
緑の東京募金基金条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
歓楽的雰囲気を過度に助長する風俗案内の防止に関する条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
東京都デートクラブ営業等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
オリンピックアクアティクスセンター(仮称) (二十七)新築工事請負契約
第九十六 第九十六号議案
有明アリーナ(仮称) (二十七)新築工事請負契約
第九十七 第九十七号議案
平成二十七年度海の森水上競技場整備工事請負契約
第九十八 第九十八号議案
警視庁大森合同庁舎(二十七)改築工事請負契約
第九十九 第九十九号議案
都営住宅二十七H─一〇二・一〇三西(練馬区上石神井四丁目)工事請負契約
第百 第百号議案
木下川排水機場耐震補強工事請負契約
第百一 第百一号議案
上平井水門耐震補強工事請負契約
第百二 第百二号議案
上平井水門耐震補強工事(その二)請負契約
第百三 第百三号議案
平成二十七年度十三号地新客船ふ頭岸壁(-(マイナス)十一・五m)防波堤建設工事請負契約
第百四 第百四号議案
包括外部監査契約の締結について
第百五 第百五号議案
東京都と神奈川県との境界にわたる町田市と相模原市との境界変更について
第百六 第百六号議案
境界変更に伴う財産処分に関する協議について
第百七 第百七号議案
東京都立有明北緑道公園の指定管理者の指定について
第百八 第百八号議案
都道の路線の認定及び廃止について
第百九 第百九号議案
都道の路線の廃止について
第百十 第百十号議案
平成二十八年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百十一 第百十一号議案
平成二十七年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区の負担の変更について
第百十二 第百十二号議案
東京都立東京臨海広域防災公園の指定管理者の指定について
第百十三 第百十三号議案
多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百十四 第百十四号議案
平成二十七年度東京都一般会計補正予算(第一号)
第百十五 第百十五号議案
平成二十七年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百十六 第百十六号議案
平成二十七年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百十七 第百十七号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第百十九 第百十九号議案
平成二十七年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第百二十 第百二十号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第百二十一 第百二十一号議案
東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十二 第百二十二号議案
東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十三 第百二十三号議案
東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十四 第百二十四号議案
東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十五 第百二十五号議案
東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十六 諮問第一号
地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について

   午後一時開議

○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川井しげお君) これより質問に入ります。
 百十三番宇田川聡史君
   〔百十三番宇田川聡史君登壇〕

