平成二十八年東京都議会会議録第二号

   午後六時十五分開議

○議長(川井しげお君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 十五番白石たみお君。
   〔十五番白石たみお君登壇〕

○十五番(白石たみお君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 初めに、知事がこの間、安倍内閣と連携していくことを表明していることにかかわって、基本的な立場について伺います。
 安倍内閣のアベノミクスは、大企業をもうけさせれば、その恩恵がいずれ庶民の暮らしに回るというもので、その破綻はもはや明白です。政府は、アベノミクスにより雇用がふえ、賃上げも実現し、景気は回復軌道を歩んでいると宣伝していますが、実際はどうでしょうか。
 昨年十月から十二月期の国内総生産、GDPは年率換算で実質一・四%減となりました。安倍内閣の三年間で労働者の実質賃金は減り続け、正社員が二十三万人減る一方、非正規雇用の労働者が百七十二万人もふえ、労働者に占める非正規の割合は四割を超えました。
 アベノミクスで進んだのは貧困と格差です。日本銀行は異例のマイナス金利導入を決めましたが、円高、株安がとまらず、預金金利の引き下げで国民の批判も高まるなど、アベノミクスは万策尽きたという事態です。知事、安倍内閣の経済政策についてどう認識しているのですか。
 国民の個人消費支出は、この一年間で四%以上も減っているのです。知事は記者会見で個人消費が伸びないとだめと発言しましたが、今必要なのはGDPの六割を占める国民の購買力を強くする政策を進めることだと思いますが、知事、いかがですか。
 私は、国民の購買力を伸ばすためにも、消費税一〇%増税の中止、社会保障の削減から充実への転換、人間らしく働ける雇用のルール確立こそ求められていると思います。消費税の一〇%への増税は、都民の暮らしや営業にさらなる困難をもたらします。政府が軽減税率を宣伝していますが、食品などの税率を八%に据え置くというだけのもので、年間で一世帯当たり六万二千円、一人当たり二万七千円もの負担増になるのです。
 一〇%への増税がさらなる景気悪化の引き金を引き、貧困と格差に追い打ちをかけることは明らかです。知事、景気をさらに冷え込ませる消費税増税を中止するよう求めるべきではありませんか。
 安倍内閣は、子育て支援や社会保障を充実するといっています。しかし、実際は、社会保障関係予算を抑え込み、入院給食費の値上げや医療費負担増、介護利用料の二割負担押しつけ、年金の切り下げなどを進めており、国民、都民の暮らしを困難に追い込んでいます。また、雇用についても、労働者派遣法などを改悪し、今後さらに残業代ゼロなどの改悪を計画しています。
 知事は、ワークライフバランスを強調し、二月九日の記者会見では、社会保障をしっかりやることが消費の刺激になる旨の発言をしています。そうであるなら、社会保障の切り下げや労働法制の改悪をやめるよう国に厳しく求めるべきですが、知事、いかがですか。
 私は、都民の暮らし、福祉を守るために都が力を注ぐべきことについて、以下、具体的に質問します。
 まず、子供の貧困対策を初め、貧困のない東京をつくる課題です。
 二〇一四年のOECD資料によれば、子供の相対的貧困率は日本が一五%を超えているのに対し、フランスやドイツは一〇%前後、デンマークやフィンランドは三%台です。所得格差が決して小さくないドイツ、フランスなどの子供の貧困率が日本より低いのは、税制度や社会保障制度によって所得の格差を是正しているからです。
 フランスでは、子供にかかわる給付を含む家族関係社会支出の対GDP比は三%近いのに、日本では対GDP比は一・三%にすぎません。この差がフランスなどと比べて日本の子供の貧困率を高くしているのです。
 知事、子供の貧困率を改善するために税の制度や社会保障、福祉施策によって格差を是正することが求められていると思いますが、どう認識していますか。
 シングルマザーの団体の方は、シングルマザーの半数以上は非正規で働いています、東京でも給与と手当を含めても月額十六から十七万円くらいで、家賃を払い、ぎりぎりの生活をしており、預金もほとんどないので、失業したり、子供や親が病気になると、すぐに追い詰められてしまうと話しています。
 ひとり親世帯にとって、児童扶養手当、児童手当、児童育成手当は、暮らしを支えるためにとても重要な制度です。しかし、児童扶養手当の所得制限は余りに低く、親子二人だったら、年間所得が五十七万円を超えれば手当が徐々に減額され、二百三十万円を超えればゼロになってしまいます。必死に働いて収入がふえると手当はなくなり、貧困から抜け出せないのです。
 知事は、こうした現状をどう考えていますか。児童扶養手当の低過ぎる所得制限の引き上げが重要だと思いますが、いかがですか。
 子どもの貧困対策推進法は、貧困状況にある子供に対する経済的支援の実施を地方自治体にも求めています。都が独自に児童育成手当を実施していることは重要ですが、月額一万三千五百円という額は、実に一九九六年から二十年間も同じ額です。
 知事、子供の貧困問題を重視し、貧困の連鎖を断ち切ろうというなら、まずは児童育成手当の額を引き上げることが緊急に必要です。見解を求めます。
 教育費の負担軽減も重要です。日本政策金融公庫の昨年二月発表の調査では、年収四百万円未満の世帯では、教育費負担が年収の四割に達しています。余りにも重い負担だと思いませんか。小中学校の就学援助や高校生の授業料軽減などが実施されてはいますが、これだけでは不十分だということは明らかです。
 フランスでは、さまざまな制度が違うとはいえ、公教育の無償が幼稚園から大学など高等教育にまで貫かれ、教育のための支出の約九割は公的財政によって賄われています。日本で実現できないはずがありません。
 知事は、予算発表の記者会見で、貧困の連鎖を断ち切るために、学習、生活、経済面など切れ目なく支援を実施していかなければならないと表明しました。
 そのためにも、義務教育から高校、大学まで教育に係る経済的負担の軽減に取り組むことが重要ではありませんか。知事、いかがですか。
 横浜市では、高校生に対する給付制の奨学金制度があり、国庫補助で都道府県が実施している奨学給付金と合わせて受けることもできます。学費の不足分や通学、修学旅行、クラブ活動費などに使われ、喜ばれています。川崎市でも同様の制度があります。
 都としても高校生への給付制の奨学金に踏み出すことが求められていますが、お答えください。
 大学生に対する奨学金制度に踏み出す自治体が広がりつつあります。長野県と沖縄県が実施しており、都内でも足立区が実施することになりました。知事はどう受けとめていますか。
 知事は、子供の貧困率が上がっていることに危機感を持たなければならないとして、国に先行してこの問題に答えを出していくといいました。だとしたら、東京で給付制の奨学金の創設など学生への支援を始めるべきです。知事の答弁を求めます。
 高齢者の貧困対策も急がれます。六十五歳以上のひとり暮らし高齢者の場合、女性の四割、男性の三割が相対的貧困であるといわれていますが、高い医療費や保険料、家賃などが高齢者を一層追い詰めています。
 ある六十五歳の女性は、個人年金も入れて月の収入は十三万五千円ですが、月五万円の家賃と月三万五千円の医療費が大きな負担です。残る五万円で国保料、介護保険料や水光熱費も払わなければならず、食費を切り詰めて何とか生活していますが、幾つもの持病を持っており、不安でたまらないといいます。
 知事は記者会見で、年金がどんどん減り、介護保険料が上がっていることを例に挙げ、これでは消費をストップすることになると述べました。そうであるならば、低所得の高齢者にとって重い負担となっている介護や医療の保険料、利用料などの負担軽減のためにどのように取り組むのですか。都としても、負担軽減に取り組むことが求められているのではありませんか。知事の答弁を求めます。
 都内のひとり暮らし高齢者の三割は民間借家暮らしであり、家賃が重い負担になっています。空き家の活用が大切です。あわせて、都営住宅の整備、増設を初め、居住支援協議会への支援強化などにより、生活の苦しい高齢者が低家賃で借りることができるようにすることが重要ですが、いかがですか。
 次に、保育や介護の基盤整備です。
 保育園の増設が進み始めたことは重要ですが、東京の待機児童数は、昨年四月の調査では若干減ったものの、依然として七千八百人を超えています。来年度新たに増加する認可保育園数は約百六十カ所で、今年度とほぼ同じペースと聞いています。
 認可保育園の入園希望者はふえ続けており、現段階までの私たちの調査では、今のテンポでは一万人を超える子供が希望しても入れないという事態になりかねません。品川区では千百八十五人に入園不承諾の通知が送付されています。
 知事、このペースで待機児ゼロの公約が果たせるのでしょうか。増設のテンポをさらに引き上げることが必要ではありませんか。
