平成二十八年東京都議会会議録第二号

   午後一時開議

○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川井しげお君) これより質問に入ります。
 百十三番宇田川聡史君。
   〔百十三番宇田川聡史君登壇〕

○百十三番(宇田川聡史君) 平成二十八年第一回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 我が党は、世界で一番の都市東京という目標を掲げ、二〇二〇年、平成三十二年のオリンピック・パラリンピック東京大会の成功、そしてその先の東京の将来を見据え、全力で取り組んでまいりました。
 この目標を実現するためには、我々の提言を踏まえて策定された長期ビジョンの実効性が予算でしっかり担保され、それを着実に推進していくことが不可欠であります。
 平成二十八年度予算案を見ると、長期ビジョンに関連する事業は一〇〇%予算化され、一兆二千五百億円が計上されています。まさに、長期ビジョンに掲げた事業を確実に前進させるという強い決意のあらわれであると受けとめております。
 知事として二年間が経過し、折り返し地点に達しました。当初描いていた理想や目標、その実現や達成について振り返り、検証されたことと思います。今後の都政運営に対し、新たな決心を抱いておられるとも思います。
 知事が掲げた世界一の東京、そして史上最高のオリンピック・パラリンピック、この実現のためには、来年度の事業に滞りがあってはなりません。二〇二〇年という目標に対し、決して先延ばしは許されません。都民生活の向上、都政のさらなる発展のためには、決死の覚悟を持って、責任あるかじ取りが求められると考えます。東京の将来の姿を描きつつ、地に足のついた都政運営の役割をしっかりと果たしていただきたい。
 知事は、平成二十八年度予算をどのような思いで編成されたのか、行政のトップとして、そして政治家としての舛添都知事の考えをお聞かせいただきたい。
 長期ビジョンに掲げる政策の実行に向け、平成二十八年度予算は七兆円を超え、昨年度に続き積極予算となりました。今後も行政需要の増大が見込まれる中、都民が直面する現実をしっかりと捉え、限りある財源を、無駄なく質の高い施策の実現に向け投入していく、このことは決して忘れてはならない重要な視点であります。
 都はこれまで、事業評価を年々強化するなど自己改革を推進してきました。自己改革の取り組みは、財源の確保という点のみならず、何よりも施策の一つ一つを、真に都民に必要なものへと磨き上げるために行わなければなりません。
 都民の視点に立った施策の実現のためにも、自己改革を一層推進すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 都は、昨年策定した東京都総合戦略において、東京と地方の共存共栄を前面に打ち出しました。これは、都ならではの考え方であり、日本全体の発展を目指す真の地方創生を実現するために不可欠なものだと考えます。
 平成二十八年度予算案も提出され、総合戦略は策定から実行のステージに移りました。共存共栄の関係を実のあるものにしていくためには、都みずからが他の地域の懐に飛び込んでいくことが必要なのではないでしょうか。
 我々も、オリンピック・パラリンピックの誘致の際には、四十六道府県、そして全ての政令都市に協力要請を行いました。知事や市長、地方議員の皆さんとさまざまな課題について胸襟を開いた話し合いができ、そしてオール日本での政策展開という大局観を共有することもありました。このことが、東京大会をかち取った大きな要因の一つだったのではないでしょうか。これもひとえに、みずからが足を運んだからこその結果であり、今思えば、こうした行動が真の地域連携につながるのだと考えます。
 共存共栄は、多岐の分野において展開していくものです。さまざまな現場を持つ都は、他の地域の課題解決に役立つノウハウも持っています。
 一方、二〇二〇年東京大会を成功させるためには、日本全体の力をかりなければなりません。都の強みを惜しみなく提供し、各地域がそれを活用していく、あるいは全国各地の力に東京が支えてもらう、そうした中で信頼関係が構築され、共存共栄が育まれます。
 総合戦略を取りまとめた政策企画局は、戦略全体の総合的かつ積極的な推進を図る立場にあります。東京と地方の共存共栄を推進するため、みずから汗をかき、他の地域とのつながりを強めていくことが極めて重要と考えますが、見解を伺います。
 二〇二〇年東京大会について伺います。
 昨年末から大会経費についてさまざまな報道がなされておりますが、オリンピック・パラリンピックは、二百を超える国と地域から一万五千人を超えるアスリートたちが集い、競い合う、世界最大、最高のメガイベントであります。
 それに加え、現在、テロの脅威といった新たな課題も発生するなど、既に質量ともに招致時点の想定をはるかに超える壮大な事業となっております。これほどの大事業をなし遂げるためには、東京都、国、組織委員会などが一致協力して突き進まなければなりません。
 しかし、最大の責任はどこにあるのか、申すまでもなく開催都市である東京都がその立場にあります。東京都が中心となって、課題を正面から受けとめ、戦略を立て、国を巻き込み、組織委員会とも強力にタッグを組んで、責任を果たしていくべきであります。
 史上最高の大会を成功に導く、並大抵の努力ではままならない。時には、大小さまざまな障害が立ちはだかることもあるでしょう。しかし、その厚く大きな壁を確実に乗り越える、突き破らなければならないのであります。そこに逃げ道はなく、遠回りしている時間もありません。今、我々が信じ、そして進むべき道は一つしかないのであります。限られた時間で大きな成果を生み出すためには、決死の覚悟で、必ずや重責を全うするという強固な意思が求められるのであります。
 時には、批判にさらされる場面があるかもしれない。しかし、泥をかぶることをいとわずに前進し続けなければ、大会成功という栄誉を手に入れることはできません。
 我々は、子供たちに夢と希望と感動を与えてあげたい、その一心で招致に力を尽くしてまいりました。それは目には見えなくとも、何物にもかえがたい宝になると確信したからこそであります。オリンピック・パラリンピックの成功は、有形無形の大きなレガシーを生み出すのであります。
 これまで大会招致に尽力されてきた全国の人たちの思いをしっかりと受けとめ、大会成功に向けた確かな道筋をつけるには、開催都市の責任者である知事こそが、どのような状況であろうとも重責を果たしていかなければなりません。知事の確固たる決意をお伺いいたします。
 さて、本年夏にはリオデジャネイロ大会が開催されます。全世界がオリンピック・パラリンピックのすばらしさを実感できるこの機会を最大限に活用し、その機運を二〇二〇年の東京大会につなげていかなければなりません。
 また、次回開催都市としてリオ大会をともに盛り上げるとともに、東京、そして日本の持つ技術、文化、伝統といった魅力を世界に発信していくべきです。
 東京大会を四年半後に控えた今、大会の開催を契機に、世界で一番の都市東京を実現するためには、かねてからの我が党の主張を取り入れ策定した、二〇二〇年に向けた東京都の取組により明確となった方向性に沿って、大会準備を全力で進めていくことが求められています。
 今後、建設が本格化する新規恒久施設の着実な整備やバリアフリー化の推進、障害者スポーツの振興など、ハード、ソフト両面における取り組みを、大会開催時はもとより、レガシーとして継承するために一段と加速化させ、着実に進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 二〇二〇年の東京大会の成功が重要であることは当然でありますが、大会が終わった後に確かなレガシーを残して初めて真の意味での成功といえます。
 かねてより我が党は、障害者スポーツを飛躍的に振興させるため、さまざまな観点から施策の充実を求めてまいりました。障害者スポーツが、都民、国民の日常に溶け込んだ東京を実現することこそ、東京大会のレガシーの最たるものとなるのではないでしょうか。障害者への配慮は、高齢者や子供への優しさにもつながります。
 レガシーの実現に向けては、確かな戦略性を持って効果的な事業を展開し、障害者スポーツを取り巻く環境を大きく変革していかなければなりません。そのためには、確かな方向性とそれを具現化していくための安定的な財政基盤が欠かせません。この点を、我が党は第四回定例会の代表質問などにおいて強く主張をしてきました。
 そして、都はこのたび、障害者スポーツ振興基金を創設することとし、本定例会に条例案を提出しています。この基金を創設する意義と障害者スポーツ振興の今後の方向性について、知事の見解を伺います。
 最近、テレビ番組やCMで義足ランナーや車椅子競技が登場する場面を目にします。しかし、障害者スポーツへの関心は依然として低く、昨年十一月に発表された都の世論調査では、都民の半数近くが関心がないと答えています。
 こうした状況を改善するためには、障害者スポーツ大会や選手の姿を目にする機会を格段にふやし、都民にとって身近なものにすることが必要です。それに加えて、都民が障害者スポーツ選手個人の魅力に触れ、ファンとしての感情を抱き、親身になって応援していくような機運を醸成していかなければなりません。
 二〇二〇年の東京パラリンピックを満員の観客で盛り上げ、大会後に障害者スポーツを東京にしっかりと根づかせるため、戦略的な普及啓発を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京大会というひのき舞台で、地元東京の選手が活躍する姿は、多くの都民に夢や感動をもたらします。来年度は、大会まで残り四年となり、競技力向上施策を一段と加速していかなければなりません。
 特に障害者アスリートは、遠征や試合で介助者のサポートが必要であり、選手を支える競技団体の体制が十分でないなど、選手個人に大きな負担がかかっています。
 また、東京大会を目指して努力する選手の存在は、地元にとっての誇りでもあります。今から選手その人に光を当て、地域で応援する機運を盛り上げていくことも重要です。
 大会の成功に向け、選手個人に着目した支援を充実していくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、選手村は、世界中から一流のアスリートが集いリラックスできる環境の中で、最高のパフォーマンスを生み出すための準備をする場であります。東京都は、開催都市として、大会運営上のかなめとなる選手村を確実に整備する使命があると考えます。
 そして、大会後には、単なる大規模な住宅地とするのではなく、環境負荷の少ないスマートシティーとして生まれ変わらせ、住む人も来る人も、都市生活の豊かさを実感できる先進的なまちとすべきであります。こうした選手村の整備を、限られた時間の中でどのように実現していくのか、今後の取り組みについて伺います。
 東京大会では、世界各国から数多くの選手や大会関係者、観客などが、東京、そして日本を訪れます。選手が最高のパフォーマンスを発揮し、観客が快適な滞在を楽しむ上で、おもてなしの心を持って接するボランティアの活躍は、大会の成功にとって必要不可欠な存在です。
 また、ボランティアが大会の機運を盛り上げる上で果たす役割も大きく、大会開催時には、ボランティアとしてぜひ参加したいとの声も多く寄せられるなど、都民の関心も高く、この思いを大会の盛り上げにつなげていくことは、大会を成功させる上でも重要です。
 東京マラソンは、毎年一万人以上のボランティアによって支えられ、既に延べ十万人に及ぶ人たちが活躍しています。その経験やノウハウを、二〇二〇年の東京大会に生かしていくべきです。ボランティアの募集、育成などに計画的に取り組んでいくことにより、大会の成功が現実化していきます。
 二〇二〇年大会のボランティアの確保に向けた今後の具体的な取り組みを伺います。
 東京が抱える多種多様な課題を解決し、豊かな生活を実現するためには、都民一人一人のニーズにきめ細かく対応することが不可欠ですが、それには自助、公助、共助がバランスよく機能することが大切です。
 地域においては、既に町会、自治会などが共助における大きな役割を果たしており、また、防災、福祉などさまざまな分野においても、ボランティアが活躍している姿を目にします。
 今後、さらなる高齢社会や大規模災害の脅威など、多くの課題が深刻化する中で、ボランティア活動などを通じた人々の支え合いがますます重要となってきております。
 ボランティア活動を推進するためには、既にさまざまな場で活躍しているボランティアに光を当てるとともに、活動しやすい環境をつくっていくことが大切です。そして、実際に活動しているボランティアの人々からの口コミによって、活動の輪が広がっていくのだと考えます。
 都は、このたび共助社会づくりを進めるための指針を策定いたしましたが、今後、都民のボランティア活動推進のためにどのように取り組むのか伺います。
 既に活躍しているボランティアの一つとして、東京消防庁災害時支援ボランティアがあります。平成七年に発生した阪神・淡路大震災で、建築物の被災度判定や救援物資の仕分けなどのボランティアが全国から集まり、その内容が大きく報道されたこともあり、震災時のボランティア活動の重要性がクローズアップされました。
 こうした状況の中、同年七月、東京消防庁は災害時支援ボランティアを発足させ、昨年二十年を迎えました。現在では約一万六千名の方々が、消防職員や地域の消防団員と連携し、災害に立ち向かう防災のリーダーとして日々訓練に励んでいます。
 そこで、こうした方々の技能を生かし、平常時にも活動できる機会を確保するとともに、活動環境の向上を図るなど、さらに活性化させていくことが必要だと考えます。見解を伺います。
 都では、リオ大会後から四年間、これまでにない多彩で魅力的な文化プログラムを展開し、東京の文化を世界に発信していくこととしており、昨年十二月に発表した二〇二〇年に向けた東京都の取組には、大会後のレガシーを見据えた文化プログラムの大きな方針が掲げられています。
 方針を踏まえ、東京が有する文化の独自性の源泉ともいえる、伝統文化を初めとしたさまざまな芸術文化の魅力を向上させ、未来につながるレガシーを残していくためにも、都みずからが象徴的なプログラムを実施していくことが重要です。
 あわせて、日本文化の結節点である東京の強みを生かし、東京と地方それぞれが持つ魅力を最大限生かした事業を展開していく必要があると考えます。
 リオ大会後から始まる文化プログラムにおいて、都は、レガシーを見据えてどのように事業を展開していくのか、見解を伺います。
 我が党は、ラグビーワールドカップの成功に向けても、議員連盟での活動等を初め、先頭に立って取り組んでまいりました。
 昨年十二月には、都議会に二〇一九年大会を集中的に審議する場としてラグビーワールドカップ特別対策委員会を設置し、精力的に取り組みを開始したところであります。
 イングランド大会での日本代表の活躍を契機に、現在ラグビーは、かつてない盛り上がりを見せており、多くの都民、国民が二〇一九年大会を本当に楽しみにしていることを改めて実感しているところであります。
 大会開催に向けて、既に具体的な準備のステージに入っており、取り組みを加速させるとともに、開催機運を二〇一九年まで持続させ、大会を必ずや成功させる必要があると考えます。
 また、昨年の第三回定例会では、東京スタジアムの改修や周辺整備などについて、中長期的な視点を持って取り組むべきと指摘したところであります。会場としてのあり方や、会場周辺アクセス等について対策を講じるほか、組織委員会から都に要請のあった開催都市分担金の支払いも含め、都が率先して大会運営を支え、準備を着実に進める必要があると考えますが、今後の取り組みについて知事の所見を伺います。