○百十三番(宇田川聡史君) 平成二十八年第一回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 我が党は、世界で一番の都市東京という目標を掲げ、二〇二〇年、平成三十二年のオリンピック・パラリンピック東京大会の成功、そしてその先の東京の将来を見据え、全力で取り組んでまいりました。
 この目標を実現するためには、我々の提言を踏まえて策定された長期ビジョンの実効性が予算でしっかり担保され、それを着実に推進していくことが不可欠であります。
 平成二十八年度予算案を見ると、長期ビジョンに関連する事業は一〇〇%予算化され、一兆二千五百億円が計上されています。まさに、長期ビジョンに掲げた事業を確実に前進させるという強い決意のあらわれであると受けとめております。
 知事として二年間が経過し、折り返し地点に達しました。当初描いていた理想や目標、その実現や達成について振り返り、検証されたことと思います。今後の都政運営に対し、新たな決心を抱いておられるとも思います。
 知事が掲げた世界一の東京、そして史上最高のオリンピック・パラリンピック、この実現のためには、来年度の事業に滞りがあってはなりません。二〇二〇年という目標に対し、決して先延ばしは許されません。都民生活の向上、都政のさらなる発展のためには、決死の覚悟を持って、責任あるかじ取りが求められると考えます。東京の将来の姿を描きつつ、地に足のついた都政運営の役割をしっかりと果たしていただきたい。
 知事は、平成二十八年度予算をどのような思いで編成されたのか、行政のトップとして、そして政治家としての舛添都知事の考えをお聞かせいただきたい。
 長期ビジョンに掲げる政策の実行に向け、平成二十八年度予算は七兆円を超え、昨年度に続き積極予算となりました。今後も行政需要の増大が見込まれる中、都民が直面する現実をしっかりと捉え、限りある財源を、無駄なく質の高い施策の実現に向け投入していく、このことは決して忘れてはならない重要な視点であります。
 都はこれまで、事業評価を年々強化するなど自己改革を推進してきました。自己改革の取り組みは、財源の確保という点のみならず、何よりも施策の一つ一つを、真に都民に必要なものへと磨き上げるために行わなければなりません。
 都民の視点に立った施策の実現のためにも、自己改革を一層推進すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 都は、昨年策定した東京都総合戦略において、東京と地方の共存共栄を前面に打ち出しました。これは、都ならではの考え方であり、日本全体の発展を目指す真の地方創生を実現するために不可欠なものだと考えます。
 平成二十八年度予算案も提出され、総合戦略は策定から実行のステージに移りました。共存共栄の関係を実のあるものにしていくためには、都みずからが他の地域の懐に飛び込んでいくことが必要なのではないでしょうか。
 我々も、オリンピック・パラリンピックの誘致の際には、四十六道府県、そして全ての政令都市に協力要請を行いました。知事や市長、地方議員の皆さんとさまざまな課題について胸襟を開いた話し合いができ、そしてオール日本での政策展開という大局観を共有することもありました。このことが、東京大会をかち取った大きな要因の一つだったのではないでしょうか。これもひとえに、みずからが足を運んだからこその結果であり、今思えば、こうした行動が真の地域連携につながるのだと考えます。
 共存共栄は、多岐の分野において展開していくものです。さまざまな現場を持つ都は、他の地域の課題解決に役立つノウハウも持っています。
 一方、二〇二〇年東京大会を成功させるためには、日本全体の力をかりなければなりません。都の強みを惜しみなく提供し、各地域がそれを活用していく、あるいは全国各地の力に東京が支えてもらう、そうした中で信頼関係が構築され、共存共栄が育まれます。
 総合戦略を取りまとめた政策企画局は、戦略全体の総合的かつ積極的な推進を図る立場にあります。東京と地方の共存共栄を推進するため、みずから汗をかき、他の地域とのつながりを強めていくことが極めて重要と考えますが、見解を伺います。
 二〇二〇年東京大会について伺います。
 昨年末から大会経費についてさまざまな報道がなされておりますが、オリンピック・パラリンピックは、二百を超える国と地域から一万五千人を超えるアスリートたちが集い、競い合う、世界最大、最高のメガイベントであります。
 それに加え、現在、テロの脅威といった新たな課題も発生するなど、既に質量ともに招致時点の想定をはるかに超える壮大な事業となっております。これほどの大事業をなし遂げるためには、東京都、国、組織委員会などが一致協力して突き進まなければなりません。
 しかし、最大の責任はどこにあるのか、申すまでもなく開催都市である東京都がその立場にあります。東京都が中心となって、課題を正面から受けとめ、戦略を立て、国を巻き込み、組織委員会とも強力にタッグを組んで、責任を果たしていくべきであります。
 史上最高の大会を成功に導く、並大抵の努力ではままならない。時には、大小さまざまな障害が立ちはだかることもあるでしょう。しかし、その厚く大きな壁を確実に乗り越える、突き破らなければならないのであります。そこに逃げ道はなく、遠回りしている時間もありません。今、我々が信じ、そして進むべき道は一つしかないのであります。限られた時間で大きな成果を生み出すためには、決死の覚悟で、必ずや重責を全うするという強固な意思が求められるのであります。
 時には、批判にさらされる場面があるかもしれない。しかし、泥をかぶることをいとわずに前進し続けなければ、大会成功という栄誉を手に入れることはできません。
 我々は、子供たちに夢と希望と感動を与えてあげたい、その一心で招致に力を尽くしてまいりました。それは目には見えなくとも、何物にもかえがたい宝になると確信したからこそであります。オリンピック・パラリンピックの成功は、有形無形の大きなレガシーを生み出すのであります。
 これまで大会招致に尽力されてきた全国の人たちの思いをしっかりと受けとめ、大会成功に向けた確かな道筋をつけるには、開催都市の責任者である知事こそが、どのような状況であろうとも重責を果たしていかなければなりません。知事の確固たる決意をお伺いいたします。
 さて、本年夏にはリオデジャネイロ大会が開催されます。全世界がオリンピック・パラリンピックのすばらしさを実感できるこの機会を最大限に活用し、その機運を二〇二〇年の東京大会につなげていかなければなりません。
 また、次回開催都市としてリオ大会をともに盛り上げるとともに、東京、そして日本の持つ技術、文化、伝統といった魅力を世界に発信していくべきです。
 東京大会を四年半後に控えた今、大会の開催を契機に、世界で一番の都市東京を実現するためには、かねてからの我が党の主張を取り入れ策定した、二〇二〇年に向けた東京都の取組により明確となった方向性に沿って、大会準備を全力で進めていくことが求められています。
 今後、建設が本格化する新規恒久施設の着実な整備やバリアフリー化の推進、障害者スポーツの振興など、ハード、ソフト両面における取り組みを、大会開催時はもとより、レガシーとして継承するために一段と加速化させ、着実に進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 二〇二〇年の東京大会の成功が重要であることは当然でありますが、大会が終わった後に確かなレガシーを残して初めて真の意味での成功といえます。
 かねてより我が党は、障害者スポーツを飛躍的に振興させるため、さまざまな観点から施策の充実を求めてまいりました。障害者スポーツが、都民、国民の日常に溶け込んだ東京を実現することこそ、東京大会のレガシーの最たるものとなるのではないでしょうか。障害者への配慮は、高齢者や子供への優しさにもつながります。
 レガシーの実現に向けては、確かな戦略性を持って効果的な事業を展開し、障害者スポーツを取り巻く環境を大きく変革していかなければなりません。そのためには、確かな方向性とそれを具現化していくための安定的な財政基盤が欠かせません。この点を、我が党は第四回定例会の代表質問などにおいて強く主張をしてきました。
 そして、都はこのたび、障害者スポーツ振興基金を創設することとし、本定例会に条例案を提出しています。この基金を創設する意義と障害者スポーツ振興の今後の方向性について、知事の見解を伺います。
 最近、テレビ番組やCMで義足ランナーや車椅子競技が登場する場面を目にします。しかし、障害者スポーツへの関心は依然として低く、昨年十一月に発表された都の世論調査では、都民の半数近くが関心がないと答えています。
 こうした状況を改善するためには、障害者スポーツ大会や選手の姿を目にする機会を格段にふやし、都民にとって身近なものにすることが必要です。それに加えて、都民が障害者スポーツ選手個人の魅力に触れ、ファンとしての感情を抱き、親身になって応援していくような機運を醸成していかなければなりません。
 二〇二〇年の東京パラリンピックを満員の観客で盛り上げ、大会後に障害者スポーツを東京にしっかりと根づかせるため、戦略的な普及啓発を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京大会というひのき舞台で、地元東京の選手が活躍する姿は、多くの都民に夢や感動をもたらします。来年度は、大会まで残り四年となり、競技力向上施策を一段と加速していかなければなりません。
 特に障害者アスリートは、遠征や試合で介助者のサポートが必要であり、選手を支える競技団体の体制が十分でないなど、選手個人に大きな負担がかかっています。
 また、東京大会を目指して努力する選手の存在は、地元にとっての誇りでもあります。今から選手その人に光を当て、地域で応援する機運を盛り上げていくことも重要です。
 大会の成功に向け、選手個人に着目した支援を充実していくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、選手村は、世界中から一流のアスリートが集いリラックスできる環境の中で、最高のパフォーマンスを生み出すための準備をする場であります。東京都は、開催都市として、大会運営上のかなめとなる選手村を確実に整備する使命があると考えます。
 そして、大会後には、単なる大規模な住宅地とするのではなく、環境負荷の少ないスマートシティーとして生まれ変わらせ、住む人も来る人も、都市生活の豊かさを実感できる先進的なまちとすべきであります。こうした選手村の整備を、限られた時間の中でどのように実現していくのか、今後の取り組みについて伺います。
 東京大会では、世界各国から数多くの選手や大会関係者、観客などが、東京、そして日本を訪れます。選手が最高のパフォーマンスを発揮し、観客が快適な滞在を楽しむ上で、おもてなしの心を持って接するボランティアの活躍は、大会の成功にとって必要不可欠な存在です。
 また、ボランティアが大会の機運を盛り上げる上で果たす役割も大きく、大会開催時には、ボランティアとしてぜひ参加したいとの声も多く寄せられるなど、都民の関心も高く、この思いを大会の盛り上げにつなげていくことは、大会を成功させる上でも重要です。
 東京マラソンは、毎年一万人以上のボランティアによって支えられ、既に延べ十万人に及ぶ人たちが活躍しています。その経験やノウハウを、二〇二〇年の東京大会に生かしていくべきです。ボランティアの募集、育成などに計画的に取り組んでいくことにより、大会の成功が現実化していきます。
 二〇二〇年大会のボランティアの確保に向けた今後の具体的な取り組みを伺います。
 東京が抱える多種多様な課題を解決し、豊かな生活を実現するためには、都民一人一人のニーズにきめ細かく対応することが不可欠ですが、それには自助、公助、共助がバランスよく機能することが大切です。
 地域においては、既に町会、自治会などが共助における大きな役割を果たしており、また、防災、福祉などさまざまな分野においても、ボランティアが活躍している姿を目にします。
 今後、さらなる高齢社会や大規模災害の脅威など、多くの課題が深刻化する中で、ボランティア活動などを通じた人々の支え合いがますます重要となってきております。
 ボランティア活動を推進するためには、既にさまざまな場で活躍しているボランティアに光を当てるとともに、活動しやすい環境をつくっていくことが大切です。そして、実際に活動しているボランティアの人々からの口コミによって、活動の輪が広がっていくのだと考えます。
 都は、このたび共助社会づくりを進めるための指針を策定いたしましたが、今後、都民のボランティア活動推進のためにどのように取り組むのか伺います。
 既に活躍しているボランティアの一つとして、東京消防庁災害時支援ボランティアがあります。平成七年に発生した阪神・淡路大震災で、建築物の被災度判定や救援物資の仕分けなどのボランティアが全国から集まり、その内容が大きく報道されたこともあり、震災時のボランティア活動の重要性がクローズアップされました。
 こうした状況の中、同年七月、東京消防庁は災害時支援ボランティアを発足させ、昨年二十年を迎えました。現在では約一万六千名の方々が、消防職員や地域の消防団員と連携し、災害に立ち向かう防災のリーダーとして日々訓練に励んでいます。
 そこで、こうした方々の技能を生かし、平常時にも活動できる機会を確保するとともに、活動環境の向上を図るなど、さらに活性化させていくことが必要だと考えます。見解を伺います。
 都では、リオ大会後から四年間、これまでにない多彩で魅力的な文化プログラムを展開し、東京の文化を世界に発信していくこととしており、昨年十二月に発表した二〇二〇年に向けた東京都の取組には、大会後のレガシーを見据えた文化プログラムの大きな方針が掲げられています。
 方針を踏まえ、東京が有する文化の独自性の源泉ともいえる、伝統文化を初めとしたさまざまな芸術文化の魅力を向上させ、未来につながるレガシーを残していくためにも、都みずからが象徴的なプログラムを実施していくことが重要です。
 あわせて、日本文化の結節点である東京の強みを生かし、東京と地方それぞれが持つ魅力を最大限生かした事業を展開していく必要があると考えます。
 リオ大会後から始まる文化プログラムにおいて、都は、レガシーを見据えてどのように事業を展開していくのか、見解を伺います。
 我が党は、ラグビーワールドカップの成功に向けても、議員連盟での活動等を初め、先頭に立って取り組んでまいりました。
 昨年十二月には、都議会に二〇一九年大会を集中的に審議する場としてラグビーワールドカップ特別対策委員会を設置し、精力的に取り組みを開始したところであります。
 イングランド大会での日本代表の活躍を契機に、現在ラグビーは、かつてない盛り上がりを見せており、多くの都民、国民が二〇一九年大会を本当に楽しみにしていることを改めて実感しているところであります。
 大会開催に向けて、既に具体的な準備のステージに入っており、取り組みを加速させるとともに、開催機運を二〇一九年まで持続させ、大会を必ずや成功させる必要があると考えます。
 また、昨年の第三回定例会では、東京スタジアムの改修や周辺整備などについて、中長期的な視点を持って取り組むべきと指摘したところであります。会場としてのあり方や、会場周辺アクセス等について対策を講じるほか、組織委員会から都に要請のあった開催都市分担金の支払いも含め、都が率先して大会運営を支え、準備を着実に進める必要があると考えますが、今後の取り組みについて知事の所見を伺います。
 次に、東京の災害対策についてでありますが、一たび首都直下地震が発生すれば、多数の負傷者や避難者の発生が想定されます。こうした多くの方々の命を守っていくためには、負傷者を迅速に病院等へ搬送し、物資を避難所等へ輸送するルートをしっかりと確保しなければなりません。
 一方で、都があらかじめ指定している緊急輸送道路だけでも約二千キロメートルあり、震災発災後の混乱の中で、その全てを迅速に確保することは容易ではありません。
 こうしたことから、発災時には、都や国、区市町村、関係機関等が一体となって、緊急車両等が通行可能なルートを早急に確保できるような仕組みを構築し、都民の命を守り、首都機能を維持していくことが不可欠であります。
 都は、発災後の緊急輸送ルート確保に向けた取り組みを今後どのように展開していくのか、所見を伺います。
 緊急輸送ルートは陸路だけではありません。仮に道路閉鎖を余儀なくされたとしても、海路での輸送は可能であるとともに、陸送よりも一度に大量な物資を運ぶことが可能となります。舟運は、人を運ぶこと以上に、物資輸送に大きな意義を有しています。今後、緊急輸送ルートとしての海運のあり方についても検討を進めるよう要望いたします。
 また、大規模災害等の初動時には、この緊急輸送ルートを生かして、警察、消防、自衛隊などの防災機関が相互に連携し、効果的な救助活動を実施していくことが求められます。
 昨年九月の関東・東北豪雨では、各機関が連携した救助活動によって多くの人が救助されました。各機関の連携体制を事前に整備していくことの重要性が改めて認識されたところであります。
 都は、平成二十六年四月に、発災後七十二時間の重要性に鑑み、都と各機関の基本的な連携マニュアルである首都直下地震等対処要領を策定しておりますが、より実災害に即した内容に適宜見直ししていくべきと考えますが、都の所見を伺います。
 東日本大震災や昨年の関東・東北豪雨など災害を振り返ると、広域的な災害対応の必要性を痛感しております。自治体や官民の垣根を取り払い、それぞれが密接に連携し、総力を挙げて災害対応を行わなければ、都民の生命、財産は、決して守ることはできません。
 こうした観点から、我が党は、昨年十月に都に対して緊急要望を行い、広域的な防災対策を一段と推進していくことを強く要望したところであります。
 とりわけ旧立川政府倉庫については、国の活用案はないとも聞いており、都が取得し、自助、共助、公助の観点から、多摩地域を初め、広域的な防災力を高めていく施設として積極的に活用することは有効な手だてだと考えます。
 平成二十八年度予算案に取得費などが盛り込まれており、我が党の要望を受けた取り組みが着実に進んでいるものと思われます。
 今後、取得した倉庫をどのように活用していくのか、見解を伺います。
 東日本大震災では、都内においても五つの区で液状化による建物被害が発生しました。首都直下地震に限らず、遠隔地で発生した地震によっても液状化の被害が生じる可能性は否定できず、当時の浦安市での被害状況を考えれば、道路や上下水道などの基幹的インフラの機能停止により、長時間にわたる生活不全に陥ることが懸念されます。
 大震災発生時の危機管理は、耐震化、不燃化とともに液状化対策も重要である、私は繰り返し、そう主張してまいりました。都は、情報提供や相談体制の整備など、建物所有者に対する支援を整備してきましたが、残念ながら十分だとはいいがたい状況です。
 耐震化や不燃化などと同様に対策を促進すべきと考えますが、建築物の液状化対策について、都の認識を改めて伺うとともに、今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 我が党は、さきの第三回定例会で、首都直下地震の危機、施設の老朽化に加え、火山噴火やテロ行為など、安定給水を脅かす危機要因に備えた施設づくりの重要性を指摘しました。
 それに対し、浄水場の大規模更新に際しては、覆蓋化などを多角的に検討するとの答弁がありましたが、浄水場更新の機会を捉え、危機に備えた強固で強靱な施設を効率的に整備すべきであります。
 また、浄水場は広大な敷地を有しており、更新整備に当たっては、地域住民への還元についてもあわせて考えるべきであります。
 そこで、浄水場更新に合わせた覆蓋化整備の基本方針について伺います。
 また、日々の救急体制の強化も必要です。高齢化の進展等により、救急車の出動件数は増加の一途をたどっており、救急隊が現場に到着する時間も、この六年で約一分延びているのが実態であります。
 四年後には、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、国内を初め、世界中から多くの人々が東京を訪れます。都民はもとより、こうした方々の東京滞在中の病気やけが、さらにはテロ災害等による多数負傷者の発生に素早く対応するため、救急隊を計画的に増隊し、安全・安心の確保に万全を期す必要があると考えます。
 そこで、来年度予定している救急隊の現場到着時間短縮の取り組みと、二〇二〇年大会を見据えた今後のさらなる救急活動体制の強化について、見解を伺います。
 また、都内では、悲惨な交通事故により、いまだに多くの方々が亡くなられており、我が党は昨年の第四回定例会で、さらなる対策の強化を求めたところです。
 これを受けて、都が先ごろ公表した新たな交通安全計画の中間案では、死者の約四割を占める高齢者の安全確保や、全国に比べ事故の関与率が高い自転車の安全対策など、四つの重点課題を設定しています。
 世界の諸都市の中でも、自転車利用者が多い東京においては、根本的な対策をなさなければ、事故を減少させることはできません。自転車安全利用条例に基づく対策を進めていますが、いまだにルール、マナー違反は後を絶たず、新たな対策の検討が急務です。
 現在の道路スペックの中で自転車走行レーンを整備することにより、危険性はふえているのが現状です。
 都民の安全を守るため、現場に即した取り組みを着実に進めていく必要があると考えますが、所見を伺います。
 昨今、毎日のように、国内外を問わず、サイバー攻撃による被害が報道されております。このような状況の中、安全・安心な都民生活を実現していくためには、区市町村を含めた都のサイバーセキュリティー対策をさらに強化していく必要があります。
 昨年の第三回定例会において、都では、来年度から東京都CSIRTを設置し、サイバーセキュリティーレベルの向上を図るとの答弁がなされました。
 そこで、区市町村を含め、都はどのようにしてサイバーセキュリティーレベルの向上を図っていこうとしているのか、見解を伺います。
 次に、医療、福祉等に対して、幾つかお尋ねをしてまいります。
 いわゆる団塊の世代が後期高齢者になる平成三十七年に向け、効率的で質の高い医療提供体制を確保するため、都道府県は地域医療構想を策定することとなっています。
 東京には、特定機能病院の集積、公共交通網の発達、圏域を超えた受療動向などの地域特性があります。こうした中で、都は、二次保健医療圏ごとに病床の適正配置を進めるとともに、周産期医療などの疾病や事業ごとに医療連携体制を構築してきました。
 我が党は、これまでの都の取り組みも踏まえ、東京の特性を反映した地域医療構想を策定できるよう国に要望するとともに、策定に当たっての都の考え方について、昨年の第一回定例会で質問したところであります。
 都は昨年来、策定に向けた議論を進めていると聞いていますが、地域医療構想の策定状況と今後の進め方について伺います。
 都は、昨年三月、平成三十七年の介護サービス見込み量や介護人材の需給推計を踏まえて、第六期高齢者保健福祉計画を策定し、平成二十七年度から平成二十九年度までの間に取り組む施策を明らかにしました。
 一方、国は、一億総活躍社会の実現に向けた目標の一つとして、介護離職ゼロを掲げています。昨年十一月には、都市部での施設整備の促進や介護人材の確保を進めるための緊急対策が示され、平成二十七年度補正予算を含め、積極的な取り組みを進めることとしています。
 都としても、こうした国の動向も踏まえ、高齢者施策の一層の充実を図るべきと考えます。所見を伺います。
 高齢者人口がふえれば、必然的に要介護高齢者数も増加いたします。
 都は、介護や医療が必要になっても、地域でできる限り自立して暮らし続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいますが、介護サービス基盤の整備に当たっては、高齢者のみならず、その方々と生活をともにする家族にも目を配ることが必要だと考えます。
 また、都は、障害者の地域生活支援にも取り組んでおりますが、施策の推進に当たっては、自宅で障害児者の生活を支えている家族のレスパイトについても、十分配慮すべきであります。
 高齢者や障害者が安心して地域生活を送るためには、本人への支援はもちろんですが、在宅生活を支える家族に対する支援の充実が重要と考えますが、見解を伺います。
 地域包括ケアシステムにおいては、医療も重要な構成要素の一つであり、患者の状態に合った質の高い医療を、地域で切れ目なく提供できる体制を整備することが必要です。
 そのためには、地域医療を担う医療機関の連携強化が必要であり、ICTを活用したネットワークを構築し、迅速かつ適切な患者情報の共有を図ることが有効な手段であると考えます。
 アメリカ・オハイオ州のクリーブランドクリニックでは、他の医療機関や患者とネットワークを結び、それを活用して切れ目なく高度な医療サービスを提供し、高い信頼を得ていると聞いています。
 都においても、医療提供体制のさらなる充実に向け、医療機関相互のICTネットワークの構築を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 ひとり親家庭や低所得世帯など、子供をめぐる家族環境はさまざまであり、また、親と暮らすことができず、社会的養護のもとで生活する子供もふえています。
 こうした状況を踏まえ、都では、昨年策定した東京都子供・子育て支援総合計画において、特に支援を要する子供や家庭に対する支援を目標の一つに掲げ、さまざまな取り組みを進めていることについては、評価しているところであります。
 次代を担う子供たちは、社会の宝です。子供たちの将来と東京の未来をより輝かしいものにするためには、子供や家庭の置かれた状況を踏まえた上で、社会全体で子供たちの成長を支えていかなければなりません。
 都は、今後、区市町村や民間団体等とも、より緊密に連携し、支援を一層充実する必要があると考えますが、見解を伺います。
 この四月には、あらゆる分野を対象に、障害者への不当な差別的取り扱いの禁止と合理的配慮の提供を求める障害者差別解消法が施行されます。
 我が党はこれまでも、障害者が地域で安心して暮らせる幸福実感社会の実現を目指し、施策の充実を求めてまいりましたが、世界で初めて二回目のパラリンピックを開催する東京は、障害者差別解消法の施行も契機として、障害者の一層の社会参加を図り、障害の有無にかかわらず、それぞれの能力を発揮することができる都市となる必要があります。
 そこで、今後、どのように障害者の社会参加を促進していくのか、見解を伺います。
 知事は、予算原案において、都立広尾病院を移転改築し、平成三十五年度を目標に、首都災害医療センター(仮称)を整備する計画を明らかにしました。広尾病院は、都における災害医療の中心的な役割を果たす基幹災害拠点病院として、災害、救急医療の重要な一翼を担っています。
 そこで、まずは、首都災害医療センターの整備に当たっての知事の基本的な考え方についてお伺いをいたします。
 二〇二〇年東京大会は、現在の広尾病院のまま、そのときを迎えることとなります。広尾病院は、都立病院の中で最も外国人患者が多く、各競技会場からも近いことから、大会時にも円滑な受け入れが期待される病院です。
 このため、将来の移転改築が予定されているとはいえ、必要な環境整備には決して抜かりがあってはなりません。広尾病院では、その時点においては、どのように対応していくのか伺います。
 多摩地域の医療拠点である多摩キャンパスにおいては、救急、がん、周産期など、重症度の高い急性期医療に加え、小児や難病等の希少疾患に対しても、先進的かつ専門性の高い医療の提供に取り組んでいます。
 少子高齢化の進行や医療技術の進歩等、医療環境は急速に変化している一方、多摩地域は区部と比べ医療資源が少ないため、医療拠点である多摩キャンパスが多摩地域の医療水準の向上において果たすべき役割は、これまで以上に重要なものとなります。
 昨年から検討してきた多摩メディカルキャンパスにおける検討会の最終報告がまとまり、また、来年度予算案には基本計画の策定経費が計上されています。
 そこで、多摩メディカルキャンパス整備に対する知事の基本的な考え方についてお伺いいたします。
 多摩メディカルキャンパス整備に当たっては、多摩地域における高齢化の急速な進行に伴う疾病構造の変化や、多摩地域の医療体制を踏まえた対応が求められます。
 超高齢社会を迎え、脳血管疾患や骨折等の患者が増加傾向にあり、治療後の運動機能の早期回復により、社会復帰や生活の質の向上につながるリハビリテーションの充実は、最重要課題ともいえます。特に、病院を退院し、地域に戻った後も、継続してリハビリを受けられる体制の充実が必要です。
 都内のリハビリテーション実施医療機関は増加傾向にあるものの、多摩地域は区部と比べ、人口当たりの施設数も少ないことから、今回の多摩キャンパスの整備に当たっては、入院患者だけでなく、外来においても、リハビリテーションを実施する体制に機能を拡充することが必要だと考えますが、見解を伺います。
 今後、実効性のある地域包括ケアシステムを実現していくためには、患者の情報が入院先の病院と地域のかかりつけ医とで共有され、最新の情報をもとに診療が行える、切れ目のない連携体制を構築していくことが重要です。
 特に、多摩地域は区部と比べ医療拠点となり得る病院が少ないため、ICTなどのツールを活用した病院間のネットワークの構築によるメリットは非常に大きいと考えます。
 そこで、多摩地域の医療拠点である多摩メディカルキャンパスの整備に当たり、どのような取り組みにより地域の医療機関との連携を強化していくのか、見解を伺います。
 墨東病院は、隅田川より東の地域でただ一つの救命救急センターであり、この地域の中核病院として欠かすことのできない存在です。
 我が党は、高齢化の進行に伴う救急需要の高まりを展望し、平成二十六年第二回定例会の代表質問で、墨東病院の医療機能強化について質問をいたしました。
 知事からは、特に高度な診療機能を有する高度救命救急センターの指定を目指すとの答弁がありましたが、その後の状況について伺います。
 また、人口減少社会において、安心して子供を産み育てられる環境を整備することも重要な医療課題であり、区東部地域の総合周産期母子医療センターとして、周産期医療も充実させていくべきと考えますが、あわせて所見を伺います。
 一方、在宅療養を続けている方の中には、医学的ケアが必要な方もいます。このような患者を急変時に診療することはもちろん、看護している家族のレスパイトのニーズが高まっており、在宅医などの地域の医療機関が協力していくことが重要です。
 東京都保健医療公社は、医療で地域を支えるを基本理念に掲げ、地域の医療連携を推進することを役割としています。地域に密着した医療を提供している公社病院においては、診療所や病院などの地域の医療機関と連携協力して、在宅療養患者や家族に対する支援を行うことも求められています。
 こうした地域医療の状況を踏まえ、公社病院において、在宅療養支援にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、産業政策についてお尋ねいたします。
 東京は、力強い経済で日本をリードするという大きな使命を担っています。二〇二〇年大会を見据えたオール日本の協力体制を築き、その効果を全国に波及させるためにも、全国各地と連携した産業振興策を強力に推し進めていく必要があり、我が党はさきの第四回定例会において、他の自治体の意見やニーズに真摯に耳を傾けた取り組みを求めました。
 自治体がお互いの個性を尊重し合いながら、よきパートナーとして取り組んでいくことが、信頼関係を高め、東京五輪大会の成功にもつながると考えます。四十六道府県に出向き、さまざまな連携の議論を進めているところではありますが、できることから速やかに事業として立ち上げていくべきと考えます。
 都は、オール日本の視点に立った産業振興をどのように展開していくのか、見解を伺います。
 日本経済の力強い発展、そしてGDP六百兆円という高い目標の達成に向けて、都内の中小企業が国内外で稼ぐ力を高めていく必要があります。アベノミクス効果が全体の景気を押し上げつつある今、さらに中小企業へと波及させていく必要があります。景気の下支えという守りに加え、新事業や海外など新たな市場を目指して、積極果敢に攻め込む支援を強力に展開していく段階に来ていると考えます。
 例えば、革新的技術を活用して新たな製品やサービスを開発したり、自社が持つすぐれた技術に裏打ちされた製品によってグローバル市場に打って出るなど、自分たちの殻を破って活動している中小企業も多数存在しております。
 都は、こうした攻めの事業展開を行う中小企業を強力に後押ししていくべきと考えますが、見解を伺います。
 中小企業が事業を営む上で欠かせないのが事業資金の確保です。都も、制度融資を中心に多くの融資メニューを設けておりますが、日々の資金繰りに加え、海外展開や設備投資など積極的に打って出る企業のニーズにしっかりと応えていくため、融資メニューのさらなる拡充や利用する企業の負担軽減策など、一層の支援が今求められています。
 中小企業を強力に後押しする攻めの金融支援の取り組みについて伺います。
 また、我が国最大の展示施設である東京ビッグサイトは、数多くの展示会を通じ、新たなビジネスチャンスを生み出し、中小企業の販路拡大に貢献してきました。ビッグサイトでは、現在、二〇二〇年大会を契機とした産業振興を図るため、施設の拡張や仮設展示棟の準備をしているところであります。
 また、大会組織委員会が整備する体操競技場については、大会終了後に展示施設として有効活用することとしており、さらなる中小企業の販路拡大の機会がふえることが期待されています。
 しかし、東京ビッグサイトは、大会の関係施設として長期にわたり利用制約を受けることから、中小企業や業界団体の間では、展示会が開催されないことによるビジネスチャンス減少の懸念が高まっています。
 都は、さきの定例会における我が党の代表質問に対し、あらゆる方策を検討していくと答弁しました。大会が刻一刻と近づく中、早急に具体的対策案を打ち出していくべきと考えますが、所見を伺います。
 昨今、食の安全への関心の高まりなどを受け、都市農業に対する都民の意識が大きく変化するとともに、都市農地は、良好な生活環境を形成する貴重な緑地や災害時の避難場所として役割が見直されています。
 多くの農業者が担い手の確保や農地保全の問題などを抱える中で、我が党が中心となって成立させた都市農業振興基本法においても、都市農業の継続と都市農地の有効活用や保全が図られるべきと明確に位置づけられました。都市農業を取り巻く環境が大きな転換期を迎えている今、この機を捉え、一気呵成に施策を推進すべきであります。
 都市農地を保全し、これからの都市農業を牽引する意欲ある農業者や、次代を担う新規就農者の経営力向上を図っていくなど、都は、将来を見据えた新たな施策を展開すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 世界一の観光都市の実現に向けて、東京の魅力を世界に向けていかに発信していくかが重要ですが、新たな観光の切り口として注目すべきなのが、インフラツーリズムであります。
 富山県の黒部ダムや新潟県の奥只見ダムなどは、自然環境と圧倒的な構造物の調和を楽しむために多くの観光客が訪れます。春日部市にある首都圏外郭放水路は、テレビのロケ地としても有名であり、見学会では抽せんになるほどの人気ツアーとなっています。
 ふだん何げなく通過している橋梁や、海辺に存在するガントリークレーン、都民の命や財産を守っている環状七号線の地下調節池や河川堤防、浄水場や水再生センター、小河内ダムや白丸発電所など都民生活に欠かせない施設など、角度を変えて見ると、観光資源足り得るインフラは各地に点在しております。
 こうしたインフラ施設は、高度な土木技術を駆使し、私たちの日常生活を支えている、なくてはならない存在です。大都市東京を支えるさまざまなインフラをめぐり、背景にある高い技術力に思いをはせることで、より深く東京の魅力を感じてもらうと同時に、インフラの重要性を再認識してもらう意義は大きいと考えます。
 また、こうした施設が都内各地に点在しているということは、工夫次第でそれぞれの地域の活性化にもつながると考えます。
 都としても積極的に公共インフラを活用した観光振興を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 公共インフラのほかにも、都内の各地域には、歴史的な建物や伝統工芸など観光資源となり得る数多くの魅力が存在します。地元のさまざまな団体が、時には自治体の力を使いながら、身近な施設等を観光資源として発信し、国内外から多くの旅行者を呼び込むことができれば、商業やサービス業の振興につながり、雇用もふえ、地域社会は確実に活性化いたします。
 地元から観光を盛り上げる流れを後押しし、地域を元気づける努力こそが大切なのではないでしょうか。
 観光振興を通じて地域の活性化を進める取り組みについて、知事の所見を伺います。
 一億総活躍社会の実現には、障害者や難病患者の就業支援が欠かせません。二〇二〇年を見据え、障害者がスポーツはもちろん、あらゆる分野で活躍できる環境を整備していくべきです。
 我が党はこれまでも、一人でも多くの障害者が安心して就業できるよう、各局が連携した積極的な取り組みを求めてきました。これに応えて、都が来年度、安定的な雇用や処遇の改善といった課題に踏み込んで取り組んでいくことは、重要な視点だと考えます。
 これに加え、障害者総合支援法の対象となる難病が大幅に拡充されたことなどを踏まえれば、難病患者の就業支援についても一層取り組みを強化していくべきであります。
 障害者や難病患者が、希望とやりがいを持って、生き生きと働ける環境の実現に向けた知事の見解を伺います。
 近年、我が国で頻発する自然災害に対応するとともに、アベノミクスによる民間投資を喚起する成長戦略を支えるためにも、都市基盤の整備は重要です。
 都市基盤の整備推進に当たり、都民に、より深い関心を寄せてもらうためには、先人たちが培ってきた土木技術の卓越性や、幾世代にもわたって発揮される整備効果をしっかり説明していくことが必要です。
 従来、経済対策としての即効性の面でフロー効果が重視されがちでしたが、昨今では、防災力の強化や生産性の向上など、都市基盤が本来持つストック効果に、ようやくスポットが当てられるようになってきました。
 こうしたストック効果を都民に広くPRすることで、円滑な整備推進の追い風としていく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 東京の重要な都市基盤の一つに、下水道があります。東京の下水道事業は、明治時代に整備した神田下水に始まり、大正時代には三河島汚水処分場が稼働するなど、その歴史は長く、現在では下水道管が約一万六千キロメートル、水再生センターが二十カ所まで規模を拡大してきました。
 その間、衛生環境の改善や浸水の防除等の役割を担い、今日に至るまで、東京の都市活動や都民生活を支えてまいりました。こうした下水道の役割は変わるものではありませんが、近年の社会状況等の変化に伴い、新たな課題への取り組みが求められています。
 高度成長期に整備した下水道施設の老朽化や、近年多発する局地的な集中豪雨への対策など、下水道事業への都民の期待は大きいものがあります。
 下水道局では、こうした期待に応えていくため、先般、新たな経営計画を作成したところでありますが、今後どのように下水道事業を運営していくのか伺います。
 そして、東京が都市の魅力を今以上に高めるためには、その基礎となる社会資本の着実な整備と適切な維持管理が不可欠です。
 しかし、近年、これらの社会資本を技術力で支える中小事業者は、人材の育成、確保が困難になってきています。
 都は、平成二十八年度予算案において、昨年に続き一兆円を超える投資的経費を計上しています。入札不調も減少し、発注量も増加するなど、我々都議会自民党が取り組んできた入札契約制度の改革が実を結んでおり、都内の建設市場も改善の兆しがより明確になってきています。
 今こそ事業者は、このチャンスを生かして技術者の育成を図り、二〇二〇年以降にも活躍していく、しっかりとした土台をつくっていってほしいと願っております。
 同時に、発注者である都も、建設市場の健全な発展のためには、契約の相手方である元請ばかりでなく、中小事業者が技術者を持続的に育成、確保できる環境を整えることが重要であります。
 都は、下請を含む建設事業者全体の健全な発展を支援する姿勢を明確に示し、発注者としての責任を果たしていくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、技術人材の育成、確保のためには、都発注工事に中小事業者がより一層参加しやすい機会をつくっていくことも重要です。都は、我々の問題提起を受けて、これまでもJV基準の見直しや、総合評価方式に地域精通度という考えを反映し、意欲と能力、さらに地域に貢献している中小事業者の入札参加を促す取り組みを進めてきました。このことは、中小事業者の大きな励みにもなっています。
 一方で、都の工事成績を重視している現行の総合評価方式では、都の工事実績のない事業者が参入するのは難しく、実績をつくるためには、低価格の入札を行わざるを得ないという現実もあります。
 価格だけでなく、地元で培った技術力を評価することを通じて、中小事業者の人材育成を支援していくことも、発注者としての都の責任と考えますが、所見を伺います。
 さて、国の調査によると、平成二十五年における都内の空き家総数は、五年間で七万戸増加し、八十二万戸となっているようでございます。東京の人口は、平成三十二年にピークを迎え、減少に転じると推計されていることから、今後さらに空き家が増加していくことが考えられ、防災、衛生など、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。空き家を適切に管理、活用するためには、相続や賃貸、売買など、所有者の抱えるさまざまな課題に対して、きめ細やかな支援を行うことが重要です。
 空き家対策についての知事の見解を伺います。
 昨年十二月に公表された都市計画道路の整備方針案において、今後十年間で優先的に整備すべき路線などが示されました。都市計画道路は、渋滞の解消や都民の安全と暮らしを守るなど、多様な機能を有する重要な都市基盤です。
 災害時の避難や物資輸送など防災の観点も踏まえると、都内の連携はもとより、他県との連携は不可欠であり、都県境も含めた着実な道路整備が必要です。
 来年度から、新たな整備方針のもと、都市計画道路網を早期に形成し、その機能を発揮していくことが重要であると考えますが、見解を伺います。
 東京大会開催時までに、障害のある方々も安心して競技会場に足を運べる利便性の向上が求められます。こうしたことから、交通機関や公共空間におけるバリアフリー化をこれまで以上に進める必要があり、道路においても、高齢者や障害者を含めた全ての人が円滑に移動できる環境の整備が重要です。
 都は、平成二十六年十二月に策定された長期ビジョンにおいて、誰もが安心して過ごせるバリアフリー環境の構築を政策指針に掲げており、都道のバリアフリー化に、より積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 また、都内にはいまだ多くの踏切が残されており、交通渋滞や踏切事故の原因となるなど、経済活動や都民の暮らしの支障となっています。日本の経済を牽引する東京は、都市の活力と魅力を高め、激化する国際的な都市間競争に勝ち抜かなければなりません。
 連続立体交差事業を積極的に進め、複数の踏切を除去し、道路ネットワークの形成を促進することで、人と物の流れを円滑にし、世界で一番の都市東京を早期に実現すべきであると考えます。
 そこで、連続立体交差事業の新規事業化に向けた今後の取り組みについて伺います。
 公共交通機関の最大の使命は安全の確保であり、世界で一番の都市東京を実現するためにも、交通局は安全対策に重点的に投資を行い、施設設備の安全に万全を期すとともに、マンパワーの充実を図り、鉄道の安全性向上に率先して取り組んでいく必要があります。
 ホームドアなどの安全設備の取り組みは確実に進んできています。しかし、どれほど安全対策のためにすぐれた設備を導入しても、利用者の安全を守るのは、最後は人です。
 そのため、職員一人一人の安全意識の醸成や、これまで蓄積してきた技術力の継承など、安全を支える人材の育成が不可欠です。
 そこで、都営地下鉄の安全対策について、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、東京港の機能強化について伺います。
 東京港は、東京のみならず首都圏全体、ひいては東日本全域の生活と産業を支えているといっても過言ではありません。
 国内の経済活動の活性化や生産拠点の海外進出等も進む中、輸入貨物は増加の一途をたどっております。今後、円滑な物流を実現するためには、海上運送と陸上運送の連携を強化していくことが重要です。
 輸入貨物の増加は、我が国の物流の不可逆的な大きな流れであり、東京港においては、これらを踏まえ、コンテナふ頭の再編、バックヤードの拡張、充実、道路網の強化だけではなく、東京港全体の機能配置を見直すなど、二十年、三十年後という将来を見据え、戦略的に取り組んでいかなければ対応し切れないと考えます。
 今後の物流動向全体の変化も視野に入れ、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 さて、昨年十二月に、いわゆるCOP21が開催されました。今回の会議は、昨年、世界の平均気温が過去最高を更新し、さらに温暖化が原因と疑われる異常気象や海面上昇が各地で起きている中で開催されたものであります。
 区部東部低地帯に住まう私たちにとって、地球温暖化による海面上昇、異常気象による台風の巨大化やたび重なる豪雨は、命にかかわる危機であり、喫緊の最重要課題であります。
 こうした気候変動の危機が迫る中、途上国も含め全ての国が参加したパリ協定が採択されました。産業革命前からの気温上昇を二度未満にし、一・五度に抑える努力の追求が協定に盛り込まれたことは大きな意義を持つものであります。
 今回のパリ協定を実効性あるものとするためには、世界の温室効果ガスの七割を排出している都市の果たす役割が極めて重要です。
 都は、二〇三〇年に、二〇〇〇年比三〇%削減という新たな削減目標を掲げましたが、目標を着実に達成していくために、今までの取り組みを強化するなど、地味ではあっても着実な歩みを進めることに加え、新たな施策も駆使して、世界の範ともなる行動を示してほしいと思います。
 今後どのように取り組まれるのか、知事の見解を伺います。
 パリ協定は、長期的にはCO2排出量実質ゼロを目指すこととなっており、世界全体で再生可能エネルギーなど、低炭素エネルギーの拡大に向けた動きを加速させていく必要が高まっています。
 先般、都の環境審議会答申において、新たな再生可能エネルギー利用拡大目標が示されましたが、その意義と実現に向けた取り組みについて、知事の見解を伺います。
 我が党は、昨年の第三回、第四回の二回にわたる都議会定例会において、一日の走行距離が長いタクシーの環境性能の向上によるCO2の削減と、パラリンピックの開催を契機とした東京のバリアフリー化を推進するため、車椅子のまま乗車できるタクシーの普及に向けた支援を強く要望してきました。
 知事は、こうした我が党の要望に応じ、来年度予算案で、環境性能が高く誰にでも優しいタクシーの普及事業として、新たな補助制度の創設を打ち出しております。
 そこで、改めて、環境性能の高いユニバーサルデザインタクシー普及事業の狙いとその内容について、知事の見解を伺います。
 地下水は、地上に降り注いだ雨が時間をかけて地中に涵養されるものであり、河川や湧水となって地表を潤し、豊かな都市環境を創出するなど、健全な水循環にとって大切な役割を担っています。
 東京の発展の過程においては、過去著しい地盤沈下が進行したことから、国の法規制に加え、都は条例による揚水規制を実施し、水循環の健全性の維持回復に努めてきました。
 しかし、都市化が進む中、コンクリートやアスファルトで覆われた地面は、雨を地中に浸透させることなく河川や下水を通じて海に注がれているのも事実であります。
 一方、東日本大震災を契機として非常用井戸の設置が進むなど、地下水利用に対する社会的な関心が高まっています。
 国は、一昨年に施行した水循環基本法に基づき、水にかかわる施策を総合的に推進することとし、昨年策定した水循環基本計画では、持続可能な地下水の保全と利用を図る考え方を示しており、先日の都の環境審議会答申でも、こうした考え方に基づき環境基本計画を取りまとめるよう提言が行われています。
 そこで、今後都は、地下水の保全と利用についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 また、東京都は、首都東京の貴重な水源である多摩川上流域の森林のうち、約半分を水道局が水道水源林として百年以上前から所有し適切に管理してきました。この結果、都民の水がめである小河内貯水池は、建設から五十年以上経過しても土砂の堆積が極めて少なく非常に良好な状態を保っています。
 一方、荒廃の進行した民有林が存在し、今後は水源涵養の機能の低下や土砂流出による貯水池への影響が懸念されます。
 我が党は、これまでも長期的な視点に立った対策の必要性について主張してまいりましたが、この主張を受け、水道局では荒廃した民有林の購入を進めています。しかし、長期にわたる林業不振などから荒廃はさらに進行しており、早急に対策の強化が必要であります。
 また、貯水池への土砂流入などの影響を考えると、購入した民有林はできるだけ早期に現在の水道水源林と同程度の健全な森林に再生させることが必要です。
 森林の再生に当たっては、水道局がしっかりと責任を持った上で、住民等の参加による森づくりを取り入れれば、水源地保全の必要性についての理解促進を図るよい機会ともなり、一石二鳥の効果があります。
 そこで、今後、荒廃した民有林の対策をどのように行っていくのか伺います。
 また、森林は水源林としての役割のほかにCO2固定の機能も担います。加えて、適切に管理することによって、都民の憩いの場としても親しめる空間を提供することが可能であります。こうした多機能を有する都市林としての整備を目指すよう要望させていただきます。
 次に、都教育委員会に伺います。
 我が党はかねてより、発達障害の児童生徒への支援体制や都立特別支援学校の教育環境の整備を求めてきました。
 都はこれに加え、東京都特別支援教育推進計画を策定し、多様な施策を展開してきましたが、来年度にはこの計画も終了となります。
 また、本年四月には、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が施行されるとともに、社会情勢の変化に伴い多様化する保護者の要望に、都はこれまで以上に適切に応えていく必要があります。
 加えて、東京パラリンピック大会を契機に、心のバリアフリーの推進に向けた取り組みを進めるためにも、今後の東京都における特別支援教育の充実策を検討する必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 ことしの大相撲初場所では、琴奨菊関が優勝し、その姿に多くの人々が感動を覚えました。このように、日本人アスリートの活躍は私たちに誇りと勇気をもたらします。こうしたアスリートの活躍をただの感動で終わらせず、二〇二〇年に向けて、子供たちが進んでスポーツに親しみ、心身ともにたくましく成長していけるように働きかけていくべきであります。
 今、東京の子供の体力は全国に比べて低い状況にありますが、オリンピック・パラリンピック開催都市にふさわしく、子供たちの行動をより活発にしていくため、これまで以上に工夫した体力向上の取り組みを進める必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 多摩振興についてお尋ねいたします。
 多摩においては、二〇一九年ラグビーワールドカップの開会式と開幕戦が開催され、前年にはその幕あけとなるイベントも行われる予定となっています。さらに、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック大会で、サッカー、バドミントン、近代五種などの競技が実施されることが決まっています。
 これらの世界的なスポーツの祭典が続けて開催されることにより、多摩地域は世界から大きな注目を浴びるとともに、国内外から多くの人々が来訪することが期待されます。
 また、圏央道の都内区間が全線開通し、多摩地域の利便性の向上が図られたほか、立川駅周辺では商業施設などが続々と立地しており、にぎわいを見せています。
 その一方で、昨年十月に発表した東京都総合戦略によれば、多摩地域の人口は、二〇一五年の約四百二十万人をピークに減少に転じ、二〇六〇年には三百万人を割り込むと見込まれており、現に人口減少が始まり、高い高齢化率を示している自治体も存在しております。
 また、老朽化した都市インフラの更新や防災対策の推進など課題が山積しており、今後、多摩地域は厳しい環境下に置かれることが予想されます。
 そこで、今後どのように多摩地域の振興を図っていくのか、知事の所見を伺います。
 最後に、一言申し上げます。
 私は二年前、知事が当選された直後の施政方針演説をよく覚えています。なぜか、それは、あのときの発言そのままに舛添知事が都政のかじ取り役を果たされるならば、都政は決して方向を間違えることなくさらに発展できる、そう確信したからであります。
 しかし、私の期待はこの二年間でしぼみかけております。
 施政方針の前段では選挙戦について触れ、都内をくまなく回り、さまざまな話を聞く貴重な機会を得た、これからも現場を重視し、地域の声を都政に反映させていくと演説されました。
 多摩の発展について言及された際には、地をはうアリの目をもって、つぶさに現場を見詰め、そこに暮らす都民の皆様方の声を直接受けとめて、地域が抱える問題にきめ細やかに対応する、同時に、空を飛ぶ鳥の目で、東京全体を俯瞰する視点を持ちながら力を尽くす、こう発言されておりました。
 我々都議会自民党は、都市外交を否定しているわけではありません。しかし、海外出張より前に、なすべきことがあるのではないかと申し上げているのです。都内の現場に足を運ぶ、都民の声に耳を傾ける、このことの方が重要ではないのかとただしているのです。そのバランスのまずさを問うているのです。
 また、政治姿勢については、国をあしざまに批判するような姿勢はとらない、一見、勇ましい批判が喝采を浴びたとしても、それが都民生活の向上につながらなければ意味がない、必要なのはリアリズムと実行力であり、その結果の責任をとる、これが政治の基本だといっておられました。私も全く同じ思いであります。
 最後にはマックス・ウェーバーの言葉を用いつつ、たとえ困難な道であったとしても、地に足をつけて前へと進む、その覚悟と勇気を持つ者だけが、都民に明るい未来と本当の幸せをもたらすことができると確信している、こう締めくくっております。
 我々都議会自民党は、都政において、都民生活の向上と都政の発展のために力を尽くしてまいりました。そのためには、水面下でも必死に汗をかき、時には泥をかぶることもいとわずに前進をしてまいりました。我々の思いは、知事の考える政治、その目標と一致している、私はそう考えております。
 結果を残すためには、理想を追い求めるだけではなく、責任が伴うわけでございます。就任当時の初心を忘れることなく、知事の役割をぜひ全うしていただきたい。
 夢を語り、その実現のために覚悟を持って臨んでいく。都議会自民党は、その理念を決してたがえることなく責任を果たしてまいります。このことを最後にお誓いを申し上げ、代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 宇田川聡史議員の代表質問にお答えします。
 多くの建設的なご質問をいただきまして、感謝を申し上げます。
 まず、二十八年度予算にかける私の思いについてでございますけれども、私が知事として目指している政治の役割とは、一人一人が自分の力を思う存分発揮できる、そういう活力に満ちた社会をつくることでありまして、また、人々の生活水準を押し上げて、豊かな暮らしを実現することであります。
 こうした私の政治家としての原点に立ちまして、今回の予算編成につきましては、長期ビジョンを軸にしまして、ゆとりのある成熟社会の実現に向けて、特に二つの点で、私の思いを強く打ち出したものでございます。
 まず第一点、これは貧困の連鎖など将来の成長への足かせを今ここで取り除き、あらゆる方々が活躍できる、そういう環境を整えるということであります。
 それからもう一つは、二〇二〇年の先も東京を光り輝くものとするために、未来への投資を積極果敢に行うということであります。
 具体的なことを申し上げますと、まず子供の貧困対策、それから非正規雇用対策など、学びや仕事に意欲ある人々の支援に向けて国を先導する、国に先行してやる、こういう取り組みを強化したいと思っております。
 また、中小企業の成長分野への参入を支援する、それから観光の一大産業化を図る。そういうことによって新たな富を生み出しまして、東京のみならず日本全体の成長につなげるために、都政の力を積極的に動員したいと考えております。
 リオ大会後には、世界中の視線がこの東京に注がれることとなります。二〇二〇年大会の成功と、その先の東京の姿を見据えますれば、今こそ、東京を世界一の都市へと飛躍させるための基礎を固めるときだと考えております。
 私の施策展開の基盤となります財政対応力を堅持しながら、この予算を原動力に、東京の未来を創造すべく、私みずから先頭に立って全力を尽くしていく決意でございます。
 続きまして、自己改革の取り組みについてご質問がございましたけれども、これは都民のニーズにかなう施策をいかに効率的に実行し、都民サービスの向上を図っていくか、それが都政をあずかる者としての使命であると考えてございます。
 こうした使命を確実に果たしていくためには、都政を取り巻く状況の変化を踏まえまして、施策の新陳代謝を促すのみならず、職員一人一人が常にコスト意識を持って、無駄を省いて質を向上させる、そういう努力を不断に続けなければならないと考えております。
 こうしたことから、私は、昨年に続きまして平成二十八年度予算編成におきましても、こういうさまざまな施策の見直しをやることのインセンティブを継続させる、で、各局の自主的な改革や、それから局と局の間の連携も強化することで、事業の見直し、再構築を徹底して、施策の効果をより高める取り組みも積極的に実施をいたしました。
 この結果、どれぐらい見直し、再構築を行ったかというと、前の年、前年度と比べまして四十一件増加して、三百二十五件についてこれを行いました。また、障害者スポーツの場の拡充に向けまして、新たに都立学校を活用したモデル事業を立ち上げるなど、組織の垣根を超えて実効性のある施策の構築も実現した次第であります。
 今後とも、こういう自己改革を一層徹底することで、都民にとって真に必要な施策の構築と、政策展開を支え得る強固で弾力的な財政基盤の確保を同時に達成していきたいと考えております。
 次に、二〇二〇年東京大会に向けての決意についてでございますけれども、私が知事に就任しましてから、この二年間、都立競技施設の整備を着実に前に進めるなど、二〇二〇年大会の成功に向けまして、その準備に邁進してまいりました。
 しかしながら、大会準備が本格化するにつれまして、数多くの課題が実は顕在化してきてございます。例えば、深刻化するサイバーテロの脅威に加えて、先般のパリの同時多発テロの発生などによりまして、セキュリティー対策の重要性がこれまでに比べて格段に増大してございます。
 また、ご指摘いただきましたように、二〇二〇年大会は過去最高の競技数が見込まれておりまして、世界各国から最大規模の選手、大会関係者、それから要人、もちろん観客が、この高度に都市機能が集積した大都市であります東京に集中いたします。その中で、質的、量的に高いレベルのホスピタリティーを保ち、それから何よりも安全・安心の確保、円滑な輸送など、まさに万全な運営が求められてございます。
 さらに、資材や人件費の高騰といった状況下で、施設準備を初め、大会準備全般に当たっていかなければなりません。このように、二〇二〇年大会は、既に招致のときの想定をはるかに超える膨大な事業となりつつあります。
 しかし、この大会を史上最高のものとしてなし遂げるには、まさにオールジャパンで対応をしなければなりません。そのためには、組織委員会、国と密接に連絡をとり、大会成功に向けた新たな役割分担を決め、開催都市である都が先頭に立って、着実に準備を進める体制を構築してまいります。
 どうしても、宇田川先生、これまで国と組織委員会と調整をやるということで、若干私も遠慮ぎみなところもございましたけれども、森大会組織委員会会長からも、遠慮しないで前面に立ってやるんだということをおっしゃっていただいておりますので、そういう決意で臨みたいと思っております。
 日本銀行の試算によりますと、経済効果は三十兆円にも上るということであります。しかし、それだけではございません。オリンピック・パラリンピックは未来に向けた投資となって結実し、先ほどおっしゃっていただいたように、社会、経済、文化などあらゆる分野で東京に力を与え、日本を元気にしてまいります。
 大会経費の不断の精査はもちろんでございますが、成熟都市にふさわしい大会として成功させ、有形無形の大きなレガシーを東京、そして日本に末永く残すため、なすべきことを果敢に実行していきたいと思っております。
 私は、先ほど申し上げましたように、開催都市の責任者として、オリンピック・パラリンピックに寄せる都民、国民の大きな期待に応えるため、この大会を何としても成功させる責任を全うしていく覚悟でございます。宇田川議員を初め、皆さん方のご支援をよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、大会開催に向けた取り組みでございますが、今後四年間は、大会を成功に導き、東京のみならず日本全体の未来を創造していく上で重要な時期となります。世界中の注目が集まりますリオ大会の機会を捉えまして、ジャパンハウスなどを通じまして、世界に向け、東京の魅力を発信したいと考えております。また、全国四十六道府県のPRも積極的に支援してまいります。
 国内では、都内や被災三県においてライブサイトを開催しまして、大会の感動と興奮を伝えてまいりたいと思っています。大会終了時には、私はリオ市長から大会旗を引き継いでまいりますけれども、都内の区市町村はもとより、これを日本各地で披露して、同時にそのときにイベントなどを展開しまして、大会開催機運、そういう機運の醸成を高めていきたいと考えております。
 また、着実な施設整備やバリアフリー化の推進、ボランティアの裾野拡大や事前キャンプの誘致支援などについても準備を加速化させてまいります。そして、引用してくださいました、二〇二〇年に向けた東京都の取組に掲げました多岐にわたるレガシーを具体化してまいります。
 さらに、パラリンピックにつきましては、これは世界で二回やる都市は我々東京が初めてでございますので、障害者スポーツの普及啓発や選手の競技力の向上など、その振興を集中的、重点的に推進してまいります。
 ここのところ毎週のように、パラリンピックの選手を探そうということでイベントをやっておりましたら、雨が降ってもたくさんの方が来られまして、ぜひこういう中から、東京からパラリンピックの選手を出したいと考えております。
 こういうことも含めまして、私は大会の成功に向けまして、全力でこれらの取り組みを確実に前に進めてまいります。そして、東京と日本のさらなる発展につなげていきたいと考えております。
 今も申し上げました障害者スポーツでありますけれども、基金創設の意義と障害者スポーツ振興の方向性についてご質問がございました。私はこれまで、パラリンピックの成功なくして東京二〇二〇大会の成功はない、これをいつもいってきましたので、その考えのもとに、障害者スポーツの裾野の拡大、さらに競技力向上に至るまで、さまざまな施策をこれまでも打ち出してまいりました。
 先ほど申し上げましたNO LIMITS CHALLENGE、それからチャレスポTOKYOなどの体験型イベント、そして、今申したパラリンピック選手発掘プログラム、もうこれは本当にありがたいことに、本当に多くの都民の皆さんにおいでいただきましたし、また、マスメディアの皆さんにも大きく報道していただいております。そういうことを体験しながら、障害者スポーツに対する機運が確実に高まっているということを実感している次第であります。
 しかし、そうはいいましても、障害者スポーツの理解促進、基盤づくり、まだまだ課題が山積してございます。その解決に向けた施策を局の垣根を超えてやらないと、福祉保健局だけでもだめだと、オリ・パラ局だけでもだめだと。それから、じゃどう移動させるか。道路のバリアフリーと、さまざまな局が関連しているわけでありまして、こういう局の垣根を超えまして、私のリーダーシップのもとで集中的、重点的に推進していくために、安定的な財政基盤として障害者スポーツ振興基金を創設いたします。
 今後は、障害者スポーツの振興に向けまして、さまざまなメディアを活用して、障害者スポーツの認知度を飛躍的に向上させていきたいと思っております。さらに、都立特別支援学校の活用の順次拡大、多様なニーズに対応できる場の整備、競技団体の強化や国際大会で活躍する選手への支援等を積極的に進めてまいります。どうしても体育館が足りないんです。練習する場が足りないんです。だから、特別支援学校にそういう場がありますから、これをぜひ活用させる。そういうところから始めていき、長期的には、ぜひ皆さん方のご理解をいただいて、やはりもう少し障害者のための総合的な体育館、スポーツ施設を私はつくるべきだと考えております。
 こうした取り組みの成果としまして、社会に障害者スポーツが根づき、障害のあるなしにかかわらず、誰もがスポーツを通じて生き生きと豊かに暮らせる都市を実現していくと。そして、それを大会後のすばらしいレガシーとして残したいと考えております。
 続きまして、ラグビーワールドカップ二〇一九に向けた準備についてでございます。ラガーがそこにおられますので、そちらを向いてお話をいたしますけれども、二〇一九年大会は、アジア初開催のラグビーワールドカップにふさわしい大会となるように、何としても成功させ、翌年開催の二〇二〇年オリンピック・パラリンピックにつなげていく必要がございます。
 このため、今後さまざまな機会を通じまして、ラグビーの魅力やすばらしさを伝えてまいりたいと思っておりまして、都民、国民の開催機運を高めていきたいと思っております。
 六月には、東京スタジアムで日本代表対スコットランドの注目のテストマッチが開催されます。これを絶好の機会と捉えて、地元自治体と連携して、会場周辺のイベントなどを通じた機運醸成やPRを行うとともに、二〇一九年大会へ向けて、大会運営ノウハウ等の蓄積を図っていきたいと思っております。
 それから、東京スタジアムについてでありますけれども、臨場感、競技環境、ホスピタリティー、スタジアム機能の向上など、実はそういう課題について調査を開始しております。会場周辺及び交通アクセスなどについても、これは課題がございます。
 私が非常に心配しているのは、ラグビーというのはやっぱり、非常に行儀のいいお客さんが多くて、終わった後に、その臨場感を持ったまま近くでお食事をしたり、みんなであの試合よかったねと話すんですけど、そういう場がないんですね。ですから、これはぜひ、地元の先生方もおられますので、皆さん方のお力もおかりしまして、そういう場を地元にたくさんつくりたいというふうに考えておりますので、ご協力をいただきたいと思います。
 私は、十二開催自治体協議会の会長といたしまして、各自治体間の強固な連帯のもと、大会準備に万全を期すとともに、組織委員会から要請のございました分担金の拠出も含めまして、開催都市の役割をしっかりと果たしてまいりたいと思っております。
 今後、都議会の皆様のご支援を、特にこの分担金の問題についていただきながら、大会の成功に向け、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、広尾病院の後の話ですが、首都災害医療センターの整備についてであります。
 災害から都民の生命を守ることは、都の最大の使命でございます。都立病院では、多くの傷病者を受け入れるために災害医療体制を確保するとともに、免震構造の導入や非常時における電力の多様化など、施設整備を進めてまいりました。
 中でも広尾病院は都心部で唯一となります基幹災害拠点病院として、非常に重要な役割を担っております。このため、移転改築し、その機能を抜本的に強化することにいたしました。移転先は、旧青山病院跡地等を想定してございます。この場所は、災害発生時に緊急車両の専用道路となります青山通りに面しています。そういう意味で、交通アクセスの上でも、非常にいい立地条件だと思っております。
 また、移転改築に当たりましては、基幹災害拠点病院としての機能はもとより、スポーツ医学や国際化に対応した医療など、新たに対応すべき医療課題についても広範な検討が必要だと考えております。首都災害医療センターの平成三十五年度の開設に向け、着実に準備を進めてまいりたいと思っております。自然災害だけではなく、これはテロを警戒しないといけないですから、NBC災害、そして、テロに伴う新たな災害医療の拠点としての整備をして、安全・安心な都市を実現したいと考えております。
 次に、多摩の病院の話であります。
 多摩メディカルキャンパス整備の基本的な考え方でございますけれども、福祉先進都市を確立し、東京を将来にわたり発展させるためには、医療分野の充実は重要でございまして、より質の高い医療提供体制を構築していく必要があります。
 とりわけ、多摩・島しょ地域におきましては、これまでも地域の医療特性に応じた診療基盤の整備などを行ってまいりましたが、医療環境が急速に変化していることもありまして、これまで以上に医療提供体制の充実が必要でございます。
 私も、多摩メディカルキャンパスを一つ一つつぶさに視察させていただきましたけれども、そういう視察の経験も受けまして、神経病院を改築して、都における難病医療の拠点としたいと思います。
 それから、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターの医療機能をさらに充実させて、キャンパス内の各施設の連携を一層強化することによりまして、本当の意味での多摩メディカルキャンパス、これを再構築したいというふうに思っております。
 こうした取り組みによりまして、都内でも最大級の医療資源が集積する多摩メディカルキャンパスにおきまして、より高度で専門的な医療の提供に向けた整備を行い、多摩・島しょ地域の医療拠点として、地域全体の医療水準の一層の向上を図ってまいりたいと考えております。多摩の発展なくして東京の発展はないということは、この医療の分野でもしっかりと実現したいと思っております。
 続きまして、また多摩の問題でありますけれども、都市農業の振興についてでございます。
 東京では、ハウス栽培等により、限られた農地を最大限に活用して多種多様な農産物が生産されておりまして、農業者の努力と創意工夫によりまして、都民に新鮮で高品質な食材が提供されております。先般、農協の方から提供されましたウドを食べてまいりまして、大変いい味であることを再確認をいたしました。
 一方で、都市農業は、農産物価格の低迷や農地の減少、担い手の高齢化など、さまざまな課題を抱えてございます。都市農業振興基本法の制定などを踏まえまして、安定的に農業が継続できる、そういう環境整備が必要でございます。
 このため、都は、より収益性の高い農業経営の実現を目指し、高品質な農産物を効率的に生産できる栽培施設や高性能農業機械などの整備を支援する。さらに加えて、ブランド化や加工品の開発による高付加価値化の推進など、ハード、ソフト両面からの支援の拡充を図ってまいりたいと思っています。
 東京ブランドのアンバサダーであります三國シェフが、この前、立川のウドを使いまして、いかにすごい──フランス料理にも使える、料理ができるかというのをやっていただきましたので、ぜひ、例えば、ウド&TOKYOというようなことを清水議員にも宣伝していただきたいと思っております。
 また、都市農地の保全と有効活用に向けましては、貸借等の制度改善によります農外からの新規参入の増加などを見据えまして、多様な担い手の確保、育成に取り組む。さらに、体験農園などを普及拡大したいと思っております。
 将来に向けまして、東京農業が持つ可能性や潜在力を最大限に引き出すことで、豊かな都民生活と快適な都市環境に貢献する力強い都市農業の実現を目指してまいります。そして、テーストオブ東京などのような食のイベントにおいて、東京の食材、多摩の農業をこれからも支援、PRしていきたいと思っております。
 次に、観光振興についてでございますけれども、東京には、江戸から受け継がれる伝統と、公共インフラを初めとします最先端の都市のシステムが共存しておりまして、多くの旅行者を引き寄せ、すぐれた食の味わいや豊かな自然が、魅力を一層高めてございます。
 こうした東京の持つ特色を活用しまして多くの旅行者を呼び込むことは、都内のさまざまなエリアの経済活動に望ましい影響を与えまして、雇用の確保や地域の活性化に結びつくものでございます。
 そのため、地域の観光団体が新たな発想に立ち、地元自治体と連携しまして、観光資源を掘り起こす取り組みへの支援を強化したいと思っております。また、自治体の区域を超えまして広域的な取り組みを進めることができるように、さまざまなノウハウの提供や財源面での支援を行いたいと思っております。
 インフラをめぐる旅についておっしゃっていただいて、これは大変すばらしいアイデアだと思っております。私は東京は水の都、それは景色だけじゃなくて、上水道、下水道を含めて──玉川上水がありますが、だから、例えば水という観点から、さまざまな施設をめぐる観光ルート、これを例えば、はとバスなんかでやってもらいたいと思って、今、研究をしているところでございます。
 特に、多摩・島しょ地域では、その活力を高める観光資源の実現に向けまして、SNSなどの多様な媒体を活用したきめ細かい情報発信を行いたいと思っております。また、先ほどのことも含めまして、地域の特徴を際立たせます観光ルートの開発、それから、点在する観光スポットを結ぶための交通アクセスの充実にも取り組んでまいりたいと思っています。
 これらの観光振興施策を総合的に展開しますことで、地域社会の活性化に結びつくように全力を挙げて取り組んでまいります。
 続きまして、障害者、難病患者の雇用促進でございますけれども、もう何度も申し上げますけれども、パラリンピックの成功なくして二〇二〇年大会の成功はないんだと。そのため、やっぱりノーマライゼーションの定着などを進めまして、障害の有無にかかわらず、誰もが職場で希望とやりがいを持って活躍できる、そういう成熟した社会をつくり上げたいというのが、冒頭申し上げました私の政治家としての原点でございます。
 そして、難病を抱える方についても、職場での理解や適切な雇用管理があれば、職業生活と疾患管理が両立できると。そして一層の活躍が期待できることから、しっかりとした支援が重要でございます。
 私が厚生労働大臣のときにやった仕事で、自分でも誇りにしていることの一つは、難病対策の予算を一気に四倍にふやしたことでございます。知事としても、やっぱりそういう方向を目指すべきだというのが原点でございますので、障害者や難病患者の就業を推進するために、これまで企業への理解促進や職場定着支援、それから助成金の拡充に取り組んでまいりました。
 来年度は、職場内のジョブコーチ設置への支援を開始したいと思っております。それから、障害者雇用支援フェアにおいて、難病患者に対する企業の理解を進めるための普及啓発を行いたいと思っております。
 こうした取り組みに加えまして、実はやはり、雇用の形態、賃金ですね、これが雇用の質の向上を上げるためにも非常に重要であって、常に、恒産なくして恒心なしということを申し上げておりまして、これは健常者だけに限ったわけではなくて、障害者や難病患者でも、きちんと仕事をして、職が安定していて、賃金がきちんともらえると。これが非常に重要でありますので、来年度から、正面からこの問題に立ち向かいたいと思っております。
 そこで、正規や無期雇用での雇い入れに転換してもらう、それから賃金の改善をやってくれる、こういう事業者に対して、これはまだ国も、どの自治体もやっておりませんけれども、みんなに先駆けて都独自の奨励金を創設したいと思っております。
 これらの総合的な支援を通じまして、障害者や難病患者の方々が夢と希望を抱けるように取り組んでまいりたいというふうに思っています。まさにこれが一億総活躍社会になるので、先般、担当の加藤大臣が来られたときにも、これを都はやりますから、ぜひこういう方向で国と都で頑張ってやりましょうと、こういうことを申し上げた次第でございます。
 続きまして、空き家対策でございますけれども、空き家の増加は、防災や治安の面で問題となるとともに、地域の活力や生活環境に影響を及ぼすものであります。私も自分で散歩していて、ワンブロックに一つぐらい空き家がうちの近くにもあるので、愕然としていますけれども、そういう空き家の背景には、これまでの国の住宅政策や税制、少子高齢化や人々の家族観の変化など、さまざまな要因があると思っています。
 このため、昨年、庁内横断的な検討を指示いたしまして、空き家の有効活用、適正管理、発生抑制の三つの観点から総合的に取り組むことにいたしました。
 まず、空き家とか、これを除却した跡地を地域の貴重な資源と捉えて、子育て世帯向けの住宅の確保とか地域を活性化させるための施設への転用などの区市町村の取り組みを支援してまいりたいと思っています。
 それから、不動産や建築などの団体とも連携しておりまして、区市町村の相談窓口に専門家を派遣してもらって、どうすれば維持管理できるかと、所有者としてこういう税制に非常に悩んでいると、こういうことの相談に応じると。
 さらに、やはり新築中心の住宅市場を、質の高い住宅を長く使う市場へと転換させるというようなことも含めて、空き家の発生抑制にも取り組んでまいりたいというふうに思っております。例えていうと、新車もありますけど、今、中古車のマーケットというのは非常にうまくできています。だから、中古の住宅についても同じようなことができれば、こういう問題も発生しないというふうに考えておりますので、こういうことも含めまして、全庁を挙げまして空き家対策を推進して、快適で暮らしやすい、そしていつまでも住み続けたいとみんなが思えるような東京を実現してまいりたいと思っております。
 次は、温室効果ガス削減でありますけれども、このかけがえのない地球というのを次の世代に確実に引き継いでいく、そのためには、特に世界の都市がこの温室効果ガス対策を計画的にやっていく必要があると思っております。
 そこで、我々都は、温室効果ガスの排出量を二〇三〇年までに二〇〇〇年比で三〇%削減するという、これは国を上回る──国がたしか二三とか四ですから、上回っていると思います。
 新たな目標の達成に向けましては、キャップ・アンド・トレード制度や水素社会の実現、再生可能エネルギーの普及拡大など、これまでの施策を着実に推し進めてまいりますとともに、それに加えて、大規模事業者に比べると、やはり温室効果ガスの削減幅が小さい家庭とか中小規模事業者、彼らも対象にした省エネ対策を積極的に展開したいと考えております。
 そのため、来年度新たに、断熱性、気密性にすぐれた魔法瓶のような、そういう高水準の省エネモデルの住宅の調査検討を始めたいと思っています。また、中小テナントビルのオーナーとテナントがともに協力して省エネ対策に取り組む、そういうグリーンリースの仕組みというのを新たに構築して、その普及も図りたいと思っています。
 こうした取り組みを着実に進めることによって、首都東京から温室効果ガス削減に向けて、国やほかの都市を先導していきたいと考えております。
 その関連で、再生可能エネルギーですけれども、気候変動問題に対処して、都市の持続可能性を高めるためには、低炭素なエネルギーの拡大が不可欠でございます。このため、温室効果ガス削減に関する新たな目標の設定にあわせて、再生可能エネルギーの電力利用割合についても、これまた二〇三〇年までに三〇%程度に高めるという意欲的な目標を設定することにいたしました。
 やはり日本の中で、我々東京は電力の最大消費地でありますから、二〇二〇年大会の後を見据えた中長期的な視点を持ちまして、国を上回る明確な方針を示すことで、将来にわたる再生可能エネルギー拡大の機運を喚起して、さらなるコスト削減や技術開発を誘導してまいりたいと思っております。
 目標の実現に向けましては、省エネ、節電を着実に進めて、現在のエネルギー消費量の削減を図りますとともに、やはり再生可能エネルギーの供給量を拡大して利用割合を高めていくことが必要だと考えております。
 具体的には、太陽光発電について、二〇三〇年までに百三十万キロワットまで拡大したいと思っています。それから、そのためにソーラーですね、東京ソーラー屋根台帳による普及開発とか住宅リフォームとあわせた導入を進めてまいりたいと思っております。
 さらに、小水力発電、これは下水処理場でも行っています。それから都市型のバイオマス、地産地消型の再エネ電気や熱の導入拡大など、東京の特性を踏まえた多面的な施策を展開して、低炭素な環境先進都市東京を実現してまいりたいと思っております。
 次に、ユニバーサルデザインタクシーの問題ですけれども、今申し上げましたように、二〇三〇年までに二〇〇〇年比で三〇%温室効果ガスを減らすというのは、じゃ、どうするんだねと。やはりタクシーというのは一日の走行距離が一番長いんですね、我々のマイカーに比べて。したがって、このタクシーをハイブリッドとか電気自動車など、環境性能の高い次世代自動車に転換するということは極めて重要でございます。
 また、来るパラリンピック東京大会の成功のためには、交通機関を初めとして、都市のバリアフリー化は絶対に必要なわけでありまして──ところが、今、何台こういうバリアフリータクシーがあると皆さん思われていますか。もう愕然としたんですけど、都内に五十三台しかないんですよ。そこで、ハイブリッド車とか電気自動車、そういう環境性能を考えた車で、それにスロープやリフトを装備した、車椅子のままで乗りおりできるようなユニバーサルデザインタクシーを、二〇二〇年まで、今から数えて五年間で、一気に一万台にふやしていきたいと思っております。
 このため、法人及び個人タクシー事業者が、計画的に車両更新ができますように、総額で六十一億円の新たな補助制度を創設したいと思います。どうかご支援を賜りたいと思います。
 この取り組みを通じて、地球温暖化防止に貢献するとともに、障害者、高齢者、スーツケースを持った外国人旅行者などが、誰もが快適に移動できる東京をつくり上げ、二〇二〇年東京大会のすばらしいレガシーとして次の世代に引き継いでいきたいと思っております。
 最後の質問になりますけれども、今後の多摩の振興についてでございます。
 先ほど申し上げましたように、多摩地域は豊かな自然と、東京の三分の一に相当します四百万人もの人口を擁し、また多くの大学や研究機関が集積するなど、東京の一層の飛躍のために欠かせない地域でございます。
 二〇一九年にはラグビーワールドカップ、そして翌年のオリンピック・パラリンピックの開催と、多摩にとってさらなる発展へとつながる絶好の機会が訪れます。この機会を逸することなく、現下の諸課題にも的確に対応しながら、多摩の振興を着実に進めていくことが必要でございます。
 また、本格的な人口減少、少子高齢化社会の到来や、幅広い分野での技術革新、さらには週末を自然豊かな土地で過ごすといった新たなライフスタイルの形成など、将来の社会情勢の変化を見据えた上で、長期的な視点に立った振興策を講じていきたいと考えております。
 そのために、都市づくり、そして東京全体のグランドデザインの検討を踏まえつつ、多摩地域の未来像を描き、その振興に向けた方策を示していきたいと思います。文化の拠点である必要も絶対に必要であると、多摩については思っておりますので、広大な土地がありますから、世界中の若い芸術家が集まるような、そういう芸術の森のような、そういうことも私の頭の中にはございますので、文化の面でも、ぜひ多摩を前面に打ち出したいというふうに思っております。
 こういう新たな振興策の検討に当たりましては、これまでの取り組みについて検証を行いまして、民間シンクタンクや有識者などの知見もいただきながら、幅広く議論を進め、平成二十九年度を目途に取りまとめをしたいと思っております。
 繰り返しますが、多摩の発展なくして東京の発展はあり得ない。その思いで、魅力にあふれ、夢と希望に満ちた多摩地域の実現に向けて全力で取り組んでまいる決意でございます。
 そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の特別支援教育の充実についてでございますが、都教育委員会は、平成二十八年度までを計画期間とする東京都特別支援教育推進計画に基づきまして、教育施策を展開し、幼児、児童生徒一人一人の能力を最大限に伸長し、自立と社会参加を促進してまいりました。
 今後は、国の障害者施策の動向を踏まえ、共生社会の実現に向けたユニバーサルデザインの考え方に基づく、障害のある子供にわかりやすい指導の充実や教育環境の整備、さらには東京パラリンピックを契機とする障害者スポーツ、芸術文化活動の推進にも取り組む必要がございます。
 このため、障害のある人もない人も、社会の一員として区別なく生活する社会を目指し、世界一の都市東京にふさわしい特別支援教育を推進するため、現在の計画に引き続く新たな計画の策定を検討してまいります。
 次に、体力向上に向けた今後の取り組みについてでございますが、児童生徒の体力を高めるためには、一人一人の生活をより一層活動的なものにしていくことが重要であります。
 このため、都教育委員会は、運動時間の確保、補強運動の導入による体育授業の改善、スポーツの楽しさを味わう運動部活動の推奨等、さまざまな取り組みを推進するアクティブプランto二〇二〇を新たに策定し、全ての学校で体力向上の具体的目標を定め、児童生徒の体力をバランスよく高める、安全で創意工夫した取り組みを展開いたします。
 さらに、オリンピアンやパラリンピアンとの交流等を通して、運動への関心、意欲などを高める教育プログラム「ようい、ドン!」の実践を推進し、児童生徒がスポーツのすばらしさを実感し、進んで体力向上に取り組み、たくましく成長できるよう、指導の充実を図ってまいります。
   〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、選手村の整備についてでございますが、選手村は、全ての選手が安心、快適に生活でき、競技に向けた万全の準備やスポーツを通じた国際交流が可能となる場として、また、大会後は持続可能な成熟都市のモデルとして、整備していく必要がございます。
 このため、昨年三月より、計画段階から後利用の構想を組み入れ、建築物の建築と基盤整備を一体的に進めることができる市街地再開発事業を活用し、まちづくりの視点を踏まえた検討を進めてまいりました。
 その結果でございますが、選手の宿泊施設などではユニバーサルデザインを徹底し、最先端の環境技術を導入することといたします。大会後には、そのレガシーを生かしまして、にぎわいを生み快適な暮らしを支える広場や海に開かれた緑地を整備し、多様な人々が居住、交流することのできる先進的なスマートエネルギー都市につくりかえてまいります。
 近々、こうした内容を事業計画として公表いたしまして、来年度早々には事業に着手し、整備に全力で取り組んでまいります。
 次に、建築物の液状化対策でございますが、液状化による建物被害に備えるためには、建て主や建物所有者が敷地の液状化の可能性についてあらかじめ把握し、対策の必要性や方法を適切に検討していくことが重要でございます。
 このため、都は、都内の地盤データや液状化対策の工法につきまして、ホームページやリーフレット等で情報提供を行うとともに、区市及び関係団体とも連携して、アドバイザーの派遣等による相談体制の整備を進めてまいりました。
 今後は、公共施設だけでなく、新たに民間建築物の地盤データも収集、公表するとともに、各区市において、都の取り組みに加えまして、地域により密着した情報もあわせて提供するように促してまいります。さらに、液状化の可能性のある地域における建築物の建て主等に対しまして、区市等と協力して必要な対策の実施を働きかけるなど、被害に備える取り組みを充実させてまいります。
 最後に、都市計画道路の新たな整備方針についてでございますが、整備方針案では、環状四号線や新五日市街道などの骨格幹線道路や外環ノ2などの補助幹線道路とともに、近隣県と連携して進めていく都県境の道路などを優先整備路線として示しております。
 今後、この方針に基づく道路整備の推進により、都市計画道路全体の完成率は約八割となります。その結果、交通渋滞の緩和はもとより、ゆとりある歩行者空間の創出や災害時における広域的な救援救護ルートの確保などが可能となります。
 また、来年度からは、事業認可前であっても機動的に道路用地を取得してまいりまして、ゆとりある生活と経済活力が両立した都市を支える都市計画道路網の早期完成を図ってまいります。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 他の地域とのつながりの強化についてですが、東京都総合戦略で掲げた共存共栄を推進するには、地域の実情を把握し、強固な連携、共同関係を構築することが重要でございます。
 このため、都は、これまで各道府県の東京事務所に伺い、都の考えを伝え、協力を呼びかけてまいりました。また、産業振興分野では、所管局が各道府県を訪問し、連携策の具体化に向けた協議を行っているところでございます。
 これに加え、全庁的な視点から政策を展開する役割を担う政策企画局におきましても、今後、直接他の地域を訪問し、幅広く政策全般にわたり胸襟を開いて意見交換を行うなど、共存共栄の取り組みを着実に進めてまいります。
 こうした取り組みを通じ、東京対地方の構図を乗り越え、オール日本による東京二〇二〇大会の成功や、その先の発展につながる地域との関係を築いてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者スポーツの普及啓発についてでございますが、障害者スポーツの魅力を多くの方に知ってもらうには、見て、触れて、体験してもらうことが重要でございます。
 そのため、都は現在、親しみやすい画像で競技を紹介する動画や、見た人が、格好いい、自分も挑戦してみたいと思うようなプロモーション映像を作成しております。来年度は、こうした素材を広報ツールとして活用し、イベントなどで展開するほか、期待の若手選手をテレビの地上波の放送やインターネットなどを通じて都民に紹介し、新たなヒーローとして発信してまいります。
 また、競技大会の観戦に訪れた人々に対し、ルールや見どころを理解してもらう工夫や、競技体験イベントをまち中で行うことなどを通しまして、より多くの都民に対し、幅広く障害者スポーツの普及啓発を積極的に働きかけてまいります。
 次に、選手に対する支援についてでございますが、二〇二〇年大会で多くの東京の選手が活躍するためには、これまでの競技団体等に対する支援に加え、選手一人一人に着目した支援を集中的に行うことが重要でございます。
 都は来年度、オリンピック・パラリンピックを目指す有望な選手を都の強化選手として認定する制度を新たに設け、世界と戦う力をつけていくため、海外遠征や補装具等への支援、医科学サポートなどを実施いたします。また、この認定制度により、選手自身が東京都の代表選手としてのモチベーションを高めるとともに、認定選手の活躍をホームページなどで発信するなど、都民が地元選手を応援する仕組みを構築してまいります。
 こうした取り組みにより、東京全体で二〇二〇年大会での選手の活躍を後押ししてまいります。
 最後に、二〇二〇年大会のボランティアについてでございますが、先月開催いたしましたシンポジウムでは、申し込みが定員を大きく上回るなど、都民のボランティアへの関心は大変高まっております。
 現在、官民さまざまな団体が参画する東京都ボランティア活動推進協議会では、募集や育成のあり方など、都市ボランティアの運営体制に関する戦略の検討を進めております。
 例えば、都市ボランティアの募集は、平成二十九年度に一部前倒しを行い、ラグビーワールドカップでも経験を積み重ねることで、翌年の二〇二〇年大会につなげてまいります。
 今後、協議会での議論や東京マラソンの経験、来年度に実施いたします障害者のボランティア参画に関する調査などを踏まえまして、ことしの秋を目途に戦略を策定いたします。
 大会に向け、関係機関と連携し、ボランティアに関する具体的な取り組みを加速しています
   〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