 保育園をふやしたくても、事業者から手が挙がらないという事態も生じています。民間事業者による事業拡大に限界がある中、公的にも施設整備しなければ、待機児童解消ができない状況が生まれているのではないでしょうか。
 都内公立保育園の中には、築三十年を超え改築が必要な園が多数ありますが、その増改築や建てかえの際に、園庭及び保育室の子供一人当たりの広さを確保した上で定員増を進めることは有力な待機児解消策です。
 山形県では、待機児童ゼロという知事の公約実現のため、公立保育園の改築に補助を行いました。都もこうした取り組みに学び、公立保育園の増改築、建てかえへの補助を行うべきではありませんか。
 また、区市町村が公立保育園の新設を進めることができるよう支援することが重要だと思いますが、いかがですか。
 都内で四万三千人に上る特別養護老人ホームの待機者解消も急務です。都の高齢者保健福祉計画で掲げた特養ホーム整備の目標を達成するには、今年度から三年間、毎年二千五百人分以上をふやすことが必要です。
 しかし、今年度の実績を見ると、十カ月で約千二百人分というペースです。整備のテンポを大幅に引き上げることが必要ですが、都はどのように取り組むのですか。
 都の予算案に特養ホームの整備促進に向けた調査検討予算が盛り込まれています。用地確保対策や建設単価高騰に対する整備費補助上乗せのさらなる拡充などを検討することが重要ですが、見解を求めます。
 保育や介護の基盤整備促進のため、国有地、都有地の活用をさらに促進することが必要です。国はことしから介護施設の整備を目的に、国有地の定期借地料の減額制度をスタートさせました。この新しい制度を大いに活用して特養ホームの増設を促進することが求められますが、都はどう取り組むのですか。
 一方、保育施設は介護施設に比べ敷地面積が少ないことを理由に、国は保育施設を対象外としています。国に対し、保育施設も定期借地料の減額対象に入れるよう求めるべきです。いかがですか。
 福祉インフラ整備に向けた都有地のさらなる積極的活用を区長会、市長会も求めています。都有地を活用した福祉インフラ整備を、都は今後どのように促進するのですか。これまでの実績と今後の計画を含め、お答えください。
 保育士や介護職員などの担い手不足は深刻で、抜本対策を講じなければ、保育所や介護施設の増設は進みません。福祉職の賃金は、全産業の平均より月額十万円近く低い上、労働条件が厳しいため、離職が多く、福祉現場は大変な状況です。
 しかし、福祉の深刻な保育士不足に対して安倍内閣がやろうとしているのは、常に二人以上の保育士の配置を義務づけるなどとしている現行の基準を引き下げることです。こんなことを進めれば、保育の質を低下させ、労働条件の悪化で保育士不足をさらに深刻化させます。
 また、安倍政権は、介護報酬の削減で介護事業所の運営をますます圧迫しています。これでは待遇改善が進むはずがありません。
 知事は施政方針で、保育や介護サービスを支える人材の不足が深刻になっている、福祉先進都市実現の鍵を握るこうした人材の確保、定着に積極的に取り組んでいくと表明しました。抜本的な給与引き上げと待遇改善なしに人材不足が解決されるとは思えませんが、知事の認識を伺います。
 職員の定着を進め、福祉の質を確保するため、給与引き上げを含む福祉人材の待遇の抜本的改善を行うよう国に求めるべきです。都としても待遇改善策の拡充に取り組むことが求められていますが、いかがですか。
 国は認可保育園の職員配置基準を引き下げる方向ですが、都が条例で定める基準は引き下げるべきではありません。都の対応を伺います。
 個人消費を伸ばし、東京の経済の持続可能な発展を進める上で、雇用対策や小規模企業の振興は重要課題です。
 まず、雇用対策です。
 都内の民間事業所で働く労働者のうち、年収二百万円以下の人が二割、三百十万人以上を占めています。労働者の暮らしを守るためにも、知事が強調する個人消費を伸ばすためにも、最低賃金の大幅引き上げが緊急課題です。
 アメリカのパサデナ市では、今月、最低賃金を段階的に引き上げ、二〇二〇年には時給十五ドル、約千七百五十円にする条例が採択されました。報道によると、市長は、住民が絶望的な貧困の中で生活してはいけない、ふえた収入の多くが地元で消費されると地元企業にも有益なことだとの見解を示しています。
 先進国では、最低賃金の大幅引き上げが進んでいます。知事、このことをどう認識していますか。
 もちろん日本では、自治体が最低賃金を決めることはできません。しかし、国や経済団体との協議や、中小企業への支援を行うなど、最低賃金の大幅引き上げのために最大限の取り組みをすべきと考えますが、知事の答弁を求めます。
 都の長期ビジョンが三年間で一万五千人の非正規雇用を正規雇用にしていく目標を掲げ、新年度は七千五百人にしたことは重要ですが、若者とともに深刻な就職氷河期世代への手厚い支援が必要です。
 就職氷河期世代は、十年以上、アルバイトや派遣など非正規として働かざるを得ない状況を余儀なくされて、正規雇用になりたいと就職活動をしても、書類選考で落とされるという状況が続いています。
 親と同居しているから何とか生活ができている、将来が不安など、切実な声が上がっています。知事はこうした声をどう受けとめていますか。知事は施政方針で就職氷河期世代への支援にも触れましたが、具体的にどう取り組むのですか。
 かつて厚労省に設置された研究会が、貧困層の若者に対する集中的な職業訓練プログラムを実施した場合の費用対効果を推計しました。二年から五年間の職業訓練プログラムを実施して正規雇用になった場合と、職業訓練を実施せず生活保護が続いた場合を比較しています。
 職業訓練を実施した場合、費用をはるかに上回る効果が得られることが示されています。対象者が十八歳の若者の場合の生涯にわたる費用と効果の比較では、一人当たり七千万円から一億円のプラスの効果があるとされているのです。
 アメリカでは、失業者や若者などの多様な要望にきめ細かに応える職業訓練を受講者本人の負担はほとんどなしに実施して、専門職や熟練工などの養成を行っています。
 知事、日本でも東京から若者や就職氷河期世代のための職業訓練を抜本的に拡充強化することが知事のいう未来に向けた投資になるのではありませんか。
 東京では、製造業の九割、商店では六割が小規模企業であり、地域経済を支えています。小規模企業がその個性や可能性を存分に発揮することを通じて、活力ある地域社会を実現していくことが東京の発展と都民の生活の向上にとって極めて重要です。
 知事は、東京の小規模企業の重要性をどう認識していますか。小規模企業振興基本法の理念を全面的に生かした振興策を具体化していく必要があると思いますが、いかがですか。
 国は、小規模事業者が経営指導員とともに経営計画をつくり、販路開拓用のチラシの作成、集客力を高めるための設備導入などの費用に対して三分の二、五十万円まで補助する制度を立ち上げました。大変好評で、三年目になります。
 国の調査によれば、この事業で新たな顧客がふえた、ふえる見込みという回答が九七%、売り上げでも増加、増加の見込みを合わせて九〇%に上ります。かつて大田区も同様の制度を実施し、助成対象経費の半分以上を区が負担し、上限五十万円まで助成しました。これも大好評で、多くの町工場が利用しました。
 都として、こうした制度を含め、小規模企業の売り上げ向上、設備改善、商店のリフォームを助成する経営活性化支援などを拡充することが重要だと考えますが、いかがですか。
 次に、夜間定時制高校の廃止計画についてです。
 私は働きながら、二十一歳のときに都立大崎高校の夜間定時制に入学しました。私の学年には、心身にハンディキャップを持つ仲間、経済的に困難を抱えた仲間、いじめなど、つらい過去を背負った仲間、六十代のクラスメートなどがいて、お互い励まし合いながら勉強しました。育ってきた環境も年齢も違う仲間たちと四年間過ごして、誰もが幸せになる権利があることを学びました。
 夜間定時制高校は、さまざまな事情により全日制高校に通うことができない生徒の大切な受け皿です。ところが、都教育委員会は、都立高校改革推進計画・新実施計画で立川、小山台、雪谷、江北の四つの夜間定時制高校廃止を盛り込みました。存続を求める署名は二カ月で二万筆を超え、廃校に反対する学者、文化人の共同声明には、山田洋次映画監督やノーベル医学生理学賞を受賞した大村智名誉教授など、百二十三名が名を連ねています。東京弁護士会も廃止反対の声明を発表しています。
 パブリックコメントに寄せられた都民の声は、経済的に苦しいので全日制を諦め、昼アルバイトをして夜学ぶことを選択せざるを得ない生徒も依然として少なくない、絶対に撤回すべきであるなど、九割以上が反対しているのです。
 知事は、こうした都民の意見や切実な思いをどのように受けとめていますか。