 次に、東京の災害対策についてでありますが、一たび首都直下地震が発生すれば、多数の負傷者や避難者の発生が想定されます。こうした多くの方々の命を守っていくためには、負傷者を迅速に病院等へ搬送し、物資を避難所等へ輸送するルートをしっかりと確保しなければなりません。
 一方で、都があらかじめ指定している緊急輸送道路だけでも約二千キロメートルあり、震災発災後の混乱の中で、その全てを迅速に確保することは容易ではありません。
 こうしたことから、発災時には、都や国、区市町村、関係機関等が一体となって、緊急車両等が通行可能なルートを早急に確保できるような仕組みを構築し、都民の命を守り、首都機能を維持していくことが不可欠であります。
 都は、発災後の緊急輸送ルート確保に向けた取り組みを今後どのように展開していくのか、所見を伺います。
 緊急輸送ルートは陸路だけではありません。仮に道路閉鎖を余儀なくされたとしても、海路での輸送は可能であるとともに、陸送よりも一度に大量な物資を運ぶことが可能となります。舟運は、人を運ぶこと以上に、物資輸送に大きな意義を有しています。今後、緊急輸送ルートとしての海運のあり方についても検討を進めるよう要望いたします。
 また、大規模災害等の初動時には、この緊急輸送ルートを生かして、警察、消防、自衛隊などの防災機関が相互に連携し、効果的な救助活動を実施していくことが求められます。
 昨年九月の関東・東北豪雨では、各機関が連携した救助活動によって多くの人が救助されました。各機関の連携体制を事前に整備していくことの重要性が改めて認識されたところであります。
 都は、平成二十六年四月に、発災後七十二時間の重要性に鑑み、都と各機関の基本的な連携マニュアルである首都直下地震等対処要領を策定しておりますが、より実災害に即した内容に適宜見直ししていくべきと考えますが、都の所見を伺います。
 東日本大震災や昨年の関東・東北豪雨など災害を振り返ると、広域的な災害対応の必要性を痛感しております。自治体や官民の垣根を取り払い、それぞれが密接に連携し、総力を挙げて災害対応を行わなければ、都民の生命、財産は、決して守ることはできません。
 こうした観点から、我が党は、昨年十月に都に対して緊急要望を行い、広域的な防災対策を一段と推進していくことを強く要望したところであります。
 とりわけ旧立川政府倉庫については、国の活用案はないとも聞いており、都が取得し、自助、共助、公助の観点から、多摩地域を初め、広域的な防災力を高めていく施設として積極的に活用することは有効な手だてだと考えます。
 平成二十八年度予算案に取得費などが盛り込まれており、我が党の要望を受けた取り組みが着実に進んでいるものと思われます。
 今後、取得した倉庫をどのように活用していくのか、見解を伺います。
 東日本大震災では、都内においても五つの区で液状化による建物被害が発生しました。首都直下地震に限らず、遠隔地で発生した地震によっても液状化の被害が生じる可能性は否定できず、当時の浦安市での被害状況を考えれば、道路や上下水道などの基幹的インフラの機能停止により、長時間にわたる生活不全に陥ることが懸念されます。
 大震災発生時の危機管理は、耐震化、不燃化とともに液状化対策も重要である、私は繰り返し、そう主張してまいりました。都は、情報提供や相談体制の整備など、建物所有者に対する支援を整備してきましたが、残念ながら十分だとはいいがたい状況です。
 耐震化や不燃化などと同様に対策を促進すべきと考えますが、建築物の液状化対策について、都の認識を改めて伺うとともに、今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 我が党は、さきの第三回定例会で、首都直下地震の危機、施設の老朽化に加え、火山噴火やテロ行為など、安定給水を脅かす危機要因に備えた施設づくりの重要性を指摘しました。
 それに対し、浄水場の大規模更新に際しては、覆蓋化などを多角的に検討するとの答弁がありましたが、浄水場更新の機会を捉え、危機に備えた強固で強靱な施設を効率的に整備すべきであります。
 また、浄水場は広大な敷地を有しており、更新整備に当たっては、地域住民への還元についてもあわせて考えるべきであります。
 そこで、浄水場更新に合わせた覆蓋化整備の基本方針について伺います。
 また、日々の救急体制の強化も必要です。高齢化の進展等により、救急車の出動件数は増加の一途をたどっており、救急隊が現場に到着する時間も、この六年で約一分延びているのが実態であります。
 四年後には、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、国内を初め、世界中から多くの人々が東京を訪れます。都民はもとより、こうした方々の東京滞在中の病気やけが、さらにはテロ災害等による多数負傷者の発生に素早く対応するため、救急隊を計画的に増隊し、安全・安心の確保に万全を期す必要があると考えます。
 そこで、来年度予定している救急隊の現場到着時間短縮の取り組みと、二〇二〇年大会を見据えた今後のさらなる救急活動体制の強化について、見解を伺います。
 また、都内では、悲惨な交通事故により、いまだに多くの方々が亡くなられており、我が党は昨年の第四回定例会で、さらなる対策の強化を求めたところです。
 これを受けて、都が先ごろ公表した新たな交通安全計画の中間案では、死者の約四割を占める高齢者の安全確保や、全国に比べ事故の関与率が高い自転車の安全対策など、四つの重点課題を設定しています。
 世界の諸都市の中でも、自転車利用者が多い東京においては、根本的な対策をなさなければ、事故を減少させることはできません。自転車安全利用条例に基づく対策を進めていますが、いまだにルール、マナー違反は後を絶たず、新たな対策の検討が急務です。
 現在の道路スペックの中で自転車走行レーンを整備することにより、危険性はふえているのが現状です。
 都民の安全を守るため、現場に即した取り組みを着実に進めていく必要があると考えますが、所見を伺います。
 昨今、毎日のように、国内外を問わず、サイバー攻撃による被害が報道されております。このような状況の中、安全・安心な都民生活を実現していくためには、区市町村を含めた都のサイバーセキュリティー対策をさらに強化していく必要があります。
 昨年の第三回定例会において、都では、来年度から東京都CSIRTを設置し、サイバーセキュリティーレベルの向上を図るとの答弁がなされました。
 そこで、区市町村を含め、都はどのようにしてサイバーセキュリティーレベルの向上を図っていこうとしているのか、見解を伺います。
 次に、医療、福祉等に対して、幾つかお尋ねをしてまいります。
 いわゆる団塊の世代が後期高齢者になる平成三十七年に向け、効率的で質の高い医療提供体制を確保するため、都道府県は地域医療構想を策定することとなっています。
 東京には、特定機能病院の集積、公共交通網の発達、圏域を超えた受療動向などの地域特性があります。こうした中で、都は、二次保健医療圏ごとに病床の適正配置を進めるとともに、周産期医療などの疾病や事業ごとに医療連携体制を構築してきました。
 我が党は、これまでの都の取り組みも踏まえ、東京の特性を反映した地域医療構想を策定できるよう国に要望するとともに、策定に当たっての都の考え方について、昨年の第一回定例会で質問したところであります。
 都は昨年来、策定に向けた議論を進めていると聞いていますが、地域医療構想の策定状況と今後の進め方について伺います。
 都は、昨年三月、平成三十七年の介護サービス見込み量や介護人材の需給推計を踏まえて、第六期高齢者保健福祉計画を策定し、平成二十七年度から平成二十九年度までの間に取り組む施策を明らかにしました。
 一方、国は、一億総活躍社会の実現に向けた目標の一つとして、介護離職ゼロを掲げています。昨年十一月には、都市部での施設整備の促進や介護人材の確保を進めるための緊急対策が示され、平成二十七年度補正予算を含め、積極的な取り組みを進めることとしています。
 都としても、こうした国の動向も踏まえ、高齢者施策の一層の充実を図るべきと考えます。所見を伺います。
 高齢者人口がふえれば、必然的に要介護高齢者数も増加いたします。
 都は、介護や医療が必要になっても、地域でできる限り自立して暮らし続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいますが、介護サービス基盤の整備に当たっては、高齢者のみならず、その方々と生活をともにする家族にも目を配ることが必要だと考えます。
 また、都は、障害者の地域生活支援にも取り組んでおりますが、施策の推進に当たっては、自宅で障害児者の生活を支えている家族のレスパイトについても、十分配慮すべきであります。
 高齢者や障害者が安心して地域生活を送るためには、本人への支援はもちろんですが、在宅生活を支える家族に対する支援の充実が重要と考えますが、見解を伺います。
 地域包括ケアシステムにおいては、医療も重要な構成要素の一つであり、患者の状態に合った質の高い医療を、地域で切れ目なく提供できる体制を整備することが必要です。
 そのためには、地域医療を担う医療機関の連携強化が必要であり、ICTを活用したネットワークを構築し、迅速かつ適切な患者情報の共有を図ることが有効な手段であると考えます。
 アメリカ・オハイオ州のクリーブランドクリニックでは、他の医療機関や患者とネットワークを結び、それを活用して切れ目なく高度な医療サービスを提供し、高い信頼を得ていると聞いています。
 都においても、医療提供体制のさらなる充実に向け、医療機関相互のICTネットワークの構築を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 ひとり親家庭や低所得世帯など、子供をめぐる家族環境はさまざまであり、また、親と暮らすことができず、社会的養護のもとで生活する子供もふえています。
 こうした状況を踏まえ、都では、昨年策定した東京都子供・子育て支援総合計画において、特に支援を要する子供や家庭に対する支援を目標の一つに掲げ、さまざまな取り組みを進めていることについては、評価しているところであります。
 次代を担う子供たちは、社会の宝です。子供たちの将来と東京の未来をより輝かしいものにするためには、子供や家庭の置かれた状況を踏まえた上で、社会全体で子供たちの成長を支えていかなければなりません。
 都は、今後、区市町村や民間団体等とも、より緊密に連携し、支援を一層充実する必要があると考えますが、見解を伺います。
 この四月には、あらゆる分野を対象に、障害者への不当な差別的取り扱いの禁止と合理的配慮の提供を求める障害者差別解消法が施行されます。
 我が党はこれまでも、障害者が地域で安心して暮らせる幸福実感社会の実現を目指し、施策の充実を求めてまいりましたが、世界で初めて二回目のパラリンピックを開催する東京は、障害者差別解消法の施行も契機として、障害者の一層の社会参加を図り、障害の有無にかかわらず、それぞれの能力を発揮することができる都市となる必要があります。
 そこで、今後、どのように障害者の社会参加を促進していくのか、見解を伺います。
 知事は、予算原案において、都立広尾病院を移転改築し、平成三十五年度を目標に、首都災害医療センター(仮称)を整備する計画を明らかにしました。広尾病院は、都における災害医療の中心的な役割を果たす基幹災害拠点病院として、災害、救急医療の重要な一翼を担っています。
 そこで、まずは、首都災害医療センターの整備に当たっての知事の基本的な考え方についてお伺いをいたします。
 二〇二〇年東京大会は、現在の広尾病院のまま、そのときを迎えることとなります。広尾病院は、都立病院の中で最も外国人患者が多く、各競技会場からも近いことから、大会時にも円滑な受け入れが期待される病院です。
 このため、将来の移転改築が予定されているとはいえ、必要な環境整備には決して抜かりがあってはなりません。広尾病院では、その時点においては、どのように対応していくのか伺います。
 多摩地域の医療拠点である多摩キャンパスにおいては、救急、がん、周産期など、重症度の高い急性期医療に加え、小児や難病等の希少疾患に対しても、先進的かつ専門性の高い医療の提供に取り組んでいます。
 少子高齢化の進行や医療技術の進歩等、医療環境は急速に変化している一方、多摩地域は区部と比べ医療資源が少ないため、医療拠点である多摩キャンパスが多摩地域の医療水準の向上において果たすべき役割は、これまで以上に重要なものとなります。
 昨年から検討してきた多摩メディカルキャンパスにおける検討会の最終報告がまとまり、また、来年度予算案には基本計画の策定経費が計上されています。
 そこで、多摩メディカルキャンパス整備に対する知事の基本的な考え方についてお伺いいたします。
 多摩メディカルキャンパス整備に当たっては、多摩地域における高齢化の急速な進行に伴う疾病構造の変化や、多摩地域の医療体制を踏まえた対応が求められます。
 超高齢社会を迎え、脳血管疾患や骨折等の患者が増加傾向にあり、治療後の運動機能の早期回復により、社会復帰や生活の質の向上につながるリハビリテーションの充実は、最重要課題ともいえます。特に、病院を退院し、地域に戻った後も、継続してリハビリを受けられる体制の充実が必要です。
 都内のリハビリテーション実施医療機関は増加傾向にあるものの、多摩地域は区部と比べ、人口当たりの施設数も少ないことから、今回の多摩キャンパスの整備に当たっては、入院患者だけでなく、外来においても、リハビリテーションを実施する体制に機能を拡充することが必要だと考えますが、見解を伺います。
 今後、実効性のある地域包括ケアシステムを実現していくためには、患者の情報が入院先の病院と地域のかかりつけ医とで共有され、最新の情報をもとに診療が行える、切れ目のない連携体制を構築していくことが重要です。
 特に、多摩地域は区部と比べ医療拠点となり得る病院が少ないため、ICTなどのツールを活用した病院間のネットワークの構築によるメリットは非常に大きいと考えます。
 そこで、多摩地域の医療拠点である多摩メディカルキャンパスの整備に当たり、どのような取り組みにより地域の医療機関との連携を強化していくのか、見解を伺います。
 墨東病院は、隅田川より東の地域でただ一つの救命救急センターであり、この地域の中核病院として欠かすことのできない存在です。
 我が党は、高齢化の進行に伴う救急需要の高まりを展望し、平成二十六年第二回定例会の代表質問で、墨東病院の医療機能強化について質問をいたしました。
 知事からは、特に高度な診療機能を有する高度救命救急センターの指定を目指すとの答弁がありましたが、その後の状況について伺います。
 また、人口減少社会において、安心して子供を産み育てられる環境を整備することも重要な医療課題であり、区東部地域の総合周産期母子医療センターとして、周産期医療も充実させていくべきと考えますが、あわせて所見を伺います。
 一方、在宅療養を続けている方の中には、医学的ケアが必要な方もいます。このような患者を急変時に診療することはもちろん、看護している家族のレスパイトのニーズが高まっており、在宅医などの地域の医療機関が協力していくことが重要です。
 東京都保健医療公社は、医療で地域を支えるを基本理念に掲げ、地域の医療連携を推進することを役割としています。地域に密着した医療を提供している公社病院においては、診療所や病院などの地域の医療機関と連携協力して、在宅療養患者や家族に対する支援を行うことも求められています。
 こうした地域医療の状況を踏まえ、公社病院において、在宅療養支援にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、産業政策についてお尋ねいたします。