○生活文化局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都民のボランティア活動の推進についてですが、現在、防災や福祉などの現場において、ボランティアは大きな役割を果たしており、その活動を広めていくことが重要でございます。
 このため、活動で得た喜びの声を体験者みずからが周囲に伝えることに加え、都としてもSNS等で発信するとともに、長年継続した取り組み等を表彰いたします。また、経験豊富な人のノウハウをコーディネーターの養成に活用してまいります。
 さらに、活動経験のない都民、特に若者を対象として、ボランティア活動に取り組んでいる著名人の発信力を活用したイメージアップ広報も展開いたします。
 今回策定した指針に基づき、施策推進の中核となる東京ボランティア・市民活動センターの機能の充実や一層の周知に努め、ボランティア文化の定着を目指してまいります。
 次に、今後の文化プログラム事業の展開についてですが、二〇二〇年大会後のレガシーを見据え、伝統から現代に至る幅広い東京の芸術文化の魅力を都が主導して発信するとともに、日本各地とも連携することが重要でございます。
 このため、二〇二〇年以降も、東京の芸術文化を代表する総合芸術祭の展開に向け、フェスティバルトーキョー等、舞台芸術に関する事業を再構築の上、実施いたします。
 また、本年秋には、都心部の道路を舞台に、被災地を初めとした東北地方と東京の伝統ある祭りのパレードを実施するなど、東京のみならず、日本各地のさまざまな文化の魅力を世界に示す事業を展開してまいります。
 今後、国や大会組織委員会等とも連携を図り、東京を初め、日本全体の芸術文化の成長につながる文化プログラムの実現に取り組んでまいります。
   〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京消防庁災害時支援ボランティアの活性化についてでありますが、災害時支援ボランティアには、消防団員としての活動経験のある方や、応急救護に関する技術を有した方たちが登録しており、震災等に備え、定期的な訓練や講習会などにより技能の向上を図っております。
 これまでも、消防署と連携した地域住民の防火防災訓練指導や東京マラソンでの消防特別警戒の支援など、地域の防災力向上と安全・安心の確保に貢献しております。
 東京消防庁では、今後とも、装備資器材など活動環境の充実について検討を進めるとともに、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催も見据え、関係各局と連携し、新たな活動機会を確保するなど、一層の活性化に努めてまいります。
 次に、救急活動体制の強化についてでありますが、当庁管内では、高齢化の進展等に伴い救急出場件数が過去最高を更新し続け、救急隊の現場到着時間が延伸傾向にあることから、来年度は救急隊八隊の増強を計画しております。
 さらに、このうちの二隊をもって、救急要請が特に多いターミナル駅や繁華街等に待機し、要請件数の変動に応じて機動的に運用する救急機動部隊を創設する予定であります。これにより、待機場所周辺の救急事案に迅速に対応するとともに、遠方の消防署から救急隊が出場することを抑制し、波及的に各救急隊の現場到着時間の短縮を図ってまいります。
 今後とも、東京二〇二〇大会を見据え、救急需要や救急活動データを踏まえた救急隊の計画的な増強や効果的な運用を検討するとともに、テロ災害や外国人傷病者への対応力の向上を図るなど、救急活動体制のより一層の強化に努めてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、大規模災害時の緊急輸送ルートの確保についてでございます。
 発災時に救出救助などの応急対策活動を円滑に展開し、首都機能の維持を図るためには、甚大な被害が発生した地域等へのルートを早急に確保することが重要であり、道路管理者等が発災直後から迅速に活動できるよう、対処方針を事前に定めておく必要がございます。
 都におきましては、現在、医療施設や大規模救出救助活動拠点等を中心に、沿道建築物の耐震化の状況や無電柱化の整備状況などを踏まえました経路のリスク評価を実施してございます。
 今後は、こうした評価結果も踏まえながら、優先的に確保すべきルートや、その目標時間の設定、発災後の基本的な対処などについて、区市町村や関係機関等の意見も聴取し、今年度末を目途に、緊急輸送ルートの確保に向けた基本方針として取りまとめてまいります。
 次に、首都直下地震等対処要領の見直しについてでございます。
 大規模災害の初動時には、警察、消防、自衛隊など数多くの部隊が全国から進出してくるため、その受け入れ体制を整備いたしますとともに、各防災機関が連携をして、迅速で効率的な応急対策活動を実施する必要がございます。
 都は、対処要領をもとに、防災訓練での検証を行うとともに、救出救助のオペレーション等について、区市町村及び関係機関との協議を重ねてまいりました。これらを踏まえまして、今年度末を目途に、緊急輸送ルートの確保に加え、大規模救出救助活動拠点の部隊配置の設定やさらなる拠点の確保などを、対処要領に反映させてまいります。
 今後も、都は実践的な訓練を通じまして、不断の見直しを行い、災害対応力の一層の強化を図ってまいります。
 次に、旧立川政府倉庫の活用についてでございます。
 いつ起きてもおかしくない大規模災害への備えとして、多摩地域を初め、東京全体の防災力を向上させるため、都が倉庫を取得することといたしました。
 この倉庫は、自衛隊、警視庁、東京消防庁など、災害対応を担います機関が集中的に配置されている立川広域防災基地内に立地しており、取得後は、こうした立地上のメリットを最大限に生かした活用を行うこととしております。
 例えば、備蓄物資の充実や全国からの支援物資を都内各地域へ輸送する拠点施設、さらには訓練や普及啓発活動の場などとしての活用を想定しており、現在、さまざまな機関と詳細な検討を行っております。
 引き続き、各機関と連携を図りながら、施設を早期に機能させ、広域的な防災力を向上すべく、全力を尽くしてまいります。
 最後に、サイバーセキュリティー体制の強化についてでございます。
 都におきましては、来年度より、サイバー攻撃等から守るべき情報や機能、運用体制を含め、各システムを分析、検証することでリスクを評価し、重要度に応じてシステム改修や運用の見直しなど、必要な対策を講じてまいります。
 また、サイバー攻撃の影響を最小限にとどめるためには、初動対応の迅速化が重要なことから、庁内システムへの攻撃を早期に検知いたします監視システムを新たに構築いたします。
 さらに、区市町村に対し、都の有するノウハウや新たな監視システムなどを活用した支援を強化することで、セキュリティーレベル向上の取り組みを後押ししてまいります。
 こうした取り組みに加えまして、国や警視庁、組織委員会等との緊密な連携を進め、全体として漏れのないサイバーセキュリティー体制を構築してまいります。
   〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、浄水場更新に合わせた覆蓋化整備についてでありますが、火山噴火やテロ行為などのさまざまな危機に万全を期すためには、既に覆蓋化されたろ過池などに加えまして、浄水場の水面が開放されている全ての施設を覆う必要があります。
 しかし、既存の浄水場での実施は、物理的な制約から現状では困難であるため、約一兆円の費用と六十年の期間をかけて実施をいたします浄水場の更新に合わせまして完全覆蓋化を行うこととし、整備コストも約三百五十億円と、単独での整備に比べ半減させていきます。
 また、更新整備に当たりましては、浄水場のセキュリティー対策を踏まえながら、地域特性などを反映した地域住民への還元のあり方についても検討してまいります。
 強固で強靱な水道施設整備を推進することにより、将来にわたる首都東京の安定給水を確保してまいります。
 次に、荒廃した民有林の対策についてでありますが、水道局では、これまで水源地の民有林につきまして、ボランティアによる保全活動と公募による購入を行い、水源涵養など森林の持つ公益的機能の向上を図ってまいりましたが、いまだ荒廃した民有林が多く存在し、小河内貯水池への土砂流出などの影響が懸念されております。
 そこで、今後は、これら影響の大きい民有林を選定し、計画的に購入を推進するとともに、購入した森林の整備保全につきましては、都民を初め、関係局や企業、大学など多様な主体とも連携し、当局が責任を持って積極的に取り組んでまいります。こうした取り組みを、来年度に改定する水道水源林管理計画に反映し、着実に推進することで、水道水源林の重要性に加え、安全でおいしい水づくりの理解につなげてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 交通安全対策についてでございますが、高齢者は死者に占める割合が高く、事故に遭った場合に重大な被害となりやすいこと、また、自転車は全事故に占める割合が三割と全国平均より高いこと、頭部損傷を主因とする死者が七割を占めることなどから、交通ルール、マナーの徹底や自転車乗用時のヘルメット着用促進など、安全対策の強化が必要でございます。
 このため、高齢者対策として、歩行者信号の高度化や身体、認知機能の低下に気づいてもらう教育、地域活動の充実などを図ってまいります。
 また、自転車の安全利用のためには、利用者自身が、自転車は車両であるとの意識を持ち、ルール、マナーを習得、実践することが不可欠でございます。
 このため、ルールをわかりやすく習得できる自転車シミュレーター教室の拡充、危険な違反行為の取り締まり強化に加え、新たに、違反行為等に対し、街頭で直接、啓発や指導を行う指導員制度を導入するなど、安全対策を進めていくこととしております。
 今後、新たに策定する第十次交通安全計画に基づき、庁内各局、警視庁、区市町村等との連携を強化し、交通事故及び死者数のさらなる減少を図るべく、全力で取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、地域医療構想の策定についてでありますが、都は地域医療構想策定部会において、医療需要推計や受療動向の疾病別分析などをもとに、都の特性を踏まえ、検討を行い、昨年十二月に構想の骨子案を取りまとめました。
 骨子案では、現行の二次保健医療圏を、将来必要な病床数を算定する単位である構想区域に設定するとともに、疾病、事業ごとの医療提供体制については、地域の医療資源の分布状況等に応じて柔軟に運用することといたしました。また、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現に向け、四つの基本目標をお示しいたしました。
 現在、構想区域ごとに、医療関係者等から地域の課題や骨子案に関する意見を聴取しており、今後、こうした意見も踏まえながら、来年度早期に素案を取りまとめ、パブリックコメントを実施する予定でございます。
 次に、高齢者施策の充実についてでありますが、高齢者が地域で安心して生活できるようにするためには、施設サービスや在宅サービスをバランスよく整備し、大都市東京にふさわしい地域包括ケアシステムを構築していくことが必要でございます。
 そのため、都は来年度から、介護施設の整備率が低い地域での整備費補助の加算を拡充するほか、地域での多様なみとりの場の確保や認知症の方の在宅生活支援モデルの構築などに新たに取り組みますとともに、介護人材の確保に向け、職員用の宿舎借り上げに対する支援を開始いたします。
 今回の国の緊急対策には、都の提案を受け、国有地の減額貸付や特別養護老人ホームの建物所有の規制緩和等が盛り込まれており、今後とも国と連携しながら、東京の特性を踏まえた高齢者施策を積極的に展開してまいります。
 次に、家族介護者への支援についてでありますが、高齢者や障害者を在宅で介護する家族は、心身の負担感や社会からの孤立を感じることが多いといわれております。
 そのため、区市町村は、介護保険法や障害者総合支援法に基づき、家族介護者に対するリフレッシュの機会の確保や相談事業などを実施しております。これに加えまして、都は、認知症の方やその家族の交流、支援拠点の設置や在宅の重症心身障害児者への看護師の派遣など、区市町村の先駆的な取り組みや地域の実情に応じた独自の取り組みを包括補助で支援するほか、ショートステイや小規模多機能型居宅介護など、家族介護者のレスパイトにも資する基盤整備を独自の補助で支援しております。
 今後とも、在宅で介護を行っている家族のニーズを踏まえ、さらなる支援の充実を図ってまいります。
 次に、医療機関同士のネットワーク構築についてでありますが、複数の医療機関がICTを活用して検査結果や服薬情報などの患者情報を共有することは、二重検査や過剰投薬の防止など患者の負担軽減や、急性期から在宅療養への切れ目のない医療連携の推進につながるものでございます。
 そのため、都は、ICTを活用した医療連携に取り組む医療機関を、地域医療介護総合確保基金を活用して支援しており、今年度は、二つの病院が中心となって、地域の診療所等と患者情報を共有するために必要なサーバーシステムの導入を進めております。
 東京都医師会においても、病院間で共有する情報の項目や運用ルールなどについて、現在検討を進めており、今後、こうした取り組みと連携しながら、ICTネットワークの構築に取り組む医療機関を積極的に支援してまいります。
 次に、支援を必要とする子供や家庭への支援についてでありますが、お話のように、支援が必要な子供とその家庭にきめ細かな支援を行うためには、都と区市町村、民間団体等とが連携して施策を進めていくことが必要でございます。
 そのため、都は来年度から、子供の学習支援や食事の提供、親への相談支援等を行う居場所づくりを民間団体と連携して実施する区市を支援いたしますとともに、児童養護施設退所者等への住まい確保や、ひとり親家庭に対する相談体制の充実など、新たなる取り組みを開始いたします。また、大学と連携して、子供と家庭の状況に関する調査研究等も実施する予定でございます。
 今後とも、各局で構成する子供・子育て施策推進本部を中心に、区市町村や関係機関と連携しながら、福祉、医療、雇用、教育など、さまざまな施策を一層推進してまいります。
 最後に、障害者の社会参加の促進についてでありますが、都はこれまで、障害のある人もない人も、互いに尊重し、支え合いながらともに生活する社会の実現を目指し、就労支援を初め、さまざまな障害者施策に取り組んでまいりました。
 来年度は、東京チャレンジオフィスを都庁内に開設し、障害者にさまざまな就労経験の機会を提供いたしますとともに、都内の福祉施設の製品を販売するトライアルショップを、都庁舎を初め、都内三カ所に開設いたします。
 また、障害者の社会参加に関する意識調査を実施するとともに、学生と障害者が参加するシンポジウムの開催や、小中学生のポスターコンクールの実施など、障害への理解を深め、心のバリアフリーを推進する取り組みを行います。
 さらに、グループホームや通所施設など、地域生活基盤の整備も進め、障害者の社会参加を一層促進してまいります。
   〔病院経営本部長真田正義君登壇〕

○病院経営本部長(真田正義君) 五つのご質問にお答えいたします。
 まず、都立広尾病院における東京二〇二〇大会に向けた準備についてでありますが、大会を通じて、都立病院における受け入れ拠点としての機能を果たしていくためには、将来の改築計画の有無にかかわらず、必要な環境整備を実施することが重要でございます。
 このため、国際化対応については、今年度、厚生労働省の医療通訳拠点病院に選定されたことに続き、今後は多言語や異文化に対応した医療を評価、認証するJMIPの都立病院初の取得を目指してまいります。また、ハード面においては、初期診療室や救命救急センターの改修、内視鏡室の拡張により、東京ERの機能強化を図るなど、救急患者の受け入れ体制を拡充いたします。
 これらの取り組みにより、大会の成功に向け、万全の準備を進めてまいります。
 次に、多摩メディカルキャンパスのリハビリテーション機能充実についてでございます。
 お話のように、リハビリテーション医療は、今後のさらなる高齢化の進行によるニーズの増加に伴い、その充実は重要であり、特に多摩地域はその必要性が高いものと認識しております。
 このため、まず、多摩総合医療センターと神経病院の連携を強化し、急性期の脳血管疾患治療後の患者等に、切れ目ない一貫したリハビリテーションを実施する体制を構築いたします。
 また、神経病院の改築に合わせ、リハビリ機能を強化し、難病等の地域の医療機関では対応困難な症例に積極的に対応するとともに、外来におけるリハビリテーションの実施についても検討してまいります。
 こうした取り組みにより、キャンパス総体としてリハビリ機能を強化し、多摩地域におけるリハビリテーション医療の充実に取り組んでまいります。
 次に、多摩キャンパスの医療連携強化についてでございますが、多摩地域は、区部と比較して拠点となる病院が少なく、その対応は広域的であるため、限られた医療資源で質の高い医療を提供するには、医療機能の適正な役割分担のもと、連携による切れ目ない医療の提供が必要となります。
 このため、キャンパスにおいては、都立病院として唯一の地域医療支援病院である多摩総合医療センターを中心とし、キャンパス内の各施設及び多摩地域の公社病院との強固な連携体制を構築するとともに、地域の医療機関との緊密な連携についても積極的に取り組んでまいります。
 また、地域の医療機関との連携を推進するに当たりましては、ICTの活用が有効であると認識しており、その活用については、連携体制の構築を行った上、都の施策との整合性や関係機関の動向等を踏まえ、検討してまいります。
 次に、都立墨東病院における医療機能の強化についてでございます。
 墨東病院では、東京ERとして、これまで救急医療機能の強化を図ってまいりましたが、この二月に都内で三番目、区東部地域では初めてとなる高度救命救急センターの指定を受けました。今後は、このセンターの機能を最大限に発揮することにより、広範囲熱傷、急性中毒などの特殊疾病患者に対しても高度な診療機能を発揮し、これまで以上に質の高い救急医療を提供してまいります。
 また、周産期医療につきましては、来年度、母体胎児集中治療管理室の改修を行うとともに、内科的治療と外科手術が同じ部屋で実施可能なハイブリッド手術室の整備を行うことで、ハイリスク妊産婦への対応力をさらに強化いたします。
 こうした取り組みにより、母体救命の最後のとりでとしての役割を果たしてまいります。
 最後に、公社病院における在宅療養支援についてでございます。
 患者が地域で安心して在宅療養生活を送るためには、在宅医との連携を強化し、患者の急変時に円滑に受け入れるとともに、患者を看護している家族等への支援を行っていくことが重要であると認識しております。このため、地域医療機関との連携を推進していくことを役割としている公社病院においては、これまでも、一部の病院で地域との連携を図りながら、患者の身体状況や疾病などに応じてその受け入れを行ってまいりました。
 今後は、各病院に設置している患者支援センターを活用するなど、家族への相談機能をより一層充実していくとともに、地域ニーズに応じて、在宅医と協力し、医学的ケアを必要とする患者の受け入れの拡充について検討してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、道府県と連携をした産業振興の展開についてでございますが、昨年十一月に公表いたしましたALL JAPAN&TOKYOプロジェクトの推進に向けまして、先週までに全国の四十六全ての道府県庁への訪問を完了いたしました。二〇二〇年大会の開催に向けた中小企業の受注拡大や観光振興など、都との連携に対して期待の声が寄せられております。
 各地からの意見を踏まえまして、これまで中国、四国地域との観光ルートを結ぶ協議会を立ち上げたほか、ふるさと祭り東京での全国のご当地マラソンの紹介、木材製品展示会への長野県、岐阜県との共同出展を行い、今週末には、臨海副都心で熊本県等と共同で特産品PRを実施いたします。
 来年度は、他県に出向いて商談会を開催するなど、プロジェクトを本格的に実施をいたします。引き続き、各地との緊密な連携を図り、双方に効果の高い施策を展開してまいります。
 次に、中小企業の積極的な事業展開への支援でございますが、東京の産業が将来にわたり発展をしていくためには、中小企業が新事業の創出や海外展開など、新たな事業に積極果敢に挑戦をすることが重要でございます。
 このため、都は来年度、新事業分野の事業化、製品化を促すため、事業アイデアを持つ中小企業と大学、金融機関等との連携体の立ち上げを支援するとともに、経費助成の制度を創設いたします。さらに、研究機関や全国の企業等との連携を促進するため、民間と共同でファンドを新設いたします。
 また、中小企業が円滑に海外展開を図れるよう、計画策定支援や海外展示会への出展機会の拡充とともに、経済団体等と連携して製品等をPRし、商談につなげてまいります。
 こうした多面的な取り組みにより、東京を牽引する中小企業の成長を強力に後押ししてまいります。
 次に、中小企業への金融支援の充実についてでございますが、中小企業のさらなる成長のためには、設備投資や海外展開などの積極的な取り組みを資金面からも支える必要がございます。
 このため、都は、設備投資に対して、制度融資により最大五分の四の信用保証料の補助を行う設備更新・企業立地促進融資を実施し、積極的に後押しをしております。
 これに加えまして、来年度からは、海外展開支援メニューを新設し、最優遇金利を適用するとともに、信用保証料を補助いたします。あわせて、海外ビジネスに関する豊富なノウハウを有するジェトロ等と金融機関とが一体となって支援する新たな事業を開始いたします。
 さらに、地域の金融機関と連携した新保証つき融資の融資限度額を大幅に引き上げるなど、さまざまな金融支援策により、都内中小企業の事業展開を後押ししてまいります。
 次に、東京ビッグサイトの利用制約への対応策についてでございますが、中小企業にとって、展示会は販路開拓の重要な手段であることから、都はビッグサイトと連携し、利用調整を進めるとともに、未利用地の活用など、あらゆる方策を検討してまいりました。
 都としては、展示会主催者の、首都圏で展示会を開催したい、あるいは二年連続開催できないことを回避してほしいなどの声に応えるためにも、東京ビッグサイト近隣に大規模な仮設展示場を設置することといたしました。
 具体的には、臨海地域の東京テレポート駅至近にある未利用地に約二万四千平方メートルの仮設展示場を、平成三十一年四月から一年間設置いたします。
 さらに、拡張棟につきましては、竣工時期を平成三十一年十二月末から同年六月を目途に前倒ししてまいります。
 これらの対応策によりまして、大会前の平成三十一年度には、展示可能面積が、現在の八万平方メートルの約四割から九割にまで大幅に増加いたします。また、大会終了後には、面積が現在の約一・五倍となることから、展示会を年度後半に集中させるなどの調整を図り、利用制約による影響を最小限に抑えてまいります。
 最後に、公共インフラを活用した観光振興についてでございますが、都民生活や企業活動を支えているさまざまな公共インフラはまた、東京の重要な観光資源でもあり、旅行者の誘致に向け、その活用を図ることは重要でございます。
 これまで都は、各地域の特色ある観光資源を活用するアイデアを、民間のノウハウに結びつけて実現する取り組みを行ってまいりました。
 ご提案の公共インフラに関しまして、その役割などへの理解を進めながら、観光振興につなげるために、各地域がつくり上げる企画を民間の力により実現する場合には、必要となる事業費の上限を引き上げます。
 また、企画の実施に当たり、旅行者がインフラの機能等を十分に理解できるよう工夫を行う仕組みといたします。
 こうした取り組みを展開し、公共インフラを活用した観光振興を適切に進めてまいります。
   〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都市基盤整備のストック効果についてでございますが、ストック効果とは、道路、河川、公園などの都市基盤施設が整備、供用されることで、将来長きにわたり、生産性の向上や日々の都民生活の安全性、快適性を高めるなどの効果でございます。
 例えば、幹線道路ネットワークの整備は、人や物の移動時間を短縮し、観光や産業の活性化など広域的な経済活動への波及効果をもたらします。また、地下調節池などの河川施設の整備は、浸水被害の軽減など、安全・安心を確保いたします。さらに、公園の整備は、豊かな緑と潤いのある空間を生み出し、都市生活の質を向上させます。
 今後は、こうしたストック効果を、多様な媒体や機会を活用し一層積極的に情報発信することで、都民の理解と協力を得ながら、東京の都市基盤整備を推進してまいります。
 次に、都道のバリアフリー化についてでございますが、高齢者や障害者を含めた全ての人が安全で円滑に移動するためには、道路のバリアフリー化を一層進めていくことが重要でございます。
 都はこれまで、駅や福祉施設等を結ぶ道路におきまして、福祉のまちづくり条例に基づき、段差解消や視覚障害者誘導用ブロックの設置などに取り組んでまいりました。
 こうした取り組みをさらに進めるため、今年度内に東京都道路バリアフリー推進計画を策定し、東京二〇二〇大会競技会場周辺の整備を大会開催までに完了させるとともに、障害者が利用するスポーツ施設等の周辺も新たに加え、今後十年間で延長約百八十キロメートルを整備いたします。
 引き続き、誰もが安全・安心、快適に利用できる道路空間の創出に取り組んでまいります。
 最後に、連続立体交差事業の新規事業化についてでございますが、本事業は、数多くの踏切を同時に除却することで、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化に資する極めて効果の高い事業でございます。
 新規事業化を検討している区間のうち、西武新宿線の野方駅から井荻駅間及び井荻駅から東伏見駅間につきましては、外環ノ2など関連する道路の整備計画が具体化するとともに、まちづくりの取り組みが進められております。また、京浜急行本線品川駅から北品川駅付近につきましては、国際交流拠点を目指した品川駅周辺のまちづくりが動き始めております。
 このため、これら三区間を社会資本総合整備計画に位置づけ、事業化に向けて一歩踏み出すことといたしました。世界一の都市東京を実現するため、今後とも必要な財源の確保に努め、地元区市や鉄道事業者と連携し、事業を推進してまいります。
   〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) 今後の下水道事業の運営についてでございますが、下水道局は、二〇二〇年大会の開催とその後の東京のあり方を見据え、平成二十八年度から三十二年度までの五カ年間を計画期間とする経営計画二〇一六を策定いたしました。
 本計画では、大会に向けて集中的に取り組む事業や中長期的に必要な事業を着実に推進するため、建設投資を増額し、区部下水道建設事業費を総額八千九百億円といたしました。
 下水道管の再構築では、整備年代の古い都心の第一期再構築エリアについて、平成四十一年度の完成を目指し、完了面積の割合を現在の四〇%から五カ年で六二%に引き上げるほか、浸水対策、震災対策、水質改善、エネルギー削減等、さまざまな課題の解決に着実に取り組み、二〇二〇年大会の万全な開催に貢献するとともに、将来にわたり都民の安全・安心を確保してまいります。
   〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 契約にかかわる二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小事業者が技術者を育成確保できる環境の整備についてでございますが、公共工事に携わる下請を含む中小事業者が技術力の継承や発展に向けて、担い手を安定的に育成、確保していくためには、賃金その他の労働条件、労働環境が適切に確保される必要がございます。このことは、改正品確法の理念であり、その実現に向けては、受発注者双方で取り組んでいかなければなりません。
 そのため、都では、市場動向を反映した予定価格の設定を初めとする制度改革を行い、下請等で働く従業員の労働条件等にもその成果が及ぶよう、取り組みを進めております。
 今後とも、二次下請までを対象とする就業環境改善のための調査の拡大などを通じ、下請を含む中小事業者の人材の育成と確保に向けて、発注者としての責任を果たしてまいります。
 次に、中小事業者の技術力の評価についてでございますが、都内の中小事業者の中には、区市町村が発注する道路や橋梁工事などの施工を通じて、技術力を培いながら、地域のインフラ整備に貢献している事業者も多く存在しております。
 一方、都においては、今後増大する身近な社会インフラの老朽化などに対応するためにも、これらの中小事業者の技術力を生かしていくことが重要でございます。
 現在、都の総合評価方式では、都発注工事の成績のみを評価の対象としておりますが、今後は、都内区市町村発注の工事成績も評価する手法を新たに導入することで、品質確保を図りながら、技術力のある中小事業者の新規参入を促し、発注者として技術者の育成を支援しつつ、持続的なインフラ整備を進めてまいります。
   〔交通局長塩見清仁君登壇〕

○交通局長(塩見清仁君) 都営地下鉄の安全対策についてでございますが、交通局は、平成二十八年度から三カ年で約一千億円を投じ、さらなる耐震対策や予防保全に基づくトンネル等の長寿命化、ホームの事故防止など、安全・安心の確保に向けた取り組みをさらに加速させてまいります。
 このうち、ホームドアにつきましては、浅草線大門駅などの先行整備に加え、車両の大規模改修を必要としない新技術を用いた実証実験を来年度実施するなど、全線全駅へのホームドア整備の早期実現を目指してまいります。
 また、高い安全意識と技術力を持った職員を育成するため、OJTや各種訓練を通じて、職員の意識と対応力の向上を図るとともに、模擬実習設備を充実させ、より実践的な研修、訓練を行うなど、ハード、ソフト両面から全力で安全対策に取り組んでまいります。
   〔港湾局長武市敬君登壇〕

○港湾局長(武市敬君) 東京港の機能強化についてでございますが、円滑で効率的な物流を確保していくためには、社会経済や物流動向の変化を踏まえ、メーンポートとしての東京港の機能強化を積極的に図っていく必要があります。
 そこで、港からのコンテナ貨物の搬出を円滑にするためのコンテナヤードの再編に加え、道路ネットワークの充実強化を着実に進めてまいります。また、多頻度小口配送にも対応する物流センター機能の充実を図るなど、荷主の要望にきめ細かく対応していけるよう、港や港周辺の機能の見直しを行ってまいります。
 今後も、日本経済の成長に寄与するため、船会社や海上、陸上の輸送事業者などの関係事業者と連携しながら、中長期的な視点を持って、我が国の物流のかなめともいえる東京港の機能強化に全力で取り組んでまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 地下水の保全と利用についてでございますが、水循環において地下水は大きな役割を占めており、その保全と涵養は重要でございます。
 都はこれまで、法の規制に加え、条例による揚水規制を行っており、近年、地盤沈下は鎮静化しつつあります。
 しかしながら、地盤沈下は不可逆的な現象であり、しかも過剰な揚水が行われれば再び沈下が進行する可能性があることから、適切な揚水規制は不可欠と認識しております。
 一方、地下水利用に対する関心は高まっており、国の水循環基本法の制定や水循環基本計画の策定を踏まえ、地下水の保全と適正な利用との調和を図る必要があります。
 このため、まずは未解明な部分が多い地下水の実態を把握するため、引き続き揚水規制を継続しながら、科学的データの収集、蓄積を進めてまいります。

○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四十六分休憩

   午後四時六分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百八番長橋桂一君
   〔百八番長橋桂一君登壇〕