 都は、廃止の理由に応募人員が減っていることを挙げ、四校を選んだ理由を交通機関の状況を配慮して選定したと繰り返し答弁しています。しかし、これらの学校が生徒数も少なく、交通も不便な学校かというと、そうではありません。
 立川定時制は、一学年三クラス、全学年で三百人の生徒が在籍しており、夜間定時制としては大規模な学校です。立川駅に近く、多摩の東西南北全域からの通学に極めて便利な場所にあります。このため、毎年定員を超える応募があり、定員いっぱいの生徒が入学しています。
 特に八王子市内の夜間定時制四校が全て廃止されてしまったため、八王子市の生徒にとってなくてはならない学校となっています。創立七十九年の歴史を持ち、保護者やOB、地域住民も存続を求め、署名行動に参加しています。
 小山台高校は、駅から三十秒という交通の利便性が極めて高い貴重な学校です。そして、廃止されようとしている四校の夜間定時制高校は夜間中学卒業生の重要な受け皿にもなっているのです。交通機関の状況を配慮したという理由や、応募が少ないという理由は成り立たないではありませんか。
 知事は記者会見で、閉校する四校の周辺に夜間定時制高校はあると述べました。しかし、事実は違います。足立区の江北高校の周辺の夜間定時制として、江戸川区の葛西南高校や板橋区の大山高校などの名前が上がっています。
 ところが、江北高校の近くから大山高校に行くには電車だけで約五十分、三回乗りかえが必要です。さらに、駅から学校まで徒歩十五分かかり、職場や家から最寄り駅までの時間もかかります。定時制高校の部活が終わって家に帰れば、夜十一時を過ぎてしまうのです。
 知事、これを周辺と呼べるのですか。これでは交通費はもとより、体力的にも精神的にも通学時間が大きな負担になり、進学、通学を諦めてしまう生徒が出かねません。知事、いかがですか。
 都はまた、全日制と定時制の併置校は、生徒の施設利用や学習時間に制約があるとしていますが、小山台高校の学校運営連絡協議会委員である河路由佳東京外語大教授は、五時までしかグラウンドを使えない環境で野球部は一昨年、春の甲子園に初出場したと。定時制があるからといって、何かができないというようなことはないと話します。
 野球部の生徒の家族も、グラウンドの時間制限に不満を聞いたことはない、定時制廃止の理由に使われたらたまらないと訴えています。
 また、卒業生を初め多くの関係者が、昼間と夜間の生徒は教室を共同利用しており、心の交流がある、境遇の違う人たちを思いやることなど、併置校だからこそできるかけがえのない教育効果を生み出していると語っています。都は、このような現場の声や実態をどう認識していますか。
 生徒に必要とされ、すばらしい教育があり、地域に愛され支えられている四校の夜間定時制高校を廃止すべきではありません。廃止は撤回すべきです。答弁を求めます。
 私は、知事が持続的な経済成長と都民一人一人の生活の質の向上を両立させていこうとするならば、都として力を注ぐべき課題についてただしてきました。
 これらの課題、施策は、都の予算を思い切って都民の暮らし応援第一に切りかえるなら、実現は十分可能です。ところが、知事は施政方針で、外環道を関越─東名高速間にとどまらず、さらに湾岸道路まで二十キロも延伸させると表明し、三百十五カ所の優先整備路線を初め、都市計画道路のほとんどを今後も推し進める姿勢を示しました。
 これでは毎年三千億円規模で投入されてきた道路整備費がますます増大し、幾ら都民生活の向上を唱えても、絵に描いた餅になりかねません。
 都の道路優先の都市づくりを改め、過大なインフラ整備への投資を減らして、福祉、暮らしのための予算を拡充すべきだと思いますが、知事、いかがですか。
 外環道は十年前、国と都が公費負担するのを条件に整備の凍結が解除されました。これにより都財政からの負担金は、来年度まで含めて八百六十億円に及ぼうとしており、事業費がさらに膨れ上がることも予想されます。
 その上、事業化された十六キロに加えて、湾岸道路まで二十キロも延伸すれば、外環道の総事業費は果てしなく増大し、三兆円を超える巨費を投じることになりかねません。知事、それでよいのですか。
 昨年十二月、都は都市計画道路の第四次整備計画案を発表しましたが、未整備の約千二百キロの路線のうち、廃止の提案はわずか〇・四%にすぎません。決めた計画は絶対廃止しないという余りにもかたくなな姿勢といわざるを得ません。
 知事、千二百キロもの都市計画道路を事業化すれば、十数兆円もの財源が必要であり、維持改修費の増大を含めて都財政を大きく圧迫するのではありませんか。
 未整備の都市計画道路は、決定から半世紀以上が経過し、まちの現状と合わなくなっているにもかかわらず、都は、その中で三百十五路線、総延長二百二十三キロに及ぶ優先整備路線を選定し、今後も、十年間での着手を狙っています。莫大な費用をつぎ込むだけでなく、住民とコミュニティへの重大な影響を与えるものです。
 他の自治体では、財政への配慮と同時に、地域コミュニティを守ることを重視して、実情に合わない計画は廃止や見直しがされています。大阪や京都は、決定から三十年以上経過した場合や、地元が道路以外のまちづくりを求めた場合などに道路計画を廃止しています。道路の必要性とともに、地域コミュニティへの影響なども見て、総合判断をしています。
 知事は、こうした取り組みをどう認識していますか。
 知事は、ゆとりある成熟都市を目指すといいますが、それならば、成熟したコミュニティや商店街の存在を尊重し、これらを削ったり分断するような都市計画道路は、廃止を含めて見直すという位置づけをすべきではありませんか。
 都は四年前、防災の名で二十八の特定整備路線を指定し、一気に事業化したため、都の幹線道路予算は急激に膨らみました。特定整備路線は、優先路線から除外されていたものを突然事業化したため、道路整備を前提とせずに住宅を建てかえた人も多く、沿道住民の悲鳴と反対の声が広がっています。強行することは許されません。住民の要望、意見を最大限尊重して抜本的な見直しをすべきです。いかがですか。
 都は、アジア大都市との国際競争に勝ち抜くには渋滞解消のための幹線道路が必要としていますが、東京都の幹線道路や高速道路の密度は、既にアジア大都市やロンドン、ニューヨークより高いことがさまざまな調査で明らかにされています。
 それにもかかわらず都心の渋滞が解消しないのは、超高層の業務ビルやマンションが林立するよう誘導したり、自動車流入も事実上野放しにするなど、都心をさらに過密化させる都市政策が原因です。
 その上、知事は、都心の至るところでまちの再開発をすると表明しましたが、人口減少社会を迎える中で、一極集中の超過密都市づくり推進、自動車優先政策の是正こそ重要ではありませんか。知事、いかがですか。
 私は、持続可能な都市、持続可能な財政運営のあり方を考えれば、ヨーロッパの道路政策を初め、交通政策や都市づくりを大いに参考にすべきと考えます。
 ロンドン市は、ロンドン郊外に開通した環状道路M25が完成すると、予測交通量をはるかに超えてしまい、自動車の都心流入を増大させ、事故や渋滞をふやす結果になったことから、さらに内側に予定していた環状道路計画をやめ、車の流入規制と公共交通優先に切りかえました。
 パリ市では、七十年代までの急速な高速道路整備を見直し、国民の交通権の平等と温暖化防止の目標達成のため、公共投資を道路や空港から公共交通優先に切りかえました。パリ市街地内は、大型車の進入を抑えるため、周辺の駐車場に誘導し、観光客などの歩行や自転車利用を進めています。セーヌ川沿いの高速道路をやめて、歩行者や自転車も自由に通行できるように再整備しています。
 知事、東京もこうした交通政策の方向を学ぶべきではありませんか。お答えください。
 パーク・アンド・ライドなどの交通需要マネジメント、TDM政策の重要性を知事はどう認識していますか。そして今後、どう推進するのかお答えください。
 都は今、三十本の幹線道路の信号の点灯時間などをコントロールするハイパースムーズ作戦で渋滞の改善に大きな成果を上げています。今後、さらに渋滞が多い四百カ所の交差点をシステムに組み込んで拡充する予定ですが、新年度予算は三億円余りであり、このペースでは何十年もかかります。渋滞の解消に向けて期限を切った目標を立て、予算も拡充し、緊急に推進すべきです。見解を求めます。
 防災対策でも、延焼遮断帯の形成を名目にした特定整備路線に八百億円以上もつぎ込むなど、道路建設に偏った政策が進められる一方、中央防災会議があらゆる対策の大前提とする住宅の耐震化予算を大幅に減らしています。
 これで迫り来る首都直下地震から都民を守れるのでしょうか。
 都が耐震改修促進計画で掲げる住宅の耐震化率は、今年度までに九〇%を目標としていました。それが昨年度末で八四%にも満たず、目標達成は極めて厳しい状況となっています。
 その中で、新しく改定する耐震改修促進計画では、住宅の耐震化率を二〇二〇年までに九五%に引き上げるとしています。最近、四年間で二・六ポイントしか伸びなかったものを六年間で一一ポイントも引き上げなければなりません。