 東京は、力強い経済で日本をリードするという大きな使命を担っています。二〇二〇年大会を見据えたオール日本の協力体制を築き、その効果を全国に波及させるためにも、全国各地と連携した産業振興策を強力に推し進めていく必要があり、我が党はさきの第四回定例会において、他の自治体の意見やニーズに真摯に耳を傾けた取り組みを求めました。
 自治体がお互いの個性を尊重し合いながら、よきパートナーとして取り組んでいくことが、信頼関係を高め、東京五輪大会の成功にもつながると考えます。四十六道府県に出向き、さまざまな連携の議論を進めているところではありますが、できることから速やかに事業として立ち上げていくべきと考えます。
 都は、オール日本の視点に立った産業振興をどのように展開していくのか、見解を伺います。
 日本経済の力強い発展、そしてGDP六百兆円という高い目標の達成に向けて、都内の中小企業が国内外で稼ぐ力を高めていく必要があります。アベノミクス効果が全体の景気を押し上げつつある今、さらに中小企業へと波及させていく必要があります。景気の下支えという守りに加え、新事業や海外など新たな市場を目指して、積極果敢に攻め込む支援を強力に展開していく段階に来ていると考えます。
 例えば、革新的技術を活用して新たな製品やサービスを開発したり、自社が持つすぐれた技術に裏打ちされた製品によってグローバル市場に打って出るなど、自分たちの殻を破って活動している中小企業も多数存在しております。
 都は、こうした攻めの事業展開を行う中小企業を強力に後押ししていくべきと考えますが、見解を伺います。
 中小企業が事業を営む上で欠かせないのが事業資金の確保です。都も、制度融資を中心に多くの融資メニューを設けておりますが、日々の資金繰りに加え、海外展開や設備投資など積極的に打って出る企業のニーズにしっかりと応えていくため、融資メニューのさらなる拡充や利用する企業の負担軽減策など、一層の支援が今求められています。
 中小企業を強力に後押しする攻めの金融支援の取り組みについて伺います。
 また、我が国最大の展示施設である東京ビッグサイトは、数多くの展示会を通じ、新たなビジネスチャンスを生み出し、中小企業の販路拡大に貢献してきました。ビッグサイトでは、現在、二〇二〇年大会を契機とした産業振興を図るため、施設の拡張や仮設展示棟の準備をしているところであります。
 また、大会組織委員会が整備する体操競技場については、大会終了後に展示施設として有効活用することとしており、さらなる中小企業の販路拡大の機会がふえることが期待されています。
 しかし、東京ビッグサイトは、大会の関係施設として長期にわたり利用制約を受けることから、中小企業や業界団体の間では、展示会が開催されないことによるビジネスチャンス減少の懸念が高まっています。
 都は、さきの定例会における我が党の代表質問に対し、あらゆる方策を検討していくと答弁しました。大会が刻一刻と近づく中、早急に具体的対策案を打ち出していくべきと考えますが、所見を伺います。
 昨今、食の安全への関心の高まりなどを受け、都市農業に対する都民の意識が大きく変化するとともに、都市農地は、良好な生活環境を形成する貴重な緑地や災害時の避難場所として役割が見直されています。
 多くの農業者が担い手の確保や農地保全の問題などを抱える中で、我が党が中心となって成立させた都市農業振興基本法においても、都市農業の継続と都市農地の有効活用や保全が図られるべきと明確に位置づけられました。都市農業を取り巻く環境が大きな転換期を迎えている今、この機を捉え、一気呵成に施策を推進すべきであります。
 都市農地を保全し、これからの都市農業を牽引する意欲ある農業者や、次代を担う新規就農者の経営力向上を図っていくなど、都は、将来を見据えた新たな施策を展開すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 世界一の観光都市の実現に向けて、東京の魅力を世界に向けていかに発信していくかが重要ですが、新たな観光の切り口として注目すべきなのが、インフラツーリズムであります。
 富山県の黒部ダムや新潟県の奥只見ダムなどは、自然環境と圧倒的な構造物の調和を楽しむために多くの観光客が訪れます。春日部市にある首都圏外郭放水路は、テレビのロケ地としても有名であり、見学会では抽せんになるほどの人気ツアーとなっています。
 ふだん何げなく通過している橋梁や、海辺に存在するガントリークレーン、都民の命や財産を守っている環状七号線の地下調節池や河川堤防、浄水場や水再生センター、小河内ダムや白丸発電所など都民生活に欠かせない施設など、角度を変えて見ると、観光資源足り得るインフラは各地に点在しております。
 こうしたインフラ施設は、高度な土木技術を駆使し、私たちの日常生活を支えている、なくてはならない存在です。大都市東京を支えるさまざまなインフラをめぐり、背景にある高い技術力に思いをはせることで、より深く東京の魅力を感じてもらうと同時に、インフラの重要性を再認識してもらう意義は大きいと考えます。
 また、こうした施設が都内各地に点在しているということは、工夫次第でそれぞれの地域の活性化にもつながると考えます。
 都としても積極的に公共インフラを活用した観光振興を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 公共インフラのほかにも、都内の各地域には、歴史的な建物や伝統工芸など観光資源となり得る数多くの魅力が存在します。地元のさまざまな団体が、時には自治体の力を使いながら、身近な施設等を観光資源として発信し、国内外から多くの旅行者を呼び込むことができれば、商業やサービス業の振興につながり、雇用もふえ、地域社会は確実に活性化いたします。
 地元から観光を盛り上げる流れを後押しし、地域を元気づける努力こそが大切なのではないでしょうか。
 観光振興を通じて地域の活性化を進める取り組みについて、知事の所見を伺います。
 一億総活躍社会の実現には、障害者や難病患者の就業支援が欠かせません。二〇二〇年を見据え、障害者がスポーツはもちろん、あらゆる分野で活躍できる環境を整備していくべきです。
 我が党はこれまでも、一人でも多くの障害者が安心して就業できるよう、各局が連携した積極的な取り組みを求めてきました。これに応えて、都が来年度、安定的な雇用や処遇の改善といった課題に踏み込んで取り組んでいくことは、重要な視点だと考えます。
 これに加え、障害者総合支援法の対象となる難病が大幅に拡充されたことなどを踏まえれば、難病患者の就業支援についても一層取り組みを強化していくべきであります。
 障害者や難病患者が、希望とやりがいを持って、生き生きと働ける環境の実現に向けた知事の見解を伺います。
 近年、我が国で頻発する自然災害に対応するとともに、アベノミクスによる民間投資を喚起する成長戦略を支えるためにも、都市基盤の整備は重要です。
 都市基盤の整備推進に当たり、都民に、より深い関心を寄せてもらうためには、先人たちが培ってきた土木技術の卓越性や、幾世代にもわたって発揮される整備効果をしっかり説明していくことが必要です。
 従来、経済対策としての即効性の面でフロー効果が重視されがちでしたが、昨今では、防災力の強化や生産性の向上など、都市基盤が本来持つストック効果に、ようやくスポットが当てられるようになってきました。
 こうしたストック効果を都民に広くPRすることで、円滑な整備推進の追い風としていく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 東京の重要な都市基盤の一つに、下水道があります。東京の下水道事業は、明治時代に整備した神田下水に始まり、大正時代には三河島汚水処分場が稼働するなど、その歴史は長く、現在では下水道管が約一万六千キロメートル、水再生センターが二十カ所まで規模を拡大してきました。
 その間、衛生環境の改善や浸水の防除等の役割を担い、今日に至るまで、東京の都市活動や都民生活を支えてまいりました。こうした下水道の役割は変わるものではありませんが、近年の社会状況等の変化に伴い、新たな課題への取り組みが求められています。
 高度成長期に整備した下水道施設の老朽化や、近年多発する局地的な集中豪雨への対策など、下水道事業への都民の期待は大きいものがあります。
 下水道局では、こうした期待に応えていくため、先般、新たな経営計画を作成したところでありますが、今後どのように下水道事業を運営していくのか伺います。
 そして、東京が都市の魅力を今以上に高めるためには、その基礎となる社会資本の着実な整備と適切な維持管理が不可欠です。
 しかし、近年、これらの社会資本を技術力で支える中小事業者は、人材の育成、確保が困難になってきています。
 都は、平成二十八年度予算案において、昨年に続き一兆円を超える投資的経費を計上しています。入札不調も減少し、発注量も増加するなど、我々都議会自民党が取り組んできた入札契約制度の改革が実を結んでおり、都内の建設市場も改善の兆しがより明確になってきています。
 今こそ事業者は、このチャンスを生かして技術者の育成を図り、二〇二〇年以降にも活躍していく、しっかりとした土台をつくっていってほしいと願っております。
 同時に、発注者である都も、建設市場の健全な発展のためには、契約の相手方である元請ばかりでなく、中小事業者が技術者を持続的に育成、確保できる環境を整えることが重要であります。
 都は、下請を含む建設事業者全体の健全な発展を支援する姿勢を明確に示し、発注者としての責任を果たしていくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、技術人材の育成、確保のためには、都発注工事に中小事業者がより一層参加しやすい機会をつくっていくことも重要です。都は、我々の問題提起を受けて、これまでもJV基準の見直しや、総合評価方式に地域精通度という考えを反映し、意欲と能力、さらに地域に貢献している中小事業者の入札参加を促す取り組みを進めてきました。このことは、中小事業者の大きな励みにもなっています。
 一方で、都の工事成績を重視している現行の総合評価方式では、都の工事実績のない事業者が参入するのは難しく、実績をつくるためには、低価格の入札を行わざるを得ないという現実もあります。
 価格だけでなく、地元で培った技術力を評価することを通じて、中小事業者の人材育成を支援していくことも、発注者としての都の責任と考えますが、所見を伺います。
 さて、国の調査によると、平成二十五年における都内の空き家総数は、五年間で七万戸増加し、八十二万戸となっているようでございます。東京の人口は、平成三十二年にピークを迎え、減少に転じると推計されていることから、今後さらに空き家が増加していくことが考えられ、防災、衛生など、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。空き家を適切に管理、活用するためには、相続や賃貸、売買など、所有者の抱えるさまざまな課題に対して、きめ細やかな支援を行うことが重要です。
 空き家対策についての知事の見解を伺います。
 昨年十二月に公表された都市計画道路の整備方針案において、今後十年間で優先的に整備すべき路線などが示されました。都市計画道路は、渋滞の解消や都民の安全と暮らしを守るなど、多様な機能を有する重要な都市基盤です。
 災害時の避難や物資輸送など防災の観点も踏まえると、都内の連携はもとより、他県との連携は不可欠であり、都県境も含めた着実な道路整備が必要です。
 来年度から、新たな整備方針のもと、都市計画道路網を早期に形成し、その機能を発揮していくことが重要であると考えますが、見解を伺います。
 東京大会開催時までに、障害のある方々も安心して競技会場に足を運べる利便性の向上が求められます。こうしたことから、交通機関や公共空間におけるバリアフリー化をこれまで以上に進める必要があり、道路においても、高齢者や障害者を含めた全ての人が円滑に移動できる環境の整備が重要です。
 都は、平成二十六年十二月に策定された長期ビジョンにおいて、誰もが安心して過ごせるバリアフリー環境の構築を政策指針に掲げており、都道のバリアフリー化に、より積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 また、都内にはいまだ多くの踏切が残されており、交通渋滞や踏切事故の原因となるなど、経済活動や都民の暮らしの支障となっています。日本の経済を牽引する東京は、都市の活力と魅力を高め、激化する国際的な都市間競争に勝ち抜かなければなりません。
 連続立体交差事業を積極的に進め、複数の踏切を除去し、道路ネットワークの形成を促進することで、人と物の流れを円滑にし、世界で一番の都市東京を早期に実現すべきであると考えます。
 そこで、連続立体交差事業の新規事業化に向けた今後の取り組みについて伺います。
 公共交通機関の最大の使命は安全の確保であり、世界で一番の都市東京を実現するためにも、交通局は安全対策に重点的に投資を行い、施設設備の安全に万全を期すとともに、マンパワーの充実を図り、鉄道の安全性向上に率先して取り組んでいく必要があります。
 ホームドアなどの安全設備の取り組みは確実に進んできています。しかし、どれほど安全対策のためにすぐれた設備を導入しても、利用者の安全を守るのは、最後は人です。
 そのため、職員一人一人の安全意識の醸成や、これまで蓄積してきた技術力の継承など、安全を支える人材の育成が不可欠です。
 そこで、都営地下鉄の安全対策について、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、東京港の機能強化について伺います。
 東京港は、東京のみならず首都圏全体、ひいては東日本全域の生活と産業を支えているといっても過言ではありません。
 国内の経済活動の活性化や生産拠点の海外進出等も進む中、輸入貨物は増加の一途をたどっております。今後、円滑な物流を実現するためには、海上運送と陸上運送の連携を強化していくことが重要です。
 輸入貨物の増加は、我が国の物流の不可逆的な大きな流れであり、東京港においては、これらを踏まえ、コンテナふ頭の再編、バックヤードの拡張、充実、道路網の強化だけではなく、東京港全体の機能配置を見直すなど、二十年、三十年後という将来を見据え、戦略的に取り組んでいかなければ対応し切れないと考えます。
 今後の物流動向全体の変化も視野に入れ、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 さて、昨年十二月に、いわゆるCOP21が開催されました。今回の会議は、昨年、世界の平均気温が過去最高を更新し、さらに温暖化が原因と疑われる異常気象や海面上昇が各地で起きている中で開催されたものであります。
 区部東部低地帯に住まう私たちにとって、地球温暖化による海面上昇、異常気象による台風の巨大化やたび重なる豪雨は、命にかかわる危機であり、喫緊の最重要課題であります。
 こうした気候変動の危機が迫る中、途上国も含め全ての国が参加したパリ協定が採択されました。産業革命前からの気温上昇を二度未満にし、一・五度に抑える努力の追求が協定に盛り込まれたことは大きな意義を持つものであります。
 今回のパリ協定を実効性あるものとするためには、世界の温室効果ガスの七割を排出している都市の果たす役割が極めて重要です。
 都は、二〇三〇年に、二〇〇〇年比三〇%削減という新たな削減目標を掲げましたが、目標を着実に達成していくために、今までの取り組みを強化するなど、地味ではあっても着実な歩みを進めることに加え、新たな施策も駆使して、世界の範ともなる行動を示してほしいと思います。
 今後どのように取り組まれるのか、知事の見解を伺います。
 パリ協定は、長期的にはCO2排出量実質ゼロを目指すこととなっており、世界全体で再生可能エネルギーなど、低炭素エネルギーの拡大に向けた動きを加速させていく必要が高まっています。