○百八番(長橋桂一君) 都議会公明党を代表して質問を行います。
 舛添知事の就任から二年が経過し、任期の折り返しに入りました。平成二十八年度予算案は、今後の舛添都政の方向性を示したものであり、その編成方針にある、二〇二〇年とその先の将来像の実現に向けて積極果敢な施策展開を図るとの一文に、知事のかたい決意が凝縮されていると思います。
 急速に進む高齢化の中で、二〇二〇年を境に人口減少局面に入っていく東京は、世界の大都市が経験したことのない難しい都市経営に挑んでいかなければなりません。人口減少の影響は、一過性、部分的なものなどではなく、人間の活動がダイナミックに展開されている東京は、影響の及ぶ分野も多岐にわたると予測されております。
 そうした状況下で、冷静に中長期の見通しを立てながら、現世代だけでなく、子や孫の世代も希望の持てる都市の展望を大胆に切り開いていくことこそ真の世界一の都市ではないでしょうか。その実現に当たっては、都政運営の揺るぎない哲学として、徹して都民一人一人を大切にすることを掲げるべきと考えます。およそ政治も、経済も、文化も、教育も、あらゆる活動の主体は一人一人の都民だからであります。
 舛添知事は、東京の十年後を見据えた長期ビジョンを策定し、さらにその先のグランドデザインも描きつつありますが、都民を大切にする視点を政策の座標軸に据えて運営に当たるべきと考えます。知事の所見を伺います。
 続いて、財政について質問します。
 都の来年度予算案では、福祉と保健の分野が四年連続で一兆円を超え、予算全体に占める割合が過去最高となっております。福祉と保健予算の重視は、我が党が一貫して主張してきたことであり、高く評価するものであります。
 さて、今定例会の施政方針表明において舛添知事は、明るい未来に向けた投資を今こそ果敢に実行していくとし、そのために、今後も、強固な財政基盤の維持、構築を不断に進めると強調されました。
 今後の都財政は、財政需要が一段と高まる少子高齢化と、税収にも大きく影響する人口減少の同時進行という困難な状況下で運営していかなければなりません。
 こうしたことから、まずは事業評価の一層の徹底や基金のさらなる活用を進めていく必要があります。同時に、老朽化が進む都市インフラの更新、整備等はもとより、少子高齢化や人口減少対策の分野に対して、必要に迫られてから後追い的に予算措置をするのではなく、都民の不安を解消するために、むしろこれらの分野に先手を打って重点的に投資すべきであります。こうした投資によって、関連する中小企業、福祉関連事業等の成長を促し、雇用、賃金の拡大につながるような政策展開が重要と考えます。
 そのためには、財政投資の効果的なサイクルの確立を目指しながら、必要な政策展開に対し十分な予算措置を講じることができる強固な財政基盤を構築すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、都の財政運営に関連して、新公会計制度について質問します。
 都が平成十八年度に全国に先駆けて導入した新公会計制度は、本格的な複式簿記・発生主義を採用し、官庁会計では把握することのできない資産、負債などのストック情報や、金利や減価償却費などを含む真のコスト情報を明らかにするものであり、地方自治体会計に変革をもたらす取り組みとなりました。施策の分析、監査業務の充実という点でも大きな成果を上げてまいりました。さらに制度導入以来、職員のコスト意識が高まるなど、庁内の意識改革が大きく前進したといわれております。
 新公会計制度を導入して十年を迎えた今、改めて、マクロ、ミクロの観点から、これまでの成果と今後の取り組みについて所見を伺います。
 今回、平成二十八年度予算において、福祉と保健の分野を含め、積極的な施策展開が可能となったのは、これまで都が、施策展開を支え得る強固な財政基盤の構築に取り組んできた成果であるといえます。
 その意味から、今後、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会を成功させ、その先の政策展開を実現するためには、都財政の健全性、透明性が最も必要であり、そのための原動力は、まさに新公会計制度の活用であると考えます。
 そこで、新公会計制度が都財政に果たす役割について、知事の所見を伺いたいと思います。
 次に、福祉先進都市東京のさらなる前進に向けた福祉施策の充実について、政策テーマに分けて何点か質問をします。
 まず、介護の充実であります。
 超高齢社会に突入する我が国においては、加齢に伴うさまざまな不安を軽減する対策が重要な課題の一つになっております。
 とりわけ東京は、何事をするにも地価や人件費が高いというハンディを抱えており、その上、核家族化どころか孤立の時代とさえいわれております。しかし、こうした中で組まれる東京の介護対策は、世界の大都市にとっても、必ず有益な先例となるはずであります。
 昨年十月、舛添知事が安倍首相と会談した際、新三本の矢の一つである介護離職ゼロへ国と都が緊密に連携し、一緒に取り組んでいくことが確認をされました。大いに期待をしております。
 まずは、都民が抱える介護不安の軽減に向けて取り組む知事の所見を伺いたいと思います。
 介護不安の大きな要因の一つが、担い手の不足であります。
 そのためには、介護従事者の待遇改善が重要であります。
 国のキャリア段位制度に刮目した、都のキャリアパスの推進策に期待したいと思いますが、その点については、予算特別委員会でしっかりと議論をしてまいりたいと思います。
 その上で、介護の新たな担い手の層を急ぎ開拓しなければなりません。今後、介護職の求人は、景気の回復が進むほど一層困難さを増すと危惧をされております。資格を得ていて働いていない潜在的介護職員の掘り起こしは、その難題を解く鍵の一つであります。また、元気高齢者に有償の担い手として、介護の支え役になってもらうことも一策であります。
 さまざまな人々の活用を図る都の対応について、見解を求めます。
 一方、今回、都が新たに打ち出した介護職員用の宿舎を借り上げる際の支援事業に注目が集まっております。これは、福祉避難所に指定されることを前提に働き手の家賃負担を減らし、可処分所得の増加を図る補助制度です。災害弱者にとっても安心が増すわけであり、一挙両得と評価できます。
 本事業の稼働に際しては、事業効果を一層高めるため、例えば、新規借り上げの宿舎だけではなく、既に借り上げ済みの宿舎も対象とするなど、幅広く補助を適用すべきと考えます。都の見解を求めます。
 みとりも、都民が抱える深刻な介護不安の一つであります。
 特別養護老人ホームに入所しても、終末期を迎えれば病院への転院を余儀なくされます。あるいは、在宅療養であっても、容体が悪化すれば再び入院先を探さざるを得ない状況が続いております。
 平成二十五年度に都が実施した在宅高齢者の実態調査では、都内の在宅高齢者の約六割が引き続き自宅で暮らしたいと回答しております。可能な限り住みなれた地域で生活し、最期を迎えたいというのが、多くの高齢者の率直な願望であります。しかし、今いる場所で適切な医療的ケアを受けられないのであれば、入院を選択せざるを得ません。
 医療費の高騰を抑えるためにも、暮らしの場におけるみとりを都民が安心して選択できる環境の整備と人材の育成に、都は本腰を入れて取り組むべきであります。見解を求めます。
 さまざまな事情から、どうしても在宅での介護が困難な場合は、入所施設を探すことになります。しかし、身近に入所できる施設が少ない地域もあり、入所待ちの状態が長く続いているのが現状であります。この状況を改善しないまま在宅療養を強調しても、都民の介護不安は解消できません。
 都は既に、特別養護老人ホームが大きく都内平均に比較して不足する区市に整備費補助の加算を設けています。しかし、ピッチを上げて都内全体の入所待ち状態の改善を図るためには、現在の加算地域以外にも支援の強化が必要です。見解を求めます。
 高齢者の介護施設を、短期間のうちに増床させていくためには、より柔軟な取り組みが求められます。
 国は今回、規制を緩和し、賃貸建物への特別養護老人ホームの整備を可能とする方針を表明しました。この緩和措置を最も積極的に利用すべきであるのは東京であります。
 都は急ぎ補助メニューを改善すべきと考えますが、見解を求めます。
 空き家賃貸住宅の活用に関連して、高齢者の住まいの確保について伺います。
 単身高齢者や高齢者のみ世帯で新たに賃貸住宅を借りようとする場合、孤独死や長期入院などの可能性をリスクと感じて敬遠する家主も多く、入居を断られる事例が絶えません。
 都の福祉先進都市・東京の実現に向けた地域包括ケアシステムの在り方検討会議では、住まいに関する高齢者や障害者などの不安の解消には、住まいの場の確保だけでは不十分であり、居住に伴うトラブルに対処するためのサポートが必要との指摘が示されていると聞いております。
 我が党がこの問題について、昨年末の第四回定例会の一般質問で取り上げたのに対し、都からは、民間の力を活用した低所得高齢者等の住まい確保や生活支援のための施策の充実を図ると答弁があったところであります。早急に結論を出し、高齢者の住まいの確保と住まい方の支援充実に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 また、こうした課題の解決のためには、支え手となる民間NPOとのマッチングなど、地域ごとの課題に対処する居住支援協議会の働きが必要であります。居住支援協議会については、我が党が本会議や委員会質疑で繰り返し取り上げ、まず、都みずから設置し、都内区市への設置促進を求めるよう提唱してきたところであります。
 現在までの成果と今後の取り組みについて見解を求めます。
 加えて、あんしん居住制度は、見守りや、万一の場合の葬儀、残存家具の片づけなどを請け負うもので、我が党の提唱で月払いも実現をしております。
 今後一層、普及促進に向けPRに努めるとともに、区市に対して積極的な活用を求めるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、地域医療構想について質問します。
 国は、二〇一四年六月に、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じて、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、医療介護総合確保推進法を制定しました。都は、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年の医療提供体制のあるべき姿を示す東京都地域医療構想を策定中であります。
 今回の東京都地域医療構想においては、病床の機能分化及び連携を進めるために、構想区域ごとに、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の四機能別の医療需要と病床の必要量を示すこと及び都が目指すべき医療提供体制を実現するための施策が大きな柱になっております。
 まず、必要な医療体制の整備について質問します。
 都が昨年十二月に取りまとめた地域医療構想の骨子案では、都は地域医療構想の構想区域を現行の二次医療圏とした上で、二〇二五年の病床の必要量については、国の、医療機関の所在地ベースでの算定方式によると、約八千三百以上の病床が不足すると推計しております。
 今回の大きな特色は、構想区域ごとに都が地域医療構想調整会議を設置し、関係者との連携を図りながら、地域医療構想の達成を推進するために必要な協議を行うとした点にあります。地域の医療関係者が一堂に会した場で意見を聞く機会を設けるのは初めての取り組みであり、直接、医療現場の声を聞くことは大変有意義であると考えます。
 都は、この調整会議を十分に活用し、地域の関係者等の意見を聞きながら、必要な医療体制の整備を進めるべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、都が目指すべき医療提供体制を実現するための施策について質問します。
 現在、都内には、高度先進医療を有する十三の大学病院、十五の特定機能病院が集積しています。これらの高度急性期病院を核とした在宅医療に至るまでの医療機関等のネットワーク化を確立していくことが、切れ目のない患者支援につながると考えます。
 今回の東京都地域医療構想の骨子案では、目指すべき医療の姿として、二〇二五年の医療グランドデザインを掲げています。特筆すべきは、地域包括ケアシステムにおける治し、支える医療の充実を明記したことであり、評価をするところであります。
 地域包括ケアシステムにおける治し、支える医療の充実を図るためには、これまで地域の医療を支えてきた、住民に身近な中小病院の活用を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、少子化対策について質問します。
 人々が安心して子供を産み、育てられる環境の整備は、やがては社会全体の活性化にも通じる大事な取り組みであります。
 しかし、介護職と同様、資格を得ながらも実際には保育士として就労していない事例が多いのが現状です。実習などに臨んだ際、理想と現実の食い違いに戸惑い、やむなく違う職種を選択する場合もあるようであります。
 都は、若い有資格新卒者などが保育現場に意欲を持って就職できるよう、受け入れ側の環境改善を促進すべきであります。
 また、同じ保育の現場といっても、その運営方針にはさまざまな違いがあります。いわば相性の相違のようなものが早期離職につながる要因の一つでもあります。
 都は、保育士を養成する専門学校などに対し、卒業予定者に対する保育所等への就職支援をより丁寧に取り組むよう誘導を図るべきと考えます。あわせて見解を求めます。
 需要予測に伴う将来の経営見通しの不安も、保育施設の増加を阻む要因であります。
 大規模な集合住宅が新設された地域では急速に保育ニーズが高まりますが、子供たちの成長とともに、十年も経ずして飽和状態に移行していくことは明らかであり、新規参入をためらうのは経営判断としてやむを得ないのかもしれません。
 そうした課題を解決する一つの糸口となるのが、都内に眠る約八十万戸の空き家賃貸物件の活用であります。新規開所までに要する期間も短くて済むとともに、需要の変化などにも柔軟に対処することが可能になります。
 保育施設においても、賃貸物件の活用の積極化を図るべきであります。都の見解を求めます。
 次に、子供の貧困について質問します。
 国は、平成二十六年八月に、子供の貧困対策に関する大綱を公表しました。
 舛添知事は先日の所信表明で、貧困の連鎖という本人の努力を超えたところに存在する障壁と表現されました。親世代の経済状況が子世代の未来の可能性を阻む壁とならないよう、都としても本腰を入れて対策を講じなければなりません。
 舛添知事が、食事の提供や学習支援を行う子供の居場所づくりに取り組む区市町村に対し、都独自の補助を行う方針を表明したことは高く評価をします。
 そうした取り組みの推進には、区市町村だけでなく、子供たちが心身ともに健やかな状態で自立ができるまで粘り強く支援を続ける民間ボランティア等の協力も不可欠であります。一方、支援を受ける子供たちに対しては、支援の提供がかえっていじめなども受けるきっかけとならないよう、きめ細かな配慮も必要であります。
 都は、そうしたボランティア等を活用した子供の居場所づくりの活動が、都内全域で円滑に広がっていくよう、資金面だけでなく、人材育成や活動を展開する場の確保など、さまざまな面で区市町村をサポートすべきであります。見解を求めます。
 貧困家庭の中には、懸命に家族が支え合い、励まし合って頑張る姿も見られる反面、借金、アルコールやギャンブルなどの依存症、虐待やDV被害、育児放棄など、子供の養育には適さない環境の中で、親自身がもがき苦しんでいるケースも見受けられます。
 生活保護制度だけでなく、国や都の取り組みによって、経済面を支える制度は整いつつありますが、精神面での寄り添いや生活のリズム立て直しなどのサポートなどによって、自立に取り組む環境を整えることから対策を講じなければならない事例もあり、特段の対策が必要であります。
 都は、区市が生活困窮者自立支援法における専門相談体制を整えられるよう支援すべきと考えます。見解を求めます。
 国民生活基礎調査によると、平成二十四年の国全体の相対的貧困率が一六・一%であるのに対し、ひとり親世帯では五四・六%と、半数以上が貧困世帯となっています。
 国はこのほど、ひとり親家庭の親が就労を果たすための資格取得期間中の生活給付金だけでなく、教育機関への入学時や就職活動時の費用の貸与制度も創設しました。しかも、五年間就労すれば返還不要という画期的な制度であります。
 この事業で対象となる資格は、看護師や保育士、介護士などですが、民間育成校の入学時費用は、多い場合四十万円を大きく上回っています。上限五十万円の入学金、同じく上限二十万円の就職活動金の貸し付けにあわせ、就労継続によって返還を不要とした点は、まさに大きな朗報であります。
 都は、この制度の早期の普及、活用を都内全域で図るべきであります。また、返還免除を得られるまで、ひとり親家庭の家族に最後まで寄り添い、支える体制を整えるべきと考えます。あわせて見解を求めます。
 次に、教育について質問します。
 今後、都は、幅広く有為な次世代の人材を育てるため、誰もが、いつでも、希望する教育を受けられる社会を実現していく必要があります。とりわけ、学習のおくれが顕著化する前に、基礎学力の定着を図るための特別な工夫を講じることができれば、不登校や中途退学などを減らすことにもつながります。
 都教育委員会が開発したベーシック・ドリルは、基礎学力の定着を図るための徹底した反復学習の教材として大変好評であります。
 そこで、その活用を授業中以外にも広げるなど、小中学校における基礎学力の定着を図る取り組みを一層充実すべきと考えますが、見解を求めます。
 さらに、児童生徒の基礎学力の向上を一層充実させていくためには、学校教育での取り組みに加え、放課後等の時間帯を利用した学習支援を推進することも大切だと考えます。見解を求めます。
 不登校や中途退学に悩む子供への支援も必要です。
 我が党はこの問題を積極的に取り上げてまいりました。今後は、再チャレンジのための教育の場を充実させて、中途退学への未然防止や再就学に向けた支援の強化が必要であります。
 また、都立高校への転入、編入学制度の改善を図るべきです。この試験では、募集枠にまだ余裕があるにもかかわらず、試験の点数に最低合格ラインを設定して合否を判断したり、中には、何年も合格者が出ていなかったりする高校もあるようであります。選考方法や合格ラインの設定の仕方に改善の余地があるのではないかと考えられます。
 志願者などからも、過去の試験問題の提供を受ける際、合格の目安を明らかにしてもらえれば、目標ができ、意欲も湧くし、高校選びにも役立つという声があります。
 高校入学後の生徒の進路変更の希望に応える上で、補欠募集を一層有効な仕組みとするためにも、選考基準の設定や応募資格等に関するルールづくりが必要であります。見解を求めます。
 次に、特別支援教育について質問します。
 平成二十八年度から、全公立小学校に順次、特別支援教室が導入されますが、特別支援教育の経験が少ない教員が配置されるのではと心配する保護者もいるようであります。在籍する学校で特別な指導を受けたいと望む児童数はふえており、特別支援教室の成功は巡回指導教員の専門性の向上が鍵になると考えられます。
 経験の少ない教員が巡回に当たる場合には、ベテラン教員とペアでOJT体制を構築するなど工夫すべきであります。見解を求めます。
 次に、教育の国際交流について質問します。
 昨年、ラグビーワールドカップ・イングランド大会の調査のために訪英した東京都議会の議員団は、姉妹友好都市のロンドン市議会を訪問し、市議会議長らと意見交換を行いました。その席上、我が党から参加した議員が、子供の発育に携わる教育の課題は国を超えて共有できるとして、教育分野における国際交流の意義を訴えたところ、市議会の議長も賛意を示されたと聞いております。
 既に東京都教育委員会は、公立の中学、高校の英語科教員を海外研修として米国やオーストラリアなどの大学に派遣し、派遣先の国々の教員と交流を行っています。また、都立高校では海外の学校との姉妹校交流や生徒の留学支援を行うなど、教員や生徒の往来を推進しております。
 こうした教育交流は、都教育委員会の教育力を高め、グローバル人材の育成にも大きく寄与するものであります。
 今後は、教育分野の国際交流にさらに力を入れ、着実に取り組んでいくべきであります。都教育委員会の所見を求めます。
 教育交流では、留学などの生徒間の交流は当然重要でありますが、数十年の長期にわたり学校で多くの生徒に教える役割を持つ教員こそ、進んで国際交流の経験を積む必要があると考えます。
 今後、都教育委員会は、教員が海外の教育関係者と議論し、意見交換する機会をふやすべきと考えますが、所見を求めます。
 次に、私立学校の英語科教員の指導力向上について質問します。
 今回、都議会公明党の要望を受け、都教育委員会が実施している公立の中学と高校の英語科教員の海外派遣と同様の取り組みを私立学校においても行えるよう、新たに私立学校への事業費補助が予算案に計上されました。大変有意義であり、高く評価するところであります。
 ただし、私立学校にはそれぞれの建学の精神や教育理念に基づき、既に教員の海外研修にも取り組んでいる事例もあります。私立学校にこうした支援を行うに当たっては、各学校の独自性を損なわないように配慮することが必要であります。
 画一的になることなく、各校の特色を生かしながら、教員の指導力が高められるような事業にすべきであります。都の見解を求めます。
 次に、オリンピック・パラリンピック教育について質問します。
 オリンピック憲章によれば、オリンピック・パラリンピックが目指すものは、スポーツと文化と教育を融合させ、人々のよりよい生き方を創造し、人間の尊厳を重視する平和な社会をつくることとされています。
 こうした理念に基づき、オリンピック・パラリンピックには世界中から多様な選手が参加し、開催地の子供たちはそのアスリートの姿を間近に見て、大会のすばらしさを実感することになります。
 こうした機会を最大限に生かし、オリンピック・パラリンピック教育では、その大会の意義やすばらしさを学ぶとともに、オリンピック憲章が掲げる人間の尊厳を重視する平和な社会に向けて、子供たちに多くの資質、能力を身につけさせる教育を展開すべきであります。都教育委員会の所見を求めます。
 次に、オリンピック・パラリンピックに関連して、多文化共生について質問します。
 日本に住む外国人は昨年六月の時点で約二百十七万二千人と過去最多であり、東京においても本年一月現在、約四十五万人もの外国人が暮らしています。今後も、二〇二〇年東京大会の開催を契機に、さらに増加が見込まれており、今以上に、身近に暮らす外国人が当たり前の存在になってくるものと予想されます。
 我が党はかねてより、日本人と外国人が互いの文化的違いを認め合い発展する多文化共生社会の推進を繰り返し求めてまいりました。都はこれに応じ、今般、多文化共生に関する基本的な考え方や施策の方向性を示した指針を作成したことを評価いたします。
 東京が目指すべき多文化共生社会の実現に向けた知事の認識について、改めて見解を伺います。
 本年一月現在、東京は実に百七十九カ国もの国籍の人が住む国際都市でありますが、名実ともに多文化共生社会を実現していくためには、多種多様な文化的背景やさまざまなニーズに対応するきめ細かい支援が必要であります。これには、行政が行う支援だけではなく、日本語教室や、地域に密着した相談事業の実施、居場所をつくるための交流事業などを行う民間団体の存在が欠かせません。
 しかし、これらの団体は規模も小さく、人的、経済的にも厳しい環境に置かれているところが多いのが実態であります。
 そこで、都が多文化共生社会を実現するために、このような民間団体に対して必要な支援を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックについて質問します。
 昨年十二月に、新国立競技場建設の財政負担について、知事、五輪担当大臣、文部科学大臣が会談し、都が三百九十五億円程度を分担することで合意をしました。また、新国立競技場の整備事業者とデザインも決定しました。
 さらに、大会後のレガシーを見据えた都側の計画の発表や、ボランティアシンポジウムの開催など、準備が着実に開始されるようになっています。
 そこで、大会の成功に万全を期すため、六点にわたり質問します。
 第一に、オリンピック・パラリンピックの財政運営についてであります。
 都は、組織委員会の経費について、事実上、財政保証の責任を負っています。大会後になって都民に負担をかけることのないよう、組織委員会の財政計画や運営に積極的に関与すべきと考えますが、見解を求めます。
 第二に、暑さ対策についてであります。
 昨年の夏は七月から八月にかけて、連続猛暑日の記録が大幅に更新されました。二〇二〇年の大会も厳しい暑さの中で開催されることが想定されます。大会を成功させるためには、今から暑さ対策を準備し、着実に実施することが重要であります。
 そこで、暑さ対策について、都の主体的な取り組みを早期に目に見える形で実施すべきと考えます。見解を求めます。
 第三に、文化プログラムについてであります。
 リオ大会が終われば、いよいよ二〇二〇年に向けた文化プログラムが本格始動します。ロンドン大会に向けた文化プログラムにおいては、開始当初、スポーツと文化、芸術とが結びつかず、国民的な盛り上がりに欠けていたそうであります。それが徐々に認識が深まり、本大会の開催年である二〇一二年には、英国史上最大規模と評価されるほどの文化、芸術の祭典に発展したと聞いております。
 その意味では、東京においても、初年度の取り組みが重要であります。都の既存の文化事業も十分に生かしながら、都民、国民に、スポーツと文化、芸術とを一体として理解し、楽しんでもらえるだけのインパクトのある文化プログラムを期待します。
 スタート初年度の具体的な内容を早急に提示すべきと考えますが、見解を求めます。
 第四に、パラリンピックの認知度向上策についてであります。
 ロンドン大会では、テレビ放送によるキャンペーンや、百万人の子供たちにパラスポーツを体験させるイベントなどにより、パラリンピックが非常に盛り上がり、大会が成功しました。
 世界で初めて二度目のパラリンピックを迎える東京は、ロンドン大会以上の成功と、それに見合うレガシーを残さなくてはなりません。
 そのためには、まずはパラリンピックの認知度を高める取り組みを意欲的に展開するべきであります。都の見解を求めます。
 第五に、パラリンピック選手の養成策についてであります。
 二〇二〇年大会は、東京で開催される五輪であり、東京や日本の選手が活躍すれば、都民、国民は大いに盛り上がります。
 そのため、二〇二〇年には一人でも多くの地元東京出身の選手が出場し、メダルを獲得できるよう、都は強力に支援すべきと考えます。
 しかし、オリンピックのメジャー種目のような競技団体による手厚いサポートは、パラリンピックを目指す選手の場合、まだ望めない環境にあります。
 そこで、その分、都による強力な支援が必要であります。見解を求めます。
 第六に、二〇二〇年大会に向けた被災地支援についてであります。
 東日本大震災から五年を迎えますが、被災地の復興はいまだ途上であります。このような状況において、被災地で懸命に進められている復興の姿を映像などでPRし、世界の人々の熱いエールを喚起するような情報発信の工夫が必要です。
 東北の方々に喜んでもらえる、復興の希望につながる取り組みを強力に展開するべきと考えます。見解を求めます。
 都議会公明党は、この五年間、毎年何度も東北の被災地に調査チームを派遣し、支援策の検討と提案を重ねてまいりました。
 今月十三、十四日に、福島県いわき市を訪問し、甚大な津波被害を受けた沿岸部を調査し、観光や水産の関係者と意見交換をしたところであります。
 福島県いわき建設事務所には、都から技術職員が派遣されており、その活躍ぶりが高く評価されていました。
 福島県旅館ホテル生活衛生同業組合などによりますと、いわき湯本温泉への観光客は、震災前の六割ほどに戻ったそうであります。
 関東圏から来訪者が多かった小名浜の水族館、アクアマリンふくしまも、やはり六割ほどの戻り状況とのことでありました。特に水族館の副館長からは、関東圏からの教育旅行が以前のように活発化することを期待する声がありました。
 旅館ホテル組合のおかみさんたちは、着物姿でフラダンスを踊って、フラのまちをPRしたり、スポーツイベントや遠征交流を企画したりして、福島への旅行客の呼び寄せに懸命に取り組んでいます。
 都はこれまで、被災地応援ツアーにより、福島県の観光産業の復興を支援してまいりました。昨年、一部の事業者による協力金の不適正受給と返還といった状況もありましたが、この事業が担ってきた意義を踏まえれば、万全の再発防止策を講じた上で、着実に事業を進めるべきであります。
 また、地元からの要望などを十分に聞いて、施策を向上させていくことが大切だと考えます。
 被災地応援ツアーの新年度の取り組みについて、見解を求めます。
 水産業の関連では、県漁業協同組合連合会の会長から、豊洲新市場の開場に大きな関心が寄せられました。これまでも、都の中央卸売市場は、風評被害の払拭を初め、福島の県産品を積極的に支援してきております。
 今後は、水産業においても、福島県の関係者の希望につながる取り組みを大消費地東京として一段と力を入れ、展開すべきと考えます。見解を求めます。
 次いで、防災対策について質問します。
 まず、大規模水害対策であります。
 平成二十七年九月に鬼怒川で発生した水害の際、常総市では、全国から集めた最大五十一台の排水ポンプ車等による排水作業を二十四時間体制で行いましたが、浸水解消までに十日間を要したそうであります。
 中央防災会議での大規模水害に関する専門調査会では、東京の東部低地帯における利根川決壊時の被害想定として、浸水継続時間が二週間以上に及ぶと報告されています。
 地盤が海面下にあるゼロメートル地帯では、河川や海へ自然流下させることができないため、ポンプにより排水するしかありません。
 そこで都は、排水施設への燃料補給やアクセス道路の確保などを含め、非常時に迅速な対応ができるよう、大規模水害時の排水ポンプ整備運用計画の策定などに取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 災害対策基本法は、昭和三十四年の伊勢湾台風の被害を教訓にして昭和三十六年に制定されました。当時は、富士山レーダーや気象衛星もなかったため、避難勧告や指示を発令する主体を区市町村長としました。現場の判断を尊重する狙いといわれております。
 しかし、区市町村長は気象情報の収集や災害対応の経験が少ない場合が多く、避難勧告や指示を発令しにくいといわれております。
 現在では技術が進み、水害の事前予知はある程度可能といわれており、その情報を最も早く多く把握できる機関は、現場の自治体ではなく国土交通省及び気象庁であります。
 気象庁は来年度、区市町村長の判断を補佐する気象予報士を自治体に配置するモデル事業を行うとしています。
 こうした取り組みも参考に、都は、区市町村長の適切な避難勧告、指示発令のための体制整備を支援する必要があると考えますが、見解を求めます。
 次に、帰宅困難者対策について質問します。
 東京においても、東日本大震災の体験を忘れることなく、帰宅困難者対策を新たな視点から捉え直し、より実践的な見直しを行うべきであります。
 特に二〇二〇年東京大会を四年後に控え、ふえ続ける外国人訪日客への対応が課題です。外国人が被災した場合、都内のまち並みになれておらず、パニックに陥ることが考えられます。
 特に東京では、外国人客が多い地域の広域自治体としての危機管理のあり方として、被災した外国人が避難や二次被害の回避を冷静に行えるよう、必要な情報を的確に提供できる体制を急ぎ整備するべきであります。
 そこで都は、災害発生時における外国人の帰宅困難者に対して、混乱やトラブルを最小限に抑える対策を検討すべきであります。見解を求めます。
 今後は、二〇二〇年東京大会までの間、開催期間中も含めて、都内各地ではさまざまな競技や多くのイベントが開催されます。仮にイベント中に大地震などの被害に遭遇した場合、それぞれのイベント会場の施設管理者や主催者がその場にとどまり、むやみに移動しないなど、正しい対処方法を冷静に伝える必要があります。
 今月、二月八日に、都は千代田区と合同で帰宅困難者対策訓練を実施しました。アイドルグループのライブ中に被災した際に施設側や参加者がとるべき対応について、詳細を検証するなど、さまざまな訓練が行われたと聞いております。
 そこで、この対応訓練も含め、今回実施された帰宅困難者対策訓練の成果と、今後の取り組みについて見解を求めます。
 次に、多摩の防災機能の強化について質問します。
 都の来年度予算案には、旧立川政府倉庫の取得費として約七十六億円が計上されています。旧立川政府倉庫の活用については、都民の関心も高く、取得後は可能な限り早期に活用することが求められています。
 災害時に都民を守るためには、都と多摩の自治体との連携が必要であります。旧立川政府倉庫も、両者が協力して活用してこそ取得効果が高まります。
 都は、倉庫が立地する多摩地域の市町村から丁寧に要望を聴取するとともに、市町村から防災目的で倉庫を活用する意向が示されれば、前向きに対応すべきと考えます。あわせて見解を求めます。
 旧立川政府倉庫については、立川周辺のみならず、都内全域に効果をもたらす防災拠点としての活用が重要であります。
 帰宅困難者用物資の増強などの備蓄の充実を図るとともに、備蓄した物資を必要な場所に確実に速やかに輸送することであります。
 倉庫周辺には、自衛隊、海上保安庁、東京消防庁、警視庁などヘリコプターを装備する機関が集中しており、備蓄物資の輸送に当たっては、陸路のみならず、積極的に空路を活用すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、気候変動対策の一環として、再生可能エネルギーの普及拡大について質問します。
 エネルギーの大消費地東京が今後も持続的に発展していくためには、再生可能エネルギーの拡大が重要であります。
 都は先般、再生可能エネルギーの新たな目標を示したところでありますが、さらなる普及拡大に当たっては、地中熱などの熱利用も含め、都内で多様な再生可能エネルギーの導入を進めていくことが重要です。
 そこで、国の固定価格買い取り制度の見直しも進む中、普及拡大に向けた取り組みについて、知事の所見を伺います。
 次に、電力小売全面自由化について質問します。
 本年四月の電力小売全面自由化に向け、電力小売事業者の営業活動が活発化しております。
 東日本大震災を契機に、再生可能エネルギーによる電気の購入を希望する消費者がふえるなど、その要望は多様化しています。
 さまざまなサービスが登場し、消費者の選択肢がふえる中、価格だけでなく、電気の環境性能にも着目した選択を働きかけることが必要と考えますが、都の見解を求めます。
 次に、中小企業支援について質問します。
 都の中小企業の大半は下請受注に主軸を置いております。発注者側の思惑などに大きく依存する体質があります。景気変動に左右されにくい強固な経営基盤に立つためには、技術力にブランド力を加味することが必要であります。
 今後の日本が経験する少子高齢化や人口減少社会においては、これまでにない新たな社会ニーズが生まれ出てくる可能性があります。
 今後は、買い物難民や介護、育児への対策、健康志向やユニバーサルデザインへの対応、物とインターネットを結びつけるIoTなど、一見無関係と思われる有形無形の事象同士を結びつけ、新しい需要やサービスにつなげる試みが大切であります。
 そうした取り組みの活性化は、下請だけに甘んじない実体経済上の強みを、都内の中小企業にもたらしていく可能性があります。
 現に都内では、流通や通販などの分野で、最新の消費者ニーズを的確に捉えたサービスを提供する企業が次々と誕生しています。新たな需要や付加価値を生み出そうとする社会的な機運の高まりを都として支援することは、都内中小企業などの活性化につながる効果的な経営支援策であります。
 まずは、今後の成長が期待される分野で、都内中小企業の活躍が広がるよう、誰もが参加できる企画、アイデアの募集を行うべきであります。
 その上で、新たな企画に対しては、広く請負主体を募って実用化を図り、都内中小企業の知恵と力を結集した新しい地元のブランドとなるような新事業を創出すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、中小企業と商店の支援策について質問します。
 個々の中小企業や商店の輝きが増すようにするためには、難しい判断に直面する経営者を手助けする施策が重要です。
 中でも、誰もが経験する事業承継という難題については、経営者の高齢化が一段と進行している都内状況もあり、これを効果的に乗り越えられるスキームの確立が求められています。長く続いた不況で経営体力も減退しているなど、経営者の交代時期に廃業や休眠化を余儀なくされる企業もあります。
 事業承継にしっかりと向き合い、円滑な世代交代を果たすためには、金融機関などの協力のほか、不採算部門の見きわめや有望部門への選択と集中など、早い段階からの計画的な準備が必要であります。
 しかし、多くの場合、日々の仕事に追われて、専門家への相談に出向くといった行動までには至らないのが実情のようであります。したがって、専門家の側から訪問して面談を重ね、信頼を高めていくべきであります。
 平成二十八年度からは、都内中小企業の事業承継を応援する取り組みについて、専門家と経営者との間で入念な情報分析や胸襟を開いた検討が可能になるよう、早期に支援を開始し、経費面を含めサポートすべきであります。見解を求めます。
 また、小売業などの商店にあっては、事業承継の機会に限らず、日ごろから不断の経営改善が必要であります。
 都はかねてから、若手商人の育成に取り組んできましたが、今後は、より実践的なプログラムとするべきです。あわせて見解を求めます。
 最後に、働き方改革について質問します。
 我が党が考える働き方改革の主眼は、若者、女性、高齢者、障害者など、あらゆる人々がみずからの希望に基づいて働き続けることのできる社会の実現にあります。
 男性も女性も能力を十分に発揮し、育児や介護といった状況になっても働き続けることができるよう、行政と企業、そして都民が結束して力を合わせ、ワークライフバランスの実現に向け世論を盛り上げ、社会全体で働き方改革を進めていく必要があります。
 今回の予算編成を通して、いかなる視点に立って都内の働き方改革を断行していくのか、改めて知事の見解を伺います。
 働き方改革の中でも、非正規雇用対策は、急ぎ成果を上げるべき課題の一つであります。
 最近の雇用情勢を見ますと、求職者を取り巻く環境は、一面、改善されつつあるものの、大企業志向が再び強まり、中小企業の人手不足は一層顕著になっています。パートや派遣社員などの社内の非正規社員を積極的に登用する動きも強まっています。
 こうした状況の中で、人材確保の必要性を感じながら、それに伴う経費負担増との間で悩み、決断できずにいる企業経営者の背中を都が後押しすることは、臨み方次第で正規職に転ずる道が開かれる社会の創出につながるといえます。
 また、昨年、我が党の働きかけにより成立した若者雇用促進法には、若手社員の育成にたけた中小企業を厚生労働大臣が認定する制度の創出が盛り込まれています。
 都がこれを活用し、若者を大切にする企業への就業をマッチングしてこそ効果的であります。
 これらの状況を踏まえ、長期ビジョンで掲げる三年間で一万五千人の正規雇用化に向け、支援の強化を図るべきと考えます。都の見解を求め、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 長橋桂一議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、都民一人一人を大切にするということの視点でございますけれども、前回の五十年前の東京オリンピック、これは戦後復興ということで、とにかく経済成長を目指そうということでやった大会でありましたけれども、二〇二〇年は、よりよい成熟を目指す大会であるべきだと考えております。
 みんなががむしゃらに働いて前に進むと。しかし、成熟が深まる中では、人々の価値観も多様化しておりますので、そういう意味で、東京というまちの活動の主人公である都民一人一人が夢や希望を持って自由に活躍できるということが必要だというふうに思っております。
 きょうの長橋幹事長のご質問は、光の当たらない人に光を当てるんだと、こういう大原則を政策に掲げられている政党にふさわしい質問だというふうに思っておりますので、ぜひそういう観点を、この一人一人を大事にするということで私も生かしていきたいというふうに思っております。
 長期ビジョンにおきましても、都民が明るい未来を展望できる東京の実現を掲げまして、若者や女性、高齢者、障害者を初めとする誰もが能力を十分に発揮して活躍するという姿を描きました。
 そして、やはり芸術、文化、これに親しみながら質的な豊かさ、ただ量だけじゃなくて、質的な豊かさを享受できる、そういう社会像を示してございます。
 それから、今度、二〇四〇年を目指して、東京のグランドデザインを描いておりますけども、これは例えば、週末に住むうちが多摩にあるとか、そういうことも含めて二地域の住居とか、それから、今、人工知能などが進歩していますので、そういう先進的なアイデアをたくさんの、特に若い有識者、二〇四〇年にまだお亡くなりになっていない若い有識者の方々が、すばらしい見解、提案をなさっていました。
 そういう意味で、これまでの常識にとらわれることなく、新しい働き方、暮らし方を取り入れるということが都民一人一人に一層の豊かさをもたらしてくれると思っております。
 仕事や家庭だけではなくて、やっぱり文化とか趣味、そういう人間らしく暮らせるというゆとりのある成熟社会、これを目指したいというふうに思っておりますので、ぜひ皆さん方の協力をお願いいたしたいと思います。
 それから、財政運営でございますけれども、やはり一番大事なのは、都民が将来にわたって活力に満ちあふれた豊かで安定した生活ができるということでありますので、財源をしっかりするということであります。
 そのためには、財源とともに、仕事、子育て、医療、介護、治安、あらゆる面で都民の不安を払拭して、額に汗した努力は必ず報われるんだと、そう信じることができる社会を実現する、そういう予算を組まないといけないというふうに考えております。
 意欲と能力に応じまして、東京で働く人たちが十分に活躍できる、そして、それが東京を発展させて、働く場もそれで生まれるし、賃金も上がってくる、そういういい循環をつくりたいというふうに思っておりますので、我々も、私以下都庁の職員一丸となって、都政も自己改革をしないといけないというふうに思っております。
 そして、将来への備えを講じまして、どんな状況になっても──ご承知のように、都財政というのは非常に景気の変動を受けます。しかし、いかなる状況にあっても、都民福祉の向上を積極果敢にやっていく、そういう財政基盤を、基金というような手段を使って、今、構築しているところでございます。
 二〇二〇年、さらにその後も見据えた豊かな都民生活の未来をつくる、そういう使命を都知事として確実に果たしてまいりたいと思っております。
 それから、新公会計制度についてでございますけれども、これは公明党の皆さんが相当頑張って入れられたということをお伺いしておりますけれども、社会経済状況が大きく変化する中で、財政状況をいろんな面から把握して、一つ一つの施策の効率性、実効性を向上させるというのは、不断の分析、検証が必要なわけでございます。
 そのために、やっぱりこういう複式簿記・発生主義に基づく公会計制度を導入する、そして、年次財務報告書を出しまして、決算の分析もちゃんとやる。財政の、いわゆる横文字ですけど、アカウンタビリティー、よく見えるという、こういう充実を図っていきたいというふうに思っております。
 これがマクロなんですけれども、ミクロについていうと、先ほど申し上げましたように、自分らがやっている仕事は、ちゃんと効率上がってるのかと。だから、自己改革とさっきいいましたけれども、まさにこの点がしっかりと事業の評価につながってくる、この公会計制度が。そういう意味で、この公会計制度も効果的に活用しながら都財政を安定的なものにすると。そして、二〇二〇年、さらにその先のすばらしい東京を目指していきたいというふうに思っております。
 それから、介護の不安についてのご質問がございました。
 私の政治家としての原点は母親の介護でありますから、非常にこれを苦労しましたし、常に、介護で行き詰まって自殺したという話なんかになると、非常に身につまされる思いがあるんでございますけれども、やはり東京で生まれて、生活し、そして、老後を東京で過ごしてよかったなと、こういうことが実感できる都市でなければならないというふうに思っております。
 そのためには、まず、高齢者のための適切な住まいの確保が必要でございます。さらに、医療、介護、生活支援のサービス、これが日常生活の場で切れ目なく提供されなければならない。それから地域包括ケアシステム、これは大臣のときからも私は取り組んできました。これを確実なものにしたいというふうに思っております。
 したがって、来年度予算案では、これまでも頑張ってやってきましたけれども、さらに、地域包括ケアシステムの在り方検討会議というものの議論を踏まえて、余り議論ができていないんですけれども、多様なみとりの場、これはやっぱりしっかりやるべきだと思っていますし、それから、介護職員の宿舎の借り上げの支援、これは空き家対策にもなりますので、こういう都独自の先駆的な施策を盛り込んでいきたいと思っております。
 さらに、昨年十一月に国の緊急対策で打ち出されました特養の建物所有に関する規制緩和等を受けまして、介護施設の新たな整備促進策を展開したいというふうに思っています。土地の値段が高いですから、東京は。これが全てのブレーキになっているので、こういうことを改善したい。
 皆様ご承知のように、東京は世界に類の見ないスピードで高齢化が進んでおります。しかし、こういう成熟した都市がしっかりとこの問題に対して、高齢者が安泰できるまちにしたということが、アジアの諸国を初め、世界中のモデルになるというふうに思っております。
 さらに一言つけ加えますと、元気な高齢者を有償で介護を担わせたらどうかという話がありました。この後、局長が答弁しますけれども、これは違う答弁しますので。というのは、我々政治家の役割は、こういうときにもう一歩踏み込んで、じゃ、高齢者が働いたら年金がもらえなくなるという制度をそのままにしておいて、高齢者が働くということが一億総活躍社会につながるんですかと。だから、やっぱり年金制度というのは、相当いろいろな角度から検討しないといけない時期に来ているなという思いがありますので、政治家として、我々はこういう問題にも取り組みたいと思っております。
 さらに、多文化共生社会の実現に向けた認識についてでございますけれども、これはいうまでもなく、我々は世界をリードするグローバル都市にならないといけない、そして何よりも東京オリンピック・パラリンピックを開催するわけですから、多文化共生ができないようなまちで、私は開催できないと。
 したがって、ヘイトスピーチのようなものはやめるべきであるということを申し上げておりまして、今、ことしの一月の統計を見ますと、人口の三・三%、約四十五万人、百七十九の国籍の外国人が我が東京に住んでおられるわけです。こういう方がみんな元気に参加、活躍できる社会こそを我々は構築したいと思っております。
 そのためには、外資系で働く人材、留学生を含めて、全ての外国人が日本人と同様に能力を最大限発揮して、安心して生活を楽しめるような環境の整備が不可欠だと考えております。
 先ほど申し上げましたように、国籍とか民族に対する差別や偏見は絶対に排除する、そして、お互いに寛容な心でもって基本的な人権をしっかり守っていく、そういう東京でなければならないというふうに思っておりますし、また、東京に住む外国人には、都民として自覚を持って、しっかり生活ルールを守ってもらうと。私がきちんとごみ出しの日を間違えないように分別ごみを出しているように、あなたたちも出しなさいと。後片づけを私がしないといけないんですから、こういうことも申し上げたいと思っています。
 こういう認識のもとに、従来の生活支援を中心とした考え方だけじゃなくて、日本人と外国人が一緒に参加、活躍できる、そこまで踏み込んだ新しい考え方の多文化共生推進指針を策定したわけでございます。
 今後、この指針に示した施策を実現するために、都がリーダーシップを発揮しまして、区市町村や民間団体などと連携して、オール東京で取り組んでいくための体制を築いて、東京、そして、ひいては日本の発展につなげたいと思っております。
 次に、オリンピック・パラリンピックの財政運営の話でございますけれども、世界最大のスポーツイベントであるオリンピック・パラリンピックは、当然これはオールジャパンで取り組まなければなりません。
 大会運営業務は多岐にわたりますけれども、先ほど自民党の宇田川幹事長に対してお答えしたように、招致が決定して準備が進むにつれて、資材や人件費が高騰するとか、テロ対策にお金がかかるとか、どんどん課題が出てきているわけであります。
 したがって、どういう形で国と組織委員会と我々東京都が役割分担をするかというのは大きな課題でありますので、今のような環境の変化を含めまして、大会経費についても不断に精査をしながら、組織委員会の収支計画が合理的なものになるように、国、組織委員会、東京都で議論をしたいと思っております。幸い、組織委員会の森会長、遠藤大臣、馳大臣と緊密に連絡をとって調整を進めておりますので、これはぜひお任せいただきたいというふうに思っております。
 そういう意味で、私は、開催都市の責任者として、なすべき事業は果敢に実施して、組織委員会の運営が円滑に行われ、大会全般の準備が着実に進むように、関係者一同と協力して大会を成功に導きたいと考えております。
 次に、再生可能エネルギーの普及ですけれども、昨年十二月、パリでCOP21がありまして、新しい国際的枠組みが決まりました。特に、これから地球上の人口の六割以上が住む場所は都市ですから、この都市の低炭素化というのは非常に必要でございまして、そこで、先ほど申し上げましたように、再生可能エネルギーは、全電力の中の利用割合は現状では約九%でしかないんですけれども、二〇三〇年までに九を三〇までに引き上げるということを設定いたしました。
 さらに、これは供給だけじゃなくて、需要の面でも頑張らないといけないので、需要面では、都民の皆様にお願いして、みんなで省エネ、節電を着実にやろうということであります。
 供給面では、住宅とか空き地なんかを利用して太陽光発電を導入するとか、それから風力発電、それから地中熱の熱エネルギーを自家消費すると。いわゆる東京にあるエネルギー源を東京で消費しようと。地産地消型の再生可能エネルギーの導入を後押ししてまいりたいというふうに思っております。
 やはり最大の消費地である東京、我々がいかに再生可能エネルギーを使うかということが大きな日本全体の動きにもかかわってくるわけでありますので、そういう意味で、都の施設において、率先行動として、この四月から電気のグリーン購入を強化したいというふうに思っております。後ほど説明が局長からあると思いますけれども、そういう点を注目していただければと思います。
 こうした施策を多面的に展開しまして、低炭素エネルギーが主要なエネルギーとして活用されるような、持続可能な、サステーナブルな都市を構築していきたいというふうに思っております。
 最後に、働き方の改革でございますけれども、人々が効率的に働いて、そこで生み出した時間を有効に活用して、趣味や文化、こういうことを含めて豊かな生活を送ること、これが私は成熟した先進都市だと考えております。
 そのためには、企業の現場でだらだらと長い労働をやるんじゃなくて、効率よく、ぱっと仕事をすると。そして、そういう意味で、長時間労働の削減、それから有給休暇の取得を含めて、これまでの働き方を見直した方がいいというふうに考えております。
 こういう問題点は、今年度も開催しました公労使会議で、国や経済団体、労働団体とともに、働き方改革をやろうということを宣言したところでございまして、来年度はこうした動きを個々の企業に広めたいと思っておりますので、東京働き方改革宣言企業制度というのを創設しまして、具体的な取り組み内容、こういうことをやっているよということを公表したいと思っております。
 実施に当たりましては、そのインセンティブとして、企業への奨励金の支給に加えまして、国と連携したPRキャンペーン、それから、多様なメディアを通じた広報活動などを行いたいというふうに思っております。
 また、生産性をどうすれば高めるかというときに、専門家をちゃんと派遣して適切な助言もしたいというふうに思っておりますので、そういう意味での中小企業の支援施策にもつなげてまいりたいと思います。
 先ほどちょっと申し上げましたように、この働き方改革の面でも年金制度をどうするかというのは、これは国民的な課題だと私は考えております。こういうことを含めて、皆さん方とともに、働き方改革に向かって社会的な機運を醸成していきたいというふうに思っております。
 そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、基礎学力の定着を図る取り組みについてでございますが、都教育委員会では、児童生徒の基礎学力の定着を確かなものとするため、都独自の学力調査を悉皆で行い、つまずきの状況を把握して、各学校の授業改善を促し、一人一人の習熟度に応じた指導を推進してきております。
 また、小学校における基礎的、基本的な知識や技能の確実な定着を図るため、昨年度、東京ベーシック・ドリルを配布し、今年度は中学校版も作成いたしました。
 今後は、ドリルを電子化し、校外においてもコンピューターやタブレットで取り組めるようにするとともに、一人一人の取り組み状況を瞬時に採点、把握できるようにしてまいります。
 こうした取り組みを区市町村教育委員会と連携して推進し、児童生徒が主体的に学習に取り組み、基礎的、基本的な知識や技能を身につけることができるようにしてまいります。
 次に、放課後等における学習支援の取り組みについてでありますが、家庭での学習が困難であったり、学習習慣が十分に身についていない児童生徒に対して、授業以外の場においても学習機会を提供することは重要でございます。
 都教育委員会は、こうした取り組みを行う区市町村を支援するため、平成二十八年度から、新たに地域未来塾事業を実施し、放課後等の学習支援の取り組みを促進してまいります。
 また、小学生の安全・安心な居場所を確保する放課後子供教室において、学習支援などの活動プログラムを積極的に導入できるよう、人材確保経費について、都独自の上乗せ補助を行ってまいります。
 今後、こうした取り組みにより、放課後等に学習機会を提供する取り組みが一層推進されるよう、区市町村を支援し、児童生徒の基礎学力の定着を図ってまいります。
 次に、都立高校における補欠募集の改善についてでございますが、現在、補欠募集を実施する都立高校では、定期考査と同等の学力検査を課すことにより、転学後の学習についていけるかを判断し、合否を決定しております。
 今後は、都教育委員会として、生徒の進路変更の希望に応え、中途退学の未然防止を図るとともに、都立高校全体で教育の機会を確保するという目的を徹底するため、補欠募集の実施方法について、さらなる改善を図ってまいります。
 具体的には、各学校が選考方法や選考基準等を設定する際の基本的な考え方を示すとともに、転学や編入学を希望する生徒の単位修得の取り扱いを明確化するなど、新たに補欠募集の実施に関する指針を本年七月までに策定し、各都立高校に周知してまいります。
 次に、特別支援教室の巡回指導教員の専門性の向上についてでありますが、巡回指導教員が適切な指導等を行うためには、特別支援教室における指導、支援方法の習得と、障害の状況等を理解する力をつけることが必要でございます。
 このため、都教育委員会は、指導経験が豊かな教員との組み合わせによる巡回を行うOJT体制の構築を、区市町村教育委員会に働きかけるとともに、今後は、各学校を巡回する臨床発達心理士等が、巡回指導教員などに対して専門的な助言を行う体制を構築してまいります。
 さらに、来年度から新たに特別支援教室の担当となる教員等に対し、実際に巡回指導を行っている教員を講師とする講習会を、本年三月に実施いたします。こうした取り組みにより、巡回指導教員の専門性を確実に高めてまいります。
 次に、教育分野の国際交流についてでありますが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催を見据え、これからの東京、そして日本を支える国際感覚豊かな若者を育成していくためには、さまざまな国際交流の取り組みを、これまで以上に積極的に行うことが重要でございます。
 現在、都立高校では、海外からの学校訪問の受け入れや姉妹校による交流等の取り組みを行っております。また、都教育委員会は、高校生の海外留学の支援やJET青年の全校配置により国際交流を推進してきております。
 昨年九月にはカナダのブリティッシュコロンビア州と教育に関する覚書を締結したところであり、今後、こうした海外の教育行政機関との連携を深めていくことを通じて、姉妹校交流や留学生の受け入れを拡大するなど、都立高校における国際交流を一層推進してまいります。
 次に、海外の教育関係者との交流についてでございますが、学校間の国際交流を充実させていく上では、教員自身の指導力向上と異文化理解が必要であることから、平成二十六年度に開始した海外派遣研修においては、参加者が他国の教員とともに英語教授法を学ぶことに加え、現地校の教員と情報交換を行ってきております。
 また、平成二十七年度には、帰国後の報告会で、海外研修への参加者が、在京大使館の職員やJET青年と、グローバル人材の育成についてシンポジウムを行いました。
 こうした取り組みに加え、今後、海外の教員を都立高校等に招いたり、都教育委員会主催のシンポジウムへの参加を促進して、指導内容や方法等について意見交換できる機会を設定することなどにより、海外の教育関係者との国際交流を一層推進してまいります。
 最後に、オリンピック・パラリンピック教育についてでございますが、オリンピック・パラリンピックは、開催都市とその国に大きな社会変革をもたらし、とりわけ若者や子供たちを鼓舞し、勇気と感動を与えてきました。
 このため、東京二〇二〇大会を絶好の機会と捉え、フェアプレーの精神、他者への敬意といったオリンピズムの価値などを教育に生かしていくことといたしました。
 具体的には、社会に貢献し他人を思いやる心を培うボランティアマインドの育成や障害者理解、さらに、異文化を理解し、自他を認め合う豊かな国際感覚などの醸成に重点を置き、体験や活動を重視した教育活動を展開してまいります。
 こうした取り組みを通じ、全ての子供たちの心と体に、人生の糧となるかけがえのないレガシーを形成し、将来の東京、そして日本を支える人材を育成してまいります。
   〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都の居住支援協議会の成果などについてでございますが、住宅の確保に配慮が必要な高齢者等に対しまして、地域の実情に応じたきめ細かな支援を行うためには、区市町村が居住支援協議会を設立し、取り組むことが重要でございます。
 都は、昨年度、不動産や福祉関係団体などとともに居住支援協議会を設立しました。また、パンフレットの作成、配布、あるいはセミナーの開催などによりまして、区市町村においても協議会が設立されるよう促してまいりました。
 これまでの江東区、豊島区、板橋区に加えまして、今年度は調布市と八王子市が協議会を設立しており、来年度は、千代田区、杉並区、日野市において予定されております。
 今後とも、全国の取り組み事例等の情報提供や活動経費の補助などによりまして、区市町村協議会の設立促進及び活動支援を進めてまいります。
 次に、あんしん居住制度の普及促進についてでございますが、単身高齢者等が賃貸住宅に円滑に入居できるようにするためには、家賃債務保証や入居後の見守りサービス、亡くなった後の家財の片づけなどを提供する制度の普及が重要でございます。
 お話のあんしん居住制度につきましては、防災・建築まちづくりセンターが実施しておりまして、センターは、都と連携して、先ほどお話ししました居住支援協議会の場や、あるいは区市町村、不動産関係団体との意見交換の場などを通じまして、区独自の取り組みの周知も含め、制度の積極的な活用を促しております。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして、賃貸住宅の入居をサポートするこの制度の普及を促進し、高齢者の居住の安定確保に努めてまいります。
   〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 新公会計制度導入の成果と今後の取り組みについてでございますが、都では、複式簿記・発生主義による公会計制度の導入により未収債権の実態を把握し、その整備などに向けて、平成二十年度には債権管理条例を制定して取り組みを強化いたしました。その結果、都税を除く未収債権を十九年度の百二十七億円から、二十六年度には八十九億円へと約三割減少させております。
 また、発生主義に基づく分析を通じ、例えば、河川清掃におけるごみ運搬船の更新に際し、将来にわたる経費を縮減するなど、十年間で累計約一千九百億円の財源確保を実現しました事業評価の取り組みにも寄与をしております。
 今後とも、財政対応力の堅持に向けて、日々の業務に新公会計制度も活用し、さらなる自己改革の推進や施策のマネジメントの強化に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 十三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、介護職場での多様な人材の活用についてでありますが、都は、介護福祉士等の資格を有し再就職を希望する方に対し、就職支援アドバイザーによる相談支援や、知識、技術を再習得する講座などを実施しており、来年度は、再就職支援を強化するため、二年間継続して従事すると返還免除となる再就職準備金の貸付制度を創設いたします。
 また、高齢者が福祉施設で活躍できる仕組みづくりに取り組む区市町村を支援しており、来年度は、新たに設置する福祉人材対策推進機構において、食事の配膳や清掃などのサポート業務を担うための研修や、事業者とのきめ細かなマッチングを実施するなど、高齢者の一層の活躍を推進してまいります。
 これらの取り組みにより、多様な人材がさまざまな形で福祉職場で働くことができるよう支援してまいります。
 次に、介護職員宿舎借り上げ支援事業についてでありますが、高齢者施設は、職員が交代で勤務し二十四時間体制でサービスを提供する施設であり、災害時には在宅の要介護高齢者等を受け入れる拠点にもなります。
 一方、平成二十四年に東京都社会福祉協議会が実施した調査では、災害時に地域の高齢者等を支援する上での課題として人員確保を挙げた施設が七割を超えております。
 こうしたことを踏まえまして、都は、来年度から、住宅費負担の軽減等による働きやすい職場環境の確保と、災害時の運営体制の強化を図るため、福祉避難所の指定を受けた施設等の運営事業者が、施設周辺で職員宿舎を借り上げる場合に支援する都独自の補助制度を創設いたします。
 補助要件の詳細につきましては、こうした制度の趣旨を踏まえまして、今後検討してまいります。
 次に、暮らしの場におけるみとりの環境整備についてでありますが、本人や家族の希望に応じて、自宅や施設などの暮らしの場でのみとりを実現するためには、都民一人一人がみとりについて考えておくことや、それを支える看護、介護職員等の対応力の強化等が必要でございます。
 そのため、都は来年度、都民を対象としたリーフレットの作成や講演会の開催に加え、看護、介護職員等を対象に、多職種連携の方法や家族との接し方など、みとりのための研修を実施いたします。また、みとりに対応できる個室や家族の宿泊、休憩用の居室など、みとり環境を整備するための施設改修への独自の補助も開始いたします。
 本人や家族の願う形で人生の最期を迎えられるよう、今後、暮らしの場における環境整備を積極的に支援してまいります。
 次に、特別養護老人ホームの整備費補助の加算についてでありますが、都はこれまで、都有地の減額貸付、土地賃借料の負担軽減、建築価格高騰に対する加算を実施いたしますとともに、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域の補助単価を最高一・五倍に加算するなど、特別養護老人ホームの整備を促進してまいりました。
 来年度からは、加算を行う整備率の基準を、これまでの高齢者人口比一・二五%未満から二%未満に引き上げます。その結果、加算対象となる地域は、現在の二十五の区市から四十五の区市へと、大幅に拡大する予定でございます。
 今後、長期ビジョンで掲げた平成三十七年度末までに定員六万人分を確保するという目標の達成に向け、特別養護老人ホームの整備を一層加速してまいります。
 次に、特別養護老人ホームの賃貸建物での整備についてでありますが、特別養護老人ホームは、これまで運営事業者が建物を自己所有することが要件とされており、このことが地価の高い東京において、施設整備が進まない要因の一つとなっておりました。
 このため、都は、建物を借り受けて運営できるよう資産要件の緩和を国に求めてまいりましたが、今般、国は、特別養護老人ホームの建物所有要件に係る規制緩和を行う方針を打ち出しました。
 これを受け、都は来年度から、土地所有者等が賃貸目的で特別養護老人ホームを整備する場合についても、新たに施設整備費を補助することといたしました。
 今後、制度が改正され次第、速やかに対応できるよう、準備に万全を期してまいります。
 次に、高齢者の住まいについてでありますが、都は、現在、住宅に困窮し、日常生活に不安のある低所得高齢者等に対し、住まいの確保と生活支援を一体的に提供する区市町村の取り組みを支援しております。
 こうした取り組みをさらに進めるためには、見守りや生活相談を担う民間団体の確保が必要であり、来年度はこうした団体を支援する新たなモデル事業を開始いたします。
 この事業では、住まいの確保とあわせて地域の交流拠点、相談拠点を設け、地域住民の互助により高齢者等を支える取り組みも支援するとともに、居住支援を行う担い手を育成するため、研修等を実施いたします。
 今後とも、住まいに困窮した高齢者等が地域で安心して暮らせるよう、区市町村や民間団体の取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、地域の意見を踏まえた医療体制の整備についてでありますが、都は、地域医療構想の策定に当たって、地域に必要な医療機能等について区市町村と意見交換を行うとともに、構想区域ごとに意見聴取の場を設け、医療機関、医療関係団体、保険者等から、地域の課題等に関する意見を伺ってまいりました。
 現在は、昨年十二月に取りまとめた構想の骨子案に関する意見を聴取しており、これらの意見を踏まえて、来年度早期に素案を取りまとめる予定でございます。
 構想策定後は、この意見聴取の場を医療法に定める地域医療構想調整会議に改め、地域に必要な医療体制について意見交換することとしており、都は、会議での意見や医療資源の配置状況、患者の受療動向等を踏まえながら、医療提供体制の整備を進めてまいります。
 次に、地域包括ケアにおける医療機関の役割についてでありますが、地域医療構想の骨子案でお示しした地域包括ケアシステムにおける治し、支える医療の充実を実現するためには、医療と介護が連携し、地域全体で支える在宅療養の体制を整備することが重要でございます。
 そのため、都は、病院が入院早期から在宅療養生活を見据えた患者支援を行うための退院支援マニュアルを作成し、全ての病院を対象に研修を実施するとともに、地域医療を担う中小病院に対して、退院調整や地域の医療と介護の連携に取り組む看護師等の配置を支援しております。
 今後、こうした取り組みを一層進め、中小病院が多いなどの都の特性を踏まえながら、東京の医療資源を最大限に活用し、高度急性期から在宅療養に至るまでの医療提供体制の整備を図ってまいります。
 次に、保育人材の確保、定着支援についてでありますが、都はこれまで、新卒者等の未経験者を対象としたセミナーや職場体験実習、保育人材・保育所支援センターのコーディネーターによる就職相談から就職後の定着支援までを行うほか、事業者向けに、人材育成や働きやすい職場環境づくりに関する研修などを実施してまいりました。
 来年度は、新たに、卒業予定者が自分に合った就職先を見つけられるよう、保育の現場で活躍する卒業生との交流会や、保育事業者を集めた就職説明会を開催するなど、保育所等への就労促進に取り組む保育士養成施設に対し、就職内定率が全国平均より二%増加するごとに、二十六万円を支給いたします。
 また、事業者向け研修も二回から三回に規模を拡充するなど、保育人材の確保、定着に取り組んでまいります。
 次に、賃貸物件を活用した保育所整備についてでありますが、お話のように、賃貸物件の活用は短期間で保育所を整備する上で有効な手法の一つでございます。
 そのため、都はこれまで、独自に改修費等を補助し、賃貸物件を活用して保育所の整備を行う区市町村や事業者の負担軽減を図ってまいりました。
 来年度、国は、保育の受け皿拡大を推進するため、現行の公定価格における運営費の賃借料加算を実勢に対応した水準に見直すこととしており、都は、それに加え、改修工事期間等の開設前の賃借料について、独自に補助する予定でございます。
 今後とも、賃貸物件を活用した保育所整備を進める区市町村や事業者を積極的に支援してまいります。
 次に、ボランティア等を活用した区市町村の子供の居場所づくりへの支援についてでありますが、現在、生活困窮者自立支援法に基づく学習支援事業が二十七の区市で実施されておりまして、あわせて居場所の提供や親への養育支援などを行う取り組みも始まっております。
 都は、こうした取り組みをさらに進めるため、来年度から、学習支援と居場所の提供等を実施した上で、食事の提供や生活指導、育児相談等を、ボランティア、民間団体などと連携して実施する区市を支援いたします。
 この事業では、居場所や食事の提供に必要な改修経費を全額補助するほか、子供や親への支援を行う職員配置経費などの運営費も支援することとしており、今後とも、地域の実情に応じてボランティアなどと連携し、居場所づくりに取り組む区市町村を積極的に支援してまいります。
 次に、生活困窮者自立支援法における相談体制についてでありますが、複合的な課題を抱える生活困窮者の自立を支援するためには、自立支援相談に加え、家計相談や就労準備等をあわせて行う総合的な支援体制を整備するとともに、相談員の専門性を高める必要がございます。
 このため、都は、事業計画の作成や人材育成等に対する独自の補助や効果的な先行事例の紹介等により、区市における体制整備を支援しております。
 また、多重債務者相談で培ってきた家計診断等の専門的なノウハウを活用した研修を実施いたしますとともに、今年度から新たに精神保健にかかわる事例検討会を開催するなど、相談支援に携わる専門人材の養成を行っております。
 今後とも、研修内容の充実を図るなど、区市における体制整備を積極的に支援してまいります。
 最後に、ひとり親家庭の親に対する就業支援についてでありますが、現在、都内全ての区市町村が、ひとり親家庭の母または父に対して、看護師、保育士、介護福祉士など、就職する際に有利な資格の取得を促進するため、資格取得期間中に生活費等を給付する事業を実施しております。
 今回、国は補正予算で、この給付金の対象者に対し、養成施設の入学準備金や就職準備金を貸し付け、資格を生かして五年間就業を継続した場合に返還を免除する貸付事業を創設しており、都としては、来年度できるだけ早い時期に事業を開始し、制度周知を図ってまいります。
 ひとり親家庭の相談窓口である母子・父子自立支援員は継続的な支援を行っており、今後とも、区市町村と連携しながら、ひとり親家庭の就労自立をきめ細かく支援してまいります。
   〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