 ところが新年度予算では、これまでの木造住宅耐震改修助成も、民間マンションの耐震改修助成も、予算はふやすどころか、六割も削っているのです。これでどうやって目標を達成できるのですか。助成の対象と内容を拡充し、予算を大幅にふやしてこそ、住宅の耐震化は前進します。社団法人全日本不動産協会の東京都本部も、都内全域の耐震化のための助成拡充を提案しています。
 知事は、たとえ災害が起こっても、被害を最小限に抑える都市をつくるといいました。多くの防災専門家が指摘するように、事前の耐震化にお金をかける方が道路づくりや震災で倒壊した後の復興にお金をかけるよりはるかに安上がりで、効果があることを知事はどう認識していますか。耐震改修助成の拡充は、未来に向けた投資ではありませんか。
 耐震診断の促進も重要です。静岡県では、助成対象に制限を設けず、高齢者には上乗せ補助を行っていますが、あわせて県下のどこでも電話一本で耐震診断を受け付け、無料で専門家を派遣する制度をつくったことが注目されます。
 その結果、これまで七万件を超える耐震診断を受け付け、二万件近くの耐震改修助成による住宅耐震化につながっているのです。都としても耐震診断に対する財政支援を含めた支援の強化が必要だと思いますが、いかがですか。
 地震火災の一番の原因である電気に起因する火災を防止するための感震ブレーカー普及が急がれています。阪神・淡路大震災における膨大なデータに基づく新たな研究により、電気が回復した地域から次々と火災が発生したことが鮮明になりました。
 感震ブレーカーの重要性について、消防庁はどう認識していますか。地震火災対策として、住宅の新築時に普及を図るとともに、既存の住宅に対しても普及促進が求められますが、お答えください。
 都内でも、足立区、世田谷区で感震ブレーカーの設置助成が始まりました。品川区、杉並区、文京区も計画しています。
 今こそ一気に普及を図るべきときです。都として、設置助成に取り組む区市町村への補助を行うべきです。
 また、横浜市が広報で大規模に宣伝したように、地震火災に占める電気火災の多さや、感震ブレーカーの有効性についての啓発活動を思い切って強化すべきです。いかがですか。
 次に、オリンピック・パラリンピックを理由とした財政投入がさらに拡大しようとしている問題です。
 都は、新国立競技場整備に財政投入するために新たな法整備を国と合意しました。その結果、先週閣議決定された独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSC法改定案は、都負担を法律で義務化し、負担対象も拡大するなど重大な問題を含んだものです。
 知事は、法案の内容を了承したのですか。
 JSCが管理運営する競技施設は東京都以外にはなく、法案は事実上、東京都のみに負担を押しつけるものです。かつて知事も言及したように、憲法九十五条では、一地方公共団体にのみ適用される特別法の制定は、住民投票による過半数の同意を義務づけています。
 知事、こうした憲法の趣旨からすれば、都民の合意なしに政府が勝手に法を制定することは認められないのではありませんか。
 しかも法案は、施設の新設だけでなく、改修も負担の対象に含んでいます。その上、新国立競技場だけでなく、JSCが管理運営する施設全てを負担の対象にしています。これでは、新国立競技場の観客席を五輪後に八万席に増設する改修費や、秩父宮ラグビー場などの改築費も負担の対象になり、都の負担は今後、際限なくふえかねません。違いますか。
 法案が東京都の負担を三分の一以内と規定していることも極めて重大です。知事は昨年の第四回定例会で、四分の一を都が負担する案で合意したと明言したではありませんか。しかも法案は、協議が成立しないときは文部科学大臣が裁定するとまで規定しています。
 知事、法案が合意を法整備したものだというのなら、なぜ四分の一でなく、三分の一以内となっているのですか。都の負担が三分の一まで拡大しかねないのではありませんか。
 こうした重大な問題が明らかになったのですから、国との負担合意は白紙に戻し、法案の撤回を政府に求めるべきです。知事、お答えください。
 さらに重大なことは、組織委員会運営費への財政投入問題です。運営費が当初予算の六倍にも膨らむという報道に対し、武藤事務総長は、一兆八千億円という数字は認めませんでしたが、知事は記者会見で、一・八兆円という数字は聞いたことがあると答えました。知事、一・八兆円を示す資料があり、説明を受けたのではありませんか。事実をお答えください。
 立候補ファイルでは、組織委員会が資金不足になった場合、都が補填するとしているのです。日本共産党都議団は、組織委員会に対し、運営費の推計を明らかにし、直ちに運営費削減の努力をするよう申し入れました。
 知事は、一・八兆円という報告を聞き、どう考え、どう対応したのですか。都の莫大な財政投入とならないよう直ちに協議を行うべきですが、いかがですか。
 最後に、安保法制、戦争法は、日本と首都の平和と安全にとっても、テロを根絶する課題とのかかわりでも極めて有害で危険きわまりないものです。安保法制、戦争法が強行された今日でも、圧倒的多数の国民は安保法制を支持していません。このような法律は一刻たりとも放置するわけにはいきません。
 その廃止を求める国民的運動が東京でも、全国でも力強く広がっています。そして、去る十九日、民主党、維新の党、社民党、生活の党、そして日本共産党の野党五党が、安保法制の廃止と集団的自衛権行使の容認の閣議決定撤回を共通の目標とすること、安倍政権の打倒を目指す国会における対応や国政選挙など、あらゆる場面でできる限りの協力を行うなど四項目で合意しました。
 日本共産党都議団は、この五野党の合意を力に、安保法制、すなわち戦争法廃止と、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すという立場で、一致する全ての方々とともに全力を挙げる決意を表明し、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 白石たみお議員の代表質問にお答えいたしますが、その前提として、ここは国会ではなく都議会であるということを確認して申し上げたいと思います。
 まず、安倍内閣の経済政策についてでありますけれども、安倍政権の誕生からこれまでを見れば、日本経済は全体としてはようやく回復基調に来ていると思っております。世界経済情勢の先行きは、予断は許さないものの、長きにわたるデフレからの脱却を確かなものとするために、国は可能な限りの政策を動員すべきでございます。マイナス金利の導入もその一つだと私は思います。
 安倍総理が掲げました新三本の矢は、経済成長と生活の質を両立させるという東京都の政策と方向を一にするものでございます。
 都は、経済成長戦略はもとより、少子高齢化への対応や、誰もが活躍しやすい環境づくりなど、国と連携して幅広く取り組んでまいります。あるいは、国に先駆けた施策も展開し、明るい未来を切り開いていく決意でございます。
 次に、消費税の引き上げについてでありますが、少子高齢化が急速に進行する我が国におきまして、持続可能な社会保障制度の構築を図るためには、安定財源の確保が不可欠であります。
 そのためには、広く消費に負担を求め、世代間の公平を図ることができる消費税の税率引き上げにより、社会保障財源を拡充することは避けては通れないと思っております。したがって、国に対して消費税引き上げの中止を申し入れる考えはございません。
 国が進める社会保障制度や労働法制の見直しについてでありますけれども、いうまでもなく、社会保障制度は社会全体のセーフティーネットでありまして、国民に信頼され、持続可能なものでなければなりません。
 そのために、制度を維持する財源を確保し、給付の重点化と効率化を図りながら、常に時代に合ったものへとつくりかえていくことが必要でございます。現在国が進めている社会保障制度改革も同じ考えに立ったものと認識をしております。
 また、労働法制の見直しに当たりましては、国の審議会において、労使や公益的な立場からの意見を幅広く踏まえることになっております。厚生労働大臣として、私はきちんとそういう政策について理解をしてきたつもりでございます。
 今般の法改正についても、こうした手続を経て、現在国会において審議がなされているわけであります。
 続きまして、税や社会保障制度による格差の是正についてでございますが、所得の格差を是正し、社会的な公平と活力をもたらすための経済政策の一つとして、多くの国家は租税制度や社会保障制度等を通じて所得の再分配を行っております。
 こうした再分配の財源は国民の負担でありまして、その手法や対象、水準なども国によってさまざまであります。国際比較をするのであれば、財源についてもあわせて議論すべきでありまして、また、その内容は、国民のコンセンサスを得て、国が決定すべきものだと思います。