 先般、都の環境審議会答申において、新たな再生可能エネルギー利用拡大目標が示されましたが、その意義と実現に向けた取り組みについて、知事の見解を伺います。
 我が党は、昨年の第三回、第四回の二回にわたる都議会定例会において、一日の走行距離が長いタクシーの環境性能の向上によるCO2の削減と、パラリンピックの開催を契機とした東京のバリアフリー化を推進するため、車椅子のまま乗車できるタクシーの普及に向けた支援を強く要望してきました。
 知事は、こうした我が党の要望に応じ、来年度予算案で、環境性能が高く誰にでも優しいタクシーの普及事業として、新たな補助制度の創設を打ち出しております。
 そこで、改めて、環境性能の高いユニバーサルデザインタクシー普及事業の狙いとその内容について、知事の見解を伺います。
 地下水は、地上に降り注いだ雨が時間をかけて地中に涵養されるものであり、河川や湧水となって地表を潤し、豊かな都市環境を創出するなど、健全な水循環にとって大切な役割を担っています。
 東京の発展の過程においては、過去著しい地盤沈下が進行したことから、国の法規制に加え、都は条例による揚水規制を実施し、水循環の健全性の維持回復に努めてきました。
 しかし、都市化が進む中、コンクリートやアスファルトで覆われた地面は、雨を地中に浸透させることなく河川や下水を通じて海に注がれているのも事実であります。
 一方、東日本大震災を契機として非常用井戸の設置が進むなど、地下水利用に対する社会的な関心が高まっています。
 国は、一昨年に施行した水循環基本法に基づき、水にかかわる施策を総合的に推進することとし、昨年策定した水循環基本計画では、持続可能な地下水の保全と利用を図る考え方を示しており、先日の都の環境審議会答申でも、こうした考え方に基づき環境基本計画を取りまとめるよう提言が行われています。
 そこで、今後都は、地下水の保全と利用についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 また、東京都は、首都東京の貴重な水源である多摩川上流域の森林のうち、約半分を水道局が水道水源林として百年以上前から所有し適切に管理してきました。この結果、都民の水がめである小河内貯水池は、建設から五十年以上経過しても土砂の堆積が極めて少なく非常に良好な状態を保っています。
 一方、荒廃の進行した民有林が存在し、今後は水源涵養の機能の低下や土砂流出による貯水池への影響が懸念されます。
 我が党は、これまでも長期的な視点に立った対策の必要性について主張してまいりましたが、この主張を受け、水道局では荒廃した民有林の購入を進めています。しかし、長期にわたる林業不振などから荒廃はさらに進行しており、早急に対策の強化が必要であります。
 また、貯水池への土砂流入などの影響を考えると、購入した民有林はできるだけ早期に現在の水道水源林と同程度の健全な森林に再生させることが必要です。
 森林の再生に当たっては、水道局がしっかりと責任を持った上で、住民等の参加による森づくりを取り入れれば、水源地保全の必要性についての理解促進を図るよい機会ともなり、一石二鳥の効果があります。
 そこで、今後、荒廃した民有林の対策をどのように行っていくのか伺います。
 また、森林は水源林としての役割のほかにCO2固定の機能も担います。加えて、適切に管理することによって、都民の憩いの場としても親しめる空間を提供することが可能であります。こうした多機能を有する都市林としての整備を目指すよう要望させていただきます。
 次に、都教育委員会に伺います。
 我が党はかねてより、発達障害の児童生徒への支援体制や都立特別支援学校の教育環境の整備を求めてきました。
 都はこれに加え、東京都特別支援教育推進計画を策定し、多様な施策を展開してきましたが、来年度にはこの計画も終了となります。
 また、本年四月には、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が施行されるとともに、社会情勢の変化に伴い多様化する保護者の要望に、都はこれまで以上に適切に応えていく必要があります。
 加えて、東京パラリンピック大会を契機に、心のバリアフリーの推進に向けた取り組みを進めるためにも、今後の東京都における特別支援教育の充実策を検討する必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 ことしの大相撲初場所では、琴奨菊関が優勝し、その姿に多くの人々が感動を覚えました。このように、日本人アスリートの活躍は私たちに誇りと勇気をもたらします。こうしたアスリートの活躍をただの感動で終わらせず、二〇二〇年に向けて、子供たちが進んでスポーツに親しみ、心身ともにたくましく成長していけるように働きかけていくべきであります。
 今、東京の子供の体力は全国に比べて低い状況にありますが、オリンピック・パラリンピック開催都市にふさわしく、子供たちの行動をより活発にしていくため、これまで以上に工夫した体力向上の取り組みを進める必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 多摩振興についてお尋ねいたします。
 多摩においては、二〇一九年ラグビーワールドカップの開会式と開幕戦が開催され、前年にはその幕あけとなるイベントも行われる予定となっています。さらに、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック大会で、サッカー、バドミントン、近代五種などの競技が実施されることが決まっています。
 これらの世界的なスポーツの祭典が続けて開催されることにより、多摩地域は世界から大きな注目を浴びるとともに、国内外から多くの人々が来訪することが期待されます。
 また、圏央道の都内区間が全線開通し、多摩地域の利便性の向上が図られたほか、立川駅周辺では商業施設などが続々と立地しており、にぎわいを見せています。
 その一方で、昨年十月に発表した東京都総合戦略によれば、多摩地域の人口は、二〇一五年の約四百二十万人をピークに減少に転じ、二〇六〇年には三百万人を割り込むと見込まれており、現に人口減少が始まり、高い高齢化率を示している自治体も存在しております。
 また、老朽化した都市インフラの更新や防災対策の推進など課題が山積しており、今後、多摩地域は厳しい環境下に置かれることが予想されます。
 そこで、今後どのように多摩地域の振興を図っていくのか、知事の所見を伺います。
 最後に、一言申し上げます。
 私は二年前、知事が当選された直後の施政方針演説をよく覚えています。なぜか、それは、あのときの発言そのままに舛添知事が都政のかじ取り役を果たされるならば、都政は決して方向を間違えることなくさらに発展できる、そう確信したからであります。
 しかし、私の期待はこの二年間でしぼみかけております。
 施政方針の前段では選挙戦について触れ、都内をくまなく回り、さまざまな話を聞く貴重な機会を得た、これからも現場を重視し、地域の声を都政に反映させていくと演説されました。
 多摩の発展について言及された際には、地をはうアリの目をもって、つぶさに現場を見詰め、そこに暮らす都民の皆様方の声を直接受けとめて、地域が抱える問題にきめ細やかに対応する、同時に、空を飛ぶ鳥の目で、東京全体を俯瞰する視点を持ちながら力を尽くす、こう発言されておりました。
 我々都議会自民党は、都市外交を否定しているわけではありません。しかし、海外出張より前に、なすべきことがあるのではないかと申し上げているのです。都内の現場に足を運ぶ、都民の声に耳を傾ける、このことの方が重要ではないのかとただしているのです。そのバランスのまずさを問うているのです。
 また、政治姿勢については、国をあしざまに批判するような姿勢はとらない、一見、勇ましい批判が喝采を浴びたとしても、それが都民生活の向上につながらなければ意味がない、必要なのはリアリズムと実行力であり、その結果の責任をとる、これが政治の基本だといっておられました。私も全く同じ思いであります。
 最後にはマックス・ウェーバーの言葉を用いつつ、たとえ困難な道であったとしても、地に足をつけて前へと進む、その覚悟と勇気を持つ者だけが、都民に明るい未来と本当の幸せをもたらすことができると確信している、こう締めくくっております。
 我々都議会自民党は、都政において、都民生活の向上と都政の発展のために力を尽くしてまいりました。そのためには、水面下でも必死に汗をかき、時には泥をかぶることもいとわずに前進をしてまいりました。我々の思いは、知事の考える政治、その目標と一致している、私はそう考えております。
 結果を残すためには、理想を追い求めるだけではなく、責任が伴うわけでございます。就任当時の初心を忘れることなく、知事の役割をぜひ全うしていただきたい。
 夢を語り、その実現のために覚悟を持って臨んでいく。都議会自民党は、その理念を決してたがえることなく責任を果たしてまいります。このことを最後にお誓いを申し上げ、代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 宇田川聡史議員の代表質問にお答えします。
 多くの建設的なご質問をいただきまして、感謝を申し上げます。
 まず、二十八年度予算にかける私の思いについてでございますけれども、私が知事として目指している政治の役割とは、一人一人が自分の力を思う存分発揮できる、そういう活力に満ちた社会をつくることでありまして、また、人々の生活水準を押し上げて、豊かな暮らしを実現することであります。
 こうした私の政治家としての原点に立ちまして、今回の予算編成につきましては、長期ビジョンを軸にしまして、ゆとりのある成熟社会の実現に向けて、特に二つの点で、私の思いを強く打ち出したものでございます。
 まず第一点、これは貧困の連鎖など将来の成長への足かせを今ここで取り除き、あらゆる方々が活躍できる、そういう環境を整えるということであります。
 それからもう一つは、二〇二〇年の先も東京を光り輝くものとするために、未来への投資を積極果敢に行うということであります。
 具体的なことを申し上げますと、まず子供の貧困対策、それから非正規雇用対策など、学びや仕事に意欲ある人々の支援に向けて国を先導する、国に先行してやる、こういう取り組みを強化したいと思っております。
 また、中小企業の成長分野への参入を支援する、それから観光の一大産業化を図る。そういうことによって新たな富を生み出しまして、東京のみならず日本全体の成長につなげるために、都政の力を積極的に動員したいと考えております。
 リオ大会後には、世界中の視線がこの東京に注がれることとなります。二〇二〇年大会の成功と、その先の東京の姿を見据えますれば、今こそ、東京を世界一の都市へと飛躍させるための基礎を固めるときだと考えております。
 私の施策展開の基盤となります財政対応力を堅持しながら、この予算を原動力に、東京の未来を創造すべく、私みずから先頭に立って全力を尽くしていく決意でございます。
 続きまして、自己改革の取り組みについてご質問がございましたけれども、これは都民のニーズにかなう施策をいかに効率的に実行し、都民サービスの向上を図っていくか、それが都政をあずかる者としての使命であると考えてございます。
 こうした使命を確実に果たしていくためには、都政を取り巻く状況の変化を踏まえまして、施策の新陳代謝を促すのみならず、職員一人一人が常にコスト意識を持って、無駄を省いて質を向上させる、そういう努力を不断に続けなければならないと考えております。
 こうしたことから、私は、昨年に続きまして平成二十八年度予算編成におきましても、こういうさまざまな施策の見直しをやることのインセンティブを継続させる、で、各局の自主的な改革や、それから局と局の間の連携も強化することで、事業の見直し、再構築を徹底して、施策の効果をより高める取り組みも積極的に実施をいたしました。
 この結果、どれぐらい見直し、再構築を行ったかというと、前の年、前年度と比べまして四十一件増加して、三百二十五件についてこれを行いました。また、障害者スポーツの場の拡充に向けまして、新たに都立学校を活用したモデル事業を立ち上げるなど、組織の垣根を超えて実効性のある施策の構築も実現した次第であります。
 今後とも、こういう自己改革を一層徹底することで、都民にとって真に必要な施策の構築と、政策展開を支え得る強固で弾力的な財政基盤の確保を同時に達成していきたいと考えております。
 次に、二〇二〇年東京大会に向けての決意についてでございますけれども、私が知事に就任しましてから、この二年間、都立競技施設の整備を着実に前に進めるなど、二〇二〇年大会の成功に向けまして、その準備に邁進してまいりました。
 しかしながら、大会準備が本格化するにつれまして、数多くの課題が実は顕在化してきてございます。例えば、深刻化するサイバーテロの脅威に加えて、先般のパリの同時多発テロの発生などによりまして、セキュリティー対策の重要性がこれまでに比べて格段に増大してございます。
 また、ご指摘いただきましたように、二〇二〇年大会は過去最高の競技数が見込まれておりまして、世界各国から最大規模の選手、大会関係者、それから要人、もちろん観客が、この高度に都市機能が集積した大都市であります東京に集中いたします。その中で、質的、量的に高いレベルのホスピタリティーを保ち、それから何よりも安全・安心の確保、円滑な輸送など、まさに万全な運営が求められてございます。
 さらに、資材や人件費の高騰といった状況下で、施設準備を初め、大会準備全般に当たっていかなければなりません。このように、二〇二〇年大会は、既に招致のときの想定をはるかに超える膨大な事業となりつつあります。
 しかし、この大会を史上最高のものとしてなし遂げるには、まさにオールジャパンで対応をしなければなりません。そのためには、組織委員会、国と密接に連絡をとり、大会成功に向けた新たな役割分担を決め、開催都市である都が先頭に立って、着実に準備を進める体制を構築してまいります。
 どうしても、宇田川先生、これまで国と組織委員会と調整をやるということで、若干私も遠慮ぎみなところもございましたけれども、森大会組織委員会会長からも、遠慮しないで前面に立ってやるんだということをおっしゃっていただいておりますので、そういう決意で臨みたいと思っております。
 日本銀行の試算によりますと、経済効果は三十兆円にも上るということであります。しかし、それだけではございません。オリンピック・パラリンピックは未来に向けた投資となって結実し、先ほどおっしゃっていただいたように、社会、経済、文化などあらゆる分野で東京に力を与え、日本を元気にしてまいります。
 大会経費の不断の精査はもちろんでございますが、成熟都市にふさわしい大会として成功させ、有形無形の大きなレガシーを東京、そして日本に末永く残すため、なすべきことを果敢に実行していきたいと思っております。
 私は、先ほど申し上げましたように、開催都市の責任者として、オリンピック・パラリンピックに寄せる都民、国民の大きな期待に応えるため、この大会を何としても成功させる責任を全うしていく覚悟でございます。宇田川議員を初め、皆さん方のご支援をよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、大会開催に向けた取り組みでございますが、今後四年間は、大会を成功に導き、東京のみならず日本全体の未来を創造していく上で重要な時期となります。世界中の注目が集まりますリオ大会の機会を捉えまして、ジャパンハウスなどを通じまして、世界に向け、東京の魅力を発信したいと考えております。また、全国四十六道府県のPRも積極的に支援してまいります。