○生活文化局長(多羅尾光睦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立学校の英語科教員の指導力向上についてですが、東京の私立学校は、それぞれ建学の精神と独自の教育理念により、特色ある教育を展開しております。
 英語教育についても、海外の教育機関と連携を図るなど、各校さまざまな取り組みを行っており、英語科教員の指導力向上においても、それぞれの特色を生かした支援をすることが重要でございます。
 そのため、私立学校外国語科教員海外派遣研修事業では、都が研修内容を指定するのではなく、一定の要件を満たした各校独自の海外派遣研修に対し、教員一人当たり百万円を限度に補助することとしております。
 今後は、私学団体等のご意見も伺い、効果的なスキームとなるよう準備を進めてまいります。
 次に、在住外国人支援団体に対する支援についてですが、都内には、日本語教育や相談事業などの支援を行うNPOなどの団体が約二百五十団体あり、外国人が安心して生活するために重要な役割を果たしております。
 そのため、従来の在住外国人支援を拡充し、例えば高校、大学で必要なレベルの日本語を教え、就学を促進させるなど、外国人の活躍を推進する事業を行っている団体に対し、新たに助成を行ってまいります。
 また、こうした団体と行政が連携し、団体の活動をさらに効果的なものにするため、東京都国際交流委員会の機能を再編強化し、区市町村と民間団体のネットワークを充実させてまいります。
 これらを通じ、日本人と外国人がともに活躍できる多文化共生社会の実現に向けて、積極的に取り組んでまいります。
 最後に、二〇一六年度の文化プログラムについてですが、リオ大会直後は東京二〇二〇大会に向けて本格的に始動することをPRする絶好の機会であり、国内外から注目され、誰もが参加できる東京ならではの文化プログラムを展開する必要がございます。
 このため、都では、上野文化の森など都内各所での取り組みや大規模な芸術祭の先駆けとなる舞台芸術フェスティバルを池袋で開始するなど、秋から新たな取り組みを実施いたします。また、六本木アートナイトを、国が行うスポーツと文化の国際会議に合わせて十月に開催するとともに、東京大茶会などの事業も着実に実施してまいります。
 多彩な事業を集中的に行うことで、文化プログラムの始まりを印象づけるとともに、スポーツと芸術文化を一体的に盛り上げ、二〇二〇年へとつなげてまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、二〇二〇年大会に向けた暑さ対策についてでございますが、快適な大会環境の整備には、これまで推進してきた緑の増加やビルの省エネ化等のヒートアイランド対策に加えて、多様な暑熱対策を講じていくことが必要でございます。
 そこで都は、今年度、ドライ型ミストなど暑さを緩和する設備の設置を支援する事業を開始するとともに、暑さ対策に係る全庁的な推進体制を整備し、ハード、ソフト両面にわたる対策の具体的検討を行っております。
 来年度につきましては、都施設における率先的な取り組みとして、都バスの停留所にドライ型ミストを設置し、効果を検証するモデル事業を実施するとともに、暑さ対策の機運を醸成するため、打ち水などの都民参加型イベントを実施するなど、訴求効果の高い新たな取り組みを展開してまいります。
 次に、電力の小売全面自由化に向けた取り組みについてでございます。
 全面自由化を契機に、さまざまな供給事業者が電力市場に参入してくる中、再生可能エネルギーなど低炭素な電力を普及拡大していくことが重要でございます。
 都はこれまでも、エネルギー環境計画書制度により、供給事業者が計画的に電気の環境性を向上することを促し、その結果を公表してまいりました。
 今後は、消費者が環境性に着目して電気を選択するための情報を盛り込んだパンフレットの作成、配布を初め、新たに提供されるサービス内容や電源構成等の動向を調査、把握し、都民のニーズに応じた情報の発信、普及啓発に努めてまいります。
 また、新たに、全ての都施設において、電力の購入に当たっては、再生可能エネルギーの利用率を環境指標として契約相手方を選択する際の条件に含めることを推奨いたしますグリーン購入もあわせて開始をいたします。
 これらの取り組みにより、消費者の環境性の高い電気への需要を高め、供給側の一層の取り組みを促してまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、パラリンピックの盛り上げについてでございますが、二〇二〇年までにパラリンピックの認知度を飛躍的に高めることで、満員の観客を集め、大会の成功を実現していきたいと考えております。
 このため、今年度から、パラリンピック競技の体験などを通じてパラリンピックの魅力を体感できるプログラム、NO LIMITS CHALLENGEを都内各地のイベントで展開するなど、積極的なPRに取り組んでおります。
 来年度は、この実施回数を大幅にふやすとともに、多くの人が集まるまち中でのデモンストレーションや都庁展望室での展示なども行います。また、より多くの方に参加いただけるよう、専用のウエブページやSNS、テレビなど多様なメディアを通じて発信力を高めてまいります。
 こうした取り組みを二〇二〇年まで継続して実施することで、一過性に終わらないムーブメントを創出し、共生社会の実現に向けて尽力してまいります。
 次に、パラリンピックに向けた選手支援についてでございますが、都は、ことし一月及び二月にパラリンピック選手発掘プログラムを初めて実施し、二百名を超える方々がみずからの可能性を見出すべく競技を体験いたしました。
 来年度は、強化合宿など選手の競技力向上に向けた競技団体の活動に対する支援を拡充いたします。
 また、パラリンピックへの出場が期待される東京ゆかりの選手を対象として、海外遠征費や競技用具などの経費の補助、練習会へのトレーナー派遣などを新たに開始いたします。
 さらに、都内で開催される大会へのIPC、国際パラリンピック委員会公認の取得を支援し、パラリンピック出場に必要な公認記録の取得機会や選手の試合経験を増加させるなど、一人でも多くの東京ゆかりの選手が国際舞台で活躍できますよう、多岐にわたって支援を行ってまいります。
 最後に、二〇二〇年大会に向けた被災地支援の取り組みについてでございますが、昨年公表いたしました二〇二〇年に向けた東京都の取組では、スポーツの力で被災地に元気を届け、復興へ歩む姿を世界に発信する取り組みを全体の八つの柱の一つとして掲げてございます。
 都はこれまで、スポーツ交流による復興支援を継続してきておりますが、来年度は、千キロメートル縦断リレーに世界的な著名人や多くの外国人ランナーの参加を得ることで発信力を強化し、一層注目を高めていくことを企画しております。
 また、スポーツの力で復興へ歩む映像を現在制作しており、来年度、リオ大会のジャパンハウスを初め各種イベント等で国内外に発信してまいります。さらに、被災地でのリオ大会期間中におきますライブサイト、大会後のフラッグツアーの実施や、事前キャンプ誘致を共同してPRするなど、被災地と連携したさまざまな事業を展開してまいります。
 これらの取り組みを、震災の記憶を人々の心にとどめることや地域振興につなげまして、大会が被災地に希望をもたらし、将来にわたり意義のあるものとなるよう努めてまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、被災地応援ツアーについてでございますが、被災地応援ツアーは、東日本大震災による被災地復興支援のため、緊急対策の一環として平成二十三年九月から実施をしております。
 今年度は、昨年度に引き続き、福島県への旅行者を対象に、宿泊二万泊、日帰り一万五千人分について、その費用の一部を助成しております。
 来年度は、現在と同様の支援に加え、都内の学校が福島に教育旅行を行う場合に、福島県の施策と連携し、経費の一部に対し補助を行ってまいります。
 福島県の観光の状況等を踏まえ、適切な支援に努めてまいります。
 次に、中小企業の新しい事業分野の創出についてでございますが、東京の発展を支える中小企業が持続的に成長していくためには、新たな事業分野における中小企業の事業化を後押しすることが重要でございます。
 このため、都は来年度、新たな需要が見込まれる新事業分野の創出に向けた取り組みを開始いたします。
 具体的には、介護分野にロボット技術を活用するなど、既存分野と新技術を組み合わせたテーマを広く募集いたします。
 新たな市場の創出につながるテーマについては、すぐれた技術や製品開発力を有する中小企業と関係機関によるプロジェクトチームの立ち上げからマーケット調査、製品化までを支援してまいります。
 こうした取り組みによりまして、中小企業による新市場への参入から事業化までを支援し、その成長を後押ししてまいります。
 次に、事業承継に対する支援についてでございますが、中小企業の円滑な事業承継を図るためには、経営者が早い段階から意識を持ち、社内体制の整備や後継者の確保、育成に取り組むことが重要でございます。
 そこで都は、来年度から、経営者が高齢である会社などを巡回するスタッフを中小企業振興公社に配置いたします。企業の現場に直接出向いて、経営状態や後継候補の確保、育成の状況等を伺い、それぞれの課題に対応した専門家への橋渡しや公社等の支援策につなげてまいります。
 また、都の支援を受け、事業承継に取り組む企業が専門家や人材紹介会社等を活用する際の経費を助成いたします。
 さらに、商店につきましては、若手商人向けの研修に実践的なメニューを盛り込み、後継者の育成を進めてまいります。
 これらによりまして、中小企業の事業承継を着実に促進してまいります。
 最後に、非正規雇用対策についてでございます。
 今年度開始した非正規雇用対策を実施する中では、人材不足を背景に、非正規社員を社内で正社員とする企業の動きが活発化していることが明らかになりました。
 そこで、この機を捉え、国と連携した非正規雇用対策を加速させるため、来年度は正社員転換を促進する助成金の規模を千五百人から六千五百人に大幅に拡充をいたします。
 また、非正規の若者を新たに正社員採用した際の奨励金を、若者応援宣言企業に加えまして、若手の採用、育成に積極的で雇用管理が優良と国が認定した企業には倍額で支給し、より雇用環境が整備された企業への就職を後押しいたします。
 こうした取り組みを初めとする総合的な対策を進め、安定した仕事につくことを希望する方の正規雇用化を促進してまいります。
   〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕

○中央卸売市場長(岸本良一君) 被災産地への今後の支援についてでありますが、中央卸売市場では、これまで被災産地支援研修会や市場まつりを通じて福島県産品を支援してまいりました。
 水産物につきましては、いわき市の漁業関係者と連携し、被災産地支援研修会をこれまで二回実施し、多くの市場関係者や消費者団体の方々に参加をいただいているところでございます。
 研修会では、出荷者との意見交換や検査体制の視察を行い、現地での安全・安心確保への取り組みを販売先や消費者に広く伝えてもらうことで、水産物の風評被害の解消や消費拡大に努めております。
 本年度も、三月に消費者団体を対象に被災産地支援研修会を小名浜魚市場において開催いたします。
 今後も、被災産地の要望を聞きながら、必要とされる支援を行い、被災産地の早期の復興を後押ししてまいります。
   〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 大規模水害時の排水対策についてでございますが、都民生活の早期の復旧、復興に向けては、排水施設の機能を確保するとともに、それを補完するため、都や国のポンプ車等を効果的に運用することが重要でございます。
 排水施設の機能の確保につきましては、現在、河川や下水道の排水機場等において、電気、機械設備の高所への移設や、水密化による耐水対策を推進しております。
 また、ポンプ車等の適切な配置のためには、洪水や高潮などさまざまな要因による浸水想定区域の把握が必要であり、平成二十七年の水防法改正に基づき降雨条件の設定等、検討を進めております。
 今後、浸水想定の結果等を考慮しながら、直轄河川を管理する国や、水防管理団体である区市等の関係機関と連携し、大規模水害時の排水対策について検討してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 防災対策についての五点のご質問にお答えいたします。
 まず、避難勧告等の発令についてでございますが、関東・東北豪雨においては、一部地域の避難指示の発令が鬼怒川の決壊の後となるなど、避難勧告等を適切に発令することの重要性が改めて認識されました。
 都はこれまでも、国が昨年八月に改定いたしました避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインを区市町村に対し周知し、判断基準の整備を促しているところでございます。
 また、河川水位の予報等が発表された際は、その内容を区市町村に速やかに伝達しているほか、避難勧告等が適切に発令されるよう、随時、相談、助言を行っております。
 来年度、都は、国や直轄河川沿いの自治体等により構成されます水害対策に係る協議会への参加を予定しており、この場における検討やご指摘の点も踏まえ、区市町村が避難勧告等を円滑に発令できるよう支援してまいります。
 次に、外国人の帰宅困難者への対応についてでございます。
 外国人は言葉が通じにくいため、災害時に自力での避難等が困難な場合が多いと思われます。このため、発災時における適切な情報提供が必要になるとともに、ホテルなど身を寄せる場所のある外国人はそこで確実に保護し、行き場のない方は一時滞在施設へ的確に誘導することが重要です。
 災害時に、こうした外国人対応が円滑に図られるよう、都は事業者等に対し普及啓発を行うとともに、語学ボランティアや翻訳アプリ等を活用した訓練を実施しております。
 今後とも、外国人の帰宅困難者の安全・安心確保に向け、区市町村や民間事業者などと連携しながら、必要な対策を検討し推進してまいります。
 次に、帰宅困難者対策訓練についてでございます。
 二月八日に行いました千代田区との合同訓練は、東京駅、秋葉原駅など、駅周辺の五地区がその地域特性を最大限に生かし、総勢五千二百名の参加を得て実施いたしました。
 今回は、特にイベント開催中の発災を想定した訓練において、利用者の安全の確保や一斉帰宅の抑制など、施設管理者と利用者の双方がとるべき行動の流れを確認したところでございます。
 また、一時滞在施設の開設や、船やバスによる要配慮者の搬送など、さまざまな取り組みを同時に実施することにより、災害時の対応を複合的に検証することができました。
 今後は、こうした訓練の成果を踏まえ、都内集客施設等における発災時の的確な対応を目指し、区市町村や事業者との連携のもと普及啓発を図るなど、地域や施設の状況に応じた効果的な帰宅困難者対策を推進してまいります。
 次に、旧立川政府倉庫の活用についてでございます。
 いつ起こるかわからない災害に備えるためには、この施設を可能な限り速やかに活用することが重要です。このため、土地、建物については現状のまま取得することとし、必要な設備改修等を終えた後に使用したいと考えております。
 今後、改修工事の内容や活用のあり方などを踏まえ、具体的なスケジュールを決定する予定でございます。
 また、この倉庫は市町村の備蓄の充実や地域住民の訓練、普及啓発の場として活用することなども想定しており、現在、多摩地域の市町村に対し、これらの観点からの検討をお願いしております。協力の意向をいただいた市町村がしっかりと活用できるよう適切に対応してまいります。
 最後に、同倉庫における空路の活用についてでございます。
 この倉庫が立地いたします立川広域防災基地には立川飛行場が配置されており、一昨年二月の多摩地域の大雪の際には、この基地からヘリコプターで食料などを輸送したことがございます。
 こうした立地上のメリットを生かし、備蓄物資などを空路を活用して輸送することは、倉庫を広域防災拠点として活用する上で極めて有効であります。
 一方で、空路の活用に当たっては、被災者の救出救助との兼ね合いも含め、実際に航空機を保有、運用する各機関との連携をさらに強化していくことが不可欠でございます。
 都といたしましては、訓練や協議を重ね、災害時の総合調整力を高めるとともに、各機関への要請や物資の輸送などが円滑に行われるよう積極的に取り組んでまいります。