 教育に係る経済的負担の軽減についてでございますが、次の時代を担う子供たちの教育と、その機会の平等の確保は極めて重要でありまして、親の経済的状況によって子供が教育を受ける機会を失うことがあってはならないと考えております。
 都ではこれまでも、国や区市町村との役割分担を踏まえまして、一定の所得以下の保護者に対し経済的負担の軽減策を講じてきております。
 小中学校段階では、区市町村が学用品費や給食費などを支給しておりまして、高校段階では、都が授業料の給付や授業料以外の費用にも奨学金を支給しております。また、大学生に対しては、大学の所轄である国が支援を行っております。
 今後とも、これらの制度を適切に運用するとともに、不登校、中途退学への対策の強化なども含めまして、貧困の連鎖を防ぐ取り組みを引き続き総合的に進めてまいります。
 次に、大学生に対する奨学金制度についてでありますけれども、大学は全国から学生が集まる場でありまして、大学生の教育費負担の問題は国全体の教育政策の中で議論されるべきことであります。
 都は、大学など高等教育機関の所轄であります国との役割分担に基づきまして、高校等に通う生徒を対象に東京都育英資金事業を展開してございます。
 今後も引き続き、学びに意欲のある生徒に対する支援を着実に実施をしてまいります。
 白石議員が、後ほど申し上げますけれども、この定時制高校でお仕事をしながら学業を終えられて、こうして今、都議会議員になられているのは大変尊敬をいたします。その観点から、先ほど給付制の奨学金についておっしゃいましたので、ちょっと私の考えを申し述べさせていただきますと、私は中学校のときに父親を亡くしたものですから、それ以降、母子家庭で、高校も大学も、働いたり、私は育英会から奨学金をもらって終えました。
 しかし、単なる給付制に実は反対なんです。なぜならば、きちんと育英会から私はお借りした。私がしっかりと戻さないと、次の人たち、次の世代が借りる原資がなくなるわけですよ。しかも五十年前ですから、今よりはるかに貧しい時代であっても、返していくと。そのために一生懸命勉強して、いい成績をとって、きちんと仕事、就職して返していく。それが誇りであって、やったわけですよ。
 ですから、そういう自立の精神がないと、私が、だから、仮にただもらって、それでいいということにすれば、モラルハザードが起こる可能性があるんです。だから、給付制度にもいい面はありますよ。ありますけれども、私は実際ここにいるんですから、私はちゃんと戻すということで頑張ったから今の都知事の舛添要一はここにあると思っております。
 したがいまして、そういう考え方もあるということを、若い議員ですから、あなたが今から政治家として成長していくためにも、ぜひそういう柔軟な考え方を持っていただきたいと思っております。
 次に、保育サービスの整備についてでありますけれども、都は現在、区市町村や事業者の整備費の負担軽減、都有地の減額貸し付け、国有地、民有地の賃借料補助など、都独自のさまざまな支援策を実施しております。
 また、国家戦略特区を活用した都立公園での保育所の整備も進めておりまして、これは荒川の汐入公園、今度世田谷の祖師谷でも行います。また、ほかのところでもどんどんやっていきます。
 今後とも、こういう待機児童の解消に向けまして、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいりたいと思っております。
 続きまして、保育士や介護職員の確保につきましてでありますけれども、福祉職員の待遇改善は非常に私も重要だと思っていまして、厚労大臣のとき初めて取り組んだのが、それまでやっていなかったんですけど、ファンドという形で介護職員や保育士の待遇改善を図りました。
 それから、我々が今、福祉サービスを支える人材を安定的に確保していくことが必要でありますので、都は、保育士や介護職員のキャリアパスの導入に取り組む事業者への支援を独自に実施しております。
 また、来年度は人材の掘り起こし、マッチング、職場定着までを総合的に支援する事業や保育士養成施設への支援、介護職員の宿舎借り上げ支援も開始して、福祉人材の確保、定着を図ってまいります。
 続きまして、就職氷河期世代への支援でありますけれども、皆が明るい気持ちで生活できるようにするためには、安定した職業という確固たる生活基盤を築くことが第一であります。
 これまで繰り返し申し上げているとおり、就職氷河期世代など、正社員を希望しながら、不本意にも非正規雇用となっている方々を一人でも多く減らしたいというのが私の思いでございます。
 都では、今年度から、社内での正社員転換を促進する助成金事業に加えまして、職務経験やスキルに応じたきめ細かな就業支援など、さまざまな非正規雇用対策を実施しております。
 引き続き、三年間で一万五千人の正規雇用化に向けまして、非正規雇用対策を着実に進めてまいります。
 続きまして、小規模企業に対する認識でありますけれども、地域の経済や雇用を支える小規模企業の事業の継続と発展を図ることは、東京の産業振興にとって極めて重要でございます。
 このため、都はこれまでも、経営相談、技術支援などを行っておりまして、今年度からは、事業承継などを重点的にサポートする拠点を設置いたしました。
 今後とも、中小企業支援機関と連携して、小規模企業の持続的な発展を後押ししてまいります。
 先ほど申し上げました白石議員が頑張られた、二十一歳でたしか入学したとおっしゃいました大崎高校。都立高校の夜間定時制課程についてでありまして、全ての子供たちがそれぞれの必要な教育を受けられる機会を提供していくためには、やはりその時々の状況をしっかり見ながら整備する必要があるというふうに思っております。
 記者会見なんかのときでも申し上げましたように、定時制高校でありますチャレンジスクールや昼夜間定時制高校は、この間順次拡大を行ってきたんですけれども、残念ながら、いつも申し上げますけれども、今いったチャレンジスクール、昼夜間定時制高校は応募倍率が非常にまだ高いんです。
 しかし、白石議員が問題になさっている夜間定時制高校はやはり年々応募倍率が低下をしているということでありまして、そういう環境に対してどうするか。それで、先ほど応募が高いといったチャレンジスクールと昼夜間定時制高校の規模を拡大する。そして、チャレンジスクール二校の新設を行います。そして、先ほど来問題になさっています夜間定時制高校の一部を閉課程とするということにいたしました。
 こうした取り組みは、できるだけ多くの子供たちの学ぶ意欲に応えるとともに、やっぱり定時制課程全体を今後どうするか、そういう教育環境の改善も考えないといけないというふうに思った上での政策でございますので、今後とも、都立高校全体の改革も含めて、東京の教育の一層の充実というのをさらに進めてまいりたいというふうに思っております。
 それから、財政運営についてご質問がございましたけれども、私は相当この都民福祉の向上、例えば先ほど申し上げました非正規雇用対策とか高齢者支援とか、子供や子育て家庭への支援、女性の活躍のための支援、こういうことに注いでおりまして、今年度予算で計上した額は、もう皆さんにお示ししたように、一兆千六百六十八億円が福祉と保健に使われておりまして、全予算の二二・九%をそこで使っております。前年比に比べましても〇・一ポイントふやしておりますので、私は福祉には全力を注いでいるというふうに思っております。
 同時に、道路整備を初めとするインフラ整備は、東京全体の機能を強化して、都民の利便性や東京の活力の向上などに必要不可欠な取り組みでありまして、それから防災という観点からも必要なわけです。着実に進めていきたいと思っておりまして、今後とも、ソフト、ハード両面にわたる都政の諸課題に着実に取り組んでまいりたいと思います。
 外環について、今の観点でございましたけれども、外環は、東名高速や東北道など放射方向の高速道路を束ねる扇のかなめに位置しておりまして、人や物の流れをスムーズにする極めて重要な環状道路だと考えております。
 さらに、先ほど申し上げましたように、首都直下地震などにおきましては、日本の東西交通が分断された場合に、救援、復旧活動を支える重要な社会インフラとなることは確実でございます。
 関越道から東名高速までの整備に引き続き、湾岸道路までのいわゆるミッシングリンクを解消して、羽田空港や京浜港へのアクセスを強化するなど環状道路としての機能を最大限に発揮させる必要がございまして、引き続き、国や関係機関とともに外環の完成に向けて積極的に取り組み、経済を活性化させるとともに、災害に強い国土を形成してまいりたいと思います。
 次に、独立行政法人日本スポーツ振興センター、いわゆるJSC法の改正案についてご質問がございました。