 国内では、都内や被災三県においてライブサイトを開催しまして、大会の感動と興奮を伝えてまいりたいと思っています。大会終了時には、私はリオ市長から大会旗を引き継いでまいりますけれども、都内の区市町村はもとより、これを日本各地で披露して、同時にそのときにイベントなどを展開しまして、大会開催機運、そういう機運の醸成を高めていきたいと考えております。
 また、着実な施設整備やバリアフリー化の推進、ボランティアの裾野拡大や事前キャンプの誘致支援などについても準備を加速化させてまいります。そして、引用してくださいました、二〇二〇年に向けた東京都の取組に掲げました多岐にわたるレガシーを具体化してまいります。
 さらに、パラリンピックにつきましては、これは世界で二回やる都市は我々東京が初めてでございますので、障害者スポーツの普及啓発や選手の競技力の向上など、その振興を集中的、重点的に推進してまいります。
 ここのところ毎週のように、パラリンピックの選手を探そうということでイベントをやっておりましたら、雨が降ってもたくさんの方が来られまして、ぜひこういう中から、東京からパラリンピックの選手を出したいと考えております。
 こういうことも含めまして、私は大会の成功に向けまして、全力でこれらの取り組みを確実に前に進めてまいります。そして、東京と日本のさらなる発展につなげていきたいと考えております。
 今も申し上げました障害者スポーツでありますけれども、基金創設の意義と障害者スポーツ振興の方向性についてご質問がございました。私はこれまで、パラリンピックの成功なくして東京二〇二〇大会の成功はない、これをいつもいってきましたので、その考えのもとに、障害者スポーツの裾野の拡大、さらに競技力向上に至るまで、さまざまな施策をこれまでも打ち出してまいりました。
 先ほど申し上げましたNO LIMITS CHALLENGE、それからチャレスポTOKYOなどの体験型イベント、そして、今申したパラリンピック選手発掘プログラム、もうこれは本当にありがたいことに、本当に多くの都民の皆さんにおいでいただきましたし、また、マスメディアの皆さんにも大きく報道していただいております。そういうことを体験しながら、障害者スポーツに対する機運が確実に高まっているということを実感している次第であります。
 しかし、そうはいいましても、障害者スポーツの理解促進、基盤づくり、まだまだ課題が山積してございます。その解決に向けた施策を局の垣根を超えてやらないと、福祉保健局だけでもだめだと、オリ・パラ局だけでもだめだと。それから、じゃどう移動させるか。道路のバリアフリーと、さまざまな局が関連しているわけでありまして、こういう局の垣根を超えまして、私のリーダーシップのもとで集中的、重点的に推進していくために、安定的な財政基盤として障害者スポーツ振興基金を創設いたします。
 今後は、障害者スポーツの振興に向けまして、さまざまなメディアを活用して、障害者スポーツの認知度を飛躍的に向上させていきたいと思っております。さらに、都立特別支援学校の活用の順次拡大、多様なニーズに対応できる場の整備、競技団体の強化や国際大会で活躍する選手への支援等を積極的に進めてまいります。どうしても体育館が足りないんです。練習する場が足りないんです。だから、特別支援学校にそういう場がありますから、これをぜひ活用させる。そういうところから始めていき、長期的には、ぜひ皆さん方のご理解をいただいて、やはりもう少し障害者のための総合的な体育館、スポーツ施設を私はつくるべきだと考えております。
 こうした取り組みの成果としまして、社会に障害者スポーツが根づき、障害のあるなしにかかわらず、誰もがスポーツを通じて生き生きと豊かに暮らせる都市を実現していくと。そして、それを大会後のすばらしいレガシーとして残したいと考えております。
 続きまして、ラグビーワールドカップ二〇一九に向けた準備についてでございます。ラガーがそこにおられますので、そちらを向いてお話をいたしますけれども、二〇一九年大会は、アジア初開催のラグビーワールドカップにふさわしい大会となるように、何としても成功させ、翌年開催の二〇二〇年オリンピック・パラリンピックにつなげていく必要がございます。
 このため、今後さまざまな機会を通じまして、ラグビーの魅力やすばらしさを伝えてまいりたいと思っておりまして、都民、国民の開催機運を高めていきたいと思っております。
 六月には、東京スタジアムで日本代表対スコットランドの注目のテストマッチが開催されます。これを絶好の機会と捉えて、地元自治体と連携して、会場周辺のイベントなどを通じた機運醸成やPRを行うとともに、二〇一九年大会へ向けて、大会運営ノウハウ等の蓄積を図っていきたいと思っております。
 それから、東京スタジアムについてでありますけれども、臨場感、競技環境、ホスピタリティー、スタジアム機能の向上など、実はそういう課題について調査を開始しております。会場周辺及び交通アクセスなどについても、これは課題がございます。
 私が非常に心配しているのは、ラグビーというのはやっぱり、非常に行儀のいいお客さんが多くて、終わった後に、その臨場感を持ったまま近くでお食事をしたり、みんなであの試合よかったねと話すんですけど、そういう場がないんですね。ですから、これはぜひ、地元の先生方もおられますので、皆さん方のお力もおかりしまして、そういう場を地元にたくさんつくりたいというふうに考えておりますので、ご協力をいただきたいと思います。
 私は、十二開催自治体協議会の会長といたしまして、各自治体間の強固な連帯のもと、大会準備に万全を期すとともに、組織委員会から要請のございました分担金の拠出も含めまして、開催都市の役割をしっかりと果たしてまいりたいと思っております。
 今後、都議会の皆様のご支援を、特にこの分担金の問題についていただきながら、大会の成功に向け、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、広尾病院の後の話ですが、首都災害医療センターの整備についてであります。
 災害から都民の生命を守ることは、都の最大の使命でございます。都立病院では、多くの傷病者を受け入れるために災害医療体制を確保するとともに、免震構造の導入や非常時における電力の多様化など、施設整備を進めてまいりました。
 中でも広尾病院は都心部で唯一となります基幹災害拠点病院として、非常に重要な役割を担っております。このため、移転改築し、その機能を抜本的に強化することにいたしました。移転先は、旧青山病院跡地等を想定してございます。この場所は、災害発生時に緊急車両の専用道路となります青山通りに面しています。そういう意味で、交通アクセスの上でも、非常にいい立地条件だと思っております。
 また、移転改築に当たりましては、基幹災害拠点病院としての機能はもとより、スポーツ医学や国際化に対応した医療など、新たに対応すべき医療課題についても広範な検討が必要だと考えております。首都災害医療センターの平成三十五年度の開設に向け、着実に準備を進めてまいりたいと思っております。自然災害だけではなく、これはテロを警戒しないといけないですから、NBC災害、そして、テロに伴う新たな災害医療の拠点としての整備をして、安全・安心な都市を実現したいと考えております。
 次に、多摩の病院の話であります。
 多摩メディカルキャンパス整備の基本的な考え方でございますけれども、福祉先進都市を確立し、東京を将来にわたり発展させるためには、医療分野の充実は重要でございまして、より質の高い医療提供体制を構築していく必要があります。
 とりわけ、多摩・島しょ地域におきましては、これまでも地域の医療特性に応じた診療基盤の整備などを行ってまいりましたが、医療環境が急速に変化していることもありまして、これまで以上に医療提供体制の充実が必要でございます。
 私も、多摩メディカルキャンパスを一つ一つつぶさに視察させていただきましたけれども、そういう視察の経験も受けまして、神経病院を改築して、都における難病医療の拠点としたいと思います。
 それから、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターの医療機能をさらに充実させて、キャンパス内の各施設の連携を一層強化することによりまして、本当の意味での多摩メディカルキャンパス、これを再構築したいというふうに思っております。
 こうした取り組みによりまして、都内でも最大級の医療資源が集積する多摩メディカルキャンパスにおきまして、より高度で専門的な医療の提供に向けた整備を行い、多摩・島しょ地域の医療拠点として、地域全体の医療水準の一層の向上を図ってまいりたいと考えております。多摩の発展なくして東京の発展はないということは、この医療の分野でもしっかりと実現したいと思っております。
 続きまして、また多摩の問題でありますけれども、都市農業の振興についてでございます。
 東京では、ハウス栽培等により、限られた農地を最大限に活用して多種多様な農産物が生産されておりまして、農業者の努力と創意工夫によりまして、都民に新鮮で高品質な食材が提供されております。先般、農協の方から提供されましたウドを食べてまいりまして、大変いい味であることを再確認をいたしました。
 一方で、都市農業は、農産物価格の低迷や農地の減少、担い手の高齢化など、さまざまな課題を抱えてございます。都市農業振興基本法の制定などを踏まえまして、安定的に農業が継続できる、そういう環境整備が必要でございます。
 このため、都は、より収益性の高い農業経営の実現を目指し、高品質な農産物を効率的に生産できる栽培施設や高性能農業機械などの整備を支援する。さらに加えて、ブランド化や加工品の開発による高付加価値化の推進など、ハード、ソフト両面からの支援の拡充を図ってまいりたいと思っています。
 東京ブランドのアンバサダーであります三國シェフが、この前、立川のウドを使いまして、いかにすごい──フランス料理にも使える、料理ができるかというのをやっていただきましたので、ぜひ、例えば、ウド&TOKYOというようなことを清水議員にも宣伝していただきたいと思っております。
 また、都市農地の保全と有効活用に向けましては、貸借等の制度改善によります農外からの新規参入の増加などを見据えまして、多様な担い手の確保、育成に取り組む。さらに、体験農園などを普及拡大したいと思っております。
 将来に向けまして、東京農業が持つ可能性や潜在力を最大限に引き出すことで、豊かな都民生活と快適な都市環境に貢献する力強い都市農業の実現を目指してまいります。そして、テーストオブ東京などのような食のイベントにおいて、東京の食材、多摩の農業をこれからも支援、PRしていきたいと思っております。
 次に、観光振興についてでございますけれども、東京には、江戸から受け継がれる伝統と、公共インフラを初めとします最先端の都市のシステムが共存しておりまして、多くの旅行者を引き寄せ、すぐれた食の味わいや豊かな自然が、魅力を一層高めてございます。
 こうした東京の持つ特色を活用しまして多くの旅行者を呼び込むことは、都内のさまざまなエリアの経済活動に望ましい影響を与えまして、雇用の確保や地域の活性化に結びつくものでございます。
 そのため、地域の観光団体が新たな発想に立ち、地元自治体と連携しまして、観光資源を掘り起こす取り組みへの支援を強化したいと思っております。また、自治体の区域を超えまして広域的な取り組みを進めることができるように、さまざまなノウハウの提供や財源面での支援を行いたいと思っております。
 インフラをめぐる旅についておっしゃっていただいて、これは大変すばらしいアイデアだと思っております。私は東京は水の都、それは景色だけじゃなくて、上水道、下水道を含めて──玉川上水がありますが、だから、例えば水という観点から、さまざまな施設をめぐる観光ルート、これを例えば、はとバスなんかでやってもらいたいと思って、今、研究をしているところでございます。
 特に、多摩・島しょ地域では、その活力を高める観光資源の実現に向けまして、SNSなどの多様な媒体を活用したきめ細かい情報発信を行いたいと思っております。また、先ほどのことも含めまして、地域の特徴を際立たせます観光ルートの開発、それから、点在する観光スポットを結ぶための交通アクセスの充実にも取り組んでまいりたいと思っています。
 これらの観光振興施策を総合的に展開しますことで、地域社会の活性化に結びつくように全力を挙げて取り組んでまいります。
 続きまして、障害者、難病患者の雇用促進でございますけれども、もう何度も申し上げますけれども、パラリンピックの成功なくして二〇二〇年大会の成功はないんだと。そのため、やっぱりノーマライゼーションの定着などを進めまして、障害の有無にかかわらず、誰もが職場で希望とやりがいを持って活躍できる、そういう成熟した社会をつくり上げたいというのが、冒頭申し上げました私の政治家としての原点でございます。
 そして、難病を抱える方についても、職場での理解や適切な雇用管理があれば、職業生活と疾患管理が両立できると。そして一層の活躍が期待できることから、しっかりとした支援が重要でございます。
 私が厚生労働大臣のときにやった仕事で、自分でも誇りにしていることの一つは、難病対策の予算を一気に四倍にふやしたことでございます。知事としても、やっぱりそういう方向を目指すべきだというのが原点でございますので、障害者や難病患者の就業を推進するために、これまで企業への理解促進や職場定着支援、それから助成金の拡充に取り組んでまいりました。
 来年度は、職場内のジョブコーチ設置への支援を開始したいと思っております。それから、障害者雇用支援フェアにおいて、難病患者に対する企業の理解を進めるための普及啓発を行いたいと思っております。
 こうした取り組みに加えまして、実はやはり、雇用の形態、賃金ですね、これが雇用の質の向上を上げるためにも非常に重要であって、常に、恒産なくして恒心なしということを申し上げておりまして、これは健常者だけに限ったわけではなくて、障害者や難病患者でも、きちんと仕事をして、職が安定していて、賃金がきちんともらえると。これが非常に重要でありますので、来年度から、正面からこの問題に立ち向かいたいと思っております。
 そこで、正規や無期雇用での雇い入れに転換してもらう、それから賃金の改善をやってくれる、こういう事業者に対して、これはまだ国も、どの自治体もやっておりませんけれども、みんなに先駆けて都独自の奨励金を創設したいと思っております。
 これらの総合的な支援を通じまして、障害者や難病患者の方々が夢と希望を抱けるように取り組んでまいりたいというふうに思っています。まさにこれが一億総活躍社会になるので、先般、担当の加藤大臣が来られたときにも、これを都はやりますから、ぜひこういう方向で国と都で頑張ってやりましょうと、こういうことを申し上げた次第でございます。
 続きまして、空き家対策でございますけれども、空き家の増加は、防災や治安の面で問題となるとともに、地域の活力や生活環境に影響を及ぼすものであります。私も自分で散歩していて、ワンブロックに一つぐらい空き家がうちの近くにもあるので、愕然としていますけれども、そういう空き家の背景には、これまでの国の住宅政策や税制、少子高齢化や人々の家族観の変化など、さまざまな要因があると思っています。
 このため、昨年、庁内横断的な検討を指示いたしまして、空き家の有効活用、適正管理、発生抑制の三つの観点から総合的に取り組むことにいたしました。
 まず、空き家とか、これを除却した跡地を地域の貴重な資源と捉えて、子育て世帯向けの住宅の確保とか地域を活性化させるための施設への転用などの区市町村の取り組みを支援してまいりたいと思っています。
 それから、不動産や建築などの団体とも連携しておりまして、区市町村の相談窓口に専門家を派遣してもらって、どうすれば維持管理できるかと、所有者としてこういう税制に非常に悩んでいると、こういうことの相談に応じると。