○副議長(小磯善彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時五十七分休憩

   午後六時十五分開議

○議長(川井しげお君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 十五番白石たみお君
   〔十五番白石たみお君登壇〕

○十五番(白石たみお君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 初めに、知事がこの間、安倍内閣と連携していくことを表明していることにかかわって、基本的な立場について伺います。
 安倍内閣のアベノミクスは、大企業をもうけさせれば、その恩恵がいずれ庶民の暮らしに回るというもので、その破綻はもはや明白です。政府は、アベノミクスにより雇用がふえ、賃上げも実現し、景気は回復軌道を歩んでいると宣伝していますが、実際はどうでしょうか。
 昨年十月から十二月期の国内総生産、GDPは年率換算で実質一・四%減となりました。安倍内閣の三年間で労働者の実質賃金は減り続け、正社員が二十三万人減る一方、非正規雇用の労働者が百七十二万人もふえ、労働者に占める非正規の割合は四割を超えました。
 アベノミクスで進んだのは貧困と格差です。日本銀行は異例のマイナス金利導入を決めましたが、円高、株安がとまらず、預金金利の引き下げで国民の批判も高まるなど、アベノミクスは万策尽きたという事態です。知事、安倍内閣の経済政策についてどう認識しているのですか。
 国民の個人消費支出は、この一年間で四%以上も減っているのです。知事は記者会見で個人消費が伸びないとだめと発言しましたが、今必要なのはGDPの六割を占める国民の購買力を強くする政策を進めることだと思いますが、知事、いかがですか。
 私は、国民の購買力を伸ばすためにも、消費税一〇%増税の中止、社会保障の削減から充実への転換、人間らしく働ける雇用のルール確立こそ求められていると思います。消費税の一〇%への増税は、都民の暮らしや営業にさらなる困難をもたらします。政府が軽減税率を宣伝していますが、食品などの税率を八%に据え置くというだけのもので、年間で一世帯当たり六万二千円、一人当たり二万七千円もの負担増になるのです。
 一〇%への増税がさらなる景気悪化の引き金を引き、貧困と格差に追い打ちをかけることは明らかです。知事、景気をさらに冷え込ませる消費税増税を中止するよう求めるべきではありませんか。
 安倍内閣は、子育て支援や社会保障を充実するといっています。しかし、実際は、社会保障関係予算を抑え込み、入院給食費の値上げや医療費負担増、介護利用料の二割負担押しつけ、年金の切り下げなどを進めており、国民、都民の暮らしを困難に追い込んでいます。また、雇用についても、労働者派遣法などを改悪し、今後さらに残業代ゼロなどの改悪を計画しています。
 知事は、ワークライフバランスを強調し、二月九日の記者会見では、社会保障をしっかりやることが消費の刺激になる旨の発言をしています。そうであるなら、社会保障の切り下げや労働法制の改悪をやめるよう国に厳しく求めるべきですが、知事、いかがですか。
 私は、都民の暮らし、福祉を守るために都が力を注ぐべきことについて、以下、具体的に質問します。
 まず、子供の貧困対策を初め、貧困のない東京をつくる課題です。
 二〇一四年のOECD資料によれば、子供の相対的貧困率は日本が一五%を超えているのに対し、フランスやドイツは一〇%前後、デンマークやフィンランドは三%台です。所得格差が決して小さくないドイツ、フランスなどの子供の貧困率が日本より低いのは、税制度や社会保障制度によって所得の格差を是正しているからです。
 フランスでは、子供にかかわる給付を含む家族関係社会支出の対GDP比は三%近いのに、日本では対GDP比は一・三%にすぎません。この差がフランスなどと比べて日本の子供の貧困率を高くしているのです。
 知事、子供の貧困率を改善するために税の制度や社会保障、福祉施策によって格差を是正することが求められていると思いますが、どう認識していますか。
 シングルマザーの団体の方は、シングルマザーの半数以上は非正規で働いています、東京でも給与と手当を含めても月額十六から十七万円くらいで、家賃を払い、ぎりぎりの生活をしており、預金もほとんどないので、失業したり、子供や親が病気になると、すぐに追い詰められてしまうと話しています。
 ひとり親世帯にとって、児童扶養手当、児童手当、児童育成手当は、暮らしを支えるためにとても重要な制度です。しかし、児童扶養手当の所得制限は余りに低く、親子二人だったら、年間所得が五十七万円を超えれば手当が徐々に減額され、二百三十万円を超えればゼロになってしまいます。必死に働いて収入がふえると手当はなくなり、貧困から抜け出せないのです。
 知事は、こうした現状をどう考えていますか。児童扶養手当の低過ぎる所得制限の引き上げが重要だと思いますが、いかがですか。
 子どもの貧困対策推進法は、貧困状況にある子供に対する経済的支援の実施を地方自治体にも求めています。都が独自に児童育成手当を実施していることは重要ですが、月額一万三千五百円という額は、実に一九九六年から二十年間も同じ額です。
 知事、子供の貧困問題を重視し、貧困の連鎖を断ち切ろうというなら、まずは児童育成手当の額を引き上げることが緊急に必要です。見解を求めます。
 教育費の負担軽減も重要です。日本政策金融公庫の昨年二月発表の調査では、年収四百万円未満の世帯では、教育費負担が年収の四割に達しています。余りにも重い負担だと思いませんか。小中学校の就学援助や高校生の授業料軽減などが実施されてはいますが、これだけでは不十分だということは明らかです。
 フランスでは、さまざまな制度が違うとはいえ、公教育の無償が幼稚園から大学など高等教育にまで貫かれ、教育のための支出の約九割は公的財政によって賄われています。日本で実現できないはずがありません。
 知事は、予算発表の記者会見で、貧困の連鎖を断ち切るために、学習、生活、経済面など切れ目なく支援を実施していかなければならないと表明しました。
 そのためにも、義務教育から高校、大学まで教育に係る経済的負担の軽減に取り組むことが重要ではありませんか。知事、いかがですか。
 横浜市では、高校生に対する給付制の奨学金制度があり、国庫補助で都道府県が実施している奨学給付金と合わせて受けることもできます。学費の不足分や通学、修学旅行、クラブ活動費などに使われ、喜ばれています。川崎市でも同様の制度があります。
 都としても高校生への給付制の奨学金に踏み出すことが求められていますが、お答えください。
 大学生に対する奨学金制度に踏み出す自治体が広がりつつあります。長野県と沖縄県が実施しており、都内でも足立区が実施することになりました。知事はどう受けとめていますか。
 知事は、子供の貧困率が上がっていることに危機感を持たなければならないとして、国に先行してこの問題に答えを出していくといいました。だとしたら、東京で給付制の奨学金の創設など学生への支援を始めるべきです。知事の答弁を求めます。
 高齢者の貧困対策も急がれます。六十五歳以上のひとり暮らし高齢者の場合、女性の四割、男性の三割が相対的貧困であるといわれていますが、高い医療費や保険料、家賃などが高齢者を一層追い詰めています。
 ある六十五歳の女性は、個人年金も入れて月の収入は十三万五千円ですが、月五万円の家賃と月三万五千円の医療費が大きな負担です。残る五万円で国保料、介護保険料や水光熱費も払わなければならず、食費を切り詰めて何とか生活していますが、幾つもの持病を持っており、不安でたまらないといいます。
 知事は記者会見で、年金がどんどん減り、介護保険料が上がっていることを例に挙げ、これでは消費をストップすることになると述べました。そうであるならば、低所得の高齢者にとって重い負担となっている介護や医療の保険料、利用料などの負担軽減のためにどのように取り組むのですか。都としても、負担軽減に取り組むことが求められているのではありませんか。知事の答弁を求めます。
 都内のひとり暮らし高齢者の三割は民間借家暮らしであり、家賃が重い負担になっています。空き家の活用が大切です。あわせて、都営住宅の整備、増設を初め、居住支援協議会への支援強化などにより、生活の苦しい高齢者が低家賃で借りることができるようにすることが重要ですが、いかがですか。
 次に、保育や介護の基盤整備です。
 保育園の増設が進み始めたことは重要ですが、東京の待機児童数は、昨年四月の調査では若干減ったものの、依然として七千八百人を超えています。来年度新たに増加する認可保育園数は約百六十カ所で、今年度とほぼ同じペースと聞いています。
 認可保育園の入園希望者はふえ続けており、現段階までの私たちの調査では、今のテンポでは一万人を超える子供が希望しても入れないという事態になりかねません。品川区では千百八十五人に入園不承諾の通知が送付されています。
 知事、このペースで待機児ゼロの公約が果たせるのでしょうか。増設のテンポをさらに引き上げることが必要ではありませんか。
 保育園をふやしたくても、事業者から手が挙がらないという事態も生じています。民間事業者による事業拡大に限界がある中、公的にも施設整備しなければ、待機児童解消ができない状況が生まれているのではないでしょうか。
 都内公立保育園の中には、築三十年を超え改築が必要な園が多数ありますが、その増改築や建てかえの際に、園庭及び保育室の子供一人当たりの広さを確保した上で定員増を進めることは有力な待機児解消策です。
 山形県では、待機児童ゼロという知事の公約実現のため、公立保育園の改築に補助を行いました。都もこうした取り組みに学び、公立保育園の増改築、建てかえへの補助を行うべきではありませんか。
 また、区市町村が公立保育園の新設を進めることができるよう支援することが重要だと思いますが、いかがですか。
 都内で四万三千人に上る特別養護老人ホームの待機者解消も急務です。都の高齢者保健福祉計画で掲げた特養ホーム整備の目標を達成するには、今年度から三年間、毎年二千五百人分以上をふやすことが必要です。
 しかし、今年度の実績を見ると、十カ月で約千二百人分というペースです。整備のテンポを大幅に引き上げることが必要ですが、都はどのように取り組むのですか。
 都の予算案に特養ホームの整備促進に向けた調査検討予算が盛り込まれています。用地確保対策や建設単価高騰に対する整備費補助上乗せのさらなる拡充などを検討することが重要ですが、見解を求めます。
 保育や介護の基盤整備促進のため、国有地、都有地の活用をさらに促進することが必要です。国はことしから介護施設の整備を目的に、国有地の定期借地料の減額制度をスタートさせました。この新しい制度を大いに活用して特養ホームの増設を促進することが求められますが、都はどう取り組むのですか。
 一方、保育施設は介護施設に比べ敷地面積が少ないことを理由に、国は保育施設を対象外としています。国に対し、保育施設も定期借地料の減額対象に入れるよう求めるべきです。いかがですか。
 福祉インフラ整備に向けた都有地のさらなる積極的活用を区長会、市長会も求めています。都有地を活用した福祉インフラ整備を、都は今後どのように促進するのですか。これまでの実績と今後の計画を含め、お答えください。
 保育士や介護職員などの担い手不足は深刻で、抜本対策を講じなければ、保育所や介護施設の増設は進みません。福祉職の賃金は、全産業の平均より月額十万円近く低い上、労働条件が厳しいため、離職が多く、福祉現場は大変な状況です。
 しかし、福祉の深刻な保育士不足に対して安倍内閣がやろうとしているのは、常に二人以上の保育士の配置を義務づけるなどとしている現行の基準を引き下げることです。こんなことを進めれば、保育の質を低下させ、労働条件の悪化で保育士不足をさらに深刻化させます。
 また、安倍政権は、介護報酬の削減で介護事業所の運営をますます圧迫しています。これでは待遇改善が進むはずがありません。
 知事は施政方針で、保育や介護サービスを支える人材の不足が深刻になっている、福祉先進都市実現の鍵を握るこうした人材の確保、定着に積極的に取り組んでいくと表明しました。抜本的な給与引き上げと待遇改善なしに人材不足が解決されるとは思えませんが、知事の認識を伺います。
 職員の定着を進め、福祉の質を確保するため、給与引き上げを含む福祉人材の待遇の抜本的改善を行うよう国に求めるべきです。都としても待遇改善策の拡充に取り組むことが求められていますが、いかがですか。
 国は認可保育園の職員配置基準を引き下げる方向ですが、都が条例で定める基準は引き下げるべきではありません。都の対応を伺います。
 個人消費を伸ばし、東京の経済の持続可能な発展を進める上で、雇用対策や小規模企業の振興は重要課題です。
 まず、雇用対策です。
 都内の民間事業所で働く労働者のうち、年収二百万円以下の人が二割、三百十万人以上を占めています。労働者の暮らしを守るためにも、知事が強調する個人消費を伸ばすためにも、最低賃金の大幅引き上げが緊急課題です。
 アメリカのパサデナ市では、今月、最低賃金を段階的に引き上げ、二〇二〇年には時給十五ドル、約千七百五十円にする条例が採択されました。報道によると、市長は、住民が絶望的な貧困の中で生活してはいけない、ふえた収入の多くが地元で消費されると地元企業にも有益なことだとの見解を示しています。
 先進国では、最低賃金の大幅引き上げが進んでいます。知事、このことをどう認識していますか。
 もちろん日本では、自治体が最低賃金を決めることはできません。しかし、国や経済団体との協議や、中小企業への支援を行うなど、最低賃金の大幅引き上げのために最大限の取り組みをすべきと考えますが、知事の答弁を求めます。
 都の長期ビジョンが三年間で一万五千人の非正規雇用を正規雇用にしていく目標を掲げ、新年度は七千五百人にしたことは重要ですが、若者とともに深刻な就職氷河期世代への手厚い支援が必要です。
 就職氷河期世代は、十年以上、アルバイトや派遣など非正規として働かざるを得ない状況を余儀なくされて、正規雇用になりたいと就職活動をしても、書類選考で落とされるという状況が続いています。
 親と同居しているから何とか生活ができている、将来が不安など、切実な声が上がっています。知事はこうした声をどう受けとめていますか。知事は施政方針で就職氷河期世代への支援にも触れましたが、具体的にどう取り組むのですか。
 かつて厚労省に設置された研究会が、貧困層の若者に対する集中的な職業訓練プログラムを実施した場合の費用対効果を推計しました。二年から五年間の職業訓練プログラムを実施して正規雇用になった場合と、職業訓練を実施せず生活保護が続いた場合を比較しています。
 職業訓練を実施した場合、費用をはるかに上回る効果が得られることが示されています。対象者が十八歳の若者の場合の生涯にわたる費用と効果の比較では、一人当たり七千万円から一億円のプラスの効果があるとされているのです。
 アメリカでは、失業者や若者などの多様な要望にきめ細かに応える職業訓練を受講者本人の負担はほとんどなしに実施して、専門職や熟練工などの養成を行っています。
 知事、日本でも東京から若者や就職氷河期世代のための職業訓練を抜本的に拡充強化することが知事のいう未来に向けた投資になるのではありませんか。
 東京では、製造業の九割、商店では六割が小規模企業であり、地域経済を支えています。小規模企業がその個性や可能性を存分に発揮することを通じて、活力ある地域社会を実現していくことが東京の発展と都民の生活の向上にとって極めて重要です。
 知事は、東京の小規模企業の重要性をどう認識していますか。小規模企業振興基本法の理念を全面的に生かした振興策を具体化していく必要があると思いますが、いかがですか。
 国は、小規模事業者が経営指導員とともに経営計画をつくり、販路開拓用のチラシの作成、集客力を高めるための設備導入などの費用に対して三分の二、五十万円まで補助する制度を立ち上げました。大変好評で、三年目になります。
 国の調査によれば、この事業で新たな顧客がふえた、ふえる見込みという回答が九七%、売り上げでも増加、増加の見込みを合わせて九〇%に上ります。かつて大田区も同様の制度を実施し、助成対象経費の半分以上を区が負担し、上限五十万円まで助成しました。これも大好評で、多くの町工場が利用しました。
 都として、こうした制度を含め、小規模企業の売り上げ向上、設備改善、商店のリフォームを助成する経営活性化支援などを拡充することが重要だと考えますが、いかがですか。
 次に、夜間定時制高校の廃止計画についてです。
 私は働きながら、二十一歳のときに都立大崎高校の夜間定時制に入学しました。私の学年には、心身にハンディキャップを持つ仲間、経済的に困難を抱えた仲間、いじめなど、つらい過去を背負った仲間、六十代のクラスメートなどがいて、お互い励まし合いながら勉強しました。育ってきた環境も年齢も違う仲間たちと四年間過ごして、誰もが幸せになる権利があることを学びました。
 夜間定時制高校は、さまざまな事情により全日制高校に通うことができない生徒の大切な受け皿です。ところが、都教育委員会は、都立高校改革推進計画・新実施計画で立川、小山台、雪谷、江北の四つの夜間定時制高校廃止を盛り込みました。存続を求める署名は二カ月で二万筆を超え、廃校に反対する学者、文化人の共同声明には、山田洋次映画監督やノーベル医学生理学賞を受賞した大村智名誉教授など、百二十三名が名を連ねています。東京弁護士会も廃止反対の声明を発表しています。
 パブリックコメントに寄せられた都民の声は、経済的に苦しいので全日制を諦め、昼アルバイトをして夜学ぶことを選択せざるを得ない生徒も依然として少なくない、絶対に撤回すべきであるなど、九割以上が反対しているのです。
 知事は、こうした都民の意見や切実な思いをどのように受けとめていますか。
 都は、廃止の理由に応募人員が減っていることを挙げ、四校を選んだ理由を交通機関の状況を配慮して選定したと繰り返し答弁しています。しかし、これらの学校が生徒数も少なく、交通も不便な学校かというと、そうではありません。
 立川定時制は、一学年三クラス、全学年で三百人の生徒が在籍しており、夜間定時制としては大規模な学校です。立川駅に近く、多摩の東西南北全域からの通学に極めて便利な場所にあります。このため、毎年定員を超える応募があり、定員いっぱいの生徒が入学しています。
 特に八王子市内の夜間定時制四校が全て廃止されてしまったため、八王子市の生徒にとってなくてはならない学校となっています。創立七十九年の歴史を持ち、保護者やOB、地域住民も存続を求め、署名行動に参加しています。
 小山台高校は、駅から三十秒という交通の利便性が極めて高い貴重な学校です。そして、廃止されようとしている四校の夜間定時制高校は夜間中学卒業生の重要な受け皿にもなっているのです。交通機関の状況を配慮したという理由や、応募が少ないという理由は成り立たないではありませんか。
 知事は記者会見で、閉校する四校の周辺に夜間定時制高校はあると述べました。しかし、事実は違います。足立区の江北高校の周辺の夜間定時制として、江戸川区の葛西南高校や板橋区の大山高校などの名前が上がっています。
 ところが、江北高校の近くから大山高校に行くには電車だけで約五十分、三回乗りかえが必要です。さらに、駅から学校まで徒歩十五分かかり、職場や家から最寄り駅までの時間もかかります。定時制高校の部活が終わって家に帰れば、夜十一時を過ぎてしまうのです。
 知事、これを周辺と呼べるのですか。これでは交通費はもとより、体力的にも精神的にも通学時間が大きな負担になり、進学、通学を諦めてしまう生徒が出かねません。知事、いかがですか。
 都はまた、全日制と定時制の併置校は、生徒の施設利用や学習時間に制約があるとしていますが、小山台高校の学校運営連絡協議会委員である河路由佳東京外語大教授は、五時までしかグラウンドを使えない環境で野球部は一昨年、春の甲子園に初出場したと。定時制があるからといって、何かができないというようなことはないと話します。
 野球部の生徒の家族も、グラウンドの時間制限に不満を聞いたことはない、定時制廃止の理由に使われたらたまらないと訴えています。
 また、卒業生を初め多くの関係者が、昼間と夜間の生徒は教室を共同利用しており、心の交流がある、境遇の違う人たちを思いやることなど、併置校だからこそできるかけがえのない教育効果を生み出していると語っています。都は、このような現場の声や実態をどう認識していますか。
 生徒に必要とされ、すばらしい教育があり、地域に愛され支えられている四校の夜間定時制高校を廃止すべきではありません。廃止は撤回すべきです。答弁を求めます。
 私は、知事が持続的な経済成長と都民一人一人の生活の質の向上を両立させていこうとするならば、都として力を注ぐべき課題についてただしてきました。
 これらの課題、施策は、都の予算を思い切って都民の暮らし応援第一に切りかえるなら、実現は十分可能です。ところが、知事は施政方針で、外環道を関越─東名高速間にとどまらず、さらに湾岸道路まで二十キロも延伸させると表明し、三百十五カ所の優先整備路線を初め、都市計画道路のほとんどを今後も推し進める姿勢を示しました。
 これでは毎年三千億円規模で投入されてきた道路整備費がますます増大し、幾ら都民生活の向上を唱えても、絵に描いた餅になりかねません。
 都の道路優先の都市づくりを改め、過大なインフラ整備への投資を減らして、福祉、暮らしのための予算を拡充すべきだと思いますが、知事、いかがですか。
 外環道は十年前、国と都が公費負担するのを条件に整備の凍結が解除されました。これにより都財政からの負担金は、来年度まで含めて八百六十億円に及ぼうとしており、事業費がさらに膨れ上がることも予想されます。
 その上、事業化された十六キロに加えて、湾岸道路まで二十キロも延伸すれば、外環道の総事業費は果てしなく増大し、三兆円を超える巨費を投じることになりかねません。知事、それでよいのですか。
 昨年十二月、都は都市計画道路の第四次整備計画案を発表しましたが、未整備の約千二百キロの路線のうち、廃止の提案はわずか〇・四%にすぎません。決めた計画は絶対廃止しないという余りにもかたくなな姿勢といわざるを得ません。
 知事、千二百キロもの都市計画道路を事業化すれば、十数兆円もの財源が必要であり、維持改修費の増大を含めて都財政を大きく圧迫するのではありませんか。
 未整備の都市計画道路は、決定から半世紀以上が経過し、まちの現状と合わなくなっているにもかかわらず、都は、その中で三百十五路線、総延長二百二十三キロに及ぶ優先整備路線を選定し、今後も、十年間での着手を狙っています。莫大な費用をつぎ込むだけでなく、住民とコミュニティへの重大な影響を与えるものです。
 他の自治体では、財政への配慮と同時に、地域コミュニティを守ることを重視して、実情に合わない計画は廃止や見直しがされています。大阪や京都は、決定から三十年以上経過した場合や、地元が道路以外のまちづくりを求めた場合などに道路計画を廃止しています。道路の必要性とともに、地域コミュニティへの影響なども見て、総合判断をしています。
 知事は、こうした取り組みをどう認識していますか。
 知事は、ゆとりある成熟都市を目指すといいますが、それならば、成熟したコミュニティや商店街の存在を尊重し、これらを削ったり分断するような都市計画道路は、廃止を含めて見直すという位置づけをすべきではありませんか。
 都は四年前、防災の名で二十八の特定整備路線を指定し、一気に事業化したため、都の幹線道路予算は急激に膨らみました。特定整備路線は、優先路線から除外されていたものを突然事業化したため、道路整備を前提とせずに住宅を建てかえた人も多く、沿道住民の悲鳴と反対の声が広がっています。強行することは許されません。住民の要望、意見を最大限尊重して抜本的な見直しをすべきです。いかがですか。
 都は、アジア大都市との国際競争に勝ち抜くには渋滞解消のための幹線道路が必要としていますが、東京都の幹線道路や高速道路の密度は、既にアジア大都市やロンドン、ニューヨークより高いことがさまざまな調査で明らかにされています。
 それにもかかわらず都心の渋滞が解消しないのは、超高層の業務ビルやマンションが林立するよう誘導したり、自動車流入も事実上野放しにするなど、都心をさらに過密化させる都市政策が原因です。
 その上、知事は、都心の至るところでまちの再開発をすると表明しましたが、人口減少社会を迎える中で、一極集中の超過密都市づくり推進、自動車優先政策の是正こそ重要ではありませんか。知事、いかがですか。
 私は、持続可能な都市、持続可能な財政運営のあり方を考えれば、ヨーロッパの道路政策を初め、交通政策や都市づくりを大いに参考にすべきと考えます。
 ロンドン市は、ロンドン郊外に開通した環状道路M25が完成すると、予測交通量をはるかに超えてしまい、自動車の都心流入を増大させ、事故や渋滞をふやす結果になったことから、さらに内側に予定していた環状道路計画をやめ、車の流入規制と公共交通優先に切りかえました。
 パリ市では、七十年代までの急速な高速道路整備を見直し、国民の交通権の平等と温暖化防止の目標達成のため、公共投資を道路や空港から公共交通優先に切りかえました。パリ市街地内は、大型車の進入を抑えるため、周辺の駐車場に誘導し、観光客などの歩行や自転車利用を進めています。セーヌ川沿いの高速道路をやめて、歩行者や自転車も自由に通行できるように再整備しています。
 知事、東京もこうした交通政策の方向を学ぶべきではありませんか。お答えください。
 パーク・アンド・ライドなどの交通需要マネジメント、TDM政策の重要性を知事はどう認識していますか。そして今後、どう推進するのかお答えください。
 都は今、三十本の幹線道路の信号の点灯時間などをコントロールするハイパースムーズ作戦で渋滞の改善に大きな成果を上げています。今後、さらに渋滞が多い四百カ所の交差点をシステムに組み込んで拡充する予定ですが、新年度予算は三億円余りであり、このペースでは何十年もかかります。渋滞の解消に向けて期限を切った目標を立て、予算も拡充し、緊急に推進すべきです。見解を求めます。
 防災対策でも、延焼遮断帯の形成を名目にした特定整備路線に八百億円以上もつぎ込むなど、道路建設に偏った政策が進められる一方、中央防災会議があらゆる対策の大前提とする住宅の耐震化予算を大幅に減らしています。
 これで迫り来る首都直下地震から都民を守れるのでしょうか。
 都が耐震改修促進計画で掲げる住宅の耐震化率は、今年度までに九〇%を目標としていました。それが昨年度末で八四%にも満たず、目標達成は極めて厳しい状況となっています。
 その中で、新しく改定する耐震改修促進計画では、住宅の耐震化率を二〇二〇年までに九五%に引き上げるとしています。最近、四年間で二・六ポイントしか伸びなかったものを六年間で一一ポイントも引き上げなければなりません。
 ところが新年度予算では、これまでの木造住宅耐震改修助成も、民間マンションの耐震改修助成も、予算はふやすどころか、六割も削っているのです。これでどうやって目標を達成できるのですか。助成の対象と内容を拡充し、予算を大幅にふやしてこそ、住宅の耐震化は前進します。社団法人全日本不動産協会の東京都本部も、都内全域の耐震化のための助成拡充を提案しています。
 知事は、たとえ災害が起こっても、被害を最小限に抑える都市をつくるといいました。多くの防災専門家が指摘するように、事前の耐震化にお金をかける方が道路づくりや震災で倒壊した後の復興にお金をかけるよりはるかに安上がりで、効果があることを知事はどう認識していますか。耐震改修助成の拡充は、未来に向けた投資ではありませんか。
 耐震診断の促進も重要です。静岡県では、助成対象に制限を設けず、高齢者には上乗せ補助を行っていますが、あわせて県下のどこでも電話一本で耐震診断を受け付け、無料で専門家を派遣する制度をつくったことが注目されます。
 その結果、これまで七万件を超える耐震診断を受け付け、二万件近くの耐震改修助成による住宅耐震化につながっているのです。都としても耐震診断に対する財政支援を含めた支援の強化が必要だと思いますが、いかがですか。
 地震火災の一番の原因である電気に起因する火災を防止するための感震ブレーカー普及が急がれています。阪神・淡路大震災における膨大なデータに基づく新たな研究により、電気が回復した地域から次々と火災が発生したことが鮮明になりました。
 感震ブレーカーの重要性について、消防庁はどう認識していますか。地震火災対策として、住宅の新築時に普及を図るとともに、既存の住宅に対しても普及促進が求められますが、お答えください。
 都内でも、足立区、世田谷区で感震ブレーカーの設置助成が始まりました。品川区、杉並区、文京区も計画しています。
 今こそ一気に普及を図るべきときです。都として、設置助成に取り組む区市町村への補助を行うべきです。
 また、横浜市が広報で大規模に宣伝したように、地震火災に占める電気火災の多さや、感震ブレーカーの有効性についての啓発活動を思い切って強化すべきです。いかがですか。
 次に、オリンピック・パラリンピックを理由とした財政投入がさらに拡大しようとしている問題です。
 都は、新国立競技場整備に財政投入するために新たな法整備を国と合意しました。その結果、先週閣議決定された独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSC法改定案は、都負担を法律で義務化し、負担対象も拡大するなど重大な問題を含んだものです。
 知事は、法案の内容を了承したのですか。
 JSCが管理運営する競技施設は東京都以外にはなく、法案は事実上、東京都のみに負担を押しつけるものです。かつて知事も言及したように、憲法九十五条では、一地方公共団体にのみ適用される特別法の制定は、住民投票による過半数の同意を義務づけています。
 知事、こうした憲法の趣旨からすれば、都民の合意なしに政府が勝手に法を制定することは認められないのではありませんか。
 しかも法案は、施設の新設だけでなく、改修も負担の対象に含んでいます。その上、新国立競技場だけでなく、JSCが管理運営する施設全てを負担の対象にしています。これでは、新国立競技場の観客席を五輪後に八万席に増設する改修費や、秩父宮ラグビー場などの改築費も負担の対象になり、都の負担は今後、際限なくふえかねません。違いますか。
 法案が東京都の負担を三分の一以内と規定していることも極めて重大です。知事は昨年の第四回定例会で、四分の一を都が負担する案で合意したと明言したではありませんか。しかも法案は、協議が成立しないときは文部科学大臣が裁定するとまで規定しています。
 知事、法案が合意を法整備したものだというのなら、なぜ四分の一でなく、三分の一以内となっているのですか。都の負担が三分の一まで拡大しかねないのではありませんか。
 こうした重大な問題が明らかになったのですから、国との負担合意は白紙に戻し、法案の撤回を政府に求めるべきです。知事、お答えください。
 さらに重大なことは、組織委員会運営費への財政投入問題です。運営費が当初予算の六倍にも膨らむという報道に対し、武藤事務総長は、一兆八千億円という数字は認めませんでしたが、知事は記者会見で、一・八兆円という数字は聞いたことがあると答えました。知事、一・八兆円を示す資料があり、説明を受けたのではありませんか。事実をお答えください。
 立候補ファイルでは、組織委員会が資金不足になった場合、都が補填するとしているのです。日本共産党都議団は、組織委員会に対し、運営費の推計を明らかにし、直ちに運営費削減の努力をするよう申し入れました。
 知事は、一・八兆円という報告を聞き、どう考え、どう対応したのですか。都の莫大な財政投入とならないよう直ちに協議を行うべきですが、いかがですか。
 最後に、安保法制、戦争法は、日本と首都の平和と安全にとっても、テロを根絶する課題とのかかわりでも極めて有害で危険きわまりないものです。安保法制、戦争法が強行された今日でも、圧倒的多数の国民は安保法制を支持していません。このような法律は一刻たりとも放置するわけにはいきません。
 その廃止を求める国民的運動が東京でも、全国でも力強く広がっています。そして、去る十九日、民主党、維新の党、社民党、生活の党、そして日本共産党の野党五党が、安保法制の廃止と集団的自衛権行使の容認の閣議決定撤回を共通の目標とすること、安倍政権の打倒を目指す国会における対応や国政選挙など、あらゆる場面でできる限りの協力を行うなど四項目で合意しました。
 日本共産党都議団は、この五野党の合意を力に、安保法制、すなわち戦争法廃止と、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すという立場で、一致する全ての方々とともに全力を挙げる決意を表明し、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 白石たみお議員の代表質問にお答えいたしますが、その前提として、ここは国会ではなく都議会であるということを確認して申し上げたいと思います。
 まず、安倍内閣の経済政策についてでありますけれども、安倍政権の誕生からこれまでを見れば、日本経済は全体としてはようやく回復基調に来ていると思っております。世界経済情勢の先行きは、予断は許さないものの、長きにわたるデフレからの脱却を確かなものとするために、国は可能な限りの政策を動員すべきでございます。マイナス金利の導入もその一つだと私は思います。
 安倍総理が掲げました新三本の矢は、経済成長と生活の質を両立させるという東京都の政策と方向を一にするものでございます。
 都は、経済成長戦略はもとより、少子高齢化への対応や、誰もが活躍しやすい環境づくりなど、国と連携して幅広く取り組んでまいります。あるいは、国に先駆けた施策も展開し、明るい未来を切り開いていく決意でございます。
 次に、消費税の引き上げについてでありますが、少子高齢化が急速に進行する我が国におきまして、持続可能な社会保障制度の構築を図るためには、安定財源の確保が不可欠であります。
 そのためには、広く消費に負担を求め、世代間の公平を図ることができる消費税の税率引き上げにより、社会保障財源を拡充することは避けては通れないと思っております。したがって、国に対して消費税引き上げの中止を申し入れる考えはございません。
 国が進める社会保障制度や労働法制の見直しについてでありますけれども、いうまでもなく、社会保障制度は社会全体のセーフティーネットでありまして、国民に信頼され、持続可能なものでなければなりません。
 そのために、制度を維持する財源を確保し、給付の重点化と効率化を図りながら、常に時代に合ったものへとつくりかえていくことが必要でございます。現在国が進めている社会保障制度改革も同じ考えに立ったものと認識をしております。
 また、労働法制の見直しに当たりましては、国の審議会において、労使や公益的な立場からの意見を幅広く踏まえることになっております。厚生労働大臣として、私はきちんとそういう政策について理解をしてきたつもりでございます。
 今般の法改正についても、こうした手続を経て、現在国会において審議がなされているわけであります。
 続きまして、税や社会保障制度による格差の是正についてでございますが、所得の格差を是正し、社会的な公平と活力をもたらすための経済政策の一つとして、多くの国家は租税制度や社会保障制度等を通じて所得の再分配を行っております。
 こうした再分配の財源は国民の負担でありまして、その手法や対象、水準なども国によってさまざまであります。国際比較をするのであれば、財源についてもあわせて議論すべきでありまして、また、その内容は、国民のコンセンサスを得て、国が決定すべきものだと思います。
 教育に係る経済的負担の軽減についてでございますが、次の時代を担う子供たちの教育と、その機会の平等の確保は極めて重要でありまして、親の経済的状況によって子供が教育を受ける機会を失うことがあってはならないと考えております。
 都ではこれまでも、国や区市町村との役割分担を踏まえまして、一定の所得以下の保護者に対し経済的負担の軽減策を講じてきております。
 小中学校段階では、区市町村が学用品費や給食費などを支給しておりまして、高校段階では、都が授業料の給付や授業料以外の費用にも奨学金を支給しております。また、大学生に対しては、大学の所轄である国が支援を行っております。
 今後とも、これらの制度を適切に運用するとともに、不登校、中途退学への対策の強化なども含めまして、貧困の連鎖を防ぐ取り組みを引き続き総合的に進めてまいります。
 次に、大学生に対する奨学金制度についてでありますけれども、大学は全国から学生が集まる場でありまして、大学生の教育費負担の問題は国全体の教育政策の中で議論されるべきことであります。
 都は、大学など高等教育機関の所轄であります国との役割分担に基づきまして、高校等に通う生徒を対象に東京都育英資金事業を展開してございます。
 今後も引き続き、学びに意欲のある生徒に対する支援を着実に実施をしてまいります。
 白石議員が、後ほど申し上げますけれども、この定時制高校でお仕事をしながら学業を終えられて、こうして今、都議会議員になられているのは大変尊敬をいたします。その観点から、先ほど給付制の奨学金についておっしゃいましたので、ちょっと私の考えを申し述べさせていただきますと、私は中学校のときに父親を亡くしたものですから、それ以降、母子家庭で、高校も大学も、働いたり、私は育英会から奨学金をもらって終えました。
 しかし、単なる給付制に実は反対なんです。なぜならば、きちんと育英会から私はお借りした。私がしっかりと戻さないと、次の人たち、次の世代が借りる原資がなくなるわけですよ。しかも五十年前ですから、今よりはるかに貧しい時代であっても、返していくと。そのために一生懸命勉強して、いい成績をとって、きちんと仕事、就職して返していく。それが誇りであって、やったわけですよ。
 ですから、そういう自立の精神がないと、私が、だから、仮にただもらって、それでいいということにすれば、モラルハザードが起こる可能性があるんです。だから、給付制度にもいい面はありますよ。ありますけれども、私は実際ここにいるんですから、私はちゃんと戻すということで頑張ったから今の都知事の舛添要一はここにあると思っております。
 したがいまして、そういう考え方もあるということを、若い議員ですから、あなたが今から政治家として成長していくためにも、ぜひそういう柔軟な考え方を持っていただきたいと思っております。
 次に、保育サービスの整備についてでありますけれども、都は現在、区市町村や事業者の整備費の負担軽減、都有地の減額貸し付け、国有地、民有地の賃借料補助など、都独自のさまざまな支援策を実施しております。
 また、国家戦略特区を活用した都立公園での保育所の整備も進めておりまして、これは荒川の汐入公園、今度世田谷の祖師谷でも行います。また、ほかのところでもどんどんやっていきます。
 今後とも、こういう待機児童の解消に向けまして、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいりたいと思っております。
 続きまして、保育士や介護職員の確保につきましてでありますけれども、福祉職員の待遇改善は非常に私も重要だと思っていまして、厚労大臣のとき初めて取り組んだのが、それまでやっていなかったんですけど、ファンドという形で介護職員や保育士の待遇改善を図りました。
 それから、我々が今、福祉サービスを支える人材を安定的に確保していくことが必要でありますので、都は、保育士や介護職員のキャリアパスの導入に取り組む事業者への支援を独自に実施しております。
 また、来年度は人材の掘り起こし、マッチング、職場定着までを総合的に支援する事業や保育士養成施設への支援、介護職員の宿舎借り上げ支援も開始して、福祉人材の確保、定着を図ってまいります。
 続きまして、就職氷河期世代への支援でありますけれども、皆が明るい気持ちで生活できるようにするためには、安定した職業という確固たる生活基盤を築くことが第一であります。
 これまで繰り返し申し上げているとおり、就職氷河期世代など、正社員を希望しながら、不本意にも非正規雇用となっている方々を一人でも多く減らしたいというのが私の思いでございます。
 都では、今年度から、社内での正社員転換を促進する助成金事業に加えまして、職務経験やスキルに応じたきめ細かな就業支援など、さまざまな非正規雇用対策を実施しております。
 引き続き、三年間で一万五千人の正規雇用化に向けまして、非正規雇用対策を着実に進めてまいります。
 続きまして、小規模企業に対する認識でありますけれども、地域の経済や雇用を支える小規模企業の事業の継続と発展を図ることは、東京の産業振興にとって極めて重要でございます。
 このため、都はこれまでも、経営相談、技術支援などを行っておりまして、今年度からは、事業承継などを重点的にサポートする拠点を設置いたしました。
 今後とも、中小企業支援機関と連携して、小規模企業の持続的な発展を後押ししてまいります。
 先ほど申し上げました白石議員が頑張られた、二十一歳でたしか入学したとおっしゃいました大崎高校。都立高校の夜間定時制課程についてでありまして、全ての子供たちがそれぞれの必要な教育を受けられる機会を提供していくためには、やはりその時々の状況をしっかり見ながら整備する必要があるというふうに思っております。
 記者会見なんかのときでも申し上げましたように、定時制高校でありますチャレンジスクールや昼夜間定時制高校は、この間順次拡大を行ってきたんですけれども、残念ながら、いつも申し上げますけれども、今いったチャレンジスクール、昼夜間定時制高校は応募倍率が非常にまだ高いんです。
 しかし、白石議員が問題になさっている夜間定時制高校はやはり年々応募倍率が低下をしているということでありまして、そういう環境に対してどうするか。それで、先ほど応募が高いといったチャレンジスクールと昼夜間定時制高校の規模を拡大する。そして、チャレンジスクール二校の新設を行います。そして、先ほど来問題になさっています夜間定時制高校の一部を閉課程とするということにいたしました。
 こうした取り組みは、できるだけ多くの子供たちの学ぶ意欲に応えるとともに、やっぱり定時制課程全体を今後どうするか、そういう教育環境の改善も考えないといけないというふうに思った上での政策でございますので、今後とも、都立高校全体の改革も含めて、東京の教育の一層の充実というのをさらに進めてまいりたいというふうに思っております。
 それから、財政運営についてご質問がございましたけれども、私は相当この都民福祉の向上、例えば先ほど申し上げました非正規雇用対策とか高齢者支援とか、子供や子育て家庭への支援、女性の活躍のための支援、こういうことに注いでおりまして、今年度予算で計上した額は、もう皆さんにお示ししたように、一兆千六百六十八億円が福祉と保健に使われておりまして、全予算の二二・九%をそこで使っております。前年比に比べましても〇・一ポイントふやしておりますので、私は福祉には全力を注いでいるというふうに思っております。
 同時に、道路整備を初めとするインフラ整備は、東京全体の機能を強化して、都民の利便性や東京の活力の向上などに必要不可欠な取り組みでありまして、それから防災という観点からも必要なわけです。着実に進めていきたいと思っておりまして、今後とも、ソフト、ハード両面にわたる都政の諸課題に着実に取り組んでまいりたいと思います。
 外環について、今の観点でございましたけれども、外環は、東名高速や東北道など放射方向の高速道路を束ねる扇のかなめに位置しておりまして、人や物の流れをスムーズにする極めて重要な環状道路だと考えております。
 さらに、先ほど申し上げましたように、首都直下地震などにおきましては、日本の東西交通が分断された場合に、救援、復旧活動を支える重要な社会インフラとなることは確実でございます。
 関越道から東名高速までの整備に引き続き、湾岸道路までのいわゆるミッシングリンクを解消して、羽田空港や京浜港へのアクセスを強化するなど環状道路としての機能を最大限に発揮させる必要がございまして、引き続き、国や関係機関とともに外環の完成に向けて積極的に取り組み、経済を活性化させるとともに、災害に強い国土を形成してまいりたいと思います。
 次に、独立行政法人日本スポーツ振興センター、いわゆるJSC法の改正案についてご質問がございました。
 新国立競技場の整備に係る財政負担につきましては、私と遠藤オリンピック・パラリンピック大臣、馳文科大臣との合意をいたしまして、国において必要な法的措置を講じることとされて、その後の関係閣僚会議で決定をしております。
 今般のJSC法の改正は、その合意を履行するために国が行っているものと理解してございます。法案の内容につきましては、国が責任を持って国会の場で説明し、国会の場で審議されるべきものでございます。
 JSC法改正案と分担割合についてでございますが、新国立競技場の整備に係る財政負担につきましては、対象経費を、国と都とスポーツ振興くじとで二対一対一で分担し合い、都の分担割合を四分の一とすることは既に国と都で合意し、関係閣僚会議においても決定をしております。したがって、この内容が履行されるものと考えております。
 なお、何度も申し上げましたけれども、法案の内容については、国が責任を持って国会の場において説明し、国会の場において審議されるものでございます。
 次に、国との合意の撤回等についてでありますが、今申し上げましたとおり、今般のJSC法の改正は、まさにこの財源スキームを実施するためでありまして、国が行う法的措置であると理解しておりまして、合意を白紙に戻すことはあり得ません。
 二〇二〇年大会の経費についてでありますが、一口に大会経費といっても、その範囲のとり方によって大きく規模が変わってまいります。
 これまでも、いろんな数字、いろんな推測が情報としていろんな方面から私の耳に入ってきております。ご質問の金額についても、そういう中でどこかで聞いたことがあると思いますが、いずれにしても推測の域を出ないものと受けとめております。
 大会経費に関する都の取り組みについてでありますけれども、二〇二〇年東京大会は、テロの脅威の増大、資材や人件費の高騰など、大会を取り巻く環境が大きく変化して、数多くの課題に直面してきております。
 そのために、これらに対応すべく、開催都市である都が、組織委員会、国とともに新たな役割分担を決めてまいります。
 大会経費につきましては、不断に精査する一方、必要な事業は実施し、関係者と一致協力して大会準備に万全を期す決意でございます。
 そのほかの質問につきましては教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、閉課程する夜間定時制高校の選定理由についてでありますが、今回閉課程の対象とした小山台高校、立川高校は、交通利便性が比較的よいため、生徒は広範な地域から通学しております。そのため、これらの夜間定時制課程が閉課程となっても、代替として受け入れ可能な夜間定時制課程が多数存在しております。
 また、各校の募集人員に対する在籍生徒の割合は、立川高校以外の三校については夜間定時制課程全体の平均を下回っている状況にあります。
 立川高校についても、今後、立川地区チャレンジスクールの新設や近隣にある砂川高校の夜間部の増学級により、相当程度低下することが見込まれます。
 以上のようなことから、都立高校改革の新実施計画において、四校の夜間定時制課程を閉課程することとしたものであります。
 次に、夜間定時制課程の閉課程後の通学についてでありますが、例えば江北高校では、現在、地元の足立区を中心に、葛飾区、江東区、北区等から通学しております。
 このように、夜間定時制課程に在籍している生徒は、さまざまな地域から通学しており、四校の夜間定時制課程の閉課程後も、周辺の夜間定時制課程に通うことで、時間的にも交通費の面でも、影響は大きくないと判断しております。
 なお、ご指摘のような江北高校の近くに住む生徒が大山高校へ通学を選択することは考えにくく、区内の足立高校に通学するのが自然であると考えます。
 次に、全日制・定時制課程併置校に対する認識でございますが、学校現場の声として、全日制課程からは、放課後の部活動や講習会、生徒の自習等に時間的制約が生じることが、また、定時制課程からは、全日制課程の推薦入学などの学校行事の際に、校内で授業ができないことや、始業前に登校して面談や講習等を行うことが難しいといった課題が常にいわれております。また、PTA団体からも、全定併置校の施設の共用を改善して、定時制課程専用の教室、フリースペース等を確保してほしいなどの陳情が毎年提出されております。
 このようなことから、ご指摘のような声が、全日制・定時制課程併置校に対する全体的な声とは認識しておりません。
 最後に、夜間定時制課程の閉課程の撤回についてでありますが、都教育委員会としては、新実施計画にお示ししたとおり、今後のチャレンジスクールと昼夜間定時制高校の整備の進捗や、夜間定時制課程の応募倍率の推移等の状況を考慮しながら、一部の夜間定時制課程を閉課程してまいります。したがいまして、撤回する考えはございません。
   〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者への住宅提供策についてでございますが、都はこれまでも、都営住宅などの公共住宅ストックを有効に活用するとともに、民間住宅においては、高齢者の入居を拒まない住宅の情報提供や、東京都居住支援協議会による区市町村協議会の設立促進と活動支援などを行っております。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、高齢者の居住の安定確保に努めてまいります。
 次に、都市計画道路についてでございますが、将来にわたり東京を持続的に発展させていくためには、広域的な交流や連携、高度な防災都市、個性的で活力ある地域づくりなどを支える道路ネットワークのさらなる充実が不可欠でございます。
 こうした目的の達成に向け、新たな整備方針のもと、今後とも関係区市町と連携の上、必要な都市計画道路の財源の確保に努め、整備に取り組んでまいります。
 次に、都市計画道路の見直しについてでございますが、都市計画道路は都市活動を支え、交通の円滑化や災害時の救急救援活動などに大きな役割を果たす重要な都市基盤でございまして、計画的かつ効率的にネットワークを形成することで、その機能が発揮されます。
 今回公表した整備方針案におきましても、広域的なネットワークとの整合性を考慮しながら、骨格幹線道路網の形成を初め、地域のまちづくりへの貢献や、ゆとりある歩行者空間の創出などの観点を踏まえ、十年間で優先的に整備する路線を選定しております。
 今後とも、地元区市町と連携し、ゆとりある生活と経済活動の両立を支えるために必要な都市計画道路の整備については積極的に取り組んでまいります。
 次に、渋滞解消に向けた政策の見直しについてでございますが、東京がアジア大都市などとの国際競争を勝ち抜くには、都市機能の更新や都市施設の整備が不可欠でございます。
 このため、都市再生を推進し、土地の高度利用により、高度な業務、商業機能に加えまして、質の高い居住機能の誘導などを計画的に進めております。
 あわせて、都心部の渋滞を解消するためには通過交通の排除が不可欠でございまして、三環状道路などの整備を推進しているところでございます。
 例えば、首都高中央環状品川線の完成によりまして、都心環状線の利用交通量が五%減少し、これに伴い、中央環状線内側において渋滞による損失時間が五割減少いたしました。
 今後とも、東京全体の都市機能の強化に向けて、こうした取り組みを一層推進してまいります。
 次に、公共交通などを重視した取り組みについてでございますが、東京は高密度で安全な鉄道ネットワークが形成されており、既に世界的に見て公共交通の利用が相当程度進んでいる大都市でございます。
 一方、道路につきましては、環状道路などの整備により、都心部からの通過交通の排除を引き続き推進しながら、その上で、限られた道路空間を活用して歩行者空間を拡大するとともに、自転車走行空間の確保や、交通広場の整備による公共交通との乗りかえ改善等に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、道路や公共交通のネットワークの充実を図り、環境に優しく、誰もが使いやすい交通体系を構築してまいります。
 次に、住宅の耐震化についてでございますが、自助、共助、公助の原則のもと、まずは所有者みずからがその必要を認識し、主体的に取り組むことが不可欠でございます。
 このため都は、区市町村と連携いたしまして、耐震キャンペーンや相談窓口における普及啓発、安価で信頼できる耐震改修工法の紹介などを通じまして耐震化の取り組みを促進してまいりました。
 このような自助の啓発を進めながら、その上で、防災都市づくり推進計画に定める整備地域の木造住宅や、合意形成が困難なマンションなどに対しまして、公共的な観点から必要がある場合には財政的な支援を実施してまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして住宅の耐震化を促進してまいります。
 次に、耐震化のための助成拡充についてでございますが、都は、広域自治体として、東京全体の安全性を高める観点から、国や区市町村との適切な役割分担のもと、整備地域の木造住宅等に的を絞り、耐震化助成を重点的に行っております。
 こうした対応により、震災時の倒壊による道路閉塞や延焼拡大を防止し、大規模な市街地火災による人的、物的被害を最小限に抑えることが可能となります。
 あわせて、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化につきましても、重点的、集中的に取り組むなど、今後とも、限られた財源のもと、防災対策上の優先度を考慮しながら、耐震化助成を効率的、効果的に実施してまいります。
 最後に、住宅における耐震診断の支援についてでございますが、これはもう繰り返しになりますけれども、個人の住宅の耐震化につきましては、自助、共助、公助の原則のもと、まずは所有者みずからが主体的に取り組むことが不可欠でございます。
 このため都は、耐震キャンペーンなどにおける普及啓発や信頼できる耐震診断事務所の登録、公表など、診断を促す取り組みを行ってまいりました。また、地域の実情に即した取り組みを促すため、所有者からの相談に応じるアドバイザーの派遣や、木造住宅の簡易診断を行う技術者を派遣する区市町村に対しまして、その取り組みを財政的にも支援してまいりました。
 今後も、広域自治体の立場から、区市町村との適切な役割分担のもと、住宅の耐震診断を促進してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、購買力を強くする施策についてでありますが、都はこれまでも、中小企業支援や雇用就業対策などさまざまな施策を講じることにより、企業業績の回復と安定的な雇用の実現を図っており、そうしたことが消費の拡大へとつながるものと考えております。
 次に、最低賃金についてでございますが、最低賃金の仕組みは、労働者の生活の安定や経済の健全な発展に寄与するものであり、その額は法に基づき、労使、公益の代表が審議し、地域の労働者の生計費や賃金、企業の支払い能力を考慮して国が決めております。
 都としては、この制度が適切に運用されるべきものと考えております。
 次に、職業訓練についてでございますが、都は、若者や就職氷河期世代など求職者向けの公共職業訓練を、求人ニーズや公募状況等を踏まえ、毎年度、内容や規模を見直しながら実施しており、引き続き適切に対応してまいります。
 最後に、小規模企業に対する支援についてでございますが、小規模企業の経営の活性化に向けて、都はこれまでも、売り上げ向上のための販路開拓支援や設備投資に対する助成など、さまざまな支援を行っております。
 引き続き、必要な取り組みを進めてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 十点のご質問にお答えをいたします。
 まず、児童扶養手当の所得制限についてでありますが、児童扶養手当は児童扶養手当法に基づく国の制度であり、所得制限のあり方については、ひとり親家庭の現状を踏まえながら、国で議論すべきものと認識しております。
 次に、児童育成手当についてでありますが、児童育成手当は、昭和四十四年に発足した制度であり、当時は不十分であった国の所得保障を補完すると同時に、就労支援など、ひとり親施策が未整備の中で、子供の健全育成を支援する役割を担っていたものでございます。
 その後、国の児童扶養手当が増額されたほか、ひとり親家庭の自立に向けた就労支援や相談支援、子供の学習支援など、さまざまな取り組みも展開されており、その位置づけは大きく変わっているものと認識しております。
 次に、保険料や利用料の負担軽減についてでありますが、国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険の各制度では、所得に応じて保険料の負担軽減策が講じられており、都は法令等に基づき、応分の財政負担を行っております。
 また、利用者負担についても、高額療養費制度や高額介護サービス費制度により、所得に応じた自己負担の限度額が設けられております。
 次に、公立保育所の整備に対する補助についてでありますが、都は、保育の実施主体である区市町村が地域の実情を踏まえ、認可保育所だけでなく、認証保育所、認定こども園、小規模保育など多様な保育サービスを拡充できるよう、さまざまな支援を行っております。
 公立保育所の整備費については、平成十八年度に区市町村に税源移譲されております。
 次に、特別養護老人ホームの整備促進についてでありますが、都はこれまで、都有地の減額貸付、土地賃借料の負担軽減、建築価格高騰に対する加算を実施するとともに、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域の補助単価を最高一・五倍に加算するなど、特別養護老人ホームの整備を促進してまいりました。
 来年度は、さらに整備を進めるため、補助単価の加算要件を見直し、加算対象となる地域を大幅に拡大いたします。
 次に、国有地を活用した特別養護老人ホームの整備についてでありますが、都はこれまで、国に対し、国有地貸付料の減額を行うよう繰り返し提案要求してまいりました。
 これを受け、国は、本年一月から介護施設の整備に係る国有地の減額貸付を開始し、一月二十九日には、都内で第一号案件の貸付契約が締結されたところでございます。
 国有地の活用も含め、今後とも特別養護老人ホームの整備を促進してまいります。
 次に、国有地の借地料減額についてでありますが、都はこれまで、国有地を活用した保育所整備が進むよう、土地の貸付料の減額を国に求めており、今後とも提案要求してまいります。
 次に、都有地を活用した福祉インフラ整備についてでありますが、都は、福祉インフラ整備を促進するため、未利用の都有地を五〇%減額して運営事業者に貸し付ける、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業を平成十五年度から実施しております。平成二十六年八月には、整備をより加速するため、都内公示地価平均を超える部分について、貸付料の減額率を九〇%に拡大いたしました。
 事業開始以来、昨年十二月までに運営事業者を決定したものは四十三件であり、今後も区市町村と連携しながら福祉インフラの整備を進めてまいります。
 次に、福祉人材の待遇改善についてでありますが、都は、安定的に福祉人材を確保できるよう、国に対し、保育士のキャリアアップのための仕組みを検討し、充実を図るとともに、十分な財源を確保すること、介護職員のキャリアパスを早急に整備、普及すること、介護職員処遇改善加算について、介護報酬の基本部分に組み込むなど、恒久的なものとすることなどを繰り返し提案要求しております。
 また、都独自に、保育士や介護職員のキャリアアップに取り組む事業者への支援や職員の宿舎借り上げの支援を進めております。
 最後に、認可保育所の基準についてでありますが、国は、保育サービスの整備を進めるため、当面の措置として、現在、保育所の開所時間中において常時保育士を二名配置するとされている基準を、児童の年齢に応じた基準に基づき配置すべき職員数が一名の場合に、もう一名について保育士以外の職員を配置できるようにすること、また、幼稚園教諭や養護教諭などの保育士以外の人材を、配置すべき人数の三分の一の範囲内で保育士とみなすことができることなどを盛り込んだ省令の改正を行いました。
 都は、これを受け、今後、児童福祉審議会のご意見を伺った上で、方針を決定する予定でございます。
   〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