 新国立競技場の整備に係る財政負担につきましては、私と遠藤オリンピック・パラリンピック大臣、馳文科大臣との合意をいたしまして、国において必要な法的措置を講じることとされて、その後の関係閣僚会議で決定をしております。
 今般のJSC法の改正は、その合意を履行するために国が行っているものと理解してございます。法案の内容につきましては、国が責任を持って国会の場で説明し、国会の場で審議されるべきものでございます。
 JSC法改正案と分担割合についてでございますが、新国立競技場の整備に係る財政負担につきましては、対象経費を、国と都とスポーツ振興くじとで二対一対一で分担し合い、都の分担割合を四分の一とすることは既に国と都で合意し、関係閣僚会議においても決定をしております。したがって、この内容が履行されるものと考えております。
 なお、何度も申し上げましたけれども、法案の内容については、国が責任を持って国会の場において説明し、国会の場において審議されるものでございます。
 次に、国との合意の撤回等についてでありますが、今申し上げましたとおり、今般のJSC法の改正は、まさにこの財源スキームを実施するためでありまして、国が行う法的措置であると理解しておりまして、合意を白紙に戻すことはあり得ません。
 二〇二〇年大会の経費についてでありますが、一口に大会経費といっても、その範囲のとり方によって大きく規模が変わってまいります。
 これまでも、いろんな数字、いろんな推測が情報としていろんな方面から私の耳に入ってきております。ご質問の金額についても、そういう中でどこかで聞いたことがあると思いますが、いずれにしても推測の域を出ないものと受けとめております。
 大会経費に関する都の取り組みについてでありますけれども、二〇二〇年東京大会は、テロの脅威の増大、資材や人件費の高騰など、大会を取り巻く環境が大きく変化して、数多くの課題に直面してきております。
 そのために、これらに対応すべく、開催都市である都が、組織委員会、国とともに新たな役割分担を決めてまいります。
 大会経費につきましては、不断に精査する一方、必要な事業は実施し、関係者と一致協力して大会準備に万全を期す決意でございます。
 そのほかの質問につきましては教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、閉課程する夜間定時制高校の選定理由についてでありますが、今回閉課程の対象とした小山台高校、立川高校は、交通利便性が比較的よいため、生徒は広範な地域から通学しております。そのため、これらの夜間定時制課程が閉課程となっても、代替として受け入れ可能な夜間定時制課程が多数存在しております。
 また、各校の募集人員に対する在籍生徒の割合は、立川高校以外の三校については夜間定時制課程全体の平均を下回っている状況にあります。
 立川高校についても、今後、立川地区チャレンジスクールの新設や近隣にある砂川高校の夜間部の増学級により、相当程度低下することが見込まれます。
 以上のようなことから、都立高校改革の新実施計画において、四校の夜間定時制課程を閉課程することとしたものであります。
 次に、夜間定時制課程の閉課程後の通学についてでありますが、例えば江北高校では、現在、地元の足立区を中心に、葛飾区、江東区、北区等から通学しております。
 このように、夜間定時制課程に在籍している生徒は、さまざまな地域から通学しており、四校の夜間定時制課程の閉課程後も、周辺の夜間定時制課程に通うことで、時間的にも交通費の面でも、影響は大きくないと判断しております。
 なお、ご指摘のような江北高校の近くに住む生徒が大山高校へ通学を選択することは考えにくく、区内の足立高校に通学するのが自然であると考えます。
 次に、全日制・定時制課程併置校に対する認識でございますが、学校現場の声として、全日制課程からは、放課後の部活動や講習会、生徒の自習等に時間的制約が生じることが、また、定時制課程からは、全日制課程の推薦入学などの学校行事の際に、校内で授業ができないことや、始業前に登校して面談や講習等を行うことが難しいといった課題が常にいわれております。また、PTA団体からも、全定併置校の施設の共用を改善して、定時制課程専用の教室、フリースペース等を確保してほしいなどの陳情が毎年提出されております。
 このようなことから、ご指摘のような声が、全日制・定時制課程併置校に対する全体的な声とは認識しておりません。
 最後に、夜間定時制課程の閉課程の撤回についてでありますが、都教育委員会としては、新実施計画にお示ししたとおり、今後のチャレンジスクールと昼夜間定時制高校の整備の進捗や、夜間定時制課程の応募倍率の推移等の状況を考慮しながら、一部の夜間定時制課程を閉課程してまいります。したがいまして、撤回する考えはございません。
   〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者への住宅提供策についてでございますが、都はこれまでも、都営住宅などの公共住宅ストックを有効に活用するとともに、民間住宅においては、高齢者の入居を拒まない住宅の情報提供や、東京都居住支援協議会による区市町村協議会の設立促進と活動支援などを行っております。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、高齢者の居住の安定確保に努めてまいります。
 次に、都市計画道路についてでございますが、将来にわたり東京を持続的に発展させていくためには、広域的な交流や連携、高度な防災都市、個性的で活力ある地域づくりなどを支える道路ネットワークのさらなる充実が不可欠でございます。
 こうした目的の達成に向け、新たな整備方針のもと、今後とも関係区市町と連携の上、必要な都市計画道路の財源の確保に努め、整備に取り組んでまいります。
 次に、都市計画道路の見直しについてでございますが、都市計画道路は都市活動を支え、交通の円滑化や災害時の救急救援活動などに大きな役割を果たす重要な都市基盤でございまして、計画的かつ効率的にネットワークを形成することで、その機能が発揮されます。
 今回公表した整備方針案におきましても、広域的なネットワークとの整合性を考慮しながら、骨格幹線道路網の形成を初め、地域のまちづくりへの貢献や、ゆとりある歩行者空間の創出などの観点を踏まえ、十年間で優先的に整備する路線を選定しております。
 今後とも、地元区市町と連携し、ゆとりある生活と経済活動の両立を支えるために必要な都市計画道路の整備については積極的に取り組んでまいります。
 次に、渋滞解消に向けた政策の見直しについてでございますが、東京がアジア大都市などとの国際競争を勝ち抜くには、都市機能の更新や都市施設の整備が不可欠でございます。
 このため、都市再生を推進し、土地の高度利用により、高度な業務、商業機能に加えまして、質の高い居住機能の誘導などを計画的に進めております。
 あわせて、都心部の渋滞を解消するためには通過交通の排除が不可欠でございまして、三環状道路などの整備を推進しているところでございます。
 例えば、首都高中央環状品川線の完成によりまして、都心環状線の利用交通量が五%減少し、これに伴い、中央環状線内側において渋滞による損失時間が五割減少いたしました。
 今後とも、東京全体の都市機能の強化に向けて、こうした取り組みを一層推進してまいります。
 次に、公共交通などを重視した取り組みについてでございますが、東京は高密度で安全な鉄道ネットワークが形成されており、既に世界的に見て公共交通の利用が相当程度進んでいる大都市でございます。
 一方、道路につきましては、環状道路などの整備により、都心部からの通過交通の排除を引き続き推進しながら、その上で、限られた道路空間を活用して歩行者空間を拡大するとともに、自転車走行空間の確保や、交通広場の整備による公共交通との乗りかえ改善等に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、道路や公共交通のネットワークの充実を図り、環境に優しく、誰もが使いやすい交通体系を構築してまいります。
 次に、住宅の耐震化についてでございますが、自助、共助、公助の原則のもと、まずは所有者みずからがその必要を認識し、主体的に取り組むことが不可欠でございます。
 このため都は、区市町村と連携いたしまして、耐震キャンペーンや相談窓口における普及啓発、安価で信頼できる耐震改修工法の紹介などを通じまして耐震化の取り組みを促進してまいりました。
 このような自助の啓発を進めながら、その上で、防災都市づくり推進計画に定める整備地域の木造住宅や、合意形成が困難なマンションなどに対しまして、公共的な観点から必要がある場合には財政的な支援を実施してまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして住宅の耐震化を促進してまいります。