 さらに、やはり新築中心の住宅市場を、質の高い住宅を長く使う市場へと転換させるというようなことも含めて、空き家の発生抑制にも取り組んでまいりたいというふうに思っております。例えていうと、新車もありますけど、今、中古車のマーケットというのは非常にうまくできています。だから、中古の住宅についても同じようなことができれば、こういう問題も発生しないというふうに考えておりますので、こういうことも含めまして、全庁を挙げまして空き家対策を推進して、快適で暮らしやすい、そしていつまでも住み続けたいとみんなが思えるような東京を実現してまいりたいと思っております。
 次は、温室効果ガス削減でありますけれども、このかけがえのない地球というのを次の世代に確実に引き継いでいく、そのためには、特に世界の都市がこの温室効果ガス対策を計画的にやっていく必要があると思っております。
 そこで、我々都は、温室効果ガスの排出量を二〇三〇年までに二〇〇〇年比で三〇%削減するという、これは国を上回る──国がたしか二三とか四ですから、上回っていると思います。
 新たな目標の達成に向けましては、キャップ・アンド・トレード制度や水素社会の実現、再生可能エネルギーの普及拡大など、これまでの施策を着実に推し進めてまいりますとともに、それに加えて、大規模事業者に比べると、やはり温室効果ガスの削減幅が小さい家庭とか中小規模事業者、彼らも対象にした省エネ対策を積極的に展開したいと考えております。
 そのため、来年度新たに、断熱性、気密性にすぐれた魔法瓶のような、そういう高水準の省エネモデルの住宅の調査検討を始めたいと思っています。また、中小テナントビルのオーナーとテナントがともに協力して省エネ対策に取り組む、そういうグリーンリースの仕組みというのを新たに構築して、その普及も図りたいと思っています。
 こうした取り組みを着実に進めることによって、首都東京から温室効果ガス削減に向けて、国やほかの都市を先導していきたいと考えております。
 その関連で、再生可能エネルギーですけれども、気候変動問題に対処して、都市の持続可能性を高めるためには、低炭素なエネルギーの拡大が不可欠でございます。このため、温室効果ガス削減に関する新たな目標の設定にあわせて、再生可能エネルギーの電力利用割合についても、これまた二〇三〇年までに三〇%程度に高めるという意欲的な目標を設定することにいたしました。
 やはり日本の中で、我々東京は電力の最大消費地でありますから、二〇二〇年大会の後を見据えた中長期的な視点を持ちまして、国を上回る明確な方針を示すことで、将来にわたる再生可能エネルギー拡大の機運を喚起して、さらなるコスト削減や技術開発を誘導してまいりたいと思っております。
 目標の実現に向けましては、省エネ、節電を着実に進めて、現在のエネルギー消費量の削減を図りますとともに、やはり再生可能エネルギーの供給量を拡大して利用割合を高めていくことが必要だと考えております。
 具体的には、太陽光発電について、二〇三〇年までに百三十万キロワットまで拡大したいと思っています。それから、そのためにソーラーですね、東京ソーラー屋根台帳による普及開発とか住宅リフォームとあわせた導入を進めてまいりたいと思っております。
 さらに、小水力発電、これは下水処理場でも行っています。それから都市型のバイオマス、地産地消型の再エネ電気や熱の導入拡大など、東京の特性を踏まえた多面的な施策を展開して、低炭素な環境先進都市東京を実現してまいりたいと思っております。
 次に、ユニバーサルデザインタクシーの問題ですけれども、今申し上げましたように、二〇三〇年までに二〇〇〇年比で三〇%温室効果ガスを減らすというのは、じゃ、どうするんだねと。やはりタクシーというのは一日の走行距離が一番長いんですね、我々のマイカーに比べて。したがって、このタクシーをハイブリッドとか電気自動車など、環境性能の高い次世代自動車に転換するということは極めて重要でございます。
 また、来るパラリンピック東京大会の成功のためには、交通機関を初めとして、都市のバリアフリー化は絶対に必要なわけでありまして──ところが、今、何台こういうバリアフリータクシーがあると皆さん思われていますか。もう愕然としたんですけど、都内に五十三台しかないんですよ。そこで、ハイブリッド車とか電気自動車、そういう環境性能を考えた車で、それにスロープやリフトを装備した、車椅子のままで乗りおりできるようなユニバーサルデザインタクシーを、二〇二〇年まで、今から数えて五年間で、一気に一万台にふやしていきたいと思っております。
 このため、法人及び個人タクシー事業者が、計画的に車両更新ができますように、総額で六十一億円の新たな補助制度を創設したいと思います。どうかご支援を賜りたいと思います。
 この取り組みを通じて、地球温暖化防止に貢献するとともに、障害者、高齢者、スーツケースを持った外国人旅行者などが、誰もが快適に移動できる東京をつくり上げ、二〇二〇年東京大会のすばらしいレガシーとして次の世代に引き継いでいきたいと思っております。
 最後の質問になりますけれども、今後の多摩の振興についてでございます。
 先ほど申し上げましたように、多摩地域は豊かな自然と、東京の三分の一に相当します四百万人もの人口を擁し、また多くの大学や研究機関が集積するなど、東京の一層の飛躍のために欠かせない地域でございます。
 二〇一九年にはラグビーワールドカップ、そして翌年のオリンピック・パラリンピックの開催と、多摩にとってさらなる発展へとつながる絶好の機会が訪れます。この機会を逸することなく、現下の諸課題にも的確に対応しながら、多摩の振興を着実に進めていくことが必要でございます。
 また、本格的な人口減少、少子高齢化社会の到来や、幅広い分野での技術革新、さらには週末を自然豊かな土地で過ごすといった新たなライフスタイルの形成など、将来の社会情勢の変化を見据えた上で、長期的な視点に立った振興策を講じていきたいと考えております。
 そのために、都市づくり、そして東京全体のグランドデザインの検討を踏まえつつ、多摩地域の未来像を描き、その振興に向けた方策を示していきたいと思います。文化の拠点である必要も絶対に必要であると、多摩については思っておりますので、広大な土地がありますから、世界中の若い芸術家が集まるような、そういう芸術の森のような、そういうことも私の頭の中にはございますので、文化の面でも、ぜひ多摩を前面に打ち出したいというふうに思っております。
 こういう新たな振興策の検討に当たりましては、これまでの取り組みについて検証を行いまして、民間シンクタンクや有識者などの知見もいただきながら、幅広く議論を進め、平成二十九年度を目途に取りまとめをしたいと思っております。
 繰り返しますが、多摩の発展なくして東京の発展はあり得ない。その思いで、魅力にあふれ、夢と希望に満ちた多摩地域の実現に向けて全力で取り組んでまいる決意でございます。
 そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の特別支援教育の充実についてでございますが、都教育委員会は、平成二十八年度までを計画期間とする東京都特別支援教育推進計画に基づきまして、教育施策を展開し、幼児、児童生徒一人一人の能力を最大限に伸長し、自立と社会参加を促進してまいりました。
 今後は、国の障害者施策の動向を踏まえ、共生社会の実現に向けたユニバーサルデザインの考え方に基づく、障害のある子供にわかりやすい指導の充実や教育環境の整備、さらには東京パラリンピックを契機とする障害者スポーツ、芸術文化活動の推進にも取り組む必要がございます。
 このため、障害のある人もない人も、社会の一員として区別なく生活する社会を目指し、世界一の都市東京にふさわしい特別支援教育を推進するため、現在の計画に引き続く新たな計画の策定を検討してまいります。
 次に、体力向上に向けた今後の取り組みについてでございますが、児童生徒の体力を高めるためには、一人一人の生活をより一層活動的なものにしていくことが重要であります。
 このため、都教育委員会は、運動時間の確保、補強運動の導入による体育授業の改善、スポーツの楽しさを味わう運動部活動の推奨等、さまざまな取り組みを推進するアクティブプランto二〇二〇を新たに策定し、全ての学校で体力向上の具体的目標を定め、児童生徒の体力をバランスよく高める、安全で創意工夫した取り組みを展開いたします。
 さらに、オリンピアンやパラリンピアンとの交流等を通して、運動への関心、意欲などを高める教育プログラム「ようい、ドン!」の実践を推進し、児童生徒がスポーツのすばらしさを実感し、進んで体力向上に取り組み、たくましく成長できるよう、指導の充実を図ってまいります。
   〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、選手村の整備についてでございますが、選手村は、全ての選手が安心、快適に生活でき、競技に向けた万全の準備やスポーツを通じた国際交流が可能となる場として、また、大会後は持続可能な成熟都市のモデルとして、整備していく必要がございます。
 このため、昨年三月より、計画段階から後利用の構想を組み入れ、建築物の建築と基盤整備を一体的に進めることができる市街地再開発事業を活用し、まちづくりの視点を踏まえた検討を進めてまいりました。
 その結果でございますが、選手の宿泊施設などではユニバーサルデザインを徹底し、最先端の環境技術を導入することといたします。大会後には、そのレガシーを生かしまして、にぎわいを生み快適な暮らしを支える広場や海に開かれた緑地を整備し、多様な人々が居住、交流することのできる先進的なスマートエネルギー都市につくりかえてまいります。
 近々、こうした内容を事業計画として公表いたしまして、来年度早々には事業に着手し、整備に全力で取り組んでまいります。
 次に、建築物の液状化対策でございますが、液状化による建物被害に備えるためには、建て主や建物所有者が敷地の液状化の可能性についてあらかじめ把握し、対策の必要性や方法を適切に検討していくことが重要でございます。
 このため、都は、都内の地盤データや液状化対策の工法につきまして、ホームページやリーフレット等で情報提供を行うとともに、区市及び関係団体とも連携して、アドバイザーの派遣等による相談体制の整備を進めてまいりました。
 今後は、公共施設だけでなく、新たに民間建築物の地盤データも収集、公表するとともに、各区市において、都の取り組みに加えまして、地域により密着した情報もあわせて提供するように促してまいります。さらに、液状化の可能性のある地域における建築物の建て主等に対しまして、区市等と協力して必要な対策の実施を働きかけるなど、被害に備える取り組みを充実させてまいります。
 最後に、都市計画道路の新たな整備方針についてでございますが、整備方針案では、環状四号線や新五日市街道などの骨格幹線道路や外環ノ2などの補助幹線道路とともに、近隣県と連携して進めていく都県境の道路などを優先整備路線として示しております。
 今後、この方針に基づく道路整備の推進により、都市計画道路全体の完成率は約八割となります。その結果、交通渋滞の緩和はもとより、ゆとりある歩行者空間の創出や災害時における広域的な救援救護ルートの確保などが可能となります。
 また、来年度からは、事業認可前であっても機動的に道路用地を取得してまいりまして、ゆとりある生活と経済活力が両立した都市を支える都市計画道路網の早期完成を図ってまいります。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 他の地域とのつながりの強化についてですが、東京都総合戦略で掲げた共存共栄を推進するには、地域の実情を把握し、強固な連携、共同関係を構築することが重要でございます。
 このため、都は、これまで各道府県の東京事務所に伺い、都の考えを伝え、協力を呼びかけてまいりました。また、産業振興分野では、所管局が各道府県を訪問し、連携策の具体化に向けた協議を行っているところでございます。
 これに加え、全庁的な視点から政策を展開する役割を担う政策企画局におきましても、今後、直接他の地域を訪問し、幅広く政策全般にわたり胸襟を開いて意見交換を行うなど、共存共栄の取り組みを着実に進めてまいります。
 こうした取り組みを通じ、東京対地方の構図を乗り越え、オール日本による東京二〇二〇大会の成功や、その先の発展につながる地域との関係を築いてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者スポーツの普及啓発についてでございますが、障害者スポーツの魅力を多くの方に知ってもらうには、見て、触れて、体験してもらうことが重要でございます。
 そのため、都は現在、親しみやすい画像で競技を紹介する動画や、見た人が、格好いい、自分も挑戦してみたいと思うようなプロモーション映像を作成しております。来年度は、こうした素材を広報ツールとして活用し、イベントなどで展開するほか、期待の若手選手をテレビの地上波の放送やインターネットなどを通じて都民に紹介し、新たなヒーローとして発信してまいります。
 また、競技大会の観戦に訪れた人々に対し、ルールや見どころを理解してもらう工夫や、競技体験イベントをまち中で行うことなどを通しまして、より多くの都民に対し、幅広く障害者スポーツの普及啓発を積極的に働きかけてまいります。
 次に、選手に対する支援についてでございますが、二〇二〇年大会で多くの東京の選手が活躍するためには、これまでの競技団体等に対する支援に加え、選手一人一人に着目した支援を集中的に行うことが重要でございます。
 都は来年度、オリンピック・パラリンピックを目指す有望な選手を都の強化選手として認定する制度を新たに設け、世界と戦う力をつけていくため、海外遠征や補装具等への支援、医科学サポートなどを実施いたします。また、この認定制度により、選手自身が東京都の代表選手としてのモチベーションを高めるとともに、認定選手の活躍をホームページなどで発信するなど、都民が地元選手を応援する仕組みを構築してまいります。
 こうした取り組みにより、東京全体で二〇二〇年大会での選手の活躍を後押ししてまいります。
 最後に、二〇二〇年大会のボランティアについてでございますが、先月開催いたしましたシンポジウムでは、申し込みが定員を大きく上回るなど、都民のボランティアへの関心は大変高まっております。
 現在、官民さまざまな団体が参画する東京都ボランティア活動推進協議会では、募集や育成のあり方など、都市ボランティアの運営体制に関する戦略の検討を進めております。
 例えば、都市ボランティアの募集は、平成二十九年度に一部前倒しを行い、ラグビーワールドカップでも経験を積み重ねることで、翌年の二〇二〇年大会につなげてまいります。
 今後、協議会での議論や東京マラソンの経験、来年度に実施いたします障害者のボランティア参画に関する調査などを踏まえまして、ことしの秋を目途に戦略を策定いたします。
 大会に向け、関係機関と連携し、ボランティアに関する具体的な取り組みを加速しています
   〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

○生活文化局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都民のボランティア活動の推進についてですが、現在、防災や福祉などの現場において、ボランティアは大きな役割を果たしており、その活動を広めていくことが重要でございます。
 このため、活動で得た喜びの声を体験者みずからが周囲に伝えることに加え、都としてもSNS等で発信するとともに、長年継続した取り組み等を表彰いたします。また、経験豊富な人のノウハウをコーディネーターの養成に活用してまいります。
 さらに、活動経験のない都民、特に若者を対象として、ボランティア活動に取り組んでいる著名人の発信力を活用したイメージアップ広報も展開いたします。