○生活文化局長(多羅尾光睦君) 給付制の奨学金についてですが、高等学校の授業料については、保護者の所得水準に応じて就学支援金を支給するとともに、私立学校においては、既に都独自の給付型奨学金である特別奨学金により、さらなる負担軽減を図っております。加えて、授業料以外の教育費についても、低所得世帯を対象に奨学給付金を支給して、その負担を軽減しております。
 今後も、これらの必要な保護者負担軽減策を適切に運用し、支援を行ってまいります。
   〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 特定整備路線についてでございますが、都は、首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえ、木造住宅密集地域の改善を一段と加速するため、平成二十四年に木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げました。この中で、木密地域の防災性を大きく向上させる都市計画道路を新たに特定整備路線として、地元区の意見も聞き、選定いたしました。
 これらの路線は、延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となり、都民の生命と財産を守る極めて重要な都市基盤でございます。平成二十六年度までに全区間で事業に着手し、関係権利者の生活再建に配慮して、理解と協力を得ながら用地の取得を進めております。
 今後とも、震災への危機感、防災都市づくりへの決意を風化させることなく、世界一安全・安心な都市を実現するため、引き続き全力で整備を推進してまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 交通需要マネジメントについてでございますが、都内の交通渋滞の解消による道路交通の円滑化や大気汚染の改善を図るため、都はこれまで、エコドライブやパーク・アンド・ライドの普及などとあわせ、道路交通ネットワークの整備やディーゼル車対策など、さまざまな施策を推進してまいりました。これにより、浮遊粒子状物質や二酸化窒素の環境基準の達成状況を大幅に改善してきたところでございます。
 今後とも、自転車シェアリングの普及拡大を進めるなど、関係各局、区市町村、事業者等とも連携しながら、引き続き交通需要マネジメントに取り組んでまいります。
   〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 渋滞対策についてでございますが、渋滞解消のためには、道路整備とあわせ、既存の道路において渋滞箇所ごとの原因に応じた対策を効果的に実施することが重要でございます。
 これまで都は、警視庁等と連携し、需要予測信号制御の導入など、ITS技術を活用した渋滞対策事業、ハイパースムーズ作戦を実施してきておりますが、来年度以降は、主要渋滞箇所の中から効果が見込まれる場所等を選定して、配備、整備していくこととしております。
 今後も、必要な予算を確保し、即効性のある渋滞対策事業を計画的に実施してまいります。
   〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 感震ブレーカー等についてでありますが、感震ブレーカー等は、地震発生時の電気に起因する火災の防止には一定の効果があると認識しております。
 ただし、機器のタイプによっては作動の信頼性が低いものや、揺れと同時に電源が遮断され、避難に必要な照明等が確保できないものもあることから、設置の際には、その特徴を理解しておく必要があります。
 なお、東京消防庁では、住宅の建築確認に伴う消防同意時には、感震安全装置つきの配線器具の使用に努めるよう申請者に通知しております。
 今後とも、国の動向等も踏まえ、広く都民に対し「地震に対する十の備え」の活用など周知を図り、感震ブレーカー等の設置も含め、地震発生時の出火防止対策に取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 感震ブレーカーの普及促進についてでございますが、平成二十六年に策定いたしました東京の防災プランでは、出火防止に向けて感震機能つき分電盤等の設置などを都民みずからが備えるべき取り組みとして掲げており、その設置促進に当たっては、基礎的自治体である区市町村が地域の実情を踏まえ主体的に取り組むことが重要であると認識しております。
 都といたしましては、広域的な立場から、昨年作成いたしました「東京防災」において、感震ブレーカー等の設置など出火防止に向けた取り組みを、今やろう防災アクションの一つとして示し、都内全世帯に配布することなどで広く普及啓発を図っているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを通じて都民の防災意識を高め、具体的な行動につながるよう促してまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、独立行政法人日本スポーツ振興センター法改正案についてでございますが、新国立競技場の整備に係る財政負担につきましては、昨年十二月に知事と遠藤オリンピック・パラリンピック大臣、馳文部科学大臣との合意で、国において必要な法的措置を講じることとされ、その後の関係閣僚会議において決定しております。
 今般の独立行政法人日本スポーツ振興センター、いわゆるJSC法の改正は、その合意を履行するために国が行っているものと理解しております。
 特別法か否かといった法案の内容や性格につきましては、今後、国の責任におきまして国会の場で説明し、国会の場で審議されるものと考えております。
 次に、JSC法改正案と対象経費についてでございますが、新国立競技場が大会のメーンスタジアムとしてなくてはならないものであり、大会後も多様な価値あるレガシーとして都心に末永く残り続ける、こういった特段の便益をもたらすことを踏まえ、その整備につきまして、特別に一定程度の財政負担を行うことに都は合意し、関係閣僚会議で決定されたものでございます。この極めて重い合意を履行するために、国はJSC法の改正という法的措置を行っているものと理解しております。
 こうした経緯を踏まえれば、国と都で合意し、関係閣僚会議で決定されました事項以外に負担を求められることは想定していないと考えております。
   〔十五番白石たみお君登壇〕

○十五番(白石たみお君) 再質問いたします。
 まず、新国立競技場への都財政投入問題です。
 第一に、私は、JSC法案の内容についてただしたにもかかわらず、知事は、国会の場において説明し、審議されるものだと答えました。東京都に負担を求める法案でありながら、都として内容の分析や検討もしないというのですか。それでは余りにも無責任ではありませんか。
 第二に、JSC法案による都の負担拡大の可能性についてただしたのに対し、知事は、合意の内容が履行されるものと考えると答えました。しかし、法案が合意と違うことは明らかです。知事は、合意では都負担は四分の一だと説明しましたが、法案では三分の一以内になっているのです。合意の当事者なら、国に抗議し、法案の撤回こそ求めるべきではありませんか。
 以上、二問について、知事、お答えください。
 次に、アベノミクスについてです。
 知事は、日本経済は全体として回復基調だと答弁しました。しかし、本日付の産経新聞世論調査では、安倍内閣のもとで景気の回復を実感しているかとの問いに対し、実感していないが七九%ですよ。実感しているはわずか一六%です。同じ調査で、安倍政権の景気、経済対策を評価するかとの問いにも、評価しないが六〇%で、評価するが三一%と大きく上回っています。
 知事の答弁は、国民の実感とかけ離れています。マスコミも、日本の景気に暗雲と指摘しているのです。知事、いかがですか。
 景気がいいのは大企業だけで、安倍内閣の三年間で実質賃金は五%も減少しています。雇用も伸びたのは非正規だけです。GDPの六割を占める個人消費は、安倍政権の三年間で四兆円も減っております。
 知事は、個人消費が伸びないとだめと発言をしましたが、実質賃金は下がり続けているのです。知事はどう認識しているのですか。知事の答弁を強く求めて、再質問を終わります。(拍手)
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) JSC法改正案につきましてですが、先ほど知事が答弁しましたとおり、新国立競技場の整備に係る財政負担につきましては、知事と遠藤オリンピック・パラリンピック大臣、馳文部科学大臣との合意で、国において必要な法的措置を講じることとされ、その後、関係閣僚会議において決定しております。
 今般のJSC法の改正は、その合意を履行するために国が行っているものと理解しております。
 また、負担の拡大の懸念についてご質問がございましたが、先ほども知事がご答弁いたしましたが、新国立競技場の整備に係る財政負担につきましては、対象経費を国と都とスポーツ振興くじとで二対一対一で分担し合い、都の分担割合を四分の一としますことは既に国と都で合意し、関係閣僚会議において決定しております。
 先ほどもご答弁しましたが、この合意は極めて重いものでございます。したがって、この内容が履行されるものと考えております。
 なお、法案の内容につきましては、先ほどもご答弁しましたが、国が責任を持って国会の場において説明し、国会の場で審議されるものと考えております。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 安倍内閣の経済政策についてでございますが、経済指標にはGDP、雇用情勢、企業収益などさまざまな分野がございますし、また、期間の捉え方等もございます。こうしたことから、先ほど知事が答弁したとおり、安倍政権の誕生からこれまでを見れば、日本経済は全体としてはようやく回復基調に来ている、そういう認識であるということでございます。