 次に、耐震化のための助成拡充についてでございますが、都は、広域自治体として、東京全体の安全性を高める観点から、国や区市町村との適切な役割分担のもと、整備地域の木造住宅等に的を絞り、耐震化助成を重点的に行っております。
 こうした対応により、震災時の倒壊による道路閉塞や延焼拡大を防止し、大規模な市街地火災による人的、物的被害を最小限に抑えることが可能となります。
 あわせて、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化につきましても、重点的、集中的に取り組むなど、今後とも、限られた財源のもと、防災対策上の優先度を考慮しながら、耐震化助成を効率的、効果的に実施してまいります。
 最後に、住宅における耐震診断の支援についてでございますが、これはもう繰り返しになりますけれども、個人の住宅の耐震化につきましては、自助、共助、公助の原則のもと、まずは所有者みずからが主体的に取り組むことが不可欠でございます。
 このため都は、耐震キャンペーンなどにおける普及啓発や信頼できる耐震診断事務所の登録、公表など、診断を促す取り組みを行ってまいりました。また、地域の実情に即した取り組みを促すため、所有者からの相談に応じるアドバイザーの派遣や、木造住宅の簡易診断を行う技術者を派遣する区市町村に対しまして、その取り組みを財政的にも支援してまいりました。
 今後も、広域自治体の立場から、区市町村との適切な役割分担のもと、住宅の耐震診断を促進してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、購買力を強くする施策についてでありますが、都はこれまでも、中小企業支援や雇用就業対策などさまざまな施策を講じることにより、企業業績の回復と安定的な雇用の実現を図っており、そうしたことが消費の拡大へとつながるものと考えております。
 次に、最低賃金についてでございますが、最低賃金の仕組みは、労働者の生活の安定や経済の健全な発展に寄与するものであり、その額は法に基づき、労使、公益の代表が審議し、地域の労働者の生計費や賃金、企業の支払い能力を考慮して国が決めております。
 都としては、この制度が適切に運用されるべきものと考えております。
 次に、職業訓練についてでございますが、都は、若者や就職氷河期世代など求職者向けの公共職業訓練を、求人ニーズや公募状況等を踏まえ、毎年度、内容や規模を見直しながら実施しており、引き続き適切に対応してまいります。
 最後に、小規模企業に対する支援についてでございますが、小規模企業の経営の活性化に向けて、都はこれまでも、売り上げ向上のための販路開拓支援や設備投資に対する助成など、さまざまな支援を行っております。
 引き続き、必要な取り組みを進めてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 十点のご質問にお答えをいたします。
 まず、児童扶養手当の所得制限についてでありますが、児童扶養手当は児童扶養手当法に基づく国の制度であり、所得制限のあり方については、ひとり親家庭の現状を踏まえながら、国で議論すべきものと認識しております。
 次に、児童育成手当についてでありますが、児童育成手当は、昭和四十四年に発足した制度であり、当時は不十分であった国の所得保障を補完すると同時に、就労支援など、ひとり親施策が未整備の中で、子供の健全育成を支援する役割を担っていたものでございます。
 その後、国の児童扶養手当が増額されたほか、ひとり親家庭の自立に向けた就労支援や相談支援、子供の学習支援など、さまざまな取り組みも展開されており、その位置づけは大きく変わっているものと認識しております。
 次に、保険料や利用料の負担軽減についてでありますが、国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険の各制度では、所得に応じて保険料の負担軽減策が講じられており、都は法令等に基づき、応分の財政負担を行っております。
 また、利用者負担についても、高額療養費制度や高額介護サービス費制度により、所得に応じた自己負担の限度額が設けられております。
 次に、公立保育所の整備に対する補助についてでありますが、都は、保育の実施主体である区市町村が地域の実情を踏まえ、認可保育所だけでなく、認証保育所、認定こども園、小規模保育など多様な保育サービスを拡充できるよう、さまざまな支援を行っております。
 公立保育所の整備費については、平成十八年度に区市町村に税源移譲されております。
 次に、特別養護老人ホームの整備促進についてでありますが、都はこれまで、都有地の減額貸付、土地賃借料の負担軽減、建築価格高騰に対する加算を実施するとともに、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域の補助単価を最高一・五倍に加算するなど、特別養護老人ホームの整備を促進してまいりました。
 来年度は、さらに整備を進めるため、補助単価の加算要件を見直し、加算対象となる地域を大幅に拡大いたします。
 次に、国有地を活用した特別養護老人ホームの整備についてでありますが、都はこれまで、国に対し、国有地貸付料の減額を行うよう繰り返し提案要求してまいりました。
 これを受け、国は、本年一月から介護施設の整備に係る国有地の減額貸付を開始し、一月二十九日には、都内で第一号案件の貸付契約が締結されたところでございます。
 国有地の活用も含め、今後とも特別養護老人ホームの整備を促進してまいります。
 次に、国有地の借地料減額についてでありますが、都はこれまで、国有地を活用した保育所整備が進むよう、土地の貸付料の減額を国に求めており、今後とも提案要求してまいります。
 次に、都有地を活用した福祉インフラ整備についてでありますが、都は、福祉インフラ整備を促進するため、未利用の都有地を五〇%減額して運営事業者に貸し付ける、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業を平成十五年度から実施しております。平成二十六年八月には、整備をより加速するため、都内公示地価平均を超える部分について、貸付料の減額率を九〇%に拡大いたしました。
 事業開始以来、昨年十二月までに運営事業者を決定したものは四十三件であり、今後も区市町村と連携しながら福祉インフラの整備を進めてまいります。
 次に、福祉人材の待遇改善についてでありますが、都は、安定的に福祉人材を確保できるよう、国に対し、保育士のキャリアアップのための仕組みを検討し、充実を図るとともに、十分な財源を確保すること、介護職員のキャリアパスを早急に整備、普及すること、介護職員処遇改善加算について、介護報酬の基本部分に組み込むなど、恒久的なものとすることなどを繰り返し提案要求しております。
 また、都独自に、保育士や介護職員のキャリアアップに取り組む事業者への支援や職員の宿舎借り上げの支援を進めております。
 最後に、認可保育所の基準についてでありますが、国は、保育サービスの整備を進めるため、当面の措置として、現在、保育所の開所時間中において常時保育士を二名配置するとされている基準を、児童の年齢に応じた基準に基づき配置すべき職員数が一名の場合に、もう一名について保育士以外の職員を配置できるようにすること、また、幼稚園教諭や養護教諭などの保育士以外の人材を、配置すべき人数の三分の一の範囲内で保育士とみなすことができることなどを盛り込んだ省令の改正を行いました。
 都は、これを受け、今後、児童福祉審議会のご意見を伺った上で、方針を決定する予定でございます。
   〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

○生活文化局長(多羅尾光睦君) 給付制の奨学金についてですが、高等学校の授業料については、保護者の所得水準に応じて就学支援金を支給するとともに、私立学校においては、既に都独自の給付型奨学金である特別奨学金により、さらなる負担軽減を図っております。加えて、授業料以外の教育費についても、低所得世帯を対象に奨学給付金を支給して、その負担を軽減しております。
 今後も、これらの必要な保護者負担軽減策を適切に運用し、支援を行ってまいります。
   〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 特定整備路線についてでございますが、都は、首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえ、木造住宅密集地域の改善を一段と加速するため、平成二十四年に木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げました。この中で、木密地域の防災性を大きく向上させる都市計画道路を新たに特定整備路線として、地元区の意見も聞き、選定いたしました。