 今回策定した指針に基づき、施策推進の中核となる東京ボランティア・市民活動センターの機能の充実や一層の周知に努め、ボランティア文化の定着を目指してまいります。
 次に、今後の文化プログラム事業の展開についてですが、二〇二〇年大会後のレガシーを見据え、伝統から現代に至る幅広い東京の芸術文化の魅力を都が主導して発信するとともに、日本各地とも連携することが重要でございます。
 このため、二〇二〇年以降も、東京の芸術文化を代表する総合芸術祭の展開に向け、フェスティバルトーキョー等、舞台芸術に関する事業を再構築の上、実施いたします。
 また、本年秋には、都心部の道路を舞台に、被災地を初めとした東北地方と東京の伝統ある祭りのパレードを実施するなど、東京のみならず、日本各地のさまざまな文化の魅力を世界に示す事業を展開してまいります。
 今後、国や大会組織委員会等とも連携を図り、東京を初め、日本全体の芸術文化の成長につながる文化プログラムの実現に取り組んでまいります。
   〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京消防庁災害時支援ボランティアの活性化についてでありますが、災害時支援ボランティアには、消防団員としての活動経験のある方や、応急救護に関する技術を有した方たちが登録しており、震災等に備え、定期的な訓練や講習会などにより技能の向上を図っております。
 これまでも、消防署と連携した地域住民の防火防災訓練指導や東京マラソンでの消防特別警戒の支援など、地域の防災力向上と安全・安心の確保に貢献しております。
 東京消防庁では、今後とも、装備資器材など活動環境の充実について検討を進めるとともに、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催も見据え、関係各局と連携し、新たな活動機会を確保するなど、一層の活性化に努めてまいります。
 次に、救急活動体制の強化についてでありますが、当庁管内では、高齢化の進展等に伴い救急出場件数が過去最高を更新し続け、救急隊の現場到着時間が延伸傾向にあることから、来年度は救急隊八隊の増強を計画しております。
 さらに、このうちの二隊をもって、救急要請が特に多いターミナル駅や繁華街等に待機し、要請件数の変動に応じて機動的に運用する救急機動部隊を創設する予定であります。これにより、待機場所周辺の救急事案に迅速に対応するとともに、遠方の消防署から救急隊が出場することを抑制し、波及的に各救急隊の現場到着時間の短縮を図ってまいります。
 今後とも、東京二〇二〇大会を見据え、救急需要や救急活動データを踏まえた救急隊の計画的な増強や効果的な運用を検討するとともに、テロ災害や外国人傷病者への対応力の向上を図るなど、救急活動体制のより一層の強化に努めてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、大規模災害時の緊急輸送ルートの確保についてでございます。
 発災時に救出救助などの応急対策活動を円滑に展開し、首都機能の維持を図るためには、甚大な被害が発生した地域等へのルートを早急に確保することが重要であり、道路管理者等が発災直後から迅速に活動できるよう、対処方針を事前に定めておく必要がございます。
 都におきましては、現在、医療施設や大規模救出救助活動拠点等を中心に、沿道建築物の耐震化の状況や無電柱化の整備状況などを踏まえました経路のリスク評価を実施してございます。
 今後は、こうした評価結果も踏まえながら、優先的に確保すべきルートや、その目標時間の設定、発災後の基本的な対処などについて、区市町村や関係機関等の意見も聴取し、今年度末を目途に、緊急輸送ルートの確保に向けた基本方針として取りまとめてまいります。
 次に、首都直下地震等対処要領の見直しについてでございます。
 大規模災害の初動時には、警察、消防、自衛隊など数多くの部隊が全国から進出してくるため、その受け入れ体制を整備いたしますとともに、各防災機関が連携をして、迅速で効率的な応急対策活動を実施する必要がございます。
 都は、対処要領をもとに、防災訓練での検証を行うとともに、救出救助のオペレーション等について、区市町村及び関係機関との協議を重ねてまいりました。これらを踏まえまして、今年度末を目途に、緊急輸送ルートの確保に加え、大規模救出救助活動拠点の部隊配置の設定やさらなる拠点の確保などを、対処要領に反映させてまいります。
 今後も、都は実践的な訓練を通じまして、不断の見直しを行い、災害対応力の一層の強化を図ってまいります。
 次に、旧立川政府倉庫の活用についてでございます。
 いつ起きてもおかしくない大規模災害への備えとして、多摩地域を初め、東京全体の防災力を向上させるため、都が倉庫を取得することといたしました。
 この倉庫は、自衛隊、警視庁、東京消防庁など、災害対応を担います機関が集中的に配置されている立川広域防災基地内に立地しており、取得後は、こうした立地上のメリットを最大限に生かした活用を行うこととしております。
 例えば、備蓄物資の充実や全国からの支援物資を都内各地域へ輸送する拠点施設、さらには訓練や普及啓発活動の場などとしての活用を想定しており、現在、さまざまな機関と詳細な検討を行っております。
 引き続き、各機関と連携を図りながら、施設を早期に機能させ、広域的な防災力を向上すべく、全力を尽くしてまいります。
 最後に、サイバーセキュリティー体制の強化についてでございます。
 都におきましては、来年度より、サイバー攻撃等から守るべき情報や機能、運用体制を含め、各システムを分析、検証することでリスクを評価し、重要度に応じてシステム改修や運用の見直しなど、必要な対策を講じてまいります。
 また、サイバー攻撃の影響を最小限にとどめるためには、初動対応の迅速化が重要なことから、庁内システムへの攻撃を早期に検知いたします監視システムを新たに構築いたします。
 さらに、区市町村に対し、都の有するノウハウや新たな監視システムなどを活用した支援を強化することで、セキュリティーレベル向上の取り組みを後押ししてまいります。
 こうした取り組みに加えまして、国や警視庁、組織委員会等との緊密な連携を進め、全体として漏れのないサイバーセキュリティー体制を構築してまいります。
   〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、浄水場更新に合わせた覆蓋化整備についてでありますが、火山噴火やテロ行為などのさまざまな危機に万全を期すためには、既に覆蓋化されたろ過池などに加えまして、浄水場の水面が開放されている全ての施設を覆う必要があります。
 しかし、既存の浄水場での実施は、物理的な制約から現状では困難であるため、約一兆円の費用と六十年の期間をかけて実施をいたします浄水場の更新に合わせまして完全覆蓋化を行うこととし、整備コストも約三百五十億円と、単独での整備に比べ半減させていきます。
 また、更新整備に当たりましては、浄水場のセキュリティー対策を踏まえながら、地域特性などを反映した地域住民への還元のあり方についても検討してまいります。
 強固で強靱な水道施設整備を推進することにより、将来にわたる首都東京の安定給水を確保してまいります。
 次に、荒廃した民有林の対策についてでありますが、水道局では、これまで水源地の民有林につきまして、ボランティアによる保全活動と公募による購入を行い、水源涵養など森林の持つ公益的機能の向上を図ってまいりましたが、いまだ荒廃した民有林が多く存在し、小河内貯水池への土砂流出などの影響が懸念されております。
 そこで、今後は、これら影響の大きい民有林を選定し、計画的に購入を推進するとともに、購入した森林の整備保全につきましては、都民を初め、関係局や企業、大学など多様な主体とも連携し、当局が責任を持って積極的に取り組んでまいります。こうした取り組みを、来年度に改定する水道水源林管理計画に反映し、着実に推進することで、水道水源林の重要性に加え、安全でおいしい水づくりの理解につなげてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 交通安全対策についてでございますが、高齢者は死者に占める割合が高く、事故に遭った場合に重大な被害となりやすいこと、また、自転車は全事故に占める割合が三割と全国平均より高いこと、頭部損傷を主因とする死者が七割を占めることなどから、交通ルール、マナーの徹底や自転車乗用時のヘルメット着用促進など、安全対策の強化が必要でございます。
 このため、高齢者対策として、歩行者信号の高度化や身体、認知機能の低下に気づいてもらう教育、地域活動の充実などを図ってまいります。
 また、自転車の安全利用のためには、利用者自身が、自転車は車両であるとの意識を持ち、ルール、マナーを習得、実践することが不可欠でございます。
 このため、ルールをわかりやすく習得できる自転車シミュレーター教室の拡充、危険な違反行為の取り締まり強化に加え、新たに、違反行為等に対し、街頭で直接、啓発や指導を行う指導員制度を導入するなど、安全対策を進めていくこととしております。
 今後、新たに策定する第十次交通安全計画に基づき、庁内各局、警視庁、区市町村等との連携を強化し、交通事故及び死者数のさらなる減少を図るべく、全力で取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、地域医療構想の策定についてでありますが、都は地域医療構想策定部会において、医療需要推計や受療動向の疾病別分析などをもとに、都の特性を踏まえ、検討を行い、昨年十二月に構想の骨子案を取りまとめました。
 骨子案では、現行の二次保健医療圏を、将来必要な病床数を算定する単位である構想区域に設定するとともに、疾病、事業ごとの医療提供体制については、地域の医療資源の分布状況等に応じて柔軟に運用することといたしました。また、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現に向け、四つの基本目標をお示しいたしました。
 現在、構想区域ごとに、医療関係者等から地域の課題や骨子案に関する意見を聴取しており、今後、こうした意見も踏まえながら、来年度早期に素案を取りまとめ、パブリックコメントを実施する予定でございます。
 次に、高齢者施策の充実についてでありますが、高齢者が地域で安心して生活できるようにするためには、施設サービスや在宅サービスをバランスよく整備し、大都市東京にふさわしい地域包括ケアシステムを構築していくことが必要でございます。
 そのため、都は来年度から、介護施設の整備率が低い地域での整備費補助の加算を拡充するほか、地域での多様なみとりの場の確保や認知症の方の在宅生活支援モデルの構築などに新たに取り組みますとともに、介護人材の確保に向け、職員用の宿舎借り上げに対する支援を開始いたします。
 今回の国の緊急対策には、都の提案を受け、国有地の減額貸付や特別養護老人ホームの建物所有の規制緩和等が盛り込まれており、今後とも国と連携しながら、東京の特性を踏まえた高齢者施策を積極的に展開してまいります。
 次に、家族介護者への支援についてでありますが、高齢者や障害者を在宅で介護する家族は、心身の負担感や社会からの孤立を感じることが多いといわれております。
 そのため、区市町村は、介護保険法や障害者総合支援法に基づき、家族介護者に対するリフレッシュの機会の確保や相談事業などを実施しております。これに加えまして、都は、認知症の方やその家族の交流、支援拠点の設置や在宅の重症心身障害児者への看護師の派遣など、区市町村の先駆的な取り組みや地域の実情に応じた独自の取り組みを包括補助で支援するほか、ショートステイや小規模多機能型居宅介護など、家族介護者のレスパイトにも資する基盤整備を独自の補助で支援しております。
 今後とも、在宅で介護を行っている家族のニーズを踏まえ、さらなる支援の充実を図ってまいります。
 次に、医療機関同士のネットワーク構築についてでありますが、複数の医療機関がICTを活用して検査結果や服薬情報などの患者情報を共有することは、二重検査や過剰投薬の防止など患者の負担軽減や、急性期から在宅療養への切れ目のない医療連携の推進につながるものでございます。
 そのため、都は、ICTを活用した医療連携に取り組む医療機関を、地域医療介護総合確保基金を活用して支援しており、今年度は、二つの病院が中心となって、地域の診療所等と患者情報を共有するために必要なサーバーシステムの導入を進めております。
 東京都医師会においても、病院間で共有する情報の項目や運用ルールなどについて、現在検討を進めており、今後、こうした取り組みと連携しながら、ICTネットワークの構築に取り組む医療機関を積極的に支援してまいります。
 次に、支援を必要とする子供や家庭への支援についてでありますが、お話のように、支援が必要な子供とその家庭にきめ細かな支援を行うためには、都と区市町村、民間団体等とが連携して施策を進めていくことが必要でございます。
 そのため、都は来年度から、子供の学習支援や食事の提供、親への相談支援等を行う居場所づくりを民間団体と連携して実施する区市を支援いたしますとともに、児童養護施設退所者等への住まい確保や、ひとり親家庭に対する相談体制の充実など、新たなる取り組みを開始いたします。また、大学と連携して、子供と家庭の状況に関する調査研究等も実施する予定でございます。
 今後とも、各局で構成する子供・子育て施策推進本部を中心に、区市町村や関係機関と連携しながら、福祉、医療、雇用、教育など、さまざまな施策を一層推進してまいります。
 最後に、障害者の社会参加の促進についてでありますが、都はこれまで、障害のある人もない人も、互いに尊重し、支え合いながらともに生活する社会の実現を目指し、就労支援を初め、さまざまな障害者施策に取り組んでまいりました。
 来年度は、東京チャレンジオフィスを都庁内に開設し、障害者にさまざまな就労経験の機会を提供いたしますとともに、都内の福祉施設の製品を販売するトライアルショップを、都庁舎を初め、都内三カ所に開設いたします。
 また、障害者の社会参加に関する意識調査を実施するとともに、学生と障害者が参加するシンポジウムの開催や、小中学生のポスターコンクールの実施など、障害への理解を深め、心のバリアフリーを推進する取り組みを行います。
 さらに、グループホームや通所施設など、地域生活基盤の整備も進め、障害者の社会参加を一層促進してまいります。
   〔病院経営本部長真田正義君登壇〕

○病院経営本部長(真田正義君) 五つのご質問にお答えいたします。
 まず、都立広尾病院における東京二〇二〇大会に向けた準備についてでありますが、大会を通じて、都立病院における受け入れ拠点としての機能を果たしていくためには、将来の改築計画の有無にかかわらず、必要な環境整備を実施することが重要でございます。
 このため、国際化対応については、今年度、厚生労働省の医療通訳拠点病院に選定されたことに続き、今後は多言語や異文化に対応した医療を評価、認証するJMIPの都立病院初の取得を目指してまいります。また、ハード面においては、初期診療室や救命救急センターの改修、内視鏡室の拡張により、東京ERの機能強化を図るなど、救急患者の受け入れ体制を拡充いたします。
 これらの取り組みにより、大会の成功に向け、万全の準備を進めてまいります。
 次に、多摩メディカルキャンパスのリハビリテーション機能充実についてでございます。
 お話のように、リハビリテーション医療は、今後のさらなる高齢化の進行によるニーズの増加に伴い、その充実は重要であり、特に多摩地域はその必要性が高いものと認識しております。
 このため、まず、多摩総合医療センターと神経病院の連携を強化し、急性期の脳血管疾患治療後の患者等に、切れ目ない一貫したリハビリテーションを実施する体制を構築いたします。