○議長(川井しげお君) 百一番尾崎大介君
   〔百一番尾崎大介君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○百一番(尾崎大介君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について舛添知事並びに関係局長にお伺いをいたします。
 まず、予算案についてお伺いします。
 任期折り返しを迎える舛添知事の施政方針は、世界の中の東京、そして世界各都市とのかかわりの中で発展する東京を展望し、国際都市としての発展を見据えたものと評価をするものであります。
 オリンピック・パラリンピックを終えた後、子供たちの未来にどんな東京をバトンタッチできるのか、いかに都民生活の質を高め、豊かさを実感できる都市とするのか、広く英知を集めて議論をし、取り組みを進めなければなりません。
 私たちが今直面をしているのは、平均年収百七十万円という、正規雇用の三分の一にも満たない非正規雇用労働者の実態、将来の格差にも直結をする子供の貧困、教育格差といった厳しい現実であります。このような現実に対して、国に先んじてでも手だてを講ずることが都政の使命であると私は考えるものであります。
 都民一人一人があしたへの希望を持って生活し、実現に向けた努力を応援する東京にするために、予算においてもしっかりと対応して、負の連鎖を断ち切るべきと考えます。
 そのような観点から、平成二十八年度予算案の編成に当たってどのような理念を持って臨んだのか、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、雇用就業対策について伺います。
 格差や貧困の解消のためには、雇用や教育などの施策の拡充は欠かせません。特に雇用について、舛添知事は、昨年、不本意非正規の半減という目標を掲げ、国も、ようやく不本意非正規労働者の割合を二〇二〇年度までに一〇%以下にすることを目指し、非正規労働者の待遇改善も打ち出しをしました。
 しかし、知事が尋常でないと述べておりました、非正規労働者が働く人の三分の一という状況はさらに悪化をし、四割を超えております。
 私たち都議会民主党は、昨年、同一価値労働、同一賃金の原則のもと、特に企業の調整弁となっている非正規社員の正規雇用化、処遇改善に向けて取り組むことが極めて重要であるとして、その拡充を求めてまいりました。
 予算案では、非正規雇用対策を倍増させたことなどは、その決意の一端であると考えますが、貧困と格差がない社会を実現するため、不本意非正規労働者のさらなる正社員転換と待遇改善に向けた取り組みを進めるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、若年者雇用の推進であります。
 日本の貧困率は先進国の中でも高く、中でも若者の貧困率が伸びており、若者の雇用対策は急務であります。昨今の人材不足もあり、卒後の就職内定率は上昇しておりますが、大卒者が三年以内に離職する割合は、なお三人に一人と高くなっております。離職が多い原因としては、不本意な就職や希望と異なる業務への不満が多いといわれますが、早期に離職をした場合、次に正社員になることが困難となる傾向があります。
 若年者が貧困のスパイラルに陥ってしまわないよう、就職のミスマッチを防ぎ、安定した雇用をふやさなければなりません。
 今後の東京の雇用就業状況を見据え、安定した若年者雇用をより推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、働き方改革であります。
 過労死防止法が施行されましたが、正社員の長時間労働は増加傾向にあるとともに、東京は働く人々の帰宅時間が最も遅くなっております。先日も、過労死ラインの八十時間の倍近い時間外労働を強いたとして、都内の大手量販店が労働基準法違反で書類送検をされました。二〇一四年度に過労やパワハラで精神疾患を発症して労災認定された人や、自殺、自殺未遂者がいずれも過去最多を更新しており、企業側の働き方の考えを変え、長時間労働を容認している社会を転換していくことが必要であります。
 また、マタハラのほかに、育児休業などを取得する男性が職場で上司から嫌がらせを受けるパタニティハラスメントへの対応など、管理職の意識改革や仕事と子育て、介護の両立などを大胆に進めていく必要があります。
 長時間労働を解決し、都民が働きやすい職場環境を創出する働き方改革に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、困難を抱える子供への支援について伺います。
 子供の未来の可能性を否定しかねない子供の貧困といわれる状況を一刻も早く改善するため、財政面を含めた公的支援を拡充する必要があります。特に、親から子供に引き継がれる貧困の連鎖をとめることは急務であります。
 しかし、そのために重要である日本の教育予算は先進国で最低レベルにあり、学びの危機に対する教育施策が求められております。子供たちが生まれ育った環境に左右されず、安心して教育を受けられるよう、就学が困難な家庭や子供に対して教育負担を軽減する新たな東京都版給付型奨学金が必要だと考えます。
 昨年、私は知事に、東京都が子供の貧困状況の調査を実施し、各自治体とともに貧困の連鎖を断ち切る取り組みを強化することが必要だと求めました。
 東京都においては、子供の総合的な貧困対策に本気で取り組むのか、その覚悟が今問われていると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、子供の居場所支援とフードバンクです。
 社会全体で子育てを支援するとの理念のもと、全ての子供たちが健やかで安心できる環境で育つようにするべきであります。
 昨年、私は、さまざまな課題を抱える子供たちが安心して過ごせる居場所が都内に広がるよう、都の積極的な取り組みを求めました。一方、私の地元の狛江市でも始まっておりますが、子供の居場所や児童養護施設、ひとり親家庭など、食を必要とする人たちに食材を届ける、いわゆるフードバンクという取り組みが注目をされております。
 各団体は区市町村などと連携をしておりますが、緊急に食料を配布する場も少ないため、区市町村の活動を支援し、都内の食料支援拠点をふやすなど、食を必要とする人々とフードバンクをつなげるよう、都としても積極的に取り組んでいく必要があります。
 私は、フードバンク団体などさまざまな関係機関と連携をしながら、地域全体で子供たちや家庭を支援する子供の居場所をふやすよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、ひとり親家庭支援について伺います。
 ひとり親家庭の貧困率は五四・六%と極めて高く、住宅や子育て、仕事など、さまざまな課題に対して、関係機関と連携をして総合的に支援を行っていく必要があります。また、経済的な困窮や子育て不安、夫などからの暴力で苦しむ母子家庭は母子生活支援施設に入所しておりますが、課題が解決しないまま退所する家庭があるため、退所後の支援が重要だと考えます。さらに、ひとり親の子供が貧困の連鎖に巻き込まれないよう、区市町村を通じて子供への学習支援をさらに充実していくべきであります。
 私は、さまざまな課題を抱えるひとり親家庭に対して、問題が深刻化をする前に対応できるよう、都が総合的な支援を一層推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、教育について伺います。
 まずは多様な学び場の整備、支援であります。
 いじめや教師との人間関係、いわゆる学校不適応や貧困など、さまざまな理由から学校に行くことができなくなるなど、困難を抱えた児童生徒が数多くいます。
 こうしたさまざまな困難を抱える子供たちがともに学び合い、自立に向けて支え合える場をつくり、インクルージョン社会を実現していく必要があります。チャレンジスクールや定時制高校、夜間中学、不登校生のための学校、フリースクールなど多様な学びの場を十分に用意して、不登校や学校中退に悩む児童生徒が教育を受けられる環境を整備、そして支援をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、都立高校中途退学者への対策であります。
 全日制や定時制などの都立高校では二千七百人を超える中途退学者がいます。他の高校への転入を含めれば、さらに数はふえるのではないかと考えます。
 中途退学に至るには、生徒一人一人さまざまな背景や理由があるため、学校で家庭訪問や専門的相談、支援、学業の継続、進路変更の指導など、きめ細やかな対応を行う必要があります。
 私も以前から中途退学問題に注目をし、一昨年、都に、都立高校で中途退学者を生み、子供たちが社会的弱者に至ることがないよう、また退学をしてしまったときの対応を含め、きめ細かく支援をしていくべきだと訴えてまいりました。
 都立高校において中途退学者を生まない、また、退学してしまった子供たちへの対応を含め、きめ細やかな支援を改めて求めるものですが、見解を伺います。
 次に、児童虐待防止対策について伺います。
 私は、この間、児童虐待問題を再三取り上げてまいりましたが、虐待相談件数は減るどころか、平成二十六年度に七千八百十四件へと急増するなど、改善の兆しが全く見られない状況であります。先日も、東京都大田区で三歳の男の子が母親の交際相手から暴行を受けて死亡するという大変悲しい事件が起こりましたが、そうした報道がなされるたびに、幼い子供の命がなぜ理不尽に奪われるのかと強い憤りを覚えるものであります。
 しかし、虐待問題の本質は、貧困や核家族化、離婚、親の疾患、人間関係の希薄化などにあり、解決は容易ではありません。急増する相談件数に対して、現場の人手不足は深刻で、今回、舛添知事が児童相談所職員を大幅にふやしたことは評価をするものです。しかし、人材育成は一朝一夕にはできず、高い専門知識や技術を備えた児童福祉司などを育てるとともに、社会的養護の体制をさらに拡充していくことが必要であります。
 子供の命を守り、虐待死ゼロに向けて、今後とも積極的な取り組みを求めるものですが、知事の見解を伺います。
 次に、子供の安全確保のための連携であります。
 ことしに入ってからも、先ほどの大田区での事件のほかに、埼玉県の狭山市では、三歳の女の子が食事も与えられず、顔にやけどを負ったまま放置をされ、死亡するという事件がありました。この事件は、事前に二度も関係機関が自宅を訪問していたこともあり、本来であれば救えるはずの命だったのではないかという思いを持たずにはいられません。
 事件を教訓に、親の交際相手が同居をするといった家庭環境の変化や、若年出産、乳幼児健診の未受診など、虐待のハイリスクにつながる要素はもとより、あらゆる子供のSOSサインを見逃してはならないと考えます。
 警視庁は、児童相談所などとの連携強化を進めておりますが、児童相談所における相談対応の増加などによって、情報共有と対応が十分に行われているのか懸念をされます。子供の安全を確保するため、児童虐待に対する関係機関との連携と対応を強化すべきと考えますが、警視総監の見解を伺います。
 次に、虐待を受けた子供の負担軽減です。
 重篤な虐待で保護された子供に対し、児童相談所や警視庁、東京地方検察庁が事情聴取のために繰り返し同じ質問をすることによって、虐待の再体験となる二次的被害が指摘をされております。そこで、子供に与える心理的負担をできる限り少なくする取り組みが重要だと考えます。
 児童相談所や警察、検察が連携をして子供の面接や聴取方法などについて協議を行い、児童虐待における子供の心理的負担の軽減に向けた取り組みを進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、家庭的養護の充実であります。
 虐待などさまざまな要因で保護された子供の愛着形成のためには、できるだけ早く家庭的環境で育て始める必要があります。そのためには、グループホーム、ファミリーホームの設置促進はもとより、養育家庭担当福祉司の複数専任配置や委託交流に対する支援、研修や委託後の支援充実など、子供を中心として、児童相談所や乳児院、養育家庭など、そうしたチームによる養育体制づくりを一層強化する必要があります。
 子供の愛着形成に欠かせない家庭的養護の充実をさらに図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、社会的養護を終えた若者への支援です。
 私は、一昨年、東京都に児童養護施設在籍児童への学習支援の充実を求めました。全国の子供たちの大学等進学率は二二・六%にとどまり、仮に進学したとしても、家賃や生活費を稼ぎ、学費を賄うことは極めて困難で、挫折してしまうことも少なくないようです。
 一方、私は、空き家が社会問題化をする中、保育やグループホームなど、地域の課題と空き家問題を有機的に連動させて解決すべきだと主張してきましたが、空き家を活用してこうした若者の自立を支援していくことは有効であると考えます。
 社会的養護を終えた若者が未来を切り開くため、自立支援に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、子育て支援について伺います。
 舛添知事は、待機児童ゼロを公約に掲げ、二〇一七年度末までに保育サービス利用児童数を四万人分ふやし、待機児童を解消するとしております。しかし最近、知事は、都外からの流入などの逆風にもさらされているなどと述べられておりますが、都内の待機児童数がいまだ七千人台存在をする現状を語っております。
 都内の潜在ニーズを含む保育ニーズを正確に捉え、あらゆる施策を講じて待機児童ゼロの目標達成を目指すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、保育士の処遇改善、人材確保策であります。
 昨年の二〇一五年四月から九月の半年間、十五歳から二十四歳の女性を中心とした八万人の若者が医療、介護、保育分野で正規社員として働き始めました。しかし、保育士は毎年三万人が離職をしており、平均勤務年数は七・六年と、全産業の十二・一年に比べて期間が短くなっており、保育士から要望の多い給与、賞与などの処遇の改善にも、さらに取り組んでいく必要があります。
 都は、国に保育士の処遇改善策を求めるとともに、東京都としても保育士の処遇改善や新たな就職促進支援に取り組むなど、保育士の職場定着支援、人材確保策を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 平成二十九年度末までの待機児童解消に向けては、これは基盤整備だけではなく、保育人材の確保が不可欠であります。今般、国は、認可基準に関する省令の改正を行い、一定の範囲に限って幼稚園教諭など保育士以外の人材を活用する道を開きました。認証保育所の実績を踏まえて、保育の質を確保しつつ、柔軟な職員配置が行えるよう、都においても保育所基準を改正するよう、私は要望をするものであります。
 次に、地域の子育て環境の整備であります。
 三歳未満の乳幼児の約七割から八割は家庭で育てられておりますが、地域のつながりが希薄になっており、身近な場所での子育て支援を充実させることが大変重要だと考えます。
 都内では、NPO団体との協働で地域人材が育成をされ、地域子育て支援拠点と外遊びをつなげる住民の主体的な活動が行われるなど、特色ある取り組みが実施をされております。子供、子育て支援においては、都内で特色ある活動を展開するNPO団体などの民間団体や企業などの豊富な社会資源を生かしながら施策を充実していくことが重要であります。
 全ての子育て家庭が地域において安心して子育てができるよう、民間団体と連携をして、地域ニーズを踏まえた子育て環境の整備に取り組む区市町村を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、少子高齢時代の住宅政策についてお伺いをいたします。
 都内住宅数は七百三十五万戸であり、総世帯数六百五十万を大きく上回っております。住宅ストックが量的充足を遂げ、少子高齢時代となった現在、空き家数は年々増加をし、八十二万戸にも上っております。団塊世代が高齢期を迎える今後、空き家問題が加速度的に大きくなることは明らかであり、早急に取り組みを進めるべきであります。
 私は、利活用促進など総合的に空き家対策を進めることが必要であると考えますが、知事の基本的見解を伺います。
 先日の施政方針演説で、知事は、空き家も都市のストックとして有効に活用できれば、地域の活性化に役立てることができると述べております。私は、空き家は見方を変えれば、これは可能性を秘めた都市の資源であり、手を加えながら長く使い続けられるよう、施策を構築することが必要だと考えます。
 都議会民主党は、空き家について、住宅としての活用のみならず子育て支援や高齢者施策にも資する利活用促進の取り組みを求めるなど、たびたび取り上げてきており、先ほど申し上げた若者の自立支援にも空き家を活用することは極めて有効であると考えております。
 平成二十八年度予算案においては、空き家活用等支援事業が計上されているところでありますが、利活用促進に向けた都の取り組みについてお伺いをいたします。
 空き家の対策を総合的に進める上で重要な発生抑制については、新築における長期優良住宅の普及、リノベーションによる長期優良住宅化や省エネリフォームに加え、メンテナンス、そして管理をしっかりと行うことで劣化を防ぐなど、既存ストックの価値を高め保持するための取り組みを進める必要があります。
 空き家の状態が長くなればなるほど利活用が困難になるため、放置せずに使われるよう、既存住宅の流通を一層活性化させることも必要であります。
 国においては、中古住宅の建物評価やリフォームの性能評価などについて、流通促進に向けた環境整備を進めており、平成三十七年に既存住宅流通の市場規模を、平成二十五年と比較して倍増させる方針とされております。都においては、既存住宅の流通活性化に向けて今後どのように取り組むのか、見解をお伺いいたします。
 次に、都営住宅における高齢化への対応について伺います。
 都営住宅は約二十六万戸ありますが、全国で最も高い応募倍率、名義人が六十五歳以上である高齢者世帯が半数を超え、コミュニティの活力低下、孤立死の発生など多くの課題を抱えております。
 都は、より困窮度の高い都民に住居を提供するため、いわゆる優先入居制度を運用する一方で、入居機会の公平性確保や、高齢化が進行している都営住宅団地の活力維持向上などを目的として、平成十三年には若年ファミリー世帯向けに期限つき入居制度を導入、その後、募集戸数を順次拡大し、高齢化した団地への対応を行ってきました。
 こうした取り組みにもかかわらず、元来、住宅困窮者への住宅供給が目的である都営住宅においては高齢化が顕著に進行をしており、自治会活動の担い手不足、見守り機能の低下などが深刻になってきております。
 これら課題を解決へと導くには、これまで都が行ってきた子育て世帯の入居枠の拡大に加え、地元自治体や周辺地域と協力をし、集会所などの活用や建てかえに合わせてコミュニティ活動拠点を導入するといった活性化を促すことが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 東京大会の経費について、昨年七月、森組織委員会会長は二兆円を超すかもしれないと発言をし、十月には舛添知事が競技関係費用だけで三兆円かかると述べました。十二月には大会運営費が約一兆八千億円に膨らむと報じられ、組織委員会は否定をしましたが、いずれにせよ、ことしの夏にはIOCに東京大会の予算計画を提出しなければなりません。
 一昨年、IOCは、経済、環境に負荷の少ないオリンピック・パラリンピックを目指すアジェンダ二〇二〇を採択しましたが、立候補ファイル時に示した六倍の金額が本当に妥当なのか、組織委員会の財政を保証している東京都は、その内容を精査し、経費節減に向けて必要な提言を行うべきであります。
 都は、国や組織委員会に予算計画の情報公開と創意工夫を初めとしたコストの縮減を要請して、持続可能な東京オリンピック・パラリンピックモデルを提案することを求めるものですが、知事の見解を伺います。
 次に、第二エンブレムであります。
 オリンピック・パラリンピックは、スポーツのみならず、文化の祭典でもあります。その文化プログラムやスポーツイベント、オリンピック・パラリンピック教育などを推進するために欠かせないのが第二エンブレムであり、昨年、私たち都議会民主党が、多くの都民の皆さんが東京大会に向けた取り組みに参画をできるよう、マークの作成を提案したものであります。
 先月、組織委員会が東京大会でも第二エンブレムを作成する方向性を示したことは評価をするものであります。そのデザインについては、招致活動で使われ、都民、国民に大変親しまれている桜のリースの再活用を、コスト削減の意義も含めて求めておきたいと思います。
 東京大会に向けて行われるスポーツや文化、教育、そしてボランティアなどの広範な取り組みにおいて欠かせない第二エンブレムを作成し、幅広く活用すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、二〇一九年ラグビーワールドカップ日本大会について伺います。
 ことし六月、日本代表チームとスコットランド代表チームによるテストマッチが、二〇一九年大会の開会式、開幕戦などの会場である味の素スタジアムで開催をされます。私は、この試合を最大限に活用して、機運醸成だけでなく、ファンゾーンの配置やチームの移動、観客の誘導や警備、ボランティアによる支援など、二〇一九年大会の成功に向けて、本番さながらに取り組んでいくべきだと考えます。
 また、二〇一九年大会で行われる全四十八試合のうち、なるべく多くが東京で実施をされるよう求めるものであります。
 ラグビーワールドカップ日本大会の成功に向けてテストマッチを活用すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、障害者スポーツの周知と振興であります。
 九月七日から十二日間、リオデジャネイロ・パラリンピックが開催されます。日本ではロンドン大会の報道が少なかったとの指摘もあり、都議会民主党は一昨年、都に、機運醸成を図るため、パラリンピックの報道体制の構築を訴えました。
 ロンドン大会では、イギリスのテレビ局、チャンネル4がパラリンピック選手のアスリートとしての魅力を映像で伝えるキャンペーンを行うなど機運醸成が図られ、大会を盛り上げました。
 私は、さまざまなメディアを活用するなど、リオデジャネイロ・パラリンピックを契機として、多くの国民、都民が障害者スポーツに親しみ、そして関心を持つよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、テロ対策について伺います。
 私たち都議会民主党は、昨年の九月と十二月の代表質問でもテロ対策の強化を求めてきましたが、五月の二十六、二十七日には、いよいよ伊勢志摩サミットが開催をされます。
 二〇〇五年のグレンイーグルス・サミットでは、会場から五百七十キロ離れた首都ロンドンで、死亡者数五十六名、負傷者数約七百名という同時多発テロが発生をしており、サミット会場から離れた首都東京でもテロ対策に万全を期していく必要があります。
 特に昨今は、警備や監視が比較的緩やかなレストランや劇場など、いわゆるソフトターゲットが狙われるようになってきております。
 警視総監も年始のインタビューで、管理者による自主警備強化や国民からの不審情報の提供などに言及をしているところであり、私も、伊勢志摩サミットを見据えて官民連携による取り組みをさらに強化するなどして、テロ対策に万全を期していくべきと考えますが、警視総監の見解を伺います。
 次に、サイバーテロ対策について伺います。
 昨年来、厚生労働省など公的機関や企業を狙ったサイバー攻撃が相次ぎ、国際的なハッカー集団、アノニマスを名乗る人物が犯行声明を出しております。
 二〇一〇年には、サイバー攻撃によってイランのウラン濃縮施設の全ての遠心分離機が停止をするというショッキングな事件もありましたが、水道や鉄道、電気や信号など基幹インフラの機能不全は何としても防がなければなりません。
 一方、東京都においても、サミットやオリンピックなど世界で注目を集めるイベントを控え、CSIRTを設置する予定でありますが、いかにして機能する体制を構築するかが重要であります。
 そこで、東京都CSIRTの設置を初め、サイバー攻撃にどのように対応していくのか、見解を伺います。
 また、サイバー攻撃に対して、中小企業の中には、人的、資金的資源を充てる余裕がない企業も多く、大企業でさえ、自社の機密情報の流出に気づかないことも多いそうであります。
 一月十四日、東京都と警視庁、東京商工会議所など中小企業支援機関五団体とがサイバーセキュリティー対策の相互協力協定を締結したところでありますが、中小企業には、世界に誇れる知的財産を持っているところもあり、犯罪防止に加え、テロ防止という視点からも積極的な取り組みを求めるものであります。
 加えて、私は、中小企業へのサイバー攻撃に迅速、かつ適切に対応するため、情報の共有化や、インシデント発生時の相互連携や相談体制の構築に向けて積極的に取り組むべきと考えますが、中小企業のサイバーセキュリティー対策に向けて見解を伺います。
 次に、調布飛行場を離陸した小型飛行機の墜落事故について伺います。
 昨年七月の小型飛行機墜落事故では、調布市民を含む三名が犠牲となり、同乗者や市民五名が負傷、住宅四棟が大破をいたしました。
 私は、昨年九月の第三回定例会において、知事に事故の徹底した再発防止と地域住民が安心できる生活環境の確保に努めるべきだと訴えました。
 この事故から半年が経過をし、この間、地元調布市では、市職員が被害に遭われた方々を定期的に訪問して不安解消に取り組むとともに、条例を制定し、住宅の建てかえや改修などを行う際に無利子で生活再建支援資金を貸し付けるなどの支援を行っております。
 また、調布、三鷹、府中の三市議会では、飛行場の管理者である都に対して、被害に遭われた方への支援に万全を期すことと求める決議を全会一致で採択しております。
 私も被害者の方々と話をしておりますが、運輸安全委員会の調査は二年ほどかかるといわれる中、事故から半年以上経過した現在もなお、被害者の方々の不安や身体的ストレスは続いております。
 私は、こうした状況を少しでも改善するため、東京都として、被害に遭われた都民の怒りや不安と向き合って、不安解消と支援の手を差し伸べるべきと考えますが、この間の東京都の取り組みと、今後、運輸安全委員会の調査結果が出るまでの間、どのような支援を行っていくつもりなのか、見解をお伺いします。
 次に、新銀行東京について伺います。
 新銀行東京は、ことし四月一日をもって株式会社東京TYフィナンシャルグループと経営統合をします。また、平成二十九年度中を目途に、グループ傘下の東京都民銀行、八千代銀行との合併が予定をされております。
 東京都の株保有率も、新銀行東京の八四・二二%から東京TYFGの三・九%と大きく下がり、東京都は筆頭株主から一株主となります。
 追加出資の四百億円については、東京TYFGの優先株式に交換されるとともに、十五年が経過した時点で普通株式に転換される条件が設定されるなど、再度の毀損に対して可能な限り配慮されているとはいえ、今後、引き続き注視をしていきたいと思っております。
 東京都の関与の度合いが著しく下がるとはいえ、東京都は、包括連携協定を結んだ東京TYFGと連携をしながら、東京の産業振興、中小企業支援にこれまで以上に積極的に取り組んでいただきたいと考えるものですが、見解を伺います。
 最後に、築地市場の移転問題について伺います。
 今定例会には、築地から豊洲に市場を移転するための東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例が提案されております。
 私たち都議会民主党は、この間、市場移転用地の安全性が確認されていないことを問題視し、汚染された土壌が無害化され、安全な状態になっていることを確認するとともに、リスクコミュニケーションなどを通じて都民に安全宣言できるような状態で開場すべきだと主張してまいりました。
 そこで、改正条例案を提案するに当たり、この間の土壌汚染対策を初め、万が一にも環境基準を超える汚染が検出された場合の対応など、世界的にも注目される市場の安全・安心の確保に向けた取り組みについて東京都の見解をお伺いいたします。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 尾崎大介議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、予算編成の考え方でございますけれども、都民の毎日の暮らしを活力に満ちあふれ、豊かで安定したものにするということは、これは都知事として最も大切な仕事だと思っております。
 いつも申し上げていますけれども、働く人の四割が非正規雇用というのは、私は尋常ではないと思っておりますし、また、その貧困の連鎖という、本人の努力を超えたところに存在する障壁、これを取り除かなければ、活躍しようといったってできるわけがないわけであります。
 こうした将来の成長に対するマイナス要因というのを今まさにここで対処して、みずからが希望を実現して、誰もが活躍できる、そういう社会をつくり上げるということが東京にとっても、日本の将来にとっても大事だと考えております。
 そういう考えから、二十八年度予算では、非正規雇用対策を一層加速する。それから雇用対策、就業促進をさらに推進する。それから子供の貧困対策を強化するほか、不登校、中途退学への取り組みも進めるなどして、学びや仕事に意欲のある人をしっかりと支援していきたいと思っております。
 この予算を原動力といたしまして、都民一人一人が豊かさを実感できる社会の実現を目指して全力を尽くしていく決意でございます。
 今申し上げたこの非正規雇用対策の具体的な内容でありますけれども、やはり不本意ながら非正規雇用で働いて、安定した仕事につきたいと、そういう希望がある方がたくさんおられるわけで、そういう方々を正社員とする対策を今年度から開始いたしました。
 年末には、国と連携して経済団体のトップに対して、この非正規対策をやってくれということを要請いたしました。これは東京労働局とともに、私の名前で要請をいたしました。
 今年度、事業を実施する中で、企業現場における人材不足を背景として、仕事に精通したパートや契約社員などを社内で正社員に転換しようとする動きが活発化していることが、幸いながら明らかになっております。
 そこで、この機会を捉えまして、一気に非正規雇用対策を加速するために、今からご審議いただきます来年度予算では、正社員転換を促進する助成金の事業規模を大幅に拡大したいと、そういうふうに思っております。
 また、非正規労働者の雇用環境の改善に向けまして、アドバイザーによる企業訪問とか、関連法令の普及啓発を行うとともに、社内規程を整備して処遇改善に取り組む企業への支援を引き続き行っていきたいと思っています。
 誰もが夢と希望の抱ける、そういう社会の実現に向けて努力をしてまいりたいと思います。
 同じコンテクストから子供の貧困対策ですけど、まさに子供の貧困というのは親の貧困が原因であるわけでありますので、何度も申し上げますけれども、本人の努力を超えたところで存在する障害を取り除くべきであると。そして、子供たちが生き生きと活躍できる社会をつくらないといけないと思っております。
 そういう居場所づくりを初め、不登校、中途退学への対策強化、それから非正規雇用対策の拡充──なぜ不登校、中途退学をいうかというと、この人たちが非正規雇用の予備群になるわけです。だから、ここの根を絶たないといけないということでありますので、各段階における貧困の連鎖というのを防ぐ取り組みを充実したいと思います。
 また、子供・子育て施策推進本部に、これは庁内各局で構成していますけれども、子供の貧困対策推進連携部会を新たに設置して、首都大学東京の研究センターでも今研究してもらっていますので、その知見も入れながら、子供の貧困対策を進めていきたいと思います。
 先ほど白石たみお議員とも議論いたしました奨学金の形なんですけれども、もうちょっといわせていただけると、私が問題視したのは、モラルハザードが行われないような形が重要だということであって、私がいったのは五十年前でしたけれども、やはりすばらしい人がいて、社会から利益を得たら、例えば企業の経営者で、社会に還元すべきだということで、給付型の奨学金をつくっておられた方がおられました。
 私はそれも実は受けて大変ありがたいと思いましたけれども、しかし、成績がしっかりしていないとだめだと、成績が落っこちちゃだめだと。それから経済状態が非常に、親がいないとかで困っている。そういう条件をちゃんと満たして、モラルハザード対策はあったわけですね。
 ですから、そういうことをやった上で、そしてやはり返せる人は返していくと。こういうことで貸与型の場合はあるべきだというのが私の考えでありまして、そういう中で、あれから五十年たちました。豊かな社会になったはずです。そういう意味で、高校生に対する給付型奨学金を設けるとか、それから生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援、低所得者の家庭に対するさまざま支援を行ってきておりますし、そういうことを行っていきたいというふうに思っております。
 今後とも、生まれ育った環境によって左右されずに、健やかに皆が成長できるような福祉政策、雇用政策、住宅政策、教育政策、これを総動員して次の世代を担う子供たちを育てていきたいと思っております。
 それから、尾崎議員が大変ご尽力なさっている児童虐待防止についてでありますけれども、これは明確な犯罪であって許される行為ではないと私は思っております。にもかかわらず、痛ましい虐待事件が後を絶たない。それから、虐待相談件数はどんどんふえていっているんです。
 どうするかということで、深刻化する児童虐待に的確に対応するために、児童福祉司、それから児童心理司の増員、それから虐待対策班の設置、一時保護所の定員拡充など、児童相談所の体制強化にこれまで取り組んできました。
 しかし、さらに来年度は、今申し上げた児童福祉司、児童心理司を大幅に増員するとともに、専門課長も増員して、ご指摘のような人材育成の体制の強化を図りたいと思っております。
 また、子供家庭支援センターの専門職の配置を拡充するなど、虐待対応能力の向上に向けた区市町村の取り組みも支援したいと思っています。
 今後、児童相談所の体制を一層強化しまして、子供家庭支援センター、学校、保健所等の地域の関係機関の力を束ねながら児童虐待防止に全力で取り組んでいきたいと思っておりますし、そういう予算を用意いたしましたので、ぜひともご支援のほどお願いしたいと思います。
 それから、待機児童解消についてでございますけれども、これ、皆さん方にご指摘されるように、ある意味でイタチごっこ的な側面がある。しかし、東京都長期ビジョンでは、大きく保育サービスを四万人ふやそうという計画を掲げて、昨年度は、認可保育所が百六十五カ所、保育サービスの利用児童者数は、目標の一万二千を超えます一万二千六百二人分増加することができました。
 保育の実施主体であります区市町村は、保育所の増設に積極的に取り組んでおりまして、今年度も約百六十カ所ふえる見込みでございます。
 ただ、出生数の増加とか外からの人口の流入、それから共働き世帯の増加などによりまして、都内の保育ニーズはますます増大しておりまして、保育サービスの拡充を一層進めていかなければならないと考えております。
 都は現在、区市町村や事業者の整備費の負担軽減、それから都有地の減額貸付、それから先般、加藤一億総活躍大臣が来られて議論しましたけれども、国有地、これの賃借料の補助とか、民有地の賃借料の補助、こういうさまざまな支援を実施していますとともに、先ほど申し上げました国家戦略特区を活用した都立公園等の中での、荒川の汐入とか、世田谷区の祖師谷その他やりまして、大体その施策によって五百人ぐらいの保育ができると、ふえると思っております。
 また、保育人材の確保、定着を促進するため、都独自にキャリアアップ補助、そして空き家対策も兼ねまして、宿舎借り上げ支援も実施しております。
 今後とも、待機児童の解消に向けまして、区市町村と連携して全力で取り組んでまいります。
 今申し上げた空き家対策ですけれども、やはり地域の活力、生活環境に非常に悪い影響を及ぼします。コミュニティがなくなっていくわけです、空き家がふえると。それで、昨年、庁内横断的に三つの観点を入れた総合政策をつくろうということで、一つは空き家の有効利用、二番目は適正に管理する、三番目がどうすれば発生を抑制できるかということでありまして、具体的には、地域の実情を把握している区市町村に対して、相談体制の整備などの取り組みを支援しまして、空き家の有効活用とか維持管理など、所有者の抱える問題に応えていきたいと思っております。
 尾崎議員がおっしゃったように、まさに都市の資源でありますので、そういう観点を忘れずに対策をやりたいと思っておりますし、また、新築中心の住宅市場を、質の高い住宅を長く使う市場へと転換させるなど、空き家の発生抑制にも取り組み、快適で暮らしやすく、また、住み続けたいと思える東京を実現していきたいと思っています。
 住宅市場について、先ほど自民党の宇田川幹事長にもお答えしましたように、やっぱり中古車市場と同じような流通があれば、こういうことも起こらないと思っていますので、そういうことも参考にしながら施策を展開したいと思っています。
 続きまして、二〇二〇年大会に関して、国や組織委員会との調整についてでありますけれども、テロの脅威の増大とか資材や人件費の高騰と、大会取り巻く環境は大きく変化して次から次と課題が出てまいります。
 しかしながら、将来の東京、日本に確かなレガシーを残すために何としてもこの大会は成功させねばならないということで、会場計画の再検討など、いろいろ果敢にチャレンジをしてまいりました。
 今後は、多岐にわたる課題に対応すべく、開催都市である東京都が、組織委員会、国とともに、新たな役割分担を決めていきまして、大会経費につきましても、都民、国民に丁寧に説明しながら、そして、不断に精査をしていくということが必要であります。
 組織委員会の森会長、遠藤大臣、馳大臣とも緊密に調整を続け、議論を続けておりますので、私は、開催都市の責任者として、こういう関係者の先頭に立って大会準備に万全を期して、必ずや大会を成功に導きたいと考えております。
 そのほかの質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監高橋清孝君登壇〕

○警視総監(高橋清孝君) 二点お答えいたします。
 まず、児童虐待への対応についてでありますが、近年、児童虐待、またはその疑いがあるとして、警察から児童相談所に通告した数は大幅に増加しており、このうち、身体に暴行を加えられた児童は、昨年中、六百十六人で、前年に比べ百九十三人増加しております。
 このため、警視庁では、児童相談所との間で幅広い情報の共有に努めるとともに、同所の有する一時保護機能等に警察の知見を生かすため、警察官OB二十一人が配置されているところであります。
 また、区市町村が設置する子供家庭支援センターや、学校、医療機関等とも児童虐待に関する情報共有を図っているところであり、今後も、関係機関の保有する情報を相互に共有するなど、連携をさらに強化し、子供の安全確保に関する取り組みを推進してまいります。
 次に、テロ対策についてでありますが、伊勢志摩サミットは、我が国に対する国際テロの脅威が現実のものとなっている中での開催であり、首都東京のテロ対策は重要なものであります。
 このため、警視庁では、テロ関連情報の収集分析、重要施設の警戒、水際対策、特殊部隊SAT等の専門部隊の対処能力向上など、各種対策を推進しております。
 また、昨年十一月、パリで劇場やスタジアムを対象とした同時多発テロが発生したことを踏まえ、ソフトターゲットとなり得る施設の管理者への警備員増強や、防犯カメラ増設の働きかけなど、管理者と連携した警戒の強化にも取り組んでいるところであります。
 今後も、都民の皆様の理解と協力を得ながら、不審情報の提供を求めるなど、官民連携によるテロ等不法事案の防止に万全を期してまいります。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、不登校等の児童生徒が教育を受けられる環境の整備支援についてでございますが、不登校等の課題を抱える児童生徒には、安心して生き生きとしていられる居場所において、みずからに自信を持たせ、学習意欲を向上させていくことが重要であります。
 不登校の小中学生への学校復帰を支援する適応指導教室や、不登校経験等のある生徒を受け入れるチャレンジスクールなどは、さまざまな課題を抱える児童生徒のニーズに応え、個々の状況に応じた支援を行う役割を果たしていくことが必要であります。
 このため、フリースクールなど、民間施設、団体による児童生徒の意欲を高めるための教育プログラムを適応指導教室において試行的に活用するとともに、チャレンジスクールの拡充を図ってまいります。
 次に、都立高校における中途退学対策についてでありますが、中途退学に至ると、正規雇用での就職が困難になるなど、深刻な課題を抱えるおそれがあることから、その未然防止を図るとともに、退学した場合でも、社会的自立に向けて支援が継続されるようにすることが重要でございます。
 このため、各高校において、相談体制や生活指導の充実を図るほか、人間関係が構築できず退学する者が多い定時制高校においては、友人とのコミュニケーションを深めるグループワークを行うなどの未然防止を図ってきております。
 こうした取り組みを継続するとともに、来年度、都教育委員会にスクールソーシャルワーカー等から成る自立支援チームを新たに設置して、在校生に対する進路決定等の支援に加え、中途退学後の就労や再就学に向けた支援を、個々の希望や状況も踏まえて、きめ細かく行ってまいります。
   〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、空き家の利活用の促進についてでございますが、今後、人口減少が見込まれる中、空き家を地域の資源として捉え、積極的に利活用を促していくことが重要でございます。
 このため、都は、区市町村が実施する空き家の実態調査や、高齢者、子育て世帯などに賃貸する空き家のバリアフリー改修への助成などにつきまして、今年度から財政的な支援を開始してございます。
 今後は、住宅としての活用にとどまらず、地域住民の集会や交流の場など、地域の活性化に資する施設に改修する費用に対しても支援し、空き家の利活用に向けた区市町村の取り組みを促進してまいります。
 次に、既存住宅の流通活性化についてでございますが、新築中心の市場から質の高い住宅を長く使う市場への転換を図るため、都はこれまでも、ガイドブックの作成など、都民や事業者への普及啓発等に取り組んでまいりました。
 国におきましては、既存住宅の評価方法の改善など、流通活性化に向けた環境整備が進められております。また、民間でも、住宅検査や瑕疵保険への加入等の多様なサービスを一体的に提供する取り組みなどが見られます。
 現在、東京都住宅政策審議会におきまして、こうした動向も踏まえ、住宅ストックの質の向上や取引における安心確保に向けた議論が進められておりまして、今後、審議状況などを踏まえまして、関係団体とも連携して流通活性化に向けた取り組みをさらに進めてまいります。
 最後に、都営住宅のコミュニティ活動拠点についてでございますが、入居者の高齢化が進んでいる状況も勘案し、都営住宅も含めて地域の活性化を図ることは重要でございます。
 都はこれまでも、各団地に居住者のための集会所を設置し、自治会活動など、居住者同士の交流の場として活用するとともに、近隣の町会からの要望に応じまして、周辺地域の住民にも開放しております。
 また、都営住宅の建てかえに当たりましては、地元区市町の意向も踏まえまして、団地周辺の地域住民も利用できるホールや会議室などを備えた交流施設を敷地内に併設しております。
 今後とも、地域自治体等と連携いたしまして、都営住宅団地を中心とした地域の活性化に向けて取り組んでまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、若年者雇用の推進についてでございますが、安定した雇用を実現するためには、企業に対する理解を促し、ミスマッチを防ぐとともに、雇用環境のすぐれた企業への就職を支援することが重要でございます。
 このため、都では、若年者と企業のマッチングの機会を提供する大規模な合同就職面接会、中小企業へのインターンシップ、セミナーと企業内実習を組み合わせた非正規で働く若者に対する正社員化支援等を引き続き実施いたします。
 また、非正規の若者を新たに正社員採用した際の奨励金を若者応援宣言企業に加え、若手の採用育成に積極的で雇用管理が優良と国が認めた企業には倍額で支給をいたします。
 こうした取り組みにより、若年者の安定雇用を後押しいたします。
 次に、都民が働きやすい環境の整備についてでございますが、誰もが安心して働き続けられる良好な雇用環境を実現するためには、これまでの働き方を見直すとともに、職場のトラブルを未然に防止することが重要でございます。
 このため、都は、長時間労働の削減など、働き方、休み方の見直しに向けた目標を掲げ、具体的な取り組み内容を公表する働き方改革宣言企業制度を創設し、普及を図ってまいります。
 今後、多くの企業に宣言をしてもらうよう、奨励金を支給するとともに、積極的な広報活動を行います。
 また、労働相談情報センターで実施している職場のハラスメントや労働法に関するセミナー等を通じ、事業主の理解を広め、働きやすい職場環境の確保に取り組んでまいります。
 次に、中小企業のサイバーセキュリティー対策についてでございますが、中小企業は、多くの知的財産や個人情報を有し、その流出による損害ははかり知れないことから、早急に対策を講じていく必要がございます。
 このため、都は、先月、警視庁や中小企業支援機関と協定を締結し、中小企業のサイバーセキュリティー対策を推進することといたしました。
 来年度は、セミナーの開催や事例集の作成を通じて、中小企業にサイバー攻撃の実態や対処方法について周知を図るとともに、専用の窓口を設置して、きめ細かく相談に対応いたします。
 こうした取り組みを通じて、都内中小企業におけるサイバーセキュリティー対策を促進してまいります。
 最後に、東京TYフィナンシャルグループと連携した中小企業支援についてでございますが、この四月に行われる新銀行東京と同グループとの経営統合により、新銀行東京の設立理念である中小企業支援の取り組みをさらに発展させる必要がございます。
 そのため、都は、昨年九月に新銀行東京及び同グループと産業振興に関する包括連携協定を締結いたしました。
 この協定に基づき、都は、同グループの店舗網や広範な顧客ネットワークを活用し、金融支援はもとより、海外展開や創業支援を初めとするさまざまな施策を都内中小企業に行き渡らせ、また、寄せられた声を施策に反映するなど、中小企業支援の強化に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、子供の居場所づくりについてでありますが、生活困窮者自立支援法では、自治体が実施する事業として、子供の居場所の提供や学習支援等が位置づけられており、現在、二十七の区市が取り組んでおります。
 一方、地域では、NPO法人等の民間団体が子供たちに食事を提供する、子供食堂と呼ばれる取り組みや、食品ロスを削減するため、福祉施設等に無料で食品を提供するフードバンクと呼ばれる活動が広がっております。
 都は、こうした状況も踏まえ、来年度から、子供の学習支援と食事の提供などを一体的に行う居場所づくりを民間団体と連携して実施する区市を支援することとしております。
 今後とも、地域の実情を踏まえながら、子供の居場所づくりに取り組む区市町村を積極的に支援してまいります。
 次に、ひとり親家庭への総合的な支援についてでありますが、都はこれまで、ひとり親家庭自立支援計画に基づき、相談体制の整備、就業支援、子育て支援や生活の場の整備、経済的支援を柱に総合的な支援に取り組んでまいりました。
 来年度は、就業相談や職業紹介、生活相談などを行う東京都ひとり親家庭支援センターにおきまして、子供の親権や養育費、面会交流などのさまざまな課題に弁護士が対応する法律相談事業を開始いたします。
 また、子供と家庭を支援する一義的な相談窓口である区市町村の取り組みを強化するため、ひとり親家庭へ家庭教師を派遣し、学習支援を行う取り組みを支援いたします。
 今後、区市町村やハローワークなど関係機関とも一層連携し、ひとり親家庭の自立に向けた支援を行ってまいります。
 次に、面接時等での子供の心理的負担の軽減についてでありますが、都におきましては、児童福祉法上の措置をとる際、必要に応じて専門の研修を受けた職員等が子供の心理的負担等に十分配慮しながら、被害事実を確認する面接を実施しております。
 また、刑事事件として立件が想定される重篤な虐待事案につきましては、面接に当たって事前に綿密に打ち合わせを行うなど、警察と連携を行っております。
 昨年十月には、子供の心理的負担等に配慮した面接などの取り組みについて、厚生労働省から通知が出されました。通知を受けまして、今月、児童相談所、警視庁、東京地方検察庁の三機関で第一回目の意見交換を行ったところでございまして、今後、子供の心理的負担の軽減に向け、具体的な連携方法について、さらに協議を進めてまいります。
 次に、家庭的養護の推進についてでありますが、都はこれまで、全ての児童相談所に専任の養育家庭担当児童福祉司と養育家庭専門員を配置し、養育家庭等への支援を行うほか、グループホームや法人型ファミリーホームの開設準備経費などを独自に支援してまいりました。
 来年度は、養育家庭への支援を充実するため、里親支援機関に、経験の浅い養育家庭等に対して実践的研修を行う里親トレーナーや、児童の委託後に訪問相談支援を行う保健師等を配置するほか、委託前の児童との交流に要する費用の補助も開始いたします。
 また、グループホーム等の設置を促進するため、整備費等の充実も行う予定でございます。
 今後、児童福祉審議会専門部会での議論も踏まえながら、家庭的養護を一層推進してまいります。
 次に、児童養護施設退所者等の自立支援についてでありますが、都はこれまで、独自に退所後の相談支援や、就学や就職に必要な支度金の給付を行う施設を支援してまいりました。
 また、施設退所者等に対して、大学等の入学や技能習得、転居等に必要な資金を貸し付けており、卒業や一定期間就業を継続した場合に償還を免除しております。
 来年度は、大学等の入学時の貸し付けを二年次の授業料等まで拡大いたしますとともに、国の補正予算で創設された家賃や生活費などを貸し付ける事業も開始いたします。
 さらに、施設退所者等の住まいの確保を支援するため、アパート等の所有者に空き室の改修経費を補助することで、家賃を軽減する取り組みを独自に開始いたします。
 今後とも、こうした取り組みにより、社会的養護で育った子供たちの自立を支援してまいります。
 次に、保育人材の確保、定着についてでありますが、都はこれまで、潜在保育士を対象とした就職支援研修や就職相談会を実施するほか、保育人材コーディネーターによる就職相談や定着支援などに取り組んでまいりました。
 来年度は、離職防止を図るため、保育従事者への巡回相談等を行う区市町村や、卒業予定者に対して保育所等への就職を促進する保育士養成施設への支援を開始いたします。
 また、保育士等のキャリアパスの仕組みの導入に取り組む認可保育所や認証保育所等を支援するほか、宿舎借り上げ支援なども行っております。
 国に対しては、保育士の安定的な確保、定着のため十分な財源を確保するよう繰り返し求めており、今後とも、保育人材の確保、定着に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、民間団体等と連携した子育て環境の整備についてでありますが、現在、区市町村は、地域と子育て家庭の交流を進めるため、NPO等と連携して遊びの場の提供やイベントの開催を行っており、都は、こうした取り組みを包括補助で支援しております。
 また、経済、労働、福祉、教育などさまざまな分野の機関や団体等から成る子育て応援とうきょう会議では、会議の協働会員である企業やNPO等と区市町村との連携を深めるため、先駆的な連携事例の紹介や意見交換などを行うセミナーを今年度開始し、来年度は、コーディネーターによるマッチングも行う予定でございます。
 今後とも、地域で安心して子育てができるよう、区市町村が企業やNPO等と連携して進める子育て環境の整備を支援してまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、二〇二〇年大会における、お話しの第二エンブレムについてでございますが、大会公式エンブレムにつきましては、現在、組織委員会において策定中でございます。
 これに加え、より多くの人々の大会への参加意識を高め、一体感を創出するため、組織委員会は、アクション&レガシープラン中間報告におきまして、文化、教育プログラム、スポーツイベントなどに幅広く活用できるマークを開発することとしており、今後、IOCと協議していく予定でございます。
 ロンドン大会では、インスパイアマークという名称で多くの非営利事業に活用し、大会の盛り上げに成功した実績がございます。
 都は今後、大会の趣旨に賛同するさまざまな非営利事業にこのマークを効果的に活用していく方策などにつきまして、組織委員会と連携し、検討を進めてまいります。
 次に、ラグビーワールドカップの成功に向けたラグビーのテストマッチの活用についてでございますが、二〇一九年大会の開会式、開幕戦の会場であります東京スタジアムでは、この六月に日本代表対スコットランド代表戦が行われます。
 この試合は、二〇一九年大会に向け、日本代表が臨む重要な国際試合であり、世界最高峰のプレーに間近に接することができるとともに、大会準備という観点からも貴重な場でございます。
 これを絶好の機会と捉え、地元自治体などとも連携し、会場周辺において、ラグビーの魅力を伝えるイベントを開催いたします。
 また、運営面では、観客の動線やホスピタリティーなど、ラグビーの国際試合ならではの課題を抽出し、その対策を検討してまいります。
 本試合での経験を生かして、大会運営のノウハウを蓄積し、二〇一九年大会に向けた万全の準備を進めてまいります。
 最後に、リオ大会を契機としました障害者スポーツの理解促進についてでございますが、リオ大会は、都民がその白熱した試合を上野や立川で実施予定のライブサイトなどで観戦し、障害者スポーツに関心を持っていただく絶好の機会でございます。
 都は現在、障害者スポーツの躍動感をアピールするプロモーション映像を作成しており、来年度、広報ツールとして幅広く活用してまいります。
 また、今後活躍が期待される選手を都民が身近に感じ、応援できるよう、テレビなど多様なメディアを通してその成長する姿を紹介してまいります。
 さらに、パラリンピック競技体験の場の拡充や、まち中でのイベント開催によりまして、競技に対する理解を進めてまいります。
 これらを通し、都は、障害者スポーツが多くの都民にとって身近なものとなるよう理解促進に積極的に取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) サイバー攻撃への対応についてでございますが、二〇二〇年大会の開催都市として注目を集める東京には、今後、サイバー攻撃のさらなる増加が見込まれることから、対策を一層強化していく必要がございます。
 そこで、都は、公営企業を含む全庁横断的な体制として、昨年十月に設置いたしましたサイバーセキュリティー委員会のもとに、来年度には、サイバー攻撃への対処を専門的に行います東京都CSIRTを設置し、体制の強化を図ってまいります。
 この組織を中心として、国や警視庁等との連携強化や情報システムに対するリスク評価、サイバー演習などを通じた人材育成に取り組むとともに、庁内システムへの攻撃を早期に検知いたします監視システムを新たに構築いたします。
 こうした総合的な取り組みを着実に進めていくことで、サイバー攻撃への対応力を高めてまいります。
   〔港湾局長武市敬君登壇〕

○港湾局長(武市敬君) 調布飛行場を離陸した小型機の墜落事故についてでございますが、都は、被害者の生活に対する不安を少しでも和らげるため、港湾局に被害者の相談窓口を設け、要望や相談を受けるとともに、地元市や庁内関係部署との連絡調整を行うほか、専門的な知識が必要な事柄については、弁護士等の意見も踏まえて助言を行っております。
 さらに、今後は、被害者への個別訪問を充実し、被害家屋の修繕に関する調整を図るなど、被害者の個々の状況に配慮し、より一層丁寧に寄り添っていくとともに、事故機関係者に対し、被害者へ誠意ある対応を行うよう働きかけを続けるなど、都として、可能な限りの対応を図ってまいります。
   〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕

○中央卸売市場長(岸本良一君) 豊洲市場の安全・安心確保に向けた取り組みについてでございますが、豊洲市場用地におきます土壌汚染対策工事は、専門家会議及び技術会議の提言を受け、生鮮食料品を取り扱う市場用地としての安全・安心を十分に確保できる万全な対策として実施し、平成二十六年十月に完了いたしました。
 その後、地下水のモニタリングをこれまで五回実施し、いずれの結果も土壌汚染対策法におきます地下水基準を満たしております。
 引き続き、地下水のモニタリングや地下水管理システムを活用し、開場前、開場後を通じ、地下水質を監視してまいります。
 その上で、万々が一、基準値を超える状況が確認された場合には、専門家の知見をいただきながら、都民や市場関係者の安心や理解が得られるよう適切に対応してまいります。
 こうした結果は、市場関係者や都民代表等で構成する協議会やホームページで報告、公表していくなど、市場の安全・安心の確保に向けて万全を期してまいります。

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○副議長(小磯善彦君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(小磯善彦君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後九時散会

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