 これらの路線は、延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となり、都民の生命と財産を守る極めて重要な都市基盤でございます。平成二十六年度までに全区間で事業に着手し、関係権利者の生活再建に配慮して、理解と協力を得ながら用地の取得を進めております。
 今後とも、震災への危機感、防災都市づくりへの決意を風化させることなく、世界一安全・安心な都市を実現するため、引き続き全力で整備を推進してまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 交通需要マネジメントについてでございますが、都内の交通渋滞の解消による道路交通の円滑化や大気汚染の改善を図るため、都はこれまで、エコドライブやパーク・アンド・ライドの普及などとあわせ、道路交通ネットワークの整備やディーゼル車対策など、さまざまな施策を推進してまいりました。これにより、浮遊粒子状物質や二酸化窒素の環境基準の達成状況を大幅に改善してきたところでございます。
 今後とも、自転車シェアリングの普及拡大を進めるなど、関係各局、区市町村、事業者等とも連携しながら、引き続き交通需要マネジメントに取り組んでまいります。
   〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 渋滞対策についてでございますが、渋滞解消のためには、道路整備とあわせ、既存の道路において渋滞箇所ごとの原因に応じた対策を効果的に実施することが重要でございます。
 これまで都は、警視庁等と連携し、需要予測信号制御の導入など、ITS技術を活用した渋滞対策事業、ハイパースムーズ作戦を実施してきておりますが、来年度以降は、主要渋滞箇所の中から効果が見込まれる場所等を選定して、配備、整備していくこととしております。
 今後も、必要な予算を確保し、即効性のある渋滞対策事業を計画的に実施してまいります。
   〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 感震ブレーカー等についてでありますが、感震ブレーカー等は、地震発生時の電気に起因する火災の防止には一定の効果があると認識しております。
 ただし、機器のタイプによっては作動の信頼性が低いものや、揺れと同時に電源が遮断され、避難に必要な照明等が確保できないものもあることから、設置の際には、その特徴を理解しておく必要があります。
 なお、東京消防庁では、住宅の建築確認に伴う消防同意時には、感震安全装置つきの配線器具の使用に努めるよう申請者に通知しております。
 今後とも、国の動向等も踏まえ、広く都民に対し「地震に対する十の備え」の活用など周知を図り、感震ブレーカー等の設置も含め、地震発生時の出火防止対策に取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 感震ブレーカーの普及促進についてでございますが、平成二十六年に策定いたしました東京の防災プランでは、出火防止に向けて感震機能つき分電盤等の設置などを都民みずからが備えるべき取り組みとして掲げており、その設置促進に当たっては、基礎的自治体である区市町村が地域の実情を踏まえ主体的に取り組むことが重要であると認識しております。
 都といたしましては、広域的な立場から、昨年作成いたしました「東京防災」において、感震ブレーカー等の設置など出火防止に向けた取り組みを、今やろう防災アクションの一つとして示し、都内全世帯に配布することなどで広く普及啓発を図っているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを通じて都民の防災意識を高め、具体的な行動につながるよう促してまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、独立行政法人日本スポーツ振興センター法改正案についてでございますが、新国立競技場の整備に係る財政負担につきましては、昨年十二月に知事と遠藤オリンピック・パラリンピック大臣、馳文部科学大臣との合意で、国において必要な法的措置を講じることとされ、その後の関係閣僚会議において決定しております。
 今般の独立行政法人日本スポーツ振興センター、いわゆるJSC法の改正は、その合意を履行するために国が行っているものと理解しております。
 特別法か否かといった法案の内容や性格につきましては、今後、国の責任におきまして国会の場で説明し、国会の場で審議されるものと考えております。
 次に、JSC法改正案と対象経費についてでございますが、新国立競技場が大会のメーンスタジアムとしてなくてはならないものであり、大会後も多様な価値あるレガシーとして都心に末永く残り続ける、こういった特段の便益をもたらすことを踏まえ、その整備につきまして、特別に一定程度の財政負担を行うことに都は合意し、関係閣僚会議で決定されたものでございます。この極めて重い合意を履行するために、国はJSC法の改正という法的措置を行っているものと理解しております。
 こうした経緯を踏まえれば、国と都で合意し、関係閣僚会議で決定されました事項以外に負担を求められることは想定していないと考えております。
   〔十五番白石たみお君登壇〕

○十五番(白石たみお君) 再質問いたします。
 まず、新国立競技場への都財政投入問題です。
 第一に、私は、JSC法案の内容についてただしたにもかかわらず、知事は、国会の場において説明し、審議されるものだと答えました。東京都に負担を求める法案でありながら、都として内容の分析や検討もしないというのですか。それでは余りにも無責任ではありませんか。
 第二に、JSC法案による都の負担拡大の可能性についてただしたのに対し、知事は、合意の内容が履行されるものと考えると答えました。しかし、法案が合意と違うことは明らかです。知事は、合意では都負担は四分の一だと説明しましたが、法案では三分の一以内になっているのです。合意の当事者なら、国に抗議し、法案の撤回こそ求めるべきではありませんか。
 以上、二問について、知事、お答えください。
 次に、アベノミクスについてです。
 知事は、日本経済は全体として回復基調だと答弁しました。しかし、本日付の産経新聞世論調査では、安倍内閣のもとで景気の回復を実感しているかとの問いに対し、実感していないが七九%ですよ。実感しているはわずか一六%です。同じ調査で、安倍政権の景気、経済対策を評価するかとの問いにも、評価しないが六〇%で、評価するが三一%と大きく上回っています。
 知事の答弁は、国民の実感とかけ離れています。マスコミも、日本の景気に暗雲と指摘しているのです。知事、いかがですか。
 景気がいいのは大企業だけで、安倍内閣の三年間で実質賃金は五%も減少しています。雇用も伸びたのは非正規だけです。GDPの六割を占める個人消費は、安倍政権の三年間で四兆円も減っております。
 知事は、個人消費が伸びないとだめと発言をしましたが、実質賃金は下がり続けているのです。知事はどう認識しているのですか。知事の答弁を強く求めて、再質問を終わります。(拍手)
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) JSC法改正案につきましてですが、先ほど知事が答弁しましたとおり、新国立競技場の整備に係る財政負担につきましては、知事と遠藤オリンピック・パラリンピック大臣、馳文部科学大臣との合意で、国において必要な法的措置を講じることとされ、その後、関係閣僚会議において決定しております。
 今般のJSC法の改正は、その合意を履行するために国が行っているものと理解しております。
 また、負担の拡大の懸念についてご質問がございましたが、先ほども知事がご答弁いたしましたが、新国立競技場の整備に係る財政負担につきましては、対象経費を国と都とスポーツ振興くじとで二対一対一で分担し合い、都の分担割合を四分の一としますことは既に国と都で合意し、関係閣僚会議において決定しております。
 先ほどもご答弁しましたが、この合意は極めて重いものでございます。したがって、この内容が履行されるものと考えております。
 なお、法案の内容につきましては、先ほどもご答弁しましたが、国が責任を持って国会の場において説明し、国会の場で審議されるものと考えております。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 安倍内閣の経済政策についてでございますが、経済指標にはGDP、雇用情勢、企業収益などさまざまな分野がございますし、また、期間の捉え方等もございます。こうしたことから、先ほど知事が答弁したとおり、安倍政権の誕生からこれまでを見れば、日本経済は全体としてはようやく回復基調に来ている、そういう認識であるということでございます。

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