 また、神経病院の改築に合わせ、リハビリ機能を強化し、難病等の地域の医療機関では対応困難な症例に積極的に対応するとともに、外来におけるリハビリテーションの実施についても検討してまいります。
 こうした取り組みにより、キャンパス総体としてリハビリ機能を強化し、多摩地域におけるリハビリテーション医療の充実に取り組んでまいります。
 次に、多摩キャンパスの医療連携強化についてでございますが、多摩地域は、区部と比較して拠点となる病院が少なく、その対応は広域的であるため、限られた医療資源で質の高い医療を提供するには、医療機能の適正な役割分担のもと、連携による切れ目ない医療の提供が必要となります。
 このため、キャンパスにおいては、都立病院として唯一の地域医療支援病院である多摩総合医療センターを中心とし、キャンパス内の各施設及び多摩地域の公社病院との強固な連携体制を構築するとともに、地域の医療機関との緊密な連携についても積極的に取り組んでまいります。
 また、地域の医療機関との連携を推進するに当たりましては、ICTの活用が有効であると認識しており、その活用については、連携体制の構築を行った上、都の施策との整合性や関係機関の動向等を踏まえ、検討してまいります。
 次に、都立墨東病院における医療機能の強化についてでございます。
 墨東病院では、東京ERとして、これまで救急医療機能の強化を図ってまいりましたが、この二月に都内で三番目、区東部地域では初めてとなる高度救命救急センターの指定を受けました。今後は、このセンターの機能を最大限に発揮することにより、広範囲熱傷、急性中毒などの特殊疾病患者に対しても高度な診療機能を発揮し、これまで以上に質の高い救急医療を提供してまいります。
 また、周産期医療につきましては、来年度、母体胎児集中治療管理室の改修を行うとともに、内科的治療と外科手術が同じ部屋で実施可能なハイブリッド手術室の整備を行うことで、ハイリスク妊産婦への対応力をさらに強化いたします。
 こうした取り組みにより、母体救命の最後のとりでとしての役割を果たしてまいります。
 最後に、公社病院における在宅療養支援についてでございます。
 患者が地域で安心して在宅療養生活を送るためには、在宅医との連携を強化し、患者の急変時に円滑に受け入れるとともに、患者を看護している家族等への支援を行っていくことが重要であると認識しております。このため、地域医療機関との連携を推進していくことを役割としている公社病院においては、これまでも、一部の病院で地域との連携を図りながら、患者の身体状況や疾病などに応じてその受け入れを行ってまいりました。
 今後は、各病院に設置している患者支援センターを活用するなど、家族への相談機能をより一層充実していくとともに、地域ニーズに応じて、在宅医と協力し、医学的ケアを必要とする患者の受け入れの拡充について検討してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、道府県と連携をした産業振興の展開についてでございますが、昨年十一月に公表いたしましたALL JAPAN&TOKYOプロジェクトの推進に向けまして、先週までに全国の四十六全ての道府県庁への訪問を完了いたしました。二〇二〇年大会の開催に向けた中小企業の受注拡大や観光振興など、都との連携に対して期待の声が寄せられております。
 各地からの意見を踏まえまして、これまで中国、四国地域との観光ルートを結ぶ協議会を立ち上げたほか、ふるさと祭り東京での全国のご当地マラソンの紹介、木材製品展示会への長野県、岐阜県との共同出展を行い、今週末には、臨海副都心で熊本県等と共同で特産品PRを実施いたします。
 来年度は、他県に出向いて商談会を開催するなど、プロジェクトを本格的に実施をいたします。引き続き、各地との緊密な連携を図り、双方に効果の高い施策を展開してまいります。
 次に、中小企業の積極的な事業展開への支援でございますが、東京の産業が将来にわたり発展をしていくためには、中小企業が新事業の創出や海外展開など、新たな事業に積極果敢に挑戦をすることが重要でございます。
 このため、都は来年度、新事業分野の事業化、製品化を促すため、事業アイデアを持つ中小企業と大学、金融機関等との連携体の立ち上げを支援するとともに、経費助成の制度を創設いたします。さらに、研究機関や全国の企業等との連携を促進するため、民間と共同でファンドを新設いたします。
 また、中小企業が円滑に海外展開を図れるよう、計画策定支援や海外展示会への出展機会の拡充とともに、経済団体等と連携して製品等をPRし、商談につなげてまいります。
 こうした多面的な取り組みにより、東京を牽引する中小企業の成長を強力に後押ししてまいります。
 次に、中小企業への金融支援の充実についてでございますが、中小企業のさらなる成長のためには、設備投資や海外展開などの積極的な取り組みを資金面からも支える必要がございます。
 このため、都は、設備投資に対して、制度融資により最大五分の四の信用保証料の補助を行う設備更新・企業立地促進融資を実施し、積極的に後押しをしております。
 これに加えまして、来年度からは、海外展開支援メニューを新設し、最優遇金利を適用するとともに、信用保証料を補助いたします。あわせて、海外ビジネスに関する豊富なノウハウを有するジェトロ等と金融機関とが一体となって支援する新たな事業を開始いたします。
 さらに、地域の金融機関と連携した新保証つき融資の融資限度額を大幅に引き上げるなど、さまざまな金融支援策により、都内中小企業の事業展開を後押ししてまいります。
 次に、東京ビッグサイトの利用制約への対応策についてでございますが、中小企業にとって、展示会は販路開拓の重要な手段であることから、都はビッグサイトと連携し、利用調整を進めるとともに、未利用地の活用など、あらゆる方策を検討してまいりました。
 都としては、展示会主催者の、首都圏で展示会を開催したい、あるいは二年連続開催できないことを回避してほしいなどの声に応えるためにも、東京ビッグサイト近隣に大規模な仮設展示場を設置することといたしました。
 具体的には、臨海地域の東京テレポート駅至近にある未利用地に約二万四千平方メートルの仮設展示場を、平成三十一年四月から一年間設置いたします。
 さらに、拡張棟につきましては、竣工時期を平成三十一年十二月末から同年六月を目途に前倒ししてまいります。
 これらの対応策によりまして、大会前の平成三十一年度には、展示可能面積が、現在の八万平方メートルの約四割から九割にまで大幅に増加いたします。また、大会終了後には、面積が現在の約一・五倍となることから、展示会を年度後半に集中させるなどの調整を図り、利用制約による影響を最小限に抑えてまいります。
 最後に、公共インフラを活用した観光振興についてでございますが、都民生活や企業活動を支えているさまざまな公共インフラはまた、東京の重要な観光資源でもあり、旅行者の誘致に向け、その活用を図ることは重要でございます。
 これまで都は、各地域の特色ある観光資源を活用するアイデアを、民間のノウハウに結びつけて実現する取り組みを行ってまいりました。
 ご提案の公共インフラに関しまして、その役割などへの理解を進めながら、観光振興につなげるために、各地域がつくり上げる企画を民間の力により実現する場合には、必要となる事業費の上限を引き上げます。
 また、企画の実施に当たり、旅行者がインフラの機能等を十分に理解できるよう工夫を行う仕組みといたします。
 こうした取り組みを展開し、公共インフラを活用した観光振興を適切に進めてまいります。
   〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都市基盤整備のストック効果についてでございますが、ストック効果とは、道路、河川、公園などの都市基盤施設が整備、供用されることで、将来長きにわたり、生産性の向上や日々の都民生活の安全性、快適性を高めるなどの効果でございます。
 例えば、幹線道路ネットワークの整備は、人や物の移動時間を短縮し、観光や産業の活性化など広域的な経済活動への波及効果をもたらします。また、地下調節池などの河川施設の整備は、浸水被害の軽減など、安全・安心を確保いたします。さらに、公園の整備は、豊かな緑と潤いのある空間を生み出し、都市生活の質を向上させます。
 今後は、こうしたストック効果を、多様な媒体や機会を活用し一層積極的に情報発信することで、都民の理解と協力を得ながら、東京の都市基盤整備を推進してまいります。
 次に、都道のバリアフリー化についてでございますが、高齢者や障害者を含めた全ての人が安全で円滑に移動するためには、道路のバリアフリー化を一層進めていくことが重要でございます。
 都はこれまで、駅や福祉施設等を結ぶ道路におきまして、福祉のまちづくり条例に基づき、段差解消や視覚障害者誘導用ブロックの設置などに取り組んでまいりました。
 こうした取り組みをさらに進めるため、今年度内に東京都道路バリアフリー推進計画を策定し、東京二〇二〇大会競技会場周辺の整備を大会開催までに完了させるとともに、障害者が利用するスポーツ施設等の周辺も新たに加え、今後十年間で延長約百八十キロメートルを整備いたします。
 引き続き、誰もが安全・安心、快適に利用できる道路空間の創出に取り組んでまいります。
 最後に、連続立体交差事業の新規事業化についてでございますが、本事業は、数多くの踏切を同時に除却することで、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化に資する極めて効果の高い事業でございます。
 新規事業化を検討している区間のうち、西武新宿線の野方駅から井荻駅間及び井荻駅から東伏見駅間につきましては、外環ノ2など関連する道路の整備計画が具体化するとともに、まちづくりの取り組みが進められております。また、京浜急行本線品川駅から北品川駅付近につきましては、国際交流拠点を目指した品川駅周辺のまちづくりが動き始めております。
 このため、これら三区間を社会資本総合整備計画に位置づけ、事業化に向けて一歩踏み出すことといたしました。世界一の都市東京を実現するため、今後とも必要な財源の確保に努め、地元区市や鉄道事業者と連携し、事業を推進してまいります。
   〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) 今後の下水道事業の運営についてでございますが、下水道局は、二〇二〇年大会の開催とその後の東京のあり方を見据え、平成二十八年度から三十二年度までの五カ年間を計画期間とする経営計画二〇一六を策定いたしました。
 本計画では、大会に向けて集中的に取り組む事業や中長期的に必要な事業を着実に推進するため、建設投資を増額し、区部下水道建設事業費を総額八千九百億円といたしました。
 下水道管の再構築では、整備年代の古い都心の第一期再構築エリアについて、平成四十一年度の完成を目指し、完了面積の割合を現在の四〇%から五カ年で六二%に引き上げるほか、浸水対策、震災対策、水質改善、エネルギー削減等、さまざまな課題の解決に着実に取り組み、二〇二〇年大会の万全な開催に貢献するとともに、将来にわたり都民の安全・安心を確保してまいります。
   〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 契約にかかわる二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小事業者が技術者を育成確保できる環境の整備についてでございますが、公共工事に携わる下請を含む中小事業者が技術力の継承や発展に向けて、担い手を安定的に育成、確保していくためには、賃金その他の労働条件、労働環境が適切に確保される必要がございます。このことは、改正品確法の理念であり、その実現に向けては、受発注者双方で取り組んでいかなければなりません。
 そのため、都では、市場動向を反映した予定価格の設定を初めとする制度改革を行い、下請等で働く従業員の労働条件等にもその成果が及ぶよう、取り組みを進めております。
 今後とも、二次下請までを対象とする就業環境改善のための調査の拡大などを通じ、下請を含む中小事業者の人材の育成と確保に向けて、発注者としての責任を果たしてまいります。
 次に、中小事業者の技術力の評価についてでございますが、都内の中小事業者の中には、区市町村が発注する道路や橋梁工事などの施工を通じて、技術力を培いながら、地域のインフラ整備に貢献している事業者も多く存在しております。
 一方、都においては、今後増大する身近な社会インフラの老朽化などに対応するためにも、これらの中小事業者の技術力を生かしていくことが重要でございます。
 現在、都の総合評価方式では、都発注工事の成績のみを評価の対象としておりますが、今後は、都内区市町村発注の工事成績も評価する手法を新たに導入することで、品質確保を図りながら、技術力のある中小事業者の新規参入を促し、発注者として技術者の育成を支援しつつ、持続的なインフラ整備を進めてまいります。
   〔交通局長塩見清仁君登壇〕

○交通局長(塩見清仁君) 都営地下鉄の安全対策についてでございますが、交通局は、平成二十八年度から三カ年で約一千億円を投じ、さらなる耐震対策や予防保全に基づくトンネル等の長寿命化、ホームの事故防止など、安全・安心の確保に向けた取り組みをさらに加速させてまいります。
 このうち、ホームドアにつきましては、浅草線大門駅などの先行整備に加え、車両の大規模改修を必要としない新技術を用いた実証実験を来年度実施するなど、全線全駅へのホームドア整備の早期実現を目指してまいります。
 また、高い安全意識と技術力を持った職員を育成するため、OJTや各種訓練を通じて、職員の意識と対応力の向上を図るとともに、模擬実習設備を充実させ、より実践的な研修、訓練を行うなど、ハード、ソフト両面から全力で安全対策に取り組んでまいります。
   〔港湾局長武市敬君登壇〕

○港湾局長(武市敬君) 東京港の機能強化についてでございますが、円滑で効率的な物流を確保していくためには、社会経済や物流動向の変化を踏まえ、メーンポートとしての東京港の機能強化を積極的に図っていく必要があります。
 そこで、港からのコンテナ貨物の搬出を円滑にするためのコンテナヤードの再編に加え、道路ネットワークの充実強化を着実に進めてまいります。また、多頻度小口配送にも対応する物流センター機能の充実を図るなど、荷主の要望にきめ細かく対応していけるよう、港や港周辺の機能の見直しを行ってまいります。
 今後も、日本経済の成長に寄与するため、船会社や海上、陸上の輸送事業者などの関係事業者と連携しながら、中長期的な視点を持って、我が国の物流のかなめともいえる東京港の機能強化に全力で取り組んでまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 地下水の保全と利用についてでございますが、水循環において地下水は大きな役割を占めており、その保全と涵養は重要でございます。
 都はこれまで、法の規制に加え、条例による揚水規制を行っており、近年、地盤沈下は鎮静化しつつあります。
 しかしながら、地盤沈下は不可逆的な現象であり、しかも過剰な揚水が行われれば再び沈下が進行する可能性があることから、適切な揚水規制は不可欠と認識しております。
 一方、地下水利用に対する関心は高まっており、国の水循環基本法の制定や水循環基本計画の策定を踏まえ、地下水の保全と適正な利用との調和を図る必要があります。
 このため、まずは未解明な部分が多い地下水の実態を把握するため、引き続き揚水規制を継続しながら、科学的データの収集、蓄積を進めてまいります。

○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四十六分休憩

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